JP2004114046A - 非晶質薄膜への凹凸部形成方法及び非晶質薄膜 - Google Patents

非晶質薄膜への凹凸部形成方法及び非晶質薄膜 Download PDF

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武部 博倫
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Abstract

【課題】光誘起構造変化に伴う変形の度合が大きい非晶質薄膜を用いて極短パルスのレーザ光照射で効率よく凸部及び/又は凹部を形成できる非晶質薄膜への凹凸部形成方法、及び当該凹凸部形成方法に最適化させた非晶質薄膜を提供する。
【解決手段】酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物の非晶質材料に対し光活性物質をドープさせた薄膜に対し、極短パルス幅のレーザ光照射を行って被照射部位に凸部及び/又は凹部を生成させることにより、光感受性を向上させた非晶質材料中で構造変化を発現可能な状態が確実に得られることとなり、光誘起構造変化に伴う変形割合も大きくして、一回照射毎という極めて短時間で薄膜表面形状の変形をマイクロレンズとして十分利用可能な程度に大きく行わせることができ、マイクロレンズ製造を短時間に効率よく実行できる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は所定のレーザ光照射で光誘起構造変化に伴う表面形状変化を発現させて凸部及び/又は凹部を得る非晶質薄膜への凹凸部形成方法、及び当該方法により光誘起構造変化に伴う著しい変形を生じる非晶質薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
微小光学素子の一つであるマイクロレンズは、従来から、レンズアレイとしてレーザ光のコリメートや集光に用いられる他、光ファイバ端部に成形されて、光源からの光を光ファイバに結合したり、光ファイバからの光を検出器に結合したりする場合に高い結合効率をもたらすなど、多方面で利用されていたが、研削等の機械加工では成形できない微小な径であるために、主にレーザ光による融解、除去加工や、加熱に伴う収縮、膨張を利用した凸曲面形成等によりレンズ形状を成形されていた。
【0003】
一方、このような従来のマイクロレンズ形成方法とは別に、カルコゲナイドガラス(As)がレーザ光の照射による光誘起構造変化で比較的大きな膨張変形を示すことが知られており、こうした非熱的過程による変形をマイクロレンズの成形に応用する研究が近年盛んに行われている。例えば、H. Hisakuni and K.Tanaka,“Optical fabrication of microlenses in chalcogenide glasses,”Optics Lett., vol.20, pp.958−960, 1995.や、S. Ramachandran, J.C. Pepper, D.J. Brady, and S.G. Bishop,“Micro−Optical Lenslets by Photo−Expansion in Chalcogenide Glasses,”J. Lightwave Technol., vol.15, pp.1371−1377, 1997.、並びに、田中啓司:応用物理 第66巻 第3号, pp.252−255,1997.等が挙げられる。
【0004】
この他、マイクロレンズ形成を含む微細加工への応用が可能と見られている技術として、近年、Si基板上に形成した非晶質SiO膜(膜厚約100nm)にフェムト秒レーザを照射し、緻密化で凹型のくぼみを形成することや、フェムト秒レーザ光の干渉で微小領域での破裂(micro−explosion)を起し、これをフォトニック結晶等の微小孔形成に利用すること、などが、H. Hosono, K. Kawamura, S. Matsuishi, M. Hirao,“Holographic writing of micro−gratings and nanostructures on amorphous SiO2 by near infrared femtosecond pulses”, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B191 (2002) 89−97.で報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のマイクロレンズ等微小光学素子の形成は以上のように行われていることから、除去加工や加熱による体積変化を利用するものにおいては、微細形状の形成に時間を要するなど、製造効率が良くないという課題を有していた。
一方、光誘起構造変化を利用するものについては、これまでに報告されているカルコゲナイドガラスの例の場合、いずれもレンズ状凸部分の形成に少なくとも1分以上の時間を要するなど、マイクロレンズの製造を効率的に行うという点については前者以上に難しいという課題を有していた。
こうした光誘起構造変化を利用するマイクロレンズ製造の実用化のためには、光誘起によって短時間で十分な変化を生じる実用的な材料が存在し、且つ製造工程を容易且つ低コストに進められることが求められる。
