JP2006278274A - 複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子 - Google Patents

複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2006278274A
JP2006278274A JP2005099458A JP2005099458A JP2006278274A JP 2006278274 A JP2006278274 A JP 2006278274A JP 2005099458 A JP2005099458 A JP 2005099458A JP 2005099458 A JP2005099458 A JP 2005099458A JP 2006278274 A JP2006278274 A JP 2006278274A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
composite oxide
oxide thin
film
pulse laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005099458A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Osada
崇 長田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Techno Glass Co Ltd
Original Assignee
Asahi Techno Glass Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Techno Glass Corp filed Critical Asahi Techno Glass Corp
Priority to JP2005099458A priority Critical patent/JP2006278274A/ja
Publication of JP2006278274A publication Critical patent/JP2006278274A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】屈折率差の大きな異質相を精度良く所望形状に形成することができ、光学素子の小型化を図ることのできる複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子を提供する。
【解決手段】複合酸化物薄膜は、酸化状態での安定性が比較的低いとされている標準電極電位の高い材料(例えば、Bi)と、酸化状態での安定性が比較的高いとされている標準電極電位の低い材料(例えば、Ti、Si、Al、B)との化合物である複合酸化物膜(酸化化合物膜)1の内部に、集光レンズ7により集光した短パルスレーザー5の誘起により短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相3が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学的機能を有する複合酸化物薄膜及びその製造方法、及びこの光学的機能を有する複合酸化物薄膜を用いた光学素子に関する。
アモルファス酸化膜からなる薄膜は透明性、均質性に優れ、光通信分野等において、光学材料として広く用いられている。平面導波路は高純度のシリカ(SiO2 )ガラスなどを成膜することにより形成されており、ディスプレイ用透明電極やタッチパネル用金属酸化膜は電気伝導を持つ酸化インジウム錫(ITO)などが使用されている。
薄膜は主にスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法などにより基板上に形成されるが、特にスパッタリング法は膜質、膜厚の制御性、あらゆる材料を成膜可能な点などに優れており、広く用いられている。
一方、ガラスなどのバルクの透明材料に、フェムト秒(10-15 )オーダーのパルス幅を有する短パルスレーザーを照射して、バルクの透明材料内に屈性率の異なる異質相を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この技術はバルクの透明材料内に対する加工技術であり、薄膜に対する検討はなされていない。
また、レーザー照射によりマトリックス内に機能性を持たせる技術としては、金属膜をつけることで吸収を利用し、微細加工を行う方法(例えば、特許文献2参照。)、レーザーの集光照射により貴金属などの金属イオンを還元し、その変質層をガラス材料内に形成させる方法(例えば、特許文献3参照。)などが知られている。しかし、これらの技術のうち、前者の技術は表面加工しかできないという問題があり、後者の技術ではドープできる貴金属の濃度に限界があるという問題があった。
