JP2004115690A - スチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スチレン系樹脂を材料とし、とりわけスチレン系樹脂の回収品を材料として、簡易な方法で気泡を含んでいない良質の発泡性粒子を容易に安価に製造できる方法を提供しようとするものである。
【解決手段】スチレン系樹脂を押出機に入れて溶融し、溶融された樹脂に発泡剤を圧入し、発泡剤含有の溶融樹脂を直接冷却用液体中に押し出して、押し出すと同時に樹脂を切断して発泡性粒子とする方法において、発泡剤として沸点が20〜60℃の比較的高い炭化水素を選んで使用し、溶融樹脂を160℃以下の低い温度と20メガパスカル以上の高い圧力の下に押出機から押し出し、冷却用液体を常圧下の60℃以下の温度とする。
【選択図】 図1
【解決手段】スチレン系樹脂を押出機に入れて溶融し、溶融された樹脂に発泡剤を圧入し、発泡剤含有の溶融樹脂を直接冷却用液体中に押し出して、押し出すと同時に樹脂を切断して発泡性粒子とする方法において、発泡剤として沸点が20〜60℃の比較的高い炭化水素を選んで使用し、溶融樹脂を160℃以下の低い温度と20メガパスカル以上の高い圧力の下に押出機から押し出し、冷却用液体を常圧下の60℃以下の温度とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、スチレン系樹脂の発泡性粒子を製造する方法に関するものである。とくに、この発明は、スチレン系樹脂の良質な発泡性粒子を簡易な方法により容易に製造することができる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂の発泡性粒子を製造する方法には、色々な方法がある。その1つとして、スチレン系樹脂に発泡剤を含浸させる方法がある。その方法は例えば、スチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させて懸濁液を作り、これに発泡剤を加えて攪拌し、樹脂粒子に発泡剤を含ませて発泡性粒子とするのである。また、発泡剤を加えたスチレン系単量体を水性媒体中に分散させて分散液を作り、分散液中で単量体を重合させてスチレン系樹脂の懸濁液を作り、その後にスチレン系樹脂を水性媒体から分離して発泡性粒子とするのである。これらの方法によるときは球状かつ良質の発泡性粒子を得ることができるが、費用と時間がかかるために、この方法は、発泡性粒子が高価なものとなる、という欠点を持っている。
【0003】
発泡性粒子を簡易に安価に製造する方法としては、押出発泡抑制法とも云うべき方法が知られている。押出発泡抑制法は、スチレン系樹脂に限らず広く熱可塑性樹脂一般に適用できるとされている。この方法は、熱可塑性樹脂を押出機に入れて溶融し、押出機内で溶融した樹脂に発泡剤を圧入し、発泡剤含有の溶融樹脂を押出機の先端に付設された金型の小孔から冷却用液体中に押し出し、押出物が未発泡の状態にある間に、押出物を液体との接触により冷却して発泡を抑制し、次いで押出物を切断して発泡性粒子とする方法である。
【0004】
この方法は、押出物を切断する時期によってさらに2つに分けられる。その1つは、ホットカット法と呼ばれる方法であって、押出機の先端に付設された金型の小孔から冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断する方法である。他の1つは、押出機の先端に付設された金型の小孔から一旦大気中に押し出したものを冷却用液体中に導き冷却して、その後に切断する方法であって、コールドカット法と呼ばれている。前者の方法は、後者の方法に比べて発泡性粒子の生産性が良く、また、かどのない球状の発泡性粒子を与えるので、得られた粒子が取り扱い易いという利点をもっている。
【0005】
文献によれば、ホットカット法の多くは、冷却用液体を加圧した状態に置いて実施することとしているが、中にはまれに冷却用液体を常圧下に置いても実施できるように記載しているものもある。すなわち、押出機内で溶融したスチレン系樹脂に沸点が−50〜0℃の発泡剤を圧入して押出機から押し出し、押出物を20〜100℃で常圧以上40気圧以下の水中に押し出して、発泡性粒子とすることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1の実施例は「3気圧、60℃」又は「10気圧、60℃」の液体中に押し出すこととしていて、常圧下の液体中に押し出した実施例を記載していない。
【0006】
また、押出機内で窒素ガスのような気体を発泡剤として樹脂に圧入し、これを20℃、60kg/cm2 の加圧下にある液体中へ押し出して、発泡性粒子とすることが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、発泡剤として沸点が95℃以下の脂肪族又はハロゲン化脂肪族炭化水素を用いて、これを押出機内で溶融したスチレン系樹脂に圧入し、樹脂のガラス転移点+5℃以上に加熱加圧された液体中へ樹脂を押し出し、その後冷却して発泡性粒子とすることも知られている(例えば、特許文献3参照)。加圧された液体としては、特許文献3の実施例では15kg/cm2 の圧力下にある液体を使用している。
【0007】
このように、ホットカット法では押出物の冷却用液体として、常圧下の液体が使用できると記載している公報もあるが、実際には常圧下の液体は使用されていない。これは、常圧下の液体を使用したのでは、押出物が液体中で発泡し、従って得られた発泡性粒子はその中に気泡を含んだものとなるからである。
【0008】
発泡性粒子がその中に気泡を含んでいると、これを加熱して発泡させた場合、発泡して得られた発泡粒は内部に空洞を含んだものとなるため、これから均一に発泡した良質の発泡成形体を得ることができない。すなわち、発泡性粒子がその中に気泡を含んでいると、この発泡性粒子を発泡させて得られた発泡粒は気泡の存在したところに大きな空洞を含んだものとなる。この空洞を含んだ発泡粒を成形型に充填し、加熱して発泡粒をさらに発泡させるとともに互いに融着させて発泡成形体にすると、得られた発泡成形体は空洞を含んだものとなり、従って、一様に発泡した良質の成形体を得ることができない。従って、発泡性粒子はその中に気泡を含むものであってはならない。
【0009】
このように、これまでホットカット法では、常圧下にある液体中に発泡剤含有の溶融樹脂を押し出して、発泡性粒子を作ることは、紙上では可能とされていたが、実際には気泡を含まない発泡性粒子が得られないために実施されなかった。云いかえると、ホットカット法は、実際には専ら加圧下の液体中に押し出すこととされて来た。
【0010】
ところが、加圧下にある液体中に押し出すためには、液体を入れる容器として加圧容器を用意する必要があり、また加圧ポンプ等を使用する必要があるために、実施は容易でない。そのため、安価に発泡性粒子を製造することができない。そこで、さらに簡単な設備により、安価に気泡を含まない良質の発泡性粒子を製造できる方法の出現が望まれた。
【0011】
他方、冷蔵庫、テレビ、エアコン等の家電製品については、2001年4月から家電リサイクル法が施行されて、家電製品を構成する材料は、これを再利用することが義務付けされた。従って、家電製品を構成するプラスチック材料は、これを再利用しなければならなくなった。それとともに、家電製品に付随して使用される包装材料も再利用することが必要とされ、包装用緩衝材として使用されているスチレン系樹脂発泡体も再利用することが必要とされるに至った。
【0012】
