JP2004117145A - 温度計測方法および感熱シート - Google Patents
温度計測方法および感熱シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004117145A JP2004117145A JP2002280606A JP2002280606A JP2004117145A JP 2004117145 A JP2004117145 A JP 2004117145A JP 2002280606 A JP2002280606 A JP 2002280606A JP 2002280606 A JP2002280606 A JP 2002280606A JP 2004117145 A JP2004117145 A JP 2004117145A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat
- temperature
- sensitive sheet
- concentration
- hot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Measuring Temperature Or Quantity Of Heat (AREA)
Abstract
【課題】熱プレス面の全範囲において連続した温度分布を局所的な影響を与えずに計測する温度計測方法と、その計測に用いる感熱シートを提供する。
【解決手段】加工対象物品またはその材料中に感熱シートを重ね、対向する熱プレス面の間に供給し、熱プレスを行う熱プレス過程と、熱プレスを行った後の感熱シートにおける計測個所の濃度を計測する濃度計測過程と、計測した濃度に基づいて熱プレスの加熱温度を演算する温度演算過程とを有する温度計測方法。また加熱により変化する濃度に基づいて加熱温度を特定することができるようにした感熱シート。
【選択図】 図1
【解決手段】加工対象物品またはその材料中に感熱シートを重ね、対向する熱プレス面の間に供給し、熱プレスを行う熱プレス過程と、熱プレスを行った後の感熱シートにおける計測個所の濃度を計測する濃度計測過程と、計測した濃度に基づいて熱プレスの加熱温度を演算する温度演算過程とを有する温度計測方法。また加熱により変化する濃度に基づいて加熱温度を特定することができるようにした感熱シート。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は温度を計測する技術分野に属する。特に熱プレスにおける温度分布を計測するための温度計測方法と、その温度計測に用いる感熱シートに関する。
【0002】
【従来技術】
シートの貼り合せや、フィルムにコーティングした転写層の熱転写を目的とする熱プレスが行なわれている。製品の品質を向上させ、生産に要するタクトタイムを短縮させるためには、熱プレス面における温度とその分布が適正値となるように管理することが重要である。そのためには、実体温度の計測を必要とする。従来は、シートや板部材に多数の熱電対、測温抵抗体、サーミスタ等を配置し擬似面温度センサとしたものを熱プレス面に挟んで温度計測する方法が行なわれている(たとえば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−52666号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この擬似面温度センサでは、熱電対や測温抵抗体を配置した部位とその他の部位とにおいて機械的、物理的な特性が不一致となる。その影響が熱プレスを行った状態において顕われ、本来の実体としての温度分布を計測することを困難にしている。また、擬似面温度センサは、計測個所を多数とし分散させたとしても原理的に各点の計測である。そのため、広い熱プレス面の温度を計測するときには重要な計測個所が外れがちである。また、内挿による温度の推定値では精度が十分でないことがある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものである。その目的は、熱プレス面の全範囲において連続した温度分布を局所的な影響を与えずに計測する温度計測方法と、その計測に用いる感熱シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は下記の本発明によって解決される。すなわち、
本発明の請求項1に係る温度計測方法は、加工対象物品またはその材料中に感熱シートを重ね、対向する熱プレス面の間に供給し、熱プレスを行う熱プレス過程と、前記熱プレスを行った後の感熱シートにおける計測個所の濃度を計測する濃度計測過程と、前記計測した濃度に基づいて前記熱プレスの加熱温度を演算する温度演算過程とを有するようにしたものである。
【0007】
本発明によれば、熱プレス過程において加工対象物品またはその材料とが重ねられ対向する熱プレス面の間に供給され熱プレスが行われ、濃度計測過程において熱プレスを行った後の感熱シートにおける計測個所の濃度が計測され、温度演算過程において計測した濃度に基づいて熱プレスの加熱温度が演算される。温度計測に使用される感熱シートは全面において均一な機械的、物理的特性を有する。したがって、熱プレス面の全範囲において連続した温度分布を局所的な影響を与えずに計測する温度計測方法が提供される。
【0008】
また本発明の請求項2に係る温度計測方法は、請求項1に係る温度計測方法において、前記感熱シートは前記熱プレスを行う条件に応じて複数種類の内から適正なものを選択するようにしたものである。本発明によれば、加熱温度、プレス圧力、加工対象物品の特性、等の条件に応じて複数種類の内から適正な感熱シートが選択される。したがって、加工対象物品、等に対する悪影響をなくし、高い精度で温度計測が行なわれる。
【0009】
また本発明の請求項3に係る温度計測方法は、請求項1または2に係る温度計測方法において、前記濃度計測は光学的反射濃度計を使用して行うようにしたものである。本発明によれば、感熱シートの濃度計測は光学的反射濃度計により行なわれる。
【0010】
また本発明の請求項4に係る温度計測方法は、請求項1または2に係る温度計測方法において、前記濃度計測はフラットベッドスキャナーにより前記感熱シートを走査して得た画像に基づいて行なわれるようにしたものである。本発明によれば、感熱シートの画像から位置分解能の高い温度分布画像を導出することができる。
【0011】
また本発明の請求項5に係る温度計測方法は、請求項1〜4のいずれかに係る温度計測方法において、前記温度演算過程は濃度と加熱温度との関係を記述したルックアップテーブルを参照して行なわれるようにしたものである。本発明によれば、ルックアップテーブルを参照して濃度から加熱温度が演算される。熱プレスを行う条件や特定種類の感熱シートに応じたルックアップテーブルを、実験データに基づいて作製することができる。
【0012】
また本発明の請求項6に係る温度計測方法は、請求項1〜5のいずれかに係る温度計測方法において、前記演算した加熱温度を温度パターンとして表示する表示過程を有するようにしたものである。本発明によれば、温度分布が視覚化される。
【0013】
また本発明の請求項7に係る感熱シートは、加熱により変化する濃度に基づいて加熱温度を特定することができるようにしたものである。本発明によれば、感熱シートの濃度から加熱温度を特定することができる。