【0006】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、光誘起構造変化に伴う変形の度合が大きい非晶質薄膜を用いて極短パルスのレーザ光照射で効率よく凸部及び/又は凹部を形成できる非晶質薄膜への凹凸部形成方法、及び当該凹凸部形成方法に最適化させた非晶質薄膜を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る非晶質薄膜への凹凸部形成方法は、周期表1A〜7A、8、1B〜5B族のいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物からなる非晶質材料に、所定の光活性物質をドープして形成される薄膜に対し、少なくともナノ秒より短いパルス幅のパルスレーザでレーザ光を照射し、前記薄膜のレーザ光照射部位に光誘起による構造変化を発現させて変形した凸部及び/又は凹部を得るものである。
【0008】
このように本発明においては、酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物の非晶質材料に対し光活性物質をドープさせた薄膜に対し、極短パルス幅のレーザ光照射を行って被照射部位に凸部及び/又は凹部を生成させることにより、光感受性を向上させた非晶質材料中で構造変化を発現可能な状態が確実に得られることとなり、光誘起構造変化に伴う変形割合も大きくして、一回照射毎という極めて短時間で薄膜表面形状の変形をマイクロレンズとして十分利用可能な程度に大きく行わせることができ、マイクロレンズ製造を短時間に効率よく実行できる。
【0009】
また、本発明に係る非晶質薄膜は、周期表1A〜7A、8、1B〜5B族のいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物からなる非晶質材料に、所定の光活性物質をドープして薄膜として形成され、少なくともナノ秒より短いパルス幅のパルスレーザのレーザ光照射に対し、光誘起構造変化に伴って表面形状を変化させるものである。
【0010】
このように本発明においては、光活性物質が酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物の非晶質材料に対しドープされた薄膜として形成され、光感受性を大きく向上させて材料中での構造変化の発現効率を高めることにより、極短パルス幅のレーザ光が照射されると被照射部位に光誘起構造変化に伴う変形を確実に生じることとなり、一回照射毎という極めて短時間でも薄膜表面形状をマイクロレンズとして十分利用可能な程度に大きく変形させることができ、マイクロレンズ製造を短時間に効率よく実行できる。
【0011】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、物質X{Xは周期表3A〜5A、2B〜5B族のいずれか一又は複数の元素}の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物を少なくとも含む母材に、光活性物質をドープして形成されるものである。このように本発明においては、周期表3A〜5A、2B〜5B族のいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物を母材とし、この母材に光活性物質がドープされることにより、母材として非晶質のネットワークを形成できると共に、このネットワーク中に光活性イオンを高濃度に溶解させ、且つ安定的に分散させられ、より確実に光誘起構造変化に伴う巨大変形を発現させられる。
【0012】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記母材が、照射されるレーザ光の基本波及び第二高調波における各波長領域で透明性を有する酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物であるものである。このように本発明においては、母材を照射レーザ光の波長領域で透明な酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物とし、光を十分に透過可能とすることにより、母材に含まれる光活性物質に対し確実に光を照射し励起させることができ、光感受性を高めて光誘起構造変化の発現効率を大きく向上させられると共に、レンズとしての使用範囲を決定する光透明波長領域を広範囲に維持することができる。
【0013】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記物質Xが、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Nb、Ta、P、Sb、Biのいずれか一又は複数の元素の酸化物及び/又は硫化物とされるものである。このように本発明においては、母材をB、Al、Ga、In、Si、Ge、Nb、Ta、P、Sb、Biのいずれか一又は複数の元素の酸化物及び/又は硫化物とし、これに光活性物質をドープすることにより、所望の光波長で確実に母材を透明且つ非晶質化でき、照射される光を光活性イオンに確実に到達させて構造変化の発現効率を高められると共に、特にAl、Ga、In、SiO、Ta、Sb、Bi、Ga、In、GeS、Sb、Biの場合、水と反応しにくく、材料全体としての耐水性を与えて耐久性を向上させられる。酸化物の場合、硫化物と比較して、変形を発現するためのレーザ光のパルスエネルギーは高くなるものの、耐アブレーション性に優れており、比較的広い径でも変形の程度を小さく制御することで、焦点距離の長いレンズ状変形部を形成するのに適している。一方硫化物はこれらの性質については、酸化物とおよそ逆の性質を有しており、酸化物、酸化物/硫化物の組み合わせ、硫化物というように組成を連続的に変化させることで、種々の形状のレンズ状変形部を形成することができる。また、硫化物の場合、上記の化学量論組成の硫化物に加えて、Sを過剰又は不足に含有する非化学量論組成の物質も有効であり、光活性物質のドープされる母材がSを含むことにより、高屈折率となって光活性物質の吸収強度を高められ、構造変化をより高い効率で発現させられる。