また、デバイスに応用した技術としては、例えばピーク出力値が高いレーザーを集光照射・走査することにより、光誘起屈性率変化を生じさせ、ガラス材料に光導波路を形成する方法(例えば、特許文献4参照。)、酸化膜にレーザーを照射して空孔を形成することでホーリー導波路を作製し、コア層部分では屈折率を上げさせることで屈折率差をつけて光回路を形成する方法(例えば、特許文献5参照。)が知られている。しかし、これらの技術のうち、前者の技術は薄膜に対する検討がなされていない。また、後者の技術は酸化膜単層での検討しかされておらず、またレーザーにより形成される相が屈折率を上げうる何かであるとしか検討されていなかった。
さらに、SiO2 膜とITO膜の酸化物膜同士の積層体内に、レーザーを照射して異質相を形成することも知られている(例えば、特許文献6参照。)。しかし、この技術は、酸化物膜同士の積層体に関するものであり、欠陥か或いは高密度化により、異質相が形成されるが、組成が変化することはなく、屈折率差は大きくすることができない。
特開2000−33263号公報 特開2003−245784号公報 特開平11−60271号公報 特開平9−311237号公報 特開2003−121667号公報 特開2003−178625号公報
上述のとおり、従来においては、短パルスレーザー加工により、複合酸化物薄膜内に屈性率の異なる異質相を形成して光学素子として利用することは、検討されていなかった。また、屈性率の異なる異質相を形成して光学素子を形成する場合において、光学素子の小型化を図るためには、異質相とその他の部位の屈折率差を大きくすることが要求される。また、このような光学素子において、その小型化を図るためには、微小な異質相を精度良く所望形状に形成することが要求される。
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされたもので、屈折率差の大きな異質相を精度良く所望形状に形成することができ、光学素子の小型化を図ることのできる複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子を提供しようとするものである。
請求項1の複合酸化物薄膜は、複合酸化物膜の内部に集光した短パルスレーザーの誘起により、短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相が形成されていることを特徴とする。
請求項2の複合酸化物薄膜は、前記複合酸化物膜を構成する材料が、Bi、Ba、Ti、Ge、Si、Pb、Zn、Al、Bから選択される少くとも2種の物質を含有することを特徴とする。
請求項3の複合酸化物薄膜は、前記複合酸化物膜を構成する材料が、標準電極電位の差が0.5V以上ある2種の物質を含有することを特徴とする。
請求項4の複合酸化物薄膜は、前記複合酸化物膜を構成する材料が、シレナイト族化合物、ペロブスカイト誘導体であることを特徴とする。
請求項5の複合酸化物薄膜は、前記短パルスレーザーのパルス幅が、10-9以下であることを特徴とする。
請求項6の複合酸化物薄膜は、前記異質相が、前記複合酸化物膜を構成する複合酸化物の分解された物質を含有することを特徴とする。
請求項7の光学素子は、請求項1〜6いずれか1項記載の複合酸化物薄膜を有することを特徴とする。
請求項8の複合酸化物薄膜の製造方法は、複合酸化物膜の内部に集光点を調節して短パルスレーザーを照射し、短パルスレーザー照射部に、短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相を形成することを特徴とする。
請求項9の複合酸化物薄膜の製造方法は、前記複合酸化物膜の表面に、前記複合酸化物膜よりも低屈折率の膜を形成し、当該低屈折率の膜側から短パルスレーザーを照射することを特徴とする。
請求項10の複合酸化物薄膜の製造方法は、前記複合酸化物膜を構成する材料が、Bi、Ba、Ti、Ge、Si、Pb、Zn、Al、Bから選択される少くとも2種の物質を含有する複合酸化物からなり、前記2種の物質の標準電極電位の差が0.5V以上であることを特徴とする。
請求項11の複合酸化物薄膜の製造方法は、前記複合酸化物膜を構成する材料が、シレナイト族化合物、ペロブスカイト誘導体であることを特徴とする。
請求項12の複合酸化物薄膜の製造方法は、前記短パルスレーザーのパルス幅が、10-9以下であることを特徴とする。
請求項13の複合酸化物薄膜の製造方法は、前記複合酸化物膜を、スパッタリングにより成膜することを特徴とする。
本発明の複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子によれば、屈折率差の大きな異質相を精度良く所望形状に形成することができ、光学素子の小型化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1,2は、本実施形態に係る複合酸化物薄膜の構成を示すもので、同図において、1は複合酸化物膜(酸化化合物膜)、2はアブレーション防止のためのオーバーコート、3は異質相、4は基板である。また、5は集光した短パルスレーザー(パルス幅が10-9以下)、6は短パルスレーザー(集光前)、7は集光レンズである。
