JP2004114336A - 装飾プレート及び装飾プレートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属プレートの面の濃淡模様が安定して発揮される装飾プレート及び装飾プレートの製造方法を提供する。
【解決手段】装飾プレートを構成する金属プレート13の表面には、直線溝15a〜直線溝15cと、直線溝15x〜直線溝15zとが形成されている。直線溝15a〜直線溝15cの各々は互いに隣接して平行に形成されている。一方、直線溝15x〜直線溝15zの各々も隣接して互いに平行に形成されている。そして直線溝15aの形成方向を規定する第1の軸16と、直線溝15xの形成方向を規定する第2の軸18とは、ポイントAにおいて交差している。これによって同一視点に対する直線溝15a〜直線溝15cからの光の反射量と直線溝15x〜直線溝15zからの光の反射量とが相違する。その結果、金属プレート13の表面には、光の反射量の差によって濃淡模様が表れることになる。
【選択図】 図2
【解決手段】装飾プレートを構成する金属プレート13の表面には、直線溝15a〜直線溝15cと、直線溝15x〜直線溝15zとが形成されている。直線溝15a〜直線溝15cの各々は互いに隣接して平行に形成されている。一方、直線溝15x〜直線溝15zの各々も隣接して互いに平行に形成されている。そして直線溝15aの形成方向を規定する第1の軸16と、直線溝15xの形成方向を規定する第2の軸18とは、ポイントAにおいて交差している。これによって同一視点に対する直線溝15a〜直線溝15cからの光の反射量と直線溝15x〜直線溝15zからの光の反射量とが相違する。その結果、金属プレート13の表面には、光の反射量の差によって濃淡模様が表れることになる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は装飾プレート及び装飾プレートの製造方法に関し、特に金属プレートの表面に濃淡模様等が形成された装飾プレート及び装飾プレートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属プレート表面にフォトリソグラフ法に基づいて画像を形成することが行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1において、金属板の表面に画像パターンに対応したレジスト膜を形成する工程と、このレジスト膜で覆われた部分を除いて金属膜の表面をエッチングする工程と、レジスト膜を除去した後、金属板の表面を一様に再度エッチングする工程と、金属板の表面を研磨する工程とにより金属装飾板を製造する方法が開示されている。これによって金属板の装飾面のざらつきが無くなり、高い意匠性を得ることができる。更に、装飾面に埃が付きにくく、装飾面を常に清浄に保つことが可能となる。しかも、装飾面のいわゆる映り込みが無く、高品質感を得ることができるものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−2193号公報
【特許文献2】
特開2001−105796号公報
【特許文献3】
特許第2744411号
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の金属装飾板の製造方法では、画像イメージを表示することができるものの、金属プレートの面において適切な濃淡模様を形成することができるものではない。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、金属プレートの面の濃淡模様が安定して形成される装飾プレート及び装飾プレートの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、エッチングによって形成された第1の線溝と、第1の線溝の端部に、その端部が隣接又は接続した、エッチングによって形成された第2の線溝とを備え、第1の線溝の形成方向を規定する第1の軸と、第2の線溝の形成方向を規定する第2の軸とが交差するものである。
【0007】
このように構成すると、同一視点での光の反射量が第1の線溝と第2の線溝とでは相違する。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1の線溝及び第2の線溝の各々は、少なくとも2本ずつ隣接して平行に形成されるものである。
【0009】
このように構成すると、第1の線溝及び第2の線溝の各々からの光の反射量が増大する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、第1の線溝及び第2の線溝の各々の溝幅は、60〜100μmであり、且つ各々の線溝の間隔は、120〜200μmとしたものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、装飾プレートの第1の線溝及び第2の線溝の内面及びこれらが形成される面は、エッチングによって生じる形成面より平滑な面を有するものである。
【0012】
このように構成すると、第1の線溝及び第2の線溝からの光の反射量がエッチングによるもののみに比べて増加する。
【0013】
