JP2004115003A - ステアリングホイール及びその製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 芯金と、これを覆う表面材とを一体に成型してなるステアリングホイールであって、前記表面材が、表面化粧材と複数枚の木質薄板とを、防湿性を有する接着樹脂を基材に含浸した接着シートを介して積層してなることを特徴とするステアリングホイール、及び、芯金と、これを覆う表面材とを一体に成形してなるステアリングホイールの製造方法であって、表面化粧材と複数枚の木質薄板とを、防湿性を有する接着樹脂を基材に含浸した接着シートを介して積層させ、一括成形接着することにより表面材を調製する工程を含むことを特徴とするステアリングホイールの製造方法。
【選択図】 図1
Description
このようなステアリングホイールのうち、表面材が木質材料からなるステアリングホイールとしては、例えば、前記表面材が、接着剤を塗布した木質薄板を積層してなるものが挙げられる。
このステアリングホイール13は、棒状又はパイプ状の金属からなる芯金14と、芯金14の外周を覆う表面材15とから概略構成されている。表面材15は、表面層となる表面化粧材16と、その内側の木質薄板を積層してなる木質合板層17とから構成されている。また、このステアリングホイール13では、分割して成形された表面材15、15が継ぎ合わされて、継ぎ目18、18が芯金14を通る面上に位置しており、表面材15は接着層19を介して芯金14に接着されている。表面化粧材16の表面には塗装膜20が形成されている。
このようなステアリングホイールとして、例えば、木質の突板を化粧材として用いたステアリングホイールが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ステアリングホイール1においては、分割して成形された表面材3,3が継ぎ合わされて、継ぎ目6、6が芯金2を通る面上に位置しており、表面材3は、接着層7を介して芯金2に接着されている。さらに、表面化粧材4の表面には塗装膜8が形成されている。以上の構成は従来のものと同様である。
裏打ち化粧材としては、木質単板に、和紙、化学繊維の不織布などが裏打ち材で裏打ちされたものが好ましく用いられ、特に不織布が裏打ちされたものが好ましく用いられる。不織布を裏打ちすることによって、表面化粧材4の強度が増し、成形時の破損を防ぐことができる。
はじめに、表面化粧材4、木質薄板9、接着シート10を、それぞれ図3のように扇形に打ち抜く。
次に図2に示すように、表面化粧材4を1枚と、木質薄板9を複数枚とを、接着シート10を交互に挟み込みながら積層させる。
このように積層した後、一体化して表面材を成形するには、まず、開閉自在な上型11と下型12とからなる成形用金型を用意する。この下型12には、キャビティ12aが形成されており、キャビティ12aの内面形状がステアリングホイール1の外面形状とほぼ等しくなるように形成されている。また、上型11には、下型12との接合面上に、キャビティ12aよりも小さい断面半円形状の突出部11aが形成されている。この突出部11aは、上型11と下型12とを閉じたときに、キャビティ12aの開口部の中央に位置するように形成されている。
そして、所定時間経過後、図5に示すように、表面化粧材4と複数枚の木質薄板9とが接着シート10を介して接着、一体成形された表面材3を金型から取り出す。
表面材3,3はエポキシ樹脂等の接着剤を用いて接着し、継ぎ目6,6を形成する。表面材3,3と芯金2とは、エポキシ接着剤、発泡ウレタン樹脂などの耐熱性の高い接着剤を用いて接着層7を介して接着する。このとき、接着シート10を用いたことにより、表面材3,3の強度が向上しているため、接着層7の接着剤による接着部分は局部的でも構わず、従って、接着層7は部分的に中空になっていても構わない。
このような表面材を一体的に成形する、ステアリングホイールの製造方法により、従来の発泡エポキシ成形等と比較して、短時間で成形を行うことができる。
(評価)
実施例、比較例で得られた表面材またはステアリングホイールにつき、以下の試験を行った。
・ ステアリングホイールの耐衝撃性性能比
JIS K5600−5−3 耐おもり落下性試験により、ステアリングホイール基材を破壊するポテンシャルエネルギーの相対比較を行った。この際、比較例1におけるポテンシャルエネルギーを1とした。
・ 継ぎ目部耐割れ性能
木材の平衡含水率が23%となる環境下にステアリングホイールを放置し、24時間放置後のステアリングホイール継ぎ目部における割れの有無を目視で観察した。
割れなしを○、割れありを×とした。