スチレン系樹脂発泡体は、家電製品以外にも広く使用されている。例えば、ぬかるみに敷いて仮設歩道としたり、壁に入れて断熱材としたり、畳床としたりして、土木建築用に広く使用されている。さらに、スチレン系樹脂発泡体は魚箱、冷凍食品容器、食品販売用トレー等として広く使用されている。これらの発泡体も再利用することが望ましいとされている。
【0013】
これらのスチレン系樹脂発泡体を再利用するには、これの発泡体を回収し、これを粉砕して再び発泡体として利用することが望ましい。そのためにはこれら回収品を材料として、簡易な方法で再び良質の発泡体とすることができる方法を確立する必要がある。これをさらに煎じ詰めると、結局スチレン系樹脂の良質な発泡性粒子を簡易な方法で、容易に製造できる方法の提供が必要だ、ということに帰する。
【0014】
特許文献1 特公昭48−20423号公報
特許文献2 特開平5−117437号公報
特許文献3 特開平6−32932号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述の必要に応じて生れたものである。すなわち、この発明は、スチレン系樹脂を材料とし、とりわけスチレン系樹脂の回収品を材料として、簡易な方法で気泡を含まない良質の発泡性粒子を容易に製造できる方法を提供しようとするものである。
【0016】
【課題解決のための手段】
この発明者は、スチレン系樹脂の発泡性粒子を簡易な方法で製造するには、押出発泡抑制法が適しており、そのなかでも発泡性粒子の生産性が良く、またかどのない球状の発泡性粒子が得られるために、得られた粒子が取り扱い易いという利点をもっているホットカット法に着目した。そこで、この発明者は、ホットカット法のうち、冷却用液体を常圧下に置いて発泡性粒子を製造しようと企てた。すなわち、押出機から発泡剤含有の溶融樹脂を常圧の冷却用液体中に押し出して、押し出すと同時に押出物を切断して発泡性粒子を得ようと企てた。しかも、こうして内部に気泡を含んでいない良質の発泡性粒子を得ようと企て、色々と実験を試みた。
【0017】
その結果、この発明者は、ホットカット法において、比較的沸点の高い炭化水素系の発泡剤を用い、スチレン系樹脂を比較的低い温度で、しかも高い圧力の下に押出機から押し出すようにすると、常圧下の液体中に押し出しても、気泡のない良質の発泡性粒子が得られることを見出した。とくに、この発明者は、このようにすると、スチレン系樹脂として新材料を使用した場合だけでなく、スチレン系樹脂の回収品、例えば一度緩衝材として使用されたスチレン系樹脂発泡成形体からの回収品を用いて、良質の発泡性粒子が得られることを見出した。この発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0018】
この発明は、押出機内で溶融されたスチレン系樹脂に発泡剤を圧入し、発泡剤含有の溶融樹脂を押出機の先端に付設された金型の小孔から冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却して発泡を抑制し発泡性粒子とする方法において、(a)発泡剤として沸点が20〜60℃の脂肪族又は環式脂肪族炭化水素を使用し、(b)樹脂が上記金型に入る時の樹脂温度及び樹脂圧力とをそれぞれ160℃以下及び20メガパスカル以上とし、(c)上記冷却用液体を常圧下に置くとともに60℃以下の温度に保持することを特徴とする、スチレン系樹脂の発泡性粒子の製造方法を提供するものである。
【0019】
この発明で使用される樹脂は、スチレン系樹脂である。スチレン系樹脂とは、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン等のスチレン系ビニル単量体を主構成単位とする重合体である。スチレン系樹脂は、スチレン系ビニル単量体だけからなる重合体のほか、スチレン系ビニル単量体と他のビニル系単量体との共重合体を含んでいる。他のビニル系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、これらの酸のエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルニトリル、無水マレイン酸、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を含んでいる。但し、これら他のビニル系単量体は、スチレン系樹脂中に50重量%以下含まれているものとする。
【0020】
また、スチレン系樹脂は、スチレン系樹脂の回収品を含んでいる。スチレン系樹脂は、回収品だけからなるものであってもよい。しかし、好ましいのは、まだ使用されたことのない新原料を50重量%以下の割合で回収品に加えたものである。
【0021】
スチレン系樹脂の回収品は、元に遡ると前に述べたように色々な用途に用いられたものを含んでいる。これらのうち発泡した回収品は、まずこれを加熱して容積を減らし、次いで他の回収品と同様に粉砕して混合する。粉砕品中に異物が含まれているときは、異物を取り除く。その後に粉砕品をさらによく混合して、その中にムラがないようにする。こうして得た粉砕品について、その中から1部を取り出し、その性質を調べて、その性質が樹脂を発泡させるに適していないときは、これに発泡させるに必要なものを添加して、これを原料として押出機に供給することとする。
【0022】
スチレン系樹脂を原料として押出発泡抑制法を行う場合に、樹脂を発泡に適したものとするために樹脂に加える添加物として重要なものに、ポリブタジエンと気泡核剤とがある。
【0023】
このうち、ポリブタジエンは回収品に対してとくに効果がある。一般に、回収品は熱履歴などにより樹脂が老化しているために、これをそのまま発泡性粒子にすると、この粒子を発泡させて得られた発泡体は脆くて気泡の粗いものとなる。この欠点を補うには、回収品にポリブタジエンを加えて、回収品中のポリブタジエン含有量を3〜10重量%とするのが適している。ポリブタジエンが3重量%未満では上記欠点を補うに充分でなく、10重量%を越えると発泡性が阻害されるからである。回収品中に含まれるポリブタジエン量は、回収品をトルエンに溶解させ、メンブランフィルターで濾過したのち、ホットプレート上でフィルム化し、熱分解がスクロマトグラフ分析法でフィルム中のブタジエン量を測定して決めることができる。
【0024】
気泡核剤は、スチレン系樹脂として新原料を使用するときには、これを加えることが必要とされるが、回収品を使用する場合にも、これを添加することが好ましい場合がある。気泡核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、シリカ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等である。そのうちでは微粉末タルクが好ましく、その量は樹脂100重量部に対して0.3〜2.0重量部とすることが好ましい。そのほか、必要に応じて難燃剤、帯電防止剤、着色剤等を添加することができる。
【0025】
ホットカット法においては、回収品は上述の新原料と大きく異なった挙動を示す。例えば、新原料を使用した場合には、加圧下の液体により冷却することによって、気泡を含まない良質の発泡性粒子を直ちに得ることができる。ところが、回収品を使用した場合には、一般に溶融粘度が低くて発泡させるに適した粘度が得られないだけでなく、発泡させることができる溶融粘度にすると、押出物中に気泡が発生し易くなるので、気泡を含まない発泡性粒子とすることが困難である。それは、回収品が種々の夾雑物を含んでいるからである。
【0026】