請求項5記載の発明は、第1の線溝と第1の線溝の端部に、その端部が隣接又は接続した第2の線溝とが形成された装飾プレートの製造方法であって、金属プレートの一方面上にレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜をフォトマスクを介して第1の線溝及び第2の線溝に対応する部分を露光し、現像して開口を形成する工程と、開口を介して露出した金属プレートの部分をエッチングして、第1の線溝及び第2の線溝を形成する工程とを備えたものである。
【0014】
このように構成すると、フォトマスクに基づいて第1の線溝及び第2の線溝が形成される。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、第1の線溝及び第2の線溝の内面と、これらが形成された金属プレートの全面とを研磨する工程を更に備えたものである。
【0016】
このように形成すると、線溝の内面及び金属プレートの全面の平滑度が向上する。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、第1の線溝及び第2の線溝の内面と、これらが形成された金属プレートの全面とをメッキする工程を更に備えたものである。
【0018】
このように構成すると、線溝の内面及び金属プレートの全面の平滑度が向上する。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、光の反射量が第1の線溝と第2の線溝とでは相違するため、第1の線溝と第2の線溝とが濃淡をもって視認される。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1の線溝及び第2の線溝の各々からの光の反射量が増大するため、第1の線溝と第2の線溝との濃淡効果が安定して発揮される。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1の線溝及び第2の線溝の各々の溝幅や溝の間隔が微細であるため、金属プレートの面としての濃淡が視認される。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第1の線溝及び第2の線溝からの光の反射量がエッチングによるもののみに比べて増加するため、視認される濃淡がより明確になる。
【0023】
請求項5記載の発明は、フォトマスクに基づいて第1の線溝及び第2の線溝が形成されるため、微細な第1の線溝及び第2の線溝の形成が容易となり、装飾プレートの品質を向上する。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、金属プレートの全体の平滑度が向上するため、第1の線溝及び第2の線溝からの光の反射率が高まり、これらの反射量の差により視認される濃淡がより明確になる。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、金属プレートの全体の平滑度が向上するため、第1の線溝及び第2の線溝からの光の反射率が高まり、これらの反射量の差により視認される濃淡がより明確になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施の形態による装飾プレートの外観形状を示した拡大図であり、図2は図1で示した“X”部分の拡大図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【0027】
これらの図を参照して、装飾プレート11は、例えばステンレス鋼板等の金属プレート13の表面に複数の直線溝15が形成されて構成されている。直線溝15は後述するように等方性エッチングによって形成されており、その断面は図3で示すようにほぼ半円状となっている。又、その端部は金属プレート13の表面においては半円状となっている。直線溝15は図1に示す部分においては4つのグループ14a〜14dに分けられており、各々のグループにおいて多数の直線溝15が隣接して平行に形成されている。直線溝15の溝幅Wは60〜100μmであり、隣接する直線溝15同志の溝の間隔Pは120〜200μmとなっている。尚、この実施の形態による金属プレート13の厚さは0.1mmとなっている。
【0028】
図2に示すように、直線溝15aの形成方向を規定する第1の軸16と、直線溝15aの端部にその端部が隣接する直線溝15xの形成方向を規定する第2の軸18とはポイントAにおいて交差している。同様に直線溝15bと直線溝15y及び直線溝15cと直線溝15zとにおいても各々の軸同志が同様に交差している。このように直線溝15aの端部に直線溝15xの端部が隣接した状態で形成されているため、同一視点から直線溝15a及び直線溝15xを見たとき、これらの反射量が相違することになる。
【0029】
