JP2004115823A - 溶鋼の精錬方法 - Google Patents
溶鋼の精錬方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004115823A JP2004115823A JP2002276598A JP2002276598A JP2004115823A JP 2004115823 A JP2004115823 A JP 2004115823A JP 2002276598 A JP2002276598 A JP 2002276598A JP 2002276598 A JP2002276598 A JP 2002276598A JP 2004115823 A JP2004115823 A JP 2004115823A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- molten steel
- ladle
- refining
- temperature
- melting furnace
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Abstract
【課題】溶解炉を酸化精錬に限定し、レードルで脱酸、脱硫、脱非金属介在物、脱ガス等の仕上精錬を行う溶鋼の精錬方法において、再加熱工程を排除し精錬温度を低位安定させ高速・高度に且つ低コストで精錬する方法を提供する。
【解決手段】レードル3を溶解炉1の直下Paにおいて耐火物8の表面温度が出鋼された溶鋼温度以下で300℃以内に、且つ耐火物内温度勾配が定常的になるまで予熱し、その結果出鋼以後の溶鋼温度降下を大きく抑制する。溶解炉1から酸化精錬された溶鋼を受けつつ新たに造滓し、次に低圧下でガス・バブリングを行って溶鋼−スラグ−ガス3相の強力な撹拌域を形成して脱酸速度係数0.4(1/分)を確保する。溶鋼冷却速度の低下により、低温精錬による脱酸水準の向上と耐火物の耐久及び温度的中精度の向上が得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】レードル3を溶解炉1の直下Paにおいて耐火物8の表面温度が出鋼された溶鋼温度以下で300℃以内に、且つ耐火物内温度勾配が定常的になるまで予熱し、その結果出鋼以後の溶鋼温度降下を大きく抑制する。溶解炉1から酸化精錬された溶鋼を受けつつ新たに造滓し、次に低圧下でガス・バブリングを行って溶鋼−スラグ−ガス3相の強力な撹拌域を形成して脱酸速度係数0.4(1/分)を確保する。溶鋼冷却速度の低下により、低温精錬による脱酸水準の向上と耐火物の耐久及び温度的中精度の向上が得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶鋼の精錬方法に関し、レードルにおける仕上精錬方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】必要、充分な品質の鋼材を安定した操業で得るには、溶解・精錬工程では鋼種、製品の品質要求に対応した溶鋼の酸化、還元、脱ガス、脱不純物、脱非金属介在物、成分調整、温度調整等の処理が必要である。
【0003】並行して省エネルギー、省資源等によるコスト低減、関連工程を含めた能率向上による総合的生産性の向上も求められる。
【0004】いかなる精錬方法であっても溶鋼の温度制御は重要な課題である。その理由は、1)温度の過大、過小は操業上の大きな事故例えば漏鋼等を起こし易い。2)品質に関わる諸反応の速度、反応量、反応水準が温度の影響を強く受ける。3)温度制御のための諸手段が新たにエネルギーと精錬助剤や耐火物等の諸資源の消費を誘発させる。
【0005】出鋼及び精錬における溶鋼温度は鋼種に対応する鋳込温度を基準にして決められる。出鋼から長時間の精錬及び鋳込中に、溶鋼熱は合金鉄やフラックス等の精錬助剤の溶解、溶鋼やスラグ表面からの放射熱、スラグ層や耐火物を通過する伝熱等により放出される。放熱の内容、量、状態はプラント毎に各様に異なる。放熱に対応して予め溶解炉で溶鋼温度を上げておくか必要に応じて再加熱される。以下温度制御の観点から従来のレードル精錬方法の問題を検討する。
【0006】事例(1)
いわゆるLF法と称し、溶解炉で酸化精錬された溶鋼をレードルに受け、同時にフラックスを投入してレードル内で新スラグを形成し、アーク加熱装置により再加熱しつつ仕上精錬を行う方法である。溶解炉の機能を溶解と酸化のみに特化させ、以後の処理をレードル精錬に負担させることにより溶解炉、特に電気炉の能力(t/h)が強化される。他に作業面で成分調整、温度調整、時間調整に対して便利である。
【0007】本方法には以下の問題がある。第1に、アークによる再加熱は新たに電力、電極の消費が生ずる。さらに長時間のアーク加熱に耐えるため高級耐火物が使用されるが、当該耐火物は熱伝導、熱容量とも大きく溶鋼の熱損を招き再加熱負荷を大きくする。これが耐火物の溶蝕を助長させる。結局電気炉内仕上精錬と同等以上のコストがかかる。
【0008】第2に、LF法は本来的に攪拌能力が小さく且つ加熱能力が小さいためその処理には通常30〜60分を要する。電気炉の溶解能力即ち1サイクル時間が今日のように40〜60分程度にまで短縮されると両工程が拮抗して本来の効果が減じられる。
【0009】事例(2)
特公平1−46563号公報及び文献1及び特開平7−179927号公報にはには概ね同一原理である以下の精錬方法が開示されている。非酸化性スラグで覆われた溶鋼の雰囲気圧を30〜150torrに減圧しつつレードル底部より溶鋼内にガスを吹き込むことにより上層部に溶鋼−スラグ−ガス混合の強力な攪拌域が形成される。攪拌エネルギー密度は平均0.2(kW/トン)、脱酸速度係数は0.4(1/分)に達し、数分で精錬が完了する。
文献1; The Institute of Metals; 3rd International Conference on CleanSteel,1985,June,P.250
【0010】本方法では高速精錬の故に溶鋼の温度降下が過大でないことに加え、第2の策として、仕上精錬に不可欠の非酸化性スラグをいわゆるダブル・スラグ法に従い溶解炉内で生成して出鋼時にレードルに排出している。従って出鋼以後には事例(1)のようにフラックスの溶解熱は必要とされない。この二つの熱的有利に支えられ、出鋼直前の温度をある程度高くすることにより再加熱工程の排除を可能としている。その結果低コストで高品質を得る有力手段となっている。
【0011】本方法の場合の第1の問題は、溶解炉内で仕上げ精錬用スラグを形成するので溶解炉の能率が旧態然として改善されないことである。
【0012】当該問題の解決のため、事例(1)と同様該スラグをレードル内で生成させると、フラックスの溶解により溶鋼熱が奪われる。従って従来より一層高温で出鋼する必要が生ずる。高温出鋼は二つの問題を誘発する。
【0013】一つは溶解炉及びレードルとも耐火物の溶損が増加することである。
【0014】他は脱酸水準が低下することである。脱酸水準は理論的には溶鋼成分、脱酸剤の種類と量、溶鋼温度により平衡論的に決まる。高温ほど解離酸素が多い。実際には脱酸剤の投入時期即ち精錬初期の温度の影響が決定的であることは経験的によく知られている。
【0015】第2の問題は、再加熱工程が無いので温度は下り一方になる。鋳造開始温度の的中のため精錬時間の調整が行われるが、冷却速度が5〜10℃/分とかなり大きく且つばらつくので困難になることは否めない。結果として余分の事前昇温、余分の精錬時間のため無駄が生ずる。
