JP2004116854A - 置換換気型低露点室及び置換換気による低露点室の空調方法 - Google Patents

置換換気型低露点室及び置換換気による低露点室の空調方法 Download PDF

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Abstract

【課題】室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去し、コスト及び消費エネルギーのさらなる削減を可能とする低露点室及び低露点室の空調方法を提供する。
【解決手段】作業員が内部で作業することができる部屋1と、部屋1に低露点空気を供給するための吹き出し口2と、部屋1の空気を排出するための吸い込み口3と、吹き出し口2に低露点空気を供給する低露点空気供給手段4とを有する低露点室において、部屋1の内部で作業員が作業する空間を作業空間6としたときに、作業空間6の側方及び下方の少なくともいずれかの位置に開口するように吹き出し口2を設け、作業空間6よりも上方の位置に開口するように吸い込み口3を設け、置換換気により、作業空間6の側方かつ下方の位置から低露点空気を部屋1に供給して所望の露点温度の空気で満たされる作業空間6を形成する。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、減湿処理された空気である低露点空気により低露点室を形成する技術に関し、より詳しくは置換換気方式により低露点室を形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
低露点室とは、低湿条件に維持された部屋を言い、特に室内の露点温度が−10℃以下の場合を言う。低露点室は、例えば加工素材が水と反応してしまう場合や、加工素材が吸湿により取り扱いに支障をきたす場合等に利用される。このような場合としては、例えばリチウム電池の製造工程や、医薬品の製造工程等が挙げられる(例えば非特許文献1参照。)。
【0003】
低露点室を形成するための技術としては、従来より様々な技術が知られている。このような技術としては、例えば、減湿処理された空気の供給手段と室内空気の排気手段が設けられた低露点室の空調方法であって、排気手段は、低露点室内の空気を循環させずに低露点室外に排気することを特徴とする、低露点室の空調方法が挙げられる(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
また室内の空調に関する技術も、従来より様々な技術が知られている。このような技術としては、例えば、床、壁及び天井によって区画された空間のうち、人間の身長を基準とした床からの高さをもつ下方空間に、空気流出面を縦方向とした平板状又は1/4円以上の円筒状のデイフューザー面をもち且つこのデイフューザー面の背後に空洞ボックスが取り付けられた空気放散口から、室内の空気温度よりも所定温度だけ低い温度に制御された新鮮空気を、0.5m/sec以下の可及的低い低風速で且つ90°以上の拡がり角をもって該下部空間の実質上全域にゆきわたるように且つ室内空気を乱さないように流し込み、同時にこの下方空間に導入する空気量に相当する空気量を天井部から排出して、該下方空間の空気を新鮮空気で置換することを特徴とする換気方法が挙げられる(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
【非特許文献1】
関 信弘編、「低温環境利用技術ハンドブック」、第1版、森北出版株式会社、2001年3月22日、p.221−222
【特許文献1】
特開平11−287478号公報(第2頁)
【特許文献2】
特許第2862149号公報(第1−2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した特許文献1に記載の空調方法は、低露点室内にいる作業員等の人間から発生した湿気を低コストで迅速に除去しようとする技術である。しかしながら、前記空調方法では、室内全体の露点温度が所望の露点温度になるように低露点室を形成することから、室内の隅や天井付近等、非常に乾いた環境を必要とする作業空間以外の室内空間も、非常に乾いた状態になっている。したがって前記空調方法は、非常に乾いた環境を形成するために、多くのコストやエネルギーを要するという問題点を有する。
【0007】
前述した特許文献2に記載の換気方法は、少ない風量をゆっくりとした風速で室内の空気を乱さないように供給して、室内空気を新鮮な空気と置き換えようとする技術である。しかしながら前記換気方法は、居住空間を快適な空間にする技術であり、前記特許文献2には、低露点室という非常に乾いた特殊な環境を形成する手段や方法については記載されていない。
【0008】
本発明は、前記事項に鑑みなされたものであり、室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去し、コスト及び消費エネルギーのさらなる削減を可能とする低露点室及び低露点室の空調方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、置換換気方式により低露点空気を低露点室に供給し、低露点室において人体から発生する湿気を、人体の周辺に形成される熱的上昇気流(以下「プルーム」と言う)により上方へ速やかに移し、人体由来の湿気が室内に拡散することを防止して、非常に乾いた環境を室内に形成する。
【0010】
すなわち本発明の置換換気型低露点室は、作業員が内部で作業することができる部屋と、この部屋に低露点空気を供給するための吹き出し口と、部屋の空気を排出するための吸い込み口と、吹き出し口に低露点空気を供給する低露点空気供給手段とを有し、部屋の内部で作業員が作業する空間を作業空間としたときに、吹き出し口は作業空間の側方及び下方の少なくともいずれかの位置に開口するように設けられ、吸い込み口は作業空間よりも上方の位置に開口するように設けられる。
【0011】
