JP2004117209A - 生化学解析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】生化学解析装置において、生化学解析用ユニットのような試験片や解析情報取得のための解析ロジックを間違いなく選択できるようにする。
【解決手段】検査項目に応じた複数の生化学解析用ユニットをラック10に設置し、検査項目に応じた複数の解析ロジックをメモリ6に記憶する。入力手段8から検査項目を入力すると、検査項目に応じた生化学解析用ユニット1が選択され、検査項目に応じた解析ロジックがメモリ6から読み出される。選択された生化学解析用ユニット1から検査結果を表す標識信号を取得し、これに対して読み出した解析ロジックに基づいて演算を施して解析結果を表す解析情報を取得し、これをモニタ7に表示する。
【選択図】 図1
【解決手段】検査項目に応じた複数の生化学解析用ユニットをラック10に設置し、検査項目に応じた複数の解析ロジックをメモリ6に記憶する。入力手段8から検査項目を入力すると、検査項目に応じた生化学解析用ユニット1が選択され、検査項目に応じた解析ロジックがメモリ6から読み出される。選択された生化学解析用ユニット1から検査結果を表す標識信号を取得し、これに対して読み出した解析ロジックに基づいて演算を施して解析結果を表す解析情報を取得し、これをモニタ7に表示する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、標識物質により標識された生体由来物質を、試験片の基板上の所定位置に複数配置された特異的結合物質と結合させ、これにより生体由来物質の標識物質から放出された標識信号に基づいて生体由来物質の解析を行う生化学解析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体内の遺伝情報はDNA塩基配列として保存されており、遺伝子の発現を解析することは各種疾病の予防、早期診断治療、オーダーメイド医療等に有効である。このような遺伝子の発現を解析するシステムとして、スライドガラスやメンブレンフィルタ、金属等の基板表面の異なる位置に、細胞、ウィルス、抗体、抗原、その他のタンパク質、核酸等、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成等が既知の特異的結合物質をスポッタ装置を用いて滴下して、多数の独立した固定領域(特異的結合物質が固定された領域、以下スポットとも称する)を形成した生化学解析用ユニットを使用し、次いで、細胞、ウィルス、抗体、抗原、その他のタンパク質、核酸等、抽出、単離等によって生体から採取され、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる酵素等の標識物質によって標識された生体由来の物質を、生化学解析用ユニット上の特異的結合物質にハイブリダイズ等の特異的結合反応を利用して結合させ、さらに標識物質を化学発光基質と接触させ、その際放出される化学発光を光電的に検出して遺伝子情報等の生体由来の物質に関する情報を得るようにした生化学検査システムが知られている。
【0003】
このようなシステムによれば、基板表面上の異なる位置に、数多くの特異的結合物質のスポットを高密度に形成して、標識物質によって標識された生体由来の物質をハイブリダイズ等の特異的結合反応を利用して結合させることにより、短時間で生体由来の物質を解析することが可能になるという利点がある。
【0004】
また、上記生化学検査システムにおいて取得された標識信号を所定の解析ロジックに基づいて解析して、検体においてどのような生体由来物質がどの程度発現しているかを表す発現データを取得し、この発現データを解析結果としてモニタに表示あるいはプリント出力する生化学解析装置も提案されている(例えば特許文献1参照)。このような生化学解析装置によれば、検体の生体由来物質がどの特異的結合物質と結合したかを数値として認識することができるため、特に遺伝子の発現の解析に有効である。
【0005】
【特許文献1】
米国特許出願公開第2002/0061534号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記生化学解析装置を用いて解析を行う場合には、検査項目に応じた特異的結合物質が配置された生化学解析用ユニットを装置に設置し、さらには検査項目に応じた解析ロジックを装置に設定することにより、解析情報の取得が行われる。しかしながら、生化学解析用ユニットや解析ロジックの選択はオペレータがマニュアル操作により行っているため、誤った生化学解析用ユニットおよび解析ロジックを選択してしまうおそれがある。このように誤った生化学解析用ユニットや解析ロジックを選択してしまうと、正しい検査を行うことができないばかりか、誤った選択に気がつかずに解析情報を取得してしまい、診断を誤ってしまう可能性もある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、生化学解析用ユニットのような試験片や解析情報取得のための解析ロジックを間違いなく選択できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による生化学解析装置は、基板上の所定の複数位置に互いに異なる複数の既知の特異的結合物質が配置された試験片を、検査項目の種類に応じて複数設置可能な試験片設置手段と、
前記試験片における前記特異的結合物質に、検体の標識物質で標識された生体由来物質を結合させ、該結合させた前記生体由来物質の標識物質から放出される標識信号を取得する検出手段と、
該標識信号に対して所定の解析ロジックに基づく演算を施して、前記検体の解析結果を表す解析情報を取得する解析手段と、
前記検査項目の種類に応じて複数の前記解析ロジックを記憶した解析ロジック記憶手段と、
所望とする検査項目の入力を受け付ける入力手段と、