【0016】以上に説明した従来方法の問題をまとめると、事例(1)の方法ではアークによる再加熱を採用しているので、電力、電極、耐火物等の消費増によりコスト高の上に、処理時間が長く場合により上流の溶解工程を阻害する。
【0017】再加熱を適用しない事例(2)の方法では、ダブル・スラグ法を採用すると溶解炉の能率が低く、シングル・スラグ法により能率を改善すると一層の高温出鋼の故に耐火物の溶損の増加に加え、新たに脱酸水準の低下を来す。さらに温度的中のため余分の昇温と余分の精錬時間による無駄が発生する問題もある。
【0018】
【特許文献1】特公平1−46563号公報
【特許文献2】特開平7−179927号公報
【非特許文献1】The Institute of Metals; 3rd International Conference onCleanSteel,1985,June,P.250
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来のレードル精錬方法における上記問題、具体的には、以下全項目、これらは個別には従来の方法で達成・解決されているが、これらを低コストでまとめて達成できるレードル精錬方法を提供することを解決すべき課題としている。
1)溶解炉の機能を溶解、酸化、昇温に止め、溶解能率の向上を図るためレードル精錬機能を拡充する。
2)再加熱工程を排除もしくは大幅軽減して能率向上・コスト低減を図る。
3)高温出鋼を避け脱酸水準の向上と耐火物溶損を抑制する。
4)再加熱工程が無くても温度的中精度の向上を図る。
本発明は
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、精錬プロセスの一基本要素となっている溶鋼温度について、出鋼から連続鋳造までの熱精算及び操業の実態を調査・解析し、重要にして単純な二つ指針を得た。
【0021】第一の指針は周知であるが溶鋼から耐火物への熱移動は受鋼中が最大で以後漸減する。その値は意外に大きく且つ長く、これが熱損の大半を占め、そのため再加熱もしくは高温出鋼を余儀なくさせていることである。仮に受鋼直前において耐火物表面温度が溶鋼温度と同一であり且つ耐火物内部の温度分布が直線的勾配を持ち、実質的に定常状態となるよう耐火物を予熱する(以後定常予熱という)と溶鋼の熱損の進行は一変する。即ち溶鋼の冷却は初期では極端に減少し、出鋼から連続鋳造を通してほぼ一定となり再加熱が不要となるだけでなく溶鋼温度を低位に安定できるということを発見したことである。
【0022】第二の指針は、溶鋼温度を管理するため通常レードル耐火物は操業安定上必要な程度には予熱されるが、設備上、作業上の諸制約のため上記定常予熱にはほど遠く、しかもそれが当然と見なされ予熱の格段の強化への意識、努力が全く見られなかったことである。定常予熱は本発明によって開示されるようにそれほど困難ではないことがその証左であろう。
【0023】上記二指針に基づいた実験によりこの仮説がほぼ立証できたので以下の発明を構成した。
【0024】本発明の第1は、溶解炉で酸化精錬された溶鋼をレードルに出鋼して仕上精錬をする精錬方法であって、該レードルの耐火物の表面温度が出鋼された溶鋼の温度以下で且つ300℃以内であり且つ該耐火物内の温度勾配が直線的であるように該レードルを予熱することにより、該溶鋼の出鋼前後の温度差を15℃以下とし、出鋼時にフラックスを該レードルに投入する場合には該温度差を該フラックスの溶解に必要な熱量を溶鋼温度差に換算して上記の値に加算した値以下とすることを特徴とする溶鋼の精錬方法である。
【0025】当該手段により耐火物の事前の蓄熱量が飽和に近づくので溶鋼の温度降下は出鋼時のみならず以後の精錬から鋳造工程を通して大きく減少する。その結果再加熱は不要もしくは大幅に軽減される。出鋼温度を低下させることができる。
【0026】第2の発明は、第1の発明において、溶解炉から溶鋼とともに(FeO)+(MnO)の濃度が10%以下である仕上精錬用スラグをレードルに排出し、該スラグで覆われた溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込みつつ溶鋼上方の雰囲気圧を6〜40kPaに減圧・維持することを特徴とする溶鋼の精錬方法である。
【0027】当該手段により事例(2)の精錬方法の効果である低コスト高品質に以下が付加される。即ち第1発明の他の効果は同一理由で溶鋼の冷却速度のばらつきも減少することであるが、その効果により精錬終了温度の的中が容易になり鋳造品質の安定だけでなく、精錬温度が低位安定し、従って脱酸水準が向上する。
【0028】第3の発明は第1の発明において、溶解炉から溶鋼のみをレードルに排出し、フラックスを該レードルに投入して該レードル内で仕上精錬用スラグを生成し、該溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込みつつ該溶鋼上方の雰囲気圧を6〜40kPaに減圧・維持することを特徴とする溶鋼の精錬方法である。
【0029】当該手段により第2の発明の効果に以下が付加される。即ち、仕上精錬用スラグの生成はレードルでなされるので溶解炉の負荷が減少して溶解能力は事例(1)と同等の向上が図られる。
【0030】第4の発明は、第1の発明の精錬方法を実施するレードル予熱装置であって、溶解炉から溶鋼を受けるレードルを積載して移送するレードル台車と、該レードル台車を溶解炉下方の受鋼位置と精錬位置間を案内する軌道と、該受鋼位置又はその近傍に設置され該レードルの上方開口部を覆って保温する開閉自在のレードル・カバーと、該レードル・カバーに付設され該レードル耐火物表面を受鋼直前まで予熱するバーナーとからなることを特徴とするレードル予熱装置である。
【0031】第5の発明は、第2又は第3の発明を実施する精錬装置であって、1)請求項4に記載のレードル予熱装置と、2)溶解炉から溶鋼を受ける側壁気密構造のレードルと、3)精錬装置本体とからなり、該精錬装置本体は、▲1▼レードル台車上に付設され該レードルが上置されて該レードル下面の開口部を気密にする下部真空カバーと、▲2▼精錬位置の上方に設置され該レードル上面の開口部を気密にする開閉自在の上部真空カバーと、▲3▼該上部真空カバーに連設され溶鋼雰囲気を6〜40kPaに減圧する排気装置と、▲4▼減圧操作と並行して溶鋼中に精錬ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込む通気性プラグとからなることを特徴とする溶鋼の精錬装置 である。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に従って説明する。図1は第1から第3の発明の精錬方法を実施する装置を例示する概略側面図である。
【0033】溶解炉1から溶鋼2を受けるレードル3は、側壁が気密構造であり、レードル台車4上に付設され該レードル下面を気密にする下部真空カバー11上に積載されている。該台車4は軌道5を介して受鋼位置Paに誘導される。該位置Paにおいて該レードル3の上面の開口部を覆うためレードル・カバー6が装着される。該レードル・カバー6に付設された酸素・燃料バーナー7によりレードル内面の耐火物8は受鋼直前まで強力且つ充分に加熱される。該耐火物8の表面は出鋼された溶鋼9の温度以下で且つ300℃以内の温度にまで加熱される。さらに該耐火物内部の温度勾配が直線的になるまで、即ちほぼ定常状態になるまで加熱が継続される。定常予熱までできれば理想的でその場合溶鋼の熱損は最少になる。受鋼に当たり、レードル・カバー6は保持したまま該カバー6の開口を通して受鋼してもよいし、該カバー6を退避させても良い。退避後直ちに受鋼するなら問題はない。
