JP2004116643A - 位置決め装置 - Google Patents
位置決め装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004116643A JP2004116643A JP2002280386A JP2002280386A JP2004116643A JP 2004116643 A JP2004116643 A JP 2004116643A JP 2002280386 A JP2002280386 A JP 2002280386A JP 2002280386 A JP2002280386 A JP 2002280386A JP 2004116643 A JP2004116643 A JP 2004116643A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- housing
- process chamber
- block
- moving block
- pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C29/00—Bearings for parts moving only linearly
- F16C29/02—Sliding-contact bearings
- F16C29/025—Hydrostatic or aerostatic
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C32/00—Bearings not otherwise provided for
- F16C32/06—Bearings not otherwise provided for with moving member supported by a fluid cushion formed, at least to a large extent, otherwise than by movement of the shaft, e.g. hydrostatic air-cushion bearings
- F16C32/0603—Bearings not otherwise provided for with moving member supported by a fluid cushion formed, at least to a large extent, otherwise than by movement of the shaft, e.g. hydrostatic air-cushion bearings supported by a gas cushion, e.g. an air cushion
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C33/00—Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
- F16C33/72—Sealings
- F16C33/74—Sealings of sliding-contact bearings
- F16C33/741—Sealings of sliding-contact bearings by means of a fluid
- F16C33/748—Sealings of sliding-contact bearings by means of a fluid flowing to or from the sealing gap, e.g. vacuum seals with differential exhaust
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C2300/00—Application independent of particular apparatuses
- F16C2300/40—Application independent of particular apparatuses related to environment, i.e. operating conditions
- F16C2300/62—Application independent of particular apparatuses related to environment, i.e. operating conditions low pressure, e.g. elements operating under vacuum conditions
Abstract
【課題】差動排気シールに不具合が生じても、プロセス室内で実行されている加工処理に与える影響をことを極力回避できる位置決め装置を提供する。
【解決手段】位置決め装置110は、差動排気シール150に不具合が生じた場合、中間ブロック170を第1の筐体120に対して変位させることで、差動排気シール150がシールする中間ブロック170と移動ブロック130の間隙を減少させ、外部よりプロセス室P内へ大気が侵入するまでの時間を稼ぎ、それにより加工中の製品のダメージを抑制することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】位置決め装置110は、差動排気シール150に不具合が生じた場合、中間ブロック170を第1の筐体120に対して変位させることで、差動排気シール150がシールする中間ブロック170と移動ブロック130の間隙を減少させ、外部よりプロセス室P内へ大気が侵入するまでの時間を稼ぎ、それにより加工中の製品のダメージを抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば外部環境から隔離された室内でワークを移動可能な位置決め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置などにおいては、真空や特殊ガス雰囲気に維持したプロセス室内で、ワークをステージに載置して移動させて加工処理することが行われている。ここで、プロセス室内に位置決め装置を設けると、その可動部に補給する潤滑剤などが飛散してプロセス室内を汚染するおそれがある。
【0003】
このような問題に対して、たとえば米国特許第4191385号には、一体型負圧密封式ガス軸受組立体が開示されている。かかる従来技術においては、軸受ブロック上に2次元方向に移動可能な可動部を設け、さらに軸受ブロックと可動部との間にプロセス室を形成し、差動排気シールによりプロセス室と外部とを密封することによって、プロセス室を負圧環境に維持したまま、その内部で可動部上に載置したワークの処理を行えるようにしている。従って、ワークを駆動する駆動部をプロセス室外に設置することができ、それによりプロセス室の汚染を抑止でき、また駆動部のメンテナンスも容易に行えるようになっている。
【非特許文献1】
米国特許第4191385号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなプロセス室内における加工処理は、特殊な雰囲気(例えば負圧)下で行われるものであり、何らかの不具合により差動排気シールの機能が失われると、外部からプロセス室内へと大気が侵入し、それにより加工処理中の製品にダメージを与える恐れがある。これに対し、差動排気シールの不具合を回避するために、差動排気シールを駆動するために複数系統の配管や排気ポンプなどを設けると、設備の大型化やコストの増大を招くという問題がある。また、プロセス室内外の圧力差が大きい場合、軸受ブロックや可動部に大きな力が作用し、これを変形させる。特に、ワークが載置される可動部が変形あるいは変位することは、位置決め精度上好ましくない。例えばピッチング、ヨーイング、ローリング等が生じ、位置決め精度が低下するからである。
【0005】
そこで本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、プロセス室内外に大きな圧力差が生じても、可動部を高精度に位置決め可能で、かつシール性能を維持でき、さらに差動排気シールに不具合が生じても、プロセス室内で実行されている加工処理に与える影響をことを極力回避できる位置決め装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明の位置決め装置は、
減圧下に曝されるプロセス室内に連通する第1の開口を有する第1の筐体と、
少なくとも一方向に移動可能に設けられた移動ブロックと、
前記第1の開口に連通する中間開口を有し、前記移動ブロックと前記第1の筐体との間に設けられた中間ブロックと、
前記移動ブロックを、前記少なくとも一方向に移動可能に支持する案内手段と、
前記中間ブロックと前記第1の筐体との間に配置され、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記プロセス室内より高圧のプロセス室外と前記中間開口との間をシールするシール手段と、
前記中間開口を囲むようにして、前記中間ブロックと前記移動ブロックとの間に設けられ、前記プロセス室内と、前記プロセス室内よりも高圧のプロセス室外との間をシールする第1の差動排気シールと、
前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記移動ブロックと前記中間ブロックの第1の案内面とを所定の隙間を介して対向させる隙間調整手段とを有することを特徴とする。
【0007】
【作用】
