JP2004115509A - 破骨細胞分化抑制因子産生促進剤 - Google Patents

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康浩 松岡
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篤 芹澤
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如一 森田
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Abstract

 【課題】食品成分を有効成分とする破骨細胞分化抑制因子(OPG)産生促進剤、およびOPG産生促進剤を配合した飲食品を提供する。
 【解決手段】乳由来塩基性タンパク質、特にラクトフェリンを有効成分とする破骨細胞分化抑制因子(OPG)産生促進剤、およびOPG産生促進剤を配合した飲食品に関する。このOPG産生促進剤を経口的に摂取することにより、腸管細胞や骨芽細胞など生体内でOPG産生分泌を促進し破骨細胞の分化を抑制することによって、骨吸収作用が抑制されることから、骨強化作用を有し、また、骨粗鬆症などの骨量減少の抑制に有効である。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、乳由来塩基性タンパク質、特にラクトフェリンを有効成分とする破骨細胞分化抑制因子(osteoprotegerin;以下OPGという)の産生促進剤およびOPG産生促進用飲食品に関する。本発明により、ヒトや動物生体内の腸管や骨芽細胞でOPG産生分泌を促進し、破骨細胞の分化を抑制することによって、骨吸収作用が抑制されることから、骨強化作用を有し、また骨粗鬆症などの骨量減少の抑制に有効である。
 近年、わが国では高齢化社会を迎え、加齢に伴う疾病や生活習慣病の罹患リスクが増加している。骨粗鬆症は、骨量減少に伴い骨が脆く折れやすくなる疾病で、わが国では疾病予備軍を含め、患者数は1000万人を超えるとされている。本疾病は、加齢による食物摂取量の低下に起因する、カルシウムなどのミネラル摂取量の低下や、骨の代謝回転の衰えにより、高齢者に罹患リスクが高い。さらに閉経後の女性では、骨代謝の一翼を担う骨吸収作用を抑えていた女性ホルモンであるエストロジェンの分泌が急激に低下するために、骨形成作用に比べ、骨吸収作用が活発となり、骨量減少を招きやすい。この状態が進行すると、骨折が起こりやすくなり、骨粗鬆症へと至る。
 骨粗鬆症の治療にはエストロジェンやビスフォスフォネートといった薬剤が用いられる。一方、骨粗鬆症の進行を遅らせる、または予防の観点から、活性型ビタミンDおよびKが用いられることがある。しかしながら、これらは薬剤であり、適正量などの問題から、日常の食事から無理なく取り入れることは困難である。
 骨は常に生まれ変わっていて、骨形成と骨吸収の代謝バランスが保たれることにより、骨は成長または維持される。骨形成は骨芽細胞が骨の必要な場所に骨基質タンパク質を分泌し、カルシウムなどの骨塩を付着させることにより、骨を造っていく作用である。それに対し骨吸収は、破骨細胞が骨の表面で酸やタンパク質分解酵素を分泌し骨を分解する作用である。
 この二つの作用は互いに関連しているが、破骨細胞が未分化の血球系細胞から多核化し成熟破骨細胞となる際にも、骨芽細胞が分泌する様々な因子が破骨細胞の分化を制御している。破骨細胞分化抑制因子(osteoprotegerin; OPG)も骨芽細胞が分泌し、破骨細胞に作用し破骨細胞の分化を抑制的に制御している(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。OPGは骨芽細胞のみならず、肝臓、胃、肺、皮膚などの体内の様々な部位で分泌され(例えば、非特許文献2参照)、腸管上皮細胞でも産生されている。腸管は食物が直接接触する器官であり、単に栄養の吸収のみならず、食物から様々な信号を受け、また神経やホルモンを通して様々な信号を身体中に送っている。 
 日常摂取する食事中の食品成分によって、腸管細胞あるいは骨芽細胞が産生するOPGを増やすことができれば、骨において破骨細胞の分化成熟を抑え、従って骨吸収を抑制することが期待できる。骨吸収の抑制は骨を強化することにつながる。現在、腸管細胞のOPG産生を促進する作用があることが報告されている食品成分としては、トレハロースが挙げられるが、多量に摂取すると下痢を惹き起こすという問題があった。
