JP2006276757A - 酸化物系積層薄膜及びその製造方法及び光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】屈折率差の大きな異質相を精度良く所望形状に形成することができ、光学素子の小型化を図ることのできる酸化物系積層薄膜及びその製造方法、及び光学素子を提供する。
【解決手段】金属酸化物膜1と金属膜2とを2層以上積層した積層薄膜であり、金属膜2は、金属酸化物膜1を構成する金属材料よりも標準電極電位が低い金属材料からなる。積層薄膜の内部に、集光した短パルスレーザー5の誘起により短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相3が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学的機能を有する酸化物系積層薄膜及びその製造方法、及びこの光学的機能を有する酸化物系積層薄膜を用いた光学素子に関する。
アモルファス酸化膜からなる薄膜は透明性、均質性に優れ、光通信分野等において、光学材料として広く用いられている。平面導波路は高純度のシリカ(SiO2 )ガラスなどを成膜することにより形成されており、ディスプレイ用透明電極やタッチパネル用金属酸化膜は電気伝導を持つ酸化インジウム錫(ITO)などが使用されている。
薄膜は主にスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法などにより基板上に形成されるが、特にスパッタリング法は膜質、膜厚の制御性、あらゆる材料を成膜可能な点などに優れており、広く用いられている。
一方、ガラスなどのバルクの透明材料に、フェムト秒(10-15 )オーダーのパルス幅を有する短パルスレーザーを照射して、バルクの透明材料内に屈性率の異なる異質相を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この技術はバルクの透明材料内に対する加工技術であり、薄膜に対する検討はなされていない。
また、レーザー照射によりマトリックス内に機能性を持たせる技術としては、金属膜をつけることで吸収を利用し、微細加工を行う方法(例えば、特許文献2参照。)、レーザーの集光照射により貴金属などの金属イオンを還元し、その変質層をガラス材料内に形成させる方法(例えば、特許文献3参照。)などが知られている。しかし、これらの技術のうち、前者の技術は表面加工しかできないという問題があり、後者の技術ではドープできる貴金属の濃度に限界があるという問題があった。
また、デバイスに応用した技術としては、例えばピーク出力値が高いレーザーを集光照射・走査することにより、光誘起屈性率変化を生じさせ、ガラス材料に光導波路を形成する方法(例えば、特許文献4参照。)、酸化膜にレーザーを照射して空孔を形成することでホーリー導波路を作製し、コア層部分では屈折率を上げさせることで屈折率差をつけて光回路を形成する方法(例えば、特許文献5参照。)が知られている。しかし、これらの技術のうち、前者の技術は薄膜に対する検討がなされていない。また、後者の技術は酸化膜単層での検討しかされておらず、またレーザーにより形成される相が屈折率を上げうる何かであるとしか検討されていなかった。
さらに、SiO2 膜とITO膜の酸化物膜同士の積層体内に、レーザーを照射して異質相を形成することも知られている(例えば、特許文献6参照。)。しかし、この技術は、酸化物膜同士の積層体に関するものであり、欠陥か或いは高密度化により、異質相が形成されるが、組成が変化することはなく、屈折率差は大きくすることができない。
特開2000−33263号公報 特開2003−245784号公報 特開平11−60271号公報 特開平9−311237号公報 特開2003−121667号公報 特開2003−178625号公報
上述のとおり、従来においては、短パルスレーザー加工により、金属酸化物膜と金属膜とを積層した酸化物系積層薄膜内に屈性率の異なる異質相を形成して光学素子として利用することは、検討されていなかった。また、屈性率の異なる異質相を形成して光学素子を形成する場合において、光学素子の小型化を図るためには、異質相とその他の部位の屈折率差を大きくすることが要求される。また、このような光学素子において、その小型化を図るためには、微小な異質相を精度良く所望形状に形成することが要求される。
