JP2004116590A - 摺動部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】摺動部品及びその製造方法であって、摺動部品1の摺動面2のカーボン粒子を燃焼させて気孔10を形成すると共に、摺動面をSiとカーボン/SiCの組織を有する反応焼結SiCさせたものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メカニカルシールの密封環、軸受、ピストンリング等の摺動面の潤滑性を改善した摺動部品に関する。特に、摺動面の摩擦係数を小さくして摩耗量を低減した高荷重用の摺動部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係わる摺動部品の先行技術として、特公平5−69066号公報が存在する。
この公報に記載の摺動部品は、多孔質炭化珪素焼結製品であってメカニカルシールの一方又は両方のシールリングとして取り付けられるものである。そして、メカニカルシールは、ポンプ又は冷凍機などに用いられて水などの液体をシールする。
【0003】
このメカニカルシールは、摺動部品をシールリングとして用いると共に、固定リングは炭化珪素又はカーボン材製を用いている。そして、このシールリングと固定リングとの密接により高圧P1側と低圧P2側とをシールする。
このシールリングは、平均気孔径が10×10−6mから40×10−6mの球状の気孔を結晶組織内に点在して摺動特性を改良した炭化珪素焼結体である。
【0004】
この炭化珪素焼結体の摺動面に形成された気孔は、焼結前にポリスチレンビーズを添加し、仮焼結時に分解・昇華して気孔を形成するものである。その結果は、炭化珪素焼結体は、結晶粒内に気孔が連鎖するごとく点在して炭化珪素粒子間の結合力を低下させる。叉、圧縮成形時にポリスチレンビーズが圧縮されるために平均気孔径を設定通りに形成することが困難である。そして、負荷容量が低下するために過酷な摺動条件では摩耗量が大きくなる。
又、この炭化珪素焼結体における気孔は、炭化珪素のみの焼結体であるから保湿性が無く、摺動面の発熱と共に気孔内が乾燥状態になりやすい。この為に、高荷重用に対して摩擦係数を低下させることが期待できない。
この製造法は、焼結時にポリスチレンビーズを熱で昇華放散させるものであるから、ビーズの昇華ガスが焼結炉内に、或いは通路内に凝着して汚染を誘発する。 この問題を解決するために種々の改善が成されていが技術的な問題やコストの問題で効果的なものが見いだせない。
【0005】
叉、シールリングの摺動面に点在する気孔が炭化珪素材製の固定リングと過酷な条件で摺動すると、シールリングの気孔の周りから破壊し、その粉末が摺動面に介在するので、摺動面の摩耗を促進することになる。又、固定リングがカーボン材の場合には、シールリングの気孔によりカーボン材の摺動面が摺動中に削る取られるようになり、摺動面の摩耗促進と共に、被密封流体をシールする固定リングの摺動面の平面度が悪化する。
【0006】
次に、上述の摺動部品の強度の低下及び被密封流体の漏れ量を改善したものとして本発明に関連する図3に示すようなメカニカルシールの密封環が存在する。このメカニカルシールは、上述のメカニカルシールと同様に構成されている。そして、ハウジングに保持された固定リングと回転軸に固定された図3に示す従動リング100との摺動面が密接して被密封流体をシールする。
【0007】
この従動リング100の摺動面101には、凹部105が多数形成されている。この凹部105は摺動面101の回転方向に対して傾斜するように形成されている。この為に、凹部105は、焼結体に形成した後に摺動面にサンドブラスト等の微細加工により形成する。この凹部105の深さは、平面から見た凹部105の大きさに対して数分の1と極めて浅く形成されている。この摺動面に形成した凹部105は、機械加工等により形成するものであるから、硬質材に形成することが困難である。叉、凹部105は、焼結工程で形成するような微細な大きさに加工することも困難であるし、更には、凹部105の平均径に対して深さを深くすることも機械加工現状から困難である。更に、凹部105は、摺動面に応力を加えて加工するために、摺動中に凹部105の縁から破損する問題が存する。
【0008】
