JP2004113628A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】体腔内の超音波画像データを基に、超音波画像をモニタ表示する際に、患部の浸潤の広さと深さが表示される超音波診断装置が求められている。
【解決手段】超音波内視鏡11が体腔内を移動走査過程で得た複数の超音波断層像を生成する画像構築回路31と、その超音波断層像の位置情報を検出する位置検出部13と、位置情報に基づき複数の超音波断層像を超音波内視鏡の走査経路に沿って並べた断層並列像を構築する画像処理回路33とを備え、超音波断層像と断層並列像とを対比可能にモニタに表示させる表示回路34からなる超音波診断装置。
【選択図】 図1
【解決手段】超音波内視鏡11が体腔内を移動走査過程で得た複数の超音波断層像を生成する画像構築回路31と、その超音波断層像の位置情報を検出する位置検出部13と、位置情報に基づき複数の超音波断層像を超音波内視鏡の走査経路に沿って並べた断層並列像を構築する画像処理回路33とを備え、超音波断層像と断層並列像とを対比可能にモニタに表示させる表示回路34からなる超音波診断装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、病変の浸潤の広がりや深さを現実的に観察可能とする超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波診断装置として、体腔内に挿入する細長の挿入部の先端に超音波振動子と位置検出器を設けた体腔用ラジアル走査型超音波プローブ(光学観察窓を設けた超音波内視鏡を含む)を湾曲もしくは屈曲した管腔に沿って進退させ、複数の超音波断層像を取得して、管腔経路に沿った空間の超音波画像データを取得したり(例えば、特許文献1参照)、あるいは、挿入部先端に超音波振動子と位置検出器を設けた体腔内用コンベックス走査型超音波プローブを管腔に挿入させて挿入軸を中心に回転させて複数の超音波断層像を取得して管腔空間の超音波画像データを取得するものも知られている。
【0003】
また、位置検出器を設けた体外用超音波プローブを、体外から被検体に超音波を照射させつつ移動させたり回転させて、複数の超音波断層像を取得して空間の超音波画像データを取得する超音波診断装置も知られている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0004】
これら超音波診断装置で得た超音波画像データを基に、モニタ画面に超音波画像を表現する方法が種々検討されており、前記特許文献1では、次の第1と第2の表現方法が採用され、前記特許文献2と特許文献3では、次の第3の表現方法が採用されている。
【0005】
第1の表現方法:複数の超音波断層像が重複する部分を平均化したり、超音波断層像間を補間したりして直交座標で表現される3次元画像データを作成し、この3次元画像データを基に、平面で切断した断面像を表現する。
【0006】
第2の表現方法:複数の超音波断層像が重複する部分を平均化したり、超音波断層像間を補間したりして直交座標で表現される3次元画像データを作成し、この3次元画像データを基に、超音波3次元画像を表現する。
【0007】
第3の表現方法:位置検出器の出力から超音波プローブの各座標位置の変化を求め、複数の2次元超音波断層像を各走査面の位置変化に対応する量だけ変位させながら積層して立体化した擬似3次元画像で表現する。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−113913号公報。
【0009】
【特許文献2】
特開平10−216127号公報。
【0010】
【特許文献3】
登録実用新案第3040306号公報。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような超音波診断装置を用いて、胃、食道、及び腸等のような管腔状臓器内で術者が超音波プローブを動かして診断を行う際には、次に示す3つの観察を行うことが予後の予測、手術/処置範囲の決定の為に重要である。
【0012】
第1の観察:病変が管腔に沿ってどこからどこまで広がって浸潤しているか。
第2の観察:病変が管腔表面に対して垂直な方向にどこまで深く浸潤しているか。
第3の観察:病変が膵臓等の管腔から見て深部にある臓器や門脈等の血管に対してどれだけ広く深く浸潤しているか。
【0013】
この第1から第3の観察を行う際に、前記第1から第3の表現方法を用いることには、それぞれ以下の問題点がある。
【0014】
第1の表現方法は、平面で切断した断面像で表現する方法であるため、図20に示すように、管腔が切れ切れの画像として表現されてしまい、管腔の全体像がモニタ画面に表示されないことが多い。
【0015】
これは、必ずしも生体の管腔が特定の平面内を走行していないことが原因である。なお、図20は管腔が一部で断面より奥側を走行している状態を示している。よって、この第1の表現方法では、前記第1から第3の観察が難しくなる。
【0016】
第2の表現方法は、超音波3次元画像で表現する方法であるため、第1から第3の観察のいずれも観察可能であるが、経路に沿った3次元画像データを作成するためにはメモリ等の記憶装置が極端に大容量になってしまうことが多い。
【0017】
例えば第1から第3の観察の目的で管腔に沿って10cm程度もあるような大きな病変を観察する場合には、病変前後の正常部分も含めて、管腔に沿って病変を含む広い範囲の3次元画像データを取得することができるよう、体腔内用ラジアル走査型超音波プローブを10数cm程度進退させたり、体腔内用コンベックス走査型超音波プローブを大変広い角度で回転させる必要がある。
【0018】
さらに、大きい病変は、管腔表面に対して垂直な方向にも広がっているので、各超音波断層像は広い領域の画像データを網羅する容量の大きい画像である必要がある。
【0019】
また、例えば第3の観察の目的で超音波プローブを挿入して消化管壁越しに膵臓を観察する際には、膵臓全体の3次元画像データが取得できるように十二指腸から胃に沿って30cm近くも進退させる必要がある。
【0020】
さらに、いずれの観察の目的でも、得られる3次元画像データを良好に保つためには、一定以上の密度で超音波断層像を取得しなければならない。
【0021】
しかし、この第2の表現方法では、超音波プローブの長い進退で、かつ一定以上の密度で取得した超音波断層像間をさらに補間して3次元画像データを作成するので、用途によっては数GB程度の容量が必要となってしまう。
【0022】
よって、この第2の表現方法で、第1から第3の観察を行うことは非現実的なことが多い。
【0023】
第3の表現方法は、積層(すなわち時系列の画像データを加算)して立体化した擬似3次元画像で表現する方法であるため、超音波画像データを次々と積層することで、一枚一枚の超音波断層像が持つ本来のエコー輝度は失われてしまうか、大変見え難くなってしまう。そのため、この第3の表現方法では、特許文献2と特許文献3に開示されているような、病変の形状を観察するような場合には良いが、病変の正常組織への浸潤の広がりはわからない。
【0024】
よって、この第3の表現方法では、第1から第3の観察が難しい。
【0025】
また、特許文献1乃至3の超音波診断装置を用いた場合には、被験者のどの辺でどの程度の枚数の画像を撮像したか画像の密度がわかりにくく、画像取得の取りこぼしをおこしやすいという課題もあった。
【0026】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、超音波プローブを体腔内で動かして得た空間の超音波画像データを基に、超音波画像をモニタ表示する際に、前記第1から第3の観察を容易に、かつ現実的に観察することができる超音波診断装置を提供することを目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波診断装置は、超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で複数の超音波断層像を得る超音波診断装置において、前記超音波プローブが被検体の体腔内を動く過程で得られた複数の超音波断層像の位置情報を検出する位置情報検出手段と、前記位置情報検出手段により得られた前記位置情報に基づき前記複数の超音波断層像を前記超音波プローブの走査経路に沿って並べた断層並列像を構築する断層並列像構築手段と、を備えたことを特徴としている。
【0028】
本発明の超音波診断装置は、前記超音波断層像と前記断層並列像とを対比可能に表示手段に表示させる表示制御手段を更に有することを特徴としている。
【0029】
また、本発明の超音波診断装置の前記断層並列像構築手段は、前記超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で、前記超音波断層像が生成される都度、前記超音波断層像上の各画素を前記断層並列像上の対応する各画素に上書きして新たな断層並列像を構築することを特徴としている。
【0030】
本発明の超音波診断装置により、病変の管腔に沿った浸潤の広がり、管腔表面から垂直方向への浸潤の深さ、及び管腔から見て深部にある臓器や門脈への浸潤の広さと深さが観察できる超音波画像のモニタ表示が可能となった。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1乃至図14は、本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態を説明する図面で、図1は本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態の全体構成を示すブロック図、図2は本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態に用いる超音波内視鏡の挿入部先端の構成を示すブロック図、図3は本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態において、手引き走査による断層並列像を生成させる作用を説明するフローチャート、図4は本発明に係る超音波診断装置の手引き走査により生成する超音波断層像の説明図、図5は本発明に係る超音波診断装置による断層像の切断作用を説明する説明図、図6は本発明に係る超音波診断装置のZバッファセルを説明する説明図、図7は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上の画素配置を説明する説明図、図8は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上の表示状態を説明する説明図、図9は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での超音波断層像マーカの移動作用を説明する説明図、図10は本発明に係る超音波診断装置の超音波断層像マーカの移動作用を説明するフローチャート、図11は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での断層並列像の回転作用を説明する説明図、図12は本発明に係る超音波診断装置の断層並列像の回転作用を説明するフローチャート、図13は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での断層並列像の切断位置変更と切断マーカ移動を説明する説明図、図14は本発明に係る超音波診断装置の断層並列像の切断位置変更と切断マーカ移動の作用を説明するフローチャートである。
【0032】
本発明に係る超音波診断装置は、図1に示すように、超音波プローブである超音波内視鏡11a、超音波観測部12、位置検出部13、モニタ14、キーボード15、及びマウス16からなっている。
【0033】
超音波プローブである超音波内視鏡11aは、可撓性を有する材質で形成された被検体の体腔内へ挿入する挿入部21と、この挿入部21の先端に配置されている後述する超音波振動子25を回転駆動させるモータ22を備えた駆動部23からなっている。
【0034】
この超音波内視鏡11aの挿入部21の先端は、図2に示すように、超音波を透過する材質で生成された音響的に半透明な先端キャップ24が設けられている。この先端キャップ24の内部には、超音波振動子25が配置され、音響媒体(図示せず)が充填されている。
【0035】
超音波振動子25は、可撓性部材で生成されたフレキシブルシャフト26の先端に取付固定されている。このフレキシブルシャフト26の他端は、前記駆動部23のモータ22の回転駆動軸に接続されている。
【0036】
前記超音波振動子25は、フレキシブルシャフト26の内部に設けられた信号線(図示せず)が駆動部23を経由して超音波観測部12の後述する画像構築回路31に接続されている。
【0037】
前記挿入部21の先端キャップ24の先端には、磁場を発生させる送信コイル27が設けられており、この送信コイル27は、挿入部21の内部に設けられた信号線(図示せず)を介して位置検出部13の後述するコイル駆動回路41に接続されている。
【0038】
この送信コイル27は、挿入部21の軸方向と直交する2方向(図2に示す、挿入部21の軸方向のZ軸に対して、図中のX軸方向とY軸方向)を軸としてコイルが巻回されている。Z軸は、超音波内視鏡11aの挿入部21の挿入方向で、X軸とY軸は、Z軸に垂直で後述するラジアル走査平面25cに平行な方向である。
【0039】
前記超音波内視鏡11aの駆動部23のモータ22が回転駆動してフレキシブルシャフト26を図中の矢印の方向に回転すると、超音波振動子25も図中矢印のラジアル走査25b方向に回転駆動する。この超音波振動子25を超音波発振駆動させると超音波ビーム25aが投射される。
【0040】
超音波観測部12は、超音波振動子25に超音波発振駆動用のパルス電圧状の励起信号を出力するとともに、超音波振動子25からのエコー信号に各種信号処理を施して超音波の画像データを構築する画像構築回路31と、この画像構築回路31で生成した画像データや後述する画像処理回路33で生成した複数の超音波断層像の画像データを記憶する大容量の画像メモリ32と、この画像メモリ32に記憶されている画像データに各種画像処理を施す画像処理回路33と、この画像処理回路33で各種画像処理が施された画像データをデジタル/アナログ変換処理してアナログ映像信号に変換しモニタ14に画像表示させる表示回路34と、前記画像構築回路31で構築された画像データや後述する位置方向データを長期にわたり記録するハードディスク等の大容量の3次元データ記録部35と、位置検出部13との各種情報交換通信を行う通信回路36と、キーボード15やマウス16からの指示入力を受信する外部入力制御回路37と、更に、前記画像構築回路31、画像メモリ32、画像処理回路33、表示回路34、3次元データ記録部35、通信回路36、及び外部入力制御部37の間には、バス38が設けられ、このバス38を介して各回路31〜37に駆動制御命令を出すコントローラ39からなっている。
【0041】
なお、画像メモリ32は、画像構築回路31から出力される超音波断層像の画像データを記憶する領域と、画像処理回路33で生成したモニタ14に画像表示させる画像データを記憶する領域と、後述するZバッファを記憶する領域との3つの領域を含んでいる。
【0042】
なお、モニタ14は、表示回路34で生成されたアナログ映像信号を基に、超音波断層像を表示するもので、キーボード15は、複数のキーを有し、そのキーにより各種操作入力指示するもので、マウス16は、モニタ14に表示される記号や符号などを操作して各種操作入力指示を行うものである。
【0043】
位置検出部13は、前記超音波内視鏡11aの送信コイル27にコイル励振信号を出力するコイル駆動回路41と、所定の配置方法で特定の位置に配置固定されると共に前記送信コイル27から発生する磁場を逐次検知して位置信号を生成出力する複数の受信コイル42からなる受信コイルユニット44と、この受信コイルユニット44で生成された位置信号から位置方向データを算出生成する位置算出回路43とからなっている。