前述のように、押出発泡抑制法は、押出物を切断する時期によって、コールドカット法とホットカット法とに分けられる。新原料を使用した場合には、コールドカット法によってもホットカット法によっても、得られた発泡性粒子は、その発泡性に大きな差異を示さない。すなわち、何れの方法によっても得られた発泡性粒子は、これを加熱し発泡させると各粒子は均一に発泡し、多数の粒子を融着させて発泡成形体とすると、成形体は均一に発泡したものとなる。ところが、回収品を使用した場合には、コールドカット法によって得られた発泡性粒子は、1つの粒子自体が均一に発泡しないで、カットによって新たに生じた面とその余の面との間で、発泡状態に大きな相違が生じる。すなわち、カットによって新たに生じた面では、その余の面に比べて、気泡の大きさが小さくなる。従って、多数の粒子を融着させて得られた発泡成形体は一様に発泡したようには見えなくなる。従って、回収品を押出発泡抑制法で処理する場合にはホットカット法によることが必要であることを見出した。。
【0027】
この発明では、発泡剤として、沸点が20〜60℃の脂肪族又は環式脂肪族炭化水素を用いる。脂肪族又は環式脂肪族炭化水素はスチレン系樹脂の発泡剤として公知のものであるが、20〜60℃の沸点を持ったものは、公知の発泡剤の中では比較的沸点の高いものである。また、脂肪族又は環式脂肪族炭化水素は、スチレン系樹脂に吸収され易い化合物であるから、窒素ガスのような不活性気体を発泡剤として用いる場合に比べると、押出機内での樹脂圧力を低くするのが普通である。ところが、この発明ではのちに述べるように、押出機内での樹脂の発泡を抑制するために、樹脂圧力を異常に高く保持する点が特色となっている。
【0028】
この発明で用いることのできる発泡剤は、例えばノルマルペンタン(沸点36℃)、イソペンタン(沸点28℃)、シクロペンタン(沸点49℃)又はシクロペンタジエン(沸点41℃)であって、これらは単独で又は混合して用いることができる。そのほか、上記のものを主成分とし、これに沸点が20℃以下の脂肪族炭化水素、例えばノルマルブタン、イソブタン、プロパン等を加えてなる混合物で、共沸点が20℃以上になるような混合物も発泡剤として使用することができる。このうちでとくに好ましい発泡剤は、イソペンタンであり、またイソペンタンとノルマルペンタンとの混合物であって、イソペンタンの比率が50重量%以上のものである。
【0029】
この発明では、発泡剤を樹脂100重量部に対し2〜20重量部の割合で圧入する。その理由は、発泡剤の圧入量が2重量部未満では、得られる発泡性粒子の発泡力が不充分だからであり、逆に20重量部を越えても、それに見合った利点が得られないだけでなく、押し出しが不安定となるからである。このうちで、好ましいのは、3〜10重量部である。
【0030】
この発明は、前述のように公知の発泡剤の中から、沸点が20〜60℃という、沸点の比較的高い脂肪族炭化水素又は環式脂肪族炭化水素を選んで発泡剤として用いる。一般に押出機内でスチレン系樹脂に発泡剤を圧入するためには、樹脂を200℃程度に加熱することが必要とされる。このため、この発明では、押出機内で200℃程度に加熱して発泡剤を含ませたのち、発泡剤含有の溶融樹脂を冷却して160℃以下という比較的低い温度にするとともに、20メガパスカルという、比較的高い圧力の下に押出機から押し出す。こうすることにより、押出機から押し出される時の樹脂は、発泡を充分に抑制された状態となって、押出機から押し出される。従って、押し出された樹脂は、常圧の下にある冷却用液体に接触するだけで、気泡を含まない未発泡の樹脂となる。これが、この発明の特徴とするところである。
【0031】
この発明では、押出時の樹脂温度と樹脂圧力とを、樹脂が押出機に付設された金型へ入る時点で規定している。理論上は、金型から樹脂が押し出された時点を基準とすべきであろうが、樹脂が押し出された時点では温度と圧力を測定することが困難なために、便宜上、押し出された時点での状態に大きく相違しないと思われる金型へ入る時点を基準としたのである。上記樹脂温度と樹脂圧力の中では、樹脂温度を120〜140℃とし、樹脂圧力を22〜26メガパスカルとすることが好ましい。
【0032】
ここで比較のために従来技術を見ると、発泡剤として脂肪族炭化水素を用いている前述の特許文献1では、樹脂が金型へ入る時の樹脂の温度及び圧力をそれぞれ110℃及び50気圧としている。従って、この発明で採用する160℃以下という樹脂温度は、低いとは云えないが、樹脂圧力を20メガパスカル以上とすることは、20メガパスカルが20×10kg/cm2 であるから、200kg/cm2 以上となって異常に高い圧力だ、ということになる。また特許文献3では、対応する樹脂の温度及び圧力をそれぞれ200℃及び110kg/cm2 としているので、この発明が採用する樹脂温度と圧力は、異常なものであることが判明する。
【0033】
この発明が、発泡剤の沸点を20〜60℃に限定した理由は、沸点が20℃未満では、樹脂を押し出している間に発泡剤の気化が始まり易いので、これを避けるためであり、逆に沸点が60℃を越えると、得られた発泡性粒子を加熱して発泡させることが困難となるからである。
【0034】
また、この発明において、樹脂が金型へ入る時の樹脂温度及び圧力を、それぞれ160℃以下及び20メガパスカル以上とした理由は、次のとおりである。樹脂温度が160℃を越えると、押し出し直後に樹脂が発泡し易くなり、従って発泡性粒子が気泡を含んだものとなり易いので、これを避けるために、160℃以下としたのである。また、樹脂圧力が20メガパスカル未満となると、樹脂が金型から出る際に、樹脂が発泡し易くなり、従って発泡性粒子が気泡を含んだものとなり易いから、これを避けるために20メガパスカル以上とするのである。
【0035】
上述のように発泡剤を選択し、樹脂温度と樹脂圧力を所定の範囲に維持して押出発泡抑制法を行うと、押出機から発泡剤含有の溶融樹脂を冷却用液体中へ押し出す際の液体を常圧の下に置いても、樹脂の発泡を抑制することができることとなる。但し、液体は60℃以下に保持する必要がある。なぜならば液体の温度が60℃を越えると、押出物の発泡を抑制することが困難となるからである。また逆に液体が余り低い温度になると、樹脂が金型内で固化して押し出すことができなくなるので、液体の温度は30℃以上、とりわけ30〜50℃とすることが好ましい。
【0036】
液体としては水、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を使用することができる。これらの中では水を用いることが好ましい。
【0037】
押出機の先端に付設する金型には、多数の樹脂排出用の小孔を穿設しておくことが好ましい。小孔の直径は、とくに限定されないが、0.2〜3.0mmの範囲内とするのが好ましい。得られた発泡性粒子の大きさを考慮すると、小孔の直径は0.3〜1.5mmとするのがさらに好ましい。
【0038】
こうして得られた発泡粒は、これを成形型に充填して加熱すると、さらに発泡するとともに、互いに融着して、空洞のない発泡成形体となる。この発泡成形体を作るには、これまで発泡成形体を作るのに用いられて来た装置をそのまま使用することができる。従ってこの発明の実施は容易である。
【0039】
これまでは、押出発泡抑制法によって得られた発泡性粒子は、この明細書の冒頭で述べた発泡剤含浸方法によって得られた発泡性粒子に比べて、発泡し得る倍率が低く、発泡性が劣るものとされて来た。ところがこの発明で得られる発泡性粒子は、とりわけ発泡剤として2〜8重量%のイソペンタンを含む発泡性粒子は、嵩倍率が60倍以上に発泡した発泡粒を与えるので、水性懸濁液を経由する方法によって得られた発泡性粒子に比べて全く遜色のないものとなる。
【0040】