本発明の位置決め装置は、減圧下に曝されるプロセス室内に連通する第1の開口を有する第1の筐体と、少なくとも一方向に移動可能に設けられた移動ブロックと、前記第1の開口に連通する中間開口を有し、前記移動ブロックと前記第1の筐体との間に設けられた中間ブロックと、前記移動ブロックを、前記少なくとも一方向に移動可能に支持する案内手段と、前記中間ブロックと前記第1の筐体との間に配置され、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記プロセス室内より高圧のプロセス室外と前記中間開口との間をシールするシール手段と、前記中間開口を囲むようにして、前記中間ブロックと前記移動ブロックとの間に設けられ、前記プロセス室内と、前記プロセス室内よりも高圧のプロセス室外との間をシールする第1の差動排気シールと、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記移動ブロックと前記中間ブロックの第1の案内面とを所定の隙間を介して対向させる隙間調整手段とを有するので、例えば第1の差動排気シールに不具合が生じた場合、前記中間ブロックを前記第1の筐体に対して変位させることで、前記第1の差動排気シールがシールする前記中間ブロックと前記移動ブロックの間隙を減少させ、あるいは隙間をなくし、外部より前記プロセス室内へ大気が侵入するまでの時間を遅らせ、それにより加工中の製品のダメージを抑制することができる。また、第1の筺体の変形に関わらず、中間ブロックと移動ブロックとの隙間を所定の値に維持できる。さらに、第1の筺体の変形に関わらず、移動ブロックの変形あるいは変位を抑制でき、移動ブロックの高精度な位置決めを可能とする。
【0008】
更に、前記移動ブロックを挟んで前記プロセス室と反対側に、前記プロセス室外より低圧の第1の減圧室を設けた第2の筐体を有すると、前記移動ブロックを挟んで、前記プロセス室の第1の開口(すなわち前記中間ブロックの中間開口)内の気圧と、前記第1の減圧室内の気圧とを近づけることで、たとえ前記移動ブロックの肉厚を薄くしてもその変形を効果的に抑えることができ、それにより軽量でありながら高精度な位置決めを達成する位置決め装置を提供できる。又、前記隙間調整手段が、前記移動ブロックを、前記第1の案内面に対して所定の隙間を介して対向した状態で、前記少なくとも一方向に移動可能に支持するので、前記第1の差動排気シールの機能を安定して発揮でき、また前記移動ブロックの案内方向以外のスペースの有効活用が図れる。尚、前記第1の開口内の気圧と前記第1の減圧室内の気圧とは、必ずしも一致させる必要はない。
【0009】
又、前記隙間調整手段は、静圧軸受又は磁気軸受を含むと好ましい。
【0010】
更に、前記隙間調整手段は、前記移動ブロックと、前記第1の案内面との間の前記所定の隙間を変更可能となっていると、位置決め装置の仕様に応じて、例えば部材の干渉を抑制するため前記所定の隙間を広げるなどの調整が可能となる。すなわち、要求されるシール性能に対して、可能な限り隙間を広げることが容易に可能となる。また差動排気シールが不具合の場合、隙間をゼロにすることにより、プロセス室内への大気の侵入の時間を遅らせることもできる。
【0011】
又、前記第1の減圧室は、前記プロセス室に対応した第2の開口を有する第2の筐体内に形成され、前記第2の開口には、前記移動ブロックとの間に、所定の隙間を介して対向した状態で案内する第2の案内面と、前記第2の案内面と前記移動ブロックとの対向面に設けられ、前記第1の減圧室内と、前記第1の減圧室内よりも高圧の減圧室外との間をシールする第2の差動排気シールとが設けられていれば、前記第2の筐体に対して、前記移動ブロックを移動可能に案内でき、且つ前記第1の減圧室内を、前記減圧室外の気圧に関わらず所定の気圧に維持することができる。尚、第2の筐体は、第1の筐体と一体でも別体でも良い。
【0012】
更に、前記第2の筐体を挟んで前記第1の減圧室と反対側に、前記プロセス室外より低圧の第2の減圧室を設けたので、前記第2の筐体の変形を抑制できる。これにより、さらに移動ブロックの変位あるいは変形を可及的に抑制することができる。尚、前記第1の減圧室の気圧と前記第2の減圧室内の気圧とは、必ずしも一致させる必要はない。
【0013】
ここで、差動排気シールとは、例えば対向する2面間の微小な間隙にある気体を排気することにより、非接触の状態で、対向面を挟む両側の雰囲気(例えば大気圧と高真空)を一定の状態に保つように機能するものをいう。以下に述べる実施の形態においては、排気面を有する部材を差動排気シールという。また[請求の範囲]中の「相対変位」には、[発明の詳細な説明]中の微小な移動による変位と微小変形による変位との両方を含むものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる位置決め装置110の正面断面図であり、密閉されている筐体の上部を省略し且つ差動排気シール及び静圧軸受に関しては簡略化して示している。図2は、図1の位置決め装置110を矢印II−IIで分離して矢印方向に見た図である。図3は、図2の位置決め装置110を矢印III−IIIで切断して矢印方向に見た図である。図4、5は、それぞれ図2の位置決め装置110をIV−IV、V−V線で切断して矢印方向に見た図である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の位置決め装置110は、プロセス室Pを含み且つプロセス室Pとその外部とを連通する開口120aを有する第1の筐体120と、第1の筐体120の開口120aに対向して配置された移動ブロック130と、第1の筐体120と移動ブロック130との間に挟まれた中間ブロック170と、移動ブロック130を挟んで第1の筐体120(或いは中間ブロック170)の反対側に配置された第2の筐体140とから構成されている。プロセス室Pは、不図示のポンプにより吸引され負圧となっている。尚、第1の筐体120は、定盤100に対し不図示の支持脚で固定支持されており、中間ブロック170は、第1の筐体120に固定されておらず、移動ブロック130に対しても通常、非接触の状態を保っている(フローティング状態)。
【0016】
図1,図4,5で、移動ブロック130の両側の上面は、中間ブロック170を所定の隙間を介して、隙間調整手段の一部を構成する静圧軸受181(その下面が第1の案内面)で支持し、移動ブロック130の両側の下面は、第2の筐体140が設置されている定盤100に対して所定の隙間を介して、一対のリニアガイド190により、紙面に垂直方向に移動自在に支持されている。従って、移動ブロック130は、図1において紙面に垂直方向に(図2においては上下方向に)移動可能となっている。案内手段である転がり式のリニアガイド190は、それぞれ定盤100上に設置されたベース191上に設けられたレール192と、移動ブロック130を支持しつつ多数の転動体を介してレール192に跨設され、低フリクションで移動可能なスライダ193とからなる。案内手段は、リニアガイド190に代えて、転がり式の他の案内軸受や静圧軸受、磁気軸受等であっても良い。但し、静圧軸受や磁気軸受を使用の場合、別途、移動ブロック130のタッチダウン防止のための機構を設ける。転がり式の案内手段を用いれば、このような機構は不要となる。なお、案内手段及び隙間調整手段を構成する軸受は、後述のOーリング171に対し、十分に大きな軸受剛性を有するものを用いる。
【0017】
尚、本実施の形態では、静圧軸受181は、平板形の多孔質グラファイトでなるもので、その軸受面が、中間ブロック170と面一となるように固定されており、矢印で簡略的に示すエア供給路を介して、外部の給気ポンプP4からエアが供給されるようになっている。静圧軸受181は、給気ポンプP4から圧送された空気により、対向する面を非接触に支持することができる。
【0018】
静圧軸受181に隣接し且つその内側における移動ブロック130の上面と、中間ブロック170との間は、第1の差動排気シール150で密封され、リニアガイド190の内側における移動ブロック130の下面と、第2の筐体140との間は、第2の差動排気シール160により密封されている。差動排気シール150,160は、排気ポンプP2に吸引されることで差圧室(後述の溝151、152、153、及び161、162、163)内を負圧としている。更に、静圧軸受181と第1の差動排気シール150との間の環状空間154(詳細は後述)は、大気圧に維持されるようになっている。
【0019】
筐体120の下壁120cに、長孔状の開口(第1の開口)120aが形成されている。図1で、筐体120の下壁120cの下面には、長円形状の浅い座繰り部120dが形成されている。下壁120cに対向する中間ブロック170の上面には、座繰り部120dの周囲に沿って溝部170aが形成されている。溝部170a内には、シール手段としてのO−リング171が配置されている。O−リング171は、筐体120の下壁120cの下面に当接し、中間ブロック170との間を密封するようになっており、中間ブロック170が変位しても密封を維持するようになっている。O−リング171の代わりにベローズ等を用いても良い。
【0020】
中間ブロック170の中央には長円の開口170bが形成されている。かかる開口170b及び第1の筐体120の開口120aを非接触に貫通するようにして、軸131が延在している。軸131は、移動ブロック130の上面に取り付けられて一体となっている。軸131内を貫通する通路132は、第1の筐体120内のプロセス室Pと、第2の筐体140と移動ブロック130と第2の差動排気シール160とで形成された第1の減圧室Rとを連通している。第1の減圧室Rが移動ブロック130の下面と対向している部分が、開口(第2の開口)140aとなっている。尚、移動ブロック130は、不図示の駆動部に、連結部133(図1、図2及び図5)を介して連結されている。駆動部としては、例えばモータとボールねじ等の送りねじとの組み合わせ、モータとベルト及びプーリとの組み合わせ、或いはリニアモータ等を用いることができる。駆動機構としては、これに限らず、例えば定盤100上に固定された超音波モータにより直接移動ブロック130の側面を摩擦力を介して駆動するものも用いることができる。又、連結部133を設ける代わりに、移動ブロック130の長手方向端部に、連結部を設け、これを介して駆動部を連結するようにしても良い。