【0044】
前記受信コイルユニット44は、複数の受信コイル42を直方体の筐体内に一体的に配置固定されている。なお、図1では、受信コイル42は、紙面の都合上、受信コイルユニット44の中で直線上に並べて配置固定された状態を示されているが、実際には2次元平面上あるいは3次元空間上に並べて固定されているものとする。
【0045】
このような構成の超音波診断装置において、超音波断層像を構築する作用について説明する。
【0046】
前記超音波振動子25は、超音波観測部12の画像構築回路31からのパルス電圧状の励起信号により媒体の疎密波である超音波ビームを生成投射する。この超音波ビームは、挿入部21の先端に充填されている音響媒体と先端キャップ24を介して、超音波内視鏡11aの挿入部21の外部へと投射される。この外部に投射された超音波ビームは、被検体内で反射されて反射エコーとして超音波振動子25に入力される。超音波振動子25は、反射エコーを電気的なエコー信号に変換して画像構築回路31へと出力する。
【0047】
この超音波振動子25による超音波ビームの投射と、反射エコー信号の生成作用を反復的に繰り返す一方で、駆動部23内のモータ22を回転駆動させることによりフレキシブルシャフト26と超音波振動子25が各々図中の矢印の方向へ回転する。このため超音波ビームが超音波内視鏡11aの挿入部21の軸方向と垂直なラジアル走査平面25c内を順次放射状に投射され、いわゆるメカニカルなラジアル走査(以下、単にラジアル走査と称する)25bが行われる。
【0048】
前記超音波振動子25で生成されたエコー信号は、超音波観測部12の画像構築回路31で、包絡線検波、対数増幅、アナログ/デジタル変換、スキャンコンバート(ラジアル走査で生成された極座標系の画像データを直交座標系の画像データに変換する処理)等の公知の処理を施して超音波の画像データである所謂超音波断層像データ(以下、単に超音波断層像と称する)を構築する。この超音波断層像はバス38を介して画像メモリ32に記憶される。
【0049】
次に、位置方向データに関わる作用について説明する。
【0050】
前記位置検出部13のコイル駆動回路41は、送信コイル27への励振信号を逐次出力し、この励振信号の基で送信コイル27は磁気を発生させて空間に磁場を張る。一方、受信コイルユニット44の受信コイル42は、送信コイル27からの磁場を逐次検知して生成した位置信号を位置算出回路43に出力する。
【0051】
この位置算出回路43は、前記受信コイル42からの位置信号を基に位置方向データを算出して通信回路36へと出力する。この位置方向データは、送信コイル27の受信コイルユニット44に対する位置と方向とを含んだデータである。具体的には、位置方向データは送信コイル27の位置だけでなく、超音波内視鏡11aの挿入方向(図2のZ軸方向)と、超音波断層像に平行な特定の方向(図2のY軸方向)とを含んでいる。
【0052】
ここで、前記送信コイル27は、図2のY軸が超音波断層像の時計の12時方向(モニタ14に超音波断層像が表示されたときの上方向)になるように挿入部21の先端キャップ24に取り付けられると、位置方向データは超音波断層像の法線方向(図2のZ軸)と12時方向(図2のY軸)とを含むことになる。
【0053】
前記通信回路36は、前記位置算出回路43からの位置方向データを受信してバス38を介して画像メモリ32に出力し記憶させる。
【0054】
なお、前記画像メモリ32に記憶される前記超音波断層像と前記位置方向データとは、コントローラ39からの制御の基で超音波断層像と位置方向データとが同期、関連づけられて記憶される。
【0055】
次に、超音波内視鏡11aを用いて超音波診断実行時の断層並列像を生成するコントローラ39の作用について図3を用いて説明する。
【0056】
超音波診断装置を操作する術者がキーボード15やマウス16を用いて各種メニュー表示と、その表示されたメニューから選択されたメニューが指示入力されると、その指示入力メニューの内容が外部入力制御回路37からコントローラ39へと伝達され、その指示入力に応じてコントローラ39が各回路31〜36を駆動制御する。ステップS101で術者が超音波診断開始のための操作入力(手引き走査開始指示)を行うと、コントローラ39は、画像構築回路31を駆動制御して、超音波振動子25への励起信号を出力させると共に、モーター22を回転駆動させて、超音波振動子25のラジアル走査25bを開始させる。
【0057】
ステップS102で、術者は、被検体である体腔内に挿入された超音波内視鏡11aの挿入部21をラジアル走査25bをさせながら管腔に沿って進退させる手引き走査を繰り返し、超音波振動子25からの反射エコーを基に、コントローラ39は、画像構築回路31を駆動制御して、順次超音波断層像が構築される。この走査方法を、以下「手引き走査」と称する。
【0058】
この手引き走査が開始されると、ステップS103でコントローラ39は、超音波振動子25からの反射エコーを基に画像構築回路31に図4に示すような超音波断層像を逐次構築させる。なお、図4では各超音波断層像に対し、構築し始めた順番に1〜nの番号を付している。
【0059】
この画像構築回路31で構築された超音波断層像は、超音波断層像が構築されたときに位置算出回路43で算出された位置方向データと同期、関連づけられて画像メモリ32に記憶される。なお、前記超音波断層像をモニタ14に表示した場合の超音波断層像を図5(a)に例示している。
【0060】
次に、ステップS104でコントローラ39は、画像処理回路33を駆動制御して、画像メモリ32から超音波断層像と位置方向データとを読み込み、超音波断層像を切断して切断片を作る処理を行わせる。
【0061】
この超音波断層像を切断する切断位置は、予め設定されており、例えば、図5(a)に示す超音波断層像の画像の中心(つまり、超音波振動子25の回転中心)を通る直線で切断するものとすると、その切断位置から切断された切断片は、図5(b)に示すようになる。なお、この切断位置は、変更設定が可能である。
【0062】
このステップS104で切断位置から切断した切断片は、ステップS105でコントローラ39の制御の基で、画像処理回路33で位置方向データと視線方向とを基に座標変換を施す。
【0063】
この視線方向は、断層並列像がモニタ14に表示されたときの面をモニタ画面として、そのモニタ画面に垂直な方向である。この視線方向は予め設定されている。
【0064】
前記座標変換された後の切断片と、モニタ画面との関係を図5(c)に示している。なお、図5(c)は、モニタ14に座標変換された1枚の切断片だけを表示しているが、これはモニタ14に実際表示される例を示した図ではなく、切断片とモニタ画面との関係を示すために描かれた説明図である。
【0065】
次に、ステップS106でコントローラ39は、画像処理回路34を駆動制御して、切断片上の各画素のモニタ画面からの深さを計算する。
【0066】
このモニタ画面からの深さは、切断片上の各画素の受信コイルユニット44に対する座標が位置方向データから求められ、次に、モニタ画面の位置に相当する平面を空間上に仮定し、その仮定された平面と切断片上の各画素との距離である。図5(d)に仮定したモニタ画面に相当する平面と切断片の各画素との関係を示している。
【0067】
なお、この仮定された平面の設定の仕方によっては、切断片上の画素は、視線方向上、モニタ画面を示す平面より手前側に来る場合もあるが、以降のステップでは、画素が手前側に来た場合は「負の深さ」を持つものとして処理することにする。ただし、ここでは説明の都合上、平面を第1番の切断片から十分遠方に仮定することで全切断片上の画素が平面よりも奥側にあることを想定して、全て「深さ」として説明する。
【0068】
前記ステップS106のモニタ画面からの深さの算出が終了すると、コントローラ39は、ステップS107で、画像処理回路33を駆動制御して、切断片上の各画素の深さと、後述する各Zバッファセルの記憶値とを比較する。
【0069】
Zバッファセルは、図6のZバッファの概念図に示すように、モニタ画面上の各画素に対応したセルである。このZバッファセルは、切断片上の画素のモニタ画面からの深さを記憶する。
【0070】
また、各Zバッファセルは、初期値として記憶できる最大の値を記憶しておく。すなわち、各Zバッファセルの初期値は最深に設定する。
【0071】
この画像処理回路33は、切断片上の各画素のモニタ画面からの深さと、各Zバッファセルの記憶値とを比較して、値の大小を求める。
【0072】
次に、コントローラ39は、ステップS108で、前記ステップS107での画素の深さとZバッファセルの記憶値との比較に応じた次の処理を行う。
【0073】
(イ)「画素の深さ<Zバッファセルの記憶値」の場合
(a)画像処理回路33がZバッファセルの記憶値を切断片上の画素の深さに更新する。
つまり、手引き走査を継続させ、後述するステップにより連続した複数の切断片が得られていくと、各Zバッファセルは、この複数の切断片上の画素のうち、モニタ画面上の各画素の直下にあって、最浅の画素のモニタ画面からの深さを記憶することになる。
(b)画像処理回路33が後述する表示セルの記憶値を切断片上の画素の輝度値に更新する。
【0074】
画像メモリ32のモニタ画面を記憶する領域の概念図である図7に示すように、画像メモリ32の領域は、モニタ画面上の各画素に対応したセル(以下、表示セルと称する)から構成されている。この表示セルはモニタ14が表示すべき輝度値を記憶する。
【0075】
このように前記画像処理回路33が前記ステップS107で比較した切断片上の画素が最浅であれば、表示セルの記憶値をその輝度値に更新することになる。従って、手引き走査を続け、後述するステップにより連続した複数の切断片が得られていくと、各表示セルはこの複数の切断片上の画素のうち、モニタ画面上の各画素の直下にあって、最浅の画素の、輝度値を記憶することになる。
【0076】
(ロ)「画素の深さ≧Zバッファセルの記憶値」の場合
画像処理回路33は何も処理しない。
【0077】
つまり、手引き走査を続け、後述するステップにより連続した複数の切断片が得られていくと、画像処理回路33は視線方向から見て手前に切断片を順次重ねていくことになる。この様子を図5(d)に示している。図5(d)では、最新切断片上の画素のうち、最新切断片上と古い切断片との交線より左側にある画素は主に古い切断片より浅く、右側にある画素は主に古い切断片より深い。
【0078】
従って、術者には、断層並列像上で最新切断片の左側の画素が上書きされるように見える。このようにして生成された断層並列像を図5(e)に示している。
【0079】
次に、コントローラ39は、ステップS109でモニタ14に最新の超音波断層像と最新の断層並列像とを並べて表示するように制御する。
【0080】
このモニタ画面上に超音波断層像と断層並列像との表示例を図8に示している。図8の図中右側には、超音波断層像、左側には、断層並列像が表示される。この断層並列像の近傍には、直方体の受信コイルユニット44の向きを示す受信コイルユニットマーカが表示されるようになっている。このモニタ14がこのステップS109までに古い超音波断層像と古い切断片が重畳された断層並列像とを表示していた場合には、モニタ画面が更新されることになる。
【0081】
ステップS110でコントローラ39は、術者がキーボード15やマウス16を介して手引き走査の終了を指示入力するとラジアル走査を終了させる。それ以外の場合はステップS103へと戻る。
【0082】
具体的には、術者がキーボード15やマウス16で各種のメニューの中から選択して手引き走査の終了を指示すると、コントローラ39からの命令に基づき画像構築回路31は励起信号の出力を停止し、モータ22の回転駆動が停止させてラジアル走査を終了させる。このようにして術者が手引き走査の終了を指示しない限り、ステップS103〜S110までの処理が繰り返される。
【0083】
このステップS103〜S110までの処理を繰り返すことで、断層並列像は、手引き走査に併せて図5(e)及び図8に示すように順次延びていくことになる。
【0084】
なお、画像処理回路33は、断層並列像が手引き走査に伴ってモニタ画面からはみだしそうになるときには、最新の切断片が全てモニタ画面内に表示されるよう、ステップS109での表示の前に断層並列像をスクロールさせる。
【0085】
以上、断層並列像を生成する手引き走査について説明したが、次に、手引き走査後の作用について説明する。
【0086】
術者は、断層並列像をガイドにして、手引き走査で得られた連続した複数の超音波断層像の中から、モニタ画面右側に表示される超音波断層像を再選択することができる。図9に示すように、断層並列像上にはモニタ画面右側に表示される超音波断層像を切断してできた一枚の切断片が他の切断片と表示色を区別され、例えば緑色で表示されている。この表示色を変えた切断片を、以下超音波断層像マーカと称する。
【0087】
術者は、キーボード15やマウス16を用いて外部入力制御回路37から超音波断層像マーカを隣接する切断片へと順次選択的に移動指示することができる。この超音波断層像マーカの移動指示により指示された先にある断層並列像の切断片は、表示色が緑色に表示変更され、移動指示された元の超音波断層像マーカの切断片は、指示されていない他の多数の切断片と同色、即ち白黒の超音波断層像の切断片に戻される。そして、指示された先にある切断片の基となる超音波断層像がモニタ画面右側に表示される。
【0088】
即ち、モニタ画面の断層並列像の超音波断層像マーカを、所望の切断片の位置に選択的に移動することに連動して、超音波断層像が更新して表示される。
【0089】
この作用を図10のフローチャートに基づき、さらに詳しく説明すると、まず術者は、キーボード15やマウス16を用いて各種メニューの中から超音波断層像マーカの移動メニューを選択する。ステップS201でコントローラ39は、超音波断層像マーカを隣接した切断片の位置へ移動する指示を外部入力制御回路37を介して受信する。ステップS202でコントローラ39は、画像処理回路33を駆動制御して、画像処理回路33に用意されているカウンタの変数nに1を代入する。
【0090】
次に、コントローラ39は、ステップS203で、画像処理回路33に画像メモリ32に記憶されている連続した複数の超音波断層像のうち、第n番の超音波断層像と位置方向データとを読み込ませる。この画像処理回路33は、この読み込んだ第n番目の超音波断層像をステップS204で切断して切断片を生成する。このステップS204の切断片の生成は、図3の前記ステップS104と同様の処理であり、詳細説明は省略する。
【0091】
ステップS204での超音波断層像の切断片が生成されると、ステップS205でコントローラ39は、画像処理回路33を駆動制御して、読み込んだ第n番の超音波断層像が前記ステップS201で指示された移動先の切断片の基となった超音波断層像か否かを判断する。第n番目の超音波断層像が、移動先の超音波断層像であると判断されるとステップS206へ、そうでないと判断されると、ステップS208へジャンプする。
【0092】
前記ステップS205で、新たに指示された移動先の超音波断層像であると判断されると、ステップS206でコントローラ39は、画像処理回路33を駆動制御して、モニタ画面右側に表示されている超音波断層像を第n番目の超音波断層像に更新し、ステップS207で第n番目の超音波断層像の切断片を緑に着色する。即ち、第n番目の超音波断層像の切断片が新しい超音波断層像マーカとなる。
【0093】
次に、コントローラ39は画像処理回路33を制御して、ステップS208で、前記ステップS105と同様に位置方向データと視線方向とを基に切断片の座標変換を施し、ステップS209で、前記ステップS106と同様に切断片上の各画素のモニタ画面からの深さを計算し、ステップS210で、前記ステップS107と同様に切断片上の各画素の深さと、各Zバッファセルの記憶値とを比較し、更に、ステップS211で、前記ステップS108と同様に、画素の深さとZバッファセルの記憶値との比較に応じた処理を行う。
