JP2006076845A - カルコゲナイドガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性と耐結晶化性に優れ、希土類の熔解が可能で光安定性に優れるカルコゲナイドガラスを提供する。
【解決手段】RS−Ga系(Rはアルカリ土類金属)で、RSとGaのモル比が1以上であり、さらにGeSを1〜40モル%を添加したRS−Ga−GeS系ガラス。耐熱性を表すガラス転移温度が500℃以上、耐結晶化性を表す結晶化開始温度とガラス転移温度の差が150℃以上で、希土類の熔解が可能であり、さらに光安定性に優れた硫化物ガラスが得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カルコゲナイドガラス、特に、光ファイバ、希土類ドープファイバレーザー及びプレーナー光導波路用材料に関する。
酸素の代わりに硫黄(S)やセレン(Se)などを陰性元素として含むカルコゲナイドガラスは、通常の酸化物ガラスと比較してガラスネットワークの結合エネルギーの低フォノン性のために、赤外域での光吸収端が長波長側に位置し、赤外域での光透過性に優れた光学レンズや光ファイバ材料として知られている。近年カルコゲナイドガラスに希土類イオンを添加したガラス、特に希土類ドープカルコゲナイドガラスが1〜5ミクロンでのファイバレーザー、ファイバ増幅器及びプレーナー光導波路として注目されている。ファイバ型やプレーナー型のレーザーや光増幅器は希土類イオンの4f軌道間電子遷移による輻射遷移過程を利用したものである。4f軌道間電子遷移による発光の量子効率は、輻射遷移確率と非輻射遷移確率の比で表され、前者はガラスホストと屈折率に依存し、後者はガラス骨格の結合エネルギーに依存する。このため、高屈折率で低フォノン性のカルコゲナイドガラスが、酸化物ガラスやフッ化物ガラスと比較して、本質的に高い発光の量子効率のために注目されてきた。
しかし、一般のカルコゲナイドガラスはAs−S、As−Se、Ge−S、Ge−Seなどをガラスネットワークとし、共有結合性の性質から希土類金属が比較的溶解し難く、希土類の溶解性を改善するためにGaの添加が一般になされるが、耐結晶化性に劣りファイバ形成過程で結晶化し易くなることや、ガラス転移温度が低いため耐熱性に劣ることが課題であった。
希土類の熔解性と耐熱性に優れるガラスとして、Gaをネットワークとする硫化物ガラスが注目されている。通常の溶融法でGa単独ではガラス形成が困難であることから、他の化合物との組み合わせによりガラス形成が行なわれる。代表的なGaガラス系として非特許文献1にはLa−Ga系が、特許文献1にはNaS−Ga系が、特許文献2にはRS−Ga系(Rはアルカリ土類金属)が報告されている。しかし、いずれの系も耐結晶化性に劣るため、コア用のガラスロッドとクラッド用のガラスチューブを用いた通常のプリフォーム法によるファイバ形成が困難である。
NaS−Gaガラスについては特許文献1では、押し出し成形法によりガラスプリフォームの作製が行なわれ、ガラスファイバの作製も行なわれているが、非特許文献3によれば押し出し成形では均質な径で長軸のコア用ロッドを成形することが困難である 。またNaS−Gaガラスは光に対する感受性(フォトセンシティビティ)が顕著であり、レーザー光伝送用ファイバ、ファイバレーザーやファイバ光増幅器及びプレーナー光導波路の応用には適さない。
さらに、希土類の熔解が可能な系として、GaとGeSのガラスネットワークを組み合わせた硫化物ガラス系が知られている。従来RS−Ga−GeS系(Rはアルカリ土類金属)でのガラス化可能な組成範囲は40モル%以上の比較的GeS含有量が多い領域で、GeSのネットワークを主体とするガラスが非特許文献4、5や特許文献3に報告されている。