該入力手段に入力された前記所望とする検査項目に応じた試験片を前記試験片設置手段に設置された複数の試験片から選択するとともに、前記所望とする検査項目に応じた解析ロジックを前記解析ロジック記憶手段から読み出し、該選択された試験片および該読み出された解析ロジックに基づいて、前記標識信号の取得および解析情報の取得を行うよう、前記検出手段および前記解析手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
なお、本発明による生化学解析装置においては、前記複数種類の検体を設置する検体設置手段をさらに備え、
前記入力手段を、前記解析情報を取得する検体の指定を受け付ける手段とし、前記制御手段を、前記入力手段において指定された検体を前記検体設置手段から選択するとともに、該選択された検体を用いて前記標識信号の取得および解析情報の取得を行うよう、前記検出手段および前記解析手段を制御する手段としてもよい。
【0010】
「基板」とは、特異的結合物質を安定に結合、点着できるものであればよく、例えば平板状の基板主部に多数の孔を形成し、この孔に特異的結合物質を固定することができる吸着性材料を配してなるものを用いることができる。なお、基板主部の材質としては、銅、銀、金、亜鉛、鉛、アルミニウム、チタン、スズ、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、タンタル等の金属や、ステンレス鋼、黄銅等の合金、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスを用いることができる。
【0011】
「特異的結合物質」とは、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNA等であって、生体由来物質と特異的に結合可能な物質を意味する。「既知の」とは、特異的結合物質によって異なるが、例えば核酸であればその塩基配列や塩基の長さ等が、タンパク質であればアミノ酸の組成等が分かっていることを意味する。ここで、基板の所定の複数位置に配置される特異的結合物質は、各位置毎に1種類の特異的結合物質が配置されていることを意味する。
【0012】
「生体由来物質」とは、基板上の所定の位置に配置された既知の特異的結合物質と特異的に結合する物質であって、生体から抽出、単離等された物質を意味するが、生体から直接抽出されたものだけでなく、これらを化学処理、化学修飾等したものも含まれる。例えばホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNA等の物質である。
【0013】
「標識物質」とは、生体由来物質から情報を得るためにこれらの一部を改変し、あるいはこれらに直接付加される、目印となる物質を意味する。標識物質は、標識物質から放出される標識信号が検出でき、かつ生体由来物質に取り込まれる規則性が予め分かっているものであれば特に限定されるものではない。例えばCy5、フルオレセインイソチオシアネート等の蛍光色素や32P、33P等の放射性同位体を用いることが好ましい。
【0014】
なお、化学発光用の標識物質としては、ハプテン/抗体の組み合わせの例として、ジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニン抗体、テオフィリン/抗テオフィリン抗体、フルオロセイン/抗フルオロセイン抗体等を用いることができる。また、ハプテン/抗体に代えて、ビオチン/アヴィジンや抗原/抗体等の組み合わせを利用することも可能である。
【0015】
「標識信号」とは、例えば標識物質が蛍光色素である場合には蛍光、標識物質が放射性同位体である場合には放射線のように、標識物質から放出、あるいは出力されるものを光検出器あるいは放射線検出器において検出することにより得られる信号のことをいう。
【0016】
「生体由来物質を特異的結合物質に結合」とは、例えばDNAやRNA等で見られる相補的なヌクレオチド配列の間に安定な二重鎖が形成されるような場合(ハイブリダイゼーション)や、抗原と抗体、ビオチンとアビジン等のように、特定の物質とのみ選択的に反応する極めて特異性の高い結合を意味する。
【0017】
「解析情報」とは、標識信号を解析することにより得られた情報であり、例えば生体由来物質の特定の特異的結合物質への結合量を表す数値、数値を特異的結合物質毎に並べた一覧、およびこれらの値に基づいて解析された遺伝子疾患の進行や治癒の程度を表す数値や記号等を用いることができる。
【0018】
「所定の解析ロジック」とは、標識信号から解析情報を得るためのロジックであり、具体的には標識信号に対して解析情報取得のために施す演算の演算式、演算式に用いるパラメータを解析ロジックとすることができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、入力手段により所望とする検査項目が入力されると、検査項目に応じた試験片が試験片設置手段に設置された複数の試験片から選択されるとともに、検査項目に応じた解析ロジックが解析ロジック記憶手段から読み出される。そして、選択された試験片を用いて検出手段により標識信号が取得され、取得された標識信号に対して読み出された解析ロジックに基づく演算が施されて、検体の解析結果を表す解析情報が取得される。このため、装置を操作するオペレータは、検査項目に応じた試験片を選択したり、解析ロジックを装置に設定する必要がなくなり、これにより、オペレータが試験片および解析ロジックを誤って選択することがなくなる。したがって、誤った解析情報を算出したり、誤った診断を行うことを防止することができる。
【0020】
また、請求項2の発明によれば、入力手段により解析情報を取得する検体の指定が受け付けられると、指定された検体が検体設置手段から選択される。そして、選択された検体を用いて標識信号の取得および解析情報の取得が行われる。このため、装置を操作するオペレータは、検査項目と検体との対応付けを誤ることがなくなり、これにより、誤った解析情報の算出を防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態による生化学解析装置の構成を示す概略ブロック図、図2は本実施形態に用いられる生化学解析用ユニットの基板の構成を示す斜視図である。
【0022】