【0094】
次に、ステップS212でコントローラ39は、モニタ14に表示すべき超音波断層像と新たに作られた断層並列像とを図9に示すように並べて更新して表示させる。
【0095】
前記ステップS212のモニタ14への表示更新が終了すると、ステップS213でコントローラ39は、手引き走査で取得された連続した複数の超音波断層像を全て読み込み処理が終了か判断し、読み込み終了していないと、ステップS214以降を実行する。具体的には、nが手引き走査で取得された連続した複数の超音波断層像の最後の画像の場合は、コントローラ39は画像処理回路33に上述した全ての処理を終了させ、連続した複数の超音波断層像の最後の画像でない場合は、ステップS214で、画像処理回路33にカウンタとして用意された変数nに1を加えさせて、前記ステップS203の処理へとジャンプし、ステップS203〜S214までの処理を繰り返して実行する。
【0096】
上述したように、ステップS201〜ステップS214までの処理を行うことで、超音波断層像マーカが隣の切断片の位置に移動し、連動して超音波断層像が更新して表示されることになる。
【0097】
さらに、術者がキーボード15やマウス16を用いて、ステップS201で行った指示を繰り返し行うことで、断層並列像上の超音波断層像マーカを、所望の切断片の位置に選択的に移動させるとともに、これに連動して所望の超音波断層像を表示させることができる。
【0098】
なお、初期状態、即ち、手引き走査の直後には、モニタ14は、図8に示すように、手引き走査の経路に沿った断層並列像と手引き走査で最後に得られた超音波断層像とを表示している。なお、図8では超音波断層像マーカが描かれていないが、これはステップS201で術者が超音波断層像マーカが隣接した切断片の位置へ移動するよう最初に指示した際に現れるものとする。
【0099】
次に、図11に示すように、モニタ画面の受信コイルユニットマーカの回転駆動を指示すると、その受信コイルユニットマーカの回転に連動して、断層並列像を回転させることができる。この断層並列像の回転作用について、図12を用いて説明する。
【0100】
ステップS301において、術者がキーボード15やマウス16を用いて、受信コイルユニットマーカを回転させるよう指示入力すると、この指示は、外部入力制御回路37を介してコントローラ39に入力される。そして、表示回路34を介して、モニタ14に表示されている受信コイルユニットマーカは、図11の矢印の方向へ回転し、断層並列像も連動して回転する。この様子は、術者がモニタ14上で確認する。この断層並列像の回転は、新たな視線方向への回転を受信コイルユニットマーカを受信コイルユニット44に見立てて図11の紙面手前から奥への方向として設定される。
【0101】
前記ステップS301で、受信コイルユニットマーカによる断層並列像の視線方向が設定された後、ステップS302〜ステップS314までの処理が実行される。このステップS302〜S314処理は、前記ステップS202〜S214と同様であるために説明は省略する。
【0102】
すなわち、画像処理回路33は、手引き走査で得られた連続した複数の超音波断層像を画像メモリ32から読み込み、設定された新しい視線方向で新たに断層並列像を構築することができる。
【0103】
なお、この説明において、術者が受信コイルユニットマーカを回転させた後に、断層並列像が回転するよう説明したが、コントローラ39、バス38、画像処理回路33、表示回路34等の処理が十分早ければ、受信コイルユニットマーカがほんの少し回転するたびに、回転した断層並列像を再構築することも可能である。その場合、術者には受信コイルユニットマーカと断層並列像とが同時に連動して回転するように見える。
【0104】
次に、超音波断層像の切断位置の変更作用について説明する。図13に示すように、モニタ画面に表示されている超音波断層像に切断線マーカを表示させ、その切断線マーカをキーボート15やマウス16の指示入力により移動させて、新しい切断位置を設定し、その新規切断位置で切断した切断片の断層並列像を生成させる。
【0105】
この切断位置の変更の作用について、図14を用いて説明する。ステップS401で、術者がキーボート15やマウス16を用いて、外部入力制御回路39からコントローラ39に切断位置変更メニューが指示入力されると、コントローラ39は、画像処理回路33と表示回路34を制御して、図13に示すモニタ画面右側の超音波断層像の線分上の切断線マーカを表示させる。その切断線マーカを術者が移動させるように指示されると、切断線マーカは、この指示により例えば図13の矢印の方向へ移動する。この様子は術者がモニタ上で確認し、切断位置は新しく移動した切断線マーカの位置に設定される。
【0106】
このステップS401の切断線マーカ位置の移動設定が終了すると、ステップS402〜S414までの処理が実行される。このステップS402〜S414の処理は、前記ステップS202〜S214までの処理と同じであるため詳細説明は省略する。すなわち、画像処理回路33は、手引き走査で得られた連続した複数の超音波断層像を画像メモリから読み込み、設定された新しい切断位置で切断した切断片の断層並列像を構築することが可能となる。
【0107】
なお、この説明で術者が切断線マーカを移動させた後に、断層並列像が再構築されるよう説明した。しかし、コントローラ39、バス38、画像処理回路33、表示回路34等の処理が十分早ければ、切断線マーカがほんの少し移動するたびに、少し移動した切断位置での断層並列像を再構築することも可能である。その場合、術者には切断線マーカと断層並列像とが同時に連動して変化するように見える。
【0108】
また、切断線マーカは、背景の画像が白黒の画像であるときには、目立つように緑色など背景とは異なる色で表示させる。
【0109】
以上説明したように、断層並列像を手引き走査中に表示させているために、被験者の体腔のどの辺でどの程度の枚数の画像を撮像したか画像の密度がわかりやすく、画像取得の取りこぼしが生じにくくなる。
【0110】
前記手引き走査中に、モニタ画面の右側には最新の超音波断層像を、左側には断層並列像を表示させるようにしたため、現在画面に表示されている超音波断層像がどの部位で走査されている超音波断層像であるのかがわかりやすい。例えば、食道から胃を経由して十二指腸を通る消化管に沿って超音波内視鏡11aの挿入部21を進退させた場合、その軌跡は解剖学的に消化管の形状とほぼ一致する。このことを利用して、術者は断層並列像により超音波内視鏡の挿入部先端が体腔内のどの部分にあるかを明確に判別することが出来る。
【0111】
また、手引き走査後には、モニタ画面に表示中の超音波断層像を示す切断片を超音波断層像マーカとして他の切断片とは色を区別し、超音波断層像と断層並列像との対応を表現させるようにしたため、湾曲もしくは屈曲した管腔のどの部分を走査して得た超音波断層像なのかわかりやすい。従って、所望の超音波断層像を得やすく、病変等関心領域の描出、発見が容易となる。
【0112】
さらに、キーボードやマウスのような入力手段により断層並列像上の超音波断層像マーカを移動させ、これに連動して超音波断層像を更新するようにしたため、断層並列像を超音波断層像を探す際のガイドにすることができる。更にまた、超音波断層像マーカを少しずつ移動させながら超音波断層像を更新させていくことで病変のつながり、臓器のつながり、脈管の走行がわかりやすく、病変と周囲臓器との互いの空間的な位置関係も一層わかりやすくなった。
【0113】
前記画像処理回路が超音波断層像を切断し、切断片の最浅の画素を上書きすることで断層並列像を生成させたため、切断位置に病変、臓器、脈管が入っている場合には、手引き走査に沿った病変のつながり、臓器のつながり、脈管の走行が一目でわかるようになり、断層並列像を回転させることで、断層並列像を手引き走査に沿った病変のつながり、臓器のつながり、脈管の走行も一層わかりやすい向きで観察することができ、さらに、キーボードやマウスのような入力手段により超音波断層像上で切断位置を変更させるよう構成・作用したため、切断位置に病変、臓器、脈管が入るように断層並列像を簡単に作成することができる。
【0114】
また、断層並列像の近傍に、受信コイルユニットの向きを示す受信コイルユニットマーカを設けるよう構成したので、断層並列像を観察している方向が一層わかりやすく、手引き走査した方向も一層わかりやすい。
【0115】
更にまた、手引き走査中、超音波断層像が構築される度に、超音波断層像を切断、最浅の画素を上書きし、断層並列像を作成するよう構成したので、3次元画像構築に必要な補間処理等の処理が不要になり、断層並列像を高速に生成、更新することができ、かつ、術者が手引き走査を行いながらライブで手引き走査に沿った断層並列像を観察することができる。
【0116】
よって、本発明の超音波診断装置は、病変の管腔に沿った浸潤の広がり、管腔表面から垂直方向への浸潤の深さ、及び管腔から見て深部にある臓器や門脈への浸潤の広さと深さ等をラジアル走査型超音波内視鏡を体腔内で動かすことで、容易かつ現実的に観察することができる。
【0117】
なお、本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態の説明において、断層並列像上の切断線マーカを移動させて断層並列像を再構築させたが、切断線マーカを固定し断層並列像をモニタ画面内で平行移動、もしくは回転させても良い。
【0118】
前記手引き走査は、超音波内視鏡の挿入部を体腔深部から引き抜く方向と、体腔内深部へと挿入する方向のいずれの進退方向であっても良い。
【0119】
前記モニタ画面に超音波断層像と断層並列像とを並べて同時に表示させたが、超音波断層像と断層並列像とをそれぞれ別体のモニタに個別に表示させても良く、あるいは、単一のモニタの画面に、超音波断層像と断層並列像を交互に切換表示させるようにしても良い。
【0120】
前記手引き走査後の超音波断層像と断層並列像の表示は、画像メモリに記憶された超音波断層像と位置方向データとを用いたが、手引き走査直後に画像メモリの他に3次元データ記録部に記録しておき、手引き走査後には3次元データ記録部に記録された超音波断層像と断層並列像とを用いても良い。
【0121】
前記超音波断層像マーカは、モニタ画面右側に表示されている超音波断層像に対応した切断片の表示色を他の切断片と異ならせたが、これは特定の切断片を区別できるように表示態様を変えたものであればいかなるものでも差し支えない。例えば、色ではなく輝度値を変化させて超音波断層像マーカとしても良い。または、モニタ画面右側に表示されている超音波断層像に対応した切断片上に丸や四角等の特定のマークを付して超音波断層像マーカとしても良い。あるいは、モニタ画面右側に表示されている超音波断層像に対応した切断片上に、ある特定色の枠をつけて超音波断層像マーカとしても良い。
【0122】
前記超音波内視鏡の挿入部の先端に送信コイルを設け、受信コイルは空間中に固定する構成としたが、この送信コイルと受信コイルとを逆に設けても良い。
【0123】
更に、磁場を用いて超音波断層像の位置と方向とを検出したが、これは加速度を用いても良く、位置と方向検出できる他の手段でも良いことは明らかである。
【0124】
次に、本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態を図15と図16を用いて説明する。図15は本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡の挿入部先端部の構成を示すブロック図、図16は本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態の全体構成を示すブロック図である。なお、図1及び図2と同一部分は、同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0125】
本発明の超音波診断装置の第2の実施形態に用いられる超音波内視鏡11bの挿入部21の先端には、超音波振動子を短冊状に切断し、挿入部21の軸方向の周囲に環状のアレイとして配列させた超音波振動子アレイ81が設けられている。この超音波振動子アレイ81を構成する各超音波振動子は、それぞれ信号線82を介して駆動部23を介して超音波観測部12の画像構築回路31に接続している。
【0126】
この超音波振動子アレイ81は、画像構築回路31から駆動部23を介して環状アレイが順次切換駆動されて超音波ビーム81aを発振させてラジアル走査82aを電気的にて実行されるようになっている、所謂電子ラジアル走査型である。
【0127】
この超音波振動子アレイ81を構成する超音波振動子のうち、一部かつ複数の超音波振動子は、超音波観測部12の画像構築回路31からのパルス電圧状の励起信号によって媒体の疎密波である超音波を生成出力する。この場合、各励起信号が各超音波振動子に到着する時刻が異なるよう、画像構築回路31が各励起信号に遅延をかけている。この遅延は、各超音波振動子が励起する超音波が被検体内で重ね合わせられたときに一本の超音波ビーム81aを形成するように設定される。超音波ビーム81aは、超音波内視鏡11bの外部へと照射され、被検体内からの反射エコーが各超音波振動子へと入力される。各超音波振動子は、反射エコーを電気的なエコー信号に変換して画像構築回路31へと出力する。
【0128】
この超音波振動子アレイ81から出力される超音波ビーム81aを図15の矢印で示すラジアル走査82aを行わせるために、画像構築回路31は、超音波ビーム81aの形成に関与する複数の超音波振動子を選択し直し、再び励起信号を送信する。これにより超音波ビーム81aの角度を変えて、所謂電子ラジアル走査が実現されるようになっている。
【0129】
つまり、前述した本発明の第1の実施形態の超音波内視鏡11aは、超音波振動子25をモータ22で回転させるメカニカルなラジアル走査をさせていたが、この第2の実施形態の超音波内視鏡11bは、超音波振動子アレイ81の複数の超音波波振動子の中から超音波ビーム81aを出力する超音波振動子を選択駆動させて、電子的にラジアル走査させる点が相違しており、他の構成と作用は全く同一である。
【0130】
前述した第1の実施形態では、メカニカルラジアル走査を採用しているため、フレキシブルシャフト26のねじれが生じ、このねじれが複数の超音波断層像間で一様にならないことが原因になって、断層並列像上の歪みとなって現れる懸念がある。これは通常のメカニカルラジアル走査では、モータの回転角度位置をモータに隣接したロータリーエンコーダによって検出する構成であるためである。
【0131】
しかし、電子ラジアル走査を採用するとメカニカルなねじれや誤差が生じることがないために断層並列像の歪みを生じさせることがなくなる。
【0132】
なお、この第2の実施形態の電子ラジアル走査は、360°全周のラジアル走査以外に、例えば270°のラジアル走査でも良いことは明らかである。
【0133】
次に、本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡11bの変形例を図17を用いて説明する。図17は本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡の変形例を示すブロック図である。
【0134】
図17に示す超音波内視鏡は、ラジアル走査型超音波プローブとしてカプセル内に超音波内視鏡を収納したカプセル超音波内視鏡11cである。
【0135】
このカプセル超音波内視鏡11cは、カプセル内に送信コイル27と、超音波振動子25と、超小型モータ83と、及び超小型モータ83の回転軸から延出して前記超音波振動子25を保持固定する剛性シャフト83aとが内装されている。
【0136】
このカプセル超音波内視鏡11cからは信号ケーブル85が延出され、この信号ケーブル85の信号線84は、前記超音波振動子25と超小型モータ83のそれぞれの信号線として接続されると共に、前記駆動部23と接続されている。
【0137】