【0021】
差動排気シール160は、溝161,162,163と,連通孔165,166,167と、排気孔169とから構成される。図1で、第2の筐体140の上面に形成された長円状の減圧室Rの周囲に沿って、後述の溝151〜154と同様に、4本の溝161〜163がトラック状に延在している。後述の図2に示す溝151〜153の場合と同様、溝161〜163の溝底から、第2の筐体140の内部に向かって、それぞれ連通孔165〜167が形成され、図4,5に示すごとく第2の筐体140の内部を長手方向に延在する6本の排気孔169に連通している。排気孔169は、両端が第2の筐体140の外部へと抜けており、それぞれ排気ポンプP2(図1)に接続されているが、図4,5に示すように、第2の筐体140の内部に向かうに連れ(すなわち開口170b寄りのものほど)太くなる径を有していると好ましい。また、図1では簡略的に排気ポンプP2を示しているが、具体的には溝161、162、163に対応してそれぞれ異なるポンプが接続されている。
【0022】
差動排気シール150は、溝151,152,153と,連通孔155,156,157と、排気孔159とから構成される。図2において、中間ブロック170に形成された長孔170bの周囲に沿って、4本の溝151〜154がトラック状に延在している。そのうち溝154(前記環状空間)は、接線方向両側に延び中間ブロック170の両端面で大気に開放している。図2,図5に示すように、溝151〜153の溝底から、中間ブロック170の内部に向かって、それぞれ連通孔155〜157が形成され、図4,5に示すごとく中間ブロック170の内部を長手方向に延在する6本の排気孔159に連通している。排気孔159は、両端が中間ブロック170の外部へと抜けており、それぞれ排気ポンプP2(図1)に接続されているが、図4,5に示すように、中間ブロック170の内部に向かうに連れ(すなわち開口170b寄りのものほど)太くなる径を有していると好ましい。また、図1では簡略的に排気ポンプP2を示しているが、具体的には溝151、152、153に対応してそれぞれ異なるポンプが接続されている。
【0023】
次に、本実施の形態に係る位置決め装置110の動作について説明する。不図示の駆動源の駆動力は、連結部材133を介して移動ブロック130に伝達され、それにより軸131も一体で移動するので、軸131の上端に取り付けられたテーブルに載置されたワーク(不図示)を、第1の筐体120内で任意の位置に位置決めできる。
【0024】
更に、本実施の形態の動作を、制御回路図である図6を用いて説明する。ここで、何らかの不具合により、排気ポンプP2の吸引性能が低下したとする。かかる状態を放置すると、差動排気シール150の密封機能が失われ、外部よりプロセス室P内に大気が侵入して、処理中の製品にダメージを与える恐れがある。そこで、本実施の形態の場合、異常検出部Sが排気ポンプP2の吸引性能低下を検出することで、制御部Cに信号を送信し、それに応じて制御部Cは、流量調整部Vを駆動して、例えば静圧軸受181と給気ポンプP4との間の配管を絞るなどすることで、エア供給量を抑えて静圧軸受181の機能を低下させる。すると、図1において、移動ブロック130に対して、中間ブロック170が接近し、その間の間隔が狭くなる。それにより、急激にプロセス室P内に大気圧が侵入することが抑制され、復旧に必要な処理をとる時間を稼ぐことができる。このとき、O−リング171の変形は若干元に戻るが、密封機能は維持されており、中間ブロック170と第1の筐体120との間の間隙を通って、大気が内部に進入することを阻止できる。
【0025】
尚、排気ポンプP2に異常がない場合に、第1の筐体120の内部が真空であると、第1の筐体120の内外の気圧差が大きくなり、それに応じて第1の筐体120が微小変形する。より具体的には、開口120aの付近が最も剛性が低いので、図1で開口120aを上方に押し上げるように変形する。本実施の形態においては、第1の筐体120の下壁120cの中央部が変形により上方に移動しても、変形吸収手段としてのO−リング171は、第1の筐体120の下壁120cの下面から離隔することがなく、第1の筐体120と中間ブロック170との間の密閉性は維持される。すなわち、予め第1の筐体120の変形量(かかる変形は第1の筐体120と中間ブロック170との間の微小隙間により保証される)を見込み、常にO−リング171が第1の筐体120と中間ブロック170との双方に密着した状態を保つように設定されている。つまり、プロセス室P内が減圧され、第1の筐体120の下壁120cがたわみにより上方に変位するにつれ、O−リング171の弾性変形量(つぶれ代)は小さくなってくるが、想定される最大変位量に達しても、O−リング171の弾性変形が完全になくなることがないようにしている。すなわち、第1の筐体120は、定盤100上に不図示の支持脚を介して支持されており、一方、リニアガイド190よりなる移動ブロック130の案内機構も、定盤100上面を基準にして固定されているので、前記支持脚の高さと中間ブロック170の上面の高さの差が、上記の条件を満たすように設定されている。このように、変形吸収手段としてO−リング171を用いることにより、部品点数が少なくて済む簡単な構成を達成でき、移動ブロック130の案内機構を構成するリニアガイド190に、第1の筐体120の変形による影響を及ぼすことが回避される。
【0026】
又、本実施の形態では、第2の筐体140の第1の減圧室Rが通路132を介してプロセス室Pに連通しているので、第1の減圧室Rの気圧はプロセス室Pの気圧に一致する。従って上下面の気圧が釣り合っているので、移動ブロック130の中央の変形を抑制できる。更に、本実施の形態では、O−リング171の位置は、上面から見て、差動排気シール150と静圧軸受181との間(大気に連通する溝154)と略一致するため、プロセス室Pにつながる中間ブロック170の上面の溝170aの内側の範囲が真空になった場合に、中間ブロック170の反対側が差動排気シール150となることから、中間ブロック170の変形を効果的に抑制することができる。すなわち、差動排気シール150の部分の中間ブロック170と移動ブロック130との間の隙間内の気圧は、プロセス室P内とは同一ではないが、十分これに近いと考えることができる。それでもなお、中間ブロック170がわずかに変位あるいは変形する可能性はあるが、移動ブロック130と中間ブロック170とは、静圧軸受181により所定の隙間に保持されるので、差動排気シール150の性能を一定に保つことができる。一方、移動ブロック130は、その上下面に差動排気シール150,160とを対向させて釣り合わせ、静圧軸受181の正静圧は,リニアガイド190により受けられるので、これらに起因する曲げ変形も殆どないこととなる。これらにより、中間ブロック170の下面と移動ブロック130の上面との間隔は略初期状態に維持されるので、差動排気シール150及び静圧軸受181の機能を損なうことがなく、移動ブロック130の下面と第2の筐体140の上面との間隔も略初期状態に維持される。又、プロセス室Pの内部と外部(大気圧下)との差圧に起因する軸受に対する負荷がないので、前記差圧が変動しても軸受に対する負荷は変動することはない。また、以上のように第1の筺体120の変形にかかわらず、移動ブロック130の位置は、ほぼ不変に保たれるので、軸131に取り付けられるワークの位置決めを常に高精度に保てる。更に、本実施の形態によれば、移動ブロック130を囲う必要がないので、構成の簡素化を図れ、図4,5において、例えばリニアガイド190に隣接して駆動源などを配置することができる。
【0027】
尚、通路132を設ける代わりに、第1の減圧室R内を減圧するポンプを別個に設けるようにしてもよい。この場合、第1の減圧室R内は、例えば104Pa程度にすることにより、移動ブロック130等の変形を抑制できるので、このポンプ及び差動排気シール160のためのポンプの能力は低いもので済むという利点がある。
【0028】
更に、本実施の形態は、排気ポンプなどの不具合に応じて、中間ブロック170と移動ブロック130との間隙を変化することにとどまらず、より積極的に、かかる間隙を調整することが考えられる。この例を、別な制御回路を示す図7を用いて説明する。制御回路Cは、例えば移動ブロック130と中間ブロック170との隙間の設定値を取り込むことができる。例えば、移動ブロック130と中間ブロック170との隙間を増加させたい場合には、制御回路Cが流量調整部Vを駆動して、エア供給量(圧力)を増大させることで間隙を広くして両者の干渉を抑制し、移動ブロック130と中間ブロック170との隙間を減少させい場合には、流量調整部Vを駆動して、エア供給量(圧力)を減少させることで間隙を狭くすることができる。かかる調整は、上述したように、不図示の絞り等を用いて静圧軸受181のエア吹き出し圧力を変更することで適宜行うことができる。さらに、本実施の形態では隙間調整手段で静圧軸受を使用したが、これに代えて磁気軸受を用いてもよい。この場合、給気ポンプ及び流量調整部に代え、磁気軸受への供給電圧を調整し供給する電圧供給部を設ける。
【0029】
本実施の形態の変形例としては、中間ブロック170と移動ブロック130とのシール面の接触を抑制する手段を設けることができる。例えば、図1で点線で示すように、定盤100上に、伸縮自在な軸135aを有するエアシリンダ135を設け、中間ブロック170と移動ブロック130との間隙に応じて、軸135aを伸縮させ又は退避させ、静圧軸受181の機能低下が生じた場合、或いは不測の外力が働いた場合でも、中間ブロック170が移動ブロック130に衝接する前に、軸135aを適宜伸ばして当接させるようにできる。