【0034】一方溶解炉1においては、酸化、脱炭、昇温された溶鋼2は温度が所定値に正確に調整された後直ちに出鋼される。
【0035】出鋼時間は通常1〜3分である。溶鋼のみの出鋼とともにシュート(図示せず)を介して仕上精錬用スラグの原料となるフラックスが溶鋼量の約1.5%分、他にMn,Si等の合金鉄が所定量レードル3に投入される。出鋼された溶鋼9は一部は放射と雰囲気への対流伝熱により、多くはレードル3内を激しく攪乱しつつフラックスの溶解熱及び耐火物への伝熱により冷却される。出鋼前後の温度差は約45℃以内となる。従来方法ではこれが通常60〜90℃である。フラックスを事前に溶解炉内で溶解して溶鋼とともに排出するなら温度差は15℃以内に抑制される。該溶解熱は生成されるスラグの保有熱から容易に算出され、溶鋼温度で通常約30℃相当である。
【0036】フラックスを事前に該レードル3に挿入しておいて予熱に預かるようにしてもよい。その場合上記温度差はさらに小さくなる。
【0037】受鋼したレードル3はレードル台車4により精錬位置Prに移送される。該位置Prにおいて添加用ホッパー12と排気装置13が連設された上部真空カバー14が装着される。上下の真空カバーによりレードルは気密構造になる。一方レードルの底部に埋設された通気性耐火プラグ15からアルゴン・ガスが5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込まれつつ、溶鋼上方の雰囲気圧は6〜40kPaに減圧・維持される。脱酸速度係数は約0.4(1/min)程度が得られるので数分で精錬は完了する。その間冷却速度は4℃/分以下となり、精錬終了温度の的中は従来より容易になる。
【0038】精錬の内容、進行、水準等については事例(2)に詳細に示されておりここでは説明を省略するが、ピアノ線材用高炭素鋼は約5分の精錬で脱酸、脱硫、脱非金属介在物が充分な程度に処理される。精錬中の温度降下は25℃以内で従来の半減になる。
【0039】該溶鋼は精錬終了後直ちに連続鋳造に供される。鋳造時間は通常1時間前後ある。定常予熱ではなくても本発明では出鋼後20分以内(従来方法では30分以上)で耐火物内温度分布は実質的に定常状態になる。定常状態では溶鋼の冷却速度は意外に小さい。早期に定常状態になるので低温出鋼でも長時間の連続鋳造に耐えることができる。
【0040】第1発明を事例(1)の方法の既存設備に適用しても良い。この場合再加熱の負荷が削減されるので、電力、電極、耐火物の消費が減少し、処理時間も短縮され当該精錬方法の問題はかなり解消される。
【0041】再加熱の負荷が軽減されるならアーク加熱ではなくプラズマ・トーチを使用することができる。該トーチは出力限界に問題があるのでレードル溶鋼の加熱には適さなかったが本発明では実用範囲に入る。この場合プラズマによる雰囲気制御ができること、アーク加熱とは異なりプラズマは強力な撹拌にも耐えられることにより高度且つ高速の精錬が可能になる。
【0042】以上本発明を実施する際の要点をまとめると、第1の発明で提示された耐火物の高温予熱により1)溶鋼の熱損は受鋼中より大幅に抑制され、且つ2)耐火物内の温度分布は比較的早期に定常状態になる。定常状態では冷却速度はかなり小さい。この二つの特徴から精錬方法に関わらず従来より出鋼前の溶鋼温度を大きく下げることができ、また再加熱も排除できる。再加熱を適用する場合でもその負担は大幅に軽減される。
【0043】これらの効果を事例(2)の精錬方法に適用すると、精錬温度が従来よりかなり低位に維持されるので脱酸水準が確実に向上し、耐火物消費も減少する。
【0044】事例(2)の精錬方法に対して仕上精錬スラグをレードル内で生成して溶解炉サイクルを短縮する方法を採っても溶解炉内の溶鋼温度を多少上げるだけでレードル内溶鋼温度は低位を維持することができる。
【0045】高温予熱は冷却速度を小さく且つそのばらつきも小さくするので温度的中精度が向上し長時間の精錬や連続鋳造が必要になっても対処が容易になる。
【0046】次に実施の形態の理由及び効果の根拠について述べる。初めに出鋼時の溶鋼の熱損を検討する。気中への対流損は放射損の約10%で無視できる。放射損も意外に小さく実効表面積から高々溶鋼温度の5〜10℃相当である。一般に出鋼前後の温度差は25〜60℃であるからその差は耐火物への伝熱になる。
上記温度差は溶鋼と耐火物表面の温度差に決定的に依存することは容易に理解される。
【0047】次に出鋼以後の熱損を検討する。通常受鋼直後における溶鋼の冷却速度は、定常状態と見なせる30分以後のそれと比較すると数十倍になっている。これは溶鋼の熱損が初期では著しく非定常で急激に耐火物に蓄熱されるが、時間の経過とともに蓄熱は飽和し、耐火物内の定常熱伝導のみに漸近することを意味している。定性的には予熱条件が定常予熱に近いほど即ち両者の平均温度差が小さいほど初期伝熱量は小さく、耐火物の熱伝導率/熱容量比が大きいほど早期に定常状態になると推測される。ここから予熱温度と耐火物物性の定量的な適正化を見通すことが容易になる。
【0048】予熱温度が溶鋼温度と同一即ち定常予熱の場合、溶鋼の放熱量は出鋼直後より鋳込を通して実質一定になる。該放熱量は耐火物層の伝熱性(総括熱伝達率α)に依存し、鉄皮の放熱量と均衡する。αの値に対応して鉄皮温度が上下する。鉄皮温度は通常200〜400℃であり、その表面熱伝達率(18〜26W/m2K)から溶鋼冷却速度を見積もることができる。ちなみに30トンのレードルの場合、平均約0.15〜0.3℃/分程度に収まる。
【0049】予熱に関する従来方法の実態を検討する。受鋼に当たり通常、耐火物の表面温度が1000〜1200℃程度になるまで予熱される。しかし予熱後の運搬等の諸作業により受鋼までに5〜15分放冷され、800℃程度に低下するのが観察される。その事実から耐火物内部まで十分予熱されていない、即ち定常的でないと見なされる。受鋼位置で受鋼直前まで、且つ耐火物内温度分布が定常的即ち直線的勾配になるまで予熱することが定常予熱に接近できる条件となる。しかし事例は見当たらない。
【0050】必要な予熱の程度を見積もる。図2は種々の予熱条件について出鋼直前から鋳造初期までの溶鋼温度の変化を出鋼直前温度を基準に示した。本発明に基づく理想条件として耐火物を1600℃の定常予熱とすると計算から本発明1の線になる。この場合放射損も消滅して出鋼前後温度差は実質ゼロになる。
【0051】比較例は30トンレードル(計算総括熱伝達率α=4.5kW/m2K、鉄皮温度;計算値280℃実測値250℃)の実測に基づく。予熱状況は実測と概算から表面温度約1000℃定常状態に相当と見なされた。両者の差は歴然としている。本発明例では初期過剰伝熱は存在せず定常伝熱のみであるから出鋼から精錬、鋳造を通して温度降下は著しく小さく、従って出鋼温度を大きく下げることができる。
【0052】耐火物の予熱条件が両者の中間の場合は実験によって明らかにした。耐火物表面を約1300℃に加熱し、仮設カバーにより受鋼までの放熱を抑制し、実測と概算から予熱条件は約1250℃定常状態と見なされた。この値は出鋼された溶鋼の温度の約300℃低い温度である。溶鋼温度の変化の実測値は図中本発明2の線に示される。出鋼前後の温度差は15℃以内で以後の温度降下も十分小さくなっていることが解る。当然精錬温度、鋳造開始温度を低くすることができる。これが第1発明において耐火物の予熱条件を出鋼された溶鋼温度以下で且つ300℃以内の定常状態とし、出鋼前後の溶鋼温度差を15℃以内とした根拠である。