本実施形態に係る複合酸化物薄膜は、酸化状態での安定性が比較的低いとされている標準電極電位の高い材料(例えば、Bi)と、酸化状態での安定性が比較的高いとされている標準電極電位の低い材料(例えば、Ti、Si、Al、B)との化合物である複合酸化物膜(酸化化合物膜)1に対して、膜の内部に集光レンズ7により集光した短パルスレーザー5の誘起により、波長400nm以上2000nm未満の波長範囲において元の複合酸化物(酸化化合物)との屈折率差のある酸化物を主成分とする異質相3を形成することにより作製する。具体的に複合酸化物膜1としては、例えば、Bi4 Ti3 12膜、Bi12GeO20膜、Bi12SiO20膜等を使用することができる。ここで、複合酸化物膜とは、2種以上の金属イオンを含む酸化物で、化学量論比に基づく化合物になっているもののことを示している。また、結晶の安定性の面からは、例えば、シレナイト族化合物、ペロブスカイト誘導体を用いることが好ましい。
異質相3は、複合酸化物膜1を含む表面、あるいは膜内部で形成されなければならず、例えば、図2に示す断面図内の異質相3として示すような箇所に形成される。このように、本実施形態の複合酸化物薄膜は、複合酸化物膜1からなり、その内部に異質相3を有するものである。異質相3は、構造の変化部であり、屈折率が短パルスレーザーの非照射部と異なっており、その組成には複合酸化物膜1を形成する金属材料が含まれていたり、複合酸化物膜1から解離した酸化材料が含まれている。例えば、複合酸化物膜1としてBi4 Ti3 12膜を使用した場合、異質相3には、TiO2 、Bi2 3 などが含まれる。しかし、屈折率の差があるならば、異質相3は、例えば組成が変化したりすることによる異なった構造であったり、密度が変化したりすることによる異なった構造であったり、空孔であっても良い。
薄膜の材料としては、まず光の媒体として好ましい波長域(例えば光通信分野で利用される光の波長帯は、1.3μm帯と1.5μm帯であるから、使用波長上限は2000nm程度と考えられる。)で吸収が小さいこと。また、短パルスレーザー6の波長(例えば、Al2 3 :Tiレーザーにおいては800nm)で吸収が小さく、その多光子吸収波長域(例えば、Al2 3 :Tiレーザーの800nmであれば2光子で400nm)で吸収が大きいことが好ましい。これは励起される異質相3は、集光した短パルスレーザー5の多光子吸収過程により形成されると考えられるためであり、集光した短パルスレーザー5を通し、かつ集光部では多光子吸収過程の起きやすい条件を整えるためである。
また、薄膜の材料を選択するに際しては、標準電極電位の高低が判断基準となる。これは、異質相3と非照射部との屈折率に大きな差をつけるためであり、複合酸化物材料内部に屈折率に差がでる酸化材料を優先的に発生させるためである。その酸化現象を起こしうる判断基準として一般に良く知られている標準電極電位を用いた。これは酸化還元系の酸化力(または還元力)を示す尺度として知られており、例えば理化学辞典などで容易に調べることができる。
具体的には、標準電極電位が比較的低く、酸化した状態からの還元力が高いと考えられる複合酸化物膜1の材料として、例えば、Biを特に好適に用いることができる。標準電極電位が前記材料よりも高く、金属の状態から酸化力が高いと考えられる複合酸化物膜1の材料として、例えば、Ti、Si、Al、Bの少くとも1種を特に好適に用いることができる。複合酸化物膜1を構成するこれらの材料の標準電極電位差は、0.5V以上あることが好ましい。この標準電極電位差を0.5V以上とすることによって、低いレーザーエネルギーで、非照射部との屈折率差の大きな異質相3を、微細な大きさで形成することが可能となることが実験により確かめられた。なお、本発明において、複合酸化物膜を構成する金属イオンは2種に限らず3種以上含んでいてもよい。このような場合、複合酸化物膜を構成する金属材料のうち、少なくとも一つの組合せでの標準電極電位の差が0.5V以上あれば、レーザー非照射部との屈折率差の大きな異質層を形成できる。
集光した短パルスレーザー5により加工を行う複合酸化物膜1は、アモルファス状態 (非晶質状態)を有していても良い。成膜の方法は、特に制限されるものではない。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法などのプロセスを用いることができる。成膜に用いる基板4は、特に制限されるものではないが、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板を好適に用いることができる。また、基板4の材料としては、薄膜との密着性を向上させるために、薄膜と熱膨張係数の近い材料を用いることが好ましい。
成膜プロセスとしては、スパッタリング法を用いるのが好ましい。例えば、スパッタリング法により成膜する場合、微結晶の成長を著しく抑制し、均一なアモルファス構造を得ることができる。特にターゲット、基板の温度を低く抑制することで、微結晶の抑制された均一なアモルファス状態の膜を形成できる。
複合酸化物膜1の膜厚は、0.1nmから選択することができるが、短パルスレーザー6の波長が透過するような積層構造に設定しなければならない。これにより複合酸化物膜1の任意の位置に異質相3を形成することができるようになる。具体的には、可視光波長領域(例えば、400nm〜850nm)において全光線透過率が10%以上(好ましくは50%以上、さらに好ましくは75%以上)であることが望ましい。