【0014】
また本発明の請求項8に係る感熱シートは、請求項7に係る感熱シートにおいて、前記濃度と前記加熱温度との関係が線型であるようにしたものである。本発明によれば、濃度と加熱温度との関係が線型である。
【0015】
また本発明の請求項9に係る感熱シートは、請求項7または8に係る感熱シートにおいて、熱プレスにおける要求を満たす厚さの均一性を有するようにしたものである。本発明によれば、感熱シートを重ねて使用しても加工済物品における厚さの均一性が得られる。
【0016】
また本発明の請求項10に係る感熱シートは、請求項7〜9のいずれかに係る感熱シートにおいて、熱容量が小さく耐熱性を有するようにしたものである。本発明によれば、熱プレスと感熱シートの相互間における熱的影響が小さい。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について実施の形態を説明する。本発明の温度計測方法は、熱プレス過程と、濃度計測過程と、温度演算過程と、表示過程を含んでいる。熱プレス過程は、加工対象物品またはその材料中に感熱シートを重ね、対向する熱プレス面の間に供給し、熱プレスを行う過程である。また、濃度計測過程は熱プレスを行った後の感熱シートにおける計測個所の濃度を計測する過程である。また、温度演算過程は、計測した濃度に基づいて前記熱プレスの加熱温度を演算する過程である。表示過程は、演算した加熱温度を温度パターンとして表示する過程である。
【0018】
まず、本発明の温度計測方法において熱プレスを行うときの構成について図1を参照して説明する。図1は熱プレスにおける加圧加熱部と加工対象とを示す側面図である。図1において、1は感熱シート、11は上部熱板、12は下部熱板、100は加工対象物品である。
感熱シート1は、温度計測に使用するシートであり、加熱により発色し濃度が変化し、その濃度に基づいて加熱温度を特定することができるシートである。感熱シート1については詳細を後述する。
【0019】
上部熱板11と下部熱板12は、加工対象物品に対する加圧と加熱を行う熱プレスにおける作用部分である。上部熱板11の下面と下部熱板12の上面のことを熱プレス面と呼ぶ。通常は、上部熱板11は油圧シリンダー等により移動することができ、下部熱板12は熱プレスのフレームに固定されている。加工対象物品に対する加圧は、熱プレス面の間隙を狭め加工対象物品に直接、または感熱シート1、プレス板、鏡面板等を介在させて接触させることによって行なわれる。本発明の温度計測方法を実施するときには、感熱シート1を必ず介在させる。加圧の圧力は、油圧を圧力調節弁等により調節することにより行なわれる。
【0020】
移動上部熱板11と下部熱板12の各々の内部には電気ヒータ(図示せず)が内蔵されており、熱プレス面の加熱は、その電気ヒータの発熱によって行なわれる。熱プレス面の加熱は、電気ヒータに限定されず、オイルヒータ、スチームヒータ等を使用してもよい。加工対象物品に対する加熱は、加工対象物品に直接または感熱シート1、プレス板、鏡面板等を介在させて接触させたときに起きる熱伝導によって行なわれる。加熱の温度は、電気ヒータとともに内蔵されている熱電対(図示せず)の検出温度が設定温度となるように温度コントローラ(図示せず)によって制御が行なわれる。
【0021】
熱プレス面の冷却は、自然冷却(除冷)または強制冷却(急冷)による。たとえば、移動上部熱板11と下部熱板12の各々の内部には冷却水の配管(図示せず)が内蔵されており、強制冷却はその冷却水の配管に冷却水を流すことによって行なわれる。
【0022】
加工対象物品100は、シートとシートの貼り合せ、フィルムにコーティングした転写層の熱転写、等のための材料である。具体的には、たとえば、プラスチックカード、ICカード、ICタグ、製袋(一般、BIB)、多層プリント配線基板、箔押、エンボス加工、等である。本発明においては、加工対象物品は平らな物品であればよく特に限定はない。
【0023】
上述の構成において、本発明の温度計測方法を適用した熱プレスを行うときの動作について一例を説明する。
あらかじめ、熱プレス面を所定の温度に上昇させておく。上下の熱プレス面は間隙を開けた位置、すなわち退避位置となっている。
次に、加工対象物品100を感熱シート1と重ねて、上下の熱プレス面の間隙に供給する。図1に示すように、上部熱板11、感熱シート1、加工対象物品100、下部熱板12が、その順番で層を成すように配列する。感熱シート1は熱プレスを行う条件、たとえば温度範囲、厚さ、表面物性(非接着性)、等に応じて複数種類の内から適正なものを選択して使用する。
なお、感熱シートは加工対象物品100の内部、たとえば2つの材料シートの間でもよく、測定したい場所に配置することができる。
【0024】
次に、油圧シリンダーを動作させ、上下の熱プレス面の間隙を狭めて行く。上の熱プレス面、感熱シート1、加工対象物品100、下の熱プレス面が、密着すると油圧が高まり、所定の圧力となったところで油圧シリンダーの動作は停止する。感熱シート1と加工対象物品100は、所定の圧力で加圧が行なわれ、また上下の熱プレス面からの熱伝導により所定の温度で加熱が行なわれる。
【0025】
次に、その状態で所定の時間が経過すると、再び油圧シリンダーを動作させ、上下の熱プレス面の間隙を広げて行き退避位置で油圧シリンダーの動作を停止する。
次に、上下の熱プレス面の間隙から感熱シート1と加工対象物品100とを取り出す。
【0026】
以上の熱プレス過程によって、加工対象物品100とともに加熱が行なわれた結果、感熱シート1は加熱により変化する濃度で発色している。図2は熱プレス過程によって加熱が行なわれた感熱シート1の一例を示す図である。図2に示すように、発色範囲の形状は、加圧加熱面の形状すなわち熱プレス面または加工対象物品100の形状と同様であり、発色の濃度の分布は、加圧加熱面すなわち熱プレス面の加熱温度の分布に対応したものとなる。
【0027】
次に、本発明の温度計測方法において、熱プレスを行った後の感熱シート1における計測個所の濃度を計測する過程、すなわち温度計測過程について説明する。濃度計測は光学的反射濃度計を使用して行うことができる。光学的反射濃度計は、基準の反射率との比を10を底とする対数で表し正負符号を逆とした値として計測値、すなわち濃度を出力する。すなわち、計測対象の反射率R、基準の反射率R0とすると濃度DはD=−Log(R/R0)である。基準としては、たとえば計測対象の白色(非発色)の部分、校正用の白色板、等が用いられる。
【0028】
絶対的な温度としては特定の計測個所だけでよく、温度分布の状態は感熱シート1における濃度分布で判る範囲でよいときには、高い精度で濃度を計測できる光学的反射濃度計が適する。しかし、計測個所を大幅に増やして温度分布そのものとして計測したいときには、スポット計測の光学的反射濃度計は手間が掛かり過ぎるため適当ではない。
【0029】
濃度計測はフラットベッドスキャナーにより感熱シート1を走査して得た画像に基づいて行なうことができる。画像における画素の各々について画素値を濃度に換算すると温度分布そのものを得ることができる。
【0030】