【0053】耐火物の材質としては、従来方法のように予熱温度が高くないと熱伝導率が相対的に小さい高珪質系、アルミナ系では特に問題は意識されないが、逆のジルコン系、マグネシア系は初期冷却が大きくて不都合である。本発明のように高温予熱になると初期過剰冷却が解消され、熱伝導率/熱容量比の大きいジルコン系、マグネシア系は早期に定常になるので有利に使用できるようになる。
【0054】図2から精錬温度を30℃以上下げることができる。耐火物の溶損は主として精錬中に進行するので、この温度差は十分意味がある。その上Si脱酸やAl脱酸に際して、平衡酸素量は温度降下とともに低下するので明確な効果が得られる。例として、0.2%Si−0.006%Alの場合1580℃から1550℃に低下すると平衡酸素量は25から16ppmに低下する。
【0055】スラグ組成の特定は事例(2)の特定を実態にあわせて具体化しただけで非酸化性スラグとして(FeO)+(MnO)の濃度が10%以下とした。同様に精錬ガス流量、雰囲気圧の特定も事例(2)を踏襲した。特定量以下の流量では攪拌力不足により所望の反応速度が得られず、以上ではガスの吹き抜け現象が発生して不都合である。特定量以下の圧力ではガス流量が多い場合には沸騰過剰で危険であり、以上ではガス流量が少ない場合には膨張効果の減少により所望の反応速度が得にくくなる。
【0056】
【実施例】基準となる事例(2)と本発明の比較試験を行った。0.8%Cの高炭素鋼を電気炉で溶解し、容量30トンのレードルで精錬を行い連続鋳造に供した。溶鋼温度の変化の比較は図2に示す。本発明1は定常予熱の場合で実施上の問題があるが熱損は実質的に解消される。本発明2では出鋼温度を40℃下げることができる。本発明3ではフラックスをレードルに投入するので出鋼温度を比較例の10℃下とすることで精錬温度は発明2と同等となる。
【0057】図3は上記試験において脱酸の程度を比較した結果を示す。図中の折線は平衡酸素量を示す。比較例の値は平均22ppmで本発明では16ppmまで清浄化が進んでいる。これは精錬温度低下による脱酸の進行と見なすことができる。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば第1の発明では溶解炉で予備精錬された溶鋼をレードルに出鋼するに当たり、レードル内壁耐火物を従来にない高温に且つ受鋼直前まで予熱するので出鋼時とその後の溶鋼温度降下が大きく減少する。
【0059】第2の発明では第1の発明を事例(2)の精錬方法に適用するので出鋼前溶鋼の温度を相当低下させることができ、予熱に消費するエネルギーを越える省エネと耐火物の耐久等のコスト低減が得られる。その上、精錬温度の低下は脱酸水準を向上させるので品質に対して有利になる。さらに冷却速度の低下により温度的中精度が向上する。
【0060】第3の発明では事例(2)の方法の弱点即ち仕上精錬用スラグを溶解炉内で生成することに対してレードル内で生成させるので溶解炉の能率は大きく向上する。その際、出鋼前溶鋼温度は事例(2)と概ね同程度であるが出鋼以後は第2の発明と同様で従来より低温に維持されるのでコスト及び品質に対して効果が大きい。
【0061】第1の発明を事例(1)の方法に適用すると再加熱の負荷が大幅に軽減され当該方法の問題が大きく解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1、第2及び第3の発明の精錬方法を実施するための装置を例示する概略側面図である。
【図2】従来方法と本発明の溶鋼の温度降下の状況を比較する図である。
【図3】本発明による脱酸の効果を比較する図である。図中折線は当該脱酸剤量の平衡酸素量を示す。
【符号の説明】1:溶解炉 2:溶鋼 3:レードル 4:レードル台車 5:軌道 6:レードル・カバー 7:バーナー 8:耐火物 9:出鋼された溶鋼11:下部真空カバー 12:添加用ホッパー 13:排気装置 14:上部真空カバー 15:通気性耐火プラグ Pa:受鋼位置 Pr:精錬位置
【発明の属する技術分野】本発明は溶鋼の精錬方法に関し、レードルにおける仕上精錬方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】必要、充分な品質の鋼材を安定した操業で得るには、溶解・精錬工程では鋼種、製品の品質要求に対応した溶鋼の酸化、還元、脱ガス、脱不純物、脱非金属介在物、成分調整、温度調整等の処理が必要である。
【0003】並行して省エネルギー、省資源等によるコスト低減、関連工程を含めた能率向上による総合的生産性の向上も求められる。
【0004】いかなる精錬方法であっても溶鋼の温度制御は重要な課題である。その理由は、1)温度の過大、過小は操業上の大きな事故例えば漏鋼等を起こし易い。2)品質に関わる諸反応の速度、反応量、反応水準が温度の影響を強く受ける。3)温度制御のための諸手段が新たにエネルギーと精錬助剤や耐火物等の諸資源の消費を誘発させる。
【0005】出鋼及び精錬における溶鋼温度は鋼種に対応する鋳込温度を基準にして決められる。出鋼から長時間の精錬及び鋳込中に、溶鋼熱は合金鉄やフラックス等の精錬助剤の溶解、溶鋼やスラグ表面からの放射熱、スラグ層や耐火物を通過する伝熱等により放出される。放熱の内容、量、状態はプラント毎に各様に異なる。放熱に対応して予め溶解炉で溶鋼温度を上げておくか必要に応じて再加熱される。以下温度制御の観点から従来のレードル精錬方法の問題を検討する。
【0006】事例(1)
いわゆるLF法と称し、溶解炉で酸化精錬された溶鋼をレードルに受け、同時にフラックスを投入してレードル内で新スラグを形成し、アーク加熱装置により再加熱しつつ仕上精錬を行う方法である。溶解炉の機能を溶解と酸化のみに特化させ、以後の処理をレードル精錬に負担させることにより溶解炉、特に電気炉の能力(t/h)が強化される。他に作業面で成分調整、温度調整、時間調整に対して便利である。
【0007】本方法には以下の問題がある。第1に、アークによる再加熱は新たに電力、電極の消費が生ずる。さらに長時間のアーク加熱に耐えるため高級耐火物が使用されるが、当該耐火物は熱伝導、熱容量とも大きく溶鋼の熱損を招き再加熱負荷を大きくする。これが耐火物の溶蝕を助長させる。結局電気炉内仕上精錬と同等以上のコストがかかる。
【0008】第2に、LF法は本来的に攪拌能力が小さく且つ加熱能力が小さいためその処理には通常30〜60分を要する。電気炉の溶解能力即ち1サイクル時間が今日のように40〜60分程度にまで短縮されると両工程が拮抗して本来の効果が減じられる。
【0009】事例(2)
特公平1−46563号公報及び文献1及び特開平7−179927号公報にはには概ね同一原理である以下の精錬方法が開示されている。非酸化性スラグで覆われた溶鋼の雰囲気圧を30〜150torrに減圧しつつレードル底部より溶鋼内にガスを吹き込むことにより上層部に溶鋼−スラグ−ガス混合の強力な攪拌域が形成される。攪拌エネルギー密度は平均0.2(kW/トン)、脱酸速度係数は0.4(1/分)に達し、数分で精錬が完了する。
文献1; The Institute of Metals; 3rd International Conference on CleanSteel,1985,June,P.250
【0010】本方法では高速精錬の故に溶鋼の温度降下が過大でないことに加え、第2の策として、仕上精錬に不可欠の非酸化性スラグをいわゆるダブル・スラグ法に従い溶解炉内で生成して出鋼時にレードルに排出している。従って出鋼以後には事例(1)のようにフラックスの溶解熱は必要とされない。この二つの熱的有利に支えられ、出鋼直前の温度をある程度高くすることにより再加熱工程の排除を可能としている。その結果低コストで高品質を得る有力手段となっている。