【0014】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記光活性物質が、照射されるレーザ光の第二高調波の波長領域に吸収帯を持つものである。このように本発明においては、ドーパントが第二高調波に対応する吸収帯を持つものであることにより、レーザ光に対して2光子吸収過程を促進することとなり、確実に光誘起構造変化に伴う表面形状の変形を発現させられ、効率よく凸部及び/又は凹部を得られる。
【0015】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記光活性物質が、ランタノイド元素、遷移金属元素、Zn、周期表第4ないし第6周期の3B〜5B族元素のいずれか一又は複数とされるものである。このように本発明においては、光活性物質をランタノイド元素、遷移金属元素、周期表第4ないし第6周期の3B〜5B族元素のいずれか一又は複数とし、これらが、照射されるレーザー光の種々の第二高調波に対して適切な吸収係数を持つことにより、適切に2光子吸収過程を起こして表面形状の変化を発現させられると共に、変化形状の調整が行えることとなる。また、光透明性を示す波長領域や、例えばレンズとしての色収差を調整することもできる。
【0016】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記光活性物質の一部又は全部が、粒径略1μm以下となる金属及び/又は半導体の微結晶とされるものである。このように本発明においては、光活性物質として金属又は半導体の微結晶を用い、レーザ光に対する光吸収係数を高めると共に3次非線形光学定数を高めることにより、ビーム集光部位において高い効率で構造変化を発現させられる上、変形部を微小光学素子として使用する場合に光選択性の高いシャープカットフィルタとしての機能や、3次非線形光学効果を利用した高速光スイッチング機能を持たせることができる。
【0017】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記母材が、物質R{Rは周期表1A〜7A、8、1B、2B族のいずれか一又は複数の元素}の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物を含むものである。本発明においては、周期表1A〜7A、8、1B、2B族のいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物を添加物として添加し、材料における光透明性を示す波長領域や屈折率などの諸性質を調整できることにより、材料全体を用途に応じた特性に制御でき、例えばレンズ形状の調整も可能となり、様々な用途で使用可能となる。
【0018】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記母材が硫化物とされるものである。このように本発明においては、母材を硫化物とすることにより、光活性物質の吸収係数を高められ、構造変化に伴う変形をより顕著に発現させられると共に、変形の発現に要するレーザ光のパルスエネルギーを低く抑えることができ、例えば微小な焦点距離の短いレンズ形成の場合に製造が容易となる。
【0019】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記母材が、非晶質ネットワーク成分としてGa及び/又はGeSを含むものである。このように本発明においては、母材がGa及び/又はGeSを含むことにより、耐水性を含めて化学的に安定したものとなり、レンズを含む各種用途で安定的に利用できる。
【0020】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記物質Rが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Znのいずれか一又は複数の元素とされるものである。このように本発明においては、添加物をアルカリ金属、アルカリ土類金属、Znのいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物とし、前記物質Rと酸素、カルコゲン又はハロゲンイオンとの結合力が弱い、すなわち結合のイオン性が強いことにより、光活性物質の母材への均一な溶解あるいは分散が容易となる。
【0021】
また、本発明に係る非晶質薄膜は必要に応じて、前記母材が、RS−Gaとされるものである。このように本発明においては、母材をRS−Gaとし、硫化物非晶質薄膜として最も短波長の〜300nmに光吸収端を持つ性質を利用することにより、赤外域に加えて、可視から紫外域でもレンズとして用いることが可能となり、レンズとしての用途を広げられる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を説明する。本実施の形態では、基板上に物理気相成長法により薄膜として得られる非晶質材料に対しパルスレーザとしてフェムト秒レーザによるレーザ光照射を行って薄膜を変形させる例を示す。本実施の形態に係る非晶質薄膜は、母材及び添加物等からなる透明な非晶質材料に、フェムト秒レーザ(以下、fsレーザと略称)に対して2光子吸収過程を促進する光活性イオンや微結晶等の光活性物質をドープして、所定の基板上に非晶質薄膜として得られるものである。