同様に直線溝15bと直線溝15yともその反射量が相違し、直線溝15cと直線溝15zの光の反射量も相違する。これによって直線溝15a〜直線溝15cが形成されるグループの金属プレート13の面と、直線溝15x〜直線溝15zが形成されるグループの金属プレート13の面とは、これらの線溝が微細に加工されているため、濃淡の差となって視認されることになる。そして、これらの線溝からの反射量は、線溝の形成方向が同一であるグループに対しては同一視点に対して同一の反射量となる。従って、図1で示したような4つのグループ14a〜14dにおいて、直線溝15が各グループ毎に同一方向に形成されていると、1つおきのグループ毎の濃淡が同一となる。これによって図1に示した装飾プレート11においては、全体として立体感が生じる模様が形成されることになる。
【0030】
尚、直線溝15からの反射量の差は隣接する直線溝15の形成方向との差に基づいて生じるため、図1に示した装飾プレート11のような直線溝15の模様にあっては、どの視点からも濃淡の差が表れ、結果としていずれの位置から見ても立体感が生じることになる。
【0031】
図4は図1から図3で示した装飾プレートの製造方法の概略工程を示した図である。
【0032】
図を参照して、その(1)に示すように、金属プレート13の表面上にフォトレジストを塗布してこれを乾燥することによって、レジスト膜17を全面に形成する。一方、透過部21と非透過部22とからなるフォトマスク19を準備しこれをレジスト膜17上に設置する。尚、透過部21は金属プレート13に形成する直線溝15に対応した大きさ及び寸法を有するものである。そしてこの状態でフォトマスク19の上方から紫外線23を全面に照射する。すると、照射された紫外線23はフォトマスク19の透過部21を通してレジスト膜17を露光するが、フォトマスク19の非透過部22の部分は透過せずその下のレジスト膜17を露光しない。
【0033】
次にフォトマスク19を取り除くと、図4の(2)に示されているように、金属プレート13の表面に形成されたレジスト膜17において、露光部分25と非露光部分26とが形成されることになる。露光が終了すると所定の現像液を使用して、レジスト膜17を現像する。すると、図4の(3)に示されているように、レジスト膜17の露光部分25のみがこの現像によって選択的に除去され、その部分が図4の(3)に示すように開口28となる。これによってレジスト膜17に形成された開口28の部分から金属プレート13の表面の一部が露出することになる。
【0034】
次に、金属プレート13のレジスト膜17を有する表面側を腐蝕性を有するエッチング液でエッチングを行なう。このエッチングによって、金属プレート13のレジスト膜17に覆われていない部分が図4の(4)に示されているように部分的にエッチングされ、直線溝15が形成される。尚、この場合のエッチングは等方性を有しているため、直線溝15の断面形状は図のようにほぼ半円状となる。
【0035】
エッチングが終了すると、金属プレート13を洗浄してエッチング液を除去した後、レジスト膜17を金属プレート13から取り除き、再度金属プレート13を洗浄して乾燥させる。これによって図4の(5)に示すように、金属プレート13の表面に所望の直線溝15が形成された装飾プレートが製造されることになる。
【0036】
この装飾プレートの製造方法からわかるように、直線溝15の線幅はフォトマスク19の透過部21に依存することになるため、微細な直線溝15の形成が容易となる。又、隣接する直線溝15の溝の間隔も、フォトマスク19における非透過部22の間隔に依存するため、同様に微細な溝同志の間隔の確保も容易となる。
【0037】
上記の工程によって製造された装飾プレートは上述のように同一視点に対する光の反射量が異なる濃淡を持った立体的な模様となる。しかし、この反射量の相違をより明確にしてくっきりとした模様とするためには、エッチング処理の後、直線溝15の内面及び直線溝15が形成された金属プレート13の表面の平滑度をより高めることが有効である。
【0038】
この平滑度を高める方法の一つとして、電解研磨、化学研磨、機械(バフ)研磨等によって表面の平滑度をエッチングによる平滑度より高めることができる。又、研磨以外の平滑度を高める方法としては、金属プレートの表面全体をメッキすることも有効である。
【0039】
図5はこの発明の第2の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した図である。
【0040】
図を参照して、この実施の形態による装飾プレート11は円盤形状を有している。そして、内円端33と外円端35とを有する円盤状金属プレート31の表面は、内円端33から外円端35に向かってらせん状に伸びるらせん状部36を1つの単位として、円周方向に連続的に区分けされている。そしてらせん状部36の各々において、複数の直線溝15が隣接して平行に形成されている。尚、らせん状部36に形成される直線溝15は、らせん状部36の全体形状に対して一定方向に平行となるように設定されている。
【0041】
従って、隣接するらせん状部36の各々に形成される直線溝15同志は、互いにその形成方向を規定する軸が平行とならず交差するように位置することになる。これによって各らせん状部36における直線溝15に基づく光の反射量は同一視点に対して一定となるが、隣接するらせん状部36における直線溝15の反射量はその同一視点に対しては異なることになる。この反射量は隣接するらせん状部36毎に徐々に変化することになるため、全体としてらせん状部36の部分毎が階調を持った濃淡模様として視認されることになる。
【0042】