 一方、乳由来塩基性タンパク質は、乳中に微量含まれている複数のタンパク質の総称であり、脱脂乳や乳清などの乳原料から塩基性のタンパク質画分として抽出されるものである。そして、この乳由来塩基性タンパク質は、経口摂取により骨強化作用があることが知られている(例えば、特許文献2〜3および6〜9参照)。しかし、この乳由来塩基性タンパク質の骨強化作用について知られていることは、破骨細胞に直接作用して分化増殖を抑制するものであり、破骨細胞以外の腸管細胞あるいは骨芽細胞などの他の細胞に作用してOPG産生を促進するということに関しては知られていない。
 また、乳由来塩基性タンパク質の一種であるラクトフェリンは分子量約80,000のタンパク質で、鉄結合能を有する。牛乳中には極く微量(約2〜10mg/100ml)含まれる。ラクトフェリンは乳中の鉄を奪うことによって、静菌作用を示すことが報告されており、また免疫賦活作用を示すことも報告されている(例えば、特許文献4および5参照)。しかし、ラクトフェリンにOPG産生促進活性があるという報告はされていない。
国際公開第96/26217号パンフレット 特開平8-151331号公報 特開平9-191858号公報 特開昭63-255299号公報 特開平5-178759号公報 特開平5-202098号公報 特開昭61-246198号公報 特開平1-86839号公報 特開昭63-255300号公報 ダブリュー・エス・シモネ(W.S. Simonet)外1名, 「オステオプロテジェリン:骨密度調節作用を持つ新規分泌タンパク質(Osteoprotegerin : A novel secreted protein involved in the regulation of bone density)」, 細胞(Cell),(米国), 1997年, 第89号, p.309-319 須田幸治外1名,「破骨細胞分化の制御機構」,医学のあゆみ,2001年, 第198巻, 第9号, p.574-579
 本発明者らは、骨強化に関与しているといわれているOPGに着目し、食品成分が直接接触する腸管細胞のOPG産生を促進する食品成分を探索した。また、摂取した食品成分が骨芽細胞などにおいてOPGの産生を促進する効果があるかを探索した。 したがって、本発明は食品成分を有効成分とするOPG産生促進剤、および、OPG産生促進剤を配合した飲食品を提供することを課題とする。
 本発明者らは、腸管細胞あるいは骨芽細胞などにおいて、OPG産生を促進する食品成分由来物質を探索したところ、乳由来塩基性タンパク質、特にラクトフェリンにOPG産生促進活性があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
 本発明は、乳由来塩基性タンパク質、特に好ましくはラクトフェリンを有効成分とするOPG産生促進剤およびOPG産生促進用飲食品に関する。本発明のOPG産生促進剤およびOPG産生促進用飲食品を経口的に摂取することにより、ヒトや動物の生体内でOPG産生分泌を促進し、破骨細胞の分化を抑制することによって骨吸収作用が抑制されることから、骨強化作用を有し、また、骨粗鬆症などの骨量減少の抑制に有効であると考えられる。
 本発明の乳由来塩基性タンパク質、特にラクトフェリンを有効成分とするOPG産生促進剤およびOPG産生促進用飲食品は、経口的に摂取することにより消化管細胞や肝臓などあるいは骨芽細胞などにおいてOPG産生を促進する。また、ラクトフェリン投与による骨密度上昇、すなわち骨吸収抑制効果が示され、骨強化作用を有することが分かった。したがって、本発明の乳由来塩基性タンパク質、特にラクトフェリンを有効成分とするOPG産生促進剤およびOPG産生促進用飲食品は、ヒトや動物の腸管や骨芽細胞などの生体内でOPG産生分泌を促進し、破骨細胞の分化を抑制することによって骨吸収作用が抑制されることから、骨強化作用を有し、また骨粗鬆症などの骨量減少の抑制に有効である。
