JP4468968B2 - モバイルノードの通信方法及びモバイルノード - Google Patents

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Description

本発明は、例えばIP(Internet Protocol)ネットワーク技術に関し、特に、IPネットワークにおけるモバイル通信のサポート技術に用いて好適な、モバイルノードの通信方法及びモバイルノードに関する。
近年、歩行中又は電車内においては、多くのユーザが携帯電話を用いており、各ユーザは、ホームページへのアクセス又は電子メールなどの通信サービスの提供を受けている。この通信サービスに用いられるプロトコルは、よく知られているように、IPプロトコルである。
このIPプロトコルが開発されたときは、IPネットワークに接続されたワークステーション,パーソナルコンピュータ(パソコン)などの端末は、すべて固定物であり、各端末は移動しないことが前提とされていた。ところが、最近の移動通信技術の向上とともに、IPネットワークに接続された端末に移動性(モビリティ)を与える通信サービスが主流になってきている。この通信サービスを提供するためには、その管理は、IPネットワークに、移動端末(Mobility Node:以下、モバイルノードMNと称する。)のIPアドレスを動的に割り当てる必要がある。
この動的割り当てが必要な理由は主に2つあって、1つは移動端末がIPネットワークと継続的に通信できないという理由があげられる。すなわち、IPネットワークの構成がサブネットワーク(サブネット)の階層構造を有し、かつ、各移動端末がサブネットに属しているので、各移動端末が自分自身の属するサブネットから他のサブネットにいったん移動すると、その移動端末は、元のサブネットに加入している端末と通信できなくなり、移動端末とIPネットワークとの通信が切断される。
また、動的割り当てが必要な第2の理由は、ユーザは、固定されたパソコン端末が、携帯電話などの移動端末を指定してデータ送信などの通信ができないことである。
このため、種々のモバイル用(移動通信用)のIPプロトコルが標準化されている。このモバイル用のプロトコルとしてモバイルIPv4プロトコル(Mobile Internet Protocol Version 4 protocol:例えばhttp://www.ietf.org/rfc/rfc2002.txtに掲載された内容。以下、公知文献1と称する。)は、IPネットワークにおいて、端末がそのIPネットワークにおける接続位置を変更した後においても通信を可能とするものであり、米国の標準化団体IETF(Internet Engineering Task Force)によって標準化されている。
なお、以下、特に断らない限り、モバイルIPv4プロトコルをモバイルIPv4と略称する。
また、近年、IPネットワークに存在する端末の数が急増し、IPアドレス枯渇の問題が深刻化している。この問題を解決して、より多くのIPアドレスが使用できるように、IPv6プロトコル(Internet Protocol Version 6 protocol:例えばhttp://www.ietf.org/rfc/rfc2460.txtに掲載された内容。以下、公知文献2と称する。)が検討されている。このIPv6は、多くのIPアドレスを確保するために、階層化アドレスを用いており、これにより、効率的なネットワーク管理およびネットワーク負荷を軽減できるようになっている。従って、既存のネットワークは、IPv6ネットワークへの移行が本格化している。
階層化アドレスとは、128ビットのアドレスであって、前半の64ビットおよび後半の64ビットがそれぞれ、ネットワークプレフィクス(ネットワーク識別情報)およびホストID(Host Identifier)として割り当てられ、これらの2種類のアドレスが結合したアドレスである。具体的には、次の(W1)に示すように、8個の16進数4桁をコロンで接続して表示される。
1040:0A23:0C10:0800:C02D:00FC:E09A:76BB (W1)
ここで、ネットワークプレフィクスはネットワークを識別するためのID(又はネットワークアドレス)を表し、また、ホストIDはホストコンピュータ,端末,ルータ,ポート又はインターフェースを表す。そして、ネットワークプレフィクスは、「アドレス/ネットマスク長」と表示し、上記の(W1)は例えば、(W2)に示すようになる。
1040:0A23:0C10:0800:0000:0000:0000:0000/64 (W2)
ここで、先頭の「0」および連続する「0」はいずれも省略でき、かつコロンを介して0が連続する部分は「::」と表示できる。従って、上記の(W2)は、(W3)に示すようになる。
1040:A23:C10:800:0:0:0:0/64 (W3)
さらに、コロンが存在する部分を省略すると、(W4)に示すようになる。
1040:A23:C10:800::/64 (W4)
送信元のホストコンピュータは、送信先のホストコンピュータの完全なIPアドレスを知っている必要があり、ネットワークの中継ルータは、パケットのプレフィクスのみを見てパケットを転送する。
これにより、IPv6(以下、特に断らない限り、IPv6プロトコルを意味する。)は、3.4×1028個のIPアドレスを確保できる(なお、32ビットで表示すると、IPアドレス数は4.3×109個である。)。従って、携帯電話、カーナビゲーション又はインターネット家電などの用途のために多くのIPアドレスを付与することができる。
このため、通常のIPv4プロトコルをサポートするネットワークにおけるモバイルIPプロトコルに加えて、モバイルIPv6プロトコル(例えばhttp://www.ietf.org/internet.drafts/draft-itself-mobileIP-IPv6-15.txtに掲載された内容。以下、公知文献3と称する。)の標準化がIETFにおいて進められている。このモバイルIPv6は、IPv6ネットワークにおける端末の移動性をサポート可能なプロトコルであり、IETFによって、RFC(Request for Comments)として規格化するために審議されている。
モバイルIPv6がモバイルIPv4と異なる点は、モバイルIPv6は、IPアドレスを表すビット数が128ビットであり、ヘッダが簡素化され、また、拡張ヘッダおよびオプションが追加された点である。さらに、モバイルIPv6は、既存のモバイルIPv4と共存し、モバイルIPv4環境においても、モバイルIPv6を用いた通信を可能とするものである。これらのモバイルIPv4とモバイルIPv6とは、いずれも、同様の内容を有するので、以下の説明においては、モバイルIPv6を用いて説明する。
なお、ネットワークが、IPv4およびIPv6の両方をサポートしているときは、そのネットワークはモバイルIPv4およびモバイルIPv6の両方を用いることができる。また、モバイルIPv4とモバイルIPv6との相互変換についても、検討されている。
次に、モバイルIPv6は、IPv6プロトコルの有する機能に加えて、移動端末が移動しても継続して通信できるようにしたプロトコルである。IPv6ネットワークにおいて、モバイルノードMNがネットワーク内を移動すると、そのモバイルノードMNのIPアドレスが変更され、従って、送信者からのデータは変更される前のアドレスに到達する。このため、モバイルIPv6プロトコルは、以下に述べるモバイルノードMNの移動管理機能を有する。
モバイルIPv6において、モバイルノードMNは、モバイルノードMN自身が通常接続するホームネットワークにおいて端末の移動を管理するホームエージェントHA(Home Agent:以下、ホームエージェントHAと称する。)に対し、移動先で使用するアドレスを示す気付アドレス(Care-of Address:以下、CoAと称する。)を設定(又は変更)することにより登録する。また、気付アドレスの登録後にモバイルノードMNがさらに、移動した場合には、ホームエージェントHAに対して新たな気付アドレスを通知し、ホームエージェントHAに登録された気付アドレスを更新する。
このため、モバイルノードMNとホームエージェントHAとの距離が離れている場合には、この登録又は更新に要する時間が長くなる点が指摘されていた。この点を回避するため、IETFは、モバイルIPv6の機能を拡張するプロトコルとして、階層化モバイルIPv6プロトコルを提案している。なお、階層化モバイルIPv6プロトコル(例えばhttp://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-mobileip-hmIPv6-04.txtに掲載された内容。以下、公知文献4と称する。)。
さらに、モバイルIPv4についての同様の機能拡張は、例えば、http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-mobileip-3gwireless-ext-06.txtに掲載されている(このアドレスに掲載された内容を以下、公知文献5と称する。)。
なお、以下の説明において、特に断らない限り、階層化モバイルIPv6プロトコルおよび階層化モバイルIPv4プロトコルを、それぞれ、階層化モバイルIPv6および階層化モバイルIPv4と略称する。
階層化モバイルIPv6は、移動先ネットワーク内にて階層化エージェント(Mobility Anchor Point:以下、MAPと称する。)を導入し、同一MAPの配下(Subsidiary)におけるモバイルノードMNの局所的な移動をホームエージェントHAに対して隠蔽することにより、高速なルート切り替えおよびホームエージェントHAに対しての位置登録メッセージの削減を可能とするものである。
なお、上記の技術に関し数多くの提案がなされている。
特開2002-64544号公報(以下、公知文献6と称する。)に開示された分散型ルート設定方法は、大規模ネットワーク環境下でも、ネットワークリソースを効率的に利用できるIPモビリティ制御技術を提供し、さらに、従来のIPモビリティ制御技術では困難であった、高速ハンドオーバ(高速ハンドオフ)を可能とすることを目的とする。
モバイルIPv4において、通常、パケット(IPパケット又はIPデータグラムと称される。)は、モバイルノードMN(Mobile Node:モバイル端末),ホームエージェントHA,送信元ノードCN(Correspondent Node:相手ノードとも称される。)と、ホームエージェントHAを経由した経路とを用いて転送される。これに対して、公知文献6記載の発明は、ホームエージェントHAが、送信元ノードCNとより近いところにあるTA(Terminal Adapter)に対してモバイルノードMNの位置を教えることにより、ホームエージェントHAの負荷を軽減するとともに、転送経路を最適化(ホームエージェントHAを経由しないようにショートカット)するようになっている。
なお、前記公知文献6は、モバイルIP(Mobile IP)を使用することを前提にモバイルIPの改善すべき点を改善する技術が記載されているが、モバイルIPを用いたプロトコルが使用されていない。
一方、特許第2894443号公報(以下、公知文献7と称する。)に開示された移動パケットルーチングシステムは、ルータが介在する現実のネットワークにおいても、ATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)ホストの移動をサポートするとともに、ATM特有のQOS(Quality Of Service:ネットワークが提供するサービスの品質)の保証もアプリケーションから制御可能な移動パケットルーチングシステムを実現することを目的とし、また、ATM特有のQoSの保証を生かしたままで、ルータおよびホームエージェントをショートカットして冗長パスの発生を防ぎ、処理遅延を最小にできる移動パケットルーチングシステムを実現することを目的としている。そして、この公知文献7記載の技術は、モバイルIPv4をATM−LAN(Asynchronous Transfer Mode-Local Area Network)において動作させるために、ホームエージェントHAとATMアドレス解決サーバとを連携させるようになっている。
次に、図31〜図35を用いてモバイルIPv6について更に詳述する。
図31は階層化モバイルIPv6における位置登録動作を説明するための図である。この図31に示すモバイル通信システム500は、階層化モバイルIPv6をサポートしているものであって、インターネット50と、ネットワーク101,102および103とを有する。インターネット50は、通常のインターネットであってIPv6に対応している。また、ネットワーク101は、モバイルノードMNが通常接続するホームリンクであり、ネットワーク102,103は、インターネット50に接続されたものである。これらのネットワーク101〜103は、それぞれ、異なる通信キャリア(通信事業者)A〜Cによって、あるいは同一の通信キャリアによってサポートされているものであって、ルータ、モバイルノードMN、ホームエージェントHAをそなえて構成されている。
ここで、ルータ1はIPv6によりIPパケットを転送するものである。
モバイルノードMNは、通信キャリアAの加入者端末である。このモバイルノードMNは、階層化モバイルIPv6をサポートする(以下、階層化モバイルIPv6のモバイルノードMNと称する。)ものであり、通常時に接続するネットワーク101にて使用するホームアドレス(例えば、「100::10」)を有する。モバイルノードMNと他の端末との通信は、このホームアドレスを用いて行なわれる。そして、モバイルノードMNは、自分自身が属するホームネットワークとしてネットワーク101を決定するようになっている。換言すれば、モバイルノードMNのホームリンクは、ネットワーク101なのである。
また、ホームエージェントHAはこのホームネットワーク101を管理するものであって、モバイルIPv6をサポートしている。このホームエージェントHAは、ホームネットワーク101に接続され、モバイルノードMNがこのホームネットワーク101以外の他のエリアに移動すると、モバイルノードMNから送信される登録メッセージを受信して、バインディングキャッシュ(モバイルノードMNのホームアドレスおよびCoA[アドレス,ネットワークプレフィクスなど]を保持するメモリ。)を生成し、他人から送信されたモバイルノードMN宛てのパケットをモバイルノードMNの代わりに受信して、その受信したパケットをモバイルノードMNの移動先「CoA」へ転送するようになっている。なお、階層化モバイルIPv6の環境下においては、ホームエージェントHAは、特別な機能拡張を有しておらず、通常のモバイルIPv6におけるホームエージェントHAと同一である。
次に、ネットワーク102には、通常のIPv6のルータと、送信元ノードCNとをそなえて構成されている。この送信元ノードCNは、ネットワーク102に接続されている通常の端末(例えば通信キャリアBの加入者端末)であって、モバイルノードMNと通信しモバイルノードMNに対してパケットを送信するものである。
さらに、ネットワーク103は、階層化モバイルIPv6をサポートするネットワークであって、ルータ3〜9をそなえて構成されている。ここで、ルータ4は、階層化モバイルIPv6を用いてアドレスの階層化をするとともに、通常のルータ機能をも有する。このルータ4は、アクセスルータ(ルータ)6,7に接続する端末をサポートする。さらに、ルータ5(MAP2)は、階層化モバイルIPv6を用いてアドレスの階層化をするとともに、通常のルータ機能をも有する。このルータ5はアクセスルータ8およびアクセスルータ9に接続する端末をサポートする。なお、アクセスルータ6〜9は、通常のIPv6ルータであり、また、モバイルノードMNが無線接続するための無線アンテナ部(図示省略)がルータ本体と一体に構成されてもよく、あるいは、ルータ本体とは別に設けてもよい。
このような構成によって、モバイルノードMNがネットワーク101からネットワーク103に移動すると、モバイルノードMNはネットワーク103に設けられたパケット転送のためのルータ3と無線接続し、そして、ネットワーク103によって自動的に新しいIPアドレス(気付アドレス)を割り当てられる。モバイルノードMNは、この気付アドレスを、ネットワーク101のホームエージェントに対して通知する。この部分について、図31に付された(1)〜(10)を参照して詳細に説明する。なお、移動先のネットワーク、ルータなどは例示である。
