JP2004113962A - 水力分級機 - Google Patents
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Abstract
【課題】低濃度スラリー状態の混合粒子をそのまま供給して分級を行え、ワークの水中バリ取り加工などの装置に組込んで使用するのに好適な水力分級機を提供する。
【解決手段】分級すべき微粒子及び粗粒子を含む混合粒子を湿式下で分級する水力分級機において、垂直方向に設けた筒体(1)と、筒体の下部に設けられ、筒体内に上昇流を生成するように混合粒子をスラリー状態で供給する混合粒子供給手段(2)と、筒体の上部に設けられ、分級された微粒子を筒体から取出すための微粒子取出し手段(3)と、筒体の底部に設けられ、分級された粗粒子を筒体から取出すための粗粒子取出し手段(4)とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】分級すべき微粒子及び粗粒子を含む混合粒子を湿式下で分級する水力分級機において、垂直方向に設けた筒体(1)と、筒体の下部に設けられ、筒体内に上昇流を生成するように混合粒子をスラリー状態で供給する混合粒子供給手段(2)と、筒体の上部に設けられ、分級された微粒子を筒体から取出すための微粒子取出し手段(3)と、筒体の底部に設けられ、分級された粗粒子を筒体から取出すための粗粒子取出し手段(4)とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿式下で混合粒子の分級を行う水力分級機に関するものであり、特に、比較的粒径の大きな粒子(50〜500μm程度の粒径)の分級を行う水力分級機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブラスト装置、ピーニング装置によるワーク(処理対象物)のバリ取り等の加工処理は、研掃材をワークに衝突させることによって行われる。このため、研掃材の粒径はワークとの衝突によって摩耗して粒径が小さくなってしまう。小さくなった粒径の研掃材を用いてバリ取り等の加工処理を行うと加工能力が低下するので、粒径の小さくなった研掃材をその他の研掃材の中から取り除かなければならない。この粒径の小さくなった研掃材を取り除くために、従来から分級機が広く用いられている。この分級機は、一般に乾式、湿式、篩い分け式に種別されることは周知の通りである。
【0003】
例えば、水中下でのワークのバリ取り加工は、研掃材と水との混合液をワークに対して噴射することによって行う(特許文献1参照)。このとき、ワークに衝突した研掃材は水中で沈下して、水と共に回収される。即ち、研掃材を含有するスラリー状態で研掃材は回収される。よって、水中バリ取り加工などにおいては、スラリーに含まれる研掃材を粒径別に分級して摩耗した小さい粒径の研掃材のみを除去するために、通常、湿式の分級機が用いられている。
【0004】
水中バリ取り加工などで用いる研掃材の粒径はおよそ50〜500μmと比較的大きなものである。水中バリ取り加工では、ワークを所定の仕上がりにできれば十分であるから、摩耗した研掃材と再使用できる研掃材とを分級するために要求される分級点は一般に分級点(d98)が50〜200μm程度である。つまり、水中でワークのバリ取り加工を行ったり、あるいはこれに類する加工を行う場合においては、さほど高精度な分級は要求されないのである。
【0005】
よって、上記の水中バリ取り加工などに用いる分級機としては、比較的分級精度は低くても簡便な構造であって、バリ取り加工の装置に組込んで研掃材を簡単に効率良く分級できるようなものが望まれる。つまり、分級点(d98)が50〜200μm程度の分級機であればそれ以上の高精度は不要であり、逆に簡便な構造であって、バリ取り加工の装置に簡単に組み込める分級機である方が好ましいのである。
【0006】
ところで、湿式分級機は、形式によって沈降分級、機械的分級、水力分級、遠心分級に大きく分類され、一般に、研掃材の粒径が小さい場合(5〜100μm程度の範囲)では、サイクロン(遠心分級)を利用するのが便利である。しかしながら、上述したワークのバリ取り加工などに用いる研掃材の粒径は通常50〜500μmと比較的大きいため、サイクロンによる分級は不向きであり、上記のバリ取り加工の装置に組込んで用いるには無理がある。
【0007】
どうしてもサイクロンを用いて上述の研掃材のような大きな分級径の粒子を分級しようとするならば、研掃材を含有するスラリーのサイクロンへの流入圧力を極端に下げて流入量を小さくすれば、比較的大きな分級径を得ることは可能ではある。しかし、数百μm程度の範囲の粒径の場合にはサイクロンによる分級で所望の分級径を得ることは困難である。また、サイクロンを大型化することで比較的大きな粒径のものでも分級できるようにはなるが、この場合、コストがかかる上、研掃材を含有するスラリーの流入量を多量に供給しなければ分級を行えないといった問題もあり、水中バリ取り加工の装置にそのまま組込んで使用するのに適したものとは言えなかった。
【0008】
一方、水力分級機を用いると50〜500μmの範囲の粒径においても分級は可能となる。しかしながら、一般に用いられている水力分級機は、根本的に分級精度を如何に上げるかという点に注力して開発されているものであり、高精度な分級を必要としないバリ取り加工などで用いるには分級機の仕様が過剰である。
【0009】
例えば、特許文献2に開示されている水力分級機では、大略100μm以下の分級点で高精度な分級機を提供することを目指している。そのために、この従来技術では分級すべき微粒子および粗粒子を含む混合粒子を複数の分級用液体供給口から供給したり、回転容器の回転により混合粒子をなるべく均一に供給するようにしている。
【0010】
この従来技術では確かに高精度な分級性能が発揮されるが、高価な装置となってしまう。しかも、上記従来の技術では混合粒子を筒体の上部から供給する構造となっているため、混合粒子をポンプなどで高位置まで汲み上げなければならない。よって、バリ取り加工などの装置に組込んで使用する場合には、新たにポンプや配管等が必要となり、かえってバリ取り加工装置が複雑となってしまう。従って、上記の従来技術(特許文献2)のような水力分級機をバリ取り加工の装置にそのまま組込んで用いる場合には、装置の複雑化、コスト面などにおいて好適と言えるものではなかった。
【0011】
また、上記従来の技術(特許文献2)では、混合粒子を筒体の上部から下部に向けて供給し、分級用の流体を筒体の下部から上部に向けて上昇流を生成するように供給し、粗粒子の沈降速度の違いによって粗粒子と微粒子とを上部と下部にそれぞれ移動させて分級している。この構成では混合粒子と分級用流体との衝突による乱流が発生するため、混合粒子を高濃度スラリー状態で供給しなければならない。つまり、混合粒子を低濃度スラリー状態で供給した場合には、乱流によってうまく分級が行われない場合も生じるため、混合粒子の供給は高濃度スラリー状態としておく必要があるのである。
【0012】
ところが、水中バリ取り加工などで回収される研掃材は水分を多く含んだ低濃度スラリー状態であるため、水中バリ取り加工などの装置に上記従来の水力分級機をそのまま組み込んで使用する場合には、研掃材を含む低濃度スラリーを高濃度スラリーにするための装置や高濃度スラリー状態で分級機の上部の混合粒子供給口へ搬送するためのポンプ、配管などが必要となる。この点からも、上記従来の水力分級機をそのまま水中バリ取り装置などに組込んで用いる場合には好適なものとは言えない。
【0013】
しかも、高濃度スラリーを搬送するため、脈動による振動の問題が新たに生じたり、ポンプや配管が詰まったり摩耗したりしてメンテナンスを頻繁に行わなければならないという新たな不具合が発生することにもつながる。よって、高濃度スラリーをなるべく取り扱うことなく水中バリ取り加工などの装置に分級機を組み込むことが望ましく、この点から考えても、上記従来の水力分級機をそのまま水中バリ取り加工などの装置として組込んで使用することは必ずしも好ましいものとは言えなかった。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−219651号公報
【特許文献2】
特開平6−154543号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、斯かる実情に鑑み、例えばワークの水中バリ取り加工などの装置に組込んで使用するのに好適な水力分級機を提供することを目的とする。さらに、本発明の目的は、例えば水中バリ取り加工などで回収される低濃度スラリー状態の混合粒子をそのまま供給して分級できる水力分級機を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、分級すべき微粒子及び粗粒子を含む混合粒子を湿式下で分級する水力分級機において、垂直方向に設けた筒体と、前記筒体の下部に設けられ、前記筒体内に上昇流を生成するように前記混合粒子を(とりわけ低濃度の)スラリー状態で供給する混合粒子供給手段と、前記筒体の上部に設けられ、分級された微粒子を前記筒体から取出すための微粒子取出し手段と、前記筒体の底部に設けられ、分級された粗粒子を前記筒体から取出すための粗粒子取出し手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明における筒体とは、いわゆる分級塔のことであり、垂直方向に設けられた筒体形状であれば円筒状、矩形筒状など何れの形状であっても全て含まれるものである。また、本発明の混合粒子供給手段とは、筒体に上昇流を生成するように混合粒子を供給する手段全てを含む概念のものであり、混合粒子の条件(スラリー濃度など)に応じて適宜選定され得るものである。
【0018】
また、本発明の微粒子取出し手段とは、分級された微粒子を筒体から外部へ取出す手段全てが含まれ、粗粒子取出し手段も同様に分級された粗粒子を筒体から取出す手段全てを含む概念のものである。
【0019】