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされたもので、屈折率差の大きな異質相を精度良く所望形状に形成することができ、光学素子の小型化を図ることのできる酸化物系積層薄膜及びその製造方法及び光学素子を提供しようとするものである。
請求項1の発明は、金属酸化物膜と金属膜とを2層以上積層した積層薄膜であって、前記金属膜は、前記金属酸化物膜を構成する金属材料よりも標準電極電位が低い金属材料からなり、前記積層薄膜の内部に集光した短パルスレーザーの誘起により、短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相が形成されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記金属酸化物膜を構成する金属材料が、Sn、Ni、Ge、Fe、Wから選択される少くとも1種を主成分とすることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記金属膜を構成する金属材料が、Si、Al、Ti、Ta、Nb、Y、Mgから選択される少くとも1種を主成分とすることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記短パルスレーザーのパルス幅が、10-9以下であることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記異質相が、前記金属酸化物膜を構成する金属酸化物の還元された金属を含有することを特徴とする。
請求項6の発明は、前記異質相が、前記金属膜を構成する金属の酸化物を含有することを特徴とする。
請求項7の発明の光学素子は、請求項1〜6いずれか1項記載の酸化物系積層薄膜を有することを特徴とする。
請求項8の発明の酸化物系積層薄膜の製造方法は、金属酸化物膜と、この金属酸化物膜を構成する金属材料よりも標準電極電位が低い金属材料からなる金属膜とを2層以上積層した積層薄膜の内部に集光点を調節して短パルスレーザーを照射し、短パルスレーザー照射部に、短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相を形成することを特徴とする。
請求項9の発明は、前記金属酸化物膜を構成する金属材料が、Sn、Ni、Ge、Fe、Wから選択される少くとも1種を主成分とすることを特徴とする。
請求項10の発明は、前記金属膜を構成する金属材料が、Si、Al、Ti、Ta、Nb、Y、Mgから選択される少くとも1種を主成分とすることを特徴とする。
請求項11の発明は、前記短パルスレーザーのパルス幅が、10-9以下であることを特徴とする。
請求項12の発明は、前記積層薄膜を、スパッタリングにより成膜することを特徴とする。
本発明の酸化物系積層薄膜及びその製造方法及び光学素子によれば、屈折率差の大きな異質相を精度良く所望形状に形成することができ、光学素子の小型化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1,2は、本実施形態に係る酸化物系積層薄膜の構成を示すもので、同図において、1は金属酸化物膜、2は金属膜、3は異質相、4は基板である。また、5は集光した短パルスレーザー(パルス幅が10-9以下)、6は短パルスレーザー(集光前)、7は集光レンズである。
本実施形態に係る酸化物系積層薄膜は、酸化状態での安定性が比較的低いとされている標準電極電位の高い材料(例えば、Sn、Ni、Ge、Fe、W)から選択される少くとも1種を主成分とする金属酸化物膜1と、この金属酸化物膜1を還元せしめる還元剤としての機能をもつ標準電極電位の低い材料(例えば、Si、Al、Ti、Ta、Nb、Y、Mg)から選択される少くとも1種を主成分とする金属膜2とを含む積層構造の薄膜に対して、積層薄膜の内部に集光レンズ7により集光した短パルスレーザー5の誘起により、波長400nm以上2000nm未満の波長範囲において材料固有の吸収をもつ異質相3を形成することにより作製する。
異質相3は、金属酸化物膜1と金属膜2を含む箇所で形成される。具体的には、例えば、図2に示す断面図内の異質相3として示すような箇所である。このように、本実施形態の酸化物系積層薄膜は、金属酸化物膜1と金属膜2の積層構造を有し、その内部に異質相3を有するものである。異質相3は、構造の変化部であり、屈折率が短パルスレーザーの非照射部と異なっており、その組成には金属酸化物膜1の還元した金属材料が含まれていたり、金属膜2の酸化した酸化材料が含まれている。しかし、屈折率の差があるならば、異質相3は、例えば組成が変化したりすることによる異なった構造であったり、密度が変化したりすることによる異なった構造であっても良い。