このカプセル超音波内視鏡11cの超小型モータ83は、剛性シャフト83aを介して超音波振動子25を回転駆動させるようになっており、超小型モータ83と超音波振動子25との間の回転ねじれは、剛性シャフト83aを用い、且つ、超小型モータ83と超音波振動子25とが比較的接近させることで生じにくくなり、超小型モータ83の回転と超音波振動子25との回転差が生じることなく、超音波断層像間の歪がない像が生成できる。
【0138】
また、このカプセル超音波内視鏡11cは、光学観察窓、CCDカメラ、ライトガイドファイバー、映像信号ケーブル等の構成要素が不要であるから小型化が可能で、被験者がカプセル超音波内視鏡を体腔内へに飲み込み時の負担が小さく、且つ、体腔内での走査が容易で、断層並列像から術者は体腔内の観察位置がわかりやすく観察容易となる。
【0139】
さらに、カプセル超音波内視鏡11cは、自然に嚥下、落下、蠕動による進退可能であるために、体腔内での手引き走査が容易となる。
【0140】
次に、本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態である超音波内視鏡を図18と図19を用いて説明する。図18は本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態である超音波内視鏡の構成と作用を示す説明図、図19は本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態の超音波内視鏡の作用を説明するフローチャートである。なお、図16は第2の実施形態と共通である。
【0141】
この第3の実施形態の超音波内視鏡11dは、図18(a)に示すように、挿入部21の先端に複数の短冊状に切断された超音波振動子を挿入方向に沿って略円弧状に配置された超音波振動子アレイ86が設けている。
【0142】
この超音波振動子アレイ86を構成する個々の超音波振動子は、信号線82を介して駆動部23を経由して超音波観測部12の画像構築回路31に接続されている。
【0143】
また、この超音波内視鏡11dは、超音波断層像で観察を行いながら各種処置を実行するために、挿入部に沿って穿刺針や鉗子(図示せず)を挿入する挿通孔であるチャンネル87が設けられている。
【0144】
この超音波内視鏡11dは、超音波振動子アレイ86を構成する超音波振動子のうち、一部かつ複数の超音波振動子が超音波観測部12の画像構築回路31からのパルス電圧状の励起信号によって媒体の疎密波である超音波が投射される。
【0145】
この超音波を投射させる際、各超音波振動子に供給する各励起信号それぞれが各超音波振動子に到着する時刻が異なるよう、画像構築回路31で各励起信号に遅延をかけている。この遅延は、各超音波振動子が励起する超音波が被検体内で重ね合わせられたときに一本の超音波ビーム86aを形成するように設定されている。
【0146】
この超音波ビーム86aは、超音波内視鏡11dの外部へと照射され、被検体内からの反射エコーが各超音波振動子へ入力され、この反射エコーを電気的なエコー信号に変換して画像構築回路31へと出力される。
【0147】
この超音波内視鏡11dの超音波振動子アレイ86から投射される超音波ビーム86aが図中の矢印で示すようにコンベックス走査86bをするように、画像構築回路31からの励起信号を複数の超音波振動子に順次選択送信するようになっている。
【0148】
これにより、超音波振動子アレイ86から投射される超音波ビーム86aの角度が変わり、所謂コンベックス走査が実現される。
【0149】
このような超音波内視鏡11dを用いて、前述した第1から第3の実施形態と同様に超音波断層像と断層並列像の生成が可能となる。
【0150】
この超音波内視鏡11dを用いた超音波診断の時の断層並列像を生成する際のねじり走査中の作用について図19を用いて説明する。
【0151】
ステップS501で、術者がキーボード15やマウス16から入力指示して、各種メニュー表示と、そのメニューからねじり走査開始指示入力を行うと、コントローラ39から画像構築回路31に対して超音波振動子アレイ86を駆動させる励起信号を出力し、コンベックス走査を開始させる。
【0152】
次に、ステップS502で、術者は、被検体の体腔内に挿入させた超音波内視鏡11dをコンベックス走査させながら挿入軸を中心にして回転(以下、ねじり)を始める。なお、以降のステップで、ねじりを行いながらコンベックス走査を繰り返すことで、順次超音波断層像が構築され、この走査方法を以下、「ねじり走査」と称する。このねじり走査の様子を図18(b)に示していて、各超音波断層像に対し、構築しはじめた順番に1〜5の番号がつけられている。なお、図18(a)では、説明の都合上、穿刺針がチャンネル87から突出している状態を示しているが、ねじり走査時は突出させないものとする。
【0153】
前記ステップS502のねじりが開始されると、ステップS503でコントローラ39は、画像構築回路31を制御して、超音波振動子アレイ86からのエコー信号の基で超音波断層像を構築し、その構築された超音波断層像と、超音波断層像が構築された時に算出された位置方向データとを画像メモリ32へ超音波断層像と位置方向データとを同期、関連づけて記憶させる。
【0154】
次に、ステップS504でコントローラ39は、画像処理回路33を制御して、画像メモリ32に記憶されている超音波断層像と位置方向データとを読み込み、超音波断層像を切断して切断片を生成させる。この切断片を生成する際の超音波断層像の切断の位置は予め設定されており、ここでは、以降のステップの説明の都合から図18(a)に示すように、コンベックス走査平面86cの中央を通る直線の切断位置86dとする。なお、この切断位置86dは、前述した第1の実施形態と同様に位置の変更や新たな設定が可能である。
【0155】
このステップS504の切断片の生成が終了すると、ステップS505以降が実行されるが、ステップS505〜S510は、前述したステップS105〜S110と同じ作用であるから詳細説明は省略する。
【0156】
すなわち、画像処理回路33は、ねじり走査で得られた連続した複数の超音波断層像を画像メモリ32から読み込み、設定された新しい視線方向で新たに断層並列像を構築することになり、ステップS503〜S510までの処理を繰り返すことで、断層並列像は、ねじり走査に併せて順次延びていくことになる。
【0157】
なお、画像処理回路33は、断層並列像がねじり走査に伴ってモニタ14の画面からはみだしそうになるときには、最新の切断片が全てモニタ画面内に表示されるよう、ステップS509での表示の前に断層並列像をスクロールさせることも可能である。また、このねじり走査後は、前述した手引き走査後の作用と同じである。
【0158】
このようなコンベックス走査型超音波内視鏡は、超音波断層像で観察しながら穿刺針を患部へ穿刺し、患部の細胞や組織を吸引生検することができる。生検された細胞や組織は検体と呼ばれ、顕微鏡下で病理検査されて、検体を基に患部の疾患が診断判定できるために医学的に大変有用である。
【0159】
このコンベックス走査型超音波内視鏡11dをを用いることにより、術者が断層並列像から病変の周囲臓器への広がりが穿刺前に把握でき、病変を確実に穿刺し検体採取が容易となる。
【0160】
また、血管がどのように走行しているか穿刺前に把握しやすく、穿刺時の出血を避けるよう血管走行を容易に確認でき、穿刺前の検査時間を省くことができる。
【0161】
[付記]
以上詳述した本発明の実施形態によれば、以下のごとき構成を得ることができる。
【0162】
(付記1)
超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で複数の超音波断層像を得る超音波診断装置において、
前記超音波プローブが被検体の体腔内を動く過程で得られた複数の超音波断層像の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
前記位置情報検出手段により得られた前記位置情報に基づき前記複数の超音波断層像を前記超音波プローブの走査経路に沿って並べた断層並列像を構築する断層並列像構築手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【0163】
(付記2)
前記超音波断層像と前記断層並列像とを対比可能に表示手段に表示させる表示制御手段を更に有することを特徴とする付記1記載の超音波診断装置。
【0164】
(付記3)
前記断層並列像構築手段は、前記超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で、前記超音波断層像が生成される都度、前記超音波断層像上の各画素を前記断層並列像上の対応する各画素に上書きして新たな断層並列像を構築することを特徴とする付記1記載の超音波診断装置。
【0165】
(付記4)
超音波プローブが被検体体腔内を動く過程で複数の超音波断層像を得る超音波診断装置において、
複数の超音波断層像の位置と方向とを検出する位置方向検出手段と、
該位置と該方向とを基に該超音波断層像を走査経路にそって並べた断層並列像を構築する断層並列像構築手段と、
を設けたことを特徴とする超音波診断装置。
【0166】
(付記5)
前記超音波断層像と該断層並列像とを対比可能に表示する表示手段を、
設けたことを特徴とする付記4記載の超音波診断装置。
【0167】
(付記6)
前記表示手段が該超音波断層像と該断層並列像とを同一画面上に表示することで対比可能に表示したことを特徴とする付記5記載の超音波診断装置。
【0168】
(付記7)
前記表示手段が該超音波断層像の位置を示す超音波断層像マーカを該断層並列像上に表示したことを特徴とする付記5記載の超音波診断装置。
【0169】
(付記8)
前記超音波断層像マーカの位置を設定する超音波断層像マーカ設定手段を設け、前記表示手段が前記超音波断層像マーカ設定手段が設定した該超音波断層像マーカの位置に応じて、前記超音波断層像を選択して表示したことを特徴とする付記7記載の超音波診断装置。
【0170】
(付記9)
前記超音波断層像を切断して該超音波断層像の切断片を作成する切断手段を設け、前記断層並列像構築手段が該切断片を並べることで断層並列像を構築したことを特徴とする付記1記載の超音波診断装置。
【0171】
(付記10)
前記超音波断層像を切断する位置を設定する切断位置設定手段を設け、前記切断手段が前記切断位置設定手段が設定した位置で超音波断層像を切断して該切断片を作成したことを特徴とする付記9記載の超音波診断装置。
【0172】
(付記11)
前記断層並列像を回転させた新たな断層並列像を構築する回転手段を設けたことをを特徴とする付記4乃至付記10記載の超音波診断装置。
【0173】
(付記12)
前記表示手段が該断層並列像と前記位置方向検出手段に対する該断層並列像の向きを表現する指標を同一画面上に表示したことを特徴とする付記4乃至付記11記載の超音波診断装置。
【0174】
(付記13)
前記断層並列像構築手段が、超音波プローブが被検体体腔内を動く過程で、該超音波断層像が生成される度に該超音波断層像上の画素を該断層並列像の上に上書きすることで新たな断層並列像を構築したことを特徴とする付記4記載の超音波診断装置。
【0175】
(付記14)
前記断層並列像構築手段が上書きすべき画素を前記位置方向検出手段が検出した該位置と該方向とから求めたことを特徴とする付記13記載の超音波診断装置。
【0176】
(付記15)
前記超音波プローブがメカニカルラジアル走査を行うメカニカルラジアル走査型超音波内視鏡であることを特徴とする付記4乃至付記14記載の超音波診断装置。
【0177】
(付記16)
前記超音波プローブが電子ラジアル走査を行う電子ラジアル走査型超音波内視鏡であることを特徴とする付記4乃至付記14記載の超音波診断装置。
【0178】
(付記17)
前記超音波プローブがカプセル超音波内視鏡であることを特徴とする付記4乃至付記14記載の超音波診断装置。
【0179】
(付記18)
前記超音波プローブがコンベックス走査を行うコンベックス走査型超音波内視鏡であることを特徴とする付記4乃至付記14記載の超音波診断装置。
【0180】
【発明の効果】
本発明の超音波診断装置は、病変の管腔に沿った浸潤の広がり、管腔表面から垂直方向への浸潤の深さ、及び管腔から見て深部にある臓器や門脈への浸潤の広さと深さが観察できる超音波画像のモニタ表示が可能となり、断層並列像を走査中に表示することで、被験者の体腔内のどの部分であるかと、撮像密度をモニタ画面に表示する断層並列像の枚数で示すことができ、撮像画像取得の取りこぼしが生じにくい超音波診断装置を提供できる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態の全体構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態に用いる超音波内視鏡の挿入部先端の構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態において、手引き走査による断層並列像を生成させる作用を説明するフローチャート。
【図4】本発明に係る超音波診断装置による手引き走査で生成する超音波断層像の説明図。
【図5】本発明に係る超音波診断装置による超音波断層像の切断作用を説明する説明図。
【図6】本発明に係る超音波診断装置のZバッファセルを説明する説明図。
【図7】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上の画素配置を説明する説明図。
【図8】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上の表示状態を説明する説明図。
【図9】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での超音波断層像マーカの移動作用を説明する説明図。
【図10】本発明に係る超音波診断装置の超音波断層像マーカの移動作用を説明するフローチャート。
【図11】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での断層並列像の回転作用を説明する説明図。
【図12】本発明に係る超音波診断装置の断層並列像の回転作用を説明するフローチャート。
【図13】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での断層並列像の切断位置変更と切断マーカ移動を説明する説明図。
【図14】本発明に係る超音波診断装置の断層並列像の切断位置変更と切断マーカ移動の作用を説明するフローチャート。
【図15】本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡の挿入部先端部の構成を示すブロック図。
【図16】本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態の全体構成を示すブロック図
【図17】本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡の変形例を示すブロック図。
【図18】本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態に用いる超音波内視鏡の構成と作用を示す説明図。
【図19】本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態に用いる超音波内視鏡の作用を説明するフローチャート。
【図20】従来の超音波診断装置による超音波断層像の課題を説明する説明図。
【符号の説明】
11…超音波内視鏡
12…超音波観測部
13…位置検出部
14…モニタ
21…挿入部
23…駆動部
25…超音波振動子
27…送信コイル
31…画像構築回路
32…画像メモリ
33…画像処理回路
34…表示回路
35…3次元データ記録部
36…通信回路
37…外部入力制御回路
38…バス
39…コントローラ
41…コイル駆動回路
42…受信コイル
43…位置算出回路