低露点空気は、空気中の飽和水蒸気量を小さくするために、一般には室温以下の温度に調節される。また、水蒸気は、低露点空気よりも軽い。したがって前記構成によれば、低露点空気は、前記部屋の下部から前記部屋に溜まっていき、前記部屋内にいる作業員から発生する湿気は、作業員から生じるプルームに乗って前記部屋の上部に押し上げられる。前記湿気を含む空気は、前記吸い込み口から室外に速やかに排出される。したがって前記構成によれば、室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去することが可能となる。
【0012】
ところで、前記特許文献1に記載の低露点室の空調方法のように、室内の空気の露点温度を均一化して所望の乾いた環境を形成する従来の空調方法では、室内の空気の所望の露点温度(以下、「要求露点温度」とも言う)に比べてより低い露点温度の空気を室内に供給する。例えば、従来の空調方法によって要求露点温度−32℃を実現する場合では、室内の空気を完全に混合したときに露点温度−32℃の環境を形成するように、露点温度−50〜−60℃の低露点空気を室内に供給する。
【0013】
しかしながら前記構成によれば、前記作業空間が低露点空気で満たされれば良いことから、前記作業空間よりも上方の室内空間までもが非常に乾いた環境となる量の低露点空気を供給する必要がない。また前記構成によれば、作業員から発生する湿気は、上方に速やかに移り、室内に拡散しないことから、前記作業空間は、作業員から発生する湿気による影響を受けず、前記作業空間の露点温度は、実質的には上昇しない。したがって前記構成によれば、要求露点温度と同じ露点温度の低露点温度を前記部屋に供給することによって、作業空間の要求露点温度を実現することが可能である。したがって前記構成によれば、従来の空調方法に比べて、供給する低露点空気の露点温度を高くすることが可能となると共に低露点空気の供給量を小さくすることが可能となり、コスト及び消費エネルギーのさらなる削減が可能となる。
【0014】
また本発明の置換換気型低露点室は、前記作業空間よりも上方の位置に複数の吸い込み口を有し、これらの吸い込み口のうちの所望の吸い込み口から部屋の空気を排出するための吸気切り替え手段をさらに有することが好ましい。
【0015】
前記構成によれば、作業員の作業位置や作業員の人数、作業空間の大きさ等の条件に合わせて、適切な位置の吸い込み口から前記部屋の空気を排出することが可能となる。したがって前記構成によれば、室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去する上でより好ましい。
【0016】
ここで本発明において、低露点空気とは、低露点室を形成するのに十分低い露点温度を有する空気を言う。また、低露点室の種類としては、例えば、露点温度が−10℃以下で乾球温度が20〜25℃である常温低露点室や、露点温度が−10℃以下で乾球温度が0℃以下である低温低露点室等が知られているが、本発明は、いずれの低露点室にも適用することができる。
【0017】
前記部屋は、作業員が内部で作業することができる部屋である。前記部屋は、含水率の低い材料や部材を極力用い、材料や部材からの湿気の発生を防止することが好ましい。また前記部屋は、室内へのすきま風の侵入を防げる十分な気密性を有することが好ましい。前記部屋は、例えばコンクリート造りの床や壁、天井に、両面カラー鋼板の断熱パネルやステンレス板等の板状部材で覆うことによって形成することができる。
【0018】
前記作業空間は、前記部屋の内部の空間のうち、前記作業員が作業する空間である。前記作業空間は、作業員を含む空間及び作業員を含まなくても作業員から発生する湿気に影響を受ける物を含む空間の少なくともいずれか一方又は両方であり、作業内容によって適宜設定される空間である。前記作業空間としては、例えば前記部屋内に設置された製造機器に関する作業であれば製造機器周辺の空間や、例えば前記部屋内における搬送作業であれば作業員周辺の空間や、例えば前記部屋内における作業員による製品の検査作業であれば検査対象の製品周辺の空間等が挙げられる。
【0019】
前記吹き出し口は、前記部屋に低露点空気を供給するための開口部である。前記吹き出し口は、前記作業空間の側方及び下方の少なくともいずれかの位置に開口するように設けられる。前記吹き出し口は、その大きさや設置数は特に限定されず、前記作業空間の大きさや位置及び数、及び低露点空気の供給量等の条件に応じて適宜設置される。
【0020】
例えば前記吹き出し口は、作業空間の側方に開口する開口部であることが、前記作業空間を含む非常に乾いた環境を低露点空気の供給によって形成する上で好ましい。また前記吹き出し口は、作業空間に応じて設けることが好ましく、例えば床面から1.8mの高さ、すなわち床面から作業員の身長程度の高さまでの間に開口端が位置していることが好ましく、床面の高さから開口していることがより好ましい。なお前記吹き出し口は、パンチングプレート等の通気性の板状部材によって前記部屋の床を形成し、床面全体に開口するように設けることも可能である。
【0021】
前記吸い込み口は、前記部屋の空気を排出するための開口部である。前記吸い込み口は、前記作業空間よりも上方の位置に開口するように設けられる。前記吸い込み口は、その大きさや設置数は特に限定されず、前記作業空間の大きさや位置及び配置数、及び前記部屋への低露点空気の供給量等の条件に応じて適宜設置される。
【0022】
例えば前記吸い込み口は、前記作業空間の上方に開口する開口部であることが、室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去する上で好ましく、作業員の直上に開口する開口部であることがより好ましい。なお前記吸い込み口は、蛇腹管等のフレキシブルチューブによって形成し、作業空間の上方における任意の位置に開口するように設けることも可能である。
【0023】