薄膜の材料としては、まず光の媒体として好ましい波長域(例えば光通信分野で利用される光の波長帯は、1.3μm帯と1.5μm帯であるから、使用波長上限は2000nm程度と考えられる。)で吸収が小さいこと。また、短パルスレーザー6の波長(例えば、Al2 3 :Tiレーザーにおいては800nm)で吸収が小さく、その多光子吸収波長域(例えば、Al2 3 :Tiレーザーの800nmであれば400nm)で吸収が大きいことが好ましい。これは励起される異質相3は、集光した短パルスレーザー5の多光子吸収過程により形成されると考えられるためであり、集光した短パルスレーザー5を通し、かつ集光部では多光子吸収過程の起きやすい条件を整えるためである。
また、薄膜の材料を選択するに際しては、標準電極電位の高低が判断基準となる。これは、異質相3と非照射部との屈折率に大きな差をつけるためであり、屈折率の比較的低い金属酸化材料内部に屈折率の大きい金属材料を発生させるためである。その還元現象を起こしうる判断基準として一般に良く知られている標準電極電位を用いた。これは酸化還元系の酸化力(または還元力)を示す尺度として知られており、例えば理化学辞典などで容易に調べることができる。
具体的には、標準電極電位が比較的低く、酸化した状態から還元力が高いと考えられる金属酸化物膜1の金属原子として、例えば、Sn、Ni、Ge、Fe、Wの少くとも1種を用いることができる。また、標準電極電位が前記金属原子よりも高く、金属の状態から酸化力が高いと考えられる金属膜2の金属原子としては、例えば、Si、Al、Ti、Ta、Nb、Y、Mgの少くとも1種を用いることができる。
集光した短パルスレーザー5により加工を行う酸化物系積層薄膜は、アモルファス状態(非晶質状態)を有していても良い。特に金属酸化物膜1は完全なアモルファス状態を有していることが好ましい。成膜の方法は、特に制限されるものではない。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法などのプロセスを用いることができる。成膜に用いる基板4の材質は、特に制限されるものではないが、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板を好適に用いることができる。また、基板4の材料としては、薄膜との密着性を向上させるために、薄膜と熱膨張係数の近い材料を用いることが好ましい。
成膜プロセスとしては、スパッタリング法を用いるのが好ましい。例えば、スパッタリング法により成膜する場合、微結晶の成長を著しく抑制し、均一なアモルファス構造を得ることができる。特にターゲット、基板の温度を低く抑制することで、微結晶の抑制された均一なアモルファス状態の膜を形成できる。
金属酸化物膜1、金属膜2の膜厚は、0.1nmから選択することができるが、短パルスレーザー6の波長が透過するような積層構造に設定しなければならない。これにより酸化物系積層薄膜の任意の位置に異質相3を形成することができるようになる。具体的には、可視光波長領域(例えば、400nm〜850nm)において全光線透過率が10%以上(好ましくは50%以上、さらに好ましくは75%以上)であることが望ましい。
金属酸化物膜1、金属膜2には、全光線透過率を上昇させる、あるいは吸収率を抑制させるなどの必要に応じて他の材料や添加物が含まれていても良い。
異質相3は、集光した短パルスレーザー5を用いて形成する点に特徴がある。集光した短パルスレーザー5を照射することにより、金属酸化物膜1と金属膜2を含む微細な領域の構造を変化させることができる。例えば、用いるレーザーの波長を800nmとすると、集光前の短パルスレーザー6を照射した場合では何の変化も生じないが、集光した短パルスレーザー5を照射すると多光子吸収過程により励起構造を形成することが可能となる。このような多光子吸収の起きうる可能性は、光の強度、密度に比例する。
短パルスレーザー6としては、パルス幅が10-9秒以下のレーザーを用いることができ、特にパルス幅が10-12 秒以下のレーザーを用いることが好ましい。パルス幅は小さいほど容易に高い光密度を得られるので好ましい。また、微細な構造を形成するにあたっても、パルス幅は小さいほど好ましい。
短パルスレーザー6の波長は、可視光領域の波長(例えば、400nm〜850nm)であることが好ましい。波長は短いほど容易に高い光強度を得られるので可視光領域内において短いことが好ましい。