44…受信コイルユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、病変の浸潤の広がりや深さを現実的に観察可能とする超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波診断装置として、体腔内に挿入する細長の挿入部の先端に超音波振動子と位置検出器を設けた体腔用ラジアル走査型超音波プローブ(光学観察窓を設けた超音波内視鏡を含む)を湾曲もしくは屈曲した管腔に沿って進退させ、複数の超音波断層像を取得して、管腔経路に沿った空間の超音波画像データを取得したり(例えば、特許文献1参照)、あるいは、挿入部先端に超音波振動子と位置検出器を設けた体腔内用コンベックス走査型超音波プローブを管腔に挿入させて挿入軸を中心に回転させて複数の超音波断層像を取得して管腔空間の超音波画像データを取得するものも知られている。
【0003】
また、位置検出器を設けた体外用超音波プローブを、体外から被検体に超音波を照射させつつ移動させたり回転させて、複数の超音波断層像を取得して空間の超音波画像データを取得する超音波診断装置も知られている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0004】
これら超音波診断装置で得た超音波画像データを基に、モニタ画面に超音波画像を表現する方法が種々検討されており、前記特許文献1では、次の第1と第2の表現方法が採用され、前記特許文献2と特許文献3では、次の第3の表現方法が採用されている。
【0005】
第1の表現方法:複数の超音波断層像が重複する部分を平均化したり、超音波断層像間を補間したりして直交座標で表現される3次元画像データを作成し、この3次元画像データを基に、平面で切断した断面像を表現する。
【0006】
第2の表現方法:複数の超音波断層像が重複する部分を平均化したり、超音波断層像間を補間したりして直交座標で表現される3次元画像データを作成し、この3次元画像データを基に、超音波3次元画像を表現する。
【0007】
第3の表現方法:位置検出器の出力から超音波プローブの各座標位置の変化を求め、複数の2次元超音波断層像を各走査面の位置変化に対応する量だけ変位させながら積層して立体化した擬似3次元画像で表現する。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−113913号公報。
【0009】
【特許文献2】
特開平10−216127号公報。
【0010】
【特許文献3】
登録実用新案第3040306号公報。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような超音波診断装置を用いて、胃、食道、及び腸等のような管腔状臓器内で術者が超音波プローブを動かして診断を行う際には、次に示す3つの観察を行うことが予後の予測、手術/処置範囲の決定の為に重要である。
【0012】
第1の観察:病変が管腔に沿ってどこからどこまで広がって浸潤しているか。
第2の観察:病変が管腔表面に対して垂直な方向にどこまで深く浸潤しているか。
第3の観察:病変が膵臓等の管腔から見て深部にある臓器や門脈等の血管に対してどれだけ広く深く浸潤しているか。
【0013】
この第1から第3の観察を行う際に、前記第1から第3の表現方法を用いることには、それぞれ以下の問題点がある。
【0014】
第1の表現方法は、平面で切断した断面像で表現する方法であるため、図20に示すように、管腔が切れ切れの画像として表現されてしまい、管腔の全体像がモニタ画面に表示されないことが多い。
【0015】
これは、必ずしも生体の管腔が特定の平面内を走行していないことが原因である。なお、図20は管腔が一部で断面より奥側を走行している状態を示している。よって、この第1の表現方法では、前記第1から第3の観察が難しくなる。
【0016】
第2の表現方法は、超音波3次元画像で表現する方法であるため、第1から第3の観察のいずれも観察可能であるが、経路に沿った3次元画像データを作成するためにはメモリ等の記憶装置が極端に大容量になってしまうことが多い。
【0017】
例えば第1から第3の観察の目的で管腔に沿って10cm程度もあるような大きな病変を観察する場合には、病変前後の正常部分も含めて、管腔に沿って病変を含む広い範囲の3次元画像データを取得することができるよう、体腔内用ラジアル走査型超音波プローブを10数cm程度進退させたり、体腔内用コンベックス走査型超音波プローブを大変広い角度で回転させる必要がある。
【0018】
さらに、大きい病変は、管腔表面に対して垂直な方向にも広がっているので、各超音波断層像は広い領域の画像データを網羅する容量の大きい画像である必要がある。
【0019】
また、例えば第3の観察の目的で超音波プローブを挿入して消化管壁越しに膵臓を観察する際には、膵臓全体の3次元画像データが取得できるように十二指腸から胃に沿って30cm近くも進退させる必要がある。
【0020】
さらに、いずれの観察の目的でも、得られる3次元画像データを良好に保つためには、一定以上の密度で超音波断層像を取得しなければならない。
【0021】
しかし、この第2の表現方法では、超音波プローブの長い進退で、かつ一定以上の密度で取得した超音波断層像間をさらに補間して3次元画像データを作成するので、用途によっては数GB程度の容量が必要となってしまう。
【0022】
よって、この第2の表現方法で、第1から第3の観察を行うことは非現実的なことが多い。
【0023】
第3の表現方法は、積層(すなわち時系列の画像データを加算)して立体化した擬似3次元画像で表現する方法であるため、超音波画像データを次々と積層することで、一枚一枚の超音波断層像が持つ本来のエコー輝度は失われてしまうか、大変見え難くなってしまう。そのため、この第3の表現方法では、特許文献2と特許文献3に開示されているような、病変の形状を観察するような場合には良いが、病変の正常組織への浸潤の広がりはわからない。
【0024】
よって、この第3の表現方法では、第1から第3の観察が難しい。
【0025】
また、特許文献1乃至3の超音波診断装置を用いた場合には、被験者のどの辺でどの程度の枚数の画像を撮像したか画像の密度がわかりにくく、画像取得の取りこぼしをおこしやすいという課題もあった。
【0026】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、超音波プローブを体腔内で動かして得た空間の超音波画像データを基に、超音波画像をモニタ表示する際に、前記第1から第3の観察を容易に、かつ現実的に観察することができる超音波診断装置を提供することを目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波診断装置は、超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で複数の超音波断層像を得る超音波診断装置において、前記超音波プローブが被検体の体腔内を動く過程で得られた複数の超音波断層像の位置情報を検出する位置情報検出手段と、前記位置情報検出手段により得られた前記位置情報に基づき前記複数の超音波断層像を前記超音波プローブの走査経路に沿って並べた断層並列像を構築する断層並列像構築手段と、を備えたことを特徴としている。
【0028】
本発明の超音波診断装置は、前記超音波断層像と前記断層並列像とを対比可能に表示手段に表示させる表示制御手段を更に有することを特徴としている。
【0029】
また、本発明の超音波診断装置の前記断層並列像構築手段は、前記超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で、前記超音波断層像が生成される都度、前記超音波断層像上の各画素を前記断層並列像上の対応する各画素に上書きして新たな断層並列像を構築することを特徴としている。
【0030】
本発明の超音波診断装置により、病変の管腔に沿った浸潤の広がり、管腔表面から垂直方向への浸潤の深さ、及び管腔から見て深部にある臓器や門脈への浸潤の広さと深さが観察できる超音波画像のモニタ表示が可能となった。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1乃至図14は、本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態を説明する図面で、図1は本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態の全体構成を示すブロック図、図2は本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態に用いる超音波内視鏡の挿入部先端の構成を示すブロック図、図3は本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態において、手引き走査による断層並列像を生成させる作用を説明するフローチャート、図4は本発明に係る超音波診断装置の手引き走査により生成する超音波断層像の説明図、図5は本発明に係る超音波診断装置による断層像の切断作用を説明する説明図、図6は本発明に係る超音波診断装置のZバッファセルを説明する説明図、図7は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上の画素配置を説明する説明図、図8は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上の表示状態を説明する説明図、図9は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での超音波断層像マーカの移動作用を説明する説明図、図10は本発明に係る超音波診断装置の超音波断層像マーカの移動作用を説明するフローチャート、図11は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での断層並列像の回転作用を説明する説明図、図12は本発明に係る超音波診断装置の断層並列像の回転作用を説明するフローチャート、図13は本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での断層並列像の切断位置変更と切断マーカ移動を説明する説明図、図14は本発明に係る超音波診断装置の断層並列像の切断位置変更と切断マーカ移動の作用を説明するフローチャートである。
【0032】
本発明に係る超音波診断装置は、図1に示すように、超音波プローブである超音波内視鏡11a、超音波観測部12、位置検出部13、モニタ14、キーボード15、及びマウス16からなっている。
【0033】
超音波プローブである超音波内視鏡11aは、可撓性を有する材質で形成された被検体の体腔内へ挿入する挿入部21と、この挿入部21の先端に配置されている後述する超音波振動子25を回転駆動させるモータ22を備えた駆動部23からなっている。
【0034】
この超音波内視鏡11aの挿入部21の先端は、図2に示すように、超音波を透過する材質で生成された音響的に半透明な先端キャップ24が設けられている。この先端キャップ24の内部には、超音波振動子25が配置され、音響媒体(図示せず)が充填されている。
【0035】
超音波振動子25は、可撓性部材で生成されたフレキシブルシャフト26の先端に取付固定されている。このフレキシブルシャフト26の他端は、前記駆動部23のモータ22の回転駆動軸に接続されている。
【0036】
前記超音波振動子25は、フレキシブルシャフト26の内部に設けられた信号線(図示せず)が駆動部23を経由して超音波観測部12の後述する画像構築回路31に接続されている。
【0037】
前記挿入部21の先端キャップ24の先端には、磁場を発生させる送信コイル27が設けられており、この送信コイル27は、挿入部21の内部に設けられた信号線(図示せず)を介して位置検出部13の後述するコイル駆動回路41に接続されている。
【0038】
この送信コイル27は、挿入部21の軸方向と直交する2方向(図2に示す、挿入部21の軸方向のZ軸に対して、図中のX軸方向とY軸方向)を軸としてコイルが巻回されている。Z軸は、超音波内視鏡11aの挿入部21の挿入方向で、X軸とY軸は、Z軸に垂直で後述するラジアル走査平面25cに平行な方向である。
【0039】
前記超音波内視鏡11aの駆動部23のモータ22が回転駆動してフレキシブルシャフト26を図中の矢印の方向に回転すると、超音波振動子25も図中矢印のラジアル走査25b方向に回転駆動する。この超音波振動子25を超音波発振駆動させると超音波ビーム25aが投射される。
【0040】
超音波観測部12は、超音波振動子25に超音波発振駆動用のパルス電圧状の励起信号を出力するとともに、超音波振動子25からのエコー信号に各種信号処理を施して超音波の画像データを構築する画像構築回路31と、この画像構築回路31で生成した画像データや後述する画像処理回路33で生成した複数の超音波断層像の画像データを記憶する大容量の画像メモリ32と、この画像メモリ32に記憶されている画像データに各種画像処理を施す画像処理回路33と、この画像処理回路33で各種画像処理が施された画像データをデジタル/アナログ変換処理してアナログ映像信号に変換しモニタ14に画像表示させる表示回路34と、前記画像構築回路31で構築された画像データや後述する位置方向データを長期にわたり記録するハードディスク等の大容量の3次元データ記録部35と、位置検出部13との各種情報交換通信を行う通信回路36と、キーボード15やマウス16からの指示入力を受信する外部入力制御回路37と、更に、前記画像構築回路31、画像メモリ32、画像処理回路33、表示回路34、3次元データ記録部35、通信回路36、及び外部入力制御部37の間には、バス38が設けられ、このバス38を介して各回路31〜37に駆動制御命令を出すコントローラ39からなっている。
【0041】
なお、画像メモリ32は、画像構築回路31から出力される超音波断層像の画像データを記憶する領域と、画像処理回路33で生成したモニタ14に画像表示させる画像データを記憶する領域と、後述するZバッファを記憶する領域との3つの領域を含んでいる。
【0042】
なお、モニタ14は、表示回路34で生成されたアナログ映像信号を基に、超音波断層像を表示するもので、キーボード15は、複数のキーを有し、そのキーにより各種操作入力指示するもので、マウス16は、モニタ14に表示される記号や符号などを操作して各種操作入力指示を行うものである。
【0043】
位置検出部13は、前記超音波内視鏡11aの送信コイル27にコイル励振信号を出力するコイル駆動回路41と、所定の配置方法で特定の位置に配置固定されると共に前記送信コイル27から発生する磁場を逐次検知して位置信号を生成出力する複数の受信コイル42からなる受信コイルユニット44と、この受信コイルユニット44で生成された位置信号から位置方向データを算出生成する位置算出回路43とからなっている。
【0044】
前記受信コイルユニット44は、複数の受信コイル42を直方体の筐体内に一体的に配置固定されている。なお、図1では、受信コイル42は、紙面の都合上、受信コイルユニット44の中で直線上に並べて配置固定された状態を示されているが、実際には2次元平面上あるいは3次元空間上に並べて固定されているものとする。
【0045】
このような構成の超音波診断装置において、超音波断層像を構築する作用について説明する。
【0046】
前記超音波振動子25は、超音波観測部12の画像構築回路31からのパルス電圧状の励起信号により媒体の疎密波である超音波ビームを生成投射する。この超音波ビームは、挿入部21の先端に充填されている音響媒体と先端キャップ24を介して、超音波内視鏡11aの挿入部21の外部へと投射される。この外部に投射された超音波ビームは、被検体内で反射されて反射エコーとして超音波振動子25に入力される。超音波振動子25は、反射エコーを電気的なエコー信号に変換して画像構築回路31へと出力する。
【0047】