前記低露点空気供給手段は、前記吹き出し口に低露点空気を供給する手段であれば特に限定されない。前記低露点空気供給手段には、低露点空気の製造設備を伴う手段が通常使用されるが、前記低露点空気供給手段は、低露点空気の製造設備を伴わない手段(例えばボンベのような容器)であっても良い。
【0024】
また前記低露点空気供給手段は、所望の露点温度の空気で前記作業空間が満たされるように低露点空気を前記部屋に供給する手段であれば特に限定されない。このような低露点空気供給手段としては、例えば、低露点空気を連続して製造し、所望の露点温度の空気で前記作業空間が満たされるように所望の供給量の低露点空気を前記部屋に連続して供給する手段や、所望の露点温度の空気で前記作業空間が満たされるように所望の供給量の低露点空気を作業時間等に応じて断続的に供給する手段や、例えば前記作業空間の露点温度を検出する湿度センサの検出結果に基づき、所望の露点温度の空気で前記作業空間が満たされるように所望の供給量の低露点空気を必要に応じて供給する手段等が挙げられる。低露点空気の供給を制御する手段は、公知の制御手段や検出手段によって構成することが可能である。
【0025】
また前記低露点空気供給手段は、低露点空気で前記作業空間が満たされるように低露点空気を前記部屋に供給するために、ゆっくりとした風速で低露点空気を供給することが好ましい。本発明では、低露点空気の供給速度は、前記部屋の大きさ、前記作業空間の大きさや乾球温度、前記作業の内容、要求露点温度等、様々な条件によって異なるが、0.5m/s以下であることが、前記部屋における空気の流れを乱さず、前記部屋の下部から前記部屋に低露点空気を溜める上で好ましい。
【0026】
低露点空気の製造設備を伴う前記低露点空気供給手段は、空気中の湿気を除去する除湿装置によって少なくとも構成されるが、低露点室の種類に応じて適切な装置や機器によって構成される。例えば低温低露点室を形成する場合では、前記低露点空気供給手段は、空気中の湿気を除去する除湿装置、気温を低温に維持するための空調機、及び冷凍機によって構成される。これらの装置や機器には、公知の装置や機器を利用することができる。また、低露点空気供給手段は、低露点空気を供給するための送風機や、低露点空気の供給速度や流路を制御するためのバタフライ弁等の弁のように、気体を送るための公知の手段を適宜有する。
【0027】
なお、前記除湿装置は、様々な方式の装置が知られており、特に限定されないが、要求露点温度、処理能力、経済性、イニシャルコスト等の条件に応じて適宜選択される。本発明で用いられる除湿装置としては、例えば乾式除湿方式の除湿装置、吸着除湿方式の除湿装置、圧縮冷却除湿方式の除湿装置、及び圧力スイング除湿方式の除湿装置等が挙げられる。本発明では、処理能力が高く、取り扱いが比較的容易であることから、乾式除湿方式の除湿装置を用いることが好ましい。
【0028】
低露点空気の製造設備を伴う前記低露点空気供給手段を用いる場合では、本発明は、前記除湿装置の容量を小さくすることが可能であることから、コスト及び消費エネルギーの削減がより顕著である。また前記場合では、本発明は、前記除湿装置の容量を小さくすることが可能であることから、従来の空調方法で使用される除湿装置と同等の性能の除湿装置を使用する場合では、より小さな除湿装置を使用することが可能であり、従来の空調方法で使用される除湿装置と同等の大きさの除湿装置を使用する場合では、より低露点の作業空間を実現することが可能である。
【0029】
前記吸気切り替え手段は、前記吸い込み口を複数設けた場合に、これらの吸い込み口のうちの一つ又は二つ以上の所望の吸い込み口から前記部屋の空気を排出するための手段である。前記吸気切り替え手段は、所望の吸い込み口から前記部屋の空気を排出させる手段であれば特に限定されない。前記吸気切り替え手段としては、例えば所望の前記吸い込み口を塞ぐ蓋や、それぞれの吸い込み口よりも下流側のそれぞれの吸気経路に設けられそれぞれの吸気経路を開閉自在な自動弁等が挙げられる。
【0030】
また所望の吸い込み口を選択する手段としては、例えば前記部屋内に設けられる操作盤や作業員が携帯可能なリモートコントローラのように、作業員が所望の吸い込み口を選択する手段や、作業員の位置を検知するセンサからの信号に基づいて吸い込み口の開閉を選択する手段や、作業員の作業に関する機器(例えば前記製造機器等)の運転と連動して吸い込み口の開閉を選択する手段のように、自動的に所望の吸い込み口を選択する手段等が挙げられる。これらの手段は、公知技術の利用によって実現することが可能である。
【0031】
本発明の置換換気型低露点室は、前述した構成以外の他の構成をさらに有していても良い。このような他の構成としては、例えば前記部屋に供給される低露点空気中の汚染物質を除去する空気浄化手段(例えばHEPAフィルタやケミカルフィルタ等)等が挙げられる。
【0032】
また、本発明の置換換気型低露点室は、前記他の構成として、例えば前記部屋の室外及び室内の間に介在する前室を設けることが好ましい。このような前室は、例えば、前記部屋の室外及び室内から出入り自在でかつ気密に密閉できる小部屋と、温度や湿度等の空調条件を段階的に変化させる制御系とによって構成される。前記構成によれば、室外からの空気の侵入による室内の露点温度の上昇を防ぐことが可能となる。また前記構成によれば、作業員の出入りや物品の搬入及び搬出をより容易に行うことが可能となる。
【0033】
本発明の置換換気による低露点室の空調方法は、作業員が内部で作業することができる部屋に、この部屋に設けられた吹き出し口から低露点空気を供給し、一方でこの部屋に設けられた吸い込み口から部屋の空気を排出して、前記部屋の内部に低湿の環境を形成する低露点室の空調方法において、前記部屋の内部で作業員が作業する空間を作業空間としたときに、前記吹き出し口は、前記作業空間の側方及び下方の少なくともいずれかの位置に開口するように設けられ、前記吸い込み口は、前記作業空間よりも上方の位置に開口するように設けられ、前記作業空間の側方及び下方の少なくともいずれかの位置から低露点空気を前記部屋に供給して所望の露点温度の空気で満たされる作業空間を形成し、前記作業空間よりも上方の位置から前記部屋の空気を排出する。