複合酸化物膜1には、全光線透過率を上昇させる、あるいは吸収率を抑制させるなどの必要に応じて他の材料や添加物が含まれていても良い。
異質相3は、集光した短パルスレーザー5を用いて形成する点に特徴がある。集光した短パルスレーザー5を照射することにより、複合酸化物膜1を含む微細な領域の構造を変化させることができ、異質相3を形成できる。例えば、用いるレーザーの波長を800nmとすると、集光前の短パルスレーザー6を照射した場合では何の変化も生じないが、集光した短パルスレーザー5を照射すると多光子吸収過程により励起構造を形成することが可能となる。このような多光子吸収の起きうる可能性は、光の強度、密度に比例する。
短パルスレーザー6としては、パルス幅が10-9秒以下のレーザーを用いることができ、特にパルス幅が10-12 秒以下のレーザーを用いることが好ましい。パルス幅は小さいほど容易に高い光密度を得られるので好ましい。また、微細な構造を形成するにあたっても、パルス幅は小さいほど好ましい。
短パルスレーザー6の波長は、可視光領域の波長(例えば、400nm〜850nm)であることが好ましい。波長は短いほど容易に高い光強度を得られるので可視光領域内において短いことが好ましい。また、微細な構造を形成するという点においても、波長は短いほど好ましい。ただし、材料の吸収をよく考慮し、集光点以外の場所で変化が生じないようにしなければならない。
また、短パルスレーザー6の繰り返しは、1Hz〜10MHzの範囲から選択することができる。通常使用される範囲は、1KHz〜250KHz程度である。
短パルスレーザー6の平均出力(例えば照射エネルギーに変換して表示される場合もある)は、特に制限はされず、目的とする異質相3の大きさや屈折率の変化量などに応じて適宜選択することができる。例えば微細な加工で構造物を形成する場合は、100mW以下が好ましく、10mW以下がさらに好ましい。
短パルスレーザー6を集光するための方法は、特に制御されるものではなく、例えば、集光レンズ7を用いる方法を採用することができる。照射するスポット径も特に制限されず、目的とする異質相3の大きさや屈折率の変化量などに応じて集光レンズ7の大きさや開口数、倍率などを適宜選択する。
集光した短パルスレーザー5の照射方法は、特に制限されるものではなく、目的とする構造に合わせてドットを形成する場合には1点に照射したり、直線状や曲線状に形成する場合はライン状に走査したりして異質相3の形状を自在に形成することができる。ただし、薄膜の上面は平面であり、X−Y軸に対しては平行でZ軸に対しては垂直でなければならない。具体的には、膜厚分布が20%以上大きくなると、異質相3を所望の位置に形成することが困難となるため、膜厚分布は20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下とする。
異質相3の大きさについては、特に制限されず、目的とする光学素子機能に応じて適宜選択することができる。
図3,4は、他の実施形態に係る複合酸化物薄膜の構成を示すもので、図3は断面図、図4は斜視図である。これらの図に示すように、異質相3を、直径が400nm程度のラインを400nmピッチで並べた構造に形成することにより、光の平行入射において、通信波長(例えば、1.5μm帯)に対してのフォトニック結晶としての機能を発現させることができる。また、このラインをクロスさせた構造とすることにより、二次元のフォトニック結晶としての機能を発現させることができる。また、このラインを積層させた構造とすることにより、三次元のフォトニック結晶としての機能を発現させることができる。あるいは同じ構造で光の垂直入射において、回折格子、偏光素子としての機能を発現させることができる。
図5,6は、他の実施形態に係る複合酸化物薄膜の構成を示すもので、図5は断面図、図6は斜視図である。これらの図に示すように、異質相3を、直径が膜厚と同様のライン構造に形成することにより、光の導波路としての機能を発現させることができる。またこのラインを複数繋げた構造とすることにより、ビームスプリッタとしての機能を発現させることができる。
図7,8は、他の実施形態に係る複合酸化物薄膜の構成を示すもので、図7は断面図、図8は斜視図である。これらの図に示すように、異質相3を、直径が膜厚の半分程度であるラインを上下に配置した構造に形成することにより、三次元光導波路としての機能を発現させることができる。また、このラインを複数繋げた構造とすることにより、三次元ビームスプリッタとしての機能を発現させることができる。また、任意の大きさでドットとして形成することで、複合酸化物膜1内に三次元光回路を形成することができる。あるいは同じ構造で光の垂直入射において、位相差板、波長選択フィルタとしての機能を発現させることができる。
本発明の複合酸化物薄膜は、求められる機能や特性に対して適宜加工が可能であり、光学素子の応用は上記に限ったものではない。また、ほかの素子、部品と組み合わせて用いても良い。また、本発明の複合酸化物薄膜は、求められる機能に応じて任意の後加工や後処理を施すこともできる。