この超音波振動子25による超音波ビームの投射と、反射エコー信号の生成作用を反復的に繰り返す一方で、駆動部23内のモータ22を回転駆動させることによりフレキシブルシャフト26と超音波振動子25が各々図中の矢印の方向へ回転する。このため超音波ビームが超音波内視鏡11aの挿入部21の軸方向と垂直なラジアル走査平面25c内を順次放射状に投射され、いわゆるメカニカルなラジアル走査(以下、単にラジアル走査と称する)25bが行われる。
【0048】
前記超音波振動子25で生成されたエコー信号は、超音波観測部12の画像構築回路31で、包絡線検波、対数増幅、アナログ/デジタル変換、スキャンコンバート(ラジアル走査で生成された極座標系の画像データを直交座標系の画像データに変換する処理)等の公知の処理を施して超音波の画像データである所謂超音波断層像データ(以下、単に超音波断層像と称する)を構築する。この超音波断層像はバス38を介して画像メモリ32に記憶される。
【0049】
次に、位置方向データに関わる作用について説明する。
【0050】
前記位置検出部13のコイル駆動回路41は、送信コイル27への励振信号を逐次出力し、この励振信号の基で送信コイル27は磁気を発生させて空間に磁場を張る。一方、受信コイルユニット44の受信コイル42は、送信コイル27からの磁場を逐次検知して生成した位置信号を位置算出回路43に出力する。
【0051】
この位置算出回路43は、前記受信コイル42からの位置信号を基に位置方向データを算出して通信回路36へと出力する。この位置方向データは、送信コイル27の受信コイルユニット44に対する位置と方向とを含んだデータである。具体的には、位置方向データは送信コイル27の位置だけでなく、超音波内視鏡11aの挿入方向(図2のZ軸方向)と、超音波断層像に平行な特定の方向(図2のY軸方向)とを含んでいる。
【0052】
ここで、前記送信コイル27は、図2のY軸が超音波断層像の時計の12時方向(モニタ14に超音波断層像が表示されたときの上方向)になるように挿入部21の先端キャップ24に取り付けられると、位置方向データは超音波断層像の法線方向(図2のZ軸)と12時方向(図2のY軸)とを含むことになる。
【0053】
前記通信回路36は、前記位置算出回路43からの位置方向データを受信してバス38を介して画像メモリ32に出力し記憶させる。
【0054】
なお、前記画像メモリ32に記憶される前記超音波断層像と前記位置方向データとは、コントローラ39からの制御の基で超音波断層像と位置方向データとが同期、関連づけられて記憶される。
【0055】
次に、超音波内視鏡11aを用いて超音波診断実行時の断層並列像を生成するコントローラ39の作用について図3を用いて説明する。
【0056】
超音波診断装置を操作する術者がキーボード15やマウス16を用いて各種メニュー表示と、その表示されたメニューから選択されたメニューが指示入力されると、その指示入力メニューの内容が外部入力制御回路37からコントローラ39へと伝達され、その指示入力に応じてコントローラ39が各回路31〜36を駆動制御する。ステップS101で術者が超音波診断開始のための操作入力(手引き走査開始指示)を行うと、コントローラ39は、画像構築回路31を駆動制御して、超音波振動子25への励起信号を出力させると共に、モーター22を回転駆動させて、超音波振動子25のラジアル走査25bを開始させる。
【0057】
ステップS102で、術者は、被検体である体腔内に挿入された超音波内視鏡11aの挿入部21をラジアル走査25bをさせながら管腔に沿って進退させる手引き走査を繰り返し、超音波振動子25からの反射エコーを基に、コントローラ39は、画像構築回路31を駆動制御して、順次超音波断層像が構築される。この走査方法を、以下「手引き走査」と称する。
【0058】
この手引き走査が開始されると、ステップS103でコントローラ39は、超音波振動子25からの反射エコーを基に画像構築回路31に図4に示すような超音波断層像を逐次構築させる。なお、図4では各超音波断層像に対し、構築し始めた順番に1〜nの番号を付している。
【0059】
この画像構築回路31で構築された超音波断層像は、超音波断層像が構築されたときに位置算出回路43で算出された位置方向データと同期、関連づけられて画像メモリ32に記憶される。なお、前記超音波断層像をモニタ14に表示した場合の超音波断層像を図5(a)に例示している。
【0060】
次に、ステップS104でコントローラ39は、画像処理回路33を駆動制御して、画像メモリ32から超音波断層像と位置方向データとを読み込み、超音波断層像を切断して切断片を作る処理を行わせる。
【0061】
この超音波断層像を切断する切断位置は、予め設定されており、例えば、図5(a)に示す超音波断層像の画像の中心(つまり、超音波振動子25の回転中心)を通る直線で切断するものとすると、その切断位置から切断された切断片は、図5(b)に示すようになる。なお、この切断位置は、変更設定が可能である。
【0062】
このステップS104で切断位置から切断した切断片は、ステップS105でコントローラ39の制御の基で、画像処理回路33で位置方向データと視線方向とを基に座標変換を施す。
【0063】
この視線方向は、断層並列像がモニタ14に表示されたときの面をモニタ画面として、そのモニタ画面に垂直な方向である。この視線方向は予め設定されている。
【0064】
前記座標変換された後の切断片と、モニタ画面との関係を図5(c)に示している。なお、図5(c)は、モニタ14に座標変換された1枚の切断片だけを表示しているが、これはモニタ14に実際表示される例を示した図ではなく、切断片とモニタ画面との関係を示すために描かれた説明図である。
【0065】
次に、ステップS106でコントローラ39は、画像処理回路34を駆動制御して、切断片上の各画素のモニタ画面からの深さを計算する。
【0066】
このモニタ画面からの深さは、切断片上の各画素の受信コイルユニット44に対する座標が位置方向データから求められ、次に、モニタ画面の位置に相当する平面を空間上に仮定し、その仮定された平面と切断片上の各画素との距離である。図5(d)に仮定したモニタ画面に相当する平面と切断片の各画素との関係を示している。
【0067】
なお、この仮定された平面の設定の仕方によっては、切断片上の画素は、視線方向上、モニタ画面を示す平面より手前側に来る場合もあるが、以降のステップでは、画素が手前側に来た場合は「負の深さ」を持つものとして処理することにする。ただし、ここでは説明の都合上、平面を第1番の切断片から十分遠方に仮定することで全切断片上の画素が平面よりも奥側にあることを想定して、全て「深さ」として説明する。
【0068】
前記ステップS106のモニタ画面からの深さの算出が終了すると、コントローラ39は、ステップS107で、画像処理回路33を駆動制御して、切断片上の各画素の深さと、後述する各Zバッファセルの記憶値とを比較する。
【0069】
Zバッファセルは、図6のZバッファの概念図に示すように、モニタ画面上の各画素に対応したセルである。このZバッファセルは、切断片上の画素のモニタ画面からの深さを記憶する。
【0070】
また、各Zバッファセルは、初期値として記憶できる最大の値を記憶しておく。すなわち、各Zバッファセルの初期値は最深に設定する。
【0071】
この画像処理回路33は、切断片上の各画素のモニタ画面からの深さと、各Zバッファセルの記憶値とを比較して、値の大小を求める。
【0072】
次に、コントローラ39は、ステップS108で、前記ステップS107での画素の深さとZバッファセルの記憶値との比較に応じた次の処理を行う。
【0073】
(イ)「画素の深さ<Zバッファセルの記憶値」の場合
(a)画像処理回路33がZバッファセルの記憶値を切断片上の画素の深さに更新する。
つまり、手引き走査を継続させ、後述するステップにより連続した複数の切断片が得られていくと、各Zバッファセルは、この複数の切断片上の画素のうち、モニタ画面上の各画素の直下にあって、最浅の画素のモニタ画面からの深さを記憶することになる。
(b)画像処理回路33が後述する表示セルの記憶値を切断片上の画素の輝度値に更新する。
【0074】
画像メモリ32のモニタ画面を記憶する領域の概念図である図7に示すように、画像メモリ32の領域は、モニタ画面上の各画素に対応したセル(以下、表示セルと称する)から構成されている。この表示セルはモニタ14が表示すべき輝度値を記憶する。
【0075】
このように前記画像処理回路33が前記ステップS107で比較した切断片上の画素が最浅であれば、表示セルの記憶値をその輝度値に更新することになる。従って、手引き走査を続け、後述するステップにより連続した複数の切断片が得られていくと、各表示セルはこの複数の切断片上の画素のうち、モニタ画面上の各画素の直下にあって、最浅の画素の、輝度値を記憶することになる。
【0076】
(ロ)「画素の深さ≧Zバッファセルの記憶値」の場合
画像処理回路33は何も処理しない。
【0077】
つまり、手引き走査を続け、後述するステップにより連続した複数の切断片が得られていくと、画像処理回路33は視線方向から見て手前に切断片を順次重ねていくことになる。この様子を図5(d)に示している。図5(d)では、最新切断片上の画素のうち、最新切断片上と古い切断片との交線より左側にある画素は主に古い切断片より浅く、右側にある画素は主に古い切断片より深い。
【0078】
従って、術者には、断層並列像上で最新切断片の左側の画素が上書きされるように見える。このようにして生成された断層並列像を図5(e)に示している。
【0079】
次に、コントローラ39は、ステップS109でモニタ14に最新の超音波断層像と最新の断層並列像とを並べて表示するように制御する。
【0080】
このモニタ画面上に超音波断層像と断層並列像との表示例を図8に示している。図8の図中右側には、超音波断層像、左側には、断層並列像が表示される。この断層並列像の近傍には、直方体の受信コイルユニット44の向きを示す受信コイルユニットマーカが表示されるようになっている。このモニタ14がこのステップS109までに古い超音波断層像と古い切断片が重畳された断層並列像とを表示していた場合には、モニタ画面が更新されることになる。
【0081】
ステップS110でコントローラ39は、術者がキーボード15やマウス16を介して手引き走査の終了を指示入力するとラジアル走査を終了させる。それ以外の場合はステップS103へと戻る。
【0082】
具体的には、術者がキーボード15やマウス16で各種のメニューの中から選択して手引き走査の終了を指示すると、コントローラ39からの命令に基づき画像構築回路31は励起信号の出力を停止し、モータ22の回転駆動が停止させてラジアル走査を終了させる。このようにして術者が手引き走査の終了を指示しない限り、ステップS103〜S110までの処理が繰り返される。
【0083】
このステップS103〜S110までの処理を繰り返すことで、断層並列像は、手引き走査に併せて図5(e)及び図8に示すように順次延びていくことになる。
【0084】
なお、画像処理回路33は、断層並列像が手引き走査に伴ってモニタ画面からはみだしそうになるときには、最新の切断片が全てモニタ画面内に表示されるよう、ステップS109での表示の前に断層並列像をスクロールさせる。
【0085】
以上、断層並列像を生成する手引き走査について説明したが、次に、手引き走査後の作用について説明する。
【0086】
術者は、断層並列像をガイドにして、手引き走査で得られた連続した複数の超音波断層像の中から、モニタ画面右側に表示される超音波断層像を再選択することができる。図9に示すように、断層並列像上にはモニタ画面右側に表示される超音波断層像を切断してできた一枚の切断片が他の切断片と表示色を区別され、例えば緑色で表示されている。この表示色を変えた切断片を、以下超音波断層像マーカと称する。
【0087】
術者は、キーボード15やマウス16を用いて外部入力制御回路37から超音波断層像マーカを隣接する切断片へと順次選択的に移動指示することができる。この超音波断層像マーカの移動指示により指示された先にある断層並列像の切断片は、表示色が緑色に表示変更され、移動指示された元の超音波断層像マーカの切断片は、指示されていない他の多数の切断片と同色、即ち白黒の超音波断層像の切断片に戻される。そして、指示された先にある切断片の基となる超音波断層像がモニタ画面右側に表示される。
【0088】
即ち、モニタ画面の断層並列像の超音波断層像マーカを、所望の切断片の位置に選択的に移動することに連動して、超音波断層像が更新して表示される。
【0089】
この作用を図10のフローチャートに基づき、さらに詳しく説明すると、まず術者は、キーボード15やマウス16を用いて各種メニューの中から超音波断層像マーカの移動メニューを選択する。ステップS201でコントローラ39は、超音波断層像マーカを隣接した切断片の位置へ移動する指示を外部入力制御回路37を介して受信する。ステップS202でコントローラ39は、画像処理回路33を駆動制御して、画像処理回路33に用意されているカウンタの変数nに1を代入する。
【0090】
次に、コントローラ39は、ステップS203で、画像処理回路33に画像メモリ32に記憶されている連続した複数の超音波断層像のうち、第n番の超音波断層像と位置方向データとを読み込ませる。この画像処理回路33は、この読み込んだ第n番目の超音波断層像をステップS204で切断して切断片を生成する。このステップS204の切断片の生成は、図3の前記ステップS104と同様の処理であり、詳細説明は省略する。
【0091】
ステップS204での超音波断層像の切断片が生成されると、ステップS205でコントローラ39は、画像処理回路33を駆動制御して、読み込んだ第n番の超音波断層像が前記ステップS201で指示された移動先の切断片の基となった超音波断層像か否かを判断する。第n番目の超音波断層像が、移動先の超音波断層像であると判断されるとステップS206へ、そうでないと判断されると、ステップS208へジャンプする。
【0092】
前記ステップS205で、新たに指示された移動先の超音波断層像であると判断されると、ステップS206でコントローラ39は、画像処理回路33を駆動制御して、モニタ画面右側に表示されている超音波断層像を第n番目の超音波断層像に更新し、ステップS207で第n番目の超音波断層像の切断片を緑に着色する。即ち、第n番目の超音波断層像の切断片が新しい超音波断層像マーカとなる。
【0093】
次に、コントローラ39は画像処理回路33を制御して、ステップS208で、前記ステップS105と同様に位置方向データと視線方向とを基に切断片の座標変換を施し、ステップS209で、前記ステップS106と同様に切断片上の各画素のモニタ画面からの深さを計算し、ステップS210で、前記ステップS107と同様に切断片上の各画素の深さと、各Zバッファセルの記憶値とを比較し、更に、ステップS211で、前記ステップS108と同様に、画素の深さとZバッファセルの記憶値との比較に応じた処理を行う。
【0094】
次に、ステップS212でコントローラ39は、モニタ14に表示すべき超音波断層像と新たに作られた断層並列像とを図9に示すように並べて更新して表示させる。
【0095】
前記ステップS212のモニタ14への表示更新が終了すると、ステップS213でコントローラ39は、手引き走査で取得された連続した複数の超音波断層像を全て読み込み処理が終了か判断し、読み込み終了していないと、ステップS214以降を実行する。具体的には、nが手引き走査で取得された連続した複数の超音波断層像の最後の画像の場合は、コントローラ39は画像処理回路33に上述した全ての処理を終了させ、連続した複数の超音波断層像の最後の画像でない場合は、ステップS214で、画像処理回路33にカウンタとして用意された変数nに1を加えさせて、前記ステップS203の処理へとジャンプし、ステップS203〜S214までの処理を繰り返して実行する。
【0096】
上述したように、ステップS201〜ステップS214までの処理を行うことで、超音波断層像マーカが隣の切断片の位置に移動し、連動して超音波断層像が更新して表示されることになる。
【0097】
