JP2004113561A - 空気浄化椅子ユニット及び院内感染抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】病院などの待合室のように不特定の人が一時的に滞留する場所から、滞留した人が発生する微生物や塵埃などの浮遊物が拡散するのを防止する。
【解決手段】待合室1のように、人が一時的に滞留することになる場所に設置された椅子3とその近傍にフィルタ部とファン部からなる浄化ユニット5を椅子と対応して配置した。そしてこの浄化ユニット5を稼働して椅子近傍に滞留している人から発生した微生物や塵埃などの浮遊物を捕集して除菌、除塵し、その浄化した空気を室内1に戻すようにして局部的に室内1を浄化できるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】待合室1のように、人が一時的に滞留することになる場所に設置された椅子3とその近傍にフィルタ部とファン部からなる浄化ユニット5を椅子と対応して配置した。そしてこの浄化ユニット5を稼働して椅子近傍に滞留している人から発生した微生物や塵埃などの浮遊物を捕集して除菌、除塵し、その浄化した空気を室内1に戻すようにして局部的に室内1を浄化できるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気浄化椅子ユニット及び院内感染抑制方法に係り、特に病院などの待合室において、人から発生する塵埃や各種微生物等の浮遊物が室内の周囲へ拡散することを抑制するようにした空気浄化椅子ユニット及び院内感染抑制方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
病院の待合室の様に一時的に人が滞留するような場所では、その部屋の特質から病原性微生物の保有者と非保有者とが同席し、あるいは医者、患者、医療関係業者など様々な人が頻繁に出入りする場所となっている。病原性微生物にも様々な種類があり、現在かかっている病気を治療しに病院に行っても、違う種類の病原性微生物を別の患者からもらって、違った病気にかかってしまう場合もある。このような院内感染は国内でも多数見受けられ、その対策が急務となっている。
【0003】
このため病院待合室などではその施設面からの対策として、待合室の給気口にHEPAなど各種のフィルタを設置して清浄空気を待合室に供給するようにし、あるいは待合室の排気口に各種のフィルタを設置して待合室内で発生した病原性微生物を含む空気を病院の内外へ拡散するのを防止するようにしている。また部屋の換気回数を増やして、病原性微生物を含む空気を速やかに待合室外へ排気するようにして空気浄化に努めるという様なケースも見受けられる。
さらに半導体の製造工場などでは、特許文献1のように部屋全体をクリーンルームにして浄化した空気を常に流すようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−267338号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記のように部屋全体をクリーンルームに近い状態に清浄化したとしても、人の出入りに伴う微生物の進入、内部壁面からの微生物発生、入室者(特に患者)の衣服、身体、呼気からの微生物の散逸などについては対処しにくい。この中でも室内における微生物や塵埃の最大の発生源は人であり、例えばマスク、手袋、帽子を着用したとしても10CFU/(人・s)、クリーンルーム用の防塵着を着用しても4CFU/(人・s)も発生してしまう。このようにクリーンルームに近い状態に清浄化すれば、それ以外の部屋と比較すると部屋全体の平均清浄度を高めることは出来る。しかし作業者や患者が一時的に滞留する周辺域となると部屋内の他の場所に比べ空中浮遊微生物や塵埃濃度が高いという場合も生じる。従って部屋全体を対象とする空気浄化方法では、部屋のあらゆる場所において清浄度を高め、それを持続することが出来ないという問題があった。またクリーンルームに近い状態まで空気を清浄化するには、建設コストや運転コストが多大であり、経済的側面からその清浄度は自ずと限界がある。