(実施例1)
実施例1として、市販の石英ガラス基板、および直径75mmのBi4 Ti3 12ターゲットをスパッタリング装置(SPF−332H スパッタ装置 アネルバ社製)に装着した、真空チャンバ内を7×10-4Paまで真空排気した後、酸素ガス20SCCMを導入し、真空ポンプのバルブを調整して圧力を1Paになるようにした。その後、RF電源にて200Wの電力を印加し、ガラス基板上に厚さ1μmのBi4 Ti3 12膜を成膜した。その後、同様の成膜条件でSiO2 ターゲットを使用して、アブレーション防止のためのオーバーコートとして、厚さ10μmのSiO2 膜を成膜した。これにより複合酸化物薄膜サンプル(以下、サンプルAという。)を得た。なお、Bi4 Ti3 12膜の場合、その構成材料の標準電極電位差は0.5V以上となっている。
このサンプルAの上面からAl2 3 :Tiのフェムト秒レーザー装置(コヒレント社製)を使用して短パルスレーザー(波長800nm、パルス幅150×10-15 秒、繰り返し200KHz)を照射パワー30mWにて100倍対物レンズを用いてBi4 Ti3 12膜を含む領域に照射した。照射はシャッターで制御してライン状に行い、図3,4に示したと同様な構造の異質相3を、線幅1μm、ピッチ1μmで形成したサンプルが得られた。このサンプルの顕微鏡写真を図9に示す。なお、図9において、8は短パルスレーザー非照射部を示している。
上記実施例1と同様の条件で、ライン状の異質相のピッチを適宜変化させたサンプルを作製し、光の垂直入射による分光透過測定を行ったところ、古典理論に沿った回折現象を確認できた。
なお、実施例1と同様の条件で市販の石英ガラスに短パルスレーザーを照射したところ、変化は現れなかった。したがって、石英ガラスには異質相が形成されない短パルスレーザーの照射条件で、実施例1においては、異質相が形成されていることが分かる。
また、実施例1と同様の条件で照射パワーのみを700mWにすると、線幅50μmの異質相が形成された。さらに、実施例1と同様の条件で対物レンズのみを40倍に入れ替えると、線幅30μmの異質相が形成された。このように、照射パワーや対物レンズの倍率によって、所望の構造を選択的に製作できることが確認された。ただし、これらの場合、異質相の大きさが膜厚を超えてしまい、基板にまで達していることがあるので注意が必要である。
実施例1のサンプルAにおいて、断面の屈折率測定を行った。測定法はビームプロファイル反射率測定法で、高精度膜厚計(サーマウェーブ社製)を使用し、波長675nmの光にてライン測定を行った。この結果を図10,11に示す。図10,11において、右側に示す屈折率のグラフは、左側に示す顕微鏡写真における矢印9に沿って測定した屈折率を示している。また、左側に示す顕微鏡写真は、ライン状に短パルスレーザーを照射した場合の断面の構成を示すもので、図中左側が基板4であり、右側がオーバーコート2であり、基板4とオーバーコート2の間の層が複合酸化物膜1であり、この複合酸化物膜1の下端から略半分の領域が、短パルスレーザーを照射した異質相3となっており、上側の略半分の領域(図10のグラフの横軸目盛りの略10μm以上の領域)は、非照射部8となっている。これらの図に示されるとおり、レーザーの照射部(異質相3)と非照射部8では、屈折率にして約0.5の差が確認された。また、レーザーの照射部(異質相3)では、屈折率が増加していることが確認された。なお、図10のグラフにおいて、異質相3と非照射部8との境界部分で明確な屈折率の差が見られないのは、切断により断面が荒れている影響のためである。
本発明の一実施形態の構成を示す図。 図1の実施形態の断面構成を示す図。 本発明の他の実施形態の構成を示す図。 図3の実施形態の斜視図。 本発明の他の実施形態の構成を示す図。 図5の実施形態の斜視図。 本発明の他の実施形態の構成を示す図。 図7の実施形態の斜視図。 実施例1の上面からの顕微鏡写真。 実施例1の断面屈折率分布評価結果を示す図。 実施例1の断面屈折率分布評価結果を示す図。
符号の説明
1……複合酸化物膜、2……アブレーション防止のためのオーバーコート、3……異質相、4……基板、5……集光した短パルスレーザー、6……短パルスレーザー、7……集光レンズ。

Claims (13)

  1. 複合酸化物膜の内部に集光した短パルスレーザーの誘起により、短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相が形成されていることを特徴とする複合酸化物薄膜。
  2. 前記複合酸化物膜を構成する材料が、Bi、Ba、Ti、Ge、Si、Pb、Zn、Al、Bから選択される少くとも2種の物質を含有することを特徴とする請求項1記載の複合酸化物薄膜。
  3. 前記複合酸化物膜を構成する材料が、標準電極電位の差が0.5V以上ある2種の物質を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の複合酸化物薄膜。
  4. 前記複合酸化物膜を構成する材料が、シレナイト族化合物、ペロブスカイト誘導体であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の複合酸化物薄膜。