【0034】
前記空調方法によれば、低露点空気は、前記部屋の下部から前記部屋に溜まっていき、前記作業空間を満たす。前記部屋内にいる作業員から発生する湿気は、作業員から生じるプルームに乗って前記部屋の上部に押し上げられる。前記湿気を含む空気は、前記吸い込み口から室外に速やかに排出される。したがって前記空調方法によれば、室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去することが可能となる。
【0035】
また前記空調方法によれば、前記作業空間が低露点空気で満たされれば良いことから、前記作業空間よりも上方の室内空間までもが非常に乾いた環境となる量の低露点空気を供給する必要がない。また前記空調方法によれば、作業員から発生する湿気は、室内に拡散しないことから、前記作業空間は、作業員から発生する湿気による影響を受けず、前記作業空間の露点温度は、実質的には上昇しない。したがって前記空調方法によれば、要求露点温度と同じ露点温度の低露点温度を前記部屋に供給することによって、作業空間の要求露点温度を実現することが可能である。したがって前記空調方法によれば、従来の空調方法に比べて、低露点空気の露点温度を高くすることが可能となると共に低露点空気の供給量を小さくすることが可能となり、コスト及び消費エネルギーのさらなる削減が可能となる。
【0036】
本発明の置換換気による低露点室の空調方法は、前記作業空間よりも上方の位置に複数の前記吸い込み口が設けられ、これらの吸い込み口のうちの所望の吸い込み口から前記部屋の空気を排出することが好ましい。
【0037】
前記空調方法によれば、作業員の作業位置や作業員の人数、作業空間の大きさ等の条件に合わせて、適切な位置の吸い込み口から前記部屋の空気を排出することが可能となる。したがって前記空調方法によれば、室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去する上でより好ましい。
【0038】
本発明の置換換気による低露点室の空調方法は、前述した本発明の置換換気型低露点室を用いることによって実施することができる。
【0039】
本発明の置換換気型低露点室、及び置換換気による低露点室の空調方法は、リチウム電池や医薬品等の製造工程のように湿気によって製品の品質に悪い影響が及ぶおそれのある製造工程や、水分の付着が好ましくない製品の保管等の、非常に乾いた環境が必要とされる様々な分野に利用することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を以下に示す。
本実施の形態の置換換気型低露点室は、図1に示すように、作業員が内部で作業することができる部屋1と、部屋1に低露点空気を供給するための吹き出し口2と、部屋1の空気を排出するための吸い込み口3と、吹き出し口2に低露点空気を供給する低露点空気供給手段4とを有する。
【0041】
部屋1は、室外からの湿気の侵入を防ぐために気密に形成されている。部屋1には、例えばリチウム電池を製造するための機器5が設置されている。作業員は機器5の前にいて、機器5に関する作業を行っている。本実施の形態では、作業員と機器5とを囲む空間を作業空間6とする。
【0042】
吹き出し口2は、部屋1の壁の下部に設けられており、部屋1の床から所定の高さ(例えば機器5の高さ)まで開口している。
【0043】
吸い込み口3は、部屋1の天井に設けられている。吸い込み口3は、作業空間よりも上方の位置に開口しており、かつ作業空間6の直上に開口している。吹き出し口3は、吹き出し口3の本体と一体的に設けられる送風機f1を有している。
【0044】
低露点空気供給手段4は、図2に示すように、外気処理装置7と、除湿装置8と、空調装置9とを有する。
【0045】
外気処理装置7は、送風機f2と、その下流側に設けられる二つのフィルタF1及びF2とを有する。
【0046】
除湿装置8は、供給用の通気路10と、再生用の通気路11と、これらの通気路を横断する位置にそれぞれ設けられ、多孔質構造の吸着剤で形成された回転自在な二つの吸着ロータR1及びR2と、供給用の通気路10における吸着ロータR2の下流側と再生用の通気路11における吸着ロータR2の下流側とを接続するパージ用の通気路12とによって主に構成されている。
【0047】
供給用の通気路10は、外気処理装置7の下流側で二つに分岐した通気路のうちの一方の通気路であり、部屋1に供給される低露点空気を生成し供給するための通気路である。供給用の通気路10には、供給用の通気路10における上流側から順に、冷却コイルc1と、吸着ロータR1と、送風機f3と、冷却コイルc2と、吸着ロータR2と、冷却コイルc3とが設けられている。
【0048】
再生用の通気路11は、外気処理装置7の下流側で二つに分岐した通気路のうちの他方の通気路であり、吸着ロータの吸着力を再生するための通気路である。再生用の通気路11には、再生用の通気路11における上流側から順に、加熱コイルh1と、吸着ロータR2と、送風機f4と、加熱コイルh2と、送風機f5とが設けられている。
【0049】
吸着ロータR1は、供給用の通気路10を横断する部分である吸着部13と、再生用の通気路11を横断する部分である再生部14とが区分されている。吸着ロータR2は、供給用の通気路10を横断する部分である吸着部15と、パージ用の通気路12を横断する部分であるパージ部16と、再生用の通気路11を横断する部分である再生部17とが区分されている。なお、吸着ロータR2は、吸着部15、再生部17及びパージ部16の順に各区分を通過する方向に回転している。
【0050】
パージ用の通気路12は、供給用の通気路10における吸着ロータR2と冷却コイルc3との間から発し、吸着ロータR2を通って、再生用の通気路11における吸着ロータR2と送風機f4との間に接続する通気路である。
【0051】