図6はこの発明の第3の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した図である。
【0043】
図を参照して、この実施の形態による装飾プレート11は先の第2の実施の形態によるものと同様に円盤形状を有している。そして、内円端33と外円端35とで規定される円盤状金属プレート31の表面は、内円端33から外円端35に放射状に伸びる放射状部38が1つの単位として周方向に連続するように構成されている。尚、放射状部38に複数の直線溝15が隣接した状態で平行に形成されている。そして隣接する放射状部38における直線溝15の形成方向は、互いそれらの形成方向を規定する軸同志が交差するように形成されている。更に、1つおきの放射状部38における直線溝15の形成方向は、放射状部38の全体形状に対しては同一となるように構成されている。
【0044】
これによって隣接する放射状部38同志にあっては、図1で示したような立体感が円盤状金属プレート31の表面に表れる。又、円盤状金属プレート31全体としては、各放射状部38に形成された直線溝15の方向が各々異なるため、同一視点に対する光の反射量が放射状部38毎に異なることになる。その結果、装飾プレート11には立体感が表われるとともに、放射状部38を1つの単位とした階調を持った濃淡模様が常に表れることになる。
【0045】
図7はこの発明の第4の実施の形態による装飾プレートの拡大図であって、先の第1の実施の形態による図2に対応したものである。
【0046】
先の第1の実施の形態から第3の実施の形態にあっては、金属プレートに形成される線溝は全て直線溝である。この実施の形態においては、線溝を曲線溝として構成している。すなわち、装飾プレートを構成する金属プレート13の表面には、一定の曲率を有した曲線溝41a〜曲線溝41cが形成されている。一方、曲線溝41a〜曲線溝41cの端部に各々の端部が隣接した所定の曲率を有する曲線溝41x〜曲線溝41zが形成されている。そして曲線溝41aの形成方向を規定する第1の軸43と、曲線溝41xの形成方向を規定する第2の軸44とがポイントBにおいて交差している。
【0047】
これによって先の第1の実施の形態によるものと同様に同一視点に対する曲線溝41a〜曲線溝41cからの光の反射量と曲線溝41x〜曲線溝41zからの光の反射量とが、隣接する端部において大きく相違することになる。このように、直線溝と同様に曲線溝にあっても、隣接した曲線溝の形成方向を変化させることによって立体感や濃淡模様を形成することが可能となる。尚、これらの曲線溝も直線溝と同様に、フォトマスクを利用したエッチングによって所望の位置に微細に形成することが容易となる。
【0048】
尚、上記の各実施の形態では、隣接する線溝の端部同志が分離しているが、これらを互いに接続して一体化しても良い。この場合であっても互いの線溝の形成方向を規定する軸同志が交差するように、すなわち、線溝がその部分で屈曲するように構成されていれば、同様の効果を奏する。
【0049】
又、上記の各実施の形態では、隣接する線溝は直線溝同志か曲線溝同志になっているが、隣接する線溝が直線溝と曲線溝との組み合せであっても良い。
【0050】
更に、上記の各実施の形態では、各線溝の断面形状は同一としているが、これらの断面形状は必ずしも同一でなくても、それらの軸の関係が各実施の形態で示したような所定の関係になっていれば、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した拡大図である。
【図2】図1で示した“X”部分の拡大図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態による装飾プレートの製造方法を示した概略工程図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した拡大図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した拡大図である。
【図7】この発明の第4の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した拡大図である。
【符号の説明】
11…装飾プレート
13…金属プレート
15…直線溝
16,43…第1の軸
17…レジスト膜
18,44…第2の軸
19…フォトマスク
25…露光部分
28…開口
41…曲線溝
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【発明の属する技術分野】
この発明は装飾プレート及び装飾プレートの製造方法に関し、特に金属プレートの表面に濃淡模様等が形成された装飾プレート及び装飾プレートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属プレート表面にフォトリソグラフ法に基づいて画像を形成することが行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1において、金属板の表面に画像パターンに対応したレジスト膜を形成する工程と、このレジスト膜で覆われた部分を除いて金属膜の表面をエッチングする工程と、レジスト膜を除去した後、金属板の表面を一様に再度エッチングする工程と、金属板の表面を研磨する工程とにより金属装飾板を製造する方法が開示されている。これによって金属板の装飾面のざらつきが無くなり、高い意匠性を得ることができる。更に、装飾面に埃が付きにくく、装飾面を常に清浄に保つことが可能となる。しかも、装飾面のいわゆる映り込みが無く、高品質感を得ることができるものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−2193号公報
