JP2004112727A - 移動通信制御システム、移動通信制御方法、これらに用いて好適なルータ装置、サーバ装置及びデータ構造 - Google Patents
移動通信制御システム、移動通信制御方法、これらに用いて好適なルータ装置、サーバ装置及びデータ構造 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】通信経路が冗長になることを防止しつつ、発信元モバイル端末の現在の位置情報及び位置情報管理サーバのIPアドレスの漏洩を防止することを可能とする移動通信制御方法等を提供する。
【解決手段】発信元ルータ装置AR2が、パケット内に宛先アドレスとして含まれている宛先移動通信端末2の第1のアドレスを宛先移動通信端末2の第1のアドレスに関連付けて記憶している宛先移動通信端末2の第2のアドレスに変換する工程と、宛先ルータ装置AR3が、パケット内に宛先アドレスとして含まれている宛先移動通信端末2の第2のアドレスを宛先移動通信端末2の第2のアドレスに関連付けて記憶している宛先移動通信端末2の第1のアドレスに変換する工程とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】発信元ルータ装置AR2が、パケット内に宛先アドレスとして含まれている宛先移動通信端末2の第1のアドレスを宛先移動通信端末2の第1のアドレスに関連付けて記憶している宛先移動通信端末2の第2のアドレスに変換する工程と、宛先ルータ装置AR3が、パケット内に宛先アドレスとして含まれている宛先移動通信端末2の第2のアドレスを宛先移動通信端末2の第2のアドレスに関連付けて記憶している宛先移動通信端末2の第1のアドレスに変換する工程とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信制御システム、移動通信制御方法、これらに用いて好適なルータ装置、サーバ装置及びデータ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
徒来のIP(Internet Protocol)ネットワークでは、モバイル端末(MN:Mobility Node)の「モビリティ(Mobility)」を提供するために、MNの位置情報を管理する「ホームエージェント(HA:Home Agent)」までMN宛てのIPパケットを転送させ、HAからMNまで当該MN宛てのIPパケットをカプセル化転送することにより、モビリティを提供する「Mobile IP」が提案されている(例えば、非特許文献1乃至4参照)。
【0003】
Mobile IPでは、MNが、ホームネットワークから外部ネットワークに移動した際に、外部ネットワークで使用する「IPアドレス(CoA:Care of Address)」をHAに対して通知する。HAは、MNに固定的に割り当てられている「IPアドレス(HoA:Home Address)」に対するCoAの対応関係をバインディングキャッシュ情報として保持する。
【0004】
MNの通信相手喘末である「CN(Correspondent Node)は、MNに固定的に割り当てられているHoAを使用して、MN宛てのIPパケットを送信する。宛先アドレスとしてHoAを持つIPパケットは、MNのホームネットワークに配備されるHAに転送される。HAは、MNの現在のIPアドレスであるCoAに、CNから送られてきたIPパケットをカプセル化して転送する。
【0005】
Mobile IPでは、上述のHA経由の通信を「三角経路」と呼ぶ。また、HAを介さずにCNからMNまで直接パケット転送を実施する「経路最適化」を実施するために、MNが、直接、CoAを通信相手端末であるCNへ通知し、CNが、CoA宛に直接IPパケットを転送することもできる。
【0006】
【非特許文献1】
ジェイムズ・D・ソロモン著、寺岡文男、井上 淳訳「詳細Mobile IP」、株式会社ピアソン・エデュケーション出版
【非特許文献2】
「RFC2002 IP Mobility support」
【非特許文献3】
「RFC3220 IP Mobility Support for IPv4」
【非特許文献4】
「draft−ietf−mobileip−ipv6−18.txt Mobility Support in IPv6」
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の「Mobile IP」では、CNからMN向けの通信(下り通信)は、MNのホームネットワークに配備されたHA経由になるため、通信経路が冗長(三角経路)になるという問題点があった。
【0008】
また、従来の「Mobile IP」において、MNが、現在の位置情報を含むCoAを直接CNへ通知する仕組み(すなわち、上述の経路最適化を行う仕組み)を用いた場合、CNが、MNの現在の位置情報を含むCoAを受信することになり、MNの現在の位置情報が、通信相手であるCNへ漏洩するロケーションプライバシーの問題が発生するという問題点があった。
【0009】
また、従来の「Mobile IP」では、MNからCN向けの通信(上り通信)において、MNからの送信パケットの発信元アドレスとしてCoAが使用されるため、上述の経路最適化を行わない場合であっても、MNの位置情報が、CNへ漏洩してしまうという問題点があった。
【0010】
また、従来の「Mobile IP」では、HAにおいて、パケットのカプセル化を実施するため、パケットのオーバヘッドが増加するという問題点があった。
【0011】
また、従来の「Mobile IP」では、上り通信や経路最適化を行う下り通信等のパケットのカプセル化を実施しない場合、IPv6の拡張ヘッダを使用するため、パケットのオーバヘッドが増加するという問題点があった。
【0012】
また、従来の「Mobile IP」では、MNの現在の位置情報を管理するHAのIPアドレスが、MNに対して事前に通知され、MNが、ホームネットワークのHAに対して、直接、位置登録を実施するため、モビリティの管理及び制御を行うHAのIPアドレス自体が、第三者に漏洩する可能性があり、不正な攻撃を受ける対象になりやすくなるという問題点があった。
【0013】
そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、通信経路が冗長になることを防止しつつ、MNの現在の位置情報及びHAのIPアドレスの漏洩を防止することを可能とする移動通信制御システム、移動通信制御方法、これらに用いて好適なルータ装置、サーバ装置及びデータ構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴は、サーバ装置と複数のルータ装置とを具備する移動通信制御システムであって、前記サーバ装置が、宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて管理するアドレス管理部と、発信元移動通信端末に無線接続されている発信元ルータ装置に対して、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示する指示部とを具備し、前記発信元ルータ装置が、前記サーバ装置からの指示に応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第1のアドレス記憶部と、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換するアドレス変換部と、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して、前記パケットをルーティングするルーティング部とを具備し、前記宛先ルータ装置が、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第2のアドレス記憶部と、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換するアドレス変換部と、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先通信端末に前記パケットを転送するパケット転送部とを具備することを要旨とする。
【0015】
かかる発明によれば、発信元ルータ装置が、変換した第2のアドレスに基づいてパケットを宛先ルータ装置に対してルーティングし、当該宛先ルータ装置が、変換した第1のアドレスに基づいてパケットを宛先移動通信端末(CN)に転送するため、下り通信において通信経路が冗長(三角経路)になることを回避することができる。
【0016】
また、かかる発明によれば、宛先移動通信端末(CN)が、発信元移動通信端末(MN)の現在の位置情報を含むCoAを受信する必要が無いため、発信元移動通信端末(MN)の現在の位置情報が、宛先移動通信端末(CN)Nへ漏洩するロケーションプライバシーの問題が発生することを回避することができる。
【0017】
また、かかる発明によれば、上り通信において、発信元移動通信端末(MN)からの送信パケットの発信元アドレスとして第1のアドレス(HoA)が使用されるため、発信元移動通信端末(MN)の位置情報の宛先移動通信端末(CN)への漏洩を防止することができる。
【0018】
また、かかる発明によれば、発信元ルータ装置は、パケットのカプセル化を実施しないため、パケットのオーバヘッドの増加を回避することができる。
【0019】
また、かかる発明によれば、サーバ装置の指示部が、発信元ルータ装置に対して、宛先移動通信端末(CN)の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示するため、発信元移動通信端末(MN)の現在の位置情報を管理するHAのIPアドレスが、発信元移動通信端末(MN)に対して事前に通知されることを必要とせず、また、発信元移動通信端末(MN)が、ホームネットワークのHAに対して、直接、位置登録を実施することを必要とせず、モビリティの管理及び制御を行うHAのIPアドレス自体が、第三者に漏洩する可能性を回避することができ、不正な攻撃を受ける対象になりにくくなる。
【0020】
また、かかる発明によれば、サーバ装置の指示部が、発信元ルータ装置に対して、宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示するため、他ドメインへ通知する第2のアドレス(IPルーティングアドレス)の精度を粗くさせることができる。また、かかる発明によれば、ルータ装置による移動通信端末の制御範囲を小さくすることができ、より高速なハンドオーバを可能とする。
【0021】
また、本発明の第1の特徴において、前記宛先ルータ装置が、前記宛先移動通信端末が、所定領域内に移動してきた場合、又は、アクティブ状態になった場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶する前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを選択して前記サーバ装置に通知する選択通知部を具備し、前記サーバ装置のアドレス管理部が、通知された前記宛先移動通信端末の第2のアドレスと前記宛先移動通信端末の第1のアドレスとを関連付けて管理することが好ましい。
【0022】
また、本発明の第1の特徴において、前記発信元ルータ装置が、前記第1のアドレス記憶部に、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けられている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスが記憶されていない場合、該宛先移動通信端末の第2のアドレスについて前記サーバ装置に問い合せる問い合せ部を具備し、前記サーバ装置の指示部が、前記発信元ルータ装置からの前記問い合せに応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示することが好ましい。
【0023】
また、本発明の第1の特徴において、前記サーバ装置のアドレス管理部が、前記宛先移動通信端末の移動状況又は状態変化に応じて、関連付けて管理する前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを変更することが好ましい。
【0024】
また、本発明の第1の特徴において、前記サーバ装置の指示部が、前記発信元移動通信端末から前記宛先移動通信端末へ前記パケットが転送される際に経由されないルータ装置に対して、記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを削除するように指示することが好ましい。
【0025】
また、本発明の第1の特徴において、前記発信元ルータ装置又は前記宛先ルータ装置のアドレス変換部が、前記パケット内の判定ビットによって、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別することが好ましい。
【0026】
また、本発明の第1の特徴において、前記発信元ルータ装置のアドレス変換部が、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第1のアドレスを、該発信元移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記発信元移動通信端末の第2のアドレスに変換し、前記宛先ルータ装置のアドレス変換部が、受信した前記パケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第2のアドレスを、該発信元移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記発信元移動通信端末の第1のアドレスに変換が好ましい。
【0027】
本発明の第2の特徴は、発信元移動通信端末が、宛先アドレスとして宛先移動通信端末の第1のアドレスを含む前記パケットを送信する工程Aと、サーバ装置が、前記発信元移動通信端末に無線接続されている発信元ルータ装置に対して、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示する工程Bと、前記発信元ルータ装置が、前記サーバ装置からの指示に応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する工程Cと、前記発信元ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換する工程Dと、前記発信元ルータ装置が、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して、前記パケットをルーティングする工程Eと、前記宛先ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換する工程Fと、前記宛先ルータ装置が、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先通信端末に前記パケットを転送する工程Gとを有することを要旨とする。
【0028】
また、本発明の第2の特徴において、前記宛先移動通信端末が、所定領域内に移動してきた場合、又は、アクティブ状態になった場合に、前記宛先ルータ装置が、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶する前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを選択して前記サーバ装置に通知する工程を有することが好ましい。
【0029】
また、本発明の第2の特徴において、前記発信元ルータ装置が、前記第1のアドレス記憶部に、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けられている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスが記憶されていない場合、該宛先移動通信端末の第2のアドレスについて前記サーバ装置に問い合せる工程を有し、前記工程Aで、前記サーバ装置が、前記発信元ルータ装置からの前記問い合せに応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示することが好ましい。