叉、摺動面105の用途として、この凹部105は、従動リング100の摺動面101と固定リングの摺動面間に浸入した流体により潤滑しようとするものである。従動リング100の外周側から浸入した流体は内周端側へ至る前に外周側の凹部105に補足されて、この補足された流体は、その粘性作用と従動リング100の回転方向によって凹部105の外周方向へ移動される。このように摺動面105が回転中に流体を外方へ押し出すので摺動摩擦と共に発熱が発生する。
【0009】
このように凹部105は、凹部105のポンピング作用により被密封流体を外方に押し出す効果を目的にした構成あるから、摺動面に潤滑液が存在しなくなる。更に、凹部105は深さを深くすることが困難であるから、凹部105の底面に潤滑液の保持作用が無く、潤滑液を摺動面に長期間保持することは困難である。この為、摺動面は発熱するから、鳴き現象が生じやすい。
そして、この摺動面における潤滑液の消滅は、摺動面の発熱と共に、摩耗を促進し、ついには凹部105の縁を破壊することになる。この凹部105の縁の破壊が始まると、その粉末が摺動面に介在して両摺動面を急速に摩耗させることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような問題点に鑑み成されたものであって、その発明が解決しようとする課題は、摺動面に潤滑液を保持して潤滑作用を成し、摩擦係数を低減することである。更に、硬質材に摺動面を鏡面状にし、しかも、潤滑液を保持する気孔の形状と摺動面に対する気孔面積割合を容易に得ることにある。更に、高荷重、過酷な摺動条件に於いて、摺動面の摩耗、破損を防止して摺動面の耐久能力を向上させることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のような技術的課題を解決するために成されたものであって、その解決するための手段は、以下のように構成されている。
【0012】
請求項1に係わる本発明の摺動部品は、摺動面を有する摺動部品であって、前記摺動面に20×10−6mから300×10−6mの範囲の気孔径が面積割合で3から15%を含むと共にSiを4から20重量%を含有する反応焼結SiCである。
【0013】
この請求項1に係わる本発明の摺動部品では、摺動部品がSiを含有する反応焼結SiCに構成されているから、摺動面を鏡面状に形成することが可能である。この為に、摺動抵抗を低減することが可能になる。しかも、焼結工程中に形成される溶融Siとカーボン/SiCとの濡れ性が極めて良好であるために設計された範囲の気孔率の形成が容易である。しかも、気孔の深さを深くしても粉末同士の結合力が良いから気孔の縁から損傷するのを効果的に防止できる。
【0014】
請求項2に係わる本発明の摺動部品は、前記摺動面の前記気孔がカーボン粒子を燃焼除去して形成されているものである。
【0015】
この請求項2に係わる本発明の摺動部品では、摺動面のカーボン粒子の表面から燃焼させて気孔に形成しているので、カーボン粒子と完全に燃焼除去させていない場合には、摺動面の気孔内に存在する潤滑液が減少するにつれてカーボン粒子に含まれた潤滑液が摺動と共に潤滑作用をする。叉、摺動面の気孔はカーボンを燃焼させて形成するから、摺動面の表面に気孔よりも更に微細な粒子状の気孔を形成することも可能であり、湿潤性に優れる。
そして、カーボン粒子を完全に燃焼除去した場合には、カーボンが残留した場合より温潤性は劣るようになる。しかし、深い気孔が形成されているため、その分潤滑能力は良くなる。そして、カーボンはコストが安価く、更に、燃焼コストも安い。更に叉、成形中に圧縮されて気孔が小さくなることもないから、設計通りの気孔を形成できる。
【0016】
請求項3に係わる本発明の摺動部品の製造方法は、炭化珪素微粉末100重量部を含む焼結粉末に対して高炭化率の樹脂叉は/及び炭素微粉末を8から20重量%と粒子径が20×10−6mから300×10−6mのカーボン粒子を1から15重量部を混合し、その混合した焼結粉末を成形して焼結体に形成し、前記焼結体を真空叉は不活性雰囲気中で昇温させて含有する前記樹脂を炭化させ、次に焼結体中の炭素を溶融Siと反応させて反応焼結体を形成し、前記反応焼結体を加工して摺動面を形成した後に、気体雰囲気中で加熱しカーボン粒子の表面を燃焼除去して凹部の気孔に形成したものである。
【0017】
請求項3に係わる本発明の摺動部品の製造方法では、焼結体に含有させたカーボンを燃焼させて除去し、気孔を形成するものであるから、焼結工程に於いて樹脂粒子を高温熱により昇華放散して気孔を成形するものとは異なり、樹脂昇華ガスにより焼結炉内が汚染されるのを効果的に防止できる。この汚染防止のためのコストを低減できる。