【0023】
前記母材は、fsレーザとして用いるチタンサファイアレーザの基本波(680〜1100nm)及び第二高調波(340〜550nm)の波長領域で透明である(透光性を有する)材料であり、周期表3A(Y)、4A(Zr)、5A(Nb、Ta)、2B(Zn)、3B(B、Al、Ga、In)、4B(Si、Ge、Sn、Pb)、5B(P、As、Sb、Bi)族の各元素の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物がある。好ましくは、透明な非晶質形成酸化物であるNb、Ta、B、Al、Ga、In、SiO、GeO、P、As、Sb、Biや、非晶質形成硫化物であるB、Al、Ga、SiS、GeS、P、In等が挙げられる。母材は一つの物質に限らず、複数物質の組み合わせとすることもできる。
【0024】
この母材に対し、屈折率調整、均質材料形成、安定性・耐久性向上等のために、周期表1A〜7A、8、1B、2B族の各元素の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物を添加する。この添加物を硫化物とする場合、硫化物系添加物としては、亜鉛(Zn)、及びアルカリ土類金属、特にマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)の、各硫化物を使用するのが望ましい。以上挙げた中で、光活性物質をドープされる非晶質材料として最も顕著に構造変化が現れるのは、硫化物非晶質薄膜として最も短波長の〜300nmに光吸収端を持つRS−Ga(R=Zn、Mg、Ca、Sr、Ba)硫化物系である。
【0025】
ドーパントとして2光子吸収過程を促進する光活性物質としては、ランタノイド元素、遷移金属元素、周期表第4ないし第6周期の3Bないし5B族元素が挙げられ、fsレーザとしてチタンサファイアレーザを用いる場合、チタンサファイアレーザの基本波の波長(例えば800nm)で透明で、且つ第二高調波の波長(例えば400nm)のみに吸収帯を持つサマリウム(Sm)、ビスマス(Bi)などが挙げられ、好ましくはサマリウムとする。これら光活性物質が、ドープされてイオン状態で非晶質材料内に存在することとなる。
【0026】
この他、光活性物質としては、前記非晶質薄膜において光活性イオンとして存在するもの以外に、金属(例えば、Au、Ag、Cu)や半導体AZ(A:遷移元素、Z:6B及び7B元素)の微結晶(粒径1μm程度)も用いることができる。半導体AZをなす遷移元素としては、例えばCu、Zn、Cd、Pbなど、6B及び7B元素としては、例えばS、Se、Te、Cl、Brなどが挙げられる。これら光活性物質は、使用するパルスレーザの波長と、薄膜を光学素子として使用する用途で選択される。すなわち、レーザ光は吸収して光誘起構造変化を導くが、素子として使用する際の透過光は吸収しない性質を有する物質とされる。
【0027】
次に、本実施の形態に係る非晶質薄膜の製造方法について説明する。この非晶質薄膜の製造にあたっては、光活性物質、母材、添加物からなる出発原料を使用し、この出発原料が気相を経過して所定の基板上に薄膜として成膜されることとなる。薄膜を形成する場合、まず、不活性の雰囲気下で、構造変化を発現する非晶質を構成する母材(好ましくはGa)、添加物(好ましくはSrS)、及びドーパントとなる光活性物質(好ましくはSm)の各原料を所定モル比で混合した混合物を作製する。一方、薄膜形成用基板には、主にスライドガラス(ソーダライムケイ酸塩ガラス)又は溶融石英を採用し、格子定数の精密測定などの必要性に応じて結晶質基板を用いる。基板温度は、光誘起構造変化発現のための非晶質を形成させることを目的として、室温から500℃の低温で制御する。
【0028】
続いて、成膜装置内において真空中にアルゴン等の希ガスや、必要に応じて硫化物の製膜過程でのS欠乏欠陥の生成を抑えるための硫化水素ガスを導入して所定圧力に保った状態で、前記混合物を蒸発源またはターゲット材料として、適温に保持したガラスやSi単結晶等の清浄な基板上に成膜速度を調整しつつ前記母材、添加物、及びドーパントからなる薄膜を成膜する。この成膜の際、ガス圧が低くなるほど成膜速度は遅くなるものの、その分品質の良い膜が得られる傾向にある。ガス圧は、0.5〜50×10−3Torrとし、好ましくは3.5×10−3Torrとする。
【0029】
薄膜では前記混合物の混合比(モル比)がそのまま維持されており、ドーパントは成膜の過程で母材中にドープされる。気相成長法での薄膜形成では、ドーパントを均一に分散させた均質な材料が得られる。得られた薄膜には構造変化を発現させる光活性イオンが安定に存在している。
【0030】