(1)モバイルノードMNは、ネットワーク101から移動先のネットワーク103に移動し、アクセスルータ6の無線エリアに入る。
(2)モバイルノードMNは、アクセスルータ6が、例えば周期的又はモバイルノードMNからの要求の応答として送信するルータ広告メッセージ(ルータ広告)を受信する。このルータ広告メッセージは、モバイルノードMNの接続リンクにおけるネットワークプレフィクス(例えば、「311::/64」)と、ルータ4のアドレス(例えば、「310::1」)とを含む。このルータ4のアドレスは、階層化モバイルIPv6により新たに定義されたMAPオプションとして付与されている。なお、接続リンクとは、無線区間において生成された物理的な状態である。
(3)モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージの内容のうちの接続リンクのネットワークプレフィクスに基づいて、「LCoA1」(例えば、「311::10」)を生成する。このLCoAとは、階層化モバイルIPv6により定義されるオンリンク(On-link)CoAを意味する。
(4)モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージの内容のうちのルータ4のアドレスの上位64ビットに基づいて、「RCoA1」(例えば、「310::10」)を生成する。このRCoAとは、階層化モバイルIPv6により定義されるRegional Care-of Addressを意味する。
(5)モバイルノードMNは、ルータ4に対して位置登録メッセージ(Binding Update:BU)を送信し、モバイルノードMNが生成した「RCoA1」と「LCoA1」とを登録する。
(6)モバイルノードMNは、ネットワーク101のホームエージェントHAに対して位置登録メッセージBUを送信し、モバイルノードMNが生成した「RCoA1」とホームアドレスとを登録する。
(7)ルータ4は、前記(5)の位置登録メッセージBUを受信すると、位置登録メッセージBUの内容に基づいてバインディングキャッシュを生成する。このバインディングキャッシュは、「RCoA1」と「LCoA1」との対応関係を保持するメモリである。
(8)ホームエージェントHAは、前記(6)の位置登録メッセージBUを受信すると、位置登録メッセージBUの内容に基づいて、バインディングキャッシュを生成する。このバインディングキャッシュは、ホームアドレスと「RCoA1」との対応関係を保持している。
(9)ルータ4は、モバイルノードMNに対して登録応答メッセージ(Binding Acknowledgement:登録応答メッセージBA)を送信し、登録を受理したことを通知する。
(10)ホームエージェントHAは、モバイルノードMNに対して登録応答メッセージBAを送信し、登録を受理したことを通知する。
このように、モバイルノードMN以外の他者がモバイルノードMNに対して送信したデータは、ネットワーク101に到達する。ここで、ネットワーク101には、そのデータを受信すべき端末が存在していないので、ホームエージェントHAは、ネットワーク101に宛先の端末がないことを検索し、その端末がないときは、気付アドレスを有する端末に対してデータを転送する。これにより、モバイルノードMNの相手は、ネットワーク101に、宛先端末の存在の有無にかかわらず自動的に通信できる。
次に、図32を用いて図31の位置登録動作後のパケット転送動作を説明する。図32は階層化モバイルIPv6におけるパケット転送を説明するための図である。この図32に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。
(11)ネットワーク102の送信元ノードCN(例えば、アドレスは「200::20」)は、モバイルノードMN宛てのパケットを送信する。このパケットの宛先アドレスはモバイルノードMNのホームアドレスである。
(12)ネットワーク101のホームエージェントHAは、モバイルノードMNの代わりにモバイルノードMN宛てのパケットをインターセプトする。そして、このホームエージェントHAは、バインディングキャッシュに記録された情報に基づいて、インターセプトしたパケットの宛先アドレスを「RCoA1」とする新たなヘッダをデータに付与する(新たなヘッダを付与することをカプセル化(Encapsul)という)。
(13)ホームエージェントHAは、前記(12)にてカプセル化した後のパケットを転送する。
(14)ルータ4は、前記(13)にて転送されたパケットをインターセプトする。そして、バインディングキャッシュに記録された情報に基づいて、インターセプトしたパケットの宛先アドレスを「LCoA1」とするヘッダを付与し、データと付与したヘッダとをカプセル化する。
(15)ルータ4は、前記(14)にてカプセル化した後のパケットを転送する。このパケットはモバイルノードMNにて受信される。モバイルノードMNは、ルータ4およびホームエージェントHAが付与したカプセル化ヘッダをそれぞれ取り除き、(11)にてCNが送信したパケットを受信する。
次に、図33を用いて、図31に示す位置登録動作後の状態からのハンドオーバ動作を説明する。
図33は階層化モバイルIPv6におけるハンドオーバを説明するための図であり、MAPが変わらない場合のものである。この図33に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。
(21)モバイルノードMNは、移動先のネットワーク103において、アクセスルータ6の無線エリアからアクセスルータ7の無線エリアに移動する。ここで、モバイルノードMNは、アクセスルータ7からの無線信号レベルがアクセスルータ6からの無線信号レベルよりも高くなったことを検出すると、モバイルノードMNは接続先のルータをアクセスルータ7に切り替える。
(22)モバイルノードMNは、アクセスルータ7が周期的又はモバイルノードMNからの要求の応答として送信するルータ広告メッセージを受信する。このルータ広告メッセージは、モバイルノードMNの接続リンクにおけるネットワークプレフィクス(例えば、「312::/64」)と、ルータ4のアドレス(例えば、「310::1」)とを含む。このルータ4のアドレスは、階層化モバイルIPv6で新たに定義されたMAPオプションとして付与されており、図31に示す(2)で含まれていたものと同一である。
(23)モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージの内容のうち、接続リンクのネットワークプレフィクスに基づいて、LCoA2(例えば、「312::10」)を生成する。また、ルータ4のアドレスが図31に示す(2)の場合と同一であるので、アクセスルータ7がアクセスルータ6と同一ルータ4によってサポートされていることを認識する。
(24)モバイルノードMNは、ルータ4へ位置登録メッセージBUを送信し、図31の場合と同様に、「RCoA1」と新たに生成した「LCoA2」とを登録する。ここで、ホームエージェントHAに登録された「RCoA1」は変更する必要がなく、また、モバイルノードMNがアクセスルータ7に移動後においても、この「RCoA1」を用いるので、モバイルノードMNはホームエージェントHAに対して位置登録メッセージBUを送信しない。
(25)ルータ4は、前記(24)の位置登録メッセージBUを受信すると、位置登録メッセージBUの内容に基づいてバインディングキャッシュを更新する。このバインディングキャッシュに保持された、「RCoA1」と「LCoA2」との対応関係が更新される。
(26)ルータ4は、モバイルノードMNに対して登録応答メッセージBAを送信し、更新を受理したことを通知する。
そして、モバイルノードMNのハンドオーバ終了後は、パケットは図31に示す(11)〜(13)と同様に、ホームエージェントHAを経由してルータ4に転送される。ルータ4は転送されたパケットをインターセプトし、モバイルノードMNのハンドオーバ後の新しいアドレス「LCoA2」を有するルータに対してカプセル化し転送される。転送されたパケットはアクセスルータ7を通ってモバイルノードMNに到達する。
一方、図33のハンドオーバ後の状態から、さらに、モバイルノードMNがハンドオーバする場合の動作を図34により説明する。
図34は階層化モバイルIPv6におけるハンドオーバを説明するための図であり、MAPが変わる場合のものである。この図34に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。
(31)モバイルノードMNは、移動先のネットワーク103において、アクセスルータ7の無線エリアからアクセスルータ8の無線エリアに移動する。ここで、一例として、モバイルノードMNは、アクセスルータ8からの無線信号レベルがアクセスルータ7からの無線信号レベルよりも高くなったことなどを検出すると、モバイルノードMNは接続先のルータをアクセスルータ8に切り替える。
(32)モバイルノードMNは、アクセスルータ8が周期的又はモバイルノードMNからの要求の応答として送信するルータ広告メッセージを受信する。このルータ広告メッセージは、モバイルノードMNの接続リンクにおけるネットワークプレフィクス(例えば、「321::/64」)と、ルータ5のアドレス(例えば、「320::1」)とを含む。このルータ5のアドレスは、階層化モバイルIPv6で新たに定義されたMAPオプションとして付与されており、図31の(2)で含まれていたものとは異なる。
(33)モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージの内容のうち、接続リンクのネットワークプレフィクスに基づいて、「LCoA3」について、例えば、「321::10」を生成する。
(34)モバイルノードMNは、ルータ5のアドレスが図33の(22)の場合と異なるので、アクセスルータ8がルータ5(アクセスルータ7とは異なるルータ5)によってサポートされていることを認識する。そして、モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージの内容のうち、ルータ5のアドレスの上位64ビットに基づいて、「RCoA2」(例えば、「320::10」)を生成する。
(35)モバイルノードMNは、ルータ5に対して位置登録メッセージBUを送信し、モバイルノードMNが生成した「RCoA2」と「LCoA3」とを登録する。
(36)モバイルノードMNは、ホームエージェントHAに登録した「RCoA1」を「RCoA2」に変更する必要が生じたため、ホームエージェントHAに対して位置登録メッセージBUを送信し、モバイルノードMNが生成した「RCoA2」とホームアドレスとを登録する。
(37)ルータ5は、前記(35)の位置登録メッセージBUを受信すると、位置登録メッセージBUの内容に基づいてバインディングキャッシュを生成する。これにより、バインディングキャッシュは「RCoA2」と「LCoA3」との対応関係が保持される。
(38)ホームエージェントHAは、前記(36)の位置登録メッセージBUを受信すると、位置登録メッセージBUの内容に基づいてバインディングキャッシュを更新する。更新後のバインディングキャッシュは、ホームアドレスと「RCoA2」との対応関係が保持される。
(39)ルータ5は、登録応答メッセージBAを送信し、登録を受理したことを通知する。
(40)ホームエージェントHAは、登録応答メッセージBAを送信し、更新を受理したことを通知する。
そして、モバイルノードMNのハンドオーバ終了後は、パケットは図33と同様にホームエージェントHAにてインターセプトされる。ホームエージェントHAはインターセプトしたパケットを、モバイルノードMNのハンドオーバ後の新しいアドレス「RCoA2」宛てにカプセル化し転送される。転送されたパケットはルータ5によって再度インターセプトされ、モバイルノードMNのハンドオーバ後の新しいアドレス「LCoA3」宛てにカプセル化し転送され、アクセスルータ8を通ってモバイルノードMNに到達する。
これらの図31〜図34に示す動作により、階層化モバイルIPv6はモバイルノードMNの接続先ルータが変更された場合においても、使用するMAPが同一である場合は、ホームエージェントHAに登録されたバインディングキャッシュを更新する必要がなく、MAPに登録されたバインディングキャッシュのみ更新すればよい。通常、MAPは移動先ネットワークに設置されるため、モバイルノードMNとの距離が近い。従って、MAPにおけるバインディングキャッシュの更新は、ホームエージェントHAのそれよりも短時間で終了する。
このように、階層化モバイルIPv6は、ホームエージェントHAに対して送信される位置登録メッセージBUメッセージ量の削減およびパケット転送ルートの高速な切り替えが可能である。
しかしながら、階層化モバイルIPv6が用いられる場合に、ネットワークのリソース(資源)が、きわめて非効率的に消費される状況が発生する。これについて図35を用いて説明する。
図35は階層化モバイルIPv6における非効率性を説明するための図である。図35に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。この図35に示すモバイル通信システム500は、図31に示すネットワークと同様に、ネットワーク103が階層化モバイルIPv6をサポートしている。ここで、n台(nは2以上の自然数を表す。)のモバイルノードMNがアクセスルータ6の無線エリアに移動すると、各モバイルノードMNは、ルータ4に対して位置登録メッセージBUを送信し、ルータ4は、n台全てのモバイルノードMNについてのバインディングキャッシュを生成する。また、各モバイルノードMN宛てのパケットは、各モバイルノードMNが登録したホームエージェントHA(図示省略)によりインターセプトされ、カプセル化されてRCoAに対して転送される。各モバイルノードMNのRCoAはルータ4のアドレスを元にして生成されているため、各ホームエージェントHAから転送されたパケットは、全てルータ4に到達し、ルータ4にてインターセプトされた後に、各モバイルノードMNのLCoA(アクセスルータ6配下でのアドレス)宛てに再度カプセル化され、アクセスルータ6を通じてモバイルノードMNに転送される。
ここで、ユーザがモバイルノードMNを使用して通信サービスを利用することを考慮すると、図35に示すネットワークは、以下の(Y1)および(Y2)に示すような特性を有する。
(Y1)通信サービスのうちの継続性,双方向性,リアルタイム性を有しかつ高速なハンドオーバが必要とされるものは、音声通話,テレビ電話などに限られ、一無線リンクを占める保留時間は短い(約3〜5分程度)。
(Y2)前記(Y1)のような高速ハンドオーバが要求されるような通信サービスを、車両,電車などで移動しながら利用するユーザは少ない。
これらの(Y1)および(Y2)から、ユーザが、特定エリアにおいて通信サービスの利用を開始し、その通信が終了するまでに、モバイルノードMNのハンドオーバが一度も発生しないケースが多い。つまり、図35におけるn台のモバイルノードMNのうち、通信中にアクセスルータ6からアクセスルータ7に対するハンドオーバするモバイルノードMNの数は少ないのである。
極端な場合、n台のうち1台だけが通信中にハンドオーバを行なう一方、残りのn−1台は全てアクセスルータ6のエリアにて通信を開始しアクセスルータ7へ移動することなく通信を終了する場合もある。この場合、ルータ4はn台全てのモバイルノードMNについて登録メッセージを受信してバインディングキャッシュを生成し、各モバイルノードMN宛てのパケットをカプセル化する処理を行なうにも関わらず、実際にハンドオーバが発生してこの恩恵を受ける端末は、1台のモバイルノードMNのみとなる。そして、ハンドオーバが発生しなかった残りのn−1台のモバイルノードMNについては、登録メッセージ,ルータ4でのバインディングキャッシュやカプセル化処理は全て無駄になる。
言い換えると、残りのn−1台のモバイルノードMNは、階層化モバイルIPv6を使用したことにより、通常のモバイルIPv6を使用する場合よりもかえって余分なネットワークリソース(ネットワーク資源)を浪費するという課題がある。