【0011】本方法の場合の第1の問題は、溶解炉内で仕上げ精錬用スラグを形成するので溶解炉の能率が旧態然として改善されないことである。
【0012】当該問題の解決のため、事例(1)と同様該スラグをレードル内で生成させると、フラックスの溶解により溶鋼熱が奪われる。従って従来より一層高温で出鋼する必要が生ずる。高温出鋼は二つの問題を誘発する。
【0013】一つは溶解炉及びレードルとも耐火物の溶損が増加することである。
【0014】他は脱酸水準が低下することである。脱酸水準は理論的には溶鋼成分、脱酸剤の種類と量、溶鋼温度により平衡論的に決まる。高温ほど解離酸素が多い。実際には脱酸剤の投入時期即ち精錬初期の温度の影響が決定的であることは経験的によく知られている。
【0015】第2の問題は、再加熱工程が無いので温度は下り一方になる。鋳造開始温度の的中のため精錬時間の調整が行われるが、冷却速度が5〜10℃/分とかなり大きく且つばらつくので困難になることは否めない。結果として余分の事前昇温、余分の精錬時間のため無駄が生ずる。
【0016】以上に説明した従来方法の問題をまとめると、事例(1)の方法ではアークによる再加熱を採用しているので、電力、電極、耐火物等の消費増によりコスト高の上に、処理時間が長く場合により上流の溶解工程を阻害する。
【0017】再加熱を適用しない事例(2)の方法では、ダブル・スラグ法を採用すると溶解炉の能率が低く、シングル・スラグ法により能率を改善すると一層の高温出鋼の故に耐火物の溶損の増加に加え、新たに脱酸水準の低下を来す。さらに温度的中のため余分の昇温と余分の精錬時間による無駄が発生する問題もある。
【0018】
【特許文献1】特公平1−46563号公報
【特許文献2】特開平7−179927号公報
【非特許文献1】The Institute of Metals; 3rd International Conference onCleanSteel,1985,June,P.250
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来のレードル精錬方法における上記問題、具体的には、以下全項目、これらは個別には従来の方法で達成・解決されているが、これらを低コストでまとめて達成できるレードル精錬方法を提供することを解決すべき課題としている。
1)溶解炉の機能を溶解、酸化、昇温に止め、溶解能率の向上を図るためレードル精錬機能を拡充する。
2)再加熱工程を排除もしくは大幅軽減して能率向上・コスト低減を図る。
3)高温出鋼を避け脱酸水準の向上と耐火物溶損を抑制する。
4)再加熱工程が無くても温度的中精度の向上を図る。
本発明は
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、精錬プロセスの一基本要素となっている溶鋼温度について、出鋼から連続鋳造までの熱精算及び操業の実態を調査・解析し、重要にして単純な二つ指針を得た。
【0021】第一の指針は周知であるが溶鋼から耐火物への熱移動は受鋼中が最大で以後漸減する。その値は意外に大きく且つ長く、これが熱損の大半を占め、そのため再加熱もしくは高温出鋼を余儀なくさせていることである。仮に受鋼直前において耐火物表面温度が溶鋼温度と同一であり且つ耐火物内部の温度分布が直線的勾配を持ち、実質的に定常状態となるよう耐火物を予熱する(以後定常予熱という)と溶鋼の熱損の進行は一変する。即ち溶鋼の冷却は初期では極端に減少し、出鋼から連続鋳造を通してほぼ一定となり再加熱が不要となるだけでなく溶鋼温度を低位に安定できるということを発見したことである。
【0022】第二の指針は、溶鋼温度を管理するため通常レードル耐火物は操業安定上必要な程度には予熱されるが、設備上、作業上の諸制約のため上記定常予熱にはほど遠く、しかもそれが当然と見なされ予熱の格段の強化への意識、努力が全く見られなかったことである。定常予熱は本発明によって開示されるようにそれほど困難ではないことがその証左であろう。
【0023】上記二指針に基づいた実験によりこの仮説がほぼ立証できたので以下の発明を構成した。
【0024】本発明の第1は、溶解炉で酸化精錬された溶鋼をレードルに出鋼して仕上精錬をする精錬方法であって、該レードルの耐火物の表面温度が出鋼された溶鋼の温度以下で且つ300℃以内であり且つ該耐火物内の温度勾配が直線的であるように該レードルを予熱することにより、該溶鋼の出鋼前後の温度差を15℃以下とし、出鋼時にフラックスを該レードルに投入する場合には該温度差を該フラックスの溶解に必要な熱量を溶鋼温度差に換算して上記の値に加算した値以下とすることを特徴とする溶鋼の精錬方法である。
【0025】当該手段により耐火物の事前の蓄熱量が飽和に近づくので溶鋼の温度降下は出鋼時のみならず以後の精錬から鋳造工程を通して大きく減少する。その結果再加熱は不要もしくは大幅に軽減される。出鋼温度を低下させることができる。
【0026】第2の発明は、第1の発明において、溶解炉から溶鋼とともに(FeO)+(MnO)の濃度が10%以下である仕上精錬用スラグをレードルに排出し、該スラグで覆われた溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込みつつ溶鋼上方の雰囲気圧を6〜40kPaに減圧・維持することを特徴とする溶鋼の精錬方法である。
【0027】当該手段により事例(2)の精錬方法の効果である低コスト高品質に以下が付加される。即ち第1発明の他の効果は同一理由で溶鋼の冷却速度のばらつきも減少することであるが、その効果により精錬終了温度の的中が容易になり鋳造品質の安定だけでなく、精錬温度が低位安定し、従って脱酸水準が向上する。
【0028】第3の発明は第1の発明において、溶解炉から溶鋼のみをレードルに排出し、フラックスを該レードルに投入して該レードル内で仕上精錬用スラグを生成し、該溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込みつつ該溶鋼上方の雰囲気圧を6〜40kPaに減圧・維持することを特徴とする溶鋼の精錬方法である。
【0029】当該手段により第2の発明の効果に以下が付加される。即ち、仕上精錬用スラグの生成はレードルでなされるので溶解炉の負荷が減少して溶解能力は事例(1)と同等の向上が図られる。
【0030】第4の発明は、第1の発明の精錬方法を実施するレードル予熱装置であって、溶解炉から溶鋼を受けるレードルを積載して移送するレードル台車と、該レードル台車を溶解炉下方の受鋼位置と精錬位置間を案内する軌道と、該受鋼位置又はその近傍に設置され該レードルの上方開口部を覆って保温する開閉自在のレードル・カバーと、該レードル・カバーに付設され該レードル耐火物表面を受鋼直前まで予熱するバーナーとからなることを特徴とするレードル予熱装置である。
【0031】第5の発明は、第2又は第3の発明を実施する精錬装置であって、1)請求項4に記載のレードル予熱装置と、2)溶解炉から溶鋼を受ける側壁気密構造のレードルと、3)精錬装置本体とからなり、該精錬装置本体は、▲1▼レードル台車上に付設され該レードルが上置されて該レードル下面の開口部を気密にする下部真空カバーと、▲2▼精錬位置の上方に設置され該レードル上面の開口部を気密にする開閉自在の上部真空カバーと、▲3▼該上部真空カバーに連設され溶鋼雰囲気を6〜40kPaに減圧する排気装置と、▲4▼減圧操作と並行して溶鋼中に精錬ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込む通気性プラグとからなることを特徴とする溶鋼の精錬装置 である。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に従って説明する。図1は第1から第3の発明の精錬方法を実施する装置を例示する概略側面図である。