この発明によれば、ホットカット法によるので、コールドカット法によるような欠点がない。すなわち、コールドカット法によっては、円柱状の発泡性粒子となるので、かどがあるため流れが悪く、またこの発泡性粒子を加熱して発泡させると、カットによって生じた面では気泡が小さくて発泡倍率が低く、その余の面との間に発泡状態の差異を生じることとなる。ところが、この発明ではホットカット法によるので、球形の発泡性粒子が得られ、従って得られた粒子の流れがよくて取り扱い易く、しかもこの発泡性粒子はこれを加熱した場合に全表面が一様に発泡する傾向を持っている。この相違は、前述のようにスチレン系樹脂として新原料を使用した場合にはさほど顕著に現れないが、回収品を使用した場合には顕著に現れる。
【0041】
【発明の効果】
この発明によれば、発泡剤として沸点が20〜60℃の脂肪族又は環式脂肪族炭化水素を使用し、押出機内の樹脂が金型へ入る時の樹脂温度及び樹脂圧力をそれぞれ160℃以下及び20メガパスカル以上としたので、発泡剤含有のスチレン系樹脂溶融物は押出機から押し出されたとき、発泡性能を抑制され、従って常圧下に60℃以下の冷却用液体に接してそのまま未発泡の状態で固化されることになる。従って、これを切断して得られた発泡性粒子は気泡を含まない良質のものとなっている。それゆえ、これを加熱して発泡させると、空洞のない発泡粒を形成し、引いては良好な発泡成形体が得られる。
【0042】
このようにこの発明方法によれば、ホットカット法の中でも常圧の冷却用液体を用いて発泡性粒子が得られるので、その実施には加圧容器や加圧装置の用意をする必要がなく、従って発泡性粒子を容易に安価に製造できる。しかも、得られた発泡性粒子は、発泡剤を含浸させる方法によって得られた発泡性粒子に比べて全く遜色のない、高い倍率に発泡する良質のものである。この発明はこのような利益をもたらすものである。
【0043】
この発明方法を行うに適した装置の一例を模式図で示すと、図1のような構成となる。図1において、1は押出機であり、11は原料供給ホッパー、12は発泡剤供給口、13は高圧ポンプである。2は多孔ダイであり、3はカッティング室、31はカッターである。4は送水ポンプであり、5は脱水乾燥設備、6は水槽、7は容器である。
【0044】
以下に実施例と比較例とを挙げて、この発明のすぐれている所以を具体的に明らかにする。
【0045】
なお、実施例と比較例では発泡性粒子を発泡させたときの嵩倍率を測定している。その嵩倍率は、発泡性粒子をバラバラの状態で水蒸気に接触させることにより加熱して予備発泡粒とし、この予備発泡粒をメスシリンダーに入れて見掛の体積を測定し、その体積を予備発泡粒の重量で除して得られた値である。また、実施例と比較例では発泡性粒子中に含まれている発泡剤量を測定しているが、これはガスクロマトグラフを用いて定量した値である。
【0046】
【実施例1】
この実施例では図1に示した装置を用いた。
【0047】
廃棄テレビ製品から回収された5.4重量%のポリブタジエンを含む耐衝撃性スチレン樹脂を口径90mmの単軸押出機に時間当たり120kgの割合で連続供給し、別途核剤として微粉末タルクを樹脂に対して0.8重量部添加し樹脂に混合した。押出機温度としては最高温度210℃に設置し、樹脂を溶解した後、発泡剤として樹脂100重量部に対して6重量部のイソペンタンを押出機の途中より圧入した。押出機内で樹脂と発泡剤を混練してのち冷却し、押出機先端に取り付けた金型へ樹脂が入る時の樹脂温度を135℃に維持するとともに、金型へ樹脂が入る時の圧力を25メガパスカルに保持して、直径0.5mmの孔が200個配置された金型から金型に連結された常圧下で40℃の水が循環するカッティング室内に押し出すと同時に、高速回転する回転刃からなるカッターにて押出物を切断し、冷却、乾燥して発泡性粒子を得た。得られた発泡性粒子は、概略直径0.8mmのほぼ真球状の粒子であった。
【0048】
得られた発泡性粒子を72時間熟成した後、箱型発泡機に入れて0.5kg/cm2 で2分間加熱し予備発泡したところ嵩倍率75倍の予備発泡粒子が得られた。この時の発泡性粒子中には5.1重量部のイソペンタンが含まれていた。
【0049】
次にこの予備発泡粒子を24時間放置したのち、173×122×20mmの成形型に充填し、ゲージ圧0.8kg/cm2 の水蒸気を1分間成形型内に吹き込んで成形し、発泡成形品を得た。得られた成形品は均一な外観を有した良好なものであった。
【0050】
【実施例2〜3】
実施例1と同様の設備、原料を用い、発泡剤の組成をそれぞれ変えた以外は実施例1とほぼ同じ条件にて発泡性粒子を製造した。
【0051】
上記実施例1〜3で得られた発泡性粒子はいずれも内部に気泡を含んでいないほぼ真球状の粒子で、予備発泡嵩倍率60倍以上の良好な発泡性を示すものであった。
【0052】
実施例1〜3における発泡性粒子の製造条件と、得られた結果とを表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【実施例4及び比較例1〜2】
実施例1と同様の設備、原料を用い、発泡剤、押出時の樹脂温度、金型導入部の樹脂圧力、カッティング室内の循環水温度をそれぞれ変えて押出発泡性粒子を製造した。
【0055】
【比較例3】
この比較例では樹脂を金型から押し出すまでは、実施例1と同様の配合処方、押出条件にて押し出したが、樹脂を直接水中に押し出すのではなく、一旦大気中に押し出した後、直ちに紐状樹脂を40℃の水に満たした水槽中に導き、急冷し、次いで一対のロールで引取りながら、カッターで切断して発泡性粒子を得た。すなわち、ホットカット法の代りにコールドカット法にて発泡性粒子を製造した。得られた粒子は直径0.6mm、長さ1.5mmの円筒状の粒子であった。
【0056】
得られた発泡性粒子を72時間熟成した後、実施例1と同様の方法で予備発泡したところ嵩倍率70倍の予備発泡粒子が得られた。しかしながら、この予備発泡粒子はカット面の気泡が他の部分よりも小さく、発泡性粒子の表面に形成された気泡は不均一なものであった。予備発泡粒子を24時間放置後、実施例1と同様の方法にて成形型を用いて発泡成形品を得たところ、成形品表面の気泡は粗密部分が混在し、気泡の密な部分は色目が薄く、一方気泡が粗の部分は色目が濃く外観の不均一なものであった。
【0057】
実施例4、比較例1〜3における発泡性粒子の製造条件と、得られた結果を表2に示す。実施例4で得られた発泡性粒子は内部に気泡を含んでいないほぼ真球状の粒子であった。予備発泡嵩倍率は45倍で実施例1〜3よりは倍率の低いものであった。
【0058】
【表2】
【0059】
【実施例5〜7】
この実施例では実施例1と同様の設備を用い、使用するポリスチレン系樹脂原料の組成をそれぞれ変えた以外は実施例1とほぼ同じ条件にて発泡性粒子を製造した。実施例5〜7の製造条件と得られた発泡性粒子の性状及び実施例1と同じ方法にて発泡させた予備発泡粒子の嵩倍率を表3に示した。
【0060】
【表3】
【0061】
上記実施例5〜7で得られた発泡性スチレン系樹脂粒子はいずれも内部に気泡を含んでいない良好な真球状粒子であり、良好な発泡性を有するものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で用いることのできる装置の模式的な側面図である。
【符号の説明】
1 押出機
2 多孔ダイ
3 カッティング室
4 送水ポンプ
5 脱水乾燥設備
6 水槽
7 容器
11 原料供給ホッパー
12 発泡剤供給口
13 高圧ポンプ
31 カッター
【産業上の利用分野】