このような問題は、病院待合室のみならず、半導体の製造工場や食品工場等の人が集中する作業室内などでも同様の問題である。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、例えば病院待合室のように様々な不特定の人が一時的に滞留する場所から発生した微生物や塵埃を、その発生した場所で捕集して周囲へ拡散するのを抑制し、室内の浄化を保つことが出来るようにした空気浄化椅子ユニットを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明に係る空気浄化椅子ユニットは、台座上に椅子を据え付け、当該椅子の背もたれ部および/または前記台座に周辺空気の吸込口を形成し、この吸込口に通じる椅子構成部材および/または台座構成部材内にファンフィルタユニットを内蔵させ、前記吸込口から吸い込まれた周辺空気を前記ファンフィルタユニットを通過させることにより浄化して排気可能としたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、台座上に椅子を据え付け、当該椅子の背もたれ部および/または前記台座に周辺空気の吸込口を形成し、この吸込口に通じる椅子構成部材および/または台座構成部材内にフィルタを内蔵させ、前記吸込口から吸い込まれた周辺空気を前記フィルタに通過させるダクトを設け、当該ダクトには外部ファンユニットとの接続部を設けることにより、吸込空気を浄化して外部ファンユニットを通じて排気可能としてもよい。
【0009】
これらの場合において、前記空気浄化椅子ユニットには人体検知センサを付帯させ、当該センサによる人体検知によりユニット単位で空気浄化駆動を行わせるようにすればよい。
【0010】
また、本発明に係る院内感染抑制方法は、病院待合室に置かれる椅子ユニットに形成した空気吸込口を利用して周辺空気を吸込みつつ、フィルタで濾過して浄化させることにより、院内感染を抑制するように構成した。また、上記空気浄化椅子ユニットを病院の待合室に複数配置し、院内感染を抑制するようにすればよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係わる空気浄化椅子ユニットの具体的実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明による空気浄化椅子ユニットの好ましい実施形態を示した概略構成の斜視図である。図において1は作業室や病院の待合室で、内部床面には複数の台座2が固定され、その上にそれぞれ椅子3が取り付けられている。各椅子3の背もたれ部4内部にはファンフィルタユニット(FFU)5が収容されていて、矢印6の様に背もたれ部4の背面に吸引口を形成し、ここから周辺空気を吸引し、椅子3の足もとから台座2方向に排出する。台座2には内部にFFU7が収容されており、台座上面に形成された吸引口から吸引された空気は内部でフィルタを通過した後、内部ダクトを通じて台座側面などから矢印8のように排出される。各FFU5、7の内部構造については特に開示しないが、待合室などの目的に応じて中性能フィルタ、高性能(HEPA)フィルタ、またはケミカルフィルタなどが収容され、さらに空気を吸引し排出するためのファンが一体になって収容されている。
【0012】
このようなFFUを浄化ユニットとして椅子3や床部台座2に組み合わせて構成した空気浄化椅子ユニットにより、椅子3の背もたれ部4から吸引された空気6は内部のFFU5で浄化されて足もと床方向に排出される。台座2はこの椅子3より排出された空気やその他の室内空気も共に吸気流として取り込み、内部のFFU7で浄化して除菌や除塵をした清浄空気として排出8する。設置する椅子3の数やその配置については待合室1毎に決定すればよい。
【0013】
図2は患者や作業者9が椅子3に座った状態を示している。椅子3に座った患者9は微生物や塵埃等の浮遊物10を周囲にまき散らす。特に椅子の後列にいる患者9bは前列の椅子にいる患者9a方向に向けて発生する割合が高い。そのためこの後列患者9bから発生した塵埃などの浮遊物10は、室内1の空気と共に前列椅子3の背もたれ部4に吸い込ませるようにした。この背もたれ部4には前記のようにFFU5が収容されているから、そのフィルタ部によって浮遊物10が捕集される。こうして除菌、除塵された清浄空気は椅子3の足もと側から室内1に戻される。室内1に戻された空気は、さらに患者9から発生した浮遊物10のうち背もたれ部4に吸入されなかったものも含めて、台座2の上面から内部FFU7ファン部によって吸入させる。こうして待合室のように一時的に人が滞留することになる椅子3近傍領域の空気は、椅子3の背もたれ部4から吸入された空気も患者9から発生して背もたれ部4に吸入されなかった浮遊物10も、室内1に浮遊していた椅子3近傍周辺の塵埃なども全て一緒に吸入されて内部フィルタ部7で捕集される。そして清浄化された空気8は室内1に戻される。