空調装置9は、送風機f6と、その下流側に設けられる冷却コイルc4と、その下流側に設けられる加熱コイルh2と、その下流側に設けられるフィルタF3とを有する。
【0052】
低露点空気供給手段4による低露点空気の生成と供給について説明する。
まず、送風機f2によって送られてきた外気は、フィルタF1及びF2を通過する。フィルタF1及びF2は、外気から汚染物質を除去する。なお、外気処理装置7に送られる外気は、予め温度や湿度が適当に調整されている空気であることが好ましい。又は、外気処理装置7に温湿度調整手段を内蔵することが好ましい。
【0053】
外気処理装置7で処理された空気のうち、供給用の通気路10に送られた空気は、冷却コイルc1によって冷却され、吸着ロータR1の吸着部13を通過する。吸着部13は、通過する空気から水分を吸着する。吸着部13によって水分が除去された空気は、送風機f3によって送られ、冷却コイルc2によって冷却され、吸着ロータR2の吸着部15を通過する。吸着部15は、通過する空気から水分を吸着する。吸着部15によってさらに水分が除去された空気は、空気中の水分がほとんど除去され、低露点空気となる。
【0054】
低露点空気の一部は、パージ用の通気路12に送られる。その他の低露点空気は、冷却コイルc3によって冷却されて空調装置9に送られる。
【0055】
外気処理装置7で処理された空気のうち、再生用の通気路11に送られた空気は、加熱コイルh1によって加熱され、吸着ロータR2の再生部17を通過する。再生部17では、吸着ロータR2は、加熱コイルh1によって加熱された空気によって加熱され、吸着部15で吸着した水分を放出する。再生部17で水分を放出することによって、吸着ロータR2の吸着力は再生される。
【0056】
一方で、パージ用の通気路12に送られた低露点空気は、パージ部16を通過する。パージ部16では、吸着ロータR2は、低露点空気によって冷却される。パージ部16で冷却されることによって、吸着ロータR2の水分の吸着効率は、冷却しない場合に比べて高まる。パージ部16を通過した低露点空気は、再生部17を通過した空気と合流する。
【0057】
再生部17を通過した空気及びパージ部16を通過した低露点空気は、送風機f4によって加熱コイルh2に送られ、加熱コイルh2によって加熱され、吸着ロータR1の再生部14を通過する。再生部14では、吸着ロータR1は、加熱コイルh2によって加熱された空気によって加熱され、吸着部13で吸着した水分を放出する。再生部14で水分を放出することによって、吸着ロータR1の吸着力は再生される。
【0058】
再生部14を通過した空気は、送風機f5によって送られ、例えば外部に排出される。
【0059】
このように除湿装置8は、回転駆動する吸着ロータR1及びR2を有することから、低露点空気を連続して生成し、空調装置9に連続して供給することができる。
【0060】
除湿装置8から送られた低露点空気は、送風機f6によって冷却コイルc4及び加熱コイルh3に送られる。冷却コイルc4及び加熱コイルh3は、低露点空気の温度調節用の手段であり、必要に応じて低露点空気を冷却又は加熱し、低露点空気の乾球温度を調節する。必要に応じて温度調節された低露点空気は、フィルタF3を通過する。フィルタF3は、必要に応じて温度調節された空気に含まれる塵埃等の汚染物質を捕集する。フィルタF3を通過した低露点空気は、吹き出し口2に供給される。
【0061】
吹き出し口2に供給された低露点空気は、0.5m/s以下の適当な風速で吹き出し口2から部屋1に供給される。部屋1に供給された低露点空気は、床の上を水平方向に広がり、部屋の下部から溜まっていき、作業空間6を包み込む。前記風速は、前述した送風機f2、f3、及びf6によって適宜調整される。
【0062】
なお、吹き出し口2から供給される低露点空気の乾球温度は、部屋1の乾球温度に応じて異なるが、部屋1の乾球温度に比べて5〜10℃程度低いことが、低露点空気を部屋1の下部から溜めていき、所望の露点温度の空気で満たされる作業空間を形成する上で好ましい。低露点空気の乾球温度は、前述した冷却コイルc4及び加熱コイルh3によって適宜調整される。
【0063】
部屋1において作業員1から発生した湿気は、図1中の矢印に示すように、作業員から生じるプルーム及び機器5から生じるプルームに乗って作業空間6の上方に速やかに移行する。また、部屋1において作業員から発生した湿気は、空気よりも軽いことから、部屋の下部から順次溜まっていく低露点空気に押し出されることによっても作業空間6の上方に移行する。また、部屋1で発生した塵埃等の汚染物質も、前記プルームに乗って作業空間6の上方に移行する。
【0064】
作業空間6の上方に移行した空気は、吸い込み口3から室外に排出される。室外への排気は、例えば低露点空気供給手段4の運転に応じて送風機f1が運転するように構成し、低露点空気の供給量に応じた量の空気が部屋1から排出することによって、好ましく行われる。
【0065】
次に、数値解析によって低露点室の湿度分布を求め、本発明と従来技術とを比較した。なお、この数値解析では、パソコン用汎用三次元熱流体解析ソフトを使用した。
【0066】
前記数値解析における本発明の低露点室の解析モデル(以下、「解析モデルA」とも言う)は、図3に示すように、部屋1と、吹き出し口2と、吸い込み口3と、部屋1に設置される機器5及び人体モデル30とを有する。
【0067】
部屋1は、6,000mm四方の床と、この床を囲む高さ2,500mmの壁a〜dと、天井とを有する。
【0068】
吹き出し口2は、部屋1の壁aに設けられている。吹き出し口2は、部屋1の床面から1,000mmの高さで、壁aと壁aに隣り合う壁bとの角から3,000mmの長さで開口する開口部である。
【0069】
吸い込み口3は、部屋1における壁aと壁aに隣り合う壁dとの角付近の天井に設けられている。吸い込み口3は、長さが500mmで幅が400mmの大きさの開口部である。
【0070】