【特許文献2】
特開2001−105796号公報
【特許文献3】
特許第2744411号
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の金属装飾板の製造方法では、画像イメージを表示することができるものの、金属プレートの面において適切な濃淡模様を形成することができるものではない。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、金属プレートの面の濃淡模様が安定して形成される装飾プレート及び装飾プレートの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、エッチングによって形成された第1の線溝と、第1の線溝の端部に、その端部が隣接又は接続した、エッチングによって形成された第2の線溝とを備え、第1の線溝の形成方向を規定する第1の軸と、第2の線溝の形成方向を規定する第2の軸とが交差するものである。
【0007】
このように構成すると、同一視点での光の反射量が第1の線溝と第2の線溝とでは相違する。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1の線溝及び第2の線溝の各々は、少なくとも2本ずつ隣接して平行に形成されるものである。
【0009】
このように構成すると、第1の線溝及び第2の線溝の各々からの光の反射量が増大する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、第1の線溝及び第2の線溝の各々の溝幅は、60〜100μmであり、且つ各々の線溝の間隔は、120〜200μmとしたものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、装飾プレートの第1の線溝及び第2の線溝の内面及びこれらが形成される面は、エッチングによって生じる形成面より平滑な面を有するものである。
【0012】
このように構成すると、第1の線溝及び第2の線溝からの光の反射量がエッチングによるもののみに比べて増加する。
【0013】
請求項5記載の発明は、第1の線溝と第1の線溝の端部に、その端部が隣接又は接続した第2の線溝とが形成された装飾プレートの製造方法であって、金属プレートの一方面上にレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜をフォトマスクを介して第1の線溝及び第2の線溝に対応する部分を露光し、現像して開口を形成する工程と、開口を介して露出した金属プレートの部分をエッチングして、第1の線溝及び第2の線溝を形成する工程とを備えたものである。
【0014】
このように構成すると、フォトマスクに基づいて第1の線溝及び第2の線溝が形成される。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、第1の線溝及び第2の線溝の内面と、これらが形成された金属プレートの全面とを研磨する工程を更に備えたものである。
【0016】
このように形成すると、線溝の内面及び金属プレートの全面の平滑度が向上する。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、第1の線溝及び第2の線溝の内面と、これらが形成された金属プレートの全面とをメッキする工程を更に備えたものである。
【0018】
このように構成すると、線溝の内面及び金属プレートの全面の平滑度が向上する。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、光の反射量が第1の線溝と第2の線溝とでは相違するため、第1の線溝と第2の線溝とが濃淡をもって視認される。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1の線溝及び第2の線溝の各々からの光の反射量が増大するため、第1の線溝と第2の線溝との濃淡効果が安定して発揮される。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1の線溝及び第2の線溝の各々の溝幅や溝の間隔が微細であるため、金属プレートの面としての濃淡が視認される。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第1の線溝及び第2の線溝からの光の反射量がエッチングによるもののみに比べて増加するため、視認される濃淡がより明確になる。
【0023】