最後に、レーザ光照射状態を説明する。薄膜に対し、例えばチタンサファイアレーザである、照射強度0.1mJ、波長800nmのfsレーザにより極短パルス幅(例えば120fs)でレーザ光を照射すると、照射部分の薄膜において光誘起による構造変化が発現し、著しい変形が生じ、レンズ状凸部が形成され、そのまま変形状態で固定することとなる。この凸部は、適当な温度で加熱処理あるいはレーザ光照射を行うことで元に戻る。なお、薄膜製造の過程で、ドーパントとして適切な光活性物質を選ぶことで、用途に応じて、レンズのみならずフィルタの機能も持たせることができる。この変形特性を有する非晶質薄膜は、微小光学素子形成用材料として、薄膜、ファイバー型(光導波路型)光デバイス、バイオケミカルセンサ端面でのレンズ、フィルタ、光減衰機能付加など、広範な分野で使用することができる。加えて、光活性物質が前記微結晶の場合、光導波路(薄膜、光ファイバー)に高反射率膜と重ねて成膜し、レンズ形状に変形させ、さらにまた高反射率膜を形成して、ファブリペロー共振器を形成し、集光性のよいマイクロ・ナノレンズに3次非線形光学効果を利用した高速光スイッチングの機能を持たせることもできる。
【0031】
この非晶質薄膜における変形で得られる凹凸部の形状には、レーザ光の波長、パルス幅、パルスエネルギー、照射時間、及びレーザビーム径と共に、薄膜の成膜条件及び組成が影響する。例えば、一回の照射では変形が起こらない程度の比較的弱いパルスエネルギーであっても、レーザーパルスを複数回同じ場所に照射することで、表面形状の変化を引き起こすことができると共に、照射回数で変形の大小を制御可能である。
【0032】
また、レーザ出力系における対物レンズの焦点距離を変えてレーザビーム径を変化させると、変形の度合が変化し、焦点距離の短いレンズを採用してパルス光をより狭い領域に集光させた場合、比較的低いパルスエネルギーで変形が起こる。さらに、光学集光系における絞りの入れ方によってレーザービーム径とパルスエネルギーを同時に変化させた場合には、ビーム径及びパルスエネルギーを小さくするほど変形部の直径と高さ(深さ)の両方が小さくなる傾向にある。
【0033】
薄膜の成膜条件による影響については、例えば、スパッタ法での成膜において、他は同一条件で変形部を形成する場合、基板温度を低く、また成膜速度を大きくするほど、変形の程度が大きくなる傾向にある。ゆっくりとした成膜速度で膜を形成した場合には良好な品質の非晶質膜が得られ、レーザアブレーションの閾値が高くなる結果、比較的広いレーザパルスエネルギーの範囲で凹凸部のサイズを制御することができる。
【0034】
さらに、薄膜において、変形を起こすために不可欠な光活性物質の種類と添加量、及び薄膜の厚さを適切に選ぶことで、形状の制御が可能である。2光子吸収過程を効率よく行うために、レーザ光の第二高調波波長での薄膜の吸収係数を制御することで、凹凸部の大小を制御可能である。この場合、基本波波長での透明性を維持した上で第二高調波波長での吸収係数を高くするほど、変形を起こすために必要なレーザ光のパルスエネルギー値は低くなる傾向にある。
【0035】
この他、薄膜の組成による影響については、他は同一条件で変形部を形成する場合、非晶質ネットワーク形成成分である前記物質Xの含有量が多くなるほど、凸への変化の度合いが小さくなる傾向にあり、非晶質ネットワーク成分を高含有量とする薄膜においては、凹状の変形部が形成される傾向にある。
【0036】
上記した各種影響を積極的に利用して、非晶質薄膜においてドープする光活性物質を適宜選択し、さらに、異なる波長、パルス幅及びビーム径を持つ複数のレーザ光を適宜組み合わせて照射することで、非球面で複雑な形状の凹凸部を形成することもできる。
【0037】
このように、本実施の形態に係る非晶質薄膜においては、光活性物質が酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物の非晶質材料に対しドープされた薄膜として形成され、光活性物質が照射されるレーザ光に対する光感受性を大きく向上させて材料中での構造変化の発現効率を高めることから、極短パルス幅のレーザ光が照射されると被照射部位に光誘起構造変化に伴う変形を確実に生じることとなり、一回照射毎という極めて短時間でも薄膜表面形状をマイクロレンズとして十分利用可能な程度に大きく変形させることができ、マイクロレンズ材料として極めて有用である。また、物理気相成長法での薄膜形成により、出発原料と薄膜の組成を略同じにでき、組成設計が容易に行え、材料中に光活性イオンが適切な割合で含まれる状態を確実に得ることができる。
【0038】
なお、前記実施の形態に係る非晶質薄膜への凹凸形成方法においては、薄膜へのfsレーザによる照射でマイクロレンズを形成したが、こうしたマイクロ・ナノレンズの形成に限らず、薄膜集積光デバイスの光学系、近接場光顕微鏡用ファイバプローブ、光通信用あるいはファイバセンサ用の光ファイバに対して、端面へのグレーティングなど他の光学素子の形成に適用することもできる。
【0039】
また、前記実施の形態に係る非晶質薄膜においては、非晶質薄膜の形成に物理気相成長法を用いているが、これに限らず、化学気相成長法(CVD)、液相成長法、スプレー熱分解法(スプレーパイロシス法)等を用いてもかまわない。また、物理気相成長法として好ましくは、スパッタリング、レーザアブレーション法、イオンビーム蒸着法、MBE法、真空蒸着法、イオンプレーティング法を用いるのがよい。
【0040】