ただし、通常のフラットベッドスキャナーを計測器として使用するときには、計測精度が得られるようにする工夫が必要である。たとえば、濃度が既知のシート(感熱シート1でもよい)を走査して基準画像を得ておき、その基準画像に基づいて画素値と濃度との関係の校正、走査領域におけるムラの補正、等を行うとよい。また、フラットベッドスキャナーによっては光源の発光効率が経時的に変化することも考慮する必要がある。したがって、▲1▼常に所定の走査手順どおりの走査するようにする、▲2▼感熱シート1を走査するときに濃度スケールも一緒に走査するようにする、等により経時的な変化の影響を排除するようにしてもよい。
【0031】
次に、本発明の温度計測方法において、計測した濃度に基づいて熱プレスの加熱温度を演算する過程、すなわち温度演算過程について説明する。濃度と加熱温度との関係は、通常は、実験を行なって得るようにする。複数種類の感熱シートについては、その各々について実験を行なって濃度と加熱温度との関係を得るようにする。ロットによるバラツキ、経時的な変化が予測されるときにはそれらも考慮して濃度と加熱温度との関係を得るようにする。
【0032】
得られた濃度と加熱温度との関係は、スプライン等の補間関数とするか、ルックアップテーブルとして記述しておく。温度演算過程は、濃度と加熱温度との関係をそのようにして記述したスプライン等の補間関数またはルックアップテーブルを参照して行なう。実験値に基づくルックアップテーブルにおいては、とびとびの濃度と加熱温度との関係が記述されているに過ぎない。ルックアップテーブルに存在しない濃度については、周知の補間法を適用して対応する加熱温度を得るようにする。
【0033】
濃度と加熱温度との関係について図3に示す一例を参照して説明する。図3は濃度と加熱温度との関係を縦軸が濃度で横軸が温度のグラフとして示す図である。図3に示すように、グラフは単調増加関数(一次微分の値が常に正)の形状を有する。たとえば、計測個所の濃度DがD=0.88であると、縦軸の0.88の点から横軸に平行に延長した直線がグラフと交わる点を求める。次に、グラフのその点から縦軸に平行に延長した直線が横軸と交わる点を求める。その横軸の点の温度131度(℃)が加熱温度である。
【0034】
計測個所のすべてについてその濃度から加熱温度を演算する。また、フラットベッドスキャナーにより感熱シート1を走査して得た画像に基づいて加熱温度を演算するときには、画像の全範囲または所定の範囲について加熱温度を演算する。このように演算した加熱温度は、温度計測方法における表示過程において、温度パターンとしてCRTディスプレイやLCDに表示する。この表示において加熱温度に応じて温度パターンの色分けを行うことで状況を正確に把握することができる。
【0035】
以上、温度計測方法について説明した。次に、本発明の温度計測方法において使用する本発明の感熱シートについて説明する。本発明の感熱シートは、加熱により変化する濃度に基づいて加熱温度を特定することができるようにしたものである。濃度の変化が加熱温度によってだけ一意的に決まるような感熱シートは理想的である。しかし、加熱温度だけでなく、トータルとしての熱量すなわち時間にも依存するような感熱シートであっても、温度計測に使用することができる。すなわち、熱プレス過程における、圧力、時間、等の条件を所定の範囲内で一定とすることで、実質的に濃度が加熱温度だけに依存するようにできる。
【0036】
また感熱シートは、濃度と加熱温度との関係が線型であるようにしたものが好適である。濃度と加熱温度との関係が線型であれば、スプライン等の補間関数が複雑化しないで済む。また、補間法の適用も容易である。また線型の範囲において均等な計測精度を得ることができる。
【0037】
また感熱シートは、熱プレスにおける要求を満たす厚さの均一性を有するようにしたものが好適である。厚さの均一性を有することにより、感熱シートを重ねて使用しても加工済物品における厚さの均一性が得られる。すなわち、加工済物品の品質を悪化させることがないから、製品を作製する熱プレス工程において、感熱シートを使用する加熱温度の管理を適用することができる。
【0038】
また感熱シートは、熱容量が小さく耐熱性を有するようにしたものが好適である。熱容量が小さく耐熱性を有することにより、熱プレスと感熱シートの相互間における熱的影響が小さいなる。そのためには感熱シートの基材として、薄く耐熱性を有するプラスチックフィルム、紙、等を使用する。熱容量を小さくすることにより、熱プレス工程において感熱シートを使用するときと、使用しないときの差異を実質的に無くすことができる。また、感熱シートにおいて、熱と圧が加わる条件下においては変質変形を起こさない耐熱性が重要である。
【0039】
以上のような感熱シートは、サーマルヘッド記録材料、その他の感熱記録材料、サーモラベル、等の周知の技術を適用し、その内においても本発明の感熱シートとしての適正が得られるように限定すること、新たな構成を組合せること、等により得ることができる。
【0040】
感熱シートは、たとえば特開平9−95056号公報、等に記載されているように、基材フィルム上に感熱色素、顕色材、増感材、樹脂バインダー、必要に応じ、体質顔料、滑剤等からなる感熱発色層を設けることによって得られる。基材としては、厚さ10〜20μm程度のコンデンサ紙やパラフィン紙のような紙、あるいは厚さ2〜20μm程度のポリエステルやセロファンのようなプラスチックフィルムを用いることができる。
【0041】
また、感熱色素としては、ロイコ染料が適しており、このロイコ染料は単独または2種類以上混合して使用される。このようなロイコ染料としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノジアン系、チオフェルオラル系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等が使用される。
【0042】
また、顕色材としては、フェノール系化合物、チオフェノール系化合物、チオ尿素誘導体、有機酸およびその金属塩等が使用される。また、発色感度を向上させるため、増感剤を併用させることができる。例えば、ステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルビフェニン等が用いられる。
【0043】
また、体質顔料としては、タルク、シリカ、クレー、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カオリン、マグネシウム等が使用できる。
また、滑剤としては、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等のワックス、高級脂肪酸のアミド、エステル、もしくは塩、高級アルコールまたはレシチンで代表されるリン酸エステルを用いることができる。
【0044】
また、樹脂バインダーとしては、キシレン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、テルペン樹脂、ビニルトルエン/ブタジエン共重合体樹脂等の油溶性樹脂や、ポリビニルアルコール樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ゼラチン、アラビアゴム等の水溶性樹脂を使用することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のとおりであるから、本発明の請求項1に係る温度計測方法によれば、熱プレス面の全範囲において連続した温度分布を局所的な影響を与えずに計測する温度計測方法が提供される。