機器5は、壁aに対向する壁cと壁cに隣り合う壁dとの角に設けられている。機器5は、幅が1,000mm、長さが3,000mm、高さが1,000mmの大きさである。機器5は、長手方向が壁cに沿う向きに設けられている。
【0071】
人体モデル30は、機器5の長手方向における正面の位置に設けられている。人体モデル30は、幅が350mm、長さが500mm、高さが1,000mmの大きさである。人体モデル30は、人体から生じる熱や水分を考慮して、部屋1の床面から200mm程度高い位置に設けられている。
【0072】
前述した解析モデルAを用い、吹き出し口2からの低露点空気の供給量を2,700m/h、吹き出し口2からの低露点空気の風速を0.25m/s、吹き出し口2から供給される低露点空気の乾球温度を20.5℃、吹き出し口2から供給される低露点温度の絶対湿度を0.044g/kgDA(露点温度−45℃)、吸い込み口3から排出される部屋1の空気の排出量を2,700m/h、吸い込み口3から排出される空気の風速を3.8m/s、機器5の使用電力を5kW、人体モデル30の表面温度を33℃、人体モデル30から発生される湿分を120g/h、にそれぞれ設定し、解析モデルAの湿度分布を求めた。前述した設定で求めた解析モデルAの湿度分布のうち、部屋1の所定の断面における湿度分布を図4から図6に示す。
【0073】
図4に示す部屋1の断面は、部屋1の壁d側(例えば壁dからの距離が1,500mm)の縦断面(断面A)であり、壁b及び壁dに対して平行であり、機器5をその長手方向の中心を通って横断し、人体モデル30を縦断する断面である。
【0074】
図5に示す部屋1の断面は、部屋1の壁b側(例えば壁bからの距離が2,000mm)の縦断面(断面B)であり、壁b及び壁dに対して平行であり、吹き出し口2を横断する断面である。
【0075】
図6に示す部屋1の断面は、部屋1の所定の高さ(例えば床からの距離が1,000mm)の横断面(断面C)であり、床及び天井に対して平行であり、吹き出し口2の上縁及び機器5の上面を含み、人体モデル30を横断する断面である。
【0076】
また図4から図6の中に記載されている数値は、その数値を囲む領域の露点温度を示している。また図4から図6の中で数値の記載されていない領域は、露点温度が−25℃よりも高い領域である。
【0077】
図4からわかるように、解析モデルAでは、人体モデル30から発生した湿気は、上方に向けて移行する。また図5及び図6からわかるように、解析モデルAでは、人体モデル30や機器5から生じるプルームが存在しない空間では、供給された低露点空気の露点温度と同じ露点温度の空気で満たされている。また解析モデルAでは、人体モデル30から吸い込み口3に向けて、供給された低露点空気よりも露点温度の高い空間が分布している。
【0078】
しかしながら、従来の空調方法で先に例示したように、例えば要求露点温度を−32℃とすると、解析モデルAでは、やや壁a側への偏りが見られるものの、人体モデル30上方の空間を除いて要求露点温度が十分に達成されている。したがって、解析モデルAでは、非常に乾いた環境を実質的に必要とする空間(解析モデルAでは機器5周辺)において要求露点温度が十分に達成されていることがわかる。
【0079】
一方、前記数値解析における比較用(従来技術)の低露点室の解析モデル(以下、「解析モデルB」とも言う)は、吹き出し口の形状、配置と配置数、及び吸い込み口の配置が異なる以外は、前述した解析モデルAと同様に設定されている。すなわち、解析モデルBは、図7に示すように、部屋1と、吹き出し口32と、吸い込み口33と、部屋1に設置される機器5及び人体モデル30とを有する。
【0080】
吹き出し口32は、部屋1の天井に二つ設けられている。吹き出し口32は、長さが500mmで幅が400mmの大きさの開口部である。吹き出し口32は、人体モデル30よりも壁a寄りに設けられている。二つの吹き出し口32は、壁aから等しい距離だけ離れた位置に設けられており、かつ互いに長手方向が平行になるように並列に設けられている。
【0081】
吸い込み口33は、機器5及び人体モデル30よりも壁b寄りの天井に設けられている以外は、吸い込み口3と同様に設定されている。吸い込み口33は、壁bと壁bに隣り合う壁cとの角付近の天井に設けられており、吸い込み口33の長手方向が吹き出し口32の長手方向と平行になるように設けられている。
【0082】
前述した解析モデルBを用い、吹き出し口32一つ当たりの低露点空気の供給量を1,350m/h、吹き出し口32一つ当たりの低露点空気の風速を1.9m/s、にそれぞれ設定する以外は、前述した解析モデルAと同様に設定し、解析モデルBの湿度分布を求めた。前述した設定で求めた解析モデルBの湿度分布のうち、部屋1の断面A〜断面Cにおける湿度分布を図8から図10に示す。
【0083】
図8〜図10からわかるように、解析モデルBでは、人体モデル30から発生した湿気は部屋1全体に拡散し、部屋1に供給される低露点空気の露点温度と同じ露点温度の空間は存在しない。また図8からわかるように、解析モデルBでは、前記要求露点温度(露点温度−32℃)を達成できていない空間が一部存在する。したがって、解析モデルBでは、非常に乾いた環境を実質的に必要とする空間(機器5周辺)において要求露点温度が十分に達成されていない部分(機器5の側面)が存在していることがわかる。
【0084】
さらに、吸い込み口の配置を検証するために、図11に示すように、吸い込み口の位置を変えた本発明の低露点室の解析モデル(以下、「解析モデルC」とも言う)を設定し、解析モデルCの数値解析を行い、湿度分布を求めた。
【0085】
解析モデルCは、吸い込み口3の位置が異なる以外は、前述した解析モデルAと同様に設定されている。解析モデルCにおける吸い込み口3は、壁cと壁cに隣り合う壁dとの角付近の天井で、人体モデル30よりも壁d寄りに設けられている。
【0086】
解析モデルCを用い、前述した解析モデルAと同じ設定で解析モデルCの湿度分布を求めた。解析モデルCの湿度分布のうち、部屋1の断面A〜断面Cにおける湿度分布を図12から図14に示す。