【0014】
患者や作業者9から発生する微生物や塵埃などの浮遊物10は、おおよそ粒径が5μmを境にして空中に浮遊するものと自重により落下するものとに分けられる。本実施形態によれば浮遊するような粒径の小さなものは椅子背もたれ部4によって捕集し、自重によって落下するような粒径のものは台座2によって捕集するようにした。
【0015】
以上のように本実施形態では、例えば病院の待合室1のように、それぞれ異なった条件を持つ人達が一時的に滞留する椅子の背もたれ部4とその近傍(この場合床面)にフィルタ部とファン部を備えた浄化ユニットを設置して、浮遊微生物や落下する塵埃などを捕集し、局部的な浄化をして同じ室内1へ戻し拡散を抑制するようにした。それも座っている人に最も近接して位置づけられる椅子3背もたれ部4で粒径の小さな浮遊しやすいものを、また床面2からは自重で落下するような粒径のものを捕集できるようにした。それによって2系統の浄化ユニットを同時に進行させることになって効果をより高めることが出来る。
【0016】
図3は他の実施形態を図1に合わせて示した説明用の構成概略斜視略図である。この例によるものは椅子3の背もたれ部4とその近傍に設置する浄化ユニットをフィルタ部とファン部とに分離したものとしてある。先の実施形態では、浄化ユニットはファン部とフィルタ部が一体になっているFFU5、7で構成されている。そしてこの浄化ユニットが各椅子3毎に対応して設置され、それが独立して機能するようになっている。これに対し、図3に示した実施形態による例は、椅子3と台座2にはフィルタ部11だけが収容されていて、当該フィルタ部11に吸込空気を通すために、この全フィルタに対して1つの外部に設けられたファン部12に接続するようにしている。これは例えば外部に設置されている空調機のファンを利用して吸込作用を行わせるようにすればよい。そのため各椅子3や台座2に形成されている内部ダクトの出口には外部ダクト13との接続部13aを備えている。実施形態では吸気用のダクト13が独立したファン部12に連結されている。
【0017】
このような構成としたので室内に1つ設置したファン部12を稼働すると、全ての椅子3と台座2からの吸引が開始され、室内空気と共に椅子近傍領域にいる患者9から出される微生物などを吸引する。そしてフィルタ部11を通過して除菌、除塵されダクト13を経てファン部12より室内1に戻される。
【0018】
以上のように1室に1ファン部12としたことによってイニシャルコスト、ランニングコストを削減することが出来る。また図1のように患者9の足下から吹き出される風、あるいは各台座2から吹き出される風8が床面の微生物や塵埃を巻き上げる恐れがあるような場所であっても、問題なく設置することが出来る。
【0019】
また図3中、14で示したものは衝立などの仕切り板で、最前列の椅子3と通路間に設置してある。仕切板14の中には背もたれ部4と同じようにフィルタ部が収容されていて、ダクト13がファン部12と連結している。そのためファン部12を動作すると椅子3の背もたれ部4と同様の働きをして微生物などを吸引する。それによって最前列の椅子3に座っている患者9と通路を歩行している人との相互感染を抑制することが可能となる。そして仕切板14の設置は背もたれ部4とその近傍に設置される浄化ユニットの1つとして、その数と種類を増加させることになる。それによって仕切板14を各椅子間に設置するなどの応用も可能となる。さらに床上に配置するダクト13の配置位置を選択すれば仕切板14の設置位置に自由度が与えられるから、前記浄化領域を拡張することが出来る。
【0020】
図4はもう1つ別の実施形態を示したもので、基本構成は図1と同じにしてある。図において図1と同じものはその説明を省略するが、15は待合室1の天井などに配置した検知手段で、赤外線などにより椅子3近傍に滞留している人を検知する。検知手段15が人を検知するとその信号は信号線16より制御部17に向かう。そして制御部17は検知した椅子3とその椅子3に対応して設置されている台座2にだけ信号18を送って、その浄化ユニットを稼働させる。すると浄化ユニットのファン部が動作し、一体となっているフィルタ部を介して該当椅子3近傍の空気を吸入する。
【0021】