この発明は、スチレン系樹脂の発泡性粒子を製造する方法に関するものである。とくに、この発明は、スチレン系樹脂の良質な発泡性粒子を簡易な方法により容易に製造することができる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂の発泡性粒子を製造する方法には、色々な方法がある。その1つとして、スチレン系樹脂に発泡剤を含浸させる方法がある。その方法は例えば、スチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させて懸濁液を作り、これに発泡剤を加えて攪拌し、樹脂粒子に発泡剤を含ませて発泡性粒子とするのである。また、発泡剤を加えたスチレン系単量体を水性媒体中に分散させて分散液を作り、分散液中で単量体を重合させてスチレン系樹脂の懸濁液を作り、その後にスチレン系樹脂を水性媒体から分離して発泡性粒子とするのである。これらの方法によるときは球状かつ良質の発泡性粒子を得ることができるが、費用と時間がかかるために、この方法は、発泡性粒子が高価なものとなる、という欠点を持っている。
【0003】
発泡性粒子を簡易に安価に製造する方法としては、押出発泡抑制法とも云うべき方法が知られている。押出発泡抑制法は、スチレン系樹脂に限らず広く熱可塑性樹脂一般に適用できるとされている。この方法は、熱可塑性樹脂を押出機に入れて溶融し、押出機内で溶融した樹脂に発泡剤を圧入し、発泡剤含有の溶融樹脂を押出機の先端に付設された金型の小孔から冷却用液体中に押し出し、押出物が未発泡の状態にある間に、押出物を液体との接触により冷却して発泡を抑制し、次いで押出物を切断して発泡性粒子とする方法である。
【0004】
この方法は、押出物を切断する時期によってさらに2つに分けられる。その1つは、ホットカット法と呼ばれる方法であって、押出機の先端に付設された金型の小孔から冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断する方法である。他の1つは、押出機の先端に付設された金型の小孔から一旦大気中に押し出したものを冷却用液体中に導き冷却して、その後に切断する方法であって、コールドカット法と呼ばれている。前者の方法は、後者の方法に比べて発泡性粒子の生産性が良く、また、かどのない球状の発泡性粒子を与えるので、得られた粒子が取り扱い易いという利点をもっている。
【0005】
文献によれば、ホットカット法の多くは、冷却用液体を加圧した状態に置いて実施することとしているが、中にはまれに冷却用液体を常圧下に置いても実施できるように記載しているものもある。すなわち、押出機内で溶融したスチレン系樹脂に沸点が−50〜0℃の発泡剤を圧入して押出機から押し出し、押出物を20〜100℃で常圧以上40気圧以下の水中に押し出して、発泡性粒子とすることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1の実施例は「3気圧、60℃」又は「10気圧、60℃」の液体中に押し出すこととしていて、常圧下の液体中に押し出した実施例を記載していない。
【0006】
また、押出機内で窒素ガスのような気体を発泡剤として樹脂に圧入し、これを20℃、60kg/cm2 の加圧下にある液体中へ押し出して、発泡性粒子とすることが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、発泡剤として沸点が95℃以下の脂肪族又はハロゲン化脂肪族炭化水素を用いて、これを押出機内で溶融したスチレン系樹脂に圧入し、樹脂のガラス転移点+5℃以上に加熱加圧された液体中へ樹脂を押し出し、その後冷却して発泡性粒子とすることも知られている(例えば、特許文献3参照)。加圧された液体としては、特許文献3の実施例では15kg/cm2 の圧力下にある液体を使用している。
【0007】
このように、ホットカット法では押出物の冷却用液体として、常圧下の液体が使用できると記載している公報もあるが、実際には常圧下の液体は使用されていない。これは、常圧下の液体を使用したのでは、押出物が液体中で発泡し、従って得られた発泡性粒子はその中に気泡を含んだものとなるからである。
【0008】
発泡性粒子がその中に気泡を含んでいると、これを加熱して発泡させた場合、発泡して得られた発泡粒は内部に空洞を含んだものとなるため、これから均一に発泡した良質の発泡成形体を得ることができない。すなわち、発泡性粒子がその中に気泡を含んでいると、この発泡性粒子を発泡させて得られた発泡粒は気泡の存在したところに大きな空洞を含んだものとなる。この空洞を含んだ発泡粒を成形型に充填し、加熱して発泡粒をさらに発泡させるとともに互いに融着させて発泡成形体にすると、得られた発泡成形体は空洞を含んだものとなり、従って、一様に発泡した良質の成形体を得ることができない。従って、発泡性粒子はその中に気泡を含むものであってはならない。
【0009】
このように、これまでホットカット法では、常圧下にある液体中に発泡剤含有の溶融樹脂を押し出して、発泡性粒子を作ることは、紙上では可能とされていたが、実際には気泡を含まない発泡性粒子が得られないために実施されなかった。云いかえると、ホットカット法は、実際には専ら加圧下の液体中に押し出すこととされて来た。
【0010】
ところが、加圧下にある液体中に押し出すためには、液体を入れる容器として加圧容器を用意する必要があり、また加圧ポンプ等を使用する必要があるために、実施は容易でない。そのため、安価に発泡性粒子を製造することができない。そこで、さらに簡単な設備により、安価に気泡を含まない良質の発泡性粒子を製造できる方法の出現が望まれた。
【0011】
他方、冷蔵庫、テレビ、エアコン等の家電製品については、2001年4月から家電リサイクル法が施行されて、家電製品を構成する材料は、これを再利用することが義務付けされた。従って、家電製品を構成するプラスチック材料は、これを再利用しなければならなくなった。それとともに、家電製品に付随して使用される包装材料も再利用することが必要とされ、包装用緩衝材として使用されているスチレン系樹脂発泡体も再利用することが必要とされるに至った。
【0012】
スチレン系樹脂発泡体は、家電製品以外にも広く使用されている。例えば、ぬかるみに敷いて仮設歩道としたり、壁に入れて断熱材としたり、畳床としたりして、土木建築用に広く使用されている。さらに、スチレン系樹脂発泡体は魚箱、冷凍食品容器、食品販売用トレー等として広く使用されている。これらの発泡体も再利用することが望ましいとされている。
【0013】
これらのスチレン系樹脂発泡体を再利用するには、これの発泡体を回収し、これを粉砕して再び発泡体として利用することが望ましい。そのためにはこれら回収品を材料として、簡易な方法で再び良質の発泡体とすることができる方法を確立する必要がある。これをさらに煎じ詰めると、結局スチレン系樹脂の良質な発泡性粒子を簡易な方法で、容易に製造できる方法の提供が必要だ、ということに帰する。
【0014】
特許文献1 特公昭48−20423号公報
特許文献2 特開平5−117437号公報
特許文献3 特開平6−32932号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述の必要に応じて生れたものである。すなわち、この発明は、スチレン系樹脂を材料とし、とりわけスチレン系樹脂の回収品を材料として、簡易な方法で気泡を含まない良質の発泡性粒子を容易に製造できる方法を提供しようとするものである。
【0016】
【課題解決のための手段】
この発明者は、スチレン系樹脂の発泡性粒子を簡易な方法で製造するには、押出発泡抑制法が適しており、そのなかでも発泡性粒子の生産性が良く、またかどのない球状の発泡性粒子が得られるために、得られた粒子が取り扱い易いという利点をもっているホットカット法に着目した。そこで、この発明者は、ホットカット法のうち、冷却用液体を常圧下に置いて発泡性粒子を製造しようと企てた。すなわち、押出機から発泡剤含有の溶融樹脂を常圧の冷却用液体中に押し出して、押し出すと同時に押出物を切断して発泡性粒子を得ようと企てた。しかも、こうして内部に気泡を含んでいない良質の発泡性粒子を得ようと企て、色々と実験を試みた。