さて、本発明の水力分級機は、垂直方向に設けた筒体と、混合粒子供給手段と、微粒子取出し手段と、粗粒子取出し手段とを備えて構成される。混合粒子供給手段は、筒体の下部(底部より上方の位置)に設けられており、筒体の下部から上部に向けて上昇流を生成するように混合粒子をスラリー状態で筒体内へ供給する。スラリー状態の混合粒子が筒体の下部から上部へ上昇するように流れていくと、その流れの過程で、粒径の大きな粗粒子と粒径の小さな微粒子とが分級する。つまり、粗粒子は上昇流速度が沈降速度より小さいため筒体の底部へ移動し、微粒子は上昇流速度が沈降速度より大きいため筒体の上部へ上昇流に乗って移動して分級が行われることとなる。
【0020】
なお、混合粒子供給手段は筒体の下部に設けられるものであるが、筒体内で混合粒子を供給する位置が筒体の下部であれば、本発明において全て筒体の下部に設けられるものに含まれる。具体的に言うと、混合粒子手段の筒体との接続口が筒体上部であっても、その接続口から筒体内部の下部まで配管を継ぎ、その配管から混合粒子を筒体内で上昇流を生成するように供給すれば、混合粒子の供給位置は筒体の下部となるので、本発明の筒体の下部に設けられる混合粒子供給手段に該当するものとなるのである。
【0021】
また、本発明では筒体の底部に粗粒子取出し手段を設けているが、この位置は混合粒子供給手段より下方の位置であるため、粗粒子を連続的に取出すことができることとなる。
【0022】
ここで特筆すべきことは、本発明では、スラリー状態(とりわけ低濃度のスラリー状態)の混合粒子をそのまま筒体に上昇流を生成するように供給した点である。
【0023】
即ち、従来の水力分級機では、前述したように分級用流体と混合粒子の衝突によって乱流を起こし、うまく分級が行われない場合も生じるため、混合粒子を高濃度スラリー状態で供給しなければならなかった。よって、例えば、水中バリ取り加工の過程で回収された研掃材を含むスラリーは、水分を多く含んだ低濃度スラリーであるから、前述したように濃度を高めた後に水力分級機へ供給しなくてはならず、水中バリ取り加工の装置が複雑で高価なものとなってしまうなどの問題があった。また、高濃度スラリーを取り扱うことによる振動などの問題もあった。これでは水中バリ取り加工の装置全体を考えた場合には、従来の水力分級機をそのまま組み込むことは好適とは言えない。
【0024】
このような実情を鑑みて、本願発明人は鋭意検討を重ねた結果、低濃度スラリーを筒体の下部から上昇流を生成するように供給するという着想を得て、この着想を元に水中バリ取り加工などで要求される分級精度を満足させることができ、かつ、余計なポンプや配管などを設置することなくそのまま簡単に水中バリ取り加工などの装置に組み込める水力分級機の発明を完成するに至ったのである。
【0025】
そして、本発明によって、低濃度スラリー状態の混合粒子であってもそのまま筒体の下部より筒体内に供給してやれば、水中バリ取り加工などにおいて十分満足する分級精度を得ることができ、しかも、水中バリ取り加工などの装置にそのまま組み込むだけで使用できる好適な水力分級機となったのである。加えて、高濃度スラリー状態にする装置や高濃度スラリーを搬送するポンプや配管なども一切不要となり、水中バリ取り加工などの装置全体を簡単な構成にすることができるようになるのである。
【0026】
また、水力分級機自体も混合粒子供給手段と分級用流体供給手段の二つの手段を備える必要がないから、構造が簡単となり、安価となる。
【0027】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の水力分級機において、前記混合粒子供給手段は、前記筒体の下部内周に沿って全体的に配設される管状部材を備えており、該管状部材には、(スラリー状態の)混合粒子を水平方向で前記筒体の内方に向けて噴出するための複数の供給口部が設けられていることを特徴としている。
【0028】
本発明の管状部材は、筒体の下部の位置で内周に沿って全体的に(略全体に亘って内周に沿うように)配設される管状の部材全てを含む概念のものである。例えば、筒体が円筒形の場合には、管状部材を円筒形筒体の内周に沿うように略環枠状で形成して配設すれば、本発明の管状部材となる。或は、筒体が矩形筒形の場合には、管状部材を矩形筒形の筒体内周に沿うように矩形枠状で形成して配設すれば良い。
【0029】
なお、本発明の管状部材は、筒体の下部の位置で内周に沿って全体的に配置されていれば良く、必ずしも筒体内周の形状に合わせておかなくても良い。つまり、筒体内周に沿うように配設されるものであれば、筒体内周の形状に合わせるように形成されたものであっても、筒体内周に沿う程度の形状であっても、本発明の管状部材に含まれる。例えば、矩形筒形の筒体に略環枠状の管状部材を内周に全体的に配設しても、この略環枠状の管状部材は筒体内周に沿うものであるから本発明に該当する。或は、円筒形の筒体内周に多角形枠状の管状部材を配設しても、この管状部材は円筒形の筒体内周に沿うこととなり、本発明に含まれるものとなる。
【0030】
また、本発明の供給口部とは、スラリー状態の混合粒子が管状部材から水平方向で筒体内方へ向けて噴出することができる構造全てを含むものである。例えば、管状部材の内側面(筒体内方側の側面)に孔を開けただけの構成でも、混合粒子がその孔から水平方向で筒体内方へ噴出することができるから、この構成は本発明の供給口部に該当する。また、管状部材を構成する部品としてティーを用い、管状部材を接続しないティーの接続口を水平方向内方に向けて、この接続口から混合粒子を筒体内方へ噴出させるようにしても本発明の供給口部となる。
【0031】
本発明によれば、筒体の下部内周に沿って全体的に配設される管状部材には、混合粒子を水平方向で筒体の内方に向かって噴出するための複数の供給口部が設けられているから、混合粒子供給手段によって筒体内に供給される混合粒子はこの複数の供給口部を通過して水平方向で筒体の内方に向かって噴出されることとなる。
【0032】
従って、混合粒子を筒体内へ供給すると、上向きの速度成分がない(水平方向の速度成分のみである)ので混合粒子は全て水平方向で筒体の内方へ噴出された後に均一に上昇する流れが確保される。水力分級機では、分級精度は流れの均一性に左右されが、本発明のように構成することで、混合粒子の上昇流は均一な流れとなるから、混合粒子の分級精度が向上するのである。
【0033】
なお、本発明において供給口部は管状部材に複数設けられるものであるが、設けられる位置・間隔や供給口部の数は混合粒子の供給量などを考慮して適宜決定し得るものである。また、供給口部の大きさ(例えば、孔の径)は、供給される混合粒子の流量に応じて好適となるように決定されることは言うまでもない。
【0034】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の水力分級機において、(スラリー状態の)混合粒子を斜め方向(即ち、斜め上方向、及び/又は、斜め下方向)で前記筒体の外方に向けて噴出するための複数の噴出口部を前記管状部材に更に設けたことを特徴とするものである。
【0035】
本発明の噴出口部とは、スラリー状態の混合粒子が管状部材から筒体の外方に向けて斜め方向(斜め上方向、及び/又は、斜め下方向)に噴出することができる構造全てを含むものである。例えば、管状部材の外側(筒体内側面と対面する側)の側面で上部及び/又は下部に孔を開けただけの構成でも、混合粒子は、その孔から筒体の外方に向けて(その孔から筒体内側面に向かって)斜め上方向及び/又は斜め下方向へ噴出することができるから、この構成は本発明の噴出口部に該当する。また、管状部材を構成する部品としてティーを用い、管状部材を接続しないティーの接続口を斜め方向に向けて取り付け、この接続口から混合粒子を筒体外方へ噴出させるようにしても本発明の噴出口部となる。
【0036】
さて、筒体の下部に供給された混合粒子は上昇流れの過程で粗粒子と微粒子とに分級され、粗粒子は筒体の底部に移動する。このとき、筒体下部の位置には管状部材が内周に沿って全体的に配置されているため、粗粒子の一部は筒体の底部に到達せずに筒体の内側面と管状部材との間に溜まってしまう場合もある。
【0037】
そこで、本発明では、管状部材に複数の噴出口部を設け、この噴出口部から混合粒子を斜め方向で筒体の外方に向かって噴出するようにして、粗粒子が管状部材と筒体内側面との間に溜まるのを防止しているのである。
【0038】
即ち、混合粒子供給手段から供給される混合粒子は管状部材内に搬送され前述の供給口部から水平方向で筒体内方に向かって噴出されるが、本発明では、同時に噴出口部を介して混合粒子が筒体側面に向かって斜め上方向及び/又は斜め下方向へも噴出される。そうすると、噴出口部から噴出される混合粒子の流れにより、筒体側面と管状部材との間に溜まった粗粒子が上方に噴き上げられ、筒体底部に再び移動することが可能となる。
【0039】
従って、粗粒子は筒体内側面と管状部材との間に溜まることなく粗粒子取出し手段によって回収することができるのである。別言すれば、筒体内側面と管状部材との間に粗粒子がたとえ溜まったとしても、噴出口部から噴出される混合粒子の流れによって、確実に粗粒子取出し手段によって回収できるようになるのである。
【0040】
ここで、噴出口部から噴出される混合粒子の速度成分(向き)は斜め方向であるため、前述した供給口部から水平方向に筒体内方へ噴出されたスラリー状態の混合粒子の均一な上昇流を乱す要因となる場合も考えられる。このため、本発明における噴出口部の大きさ(口径)、設けられる位置・間隔、数などは混合粒子の上昇流を乱さない、或は、乱しても許容できる程度の範囲内で決定されるものである。
【0041】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水力分級機において、前記筒体内で前記混合粒子供給手段と前記微粒子取出し手段との間の位置に、前記混合粒子供給手段による混合粒子の上昇流を整流化するための整流化手段を配設したことを特徴としている。
【0042】