【0030】
また、本発明の第2の特徴において、前記サーバ装置が、前記宛先移動通信端末の移動状況又は状態変化に応じて、関連付けて管理する前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを変更することが好ましい。
【0031】
また、本発明の第2の特徴において、前記サーバ装置が、前記発信元移動通信端末から前記宛先移動通信端末へ前記パケットが転送される際に経由されないルータ装置に対して、記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを削除するように指示する工程を有することが好ましい。
【0032】
また、本発明の第2の特徴において、前記工程C又は前記工程Eで、前記発信元ルータ装置又は前記宛先ルータ装置が、前記パケット内の判定ビットによって、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別することが好ましい。
【0033】
本発明の第3の特徴は、発信元移動通信端末から宛先移動通信端末に複数のルータ装置を介してパケットを転送する移動通信ネットワークに設置されるサーバ装置であって、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて管理するアドレス管理部と、前記発信元移動通信端末に無線接続されている発信元ルータ装置に対して、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示する指示部とを具備することを要旨とする。
【0034】
また、本発明の第3の特徴において、前記アドレス管理部が、前記宛先移動通信端末の移動状況又は状態変化に応じて、関連付けて管理する前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを変更することが好ましい。
【0035】
また、本発明の第3の特徴において、前記指示部が、前記発信元移動通信端末から前記宛先移動通信端末へ前記パケットが転送される際に経由されないルータ装置に対して、記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを削除するように指示することが好ましい。
【0036】
本発明の第4の特徴は、発信元移動通信端末に無線接続されるルータ装置であって、発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けられている宛先移動通信端末の第2のアドレスが、第1のアドレス記憶部に記憶されていない場合、該宛先移動通信端末の第2のアドレスについてサーバ装置に問い合せる問い合せ部と、前記サーバ装置からの指示に応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第1のアドレス記憶部と、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換するアドレス変換部と、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して、前記パケットをルーティングするルーティング部とを具備することを要旨とする。
【0037】
本発明の第4の特徴において、前記アドレス変換部が、受信した前記パケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第1のアドレスを、該発信元移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記発信元移動通信端末の第2のアドレスに変換することが好ましい。
【0038】
本発明の第5の特徴は、宛先移動通信端末に無線接続されるルータ装置であって、前記宛先移動通信端末が、所定領域内に移動してきた場合、又は、アクティブ状態になった場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶する前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを選択してサーバ装置に通知する選択通知部と、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第2のアドレス記憶部と、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けられて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換するアドレス変換部と、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先通信端末に前記パケットを転送するパケット転送部とを具備することを要旨とする。
【0039】
本発明の第5の特徴において、前記アドレス変換部が、受信した前記パケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第2のアドレスを、該発信元移動通信端末の第2のアドレスに関連付けられて記憶している前記発信元移動通信端末の第1のアドレスに変換することが好ましい。
【0040】
本発明の第4又は5の特徴において、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスは、前記パケット内の判定ビットによって区別されることが好ましい。
【0041】
また、本発明の第4又は5の特徴において、前記判定ビットが、少なくともIPv6アドレスの最上位ビットを含んで構成されることが好ましい。
【0042】
また、本発明の第4又は5の特徴において、前記判定ビットが、IPv6アドレスの33ビット乃至64ビットのいずれかのビットによって構成されることが好ましい。
【0043】
本発明の第6の特徴は、複数のルータを介して発信元移動通信端末から宛先移動通信端末に転送されるパケットのデータ構造であり、前記発信元移動通信端末に無線接続された発信元ルータ装置が、前記発信元移動通信端末から受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して前記パケットをルーティングし、前記宛先ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先通信端末に前記パケットを転送する場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別するための判定ビットが、少なくともIPv6アドレスの最上位ビットを含んで構成されることを要旨とする。
【0044】
本発明の第7の特徴は、複数のルータを介して発信元移動通信端末から宛先移動通信端末に転送されるパケットのデータ構造であり、前記発信元移動通信端末に無線接続された発信元ルータ装置が、前記発信元移動通信端末から受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して前記パケットをルーティングし、前記宛先ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先通信端末に前記パケットを転送する場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別するための判定ビットが、IPv6アドレスの33ビット乃至64ビットのいずれかのビットによって構成されることを要旨とする。
【0045】
【発明の実施の形態】
(本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムの構成)
以下、図面を用いて本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムの構成について解説する。
【0046】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信制御システムは、位置情報管理サーバa及びbと、ルータ装置AR(Access Router)1乃至AR4と、ルータ装置ANC(Anchor Router)1及びANC2と、ルータ装置BR(Border Router)1及びBR2とを具備している。
【0047】
図1において、ドメインA及びドメインBから構成される移動パケット通信ネットワークが示されている。ここで、ドメインA及びドメインBは、同一事業者によって運営されていてもよいし、異事業者によって運営されていてもよい。
【0048】
ドメインA及びドメインBの間は、ルータ装置BR1及びルータ装置BR2によって接続されている。また、各ドメインA又はBは、複数のルータ装置で構成されている。
【0049】
ここで、複数のルータ装置のうち、アドレス変換機能を具備するルータ装置としてANC1及びANC2を配備し、モバイル端末に対してIPルーティングのファーストホップポイントとしてAR1乃至AR4を配備する。
【0050】
また、ARやBRやANC以外に、通常のIPルーティングを実施するルータ装置が、それぞれのルータ装置AR、ANC、BRの間に接続されていてもよい。
【0051】
また、AR1乃至4の配下の構成として、複数の無線I/Fを終端するAP(Access Point)を終端する構成やAR1乃至4自身が無線I/Fをサポートする構成を採用することができる。
【0052】
また、図1に、アクセスネットワークとして、モバイル端末1又は2が、移動パケット通信ネットワーク対して位置登録を実施するための「位置登録エリアLA(Location Area)#1及びLA#2」と、IPパケットをルーティングすることのできる最小単位である「ルーティングエリアRA(Routing Area)#1乃至RA#4」が示されている。
【0053】
ここで、LAは、1つ以上のルータ装置ARによって管理されており、RAは、1つのルータ装置ARによって管理されている。
【0054】
図1では、Active状態のモバイル端末1aが、位置登録エリアLA#2内において、ルーティングエリアRA#1からルーティングエリアRA#2に移動している。また、Dormant状態のモバイル端末1bが、位置登録エリアLA#1内のルーティングエリアRA#4から位置登録エリアLA#2内のルーティングエリアRA#1に移動している。また、Active状態のモバイル端末2は、ルーティングエリアRA#3に在圏している。
【0055】
ここで、Active状態とは、IPパケットをいつでも送受信可能な状態であり、Dormant状態とは、送信電力や電源の消費を抑えるために、パケットを受信しても、LA間を移動しない限りパケットの送信を実施しない状態である。
【0056】
図2を参照して、本発明に係るモバイル端末1a、1b、2の構成について説明する。モバイル端末1a、1bの構成とモバイル端末2の構成とは、基本的に同一であるため、以下、モバイル端末1aの構成についてのみ説明する。
【0057】
モバイル端末1aは、図2に示すように、通信I/F部10と、位置登録部11と、報知情報受信部12と、状態遷移通知部13と、通信部14とを具備する移動通信端末である。
【0058】
通信I/F部10は、無線接続を介して、モバイル端末1aが在圏するルーティングエリアRA#1を管理するルータ装置AR2との間でパケットの送受信を行うものである。
【0059】
位置登録部11は、モバイル端末1aが無線接続されているルータ装置AR2を介して、モバイル端末1aが在圏するドメインBに配置されている位置情報管理サーバbに、モバイル端末1aの位置情報を登録するものである。位置登録部11は、モバイル端末1aが移動することによって在圏する位置登録エリアLAが変更した際に、位置登録パケットをルータ装置AR2を介して位置情報管理サーバbに送信する。
【0060】
図1の例では、Dormant状態のモバイル端末1bが、LAを跨った際(LA#1からLA#2への移動)に、ルータ装置AR1に対して位置登録パケットを送信する。また、Active状態のモバイル端末1aが、同一LA#2内のRA間の移動の際(RA#1からRA#2への移動の際)に、位置登録パケットを送信しない。
【0061】
報知情報受信部12は、ルータ装置AR2からのページング等の放置情報を受信するものである。
【0062】
状態遷移通知部13は、Active状態やDormant状態の状態遷移をARに対して通知するものである。状態遷移通知部13は、少なくとも2つの状態遷移(Active状態及びDormant状態)を通知する。
【0063】
例えば、状態遷移通知部13は、アプリケーションの起動やルータ装置ARからのページングの受信等のトリガにより、モバイル端末1aがDormant状態からActive状態に移行した場合、ルータ装置ARに対してActive状態に移行したことを通知する。
【0064】
通信部14は、通信I/F部10を介して宛先モバイル端末2に対してIPパケットを生成して送信するものである。通信部14は、宛先アドレスとして宛先モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)を指定し、発信元アドレスとして発信元モバイル端末1aのIPホストアドレス(第1のアドレス)を指定したパケットを生成する。
【0065】
ここで、IPホストアドレス(第1のアドレス)とは、モバイル端末の現在位置や移動状況等によって変化しないアドレス、すなわち、モバイル端末をグローバルでユニークに識別するためのアドレスである。
【0066】
一方、後述のIPルーティングアドレスは、モバイル端末の現在位置や移動状況等によって変化するアドレス、移動パケット通信ネットワーク内でパケットを最適化経路にてルーティングさせるためのアドレスである。
【0067】
かかるパケットのフォーマットには、ARやBRやANC等のルータ装置においてIPホストアドレスとIPルーティングアドレスとを判定可能な判定ビットが含まれる。その結果、既存の固定端末やMobile IP端末のHoA等は、従来どおりIPルーティングアドレスとして扱われる。
【0068】
図3を参照して、位置情報管理サーバa、bについて説明する。位置情報管理サーバa、bの構成は、基本的に同一であるため、以下、位置情報管理サーバbの構成についてのみ説明する。
【0069】
位置情報管理サーバbは、図3に示すように、位置情報管理部21と、IPルーティグアドレス管理部22と、モバイル端末状態管理部23と、ルータ装置制御部24とを具備する。
【0070】
位置情報管理部21は、位置情報管理サーバbが接続されているドメインBをホームネットワークとする複数のモバイル端末(例えば、モバイル端末1a)が現在位置しているLA情報を管理するものである。
【0071】
例えば、位置情報管理部21は、図3に示すように、ルータ装置AR2を介してモバイル端末1aから受信した位置登録パケットに応じて、モバイル端末の識別情報(モバイル端末1a)と該モバイル端末が現在位置するLAの識別情報(LA#2)とを関連付けるテーブルを記憶する。
【0072】
IPルーティングアドレス管理部22は、宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けるIPルーティングアドレス情報を管理するアドレス管理部である。
【0073】
例えば、IPルーティングアドレス管理部22は、図3に示すように、IPホストアドレス#AとIPルーティングアドレス#X0とを関連付けて記憶し、IPホストアドレス#BとIPルーティングアドレス#X1とを関連付けて記憶する。
【0074】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、AR、BR、ANC等のルータ装置からの問い合せ時に、当該ルータ装置に対して、該当するモバイル端末のIPルーティングアドレス若しくはIPホストアドレスを通知する機能を具備する。
【0075】
例えば、IPルーティングアドレス管理部22は、発信元モバイル端末1aに無線接続されている発信元ルータ装置AR2に対して、宛先モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶するように指示する指示部を構成する。