さらに、例えばルータ4が保持できるバインディングキャッシュの数、すなわち、サポート可能なモバイルノードMNの数がnである場合、実際には1台のモバイルノードMNについてのリソースしか有効に使われていないのにも関わらず、n+1台目のモバイルノードMNがアクセスルータ6(又はアクセスルータ7)のエリアに移動してきた場合に、ルータ4はそのモバイルノードMNについてのリソースを確保できない。このため、そのモバイルノードMNは登録を拒否され、アクセスルータ6(又はアクセスルータ7)のエリアにおいて通信サービスの利用を開始できないという課題が生じる。
従って、ネットワークリソースの浪費を防止し、かつ、ハンドオーバ先のエリアにおいてモバイルノードMNがサービスを利用できない状況の発生を回避し、これにより、多くのモバイルノードMNをサポート可能にすることが要求されている。
また、従来、実際には使用効率が非常に低いにも関わらず、処理性能が高いMAPをネットワークに数多く設置する必要があり、加えて、事業者は、ネットワークの運営,サポートおよび維持するために設備コストが増大していた。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、モバイルノードMNが高速に移動したときに追従するとともに、既存のネットワーク構成の変更を伴わずに、ネットワークリソースの使用効率を向上させ、かつパケットロスの少ないデータ送受信効率を改善できるようにすることを目的とする。
このため、本発明に関連する技術のルーティング方法は、ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおける前記ルータのルーティング方法であって、該モバイルノードの第1の仮アドレスをキャッシュテーブルに保持し、該複数のアクセスルータを有するネットワークにおいて移動した該モバイルノードからの第1パケットと送信元ノードからの第2パケットとを受信し、受信した第1パケットが、該モバイルノードの第1の仮アドレスから第2の仮アドレスへの変更登録要求を含む場合は該キャッシュテーブルに保持している該第1の仮アドレスを該第2の仮アドレスに変更し、受信した第2パケットを転送すべき次ホップノードのアドレスと、該第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報とを対応付けたルーティング情報に基づいて、前記変更した該第2の仮アドレス宛に該第2パケットを送信することを特徴としている。
また、本発明のモバイルノードの通信方法は、ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおける前記モバイルノードの通信方法であって、該モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子をルータ識別子保持部に保持し、受信したパケットに含まれるネットワーク識別情報と該ルータ識別子保持部に保持している該アクセスルータの識別子とに基づいて、通信相手側が該第1のアクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出し、前記変更を検出すると、該モバイルノード自身の第1の気付アドレスが保持されている部分に対して、該モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信することを特徴としている。
さらに、本発明のモバイルノードは、ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおける前記モバイルノードであって、該モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子を保持するルータ識別子保持部と、受信したパケットに含まれるネットワーク識別情報と該ルータ識別子保持部に保持している該アクセスルータの識別子とに基づいて、通信相手側が該第1のアクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出する検出部と、前記検出部により前記変更を検出すると、該モバイルノード自身の第1の気付アドレスが保持されている部分に対して、該モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信する送信処理部と、をそなえたことを特徴としている。
上記本発明によれば、以下のような効果ないし利点が得られる。
(1)ルータは、モバイルノードの第1の仮アドレスをキャッシュテーブルに保持し、複数のアクセスルータを有するネットワークにおいて移動したモバイルノードからの第1パケットと送信元ノードからの第2パケットとを受信し、受信した第1パケットが、モバイルノードの第1の仮アドレスから第2の仮アドレスへの変更登録要求を含む場合はキャッシュテーブルに保持している第1の仮アドレスを第2の仮アドレスに変更し、受信した第2パケットを転送すべき次ホップノードのアドレスと、第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報とを対応付けたルーティング情報に基づいて、前記変更した第2の仮アドレス宛に第2パケットを送信するので、事業者は、ネットワークの運営,サポートおよび維持するために設備コストを低減できる。
(2)また、モバイルノードは、モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子をルータ識別子保持部に保持し、パケットを受信し、受信したパケットに含まれるネットワーク識別情報とルータ識別子保持部に保持しているアクセスルータの識別子とに基づいて、通信相手側が第1のアクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出し、前記変更を検出すると、モバイルノード自身の第1の気付アドレスが保持されている部分に対して、モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信するので、モバイルノードが実際に移動が発生したときにのみ、第1の仮アドレスを用いた場合における品質と同等な効果を出せる。
(A)本発明の第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態に係るモバイル通信システムの構成図である。この図1に示すモバイル通信システム200は、モバイルIPv4およびモバイルIPv6を用いてIPパケットを転送可能なネットワークであって、ネットワーク(ホームネットワーク又はホームリンクとも称する。)11,ネットワーク12,13とインターネット50とをそなえて構成されている。
ここで、ネットワーク11,ネットワーク12およびネットワーク13は、それぞれ、異なる通信キャリアA〜Cによって、あるいは同一の通信キャリアによってサポートされているものであって、パケットを相互に送受信できるようになっている。また、インターネット50は、IPパケットを送受信でき、IPv6に対応している。
(1)モバイル通信システム200に属する各ノードの説明
(1−1)モバイルノードMN
モバイルノードMNの一例は、通信キャリアAに加入している携帯電話又は携帯端末である。モバイルノードMNは、ネットワーク11によってホームアドレス(固定アドレス)を付与されており、そして、ネットワーク13に移動すると、ネットワーク13によって仮の気付アドレスを付与され、以後、この気付アドレスを用いて、ネットワーク12にいる送信元ノードCN(送信元モバイルノード又は送信元モバイル端末)と通信するようになっている。
モバイルノードMNが有する機能は、音声又はデータの送受信機能と、ハンドオーバが発生したときに新規CoAを作成しその直後にハンドオーバの発生直前の旧CoAを保持する機能と、モバイル通信システム200に対して旧CoA宛てのパケットを新CoAに転送することを要求する登録要求メッセージ(変更登録要求メッセージ)の送信機能とである。このモバイルノードMNは、ハンドオーバが発生しない間は、登録要求メッセージの送信およびハンドオーバのためのキャッシュなどのリソースを確保しない。
なお、モバイルノードMNは、階層化モバイルIPv6プロトコルおよびモバイルIPv6プロトコルをサポートできる機能は必ずしも必要ではない。このモバイルノードMNの機能については、後述する第2実施形態(図26〜図29参照)にて説明するDNS(Domain Name System)を使用する場合においても同様である。また、モバイルノードMNの構成の詳細は後述する。
(1−2)ルータ(分岐ルータ)4,5の機能
(1−2−1)通常の転送機能
分岐ルータ4,5は、それぞれ、通常のパケット転送処理をするとともに、本発明に係る分岐処理(パケットの振り分け処理)をするものである。
分岐ルータ4は、アップリンクのルータ3から受信したパケットを、ダウンリンクのルータ(アクセスルータ)6又はルータ(アクセスルータ)7のいずれかに対して振り分け可能となっている。
ここで、アップリンクとは、上流側を意味し、インターネット50により近い側の次ルータ(図1においてはルータ3が相当する。)への接続リンク(1又は複数の物理的な無線リンクを意味する。)を意味する。
また、ダウンリンクとは、下流側を意味し、モバイルノードMNにより近い側の次ルータヘの接続リンクを意味する。すなわち、ダウンリンクは、モバイルノードMNにより近い方向に設けられた次ルータヘの転送リンクを表す。
さらに、分岐ルータ5もルータ3からのパケットをルータ(アクセスルータ)8又はルータ(アクセスルータ)9のいずれかに対して振り分けるのである。
これらの分岐ルータ4,5は、いずれも、キャッシュ生成機能と、分岐ルータ4,5が自ら生成したキャッシュに基づいて受信パケットの新CoAへの転送機能とを有する。これらの分岐ルータ4,5は、ほぼ同一なので、分岐ルータ4について説明し、分岐ルータ5については重複した説明を省略する。
(1−2−2)キャッシュ生成機能
分岐ルータ4は、モバイルノードMNからの登録要求メッセージを検出し、その登録要求メッセージがインターセプトするための条件(以下、インターセプト条件)に合致する場合は、その登録要求メッセージをインターセプトし、メッセージの内容を解析して、旧CoA宛てパケットを新CoAに対して転送するためのキャッシュを生成する。ここで、インターセプト条件に合致しない場合はメッセージをインターセプトしないで、メッセージの宛先(旧CoAを表す。)に対して通常のルーティングにより転送する。
分岐ルータ4は、登録要求メッセージをインターセプトするための条件として2種類を設けられている。第1の条件は、モバイルノードMNの登録要求メッセージの宛先に対する出力インターフェースがダウンリンク方向であることである。第2の条件は、分岐ルータ4が生成可能なキャッシュの数に制限が存在する場合は、生成中のキャッシュの数が最大値に達しておらず、かつリソースがキャッシュできる余裕を残すことである。
(1−2−3)受信したパケットの新CoAへの転送機能
モバイル通信システム200において、メッセージ識別子は、モバイルIPv6にて用いられるメッセージに加えて、登録要求メッセージ,登録更新および登録応答の各メッセージを有する。
生成されたキャッシュが存在する間に分岐ルータ4がモバイルノードMNの旧CoA宛てパケットを受信すると、その生成したキャッシュに基づいて、その受信パケットを新CoAに対して転送する。
従って、本発明のモバイル通信方法は、まず、モバイルノードMNが、ネットワークプレフィクスの変化に基づいて、モバイルノードMN自身の移動前の気付アドレスをアクセスルータ6と異なる他のアクセスルータ7にするようにアクセスルータ6〜9のうちの例えばアクセスルータ7に登録要求メッセージ(変更登録要求)を送信する。
そして、分岐ルータ4が、予め登録した移動前の気付アドレスと登録要求メッセージに含まれる移動後の気付アドレスとをバインディングして保持するキャッシュを生成する。
さらに、分岐ルータ4が、送信元ノードCNから送信された移動前の気付アドレス宛のパケットを代理受信しそのパケットを移動後の気付アドレス宛に転送するのである。
従って、アクセスルータ6に接続された複数のモバイルノードMNのうちの実際に移動が生じたものに対してのみ、ハンドオーバのためのネットワークリソースが動的に確保されてハンドオーバが行なわれる。
これにより、モバイルノードMNが高速に移動したときに追従するとともに、既存のネットワーク構成の変更を伴わずに、ネットワークリソースの使用効率を向上させ、かつパケットロスの少ないデータ送受信効率を改善できる。
なお、分岐する機能を有するルータ(例えば分岐ルータ4,5)を設置するためのモバイル通信システム200におけるノードの位置は、モバイルノードMNが移動するときに、移動前CoAから移動後CoAに至るモバイル通信システム200におけるパケット転送パスにおいて、少なくとも1台以上設けられていればよい。これらの分岐機能を有するルータは、アクセスルータ6〜9のアップリンク側に設けられたルータ4,5により実施されることができる。あるいは、図30を用いて後述するように、アクセスルータ6〜9自身が分岐機能を有するルータとして機能するようにもできる。
なお、分岐ルータ4,5は、階層化モバイルIPv6のMAP機能を有していない。
(2)ネットワーク11
ネットワーク11は、モバイルノードMNのホームリンク(ホームネットワーク)であって、ルータ1,モバイルノードMN(モバイル端末),ホームエージェントHAをそなえるとともに、モバイルノードMNおよびホームエージェントHA間を接続する態様の一例として、無線基地局(Base Station:以下、(BSと表記する。)をそなえて構成されている。
図1において、ネットワーク11とネットワーク13とが、それぞれ、異なる通信キャリアA,Bによって運営されている場合には、モバイルノードMNは、ネットワーク11からネットワーク13に訪問することとなる。
一方、ネットワーク11,13がいずれも同一の通信キャリアAによって、運営されている場合には、モバイルノードMNは、自分自身が加入契約するネットワークに接続することになる。一例として、通信キャリアAが、ネットワーク11,13を運営し、また、ホームエージェントHAを設置しているネットワーク11の部分と、実際モバイルノードMNが接続されるネットワーク13の部分とがインターネット50を用いて接続されて、モバイル通信システム200が構築されている。この場合、モバイルノードMNは、ホームリンクであるネットワーク11に接続することはなく、常時、ホームリンクの外部に移動中と認識される。
ここで、ネットワーク11はモバイルノードMNと無線接続されており、この形態は第1実施形態および後述する第2実施形態において同様である。なお、無線接続は一例であり、有線接続することもできる。また、ルータ1はモバイルIPを意識せず、また、ホームエージェントHAは階層化アドレスではなく、モバイルIPv6および/又はモバイルIPv4をサポートしている。
なお、モバイルIPの定義によると、ホームエージェントHAが存在し、モバイルノードMNのホームアドレスと同一のプレフィクスを有するリンクを「ホームリンク」と呼び、また、その他のリンクを「外部(Foreign)リンク」と呼んでいる。図1において、ネットワーク11に複数のリンクが存在し、モバイルノードMNがホームリンクからネットワーク11内部の他のリンクに移動した場合には、そのモバイルノードMNが移動した先のリンクは、「外部リンク」と称される。
(2−1)ルータ1
ルータ1はIPv6によりパケットを転送するものであり、受信したパケットの宛先に応じて、ルータ1自身が有するルーティングテーブルを参照してそのパケットを転送する。
(2−2)無線基地局BS
無線基地局BSは、モバイルノードMNからの無線信号を受信して復号して、その無線信号に含まれるパケットを抽出しそのパケットのヘッダにある宛先に対してパケットを送信するとともに、インターネット50を介して受信したパケットのヘッダにある宛先がモバイルノードMN宛ての場合にはそのパケットを無線信号に変換して送信する。なお、この無線方式は、既存の変復調方式およびアクセス方式を用いることができる。