さらに、術者がキーボード15やマウス16を用いて、ステップS201で行った指示を繰り返し行うことで、断層並列像上の超音波断層像マーカを、所望の切断片の位置に選択的に移動させるとともに、これに連動して所望の超音波断層像を表示させることができる。
【0098】
なお、初期状態、即ち、手引き走査の直後には、モニタ14は、図8に示すように、手引き走査の経路に沿った断層並列像と手引き走査で最後に得られた超音波断層像とを表示している。なお、図8では超音波断層像マーカが描かれていないが、これはステップS201で術者が超音波断層像マーカが隣接した切断片の位置へ移動するよう最初に指示した際に現れるものとする。
【0099】
次に、図11に示すように、モニタ画面の受信コイルユニットマーカの回転駆動を指示すると、その受信コイルユニットマーカの回転に連動して、断層並列像を回転させることができる。この断層並列像の回転作用について、図12を用いて説明する。
【0100】
ステップS301において、術者がキーボード15やマウス16を用いて、受信コイルユニットマーカを回転させるよう指示入力すると、この指示は、外部入力制御回路37を介してコントローラ39に入力される。そして、表示回路34を介して、モニタ14に表示されている受信コイルユニットマーカは、図11の矢印の方向へ回転し、断層並列像も連動して回転する。この様子は、術者がモニタ14上で確認する。この断層並列像の回転は、新たな視線方向への回転を受信コイルユニットマーカを受信コイルユニット44に見立てて図11の紙面手前から奥への方向として設定される。
【0101】
前記ステップS301で、受信コイルユニットマーカによる断層並列像の視線方向が設定された後、ステップS302〜ステップS314までの処理が実行される。このステップS302〜S314処理は、前記ステップS202〜S214と同様であるために説明は省略する。
【0102】
すなわち、画像処理回路33は、手引き走査で得られた連続した複数の超音波断層像を画像メモリ32から読み込み、設定された新しい視線方向で新たに断層並列像を構築することができる。
【0103】
なお、この説明において、術者が受信コイルユニットマーカを回転させた後に、断層並列像が回転するよう説明したが、コントローラ39、バス38、画像処理回路33、表示回路34等の処理が十分早ければ、受信コイルユニットマーカがほんの少し回転するたびに、回転した断層並列像を再構築することも可能である。その場合、術者には受信コイルユニットマーカと断層並列像とが同時に連動して回転するように見える。
【0104】
次に、超音波断層像の切断位置の変更作用について説明する。図13に示すように、モニタ画面に表示されている超音波断層像に切断線マーカを表示させ、その切断線マーカをキーボート15やマウス16の指示入力により移動させて、新しい切断位置を設定し、その新規切断位置で切断した切断片の断層並列像を生成させる。
【0105】
この切断位置の変更の作用について、図14を用いて説明する。ステップS401で、術者がキーボート15やマウス16を用いて、外部入力制御回路39からコントローラ39に切断位置変更メニューが指示入力されると、コントローラ39は、画像処理回路33と表示回路34を制御して、図13に示すモニタ画面右側の超音波断層像の線分上の切断線マーカを表示させる。その切断線マーカを術者が移動させるように指示されると、切断線マーカは、この指示により例えば図13の矢印の方向へ移動する。この様子は術者がモニタ上で確認し、切断位置は新しく移動した切断線マーカの位置に設定される。
【0106】
このステップS401の切断線マーカ位置の移動設定が終了すると、ステップS402〜S414までの処理が実行される。このステップS402〜S414の処理は、前記ステップS202〜S214までの処理と同じであるため詳細説明は省略する。すなわち、画像処理回路33は、手引き走査で得られた連続した複数の超音波断層像を画像メモリから読み込み、設定された新しい切断位置で切断した切断片の断層並列像を構築することが可能となる。
【0107】
なお、この説明で術者が切断線マーカを移動させた後に、断層並列像が再構築されるよう説明した。しかし、コントローラ39、バス38、画像処理回路33、表示回路34等の処理が十分早ければ、切断線マーカがほんの少し移動するたびに、少し移動した切断位置での断層並列像を再構築することも可能である。その場合、術者には切断線マーカと断層並列像とが同時に連動して変化するように見える。
【0108】
また、切断線マーカは、背景の画像が白黒の画像であるときには、目立つように緑色など背景とは異なる色で表示させる。
【0109】
以上説明したように、断層並列像を手引き走査中に表示させているために、被験者の体腔のどの辺でどの程度の枚数の画像を撮像したか画像の密度がわかりやすく、画像取得の取りこぼしが生じにくくなる。
【0110】
前記手引き走査中に、モニタ画面の右側には最新の超音波断層像を、左側には断層並列像を表示させるようにしたため、現在画面に表示されている超音波断層像がどの部位で走査されている超音波断層像であるのかがわかりやすい。例えば、食道から胃を経由して十二指腸を通る消化管に沿って超音波内視鏡11aの挿入部21を進退させた場合、その軌跡は解剖学的に消化管の形状とほぼ一致する。このことを利用して、術者は断層並列像により超音波内視鏡の挿入部先端が体腔内のどの部分にあるかを明確に判別することが出来る。
【0111】
また、手引き走査後には、モニタ画面に表示中の超音波断層像を示す切断片を超音波断層像マーカとして他の切断片とは色を区別し、超音波断層像と断層並列像との対応を表現させるようにしたため、湾曲もしくは屈曲した管腔のどの部分を走査して得た超音波断層像なのかわかりやすい。従って、所望の超音波断層像を得やすく、病変等関心領域の描出、発見が容易となる。
【0112】
さらに、キーボードやマウスのような入力手段により断層並列像上の超音波断層像マーカを移動させ、これに連動して超音波断層像を更新するようにしたため、断層並列像を超音波断層像を探す際のガイドにすることができる。更にまた、超音波断層像マーカを少しずつ移動させながら超音波断層像を更新させていくことで病変のつながり、臓器のつながり、脈管の走行がわかりやすく、病変と周囲臓器との互いの空間的な位置関係も一層わかりやすくなった。
【0113】
前記画像処理回路が超音波断層像を切断し、切断片の最浅の画素を上書きすることで断層並列像を生成させたため、切断位置に病変、臓器、脈管が入っている場合には、手引き走査に沿った病変のつながり、臓器のつながり、脈管の走行が一目でわかるようになり、断層並列像を回転させることで、断層並列像を手引き走査に沿った病変のつながり、臓器のつながり、脈管の走行も一層わかりやすい向きで観察することができ、さらに、キーボードやマウスのような入力手段により超音波断層像上で切断位置を変更させるよう構成・作用したため、切断位置に病変、臓器、脈管が入るように断層並列像を簡単に作成することができる。
【0114】
また、断層並列像の近傍に、受信コイルユニットの向きを示す受信コイルユニットマーカを設けるよう構成したので、断層並列像を観察している方向が一層わかりやすく、手引き走査した方向も一層わかりやすい。
【0115】
更にまた、手引き走査中、超音波断層像が構築される度に、超音波断層像を切断、最浅の画素を上書きし、断層並列像を作成するよう構成したので、3次元画像構築に必要な補間処理等の処理が不要になり、断層並列像を高速に生成、更新することができ、かつ、術者が手引き走査を行いながらライブで手引き走査に沿った断層並列像を観察することができる。
【0116】
よって、本発明の超音波診断装置は、病変の管腔に沿った浸潤の広がり、管腔表面から垂直方向への浸潤の深さ、及び管腔から見て深部にある臓器や門脈への浸潤の広さと深さ等をラジアル走査型超音波内視鏡を体腔内で動かすことで、容易かつ現実的に観察することができる。
【0117】
なお、本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態の説明において、断層並列像上の切断線マーカを移動させて断層並列像を再構築させたが、切断線マーカを固定し断層並列像をモニタ画面内で平行移動、もしくは回転させても良い。
【0118】
前記手引き走査は、超音波内視鏡の挿入部を体腔深部から引き抜く方向と、体腔内深部へと挿入する方向のいずれの進退方向であっても良い。
【0119】
前記モニタ画面に超音波断層像と断層並列像とを並べて同時に表示させたが、超音波断層像と断層並列像とをそれぞれ別体のモニタに個別に表示させても良く、あるいは、単一のモニタの画面に、超音波断層像と断層並列像を交互に切換表示させるようにしても良い。
【0120】
前記手引き走査後の超音波断層像と断層並列像の表示は、画像メモリに記憶された超音波断層像と位置方向データとを用いたが、手引き走査直後に画像メモリの他に3次元データ記録部に記録しておき、手引き走査後には3次元データ記録部に記録された超音波断層像と断層並列像とを用いても良い。
【0121】
前記超音波断層像マーカは、モニタ画面右側に表示されている超音波断層像に対応した切断片の表示色を他の切断片と異ならせたが、これは特定の切断片を区別できるように表示態様を変えたものであればいかなるものでも差し支えない。例えば、色ではなく輝度値を変化させて超音波断層像マーカとしても良い。または、モニタ画面右側に表示されている超音波断層像に対応した切断片上に丸や四角等の特定のマークを付して超音波断層像マーカとしても良い。あるいは、モニタ画面右側に表示されている超音波断層像に対応した切断片上に、ある特定色の枠をつけて超音波断層像マーカとしても良い。
【0122】
前記超音波内視鏡の挿入部の先端に送信コイルを設け、受信コイルは空間中に固定する構成としたが、この送信コイルと受信コイルとを逆に設けても良い。
【0123】
更に、磁場を用いて超音波断層像の位置と方向とを検出したが、これは加速度を用いても良く、位置と方向検出できる他の手段でも良いことは明らかである。
【0124】
次に、本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態を図15と図16を用いて説明する。図15は本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡の挿入部先端部の構成を示すブロック図、図16は本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態の全体構成を示すブロック図である。なお、図1及び図2と同一部分は、同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0125】
本発明の超音波診断装置の第2の実施形態に用いられる超音波内視鏡11bの挿入部21の先端には、超音波振動子を短冊状に切断し、挿入部21の軸方向の周囲に環状のアレイとして配列させた超音波振動子アレイ81が設けられている。この超音波振動子アレイ81を構成する各超音波振動子は、それぞれ信号線82を介して駆動部23を介して超音波観測部12の画像構築回路31に接続している。
【0126】
この超音波振動子アレイ81は、画像構築回路31から駆動部23を介して環状アレイが順次切換駆動されて超音波ビーム81aを発振させてラジアル走査82aを電気的にて実行されるようになっている、所謂電子ラジアル走査型である。
【0127】
この超音波振動子アレイ81を構成する超音波振動子のうち、一部かつ複数の超音波振動子は、超音波観測部12の画像構築回路31からのパルス電圧状の励起信号によって媒体の疎密波である超音波を生成出力する。この場合、各励起信号が各超音波振動子に到着する時刻が異なるよう、画像構築回路31が各励起信号に遅延をかけている。この遅延は、各超音波振動子が励起する超音波が被検体内で重ね合わせられたときに一本の超音波ビーム81aを形成するように設定される。超音波ビーム81aは、超音波内視鏡11bの外部へと照射され、被検体内からの反射エコーが各超音波振動子へと入力される。各超音波振動子は、反射エコーを電気的なエコー信号に変換して画像構築回路31へと出力する。
【0128】
この超音波振動子アレイ81から出力される超音波ビーム81aを図15の矢印で示すラジアル走査82aを行わせるために、画像構築回路31は、超音波ビーム81aの形成に関与する複数の超音波振動子を選択し直し、再び励起信号を送信する。これにより超音波ビーム81aの角度を変えて、所謂電子ラジアル走査が実現されるようになっている。
【0129】
つまり、前述した本発明の第1の実施形態の超音波内視鏡11aは、超音波振動子25をモータ22で回転させるメカニカルなラジアル走査をさせていたが、この第2の実施形態の超音波内視鏡11bは、超音波振動子アレイ81の複数の超音波波振動子の中から超音波ビーム81aを出力する超音波振動子を選択駆動させて、電子的にラジアル走査させる点が相違しており、他の構成と作用は全く同一である。
【0130】
前述した第1の実施形態では、メカニカルラジアル走査を採用しているため、フレキシブルシャフト26のねじれが生じ、このねじれが複数の超音波断層像間で一様にならないことが原因になって、断層並列像上の歪みとなって現れる懸念がある。これは通常のメカニカルラジアル走査では、モータの回転角度位置をモータに隣接したロータリーエンコーダによって検出する構成であるためである。
【0131】
しかし、電子ラジアル走査を採用するとメカニカルなねじれや誤差が生じることがないために断層並列像の歪みを生じさせることがなくなる。
【0132】
なお、この第2の実施形態の電子ラジアル走査は、360°全周のラジアル走査以外に、例えば270°のラジアル走査でも良いことは明らかである。
【0133】
次に、本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡11bの変形例を図17を用いて説明する。図17は本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡の変形例を示すブロック図である。
【0134】
図17に示す超音波内視鏡は、ラジアル走査型超音波プローブとしてカプセル内に超音波内視鏡を収納したカプセル超音波内視鏡11cである。
【0135】
このカプセル超音波内視鏡11cは、カプセル内に送信コイル27と、超音波振動子25と、超小型モータ83と、及び超小型モータ83の回転軸から延出して前記超音波振動子25を保持固定する剛性シャフト83aとが内装されている。
【0136】
このカプセル超音波内視鏡11cからは信号ケーブル85が延出され、この信号ケーブル85の信号線84は、前記超音波振動子25と超小型モータ83のそれぞれの信号線として接続されると共に、前記駆動部23と接続されている。
【0137】
このカプセル超音波内視鏡11cの超小型モータ83は、剛性シャフト83aを介して超音波振動子25を回転駆動させるようになっており、超小型モータ83と超音波振動子25との間の回転ねじれは、剛性シャフト83aを用い、且つ、超小型モータ83と超音波振動子25とが比較的接近させることで生じにくくなり、超小型モータ83の回転と超音波振動子25との回転差が生じることなく、超音波断層像間の歪がない像が生成できる。
【0138】
また、このカプセル超音波内視鏡11cは、光学観察窓、CCDカメラ、ライトガイドファイバー、映像信号ケーブル等の構成要素が不要であるから小型化が可能で、被験者がカプセル超音波内視鏡を体腔内へに飲み込み時の負担が小さく、且つ、体腔内での走査が容易で、断層並列像から術者は体腔内の観察位置がわかりやすく観察容易となる。
【0139】
さらに、カプセル超音波内視鏡11cは、自然に嚥下、落下、蠕動による進退可能であるために、体腔内での手引き走査が容易となる。
【0140】