本発明によれば、混合粒子供給手段から筒体内に供給される混合粒子の上昇流を整流化するための整流化手段を備えているから、混合粒子の上昇流をより一層均一な流れにすることができる。よって、混合粒子の分級精度を向上させることができることとなる。
【0043】
整流化手段が配設される位置は、筒体内で混合粒子供給手段と微粒子取出し手段との間の位置であれば何れの位置であっても良い。かかる位置に配設されていれば、混合粒子の上昇流を均一にできるからである。
【0044】
この整流化手段の好ましい態様としては、次のような構成が挙げられる。
【0045】
即ち、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の水力分級機において、前記整流化手段は、複数の孔部を有する板状部材を水平方向に配置して構成されていることを特徴とするものである。
【0046】
本発明は、水平方向に配置された板状部材に設けられた複数の孔部が、混合粒子の上昇流を絞って均一なものとする構成となっている。この構成により、混合粒子は均一な流れとなり分級精度が向上する。なお、孔部の大きさ、数は、混合粒子の供給量などを考慮して適宜決定すれば良い。
【0047】
また、別の態様として、整流化手段を次のような構成としても良い。
【0048】
即ち、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の水力分級機において、前記整流化手段は、複数の傾斜板を並列配置して構成されており、隣接する傾斜板の一方の上端部と他方の下端部とが平面視で(垂直方向から見て)重なるように配設されていることを特徴とするものである。
【0049】
本発明によれば、並列配置した複数の傾斜板のうち隣接する傾斜板の一方の上端部と他方の下端部とが平面視で重なるように配設されているから、混合粒子の上昇流は強制的に傾斜板に沿った流れとなり、流れが均一となる。
【0050】
この構成でも、混合粒子が均一な流れで上昇していくから、分級精度が向上することとなる。なお、本発明における傾斜板の数、傾斜角度は混合粒子の供給量などに応じて適宜決定すれば良い。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。尚、図中、図と同一の符号を付した部分は同一物又は相当物を表わしている。図1は、本発明の第一実施形態に係る水力分級機を示している。本実施形態に係る水力分級機は、垂直方向に設けられた略矩形筒状の筒体1と、混合粒子を供給する混合粒子供給手段2と、筒体1の上部に設けられ、分級された微粒子を取出すための微粒子取出し手段3と、筒体1の底部に設けられ、分級された粗粒子を取出すための粗粒子取出し手段4とで主に構成されている。
【0052】
混合粒子供給手段2は、複数の供給口部6a,6b,・・・を有する管状部材5を備えて構成されている。この管状部材5は筒体1の下部内周に沿って全体的に配設されており、ポンプなど(不図示)によって送り出されたスラリー状態の混合粒子が管12を通過して管状部材5までたどり着くと、複数の供給口部6a、6b等から水平方向で筒体1の内方に向かって噴出するようになっている。
【0053】
供給口部6a,6b等から噴出された混合粒子は上昇流を生成するように上方へ流れていき、その過程で混合粒子は微粒子と粗粒子とに分級される。微粒子は上方へ移動し、筒体1の上方から溢れ出た微粒子は微粒子取出し手段3によって収容され、微粒子取出し部13から回収される。また、粗粒子は筒体1の底部へ移動して、粗粒子取出し手段4によって捕獲され、粗粒子取出し部14から回収される。この粗粒子取出し手段4は、混合粒子手段2を構成する管状部材5より低い位置に配設されており、分級された粗粒子を連続的に回収できるようになっている。
【0054】
また、混合粒子の上昇流を整流化するために、筒体1の内部には整流化手段8が配設されている。この整流化手段8は、複数の孔部10a,10b,・・・が開けられた板状部材9で構成されている。従って、管状部材5の供給口部6a,6b等から水平方向内方へ向かって噴出された混合粒子は、図1中の矢印のように孔部10a,10b等を通過して筒体1の上部へと上昇していくようになる。板状部材9に開けられた孔部10a,10b等により、混合粒子の上昇流が規制されて整流化が図られるのである。
【0055】
次に、管状部材5の詳細について図2と共に説明する。管状部材5は筒体1の内周に沿うように矩形枠状で形成されている。具体的に言うと、五つの管22a,22b,22c,22d,22eを四つのエルボ20a,20b,20c,20dで接続し、管22dと管22eとをティー21で接続して矩形枠状を形成している。なお、エルボ20a〜dとして溶接形のものを用いる場合には、突合せ溶接形、差込み溶接形の両方共に使用可能であるが、管22a〜dとの接続部(内面)に段差や隙間が生じ難い突合せ溶接形が好ましい。差込み溶接形の場合には、管との接続部に段差や隙間があるために、混合粒子の流れが乱れる場合があるからである。
【0056】
供給された混合粒子はティー21へ流入し、そこから管22d側と管22e側とに分岐して流れて行く。各管22a〜eには供給口部6a〜hが開けられており、混合粒子は各管22a〜eを通過しながら各供給口部6a〜hから水平方向内方(矢印Aの方向)へ噴出される。
【0057】
噴出された混合粒子は上昇流として筒体1の上方へ向かって流れて行く過程で分級され、粗粒子は筒体1の底部側へ移動するが、管状部材5は筒体1の内周面に沿って配設されるものであるため、粗粒子の一部が筒体1の内周面と管状部材5との間で溜まってしまう。そこで、本実施形態では管状部材5を構成する管22a〜dの外側面(筒体1と対面する側面)の下部の位置に噴出口部7a〜dを開けている。この構成によって、混合粒子は噴出口部7a〜dを通過して筒体1の外方で斜め下方向に(矢印Bの方向に)噴出されるため、斜め下方向に噴出された混合粒子が後に上昇流となって筒体1の内側面と管状部材5との間に溜まった粗粒子を噴き上げて筒体1の底部に設けられた粗粒子取出し手段4へ移動させることができるのである。
【0058】
次に、このように構成された本実施形態に係る水力分級機を用いた使用態様を説明する。図3は、本実施形態に係る水力分級機を水中バリ取り加工の装置に組み込んだ概略構成図を示している。尚、水中バリ取り装置の詳細については、特許文献1に言及されている。
【0059】
図3に示す水中バリ取り加工の装置は、処理槽31と、高圧洗浄用ノズル33と、メディア噴射用ノズル32と、切換えバルブ38と、クリーンタンク41と、ホッパ37と、メディア回収用タンク42と、高圧ポンプ40と、メディア回収用ポンプ45と、フィルタ43とを主に備えた構成となっている。
【0060】
処理槽31内部は所定高さまで処理水が満たされた状態となっており、ワークはこの処理槽31内の処理水中に軸回転可能なクランプ部39によって保持されている。
【0061】
クリーンタンク41は後述する混合噴射及び高圧洗浄に利用する処理水を貯蔵するものである。ホッパ37は、混合噴射に利用するメディア(研掃材)と水とを貯蔵するものである。
【0062】
メディア噴射用ノズル32は、ワークに対してメディアと処理水の混合水を噴射するものである。ここで、メディアは、ワークの種類に応じて例えば、樹脂、ガラスビーズ、セラミック等から最適なものを選択して使用する。メディア噴射ノズルは、アーム34の下端で処理水供給管36aに接続されており、高圧ポンプ40によってクリーンタンク41に貯蔵されている処理水が供給されるようになっている。
【0063】
また、メディア噴射用ノズル32は、メディア供給管35によって、メディア供給バルブ46を介してホッパ37と接続され、また搬送水供給バルブ47を介してメディア搬送水用タンク(図示せず)に接続されている。そして、メディア供給バルブ46と搬送水供給バルブ47とを共に開くことによって、ホッパ37内のメディアが低圧の搬送水によってメディア噴射用ノズル32に供給され噴射されるようになっている。従って、高圧処理水噴射による負圧の力と、低圧搬送水とによって、メディアがメディア噴射用ノズル32にスムースに供給され、クリーンタンク41内の処理水と、ホッパ内のメディアが混合されて噴射されるようになっている。
【0064】
高圧洗浄用ノズル33は、ワークに対して処理水のみを噴射してワークに残留するメディアを洗浄除去するものである。高圧洗浄用ノズル33は、アーム34下端でメディア噴射用ノズル32に接続された処理水供給管36aとは異なる処理水供給管36bに接続されており、高圧ポンプ40によってクリーンタンク41に貯蔵されている処理水が供給されるようになっている。
【0065】
アーム44はその上部で4軸ロボットの駆動軸(図示せず)に接続されており、このため高圧洗浄用ノズル33とメディア噴射用ノズル32は、バリ取り対象のワークのサイズ、位置に応じて立体的に移動できかつ回転可能となっている。
【0066】
高圧ポンプ40は、その駆動により、クリーンタンク41内の処理水を高圧洗浄用ノズル33及びメディア噴射用ノズル32に供給するものである。切換えバルブ38は、クリーンタンク41内の処理水の高圧洗浄用ノズル33への供給と、メディア噴射用ノズル32への供給とを切り換えるものである。切換えバルブ38をメディア噴射用ノズル側に切り換えることにより処理水はメディア噴射用ノズル32に供給され、切換えバルブ38を高圧洗浄用ノズル側に切り換えることにより処理水は高圧洗浄用ノズル33に供給されるようになっている。
【0067】
メディア回収用タンク42は、混合噴射に使用したメディアと処理水の混合水を一時的に蓄えるものであり、配水管により排水バルブ44を介して処理槽31底面に接続され、クリーンタンク41に隣接配置されている。そして、排水バルブ44を開くことにより、処理槽内部のメディアと処理水の混合水がメディア回収用タンク42に排出されるようになっている。
【0068】
フィルタ43は、メディア回収用タンク42とクリーンタンク41の隔壁の一部として配置されており、メディア回収用タンク内部の混合水からメディアを濾過して処理水の一部をクリーンタンク41へ導出するものである。
【0069】