例えば、特許文献3によれば、BaS−Ga−GeS系ガラスが報告されているが、好ましい組成範囲は、モル百分率で表して、本質的に5−26%Ga、58−89GeS、0.5−22%BaSとされている。従って、特許文献3に記載のBaS−Ga−GeS系ガラスは、RSとGaのモル比が1以下でGeSの含有量が40モル%よりも大きく、GeS四面体のネットワークを主体とするガラスであり、耐熱性を表すガラス転移温度は500℃以下と比較的低い。ガラスネットワークの種類は、図4に示すようなラマンスペクトルで、GeS四面体を主体とするガラスネットワークの場合主ピークが340cm−1に位置するのに対し、GaS四面体を主体とするガラスネットワークの場合主ピークが320cm−1付近に位置するため、容易に判別することができる。
以上カルコゲナイドガラスに関する従来の技術を総括すると、As−S、As−Se、Ge−S、Ge−Seなどのカルコゲナイドガラスは希土類の熔解性と耐熱性に問題がある。Ga系硫化物ガラスではいずれも希土類の熔解性は良好であるが、各系で以下の未解決課題がある。La−Ga系は耐結晶化性に問題がある。NaS−Ga系は耐熱性、耐結晶化性及び光安定性に劣る点が問題である。RS−Ga系(Rはアルカリ土類金属)は耐結晶化性に課題がある。GeS含有量が40モル%以上のBaS−Ga−GeS系ガラスは耐熱性に課題があり、また同ガラスの光安定性については不明である。従って、カルコゲナイドガラスにおいて、耐熱性と耐結晶化性に優れ、希土類の熔解が可能であり、しかも光安定性に優れるガラスは見出されていないのが現状である。
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本発明の目的は、耐熱性と耐結晶化性に優れ、希土類の熔解が可能であり、しかも光安定性に優れるカルコゲナイドガラスを提供することにある。
本発明者は、研究を重ねた結果、RX−Ga系(Rはアルカリ土類金属、XはSまたはSe)を基本として、この系にGeXを添加することでGaとGeXの複合ネットワーク形成し、RX−Ga−GeXガラスで上記の目的を達成したものである。
かくして、本発明に従えば、RX−Ga−GeXガラス((Rはアルカリ土類金属、XはSまたはSe)でRXとGa23のモル比が1以上、かつGeXの含有量が1〜40モル%であることを特徴とするカルコゲナイドガラスが提供される。本発明に従えば、特に、耐熱性を表すガラス転移温度が500℃以上で、かつ耐結晶化性を表す結晶化温度とガラス転移温度の差が150℃以上である特性温度を有する硫化物ガラス、希土類の熔解が可能なカルコゲナイドガラス、および、光安定性のきわめて増大したカルコゲナイドガラスが提供される。
本発明に従えば、耐熱性と耐結晶化性に優れ、希土類の熔解が可能で光安定性に優れるカルコゲナイドガラスを得ることができる。
さらに、本発明に従えば、通常のプリフォーム法により、カルコゲナイドガラスファイバを得ることもできる。このガラスファイバは、光デバイス用ガラスファイバとして例えば、ファイバレーザー、ファイバ光増幅器として有用である。また本発明のガラスは、プレーナー光導波路材料としても有用である。
本発明の対象とする硫化物とはカルコゲナイドのひとつである。カルコゲナイドとは、よく知られているように、カルコゲンの化合物、特に、硫化物、セレン化物およびテルル化物を指称する。本発明の原理は、従来から知られている各種の元素のカルコゲナイドに適用することができるが、特に硫化物ガラスにおいて顕著な効果が得られ、通常の溶融法によりガラスを得るのに適用される。すなわち、本発明におけるガラス系はRS−Ga−GeSガラス(Rはアルカリ土類金属)を基本とするが、この系に他の硫化物を組み合わせた多成分系硫化物ガラスにも適用できる。以下、本明細書ではS系について記述するがSをSeに置換したセレン化物ガラスに対しても本発明の原理は適用できる。
本発明は、RS―Ga―GeS系(Rはアルカリ土類金属)においてRSとGaのモル比を1以上とし、GeSの含有量を1〜40モル%とすることで溶融法により均質なカルコゲナイドガラスの作製が可能となり、これによって、耐熱性と耐結晶化性に優れ、希土類の熔解が可能で光安定性に優れる硫化物ガラスの提供を可能にしたものである。