図2に示すように、本実施形態に用いられる生化学解析用ユニットの基板21は、光を減衰させる性質を有するアルミニウム等の金属板(基板主部)22に多数の略円形の貫通孔23が高密度に形成され、これらの多数の貫通孔23の内部に酢酸セルロース等の多孔質材料24が充填されてなるものである。
【0023】
このような生化学解析用ユニット1に対しては、各種検査項目に応じた特異的結合物質がそれぞれの貫通孔23の多孔質材料24に滴下されてスポット(特異的結合物質が固定されているスポット状の固定領域)が形成される。ここで、滴下は先が割れたスポットピンが使用される。スポットピンはその先端部にμLオーダーの特異的結合物質の液を保有している。そして、スポットピンの先端が多孔質材料24に接触すると、多孔質材料24が吸収可能な量の特異的結合物質によりスポットが形成される。これにより、各スポットは一定量の特異的結合物質を有するものとなる。特異的結合物質の滴下後、紫外線を十分照射することにより、特異的結合物質が多孔質材料24に固定される。
【0024】
図1に示すように、本実施形態による生化学解析装置は、各種検査項目に応じた特異的結合物質がそれぞれの貫通孔23の多孔質材料24に滴下されて形成されたスポットを有する生化学解析用ユニット1を検査項目毎に複数設置するラック10と、検査対象となる複数の検体から採取した、化学発光基質と接触させることにより化学発光を生じさせる標識物質により標識された解析対象となるサンプル12(生体由来の物質)を複数設置するサンプル設置手段11と、ラック10に設置された複数の生化学解析用ユニットから検査項目に応じて選択された生化学解析用ユニット1に、サンプル設置手段11から選択されたサンプル12を投与し、生化学解析用ユニット1のスポットを形成する特異的結合物質と選択的に結合させて標識する(ハイブリダイズする)とともに、ハイブリダイズされた生化学解析用ユニット1に化学発光基質を接触させることにより化学発光を発生させるリアクタ2と、発せられた化学発光を光電的に読み取って検出結果を表す標識信号を出力する検出装置3と、検出装置3から出力された標識信号に対して画像処理を施す画像処理部4と、リアクタ2にハイブリダイズ条件および発光条件を、検出装置3に検出条件をそれぞれ入力するとともに、後述する入力手段8においてオペレータにより入力された検査項目に対応する解析ロジックを、検査項目に応じて複数の解析ロジックを記憶したメモリ6から読み出し、読み出された解析ロジックに基づいて、画像処理が施された標識信号に対して生化学解析を実行して解析情報を生成し、生成した解析情報をモニタ7に出力する解析制御部5と、検査項目、サンプルの種類等種々の情報を入力するキーボードおよびマウスからなる入力手段8と、ラック10に設置された生化学解析用ユニット1をリアクタ2に送り出すためにラックを駆動するラック駆動部9とを備える。
【0025】
また、本実施形態においては、特異的結合物質として特定の疾病に発現する遺伝子のDNAを用いるものとする。
【0026】
リアクタ2は、上側容器2Aおよび下側容器2Bからなり、上側容器2Aおよび下側容器2Bにより生化学解析用ユニット1を挟持することにより中空の容器を形成する。リアクタ2は一定温度となるように不図示のペルチェ素子等により温度制御されている。また、上側容器2Aにはサンプル注入孔2Cが形成されており、サンプル12がここからリアクタ2内に注入される。
【0027】
また、リアクタ2にはハイブリダイズ液、洗浄液、酵素標識抗体および化学発光基質をリアクタ2内に供給するための供給部21および廃液を保持する廃液タンク31が接続されている。
【0028】
供給部21には、ハイブリダイズ液、洗浄液、酵素標識抗体および化学発光基質をリアクタ2内に供給するためのポンプ22、ハイブリ液を保持および供給するハイブリ液保持部23A、洗浄液を保持および供給する洗浄液保持部23B、酵素標識抗体を保持および供給する抗体保持部23Cおよび化学発光基質を保持および供給する化学発光基質保持部23Dを備える。ハイブリ液保持部23A、洗浄液保持部23B、抗体保持部23Cおよび化学発光基質保持部23Dには、弁24A〜24Dが接続されており、ハイブリダイズ液、洗浄液、酵素標識抗体および化学発光基質が選択的にリアクタ2内に供給されるように、弁24A〜24Dが解析制御部5により切り替えられる。
【0029】
なお、ラック10からリアクタ2への生化学解析用ユニット1の供給は2対の供給ローラ13A,13Bにより行われる。使用済みの生化学解析用ユニット1のリアクタ2からの排出は、2対の排出ローラ14A,14Bにより行われる。
使用済みの生化学解析用ユニット1は排出ローラ14A,14Bにより廃棄部25に搬送され、ここに廃棄される。供給ローラ13A,13Bおよび排出ローラ14A,14Bの駆動は解析制御部5により行われる。
【0030】
検出装置3は冷却CCDからなり、リアクタ2の下側容器2Bに接続されたファイバ3Aを介してリアクタ2内の生化学解析用ユニット1における化学発光基質の発光した位置および発光量を光電的に読み取って標識信号を得る。
【0031】
解析制御部5は、画像処理が施された標識信号に対して生化学解析を実行して解析情報を生成し、生成した解析情報をモニタ7に出力するとともに、リアクタ2、検出装置3、画像処理部4、ラック駆動部9および供給部21の制御を行う。また、解析制御部5には、生化学解析用ユニット1のスポット情報(スポット位置や特異的結合物質の種類等)が検査項目に応じて保持されている。
【0032】
メモリ6には、標識信号に対して生化学解析を実行するための解析ロジックを検査項目に応じて複数記憶してなるものである。ここで、生化学解析は、解析対象となるサンプル12のユニット1上のスポットに配置された特異的結合物質との結合数を算出し、例えば下記の式(1)に示す病気の進行度を算出する解析ロジックの演算式に結合数を入力することにより進行度を算出するものである。メモリ6はこの解析ロジックの演算式に用いられる遺伝子の種類および重み係数を検査項目に応じて記憶してなる。
【0033】