また本発明の請求項2に係る温度計測方法によれば、適正な感熱シートの選択により、加工対象物品、等に対する悪影響をなくし、高い精度で温度計測が行なわれる。
また本発明の請求項3に係る温度計測方法によれば、感熱シートの濃度計測は光学的反射濃度計により行なわれる。
また本発明の請求項4に係る温度計測方法によれば、フラットベッドスキャナーで走査した感熱シートの画像から位置分解能の高い温度分布画像を導出することができる。
また本発明の請求項5に係る温度計測方法によれば、ルックアップテーブルを参照して濃度から加熱温度が演算される。
また本発明の請求項6に係る温度計測方法によれば、表示により温度分布が視覚化される。
また本発明の請求項7に係る感熱シートによれば、感熱シートの濃度から加熱温度を特定することができる。
また本発明の請求項8に係る感熱シートによれば、濃度と加熱温度との関係が線型である。
また本発明の請求項9に係る感熱シートによれば、感熱シートを重ねて使用しても加工済物品における厚さの均一性が得られる。
また本発明の請求項10に係る感熱シートによれば、熱プレスと感熱シートの相互間における熱的影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温度計測方法において熱プレスを行うときの構成について一例を示す図である。
【図2】熱プレス過程によって加熱が行なわれた感熱シートの一例を示す図である。
【図3】濃度と加熱温度との関係を縦軸が濃度で横軸が温度のグラフとして示す図である。
【符号の説明】
1 感熱シート
11 上部熱板
12 下部熱板
100 加工対象物品
【発明の属する技術分野】
本発明は温度を計測する技術分野に属する。特に熱プレスにおける温度分布を計測するための温度計測方法と、その温度計測に用いる感熱シートに関する。
【0002】
【従来技術】
シートの貼り合せや、フィルムにコーティングした転写層の熱転写を目的とする熱プレスが行なわれている。製品の品質を向上させ、生産に要するタクトタイムを短縮させるためには、熱プレス面における温度とその分布が適正値となるように管理することが重要である。そのためには、実体温度の計測を必要とする。従来は、シートや板部材に多数の熱電対、測温抵抗体、サーミスタ等を配置し擬似面温度センサとしたものを熱プレス面に挟んで温度計測する方法が行なわれている(たとえば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−52666号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この擬似面温度センサでは、熱電対や測温抵抗体を配置した部位とその他の部位とにおいて機械的、物理的な特性が不一致となる。その影響が熱プレスを行った状態において顕われ、本来の実体としての温度分布を計測することを困難にしている。また、擬似面温度センサは、計測個所を多数とし分散させたとしても原理的に各点の計測である。そのため、広い熱プレス面の温度を計測するときには重要な計測個所が外れがちである。また、内挿による温度の推定値では精度が十分でないことがある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものである。その目的は、熱プレス面の全範囲において連続した温度分布を局所的な影響を与えずに計測する温度計測方法と、その計測に用いる感熱シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は下記の本発明によって解決される。すなわち、
本発明の請求項1に係る温度計測方法は、加工対象物品またはその材料中に感熱シートを重ね、対向する熱プレス面の間に供給し、熱プレスを行う熱プレス過程と、前記熱プレスを行った後の感熱シートにおける計測個所の濃度を計測する濃度計測過程と、前記計測した濃度に基づいて前記熱プレスの加熱温度を演算する温度演算過程とを有するようにしたものである。
【0007】
本発明によれば、熱プレス過程において加工対象物品またはその材料とが重ねられ対向する熱プレス面の間に供給され熱プレスが行われ、濃度計測過程において熱プレスを行った後の感熱シートにおける計測個所の濃度が計測され、温度演算過程において計測した濃度に基づいて熱プレスの加熱温度が演算される。温度計測に使用される感熱シートは全面において均一な機械的、物理的特性を有する。したがって、熱プレス面の全範囲において連続した温度分布を局所的な影響を与えずに計測する温度計測方法が提供される。
【0008】
また本発明の請求項2に係る温度計測方法は、請求項1に係る温度計測方法において、前記感熱シートは前記熱プレスを行う条件に応じて複数種類の内から適正なものを選択するようにしたものである。本発明によれば、加熱温度、プレス圧力、加工対象物品の特性、等の条件に応じて複数種類の内から適正な感熱シートが選択される。したがって、加工対象物品、等に対する悪影響をなくし、高い精度で温度計測が行なわれる。
【0009】
また本発明の請求項3に係る温度計測方法は、請求項1または2に係る温度計測方法において、前記濃度計測は光学的反射濃度計を使用して行うようにしたものである。本発明によれば、感熱シートの濃度計測は光学的反射濃度計により行なわれる。
【0010】
また本発明の請求項4に係る温度計測方法は、請求項1または2に係る温度計測方法において、前記濃度計測はフラットベッドスキャナーにより前記感熱シートを走査して得た画像に基づいて行なわれるようにしたものである。本発明によれば、感熱シートの画像から位置分解能の高い温度分布画像を導出することができる。
【0011】
また本発明の請求項5に係る温度計測方法は、請求項1〜4のいずれかに係る温度計測方法において、前記温度演算過程は濃度と加熱温度との関係を記述したルックアップテーブルを参照して行なわれるようにしたものである。本発明によれば、ルックアップテーブルを参照して濃度から加熱温度が演算される。熱プレスを行う条件や特定種類の感熱シートに応じたルックアップテーブルを、実験データに基づいて作製することができる。
【0012】
また本発明の請求項6に係る温度計測方法は、請求項1〜5のいずれかに係る温度計測方法において、前記演算した加熱温度を温度パターンとして表示する表示過程を有するようにしたものである。本発明によれば、温度分布が視覚化される。
【0013】
また本発明の請求項7に係る感熱シートは、加熱により変化する濃度に基づいて加熱温度を特定することができるようにしたものである。本発明によれば、感熱シートの濃度から加熱温度を特定することができる。
【0014】
また本発明の請求項8に係る感熱シートは、請求項7に係る感熱シートにおいて、前記濃度と前記加熱温度との関係が線型であるようにしたものである。本発明によれば、濃度と加熱温度との関係が線型である。
【0015】
また本発明の請求項9に係る感熱シートは、請求項7または8に係る感熱シートにおいて、熱プレスにおける要求を満たす厚さの均一性を有するようにしたものである。本発明によれば、感熱シートを重ねて使用しても加工済物品における厚さの均一性が得られる。
【0016】