また、前記実施の形態に係る非晶質薄膜への凹凸形成方法においては、パルスレーザ光源としてチタンサファイアfsレーザを用いているが、fsレーザとしては、チタンサファイアレーザに限らず、クロム:フォルステライト、エルビウム:ガラスファイバの各レーザでもかまわない。またフェムト秒レーザに限らず、ピコ秒レーザを光源に使用することもできる。さらに、パルス幅を短く、1パルスあたりのエネルギーを高く維持するために、適当な再生増幅器(Regenerative Amplifier)と組み合わせることが望ましく、広い範囲でレーザー光の波長を変えるためには、OPA(Optical Parametric Amplifier)と組み合わせることが可能である。
【0041】
【実施例】
本発明に係る非晶質薄膜への凹凸部形成方法の実施例と、本実施例における凸部形成状態についての評価結果を説明する。本実施例では、温度を室温とした基板、例えばスライドガラスやSi単結晶の基板上に、物理気相成長法によって、光誘起による構造変化を起こす硫化物薄膜材料、すなわち、母材としてのホスト(例えば、Ga)、及び添加物(例えば、SrS)を成膜し、母材に光活性物質(例えば、Sm)をドープする。
【0042】
具体的には、前記基板上に、Gaをホストとし、添加物としてSrS、光活性物質の硫化物としてSmSを添加したSmS−SrS−Ga膜をスパッタリングにより形成する例を示す。各物質の割合は、それぞれモル比率で、SmS:0.01〜40%、SrS:0〜90%、Ga:10〜99.99%である。より好ましくは、SmS:0.01〜5%、SrS:0〜80%、Ga:20〜80%である。SmSが5%より多くなると、チタンサファイアレーザの第二高調波波長(400nm)での吸収係数が高いために、アブレーションが起こり易くなる。
【0043】
Gaは非晶質ネットワークの形成成分で、10%よりも少ないと結晶化しやすく、非晶質膜を得ることが困難になる。またSrSの成分量が少ない場合、特にこれらの合計量が50%よりも少ない場合は、Gaがその周りに4つのSイオンを配位した四面体が構成単位となって非晶質ネットワークを形成するのに必要な電荷バランスを満足することができず、非晶質膜の形成は可能であるものの、点欠陥やH+等不純物イオンを取り込みやすく、膜の品質が悪くなる傾向にある。またSrSの含有量が80%よりも多くなると、耐水性が悪くなる傾向にある。
【0044】
薄膜形成用基板には、主にスライドガラス(ソーダライムケイ酸塩ガラス)又は溶融石英を採用し、必要に応じて結晶質基板を用いる。基板温度は、光誘起構造変化発現のために非晶質を形成させることを目的として、室温から500℃の低温で制御する。
【0045】
次に、本実施例の非晶質薄膜の製造について詳細に説明する。まず、水蒸気分圧と酸素分圧を1ppm以下に制御したN2雰囲気のグローブボックスで、SmS、SrS、及びGa粉末原料をモル比で2:63:35となるように秤量、混合した後、成形体を作成した。
【0046】
次に、成膜装置として高周波2極スパッタ装置を用い、前記成形体をターゲット材料として、スライドガラス又はSi単結晶基板上にスパッタリングを行ってSmS−SrS−Ga膜を成膜した。具体的には、上記基板の温度を室温(20℃)に保持したまま高周波2極スパッタ装置内を真空に排気した後、アルゴン(Ar)ガスを導入して圧力を3.5×10−3Torr(0.466Pa)に保ち、成膜速度を調整しつつ膜厚を1〜2μmとするように成膜した。
【0047】
こうして得られた非晶質硫化物薄膜(SmS、SrS、及びGaのモル比が2:63:35)について、透過スペクトルを測定した。比較例として、SmSをドープしていない非晶質硫化物薄膜(SrSとGaのモル比が65:35)についても調べた。図1は各非晶質薄膜の透過スペクトル測定結果説明図である。図中「Non−doped」はSmS非ドープ薄膜、同「SmS doped」はSmSドープ薄膜の各結果である。図1に示されるように、SmSをドープしていない硫化物薄膜は350〜500nmで透明であるが、SmSをドープすることで、チタンサファイアレーザの第二高調波の波長である400nmに吸収を持つことがわかる。
【0048】
続いて、前記二つの薄膜に対し、0.01mJから4mJの範囲でレーザのパルスエネルギーを変化させてレーザ光を照射し、薄膜の表面状態を調べた。SmSをドープしていない薄膜は、低い照射強度範囲では変化が無く、照射強度0.5mJ以上でアブレーションが認められたのに対し、SmSをドープした薄膜では、0.05〜0.3mJの範囲で変形し、膜に割れが生じることなくレンズ状凸部が形成されることが確認された。レンズ状凸部の直径と高さはレーザ光のパルスエネルギーと光学集光系により制御することができる。
【0049】
さらに、本実施例のSmSをドープした非晶質薄膜に、パルス幅120fs、繰返し周波数10Hzとなるチタンサファイアfsレーザによるレーザ光照射を行い、照射前に対する照射後の非晶質薄膜の表面形状変化について調べた。図2はレーザ光照射後の薄膜表面プロファイル図である。照射前の膜面は平坦であったのに対し、照射後は、膜に割れを生じることなく、1パルス毎に対応して高さ100nm、幅20μmにわたる凸部分が見られる状態になる。レーザ光照射部位での薄膜の膨張変形は明らかであり、こうして、レーザ光照射に対応した光誘起構造変化に伴う著しい変形でレンズ状凸部が形成されることが確認できた。
【0050】