【0030】
別な変形例においては、中間ブロック170と移動ブロック130の端部近傍を示す図8において、静圧軸受181の外側に、所定の高さ(例えば数μm)の突起130aを設けることで、静圧軸受181の機能低下が生じた場合、或いは不測の外力が働いた場合でも、中間ブロック170が移動ブロック130に衝接する前に、突起130aに当接させるようにできる。かかる突起は、中間ブロック170側に設けても良いし、スペーサであっても良い。
【0031】
図9は、第2の実施の形態にかかる位置決め装置210の正面断面図である。本実施の形態においては、上述した実施の形態に対し、第2の筐体及び定盤の構成のみが異なるので、共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図9において、第2の筐体240には、差動排気シール160に隣接して、静圧軸受281が形成されている。静圧軸受281(その上面が第2の案内面)は、給気ポンプP3よりエアの供給を受ける。第2の減圧室Qが、第2の筐体240と定盤100の座繰り部101との間に形成されている。第2の筐体240を貫通する通路241が、第1の減圧室Rと第2の減圧室Qとを連通している。座繰り部101の外側に沿った第2の筐体240の下面には、周溝240aが形成され、その中にO−リング271が配置されている。O−リング271は、第2の筐体240の下面に当接し、その間隙を密封するようになっており、第2の筐体240が変位しても密封を維持するようになっている。O−リング271の代わりにベローズ等を用いても良い。
【0033】
第2の筐体240には、定盤100内部の孔102に挿通され、第2の筐体240のネジ孔240bにボルト203が螺合され固定されている。尚、図では誇張して示されているが、定盤100の孔102の底部と、ボルト203の頭部との間には、所定の間隙(例えば数μm)の隙間が介在するので、この間隙の範囲内で、第2の筐体240は変位又は変形が可能となっている。但し、定盤100の孔102の底部と、ボルト203の頭部との間隙は、第2の筐体240と移動ブロック130との間隙より小さいので、不測の事態により静圧軸受281の機能が失われたときにも、第2の筐体240が浮き上がって移動ブロック130に衝接するなどの不具合を回避できる。
【0034】
第2の実施の形態に特有な動作を説明する。何らかの不具合により、排気ポンプP2の吸引性能が低下し、差動排気シール160の機能低下が生じたとする。かかる場合、本実施の形態においては、図6を参照して、異常検出部Sが排気ポンプP2の吸引性能低下を検出することで、制御部Cに信号を送信し、それに応じて制御部Cは、流量調整部Vを駆動して、例えば静圧軸受281と給気ポンプP3(図9)との間の配管を絞るなどすることで、エア供給量を抑えて静圧軸受281の機能を低下させる。すると、図9において、定盤100に対して、第2の筐体240が浮き上がり、その間の間隔が広くなる。それにより、急激にプロセス室P内に大気圧が侵入することが抑制され、復旧に必要な処理をとる時間を稼ぐことができる。このとき、O−リング271の変形は若干元に戻るが、密封機能は維持されており、第2の筐体240と定盤100との間の間隙を通って、大気が内部に進入することを阻止できる。
【0035】
又、本実施の形態では、第1の減圧室Rが通路241を介して第2の減圧室Qに連通しているので、第1の減圧室Rの気圧(すなわちプロセス室Pの気圧)は、第2の減圧室Qの気圧に一致する。従って上下面の気圧が釣り合っているので、第2の筐体240の中央の変形を抑制できる。更に、本実施の形態では、O−リング271の位置は、上面から見て、差動排気シール160と静圧軸受281との間(大気に連通する溝164)と略一致するため、周溝240aの内側の範囲が真空になった場合に、第2の筐体240の反対側が差動排気シール150となることから、第2の筐体240の変形を効果的に抑制することができる。すなわち、差動排気シール160の部分の第2の筐体240と移動ブロック130との間の隙間内の気圧は、プロセス室P内とは同一ではないが、十分これに近いと考えることができる。一方、移動ブロック130は、その上下面に差動排気シール150,160とを対向させて釣り合わせ、静圧軸受281の正静圧は,リニアガイド190により受けられるので、これらに起因する曲げ変形も殆どないこととなる。これに加え、移動ブロック130の上下面の静圧軸受181、差動排気シール150、開口170bと静圧軸受281、差動排気シール160、減圧室Rとを対称に配したことに加えて、第1の筺体120の座ぐり部120dと定盤100の座ぐり部101とを対称に配していることにより、移動ブロック130の変形をさらに確実に抑制できる。これらにより、第2の筐体240の上面と移動ブロック130の下面との間隔は略初期状態に維持されるので、差動排気シール160及び静圧軸受281の機能を損なうことがなく、移動ブロック130の上面と中間ブロック170の下面との間隔も略初期状態に維持される。又、プロセス室Pの内部と外部(大気圧下)との差圧に起因する軸受に対する負荷がないので、前記差圧が変動しても軸受に対する負荷は変動することはない。
【0036】
本実施の形態の変形例としては、上述した実施の形態と同様に、中間ブロック170と移動ブロック130とのシール面の接触を抑制する手段を設けることができる。例えば、図9で点線で示すように、中間ブロック170を延長し、更に定盤100上に、伸縮自在な軸135aを有するエアシリンダ135を設け、中間ブロック170と移動ブロック130との間隙に応じて、軸135aを伸縮させ又は退避させ、静圧軸受181の機能低下が生じた場合、或いは不測の外力が働いた場合でも、中間ブロック170が移動ブロック130衝接する前に、軸135aを適宜伸ばして当接させるようにできる。
【0037】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、差動排気シール150の溝部151,152、153及び差動排気シール160の溝部161,162、163は、3列にしたが、これに限定されず、吸引ポンプの性能、プロセス室内外の差圧の大きさ、等に応じ、2列あるいは4列以上としても良い。また、第1の筐体120と、中間ブロック170との隙間の大きさも、吸引ポンプ等の性能との兼ね合いで決まるもので、数μmから数100μmまで適宜選択可能である。さらに、軸受としては、リニアガイドや静圧軸受に限らず、例えばクロスローラガイド等、他の転がり軸受など各種の軸受を用いることができる。またO−リング等の位置決め用の溝部を中間ブロック側に設けるようにしたが、第1の筐体側、あるいは双方に設けられるようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明の位置決め装置は、減圧下に曝されるプロセス室内に連通する第1の開口を有する第1の筐体と、少なくとも一方向に移動可能に設けられた移動ブロックと、前記第1の開口に連通する中間開口を有し、前記移動ブロックと前記第1の筐体との間に設けられた中間ブロックと、前記移動ブロックを、前記少なくとも一方向に移動可能に支持する案内手段と、前記中間ブロックと前記第1の筐体との間に配置され、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記プロセス室内より高圧のプロセス室外と前記中間開口との間をシールするシール手段と、前記中間開口を囲むようにして、前記中間ブロックと前記移動ブロックとの間に設けられ、前記プロセス室内と、前記プロセス室内よりも高圧のプロセス室外との間をシールする第1の差動排気シールと、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記移動ブロックと前記中間ブロックの第1の案内面とを所定の隙間を介して対向させる隙間調整手段とを有するので、例えば第1の差動排気シールに不具合が生じた場合、前記中間ブロックを前記第1の筐体に対して変位させることで、前記第1の差動排気シールがシールする前記中間ブロックと前記移動ブロックの間隙を減少させ、あるいは隙間をなくし、外部より前記プロセス室内へ大気が侵入するまでの時間を遅らせ、それにより加工中の製品のダメージを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる位置決め装置110の正面断面図である。
【図2】図1の位置決め装置110を矢印II−IIで切断して矢印方向に見た図である。
【図3】図2の位置決め装置110を矢印III−IIIで切断して矢印方向に見た図である。
【図4】図2の位置決め装置110をIV−IV線で切断して矢印方向に見た図である。
【図5】図2の位置決め装置110をV−V線で切断して矢印方向に図である。
【図6】本実施の形態の制御回路を示す図である。
【図7】本実施の形態の制御回路を示す図である。
【図8】本実施の形態にかかる変形例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の位置決め装置を示す正面断面図である。
【符号の説明】
110、210 位置決め装置
120 第1の筐体
130 移動ブロック
140,240 第2の筐体
170 中間ブロック
150,160 差動排気シール
P プロセス室
R 第1の減圧室
Q 第2の減圧室
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば外部環境から隔離された室内でワークを移動可能な位置決め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置などにおいては、真空や特殊ガス雰囲気に維持したプロセス室内で、ワークをステージに載置して移動させて加工処理することが行われている。ここで、プロセス室内に位置決め装置を設けると、その可動部に補給する潤滑剤などが飛散してプロセス室内を汚染するおそれがある。