次に、本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態である超音波内視鏡を図18と図19を用いて説明する。図18は本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態である超音波内視鏡の構成と作用を示す説明図、図19は本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態の超音波内視鏡の作用を説明するフローチャートである。なお、図16は第2の実施形態と共通である。
【0141】
この第3の実施形態の超音波内視鏡11dは、図18(a)に示すように、挿入部21の先端に複数の短冊状に切断された超音波振動子を挿入方向に沿って略円弧状に配置された超音波振動子アレイ86が設けている。
【0142】
この超音波振動子アレイ86を構成する個々の超音波振動子は、信号線82を介して駆動部23を経由して超音波観測部12の画像構築回路31に接続されている。
【0143】
また、この超音波内視鏡11dは、超音波断層像で観察を行いながら各種処置を実行するために、挿入部に沿って穿刺針や鉗子(図示せず)を挿入する挿通孔であるチャンネル87が設けられている。
【0144】
この超音波内視鏡11dは、超音波振動子アレイ86を構成する超音波振動子のうち、一部かつ複数の超音波振動子が超音波観測部12の画像構築回路31からのパルス電圧状の励起信号によって媒体の疎密波である超音波が投射される。
【0145】
この超音波を投射させる際、各超音波振動子に供給する各励起信号それぞれが各超音波振動子に到着する時刻が異なるよう、画像構築回路31で各励起信号に遅延をかけている。この遅延は、各超音波振動子が励起する超音波が被検体内で重ね合わせられたときに一本の超音波ビーム86aを形成するように設定されている。
【0146】
この超音波ビーム86aは、超音波内視鏡11dの外部へと照射され、被検体内からの反射エコーが各超音波振動子へ入力され、この反射エコーを電気的なエコー信号に変換して画像構築回路31へと出力される。
【0147】
この超音波内視鏡11dの超音波振動子アレイ86から投射される超音波ビーム86aが図中の矢印で示すようにコンベックス走査86bをするように、画像構築回路31からの励起信号を複数の超音波振動子に順次選択送信するようになっている。
【0148】
これにより、超音波振動子アレイ86から投射される超音波ビーム86aの角度が変わり、所謂コンベックス走査が実現される。
【0149】
このような超音波内視鏡11dを用いて、前述した第1から第3の実施形態と同様に超音波断層像と断層並列像の生成が可能となる。
【0150】
この超音波内視鏡11dを用いた超音波診断の時の断層並列像を生成する際のねじり走査中の作用について図19を用いて説明する。
【0151】
ステップS501で、術者がキーボード15やマウス16から入力指示して、各種メニュー表示と、そのメニューからねじり走査開始指示入力を行うと、コントローラ39から画像構築回路31に対して超音波振動子アレイ86を駆動させる励起信号を出力し、コンベックス走査を開始させる。
【0152】
次に、ステップS502で、術者は、被検体の体腔内に挿入させた超音波内視鏡11dをコンベックス走査させながら挿入軸を中心にして回転(以下、ねじり)を始める。なお、以降のステップで、ねじりを行いながらコンベックス走査を繰り返すことで、順次超音波断層像が構築され、この走査方法を以下、「ねじり走査」と称する。このねじり走査の様子を図18(b)に示していて、各超音波断層像に対し、構築しはじめた順番に1〜5の番号がつけられている。なお、図18(a)では、説明の都合上、穿刺針がチャンネル87から突出している状態を示しているが、ねじり走査時は突出させないものとする。
【0153】
前記ステップS502のねじりが開始されると、ステップS503でコントローラ39は、画像構築回路31を制御して、超音波振動子アレイ86からのエコー信号の基で超音波断層像を構築し、その構築された超音波断層像と、超音波断層像が構築された時に算出された位置方向データとを画像メモリ32へ超音波断層像と位置方向データとを同期、関連づけて記憶させる。
【0154】
次に、ステップS504でコントローラ39は、画像処理回路33を制御して、画像メモリ32に記憶されている超音波断層像と位置方向データとを読み込み、超音波断層像を切断して切断片を生成させる。この切断片を生成する際の超音波断層像の切断の位置は予め設定されており、ここでは、以降のステップの説明の都合から図18(a)に示すように、コンベックス走査平面86cの中央を通る直線の切断位置86dとする。なお、この切断位置86dは、前述した第1の実施形態と同様に位置の変更や新たな設定が可能である。
【0155】
このステップS504の切断片の生成が終了すると、ステップS505以降が実行されるが、ステップS505〜S510は、前述したステップS105〜S110と同じ作用であるから詳細説明は省略する。
【0156】
すなわち、画像処理回路33は、ねじり走査で得られた連続した複数の超音波断層像を画像メモリ32から読み込み、設定された新しい視線方向で新たに断層並列像を構築することになり、ステップS503〜S510までの処理を繰り返すことで、断層並列像は、ねじり走査に併せて順次延びていくことになる。
【0157】
なお、画像処理回路33は、断層並列像がねじり走査に伴ってモニタ14の画面からはみだしそうになるときには、最新の切断片が全てモニタ画面内に表示されるよう、ステップS509での表示の前に断層並列像をスクロールさせることも可能である。また、このねじり走査後は、前述した手引き走査後の作用と同じである。
【0158】
このようなコンベックス走査型超音波内視鏡は、超音波断層像で観察しながら穿刺針を患部へ穿刺し、患部の細胞や組織を吸引生検することができる。生検された細胞や組織は検体と呼ばれ、顕微鏡下で病理検査されて、検体を基に患部の疾患が診断判定できるために医学的に大変有用である。
【0159】
このコンベックス走査型超音波内視鏡11dをを用いることにより、術者が断層並列像から病変の周囲臓器への広がりが穿刺前に把握でき、病変を確実に穿刺し検体採取が容易となる。
【0160】
また、血管がどのように走行しているか穿刺前に把握しやすく、穿刺時の出血を避けるよう血管走行を容易に確認でき、穿刺前の検査時間を省くことができる。
【0161】
[付記]
以上詳述した本発明の実施形態によれば、以下のごとき構成を得ることができる。
【0162】
(付記1)
超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で複数の超音波断層像を得る超音波診断装置において、
前記超音波プローブが被検体の体腔内を動く過程で得られた複数の超音波断層像の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
前記位置情報検出手段により得られた前記位置情報に基づき前記複数の超音波断層像を前記超音波プローブの走査経路に沿って並べた断層並列像を構築する断層並列像構築手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【0163】
(付記2)
前記超音波断層像と前記断層並列像とを対比可能に表示手段に表示させる表示制御手段を更に有することを特徴とする付記1記載の超音波診断装置。
【0164】
(付記3)
前記断層並列像構築手段は、前記超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で、前記超音波断層像が生成される都度、前記超音波断層像上の各画素を前記断層並列像上の対応する各画素に上書きして新たな断層並列像を構築することを特徴とする付記1記載の超音波診断装置。
【0165】
(付記4)
超音波プローブが被検体体腔内を動く過程で複数の超音波断層像を得る超音波診断装置において、
複数の超音波断層像の位置と方向とを検出する位置方向検出手段と、
該位置と該方向とを基に該超音波断層像を走査経路にそって並べた断層並列像を構築する断層並列像構築手段と、
を設けたことを特徴とする超音波診断装置。
【0166】
(付記5)
前記超音波断層像と該断層並列像とを対比可能に表示する表示手段を、
設けたことを特徴とする付記4記載の超音波診断装置。
【0167】
(付記6)
前記表示手段が該超音波断層像と該断層並列像とを同一画面上に表示することで対比可能に表示したことを特徴とする付記5記載の超音波診断装置。
【0168】
(付記7)
前記表示手段が該超音波断層像の位置を示す超音波断層像マーカを該断層並列像上に表示したことを特徴とする付記5記載の超音波診断装置。
【0169】
(付記8)
前記超音波断層像マーカの位置を設定する超音波断層像マーカ設定手段を設け、前記表示手段が前記超音波断層像マーカ設定手段が設定した該超音波断層像マーカの位置に応じて、前記超音波断層像を選択して表示したことを特徴とする付記7記載の超音波診断装置。
【0170】
(付記9)
前記超音波断層像を切断して該超音波断層像の切断片を作成する切断手段を設け、前記断層並列像構築手段が該切断片を並べることで断層並列像を構築したことを特徴とする付記1記載の超音波診断装置。
【0171】
(付記10)
前記超音波断層像を切断する位置を設定する切断位置設定手段を設け、前記切断手段が前記切断位置設定手段が設定した位置で超音波断層像を切断して該切断片を作成したことを特徴とする付記9記載の超音波診断装置。
【0172】
(付記11)
前記断層並列像を回転させた新たな断層並列像を構築する回転手段を設けたことをを特徴とする付記4乃至付記10記載の超音波診断装置。
【0173】
(付記12)
前記表示手段が該断層並列像と前記位置方向検出手段に対する該断層並列像の向きを表現する指標を同一画面上に表示したことを特徴とする付記4乃至付記11記載の超音波診断装置。
【0174】
(付記13)
前記断層並列像構築手段が、超音波プローブが被検体体腔内を動く過程で、該超音波断層像が生成される度に該超音波断層像上の画素を該断層並列像の上に上書きすることで新たな断層並列像を構築したことを特徴とする付記4記載の超音波診断装置。
【0175】
(付記14)
前記断層並列像構築手段が上書きすべき画素を前記位置方向検出手段が検出した該位置と該方向とから求めたことを特徴とする付記13記載の超音波診断装置。
【0176】
(付記15)
前記超音波プローブがメカニカルラジアル走査を行うメカニカルラジアル走査型超音波内視鏡であることを特徴とする付記4乃至付記14記載の超音波診断装置。
【0177】
(付記16)
前記超音波プローブが電子ラジアル走査を行う電子ラジアル走査型超音波内視鏡であることを特徴とする付記4乃至付記14記載の超音波診断装置。
【0178】
(付記17)
前記超音波プローブがカプセル超音波内視鏡であることを特徴とする付記4乃至付記14記載の超音波診断装置。
【0179】
(付記18)
前記超音波プローブがコンベックス走査を行うコンベックス走査型超音波内視鏡であることを特徴とする付記4乃至付記14記載の超音波診断装置。
【0180】
【発明の効果】
本発明の超音波診断装置は、病変の管腔に沿った浸潤の広がり、管腔表面から垂直方向への浸潤の深さ、及び管腔から見て深部にある臓器や門脈への浸潤の広さと深さが観察できる超音波画像のモニタ表示が可能となり、断層並列像を走査中に表示することで、被験者の体腔内のどの部分であるかと、撮像密度をモニタ画面に表示する断層並列像の枚数で示すことができ、撮像画像取得の取りこぼしが生じにくい超音波診断装置を提供できる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態の全体構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態に用いる超音波内視鏡の挿入部先端の構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る超音波診断装置の第1の実施形態において、手引き走査による断層並列像を生成させる作用を説明するフローチャート。
【図4】本発明に係る超音波診断装置による手引き走査で生成する超音波断層像の説明図。
【図5】本発明に係る超音波診断装置による超音波断層像の切断作用を説明する説明図。
【図6】本発明に係る超音波診断装置のZバッファセルを説明する説明図。
【図7】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上の画素配置を説明する説明図。
【図8】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上の表示状態を説明する説明図。
【図9】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での超音波断層像マーカの移動作用を説明する説明図。
【図10】本発明に係る超音波診断装置の超音波断層像マーカの移動作用を説明するフローチャート。
【図11】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での断層並列像の回転作用を説明する説明図。
【図12】本発明に係る超音波診断装置の断層並列像の回転作用を説明するフローチャート。
【図13】本発明に係る超音波診断装置のモニタ画面上での断層並列像の切断位置変更と切断マーカ移動を説明する説明図。
【図14】本発明に係る超音波診断装置の断層並列像の切断位置変更と切断マーカ移動の作用を説明するフローチャート。
【図15】本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡の挿入部先端部の構成を示すブロック図。
【図16】本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態の全体構成を示すブロック図
【図17】本発明に係る超音波診断装置の第2の実施形態に用いる超音波内視鏡の変形例を示すブロック図。
【図18】本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態に用いる超音波内視鏡の構成と作用を示す説明図。
【図19】本発明に係る超音波診断装置の第3の実施形態に用いる超音波内視鏡の作用を説明するフローチャート。
【図20】従来の超音波診断装置による超音波断層像の課題を説明する説明図。
【符号の説明】
11…超音波内視鏡
12…超音波観測部
13…位置検出部
14…モニタ
21…挿入部
23…駆動部
25…超音波振動子
27…送信コイル
31…画像構築回路
32…画像メモリ
33…画像処理回路
34…表示回路
35…3次元データ記録部
36…通信回路
37…外部入力制御回路
38…バス
39…コントローラ
41…コイル駆動回路
42…受信コイル
43…位置算出回路
44…受信コイルユニット
Claims (3)
- 超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で複数の超音波断層像を得る超音波診断装置において、
前記超音波プローブが被検体の体腔内を動く過程で得られた複数の超音波断層像の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
前記位置情報検出手段により得られた前記位置情報に基づき前記複数の超音波断層像を前記超音波プローブの走査経路に沿って並べた断層並列像を構築する断層並列像構築手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 前記超音波断層像と前記断層並列像とを対比可能に表示手段に表示させる表示制御手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
- 前記断層並列像構築手段は、前記超音波プローブが被検体の体腔内を移動走査する過程で、前記超音波断層像が生成される都度、前記超音波断層像上の各画素を前記断層並列像上の対応する各画素に上書きして新たな断層並列像を構築することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
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