更に、摺動面にけるカーボン粒子の燃焼による気孔は、大気中で500°Cから800°Cの低温で数分から数十分加熱するだけで形成できるから、電力等の加熱費用が低く生産コストが低減できる。
更にカーボン粒子は、低コストであり、気孔を成形のための燃焼ガスは大気を利用できるので、生産コストを低減できる。
しかも、溶融Siとカーボン/SiCとの濡れ性は極めて良好なために焼結体に強靱性があり且つ摺動面は鏡面状に加工形成可能であるので、摺動抵抗の低減と共に、摺動面のシール能力も向上する。
そして、カーボン粒子の気孔の深さは、カーボン粒子の表面を徐々に燃焼させるものであるから、加熱温度と時間で気孔の深さを管理できる。この為に、気孔の設計が容易である。その上、気孔の底部のカーボン粒子は加熱されて燃焼により微細気孔部に変化しているから、潤滑液の吸着性に優れた形状に形成されている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態に係わる摺動部品を詳述する。
図1は、本発明に係わる第1実施の形態を示すものであって、焼結体摺動面を加熱して摺動面に気孔を形成した光学顕微鏡の拡大写真である。更に、図2は図1に示す摺動部品を試験した試験機の半断面図である。
【0019】
図1に於ける摺動部品1の製造方法を説明する。
この摺動部品1の製造方法の第1段階は、粒子径が4×10−6の炭化珪素粉末を25重量部と、粒子径が8×10−6mの炭化珪素粉末を75重量部に対して炭化率55%のフェノール樹脂12重量部と、粒子径が40×10−6〜60×10−6mのカーボン粒子を5重量部を混合すると共に、焼結助剤として炭化硼素粉末0.3重量部と、カーボンブラック0.8重量部とを混合する。更に、成形バインダーとしてポリビニルアルコール3重量部を添加する。そして、水を加えながら40%の濃度のスラリー状態にして、造粒した。
このカーボン粒子の大きさは、粒子径が20×10−6〜300×10−6mの範囲にすると良く、形状は球形状にすることが好ましい。しかし、カーボン粒子は、球状に限らず、その他の形状でも効果は球状と同様に発揮する。叉、このカーボン粒子の添加量は、3から15重量部とすることが好ましい。更に、カーボン粒子10を1〜18重量部まで高めることもできる。しかし、カーボン粒子を18重量部以上に高めすぎると摺動部品1としての強度の点で問題になる。
【0020】
次に、このスラリーをボールミルの内で12時間に渡り混練し、スプレイドライヤにより平均径が80×10−6mの成形用顆粒体に形成する。この焼結用の顆粒体を成形金型に充填し、120MPaの圧力で圧縮成形する。
更に、この成形体を真空雰囲気中で昇温し1000°Cまでに樹脂などを炭化させ、続いて1500°Cで溶融Si接触させて反応焼結を開始させると共に、2時間持続させて焼結する。この2時間前後焼結することにより、カーボン粒子は炭化珪素の組織内に分散含有して緻密な反応焼結炭化珪素体を得ることができる。
【0021】
更に又、炭化珪素の反応焼結体の摺動面2に相当する加工面が形成される。この加工面は、研磨叉はラップ仕上げ加工により行うと良い。
この炭化珪素の焼結体の摺動面には、カーボン粒子10が多数点在するが、研磨仕上げによりカーボン粒子10が加工され円形状となる。
【0022】
この研磨加工した焼結体を加熱炉に投入し、焼結体を大気雰囲気中で360°C/hの速度で昇温する。昇温して800°Cの温度に達した後に略30分間その温度で加熱する。その後、この焼結体を炉内で徐々に冷却する。この冷却した焼結体は摺動部品1となる。図1は、この摺動部品1の一部を示す摺動面2を光学顕微鏡で写真にしたものである。
この図1に於いて、炭化珪素5の摺動面2に気孔10が点在する。叉、20はSiの組織である。このSiは溶融Siの一部が樹脂炭化した炭素と反応して消費しされるが、残りのSiはSiCとの濡れ性が良好なために炭化珪素5の周囲の隙間を埋め尽くすことになる。その結果、摺動面に気孔径が40×10−6mから60×10−6mの範囲の気孔10を分散したものが容易に得られる。この気孔率は6%である。そして、摺動面2はSiを含有して強靱であり、研磨すると鏡面状の平面となる反応焼結SiCが得られる。
【0023】
図1示すように、炭化珪素の焼結体1には多数の気孔10が点在している。この気孔10は、焼結体の状態から酸素を含む気体雰囲気中で500°Cから800°Cの範囲の温度で加熱すると、カーボン粒子の加工面が燃焼して気孔10に形成される。この気孔10の大きさは、平面寸法が20×10−6から300×10−6mの範囲であり、深さHは20×10−6以上にすると良い。