メディア回収用ポンプ45は、その駆動によりメディア回収用タンク内のメディア、即ち混合水から分離されたメディアを本発明の水力分級機へ搬送するものである。つまり、このメディア回収用ポンプ45は、低濃度スラリー状態のメディア(研掃材の混合粒子)を本発明の水力分級機へ供給するための混合粒子供給手段2の一部を構成するものである。
【0070】
以上のように構成された水中バリ取り装置及びそれに組み込まれた本発明の水力分級機の使用方法について次に説明する。
【0071】
まず、成形・機械加工等の処理を施してバリが生じているワークを、処理槽31の内の水中に入れてクランプ部39で保持し、4軸ロボットを駆動してメディア噴射用ノズル32と高圧洗浄用ノズル33をワークのサイズに応じて所望の位置へ移動する。そして、切換えバルブ38を操作してメディア噴射用ノズル32側に切り換える。
【0072】
次いで、4軸ロボットを駆動してアーム44を軸心周りに回転させ、またクランプ部39も軸心周りに回転駆動してワークを回転させる。これはワークに対して死角のない6面狙い撃ちでバリ取りを行うためである。そして、高圧ポンプ40を駆動してクリーンタンク41内の処理水を高圧洗浄用ノズル33からワークに対して水中で、例えば圧力3〜7MPaで噴射する。これと同時に、メディア供給バルブ46と搬送水供給バルブ47を共に開き、ホッパ内のメディアを低圧の搬送水によってメディア噴射ノズルから水中で噴射する。これにより、メディア噴射用ノズル32からは、ワークに向けてメディアと高圧処理水が混合されて混合水として噴射される。これにより、噴射されたメディアと高圧処理水の混合水により、ワークのバリが除去される。
【0073】
この混合噴射を一定時間行ったら、メディア供給バルブ46と搬送水供給バルブ47を共に閉めると共に、切換えバルブ8を高圧洗浄用ノズル側に切換えて、メディア噴射用ノズル42からの混合水の噴射を停止する。
【0074】
このとき、切換えバルブ38が高圧洗浄用ノズル側に切り換えられているので、クリーンタンク41内の処理水は、高圧洗浄用ノズル33からワークに対して高圧噴射される。これにより、混合噴射によりワークに残存するメディアが洗浄除去される。
【0075】
処理槽31には、バリ取り処理及び洗浄処理後の混合水(メディア及び処理水)が残存しているが、排水バルブ44を開けることにこの混合水をメディア回収用タンク42に排出する。メディア回収用タンク42に排出された混合水は、フィルタ43によって濾過されて、処理水の一部がクリーンタンク41に回収される。一方、メディア回収用タンク42にはメディアが処理水と共に残存する。
【0076】
クリーンタンク41に回収された処理水は、高圧ポンプ40の駆動により次のバリ取り処理に循環利用される。メディア回収用タンク内のメディアは、メディア回収用ポンプ45を駆動させることにより水分を多く含んだ状態で(即ち、低濃度スラリー状態で)本発明の水力分級機へと供給される。水力分級機の筒体1に供給されたメディア(研掃材の混合粒子)は、筒体1の下部に配設された管状部材5から筒体1の水平方向内方へ噴出され、上昇流となって筒体1の上部へ流れて行く。この過程でメディアは微粒子と粗粒子とに分級され、ワークのバリ取りに再利用できる粗粒子のみを粗粒子取出し手段によって取出してホッパ37に回収する。このとき、排出バルブ48を開けて、メディア回収用ポンプ45の吐出水の一部をメディア回収用タンク42に戻している。このため、メディアはメディア回収用タンク内で攪拌され、回収効率が向上する。
【0077】
ここで、低濃度スラリー状態のメディアを直接本発明の水力分級機に供給しても水中バリ取り加工に必要な精度の分級を行えるかを確認するために、図3に示す構成の下で分級試験を行った。
【0078】
この試験に用いた水力分級機は、筒体1の口径が一辺258mmの正方形であり、筒体1の高さが約700mmの大きさのものである。また、筒体1の内部に配設された整流化手段8は、直径3mmの孔部を5mm間隔で60度の千鳥格子状に複数配列した三枚の板状部材9a,9b,9cで構成されている。
【0079】
試験に用いたメディア(研掃材)は、メラミン樹脂(代表粒径300μm)である。このメディアを用いた水中バリ取り加工においては、粒径が180μm以下の粒子では加工能力が発揮されないため、分級機に要求される分級点(d98)が180μmである。
【0080】
試験方法としては、実際にメディアをワークに噴射し、メディア回収用タンク42から回収されたメディアを含む低濃度スラリーをメディア回収用ポンプ45を駆動して水力分級機に供給し、水力分級機で分級された粗粒子と微粒子のうち微粒子取出し手段3から回収された微粒子(メディア)の粒度分布を測定して評価するという方法を用いた。なお、水力分級機に供給される流体(メディアと水の懸濁液)のスラリー濃度を測定したところ濃度は3wt%であり、メディアの粒度分布は粒径300μm超が7.8%、250〜300μmが37.2%、180〜250μmが45.8%、90〜180μmが9%、90μm以下が0.2%という分布であった。よって、水力分級機で分級された微粒子に粒径180μmを超える粒子が殆ど含まれていなければ、本実施形態に係る水力分級機は、十分な分級性能を有することが確かめられることとなる。
【0081】
微粒子取出し手段3で回収された微粒子の粒径分布を調べると、粒径180μm超が1.9%、90〜180μmが52.4%、45〜90μmが45.7%の粒度分布となった。このことから、微粒子取出し手段3から取出された微粒子は、殆どが粒径180μm以下のものであり、水中バリ取り加工に十分満足できる分級精度であることが確認できた。つまり、本実施形態に係る水力分級機を水中バリ取り加工の装置にそのまま組み込めば、例えば代表径300μmの研掃材を用いてワークのバリ取り加工を行う場合に、再利用できない180μm以下の粒径の研掃材をほぼ完全に取り除くことができるということが言える。
【0082】
また、整流化手段8によって分級精度にどの程度の差異があるかを比較するために、板状部材9を一枚(即ち板状部材9aのみ)にして測定したところ、微粒子取出し手段3で回収された微粒子の分布は、粒径180μm超が6.6%、90〜180μmが64.4%、45〜90μmが29.0%の粒度分布となった。このことから、整流化手段8として複数の孔部10a,b・・・を有する板状部材9を用いた場合には、この板状部材9を三枚使用した方が粒径180μm超が1.9%しか含まれなかったことから、粗粒子と微粒子とがより精度良く分級されることが確認できた。従って、より精度良く分級したい場合には、板状部材9を複数枚用い、それほど分級精度が要求されない場合には、板状部材9は一枚でも十分であることが確認できた。もちろん、分級精度の要求が低い場合には、整流化手段8を設けておかなくても十分である。
【0083】
次に、本発明の第二実施形態に係る水力分級機について図4と共に説明する。本実施形態の特徴は、整流化手段として複数の傾斜板を用いた点にある。よって、以下ではこの整流化手段に関する事項について説明することとし、第一実施形態に係る水力分級機と同一のものについては図中に同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0084】
本実施形態における整流化手段108は複数の傾斜板109a,b,c・・・を並列配置して構成されている。そして、隣接する傾斜板109bの上端部と傾斜板109aの下端部とが平面視で(筒体1の上面側から見て)重なるように配設されている。
【0085】
このように構成された整流化手段108によっても、混合粒子の上昇流は各傾斜板によって流れ方向が図中の矢印の如く規制されて安定した流れ状態が維持される。よって、混合粒子の分級精度を良好に保つことができる。
【0086】
なお、上記では水中バリ取り装置に組み込んだ使用態様例を説明したが、本発明の水力分級機はこれに限定されるものではなく、あらゆる装置に組込んで使用できることは言うまでもない。
【0087】
また、本発明の水力分級機は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0088】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明に係る水力分級機によれば、低濃度スラリー状態の混合粒子をそのまま供給して分級を行えるという優れた効果を奏し得る。例えば、ワークの水中バリ取り加工で回収された研掃材を含む低濃度スラリー状態の液体をそのまま供給すれば研掃材の分級を行うことができるため、水力分級機を組み込むための余分な配管やポンプなどは不要となり、コストを低く抑えることができる。言い換えれば、本発明の水力分級機は、簡単に水中バリ取り加工の装置に組み込める好適なものとなるのである。また、低濃度スラリーの液体をそのまま扱えるので、高濃度スラリー液体を取り扱う際に生じる液体搬送中の脈動等の問題もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る水力分級機を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る水力分級機の管状部材の概略構成図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る水力分級機を水中バリ取り加工の装置に組み込んだ使用態様を示す図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る水力分級機を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1:筒体
2:混合粒子供給手段
3:微粒子取出し手段
4:粗粒子取出し手段
5:管状部材
6a,b・・・:供給口部
7a,b・・・:噴出口部
8,108:整流化手段
9:板状部材
10a,b・・・:孔部
109a,b・・・:傾斜板