【0076】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、モバイル端末の移動状況(在圏するLA情報の変化)又は状態変化(Active状態とDormant状態との間の状態遷移)等に応じて、上述のIPルーティングアドレス情報を変更する機能を具備する。
【0077】
例えば、IPルーティングアドレス管理部22は、モバイル端末がActive状態からDormant状態へ移行したことを、ルータ装置ARから通知された場合、該当するIPルーティングアドレス情報を削除すると共に、他のルータ装置AR、BR、ANCにおいて送信用のキャッシュテーブル及び受信用のキャッシュテーブルを削除するように指示することができる。
【0078】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、上述のIPルーティングアドレス情報の変更に応じて、AR、BR、ANC等のルータ装置に対して、IPルーティングアドレスを書き換えるための指示を出す機能を具備する。
【0079】
例えば、IPルーティングアドレス管理部22は、発信元モバイル端末1aから宛先モバイル端末2へパケットが転送される際に経由されないルータ装置AR1に対して、記憶している宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を削除するように指示することができる。
【0080】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、ルータ装置(例えば、AR2)から宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)が通知された場合、これらのアドレスの使用を許可するか否かについて判断して、当該判断結果を当該ルータ装置に通知する。判断結果が肯定的である場合、IPルーティングアドレス管理部22は、上述の宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)とIPルーティングアドレス(第2のアドレス)とを関連付けて管理する。
【0081】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、Active状態のモバイル端末のIPルーティングアドレス情報のみを管理し、Dormant状態のモバイル端末の、IPルーティングアドレス情報を管理しないように構成されていてもよい。
【0082】
モバイル端末状態管理部23は、モバイル端末の状態(Active状態又はDormant状態)を管理するものである。例えば、モバイル端末状態管理部23は、IPルーティングアドレス情報がIPルーティングアドレス管理部22において管理されているモバイル端末を「Active状態」として管理し、IPルーティングアドレス情報がIPルーティングアドレス管理部22において管理されていないモバイル端末を「Dormant状態」として管理してもよい。
【0083】
ルータ装置制御部24は、位置管理サーバ装置bが接続されているドメインB内のルータ装置AR、BR、ANCとの間で、所定の通信プロトコルを用いて制御パケット等の送受信を行うものである。
【0084】
例えば、ルータ装置制御部24は、ルータ装置AR2を介してモバイル端末1aから位置登録パケットを受信した場合、受信した位置登録パケットを位置情報管理部21に転送する。
【0085】
また、ルータ装置制御部24は、IPルーティングアドレス管理部22からの上述の指示をルータ装置AR2に送信する。
【0086】
図4を参照して、複数のルータ装置AR1乃至AR4、BR1及びBR2、ANC1及びANC2について説明する。複数のルータ装置AR1乃至AR4、BR1及びBR2、ANC1及びANC2の構成は、ほとんど同一であるため、以下、ルータ装置AR2の構成について重点的に説明し、各ルータ装置特有の構成については適宜説明する。
【0087】
ルータ装置AR2は、図4に示すように、モバイル端末I/F部31と、位置情報管理サーバI/F部32と、ネットワークI/F部33と、ルーティングテーブル記憶部34と、送信用キャッシュテーブル記憶部35と、受信用キャッシュテーブル記憶部36と、アドレス判定部37と、バッファ部38と、…ルーティング部39と、テーブル更新部40とを具備する。
【0088】
ルータ装置ANC、BRは、モバイル端末I/F部31を具備しない点を除いて、ルータ装置AR2の構成と同様である。
【0089】
モバイル端末I/F部31は、AR2が管理するRA#2に在圏するモバイル端末1aとの間の無線接続を介してパケット(IPパケットや位置登録パケット等を含む)を送受信するものである。
【0090】
モバイル端末I/F部31は、モバイル端末1aが、所定領域(RA#2)内に移動してきた場合、又は、Active状態になった場合に、モバイル端末1aのIPホストアドレス(第1のアドレス)に関連付けて記憶するモバイル端末1aのIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を選択して、位置情報管理サーバI/F部32を介して位置情報管理サーバbに通知する選択通知部を構成する。
【0091】
また、モバイル端末I/F部31は、モバイル端末1aからの各種制御パケットを受信し、受信した制御パケット内の発信元アドレスであるIPホストアドレスから該当する位置情報管理サーバbのアドレスを解決し、位置情報管理サーバI/F部32を介して当該制御パケットを位置情報管理サーバbに転送する。
【0092】
また、モバイル端末I/F部31は、位置情報管理サーバbから位置情報管理サーバI/F部32を介してページングパケットを受信した場合、当該ページングパケット内のメッセージ内容を解釈し、モバイル端末に対するページング処理を実施することができる。
【0093】
位置情報管理サーバI/F部32は、AR2が所属するドメインBに配置された位置情報管理サーバbとの間で、所定の通信プロトコルを用いて、送信用キャッシュテーブル又は受信用キャッシュテーブルの作成、変更、削除の指示やページング信号等の制御パケットを送受信するものである。
【0094】
例えば、Active状態のモバイル端末がRA#1からRA#2に移動した際、RA#2を管理するルータ装置AR2の位置情報管理サーバI/F部32は、モバイル端末I/F部31によるモバイル端末からの制御パケットの受信をトリガとして、IPルーティングアドレスを当該モバイル端末に割り当て、その旨を位置情報管理サーバbに通知する。そして、位置情報管理サーバI/F部32は、位置情報管理サーバbから当該割り当ての許可が得られた場合に、その旨をテーブル更新部に通知する。
【0095】
また、位置情報管理サーバI/F部32は、アプリケーションの起動やページング等のトリガによりモバイル端末がDormant状態からActive状態に移行した場合、モバイル端末I/F部31によるモバイル端末から受信したActive状態に移行した旨の通知に応じて、プールしてあるIPルーティングアドレスの帯域から当該モバイル端末に対して1つのIPルーティングアドレスを割り当て、その旨を位置情報管理サーバbに通知する。そして、位置情報管理サーバI/F部32は、位置情報管理サーバbから当該割り当ての許可が得られた場合に、正式なIPルーティングアドレスとして登録し、その旨をテーブル更新部に通知する。
【0096】
また、モバイル端末I/F部31が、Dormant状態のモバイル端末がLAを跨った際に送信する位置登録メッセージを制御パケットとして受信した場合、位置情報管理サーバI/F部32は、モバイル端末のIPホストアドレスをキーにして、位置情報管理サーバbへ位置登録メッセージを転送する。すなわち、位置情報管理サーバI/F部32は、モバイル端末に対するプロキシとして機能する。
【0097】
ネットワークI/F部33は、AR2が所属するドメインB内の他のルータ装置(例えば、ANC1)との間でIPパケットを送受信するものである。
【0098】
ルーティングテーブル記憶部34は、IPルーティングアドレスに基づくルーティングテーブルを記憶するものである。例えば、AR2におけるルーティングテーブルにおいて、ルーティング情報として、IPルーティングアドレス#X1であるIPパケットをルータ装置ANC1にルーティングするように記憶されている。
【0099】
送信用キャッシュテーブル記憶部35は、位置情報管理サーバbからの指示に応じて、宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶する第1のアドレス記憶部を構成する。
【0100】
例えば、送信用キャッシュテーブル記憶部35は、図4に示すように、ルータ装置AR2が管理するモバイル端末について、IPホストアドレス#BとIPルーティングアドレス#X1とを関連付けるテーブルを記憶する。
【0101】
受信用キャッシュテーブル記憶部36は、位置情報管理サーバbからの指示に応じて、宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶する第2のアドレス記憶部を構成する。
【0102】
例えば、受信用キャッシュテーブル記憶部36は、図4に示すように、ルータ装置AR2が管理するモバイル端末について、IPルーティングアドレス#X0とIPホストアドレス#Bとを関連付けるテーブルを記憶する。
【0103】
アドレス判定部37は、発信元モバイル端末1aから受信したIPパケットの宛先アドレスがIPホストアドレス(第1のアドレス)であるかIPルーティングアドレス(第2のアドレス)であるかを判定するものである。
【0104】
アドレス判定部37は、具体的には、IPパケット内の判定ビットを参照することにより、IPホストアドレス(第1のアドレス)であるかIPルーティングアドレス(第2のアドレス)であるかを判定する。
【0105】
ここで、図5を参照して、本実施形態で用いられるIPパケットのフォーマットについて説明する。本実施形態において、IPホストアドレス及びIPルーティングアドレスは、図5(a)に示す(既存の)IPv6アドレスのアドレス体系に「判定ビット」を定義することにより実現できる。
【0106】
第1の方法として、図(b)に示すように、IPv6アドレスの最上位ビットを含む3ビットに規定されている「FP(Format Prefix)領域」に「判定ビット」を設定する方法が考えられる。現在、FP領域には、グローバルユニキャストアドレスとして「001」が設定されるものとして規定されている。
【0107】
本方法は、例えば、図(b)に示すように、既存のIPv6の固定端末やMobile IP端末等で用いられる「HoA」や「CoA」を含むIPルーティングアドレスの場合「FP領域」に「001(現在グローバルユニキャストアドレスとして規定されている値)」を設定し、一方、IPホストアドレスの場合「FP領域」に「010」を設定することによって、「判定ビット」を定義するものである。
【0108】
ただし、本実施形態では、IPホストアドレスの場合、「FP領域」の値として「010」を設定することとしたが、本発明は、これに限定されることは無く、「FP領域」の値として他の値を設定することができる。
【0109】
第2の方法として、図(c)に示すように、ネットワークプリフィクス内の「ISP ID」の次のビットに「判定ビット」を設定する方法が考えられる。ここで、「ISP ID」は、通信事業者(通信キャリア)やISPに対して既存の割り当てルールに基づいて割り当てられるものである。
【0110】
本方法は、例えば、図(c)に示すように、IPルーティングアドレスの場合「ISP ID」の次のビットに「1」を設定し、IPホストアドレスの場合「ISP ID」の次のビットに「0」を設定することによって、「判定ビット」を定義するものである。
【0111】
ただし、本実施形態では、「ISP ID」の次のビットに「判定ビット」を規定することとしたが、本発明は、これに限定されること無く、IPv6アドレスの33ビット乃至64ビットのいずれかのビット、又は、65ビット乃至128ビットのいずれかのビットによって「判定ビット」を定義することができる。
【0112】
上述の第1の方法又は第2の方法を用いることにより、IPパケットに新規のアドレスフォーマットを規定すること無しに、IPホストアドレス及びIPルーティングアドレスを判定するための判定ビットを定義することが可能になる。
【0113】
また、本発明は、IPv6アドレス以外のIPv4アドレスでも同様に、アドレス体系に「判定ビット」を定義することにより、IPホストアドレス及びIPルーティングアドレスを判定することができる。
【0114】
また、アドレス判定部37は、IPパケット内の宛先アドレスが「IPホストアドレス」であると判定した場合、送信用キャッシュテーブル記憶部35内に、当該IPホストアドレスに係るデータが存在するか否かについて判定する。
【0115】
また、アドレス判定部37は、当該IPホストアドレスに係るデータが送信用キャッシュテーブル記憶部35内に存在すると判定した場合、当該IPホストアドレス(第1のアドレス)を、IPルーティングアドレス(第2のアドレス)に変換するアドレス変換部を構成する。かかる場合、アドレス判定部37は、宛先アドレスを変換したIPパケットをルーティング部39に送信する。
【0116】
一方、アドレス判定部37は、当該IPホストアドレスに係るデータが送信用キャッシュテーブル記憶部35内に存在しないと判定した場合、当該IPパケットを一時的にバッファ部38にバッファリングする。
【0117】
かかる場合、アドレス判定部37は、宛先アドレスとしてのIPホストアドレスをキーにして、位置情報管理サーバb(又は、位置情報管理サーバa)に、宛先モバイル端末2のIPルーティングアドレスを問い合わせる問い合せ部を構成する。
【0118】
また、アドレス判定部37は、位置情報管理サーバb(又は、位置情報管理サーバa)からの応答結果に応じて、バッファ部38にバッファリングしていたIPパケットの宛先アドレスを、IPホストアドレスからIPルーティングアドレスに変換して、当該IPパケットをルーティング部39に転送する。
【0119】
また、アドレス判定部37は、IPパケット内の宛先アドレスが「IPルーティングアドレス」であると判定した場合、当該IPパケットの宛先アドレスを変換することなく、当該IPパケットをルーティング部39に転送する。
【0120】
また、アドレス判定部37は、IPパケットの宛先アドレスがIPルーティングアドレスである場合で、かつ、当該IPルーティングアドレスに係るデータが受信用キャッシュテーブル記憶部36に存在する場合、受信用キャッシュテーブル記憶部36を参照して、当該IPアドレスの宛先アドレスを、IPルーティングアドレスからIPホストアドレスに変換して、当該IPパケットをルーティング部39に転送する。
【0121】
ルーティング部39は、ルーティングテーブル記憶部34を参照して、変換された宛先アドレス(IPルーティングアドレス又はIPホストアドレス)に基づいて、宛先モバイル端末2に無線接続されている宛先ルータ装置AR3に対して、IPパケットをルーティングするものである。
【0122】
本実施形態では、ルーティング部39は、宛先アドレスがIPルーティングアドレスであるIPパケットを、ネットワークI/F部33を介して、ルータ装置ANC1に転送する。
【0123】
また、ルーティング部39は、宛先アドレスがIPホストアドレスであるIPパケットを、モバイル端末I/F部31を介して、モバイル端末1aに転送するパケット転送部を構成する。
【0124】
また、ルーティング部39は、OSPF等のルーティングプロトコルに基づいて、IPパケットのルーティング処理を行う。
【0125】
テーブル更新部40は、位置情報管理サーバI/F部32を介して受信した位置情報管理サーバbからの指示に応じて、ルーティングテーブル記憶部34と送信用キャッシュテーブル記憶部35と受信用キャッシュテーブル記憶部36とを更新するものである。
【0126】
例えば、テーブル更新部40は、アドレス判定部37による位置情報管理サーバb(又は、位置情報管理サーバa)への問い合わせ結果に応じて、送信用キャッシュテーブル記憶部35に、モバイル端末2のIPルーティングアドレスに係るデータを新規追加する。