また本発明の請求項10に係る感熱シートは、請求項7〜9のいずれかに係る感熱シートにおいて、熱容量が小さく耐熱性を有するようにしたものである。本発明によれば、熱プレスと感熱シートの相互間における熱的影響が小さい。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について実施の形態を説明する。本発明の温度計測方法は、熱プレス過程と、濃度計測過程と、温度演算過程と、表示過程を含んでいる。熱プレス過程は、加工対象物品またはその材料中に感熱シートを重ね、対向する熱プレス面の間に供給し、熱プレスを行う過程である。また、濃度計測過程は熱プレスを行った後の感熱シートにおける計測個所の濃度を計測する過程である。また、温度演算過程は、計測した濃度に基づいて前記熱プレスの加熱温度を演算する過程である。表示過程は、演算した加熱温度を温度パターンとして表示する過程である。
【0018】
まず、本発明の温度計測方法において熱プレスを行うときの構成について図1を参照して説明する。図1は熱プレスにおける加圧加熱部と加工対象とを示す側面図である。図1において、1は感熱シート、11は上部熱板、12は下部熱板、100は加工対象物品である。
感熱シート1は、温度計測に使用するシートであり、加熱により発色し濃度が変化し、その濃度に基づいて加熱温度を特定することができるシートである。感熱シート1については詳細を後述する。
【0019】
上部熱板11と下部熱板12は、加工対象物品に対する加圧と加熱を行う熱プレスにおける作用部分である。上部熱板11の下面と下部熱板12の上面のことを熱プレス面と呼ぶ。通常は、上部熱板11は油圧シリンダー等により移動することができ、下部熱板12は熱プレスのフレームに固定されている。加工対象物品に対する加圧は、熱プレス面の間隙を狭め加工対象物品に直接、または感熱シート1、プレス板、鏡面板等を介在させて接触させることによって行なわれる。本発明の温度計測方法を実施するときには、感熱シート1を必ず介在させる。加圧の圧力は、油圧を圧力調節弁等により調節することにより行なわれる。
【0020】
移動上部熱板11と下部熱板12の各々の内部には電気ヒータ(図示せず)が内蔵されており、熱プレス面の加熱は、その電気ヒータの発熱によって行なわれる。熱プレス面の加熱は、電気ヒータに限定されず、オイルヒータ、スチームヒータ等を使用してもよい。加工対象物品に対する加熱は、加工対象物品に直接または感熱シート1、プレス板、鏡面板等を介在させて接触させたときに起きる熱伝導によって行なわれる。加熱の温度は、電気ヒータとともに内蔵されている熱電対(図示せず)の検出温度が設定温度となるように温度コントローラ(図示せず)によって制御が行なわれる。
【0021】
熱プレス面の冷却は、自然冷却(除冷)または強制冷却(急冷)による。たとえば、移動上部熱板11と下部熱板12の各々の内部には冷却水の配管(図示せず)が内蔵されており、強制冷却はその冷却水の配管に冷却水を流すことによって行なわれる。
【0022】
加工対象物品100は、シートとシートの貼り合せ、フィルムにコーティングした転写層の熱転写、等のための材料である。具体的には、たとえば、プラスチックカード、ICカード、ICタグ、製袋(一般、BIB)、多層プリント配線基板、箔押、エンボス加工、等である。本発明においては、加工対象物品は平らな物品であればよく特に限定はない。
【0023】
上述の構成において、本発明の温度計測方法を適用した熱プレスを行うときの動作について一例を説明する。
あらかじめ、熱プレス面を所定の温度に上昇させておく。上下の熱プレス面は間隙を開けた位置、すなわち退避位置となっている。
次に、加工対象物品100を感熱シート1と重ねて、上下の熱プレス面の間隙に供給する。図1に示すように、上部熱板11、感熱シート1、加工対象物品100、下部熱板12が、その順番で層を成すように配列する。感熱シート1は熱プレスを行う条件、たとえば温度範囲、厚さ、表面物性(非接着性)、等に応じて複数種類の内から適正なものを選択して使用する。
なお、感熱シートは加工対象物品100の内部、たとえば2つの材料シートの間でもよく、測定したい場所に配置することができる。
【0024】
次に、油圧シリンダーを動作させ、上下の熱プレス面の間隙を狭めて行く。上の熱プレス面、感熱シート1、加工対象物品100、下の熱プレス面が、密着すると油圧が高まり、所定の圧力となったところで油圧シリンダーの動作は停止する。感熱シート1と加工対象物品100は、所定の圧力で加圧が行なわれ、また上下の熱プレス面からの熱伝導により所定の温度で加熱が行なわれる。
【0025】
次に、その状態で所定の時間が経過すると、再び油圧シリンダーを動作させ、上下の熱プレス面の間隙を広げて行き退避位置で油圧シリンダーの動作を停止する。
次に、上下の熱プレス面の間隙から感熱シート1と加工対象物品100とを取り出す。
【0026】
以上の熱プレス過程によって、加工対象物品100とともに加熱が行なわれた結果、感熱シート1は加熱により変化する濃度で発色している。図2は熱プレス過程によって加熱が行なわれた感熱シート1の一例を示す図である。図2に示すように、発色範囲の形状は、加圧加熱面の形状すなわち熱プレス面または加工対象物品100の形状と同様であり、発色の濃度の分布は、加圧加熱面すなわち熱プレス面の加熱温度の分布に対応したものとなる。
【0027】
次に、本発明の温度計測方法において、熱プレスを行った後の感熱シート1における計測個所の濃度を計測する過程、すなわち温度計測過程について説明する。濃度計測は光学的反射濃度計を使用して行うことができる。光学的反射濃度計は、基準の反射率との比を10を底とする対数で表し正負符号を逆とした値として計測値、すなわち濃度を出力する。すなわち、計測対象の反射率R、基準の反射率R0とすると濃度DはD=−Log(R/R0)である。基準としては、たとえば計測対象の白色(非発色)の部分、校正用の白色板、等が用いられる。
【0028】
絶対的な温度としては特定の計測個所だけでよく、温度分布の状態は感熱シート1における濃度分布で判る範囲でよいときには、高い精度で濃度を計測できる光学的反射濃度計が適する。しかし、計測個所を大幅に増やして温度分布そのものとして計測したいときには、スポット計測の光学的反射濃度計は手間が掛かり過ぎるため適当ではない。
【0029】
濃度計測はフラットベッドスキャナーにより感熱シート1を走査して得た画像に基づいて行なうことができる。画像における画素の各々について画素値を濃度に換算すると温度分布そのものを得ることができる。
【0030】
ただし、通常のフラットベッドスキャナーを計測器として使用するときには、計測精度が得られるようにする工夫が必要である。たとえば、濃度が既知のシート(感熱シート1でもよい)を走査して基準画像を得ておき、その基準画像に基づいて画素値と濃度との関係の校正、走査領域におけるムラの補正、等を行うとよい。また、フラットベッドスキャナーによっては光源の発光効率が経時的に変化することも考慮する必要がある。したがって、▲1▼常に所定の走査手順どおりの走査するようにする、▲2▼感熱シート1を走査するときに濃度スケールも一緒に走査するようにする、等により経時的な変化の影響を排除するようにしてもよい。
【0031】
次に、本発明の温度計測方法において、計測した濃度に基づいて熱プレスの加熱温度を演算する過程、すなわち温度演算過程について説明する。濃度と加熱温度との関係は、通常は、実験を行なって得るようにする。複数種類の感熱シートについては、その各々について実験を行なって濃度と加熱温度との関係を得るようにする。ロットによるバラツキ、経時的な変化が予測されるときにはそれらも考慮して濃度と加熱温度との関係を得るようにする。
【0032】