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿式下で混合粒子の分級を行う水力分級機に関するものであり、特に、比較的粒径の大きな粒子(50〜500μm程度の粒径)の分級を行う水力分級機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブラスト装置、ピーニング装置によるワーク(処理対象物)のバリ取り等の加工処理は、研掃材をワークに衝突させることによって行われる。このため、研掃材の粒径はワークとの衝突によって摩耗して粒径が小さくなってしまう。小さくなった粒径の研掃材を用いてバリ取り等の加工処理を行うと加工能力が低下するので、粒径の小さくなった研掃材をその他の研掃材の中から取り除かなければならない。この粒径の小さくなった研掃材を取り除くために、従来から分級機が広く用いられている。この分級機は、一般に乾式、湿式、篩い分け式に種別されることは周知の通りである。
【0003】
例えば、水中下でのワークのバリ取り加工は、研掃材と水との混合液をワークに対して噴射することによって行う(特許文献1参照)。このとき、ワークに衝突した研掃材は水中で沈下して、水と共に回収される。即ち、研掃材を含有するスラリー状態で研掃材は回収される。よって、水中バリ取り加工などにおいては、スラリーに含まれる研掃材を粒径別に分級して摩耗した小さい粒径の研掃材のみを除去するために、通常、湿式の分級機が用いられている。
【0004】
水中バリ取り加工などで用いる研掃材の粒径はおよそ50〜500μmと比較的大きなものである。水中バリ取り加工では、ワークを所定の仕上がりにできれば十分であるから、摩耗した研掃材と再使用できる研掃材とを分級するために要求される分級点は一般に分級点(d98)が50〜200μm程度である。つまり、水中でワークのバリ取り加工を行ったり、あるいはこれに類する加工を行う場合においては、さほど高精度な分級は要求されないのである。
【0005】
よって、上記の水中バリ取り加工などに用いる分級機としては、比較的分級精度は低くても簡便な構造であって、バリ取り加工の装置に組込んで研掃材を簡単に効率良く分級できるようなものが望まれる。つまり、分級点(d98)が50〜200μm程度の分級機であればそれ以上の高精度は不要であり、逆に簡便な構造であって、バリ取り加工の装置に簡単に組み込める分級機である方が好ましいのである。
【0006】
ところで、湿式分級機は、形式によって沈降分級、機械的分級、水力分級、遠心分級に大きく分類され、一般に、研掃材の粒径が小さい場合(5〜100μm程度の範囲)では、サイクロン(遠心分級)を利用するのが便利である。しかしながら、上述したワークのバリ取り加工などに用いる研掃材の粒径は通常50〜500μmと比較的大きいため、サイクロンによる分級は不向きであり、上記のバリ取り加工の装置に組込んで用いるには無理がある。
【0007】
どうしてもサイクロンを用いて上述の研掃材のような大きな分級径の粒子を分級しようとするならば、研掃材を含有するスラリーのサイクロンへの流入圧力を極端に下げて流入量を小さくすれば、比較的大きな分級径を得ることは可能ではある。しかし、数百μm程度の範囲の粒径の場合にはサイクロンによる分級で所望の分級径を得ることは困難である。また、サイクロンを大型化することで比較的大きな粒径のものでも分級できるようにはなるが、この場合、コストがかかる上、研掃材を含有するスラリーの流入量を多量に供給しなければ分級を行えないといった問題もあり、水中バリ取り加工の装置にそのまま組込んで使用するのに適したものとは言えなかった。
【0008】
一方、水力分級機を用いると50〜500μmの範囲の粒径においても分級は可能となる。しかしながら、一般に用いられている水力分級機は、根本的に分級精度を如何に上げるかという点に注力して開発されているものであり、高精度な分級を必要としないバリ取り加工などで用いるには分級機の仕様が過剰である。
【0009】
例えば、特許文献2に開示されている水力分級機では、大略100μm以下の分級点で高精度な分級機を提供することを目指している。そのために、この従来技術では分級すべき微粒子および粗粒子を含む混合粒子を複数の分級用液体供給口から供給したり、回転容器の回転により混合粒子をなるべく均一に供給するようにしている。
【0010】
この従来技術では確かに高精度な分級性能が発揮されるが、高価な装置となってしまう。しかも、上記従来の技術では混合粒子を筒体の上部から供給する構造となっているため、混合粒子をポンプなどで高位置まで汲み上げなければならない。よって、バリ取り加工などの装置に組込んで使用する場合には、新たにポンプや配管等が必要となり、かえってバリ取り加工装置が複雑となってしまう。従って、上記の従来技術(特許文献2)のような水力分級機をバリ取り加工の装置にそのまま組込んで用いる場合には、装置の複雑化、コスト面などにおいて好適と言えるものではなかった。
【0011】
また、上記従来の技術(特許文献2)では、混合粒子を筒体の上部から下部に向けて供給し、分級用の流体を筒体の下部から上部に向けて上昇流を生成するように供給し、粗粒子の沈降速度の違いによって粗粒子と微粒子とを上部と下部にそれぞれ移動させて分級している。この構成では混合粒子と分級用流体との衝突による乱流が発生するため、混合粒子を高濃度スラリー状態で供給しなければならない。つまり、混合粒子を低濃度スラリー状態で供給した場合には、乱流によってうまく分級が行われない場合も生じるため、混合粒子の供給は高濃度スラリー状態としておく必要があるのである。
【0012】
ところが、水中バリ取り加工などで回収される研掃材は水分を多く含んだ低濃度スラリー状態であるため、水中バリ取り加工などの装置に上記従来の水力分級機をそのまま組み込んで使用する場合には、研掃材を含む低濃度スラリーを高濃度スラリーにするための装置や高濃度スラリー状態で分級機の上部の混合粒子供給口へ搬送するためのポンプ、配管などが必要となる。この点からも、上記従来の水力分級機をそのまま水中バリ取り装置などに組込んで用いる場合には好適なものとは言えない。
【0013】
しかも、高濃度スラリーを搬送するため、脈動による振動の問題が新たに生じたり、ポンプや配管が詰まったり摩耗したりしてメンテナンスを頻繁に行わなければならないという新たな不具合が発生することにもつながる。よって、高濃度スラリーをなるべく取り扱うことなく水中バリ取り加工などの装置に分級機を組み込むことが望ましく、この点から考えても、上記従来の水力分級機をそのまま水中バリ取り加工などの装置として組込んで使用することは必ずしも好ましいものとは言えなかった。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−219651号公報
【特許文献2】
特開平6−154543号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、斯かる実情に鑑み、例えばワークの水中バリ取り加工などの装置に組込んで使用するのに好適な水力分級機を提供することを目的とする。さらに、本発明の目的は、例えば水中バリ取り加工などで回収される低濃度スラリー状態の混合粒子をそのまま供給して分級できる水力分級機を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、分級すべき微粒子及び粗粒子を含む混合粒子を湿式下で分級する水力分級機において、垂直方向に設けた筒体と、前記筒体の下部に設けられ、前記筒体内に上昇流を生成するように前記混合粒子を(とりわけ低濃度の)スラリー状態で供給する混合粒子供給手段と、前記筒体の上部に設けられ、分級された微粒子を前記筒体から取出すための微粒子取出し手段と、前記筒体の底部に設けられ、分級された粗粒子を前記筒体から取出すための粗粒子取出し手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明における筒体とは、いわゆる分級塔のことであり、垂直方向に設けられた筒体形状であれば円筒状、矩形筒状など何れの形状であっても全て含まれるものである。また、本発明の混合粒子供給手段とは、筒体に上昇流を生成するように混合粒子を供給する手段全てを含む概念のものであり、混合粒子の条件(スラリー濃度など)に応じて適宜選定され得るものである。
【0018】
また、本発明の微粒子取出し手段とは、分級された微粒子を筒体から外部へ取出す手段全てが含まれ、粗粒子取出し手段も同様に分級された粗粒子を筒体から取出す手段全てを含む概念のものである。
【0019】
さて、本発明の水力分級機は、垂直方向に設けた筒体と、混合粒子供給手段と、微粒子取出し手段と、粗粒子取出し手段とを備えて構成される。混合粒子供給手段は、筒体の下部(底部より上方の位置)に設けられており、筒体の下部から上部に向けて上昇流を生成するように混合粒子をスラリー状態で筒体内へ供給する。スラリー状態の混合粒子が筒体の下部から上部へ上昇するように流れていくと、その流れの過程で、粒径の大きな粗粒子と粒径の小さな微粒子とが分級する。つまり、粗粒子は上昇流速度が沈降速度より小さいため筒体の底部へ移動し、微粒子は上昇流速度が沈降速度より大きいため筒体の上部へ上昇流に乗って移動して分級が行われることとなる。
【0020】
なお、混合粒子供給手段は筒体の下部に設けられるものであるが、筒体内で混合粒子を供給する位置が筒体の下部であれば、本発明において全て筒体の下部に設けられるものに含まれる。具体的に言うと、混合粒子手段の筒体との接続口が筒体上部であっても、その接続口から筒体内部の下部まで配管を継ぎ、その配管から混合粒子を筒体内で上昇流を生成するように供給すれば、混合粒子の供給位置は筒体の下部となるので、本発明の筒体の下部に設けられる混合粒子供給手段に該当するものとなるのである。
【0021】
また、本発明では筒体の底部に粗粒子取出し手段を設けているが、この位置は混合粒子供給手段より下方の位置であるため、粗粒子を連続的に取出すことができることとなる。
【0022】
ここで特筆すべきことは、本発明では、スラリー状態(とりわけ低濃度のスラリー状態)の混合粒子をそのまま筒体に上昇流を生成するように供給した点である。
【0023】