RS(Rはアルカリ土類金属)とGaのモル比は1以上、好ましくは1〜9の間とする。この条件によりGaはRSより硫黄イオンの供給を受け、GaS四面体から構成されるガラスネットワークを形成することとなる。これよりRSとGaのモル比が小さい場合はガラス形成が困難であり、他方RSとGaのモル比が大きすぎてもガラス形成が困難で、耐水性に劣ることとなる。
耐結晶化性を向上させるための助剤となるGeSの含有量は、1〜40モル%(mol%)、好ましくは6〜32モル%の割合で添加する。GeSの添加量が6モル%以下であると耐結晶化性が向上せず、他方、GeSの量が多すぎてもガラス転移温度、すなわち耐熱性が低下し、加えて光安定性が損なわれる結果となる。
ガラスの耐熱性の指標となるガラス転移温度Tgは、例えば、図2に示すように、DTAのような熱分析においてガラスを一定の昇温速度で加熱した場合に、吸熱として検出されるので、そのときの温度から決定することができる。
ガラスの耐結晶化性は、図2に示すようにDTAのような熱分析において、吸熱として検出されるガラス転移温度と発熱として観察される結晶化過程の初期温度(結晶化開始温度Tx)から、ΔT=Tg−Txにより相対的に評価することができる。
以上のような分析を重ねた結果、本発明者が見出した知見によれば、RSとGaのモル比が1以上、かつGeSの含有量が1〜40モル%であることを特徴とする多くのRS−Ga−GeS三元系ガラス組成において、500℃前後にガラス転移温度Tgが存在する。Tgはガラスネットワーク構造に依存するが、その制御は、ガラスネットワーク成分であるGaとGeSの含有量で可能であり、500℃以上のTgを有するためには、GeSの含有量を32モル%以下とするのが好ましい。
耐結晶化性を現すΔTは、RSとGaのモル比が1以上のRS−Ga二元系ガラス(Rはアルカリ土類金属)では130℃程度であるが、RSとGaのモル比が1以上のRS−Ga−GeS三元系ガラスでは、GaとGeSの複合ガラスネットワークの形成により増大する。特に、Tgが500℃以上でかつ、ΔTが150℃以上の耐結晶化性に優れるガラスを得るためには、表1及び図3から理解できるように、GeSの含有量を6〜32モル%にすることが好ましい。
光安定性は、光誘起現象、例えば光励起によるAgなどの金属イオンの光ドープ現象の有無や光源に用いられる各レーザー光に対する耐ダメージ損傷性により評価することができる。光安定性は、ガラスの化学結合性(共有結合性/イオン結合性)、S−S結合などのホモボンドの有無、アルカリ、アルカリ土類イオンなどの修飾イオンの種類に依存する。本発明のRS−Ga−GeS系、Rはアルカリ土類金属、においてRSとGaのモル比を1以上とし、GeSの含有量を1〜32モル%とすることを特徴とするガラスは、イオン結合性が強く、S−S結合などのホモボンドが存在せず、修飾イオンがNaなどのアルカリイオンと比較して、陽イオン電場強度(cation field strength)が強いSr2+、Ba2+などのアルカリ土類イオンから構成されるため、紫外光やレーザー光に対する光安定性に優れている。
本発明の硫化物ガラスの製造方法は、好ましくは、不活性ガスの雰囲気下、熔融容器に入れた原料混合物が均一な液相を形成する温度(1050℃〜1300℃)に、0.5〜2時間程度保持した後、冷却することによって実施される。
図3は、後述の実施例に示す本発明の硫化物ガラスの特性温度の例としてDTAより求めた、BaS−Ga−GeS系ガラスのガラス転移温度Tgと結晶化開始温度Tx及びΔT(=Tx−Tg)のGeS含有量依存性である。
図3から理解されるように、本発明の硫化物ガラスでは、耐熱性を表すガラス転移温度が500℃前後と、硫化物ガラスの中ではきわめて高く、かつ耐結晶化性を表すΔTが150℃以上と高く、中にはΔTが200℃以上のガラスも存在することがわかる。
また図6には紫外光照射によってAgがガラス内部へ拡散するAgの光ドープ現象に対応する、800nmでのガラスの透過率の照射時間依存性を示すが、65NaS−35Gaガラス(モル%)やGe3367ガラス(モル%)と比較して、60SrS−32Ga−8GeSガラス(モル%)ではAgの光ドープ速度はきわめて遅く、本発明の硫化物ガラスが光安定性に優れると判断することができる。