得られた濃度と加熱温度との関係は、スプライン等の補間関数とするか、ルックアップテーブルとして記述しておく。温度演算過程は、濃度と加熱温度との関係をそのようにして記述したスプライン等の補間関数またはルックアップテーブルを参照して行なう。実験値に基づくルックアップテーブルにおいては、とびとびの濃度と加熱温度との関係が記述されているに過ぎない。ルックアップテーブルに存在しない濃度については、周知の補間法を適用して対応する加熱温度を得るようにする。
【0033】
濃度と加熱温度との関係について図3に示す一例を参照して説明する。図3は濃度と加熱温度との関係を縦軸が濃度で横軸が温度のグラフとして示す図である。図3に示すように、グラフは単調増加関数(一次微分の値が常に正)の形状を有する。たとえば、計測個所の濃度DがD=0.88であると、縦軸の0.88の点から横軸に平行に延長した直線がグラフと交わる点を求める。次に、グラフのその点から縦軸に平行に延長した直線が横軸と交わる点を求める。その横軸の点の温度131度(℃)が加熱温度である。
【0034】
計測個所のすべてについてその濃度から加熱温度を演算する。また、フラットベッドスキャナーにより感熱シート1を走査して得た画像に基づいて加熱温度を演算するときには、画像の全範囲または所定の範囲について加熱温度を演算する。このように演算した加熱温度は、温度計測方法における表示過程において、温度パターンとしてCRTディスプレイやLCDに表示する。この表示において加熱温度に応じて温度パターンの色分けを行うことで状況を正確に把握することができる。
【0035】
以上、温度計測方法について説明した。次に、本発明の温度計測方法において使用する本発明の感熱シートについて説明する。本発明の感熱シートは、加熱により変化する濃度に基づいて加熱温度を特定することができるようにしたものである。濃度の変化が加熱温度によってだけ一意的に決まるような感熱シートは理想的である。しかし、加熱温度だけでなく、トータルとしての熱量すなわち時間にも依存するような感熱シートであっても、温度計測に使用することができる。すなわち、熱プレス過程における、圧力、時間、等の条件を所定の範囲内で一定とすることで、実質的に濃度が加熱温度だけに依存するようにできる。
【0036】
また感熱シートは、濃度と加熱温度との関係が線型であるようにしたものが好適である。濃度と加熱温度との関係が線型であれば、スプライン等の補間関数が複雑化しないで済む。また、補間法の適用も容易である。また線型の範囲において均等な計測精度を得ることができる。
【0037】
また感熱シートは、熱プレスにおける要求を満たす厚さの均一性を有するようにしたものが好適である。厚さの均一性を有することにより、感熱シートを重ねて使用しても加工済物品における厚さの均一性が得られる。すなわち、加工済物品の品質を悪化させることがないから、製品を作製する熱プレス工程において、感熱シートを使用する加熱温度の管理を適用することができる。
【0038】
また感熱シートは、熱容量が小さく耐熱性を有するようにしたものが好適である。熱容量が小さく耐熱性を有することにより、熱プレスと感熱シートの相互間における熱的影響が小さいなる。そのためには感熱シートの基材として、薄く耐熱性を有するプラスチックフィルム、紙、等を使用する。熱容量を小さくすることにより、熱プレス工程において感熱シートを使用するときと、使用しないときの差異を実質的に無くすことができる。また、感熱シートにおいて、熱と圧が加わる条件下においては変質変形を起こさない耐熱性が重要である。
【0039】
以上のような感熱シートは、サーマルヘッド記録材料、その他の感熱記録材料、サーモラベル、等の周知の技術を適用し、その内においても本発明の感熱シートとしての適正が得られるように限定すること、新たな構成を組合せること、等により得ることができる。
【0040】
感熱シートは、たとえば特開平9−95056号公報、等に記載されているように、基材フィルム上に感熱色素、顕色材、増感材、樹脂バインダー、必要に応じ、体質顔料、滑剤等からなる感熱発色層を設けることによって得られる。基材としては、厚さ10〜20μm程度のコンデンサ紙やパラフィン紙のような紙、あるいは厚さ2〜20μm程度のポリエステルやセロファンのようなプラスチックフィルムを用いることができる。
【0041】
また、感熱色素としては、ロイコ染料が適しており、このロイコ染料は単独または2種類以上混合して使用される。このようなロイコ染料としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノジアン系、チオフェルオラル系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等が使用される。
【0042】
また、顕色材としては、フェノール系化合物、チオフェノール系化合物、チオ尿素誘導体、有機酸およびその金属塩等が使用される。また、発色感度を向上させるため、増感剤を併用させることができる。例えば、ステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルビフェニン等が用いられる。
【0043】
また、体質顔料としては、タルク、シリカ、クレー、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カオリン、マグネシウム等が使用できる。
また、滑剤としては、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等のワックス、高級脂肪酸のアミド、エステル、もしくは塩、高級アルコールまたはレシチンで代表されるリン酸エステルを用いることができる。
【0044】
また、樹脂バインダーとしては、キシレン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、テルペン樹脂、ビニルトルエン/ブタジエン共重合体樹脂等の油溶性樹脂や、ポリビニルアルコール樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ゼラチン、アラビアゴム等の水溶性樹脂を使用することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のとおりであるから、本発明の請求項1に係る温度計測方法によれば、熱プレス面の全範囲において連続した温度分布を局所的な影響を与えずに計測する温度計測方法が提供される。
また本発明の請求項2に係る温度計測方法によれば、適正な感熱シートの選択により、加工対象物品、等に対する悪影響をなくし、高い精度で温度計測が行なわれる。
また本発明の請求項3に係る温度計測方法によれば、感熱シートの濃度計測は光学的反射濃度計により行なわれる。
また本発明の請求項4に係る温度計測方法によれば、フラットベッドスキャナーで走査した感熱シートの画像から位置分解能の高い温度分布画像を導出することができる。
また本発明の請求項5に係る温度計測方法によれば、ルックアップテーブルを参照して濃度から加熱温度が演算される。
また本発明の請求項6に係る温度計測方法によれば、表示により温度分布が視覚化される。
また本発明の請求項7に係る感熱シートによれば、感熱シートの濃度から加熱温度を特定することができる。
また本発明の請求項8に係る感熱シートによれば、濃度と加熱温度との関係が線型である。