なお、モバイルノードMNとアクセスルータ6〜9との間は、必ずしも、無線基地局BSを介して無線接続されるものではない。例えば、ネットワーク11にホームエージェントHAが存在しているが、モバイルノードMNは全くホームリンクに戻らずに外部に行っている場合は、この無線基地局BSは無くても構わない。
(2−3)モバイルノードMN
ホームアドレスは、モバイルノードMNの現在位置を示すものではないので、他のネットワーク13の送信元ノードCNが、このモバイルノードMNの現在位置を知らないときは、直接には、モバイルノードMNに対してパケットを送信できない。これを回避するため、ネットワーク11に設けられたホームエージェントHAは、モバイルノードMNのホームアドレス「100::10」と気付アドレス(例えば「CoA1」)との対応(結合)関係を管理している。
モバイルノードMNは、ネットワークプリフィックス(ネットワーク識別情報)を保持する。また、モバイルノードMNは、移動により不変のホームアドレスを付与されている。モバイルノードMNと他のノード又は端末との通信は、ホームアドレスが用いられる。このホームアドレスとは、固定されたパソコンなどのコンピュータが接続されたIPプロトコルにおけるIPアドレスに相当し、いわば、本籍又は本拠地に相当するアドレスである。モバイルノードMNは、ネットワーク11にて使用するホームアドレスとして、例えば「100::10」を付与されている。
図2は本発明の第1実施形態に係るモバイルノードMNのブロック図である。この図2に示すモバイルノードMNは、無線送受信部41,受信処理部(第2受信部)40a,パケット識別部40b,デカプセル化処理部40c,アプリケーションプログラム通信部40d,アプリケーション状態監視部40e,位置登録処理部40f,送信処理部(第2送信部)40hをそなえて構成されている。
無線送受信部41は、無線信号を送受信するものであり、受信無線信号を復調してパケットを抽出しそのパケットを受信処理部40aに出力するとともに、送信処理部40hから入力されたパケットを変調して無線信号を送信するようになっている。
受信処理部40aは、ネットワーク13において移動したモバイルノードMNからのパケット(第1パケット)と、送信元ノードCNからのパケット(第2パケット)とを受信するものであり、例えば無線送受信部41からのデータの誤り訂正してパケットを出力する。
パケット識別部40bは、受信処理部40aから入力されたパケットに含まれる複数種類のメッセージを抽出してパケット種別を検出し、そのパケットがデータパケットであるときはそのパケットをデカプセル化処理部40cに出力するとともに、そのパケットがルータ広告メッセージ又は位置登録応答メッセージ(以下、登録応答メッセージと略する。)であるときはそのメッセージに含まれる情報を位置登録処理部40fに入力するものである。
ここで、ルータ広告メッセージとは、アクセスルータ6〜9(図1参照)の属するネットワークプレフィクスを含む報知メッセージである。各アクセスルータ6〜9が報知メッセージを送信し続けており、モバイルノードMNが、その報知メッセージを受信して、モバイルノードMN自身が現在、通話相手のネットワークプレフィクスを得る。これは、モバイルノードMNが使用するIPアドレスは、無線基地局BSを識別するようにはなっていないからである。
また、各アクセスルータ6〜9は、このルータ広告メッセージをモバイルノードMNからの要求があったときにのみ送信するようにもできる。さらに、ルータ広告メッセージは、モバイルノードMNの通信が発生していないこともあるので、モバイルノードMNの位置している場所を意味する。
そして、登録応答メッセージとは、後述するバインディングキャッシュを生成した分岐ルータがモバイルノードMNに対してキャッシュを生成した旨を通知するものである。
また、位置登録処理部40fは、主に3種類の機能を有する。すなわち、位置登録処理部40fは、モバイルノードMNが自分自身の現在位置又は現在エリアを知る機能と、モバイルノードMNが現在位置又は現在エリアに属するアクセスルータ6〜9に対して登録要求メッセージを送信する機能と、登録要求メッセージに対する登録応答メッセージを受信する機能とを有する。これらの各機能を実現するために、位置登録処理部40fは、ルータ識別子保持部42bと移動検出部(検出部)42aとをそなえて構成されている。
ここで、ルータ識別子保持部42bは、モバイルノードMN自身と通信しているアクセスルータ6〜9の例えばIPv6アドレスを保持するものであり、位置登録処理部40fがルータ広告メッセージに基づいてアクセスルータ6〜9のうちのモバイルノードMNと通信しているアクセスルータ6〜9に関する情報を保持するものである。そして、モバイルノードMNが登録要求メッセージを送信するときに、送信処理部40hがその送信先のアクセスルータ6〜9に関する情報を読み出して登録要求メッセージに挿入するようになっている。さらに、ルータ識別子保持部42bは、登録応答メッセージを受信したときにその登録応答メッセージに含まれる情報を、その保持した情報と比較して、登録されたアクセスルータ6〜9が特定されたことを確認する。
また、移動検出部42aは、受信処理部40aにて受信されたパケット(ルータ広告メッセージ)に含まれるネットワークプレフィクスとルータ識別子保持部42bに保持されたアクセスルータ6〜9のIPv6アドレスとに基づいて、通信相手側がアクセスルータ6〜9から他のアクセスルータ6〜9に変更したことを検出するものである。
ここで、モバイルノードMNが登録要求メッセージを送信するタイミングは、モバイルノードMNの移動が生じ、かつその時点において他のモバイルノードMN又はサーバなどとの通信が発生しているときである。
モバイルノードMNが登録要求をするパターンについて、本発明の通信方法によれば、実際にハンドオーバが発生したMNのみがその時点にて分岐ルータにてキャッシュを作成するので、階層化モバイルIPv6に比べて効率が向上する。
すなわち、モバイルノードMNが移動を生じた場合、更にその時点で他のモバイルノードやサーバ等との通信が発生していた場合にのみ、登録要求メッセージを送信するのである。ここで、通信が発生していた場合とは、例えば具体的には起動中の通信アプリケーションの有無や、TCPセッションの有無などでわかる。図2では、アプリケーション状態監視部40eでこの監視を行なうことも想定している。
この動的なキャッシュ作成のための変更登録要求の実施については、以下の(Z1),(Z2)の2種類のパターンがある。
(Z1)ハンドオーバが発生した場合、必ず登録要件を行なう。
(Z2)ハンドオーバが発生し、かつ実際に通信を実行中の場合だけ登録要件を行なう。
これにより、パターンZ2は、パターンZ1よりもさらに効率がよくなる。
デカプセル化処理部40cは、パケット識別部40bから入力されたカプセル化パケットのヘッダを取り除き受信データをアプリケーションプログラム通信部40dに対して出力するものである。
アプリケーションプログラム通信部40dは、音声通信又はデータ通信をするものである。アプリケーション状態監視部40eは、現在通信中で動作しているアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションと略称する。)を制御又は管理するものであって、例えばモバイルノードMNが現在使用している物理的又は論理的な接続状態などを制御又は管理するものである。
送信処理部40hは、移動検出部42aが変更を検出すると、モバイルノードMN自身の以前の気付アドレスが保持されている部分に対して、モバイルノードMNの移動前の気付アドレスを移動後の気付アドレスに変更するよう登録要求メッセージを送信するものである。
また、アプリケーションプログラム通信部40dの通信相手は送信元ノードCNであり、位置登録メッセージの宛先は前のCoAである。
これにより、アプリケーションプログラム通信部40dから入力されたデータと、位置登録処理部40fから入力される位置登録要求メッセージデータとは、それぞれ、別個のパケットにより生成され、それらのパケットが無線送受信部41に出力される。この送信処理部40hの宛先アドレスについて更に詳述する。
送信処理部40hは、位置登録要求メッセージを、分岐ルータ4,5が決定していない場合はモバイルノードMNの移動前の気付アドレス宛てに送信するとともに、分岐ルータ4が決定している場合は分岐ルータ4宛てに送信する。従って、モバイル通信システム200は、モバイルノードMNの移動場所にかかわらず、通信サービスを提供できる。
また、送信処理部40hは、位置登録要求メッセージのヘッダをIPv6ホップバイホップオプションヘッダ又はIPv6宛先オプションヘッダを用いて送信し、また、登録応答メッセージを受信する。
これにより、パケットロスを少なくでき、確実な通信が可能となる。また、既存のパケットフォーマットの変更を要せずに、リソース確保のための処理が可能となる。
図4は本発明の第1実施形態に係るモバイルノードMNの処理を説明するためのフローチャートである。モバイルノードMNはパケットを受信すると(ステップP1)、そのパケットを識別し(ステップP2)、登録応答メッセージであるか否かを検査する(ステップP3)。ここで、そのパケットが登録応答メッセージである場合、Yesルートを通り、モバイルノードMNは応答元ルータのアドレスを記憶して(ステップP8)、処理が終了する。一方、ステップP3において、受信パケットが登録応答メッセージでない場合には、Noルートを通る。さらに、ステップP4において、受信パケットがルータ広告メッセージであるときは、Yesルートを通り、モバイルノードMNは自分自身が移動したか否かを検査する(ステップP9)。このステップP9において、移動なしと判断されると、Noルートを通り、処理は終了する一方、ステップP9において、移動有りと判断されると、Yesルートを通り、新規にCoAが作成され(ステップP10)、また、ステップP11において、通信中状態のアプリケーションプログラムの有無を検査されて、そのようなアプリケーションがあるときはYesルートを通り、旧CoAを保持し位置登録要求メッセージを送信する(ステップP12)。また、ステップP11において、アプリケーションがないときはNoルートを通り、処理が終了する。
一方、ステップP4において、受信パケットがルータ広告メッセージでないときは、Noルートを通り、カプセル化パケットであるか否かが検査される(ステップP5)。この検査によりカプセル化パケットでないときは、アプリケーションプログラム通信部40d(図4ではアプリケーションと表示されている。)に対してデータが渡され(ステップP7)、処理が終了する。また、ステップP5において、カプセル化パケットであるときはYesルートを通り、デカプセル化処理が行なわれてから(ステップP6)、処理が終了する。
この処理に続いて、本発明のモバイル通信方法が行なわれる。図16に示すネットワーク11にいたモバイルノードMNが、ネットワーク13に移動する。モバイルノードMNは、受信レベルの変化によって、物理的な無線接続リンクが変化したことを知る。
そして、ネットワーク13に移動したモバイルノードMNが、ネットワーク13においてモバイルノードMN自身と通信しているアクセスルータ6と異なる第2のアクセスルータ7〜9に対して、モバイルノードMNの移動前の気付アドレスを移動後の気付アドレスに変更するよう登録要求メッセージを送信する。
なお、登録要求メッセージの送信先は、一例としてアクセスルータ7が表示されているが、この登録要求メッセージは、アクセスルータ8,9に対して送信することもできる。
次に、分岐ルータ4が、アクセスルータ6およびアクセスルータ6〜9の接続位置に基づいて決定される。具体的には、分岐ルータ4は、アクセスルータ6〜9のアップリンクに設けられた通信ノードであってアクセスルータ6〜9および他のアクセスルータ6〜9の両方をダウンリンクに有するもの(分岐通信ノード)が決定されるのである。
そして、分岐ルータ4が、移動前の気付アドレスと登録要求メッセージに含まれる移動後の気付アドレスとの対応関係を保持するキャッシュを生成し、分岐ルータ4が、送信元ノードCNから送信された移動前の気付アドレス宛のパケットを、キャッシュに基づいて、移動後の気付アドレス宛に転送するのである。
従って、例えば分岐ノード4に着目すると、従来のノード4(図31〜図35参照)は、階層化モバイルIPv6を用いてアドレスの階層化をする処理が必要である。さらに、従来のノード4は、アクセスルータ6,7の無線ゾーンに在圏する多くのモバイルノードMNについてアドレスを階層化していたので、処理負担が大きかった。
本モバイル通信方法によれば、実際にアクセスルータ6からアクセスルータ7にハンドオーバしたモバイルノードMNだけについて、分岐ノード4は処理するので、処理負担が大幅に減少する。
さらに、実際にアクセスルータ6からアクセスルータ7にハンドオーバしたモバイルノードMNだけについて、分岐ノード4は処理するので、処理負担が大幅に減少する。さらに、モバイルノードMNが通信実行中のアプリケーションがあるときに、ハンドオーバをした場合のみ登録すれば更に効率が上昇する。
このように、本発明のモバイル通信方法によれば、処理負担が減少するので、リソースを効率的に使用できる。
(2−4)ホームエージェントHA(図1参照)
ホームエージェントHAは、モバイルノードMNに対して送信元ノードCNから送信されたパケットを代理受信しモバイルノードMNの移動先を示す気付アドレス(仮アドレス)宛に転送するものであり、ホームエージェントHAはホームアドレスとして、100::1を有する。
さらに、ホームエージェントHAは、パケット転送機能のほかに、ネットワーク11に属するノード又は端末の位置を管理する機能をも有する。このため、ホームエージェントHAは、モバイルノードMNがネットワーク11以外の例えばネットワーク13又はエリアに移動すると、モバイルノードMNは、この移動先のネットワーク13から位置登録に関するメッセージをホームエージェントHAに対して送信するようになっている。
(3)ネットワーク12(図1参照)
ネットワーク12は、インターネット50に接続されたものであって、ルータ2,送信元ノードCN(送信元端末,相手ノード又は相手端末とも称する。)をそなえて構成されている。このルータ2は、IPv6によりパケットを転送するものであり、受信したパケットの宛先に応じて、予め用意されたルーティングテーブルを参照して、そのパケットを転送する。
また、送信元ノードCNは、電話音声などネットワーク12に接続されている通常の端末(例えば通信キャリアBの加入者端末)であって、モバイルノードMNと通信しモバイルノードMNに対してパケットを送信するものである。
(4)ネットワーク13
ネットワーク13は、インターネット50を介してネットワーク11およびネットワーク12と通信できるものであって、ルータ3と、分岐ルータ(分岐通信ノード)4,5と、ルータ(アクセスルータ又はアクセス通信ノード)6〜9とをそなえて構成されている。これらのルータ3〜9はいずれも通信ノードとして機能している。
(4−1)アクセスルータ6〜9
アクセスルータ6〜9は、いずれも移動したモバイルノードMNと通信可能なものである。第1実施形態および第2実施形態において、アクセスルータ6〜9とモバイルノードMNとの間は、無線接続されるようになっており、図示を省略するが、無線基地局が接続されている。この無線基地局は、無線信号を送受信するためのアンテナ,無線信号の送受信およびデータ変復調の各機能を有する。この無線方式は、既存の変復調方式およびアクセス方式を用いることができる。
(4−2)ルータ3
ルータ3は、IPv6によりパケットを転送するものであり、受信したパケットの宛先に応じて、予め用意されたルーティングテーブルを参照して、そのパケットを転送する。ルータ3は、また、インターネット50とネットワーク13とのゲートウェイ機能を付加するようにもできる。
(4−3)分岐ルータ4,5の機能
分岐ルータ4,5は、いずれも、アクセスルータ6〜9(他のアクセスルータ6〜9)のアップリンクに設けられたルータであってアクセスルータ6〜9の両方をダウンリンクに有する。このダウンリンクに関する情報(ダウンリンク情報)は、モバイル通信システム200の構成に基づいて、ネットワーク管理者などによって設定されるが、自動的にルーティング情報を交換することによって設定するように構成してもよい。