  5. 前記短パルスレーザーのパルス幅が、10-9以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の複合酸化物薄膜。
  6. 前記異質相が、前記複合酸化物膜を構成する複合酸化物の分解された物質を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の複合酸化物薄膜。
  7. 請求項1〜6いずれか1項記載の複合酸化物薄膜を有することを特徴とする光学素子。
  8. 複合酸化物膜の内部に集光点を調節して短パルスレーザーを照射し、短パルスレーザー照射部に、短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相を形成することを特徴とする複合酸化物薄膜の製造方法。
  9. 前記複合酸化物膜の表面に、前記複合酸化物膜よりも低屈折率の膜を形成し、当該低屈折率の膜側から短パルスレーザーを照射することを特徴とする請求項8記載の複合酸化物薄膜の製造方法。
  10. 前記複合酸化物膜を構成する材料が、Bi、Ba、Ti、Ge、Si、Pb、Zn、Al、Bから選択される少くとも2種の物質を含有する複合酸化物からなり、前記2種の物質の標準電極電位の差が0.5V以上であることを特徴とする請求項8又は9記載の複合酸化物薄膜の製造方法。
  11. 前記複合酸化物膜を構成する材料が、シレナイト族化合物、ペロブスカイト誘導体であることを特徴とする請求項8〜10いずれか1項記載の複合酸化物薄膜の製造方法。
  12. 前記短パルスレーザーのパルス幅が、10-9以下であることを特徴とする請求項8〜11いずれか1項記載の複合酸化物薄膜の製造方法。
  13. 前記複合酸化物膜を、スパッタリングにより成膜することを特徴とする請求項8〜12いずれか1項記載の複合酸化物薄膜の製造方法。

JP2005099458A 2005-03-30 2005-03-30 複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子 Withdrawn JP2006278274A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005099458A JP2006278274A (ja) 2005-03-30 2005-03-30 複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005099458A JP2006278274A (ja) 2005-03-30 2005-03-30 複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006278274A true JP2006278274A (ja) 2006-10-12

Family

ID=37212801

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005099458A Withdrawn JP2006278274A (ja) 2005-03-30 2005-03-30 複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006278274A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009211042A (ja) * 2008-02-08 2009-09-17 Ohara Inc 光学部品用ガラス部材及びそれに用いるガラス組成物
JP2010097728A (ja) * 2008-10-14 2010-04-30 Osaka Univ 透明導電膜の形成方法
US8963269B2 (en) 2011-09-01 2015-02-24 Canon Kabushiki Kaisha Light-transmissive member, optical device, and manufacturing methods thereof

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009211042A (ja) * 2008-02-08 2009-09-17 Ohara Inc 光学部品用ガラス部材及びそれに用いるガラス組成物
JP2010097728A (ja) * 2008-10-14 2010-04-30 Osaka Univ 透明導電膜の形成方法
US8963269B2 (en) 2011-09-01 2015-02-24 Canon Kabushiki Kaisha Light-transmissive member, optical device, and manufacturing methods thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wagner et al. Subwavelength ripple formation induced by tightly focused femtosecond laser radiation