【0003】
このような問題に対して、たとえば米国特許第4191385号には、一体型負圧密封式ガス軸受組立体が開示されている。かかる従来技術においては、軸受ブロック上に2次元方向に移動可能な可動部を設け、さらに軸受ブロックと可動部との間にプロセス室を形成し、差動排気シールによりプロセス室と外部とを密封することによって、プロセス室を負圧環境に維持したまま、その内部で可動部上に載置したワークの処理を行えるようにしている。従って、ワークを駆動する駆動部をプロセス室外に設置することができ、それによりプロセス室の汚染を抑止でき、また駆動部のメンテナンスも容易に行えるようになっている。
【非特許文献1】
米国特許第4191385号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなプロセス室内における加工処理は、特殊な雰囲気(例えば負圧)下で行われるものであり、何らかの不具合により差動排気シールの機能が失われると、外部からプロセス室内へと大気が侵入し、それにより加工処理中の製品にダメージを与える恐れがある。これに対し、差動排気シールの不具合を回避するために、差動排気シールを駆動するために複数系統の配管や排気ポンプなどを設けると、設備の大型化やコストの増大を招くという問題がある。また、プロセス室内外の圧力差が大きい場合、軸受ブロックや可動部に大きな力が作用し、これを変形させる。特に、ワークが載置される可動部が変形あるいは変位することは、位置決め精度上好ましくない。例えばピッチング、ヨーイング、ローリング等が生じ、位置決め精度が低下するからである。
【0005】
そこで本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、プロセス室内外に大きな圧力差が生じても、可動部を高精度に位置決め可能で、かつシール性能を維持でき、さらに差動排気シールに不具合が生じても、プロセス室内で実行されている加工処理に与える影響をことを極力回避できる位置決め装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明の位置決め装置は、
減圧下に曝されるプロセス室内に連通する第1の開口を有する第1の筐体と、
少なくとも一方向に移動可能に設けられた移動ブロックと、
前記第1の開口に連通する中間開口を有し、前記移動ブロックと前記第1の筐体との間に設けられた中間ブロックと、
前記移動ブロックを、前記少なくとも一方向に移動可能に支持する案内手段と、
前記中間ブロックと前記第1の筐体との間に配置され、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記プロセス室内より高圧のプロセス室外と前記中間開口との間をシールするシール手段と、
前記中間開口を囲むようにして、前記中間ブロックと前記移動ブロックとの間に設けられ、前記プロセス室内と、前記プロセス室内よりも高圧のプロセス室外との間をシールする第1の差動排気シールと、
前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記移動ブロックと前記中間ブロックの第1の案内面とを所定の隙間を介して対向させる隙間調整手段とを有することを特徴とする。
【0007】
【作用】
本発明の位置決め装置は、減圧下に曝されるプロセス室内に連通する第1の開口を有する第1の筐体と、少なくとも一方向に移動可能に設けられた移動ブロックと、前記第1の開口に連通する中間開口を有し、前記移動ブロックと前記第1の筐体との間に設けられた中間ブロックと、前記移動ブロックを、前記少なくとも一方向に移動可能に支持する案内手段と、前記中間ブロックと前記第1の筐体との間に配置され、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記プロセス室内より高圧のプロセス室外と前記中間開口との間をシールするシール手段と、前記中間開口を囲むようにして、前記中間ブロックと前記移動ブロックとの間に設けられ、前記プロセス室内と、前記プロセス室内よりも高圧のプロセス室外との間をシールする第1の差動排気シールと、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記移動ブロックと前記中間ブロックの第1の案内面とを所定の隙間を介して対向させる隙間調整手段とを有するので、例えば第1の差動排気シールに不具合が生じた場合、前記中間ブロックを前記第1の筐体に対して変位させることで、前記第1の差動排気シールがシールする前記中間ブロックと前記移動ブロックの間隙を減少させ、あるいは隙間をなくし、外部より前記プロセス室内へ大気が侵入するまでの時間を遅らせ、それにより加工中の製品のダメージを抑制することができる。また、第1の筺体の変形に関わらず、中間ブロックと移動ブロックとの隙間を所定の値に維持できる。さらに、第1の筺体の変形に関わらず、移動ブロックの変形あるいは変位を抑制でき、移動ブロックの高精度な位置決めを可能とする。
【0008】
更に、前記移動ブロックを挟んで前記プロセス室と反対側に、前記プロセス室外より低圧の第1の減圧室を設けた第2の筐体を有すると、前記移動ブロックを挟んで、前記プロセス室の第1の開口(すなわち前記中間ブロックの中間開口)内の気圧と、前記第1の減圧室内の気圧とを近づけることで、たとえ前記移動ブロックの肉厚を薄くしてもその変形を効果的に抑えることができ、それにより軽量でありながら高精度な位置決めを達成する位置決め装置を提供できる。又、前記隙間調整手段が、前記移動ブロックを、前記第1の案内面に対して所定の隙間を介して対向した状態で、前記少なくとも一方向に移動可能に支持するので、前記第1の差動排気シールの機能を安定して発揮でき、また前記移動ブロックの案内方向以外のスペースの有効活用が図れる。尚、前記第1の開口内の気圧と前記第1の減圧室内の気圧とは、必ずしも一致させる必要はない。
【0009】
又、前記隙間調整手段は、静圧軸受又は磁気軸受を含むと好ましい。
【0010】
更に、前記隙間調整手段は、前記移動ブロックと、前記第1の案内面との間の前記所定の隙間を変更可能となっていると、位置決め装置の仕様に応じて、例えば部材の干渉を抑制するため前記所定の隙間を広げるなどの調整が可能となる。すなわち、要求されるシール性能に対して、可能な限り隙間を広げることが容易に可能となる。また差動排気シールが不具合の場合、隙間をゼロにすることにより、プロセス室内への大気の侵入の時間を遅らせることもできる。
【0011】
又、前記第1の減圧室は、前記プロセス室に対応した第2の開口を有する第2の筐体内に形成され、前記第2の開口には、前記移動ブロックとの間に、所定の隙間を介して対向した状態で案内する第2の案内面と、前記第2の案内面と前記移動ブロックとの対向面に設けられ、前記第1の減圧室内と、前記第1の減圧室内よりも高圧の減圧室外との間をシールする第2の差動排気シールとが設けられていれば、前記第2の筐体に対して、前記移動ブロックを移動可能に案内でき、且つ前記第1の減圧室内を、前記減圧室外の気圧に関わらず所定の気圧に維持することができる。尚、第2の筐体は、第1の筐体と一体でも別体でも良い。
【0012】
更に、前記第2の筐体を挟んで前記第1の減圧室と反対側に、前記プロセス室外より低圧の第2の減圧室を設けたので、前記第2の筐体の変形を抑制できる。これにより、さらに移動ブロックの変位あるいは変形を可及的に抑制することができる。尚、前記第1の減圧室の気圧と前記第2の減圧室内の気圧とは、必ずしも一致させる必要はない。
【0013】
ここで、差動排気シールとは、例えば対向する2面間の微小な間隙にある気体を排気することにより、非接触の状態で、対向面を挟む両側の雰囲気(例えば大気圧と高真空)を一定の状態に保つように機能するものをいう。以下に述べる実施の形態においては、排気面を有する部材を差動排気シールという。また[請求の範囲]中の「相対変位」には、[発明の詳細な説明]中の微小な移動による変位と微小変形による変位との両方を含むものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる位置決め装置110の正面断面図であり、密閉されている筐体の上部を省略し且つ差動排気シール及び静圧軸受に関しては簡略化して示している。図2は、図1の位置決め装置110を矢印II−IIで分離して矢印方向に見た図である。図3は、図2の位置決め装置110を矢印III−IIIで切断して矢印方向に見た図である。図4、5は、それぞれ図2の位置決め装置110をIV−IV、V−V線で切断して矢印方向に見た図である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の位置決め装置110は、プロセス室Pを含み且つプロセス室Pとその外部とを連通する開口120aを有する第1の筐体120と、第1の筐体120の開口120aに対向して配置された移動ブロック130と、第1の筐体120と移動ブロック130との間に挟まれた中間ブロック170と、移動ブロック130を挟んで第1の筐体120(或いは中間ブロック170)の反対側に配置された第2の筐体140とから構成されている。プロセス室Pは、不図示のポンプにより吸引され負圧となっている。尚、第1の筐体120は、定盤100に対し不図示の支持脚で固定支持されており、中間ブロック170は、第1の筐体120に固定されておらず、移動ブロック130に対しても通常、非接触の状態を保っている(フローティング状態)。
【0016】