このようにすれば患者9の人数増減や患者が滞留している位置に対応して、浄化ユニットの稼働数や稼働場所、ファン部の回転数などを制御することが出来る。それによって常時フル稼働の場合に比較してコストを大幅に削減することが出来る。尚、患者などの検知手段として赤外線センサを天井に配設した例を示しているが、検知手段はこれだけにこだわることはない。例えば台座2に患者9が上がったとき、あるいは椅子3に患者などが座ったときに、その重量の変化を検出して対応する浄化ユニットを稼働するようにすれば同様の効果を得ることが出来る。
なお、上記実施形態の他に、椅子3には浄化ユニットを設けず台座2にのみ周辺空気吸込による浄化するユニットを設けることもできる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、台座上に椅子を据え付け、当該椅子の背もたれ部および/または前記台座に周辺空気の吸込口を形成し、この吸込口に通じる椅子構成部材および/または台座構成部材内にファンフィルタフィルタを内蔵させ、前記吸込口から吸い込まれた周辺空気を前記ファンフィルタフィルタを通過させることにより浄化して排気可能としたから、患者などから発生した微生物や塵埃等の浮遊物を集中的に捕集して拡散を抑止し、室内の浄化を保つことが出来る。それも浄化ユニットは取り付ける椅子毎に対応して設置できるようにしたので、既設の室内であっても容易に適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気浄化椅子ユニットの実施形態を示した構成概略斜視図。
【図2】図1の椅子に患者などが座ったときの状況を説明するための図。
【図3】他の実施形態を図1に合わせて示した説明用の構成概略斜視図。
【図4】同じく図3とは別の実施形態を示した説明用の構成概略斜視図。
【符号の説明】
1………作業室、2………台座、3………椅子、4………背もたれ部、 5………FFU(ファンフィルタユニット)、6………吸気流、7………FFU(ファンフィルタユニット)、8………排出流、9………患者、10………浮遊物、11………フィルタ部、12………ファン部、13………ダクト、14………仕切板、15………検知手段、16………信号線、17………制御部、18………動作信号。
【発明の属する技術分野】
本発明は空気浄化椅子ユニット及び院内感染抑制方法に係り、特に病院などの待合室において、人から発生する塵埃や各種微生物等の浮遊物が室内の周囲へ拡散することを抑制するようにした空気浄化椅子ユニット及び院内感染抑制方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
病院の待合室の様に一時的に人が滞留するような場所では、その部屋の特質から病原性微生物の保有者と非保有者とが同席し、あるいは医者、患者、医療関係業者など様々な人が頻繁に出入りする場所となっている。病原性微生物にも様々な種類があり、現在かかっている病気を治療しに病院に行っても、違う種類の病原性微生物を別の患者からもらって、違った病気にかかってしまう場合もある。このような院内感染は国内でも多数見受けられ、その対策が急務となっている。
【0003】
このため病院待合室などではその施設面からの対策として、待合室の給気口にHEPAなど各種のフィルタを設置して清浄空気を待合室に供給するようにし、あるいは待合室の排気口に各種のフィルタを設置して待合室内で発生した病原性微生物を含む空気を病院の内外へ拡散するのを防止するようにしている。また部屋の換気回数を増やして、病原性微生物を含む空気を速やかに待合室外へ排気するようにして空気浄化に努めるという様なケースも見受けられる。
さらに半導体の製造工場などでは、特許文献1のように部屋全体をクリーンルームにして浄化した空気を常に流すようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−267338号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記のように部屋全体をクリーンルームに近い状態に清浄化したとしても、人の出入りに伴う微生物の進入、内部壁面からの微生物発生、入室者(特に患者)の衣服、身体、呼気からの微生物の散逸などについては対処しにくい。この中でも室内における微生物や塵埃の最大の発生源は人であり、例えばマスク、手袋、帽子を着用したとしても10CFU/(人・s)、クリーンルーム用の防塵着を着用しても4CFU/(人・s)も発生してしまう。このようにクリーンルームに近い状態に清浄化すれば、それ以外の部屋と比較すると部屋全体の平均清浄度を高めることは出来る。しかし作業者や患者が一時的に滞留する周辺域となると部屋内の他の場所に比べ空中浮遊微生物や塵埃濃度が高いという場合も生じる。従って部屋全体を対象とする空気浄化方法では、部屋のあらゆる場所において清浄度を高め、それを持続することが出来ないという問題があった。またクリーンルームに近い状態まで空気を清浄化するには、建設コストや運転コストが多大であり、経済的側面からその清浄度は自ずと限界がある。