【0017】
その結果、この発明者は、ホットカット法において、比較的沸点の高い炭化水素系の発泡剤を用い、スチレン系樹脂を比較的低い温度で、しかも高い圧力の下に押出機から押し出すようにすると、常圧下の液体中に押し出しても、気泡のない良質の発泡性粒子が得られることを見出した。とくに、この発明者は、このようにすると、スチレン系樹脂として新材料を使用した場合だけでなく、スチレン系樹脂の回収品、例えば一度緩衝材として使用されたスチレン系樹脂発泡成形体からの回収品を用いて、良質の発泡性粒子が得られることを見出した。この発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0018】
この発明は、押出機内で溶融されたスチレン系樹脂に発泡剤を圧入し、発泡剤含有の溶融樹脂を押出機の先端に付設された金型の小孔から冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却して発泡を抑制し発泡性粒子とする方法において、(a)発泡剤として沸点が20〜60℃の脂肪族又は環式脂肪族炭化水素を使用し、(b)樹脂が上記金型に入る時の樹脂温度及び樹脂圧力とをそれぞれ160℃以下及び20メガパスカル以上とし、(c)上記冷却用液体を常圧下に置くとともに60℃以下の温度に保持することを特徴とする、スチレン系樹脂の発泡性粒子の製造方法を提供するものである。
【0019】
この発明で使用される樹脂は、スチレン系樹脂である。スチレン系樹脂とは、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン等のスチレン系ビニル単量体を主構成単位とする重合体である。スチレン系樹脂は、スチレン系ビニル単量体だけからなる重合体のほか、スチレン系ビニル単量体と他のビニル系単量体との共重合体を含んでいる。他のビニル系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、これらの酸のエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルニトリル、無水マレイン酸、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を含んでいる。但し、これら他のビニル系単量体は、スチレン系樹脂中に50重量%以下含まれているものとする。
【0020】
また、スチレン系樹脂は、スチレン系樹脂の回収品を含んでいる。スチレン系樹脂は、回収品だけからなるものであってもよい。しかし、好ましいのは、まだ使用されたことのない新原料を50重量%以下の割合で回収品に加えたものである。
【0021】
スチレン系樹脂の回収品は、元に遡ると前に述べたように色々な用途に用いられたものを含んでいる。これらのうち発泡した回収品は、まずこれを加熱して容積を減らし、次いで他の回収品と同様に粉砕して混合する。粉砕品中に異物が含まれているときは、異物を取り除く。その後に粉砕品をさらによく混合して、その中にムラがないようにする。こうして得た粉砕品について、その中から1部を取り出し、その性質を調べて、その性質が樹脂を発泡させるに適していないときは、これに発泡させるに必要なものを添加して、これを原料として押出機に供給することとする。
【0022】
スチレン系樹脂を原料として押出発泡抑制法を行う場合に、樹脂を発泡に適したものとするために樹脂に加える添加物として重要なものに、ポリブタジエンと気泡核剤とがある。
【0023】
このうち、ポリブタジエンは回収品に対してとくに効果がある。一般に、回収品は熱履歴などにより樹脂が老化しているために、これをそのまま発泡性粒子にすると、この粒子を発泡させて得られた発泡体は脆くて気泡の粗いものとなる。この欠点を補うには、回収品にポリブタジエンを加えて、回収品中のポリブタジエン含有量を3〜10重量%とするのが適している。ポリブタジエンが3重量%未満では上記欠点を補うに充分でなく、10重量%を越えると発泡性が阻害されるからである。回収品中に含まれるポリブタジエン量は、回収品をトルエンに溶解させ、メンブランフィルターで濾過したのち、ホットプレート上でフィルム化し、熱分解がスクロマトグラフ分析法でフィルム中のブタジエン量を測定して決めることができる。
【0024】
気泡核剤は、スチレン系樹脂として新原料を使用するときには、これを加えることが必要とされるが、回収品を使用する場合にも、これを添加することが好ましい場合がある。気泡核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、シリカ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等である。そのうちでは微粉末タルクが好ましく、その量は樹脂100重量部に対して0.3〜2.0重量部とすることが好ましい。そのほか、必要に応じて難燃剤、帯電防止剤、着色剤等を添加することができる。
【0025】
ホットカット法においては、回収品は上述の新原料と大きく異なった挙動を示す。例えば、新原料を使用した場合には、加圧下の液体により冷却することによって、気泡を含まない良質の発泡性粒子を直ちに得ることができる。ところが、回収品を使用した場合には、一般に溶融粘度が低くて発泡させるに適した粘度が得られないだけでなく、発泡させることができる溶融粘度にすると、押出物中に気泡が発生し易くなるので、気泡を含まない発泡性粒子とすることが困難である。それは、回収品が種々の夾雑物を含んでいるからである。
【0026】
前述のように、押出発泡抑制法は、押出物を切断する時期によって、コールドカット法とホットカット法とに分けられる。新原料を使用した場合には、コールドカット法によってもホットカット法によっても、得られた発泡性粒子は、その発泡性に大きな差異を示さない。すなわち、何れの方法によっても得られた発泡性粒子は、これを加熱し発泡させると各粒子は均一に発泡し、多数の粒子を融着させて発泡成形体とすると、成形体は均一に発泡したものとなる。ところが、回収品を使用した場合には、コールドカット法によって得られた発泡性粒子は、1つの粒子自体が均一に発泡しないで、カットによって新たに生じた面とその余の面との間で、発泡状態に大きな相違が生じる。すなわち、カットによって新たに生じた面では、その余の面に比べて、気泡の大きさが小さくなる。従って、多数の粒子を融着させて得られた発泡成形体は一様に発泡したようには見えなくなる。従って、回収品を押出発泡抑制法で処理する場合にはホットカット法によることが必要であることを見出した。。
【0027】
この発明では、発泡剤として、沸点が20〜60℃の脂肪族又は環式脂肪族炭化水素を用いる。脂肪族又は環式脂肪族炭化水素はスチレン系樹脂の発泡剤として公知のものであるが、20〜60℃の沸点を持ったものは、公知の発泡剤の中では比較的沸点の高いものである。また、脂肪族又は環式脂肪族炭化水素は、スチレン系樹脂に吸収され易い化合物であるから、窒素ガスのような不活性気体を発泡剤として用いる場合に比べると、押出機内での樹脂圧力を低くするのが普通である。ところが、この発明ではのちに述べるように、押出機内での樹脂の発泡を抑制するために、樹脂圧力を異常に高く保持する点が特色となっている。
【0028】
この発明で用いることのできる発泡剤は、例えばノルマルペンタン(沸点36℃)、イソペンタン(沸点28℃)、シクロペンタン(沸点49℃)又はシクロペンタジエン(沸点41℃)であって、これらは単独で又は混合して用いることができる。そのほか、上記のものを主成分とし、これに沸点が20℃以下の脂肪族炭化水素、例えばノルマルブタン、イソブタン、プロパン等を加えてなる混合物で、共沸点が20℃以上になるような混合物も発泡剤として使用することができる。このうちでとくに好ましい発泡剤は、イソペンタンであり、またイソペンタンとノルマルペンタンとの混合物であって、イソペンタンの比率が50重量%以上のものである。