請求項5記載の発明は、フォトマスクに基づいて第1の線溝及び第2の線溝が形成されるため、微細な第1の線溝及び第2の線溝の形成が容易となり、装飾プレートの品質を向上する。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、金属プレートの全体の平滑度が向上するため、第1の線溝及び第2の線溝からの光の反射率が高まり、これらの反射量の差により視認される濃淡がより明確になる。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、金属プレートの全体の平滑度が向上するため、第1の線溝及び第2の線溝からの光の反射率が高まり、これらの反射量の差により視認される濃淡がより明確になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施の形態による装飾プレートの外観形状を示した拡大図であり、図2は図1で示した“X”部分の拡大図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【0027】
これらの図を参照して、装飾プレート11は、例えばステンレス鋼板等の金属プレート13の表面に複数の直線溝15が形成されて構成されている。直線溝15は後述するように等方性エッチングによって形成されており、その断面は図3で示すようにほぼ半円状となっている。又、その端部は金属プレート13の表面においては半円状となっている。直線溝15は図1に示す部分においては4つのグループ14a〜14dに分けられており、各々のグループにおいて多数の直線溝15が隣接して平行に形成されている。直線溝15の溝幅Wは60〜100μmであり、隣接する直線溝15同志の溝の間隔Pは120〜200μmとなっている。尚、この実施の形態による金属プレート13の厚さは0.1mmとなっている。
【0028】
図2に示すように、直線溝15aの形成方向を規定する第1の軸16と、直線溝15aの端部にその端部が隣接する直線溝15xの形成方向を規定する第2の軸18とはポイントAにおいて交差している。同様に直線溝15bと直線溝15y及び直線溝15cと直線溝15zとにおいても各々の軸同志が同様に交差している。このように直線溝15aの端部に直線溝15xの端部が隣接した状態で形成されているため、同一視点から直線溝15a及び直線溝15xを見たとき、これらの反射量が相違することになる。
【0029】
同様に直線溝15bと直線溝15yともその反射量が相違し、直線溝15cと直線溝15zの光の反射量も相違する。これによって直線溝15a〜直線溝15cが形成されるグループの金属プレート13の面と、直線溝15x〜直線溝15zが形成されるグループの金属プレート13の面とは、これらの線溝が微細に加工されているため、濃淡の差となって視認されることになる。そして、これらの線溝からの反射量は、線溝の形成方向が同一であるグループに対しては同一視点に対して同一の反射量となる。従って、図1で示したような4つのグループ14a〜14dにおいて、直線溝15が各グループ毎に同一方向に形成されていると、1つおきのグループ毎の濃淡が同一となる。これによって図1に示した装飾プレート11においては、全体として立体感が生じる模様が形成されることになる。
【0030】
尚、直線溝15からの反射量の差は隣接する直線溝15の形成方向との差に基づいて生じるため、図1に示した装飾プレート11のような直線溝15の模様にあっては、どの視点からも濃淡の差が表れ、結果としていずれの位置から見ても立体感が生じることになる。
【0031】
図4は図1から図3で示した装飾プレートの製造方法の概略工程を示した図である。
【0032】
図を参照して、その(1)に示すように、金属プレート13の表面上にフォトレジストを塗布してこれを乾燥することによって、レジスト膜17を全面に形成する。一方、透過部21と非透過部22とからなるフォトマスク19を準備しこれをレジスト膜17上に設置する。尚、透過部21は金属プレート13に形成する直線溝15に対応した大きさ及び寸法を有するものである。そしてこの状態でフォトマスク19の上方から紫外線23を全面に照射する。すると、照射された紫外線23はフォトマスク19の透過部21を通してレジスト膜17を露光するが、フォトマスク19の非透過部22の部分は透過せずその下のレジスト膜17を露光しない。
【0033】
次にフォトマスク19を取り除くと、図4の(2)に示されているように、金属プレート13の表面に形成されたレジスト膜17において、露光部分25と非露光部分26とが形成されることになる。露光が終了すると所定の現像液を使用して、レジスト膜17を現像する。すると、図4の(3)に示されているように、レジスト膜17の露光部分25のみがこの現像によって選択的に除去され、その部分が図4の(3)に示すように開口28となる。これによってレジスト膜17に形成された開口28の部分から金属プレート13の表面の一部が露出することになる。
【0034】
次に、金属プレート13のレジスト膜17を有する表面側を腐蝕性を有するエッチング液でエッチングを行なう。このエッチングによって、金属プレート13のレジスト膜17に覆われていない部分が図4の(4)に示されているように部分的にエッチングされ、直線溝15が形成される。尚、この場合のエッチングは等方性を有しているため、直線溝15の断面形状は図のようにほぼ半円状となる。