 本発明では、OPG産生促進剤およびOPG産生促進用飲食品の有効成分として牛乳、人乳、山羊乳、羊乳などの哺乳動物の乳を原料とする乳由来塩基性タンパク質を用いる。この乳由来塩基性タンパク質は、脱脂乳や乳清などの乳原料を陽イオン交換樹脂を用いて精製することで得ることができる。この乳由来塩基性タンパク質を得る方法としては、乳または乳由来の原料を陽イオン交換体に接触させて乳由来塩基性タンパク質を吸着させた後、この陽イオン交換体に吸着した乳由来塩基性タンパク質画分を、pH5を越え、イオン強度0.5を越える溶出液で溶出して得る方法(特開平5-202098号公報)、アルギン酸ゲルを用いて得る方法(特開昭61-246198号公報)、無機の多孔性粒子を用いて乳清から得る方法(特開平1-86839号公報)、硫酸化エステル化合物を用いて乳から得る方法(特開昭63-255300号公報)などが知られており、本発明では、このような方法で得られた乳由来塩基性タンパク質を用いることができる。
 また、本発明は、これら乳由来塩基性タンパク質をさらに精製して、ラクトフェリンを高純度で含む画分を用いることが好ましい。これらの乳由来塩基性タンパク質や純度の高いラクトフェリンは、脱塩した後、凍結乾燥や噴霧乾燥により粉末化してもよい。さらに、遺伝子組換えによって得られるラクトフェリンを用いることも可能である。
 OPG産生促進効果を得るためには、本発明のOPG産生促進剤および、OPG産生促進用飲食品の有効量として、成人において、固形物換算で乳由来塩基性タンパク質を20mg/日以上、ラクトフェリンとしては10mg/日以上を摂取することが望ましい。そして、OPG産生促進剤およびOPG産生促進用飲食品には、固形物換算で乳由来塩基性タンパク質を10mg〜100g/100g、ラクトフェリンとしては5mg〜100g/100g配合することが望ましい。
 本発明のOPG産生促進剤においては、乳由来塩基性タンパク質やラクトフェリンを単独で用いてもよいし、以下に述べる他の成分と一緒に用いてもよい。使用目的や方法などに応じて、粉末状、液状、タブレット状などの形状に製剤化すればよい。
 本発明のOPG産生促進剤を栄養組成物の形態として、以下に述べるタンパク質、糖質、脂質、ビタミン類およびミネラル類などを主成分として構成することもできる。このOPG産生促進用栄養組成物も、使用目的や方法などに応じて、粉末状、液状、タブレット状などの形状に加工する。
 また、本発明のOPG産生促進剤を以下に述べる飲食品に添加して、常法により加工してOPG産生促進用飲食品とすることもできる。
 本発明のOPG産生促進剤(OPG産生促進用栄養組成物の形態を含む)とする場合に、タンパク質としては、カゼイン、乳清タンパク質濃縮物(WPC)、乳清タンパク質分離物(WPI)、αs-カゼイン、β−カゼイン、α−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンなどの乳タンパク質分画物、大豆タンパク質や小麦タンパク質などの植物タンパク質などを挙げることができ、さらには、これらのタンパク質を酸や酵素で処理して、ペプチドあるいは遊離アミノ酸の形態で用いてもよい。なお、遊離アミノ酸は、窒素源としての他に、特定の生理作用を付与するために用いることもでき、それらのアミノ酸としては、タウリン、シスチン、システイン、アルギニン、グルタミンなどを挙げることができる。これらのタンパク質やペプチド、あるいは遊離アミノ酸は、OPG産生促進剤(OPG産生促進用栄養組成物の形態を含む)の固形分当たり 5〜30重量%配合することが好ましい。
 糖質としては、デンプン、可溶性多糖類、デキストリン、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖などや、ガラクトシルラクトース、フラクトオリゴ糖、ラクチュロースなどのオリゴ糖、あるいは人工甘味料などを挙げることができる。糖質は、OPG産生促進剤(OPG産生促進用栄養組成物の形態を含む)の固形分当たり40〜80重量%配合することが好ましい。
 脂質としては、乳脂肪、ラード、牛脂および魚油などの動物性油脂、大豆油、菜種油、コーン油、月見草油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)および綿実油などの植物性油脂、さらには、それらの分別油、水添油、エステル交換油などを挙げることができる。脂質は、OPG産生促進剤(OPG産生促進用栄養組成物の形態を含む)の固形分当たり40重量%以下配合することが好ましい。