【0029】
この発明では、発泡剤を樹脂100重量部に対し2〜20重量部の割合で圧入する。その理由は、発泡剤の圧入量が2重量部未満では、得られる発泡性粒子の発泡力が不充分だからであり、逆に20重量部を越えても、それに見合った利点が得られないだけでなく、押し出しが不安定となるからである。このうちで、好ましいのは、3〜10重量部である。
【0030】
この発明は、前述のように公知の発泡剤の中から、沸点が20〜60℃という、沸点の比較的高い脂肪族炭化水素又は環式脂肪族炭化水素を選んで発泡剤として用いる。一般に押出機内でスチレン系樹脂に発泡剤を圧入するためには、樹脂を200℃程度に加熱することが必要とされる。このため、この発明では、押出機内で200℃程度に加熱して発泡剤を含ませたのち、発泡剤含有の溶融樹脂を冷却して160℃以下という比較的低い温度にするとともに、20メガパスカルという、比較的高い圧力の下に押出機から押し出す。こうすることにより、押出機から押し出される時の樹脂は、発泡を充分に抑制された状態となって、押出機から押し出される。従って、押し出された樹脂は、常圧の下にある冷却用液体に接触するだけで、気泡を含まない未発泡の樹脂となる。これが、この発明の特徴とするところである。
【0031】
この発明では、押出時の樹脂温度と樹脂圧力とを、樹脂が押出機に付設された金型へ入る時点で規定している。理論上は、金型から樹脂が押し出された時点を基準とすべきであろうが、樹脂が押し出された時点では温度と圧力を測定することが困難なために、便宜上、押し出された時点での状態に大きく相違しないと思われる金型へ入る時点を基準としたのである。上記樹脂温度と樹脂圧力の中では、樹脂温度を120〜140℃とし、樹脂圧力を22〜26メガパスカルとすることが好ましい。
【0032】
ここで比較のために従来技術を見ると、発泡剤として脂肪族炭化水素を用いている前述の特許文献1では、樹脂が金型へ入る時の樹脂の温度及び圧力をそれぞれ110℃及び50気圧としている。従って、この発明で採用する160℃以下という樹脂温度は、低いとは云えないが、樹脂圧力を20メガパスカル以上とすることは、20メガパスカルが20×10kg/cm2 であるから、200kg/cm2 以上となって異常に高い圧力だ、ということになる。また特許文献3では、対応する樹脂の温度及び圧力をそれぞれ200℃及び110kg/cm2 としているので、この発明が採用する樹脂温度と圧力は、異常なものであることが判明する。
【0033】
この発明が、発泡剤の沸点を20〜60℃に限定した理由は、沸点が20℃未満では、樹脂を押し出している間に発泡剤の気化が始まり易いので、これを避けるためであり、逆に沸点が60℃を越えると、得られた発泡性粒子を加熱して発泡させることが困難となるからである。
【0034】
また、この発明において、樹脂が金型へ入る時の樹脂温度及び圧力を、それぞれ160℃以下及び20メガパスカル以上とした理由は、次のとおりである。樹脂温度が160℃を越えると、押し出し直後に樹脂が発泡し易くなり、従って発泡性粒子が気泡を含んだものとなり易いので、これを避けるために、160℃以下としたのである。また、樹脂圧力が20メガパスカル未満となると、樹脂が金型から出る際に、樹脂が発泡し易くなり、従って発泡性粒子が気泡を含んだものとなり易いから、これを避けるために20メガパスカル以上とするのである。
【0035】
上述のように発泡剤を選択し、樹脂温度と樹脂圧力を所定の範囲に維持して押出発泡抑制法を行うと、押出機から発泡剤含有の溶融樹脂を冷却用液体中へ押し出す際の液体を常圧の下に置いても、樹脂の発泡を抑制することができることとなる。但し、液体は60℃以下に保持する必要がある。なぜならば液体の温度が60℃を越えると、押出物の発泡を抑制することが困難となるからである。また逆に液体が余り低い温度になると、樹脂が金型内で固化して押し出すことができなくなるので、液体の温度は30℃以上、とりわけ30〜50℃とすることが好ましい。
【0036】
液体としては水、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を使用することができる。これらの中では水を用いることが好ましい。
【0037】
押出機の先端に付設する金型には、多数の樹脂排出用の小孔を穿設しておくことが好ましい。小孔の直径は、とくに限定されないが、0.2〜3.0mmの範囲内とするのが好ましい。得られた発泡性粒子の大きさを考慮すると、小孔の直径は0.3〜1.5mmとするのがさらに好ましい。
【0038】
こうして得られた発泡粒は、これを成形型に充填して加熱すると、さらに発泡するとともに、互いに融着して、空洞のない発泡成形体となる。この発泡成形体を作るには、これまで発泡成形体を作るのに用いられて来た装置をそのまま使用することができる。従ってこの発明の実施は容易である。
【0039】
これまでは、押出発泡抑制法によって得られた発泡性粒子は、この明細書の冒頭で述べた発泡剤含浸方法によって得られた発泡性粒子に比べて、発泡し得る倍率が低く、発泡性が劣るものとされて来た。ところがこの発明で得られる発泡性粒子は、とりわけ発泡剤として2〜8重量%のイソペンタンを含む発泡性粒子は、嵩倍率が60倍以上に発泡した発泡粒を与えるので、水性懸濁液を経由する方法によって得られた発泡性粒子に比べて全く遜色のないものとなる。
【0040】
この発明によれば、ホットカット法によるので、コールドカット法によるような欠点がない。すなわち、コールドカット法によっては、円柱状の発泡性粒子となるので、かどがあるため流れが悪く、またこの発泡性粒子を加熱して発泡させると、カットによって生じた面では気泡が小さくて発泡倍率が低く、その余の面との間に発泡状態の差異を生じることとなる。ところが、この発明ではホットカット法によるので、球形の発泡性粒子が得られ、従って得られた粒子の流れがよくて取り扱い易く、しかもこの発泡性粒子はこれを加熱した場合に全表面が一様に発泡する傾向を持っている。この相違は、前述のようにスチレン系樹脂として新原料を使用した場合にはさほど顕著に現れないが、回収品を使用した場合には顕著に現れる。
【0041】
【発明の効果】
この発明によれば、発泡剤として沸点が20〜60℃の脂肪族又は環式脂肪族炭化水素を使用し、押出機内の樹脂が金型へ入る時の樹脂温度及び樹脂圧力をそれぞれ160℃以下及び20メガパスカル以上としたので、発泡剤含有のスチレン系樹脂溶融物は押出機から押し出されたとき、発泡性能を抑制され、従って常圧下に60℃以下の冷却用液体に接してそのまま未発泡の状態で固化されることになる。従って、これを切断して得られた発泡性粒子は気泡を含まない良質のものとなっている。それゆえ、これを加熱して発泡させると、空洞のない発泡粒を形成し、引いては良好な発泡成形体が得られる。
【0042】
このようにこの発明方法によれば、ホットカット法の中でも常圧の冷却用液体を用いて発泡性粒子が得られるので、その実施には加圧容器や加圧装置の用意をする必要がなく、従って発泡性粒子を容易に安価に製造できる。しかも、得られた発泡性粒子は、発泡剤を含浸させる方法によって得られた発泡性粒子に比べて全く遜色のない、高い倍率に発泡する良質のものである。この発明はこのような利益をもたらすものである。
【0043】
この発明方法を行うに適した装置の一例を模式図で示すと、図1のような構成となる。図1において、1は押出機であり、11は原料供給ホッパー、12は発泡剤供給口、13は高圧ポンプである。2は多孔ダイであり、3はカッティング室、31はカッターである。4は送水ポンプであり、5は脱水乾燥設備、6は水槽、7は容器である。