【0035】
エッチングが終了すると、金属プレート13を洗浄してエッチング液を除去した後、レジスト膜17を金属プレート13から取り除き、再度金属プレート13を洗浄して乾燥させる。これによって図4の(5)に示すように、金属プレート13の表面に所望の直線溝15が形成された装飾プレートが製造されることになる。
【0036】
この装飾プレートの製造方法からわかるように、直線溝15の線幅はフォトマスク19の透過部21に依存することになるため、微細な直線溝15の形成が容易となる。又、隣接する直線溝15の溝の間隔も、フォトマスク19における非透過部22の間隔に依存するため、同様に微細な溝同志の間隔の確保も容易となる。
【0037】
上記の工程によって製造された装飾プレートは上述のように同一視点に対する光の反射量が異なる濃淡を持った立体的な模様となる。しかし、この反射量の相違をより明確にしてくっきりとした模様とするためには、エッチング処理の後、直線溝15の内面及び直線溝15が形成された金属プレート13の表面の平滑度をより高めることが有効である。
【0038】
この平滑度を高める方法の一つとして、電解研磨、化学研磨、機械(バフ)研磨等によって表面の平滑度をエッチングによる平滑度より高めることができる。又、研磨以外の平滑度を高める方法としては、金属プレートの表面全体をメッキすることも有効である。
【0039】
図5はこの発明の第2の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した図である。
【0040】
図を参照して、この実施の形態による装飾プレート11は円盤形状を有している。そして、内円端33と外円端35とを有する円盤状金属プレート31の表面は、内円端33から外円端35に向かってらせん状に伸びるらせん状部36を1つの単位として、円周方向に連続的に区分けされている。そしてらせん状部36の各々において、複数の直線溝15が隣接して平行に形成されている。尚、らせん状部36に形成される直線溝15は、らせん状部36の全体形状に対して一定方向に平行となるように設定されている。
【0041】
従って、隣接するらせん状部36の各々に形成される直線溝15同志は、互いにその形成方向を規定する軸が平行とならず交差するように位置することになる。これによって各らせん状部36における直線溝15に基づく光の反射量は同一視点に対して一定となるが、隣接するらせん状部36における直線溝15の反射量はその同一視点に対しては異なることになる。この反射量は隣接するらせん状部36毎に徐々に変化することになるため、全体としてらせん状部36の部分毎が階調を持った濃淡模様として視認されることになる。
【0042】
図6はこの発明の第3の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した図である。
【0043】
図を参照して、この実施の形態による装飾プレート11は先の第2の実施の形態によるものと同様に円盤形状を有している。そして、内円端33と外円端35とで規定される円盤状金属プレート31の表面は、内円端33から外円端35に放射状に伸びる放射状部38が1つの単位として周方向に連続するように構成されている。尚、放射状部38に複数の直線溝15が隣接した状態で平行に形成されている。そして隣接する放射状部38における直線溝15の形成方向は、互いそれらの形成方向を規定する軸同志が交差するように形成されている。更に、1つおきの放射状部38における直線溝15の形成方向は、放射状部38の全体形状に対しては同一となるように構成されている。
【0044】
これによって隣接する放射状部38同志にあっては、図1で示したような立体感が円盤状金属プレート31の表面に表れる。又、円盤状金属プレート31全体としては、各放射状部38に形成された直線溝15の方向が各々異なるため、同一視点に対する光の反射量が放射状部38毎に異なることになる。その結果、装飾プレート11には立体感が表われるとともに、放射状部38を1つの単位とした階調を持った濃淡模様が常に表れることになる。
【0045】
図7はこの発明の第4の実施の形態による装飾プレートの拡大図であって、先の第1の実施の形態による図2に対応したものである。
【0046】
先の第1の実施の形態から第3の実施の形態にあっては、金属プレートに形成される線溝は全て直線溝である。この実施の形態においては、線溝を曲線溝として構成している。すなわち、装飾プレートを構成する金属プレート13の表面には、一定の曲率を有した曲線溝41a〜曲線溝41cが形成されている。一方、曲線溝41a〜曲線溝41cの端部に各々の端部が隣接した所定の曲率を有する曲線溝41x〜曲線溝41zが形成されている。そして曲線溝41aの形成方向を規定する第1の軸43と、曲線溝41xの形成方向を規定する第2の軸44とがポイントBにおいて交差している。
【0047】
これによって先の第1の実施の形態によるものと同様に同一視点に対する曲線溝41a〜曲線溝41cからの光の反射量と曲線溝41x〜曲線溝41zからの光の反射量とが、隣接する端部において大きく相違することになる。このように、直線溝と同様に曲線溝にあっても、隣接した曲線溝の形成方向を変化させることによって立体感や濃淡模様を形成することが可能となる。尚、これらの曲線溝も直線溝と同様に、フォトマスクを利用したエッチングによって所望の位置に微細に形成することが容易となる。