なお、実施例で用いたSmSは市販のSmとSを900℃で熱処理することで合成し、SrS及びGaは市販の高純度試薬を用いているなど、原料を容易に入手でき、低コストで安定な非晶質薄膜を得られる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物の非晶質材料に対し光活性物質をドープさせた薄膜に対し、極短パルス幅のレーザ光照射を行って被照射部位に凸部及び/又は凹部を生成させることにより、光感受性を向上させた非晶質材料中で構造変化を発現可能な状態が確実に得られることとなり、光誘起構造変化に伴う変形割合も大きくして、一回照射毎という極めて短時間で薄膜表面形状の変形をマイクロレンズとして十分利用可能な程度に大きく行わせることができ、マイクロレンズ製造を短時間に効率よく実行できるという効果を奏する。
【0052】
また、本発明によれば、光活性物質が酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物の非晶質材料に対しドープされた薄膜として形成され、光感受性を大きく向上させて材料中での構造変化の発現効率を高めることにより、極短パルス幅のレーザ光が照射されると被照射部位に光誘起構造変化に伴う変形を確実に生じることとなり、一回照射毎という極めて短時間でも薄膜表面形状をマイクロレンズとして十分利用可能な程度に大きく変形させることができ、マイクロレンズ製造を短時間に効率よく実行できるという効果を有する。
【0053】
また、本発明によれば、周期表3A〜5A、2B〜5B族のいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物を母材とし、この母材に光活性物質がドープされることにより、母材として非晶質のネットワークを形成できると共に、このネットワーク中に光活性イオンを高濃度に溶解させ、且つ安定的に分散させられ、より確実に光誘起構造変化に伴う巨大変形を発現させられるという効果を有する。
【0054】
また、本発明によれば、母材を照射レーザ光の波長領域で透明な酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物とし、光を十分に透過可能とすることにより、母材に含まれる光活性物質に対し確実に光を照射し励起させることができ、光感受性を高めて光誘起構造変化の発現効率を大きく向上させられると共に、レンズとしての使用範囲を決定する光透明波長領域を広範囲に維持することができるという効果を有する。
【0055】
また、本発明によれば、母材をB、Al、Ga、In、Si、Ge、Nb、Ta、P、Sb、Biのいずれか一又は複数の元素の酸化物及び/又は硫化物とし、これに光活性物質をドープすることにより、所望の光波長で確実に母材を透明且つ非晶質化でき、照射される光を光活性イオンに確実に到達させて構造変化の発現効率を高められると共に、特にAl、Ga、In、SiO、Ta、Sb、Bi、Ga、In、GeS、Sb、Biの場合、水と反応しにくく、材料全体としての耐水性を与えて耐久性を向上させられるという効果を有する。酸化物の場合、硫化物と比較して、変形を発現するためのレーザ光のパルスエネルギーは高くなるものの、耐アブレーション性に優れており、比較的広い径でも変形の程度を小さく制御することで、焦点距離の長いレンズ状変形部を形成するのに適しているという効果を有する。一方硫化物はこれらの性質については、酸化物とおよそ逆の性質を有しており、酸化物、酸化物/硫化物の組み合わせ、硫化物というように組成を連続的に変化させることで、種々の形状のレンズ状変形部を形成することができるという効果を有する。さらに、硫化物の場合、上記の化学量論組成の硫化物に加えて、Sを過剰又は不足に含有する非化学量論組成の物質も有効であり、光活性物質のドープされる母材がSを含むことにより、高屈折率となって光活性物質の吸収強度を高められ、構造変化をより高い効率で発現させられるという効果を有する。
【0056】
また、本発明によれば、ドーパントが第二高調波に対応する吸収帯を持つものであることにより、レーザ光に対して2光子吸収過程を促進することとなり、確実に光誘起構造変化に伴う表面形状の変形を発現させられ、効率よく凸部及び/又は凹部を得られるという効果を有する。
【0057】
また、本発明によれば、光活性物質をランタノイド元素、遷移金属元素、周期表第4ないし第6周期の3B〜5B族元素のいずれか一又は複数とし、これらが、照射されるレーザー光の種々の第二高調波に対して適切な吸収係数を持つことにより、適切に2光子吸収過程を起こして表面形状の変化を発現させられると共に、変化形状の調整が行えるという効果を有する。さらに、光透明性を示す波長領域や、例えばレンズとしての色収差を調整することもできるという効果を有する。
【0058】
また、本発明によれば、光活性物質として金属又は半導体の微結晶を用い、レーザ光に対する光吸収係数を高めると共に3次非線形光学定数を高めることにより、ビーム集光部位において高い効率で構造変化を発現させられる上、変形部を微小光学素子として使用する場合に光選択性の高いシャープカットフィルタとしての機能や、3次非線形光学効果を利用した高速光スイッチング機能を持たせることができるという効果を有する。
【0059】
また、本発明によれば、周期表1A〜7A、8、1B、2B族のいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物を添加物として添加し、材料における光透明性を示す波長領域や屈折率などの諸性質を調整できることにより、材料全体を用途に応じた特性に制御でき、例えばレンズ形状の調整も可能となり、様々な用途で使用可能となるという効果を有する。
【0060】