【0044】
以下に実施例と比較例とを挙げて、この発明のすぐれている所以を具体的に明らかにする。
【0045】
なお、実施例と比較例では発泡性粒子を発泡させたときの嵩倍率を測定している。その嵩倍率は、発泡性粒子をバラバラの状態で水蒸気に接触させることにより加熱して予備発泡粒とし、この予備発泡粒をメスシリンダーに入れて見掛の体積を測定し、その体積を予備発泡粒の重量で除して得られた値である。また、実施例と比較例では発泡性粒子中に含まれている発泡剤量を測定しているが、これはガスクロマトグラフを用いて定量した値である。
【0046】
【実施例1】
この実施例では図1に示した装置を用いた。
【0047】
廃棄テレビ製品から回収された5.4重量%のポリブタジエンを含む耐衝撃性スチレン樹脂を口径90mmの単軸押出機に時間当たり120kgの割合で連続供給し、別途核剤として微粉末タルクを樹脂に対して0.8重量部添加し樹脂に混合した。押出機温度としては最高温度210℃に設置し、樹脂を溶解した後、発泡剤として樹脂100重量部に対して6重量部のイソペンタンを押出機の途中より圧入した。押出機内で樹脂と発泡剤を混練してのち冷却し、押出機先端に取り付けた金型へ樹脂が入る時の樹脂温度を135℃に維持するとともに、金型へ樹脂が入る時の圧力を25メガパスカルに保持して、直径0.5mmの孔が200個配置された金型から金型に連結された常圧下で40℃の水が循環するカッティング室内に押し出すと同時に、高速回転する回転刃からなるカッターにて押出物を切断し、冷却、乾燥して発泡性粒子を得た。得られた発泡性粒子は、概略直径0.8mmのほぼ真球状の粒子であった。
【0048】
得られた発泡性粒子を72時間熟成した後、箱型発泡機に入れて0.5kg/cm2 で2分間加熱し予備発泡したところ嵩倍率75倍の予備発泡粒子が得られた。この時の発泡性粒子中には5.1重量部のイソペンタンが含まれていた。
【0049】
次にこの予備発泡粒子を24時間放置したのち、173×122×20mmの成形型に充填し、ゲージ圧0.8kg/cm2 の水蒸気を1分間成形型内に吹き込んで成形し、発泡成形品を得た。得られた成形品は均一な外観を有した良好なものであった。
【0050】
【実施例2〜3】
実施例1と同様の設備、原料を用い、発泡剤の組成をそれぞれ変えた以外は実施例1とほぼ同じ条件にて発泡性粒子を製造した。
【0051】
上記実施例1〜3で得られた発泡性粒子はいずれも内部に気泡を含んでいないほぼ真球状の粒子で、予備発泡嵩倍率60倍以上の良好な発泡性を示すものであった。
【0052】
実施例1〜3における発泡性粒子の製造条件と、得られた結果とを表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【実施例4及び比較例1〜2】
実施例1と同様の設備、原料を用い、発泡剤、押出時の樹脂温度、金型導入部の樹脂圧力、カッティング室内の循環水温度をそれぞれ変えて押出発泡性粒子を製造した。
【0055】
【比較例3】
この比較例では樹脂を金型から押し出すまでは、実施例1と同様の配合処方、押出条件にて押し出したが、樹脂を直接水中に押し出すのではなく、一旦大気中に押し出した後、直ちに紐状樹脂を40℃の水に満たした水槽中に導き、急冷し、次いで一対のロールで引取りながら、カッターで切断して発泡性粒子を得た。すなわち、ホットカット法の代りにコールドカット法にて発泡性粒子を製造した。得られた粒子は直径0.6mm、長さ1.5mmの円筒状の粒子であった。
【0056】
得られた発泡性粒子を72時間熟成した後、実施例1と同様の方法で予備発泡したところ嵩倍率70倍の予備発泡粒子が得られた。しかしながら、この予備発泡粒子はカット面の気泡が他の部分よりも小さく、発泡性粒子の表面に形成された気泡は不均一なものであった。予備発泡粒子を24時間放置後、実施例1と同様の方法にて成形型を用いて発泡成形品を得たところ、成形品表面の気泡は粗密部分が混在し、気泡の密な部分は色目が薄く、一方気泡が粗の部分は色目が濃く外観の不均一なものであった。
【0057】
実施例4、比較例1〜3における発泡性粒子の製造条件と、得られた結果を表2に示す。実施例4で得られた発泡性粒子は内部に気泡を含んでいないほぼ真球状の粒子であった。予備発泡嵩倍率は45倍で実施例1〜3よりは倍率の低いものであった。
【0058】
【表2】
【0059】
【実施例5〜7】
この実施例では実施例1と同様の設備を用い、使用するポリスチレン系樹脂原料の組成をそれぞれ変えた以外は実施例1とほぼ同じ条件にて発泡性粒子を製造した。実施例5〜7の製造条件と得られた発泡性粒子の性状及び実施例1と同じ方法にて発泡させた予備発泡粒子の嵩倍率を表3に示した。
【0060】
【表3】
【0061】
上記実施例5〜7で得られた発泡性スチレン系樹脂粒子はいずれも内部に気泡を含んでいない良好な真球状粒子であり、良好な発泡性を有するものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で用いることのできる装置の模式的な側面図である。
【符号の説明】
1 押出機
2 多孔ダイ
3 カッティング室
4 送水ポンプ
5 脱水乾燥設備
6 水槽
7 容器
11 原料供給ホッパー
12 発泡剤供給口
13 高圧ポンプ
31 カッター
Claims (8)
- 押出機内で溶融されたスチレン系樹脂に発泡剤を圧入し、発泡剤含有の溶融樹脂を押出機の先端に付設された金型の小孔から紐状にして冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却して発泡を抑制し発泡性粒子とする方法において、(a)発泡剤として沸点が20〜60℃の脂肪族又は環式脂肪族炭化水素を使用し、(b)樹脂が上記金型に入る時の樹脂温度及び樹脂圧力をそれぞれ160℃以下及び20メガパスカル以上とし、(c)上記冷却用液体を常圧下に置くとともに60℃以下の温度に保持することを特徴とする、スチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法。
- スチレン系樹脂が50重量%以上の回収されたスチレン系樹脂を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- スチレン系樹脂が3〜10重量%のポリブタジエンを含んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 発泡剤がイソペンタンからなることを特徴とする、請求項1−3の何れか1つの項に記載の方法。
- 発泡剤がイソペンタンとノルマルブタンとの混合物であり、イソペンタンの比率が50重量%以上であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- 樹脂が金型へ入る時の樹脂温度が120〜140℃であることを特徴とする、請求項1−5の何れか1つの項に記載の方法。
- 樹脂が金型へ入る時の樹脂圧力が22〜26メガパスカルであることを特徴とする、請求項1−6の何れか1つの項に記載の方法。
- 冷却用液体の温度が30〜50℃であることを特徴とする、請求項1−7の何れか1つの項に記載の方法。
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- 2002-09-27 JP JP2002282473A patent/JP2004115690A/ja active Pending
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