【0127】
(本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムの動作)
図6は、本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムにおいて、モバイル端末1aからモバイル端末2にIPパケットを転送する際のシーケンス図を示すものである。ここで、モバイル端末1aのIPホストアドレス(第1のアドレス)が「A」であり、モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)が「B」であるものとする
図6に示すように、ステップ601において、モバイル端末1aが、宛先アドレスにモバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)「B」を設定したIPパケットを、無線回線を介してルータ装置AR2に送信する。
【0128】
ステップ602において、ルータ装置AR2のアドレス判定部37が、送信用キャッシュテーブル記憶部35を参照して、受信したIPパケットの宛先アドレスを、モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)「B」からモバイル端末2のIPルーティングアドレス(第2のアドレス)「X1」に変換する。
【0129】
ステップ603において、ルータ装置AR2のルーティング部39が、ルーティングテーブル記憶部34を参照して、アドレス変換を施したIPパケット(宛先アドレス「X1」)をルータ装置ANC1に転送する。
【0130】
ステップ604において、ルータ装置ANC1のアドレス判定部37が、受信したIPパケット内の判定ビットにより、当該IPパケット内にモバイル端末2のIPルーティングアドレス(第2のアドレス)「X1」が設定されていると判定する。
【0131】
ステップ605において、ルータ装置ANC1のルーティング部39が、ルーティングテーブル記憶部34を参照して、アドレス変換を施すことなく、IPパケット(宛先アドレス「X1」)をルータ装置BR1に転送する。
【0132】
以下、ステップ606からステップ611まで、ステップ604及びステップ605を繰り返すことによって、宛先アドレスとしてモバイル端末2のIPルーティングアドレス(第2のアドレス)「X1」が設定されたIPパケットが、宛先モバイル端末2と無線接続されているルータ装置AR3まで転送される。
【0133】
ステップ612において、ルータ装置AR3のアドレス判定部37が、受信用キャッシュテーブル記憶部35を参照して、受信したIPパケットの宛先アドレスを、モバイル端末2のIPルーティングアドレス(第2のアドレス)「X1」からモバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)「B」に変換する。
【0134】
ステップ613において、ルータ装置AR3のルーティング部39が、ルーティングテーブル記憶部34を参照して、アドレス変換を施したIPパケット(宛先アドレス「B」)を、無線回線を介してモバイル端末2に転送する。
【0135】
(本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムの作用・効果)
本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、発信元ルータ装置AR2が、変換したIPルーティングアドレス(第2のアドレス)に基づいてIPパケットを宛先ルータ装置AR3に対してルーティングし、当該宛先ルータ装置AR3が、変換したIPホストアドレス(第1のアドレス)に基づいてIPパケットを宛先モバイル端末2に転送するため、下り通信において通信経路が冗長(三角経路)になることを回避することができる。
【0136】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、宛先モバイル端末2が、発信元モバイル端末1aの現在の位置情報を含むCoAを受信する必要が無いため、発信元モバイル端末1aの現在の位置情報LA#2が、宛先モバイル端末2へ漏洩するロケーションプライバシーの問題が発生することを回避することができる。
【0137】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、上り通信において、発信元モバイル端末1aからの送信パケットの発信元アドレスとしてIPホストアドレス(第1のアドレス)が使用されるため、発信元モバイル端末1aの位置情報LA#2の宛先モバイル端末1aへの漏洩を防止することができる。
【0138】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、発信元ルータ装置AR2は、IPパケットのカプセル化を実施しないため、パケットのオーバヘッドの増加を回避することができる。
【0139】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、位置情報管理サーバbのルータ装置制御部24が、発信元ルータ装置AR2に対して、宛先モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶するように指示するため、発信元モバイル端末1aの現在の位置情報LA#2を管理するHAのIPアドレスが、発信元モバイル端末1aに対して事前に通知されることを必要とせず、また、発信元モバイル端末1aが、ホームネットワークのHAに対して、直接、位置登録を実施することを必要とせず、モビリティの管理及び制御を行うHAのIPアドレス自体が、第三者に漏洩する可能性を回避することができ、不正な攻撃を受ける対象になりにくくなる。
【0140】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、位置情報管理サーバbのルータ装置制御部24が、発信元ルータ装置AR2に対して、宛先モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶するように指示するため、他ドメインへ通知するIPルーティングアドレス(第2のアドレス)の精度を粗くさせることができる。また、かかる発明によれば、ルータ装置によるモバイル端末の制御範囲を小さくすることができ、より高速なハンドオーバを可能とする。
【0141】
(変更例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、特定のドメイン(例えば、ドメインB)内の全てのルータ装置ANC1及びBR1で、IPルーティングアドレスを変換するように構成されてもよい。例えば、ルータ装置ANC1で、IPルーティングアドレスが「X1」から「X2」に変換され、ルータ装置BR1で、IPルーティングアドレスが「X2」から「X3」に変換されるように構成する場合であっても、本発明を適用することができる。
【0142】
また、本発明は、例えば、特定のドメイン(例えば、ドメインA)内の一部のルータ装置ANC1で、IPルーティングアドレスを変換するように構成されてもよい。
【0143】
また、本発明において、IPルーティングアドレスの変換を実施するルータ装置を、上り方向(モバイル端末1aからモバイル端末2の方向)と下り方向(モバイル端末2からモバイル端末1aの方向)とで異なるものとしてもよい。
【0144】
また、本発明は、宛先アドレスについてアドレス変換を実施する場合だけでなく、発信元アドレスについてアドレス変換を併せて実施する場合にも適用される。
【0145】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、通信経路が冗長になることを防止しつつ、発信元モバイル端末の現在の位置情報及び位置情報管理サーバのIPアドレスの漏洩を防止することを可能とする移動通信制御システム、移動通信制御方法、これらに用いて好適なルータ装置、サーバ装置及びデータ構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における移動通信制御システムの全体構成図である。
【図2】本発明における移動通信制御システムにおける移動通信端末(モバイル端末)の機能ブロック図である。
【図3】本発明における移動通信制御システムにおける位置情報管理サーバの機能ブロック図である。
【図4】本発明における移動通信制御システムにおけるルータ装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明における移動通信制御システムで用いられるIPホストアドレス及びIPルーティングアドレスのフォーマットを示す図である。
【図6】本発明における移動通信制御システムにおける動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
1a、1b、2…モバイル端末
10…通信I/F部
11…位置登録部
12…報知情報受信部
13…状態遷移通知部
14…通信部
21…位置情報管理部
22…IPルーティングアドレス管理部
23…モバイル端末状態管理部
24…ルータ装置制御部
31…モバイル端末I/F部
32…位置情報管理サーバI/F部
33…ネットワークI/F部
34…ルーティングテーブル記憶部
35…送信用キャッシュテーブル記憶部
36…受信用キャッシュテーブル記憶部
37…アドレス判定部
38…バッファ部
39…ルーティング部
40…テーブル更新部
a、b…位置情報管理サーバ
AR、ANC、BR…ルータ装置
LA…位置登録エリア
RA…ルーティングエリア
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信制御システム、移動通信制御方法、これらに用いて好適なルータ装置、サーバ装置及びデータ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
徒来のIP(Internet Protocol)ネットワークでは、モバイル端末(MN:Mobility Node)の「モビリティ(Mobility)」を提供するために、MNの位置情報を管理する「ホームエージェント(HA:Home Agent)」までMN宛てのIPパケットを転送させ、HAからMNまで当該MN宛てのIPパケットをカプセル化転送することにより、モビリティを提供する「Mobile IP」が提案されている(例えば、非特許文献1乃至4参照)。
【0003】
Mobile IPでは、MNが、ホームネットワークから外部ネットワークに移動した際に、外部ネットワークで使用する「IPアドレス(CoA:Care of Address)」をHAに対して通知する。HAは、MNに固定的に割り当てられている「IPアドレス(HoA:Home Address)」に対するCoAの対応関係をバインディングキャッシュ情報として保持する。
【0004】
MNの通信相手喘末である「CN(Correspondent Node)は、MNに固定的に割り当てられているHoAを使用して、MN宛てのIPパケットを送信する。宛先アドレスとしてHoAを持つIPパケットは、MNのホームネットワークに配備されるHAに転送される。HAは、MNの現在のIPアドレスであるCoAに、CNから送られてきたIPパケットをカプセル化して転送する。
【0005】
Mobile IPでは、上述のHA経由の通信を「三角経路」と呼ぶ。また、HAを介さずにCNからMNまで直接パケット転送を実施する「経路最適化」を実施するために、MNが、直接、CoAを通信相手端末であるCNへ通知し、CNが、CoA宛に直接IPパケットを転送することもできる。
【0006】
【非特許文献1】
ジェイムズ・D・ソロモン著、寺岡文男、井上 淳訳「詳細Mobile IP」、株式会社ピアソン・エデュケーション出版
【非特許文献2】
「RFC2002 IP Mobility support」
【非特許文献3】
「RFC3220 IP Mobility Support for IPv4」
【非特許文献4】
「draft−ietf−mobileip−ipv6−18.txt Mobility Support in IPv6」
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の「Mobile IP」では、CNからMN向けの通信(下り通信)は、MNのホームネットワークに配備されたHA経由になるため、通信経路が冗長(三角経路)になるという問題点があった。
【0008】
また、従来の「Mobile IP」において、MNが、現在の位置情報を含むCoAを直接CNへ通知する仕組み(すなわち、上述の経路最適化を行う仕組み)を用いた場合、CNが、MNの現在の位置情報を含むCoAを受信することになり、MNの現在の位置情報が、通信相手であるCNへ漏洩するロケーションプライバシーの問題が発生するという問題点があった。
【0009】
また、従来の「Mobile IP」では、MNからCN向けの通信(上り通信)において、MNからの送信パケットの発信元アドレスとしてCoAが使用されるため、上述の経路最適化を行わない場合であっても、MNの位置情報が、CNへ漏洩してしまうという問題点があった。
【0010】
また、従来の「Mobile IP」では、HAにおいて、パケットのカプセル化を実施するため、パケットのオーバヘッドが増加するという問題点があった。
【0011】
また、従来の「Mobile IP」では、上り通信や経路最適化を行う下り通信等のパケットのカプセル化を実施しない場合、IPv6の拡張ヘッダを使用するため、パケットのオーバヘッドが増加するという問題点があった。
【0012】
また、従来の「Mobile IP」では、MNの現在の位置情報を管理するHAのIPアドレスが、MNに対して事前に通知され、MNが、ホームネットワークのHAに対して、直接、位置登録を実施するため、モビリティの管理及び制御を行うHAのIPアドレス自体が、第三者に漏洩する可能性があり、不正な攻撃を受ける対象になりやすくなるという問題点があった。
【0013】
そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、通信経路が冗長になることを防止しつつ、MNの現在の位置情報及びHAのIPアドレスの漏洩を防止することを可能とする移動通信制御システム、移動通信制御方法、これらに用いて好適なルータ装置、サーバ装置及びデータ構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴は、サーバ装置と複数のルータ装置とを具備する移動通信制御システムであって、前記サーバ装置が、宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて管理するアドレス管理部と、発信元移動通信端末に無線接続されている発信元ルータ装置に対して、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示する指示部とを具備し、前記発信元ルータ装置が、前記サーバ装置からの指示に応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第1のアドレス記憶部と、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換するアドレス変換部と、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して、前記パケットをルーティングするルーティング部とを具備し、前記宛先ルータ装置が、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第2のアドレス記憶部と、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換するアドレス変換部と、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先通信端末に前記パケットを転送するパケット転送部とを具備することを要旨とする。
【0015】