分岐ルータ4は、アクセスルータ6,7に接続されて通信するモバイルノードをサポートするものである(なお、サポートすることを配下と表現することがある。)。また、分岐ルータ5は、アクセスルータ8,9を配下に有するものであって、ともに、通常のルーティング機能をも有し、受信パケットのヘッダに含まれる宛先に応じてそのパケットを転送する。
さらに、分岐ルータ4は、パケットを入出力する方路に相当するインターフェースポート(出力インターフェース:IFと表記されたもの。)41,42および43を有し、これらの出力IF41〜43において入出力されるパケットを監視するようになっている。パケットの監視は、ルーティングテーブル20f(図11参照)の情報によって行なわれる。このため、ルーティングテーブル20fには、ネットワークプレフィクスと次ホップとダウンリンクと相互に関連付けられて書き込まれている。
同様に、分岐ルータ5は、入出力されるパケットを監視するための出力IF51,52および53を有する。ここで、出力IF41はアップリンク側のものであり、また、出力IF42,43は、それぞれ、ダウンリンク側の出力インターフェースである。
(4−4)分岐ルータ4,5の構成
これらの分岐ルータ4,5について図3を用いて更に詳述する。
図3は本発明の第1実施形態に係る分岐ルータ4のブロック図である。この図3に示す分岐ルータ4は、受信処理部(第1受信部)20a,パケット識別部20b,登録要求メッセージ処理部20c,キャッシュテーブル20d,カプセル化処理部20e,ルーティングテーブル20f,送信処理部(第1送信部)20gをそなえて構成されている。
(4−4−1)受信処理部20a
受信処理部20aは、ネットワーク13において移動したモバイルノードMNからのパケット(第1パケット)と送信元ノードCNからのパケット(第2パケット)とを受信するものである。
(4−4−2)パケット識別部20b
パケット識別部20bは、受信処理部20aにて受信されたパケットに含まれる複数のメッセージ内容を抽出するものであって、そのメッセージの識別子が単に転送することを表すものであるときはそのパケットをカプセル化処理部20eに出力するとともに、そのメッセージ識別子が、変更登録要求(登録要求メッセージ)であるときは、登録要求メッセージ処理部20cに対してそのパケットを出力する。
この登録要求メッセージとは、モバイルノードMNの移動前の気付アドレスを移動後の気付アドレスに変更するよう要求するものである。登録要求メッセージは、モバイルノードMNが、アクセスルータ6からアクセスルータ7へハンドオーバしたときに(図1又は図14参照)、モバイルノードMNは、ネットワーク13のいずれかのルータ(例えばアクセスルータ7)に対して、移動前の気付アドレスから移動後の気付アドレスに設定することを要求するために送信される。モバイルノードMNは、登録要求メッセージを受信すべきルータを知っている必要はなく、そのルータを特定せずに、移動後のアクセスルータ7に対して暫定的に登録要求メッセージを送信すればよい。
この特定のルータは、アクセスルータ6〜9よりもアップリンク側に設けられたものが選択される。この選択の一例は、移動前にモバイルノードMNをサポートしていたアクセスルータ6と移動後にモバイルノードMNをサポートするアクセスルータ7との両方をダウンリンクに有する分岐ルータ4に決定されるようにする。
なお、アクセスルータ6〜9の位置に分岐ルータを設けることもできる。
図30は本発明の第1実施形態に係る分岐ルータがアクセスルータ6として構成される例を説明するための図である。
(1)モバイルノードMNは、アクセスルータ6の無線エリアからアクセスルータ7の無線エリアに移動し、無線信号レベルに基づいて、接続先のルータをアクセスルータ7に切り替える。
(2)モバイルノードMNは、移動前のCoA1宛てのパケットを移動後のCoA2宛てに転送する設定依頼のための登録要求メッセージを、ネットワーク13に属する複数のルータのうちのいずれかのルータに送信する。
(3)この登録要求メッセージは、アクセスルータ6において終端される。
(4)アクセスルータ6は、移動前のCoA1宛てのパケットを移動後のCoA2宛に転送するよう設定したキャッシュを生成する。
この図30に示すパターンにおいて、アクセスルータ6が分岐ルータとして機能する。従って、分岐ルータとして機能するルータは、必ずしも、アクセスルータ6のように自分自身よりもダウンリンク側にアクセスルータを有することが必要なわけではない。また、この図30に示すパターンは、後述する第2実施形態においても同様である。図30に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。
(4−4−3)キャッシュテーブル20d
次に、キャッシュテーブル20d(図3参照)は、モバイルノードMNの移動前の気付アドレスを保持するメモリである。キャッシュテーブル20dは、パケット識別部20bが登録要求メッセージを受信したときに、その登録要求メッセージに含まれる移動前のモバイルノードMNの気付アドレスと移動後のモバイルノードMNの気付アドレスとが対応付けられて登録要求メッセージ処理部20cによって書き込まれるようになっている。このキャッシュテーブル20dは、例えばRAM(Random Access Memory)によって実現される。
(4−4−4)登録要求メッセージ処理部20c
(4−4−4−1)気付アドレスの変更機能
登録要求メッセージ処理部20cは、受信処理部20aにて受信されたパケットがモバイルノードMNの移動前の気付アドレスから移動後の気付アドレスへの登録要求メッセージを含む場合はキャッシュテーブル20dに保持された移動前の気付アドレスを移動後の気付アドレスに変更するものである。また、キャッシュがない場合は、キャッシュを新規に生成する。
これにより、パケット識別部20bにおいて識別された登録要求メッセージは、登録要求メッセージ処理部20cにおいてその内容を解析され、旧「CoA」宛てのパケットを、新「CoA」をアドレスにもつノードに対して転送するためのデータを保持するキャッシュ領域がキャッシュテーブル20dに生成される。そして、登録要求メッセージ処理部20cは、登録要求メッセージのモバイルノードに対して登録応答メッセージを生成して送信処理部20gに出力する。
なお、これらの各機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、コントローラ(いずれも図示省略)とによって発揮される。
(4−4−4−2)アドレス変更の決定論理
この登録要求メッセージ処理部20cは、登録要求メッセージについて、予め以下の(L1)〜(L5)に示す各決定論理に基づいてアドレスの変更を決定するようになっており、各決定論理を判断する決定論理判断部22と、所定時間を計測可能なタイマ23とを有する。
ここで、決定論理判断部22による判断方法の一例は、モバイルノードMNが送信したパケットのヘッダ部分に含まれるタイプ情報を検出することによって行なわれる。すなわち、決定論理判断部22は、パケットのホップバイホップオプションヘッダ(後述する図13(a)参照)又は宛先オプションヘッダ(図13(b)又は図13(c))に含まれる「タイプ領域」を読み取り、そのタイプが登録要求メッセージ又は削除要求メッセージであることを認識するのである。
(L1)登録要求メッセージに含まれる宛先の気付アドレスに対応する出力インターフェースポートとルーティングテーブル20fに保持された1又は複数の出力インターフェースポートとの一致/不一致に基づいて、キャッシュの作成を決定する。
すなわち、登録要求メッセージ処理部20cは、登録要求メッセージの宛先アドレスに対する出力インターフェースが、分岐ルータ4が有するインターフェースのうちの予め分岐ルータ4自身が設定した出力インターフェース41〜43のいずれかと一致した場合は設定をし、また、一致しない場合は登録要求メッセージを通常のパケットと同様に転送する。
(L2)新規アドレスの登録に要するリソース容量に基づいてアドレスの変更を決定する。
すなわち、登録要求メッセージ処理部20cは、更に新規に設定するのに必要なリソースが確保できるときはアドレスを設定(又は変更)し、また、リソースを確保できないときは、登録要求メッセージを通常のパケットと同様に転送する。ここで、設定を新規に行なうのに必要なリソースとは、例えばメモリ容量である。
(L3)アドレスの変更後所定時間が経過したときに変更を解除する。
登録要求メッセージ処理部20cは、タイマ23を用いて予め設定した時間が経過するか否かを監視し続ける。なお、このタイマ23は例えばCPUに設けられたタイマである。このタイマが設定されると、所定時間が経過した時点で自動的に設定が解除される。
(L4)変更されたアドレスに関する削除要求メッセージを受信した場合に、キャッシュを削除し、変更されたアドレスが削除される。
登録要求メッセージ処理部20cは、アドレスを設定した場合に、モバイルノードMNから通知された、アドレス設定の削除要求メッセージを受信すると、その受信時点におけるアドレス設定を解除する。
(L5)変更されたアドレスに関する削除要求メッセージを受信した場合は変更されたアドレスを削除するとともに、変更されたアドレスに関する削除要求メッセージを受信しない場合はアドレスの変更後所定時間が経過後したときに変更を解除する。
登録要求メッセージ処理部20cは、アドレスを設定(又は変更)した場合に、モバイルノードMNから通知された、アドレス設定の削除要求メッセージを受信すると、その受信時点においてアドレス設定を解除し、また、削除要求メッセージが通知されない場合にはタイマ23により所定時間が経過した時点において自動的にアドレス設定を解除する。
従って、タイマ23を併用することによって、キャッシュテーブル20dに保持されたデータは所定時間ごとに自然消去される。これと同時に、登録要求メッセージ処理部20cは、キャッシュテーブル20dの容量を監視し続けており、自然消去されるデータよりも、登録要求メッセージの受信のほうが多い場合(例えば、登録要求メッセージが例えば1000個を超える場合)は、モバイルノードMNに対してリソースを確保できない旨を通知する。
一方、登録要求メッセージ処理部20cは、登録要求メッセージを処理せずに、再度転送し、そして、その先の分岐ルータがキャッシュを生成するように構成してもよい。
このように、リソースを確実に確保でき、かつ、リソースを効率的に利用できる。
(4−4−5)カプセル化処理部20e
カプセル化処理部20e(図3参照)は、キャッシュテーブル20dを参照することによって、パケット識別部20bから出力されるパケットの宛先アドレスを変更して新たなヘッダを作成しこのヘッダとデータとをカプセル化してそのカプセル化したパケットを出力するものである。すなわち、このヘッダを付与することが、カプセル化なのである。
(4−4−6)送信処理部20g
送信処理部20gは、受信処理部20aにて受信されたパケットを転送すべき次ホップルータのアドレスと、パケットに含まれる宛先のネットワークプレフィクスと、次ホップルータの位置がアップリンク又はダウンリンクかを示すリンク情報とを対応付けたルーティング情報に基づいて、変更処理部にて変更された移動後の気付アドレス宛に送信元ノードCNからのパケットを送信するものである。また、送信処理部20gは、カプセル化処理部20eからのパケットを、ルーティングテーブル20fを参照することにより、送信するようになっている。
(4−4−7)ルーティングテーブル20f
ルーティングテーブル20fは、パケットの宛先と出力するルータとの対応を示すデータを保持したメモリである。このルーティングテーブル20fは、受信処理部20aにて受信されたパケットを転送すべき次ホップルータのアドレスと、パケットに含まれる宛先のネットワークプレフィクスと、次ホップルータの位置がアップリンク又はダウンリンクかを示すリンク情報とを対応付けたルーティング情報を保持するようにしている。
図11は本発明の第1実施形態に係るルーティングテーブル20fの第1の例を示す図である。この図11に示すルーティングテーブル20fは、例えば宛先プレフィクス、次ホップ、出力インターフェースおよびダウンリンクの各エントリを有する。ここで、次ホップは、次ホップ機能を有するルータ、又はデータリンクの一区間を意味する。具体的には次ホップは、受信したパケットを次に転送すべきルータの宛先を表す。出力IF(出力インターフェース)はホップすべきパケットの出力口を表す。このルーティングテーブル20fは、この出力インターフェースに加えて、出力インターフェースがダウンリンクであるか否かを、(Yes)又は(No)で識別できるようになっている。
そして、送信処理部20gが、そのルーティング情報に基づいて変更処理部(20b,20c,20d,20e)にて変更された移動後の気付アドレス宛にパケットを送信するようになっている。
これにより、分岐ルータ4がモバイルノードMNの移動後の気付アドレスを認識するので、分岐ルータ4が、例えばホームエージェントHAが移動前の気付アドレスに宛てたパケットのヘッダを受信すると、その受信したパケットのヘッダを移動後の気付アドレスに変更し、正確なパケット転送が行なえる。
また、図11に示すルーティングテーブル20fの記述形式は、ダウンリンク情報を統合したものであるが、この記述形式は通常のルータの記述形式と、この記述とは別テーブルであって出力インターフェースとダウンリンクとの対応関係を示す別テーブルを用いて構成してもよい。この場合、分岐ルータ4は、通常のパケットルーティング処理をするときにルーティングテーブルを検索し、その後、出力インターフェースが決定した時点で、再度その出力インターフェースを元にダウンリンク情報の別テーブルを検索し、その出力インターフェースがダウンリンクであるか否かを判定する。
なお、ダウンリンク情報まで見る必要があるのは、登録要求メッセージのみであり、通常パケットの場合、次ホップまで見ればよいからである。
ルーティングテーブル20fと同様に、図1に示す分岐ルータ5が保持するルーティングテーブル20f′は、例えば図12に示すように、通常のルータが有するルーティングテーブル情報に、各出力インターフェースに対するダウンリンク情報が追加されている。また、インターフェース52および出力インターフェース53がダウンリンク側のインターフェースである。
このように、動的なネットワークリソースを確保できる。
(4−4−8)変更処理部(20b,20c,20d,20e)
変更処理部(20b,20c,20d,20e)は、受信処理部20aにて受信されたパケットが、モバイルノードMNの移動前の気付アドレスから移動後の気付アドレスへの変更登録要求を含む場合はキャッシュテーブル20dに保持された移動前の気付アドレスを移動後の気付アドレスに変更するものである。また、変更処理部(20b,20c,20d,20e)は、キャッシュテーブル20dに入っていない場合には、このキャッシュテーブル20dにすぐこの内容を通知した。
この変更処理部(20b,20c,20d,20e)の機能は、パケット識別部20b,登録要求メッセージ処理部20c,キャッシュテーブル20d,カプセル化処理部20eが協働することによって実現する。
(4−5)分岐ルータの決定方法
図6は本発明の第1実施形態に係る分岐ルータの決定方法を説明するための図であり、この図6に示すネットワーク13eは、アクセスルータ10〜17からルータ3まで3段の配置である。また、図6において、色が濃い分岐ルータは本発明を用いたものである。
なお、上述したものと同一符号を有するものは同一のもの又は同様の機能を有するものなので、更なる説明を省略する。さらに、アクセスルータ6〜9は、必ずしも、アクセスルータとしての機能を有する必要はない。
モバイルノードMNの移動前の接続先はアクセスルータ10であり、また、移動後の接続先はアクセスルータ14とする。ここで、モバイルノードMNが移動してアクセスルータ14と接続を開始するに当たり、モバイルノードMNはアクセスルータ14を介して登録要求メッセージを送信する。アクセスルータ14は、その登録要求メッセージに含まれる移動前と移動後との双方のルータのアドレスを配下に有していないことを認識し、その登録要求メッセージをアップリンクのアクセスルータ8に対して送信する。アクセスルータ8も同様にして、転送されたパケットに含まれる登録要求メッセージの内容を解析して、2種類のルータのアドレスを配下に有するか否かをチェックする。アクセスルータ8は、同様にして、その転送されたパケットを分岐ルータ5に宛てて転送し、分岐ルータ5においても、そのパケットが検査されて、転送パケットをルータ3に転送する。そして、ルータ3は、移動前のアクセスルータ10と、移動後のアクセスルータ14とが自分の配下であることを認識して、自分自身が分岐ルータであることを知るのである。