 ビタミン類およびミネラル類については、食品衛生法に基づく指定添加物(施行規則別表第2に収載の食品添加物)および既存食品添加物(既存添加物名簿に収載の食品添加物)のビタミン類およびミネラル類を用いればよい。ビタミン類の具体例としては、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK類、葉酸、パントテン酸、β−カロチン、ニコチン酸アミド、ビオチン、イノシトール、コリンなどを挙げることができ、OPG産生促進剤(OPG産生促進用栄養組成物の形態を含む)の固形分当たり0.01〜5重量%を配合することが好ましい。また、ミネラル類の具体例としては、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リン、塩素、鉄、銅、亜鉛、ヨウ素、マンガン、セレン、フッ素、クロム、モリブデンなどを挙げることができ、OPG産生促進剤(OPG産生促進用栄養組成物の形態を含む)の固形分当たり0.001〜5重量%を配合することが好ましい。
 さらに、本発明のOPG産生促進用飲食品としては、チーズ、バターおよび発酵乳などの乳食品、乳飲料、ドリンクヨーグルト、コーヒー飲料および果汁などの飲料、ゼリー、プリン、クッキー、ビスケットおよびウエハースなどの菓子、育児用調製乳、フォローアップミルク、幼児用飲食品、妊産婦用飲食品、病態食、医療食、高齢者用食、介護食、さらには、冷凍食品などの各種飲食品が挙げられる。 飲食品の製造に当たっては、ラクトフェリンは熱に比較的不安定であるため、特に加熱殺菌の工程では、可能な限り低い熱履歴にすることが望ましい。
 次に、実施例を示して本発明を詳細に説明する。
(OPG産生促進剤の製造)
 陽イオン交換樹脂のスルホン化キトパール(富士紡績社製)400 gを充填したカラム(直径5 cm×高さ30 cm)を脱イオン水で十分洗浄した後、このカラムに未殺菌脱脂乳40 l(pH 6.7)を流速25 ml/minで通液した。通液後、このカラムを脱イオン水で十分洗浄し、続いて1.5M塩化ナトリウムを含む 0.02M炭酸緩衝液(pH 7.0)で樹脂に吸着した乳由来塩基性タンパク質画分を溶出した。そして、この溶出液を逆浸透(RO)膜により脱塩して、濃縮した後、凍結乾燥して乳由来塩基性タンパク質粉末 21 gを得、本発明のOPG産生促進剤とした。なお、この乳由来塩基性タンパク質粉末には、ラクトフェリンが54重量%含まれていた。
(OPG産生促進剤の製造)
 陽イオン交換樹脂のスルホン化キトパール(富士紡績社製)400 gを充填したカラム(直径5 cm×高さ30 cm)を脱イオン水で十分洗浄した後、このカラムに未殺菌脱脂乳40 l(pH 6.7)を流速25 ml/minで通液した。通液後、このカラムを脱イオン水で十分洗浄し、続いて0.7M塩化ナトリウムを含む 0.02M炭酸緩衝液(pH 7.0)で洗浄した後、0.98M塩化ナトリウムを含む 0.02M炭酸緩衝液(pH 7.0)で樹脂に吸着した乳由来塩基性タンパク質画分を溶出した。そして、この溶出液を逆浸透(RO)膜により脱塩して、濃縮した後、凍結乾燥して乳由来塩基性タンパク質粉末 11 gを得、本発明のOPG産生促進剤とした。なお、この乳由来塩基性タンパク質粉末には、ラクトフェリンが93重量%含まれていた。
(OPG産生促進剤の製造)
 実施例2で得られた乳由来塩基性タンパク質粉末100 mgに、含水結晶ぶどう糖 93.4 g、炭酸カルシウム5 g、シュガーエステル1 g、香料 0.5 gを加え、混和した後、タブレット状に打錠して、本発明のOPG産生促進剤を製造した。
(OPG産生促進用乳飲料の製造)
 実施例1で得られた乳由来塩基性タンパク質粉末を、 1 l当たり1 gとなるように生乳に添加し、圧力120 kg/cm2でホモゲナイズした後、 75℃で15秒間加熱殺菌して、OPG産生促進用乳飲料を製造した。なお、この乳飲料には、100 ml当たりラクトフェリン54 mgが含まれていた。
(OPG産生促進用ヨーグルトの製造)