木材の平衡含水率が23%となる環境下に表面材を24時間放置し、放置前後の基材厚さの差から吸湿厚さ膨張率を求めた。
・ 吸水厚さ膨張率
表面材につき、JIS A5908吸水厚さ膨張率試験に準じて、20℃の水中に24時間浸漬前後での基材厚さの差から吸水厚さ膨張率を求めた。
図4に示すような内面形状がステアリングホイール1の外面形状とほぼ等しくなるように形成されているキャビティを有する下型と、下型との接合面上に、キャビティよりも小さい断面半円形状の突出部が形成されている上型を準備した。
メラミン樹脂60g/m2を含浸した目付60g/m2のポリエステル不織布からなる接着シートと、木質薄板アユースと、表面化粧材として厚さ0.2mmのクラロウォールナットを準備し、これらをそれぞれ図3に示すような扇形に打ち抜いた。
接着シートを介して、3枚の木質薄板アユースを重ね合わせて中芯材とし、さらにその中芯材の両面に同様の接着シートを介して表面化粧材を重ね合わせたものを上型と下型の間におき、金型温度150℃、圧力1.0MPaとして、5分間加熱、加圧成形してステアリングホイールを横2分割した形状の表面材を得た。
次に、表面材から、その成形によって生じたバリなどの余分な部分を除去し、表面材同士を突き合わせて接着するための接合面を切削加工した。
次いで、ステアリングホイールの表側をなす表面材及び裏側をなす表面材3を突き合わせて配すると共に、芯金がこれらの中央に位置するように配し、エポキシ樹脂を用いて接着してステアリングホイール成型体を得た。
表面材同士の継ぎ目をサンドペーパー等で仕上げた後、ポリエステル塗装を施してステアリングホイールを得た。得られた表面材及びステアリングホイールにつき評価した。その結果を表2に示す。
表面化粧材、ポリエステル不織布の目付、接着樹脂含浸量、木質薄板枚数、接着シート枚数を表1に記載のようにした以外は実施例1と同様にして、表面材及びステアリングホイールを得た。得られた表面材及びステアリングホイールにつき評価した。その結果を表2に示す。
図3に示すような扇形に打ち抜いた厚さ0.2mmのクラロウォールナットからなる表面化粧材の上に発泡エポキシ樹脂を重ねたものを上型と下型の間においた以外は実施例1と同様にして表面材及びステアリングホイールを得た。得られた表面材及びステアリングホイールにつき評価した。その結果を表2に示す。
接着シートを用いる代わりに木質薄板アユースに尿素接着剤をローラー塗布したものを用い、表面化粧材との接着も尿素接着剤を介して重ねたものを上型と下型の間においた以外は実施例1と同様にして表面材及びステアリングホイールを得た。得られた表面材及びステアリングホイールにつき評価した。その結果を表2に示す。
中芯材として木質薄板アユース1枚を用いた以外は実施例1と同様にして表面材及びステアリングホイールを得た。得られた表面材及びステアリングホイールにつき評価した。その結果を表2に示す。
木質薄板に接着剤を塗布して積層接着したものに比べ、接着シートを介して積層接着したものは耐湿性も耐衝撃性も優れていることがわかる。
また、木質薄板と接着シートは複数枚用いることにより、耐湿性が向上し、ステアリングホイールの継ぎ目部分の割れを防止できる。また、耐衝撃性も大幅に向上することがわかる。
また、接着シートの基材が補強の役割を果たし、耐衝撃性を向上させたものと考えられる。また木質薄板を複数枚積層することにより、さらに耐湿性、耐衝撃性を向上させ、ステアリングホイール継ぎ目部における割れの発生を防止したものと考えられる。
9・・・木質薄板、10・・・接着シート、11・・・上型、11a・・・突出部、
12・・・下型、12a・・・キャビティ
Claims (3)
- 芯金と、これを覆う表面材とを一体に成型してなるステアリングホイールであって、前記表面材が、表面化粧材と複数枚の木質薄板とを、防湿性を有する接着樹脂を基材に含浸した接着シートを介して積層してなることを特徴とするステアリングホイール。
- 前記防湿性を有する接着樹脂が、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、尿素メラミン樹脂、尿素樹脂、及び尿素メラミンフェノール樹脂から選ばれる1種以上の熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
- 芯金と、これを覆う表面材とを一体に成形してなるステアリングホイールの製造方法であって、表面化粧材と複数枚の木質薄板とを、防湿性を有する接着樹脂を基材に含浸した接着シートを介して積層させ、一括成形接着することにより表面材を調製する工程を含むことを特徴とするステアリングホイールの製造方法。
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