【0033】溶解炉1から溶鋼2を受けるレードル3は、側壁が気密構造であり、レードル台車4上に付設され該レードル下面を気密にする下部真空カバー11上に積載されている。該台車4は軌道5を介して受鋼位置Paに誘導される。該位置Paにおいて該レードル3の上面の開口部を覆うためレードル・カバー6が装着される。該レードル・カバー6に付設された酸素・燃料バーナー7によりレードル内面の耐火物8は受鋼直前まで強力且つ充分に加熱される。該耐火物8の表面は出鋼された溶鋼9の温度以下で且つ300℃以内の温度にまで加熱される。さらに該耐火物内部の温度勾配が直線的になるまで、即ちほぼ定常状態になるまで加熱が継続される。定常予熱までできれば理想的でその場合溶鋼の熱損は最少になる。受鋼に当たり、レードル・カバー6は保持したまま該カバー6の開口を通して受鋼してもよいし、該カバー6を退避させても良い。退避後直ちに受鋼するなら問題はない。
【0034】一方溶解炉1においては、酸化、脱炭、昇温された溶鋼2は温度が所定値に正確に調整された後直ちに出鋼される。
【0035】出鋼時間は通常1〜3分である。溶鋼のみの出鋼とともにシュート(図示せず)を介して仕上精錬用スラグの原料となるフラックスが溶鋼量の約1.5%分、他にMn,Si等の合金鉄が所定量レードル3に投入される。出鋼された溶鋼9は一部は放射と雰囲気への対流伝熱により、多くはレードル3内を激しく攪乱しつつフラックスの溶解熱及び耐火物への伝熱により冷却される。出鋼前後の温度差は約45℃以内となる。従来方法ではこれが通常60〜90℃である。フラックスを事前に溶解炉内で溶解して溶鋼とともに排出するなら温度差は15℃以内に抑制される。該溶解熱は生成されるスラグの保有熱から容易に算出され、溶鋼温度で通常約30℃相当である。
【0036】フラックスを事前に該レードル3に挿入しておいて予熱に預かるようにしてもよい。その場合上記温度差はさらに小さくなる。
【0037】受鋼したレードル3はレードル台車4により精錬位置Prに移送される。該位置Prにおいて添加用ホッパー12と排気装置13が連設された上部真空カバー14が装着される。上下の真空カバーによりレードルは気密構造になる。一方レードルの底部に埋設された通気性耐火プラグ15からアルゴン・ガスが5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込まれつつ、溶鋼上方の雰囲気圧は6〜40kPaに減圧・維持される。脱酸速度係数は約0.4(1/min)程度が得られるので数分で精錬は完了する。その間冷却速度は4℃/分以下となり、精錬終了温度の的中は従来より容易になる。
【0038】精錬の内容、進行、水準等については事例(2)に詳細に示されておりここでは説明を省略するが、ピアノ線材用高炭素鋼は約5分の精錬で脱酸、脱硫、脱非金属介在物が充分な程度に処理される。精錬中の温度降下は25℃以内で従来の半減になる。
【0039】該溶鋼は精錬終了後直ちに連続鋳造に供される。鋳造時間は通常1時間前後ある。定常予熱ではなくても本発明では出鋼後20分以内(従来方法では30分以上)で耐火物内温度分布は実質的に定常状態になる。定常状態では溶鋼の冷却速度は意外に小さい。早期に定常状態になるので低温出鋼でも長時間の連続鋳造に耐えることができる。
【0040】第1発明を事例(1)の方法の既存設備に適用しても良い。この場合再加熱の負荷が削減されるので、電力、電極、耐火物の消費が減少し、処理時間も短縮され当該精錬方法の問題はかなり解消される。
【0041】再加熱の負荷が軽減されるならアーク加熱ではなくプラズマ・トーチを使用することができる。該トーチは出力限界に問題があるのでレードル溶鋼の加熱には適さなかったが本発明では実用範囲に入る。この場合プラズマによる雰囲気制御ができること、アーク加熱とは異なりプラズマは強力な撹拌にも耐えられることにより高度且つ高速の精錬が可能になる。
【0042】以上本発明を実施する際の要点をまとめると、第1の発明で提示された耐火物の高温予熱により1)溶鋼の熱損は受鋼中より大幅に抑制され、且つ2)耐火物内の温度分布は比較的早期に定常状態になる。定常状態では冷却速度はかなり小さい。この二つの特徴から精錬方法に関わらず従来より出鋼前の溶鋼温度を大きく下げることができ、また再加熱も排除できる。再加熱を適用する場合でもその負担は大幅に軽減される。
【0043】これらの効果を事例(2)の精錬方法に適用すると、精錬温度が従来よりかなり低位に維持されるので脱酸水準が確実に向上し、耐火物消費も減少する。
【0044】事例(2)の精錬方法に対して仕上精錬スラグをレードル内で生成して溶解炉サイクルを短縮する方法を採っても溶解炉内の溶鋼温度を多少上げるだけでレードル内溶鋼温度は低位を維持することができる。
【0045】高温予熱は冷却速度を小さく且つそのばらつきも小さくするので温度的中精度が向上し長時間の精錬や連続鋳造が必要になっても対処が容易になる。
【0046】次に実施の形態の理由及び効果の根拠について述べる。初めに出鋼時の溶鋼の熱損を検討する。気中への対流損は放射損の約10%で無視できる。放射損も意外に小さく実効表面積から高々溶鋼温度の5〜10℃相当である。一般に出鋼前後の温度差は25〜60℃であるからその差は耐火物への伝熱になる。
上記温度差は溶鋼と耐火物表面の温度差に決定的に依存することは容易に理解される。
【0047】次に出鋼以後の熱損を検討する。通常受鋼直後における溶鋼の冷却速度は、定常状態と見なせる30分以後のそれと比較すると数十倍になっている。これは溶鋼の熱損が初期では著しく非定常で急激に耐火物に蓄熱されるが、時間の経過とともに蓄熱は飽和し、耐火物内の定常熱伝導のみに漸近することを意味している。定性的には予熱条件が定常予熱に近いほど即ち両者の平均温度差が小さいほど初期伝熱量は小さく、耐火物の熱伝導率/熱容量比が大きいほど早期に定常状態になると推測される。ここから予熱温度と耐火物物性の定量的な適正化を見通すことが容易になる。
【0048】予熱温度が溶鋼温度と同一即ち定常予熱の場合、溶鋼の放熱量は出鋼直後より鋳込を通して実質一定になる。該放熱量は耐火物層の伝熱性(総括熱伝達率α)に依存し、鉄皮の放熱量と均衡する。αの値に対応して鉄皮温度が上下する。鉄皮温度は通常200〜400℃であり、その表面熱伝達率(18〜26W/m2K)から溶鋼冷却速度を見積もることができる。ちなみに30トンのレードルの場合、平均約0.15〜0.3℃/分程度に収まる。
【0049】予熱に関する従来方法の実態を検討する。受鋼に当たり通常、耐火物の表面温度が1000〜1200℃程度になるまで予熱される。しかし予熱後の運搬等の諸作業により受鋼までに5〜15分放冷され、800℃程度に低下するのが観察される。その事実から耐火物内部まで十分予熱されていない、即ち定常的でないと見なされる。受鋼位置で受鋼直前まで、且つ耐火物内温度分布が定常的即ち直線的勾配になるまで予熱することが定常予熱に接近できる条件となる。しかし事例は見当たらない。
【0050】必要な予熱の程度を見積もる。図2は種々の予熱条件について出鋼直前から鋳造初期までの溶鋼温度の変化を出鋼直前温度を基準に示した。本発明に基づく理想条件として耐火物を1600℃の定常予熱とすると計算から本発明1の線になる。この場合放射損も消滅して出鋼前後温度差は実質ゼロになる。