JP2873937B2 (ja) ガラスの光微細加工方法
Bushunov et al. Review of surface modification technologies for mid‐infrared antireflection microstructures fabrication
Vorobyev et al. Reflection of femtosecond laser light in multipulse ablation of metals
Bushunov et al. Fabrication of anti-reflective microstructures on chalcogenide crystals by femtosecond laser ablation
Wagner et al. Sub-wavelength ripple formation on various materials induced by tightly focused femtosecond laser radiation
Mann et al. Femtosecond laser ablation properties of Er3+ ion doped zinc-sodium tellurite glass
Liu et al. Direct fabricating large-area nanotriangle structure arrays on tungsten surface by nonlinear lithography of two femtosecond laser beams
Jia et al. Optical absorption of two dimensional periodic microstructures on ZnO crystal fabricated by the interference of two femtosecond laser beams
LT6112B (lt) Paviršiumi aktyvuotos ramano sklaidos (pars) jutiklis ir jo gamybos būdas
Inácio et al. Silver migration at the surface of ion-exchange waveguides: a plasmonic template
Drevinskas et al. Tailored surface birefringence by femtosecond laser assisted wet etching
JP5621184B2 (ja) 透明電極
JP2006278274A (ja) 複合酸化物薄膜及びその製造方法及び光学素子
Anghel et al. Femtosecond laser ablation of TiO2 films for two-dimensional photonic crystals
Kumar et al. Propagation of plasmons in designed single crystalline silver nanostructures
JP3871562B2 (ja) 光学素子機能を有する透明導電膜およびその製造方法
Falmbigl et al. Effect of annealing on properties and performance of HfO 2/SiO 2 optical coatings for UV-applications
Kim et al. Nanostructure and microripple formation on the surface of sapphire with femtosecond laser pulses
Wang et al. Photochemical response triggered by ultrashort laser Gaussian-Bessel beams in photo-thermo-refractive glass
JP2006276757A (ja) 酸化物系積層薄膜及びその製造方法及び光学素子
JPH1059743A (ja) ガラス基材に対するレーザ加工方法及びこの加工方法にて得られる回折型の光学素子
JP5916821B2 (ja) 酸化ハフニウムコーティング
Richardson et al. Femtosecond laser microstructuring and refractive index modification applied to laser and photonic devices
Nakada et al. Electro-optical properties of (Pb, La)(Zr, Ti) O3 films prepared by aerosol deposition method

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080603