ここで、進行度は数値として算出されるが、さらに、数値範囲に応じたA〜Dの記号として進行度が求められる。例えば、進行度の範囲が0〜10、11〜20、21〜30、31〜40の場合のそれぞれに、A,B,C,Dの記号が対応付けられる。そして、特異的結合物質であるDNAに対応する遺伝子の種類と結合数とを対応付けた一覧および進行度が解析情報として生成される。
進行度=k1・a+k2・b+k3・c (1)
a,b,c:遺伝子A,B,Cに対応する特異的結合物質との結合数
k1,k2,k3:重み係数
【0034】
ラック10には、検査項目に応じた複数の生化学解析用ユニット1が設置されている。ラック10は不図示のパルスモータを有するラック駆動部9により図示x方向およびy方向に移動可能とされている。そして、入力手段8から使用する生化学解析用ユニット1の種類が入力されると、解析制御部5によりラック駆動部9の駆動が制御されて、入力された種類の生化学解析用ユニット1が供給ローラ13A,13Bに対向する位置に移動する。そして、ピニオン32Aおよびラック32Bからなる押出部32により、入力された種類の生化学解析用ユニット1が供給ローラ13A,13Bに向けて押し出され、その後供給ローラ13A,13Bによりリアクタ2内に搬送される。これにより、リアクタ2内に生化学解析用ユニット1が配置される。
【0035】
次いで、本実施形態による生化学解析装置の動作について説明する。
【0036】
生化学解析用ユニット1を用いての解析を行うに当たって、まず、オペレータが検査項目の選択および検査を行うサンプル12の指定を入力手段8を用いて行う。これにより、検査項目に応じた生化学解析用ユニット1がラック10から選択されるとともに、指定されたサンプル12がサンプル設置手段11から選択される。さらに、検査項目に応じた解析ロジックがメモリ6から読み出されて解析制御部5に解析ロジックが入力される。
【0037】
選択された生化学解析用ユニット1は、ラック駆動部9、ラック10、押出部32および供給ローラ13A,13Bの駆動により、リアクタ2内に搬送される。続いて、ハイブリ液がリアクタ2内に供給され、さらに不図示のサンプル供給部により、選択されたサンプル12がサンプル設置手段11から取り出されてサンプル注入孔2Cからリアクタ2内に供給され、解析制御部5から送信されたハイブリダイズ条件(投与するサンプルの種類、ハイブリダイズする時間(数時間)等)に基づいて、生化学解析用ユニット1がハイブリダイズされる。
【0038】
ハイブリダイズ後洗浄液がリアクタ2内に供給され、生化学解析用ユニット1が洗浄される。なお、ハイブリダイズ中および洗浄中は、リアクタ2内は50〜70度の比較的高温に温度調整される。
【0039】
続いて、リアクタ2内の温度が25〜40度に温度調整され、酵素標識抗体がリアクタ2内に供給される。酵素標識抗体は生化学解析用ユニット1と約1時間反応される。その後、洗浄液が再度リアクタ2内に供給され、酵素標識抗体が除去される。
【0040】
最後に、化学発光基質がリアクタ2内に供給される、生化学解析用ユニット1が解析制御部5から送信された発光条件(発光時間(例えば約10分)等)に基づいて化学発光基質と接触され、これにより、生化学解析用ユニット1が発光する。発光光はファイバ3Aを介して検出装置3により検出される。具体的には、検出装置3が、生化学解析用ユニット1における化学発光基質の発光した位置および発光量を光電的に読み取り、その結果を表す標識信号を取得する。
【0041】
標識信号は画像処理部4において画像処理が施され、画像処理済みの標識信号が解析制御部5に送信される。
【0042】
解析制御部5は、検出装置3から送信された標識信号により表される検出結果、例えばユニット1上のどのスポットがどれだけ発光したかに基づいて、解析制御部5が保持する検査項目に応じたスポット情報(各スポットにおける特異的結合物質の種類の情報)と対応付け、メモリ6から読み出した解析ロジックに基づいて生化学解析を行い、解析結果を表す解析情報を生成する。以上のようにして解析制御部5により取得された解析情報はモニタ7に表示される。
【0043】
なお、標識信号の取得後、生化学解析用ユニット1はリアクタ2から排出ローラ14A,14Bにより排出され、廃棄部25に廃棄される。
【0044】
このように、本実施形態においては、入力手段8により検査項目の選択およびサンプル12の指定を行うと、検査項目に応じた生化学解析用ユニット1をラック10から選択し、検査項目に応じた解析ロジックをメモリ6から読み出し、指定したサンプル12をサンプル設置手段11から選択する。そして、選択したサンプル12および生化学解析用ユニット1を用いて標識信号を取得し、メモリ6から読み出した解析ロジックに基づく生化学解析を標識信号に施して解析情報を取得するようにしたものである。
【0045】
このため、装置を操作するオペレータは、検査項目に応じた生化学解析用ユニット1を選択したり、解析ロジックを装置に設定したり、サンプル12を選択する必要がなくなり、これにより、オペレータが生化学解析用ユニット1、解析ロジックおよびサンプル12を誤って選択することがなくなる。したがって、誤った解析情報を算出したり、誤った診断を行うことを防止することができる。
【0046】
なお、上記実施形態においては、解析情報をモニタ7に表示しているが、解析情報をプリンタからプリント出力してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による生化学分析装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】本実施形態に用いられる生化学解析用ユニットの基板の構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 生化学検査用ユニット
2 リアクタ
3 検出装置
4 画像処理部
5 解析制御部
6 メモリ
7 モニタ
8 入力手段
10 ラック
11 サンプル設置手段
12 サンプル
21 基板
22 基板主部
23 貫通孔
24 多孔質材料
【発明の属する技術分野】