また、短パルスレーザー6の繰り返しは、1Hz〜10MHzの範囲から選択することができる。通常使用される範囲は、1KHz〜250KHz程度である。
短パルスレーザー6の平均出力(例えば照射エネルギーに変換して表示される場合もある)は、特に制限はされず、目的とする異質相3の大きさや屈折率の変化量などに応じて適宜選択することができる。例えば微細な加工で構造物を形成する場合は、100mW以下が好ましく、10mW以下がさらに好ましい。
短パルスレーザー6を集光するための方法は、特に制御されるものではなく、例えば、集光レンズ7を用いる方法を採用することができる。照射するスポット径も特に制限されず、目的とする異質相3の大きさや屈折率の変化量などに応じて集光レンズ7の大きさや開口数、倍率などを適宜選択する。
集光した短パルスレーザー5の照射方法は、特に制限されるものではなく、目的とする構造に合わせてドットを形成する場合には1点に照射したり、直線状や曲線状に形成する場合はライン状に走査したりして異質相3の形状を自在に形成することができる。ただし、薄膜の上面は平面であり、X−Y軸に対しては平行でZ軸に対しては垂直でなければならない。具体的には、膜厚分布が20%以上大きくなると、異質相3を所望の位置に形成することが困難となるため、膜厚分布は20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下とする。
異質相3の大きさについては、特に制限されず、目的とする光学素子機能に応じて適宜選択することができる。
図3,4は、他の実施形態に係る酸化物系積層薄膜の構成を示すもので、図3は断面図、図4は斜視図である。これらの図に示すように、異質相3を、直径が400nm程度のラインを400nmピッチで並べた構造に形成することにより、光の平行入射において、通信波長(例えば、1.5μm帯)に対してのフォトニック結晶としての機能を発現させることができる。また、このラインをクロスさせた構造とすることにより、二次元のフォトニック結晶としての機能を発現させることができる。また、このラインを積層させた構造とすることにより、三次元のフォトニック結晶としての機能を発現させることができる。あるいは同じ構造で光の垂直入射において、回折格子、偏光素子としての機能を発現させることができる。
図5,6は、他の実施形態に係る酸化物系積層薄膜の構成を示すもので、図5は断面図、図6は斜視図である。これらの図に示すように、異質相3を、直径が膜厚と同様のライン構造に形成することにより、光の導波路としての機能を発現させることができる。またこのラインを複数繋げた構造とすることにより、ビームスプリッタとしての機能を発現させることができる。なお、図5,6において、8は、アブレーション防止のためのオーバーコート膜である。
図7,8は、他の実施形態に係る酸化物系積層薄膜の構成を示すもので、図7は断面図、図8は斜視図である。これらの図に示すように、異質相3を、直径が膜厚の半分程度であるラインを上下に配置した構造に形成することにより、三次元導波路としての機能を発現させることができる。また、このラインを複数繋げた構造とすることにより、三次元ビームスプリッタとしての機能を発現させることができる。あるいは同じ構造で光の垂直入射において、位相差板、波長選択フィルタとしての機能を発現させることができる。
本発明の酸化物系積層薄膜は、求められる機能や特性に対して適宜加工が可能であり、光学素子の応用は上記に限ったものではない。また、ほかの素子、部品と組み合わせて用いても良い。また、本発明の酸化物系積層薄膜は、求められる機能に応じて任意の後加工や後処理を施すこともできる。
(実施例1)
実施例1として、市販の石英ガラス基板、および直径75mmのSnO2 ターゲット、Siターゲットをスパッタリング装置(SPF−332H スパッタ装置 アネルバ社製)に装着した、真空チャンバ内を7×10-4Paまで真空排気した後、酸素ガス20SCCMを導入し、真空ポンプのバルブを調整して圧力を1Paになるようにした。その後、RF電源にて200Wの電力を印加し、ガラス基板上に厚さ1μmのSnO2 膜を成膜した。放電と酸素ガスを止め7×10-4Paまで真空排気した後、次にアルゴンガス20SCCMを導入し、真空ポンプのバルブを調整して圧力を1Paになるようにした。その後、RF電源にて100Wの電力を印加し、SnO2 膜上に厚さ100nmのSi膜を成膜した。さらに、放電とアルゴンガスを止め、7×10-4Paまで真空排気した後、酸素ガス20SCCMを導入し、真空ポンプのバルブを調整して圧力を1Paになるようにした。その後、RF電源にて200Wの電力を印加し、Si膜上に厚さ1μmのSnO2 膜を成膜した。これにより酸化物系積層薄膜サンプル(以下、サンプルAという。)を得た。