 脱脂粉乳を固形率12%となるように水に溶解し、90℃で20分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルス(L.acidophilus)とストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus)を接種した。そして、乳酸酸度が 1.0%、pHが 4.3になった時点で 5℃に冷却した。このようにして調製したスターターカルチャーを、115℃で2秒間加熱殺菌した脂肪率 3.5%の生乳に 5重量%接種し、さらに実施例1で得られた塩基性タンパク質粉末1.0 gを溶解して添加した。発酵および冷却を常法に従って行い、OPG産生促進用ヨーグルトを製造した。なお、このヨーグルトには、100 g当たりラクトフェリン54 mgが含まれていた。
(OPG産生促進用飲料の製造)
 実施例1で得られた塩基性タンパク質粉末40 gを、乳酸でpH 3.2に調整した脱イオン水50 lに溶解した後、砂糖1 kg、香料100 gを溶解して、90℃で15秒間加熱殺菌を行った。これを50 mlずつ蓋付きガラスビンに密封充填し、OPG産生促進用飲料を製造した。なお、この飲料には、100 ml当たりラクトフェリン43 mgが含まれていた。
試験例1
(ヒト腸管由来細胞によるOPG産生促進試験)
 ヒト結腸腺ガン由来細胞株であるLS 174t細胞、ヒト胎児小腸由来細胞株であるIntestine 407細胞およびヒト結腸腺ガン由来細胞株であるCaco2細胞を5×103cells/mlとなるようにMEM-E培地〔GIBCO社製、ウシ胎児血清10%含有、非必須アミノ酸溶液(GIBCO社製)1%含有、ペニシリン-ストレプトマイシン溶液(GIBCO社製)1%含有〕に懸濁した後、200μl/wellずつ96穴マイクロプレートにそれぞれ接種(1×10cells/well)した。これを5%炭酸ガスインキュベーター中で3日間培養した後、実施例1および実施例2で得られた乳由来塩基性タンパク質粉末を0.1 mg/ml、1 mg/mlの濃度となるように培地に溶解した試料をそれぞれ20μl/well添加してさらに2日間培養した。この培養上清を回収し、培養上清中のOPG濃度をヒトOPG ELISA測定キット(BIOMEDICA社製)を用いて測定した。また、塩基性タンパク質粉末を溶解していない培地を添加したものを0 mg/mlとして同様の試験を実施し、コントロールとした。その結果を図1〜3に示す。
 これによると、乳由来塩基性タンパク質は、ヒト腸管由来細胞に作用してOPG産生を促進することが分かった。また、実施例1で得られた乳由来塩基性タンパク質(ラクトフェリン含量:54重量%)より、実施例2で得られた乳由来塩基性タンパク質(ラクトフェリン含量:93重量%)のほうがOPG産生促進活性が高かったことから、純度の高いラクトフェリンのほうがOPG産生促進活性が高いということが分かった。
試験例2
(ヒト骨芽細胞によるOPG産生促進試験)
 サンプルとして市販のラクトフェリン(シグマ社製)を水に溶解し、10 mg/ ml に調製した後、ろ過滅菌した0.1 % BSAにより希釈し1.0 mg/mlに調製した。
 ヒト骨芽細胞MG 63を2×10 cells/mlになるようにMEM-E培地〔GIBCO社製、ウシ胎児血清10%含有、非必須アミノ酸溶液(GIBCO社製)1%含有、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(GIBCO社製)1%含有〕に懸濁した後、200μl/wellずつ96 wellプレートに播種した。これを5%炭酸ガスインキュベーター中で、4日間培養し、培地を吸引除去後、上記MEM-E培地を160 μl/well、サンプルを40 μl/well添加してさらに4日間培養した。この培養上清を回収し、培養上清中のOPG濃度をヒトOPG ELISA測定キット(BIOMEDICA社製)を用いて測定した。また、ラクトフェリンを溶解していないサンプルを添加したものを0 mg/mlとして同様の試験を実施し、コントロールとした。同様の実験を2回行った。 図4に、ラクトフェリンのヒト骨芽細胞MG 63におけるOPG産生促進効果試験の結果を示した。図4中のラクトフェリン濃度はサンプル濃度である。
 実験間でOPG濃度の絶対値に差はあるが、ヒト骨芽細胞MG 63におけるラクトフェリンのOPG産生促進作用については、2回の実験で同様の結果が得られた。ラクトフェリンを上記の条件で骨芽細胞に添加した時、OPG産生量が約2倍になることが確認できた。以上より、ラクトフェリンがOPG産生促進効果を腸管細胞に対してだけでなく、骨芽細胞においても直接持つことが確認できた。