本発明は、標識物質により標識された生体由来物質を、試験片の基板上の所定位置に複数配置された特異的結合物質と結合させ、これにより生体由来物質の標識物質から放出された標識信号に基づいて生体由来物質の解析を行う生化学解析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体内の遺伝情報はDNA塩基配列として保存されており、遺伝子の発現を解析することは各種疾病の予防、早期診断治療、オーダーメイド医療等に有効である。このような遺伝子の発現を解析するシステムとして、スライドガラスやメンブレンフィルタ、金属等の基板表面の異なる位置に、細胞、ウィルス、抗体、抗原、その他のタンパク質、核酸等、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成等が既知の特異的結合物質をスポッタ装置を用いて滴下して、多数の独立した固定領域(特異的結合物質が固定された領域、以下スポットとも称する)を形成した生化学解析用ユニットを使用し、次いで、細胞、ウィルス、抗体、抗原、その他のタンパク質、核酸等、抽出、単離等によって生体から採取され、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる酵素等の標識物質によって標識された生体由来の物質を、生化学解析用ユニット上の特異的結合物質にハイブリダイズ等の特異的結合反応を利用して結合させ、さらに標識物質を化学発光基質と接触させ、その際放出される化学発光を光電的に検出して遺伝子情報等の生体由来の物質に関する情報を得るようにした生化学検査システムが知られている。
【0003】
このようなシステムによれば、基板表面上の異なる位置に、数多くの特異的結合物質のスポットを高密度に形成して、標識物質によって標識された生体由来の物質をハイブリダイズ等の特異的結合反応を利用して結合させることにより、短時間で生体由来の物質を解析することが可能になるという利点がある。
【0004】
また、上記生化学検査システムにおいて取得された標識信号を所定の解析ロジックに基づいて解析して、検体においてどのような生体由来物質がどの程度発現しているかを表す発現データを取得し、この発現データを解析結果としてモニタに表示あるいはプリント出力する生化学解析装置も提案されている(例えば特許文献1参照)。このような生化学解析装置によれば、検体の生体由来物質がどの特異的結合物質と結合したかを数値として認識することができるため、特に遺伝子の発現の解析に有効である。
【0005】
【特許文献1】
米国特許出願公開第2002/0061534号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記生化学解析装置を用いて解析を行う場合には、検査項目に応じた特異的結合物質が配置された生化学解析用ユニットを装置に設置し、さらには検査項目に応じた解析ロジックを装置に設定することにより、解析情報の取得が行われる。しかしながら、生化学解析用ユニットや解析ロジックの選択はオペレータがマニュアル操作により行っているため、誤った生化学解析用ユニットおよび解析ロジックを選択してしまうおそれがある。このように誤った生化学解析用ユニットや解析ロジックを選択してしまうと、正しい検査を行うことができないばかりか、誤った選択に気がつかずに解析情報を取得してしまい、診断を誤ってしまう可能性もある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、生化学解析用ユニットのような試験片や解析情報取得のための解析ロジックを間違いなく選択できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による生化学解析装置は、基板上の所定の複数位置に互いに異なる複数の既知の特異的結合物質が配置された試験片を、検査項目の種類に応じて複数設置可能な試験片設置手段と、
前記試験片における前記特異的結合物質に、検体の標識物質で標識された生体由来物質を結合させ、該結合させた前記生体由来物質の標識物質から放出される標識信号を取得する検出手段と、
該標識信号に対して所定の解析ロジックに基づく演算を施して、前記検体の解析結果を表す解析情報を取得する解析手段と、
前記検査項目の種類に応じて複数の前記解析ロジックを記憶した解析ロジック記憶手段と、
所望とする検査項目の入力を受け付ける入力手段と、
該入力手段に入力された前記所望とする検査項目に応じた試験片を前記試験片設置手段に設置された複数の試験片から選択するとともに、前記所望とする検査項目に応じた解析ロジックを前記解析ロジック記憶手段から読み出し、該選択された試験片および該読み出された解析ロジックに基づいて、前記標識信号の取得および解析情報の取得を行うよう、前記検出手段および前記解析手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
なお、本発明による生化学解析装置においては、前記複数種類の検体を設置する検体設置手段をさらに備え、
前記入力手段を、前記解析情報を取得する検体の指定を受け付ける手段とし、前記制御手段を、前記入力手段において指定された検体を前記検体設置手段から選択するとともに、該選択された検体を用いて前記標識信号の取得および解析情報の取得を行うよう、前記検出手段および前記解析手段を制御する手段としてもよい。
【0010】
「基板」とは、特異的結合物質を安定に結合、点着できるものであればよく、例えば平板状の基板主部に多数の孔を形成し、この孔に特異的結合物質を固定することができる吸着性材料を配してなるものを用いることができる。なお、基板主部の材質としては、銅、銀、金、亜鉛、鉛、アルミニウム、チタン、スズ、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、タンタル等の金属や、ステンレス鋼、黄銅等の合金、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスを用いることができる。
【0011】