かかる発明によれば、発信元ルータ装置が、変換した第2のアドレスに基づいてパケットを宛先ルータ装置に対してルーティングし、当該宛先ルータ装置が、変換した第1のアドレスに基づいてパケットを宛先移動通信端末(CN)に転送するため、下り通信において通信経路が冗長(三角経路)になることを回避することができる。
【0016】
また、かかる発明によれば、宛先移動通信端末(CN)が、発信元移動通信端末(MN)の現在の位置情報を含むCoAを受信する必要が無いため、発信元移動通信端末(MN)の現在の位置情報が、宛先移動通信端末(CN)Nへ漏洩するロケーションプライバシーの問題が発生することを回避することができる。
【0017】
また、かかる発明によれば、上り通信において、発信元移動通信端末(MN)からの送信パケットの発信元アドレスとして第1のアドレス(HoA)が使用されるため、発信元移動通信端末(MN)の位置情報の宛先移動通信端末(CN)への漏洩を防止することができる。
【0018】
また、かかる発明によれば、発信元ルータ装置は、パケットのカプセル化を実施しないため、パケットのオーバヘッドの増加を回避することができる。
【0019】
また、かかる発明によれば、サーバ装置の指示部が、発信元ルータ装置に対して、宛先移動通信端末(CN)の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示するため、発信元移動通信端末(MN)の現在の位置情報を管理するHAのIPアドレスが、発信元移動通信端末(MN)に対して事前に通知されることを必要とせず、また、発信元移動通信端末(MN)が、ホームネットワークのHAに対して、直接、位置登録を実施することを必要とせず、モビリティの管理及び制御を行うHAのIPアドレス自体が、第三者に漏洩する可能性を回避することができ、不正な攻撃を受ける対象になりにくくなる。
【0020】
また、かかる発明によれば、サーバ装置の指示部が、発信元ルータ装置に対して、宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示するため、他ドメインへ通知する第2のアドレス(IPルーティングアドレス)の精度を粗くさせることができる。また、かかる発明によれば、ルータ装置による移動通信端末の制御範囲を小さくすることができ、より高速なハンドオーバを可能とする。
【0021】
また、本発明の第1の特徴において、前記宛先ルータ装置が、前記宛先移動通信端末が、所定領域内に移動してきた場合、又は、アクティブ状態になった場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶する前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを選択して前記サーバ装置に通知する選択通知部を具備し、前記サーバ装置のアドレス管理部が、通知された前記宛先移動通信端末の第2のアドレスと前記宛先移動通信端末の第1のアドレスとを関連付けて管理することが好ましい。
【0022】
また、本発明の第1の特徴において、前記発信元ルータ装置が、前記第1のアドレス記憶部に、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けられている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスが記憶されていない場合、該宛先移動通信端末の第2のアドレスについて前記サーバ装置に問い合せる問い合せ部を具備し、前記サーバ装置の指示部が、前記発信元ルータ装置からの前記問い合せに応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示することが好ましい。
【0023】
また、本発明の第1の特徴において、前記サーバ装置のアドレス管理部が、前記宛先移動通信端末の移動状況又は状態変化に応じて、関連付けて管理する前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを変更することが好ましい。
【0024】
また、本発明の第1の特徴において、前記サーバ装置の指示部が、前記発信元移動通信端末から前記宛先移動通信端末へ前記パケットが転送される際に経由されないルータ装置に対して、記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを削除するように指示することが好ましい。
【0025】
また、本発明の第1の特徴において、前記発信元ルータ装置又は前記宛先ルータ装置のアドレス変換部が、前記パケット内の判定ビットによって、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別することが好ましい。
【0026】
また、本発明の第1の特徴において、前記発信元ルータ装置のアドレス変換部が、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第1のアドレスを、該発信元移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記発信元移動通信端末の第2のアドレスに変換し、前記宛先ルータ装置のアドレス変換部が、受信した前記パケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第2のアドレスを、該発信元移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記発信元移動通信端末の第1のアドレスに変換が好ましい。
【0027】
本発明の第2の特徴は、発信元移動通信端末が、宛先アドレスとして宛先移動通信端末の第1のアドレスを含む前記パケットを送信する工程Aと、サーバ装置が、前記発信元移動通信端末に無線接続されている発信元ルータ装置に対して、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示する工程Bと、前記発信元ルータ装置が、前記サーバ装置からの指示に応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する工程Cと、前記発信元ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換する工程Dと、前記発信元ルータ装置が、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して、前記パケットをルーティングする工程Eと、前記宛先ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換する工程Fと、前記宛先ルータ装置が、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先通信端末に前記パケットを転送する工程Gとを有することを要旨とする。
【0028】
また、本発明の第2の特徴において、前記宛先移動通信端末が、所定領域内に移動してきた場合、又は、アクティブ状態になった場合に、前記宛先ルータ装置が、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶する前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを選択して前記サーバ装置に通知する工程を有することが好ましい。
【0029】
また、本発明の第2の特徴において、前記発信元ルータ装置が、前記第1のアドレス記憶部に、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けられている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスが記憶されていない場合、該宛先移動通信端末の第2のアドレスについて前記サーバ装置に問い合せる工程を有し、前記工程Aで、前記サーバ装置が、前記発信元ルータ装置からの前記問い合せに応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示することが好ましい。
【0030】
また、本発明の第2の特徴において、前記サーバ装置が、前記宛先移動通信端末の移動状況又は状態変化に応じて、関連付けて管理する前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを変更することが好ましい。
【0031】
また、本発明の第2の特徴において、前記サーバ装置が、前記発信元移動通信端末から前記宛先移動通信端末へ前記パケットが転送される際に経由されないルータ装置に対して、記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを削除するように指示する工程を有することが好ましい。
【0032】
また、本発明の第2の特徴において、前記工程C又は前記工程Eで、前記発信元ルータ装置又は前記宛先ルータ装置が、前記パケット内の判定ビットによって、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別することが好ましい。
【0033】
本発明の第3の特徴は、発信元移動通信端末から宛先移動通信端末に複数のルータ装置を介してパケットを転送する移動通信ネットワークに設置されるサーバ装置であって、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて管理するアドレス管理部と、前記発信元移動通信端末に無線接続されている発信元ルータ装置に対して、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示する指示部とを具備することを要旨とする。
【0034】
また、本発明の第3の特徴において、前記アドレス管理部が、前記宛先移動通信端末の移動状況又は状態変化に応じて、関連付けて管理する前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを変更することが好ましい。
【0035】
また、本発明の第3の特徴において、前記指示部が、前記発信元移動通信端末から前記宛先移動通信端末へ前記パケットが転送される際に経由されないルータ装置に対して、記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを削除するように指示することが好ましい。
【0036】
本発明の第4の特徴は、発信元移動通信端末に無線接続されるルータ装置であって、発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けられている宛先移動通信端末の第2のアドレスが、第1のアドレス記憶部に記憶されていない場合、該宛先移動通信端末の第2のアドレスについてサーバ装置に問い合せる問い合せ部と、前記サーバ装置からの指示に応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第1のアドレス記憶部と、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換するアドレス変換部と、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して、前記パケットをルーティングするルーティング部とを具備することを要旨とする。
【0037】
本発明の第4の特徴において、前記アドレス変換部が、受信した前記パケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第1のアドレスを、該発信元移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記発信元移動通信端末の第2のアドレスに変換することが好ましい。
【0038】
本発明の第5の特徴は、宛先移動通信端末に無線接続されるルータ装置であって、前記宛先移動通信端末が、所定領域内に移動してきた場合、又は、アクティブ状態になった場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶する前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを選択してサーバ装置に通知する選択通知部と、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第2のアドレス記憶部と、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けられて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換するアドレス変換部と、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先通信端末に前記パケットを転送するパケット転送部とを具備することを要旨とする。
【0039】
本発明の第5の特徴において、前記アドレス変換部が、受信した前記パケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第2のアドレスを、該発信元移動通信端末の第2のアドレスに関連付けられて記憶している前記発信元移動通信端末の第1のアドレスに変換することが好ましい。
【0040】
本発明の第4又は5の特徴において、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスは、前記パケット内の判定ビットによって区別されることが好ましい。
【0041】
また、本発明の第4又は5の特徴において、前記判定ビットが、少なくともIPv6アドレスの最上位ビットを含んで構成されることが好ましい。
【0042】
また、本発明の第4又は5の特徴において、前記判定ビットが、IPv6アドレスの33ビット乃至64ビットのいずれかのビットによって構成されることが好ましい。
【0043】
本発明の第6の特徴は、複数のルータを介して発信元移動通信端末から宛先移動通信端末に転送されるパケットのデータ構造であり、前記発信元移動通信端末に無線接続された発信元ルータ装置が、前記発信元移動通信端末から受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して前記パケットをルーティングし、前記宛先ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先通信端末に前記パケットを転送する場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別するための判定ビットが、少なくともIPv6アドレスの最上位ビットを含んで構成されることを要旨とする。
【0044】
本発明の第7の特徴は、複数のルータを介して発信元移動通信端末から宛先移動通信端末に転送されるパケットのデータ構造であり、前記発信元移動通信端末に無線接続された発信元ルータ装置が、前記発信元移動通信端末から受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して前記パケットをルーティングし、前記宛先ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先通信端末に前記パケットを転送する場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別するための判定ビットが、IPv6アドレスの33ビット乃至64ビットのいずれかのビットによって構成されることを要旨とする。
【0045】
【発明の実施の形態】
(本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムの構成)
以下、図面を用いて本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムの構成について解説する。
【0046】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信制御システムは、位置情報管理サーバa及びbと、ルータ装置AR(Access Router)1乃至AR4と、ルータ装置ANC(Anchor Router)1及びANC2と、ルータ装置BR(Border Router)1及びBR2とを具備している。
【0047】