また本発明の請求項9に係る感熱シートによれば、感熱シートを重ねて使用しても加工済物品における厚さの均一性が得られる。
また本発明の請求項10に係る感熱シートによれば、熱プレスと感熱シートの相互間における熱的影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温度計測方法において熱プレスを行うときの構成について一例を示す図である。
【図2】熱プレス過程によって加熱が行なわれた感熱シートの一例を示す図である。
【図3】濃度と加熱温度との関係を縦軸が濃度で横軸が温度のグラフとして示す図である。
【符号の説明】
1 感熱シート
11 上部熱板
12 下部熱板
100 加工対象物品
Claims (10)
- 加工対象物品またはその材料中に感熱シートを重ね、対向する熱プレス面の間に供給し、熱プレスを行う熱プレス過程と、前記熱プレスを行った後の感熱シートにおける計測個所の濃度を計測する濃度計測過程と、前記計測した濃度に基づいて前記熱プレスの加熱温度を演算する温度演算過程とを有することを特徴とする温度計測方法。
- 請求項1記載の温度計測方法において、前記感熱シートは前記熱プレスを行う条件に応じて複数種類の内から適正なものを選択することを特徴とする温度計測方法。
- 請求項1または2記載の温度計測方法において、前記濃度計測は光学的反射濃度計を使用して行うことを特徴とする温度計測方法。
- 請求項1または2記載の温度計測方法において、前記濃度計測はフラットベッドスキャナーにより前記感熱シートを走査して得た画像に基づいて行なわれることを特徴とする温度計測方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の温度計測方法において、前記温度演算過程は濃度と加熱温度との関係を記述したルックアップテーブルを参照して行なわれることを特徴とする温度計測方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の温度計測方法において、前記演算した加熱温度を温度パターンとして表示する表示過程を有することを特徴とする温度計測方法。
- 加熱により変化する濃度に基づいて加熱温度を特定することができることを特徴とする感熱シート。
- 請求項7記載の感熱シートにおいて、前記濃度と前記加熱温度との関係が線型であることを特徴とする感熱シート。
- 請求項7または8記載の感熱シートにおいて、熱プレスにおける要求を満たす厚さの均一性を有することを特徴とする感熱シート。
- 請求項7〜9のいずれかに記載の感熱シートにおいて、熱容量が小さく耐熱性を有することを特徴とする感熱シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002280606A JP2004117145A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 温度計測方法および感熱シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002280606A JP2004117145A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 温度計測方法および感熱シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004117145A true JP2004117145A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32275268
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002280606A Pending JP2004117145A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 温度計測方法および感熱シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004117145A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010090213A1 (ja) | 2009-02-04 | 2010-08-12 | 富士フイルム株式会社 | 熱分布表示体及び熱分布確認方法 |
JP2010204084A (ja) * | 2009-02-04 | 2010-09-16 | Fujifilm Corp | 熱分布測定セット、熱分布測定体、及び熱分布確認方法 |
JP2010286123A (ja) * | 2009-06-09 | 2010-12-24 | Mitsubishi Electric Building Techno Service Co Ltd | 温度計測システム |
WO2013024664A1 (ja) * | 2011-08-17 | 2013-02-21 | 富士フイルム株式会社 | 熱分布表示体 |
JP2016180754A (ja) * | 2015-03-23 | 2016-10-13 | ノク9 アクティエボラーグ | ワイヤレス給電の検査装置及び関連の方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5822930A (ja) * | 1981-08-03 | 1983-02-10 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 温度検出方法 |
JPH0368824A (ja) * | 1989-08-09 | 1991-03-25 | Chikuma Koki Kk | 配管等の表面温度測定装置 |
JPH05126651A (ja) * | 1991-10-28 | 1993-05-21 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 温度検査シート |
JP2000131152A (ja) * | 1998-10-22 | 2000-05-12 | Toshiba Tec Corp | 温度管理方法及び温度管理装置 |
JP2002240431A (ja) * | 2001-02-19 | 2002-08-28 | Ricoh Co Ltd | 感熱記録材料及びそれを用いた温度履歴表示方法 |
-
2002
- 2002-09-26 JP JP2002280606A patent/JP2004117145A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5822930A (ja) * | 1981-08-03 | 1983-02-10 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 温度検出方法 |
JPH0368824A (ja) * | 1989-08-09 | 1991-03-25 | Chikuma Koki Kk | 配管等の表面温度測定装置 |
JPH05126651A (ja) * | 1991-10-28 | 1993-05-21 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 温度検査シート |
JP2000131152A (ja) * | 1998-10-22 | 2000-05-12 | Toshiba Tec Corp | 温度管理方法及び温度管理装置 |