このサンプルAの上面からAl2 3 :Tiのフェムト秒レーザー装置(コヒレント社製)を使用して短パルスレーザー(波長800nm、パルス幅150×10-15 秒、繰り返し200KHz)を照射パワー30mWにて100倍対物レンズを用いてSnO2 膜とSi膜を含む領域に照射した。照射はシャッターで制御してライン状に行い、図3,4に示したと同様な構造の異質相3を、線幅1μm、ピッチ1μmで形成したサンプルが得られた。このサンプルの顕微鏡写真を図9に示す。図9において、9は短パルスレーザーの非照射部である。
上記実施例1と同様の条件で、ライン状の異質相のピッチを適宜変化させたサンプルを作製し、光の垂直入射による分光透過測定を行ったところ、古典理論に沿った回折現象を確認できた。
なお、実施例1と同様の条件で市販の石英ガラスに短パルスレーザーを照射したところ、変化は現れなかった。したがって、石英ガラスには異質相が形成されない短パルスレーザーの照射条件で、実施例1においては、異質相が形成されていることが分かる。
また、実施例1と同様の条件で照射パワーのみを700mWにすると、線幅50μmの異質相が形成された。さらに、実施例1と同様の条件で対物レンズのみを40倍に入れ替えると、線幅30μmの異質相が形成された。このように、照射パワーや対物レンズの倍率によって、所望の構造を選択的に製作できることが確認された。ただし、これらの場合、異質相の大きさが膜厚を超えてしまい、基板にまで達していることがあるので注意が必要である。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で成膜し、SnO2 膜とSi膜の積層構造でレーザー波長800nmの光を高い割合で透過できるように膜厚の設計を行った。その時の設計結果を図11に示す。同図において縦軸は反射率、横軸は波長であり、同図に示すようにこの設計では、波長800nmにおける反射率が略ゼロになっている。具体的には、基板上にSi(211nm)/SnO2 (176nm)/Si(482nm)/SnO2 (100nm)の4層体を形成し、最後にレーザー照射時のアブレーション防止のため、オーバーコートとしてSiO2 膜8を10μm成膜した。これにより、SnO2 とSiの積層からなる酸化物系積層薄膜サンプル(以下、サンプルBという。)を得た。
このサンプルBの上面からAl2 3 :Tiのフェムト秒レーザー装置(コヒレント社製)を使用して短パルスレーザー(波長800nm、パルス幅150×10-15 秒、繰り返し200KHz)を照射パワー10mWにて100倍対物レンズを用いてSnO2 膜とSi膜を含む領域に照射した。照射はシャッターで制御してライン状に行い、図5,6に示したと同様な構造の異質相3を、線幅1μmで形成したサンプルが得られた。このサンプルの顕微鏡写真を図12に示す。
さらに、サンプルBの上面からAl2 3 :Tiのフェムト秒レーザー装置(コヒレント社製)を使用して短パルスレーザー(波長800nm、パルス幅150×10-15 秒、繰り返し200KHz)を照射パワー5mWにて100倍対物レンズを用いてSnO2 膜とSi膜を含む領域に照射した。照射はシャッターで制御してライン状に行い、図7,8に示したと同様な構造の、線幅500nmの異質相3を深さ方向に配列したサンプルが得られた。このサンプルの顕微鏡写真を図14に示す。
この実施例2によって、短パルスレーザー加工により任意の大きさで任意の構造の異質相が形成できることが確認できた。また、実施例2のサンプルで断面の屈折率測定を行った。測定法はビームプロファイル反射率測定法で、高精度膜厚計(サーマウェーブ社製)を使用し、波長875nmの光にてライン測定を行った。この結果を図16,17に示す。
図16,17において、右側に示す屈折率のグラフは、左側に示す顕微鏡写真における矢印11に沿って測定した屈折率を示している。また、左側に示す顕微鏡写真は、図5,6に示すようにライン状に短パルスレーザーを照射した場合の図5に示す断面の構成を示すものである。これらの図に示されるとおり、レーザーの照射部(異質相3)と非照射部9では、屈折率にして約1の差が確認された。また、レーザーの照射部(異質相3)では、屈折率が増加していることが確認された。