図1において、ドメインA及びドメインBから構成される移動パケット通信ネットワークが示されている。ここで、ドメインA及びドメインBは、同一事業者によって運営されていてもよいし、異事業者によって運営されていてもよい。
【0048】
ドメインA及びドメインBの間は、ルータ装置BR1及びルータ装置BR2によって接続されている。また、各ドメインA又はBは、複数のルータ装置で構成されている。
【0049】
ここで、複数のルータ装置のうち、アドレス変換機能を具備するルータ装置としてANC1及びANC2を配備し、モバイル端末に対してIPルーティングのファーストホップポイントとしてAR1乃至AR4を配備する。
【0050】
また、ARやBRやANC以外に、通常のIPルーティングを実施するルータ装置が、それぞれのルータ装置AR、ANC、BRの間に接続されていてもよい。
【0051】
また、AR1乃至4の配下の構成として、複数の無線I/Fを終端するAP(Access Point)を終端する構成やAR1乃至4自身が無線I/Fをサポートする構成を採用することができる。
【0052】
また、図1に、アクセスネットワークとして、モバイル端末1又は2が、移動パケット通信ネットワーク対して位置登録を実施するための「位置登録エリアLA(Location Area)#1及びLA#2」と、IPパケットをルーティングすることのできる最小単位である「ルーティングエリアRA(Routing Area)#1乃至RA#4」が示されている。
【0053】
ここで、LAは、1つ以上のルータ装置ARによって管理されており、RAは、1つのルータ装置ARによって管理されている。
【0054】
図1では、Active状態のモバイル端末1aが、位置登録エリアLA#2内において、ルーティングエリアRA#1からルーティングエリアRA#2に移動している。また、Dormant状態のモバイル端末1bが、位置登録エリアLA#1内のルーティングエリアRA#4から位置登録エリアLA#2内のルーティングエリアRA#1に移動している。また、Active状態のモバイル端末2は、ルーティングエリアRA#3に在圏している。
【0055】
ここで、Active状態とは、IPパケットをいつでも送受信可能な状態であり、Dormant状態とは、送信電力や電源の消費を抑えるために、パケットを受信しても、LA間を移動しない限りパケットの送信を実施しない状態である。
【0056】
図2を参照して、本発明に係るモバイル端末1a、1b、2の構成について説明する。モバイル端末1a、1bの構成とモバイル端末2の構成とは、基本的に同一であるため、以下、モバイル端末1aの構成についてのみ説明する。
【0057】
モバイル端末1aは、図2に示すように、通信I/F部10と、位置登録部11と、報知情報受信部12と、状態遷移通知部13と、通信部14とを具備する移動通信端末である。
【0058】
通信I/F部10は、無線接続を介して、モバイル端末1aが在圏するルーティングエリアRA#1を管理するルータ装置AR2との間でパケットの送受信を行うものである。
【0059】
位置登録部11は、モバイル端末1aが無線接続されているルータ装置AR2を介して、モバイル端末1aが在圏するドメインBに配置されている位置情報管理サーバbに、モバイル端末1aの位置情報を登録するものである。位置登録部11は、モバイル端末1aが移動することによって在圏する位置登録エリアLAが変更した際に、位置登録パケットをルータ装置AR2を介して位置情報管理サーバbに送信する。
【0060】
図1の例では、Dormant状態のモバイル端末1bが、LAを跨った際(LA#1からLA#2への移動)に、ルータ装置AR1に対して位置登録パケットを送信する。また、Active状態のモバイル端末1aが、同一LA#2内のRA間の移動の際(RA#1からRA#2への移動の際)に、位置登録パケットを送信しない。
【0061】
報知情報受信部12は、ルータ装置AR2からのページング等の放置情報を受信するものである。
【0062】
状態遷移通知部13は、Active状態やDormant状態の状態遷移をARに対して通知するものである。状態遷移通知部13は、少なくとも2つの状態遷移(Active状態及びDormant状態)を通知する。
【0063】
例えば、状態遷移通知部13は、アプリケーションの起動やルータ装置ARからのページングの受信等のトリガにより、モバイル端末1aがDormant状態からActive状態に移行した場合、ルータ装置ARに対してActive状態に移行したことを通知する。
【0064】
通信部14は、通信I/F部10を介して宛先モバイル端末2に対してIPパケットを生成して送信するものである。通信部14は、宛先アドレスとして宛先モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)を指定し、発信元アドレスとして発信元モバイル端末1aのIPホストアドレス(第1のアドレス)を指定したパケットを生成する。
【0065】
ここで、IPホストアドレス(第1のアドレス)とは、モバイル端末の現在位置や移動状況等によって変化しないアドレス、すなわち、モバイル端末をグローバルでユニークに識別するためのアドレスである。
【0066】
一方、後述のIPルーティングアドレスは、モバイル端末の現在位置や移動状況等によって変化するアドレス、移動パケット通信ネットワーク内でパケットを最適化経路にてルーティングさせるためのアドレスである。
【0067】
かかるパケットのフォーマットには、ARやBRやANC等のルータ装置においてIPホストアドレスとIPルーティングアドレスとを判定可能な判定ビットが含まれる。その結果、既存の固定端末やMobile IP端末のHoA等は、従来どおりIPルーティングアドレスとして扱われる。
【0068】
図3を参照して、位置情報管理サーバa、bについて説明する。位置情報管理サーバa、bの構成は、基本的に同一であるため、以下、位置情報管理サーバbの構成についてのみ説明する。
【0069】
位置情報管理サーバbは、図3に示すように、位置情報管理部21と、IPルーティグアドレス管理部22と、モバイル端末状態管理部23と、ルータ装置制御部24とを具備する。
【0070】
位置情報管理部21は、位置情報管理サーバbが接続されているドメインBをホームネットワークとする複数のモバイル端末(例えば、モバイル端末1a)が現在位置しているLA情報を管理するものである。
【0071】
例えば、位置情報管理部21は、図3に示すように、ルータ装置AR2を介してモバイル端末1aから受信した位置登録パケットに応じて、モバイル端末の識別情報(モバイル端末1a)と該モバイル端末が現在位置するLAの識別情報(LA#2)とを関連付けるテーブルを記憶する。
【0072】
IPルーティングアドレス管理部22は、宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けるIPルーティングアドレス情報を管理するアドレス管理部である。
【0073】
例えば、IPルーティングアドレス管理部22は、図3に示すように、IPホストアドレス#AとIPルーティングアドレス#X0とを関連付けて記憶し、IPホストアドレス#BとIPルーティングアドレス#X1とを関連付けて記憶する。
【0074】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、AR、BR、ANC等のルータ装置からの問い合せ時に、当該ルータ装置に対して、該当するモバイル端末のIPルーティングアドレス若しくはIPホストアドレスを通知する機能を具備する。
【0075】
例えば、IPルーティングアドレス管理部22は、発信元モバイル端末1aに無線接続されている発信元ルータ装置AR2に対して、宛先モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶するように指示する指示部を構成する。
【0076】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、モバイル端末の移動状況(在圏するLA情報の変化)又は状態変化(Active状態とDormant状態との間の状態遷移)等に応じて、上述のIPルーティングアドレス情報を変更する機能を具備する。
【0077】
例えば、IPルーティングアドレス管理部22は、モバイル端末がActive状態からDormant状態へ移行したことを、ルータ装置ARから通知された場合、該当するIPルーティングアドレス情報を削除すると共に、他のルータ装置AR、BR、ANCにおいて送信用のキャッシュテーブル及び受信用のキャッシュテーブルを削除するように指示することができる。
【0078】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、上述のIPルーティングアドレス情報の変更に応じて、AR、BR、ANC等のルータ装置に対して、IPルーティングアドレスを書き換えるための指示を出す機能を具備する。
【0079】
例えば、IPルーティングアドレス管理部22は、発信元モバイル端末1aから宛先モバイル端末2へパケットが転送される際に経由されないルータ装置AR1に対して、記憶している宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を削除するように指示することができる。
【0080】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、ルータ装置(例えば、AR2)から宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)が通知された場合、これらのアドレスの使用を許可するか否かについて判断して、当該判断結果を当該ルータ装置に通知する。判断結果が肯定的である場合、IPルーティングアドレス管理部22は、上述の宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)とIPルーティングアドレス(第2のアドレス)とを関連付けて管理する。
【0081】
また、IPルーティングアドレス管理部22は、Active状態のモバイル端末のIPルーティングアドレス情報のみを管理し、Dormant状態のモバイル端末の、IPルーティングアドレス情報を管理しないように構成されていてもよい。
【0082】
モバイル端末状態管理部23は、モバイル端末の状態(Active状態又はDormant状態)を管理するものである。例えば、モバイル端末状態管理部23は、IPルーティングアドレス情報がIPルーティングアドレス管理部22において管理されているモバイル端末を「Active状態」として管理し、IPルーティングアドレス情報がIPルーティングアドレス管理部22において管理されていないモバイル端末を「Dormant状態」として管理してもよい。
【0083】
ルータ装置制御部24は、位置管理サーバ装置bが接続されているドメインB内のルータ装置AR、BR、ANCとの間で、所定の通信プロトコルを用いて制御パケット等の送受信を行うものである。
【0084】
例えば、ルータ装置制御部24は、ルータ装置AR2を介してモバイル端末1aから位置登録パケットを受信した場合、受信した位置登録パケットを位置情報管理部21に転送する。
【0085】
また、ルータ装置制御部24は、IPルーティングアドレス管理部22からの上述の指示をルータ装置AR2に送信する。
【0086】
図4を参照して、複数のルータ装置AR1乃至AR4、BR1及びBR2、ANC1及びANC2について説明する。複数のルータ装置AR1乃至AR4、BR1及びBR2、ANC1及びANC2の構成は、ほとんど同一であるため、以下、ルータ装置AR2の構成について重点的に説明し、各ルータ装置特有の構成については適宜説明する。
【0087】
ルータ装置AR2は、図4に示すように、モバイル端末I/F部31と、位置情報管理サーバI/F部32と、ネットワークI/F部33と、ルーティングテーブル記憶部34と、送信用キャッシュテーブル記憶部35と、受信用キャッシュテーブル記憶部36と、アドレス判定部37と、バッファ部38と、…ルーティング部39と、テーブル更新部40とを具備する。
【0088】
ルータ装置ANC、BRは、モバイル端末I/F部31を具備しない点を除いて、ルータ装置AR2の構成と同様である。
【0089】
モバイル端末I/F部31は、AR2が管理するRA#2に在圏するモバイル端末1aとの間の無線接続を介してパケット(IPパケットや位置登録パケット等を含む)を送受信するものである。
【0090】
モバイル端末I/F部31は、モバイル端末1aが、所定領域(RA#2)内に移動してきた場合、又は、Active状態になった場合に、モバイル端末1aのIPホストアドレス(第1のアドレス)に関連付けて記憶するモバイル端末1aのIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を選択して、位置情報管理サーバI/F部32を介して位置情報管理サーバbに通知する選択通知部を構成する。
【0091】
また、モバイル端末I/F部31は、モバイル端末1aからの各種制御パケットを受信し、受信した制御パケット内の発信元アドレスであるIPホストアドレスから該当する位置情報管理サーバbのアドレスを解決し、位置情報管理サーバI/F部32を介して当該制御パケットを位置情報管理サーバbに転送する。
【0092】
また、モバイル端末I/F部31は、位置情報管理サーバbから位置情報管理サーバI/F部32を介してページングパケットを受信した場合、当該ページングパケット内のメッセージ内容を解釈し、モバイル端末に対するページング処理を実施することができる。
【0093】
位置情報管理サーバI/F部32は、AR2が所属するドメインBに配置された位置情報管理サーバbとの間で、所定の通信プロトコルを用いて、送信用キャッシュテーブル又は受信用キャッシュテーブルの作成、変更、削除の指示やページング信号等の制御パケットを送受信するものである。
【0094】
例えば、Active状態のモバイル端末がRA#1からRA#2に移動した際、RA#2を管理するルータ装置AR2の位置情報管理サーバI/F部32は、モバイル端末I/F部31によるモバイル端末からの制御パケットの受信をトリガとして、IPルーティングアドレスを当該モバイル端末に割り当て、その旨を位置情報管理サーバbに通知する。そして、位置情報管理サーバI/F部32は、位置情報管理サーバbから当該割り当ての許可が得られた場合に、その旨をテーブル更新部に通知する。
【0095】
また、位置情報管理サーバI/F部32は、アプリケーションの起動やページング等のトリガによりモバイル端末がDormant状態からActive状態に移行した場合、モバイル端末I/F部31によるモバイル端末から受信したActive状態に移行した旨の通知に応じて、プールしてあるIPルーティングアドレスの帯域から当該モバイル端末に対して1つのIPルーティングアドレスを割り当て、その旨を位置情報管理サーバbに通知する。そして、位置情報管理サーバI/F部32は、位置情報管理サーバbから当該割り当ての許可が得られた場合に、正式なIPルーティングアドレスとして登録し、その旨をテーブル更新部に通知する。
【0096】
また、モバイル端末I/F部31が、Dormant状態のモバイル端末がLAを跨った際に送信する位置登録メッセージを制御パケットとして受信した場合、位置情報管理サーバI/F部32は、モバイル端末のIPホストアドレスをキーにして、位置情報管理サーバbへ位置登録メッセージを転送する。すなわち、位置情報管理サーバI/F部32は、モバイル端末に対するプロキシとして機能する。
【0097】
ネットワークI/F部33は、AR2が所属するドメインB内の他のルータ装置(例えば、ANC1)との間でIPパケットを送受信するものである。
【0098】
ルーティングテーブル記憶部34は、IPルーティングアドレスに基づくルーティングテーブルを記憶するものである。例えば、AR2におけるルーティングテーブルにおいて、ルーティング情報として、IPルーティングアドレス#X1であるIPパケットをルータ装置ANC1にルーティングするように記憶されている。
【0099】