(4−6)分岐ルータの配置
パケットの振り分け機能を有する分岐ルータは、アクセスルータ6〜9のアップリンクに設けられている。具体的には、図1に示すアクセスルータ6,7間およびアクセスルータ8,9間に、それぞれ、分岐ルータ4,5が設けられている。また、アクセスルータ6,8間およびアクセスルータ6,9間に、ともに、分岐ルータ4,5が設けられている。これらの分岐ルータ4,5は、アクセスルータ6〜9よりもアップリンクに設けられ、アクセスルータ6〜9のうちの所望の2台のルータを接続するパスに、必ず、分岐ルータ4又は分岐ルータ5若しくは分岐ルータ4および分岐ルータ5の両方が存在するようになっている。
すなわち、分岐ルータ4,5は、モバイル通信システム200において、モバイルノードMNの任意の移動前のアドレスと、モバイルノードMNの任意の移動後のアドレスとの間におけるパケット転送ルートのノード(例えば、ルータ,パソコン,ワークステーション)に少なくとも一台が設けられていればよい。従って、モバイル通信システム200の設備コストが低減される。
図7〜図10はいずれも本発明の第1実施形態に係るルータ配置場所の構成図であり、既に説明したものと同一の符号を付したものは同一又はほぼ同様の機能を有するものである。分岐ルータ(色が濃いもの)の設置場所は、例えば4種類のパターンを用いることができる。すなわち、ネットワーク13aはルータ3〜5に適用したパターン(図7参照)であり、ネットワーク13bはアクセスルータ6〜9に適用したパターンであり(図8参照)、ネットワーク13cは分岐ルータ4〜9に適用したパターン(図9参照)であり、そして、ネットワーク13dは全てのルータ3〜9に適用したパターン(図10参照)である。
なお、出力IF(出力インターフェース)61,71,81および91は、いずれも、パケットを入出力する方路に相当するインターフェースポートであって、入出力されるパケットを監視するものである。
また、モバイル通信システム200(図1参照)の構成例は、ツリー構造のトポロジを有するが、モバイル通信システム200のトポロジはツリー構造に限定されない。モバイル通信システム200は、例えばインターネット50と接続するためのゲートウェイが複数設けられてもよい。
(4−7)送受信されるメッセージのフォーマット
図13(a)は本発明の第1実施形態に係る登録要求メッセージの一例を示す図である。この図13(a)に示す登録要求メッセージのヘッダは、IPv6ヘッダと、ホップバイホップオプションヘッダとからなる。ここで、IPv6ヘッダは全てのパケットが有する基本領域である。また、ホップバイホップオプションヘッダは、転送ルートに設けられた全ルータにおける処理に用いられるデータが書き込まれる領域であり、このホップバイホップオプションが、登録要求メッセージであることを識別するためのタイプ値およびキャッシュを生成するときの有効時間が含まれる。また、ホップバイホップオプションヘッダのIPv6の宛先アドレスは移動前のCoA1を表し、送信元アドレス(送信元ノードCNのアドレス)は移動後のCoA2を表す。
図13(b)は本発明の第1実施形態に係る登録応答メッセージのフォーマット例を示す図である。この図13(b)に示す登録応答メッセージは、IPv6ヘッダと、宛先ホストに対する処理内容を示す宛先オプションヘッダとを含む。ここで、IPv6の宛先アドレスはCoA2を表し、送信元アドレスは分岐ルータ4を表す。また、宛先オプションヘッダの内容は、本宛先オプションが本発明の登録応答メッセージであることを識別するためのタイプ値および生成したキャッシュの有効時間である。
図13(c)は本発明の第1実施形態に係る登録更新メッセージの一例を示す図である。この図13(c)に示す登録更新メッセージのヘッダは、IPv6ヘッダと、宛先ホストに対する処理内容を示す宛先オプションヘッダとを含む。そして、IPv6ヘッダの宛先アドレスおよび送信元アドレスには、それぞれ、分岐ルータ4およびCoA3が書き込まれている。また、宛先オプションヘッダの内容は、本宛先オプションが本発明の登録更新メッセージであることを識別するためのタイプ値と、更新対象となるキャッシュのアドレス「CoA1」と、キャッシュの有効時間とをそれぞれ含む。
(4−8)分岐ルータ4,5の処理
また、図5は本発明の第1実施形態に係る分岐ルータ4の処理を説明するためのフローチャートである。分岐ルータ5の処理もこの分岐ルータ4の処理とほぼ同様であるので重複した説明を省略する。なお、分岐ルータ5および他のルータ3であって分岐又は振り分け機能を有するものも、この図4に示すフローチャートとほぼ同一の処理を行なう。
分岐ルータ4は、パケットを受信すると(ステップQ1)、そのパケットを識別し(ステップQ2)、そのパケットが登録要求メッセージであるか否かを検査する(ステップQ3)。ここで、登録要求メッセージであるときは、Yesルートを通り、主制御部(図示省略)は、ルーティングテーブルとキャッシュテーブル20dのうちのダウンリンク情報(Downlink情報)を参照し(ステップQ4)、宛先アドレスに対する出力インターフェース(出力IF)がダウンリンクであるか否かを検査する(ステップQ5)。そして、ダウンリンクであるときは、Yesルートを通り、登録要求メッセージ処理が行なわれ(ステップQ6)、また、キャッシュテーブル20dにアドレスが設定される(ステップQ7)。
また、ステップQ3において、受信パケットが登録要求メッセージでないときは、Noルートを通り、主制御部は、キャッシュテーブル20dを参照し(ステップQ8)、宛先アドレスに対するキャッシュテーブル20dのデータがあるか否かを検査する(ステップQ9)。ここで、キャッシュがあるときは、カプセル化処理されて(ステップQ10)、ルーティングテーブルが参照されたのち(ステップQ11)、分岐ルータ4からパケットが送信される(ステップQ12)。
一方、ステップQ5において、出力インターフェースがダウンリンクでないときは、Noルートを通り、ステップQ11の処理が行なわれる。また、ステップQ9においても、キャッシュがないときは、Noルートを通り、やはり、ステップQ11の処理が行なわれる。
このように、アクセスルータ6〜9のいずれかにおいて受信された登録要求メッセージが各ルータにおいて読み込まれ、そして、各ルータのうちの移動前と移動後との両方のルータを配下に有するルータは、自分自身が分岐ルータであることを認識してその登録要求メッセージに含まれる情報により自分のキャッシュテーブル20dの内容を書き替える。
従って、分岐ルータ4がモバイルノードMNについてのバインディング情報を設定(又は変更)する。これにより、通常はホームエージェントHAに設けられているバインディング情報の保持機能が、分岐ルータ4に設けられ、この分岐ルータ4が、パケットを振り分けるのである。
これにより、図1において、最初、アクセスルータ6にいたモバイルノードMNがアクセスルータ7に移動し、アクセスルータ7がモバイルノードMNからの登録要求メッセージをインターネット50のアップリンクに設けられている分岐ルータ4に対してホップ(転送)する。そのホップされた分岐ルータ4において登録要求メッセージに含まれる移動前および移動後の両方のアクセスルータ6,7を配下に有するか否かがチェックされる。このチェックにより分岐ルータ4自身が両方のアクセスルータ6,7を有するものであると知ると、その分岐ルータ4は、移動前の気付アドレス「CoA1」を移動後の気付アドレス「CoA2」に設定する。さらに、モバイル通信システム200の全体から見ると、気付アドレスの動的設定は、モバイルノードMNが登録要求メッセージを送信することと、モバイル通信システム200に設けられたルータがその登録要求メッセージを処理することとの双方によって実現されるのである。
このように、モバイルノードMNのハンドオーバが発生した時点で、モバイル通信システム200に接続されたルータにおいて、モバイルノードMNのハンドオーバ前のCoA宛てパケットをハンドオーバ後のCoAに対して転送する設定が動的に行なわれる。
このように、分岐ルータ4は、全てのモバイルノードMNから送信された登録メッセージの全てについて、バインディングキャッシュおよびカプセル化する処理が不要となる。このため、特定エリアにおいて、実際にハンドオーバしたモバイルノードMNについてのみ、バインディングキャッシュおよびカプセル化の処理をすればよい。また、分岐ルータ4は、ハンドオーバしたモバイルノードMNについてのみ、リソースを確保するので、従来必要とされていた階層化エージェント又はバインディングキャッシュが不要となり、リソース不足を理由にモバイルノードMNに対してアクセスを拒否することがなくなる。
これにより、分岐ルータ4がサポートできるモバイルノードMNの数が向上し、また、多くのモバイルノードMNがハンドオーバ先のエリアにおいてサービスを利用でき通信サービスの質が向上する。
また、これにより、モバイルノードMNの高速移動に追従でき、かつ、パケットロスを抑制できるとともに、モバイル通信システム200を運営,維持する事業者の設備コストを低減させることができる。
図1において、本発明のモバイル通信システムは、モバイルノードMNと、ホームエージェントとを有するネットワーク11と、複数のアクセスルータ6〜9を有するネットワーク13とをそなえたモバイル通信システム200である。このモバイル通信システム200には、例えば分岐ルータ4,5のような1又は複数のルータが、アクセスルータ6〜9のアップリンクに設けられパケットを転送するようになっている。
この態様においては、ルータ4,5がパケットの折り返し又は分岐をするために必要である一方、アクセスルータ6〜9はキャッシュテーブル20d又は変更処理部(20b,20c,20d,20e)を設ける必要はない。
上述したとおり、キャッシュテーブル20dと、受信処理部20aと、変更処理部(20b,20c,20d,20e)と、送信処理部20gとをそなえている。さらに、モバイルノードMNは、ルータ識別子保持部42bと、受信処理部40aと、移動検出部42aと、送信処理部50hとをそなえて構成されたことになる。
また、ルータの変更処理部(20b,20c,20d,20e)が、モバイルノードMNが送信した登録要求メッセージに対する確認応答をモバイルノードMNに対して送信するように構成されたことになる。
(5)動作説明
以下、モバイル通信システム200におけるモバイル通信方法の動作の例について説明する。まず、図14,図15を用いて、アクセスルータ6からアクセスルータ7へのハンドオーバを説明する。
図14は本発明の第1実施形態に係る位置登録動作を説明するための図であり、この位置登録動作は、モバイル通信システム200においてモバイルノードMNがアクセスルータ6の配下に移動してきたときものである。この図14に示す位置登録動作は、図1を用いて示した通常のモバイルIPv6におけるホームエージェントHAへの位置登録と同一である。
なお、この図14に示すもので、上述したものと同一符号を有するものは同一のもの又は同様の機能を有するものなので、更なる説明を省略する。また、以下に説明するモバイルノードMNの移動元および移動先は一例であって、モバイルノードMNは説明したルータなど以外に移動することがある。
(1)モバイルノードMNは、ネットワーク11から移動先のネットワーク13に移動し(点線部分参照)、アクセスルータ6の無線エリアに移動する。
(2)モバイルノードMNは、アクセスルータ6が送信する周期的又はモバイルノードMNからの要求(図15および図18に示す「ルータ要請」に相当する。)の応答としてのルータ広告メッセージを受信する。このルータ広告メッセージは、モバイルノードMNの接続リンクに対応するネットワークプレフィクス(例えば、「311::/64」と表示する。)を含む。なお、このルータ広告メッセージには、分岐ルータ4のアドレス(例えば図31のMAP1)は含まれておらず、階層化モバイルIPv6とは異なる。
また、接続リンクは物理的なリンクであり、ネットワークプレフィクスは論理的なリンクである。このため、例えば1本の周波数について、複数のネットワークプレフィクスの割り当てが可能である。
(3)モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージに含まれる接続リンクのネットワークプレフィクスに基づいて、CoA1(例えば、「311::10」)を生成する。
(4)モバイルノードMNは、ホームエージェントHAに対して、位置登録メッセージ位置登録メッセージBUを送信し、モバイルノードMNが生成したCoA1とホームアドレスとを登録する。
(5)ホームエージェントHAは、前記(4)の位置登録メッセージBUを受信すると、位置登録メッセージBUの内容に基づいてバインディングキャッシュを生成する。このバインディングキャッシュはホームアドレスとCoA1との対応関係を保持している。
(6)ホームエージェントHAは、モバイルノードMNに対して登録応答メッセージBAを送信し、登録を受理したことを通知する。
この(6)以降、送信元ノードCNからモバイルノードMNのホームアドレス宛てに送信されたパケットは、ホームエージェントHAによりインターセプトされ、モバイルノードMNのCoA1宛てにカプセル化されて転送される(図示省略)。
モバイルIPv6と階層化モバイルIPv6とを比較すると、このカプセル化されたパケットは分岐ルータ4において再度カプセル化されない。すなわち、図31のようなMAP1への書き込みはない。
図15は本発明の第1実施形態に係るハンドオーバ前の位置登録およびパケット転送シーケンスを示す図であり、アクセスルータ6配下でのモバイルノードMNの位置登録および送信元ノードCNからモバイルノードMNに対してのパケット転送例が示されている。なお、これら以外の符号であって上述したものと同一符号を有するものは同一のもの又は同様の機能を有するものなので、更なる説明を省略する。
まず、モバイルノードMNはアクセスルータ6配下に移動し(ステップA1)、アクセスルータ6に対して「ルータ要請」を送信する(ステップA2)。アクセスルータ6は、この「ルータ要請」を受信すると、モバイルノードMNに対してルータ広告メッセージを送信する(ステップA3)。モバイルノードMNは、このルータ広告メッセージを受信しモバイルノードMN自身が他のエリアに移動したことを検出し、CoA1を生成する(ステップA4)。そして、モバイルノードMNは、ネットワーク11のホームエージェントHAに対してバインディングキャッシュの更新を要請するメッセージBUを送信し(ステップA5)、ホームエージェントHAはこのメッセージを受信すると、バインディングキャッシュを作成し(ステップA6)、バインディング要求に対する確認応答(Binding Acknowledgement)をモバイルノードMNに対して送信する(ステップA7)。このように、モバイルノードMNが移動した後においても、位置登録が確実に行なえる。
続いて、ネットワーク12の送信元ノードCNは、モバイルノードMNに対してパケットを送信し(ステップA8)、ホームエージェントHAはその送信されたパケットを受信して中継して、モバイルノードMNに対して送信する(ステップA9)。このように、パケット転送も確実に行なえる。
このようにして、各ルータの配下が変更した後においても、位置登録およびパケット転送が確実に行なえる。
図16は本発明の第1実施形態に係る図14の位置登録動作後の状態からのハンドオーバ動作を示す図である。
(1)モバイルノードMNは、移動先のネットワーク13において、アクセスルータ6の無線エリアからアクセスルータ7の無線エリアに移動する(点線部分参照)。モバイルノードMNは、アクセスルータ7からの無線信号レベルがアクセスルータ6からの無線信号レベルよりも高くなったことを検出すると、モバイルノードMNは接続先のルータをアクセスルータ7に切り替える。