即ち、従来の水力分級機では、前述したように分級用流体と混合粒子の衝突によって乱流を起こし、うまく分級が行われない場合も生じるため、混合粒子を高濃度スラリー状態で供給しなければならなかった。よって、例えば、水中バリ取り加工の過程で回収された研掃材を含むスラリーは、水分を多く含んだ低濃度スラリーであるから、前述したように濃度を高めた後に水力分級機へ供給しなくてはならず、水中バリ取り加工の装置が複雑で高価なものとなってしまうなどの問題があった。また、高濃度スラリーを取り扱うことによる振動などの問題もあった。これでは水中バリ取り加工の装置全体を考えた場合には、従来の水力分級機をそのまま組み込むことは好適とは言えない。
【0024】
このような実情を鑑みて、本願発明人は鋭意検討を重ねた結果、低濃度スラリーを筒体の下部から上昇流を生成するように供給するという着想を得て、この着想を元に水中バリ取り加工などで要求される分級精度を満足させることができ、かつ、余計なポンプや配管などを設置することなくそのまま簡単に水中バリ取り加工などの装置に組み込める水力分級機の発明を完成するに至ったのである。
【0025】
そして、本発明によって、低濃度スラリー状態の混合粒子であってもそのまま筒体の下部より筒体内に供給してやれば、水中バリ取り加工などにおいて十分満足する分級精度を得ることができ、しかも、水中バリ取り加工などの装置にそのまま組み込むだけで使用できる好適な水力分級機となったのである。加えて、高濃度スラリー状態にする装置や高濃度スラリーを搬送するポンプや配管なども一切不要となり、水中バリ取り加工などの装置全体を簡単な構成にすることができるようになるのである。
【0026】
また、水力分級機自体も混合粒子供給手段と分級用流体供給手段の二つの手段を備える必要がないから、構造が簡単となり、安価となる。
【0027】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の水力分級機において、前記混合粒子供給手段は、前記筒体の下部内周に沿って全体的に配設される管状部材を備えており、該管状部材には、(スラリー状態の)混合粒子を水平方向で前記筒体の内方に向けて噴出するための複数の供給口部が設けられていることを特徴としている。
【0028】
本発明の管状部材は、筒体の下部の位置で内周に沿って全体的に(略全体に亘って内周に沿うように)配設される管状の部材全てを含む概念のものである。例えば、筒体が円筒形の場合には、管状部材を円筒形筒体の内周に沿うように略環枠状で形成して配設すれば、本発明の管状部材となる。或は、筒体が矩形筒形の場合には、管状部材を矩形筒形の筒体内周に沿うように矩形枠状で形成して配設すれば良い。
【0029】
なお、本発明の管状部材は、筒体の下部の位置で内周に沿って全体的に配置されていれば良く、必ずしも筒体内周の形状に合わせておかなくても良い。つまり、筒体内周に沿うように配設されるものであれば、筒体内周の形状に合わせるように形成されたものであっても、筒体内周に沿う程度の形状であっても、本発明の管状部材に含まれる。例えば、矩形筒形の筒体に略環枠状の管状部材を内周に全体的に配設しても、この略環枠状の管状部材は筒体内周に沿うものであるから本発明に該当する。或は、円筒形の筒体内周に多角形枠状の管状部材を配設しても、この管状部材は円筒形の筒体内周に沿うこととなり、本発明に含まれるものとなる。
【0030】
また、本発明の供給口部とは、スラリー状態の混合粒子が管状部材から水平方向で筒体内方へ向けて噴出することができる構造全てを含むものである。例えば、管状部材の内側面(筒体内方側の側面)に孔を開けただけの構成でも、混合粒子がその孔から水平方向で筒体内方へ噴出することができるから、この構成は本発明の供給口部に該当する。また、管状部材を構成する部品としてティーを用い、管状部材を接続しないティーの接続口を水平方向内方に向けて、この接続口から混合粒子を筒体内方へ噴出させるようにしても本発明の供給口部となる。
【0031】
本発明によれば、筒体の下部内周に沿って全体的に配設される管状部材には、混合粒子を水平方向で筒体の内方に向かって噴出するための複数の供給口部が設けられているから、混合粒子供給手段によって筒体内に供給される混合粒子はこの複数の供給口部を通過して水平方向で筒体の内方に向かって噴出されることとなる。
【0032】
従って、混合粒子を筒体内へ供給すると、上向きの速度成分がない(水平方向の速度成分のみである)ので混合粒子は全て水平方向で筒体の内方へ噴出された後に均一に上昇する流れが確保される。水力分級機では、分級精度は流れの均一性に左右されが、本発明のように構成することで、混合粒子の上昇流は均一な流れとなるから、混合粒子の分級精度が向上するのである。
【0033】
なお、本発明において供給口部は管状部材に複数設けられるものであるが、設けられる位置・間隔や供給口部の数は混合粒子の供給量などを考慮して適宜決定し得るものである。また、供給口部の大きさ(例えば、孔の径)は、供給される混合粒子の流量に応じて好適となるように決定されることは言うまでもない。
【0034】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の水力分級機において、(スラリー状態の)混合粒子を斜め方向(即ち、斜め上方向、及び/又は、斜め下方向)で前記筒体の外方に向けて噴出するための複数の噴出口部を前記管状部材に更に設けたことを特徴とするものである。
【0035】
本発明の噴出口部とは、スラリー状態の混合粒子が管状部材から筒体の外方に向けて斜め方向(斜め上方向、及び/又は、斜め下方向)に噴出することができる構造全てを含むものである。例えば、管状部材の外側(筒体内側面と対面する側)の側面で上部及び/又は下部に孔を開けただけの構成でも、混合粒子は、その孔から筒体の外方に向けて(その孔から筒体内側面に向かって)斜め上方向及び/又は斜め下方向へ噴出することができるから、この構成は本発明の噴出口部に該当する。また、管状部材を構成する部品としてティーを用い、管状部材を接続しないティーの接続口を斜め方向に向けて取り付け、この接続口から混合粒子を筒体外方へ噴出させるようにしても本発明の噴出口部となる。
【0036】
さて、筒体の下部に供給された混合粒子は上昇流れの過程で粗粒子と微粒子とに分級され、粗粒子は筒体の底部に移動する。このとき、筒体下部の位置には管状部材が内周に沿って全体的に配置されているため、粗粒子の一部は筒体の底部に到達せずに筒体の内側面と管状部材との間に溜まってしまう場合もある。
【0037】
そこで、本発明では、管状部材に複数の噴出口部を設け、この噴出口部から混合粒子を斜め方向で筒体の外方に向かって噴出するようにして、粗粒子が管状部材と筒体内側面との間に溜まるのを防止しているのである。
【0038】
即ち、混合粒子供給手段から供給される混合粒子は管状部材内に搬送され前述の供給口部から水平方向で筒体内方に向かって噴出されるが、本発明では、同時に噴出口部を介して混合粒子が筒体側面に向かって斜め上方向及び/又は斜め下方向へも噴出される。そうすると、噴出口部から噴出される混合粒子の流れにより、筒体側面と管状部材との間に溜まった粗粒子が上方に噴き上げられ、筒体底部に再び移動することが可能となる。
【0039】
従って、粗粒子は筒体内側面と管状部材との間に溜まることなく粗粒子取出し手段によって回収することができるのである。別言すれば、筒体内側面と管状部材との間に粗粒子がたとえ溜まったとしても、噴出口部から噴出される混合粒子の流れによって、確実に粗粒子取出し手段によって回収できるようになるのである。
【0040】
ここで、噴出口部から噴出される混合粒子の速度成分(向き)は斜め方向であるため、前述した供給口部から水平方向に筒体内方へ噴出されたスラリー状態の混合粒子の均一な上昇流を乱す要因となる場合も考えられる。このため、本発明における噴出口部の大きさ(口径)、設けられる位置・間隔、数などは混合粒子の上昇流を乱さない、或は、乱しても許容できる程度の範囲内で決定されるものである。
【0041】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水力分級機において、前記筒体内で前記混合粒子供給手段と前記微粒子取出し手段との間の位置に、前記混合粒子供給手段による混合粒子の上昇流を整流化するための整流化手段を配設したことを特徴としている。
【0042】
本発明によれば、混合粒子供給手段から筒体内に供給される混合粒子の上昇流を整流化するための整流化手段を備えているから、混合粒子の上昇流をより一層均一な流れにすることができる。よって、混合粒子の分級精度を向上させることができることとなる。
【0043】
整流化手段が配設される位置は、筒体内で混合粒子供給手段と微粒子取出し手段との間の位置であれば何れの位置であっても良い。かかる位置に配設されていれば、混合粒子の上昇流を均一にできるからである。
【0044】
この整流化手段の好ましい態様としては、次のような構成が挙げられる。
【0045】
即ち、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の水力分級機において、前記整流化手段は、複数の孔部を有する板状部材を水平方向に配置して構成されていることを特徴とするものである。
【0046】
本発明は、水平方向に配置された板状部材に設けられた複数の孔部が、混合粒子の上昇流を絞って均一なものとする構成となっている。この構成により、混合粒子は均一な流れとなり分級精度が向上する。なお、孔部の大きさ、数は、混合粒子の供給量などを考慮して適宜決定すれば良い。
【0047】
また、別の態様として、整流化手段を次のような構成としても良い。
【0048】
即ち、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の水力分級機において、前記整流化手段は、複数の傾斜板を並列配置して構成されており、隣接する傾斜板の一方の上端部と他方の下端部とが平面視で(垂直方向から見て)重なるように配設されていることを特徴とするものである。
【0049】