このような問題は、病院待合室のみならず、半導体の製造工場や食品工場等の人が集中する作業室内などでも同様の問題である。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、例えば病院待合室のように様々な不特定の人が一時的に滞留する場所から発生した微生物や塵埃を、その発生した場所で捕集して周囲へ拡散するのを抑制し、室内の浄化を保つことが出来るようにした空気浄化椅子ユニットを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明に係る空気浄化椅子ユニットは、台座上に椅子を据え付け、当該椅子の背もたれ部および/または前記台座に周辺空気の吸込口を形成し、この吸込口に通じる椅子構成部材および/または台座構成部材内にファンフィルタユニットを内蔵させ、前記吸込口から吸い込まれた周辺空気を前記ファンフィルタユニットを通過させることにより浄化して排気可能としたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、台座上に椅子を据え付け、当該椅子の背もたれ部および/または前記台座に周辺空気の吸込口を形成し、この吸込口に通じる椅子構成部材および/または台座構成部材内にフィルタを内蔵させ、前記吸込口から吸い込まれた周辺空気を前記フィルタに通過させるダクトを設け、当該ダクトには外部ファンユニットとの接続部を設けることにより、吸込空気を浄化して外部ファンユニットを通じて排気可能としてもよい。
【0009】
これらの場合において、前記空気浄化椅子ユニットには人体検知センサを付帯させ、当該センサによる人体検知によりユニット単位で空気浄化駆動を行わせるようにすればよい。
【0010】
また、本発明に係る院内感染抑制方法は、病院待合室に置かれる椅子ユニットに形成した空気吸込口を利用して周辺空気を吸込みつつ、フィルタで濾過して浄化させることにより、院内感染を抑制するように構成した。また、上記空気浄化椅子ユニットを病院の待合室に複数配置し、院内感染を抑制するようにすればよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係わる空気浄化椅子ユニットの具体的実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明による空気浄化椅子ユニットの好ましい実施形態を示した概略構成の斜視図である。図において1は作業室や病院の待合室で、内部床面には複数の台座2が固定され、その上にそれぞれ椅子3が取り付けられている。各椅子3の背もたれ部4内部にはファンフィルタユニット(FFU)5が収容されていて、矢印6の様に背もたれ部4の背面に吸引口を形成し、ここから周辺空気を吸引し、椅子3の足もとから台座2方向に排出する。台座2には内部にFFU7が収容されており、台座上面に形成された吸引口から吸引された空気は内部でフィルタを通過した後、内部ダクトを通じて台座側面などから矢印8のように排出される。各FFU5、7の内部構造については特に開示しないが、待合室などの目的に応じて中性能フィルタ、高性能(HEPA)フィルタ、またはケミカルフィルタなどが収容され、さらに空気を吸引し排出するためのファンが一体になって収容されている。
【0012】
このようなFFUを浄化ユニットとして椅子3や床部台座2に組み合わせて構成した空気浄化椅子ユニットにより、椅子3の背もたれ部4から吸引された空気6は内部のFFU5で浄化されて足もと床方向に排出される。台座2はこの椅子3より排出された空気やその他の室内空気も共に吸気流として取り込み、内部のFFU7で浄化して除菌や除塵をした清浄空気として排出8する。設置する椅子3の数やその配置については待合室1毎に決定すればよい。
【0013】