(2)モバイルノードMNは、アクセスルータ7が周期的又はモバイルノードMNからの要求の応答として送信するルータ広告メッセージを受信する。このルータ広告メッセージは、モバイルノードMNの接続リンクにおけるネットワークプレフィクス(例えば、312::/64)を含む。なお、階層化モバイルIPv6とは異なり、ルータ広告メッセージには、分岐ルータ4(図31のMAP1)のアドレスは含まれていない。これにより、モバイルノードMNは、ネットワークプレフィクスの変化を検出する。
モバイルノードMNは、他のユーザからモバイルノードMN自身宛に送信されたデータについて、そのデータの宛先がアクセスルータ6でなくアクセスルータ7として送信されることを希望する。このため、モバイルノードMNがアクセスルータ6のエリアからアクセスルータ7のエリアに移動しているときに、そのデータの宛先が移動前のアクセスルータ6から移動後のアクセスルータ7に切り替わることを望むのである。
モバイルノードMNは、移動する前からアクセスルータ6の配下にいたときに使用していた、古いアドレスCoAw(wは1以上の自然数を表す。)を記憶している。モバイルノードMNが記憶する必要がある内容は、モバイルノードMNが通信を開始したルータの配下における1つのCoAでよい。従って、モバイルノードMNは、一度、通信が終了すると、その終了時点における在圏しているルータの配下におけるCoAを改めて記憶し直せばよい。
なお、図16において、モバイルノードMNが分岐ルータ4などに関する情報を全く知らない場合には、記録された以前のルータ又はデフォルトのルータなどに宛てるようにもできる。
(3)モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージの内容の接続リンクのネットワークプレフィクスに基づいて、CoA2(例えば、312::10)を生成する。このとき、モバイルノードMNは、移動前にアクセスルータ6配下にて使用していたCoA1を削除しない。
(4)モバイルノードMNは、ネットワーク13に対して、移動前のCoA1宛てのパケットを移動後のCoA2宛てへの転送設定を依頼するための登録要求メッセージをこのインターネット50に接続された複数のルータのうちのいずれかのルータに送信する。
すなわち、モバイルノードMNが、アクセスルータ6と異なる第2のアクセスルータ7に対し変化に基づくモバイルノードMNの移動先を示す移動前の気付アドレスの登録要求メッセージを送信する。
この登録要求メッセージのヘッダは、例えば、図13(a)に示すように、IPv6ヘッダと、ホップバイホップオプションヘッダとからなる。ここで、IPv6ヘッダは全てのパケットが有する基本領域である。また、ホップバイホップオプションヘッダは、転送パスに設けられた全てのルータにおける処理に用いられるデータが書き込まれており、具体的には、本ホップバイホップオプションが本発明の登録要求メッセージであることを識別するためのタイプ値およびキャッシュを生成するときの有効時間が含まれる。また、ホップバイホップオプションヘッダは、このヘッダ中のIPv6の宛先アドレスは移動前のCoA1を表し、送信元アドレスは移動後のCoA2を表す。
そして、モバイルノードMNは、ホームエージェントHAに保持されているバインディングキャッシュに相当する情報を保持してもらうように要請するデータを、ネットワーク13に属するルータに対して送信するのである。このルータとは、移動後のアクセスルータ7と移動前のアクセスルータ6との位置関係によって決定されるルータ(図14においては分岐ルータ4)であって、そのメッセージを受信した複数のルータのうちの1個のルータである。この1個のルータを決定するに当たり、それらの複数のルータは、いずれも、自分自身が、決定されるルータであるか否かをチェックし、そのチェック結果が所定のルールに合致したときに、合致したルータは、自分自身がそのルータであることを判定するのである。従って、インターネット50に接続された固定的なルータを意味するものではない。
各ルータは、それぞれ、自分よりもダウンリンクに向かって送信されているパケットである場合、換言すれば、各ルータは、受信したパケットをチェックし、そのパケットの宛先が、そのルータ自身よりもダウンリンク側に折り返す宛先である場合に、自分自身がキャッシュを生成すべきルータであることを知るのである。すなわち、送信されたパケットがダウンリンクに転送するパケットである場合に、その折り返すルータが折り返し機能を有するルータであると認識しキャッシュを生成するのである。
すなわち、アクセスルータ6および他のアクセスルータ7をダウンリンクに有する分岐ルータ4が、移動前の気付アドレスと登録要求メッセージに含まれる移動後の気付アドレスとの対応関係を保持するキャッシュを生成する。
(5)前記(4)の登録要求メッセージの宛先はCoA1なので、アクセスルータ6配下のルータに対してルーティングされる。この途中、分岐ルータ4を通過するときに以下の処理が行なわれる。
(5−1)分岐ルータ4は登録要求メッセージのホップバイホップオプションを解析する。
(5−2)ホップバイホップオプションに示されるタイプ値により、このパケットが本発明の登録要求メッセージであることを検出する。
(5−3)分岐ルータ4は登録要求メッセージの宛先アドレス「CoA1」を確認し、ルーティングテーブル(図11又は図12参照)を検索する。
(5−4)検索の結果、CoA1は「311::10」であり、これにマッチする宛先プレフィクスとして「311::/64」のエントリがヒットする。
(5−5)この登録要求メッセージを出力するインターフェースとしてインターフェース42が決定されるが、ダウンリンク情報が「Yes」なので、次の出力はダウンリンク側への出力となり、分岐ルータ4はこの登録要求メッセージを転送しないで、インターセプトしてキャッシュ生成処理を開始する。
なお、登録要求メッセージの次の出力インターフェースがダウンリンクされない場合は、分岐ルータ4は登録要求メッセージをインターセプトしないで、通常のルーティングにより登録メッセージを転送する。
(5−6)分岐ルータ4は、モバイルノードMNから送信されたメッセージの宛先が分岐ルータ4よりもダウンリンク側であることを認識する。
分岐ルータ4はインターセプトした登録要求メッセージのIPv6ヘッダに示される送信元アドレス「CoA2」および宛先アドレス「CoA1」に基づいて、モバイルノードMNが属するアクセスルータ7であることを示すデータ(例えば、312::10[CoA2])を書き込まれたキャッシュを生成する。そして、以後、インターネット50側から送信されたモバイルノードMN宛てのデータを受信すると、そのデータをアクセスルータ6に転送しないでアクセスルータ7に転送する。
なお、このキャッシュの有効時間は、ホップバイホップオプションヘッダに示される登録有効時間を参考に決定する。また、分岐ルータ4のポリシーで登録有効時間を延長するように構成し、あるいは、短縮するように構成してもよい。
(5−7)分岐ルータ4は、登録応答メッセージを送信し、登録要求メッセージを受理したことを通知する。
(6)モバイルノードMNは、この登録応答メッセージにより分岐ルータ4にてキャッシュが生成されたことを認識し、送信元アドレスから分岐ルータ4のアドレスを抽出し記憶する。
(7)分岐ルータ4が、送信元ノードCNから送信された移動前の気付アドレス宛のパケットを代理受信し、移動後の気付アドレス宛に転送する。
このように、送信者からモバイルノードMNに対するデータは、ネットワークのホームエージェントHAを経由して分岐ルータ4に送信され、さらに、この分岐ルータ4が、その送信データをアクセスルータ6に送信しないで分岐ルータ4自身に蓄積し、その送信データをアクセスルータ7に対して送信する。
また、このように、モバイル通信システム200においては、モバイルノードMNがハンドオーバのためのリソースを予め確保していなくても、ハンドオーバが発生した時のみ、その時点で動的にキャッシュを生成する。
さらに、モバイルノードMNがアクセスルータ7にハンドオーバし、分岐ルータ4にてキャッシュが生成された後に、再度、インターネット50側からアクセスルータ7に対してパケット送信された場合の転送動作は、図17に示すようになる。
図17は本発明の第1実施形態に係るハンドオーバ後のパケット転送を説明するための図であり、モバイルノードMNがアクセスルータ7にハンドオーバした後のパケット転送例が表示されている。この図17に示すもので、上述したものと同一符号を有するものは同一のものを表す。
(1)ネットワーク2の送信元ノードCN(例えば、アドレスは200::20)は、モバイルノードMN宛てのパケットを送信する。このパケットの宛先アドレスはモバイルノードMNのホームアドレス(例えば、100::10)である。
(2)ネットワーク1のホームエージェントHAは、モバイルノードMNの代わりにモバイルノードMN宛てのパケットをインターセプトし、そして、バインディングキャッシュに記録された情報に基づいて、インターセプトしたパケットに対して宛先アドレスをCoA1とするヘッダを付与してカプセル化する。
(3)ホームエージェントHAは、前記(2)でカプセル化した後のパケットを転送する。
(4)分岐ルータ4は、前記(3)で転送されたパケットの宛先「CoA1」についてのキャッシュが存在するので、キャッシュに記録された情報を元にパケットに対して宛先アドレスをCoA2とするヘッダを付与してカプセル化する。
(5)分岐ルータ4は、前記(4)でカプセル化した後のパケットを転送する。このパケットは、アクセスルータ7を経由してモバイルノードMNにて受信され、モバイルノードMNは、分岐ルータ4およびホームエージェントHAが付与したカプセル化ヘッダをそれぞれ取り除き、前記(1)にて送信元ノードCNが送信したパケットを受信する。
また、図18は本発明の第1実施形態に係るアクセスルータ変更後のハンドオーバおよびパケット転送シーケンスを説明するための図であり、モバイルノードMNがアクセスルータ6からアクセスルータ7配下にてハンドオーバおよびアクセスルータ7配下でのパケット転送例が表示されている。この図18に示す各ネットワーク、各ルータおよび端末,ルータであって、上述したものと同一符号を有するものは同一のもの又は同様の機能を有するものなので、更なる説明を省略する。
まず、モバイルノードMNがアクセスルータ7配下へ移動すると(ステップB1)、モバイルノードMNはアクセスルータ7に対して「ルータ要請」を送信する(ステップB2)。アクセスルータ7は、この「ルータ要請」を受信すると、モバイルノードMNに対してルータ広告メッセージ(ルータ広告と表示されているものを意味する。)を送信し(ステップB3)、モバイルノードMNはこのメッセージを受信すると、移動検出を行なってCoA2を生成する(ステップB4)。そして、モバイルノードMNは、分岐ルータ4に対して登録要求メッセージをCoA1に対して送信する(ステップB5)。このメッセージを受信した分岐ルータ4は、登録要求メッセージを終端処理して、キャッシュを生成し(ステップB6)、登録応答をモバイルノードMNに対して送信し(ステップB7)、そして、モバイルノードMNがこのメッセージを受信すると、分岐ルータ4のアドレスを記憶する(ステップB8)。
これにより、モバイルノードMNがアクセスルータ6からアクセスルータ7にハンドオーバした後においても、各ルータは、いずれも、モバイルノードMNの位置を追跡でき、確実な通信が可能となる。換言すれば、モバイルノードMNの位置を追跡する必要があるのは、分岐ルータ4のみでよく、他のルータは、通常通りの転送を行なえばよい。
また、この状態において、ネットワーク2の送信元ノードCNがモバイルノードMNに対してパケットを送信すると(ステップB9)、ネットワーク1にてホームエージェントHAがそのパケットを受信して、ステップB10において、そのパケットをカプセル化してCoA1に対して送信する。なお、この処理をトンネリングするという。すなわち、IPv6パケットが、IPv4パケット又はIPv6パケットを用いてカプセル化され、これにより、途中経路にIPv4パケットのみをサポートするネットワークが存在しても送信できる。
そして、このカプセル化されたデータは、分岐ルータ4において、キャッシュを検索される(ステップB11)。さらに、分岐ルータ4はCoA2宛てにカプセル化したものをトンネリングしてモバイルノードMNに送信する(ステップB12)。
このように、モバイルノードMNがハンドオーバをした後において、送信元ノードCNが送信したパケットはホームエージェントHAを経由し、折り返し機能を有する分岐ルータ4にてキャッシュ検索されて、モバイルノードMN宛てに正確に送信されるのである。従って、ハンドオーバとパケット転送とが両方、確実に進行できるのである。
(6)変形例の説明
図17,図18と続いた後、モバイルノードMNがさらに、アクセスルータ8にハンドオーバした場合について、図19,図20を用いて説明する。なお、図19,図20に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。以下、分岐ルータ4と分岐ルータ5とのコンビネーションにより、パケットの振り分けが可能となる態様について説明する。
図19は本発明の第1実施形態に係る図17のハンドオーバ後の状態からさらにアクセスルータ8の配下ヘハンドオーバする場合の動作を示す図である。
(1)モバイルノードMNは、移動先のネットワーク13において、アクセスルータ7の無線エリアからアクセスルータ8の無線エリアに移動する(点線部分参照)。ここで、モバイルノードMNは、アクセスルータ8からの無線信号レベルがアクセスルータ7からの無線信号レベルよりも高くなったことを検出すると、モバイルノードMNは接続先のアクセスルータ7をアクセスルータ8に切り替える。
(2)モバイルノードMNは、アクセスルータ8が周期的又はモバイルノードMNからの要求の応答として送信するルータ広告メッセージを受信する。このルータ広告メッセージは、モバイルノードMNの接続リンクにおけるネットワークプレフィクス(例えば、321::/64)を含む。なお、階層化モバイルIPv6とは異なり、ルータ広告メッセージには、分岐ルータ5(図31のMAP2)のアドレスは含まれていない。
(3)モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージに含まれる接続リンクのネットワークプレフィクスに基づいて、CoA3(例えば、「321::10」)を生成する。このとき、モバイルノードMNは、最初にアクセスルータ6配下にて使用していたCoA1を削除しない。
また、モバイルノードMNは、CoA2を削除してもよい。CoA2は、モバイルノードMNが1回ハンドオーバしたときに、アクセスルータ7配下において使用されていたものであって不要だからである。
(4)モバイルノードMNは、図16の(7)の登録応答メッセージを受信したときに記憶した分岐ルータ4のアドレスを用いて、分岐ルータ4に対して、登録更新メッセージを送信し、分岐ルータ4のキャッシュ内容の更新を依頼する。
これにより、分岐ルータ4が、アドレス設定した場合に、その設定の契機となった登録要求メッセージのモバイルノードMNに登録応答メッセージを返信する。従って、図13(c)に示すIPv6ヘッダの宛先アドレスの欄に、「ルータ(分岐ルータ)4」が記録又は設定されるのである。
(5)分岐ルータ4は受信した登録更新メッセージの内容を元に、以下のようにキャッシュを更新する。
(5−1)宛先オプションヘッダに書き込まれたタイプ値により、本メッセージか登録更新メッセージであることを認識する。
(5−2)宛先オプションヘッダ内のキャッシュ更新アドレスにより、更新対象となるキャッシュがCoA1についてのキャッシュであることを認識し、CoA1についてのキャッシュの有無を検索する。
(5−3)検索の結果、キャッシュが存在する場合には、IPv6ヘッダの送信元アドレス(CoA3)を抽出し、その抽出した送信元アドレスをそのキャッシュの新しい転送先として設定する。
(5−4)宛先オプションヘッダに示される登録有効時間を参考にして、更新したキャッシュの有効時間を決定する。
(6)分岐ルータ4は、登録応答メッセージを送信し、登録更新を受理したことを通知する。また、この登録応答メッセージにより、モバイルノードMNは分岐ルータ4においてキャッシュが更新されたことを認識し、更新されたキャッシュの有効時間を記憶する。