本発明によれば、並列配置した複数の傾斜板のうち隣接する傾斜板の一方の上端部と他方の下端部とが平面視で重なるように配設されているから、混合粒子の上昇流は強制的に傾斜板に沿った流れとなり、流れが均一となる。
【0050】
この構成でも、混合粒子が均一な流れで上昇していくから、分級精度が向上することとなる。なお、本発明における傾斜板の数、傾斜角度は混合粒子の供給量などに応じて適宜決定すれば良い。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。尚、図中、図と同一の符号を付した部分は同一物又は相当物を表わしている。図1は、本発明の第一実施形態に係る水力分級機を示している。本実施形態に係る水力分級機は、垂直方向に設けられた略矩形筒状の筒体1と、混合粒子を供給する混合粒子供給手段2と、筒体1の上部に設けられ、分級された微粒子を取出すための微粒子取出し手段3と、筒体1の底部に設けられ、分級された粗粒子を取出すための粗粒子取出し手段4とで主に構成されている。
【0052】
混合粒子供給手段2は、複数の供給口部6a,6b,・・・を有する管状部材5を備えて構成されている。この管状部材5は筒体1の下部内周に沿って全体的に配設されており、ポンプなど(不図示)によって送り出されたスラリー状態の混合粒子が管12を通過して管状部材5までたどり着くと、複数の供給口部6a、6b等から水平方向で筒体1の内方に向かって噴出するようになっている。
【0053】
供給口部6a,6b等から噴出された混合粒子は上昇流を生成するように上方へ流れていき、その過程で混合粒子は微粒子と粗粒子とに分級される。微粒子は上方へ移動し、筒体1の上方から溢れ出た微粒子は微粒子取出し手段3によって収容され、微粒子取出し部13から回収される。また、粗粒子は筒体1の底部へ移動して、粗粒子取出し手段4によって捕獲され、粗粒子取出し部14から回収される。この粗粒子取出し手段4は、混合粒子手段2を構成する管状部材5より低い位置に配設されており、分級された粗粒子を連続的に回収できるようになっている。
【0054】
また、混合粒子の上昇流を整流化するために、筒体1の内部には整流化手段8が配設されている。この整流化手段8は、複数の孔部10a,10b,・・・が開けられた板状部材9で構成されている。従って、管状部材5の供給口部6a,6b等から水平方向内方へ向かって噴出された混合粒子は、図1中の矢印のように孔部10a,10b等を通過して筒体1の上部へと上昇していくようになる。板状部材9に開けられた孔部10a,10b等により、混合粒子の上昇流が規制されて整流化が図られるのである。
【0055】
次に、管状部材5の詳細について図2と共に説明する。管状部材5は筒体1の内周に沿うように矩形枠状で形成されている。具体的に言うと、五つの管22a,22b,22c,22d,22eを四つのエルボ20a,20b,20c,20dで接続し、管22dと管22eとをティー21で接続して矩形枠状を形成している。なお、エルボ20a〜dとして溶接形のものを用いる場合には、突合せ溶接形、差込み溶接形の両方共に使用可能であるが、管22a〜dとの接続部(内面)に段差や隙間が生じ難い突合せ溶接形が好ましい。差込み溶接形の場合には、管との接続部に段差や隙間があるために、混合粒子の流れが乱れる場合があるからである。
【0056】
供給された混合粒子はティー21へ流入し、そこから管22d側と管22e側とに分岐して流れて行く。各管22a〜eには供給口部6a〜hが開けられており、混合粒子は各管22a〜eを通過しながら各供給口部6a〜hから水平方向内方(矢印Aの方向)へ噴出される。
【0057】
噴出された混合粒子は上昇流として筒体1の上方へ向かって流れて行く過程で分級され、粗粒子は筒体1の底部側へ移動するが、管状部材5は筒体1の内周面に沿って配設されるものであるため、粗粒子の一部が筒体1の内周面と管状部材5との間で溜まってしまう。そこで、本実施形態では管状部材5を構成する管22a〜dの外側面(筒体1と対面する側面)の下部の位置に噴出口部7a〜dを開けている。この構成によって、混合粒子は噴出口部7a〜dを通過して筒体1の外方で斜め下方向に(矢印Bの方向に)噴出されるため、斜め下方向に噴出された混合粒子が後に上昇流となって筒体1の内側面と管状部材5との間に溜まった粗粒子を噴き上げて筒体1の底部に設けられた粗粒子取出し手段4へ移動させることができるのである。
【0058】
次に、このように構成された本実施形態に係る水力分級機を用いた使用態様を説明する。図3は、本実施形態に係る水力分級機を水中バリ取り加工の装置に組み込んだ概略構成図を示している。尚、水中バリ取り装置の詳細については、特許文献1に言及されている。
【0059】
図3に示す水中バリ取り加工の装置は、処理槽31と、高圧洗浄用ノズル33と、メディア噴射用ノズル32と、切換えバルブ38と、クリーンタンク41と、ホッパ37と、メディア回収用タンク42と、高圧ポンプ40と、メディア回収用ポンプ45と、フィルタ43とを主に備えた構成となっている。
【0060】
処理槽31内部は所定高さまで処理水が満たされた状態となっており、ワークはこの処理槽31内の処理水中に軸回転可能なクランプ部39によって保持されている。
【0061】
クリーンタンク41は後述する混合噴射及び高圧洗浄に利用する処理水を貯蔵するものである。ホッパ37は、混合噴射に利用するメディア(研掃材)と水とを貯蔵するものである。
【0062】
メディア噴射用ノズル32は、ワークに対してメディアと処理水の混合水を噴射するものである。ここで、メディアは、ワークの種類に応じて例えば、樹脂、ガラスビーズ、セラミック等から最適なものを選択して使用する。メディア噴射ノズルは、アーム34の下端で処理水供給管36aに接続されており、高圧ポンプ40によってクリーンタンク41に貯蔵されている処理水が供給されるようになっている。
【0063】
また、メディア噴射用ノズル32は、メディア供給管35によって、メディア供給バルブ46を介してホッパ37と接続され、また搬送水供給バルブ47を介してメディア搬送水用タンク(図示せず)に接続されている。そして、メディア供給バルブ46と搬送水供給バルブ47とを共に開くことによって、ホッパ37内のメディアが低圧の搬送水によってメディア噴射用ノズル32に供給され噴射されるようになっている。従って、高圧処理水噴射による負圧の力と、低圧搬送水とによって、メディアがメディア噴射用ノズル32にスムースに供給され、クリーンタンク41内の処理水と、ホッパ内のメディアが混合されて噴射されるようになっている。
【0064】
高圧洗浄用ノズル33は、ワークに対して処理水のみを噴射してワークに残留するメディアを洗浄除去するものである。高圧洗浄用ノズル33は、アーム34下端でメディア噴射用ノズル32に接続された処理水供給管36aとは異なる処理水供給管36bに接続されており、高圧ポンプ40によってクリーンタンク41に貯蔵されている処理水が供給されるようになっている。
【0065】
アーム44はその上部で4軸ロボットの駆動軸(図示せず)に接続されており、このため高圧洗浄用ノズル33とメディア噴射用ノズル32は、バリ取り対象のワークのサイズ、位置に応じて立体的に移動できかつ回転可能となっている。
【0066】
高圧ポンプ40は、その駆動により、クリーンタンク41内の処理水を高圧洗浄用ノズル33及びメディア噴射用ノズル32に供給するものである。切換えバルブ38は、クリーンタンク41内の処理水の高圧洗浄用ノズル33への供給と、メディア噴射用ノズル32への供給とを切り換えるものである。切換えバルブ38をメディア噴射用ノズル側に切り換えることにより処理水はメディア噴射用ノズル32に供給され、切換えバルブ38を高圧洗浄用ノズル側に切り換えることにより処理水は高圧洗浄用ノズル33に供給されるようになっている。
【0067】
メディア回収用タンク42は、混合噴射に使用したメディアと処理水の混合水を一時的に蓄えるものであり、配水管により排水バルブ44を介して処理槽31底面に接続され、クリーンタンク41に隣接配置されている。そして、排水バルブ44を開くことにより、処理槽内部のメディアと処理水の混合水がメディア回収用タンク42に排出されるようになっている。
【0068】
フィルタ43は、メディア回収用タンク42とクリーンタンク41の隔壁の一部として配置されており、メディア回収用タンク内部の混合水からメディアを濾過して処理水の一部をクリーンタンク41へ導出するものである。
【0069】
メディア回収用ポンプ45は、その駆動によりメディア回収用タンク内のメディア、即ち混合水から分離されたメディアを本発明の水力分級機へ搬送するものである。つまり、このメディア回収用ポンプ45は、低濃度スラリー状態のメディア(研掃材の混合粒子)を本発明の水力分級機へ供給するための混合粒子供給手段2の一部を構成するものである。
【0070】
以上のように構成された水中バリ取り装置及びそれに組み込まれた本発明の水力分級機の使用方法について次に説明する。
【0071】
まず、成形・機械加工等の処理を施してバリが生じているワークを、処理槽31の内の水中に入れてクランプ部39で保持し、4軸ロボットを駆動してメディア噴射用ノズル32と高圧洗浄用ノズル33をワークのサイズに応じて所望の位置へ移動する。そして、切換えバルブ38を操作してメディア噴射用ノズル32側に切り換える。
【0072】
次いで、4軸ロボットを駆動してアーム44を軸心周りに回転させ、またクランプ部39も軸心周りに回転駆動してワークを回転させる。これはワークに対して死角のない6面狙い撃ちでバリ取りを行うためである。そして、高圧ポンプ40を駆動してクリーンタンク41内の処理水を高圧洗浄用ノズル33からワークに対して水中で、例えば圧力3〜7MPaで噴射する。これと同時に、メディア供給バルブ46と搬送水供給バルブ47を共に開き、ホッパ内のメディアを低圧の搬送水によってメディア噴射ノズルから水中で噴射する。これにより、メディア噴射用ノズル32からは、ワークに向けてメディアと高圧処理水が混合されて混合水として噴射される。これにより、噴射されたメディアと高圧処理水の混合水により、ワークのバリが除去される。
【0073】