【0087】
図12〜図14からわかるように、解析モデルCでは、人体モデル30から発生した湿気は、ほぼ上方にのみ移行し、人体モデル30の上方及びごく周辺を除く部屋1の空間は、部屋1に供給される低露点空気の露点温度と同じ露点温度の空気で満たされている。したがって、解析モデルCでは、要求露点温度が達成できていない空間がほとんど存在しないことがわかる。
【0088】
そこで、要求露点温度を達成するための低露点空気の供給を検証するために、部屋1に供給する低露点空気の露点温度を変えた本発明の低露点室の解析モデル(以下、「解析モデルD」とも言う)を設定した。
【0089】
解析モデルDは、吹き出し口2から供給される低露点温度の絶対湿度を0.137g/kgDA(露点温度−35℃)に設定した以外は、解析モデルCと同じに設定されている。この解析モデルDの数値解析を行い、解析モデルDの湿度分布を求めた。解析モデルDの湿度分布のうち、部屋1の断面A〜断面Cにおける湿度分布を図15から図17に示す。
【0090】
図15〜図17からわかるように、解析モデルDでは、人体モデルから発生した湿気は、ほぼ上方にのみ移行し、人体モデル30の上方及びごく周辺を除く部屋1の空間は、部屋1に供給される低露点空気の露点温度と同じ露点温度(露点温度−35℃)の空気で満たされている。したがって、解析モデルDでは、要求露点温度が達成できていない空間がほとんど存在せず、非常に乾いた環境を実質的に必要とする空間においても要求露点温度が十分に達成されていることがわかる。
【0091】
前述した解析モデルAと解析モデルBとを比較すると、部屋1に供給される低露点空気の露点温度及び供給量が同じであっても、解析モデルAでは機器5の周辺の空間で要求露点温度が達成されているが、解析モデルBでは機器5の周辺の一部の空間で要求露点温度が達成できていない。解析モデルBにおいて前記一部の空間でも要求露点温度を達成するためには、供給する低露点空気の露点温度をさらに下げるか、又は低露点空気の供給量及び風速を大きくする必要があると考えられる。したがって、同じ条件の低露点室を形成する場合に、解析モデルAは、解析モデルBに比べて、室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去し、コスト及び消費エネルギーをさらに削減することができる。
【0092】
また、前述した解析モデルAと解析モデルCとを比較すると、部屋1に供給される低露点空気の露点温度及び供給量が同じであっても、解析モデルCは、解析モデルAに比べて、より低い露点温度の空気で均一に満たされている。したがって、同じ条件で低露点室を形成する場合に、解析モデルCは、解析モデルAに比べて、より乾いた環境を形成することができる。
【0093】
また前述した解析モデルAと解析モデルDとを比較すると、部屋1に供給される低露点空気の露点温度を変えても、解析モデルDは、解析モデルAと同様に、機器5の周辺の空間で要求露点温度が達成されている。また解析モデルDは、解析モデルAに比べて、要求露点温度を達成する空気で部屋1全体が均一に満たされている。したがって、同じ条件の低露点室を形成する場合に、解析モデルDは、解析モデルAに比べて、コスト及び消費エネルギーをさらに削減することができる。
【0094】
なお、低露点室の形成に関する消費エネルギーは、部屋1に供給する低露点空気の露点温度と、低露点空気供給手段4における除湿装置8に要求される除湿能力と、装置容量比とを算出することにより比較することができる。除湿装置8の性能曲線から求めた露点温度、除湿能力、及び装置容量比の一例を表1に示す。
【0095】
【表1】
Figure 2004116854
【0096】
表1からわかるように、部屋1に供給する低露点空気の露点温度をより高くすることができると、除湿装置の容量を大幅に小さくすることが可能となる。したがって、本実施の形態によれば、従来の空調方法に比べて、より性能の低い除湿装置を使用することができ、また同じ性能の除湿装置であればより温和な条件の運転で使用することができるので、イニシャルコスト又はランニングコスト、及び消費エネルギーをより一層削減することができる。
【0097】
本発明の他の実施の形態を図18に示す。
この実施の形態では、吸い込み口3を複数有する点、及び、吸い込み口3よりも下流側の吸気経路に設けられる送風機f7と吸い込み口3との間には、それぞれの吸い込み口3に対応して自動弁v1〜v3が設けられている点以外は、前述した実施の形態と同様に構成されている。自動弁v1〜v3は、例えば部屋1の内部に設けられている操作盤によって、作業者が自在に開閉を操作できるものとする。
【0098】
本実施の形態によれば、作業者の位置に合わせていずれか一つ又は二つ以上の吸い込み口3から部屋1の空気を排出することができる。このような構成によれば、機器の配置、作業者の配置、及び作業の流れ等の条件に応じて、非常に乾いた環境を適切に形成することができ、有用性をより向上させることができる。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、作業員が内部で作業することができる部屋と、この部屋に低露点空気を供給するための吹き出し口と、部屋の空気を排出するための吸い込み口と、吹き出し口に低露点空気を供給する低露点空気供給手段とを有し、部屋の内部で作業員が作業する空間を作業空間としたときに、吹き出し口は作業空間の側方及び下方の少なくともいずれかの位置に開口するように設けられ、吸い込み口は、作業空間よりも上方の位置に開口するように設けられることから、作業空間の側方及び下方の少なくともいずれかの位置から低露点空気を部屋に供給して所望の露点温度の空気で満たされる作業空間を形成し、作業空間よりも上方の位置から前記部屋の空気を排出することができ、室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去し、コスト及び消費エネルギーのさらなる削減を可能とする低露点室を形成することができる。