【0048】
尚、上記の各実施の形態では、隣接する線溝の端部同志が分離しているが、これらを互いに接続して一体化しても良い。この場合であっても互いの線溝の形成方向を規定する軸同志が交差するように、すなわち、線溝がその部分で屈曲するように構成されていれば、同様の効果を奏する。
【0049】
又、上記の各実施の形態では、隣接する線溝は直線溝同志か曲線溝同志になっているが、隣接する線溝が直線溝と曲線溝との組み合せであっても良い。
【0050】
更に、上記の各実施の形態では、各線溝の断面形状は同一としているが、これらの断面形状は必ずしも同一でなくても、それらの軸の関係が各実施の形態で示したような所定の関係になっていれば、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した拡大図である。
【図2】図1で示した“X”部分の拡大図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態による装飾プレートの製造方法を示した概略工程図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した拡大図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した拡大図である。
【図7】この発明の第4の実施の形態による装飾プレートの概略形状を示した拡大図である。
【符号の説明】
11…装飾プレート
13…金属プレート
15…直線溝
16,43…第1の軸
17…レジスト膜
18,44…第2の軸
19…フォトマスク
25…露光部分
28…開口
41…曲線溝
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (7)
- エッチングによって形成された第1の線溝と、
前記第1の線溝の端部に、その端部が隣接又は接続した、エッチングによって形成された第2の線溝とを備え、
前記第1の線溝の形成方向を規定する第1の軸と、前記第2の線溝の形成方向を規定する第2の軸とが交差する、装飾プレート。 - 前記第1の線溝及び前記第2の線溝の各々は、少なくとも2本ずつ隣接して平行に形成される、請求項1記載の装飾プレート。
- 前記第1の線溝及び前記第2の線溝の各々の溝幅は、60〜100μmであり、且つ各々の線溝の間隔は120〜200μmである、請求項2記載の装飾プレート。
- 前記装飾プレートの前記第1の線溝及び前記第2の線溝の内面及びこれらが形成されている面は、前記エッチングによって生じる形成面より平滑な面を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の装飾プレート。
- 第1の線溝と前記第1の線溝の端部に、その端部が隣接又は接続した第2の線溝とが形成された装飾プレートの製造方法であって、
金属プレートの一方面上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜をフォトマスクを介して前記第1の線溝及び前記第2の線溝に対応する部分を露光し、現像して開口を形成する工程と、
前記開口を介して露出した前記金属プレートの部分をエッチングして、前記第1の線溝及び前記第2の線溝を形成する工程とを備えた、装飾プレートの製造方法。 - 前記第1の線溝及び前記第2の線溝の線溝の内面と、これらが形成された前記金属プレートの全面とを研磨する工程を更に備えた、請求項5記載の装飾プレートの製造方法。
- 前記第1の線溝及び前記第2の線溝の内面と、これらが形成された前記金属プレートの全面をメッキする工程を更に備えた、請求項5記載の装飾プレートの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2002277264A JP2004114336A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | 装飾プレート及び装飾プレートの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005213647A (ja) * | 2004-01-28 | 2005-08-11 | Kokyo Kagi Kofun Yugenkoshi | 光反射パターンの形成方法及び光反射パターン付き製品 |
JP2017089008A (ja) * | 2015-11-11 | 2017-05-25 | ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム | 少なくとも1つの目の錯視模様を有する金属系部品の製造方法 |
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2002
- 2002-09-24 JP JP2002277264A patent/JP2004114336A/ja active Pending
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