図1,図4,5で、移動ブロック130の両側の上面は、中間ブロック170を所定の隙間を介して、隙間調整手段の一部を構成する静圧軸受181(その下面が第1の案内面)で支持し、移動ブロック130の両側の下面は、第2の筐体140が設置されている定盤100に対して所定の隙間を介して、一対のリニアガイド190により、紙面に垂直方向に移動自在に支持されている。従って、移動ブロック130は、図1において紙面に垂直方向に(図2においては上下方向に)移動可能となっている。案内手段である転がり式のリニアガイド190は、それぞれ定盤100上に設置されたベース191上に設けられたレール192と、移動ブロック130を支持しつつ多数の転動体を介してレール192に跨設され、低フリクションで移動可能なスライダ193とからなる。案内手段は、リニアガイド190に代えて、転がり式の他の案内軸受や静圧軸受、磁気軸受等であっても良い。但し、静圧軸受や磁気軸受を使用の場合、別途、移動ブロック130のタッチダウン防止のための機構を設ける。転がり式の案内手段を用いれば、このような機構は不要となる。なお、案内手段及び隙間調整手段を構成する軸受は、後述のOーリング171に対し、十分に大きな軸受剛性を有するものを用いる。
【0017】
尚、本実施の形態では、静圧軸受181は、平板形の多孔質グラファイトでなるもので、その軸受面が、中間ブロック170と面一となるように固定されており、矢印で簡略的に示すエア供給路を介して、外部の給気ポンプP4からエアが供給されるようになっている。静圧軸受181は、給気ポンプP4から圧送された空気により、対向する面を非接触に支持することができる。
【0018】
静圧軸受181に隣接し且つその内側における移動ブロック130の上面と、中間ブロック170との間は、第1の差動排気シール150で密封され、リニアガイド190の内側における移動ブロック130の下面と、第2の筐体140との間は、第2の差動排気シール160により密封されている。差動排気シール150,160は、排気ポンプP2に吸引されることで差圧室(後述の溝151、152、153、及び161、162、163)内を負圧としている。更に、静圧軸受181と第1の差動排気シール150との間の環状空間154(詳細は後述)は、大気圧に維持されるようになっている。
【0019】
筐体120の下壁120cに、長孔状の開口(第1の開口)120aが形成されている。図1で、筐体120の下壁120cの下面には、長円形状の浅い座繰り部120dが形成されている。下壁120cに対向する中間ブロック170の上面には、座繰り部120dの周囲に沿って溝部170aが形成されている。溝部170a内には、シール手段としてのO−リング171が配置されている。O−リング171は、筐体120の下壁120cの下面に当接し、中間ブロック170との間を密封するようになっており、中間ブロック170が変位しても密封を維持するようになっている。O−リング171の代わりにベローズ等を用いても良い。
【0020】
中間ブロック170の中央には長円の開口170bが形成されている。かかる開口170b及び第1の筐体120の開口120aを非接触に貫通するようにして、軸131が延在している。軸131は、移動ブロック130の上面に取り付けられて一体となっている。軸131内を貫通する通路132は、第1の筐体120内のプロセス室Pと、第2の筐体140と移動ブロック130と第2の差動排気シール160とで形成された第1の減圧室Rとを連通している。第1の減圧室Rが移動ブロック130の下面と対向している部分が、開口(第2の開口)140aとなっている。尚、移動ブロック130は、不図示の駆動部に、連結部133(図1、図2及び図5)を介して連結されている。駆動部としては、例えばモータとボールねじ等の送りねじとの組み合わせ、モータとベルト及びプーリとの組み合わせ、或いはリニアモータ等を用いることができる。駆動機構としては、これに限らず、例えば定盤100上に固定された超音波モータにより直接移動ブロック130の側面を摩擦力を介して駆動するものも用いることができる。又、連結部133を設ける代わりに、移動ブロック130の長手方向端部に、連結部を設け、これを介して駆動部を連結するようにしても良い。
【0021】
差動排気シール160は、溝161,162,163と,連通孔165,166,167と、排気孔169とから構成される。図1で、第2の筐体140の上面に形成された長円状の減圧室Rの周囲に沿って、後述の溝151〜154と同様に、4本の溝161〜163がトラック状に延在している。後述の図2に示す溝151〜153の場合と同様、溝161〜163の溝底から、第2の筐体140の内部に向かって、それぞれ連通孔165〜167が形成され、図4,5に示すごとく第2の筐体140の内部を長手方向に延在する6本の排気孔169に連通している。排気孔169は、両端が第2の筐体140の外部へと抜けており、それぞれ排気ポンプP2(図1)に接続されているが、図4,5に示すように、第2の筐体140の内部に向かうに連れ(すなわち開口170b寄りのものほど)太くなる径を有していると好ましい。また、図1では簡略的に排気ポンプP2を示しているが、具体的には溝161、162、163に対応してそれぞれ異なるポンプが接続されている。
【0022】
差動排気シール150は、溝151,152,153と,連通孔155,156,157と、排気孔159とから構成される。図2において、中間ブロック170に形成された長孔170bの周囲に沿って、4本の溝151〜154がトラック状に延在している。そのうち溝154(前記環状空間)は、接線方向両側に延び中間ブロック170の両端面で大気に開放している。図2,図5に示すように、溝151〜153の溝底から、中間ブロック170の内部に向かって、それぞれ連通孔155〜157が形成され、図4,5に示すごとく中間ブロック170の内部を長手方向に延在する6本の排気孔159に連通している。排気孔159は、両端が中間ブロック170の外部へと抜けており、それぞれ排気ポンプP2(図1)に接続されているが、図4,5に示すように、中間ブロック170の内部に向かうに連れ(すなわち開口170b寄りのものほど)太くなる径を有していると好ましい。また、図1では簡略的に排気ポンプP2を示しているが、具体的には溝151、152、153に対応してそれぞれ異なるポンプが接続されている。
【0023】
次に、本実施の形態に係る位置決め装置110の動作について説明する。不図示の駆動源の駆動力は、連結部材133を介して移動ブロック130に伝達され、それにより軸131も一体で移動するので、軸131の上端に取り付けられたテーブルに載置されたワーク(不図示)を、第1の筐体120内で任意の位置に位置決めできる。
【0024】
更に、本実施の形態の動作を、制御回路図である図6を用いて説明する。ここで、何らかの不具合により、排気ポンプP2の吸引性能が低下したとする。かかる状態を放置すると、差動排気シール150の密封機能が失われ、外部よりプロセス室P内に大気が侵入して、処理中の製品にダメージを与える恐れがある。そこで、本実施の形態の場合、異常検出部Sが排気ポンプP2の吸引性能低下を検出することで、制御部Cに信号を送信し、それに応じて制御部Cは、流量調整部Vを駆動して、例えば静圧軸受181と給気ポンプP4との間の配管を絞るなどすることで、エア供給量を抑えて静圧軸受181の機能を低下させる。すると、図1において、移動ブロック130に対して、中間ブロック170が接近し、その間の間隔が狭くなる。それにより、急激にプロセス室P内に大気圧が侵入することが抑制され、復旧に必要な処理をとる時間を稼ぐことができる。このとき、O−リング171の変形は若干元に戻るが、密封機能は維持されており、中間ブロック170と第1の筐体120との間の間隙を通って、大気が内部に進入することを阻止できる。
【0025】
尚、排気ポンプP2に異常がない場合に、第1の筐体120の内部が真空であると、第1の筐体120の内外の気圧差が大きくなり、それに応じて第1の筐体120が微小変形する。より具体的には、開口120aの付近が最も剛性が低いので、図1で開口120aを上方に押し上げるように変形する。本実施の形態においては、第1の筐体120の下壁120cの中央部が変形により上方に移動しても、変形吸収手段としてのO−リング171は、第1の筐体120の下壁120cの下面から離隔することがなく、第1の筐体120と中間ブロック170との間の密閉性は維持される。すなわち、予め第1の筐体120の変形量(かかる変形は第1の筐体120と中間ブロック170との間の微小隙間により保証される)を見込み、常にO−リング171が第1の筐体120と中間ブロック170との双方に密着した状態を保つように設定されている。つまり、プロセス室P内が減圧され、第1の筐体120の下壁120cがたわみにより上方に変位するにつれ、O−リング171の弾性変形量(つぶれ代)は小さくなってくるが、想定される最大変位量に達しても、O−リング171の弾性変形が完全になくなることがないようにしている。すなわち、第1の筐体120は、定盤100上に不図示の支持脚を介して支持されており、一方、リニアガイド190よりなる移動ブロック130の案内機構も、定盤100上面を基準にして固定されているので、前記支持脚の高さと中間ブロック170の上面の高さの差が、上記の条件を満たすように設定されている。このように、変形吸収手段としてO−リング171を用いることにより、部品点数が少なくて済む簡単な構成を達成でき、移動ブロック130の案内機構を構成するリニアガイド190に、第1の筐体120の変形による影響を及ぼすことが回避される。
【0026】