また、本発明によれば、母材を硫化物とすることにより、光活性物質の吸収係数を高められ、構造変化に伴う変形をより顕著に発現させられると共に、変形の発現に要するレーザ光のパルスエネルギーを低く抑えることができ、例えば微小な焦点距離の短いレンズ形成の場合に製造が容易となるという効果を有する。
【0061】
また、本発明によれば、母材がGa及び/又はGeSを含むことにより、耐水性を含めて化学的に安定したものとなり、レンズを含む各種用途で安定的に利用できるという効果を有する。
【0062】
また、本発明によれば、添加物をアルカリ金属、アルカリ土類金属、Znのいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物とし、前記物質Rと酸素、カルコゲン又はハロゲンイオンとの結合力が弱い、すなわち結合のイオン性が強いことにより、光活性物質の母材への均一な溶解あるいは分散が容易となるという効果を有する。
【0063】
また、本発明によれば、母材をRS−Gaとし、硫化物非晶質薄膜として最も短波長の〜300nmに光吸収端を持つ性質を利用することにより、赤外域に加えて、可視から紫外域でもレンズとして用いることが可能となり、レンズとしての用途を広げられるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるSmSドープ薄膜とSmS非ドープ薄膜の透過スペクトル測定結果説明図である。
【図2】本発明の実施例における非晶質薄膜のレーザ光照射後の表面プロファイル測定結果説明図である。

Claims (13)

  1. 周期表1A〜7A、8、1B〜5B族のいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物からなる非晶質材料に、所定の光活性物質をドープして形成される薄膜に対し、少なくともナノ秒より短いパルス幅のパルスレーザでレーザ光を照射し、前記薄膜のレーザ光照射部位に光誘起による構造変化を発現させて変形した凸部及び/又は凹部を得ることを
    特徴とする非晶質薄膜への凹凸部形成方法。
  2. 周期表1A〜7A、8、1B〜5B族のいずれか一又は複数の元素の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物からなる非晶質材料に、所定の光活性物質をドープして薄膜として形成され、
    少なくともナノ秒より短いパルス幅のパルスレーザのレーザ光照射に対し、光誘起構造変化に伴って表面形状を変化させることを
    特徴とする非晶質薄膜。
  3. 前記請求項2に記載の非晶質薄膜において、
    物質X{Xは周期表3A〜5A、2B〜5B族のいずれか一又は複数の元素}の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物を少なくとも含む母材に、光活性物質をドープして形成されることを
    特徴とする非晶質薄膜。
  4. 前記請求項3に記載の非晶質薄膜において、
    前記母材が、照射されるレーザ光の基本波及び第二高調波における各波長領域で透明性を有する酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物であることを
    特徴とする非晶質薄膜。
  5. 前記請求項4に記載の非晶質薄膜において、
    前記物質Xが、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Nb、Ta、P、Sb、Biのいずれか一又は複数の元素の酸化物及び/又は硫化物であることを
    特徴とする非晶質薄膜。
  6. 前記請求項2ないし5のいずれかに記載の非晶質薄膜において、
    前記光活性物質が、照射されるレーザ光の第二高調波の波長領域に吸収帯を持つことを
    特徴とする非晶質薄膜。
  7. 前記請求項6に記載の非晶質薄膜において、
    前記光活性物質が、ランタノイド元素、遷移金属元素、周期表第4ないし第6周期の3B〜5B族元素のいずれか一又は複数であることを
    特徴とする非晶質薄膜。
  8. 前記請求項6に記載の非晶質薄膜において、
    前記光活性物質の一部又は全部が、粒径略1μm以下となる金属及び/又は半導体の微結晶であることを
    特徴とする非晶質薄膜。
  9. 前記請求項3ないし8のいずれかに記載の非晶質薄膜において、
    前記母材が、物質R{Rは周期表1A〜7A、8、1B、2B族のいずれか一又は複数の元素}の酸化物、カルコゲン化物、又はハロゲン化物を含むことを
    特徴とする非晶質薄膜。
  10. 前記請求項2ないし9のいずれかに記載の非晶質薄膜において、
    前記母材が、硫化物であることを
    特徴とする非晶質薄膜。
  11. 前記請求項10に記載の非晶質薄膜において、
    前記母材が、非晶質ネットワーク成分としてGa及び/又はGeSを含むことを
    特徴とする非晶質薄膜。
  12. 前記請求項9に記載の非晶質薄膜において、
    前記物質Rが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Znのいずれか一又は複数の元素であることを
    特徴とする非晶質薄膜。
  13. 前記請求項9又は12に記載の非晶質薄膜において、
    前記母材が、RS−Gaであることを
    特徴とする非晶質薄膜。
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