この混合噴射を一定時間行ったら、メディア供給バルブ46と搬送水供給バルブ47を共に閉めると共に、切換えバルブ8を高圧洗浄用ノズル側に切換えて、メディア噴射用ノズル42からの混合水の噴射を停止する。
【0074】
このとき、切換えバルブ38が高圧洗浄用ノズル側に切り換えられているので、クリーンタンク41内の処理水は、高圧洗浄用ノズル33からワークに対して高圧噴射される。これにより、混合噴射によりワークに残存するメディアが洗浄除去される。
【0075】
処理槽31には、バリ取り処理及び洗浄処理後の混合水(メディア及び処理水)が残存しているが、排水バルブ44を開けることにこの混合水をメディア回収用タンク42に排出する。メディア回収用タンク42に排出された混合水は、フィルタ43によって濾過されて、処理水の一部がクリーンタンク41に回収される。一方、メディア回収用タンク42にはメディアが処理水と共に残存する。
【0076】
クリーンタンク41に回収された処理水は、高圧ポンプ40の駆動により次のバリ取り処理に循環利用される。メディア回収用タンク内のメディアは、メディア回収用ポンプ45を駆動させることにより水分を多く含んだ状態で(即ち、低濃度スラリー状態で)本発明の水力分級機へと供給される。水力分級機の筒体1に供給されたメディア(研掃材の混合粒子)は、筒体1の下部に配設された管状部材5から筒体1の水平方向内方へ噴出され、上昇流となって筒体1の上部へ流れて行く。この過程でメディアは微粒子と粗粒子とに分級され、ワークのバリ取りに再利用できる粗粒子のみを粗粒子取出し手段によって取出してホッパ37に回収する。このとき、排出バルブ48を開けて、メディア回収用ポンプ45の吐出水の一部をメディア回収用タンク42に戻している。このため、メディアはメディア回収用タンク内で攪拌され、回収効率が向上する。
【0077】
ここで、低濃度スラリー状態のメディアを直接本発明の水力分級機に供給しても水中バリ取り加工に必要な精度の分級を行えるかを確認するために、図3に示す構成の下で分級試験を行った。
【0078】
この試験に用いた水力分級機は、筒体1の口径が一辺258mmの正方形であり、筒体1の高さが約700mmの大きさのものである。また、筒体1の内部に配設された整流化手段8は、直径3mmの孔部を5mm間隔で60度の千鳥格子状に複数配列した三枚の板状部材9a,9b,9cで構成されている。
【0079】
試験に用いたメディア(研掃材)は、メラミン樹脂(代表粒径300μm)である。このメディアを用いた水中バリ取り加工においては、粒径が180μm以下の粒子では加工能力が発揮されないため、分級機に要求される分級点(d98)が180μmである。
【0080】
試験方法としては、実際にメディアをワークに噴射し、メディア回収用タンク42から回収されたメディアを含む低濃度スラリーをメディア回収用ポンプ45を駆動して水力分級機に供給し、水力分級機で分級された粗粒子と微粒子のうち微粒子取出し手段3から回収された微粒子(メディア)の粒度分布を測定して評価するという方法を用いた。なお、水力分級機に供給される流体(メディアと水の懸濁液)のスラリー濃度を測定したところ濃度は3wt%であり、メディアの粒度分布は粒径300μm超が7.8%、250〜300μmが37.2%、180〜250μmが45.8%、90〜180μmが9%、90μm以下が0.2%という分布であった。よって、水力分級機で分級された微粒子に粒径180μmを超える粒子が殆ど含まれていなければ、本実施形態に係る水力分級機は、十分な分級性能を有することが確かめられることとなる。
【0081】
微粒子取出し手段3で回収された微粒子の粒径分布を調べると、粒径180μm超が1.9%、90〜180μmが52.4%、45〜90μmが45.7%の粒度分布となった。このことから、微粒子取出し手段3から取出された微粒子は、殆どが粒径180μm以下のものであり、水中バリ取り加工に十分満足できる分級精度であることが確認できた。つまり、本実施形態に係る水力分級機を水中バリ取り加工の装置にそのまま組み込めば、例えば代表径300μmの研掃材を用いてワークのバリ取り加工を行う場合に、再利用できない180μm以下の粒径の研掃材をほぼ完全に取り除くことができるということが言える。
【0082】
また、整流化手段8によって分級精度にどの程度の差異があるかを比較するために、板状部材9を一枚(即ち板状部材9aのみ)にして測定したところ、微粒子取出し手段3で回収された微粒子の分布は、粒径180μm超が6.6%、90〜180μmが64.4%、45〜90μmが29.0%の粒度分布となった。このことから、整流化手段8として複数の孔部10a,b・・・を有する板状部材9を用いた場合には、この板状部材9を三枚使用した方が粒径180μm超が1.9%しか含まれなかったことから、粗粒子と微粒子とがより精度良く分級されることが確認できた。従って、より精度良く分級したい場合には、板状部材9を複数枚用い、それほど分級精度が要求されない場合には、板状部材9は一枚でも十分であることが確認できた。もちろん、分級精度の要求が低い場合には、整流化手段8を設けておかなくても十分である。
【0083】
次に、本発明の第二実施形態に係る水力分級機について図4と共に説明する。本実施形態の特徴は、整流化手段として複数の傾斜板を用いた点にある。よって、以下ではこの整流化手段に関する事項について説明することとし、第一実施形態に係る水力分級機と同一のものについては図中に同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0084】
本実施形態における整流化手段108は複数の傾斜板109a,b,c・・・を並列配置して構成されている。そして、隣接する傾斜板109bの上端部と傾斜板109aの下端部とが平面視で(筒体1の上面側から見て)重なるように配設されている。
【0085】
このように構成された整流化手段108によっても、混合粒子の上昇流は各傾斜板によって流れ方向が図中の矢印の如く規制されて安定した流れ状態が維持される。よって、混合粒子の分級精度を良好に保つことができる。
【0086】
なお、上記では水中バリ取り装置に組み込んだ使用態様例を説明したが、本発明の水力分級機はこれに限定されるものではなく、あらゆる装置に組込んで使用できることは言うまでもない。
【0087】
また、本発明の水力分級機は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0088】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明に係る水力分級機によれば、低濃度スラリー状態の混合粒子をそのまま供給して分級を行えるという優れた効果を奏し得る。例えば、ワークの水中バリ取り加工で回収された研掃材を含む低濃度スラリー状態の液体をそのまま供給すれば研掃材の分級を行うことができるため、水力分級機を組み込むための余分な配管やポンプなどは不要となり、コストを低く抑えることができる。言い換えれば、本発明の水力分級機は、簡単に水中バリ取り加工の装置に組み込める好適なものとなるのである。また、低濃度スラリーの液体をそのまま扱えるので、高濃度スラリー液体を取り扱う際に生じる液体搬送中の脈動等の問題もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る水力分級機を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る水力分級機の管状部材の概略構成図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る水力分級機を水中バリ取り加工の装置に組み込んだ使用態様を示す図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る水力分級機を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1:筒体
2:混合粒子供給手段
3:微粒子取出し手段
4:粗粒子取出し手段
5:管状部材
6a,b・・・:供給口部
7a,b・・・:噴出口部
8,108:整流化手段
9:板状部材
10a,b・・・:孔部
109a,b・・・:傾斜板
Claims (6)
- 分級すべき微粒子及び粗粒子を含む混合粒子を湿式下で分級する水力分級機において、
垂直方向に設けた筒体と、
前記筒体の下部に設けられ、前記筒体内に上昇流を生成するように前記混合粒子をスラリー状態で供給する混合粒子供給手段と、
前記筒体の上部に設けられ、分級された微粒子を前記筒体から取出すための微粒子取出し手段と、
前記筒体の底部に設けられ、分級された粗粒子を前記筒体から取出すための粗粒子取出し手段と、
を備えたことを特徴とする水力分級機。 - 前記混合粒子供給手段は、前記筒体の下部内周に沿って全体的に配設される管状部材を備えており、該管状部材には、混合粒子を水平方向で前記筒体の内方に向けて噴出するための複数の供給口部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水力分級機。
- 混合粒子を斜め方向で前記筒体の外方に向けて噴出するための複数の噴出口部を前記管状部材に更に設けたことを特徴とする請求項2に記載の水力分級機。
- 前記筒体内で前記混合粒子供給手段と前記微粒子取出し手段との間の位置に、前記混合粒子供給手段による混合粒子の上昇流を整流化するための整流化手段を配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水力分級機。
- 前記整流化手段は、複数の孔部を有する板状部材を水平方向に配置して構成されていることを特徴とする請求項4に記載の水力分級機。
- 前記整流化手段は、複数の傾斜板を並列配置して構成されており、隣接する傾斜板の一方の上端部と他方の下端部とが平面視で重なるように配設されていることを特徴とする請求項4に記載の水力分級機。
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