又、本実施の形態では、第2の筐体140の第1の減圧室Rが通路132を介してプロセス室Pに連通しているので、第1の減圧室Rの気圧はプロセス室Pの気圧に一致する。従って上下面の気圧が釣り合っているので、移動ブロック130の中央の変形を抑制できる。更に、本実施の形態では、O−リング171の位置は、上面から見て、差動排気シール150と静圧軸受181との間(大気に連通する溝154)と略一致するため、プロセス室Pにつながる中間ブロック170の上面の溝170aの内側の範囲が真空になった場合に、中間ブロック170の反対側が差動排気シール150となることから、中間ブロック170の変形を効果的に抑制することができる。すなわち、差動排気シール150の部分の中間ブロック170と移動ブロック130との間の隙間内の気圧は、プロセス室P内とは同一ではないが、十分これに近いと考えることができる。それでもなお、中間ブロック170がわずかに変位あるいは変形する可能性はあるが、移動ブロック130と中間ブロック170とは、静圧軸受181により所定の隙間に保持されるので、差動排気シール150の性能を一定に保つことができる。一方、移動ブロック130は、その上下面に差動排気シール150,160とを対向させて釣り合わせ、静圧軸受181の正静圧は,リニアガイド190により受けられるので、これらに起因する曲げ変形も殆どないこととなる。これらにより、中間ブロック170の下面と移動ブロック130の上面との間隔は略初期状態に維持されるので、差動排気シール150及び静圧軸受181の機能を損なうことがなく、移動ブロック130の下面と第2の筐体140の上面との間隔も略初期状態に維持される。又、プロセス室Pの内部と外部(大気圧下)との差圧に起因する軸受に対する負荷がないので、前記差圧が変動しても軸受に対する負荷は変動することはない。また、以上のように第1の筺体120の変形にかかわらず、移動ブロック130の位置は、ほぼ不変に保たれるので、軸131に取り付けられるワークの位置決めを常に高精度に保てる。更に、本実施の形態によれば、移動ブロック130を囲う必要がないので、構成の簡素化を図れ、図4,5において、例えばリニアガイド190に隣接して駆動源などを配置することができる。
【0027】
尚、通路132を設ける代わりに、第1の減圧室R内を減圧するポンプを別個に設けるようにしてもよい。この場合、第1の減圧室R内は、例えば104Pa程度にすることにより、移動ブロック130等の変形を抑制できるので、このポンプ及び差動排気シール160のためのポンプの能力は低いもので済むという利点がある。
【0028】
更に、本実施の形態は、排気ポンプなどの不具合に応じて、中間ブロック170と移動ブロック130との間隙を変化することにとどまらず、より積極的に、かかる間隙を調整することが考えられる。この例を、別な制御回路を示す図7を用いて説明する。制御回路Cは、例えば移動ブロック130と中間ブロック170との隙間の設定値を取り込むことができる。例えば、移動ブロック130と中間ブロック170との隙間を増加させたい場合には、制御回路Cが流量調整部Vを駆動して、エア供給量(圧力)を増大させることで間隙を広くして両者の干渉を抑制し、移動ブロック130と中間ブロック170との隙間を減少させい場合には、流量調整部Vを駆動して、エア供給量(圧力)を減少させることで間隙を狭くすることができる。かかる調整は、上述したように、不図示の絞り等を用いて静圧軸受181のエア吹き出し圧力を変更することで適宜行うことができる。さらに、本実施の形態では隙間調整手段で静圧軸受を使用したが、これに代えて磁気軸受を用いてもよい。この場合、給気ポンプ及び流量調整部に代え、磁気軸受への供給電圧を調整し供給する電圧供給部を設ける。
【0029】
本実施の形態の変形例としては、中間ブロック170と移動ブロック130とのシール面の接触を抑制する手段を設けることができる。例えば、図1で点線で示すように、定盤100上に、伸縮自在な軸135aを有するエアシリンダ135を設け、中間ブロック170と移動ブロック130との間隙に応じて、軸135aを伸縮させ又は退避させ、静圧軸受181の機能低下が生じた場合、或いは不測の外力が働いた場合でも、中間ブロック170が移動ブロック130に衝接する前に、軸135aを適宜伸ばして当接させるようにできる。
【0030】
別な変形例においては、中間ブロック170と移動ブロック130の端部近傍を示す図8において、静圧軸受181の外側に、所定の高さ(例えば数μm)の突起130aを設けることで、静圧軸受181の機能低下が生じた場合、或いは不測の外力が働いた場合でも、中間ブロック170が移動ブロック130に衝接する前に、突起130aに当接させるようにできる。かかる突起は、中間ブロック170側に設けても良いし、スペーサであっても良い。
【0031】
図9は、第2の実施の形態にかかる位置決め装置210の正面断面図である。本実施の形態においては、上述した実施の形態に対し、第2の筐体及び定盤の構成のみが異なるので、共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図9において、第2の筐体240には、差動排気シール160に隣接して、静圧軸受281が形成されている。静圧軸受281(その上面が第2の案内面)は、給気ポンプP3よりエアの供給を受ける。第2の減圧室Qが、第2の筐体240と定盤100の座繰り部101との間に形成されている。第2の筐体240を貫通する通路241が、第1の減圧室Rと第2の減圧室Qとを連通している。座繰り部101の外側に沿った第2の筐体240の下面には、周溝240aが形成され、その中にO−リング271が配置されている。O−リング271は、第2の筐体240の下面に当接し、その間隙を密封するようになっており、第2の筐体240が変位しても密封を維持するようになっている。O−リング271の代わりにベローズ等を用いても良い。
【0033】
第2の筐体240には、定盤100内部の孔102に挿通され、第2の筐体240のネジ孔240bにボルト203が螺合され固定されている。尚、図では誇張して示されているが、定盤100の孔102の底部と、ボルト203の頭部との間には、所定の間隙(例えば数μm)の隙間が介在するので、この間隙の範囲内で、第2の筐体240は変位又は変形が可能となっている。但し、定盤100の孔102の底部と、ボルト203の頭部との間隙は、第2の筐体240と移動ブロック130との間隙より小さいので、不測の事態により静圧軸受281の機能が失われたときにも、第2の筐体240が浮き上がって移動ブロック130に衝接するなどの不具合を回避できる。
【0034】
第2の実施の形態に特有な動作を説明する。何らかの不具合により、排気ポンプP2の吸引性能が低下し、差動排気シール160の機能低下が生じたとする。かかる場合、本実施の形態においては、図6を参照して、異常検出部Sが排気ポンプP2の吸引性能低下を検出することで、制御部Cに信号を送信し、それに応じて制御部Cは、流量調整部Vを駆動して、例えば静圧軸受281と給気ポンプP3(図9)との間の配管を絞るなどすることで、エア供給量を抑えて静圧軸受281の機能を低下させる。すると、図9において、定盤100に対して、第2の筐体240が浮き上がり、その間の間隔が広くなる。それにより、急激にプロセス室P内に大気圧が侵入することが抑制され、復旧に必要な処理をとる時間を稼ぐことができる。このとき、O−リング271の変形は若干元に戻るが、密封機能は維持されており、第2の筐体240と定盤100との間の間隙を通って、大気が内部に進入することを阻止できる。
【0035】
又、本実施の形態では、第1の減圧室Rが通路241を介して第2の減圧室Qに連通しているので、第1の減圧室Rの気圧(すなわちプロセス室Pの気圧)は、第2の減圧室Qの気圧に一致する。従って上下面の気圧が釣り合っているので、第2の筐体240の中央の変形を抑制できる。更に、本実施の形態では、O−リング271の位置は、上面から見て、差動排気シール160と静圧軸受281との間(大気に連通する溝164)と略一致するため、周溝240aの内側の範囲が真空になった場合に、第2の筐体240の反対側が差動排気シール150となることから、第2の筐体240の変形を効果的に抑制することができる。すなわち、差動排気シール160の部分の第2の筐体240と移動ブロック130との間の隙間内の気圧は、プロセス室P内とは同一ではないが、十分これに近いと考えることができる。一方、移動ブロック130は、その上下面に差動排気シール150,160とを対向させて釣り合わせ、静圧軸受281の正静圧は,リニアガイド190により受けられるので、これらに起因する曲げ変形も殆どないこととなる。これに加え、移動ブロック130の上下面の静圧軸受181、差動排気シール150、開口170bと静圧軸受281、差動排気シール160、減圧室Rとを対称に配したことに加えて、第1の筺体120の座ぐり部120dと定盤100の座ぐり部101とを対称に配していることにより、移動ブロック130の変形をさらに確実に抑制できる。これらにより、第2の筐体240の上面と移動ブロック130の下面との間隔は略初期状態に維持されるので、差動排気シール160及び静圧軸受281の機能を損なうことがなく、移動ブロック130の上面と中間ブロック170の下面との間隔も略初期状態に維持される。又、プロセス室Pの内部と外部(大気圧下)との差圧に起因する軸受に対する負荷がないので、前記差圧が変動しても軸受に対する負荷は変動することはない。
【0036】
本実施の形態の変形例としては、上述した実施の形態と同様に、中間ブロック170と移動ブロック130とのシール面の接触を抑制する手段を設けることができる。例えば、図9で点線で示すように、中間ブロック170を延長し、更に定盤100上に、伸縮自在な軸135aを有するエアシリンダ135を設け、中間ブロック170と移動ブロック130との間隙に応じて、軸135aを伸縮させ又は退避させ、静圧軸受181の機能低下が生じた場合、或いは不測の外力が働いた場合でも、中間ブロック170が移動ブロック130衝接する前に、軸135aを適宜伸ばして当接させるようにできる。