【0024】
この気孔10の深さは、一定の燃焼条件で、燃焼時間を管理することにより決められる。例えば、気孔10の深さは、700°Cの温度の大気中の雰囲気で6分間加熱すると、3×10−6から5×10−6mの深さの気孔10が形成される。この燃焼割合から摺動面2に気孔の深さを形成することができる。更に、気孔10内にカーボン粒子を残存させることも可能である。カーボン粒子による潤滑効果と共に、燃焼時間を短時間することができるから、燃焼コストも低減できる。叉、炉内の気体雰囲気は大気で十分であるからコストも安く、更に、燃焼時間は短時間であり、燃焼ガスの発生も少ない。この為、炉内の環境を悪くして炉の寿命を低下させることもない。
【0025】
カーボン粒子を燃焼させて摺動面2に気孔10形成されることにより潤滑液を気孔10に含有させることが可能になる。叉、炭化珪素の摺動面2もSiが介在した組織により強靱であると共に、摺動面2を鏡面状にすることが可能になる。その上、保湿効果により潤滑性が発揮される。
【0026】
摺動部品1は上述のようにして製造される。摺動部品1は、例えば、メカニカルシールの密封環、軸受けの軸受部、ピストンリング等の摺動面叉はシール面に利用することが可能になる。
【0027】
この摺動面2に潤滑液が介在すると、先ず気孔10に潤滑液が蓄えられる。そして、摺動時に気孔10から潤滑液が供給される。この為に摺動面3は潤滑効果により摩耗するのを防止する。
叉、摺動面2が高負荷状態になっても、炭化珪素の焼結体とカーボン粒子とは焼結時に結合していると共に、Siにより炭化珪素間は強力に結合しているので、気孔10の縁は保護される。そして、気孔10による潤滑効果と、鏡面状の摺動面2により摩擦を低減し、摺動面2の摩耗や損傷を防止する。
【0028】
次に、図1に示す摺動部品1の試験片を図2に示す摺動試験機により実験した。
図2は、この試験片を試験した摺動試験機の半断面図である。摺動試験機のケーシング23には、試験液である被密封流体Sが入れられるように空室に形成されている。この空室内に一端側が嵌挿された回転軸24が設けられている。回転軸24の一端にはフランジが設けられており、このフランジに取り付けられたばね27を介して試験用回転摺動部品25が弾発に押圧されている。この試験用回転摺動部品25の取付面から被密封流体Wが漏洩しないようにパッキン26が設けられている。
一方、ケーシング23には、試験用回転摺動部品25に対向する位置に試験用固定摺動部品21が設けられている。この試験用固定摺動部品21も取付面から被密封流体Sが漏洩しないようにガスケット22が設けられている。
この試験用固定摺動部品21と試験用回転摺動部品25は本発明の図2に示す摺動部品1を加工して製作したものである。
【0029】
次に、比較例の炭化珪素摺動部品について述べる。
この摺動部品の製造方法は、粒子径0.4×10−6〜0.8×10−6mの炭化珪素粉末100重量部に対して粒子径が35×10−6〜45×10−6mのポリスチレンビーズを5重量部を混合すると共に、焼結助剤として炭化硼素粉末0.3重量部と、カーボンブラック0.8重量部とを混合する。更に、成形バインダーとしてポリビニルアルコール3重量部を添加する。そして、水を加えながら40%の濃度のスラリー状態に構成する。
次に、このスラリーをボールミルの内で12時間に渡り混練し、スプレイドライヤにより平均径が80×10−6mの成形用顆粒体に形成する。この焼結用の顆粒体を成形金型に充填し、120MPaの圧力で圧縮成形する。
この成形体を次の工程で焼結して焼結体に形成するが、焼結工程中の仮焼結時にポリスチレンビーズを分解・昇華して球状の気孔に形成する。この焼結体を研磨加工して摺動面に気孔を設けた試験用摺動部品を得る。この摺動面の気孔は図1のカーボン粒子が消滅したような球状を任意に切断したものが多数点在する。この炭化珪素焼結摺動部品を比較例として用いるために試験用固定摺動部品と試験用回転摺動部品に製作した。
【0030】
図2の摺動試験機に、本発明の試験用固定摺動部品21と試験用回転摺動部品25を取り付けて試験した。この試験条件は、
1)被密封流体 ・・・水
2)摺動面の周速 ・・・6.3m/s
3)摺動時間 ・・・70時間
4)被密封流体の温度・・・80℃
5)摺動面圧 ・・・0.8MPaである。
【0031】
この実験により摺動部品の摺動面の摩耗量を試験した。その結果は以下の通りである。