送信用キャッシュテーブル記憶部35は、位置情報管理サーバbからの指示に応じて、宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶する第1のアドレス記憶部を構成する。
【0100】
例えば、送信用キャッシュテーブル記憶部35は、図4に示すように、ルータ装置AR2が管理するモバイル端末について、IPホストアドレス#BとIPルーティングアドレス#X1とを関連付けるテーブルを記憶する。
【0101】
受信用キャッシュテーブル記憶部36は、位置情報管理サーバbからの指示に応じて、宛先モバイル端末のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶する第2のアドレス記憶部を構成する。
【0102】
例えば、受信用キャッシュテーブル記憶部36は、図4に示すように、ルータ装置AR2が管理するモバイル端末について、IPルーティングアドレス#X0とIPホストアドレス#Bとを関連付けるテーブルを記憶する。
【0103】
アドレス判定部37は、発信元モバイル端末1aから受信したIPパケットの宛先アドレスがIPホストアドレス(第1のアドレス)であるかIPルーティングアドレス(第2のアドレス)であるかを判定するものである。
【0104】
アドレス判定部37は、具体的には、IPパケット内の判定ビットを参照することにより、IPホストアドレス(第1のアドレス)であるかIPルーティングアドレス(第2のアドレス)であるかを判定する。
【0105】
ここで、図5を参照して、本実施形態で用いられるIPパケットのフォーマットについて説明する。本実施形態において、IPホストアドレス及びIPルーティングアドレスは、図5(a)に示す(既存の)IPv6アドレスのアドレス体系に「判定ビット」を定義することにより実現できる。
【0106】
第1の方法として、図(b)に示すように、IPv6アドレスの最上位ビットを含む3ビットに規定されている「FP(Format Prefix)領域」に「判定ビット」を設定する方法が考えられる。現在、FP領域には、グローバルユニキャストアドレスとして「001」が設定されるものとして規定されている。
【0107】
本方法は、例えば、図(b)に示すように、既存のIPv6の固定端末やMobile IP端末等で用いられる「HoA」や「CoA」を含むIPルーティングアドレスの場合「FP領域」に「001(現在グローバルユニキャストアドレスとして規定されている値)」を設定し、一方、IPホストアドレスの場合「FP領域」に「010」を設定することによって、「判定ビット」を定義するものである。
【0108】
ただし、本実施形態では、IPホストアドレスの場合、「FP領域」の値として「010」を設定することとしたが、本発明は、これに限定されることは無く、「FP領域」の値として他の値を設定することができる。
【0109】
第2の方法として、図(c)に示すように、ネットワークプリフィクス内の「ISP ID」の次のビットに「判定ビット」を設定する方法が考えられる。ここで、「ISP ID」は、通信事業者(通信キャリア)やISPに対して既存の割り当てルールに基づいて割り当てられるものである。
【0110】
本方法は、例えば、図(c)に示すように、IPルーティングアドレスの場合「ISP ID」の次のビットに「1」を設定し、IPホストアドレスの場合「ISP ID」の次のビットに「0」を設定することによって、「判定ビット」を定義するものである。
【0111】
ただし、本実施形態では、「ISP ID」の次のビットに「判定ビット」を規定することとしたが、本発明は、これに限定されること無く、IPv6アドレスの33ビット乃至64ビットのいずれかのビット、又は、65ビット乃至128ビットのいずれかのビットによって「判定ビット」を定義することができる。
【0112】
上述の第1の方法又は第2の方法を用いることにより、IPパケットに新規のアドレスフォーマットを規定すること無しに、IPホストアドレス及びIPルーティングアドレスを判定するための判定ビットを定義することが可能になる。
【0113】
また、本発明は、IPv6アドレス以外のIPv4アドレスでも同様に、アドレス体系に「判定ビット」を定義することにより、IPホストアドレス及びIPルーティングアドレスを判定することができる。
【0114】
また、アドレス判定部37は、IPパケット内の宛先アドレスが「IPホストアドレス」であると判定した場合、送信用キャッシュテーブル記憶部35内に、当該IPホストアドレスに係るデータが存在するか否かについて判定する。
【0115】
また、アドレス判定部37は、当該IPホストアドレスに係るデータが送信用キャッシュテーブル記憶部35内に存在すると判定した場合、当該IPホストアドレス(第1のアドレス)を、IPルーティングアドレス(第2のアドレス)に変換するアドレス変換部を構成する。かかる場合、アドレス判定部37は、宛先アドレスを変換したIPパケットをルーティング部39に送信する。
【0116】
一方、アドレス判定部37は、当該IPホストアドレスに係るデータが送信用キャッシュテーブル記憶部35内に存在しないと判定した場合、当該IPパケットを一時的にバッファ部38にバッファリングする。
【0117】
かかる場合、アドレス判定部37は、宛先アドレスとしてのIPホストアドレスをキーにして、位置情報管理サーバb(又は、位置情報管理サーバa)に、宛先モバイル端末2のIPルーティングアドレスを問い合わせる問い合せ部を構成する。
【0118】
また、アドレス判定部37は、位置情報管理サーバb(又は、位置情報管理サーバa)からの応答結果に応じて、バッファ部38にバッファリングしていたIPパケットの宛先アドレスを、IPホストアドレスからIPルーティングアドレスに変換して、当該IPパケットをルーティング部39に転送する。
【0119】
また、アドレス判定部37は、IPパケット内の宛先アドレスが「IPルーティングアドレス」であると判定した場合、当該IPパケットの宛先アドレスを変換することなく、当該IPパケットをルーティング部39に転送する。
【0120】
また、アドレス判定部37は、IPパケットの宛先アドレスがIPルーティングアドレスである場合で、かつ、当該IPルーティングアドレスに係るデータが受信用キャッシュテーブル記憶部36に存在する場合、受信用キャッシュテーブル記憶部36を参照して、当該IPアドレスの宛先アドレスを、IPルーティングアドレスからIPホストアドレスに変換して、当該IPパケットをルーティング部39に転送する。
【0121】
ルーティング部39は、ルーティングテーブル記憶部34を参照して、変換された宛先アドレス(IPルーティングアドレス又はIPホストアドレス)に基づいて、宛先モバイル端末2に無線接続されている宛先ルータ装置AR3に対して、IPパケットをルーティングするものである。
【0122】
本実施形態では、ルーティング部39は、宛先アドレスがIPルーティングアドレスであるIPパケットを、ネットワークI/F部33を介して、ルータ装置ANC1に転送する。
【0123】
また、ルーティング部39は、宛先アドレスがIPホストアドレスであるIPパケットを、モバイル端末I/F部31を介して、モバイル端末1aに転送するパケット転送部を構成する。
【0124】
また、ルーティング部39は、OSPF等のルーティングプロトコルに基づいて、IPパケットのルーティング処理を行う。
【0125】
テーブル更新部40は、位置情報管理サーバI/F部32を介して受信した位置情報管理サーバbからの指示に応じて、ルーティングテーブル記憶部34と送信用キャッシュテーブル記憶部35と受信用キャッシュテーブル記憶部36とを更新するものである。
【0126】
例えば、テーブル更新部40は、アドレス判定部37による位置情報管理サーバb(又は、位置情報管理サーバa)への問い合わせ結果に応じて、送信用キャッシュテーブル記憶部35に、モバイル端末2のIPルーティングアドレスに係るデータを新規追加する。
【0127】
(本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムの動作)
図6は、本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムにおいて、モバイル端末1aからモバイル端末2にIPパケットを転送する際のシーケンス図を示すものである。ここで、モバイル端末1aのIPホストアドレス(第1のアドレス)が「A」であり、モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)が「B」であるものとする
図6に示すように、ステップ601において、モバイル端末1aが、宛先アドレスにモバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)「B」を設定したIPパケットを、無線回線を介してルータ装置AR2に送信する。
【0128】
ステップ602において、ルータ装置AR2のアドレス判定部37が、送信用キャッシュテーブル記憶部35を参照して、受信したIPパケットの宛先アドレスを、モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)「B」からモバイル端末2のIPルーティングアドレス(第2のアドレス)「X1」に変換する。
【0129】
ステップ603において、ルータ装置AR2のルーティング部39が、ルーティングテーブル記憶部34を参照して、アドレス変換を施したIPパケット(宛先アドレス「X1」)をルータ装置ANC1に転送する。
【0130】
ステップ604において、ルータ装置ANC1のアドレス判定部37が、受信したIPパケット内の判定ビットにより、当該IPパケット内にモバイル端末2のIPルーティングアドレス(第2のアドレス)「X1」が設定されていると判定する。
【0131】
ステップ605において、ルータ装置ANC1のルーティング部39が、ルーティングテーブル記憶部34を参照して、アドレス変換を施すことなく、IPパケット(宛先アドレス「X1」)をルータ装置BR1に転送する。
【0132】
以下、ステップ606からステップ611まで、ステップ604及びステップ605を繰り返すことによって、宛先アドレスとしてモバイル端末2のIPルーティングアドレス(第2のアドレス)「X1」が設定されたIPパケットが、宛先モバイル端末2と無線接続されているルータ装置AR3まで転送される。
【0133】
ステップ612において、ルータ装置AR3のアドレス判定部37が、受信用キャッシュテーブル記憶部35を参照して、受信したIPパケットの宛先アドレスを、モバイル端末2のIPルーティングアドレス(第2のアドレス)「X1」からモバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)「B」に変換する。
【0134】
ステップ613において、ルータ装置AR3のルーティング部39が、ルーティングテーブル記憶部34を参照して、アドレス変換を施したIPパケット(宛先アドレス「B」)を、無線回線を介してモバイル端末2に転送する。
【0135】
(本発明の一実施形態に係る移動通信制御システムの作用・効果)
本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、発信元ルータ装置AR2が、変換したIPルーティングアドレス(第2のアドレス)に基づいてIPパケットを宛先ルータ装置AR3に対してルーティングし、当該宛先ルータ装置AR3が、変換したIPホストアドレス(第1のアドレス)に基づいてIPパケットを宛先モバイル端末2に転送するため、下り通信において通信経路が冗長(三角経路)になることを回避することができる。
【0136】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、宛先モバイル端末2が、発信元モバイル端末1aの現在の位置情報を含むCoAを受信する必要が無いため、発信元モバイル端末1aの現在の位置情報LA#2が、宛先モバイル端末2へ漏洩するロケーションプライバシーの問題が発生することを回避することができる。
【0137】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、上り通信において、発信元モバイル端末1aからの送信パケットの発信元アドレスとしてIPホストアドレス(第1のアドレス)が使用されるため、発信元モバイル端末1aの位置情報LA#2の宛先モバイル端末1aへの漏洩を防止することができる。
【0138】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、発信元ルータ装置AR2は、IPパケットのカプセル化を実施しないため、パケットのオーバヘッドの増加を回避することができる。
【0139】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、位置情報管理サーバbのルータ装置制御部24が、発信元ルータ装置AR2に対して、宛先モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶するように指示するため、発信元モバイル端末1aの現在の位置情報LA#2を管理するHAのIPアドレスが、発信元モバイル端末1aに対して事前に通知されることを必要とせず、また、発信元モバイル端末1aが、ホームネットワークのHAに対して、直接、位置登録を実施することを必要とせず、モビリティの管理及び制御を行うHAのIPアドレス自体が、第三者に漏洩する可能性を回避することができ、不正な攻撃を受ける対象になりにくくなる。
【0140】
また、本実施形態に係る移動通信制御システムによれば、位置情報管理サーバbのルータ装置制御部24が、発信元ルータ装置AR2に対して、宛先モバイル端末2のIPホストアドレス(第1のアドレス)及びIPルーティングアドレス(第2のアドレス)を関連付けて記憶するように指示するため、他ドメインへ通知するIPルーティングアドレス(第2のアドレス)の精度を粗くさせることができる。また、かかる発明によれば、ルータ装置によるモバイル端末の制御範囲を小さくすることができ、より高速なハンドオーバを可能とする。
【0141】
(変更例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、特定のドメイン(例えば、ドメインB)内の全てのルータ装置ANC1及びBR1で、IPルーティングアドレスを変換するように構成されてもよい。例えば、ルータ装置ANC1で、IPルーティングアドレスが「X1」から「X2」に変換され、ルータ装置BR1で、IPルーティングアドレスが「X2」から「X3」に変換されるように構成する場合であっても、本発明を適用することができる。
【0142】
また、本発明は、例えば、特定のドメイン(例えば、ドメインA)内の一部のルータ装置ANC1で、IPルーティングアドレスを変換するように構成されてもよい。
【0143】
また、本発明において、IPルーティングアドレスの変換を実施するルータ装置を、上り方向(モバイル端末1aからモバイル端末2の方向)と下り方向(モバイル端末2からモバイル端末1aの方向)とで異なるものとしてもよい。
【0144】
また、本発明は、宛先アドレスについてアドレス変換を実施する場合だけでなく、発信元アドレスについてアドレス変換を併せて実施する場合にも適用される。
【0145】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、通信経路が冗長になることを防止しつつ、発信元モバイル端末の現在の位置情報及び位置情報管理サーバのIPアドレスの漏洩を防止することを可能とする移動通信制御システム、移動通信制御方法、これらに用いて好適なルータ装置、サーバ装置及びデータ構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における移動通信制御システムの全体構成図である。
【図2】本発明における移動通信制御システムにおける移動通信端末(モバイル端末)の機能ブロック図である。
【図3】本発明における移動通信制御システムにおける位置情報管理サーバの機能ブロック図である。
【図4】本発明における移動通信制御システムにおけるルータ装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明における移動通信制御システムで用いられるIPホストアドレス及びIPルーティングアドレスのフォーマットを示す図である。