「特異的結合物質」とは、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNA等であって、生体由来物質と特異的に結合可能な物質を意味する。「既知の」とは、特異的結合物質によって異なるが、例えば核酸であればその塩基配列や塩基の長さ等が、タンパク質であればアミノ酸の組成等が分かっていることを意味する。ここで、基板の所定の複数位置に配置される特異的結合物質は、各位置毎に1種類の特異的結合物質が配置されていることを意味する。
【0012】
「生体由来物質」とは、基板上の所定の位置に配置された既知の特異的結合物質と特異的に結合する物質であって、生体から抽出、単離等された物質を意味するが、生体から直接抽出されたものだけでなく、これらを化学処理、化学修飾等したものも含まれる。例えばホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNA等の物質である。
【0013】
「標識物質」とは、生体由来物質から情報を得るためにこれらの一部を改変し、あるいはこれらに直接付加される、目印となる物質を意味する。標識物質は、標識物質から放出される標識信号が検出でき、かつ生体由来物質に取り込まれる規則性が予め分かっているものであれば特に限定されるものではない。例えばCy5、フルオレセインイソチオシアネート等の蛍光色素や32P、33P等の放射性同位体を用いることが好ましい。
【0014】
なお、化学発光用の標識物質としては、ハプテン/抗体の組み合わせの例として、ジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニン抗体、テオフィリン/抗テオフィリン抗体、フルオロセイン/抗フルオロセイン抗体等を用いることができる。また、ハプテン/抗体に代えて、ビオチン/アヴィジンや抗原/抗体等の組み合わせを利用することも可能である。
【0015】
「標識信号」とは、例えば標識物質が蛍光色素である場合には蛍光、標識物質が放射性同位体である場合には放射線のように、標識物質から放出、あるいは出力されるものを光検出器あるいは放射線検出器において検出することにより得られる信号のことをいう。
【0016】
「生体由来物質を特異的結合物質に結合」とは、例えばDNAやRNA等で見られる相補的なヌクレオチド配列の間に安定な二重鎖が形成されるような場合(ハイブリダイゼーション)や、抗原と抗体、ビオチンとアビジン等のように、特定の物質とのみ選択的に反応する極めて特異性の高い結合を意味する。
【0017】
「解析情報」とは、標識信号を解析することにより得られた情報であり、例えば生体由来物質の特定の特異的結合物質への結合量を表す数値、数値を特異的結合物質毎に並べた一覧、およびこれらの値に基づいて解析された遺伝子疾患の進行や治癒の程度を表す数値や記号等を用いることができる。
【0018】
「所定の解析ロジック」とは、標識信号から解析情報を得るためのロジックであり、具体的には標識信号に対して解析情報取得のために施す演算の演算式、演算式に用いるパラメータを解析ロジックとすることができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、入力手段により所望とする検査項目が入力されると、検査項目に応じた試験片が試験片設置手段に設置された複数の試験片から選択されるとともに、検査項目に応じた解析ロジックが解析ロジック記憶手段から読み出される。そして、選択された試験片を用いて検出手段により標識信号が取得され、取得された標識信号に対して読み出された解析ロジックに基づく演算が施されて、検体の解析結果を表す解析情報が取得される。このため、装置を操作するオペレータは、検査項目に応じた試験片を選択したり、解析ロジックを装置に設定する必要がなくなり、これにより、オペレータが試験片および解析ロジックを誤って選択することがなくなる。したがって、誤った解析情報を算出したり、誤った診断を行うことを防止することができる。
【0020】
また、請求項2の発明によれば、入力手段により解析情報を取得する検体の指定が受け付けられると、指定された検体が検体設置手段から選択される。そして、選択された検体を用いて標識信号の取得および解析情報の取得が行われる。このため、装置を操作するオペレータは、検査項目と検体との対応付けを誤ることがなくなり、これにより、誤った解析情報の算出を防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態による生化学解析装置の構成を示す概略ブロック図、図2は本実施形態に用いられる生化学解析用ユニットの基板の構成を示す斜視図である。
【0022】
図2に示すように、本実施形態に用いられる生化学解析用ユニットの基板21は、光を減衰させる性質を有するアルミニウム等の金属板(基板主部)22に多数の略円形の貫通孔23が高密度に形成され、これらの多数の貫通孔23の内部に酢酸セルロース等の多孔質材料24が充填されてなるものである。
【0023】
このような生化学解析用ユニット1に対しては、各種検査項目に応じた特異的結合物質がそれぞれの貫通孔23の多孔質材料24に滴下されてスポット(特異的結合物質が固定されているスポット状の固定領域)が形成される。ここで、滴下は先が割れたスポットピンが使用される。スポットピンはその先端部にμLオーダーの特異的結合物質の液を保有している。そして、スポットピンの先端が多孔質材料24に接触すると、多孔質材料24が吸収可能な量の特異的結合物質によりスポットが形成される。これにより、各スポットは一定量の特異的結合物質を有するものとなる。特異的結合物質の滴下後、紫外線を十分照射することにより、特異的結合物質が多孔質材料24に固定される。
【0024】