図2は患者や作業者9が椅子3に座った状態を示している。椅子3に座った患者9は微生物や塵埃等の浮遊物10を周囲にまき散らす。特に椅子の後列にいる患者9bは前列の椅子にいる患者9a方向に向けて発生する割合が高い。そのためこの後列患者9bから発生した塵埃などの浮遊物10は、室内1の空気と共に前列椅子3の背もたれ部4に吸い込ませるようにした。この背もたれ部4には前記のようにFFU5が収容されているから、そのフィルタ部によって浮遊物10が捕集される。こうして除菌、除塵された清浄空気は椅子3の足もと側から室内1に戻される。室内1に戻された空気は、さらに患者9から発生した浮遊物10のうち背もたれ部4に吸入されなかったものも含めて、台座2の上面から内部FFU7ファン部によって吸入させる。こうして待合室のように一時的に人が滞留することになる椅子3近傍領域の空気は、椅子3の背もたれ部4から吸入された空気も患者9から発生して背もたれ部4に吸入されなかった浮遊物10も、室内1に浮遊していた椅子3近傍周辺の塵埃なども全て一緒に吸入されて内部フィルタ部7で捕集される。そして清浄化された空気8は室内1に戻される。
【0014】
患者や作業者9から発生する微生物や塵埃などの浮遊物10は、おおよそ粒径が5μmを境にして空中に浮遊するものと自重により落下するものとに分けられる。本実施形態によれば浮遊するような粒径の小さなものは椅子背もたれ部4によって捕集し、自重によって落下するような粒径のものは台座2によって捕集するようにした。
【0015】
以上のように本実施形態では、例えば病院の待合室1のように、それぞれ異なった条件を持つ人達が一時的に滞留する椅子の背もたれ部4とその近傍(この場合床面)にフィルタ部とファン部を備えた浄化ユニットを設置して、浮遊微生物や落下する塵埃などを捕集し、局部的な浄化をして同じ室内1へ戻し拡散を抑制するようにした。それも座っている人に最も近接して位置づけられる椅子3背もたれ部4で粒径の小さな浮遊しやすいものを、また床面2からは自重で落下するような粒径のものを捕集できるようにした。それによって2系統の浄化ユニットを同時に進行させることになって効果をより高めることが出来る。
【0016】
図3は他の実施形態を図1に合わせて示した説明用の構成概略斜視略図である。この例によるものは椅子3の背もたれ部4とその近傍に設置する浄化ユニットをフィルタ部とファン部とに分離したものとしてある。先の実施形態では、浄化ユニットはファン部とフィルタ部が一体になっているFFU5、7で構成されている。そしてこの浄化ユニットが各椅子3毎に対応して設置され、それが独立して機能するようになっている。これに対し、図3に示した実施形態による例は、椅子3と台座2にはフィルタ部11だけが収容されていて、当該フィルタ部11に吸込空気を通すために、この全フィルタに対して1つの外部に設けられたファン部12に接続するようにしている。これは例えば外部に設置されている空調機のファンを利用して吸込作用を行わせるようにすればよい。そのため各椅子3や台座2に形成されている内部ダクトの出口には外部ダクト13との接続部13aを備えている。実施形態では吸気用のダクト13が独立したファン部12に連結されている。
【0017】
このような構成としたので室内に1つ設置したファン部12を稼働すると、全ての椅子3と台座2からの吸引が開始され、室内空気と共に椅子近傍領域にいる患者9から出される微生物などを吸引する。そしてフィルタ部11を通過して除菌、除塵されダクト13を経てファン部12より室内1に戻される。
【0018】
以上のように1室に1ファン部12としたことによってイニシャルコスト、ランニングコストを削減することが出来る。また図1のように患者9の足下から吹き出される風、あるいは各台座2から吹き出される風8が床面の微生物や塵埃を巻き上げる恐れがあるような場所であっても、問題なく設置することが出来る。
【0019】
また図3中、14で示したものは衝立などの仕切り板で、最前列の椅子3と通路間に設置してある。仕切板14の中には背もたれ部4と同じようにフィルタ部が収容されていて、ダクト13がファン部12と連結している。そのためファン部12を動作すると椅子3の背もたれ部4と同様の働きをして微生物などを吸引する。それによって最前列の椅子3に座っている患者9と通路を歩行している人との相互感染を抑制することが可能となる。そして仕切板14の設置は背もたれ部4とその近傍に設置される浄化ユニットの1つとして、その数と種類を増加させることになる。それによって仕切板14を各椅子間に設置するなどの応用も可能となる。さらに床上に配置するダクト13の配置位置を選択すれば仕切板14の設置位置に自由度が与えられるから、前記浄化領域を拡張することが出来る。
【0020】