A.本発明の摺動部品の試験結果。
本発明の試験用固定摺動部品21は、0.3×10−6mの摩耗量である。本発明の試験用回転摺動部品25は、0.3×10−6mの摩耗量である。
B.比較例の摺動部品の試験結果。
比較例の試験用固定摺動部品21は、0.5×10−6mの摩耗量である。比較例の試験用回転摺動部品25は、0.6×10−6mの摩耗量である。特に、高負荷条件になると、本発明の摺動部品1の摩耗量が増加しないのに対し、比較例の摺動部品1の摩耗量が増加すると共に、摺動面のシール能力が低下する傾向にある。
そして、本発明の摺動部品1は、高負荷に於いて摩擦係数が小さく、且つ摺動面の平面度が保持される。その結果、メカニカルシール等に利用してシール能力の点でも優れた効果が得られる。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係わる摺動部品によれば、請求項1から2に記載した構成により、摺動面のカーボン粒子の上面を酸素雰囲気中の燃焼により気孔に形成しているので、摺動面の気孔内に存在する潤滑液が摺動面に介在して潤滑作用を発揮する効果が期待できる。更に、焼結体の製造工程はコストが安いから、焼結部品を安価にすることが可能になる。
【0033】
更に、摺動面に微小なカーボン粉末が介在して摺動面の摩擦係数を低減させると共に、溶融Siとカーボン/SiCとの漏れ性が極めて良好なために炭化珪素間には不用な間隙が形成されず、強靱性が発揮されると共に、摺動面は鏡面状に形成されて摺動面の摩耗を防止する効果が発揮される。更に、摺動面のシール能力が向上する。
同時に、摺動面の強靱化は、気孔の縁が重負荷の摺動時に破損するのを保護する効果を奏する。
【0034】
更に、本発明に係わる摺動部品の製造方法によれば、摺動面の気孔はカーボンを大気で燃焼させて形成するものであり、従来のように焼結工程に於いて樹脂粒子を高温熱により昇華放散して気孔を成形するものではないから、樹脂昇華ガスにより焼結炉内が汚染されるのを効果的に防止できる。叉、この汚染防止のための製造コストを低減できる効果を奏する。
更に、摺動面のカーボン粒子における気孔は大気中で数分から数十分加熱するだけで気孔が形成できるから生産コストが低減できる効果を奏する。
更に、カーボン粒子の材料は低コストであり、気孔を成形のためのカーボンもSiの添加により結合力が強化され、更に、カーボンの燃焼温度も低温であるから、生産コストを低減できる。
そして、カーボン粒子の気孔の深さは、カーボン粒子の表面を徐々に酸化させて焼失するものであるから、加熱時間の管理で気孔の深さを決定できるので、気孔の設計が容易であり、気孔の深さにより摺動抵抗を設計通りに低減可能になる効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる1実施の形態を示すものであって、摺動部品の摺動面を示す一部の顕微鏡写真である。
【図2】本発明に係わる摺動部品の試験機の断面図である。
【図3】従来例の摺動部品の摺動面の正面図である。
【符号の説明】
1 摺動部品
2 摺動面
5 炭化珪素
10 気孔
20 Si
21 試験用固定摺動部品
22 ガスケット
23 ケーシング
24 回転軸
25 試験用回転摺動部品
26 パッキン
27 ばね
S 被密封流体
Claims (3)
- 摺動面を有する摺動部品であって、前記摺動面に20×10−6mから300×10−6mの範囲の気孔径が面積割合で3から15%を含むと共にSiを4から20重量%を含有する反応焼結SiCであることを特徴とする摺動部品。
- 前記摺動面の前記気孔がカーボン粒子を燃焼除去して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の摺動部品。
- 炭化珪素微粉末100重量部を含む焼結粉末に対して高炭化率の樹脂叉は/及び炭素微粉末を8から20重量%と粒子径が20×10−6mから300×10−6mのカーボン粒子を1から15重量部を混合し、その混合した焼結粉末を成形して焼結体に形成し、前記焼結体を真空叉は不活性雰囲気中で昇温させて含有する前記樹脂を炭化させ、次に焼結体中の炭素を溶融Siと反応させて反応焼結体を形成し、前記反応焼結体を加工して摺動面を形成した後に、気体雰囲気中で加熱しカーボン粒子の表面を燃焼除去して凹部の気孔に形成したことを特徴とする摺動部品の製造方法。
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