【図6】本発明における移動通信制御システムにおける動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
1a、1b、2…モバイル端末
10…通信I/F部
11…位置登録部
12…報知情報受信部
13…状態遷移通知部
14…通信部
21…位置情報管理部
22…IPルーティングアドレス管理部
23…モバイル端末状態管理部
24…ルータ装置制御部
31…モバイル端末I/F部
32…位置情報管理サーバI/F部
33…ネットワークI/F部
34…ルーティングテーブル記憶部
35…送信用キャッシュテーブル記憶部
36…受信用キャッシュテーブル記憶部
37…アドレス判定部
38…バッファ部
39…ルーティング部
40…テーブル更新部
a、b…位置情報管理サーバ
AR、ANC、BR…ルータ装置
LA…位置登録エリア
RA…ルーティングエリア
Claims (25)
- サーバ装置と複数のルータ装置とを具備する移動通信制御システムであって、
前記サーバ装置は、
宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて管理するアドレス管理部と、
発信元移動通信端末に無線接続されている発信元ルータ装置に対して、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示する指示部とを具備し、
前記発信元ルータ装置は、
前記サーバ装置からの指示に応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第1のアドレス記憶部と、
前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換するアドレス変換部と、
変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して、前記パケットをルーティングするルーティング部とを具備し、
前記宛先ルータ装置は、
前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第2のアドレス記憶部と、
受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換するアドレス変換部と、
変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先通信端末に前記パケットを転送するパケット転送部とを具備することを特徴とする移動通信制御システム。 - 前記宛先ルータ装置は、前記宛先移動通信端末が、所定領域内に移動してきた場合、又は、アクティブ状態になった場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶する前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを選択して前記サーバ装置に通知する選択通知部を具備し、
前記サーバ装置のアドレス管理部は、通知された前記宛先移動通信端末の第2のアドレスと前記宛先移動通信端末の第1のアドレスとを関連付けて管理することを特徴とする請求項1に記載の移動通信制御システム。 - 前記発信元ルータ装置は、前記第1のアドレス記憶部に、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けられている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスが記憶されていない場合、該宛先移動通信端末の第2のアドレスについて前記サーバ装置に問い合せる問い合せ部を具備し、
前記サーバ装置の指示部は、前記発信元ルータ装置からの前記問い合せに応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示することを特徴とする請求項1に記載の移動通信制御システム。 - 前記サーバ装置のアドレス管理部は、前記宛先移動通信端末の移動状況又は状態変化に応じて、関連付けて管理する前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを変更することを特徴とする請求項1に記載の移動通信制御システム。
- 前記サーバ装置の指示部は、前記発信元移動通信端末から前記宛先移動通信端末へ前記パケットが転送される際に経由されないルータ装置に対して、記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを削除するように指示することを特徴とする請求項1に記載の移動通信制御システム。
- 前記発信元ルータ装置又は前記宛先ルータ装置のアドレス変換部は、前記パケット内の判定ビットによって、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別することを特徴とする請求項1に記載の移動通信制御システム。
- 発信元移動通信端末が、宛先アドレスとして宛先移動通信端末の第1のアドレスを含むパケットを送信する工程Aと、
サーバ装置が、前記発信元移動通信端末に無線接続されている発信元ルータ装置に対して、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示する工程Bと、
前記発信元ルータ装置が、前記サーバ装置からの指示に応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する工程Cと、
前記発信元ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換する工程Dと、
前記発信元ルータ装置が、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して、前記パケットをルーティングする工程Eと、
前記宛先ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換する工程Fと、
前記宛先ルータ装置が、変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先通信端末に前記パケットを転送する工程Gとを有することを特徴とする移動通信制御方法。 - 前記宛先移動通信端末が、所定領域内に移動してきた場合、又は、アクティブ状態になった場合に、前記宛先ルータ装置が、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶する前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを選択して前記サーバ装置に通知する工程を有することを特徴とする請求項7に記載の移動通信制御方法。
- 前記発信元ルータ装置が、前記第1のアドレス記憶部に、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けられている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスが記憶されていない場合、該宛先移動通信端末の第2のアドレスについて前記サーバ装置に問い合せる工程を有し、
前記工程Bにおいて、前記サーバ装置が、前記発信元ルータ装置からの前記問い合せに応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示することを特徴とする請求項7に記載の移動通信制御方法。 - 前記サーバ装置が、前記宛先移動通信端末の移動状況又は状態変化に応じて、関連付けて管理する前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを変更することを特徴とする請求項7に記載の移動通信制御方法。
- 前記サーバ装置が、前記発信元移動通信端末から前記宛先移動通信端末へ前記パケットが転送される際に経由されないルータ装置に対して、記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを削除するように指示する工程を有することを特徴とする請求項7に記載の移動通信制御方法。
- 前記工程D又は前記工程Fにおいて、前記発信元ルータ装置又は前記宛先ルータ装置が、前記パケット内の判定ビットによって、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別することを特徴とする請求項7に記載の移動通信制御方法。
- 発信元移動通信端末から宛先移動通信端末に複数のルータ装置を介してパケットを転送する移動通信ネットワークに設置されるサーバ装置であって、
前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて管理するアドレス管理部と、
前記発信元移動通信端末に無線接続されている発信元ルータ装置に対して、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶するように指示する指示部とを具備することを特徴とするサーバ装置。 - 前記アドレス管理部は、前記宛先移動通信端末の移動状況又は状態変化に応じて、関連付けて管理する前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを変更することを特徴とする請求項13に記載のサーバ装置。
- 前記指示部は、前記発信元移動通信端末から前記宛先移動通信端末へ前記パケットが転送される際に経由されないルータ装置に対して、記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを削除するように指示することを特徴とする請求項13に記載のサーバ装置。
- 発信元移動通信端末に無線接続されるルータ装置であって、
発信元移動通信端末から受信したパケット内に宛先アドレスとして含まれている宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けられている宛先移動通信端末の第2のアドレスが、第1のアドレス記憶部に記憶されていない場合、該宛先移動通信端末の第2のアドレスについてサーバ装置に問い合せる問い合せ部と、
前記サーバ装置からの指示に応じて、前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第1のアドレス記憶部と、
受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換するアドレス変換部と、
変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して、前記パケットをルーティングするルーティング部とを具備することを特徴とするルータ装置。 - 宛先移動通信端末に無線接続されるルータ装置であって、
前記宛先移動通信端末が、所定領域内に移動してきた場合、又は、アクティブ状態になった場合に、前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶する前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを選択してサーバ装置に通知する選択通知部と、
前記宛先移動通信端末の第1のアドレス及び第2のアドレスを関連付けて記憶する第2のアドレス記憶部と、
受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けられて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換するアドレス変換部と、
変換された前記宛先アドレスに基づいて、前記宛先通信端末に前記パケットを転送するパケット転送部とを具備することを特徴とするルータ装置。 - 前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスは、前記パケット内の判定ビットによって区別されることを特徴とする請求項16又は17に記載のルータ装置。
- 前記判定ビットは、少なくともIPv6アドレスの最上位ビットを含んで構成されることを特徴とする請求項18に記載のルータ装置。
- 前記判定ビットは、IPv6アドレスの33ビット乃至64ビットのいずれかのビットによって構成されることを特徴とする請求項18に記載のルータ装置。
- 複数のルータを介して発信元移動通信端末から宛先移動通信端末に転送されるパケットのデータ構造であり、
前記発信元移動通信端末に無線接続された発信元ルータ装置が、前記発信元移動通信端末から受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して前記パケットをルーティングし、
前記宛先ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先通信端末に前記パケットを転送する場合に、
前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別するための判定ビットが、少なくともIPv6アドレスの最上位ビットを含んで構成されることを特徴とするパケットのデータ構造。 - 複数のルータを介して発信元移動通信端末から宛先移動通信端末に転送されるパケットのデータ構造であり、
前記発信元移動通信端末に無線接続された発信元ルータ装置が、前記発信元移動通信端末から受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第1のアドレスを、該宛先移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第2のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先移動通信端末に無線接続されている宛先ルータ装置に対して前記パケットをルーティングし、
前記宛先ルータ装置が、受信した前記パケット内に宛先アドレスとして含まれている前記宛先移動通信端末の第2のアドレスを、該宛先移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記宛先移動通信端末の第1のアドレスに変換して、変換された前記宛先アドレスに基づいて前記宛先通信端末に前記パケットを転送する場合に、
前記宛先移動通信端末の第1のアドレスと前記宛先移動通信端末の第2のアドレスとを区別するための判定ビットが、IPv6アドレスの33ビット乃至64ビットのいずれかのビットによって構成されることを特徴とするパケットのデータ構造。 - 前記発信元ルータ装置のアドレス変換部は、前記発信元移動通信端末から受信したパケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第1のアドレスを、該発信元移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記発信元移動通信端末の第2のアドレスに変換し、
前記宛先ルータ装置のアドレス変換部は、受信した前記パケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第2のアドレスを、該発信元移動通信端末の第2のアドレスに関連付けて記憶している前記発信元移動通信端末の第1のアドレスに変換することを特徴とする請求項1に記載の移動通信制御システム。 - 前記アドレス変換部は、受信した前記パケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第1のアドレスを、該発信元移動通信端末の第1のアドレスに関連付けて記憶している前記発信元移動通信端末の第2のアドレスに変換することを特徴とする請求項16に記載のルータ装置。
- 前記アドレス変換部は、受信した前記パケット内に発信元アドレスとして含まれている前記発信元移動通信端末の第2のアドレスを、該発信元移動通信端末の第2のアドレスに関連付けられて記憶している前記発信元移動通信端末の第1のアドレスに変換することを特徴とする請求項17に記載のルータ装置。
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