【0051】比較例は30トンレードル(計算総括熱伝達率α=4.5kW/m2K、鉄皮温度;計算値280℃実測値250℃)の実測に基づく。予熱状況は実測と概算から表面温度約1000℃定常状態に相当と見なされた。両者の差は歴然としている。本発明例では初期過剰伝熱は存在せず定常伝熱のみであるから出鋼から精錬、鋳造を通して温度降下は著しく小さく、従って出鋼温度を大きく下げることができる。
【0052】耐火物の予熱条件が両者の中間の場合は実験によって明らかにした。耐火物表面を約1300℃に加熱し、仮設カバーにより受鋼までの放熱を抑制し、実測と概算から予熱条件は約1250℃定常状態と見なされた。この値は出鋼された溶鋼の温度の約300℃低い温度である。溶鋼温度の変化の実測値は図中本発明2の線に示される。出鋼前後の温度差は15℃以内で以後の温度降下も十分小さくなっていることが解る。当然精錬温度、鋳造開始温度を低くすることができる。これが第1発明において耐火物の予熱条件を出鋼された溶鋼温度以下で且つ300℃以内の定常状態とし、出鋼前後の溶鋼温度差を15℃以内とした根拠である。
【0053】耐火物の材質としては、従来方法のように予熱温度が高くないと熱伝導率が相対的に小さい高珪質系、アルミナ系では特に問題は意識されないが、逆のジルコン系、マグネシア系は初期冷却が大きくて不都合である。本発明のように高温予熱になると初期過剰冷却が解消され、熱伝導率/熱容量比の大きいジルコン系、マグネシア系は早期に定常になるので有利に使用できるようになる。
【0054】図2から精錬温度を30℃以上下げることができる。耐火物の溶損は主として精錬中に進行するので、この温度差は十分意味がある。その上Si脱酸やAl脱酸に際して、平衡酸素量は温度降下とともに低下するので明確な効果が得られる。例として、0.2%Si−0.006%Alの場合1580℃から1550℃に低下すると平衡酸素量は25から16ppmに低下する。
【0055】スラグ組成の特定は事例(2)の特定を実態にあわせて具体化しただけで非酸化性スラグとして(FeO)+(MnO)の濃度が10%以下とした。同様に精錬ガス流量、雰囲気圧の特定も事例(2)を踏襲した。特定量以下の流量では攪拌力不足により所望の反応速度が得られず、以上ではガスの吹き抜け現象が発生して不都合である。特定量以下の圧力ではガス流量が多い場合には沸騰過剰で危険であり、以上ではガス流量が少ない場合には膨張効果の減少により所望の反応速度が得にくくなる。
【0056】
【実施例】基準となる事例(2)と本発明の比較試験を行った。0.8%Cの高炭素鋼を電気炉で溶解し、容量30トンのレードルで精錬を行い連続鋳造に供した。溶鋼温度の変化の比較は図2に示す。本発明1は定常予熱の場合で実施上の問題があるが熱損は実質的に解消される。本発明2では出鋼温度を40℃下げることができる。本発明3ではフラックスをレードルに投入するので出鋼温度を比較例の10℃下とすることで精錬温度は発明2と同等となる。
【0057】図3は上記試験において脱酸の程度を比較した結果を示す。図中の折線は平衡酸素量を示す。比較例の値は平均22ppmで本発明では16ppmまで清浄化が進んでいる。これは精錬温度低下による脱酸の進行と見なすことができる。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば第1の発明では溶解炉で予備精錬された溶鋼をレードルに出鋼するに当たり、レードル内壁耐火物を従来にない高温に且つ受鋼直前まで予熱するので出鋼時とその後の溶鋼温度降下が大きく減少する。
【0059】第2の発明では第1の発明を事例(2)の精錬方法に適用するので出鋼前溶鋼の温度を相当低下させることができ、予熱に消費するエネルギーを越える省エネと耐火物の耐久等のコスト低減が得られる。その上、精錬温度の低下は脱酸水準を向上させるので品質に対して有利になる。さらに冷却速度の低下により温度的中精度が向上する。
【0060】第3の発明では事例(2)の方法の弱点即ち仕上精錬用スラグを溶解炉内で生成することに対してレードル内で生成させるので溶解炉の能率は大きく向上する。その際、出鋼前溶鋼温度は事例(2)と概ね同程度であるが出鋼以後は第2の発明と同様で従来より低温に維持されるのでコスト及び品質に対して効果が大きい。
【0061】第1の発明を事例(1)の方法に適用すると再加熱の負荷が大幅に軽減され当該方法の問題が大きく解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1、第2及び第3の発明の精錬方法を実施するための装置を例示する概略側面図である。
【図2】従来方法と本発明の溶鋼の温度降下の状況を比較する図である。
【図3】本発明による脱酸の効果を比較する図である。図中折線は当該脱酸剤量の平衡酸素量を示す。
【符号の説明】1:溶解炉 2:溶鋼 3:レードル 4:レードル台車 5:軌道 6:レードル・カバー 7:バーナー 8:耐火物 9:出鋼された溶鋼11:下部真空カバー 12:添加用ホッパー 13:排気装置 14:上部真空カバー 15:通気性耐火プラグ Pa:受鋼位置 Pr:精錬位置
Claims (5)
- 溶解炉で酸化精錬された溶鋼をレードルに出鋼して仕上精錬をする精錬方法であって、該レードルの耐火物の表面温度が出鋼された溶鋼の温度以下で且つ300℃以内であり且つ該耐火物内の温度勾配が直線的であるように該レードルを予熱することにより、該溶鋼の出鋼前後の温度差を15℃以下とし、出鋼時にフラックスを該レードルに投入する場合には該温度差を該フラックスの溶解に必要な熱量を溶鋼温度差に換算して上記の値に加算した値以下とすることを特徴とする溶鋼の精錬方法。
- 溶解炉から溶鋼とともに(FeO)+(MnO)の濃度が10%以下である仕上精錬用スラグをレードルに排出し、該スラグで覆われた溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込みつつ溶鋼上方の雰囲気圧を6〜40kPaに減圧・維持することを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の精錬方法。
- 溶解炉から溶鋼のみをレードルに排出し、フラックスを該レードルに投入して仕上精錬用スラグを生成し、溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込みつつ該溶鋼上方の雰囲気圧を6〜40kPaに減圧・維持することを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の精錬方法。
- 請求項1に記載の精錬方法を実施するレードル予熱装置であって、溶解炉から溶鋼を受けるレードルを積載して移送するレードル台車と、該レードル台車を溶解炉下方の受鋼位置と精錬位置間を案内する軌道と、該受鋼位置又はその近傍に設置され該レードルの上方開口部を覆って保温する開閉自在のレードル・カバーと、該レードル・カバーに付設され該レードル耐火物表面を受鋼直前まで加熱するバーナーとからなることを特徴とするレードル予熱装置。