図1に示すように、本実施形態による生化学解析装置は、各種検査項目に応じた特異的結合物質がそれぞれの貫通孔23の多孔質材料24に滴下されて形成されたスポットを有する生化学解析用ユニット1を検査項目毎に複数設置するラック10と、検査対象となる複数の検体から採取した、化学発光基質と接触させることにより化学発光を生じさせる標識物質により標識された解析対象となるサンプル12(生体由来の物質)を複数設置するサンプル設置手段11と、ラック10に設置された複数の生化学解析用ユニットから検査項目に応じて選択された生化学解析用ユニット1に、サンプル設置手段11から選択されたサンプル12を投与し、生化学解析用ユニット1のスポットを形成する特異的結合物質と選択的に結合させて標識する(ハイブリダイズする)とともに、ハイブリダイズされた生化学解析用ユニット1に化学発光基質を接触させることにより化学発光を発生させるリアクタ2と、発せられた化学発光を光電的に読み取って検出結果を表す標識信号を出力する検出装置3と、検出装置3から出力された標識信号に対して画像処理を施す画像処理部4と、リアクタ2にハイブリダイズ条件および発光条件を、検出装置3に検出条件をそれぞれ入力するとともに、後述する入力手段8においてオペレータにより入力された検査項目に対応する解析ロジックを、検査項目に応じて複数の解析ロジックを記憶したメモリ6から読み出し、読み出された解析ロジックに基づいて、画像処理が施された標識信号に対して生化学解析を実行して解析情報を生成し、生成した解析情報をモニタ7に出力する解析制御部5と、検査項目、サンプルの種類等種々の情報を入力するキーボードおよびマウスからなる入力手段8と、ラック10に設置された生化学解析用ユニット1をリアクタ2に送り出すためにラックを駆動するラック駆動部9とを備える。
【0025】
また、本実施形態においては、特異的結合物質として特定の疾病に発現する遺伝子のDNAを用いるものとする。
【0026】
リアクタ2は、上側容器2Aおよび下側容器2Bからなり、上側容器2Aおよび下側容器2Bにより生化学解析用ユニット1を挟持することにより中空の容器を形成する。リアクタ2は一定温度となるように不図示のペルチェ素子等により温度制御されている。また、上側容器2Aにはサンプル注入孔2Cが形成されており、サンプル12がここからリアクタ2内に注入される。
【0027】
また、リアクタ2にはハイブリダイズ液、洗浄液、酵素標識抗体および化学発光基質をリアクタ2内に供給するための供給部21および廃液を保持する廃液タンク31が接続されている。
【0028】
供給部21には、ハイブリダイズ液、洗浄液、酵素標識抗体および化学発光基質をリアクタ2内に供給するためのポンプ22、ハイブリ液を保持および供給するハイブリ液保持部23A、洗浄液を保持および供給する洗浄液保持部23B、酵素標識抗体を保持および供給する抗体保持部23Cおよび化学発光基質を保持および供給する化学発光基質保持部23Dを備える。ハイブリ液保持部23A、洗浄液保持部23B、抗体保持部23Cおよび化学発光基質保持部23Dには、弁24A〜24Dが接続されており、ハイブリダイズ液、洗浄液、酵素標識抗体および化学発光基質が選択的にリアクタ2内に供給されるように、弁24A〜24Dが解析制御部5により切り替えられる。
【0029】
なお、ラック10からリアクタ2への生化学解析用ユニット1の供給は2対の供給ローラ13A,13Bにより行われる。使用済みの生化学解析用ユニット1のリアクタ2からの排出は、2対の排出ローラ14A,14Bにより行われる。
使用済みの生化学解析用ユニット1は排出ローラ14A,14Bにより廃棄部25に搬送され、ここに廃棄される。供給ローラ13A,13Bおよび排出ローラ14A,14Bの駆動は解析制御部5により行われる。
【0030】
検出装置3は冷却CCDからなり、リアクタ2の下側容器2Bに接続されたファイバ3Aを介してリアクタ2内の生化学解析用ユニット1における化学発光基質の発光した位置および発光量を光電的に読み取って標識信号を得る。
【0031】
解析制御部5は、画像処理が施された標識信号に対して生化学解析を実行して解析情報を生成し、生成した解析情報をモニタ7に出力するとともに、リアクタ2、検出装置3、画像処理部4、ラック駆動部9および供給部21の制御を行う。また、解析制御部5には、生化学解析用ユニット1のスポット情報(スポット位置や特異的結合物質の種類等)が検査項目に応じて保持されている。
【0032】
メモリ6には、標識信号に対して生化学解析を実行するための解析ロジックを検査項目に応じて複数記憶してなるものである。ここで、生化学解析は、解析対象となるサンプル12のユニット1上のスポットに配置された特異的結合物質との結合数を算出し、例えば下記の式(1)に示す病気の進行度を算出する解析ロジックの演算式に結合数を入力することにより進行度を算出するものである。メモリ6はこの解析ロジックの演算式に用いられる遺伝子の種類および重み係数を検査項目に応じて記憶してなる。
【0033】
ここで、進行度は数値として算出されるが、さらに、数値範囲に応じたA〜Dの記号として進行度が求められる。例えば、進行度の範囲が0〜10、11〜20、21〜30、31〜40の場合のそれぞれに、A,B,C,Dの記号が対応付けられる。そして、特異的結合物質であるDNAに対応する遺伝子の種類と結合数とを対応付けた一覧および進行度が解析情報として生成される。
進行度=k1・a+k2・b+k3・c (1)
a,b,c:遺伝子A,B,Cに対応する特異的結合物質との結合数
k1,k2,k3:重み係数
【0034】
ラック10には、検査項目に応じた複数の生化学解析用ユニット1が設置されている。ラック10は不図示のパルスモータを有するラック駆動部9により図示x方向およびy方向に移動可能とされている。そして、入力手段8から使用する生化学解析用ユニット1の種類が入力されると、解析制御部5によりラック駆動部9の駆動が制御されて、入力された種類の生化学解析用ユニット1が供給ローラ13A,13Bに対向する位置に移動する。そして、ピニオン32Aおよびラック32Bからなる押出部32により、入力された種類の生化学解析用ユニット1が供給ローラ13A,13Bに向けて押し出され、その後供給ローラ13A,13Bによりリアクタ2内に搬送される。これにより、リアクタ2内に生化学解析用ユニット1が配置される。
【0035】
次いで、本実施形態による生化学解析装置の動作について説明する。
【0036】
生化学解析用ユニット1を用いての解析を行うに当たって、まず、オペレータが検査項目の選択および検査を行うサンプル12の指定を入力手段8を用いて行う。これにより、検査項目に応じた生化学解析用ユニット1がラック10から選択されるとともに、指定されたサンプル12がサンプル設置手段11から選択される。さらに、検査項目に応じた解析ロジックがメモリ6から読み出されて解析制御部5に解析ロジックが入力される。