JP2002240431A (ja) * | 2001-02-19 | 2002-08-28 | Ricoh Co Ltd | 感熱記録材料及びそれを用いた温度履歴表示方法 |
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101580508B1 (ko) | 2009-02-04 | 2015-12-28 | 후지필름 가부시키가이샤 | 열분포 표시체 및 열분포 확인 방법 |
JP2010181218A (ja) * | 2009-02-04 | 2010-08-19 | Fujifilm Corp | 熱分布表示体及び熱分布確認方法 |
JP2010204084A (ja) * | 2009-02-04 | 2010-09-16 | Fujifilm Corp | 熱分布測定セット、熱分布測定体、及び熱分布確認方法 |
KR20110122152A (ko) * | 2009-02-04 | 2011-11-09 | 후지필름 가부시키가이샤 | 열분포 표시체 및 열분포 확인 방법 |
EP2395334B1 (en) * | 2009-02-04 | 2016-12-28 | FUJIFILM Corporation | Thermal distribution display and method for confirming thermal distribution |
WO2010090213A1 (ja) | 2009-02-04 | 2010-08-12 | 富士フイルム株式会社 | 熱分布表示体及び熱分布確認方法 |
JP2010286123A (ja) * | 2009-06-09 | 2010-12-24 | Mitsubishi Electric Building Techno Service Co Ltd | 温度計測システム |
JP2013057662A (ja) * | 2011-08-17 | 2013-03-28 | Fujifilm Corp | 熱分布表示体 |
CN103733038A (zh) * | 2011-08-17 | 2014-04-16 | 富士胶片株式会社 | 热分布显示体 |
US9389210B2 (en) | 2011-08-17 | 2016-07-12 | Fujifilm Corporation | Thermal distribution display |
WO2013024664A1 (ja) * | 2011-08-17 | 2013-02-21 | 富士フイルム株式会社 | 熱分布表示体 |
JP2016180754A (ja) * | 2015-03-23 | 2016-10-13 | ノク9 アクティエボラーグ | ワイヤレス給電の検査装置及び関連の方法 |
US9739668B2 (en) | 2015-03-23 | 2017-08-22 | Nok9 Ab | Testing device for wireless power transfer and associated method |
JP2018040808A (ja) * | 2015-03-23 | 2018-03-15 | ノク9 アクティエボラーグ | ワイヤレス給電の検査装置及び関連の方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TW386055B (en) | Method of emboss pattern process, emboss pattern processing apparatus, andembossed sheet | |
US20070070168A1 (en) | Thermal printer and method for operating same | |
US7490981B2 (en) | Method for determining thermal effusivity and/or thermal conductivity of sheet material | |
US20080251956A1 (en) | Embossing Device with a Deflection Compensated Roller | |
KR100253724B1 (ko) | 적층 전사체 형성 장치 및 적층 전사체 형성 방법 | |
RU2008121891A (ru) | Двухсторонняя термочувствительная бумага | |
JP2004117145A (ja) | 温度計測方法および感熱シート | |
US4427985A (en) | Thermorecording medium, means and process for producing and utilizing same | |
JPH0687226A (ja) | 受像媒体への鏡状識別マーク記録方法及び装置 | |
CN105358326B (zh) | 改进图像质量的打印方法 | |
CN107073973B (zh) | 图像形成体制造装置、转印色带以及图像形成体制造方法 | |
US7852359B2 (en) | Protective overcoat transfer compensation | |
CN111504919B (zh) | 热敏变色油墨印刷接装纸的变色临界温度范围获取方法 | |
US6950615B2 (en) | Procedure and device for adjusting gloss in print material | |
JP3674796B2 (ja) | 感熱記録材料 | |
US4837586A (en) | Image contrast by thermal printers | |
Nitta et al. | Measurement of real contact area on thermal print head using a laser microscope with a wide field of view | |
JP5017833B2 (ja) | プリンタ、およびサーマルヘッドのプレヒート制御方法 | |
CN220198815U (zh) | 一种可检测剥离强度的热转印机 | |
JP4505867B2 (ja) | 熱転写用カラーインクリボンの各色検知装置 | |
CN217495685U (zh) | 一种用于热转印的彩色烫金膜 | |
JPS58205798A (ja) | 多階調画像熱転写記録方式 | |
TWM627510U (zh) | 具自動偵測列印頭壞點功能的列印裝置 | |
JP2011046184A (ja) | 熱転写プリンタ | |
JPS63147668A (ja) | 感熱記録装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050916 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080807 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080826 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090402 |