- 請求項2又は請求項3に記載の精錬方法を実施する精錬装置であって、1)請求項4に記載のレードル予熱装置と、2)溶解炉から溶鋼を受ける側壁気密構造のレードルと、3)精錬装置本体とからなり、該精錬装置本体は、▲1▼レードル台車上に付設され該レードルが上置されて該レードル下面の開口部を気密にする下部真空カバーと、▲2▼精錬位置の上方に設置され該レードル上面の開口部を気密にする開閉自在の上部真空カバーと、▲3▼該上部真空カバーに連設され溶鋼雰囲気を6〜40kPaに減圧する排気装置と、▲4▼減圧操作と並行して溶鋼中に精錬ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込む通気性プラグとからなることを特徴とする溶鋼の精錬装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002276598A JP2004115823A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | 溶鋼の精錬方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002276598A JP2004115823A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | 溶鋼の精錬方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004115823A true JP2004115823A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32272421
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002276598A Pending JP2004115823A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | 溶鋼の精錬方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004115823A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100844794B1 (ko) * | 2006-12-28 | 2008-07-07 | 주식회사 포스코 | 오스테나이트계 스테인리스강의 고청정 정련 방법 |
JP2012500962A (ja) * | 2008-08-29 | 2012-01-12 | レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード | バーナー組立体(burnerassembly)による燃焼発生方法、及びそのためのバーナー組立体 |
CN108015241A (zh) * | 2017-12-21 | 2018-05-11 | 无锡刚正精密吸铸有限公司 | 一种铜棒的快速加工装置 |
CN115094196A (zh) * | 2022-06-24 | 2022-09-23 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种高合金钢合金加入控制方法 |
-
2002
- 2002-09-24 JP JP2002276598A patent/JP2004115823A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100844794B1 (ko) * | 2006-12-28 | 2008-07-07 | 주식회사 포스코 | 오스테나이트계 스테인리스강의 고청정 정련 방법 |
JP2012500962A (ja) * | 2008-08-29 | 2012-01-12 | レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード | バーナー組立体(burnerassembly)による燃焼発生方法、及びそのためのバーナー組立体 |
CN108015241A (zh) * | 2017-12-21 | 2018-05-11 | 无锡刚正精密吸铸有限公司 | 一种铜棒的快速加工装置 |
CN115094196A (zh) * | 2022-06-24 | 2022-09-23 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种高合金钢合金加入控制方法 |
CN115094196B (zh) * | 2022-06-24 | 2023-08-08 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种高合金钢合金加入控制方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5574057B2 (ja) | 製鋼スラグ還元処理用電気炉のスラグ供給容器 | |
CN105316558B (zh) | 一种防止铸坯角裂含硼钢的制备方法 | |
WO2015012354A1 (ja) | 排ガス処理方法および排ガス処理設備 | |
CN116904863B (zh) | 一种高洁净度高碳钢及其低碳排生产方法 | |
CN102230054A (zh) | 超高锰钢铸钢件生产新工艺 | |
WO2019169548A1 (zh) | 一种低强度微合金化稀土铸钢 | |
JP5063966B2 (ja) | 溶鋼の製造方法 | |
CN117026092A (zh) | 一种高强弹簧钢及其制备方法 | |
CN116875912A (zh) | 一种高纯净度高碳钢线材及其生产方法 | |
JP2004115823A (ja) | 溶鋼の精錬方法 | |
JP3893770B2 (ja) | 高清浄極低炭素鋼の溶製方法 | |
CN114351035B (zh) | 一种提高轴承钢纯净度的过氩站预精炼方法 | |
BR102012010090A2 (pt) | Método para produção de aço de alta limpeza | |
WO2019044292A1 (ja) | 鋼の連続鋳造方法および薄鋼板の製造方法 | |
KR102251032B1 (ko) | 탈산제 및 용강 처리 방법 | |
JP5135846B2 (ja) | 貯銑炉の操業方法 | |
JPH11279631A (ja) | ステンレス溶鋼の精錬方法 | |
KR100977795B1 (ko) | 고 청정강의 제조방법 | |
JP2019000903A (ja) | 鋼の溶製方法及び連続鋳造方法 | |
KR20190076314A (ko) | 저탄소강의 정련방법 | |
Ciocan et al. | Effect of secondary vacuum treatment on performance characteristics of A516 grade 65 carbon steel | |
JP7480751B2 (ja) | 溶鋼の脱窒方法および鋼の製造方法 | |
JP2002285222A (ja) | 高Cr鋼の溶製方法 | |
JP3649175B2 (ja) | 長時間連続鋳造時の前処理方法 | |
JP2002371313A (ja) | ステンレス溶鋼の溶製方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060309 |
|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20060309 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A072 | Dismissal of procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072 Effective date: 20060711 |