【0100】
また本発明では、作業空間よりも上方の位置に複数の吸い込み口を有し、これらの吸い込み口のうちの所望の吸い込み口から部屋の空気を排出するための吸気切り替え手段をさらに有すると、これらの吸い込み口のうちの所望の吸い込み口から部屋の空気を排出することができ、室内にて人体から発生した湿気を拡散させずにかつ速やかに除去し、コスト及び消費エネルギーのさらなる削減を可能とする低露点室を形成する上でより一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における低露点室の構成を示す図である。
【図2】図1に示す低露点空気供給手段4の構成を示す図である。
【図3】本発明の低露点室の解析モデルの一つである解析モデルAにおける低露点室の構成を示す図である。
【図4】図3に示す低露点室をA−A線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図5】図3に示す低露点室をB−B線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図6】図3に示す低露点室をC−C線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図7】従来技術の低露点室の解析モデルである解析モデルBにおけるの低露点室の構成を示す図である。
【図8】図7に示す低露点室をA−A線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図9】図7に示す低露点室をB−B線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図10】図7に示す低露点室をC−C線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図11】本発明の低露点室の解析モデルの一つである解析モデルCにおける低露点室の構成を示す図である。
【図12】図11に示す低露点室をA−A線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図13】図11に示す低露点室をB−B線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図14】図11に示す低露点室をC−C線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図15】本発明の低露点室の解析モデルの一つである解析モデルDにおける低露点室をA−A線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図16】本発明の低露点室の解析モデルの一つである解析モデルDにおける低露点室をB−B線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図17】本発明の低露点室の解析モデルの一つである解析モデルDにおける低露点室をC−C線に沿って切断した断面における湿度分布を示す図である。
【図18】本発明の他の実施の形態における低露点室の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 部屋
2、32 吹き出し口
3、33 吸い込み口
4 低露点空気供給手段
5 機器
6 作業空間
7 外気処理装置
8 除湿装置
9 空調装置
10 供給用の通気路
11 再生用の通気路
12 パージ用の通気路
13、15 吸着部
14、17 再生部
16 パージ部
30 人体モデル
a〜d 壁
c1〜c4 冷却コイル
f1〜f7 送風機
F1〜F3 フィルタ
h1〜h3 加熱コイル
R1、R2 吸着ロータ
v1〜v3 自動弁

Claims (4)

  1. 作業員が内部で作業することができる部屋と、この部屋に低露点空気を供給するための吹き出し口と、前記部屋の空気を排出するための吸い込み口と、前記吹き出し口に低露点空気を供給する低露点空気供給手段と、を有し、
    前記部屋の内部で作業員が作業する空間を作業空間としたときに、
    前記吹き出し口は、前記作業空間の側方及び下方の少なくともいずれかの位置に開口するように設けられ、
    前記吸い込み口は、前記作業空間よりも上方の位置に開口するように設けられることを特徴とする置換換気型低露点室。
  2. 前記作業空間よりも上方の位置に複数の前記吸い込み口を有し、これらの吸い込み口のうちの所望の吸い込み口から前記部屋の空気を排出するための吸気切り替え手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の置換換気型低露点室。
  3. 作業員が内部で作業することができる部屋に、この部屋に設けられた吹き出し口から低露点空気を供給し、一方でこの部屋に設けられた吸い込み口から部屋の空気を排出して、前記部屋の内部に低湿の環境を形成する低露点室の空調方法において、
    前記部屋の内部で作業員が作業する空間を作業空間としたときに、前記吹き出し口は、前記作業空間の側方及び下方の少なくともいずれかの位置に開口するように設けられ、前記吸い込み口は、前記作業空間よりも上方の位置に開口するように設けられ、前記作業空間の側方及び下方の少なくともいずれかの位置から低露点空気を前記部屋に供給して所望の露点温度の空気で満たされる作業空間を形成し、前記作業空間よりも上方の位置から前記部屋の空気を排出することを特徴とする、置換換気による低露点室の空調方法。
  4. 前記作業空間よりも上方の位置に複数の前記吸い込み口が設けられ、これらの吸い込み口のうちの所望の吸い込み口から前記部屋の空気を排出することを特徴とする、請求項3記載の置換換気による低露点室の空調方法。
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