本発明の一実施形態の構成を示す図。 図1の実施形態の断面構成を示す図。 本発明の他の実施形態の構成を示す図。 図3の実施形態の斜視図。 本発明の他の実施形態の構成を示す図。 図5の実施形態の斜視図。 本発明の他の実施形態の構成を示す図。 図7の実施形態の斜視図。 実施例1の上面からの顕微鏡写真。 実施例1の断面の顕微鏡写真。 レーザー波長800nmを通すためのSnO2 とSiの積層設計図。 実施例2の上面からの顕微鏡写真。 実施例2の断面の顕微鏡写真。 実施例2の上面からの顕微鏡写真。 実施例2の断面の顕微鏡写真。 実施例2の断面屈折率分布評価結果を示す図。 実施例2の断面屈折率分布評価結果を示す図。
符号の説明
1……金属酸化物膜、2……金属膜、3……異質相、4……基板、5……集光した短パルスレーザー、6……短パルスレーザー、7……集光レンズ。

Claims (12)

  1. 金属酸化物膜と金属膜とを2層以上積層した積層薄膜であって、
    前記金属膜は、前記金属酸化物膜を構成する金属材料よりも標準電極電位が低い金属材料からなり、
    前記積層薄膜の内部に集光した短パルスレーザーの誘起により、短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相が形成されていることを特徴とする酸化物系積層薄膜。
  2. 前記金属酸化物膜を構成する金属材料が、Sn、Ni、Ge、Fe、Wから選択される少くとも1種を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の酸化物系積層薄膜。
  3. 前記金属膜を構成する金属材料が、Si、Al、Ti、Ta、Nb、Y、Mgから選択される少くとも1種を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2記載の酸化物系積層薄膜。
  4. 前記短パルスレーザーのパルス幅が、10-9以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の酸化物系積層薄膜。
  5. 前記異質相が、前記金属酸化物膜を構成する金属酸化物の還元された金属を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の酸化物系積層薄膜。
  6. 前記異質相が、前記金属膜を構成する金属の酸化物を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の酸化物系積層薄膜。
  7. 請求項1〜6いずれか1項記載の酸化物系積層薄膜を有することを特徴とする光学素子。
  8. 金属酸化物膜と、この金属酸化物膜を構成する金属材料よりも標準電極電位が低い金属材料からなる金属膜とを2層以上積層した積層薄膜の内部に集光点を調節して短パルスレーザーを照射し、短パルスレーザー照射部に、短パルスレーザーの非照射部と屈折率の異なる異質相を形成することを特徴とする酸化物系積層薄膜の製造方法。
  9. 前記金属酸化物膜を構成する金属材料が、Sn、Ni、Ge、Fe、Wから選択される少くとも1種を主成分とすることを特徴とする請求項8記載の酸化物系積層薄膜の製造方法。
  10. 前記金属膜を構成する金属材料が、Si、Al、Ti、Ta、Nb、Y、Mgから選択される少くとも1種を主成分とすることを特徴とする請求項8又は9記載の酸化物系積層薄膜の製造方法。
  11. 前記短パルスレーザーのパルス幅が、10-9以下であることを特徴とする請求項8〜10いずれか1項記載の酸化物系積層薄膜の製造方法。
  12. 前記積層薄膜を、スパッタリングにより成膜することを特徴とする請求項8〜11いずれか1項記載の酸化物系積層薄膜の製造方法。
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JP2011140127A (ja) * 2010-01-05 2011-07-21 Nissha Printing Co Ltd 部分透明化金属薄膜を有する加飾された物品
CN110540171A (zh) * 2019-09-06 2019-12-06 国家纳米科学中心 一种结构色材料及其制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011140127A (ja) * 2010-01-05 2011-07-21 Nissha Printing Co Ltd 部分透明化金属薄膜を有する加飾された物品
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