【0037】
選択された生化学解析用ユニット1は、ラック駆動部9、ラック10、押出部32および供給ローラ13A,13Bの駆動により、リアクタ2内に搬送される。続いて、ハイブリ液がリアクタ2内に供給され、さらに不図示のサンプル供給部により、選択されたサンプル12がサンプル設置手段11から取り出されてサンプル注入孔2Cからリアクタ2内に供給され、解析制御部5から送信されたハイブリダイズ条件(投与するサンプルの種類、ハイブリダイズする時間(数時間)等)に基づいて、生化学解析用ユニット1がハイブリダイズされる。
【0038】
ハイブリダイズ後洗浄液がリアクタ2内に供給され、生化学解析用ユニット1が洗浄される。なお、ハイブリダイズ中および洗浄中は、リアクタ2内は50〜70度の比較的高温に温度調整される。
【0039】
続いて、リアクタ2内の温度が25〜40度に温度調整され、酵素標識抗体がリアクタ2内に供給される。酵素標識抗体は生化学解析用ユニット1と約1時間反応される。その後、洗浄液が再度リアクタ2内に供給され、酵素標識抗体が除去される。
【0040】
最後に、化学発光基質がリアクタ2内に供給される、生化学解析用ユニット1が解析制御部5から送信された発光条件(発光時間(例えば約10分)等)に基づいて化学発光基質と接触され、これにより、生化学解析用ユニット1が発光する。発光光はファイバ3Aを介して検出装置3により検出される。具体的には、検出装置3が、生化学解析用ユニット1における化学発光基質の発光した位置および発光量を光電的に読み取り、その結果を表す標識信号を取得する。
【0041】
標識信号は画像処理部4において画像処理が施され、画像処理済みの標識信号が解析制御部5に送信される。
【0042】
解析制御部5は、検出装置3から送信された標識信号により表される検出結果、例えばユニット1上のどのスポットがどれだけ発光したかに基づいて、解析制御部5が保持する検査項目に応じたスポット情報(各スポットにおける特異的結合物質の種類の情報)と対応付け、メモリ6から読み出した解析ロジックに基づいて生化学解析を行い、解析結果を表す解析情報を生成する。以上のようにして解析制御部5により取得された解析情報はモニタ7に表示される。
【0043】
なお、標識信号の取得後、生化学解析用ユニット1はリアクタ2から排出ローラ14A,14Bにより排出され、廃棄部25に廃棄される。
【0044】
このように、本実施形態においては、入力手段8により検査項目の選択およびサンプル12の指定を行うと、検査項目に応じた生化学解析用ユニット1をラック10から選択し、検査項目に応じた解析ロジックをメモリ6から読み出し、指定したサンプル12をサンプル設置手段11から選択する。そして、選択したサンプル12および生化学解析用ユニット1を用いて標識信号を取得し、メモリ6から読み出した解析ロジックに基づく生化学解析を標識信号に施して解析情報を取得するようにしたものである。
【0045】
このため、装置を操作するオペレータは、検査項目に応じた生化学解析用ユニット1を選択したり、解析ロジックを装置に設定したり、サンプル12を選択する必要がなくなり、これにより、オペレータが生化学解析用ユニット1、解析ロジックおよびサンプル12を誤って選択することがなくなる。したがって、誤った解析情報を算出したり、誤った診断を行うことを防止することができる。
【0046】
なお、上記実施形態においては、解析情報をモニタ7に表示しているが、解析情報をプリンタからプリント出力してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による生化学分析装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】本実施形態に用いられる生化学解析用ユニットの基板の構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 生化学検査用ユニット
2 リアクタ
3 検出装置
4 画像処理部
5 解析制御部
6 メモリ
7 モニタ
8 入力手段
10 ラック
11 サンプル設置手段
12 サンプル
21 基板
22 基板主部
23 貫通孔
24 多孔質材料
Claims (2)
- 基板上の所定の複数位置に互いに異なる複数の既知の特異的結合物質が配置された試験片を、検査項目の種類に応じて複数設置可能な試験片設置手段と、
前記試験片における前記特異的結合物質に、検体の標識物質で標識された生体由来物質を結合させ、該結合させた前記生体由来物質の標識物質から放出される標識信号を取得する検出手段と、
該標識信号に対して所定の解析ロジックに基づく演算を施して、前記検体の解析結果を表す解析情報を取得する解析手段と、
前記検査項目の種類に応じて複数の前記解析ロジックを記憶した解析ロジック記憶手段と、
所望とする検査項目の入力を受け付ける入力手段と、
該入力手段に入力された前記所望とする検査項目に応じた試験片を前記試験片設置手段に設置された複数の試験片から選択するとともに、前記所望とする検査項目に応じた解析ロジックを前記解析ロジック記憶手段から読み出し、該選択された試験片および該読み出された解析ロジックに基づいて、前記標識信号の取得および解析情報の取得を行うよう、前記検出手段および前記解析手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする生化学解析装置。 - 前記複数種類の検体を設置する検体設置手段をさらに備え、前記入力手段は、前記解析情報を取得する検体の指定を受け付ける手段であり、
前記制御手段は、前記入力手段において指定された検体を前記検体設置手段から選択するとともに、該選択された検体を用いて前記標識信号の取得および解析情報の取得を行うよう、前記検出手段および前記解析手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1記載の生化学解析装置。
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