図4はもう1つ別の実施形態を示したもので、基本構成は図1と同じにしてある。図において図1と同じものはその説明を省略するが、15は待合室1の天井などに配置した検知手段で、赤外線などにより椅子3近傍に滞留している人を検知する。検知手段15が人を検知するとその信号は信号線16より制御部17に向かう。そして制御部17は検知した椅子3とその椅子3に対応して設置されている台座2にだけ信号18を送って、その浄化ユニットを稼働させる。すると浄化ユニットのファン部が動作し、一体となっているフィルタ部を介して該当椅子3近傍の空気を吸入する。
【0021】
このようにすれば患者9の人数増減や患者が滞留している位置に対応して、浄化ユニットの稼働数や稼働場所、ファン部の回転数などを制御することが出来る。それによって常時フル稼働の場合に比較してコストを大幅に削減することが出来る。尚、患者などの検知手段として赤外線センサを天井に配設した例を示しているが、検知手段はこれだけにこだわることはない。例えば台座2に患者9が上がったとき、あるいは椅子3に患者などが座ったときに、その重量の変化を検出して対応する浄化ユニットを稼働するようにすれば同様の効果を得ることが出来る。
なお、上記実施形態の他に、椅子3には浄化ユニットを設けず台座2にのみ周辺空気吸込による浄化するユニットを設けることもできる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、台座上に椅子を据え付け、当該椅子の背もたれ部および/または前記台座に周辺空気の吸込口を形成し、この吸込口に通じる椅子構成部材および/または台座構成部材内にファンフィルタフィルタを内蔵させ、前記吸込口から吸い込まれた周辺空気を前記ファンフィルタフィルタを通過させることにより浄化して排気可能としたから、患者などから発生した微生物や塵埃等の浮遊物を集中的に捕集して拡散を抑止し、室内の浄化を保つことが出来る。それも浄化ユニットは取り付ける椅子毎に対応して設置できるようにしたので、既設の室内であっても容易に適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気浄化椅子ユニットの実施形態を示した構成概略斜視図。
【図2】図1の椅子に患者などが座ったときの状況を説明するための図。
【図3】他の実施形態を図1に合わせて示した説明用の構成概略斜視図。
【図4】同じく図3とは別の実施形態を示した説明用の構成概略斜視図。
【符号の説明】
1………作業室、2………台座、3………椅子、4………背もたれ部、 5………FFU(ファンフィルタユニット)、6………吸気流、7………FFU(ファンフィルタユニット)、8………排出流、9………患者、10………浮遊物、11………フィルタ部、12………ファン部、13………ダクト、14………仕切板、15………検知手段、16………信号線、17………制御部、18………動作信号。
Claims (5)
- 台座上に椅子を据え付け、当該椅子の背もたれ部および/または前記台座に周辺空気の吸込口を形成し、この吸込口に通じる椅子構成部材および/または台座構成部材内にファンフィルタユニットを内蔵させ、前記吸込口から吸い込まれた周辺空気を前記ファンフィルタユニットを通過させることにより浄化して排気可能としたことを特徴とする空気浄化椅子ユニット。
- 台座上に椅子を据え付け、当該椅子の背もたれ部および/または前記台座に周辺空気の吸込口を形成し、この吸込口に通じる椅子構成部材および/または台座構成部材内にフィルタを内蔵させ、前記吸込口から吸い込まれた周辺空気を前記フィルタに通過させるダクトを設け、当該ダクトには外部ファンユニットとの接続部を設けることにより、吸込空気を浄化して外部ファンユニットを通じて排気可能としたことを特徴とする空気浄化椅子ユニット。
- 前記空気浄化椅子ユニットには人体検知センサを付帯させ、当該センサによる人体検知によりユニット単位で空気浄化駆動を行わせるようにしてなることを特徴とする請求項1または2に記載の空気浄化椅子ユニット。
- 病院待合室に置かれる椅子ユニットに形成した空気吸込口を利用して周辺空気を吸込みつつ、フィルタで濾過して浄化させることにより、院内感染を抑制することを特徴とする院内感染抑制方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の空気浄化椅子ユニットを病院の待合室に複数配置し、院内感染を抑制するようにした院内感染抑制方法。
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