試験例3
 (LFの骨吸収抑制効果試験)
 市販のラクトフェリン(シグマ社製)について、動物実験により骨吸収抑制作用を調べた。動物実験には6週齢のSD系雌ラットを用いた。1週間の予備飼育後、卵巣摘出手術を施し、その後、低カルシウム食(カルシウム含量0.3%)で5週間飼育して回復期間を置き、その後、動物実験に供した。なお、卵巣を摘出し、低カルシウム食(AIN76ベース)で5週間飼育したラットは、明らかに骨粗鬆症状態にあった。この骨粗鬆症状態を惹起したラットを対照群(A群、8匹)、ラクトフェリン 0.1重量%投与群(B群、7匹)の2試験群に分け、それぞれ表1に示す試験飼料で4ヶ月間飼育した。なお、各試験飼料の窒素含量(17.06%) が同様となるようカゼインで調整した。
 (骨吸収マーカーの測定)
 4ヶ月飼育したラットについて、最後の1週間、代謝ゲージにて尿を回収し、尿中に存在する骨吸収マーカーであるデオキシピリジノリン(DPD)量(尿中総量)を、オステオリンクス「DPD」(住友製薬バイオメディカル社製)を用いて測定した。また、一日あたりの排泄量が尿量に依存されないクレアチニン量で上記DPD濃度を補正すれば、尿量に依存されない骨吸収マーカーとしてより正確なDPD量を算出することができる。そこで尿中のクレアチニン濃度を、クレアチニンテストワコー(和光純薬工業社製)を用いて測定し、クレアチニンあたりのDPD濃度を算出することにより補正をした。投与4ヶ月後の尿中骨吸収マーカーであるデオキシピリジノリン(DPD)の尿中総量およびクレアチニンあたりのDPD濃度を測定した結果を図5に示した。
 これによると、1週間のDPD総量およびクレアチニン補正後のDPD濃度のいずれにおいてもラクトフェリン投与群は対照群と比較して有意に低く(t検定による)、ラクトフェリン投与による骨吸収抑制効果が示された。
 (骨密度の測定)
 4ヶ月間飼育したラットについて、ネンブタール麻酔下で骨塩量測定装置(DCS-600、Aloka社製)を用いて二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA法)により大腿骨の骨密度を測定した。対照群も同様に大腿骨の骨密度を測定した。その結果を図6に示す。
 これによると、4ヶ月間試験食を摂食させた結果、ラット大腿骨の骨密度は、対照群と比較してラクトフェリン投与群は有意に高く(t検定による)、ラクトフェリン投与による骨密度上昇、即ち骨吸収抑制効果が示されたことから、ラクトフェリンは骨強化作用を有することが分かった。
ヒト結腸腺ガン由来LS174t細胞におけるラクトフェリンを含む乳由来塩基性タンパク質画分のOPG産生促進効果を示す。 ヒト胎児小腸由来Intestine407細胞におけるラクトフェリンを含む乳由来塩基性タンパク質画分のOPG産生促進効果を示す。 ヒト結腸腺ガン由来Caco2細胞におけるラクトフェリンを含む乳由来塩基性タンパク質画分のOPG産生促進効果を示す。 ヒト骨芽細胞MG63におけるラクトフェリンのOPG産生促進効果を示す。同様の実験を2回行った結果である。 投与4ヶ月後の尿中骨吸収マーカーであるデオキシピリジノリン(DPD)量の尿中総量およびクレアチニンあたりのDPD濃度を測定した結果を示す。 ラクトフェリン投与4ヶ月後のラット大腿骨の骨密度を測定した結果を示す。

Claims (6)

  1.  乳由来塩基性タンパク質を有効成分とする破骨細胞分化抑制因子産生促進剤。
  2.  破骨細胞分化抑制因子産生促進効果の作用点が腸管細胞もしくは骨芽細胞である請求項1記載の破骨細胞分化抑制因子産生促進剤。
  3.  乳由来塩基性タンパク質がラクトフェリンである請求項1または2のいずれかに記載の破骨細胞分化抑制因子産生促進剤。
  4.  乳由来塩基性タンパク質を配合した破骨細胞分化抑制因子産生促進用飲食品。
  5.  破骨細胞分化抑制因子産生促進効果の作用点が腸管細胞もしくは骨芽細胞である請求項4記載の破骨細胞分化抑制因子産生促進用飲食品。
  6.  乳由来塩基性タンパク質がラクトフェリンである請求項4または5のいずれかに記載の破骨細胞分化抑制因子産生促進用飲食品。
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