本発明の硫化物ガラスは、耐結晶化性に優れるため、表3に示すように結晶化することなしにガラスロッドの加熱・延伸によるファイバ形成を連続的に行なうことが可能である。
以下に、本発明の特徴をさらに具体的に示すために実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
ガラスの作製と特性温度の評価:
硫化物原料を用い、高純度Nガスをパージし酸素及び水蒸気分圧1ppm以下に制御したグローブボックスを用い、所定の組成に原料を秤量・混合した後、カーボン製容器に入れ、シリカチューブ内で雰囲気をNに保ち、1050〜1300℃で30分間熔融を行なった。熔融後試料容器を炉内から取り出し、室温まで冷却することでガラス試料を得た。熔融後のガラス組成は標準試料による検量線を用いた蛍光X線分析法により評価した。図1はBaS−Ga−GeS系における本実施例の組成を表している。なお図1及び表1には分析後のガラス組成を示している。
得られた各ガラスについて、DTAを用い昇温速度10℃/minにて熱分析を行った。図2にDTA曲線の代表例を、図3にBaS−Ga−GeS系ガラスにおけるガラス転移温度Tg、結晶化開始温度Tx及び結晶化開始温度とガラス転移温度の差ΔT(=Tx−Tg)のGeS含有量依存性を示す。表1にはSrS−Ga系及びSrS−Ga−GeS系ガラスにおけるTg、Tx及びΔTを示す。また表2には比較例の硫化物ガラスの特性温度を示す。
Figure 2006076845
Figure 2006076845
図2および図3に示されるように、BaS−GaガラスにGeSを添加することによりガラス転移温度Tgが徐々に減少するが、結晶化開始温度Txは10〜35モル%GeSで極大値を示し、結果として耐結晶化性を表すΔTが著しく増大した硫化物ガラスが得られる。
ガラス構造の評価:
図4には、作製したBaS−Ga系及びBaS−Ga−GeS系ガラスのラマンスペクトルを示している。本実施例におけるガラスネットワーク成分はGa及び/またはGeSであるため、この図から、ネットワーク成分の種類についての情報を得ることができる。GeS含有量が30モル%まではラマン散乱による主ピークは320cm−1に存在しており、本発明に従って得られるガラスは、主としてGaS四面体のネットワークから構成されることが理解される。一方比較例としてのGeS含有量が60モル%のガラスでは、主ピークは340cm−1に位置しており、このガラスがGeS四面体を主体とするガラスネットワークから構成されていることが理解される。図4のラマンスペクトルの結果は、図3の特性温度の結果とよい対応を示しており、図3と図4を比較することで、本発明の硫化物ガラスは、GaS四面体を主とするガラスネットワークにGeS四面体が組み込まれた複合ネットワークを形成しており、このガラス構造に対応して、Tgが500℃以上で、ΔTが150℃以上を示すことが理解できる。
希土類の熔解性の評価:
に記述した方法で、Pr3+を0.1重量%含有する48.5BaS−26.0Ga−25.5GeSガラス(モル%)を作製した。得られたガラスを研磨しディスク状試料を作製し、分光光度計を用い、400〜2000nmで吸収スペクトルを測定した。
図5に示すように、500、1500及び1900nm付近にPr3+の4f軌道間電子遷移に基づく吸収帯が明らかに認められ、かつガラスホストによるバックグラウンドの吸光度が低いことから、本実施例の48.5BaS−26.0Ga−25.5GeSガラス(モル%)に希土類のPr3+が光学的に活性な状態で熔解していることが理解できる。図5におけるPr3+の濃度は0.1重量%であるが、本発明のガラスには最大で4重量%までのPr3+が熔解可能であることがわかった。また本発明のガラスにはPr3+以外にも1〜5ミクロンでの発光を担うイオンとなるNd3+、Dy3+、Tm3+、Er3+が同様な濃度まで熔解することを確認した。
光安定性の評価:
硫化物ガラスでは光照射により構造変化、金属イオンドープなどの光誘起現象が起こることが知られているが、このような光感受性は、硫化物ガラスを光ファイバ、ファイバレーザー、ファイバ光増幅器及びプレーナー光導波路に応用する場合には好ましくない性質である。硫化物ガラスのディスク状試料(0.5mm厚)に真空蒸着法により25±5nmの膜厚のAg膜を形成し、Ag膜をコートした側より波長365nmの紫外光ランプを照射強度1.5mW・cm−2で所定時間照射した後、自記分光光度計により光透過率を測定した。光照射により硫化物ガラスの構造変化が起こり、Agがガラス内部へ拡散する光ドープ現象が起こる場合、ドープ量に依存してガラス上のAg膜の厚みが薄くなるため、見かけ上可視から近赤外域での光透過率が増大する。
図6はAg膜をコートした硫化物ガラスの800nmでの光透過率の紫外光照射時間依存性である。図6に示されるように、65NaS−35GaガラスやGe3367ガラス(モル%)では光ドープが顕著に起こるが、本発明の60SrS−32Ga−8GeSガラス(モル%)では図中の傾きで表される光ドープ速度はきわめて遅く、言い換えると本発明の硫化物ガラスは光安定性に優れるものと判断できる。
ガラスファイバの作製:
本発明の硫化物ガラスと比較例のガラスを用い、ロッド状試料を作製し、それを通常のガラスファイバ線引き装置で線引き実験を行なった。ガラス試料を石英ロッドの先端に吊るし、雰囲気をNに保ちながら速度10℃/minで加熱を行なった。680〜700℃付近で自重によりガラスを軟化させ、ガラスファイバの線引きを行なった。表3に示すように、実施例の48.5BaS−26.0Ga−25.5GeSガラス及び52.9BaS−21.6Ga−25.5GeSガラス(モル%)では連続的に線引きが可能であったが、比較例の65BaS−35Gaガラス(モル%)では結晶化が起こり線引きは不可能であった。
Figure 2006076845
本発明での実施例のBaS−Ga−GeS系ガラス組成を表す図である。 本発明に従い作製したBaS−Ga系及びBaS−Ga−GeS系ガラスのDTA曲線の代表例である。 本発明に従い作製したBaS−Ga系及びBaS−Ga−GeS系ガラスについて、(a)ガラス転移温度Tg、結晶化開始温度Tx及び(b)ΔT(=Tx−Tg)とGeS含有量の関係を示す図である。 本発明に従い作製した、BaS−Ga系及び種々のGeS含有量を有するBaS−Ga−GeS系ガラスの実施例と比較例について、ラマンスペクトルを示した図である。 本発明の0.1重量%のPr3+を含むBaS−Ga−GeSガラス(モル%)の吸収スペクトルを示す図である。 本発明のSrS−Ga−GeSガラス(モル%)と比較例のNaS−Gaガラス(モル%)とGe3367ガラス(モル%)について、800nmでの紫外光照射時間依存性を示した図である。

Claims (6)

  1. RX―Ga―GeX(Rはアルカリ土類金属、XはSまたはSe)で、RXとGaのモル比が1以上、かつGeX2の含有量が1〜40モル%であることを特徴とするカルコゲナイドガラス
  2. RX―Ga―GeX(Rはアルカリ土類金属、XはSまたはSe)で、RXとGaのモル比が1〜9、かつGeX2の含有量が6〜32モル%であることを特徴とするカルコゲナイドガラス
  3. 耐熱性を表すガラス転移温度が500℃以上で、かつ耐結晶化性を表す結晶化温度とガラス転移温度の差が150℃以上である特性温度を有するRS―Ga―GeS(Rはアルカリ土類金属)硫化物ガラス
  4. RX―Ga―GeX(Rはアルカリ土類金属、XはSまたはSe)で、RXとGaのモル比が1〜9、かつGeX2の含有量が6〜32モル%であることを特徴とするカルコゲナイドガラス
  5. 請求項1〜3に記載のガラスをコアおよび/またはクラッドに用いた光ファイバ及び光導波路
  6. 請求項1〜3に記載のガラスに希土類元素を少なくとも一種類以上含んだガラスをコアに用いた光ファイバ及び光導波路

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