【0037】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、差動排気シール150の溝部151,152、153及び差動排気シール160の溝部161,162、163は、3列にしたが、これに限定されず、吸引ポンプの性能、プロセス室内外の差圧の大きさ、等に応じ、2列あるいは4列以上としても良い。また、第1の筐体120と、中間ブロック170との隙間の大きさも、吸引ポンプ等の性能との兼ね合いで決まるもので、数μmから数100μmまで適宜選択可能である。さらに、軸受としては、リニアガイドや静圧軸受に限らず、例えばクロスローラガイド等、他の転がり軸受など各種の軸受を用いることができる。またO−リング等の位置決め用の溝部を中間ブロック側に設けるようにしたが、第1の筐体側、あるいは双方に設けられるようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明の位置決め装置は、減圧下に曝されるプロセス室内に連通する第1の開口を有する第1の筐体と、少なくとも一方向に移動可能に設けられた移動ブロックと、前記第1の開口に連通する中間開口を有し、前記移動ブロックと前記第1の筐体との間に設けられた中間ブロックと、前記移動ブロックを、前記少なくとも一方向に移動可能に支持する案内手段と、前記中間ブロックと前記第1の筐体との間に配置され、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記プロセス室内より高圧のプロセス室外と前記中間開口との間をシールするシール手段と、前記中間開口を囲むようにして、前記中間ブロックと前記移動ブロックとの間に設けられ、前記プロセス室内と、前記プロセス室内よりも高圧のプロセス室外との間をシールする第1の差動排気シールと、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記移動ブロックと前記中間ブロックの第1の案内面とを所定の隙間を介して対向させる隙間調整手段とを有するので、例えば第1の差動排気シールに不具合が生じた場合、前記中間ブロックを前記第1の筐体に対して変位させることで、前記第1の差動排気シールがシールする前記中間ブロックと前記移動ブロックの間隙を減少させ、あるいは隙間をなくし、外部より前記プロセス室内へ大気が侵入するまでの時間を遅らせ、それにより加工中の製品のダメージを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる位置決め装置110の正面断面図である。
【図2】図1の位置決め装置110を矢印II−IIで切断して矢印方向に見た図である。
【図3】図2の位置決め装置110を矢印III−IIIで切断して矢印方向に見た図である。
【図4】図2の位置決め装置110をIV−IV線で切断して矢印方向に見た図である。
【図5】図2の位置決め装置110をV−V線で切断して矢印方向に図である。
【図6】本実施の形態の制御回路を示す図である。
【図7】本実施の形態の制御回路を示す図である。
【図8】本実施の形態にかかる変形例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の位置決め装置を示す正面断面図である。
【符号の説明】
110、210 位置決め装置
120 第1の筐体
130 移動ブロック
140,240 第2の筐体
170 中間ブロック
150,160 差動排気シール
P プロセス室
R 第1の減圧室
Q 第2の減圧室
Claims (6)
- 減圧下に曝されるプロセス室内に連通する第1の開口を有する第1の筐体と、
少なくとも一方向に移動可能に設けられた移動ブロックと、
前記第1の開口に連通する中間開口を有し、前記移動ブロックと前記第1の筐体との間に設けられた中間ブロックと、
前記移動ブロックを、前記少なくとも一方向に移動可能に支持する案内手段と、
前記中間ブロックと前記第1の筐体との間に配置され、前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記プロセス室内より高圧のプロセス室外と前記中間開口との間をシールするシール手段と、
前記中間開口を囲むようにして、前記中間ブロックと前記移動ブロックとの間に設けられ、前記プロセス室内と、前記プロセス室内よりも高圧のプロセス室外との間をシールする第1の差動排気シールと、
前記第1の筺体と前記中間ブロックとの相対変位に関わらず、前記移動ブロックと前記中間ブロックの第1の案内面とを所定の隙間を介して対向させる隙間調整手段とを有することを特徴とする位置決め装置。 - 前記移動ブロックを挟んで前記プロセス室と反対側に、前記プロセス室外より低圧の第1の減圧室を設けた第2の筐体を有することを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
- 前記隙間調整手段は、静圧軸受又は磁気軸受を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置決め装置。
- 前記隙間調整手段は、前記移動ブロックと、前記第1の案内面との間の前記所定の隙間を変更可能となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の位置決め装置。
- 前記第1の減圧室は、前記プロセス室に対応した第2の開口を有する第2の筐体内に形成され、前記第2の筺体には、前記移動ブロックとの間に、所定の隙間を介して対向した状態で案内する第2の案内面と、前記第2の案内面と前記移動ブロックとの対向面に設けられ、前記第1の減圧室内と、前記第1の減圧室内よりも高圧の減圧室外との間をシールする第2の差動排気シールとが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の位置決め装置。
- 前記第2の筐体を挟んで前記第1の減圧室と反対側に、前記プロセス室外より低圧の第2の減圧室を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の位置決め装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002280386A JP2004116643A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 位置決め装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002280386A JP2004116643A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 位置決め装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004116643A true JP2004116643A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32275106
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002280386A Pending JP2004116643A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 位置決め装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004116643A (ja) |
-
2002
- 2002-09-26 JP JP2002280386A patent/JP2004116643A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8333512B2 (en) | Self-compensating hydrostatic planar bearing device and method thereof | |
US8807914B2 (en) | Seal device and method for operating the same and substrate processing apparatus comprising a vacuum chamber | |
US7802920B2 (en) | Static-pressure gas bearing mechanism | |
JP4182539B2 (ja) | 位置決め装置 | |
JP2004116643A (ja) | 位置決め装置 | |
JP4106618B2 (ja) | 位置決め装置 | |
JPWO2018135229A1 (ja) | 壁面吸着走行装置 | |
WO2019214198A1 (zh) | 一种带有非等深节流腔的气浮支承导向装置 | |
JP4496678B2 (ja) | 位置決め装置 | |
JP2001241439A (ja) | 静圧軸受を備えた移動装置 | |
JP4273743B2 (ja) | 位置決め装置 | |
US10962053B2 (en) | Air bearing | |
JP2002106563A (ja) | 駆動装置 | |
JP2007071293A (ja) | ガイド装置 | |
JP6967760B2 (ja) | Xyステージ移動機構 | |
JP2001140883A (ja) | 静圧軸受装置 | |
JPH0510330A (ja) | 静圧軸受装置 | |
JP2004019760A (ja) | 静圧軸受 | |
JP4031867B2 (ja) | 静圧空気軸受装置 | |
JP4399727B2 (ja) | 位置決め装置 | |
JP2005249079A (ja) | シールユニット | |
JP2002349717A (ja) | 位置決め装置 | |
JP2002243044A (ja) | 駆動装置 | |
JP2003229472A (ja) | 駆動装置 | |
JP2005226709A (ja) | 可動部材支持装置 |