従って、本発明のモバイル通信方法は、モバイルノードMNが、アクセスルータ6およびアクセスルータ7の双方と異なるアクセスルータ8又は9の属するネットワークプレフィクスに基づいて、アクセスルータ8又は9の気付アドレス(第3の仮アドレス)を生成し、分岐ルータ5に対して、CoA1およびアクセスルータ8又は9を含む登録更新依頼メッセージを送信する。
そして、分岐ルータ5が、登録更新依頼メッセージに含まれるCoA1についてキャッシュを検索し、CoA1についてのキャッシュを生成している場合は登録更新依頼メッセージに含まれるアクセスルータ8又は9の気付アドレスを抽出し、抽出したアクセスルータ8又は9の気付アドレスとCoA1とを対応付けてキャッシュを更新し、送信元ノードCNから送信されたCoA1宛のパケットを代理受信しそのパケットをキャッシュのアクセスルータ8又は9の気付アドレス宛に転送するようになっている。
このように、分岐ルータ4のキャッシュが更新されるので、インターネット50側から送信されたデータは、モバイルノードMNの位置が変更した後においても、分岐ルータ4に対してデータを送信でき、また、分岐ルータ4において、分岐ルータ4自身がキャッシュを更新するので、データは分岐ルータ4にて折り返されて、新CoA(例えばCoA3)に対して転送されるのである。
さらに、キャッシュが更新された後において、ネットワーク12の送信元ノードCNがモバイルノードMNに対してパケットを送信したときの転送動作について、図20を用いて説明する。
図20は本発明の第1実施形態に係るアクセスルータ8にハンドオーバ後のパケット転送動作を示す図である。
(1)送信元ノードCN(例えば、アドレスは200::20)は、モバイルノードMN宛てのパケットを送信する。このパケットの宛先アドレスはモバイルノードMNのホームアドレス(例えば、100::10)である。
(2)モバイルノードMNのネットワーク11のホームエージェントHAは、モバイルノードMNの代わりにモバイルノードMN宛てのパケットをインターセプトする。そして、バインディングキャッシュに記録された情報に基づいて、インターセプトしたパケットに対して宛先アドレスをCoA1とするヘッダを付与してカプセル化する。
(3)ホームエージェントHAは前記(2)でカプセル化した後のパケットを転送する。
(4)分岐ルータ4は、前記(3)で転送されたパケットの宛先「CoA1」についてのキャッシュが存在するので、キャッシュに記録された情報を元にパケットに対して宛先アドレスをCoA3とするヘッダを付与してカプセル化する。
(5)分岐ルータ4は、前記(4)でカプセル化した後のパケットを転送する。このパケットは、ルータ3、分岐ルータ5およびアクセスルータ8をそれぞれ経由してモバイルノードMNにて受信され、モバイルノードMNは、分岐ルータ4およびホームエージェントHAが付与したカプセル化ヘッダをそれぞれ取り除く。これにより、モバイルノードMNは、前記(1)において、送信元ノードCNが送信したパケットを受信できる。
このように、各ルータおよびモバイルノードMNがネットワーク13の構成を知らなくても、バインディングキャッシュが動的に生成されるので、モバイルノードMNが高速に移動したときにおいても、その移動に追従できる。
また、このように、移動端末のうちの移動が生じたものに対してのみ動的にハンドオーバのためのネットワークリソースが確保されるので、ネットワークリソースが高効率で利用され、また、パケットロスの少ないデータ送受信が可能となり、これにより、移動通信をサポートできる。
図21は本発明の第1実施形態に係る第2のハンドオーバおよびパケット転送を説明するための図であり、アクセスルータ7からアクセスルータ8配下へのハンドオーバおよびアクセスルータ8配下でのパケット転送のシーケンス例が表示されている。この図21においても、上述したものと同一符号を有するものは同一のもの又は同様の機能を有する。
まず、モバイルノードMNがアクセスルータ8配下に移動すると(ステップC1)、モバイルノードMNはアクセスルータ7に対してルータ要請メッセージを送信する(ステップC2)。アクセスルータ7は、このメッセージを受信すると、モバイルノードMNに対してルータ広告メッセージを送信する(ステップC3)。モバイルノードMNは、このルータ広告メッセージを受信すると、モバイルノードMNが他のエリアに移動したことを検出し、CoA3を生成し(ステップC4)、分岐ルータ4に対して更新要求メッセージを送信する(ステップC5)。一方、分岐ルータ4は、この更新要求を受信するとバインディングキャッシュ(キャッシュ)を更新し(ステップC6)、モバイルノードMNに対して登録応答メッセージを送信する(ステップC7)。このように、モバイルノードMNはハンドオーバを実行する。
次に、ネットワーク12の送信元ノードCNは、モバイルノードMNに対してデータを送信するために、ネットワーク11のホームエージェントHAに対してパケットを送信する(ステップC8)。ホームエージェントHAはこのパケットを受信すると、CoA1宛てにカプセル化してそのカプセル化されたパケットを送信する(ステップC9)。分岐ルータ4は、そのパケットを受信すると自分自身のバインディングキャッシュを検索し(ステップC10)、CoA3宛てにカプセル化してそのカプセル化されたパケットを送信する(ステップC11)。このように、パケット転送も確実に行なえる。
既存の技術と本モバイル通信システム200とを比較すると、既存の階層化モバイルIPv6プロトコルにおいては、例えばアクセスルータ6,7が周期的にブロードキャストすることにより、各モバイルノードMNは、ネットワークの階層化エージェントがどこにあるのかを知ることができる。そして、各モバイルノードMNはその階層化エージェントのアドレスなどを参照し、どのルータの階層化エージェントに登録すればよいのかを知る。
これに対して、本モバイル通信システム200は、各モバイルノードMNは、モバイル通信システム200の構成を知らずに、自分自身のCoAwをネットワーク側に送信することにより、ネットワークの必要なノードに、キャッシュが動的に生成されるのである。
また、例えば、モバイルノードMNがアクセスルータ6の配下において通信を開始し、アクセスルータ6から外に移動しないで通信を続ける状態においては、新規なキャッシュは生成されない。すなわち、本発明は、モバイルノードMNが移動したときのみ、動的にキャッシュが生成されるので、既存の階層化モバイルIPv6に比べて、リソースの使用効率を高くできる。
なお、パケット転送は、折り返し機能を有する分岐ルータ4により行なわれていた。本発明の転送方法は、その折り返し機能を有するルータと、折り返し機能を有するがその折り返し機能を発揮しないで転送機能を発揮するルータとを組み合わせて実施することも可能である。以下、図22〜図26を用いて本発明の第1実施形態の変形例を説明する。これらの図22〜図26に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。
図22は本発明の第1実施形態に係るアクセスルータ7配下における位置登録動作を説明するための図であり、モバイル通信システム200においてモバイルノードMNがアクセスルータ7配下に移動してきたときの位置登録動作が表示されている。この図22に示す登録方法は、通常のモバイルIPv6におけるホームエージェントHAへの位置登録方法(図1参照)と同一である。
(1)モバイルノードMNは、ネットワーク11からネットワーク13のアクセスルータ7の無線エリアに移動する(点線部分参照)。
(2)モバイルノードMNは、アクセスルータ7が周期的又はモバイルノードMNからの要求の応答として送信するルータ広告メッセージを受信する。このルータ広告メッセージは、モバイルノードMNの接続リンクにおけるネットワークプレフィクス(例えば、312::/64)を含む。なお、階層化モバイルIPv6とは異なり、このルータ広告メッセージには、分岐ルータ4(図31のMAP1)のアドレスは含まれていない。
(3)モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージに含まれる接続リンクのネットワークプレフィクスに基づいて、CoA2(例えば、312::10)を生成する。
(4)モバイルノードMNは、ホームエージェントHAに対して位置登録メッセージBUを送信し、モバイルノードMNが生成したCoA2とホームアドレスとを登録する。
(5)ホームエージェントHAは、前記(4)の位置登録メッセージBUを受信すると、位置登録メッセージBUの内容に基づいてバインディングキャッシュを生成する。このインディングキャッシュはホームアドレスとCoA2の対応関係とを保持している。
(6)ホームエージェントHAは、モバイルノードMNに対して登録応答メッセージBAを送信し、登録を受理したことを通知する。
以降、送信元ノードCNからモバイルノードMNのホームアドレス宛てに送信されたパケットは、ホームエージェントHAによりインターセプトされ、モバイルノードMNのCoA2宛てにカプセル化されて転送される(図示省略)。階層化モバイルIPv6とは異なり、このカプセル化されたパケットは分岐ルータ4(図31のMAP1)によって再度カプセル化されない。
このように、無駄な処理が省略されるので、各ルータは、モバイルノードMNの高速移動に追従できる。
図23は本発明の第1実施形態に係る位置登録の他のパケット転送シーケンスを説明するための図であり、アクセスルータ7配下でのモバイルノードMNの位置登録および送信元ノードCNからモバイルノードMNに対してのパケット転送のシーケンス例を示す図である。この図23に示す符号などで、上述したものと同一符号を有するものは同一のもの又は同様の機能を有する。
まず、モバイルノードMNはアクセスルータ7配下に移動し(ステップD1)、アクセスルータ7に対してルータ要請メッセージを送信する(ステップD2)。アクセスルータ7は、このメッセージを受信すると、モバイルノードMNに対してルータ広告メッセージを送信する(ステップD3)。モバイルノードMNは、このルータ広告メッセージを受信しモバイルノードMN自身が他のエリアに移動したことを検出し、CoA2を生成する(ステップD4)。そして、モバイルノードMNは、ネットワーク11のホームエージェントHAに対してバインディングキャッシュの更新を要請するメッセージ(Binding Update)を送信し(ステップD5)、ホームエージェントHAはこのメッセージを受信すると、バインディングキャッシュを作成し(ステップD6)、アック(Binding Acknowledgement)をモバイルノードMNに対して送信する(ステップD7)。このように、モバイルノードMNが移動した後においても、位置登録が確実に行なえる。
続いて、ネットワーク12の送信元ノードCNは、モバイルノードMNに対してパケットを送信し(ステップD8)、ホームエージェントHAはその送信されたパケットを受信して中継して、モバイルノードMNに対して送信する(ステップD9)。このように、パケット転送も確実に行なえる。
このようにして、各ルータの配下が変更した後においても、位置登録およびパケット転送が確実に行なえる。
図24は本発明の第1実施形態に係る図22の位置登録動作後の状態からのハンドオーバ動作を示す図である。この図24に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。
(1)モバイルノードMNは、移動先のネットワーク13において、アクセスルータ7の無線エリアからアクセスルータ8の無線エリアに移動する(点線部分参照)。ここで、モバイルノードMNは、アクセスルータ8からの無線信号レベルがアクセスルータ7からの無線信号レベルよりも、高くなったことを検出すると、モバイルノードMNは接続先のアクセスルータ7をアクセスルータ8に切り替える。
(2)モバイルノードMNは、アクセスルータ8が周期的又はモバイルノードMNからの要求の応答として送信するルータ広告メッセージを受信する。このルータ広告メッセージは、モバイルノードMNの接続リンクにおけるネットワークプレフィクス(例えば、321::/64)を含む。なお、このルータ広告メッセージには、階層化モバイルIPv6とは異なり、分岐ルータ5(図31のMAP2)のアドレスは含まれていない。
(3)モバイルノードMNは、受信したルータ広告メッセージに含まれる接続リンクのネットワークプレフィクスに基づいて、CoA3(例えば、「321::10」)を生成する。このとき、モバイルノードMNは、移動前にアクセスルータ7配下にて使用していたCoA2を削除しない。
(4)モバイルノードMNは、ネットワーク13に対して、移動前のCoA2宛てのパケットを移動後のCoA3宛てへの転送設定を依頼するための登録要求メッセージをアクセスルータ8に対して送信する。
この登録要求メッセージは図13(a)に示す例と同様であるが、IPv6ヘッダの宛先アドレスは移動前のCoA2であり、送信元アドレスは移動後のCoA3である。登録要求メッセージの宛先はCoA2なので、アクセスルータ7配下のルータに対してルーティングされる。この途中、登録要求メッセージを含むパケットは、分岐ルータ5を通過するときに以下の処理が行なわれる。
(4−1)分岐ルータ5は、登録要求メッセージのホップバイホップオプションを解析する。
(4−2)分岐ルータ5は、ホップバイホップオプションのタイプ値により、このパケットが本発明の登録要求メッセージであることを検出する。
(4−3)分岐ルータ5は、登録要求メッセージの宛先アドレス「CoA2」を確認し、ルーティングテーブル(図13(b)参照)を検索する。
(4−4)分岐ルータ5は、その検索の結果、CoA2が312::10であり、また、これにマッチする宛先プレフィクスとして312::/64のエントリがヒットすることを知る。
(4−5)この登録要求メッセージを出力するインターフェースとしてインターフェース51が決定されるが、ダウンリンク情報が「No」なので、次の出力はダウンリンク側への出力ではない。従って、分岐ルータ5は、この登録要求メッセージをインターセプトしないで、通常のルーティングにより登録メッセージを転送する。換言すれば、分岐ルータ5は、このメッセージを単に通過させているのである。
(5)次に、分岐ルータ5にて転送された登録要求メッセージが分岐ルータ4を通過するときに以下の処理が行なわれる。
(5−1)分岐ルータ4は登録要求メッセージのホップバイホップオプションを解析する。
(5−2)分岐ルータ4は、ホップバイホップオプションに示されるタイプ値により、このパケットが本発明の登録要求メッセージであることを検出する。
(5−3)分岐ルータ4は登録要求メッセージの宛先アドレス「CoA2」を確認し、ルーティングテーブル(図13(a)参照)を検索する。
(5−4)分岐ルータ4は、検索の結果、CoA1が312::10であり、また、これにマッチする宛先プレフィクスが312::/64のエントリがヒットする。
(5−5)この登録要求メッセージを出力するインターフェース43であることが決定するが、ダウンリンク情報が「Yes」なので、次の出力はダウンリンク側への出力となり、分岐ルータ4はこの登録要求メッセージを転送しないで、インターセプトしてキャッシュ生成処理を開始する。
(6)分岐ルータ4はインターセプトした登録要求メッセージのIPv6ヘッダの送信元アドレス(CoA3)および宛先アドレス「CoA2」に基づいて、キャッシュを生成する。このキャッシュの有効時間は、ホップバイホップオプションヘッダに示される登録有効時間を参考に決定する。なお、この登録有効時間は、分岐ルータ4のポリシーで登録有効時間を長くしても短くしてもよい。
(7)分岐ルータ4は、登録応答メッセージを送信し、登録要求メッセージを受理したことを通知する。この登録応答メッセージは、図13(b)に示したものと同様であるが、IPv6の宛先アドレスはCoA3であり、送信元アドレスは分岐ルータ4である。宛先オプションヘッダの内容には、本宛先オプションが本発明の登録応答メッセージであることを識別するためのタイプ値および生成されたキャッシュの有効時間が表示されている。モバイルノードMNは、この登録応答メッセージによって、分岐ルータ4にてキャッシュが生成されたことを認識し、送信元アドレスから分岐ルータ4のアドレスを抽出し、記憶する。
このように、分岐ルータ4が折り返し機能を発揮するととともに、分岐ルータ5が通常のルーティングにより登録メッセージを転送している。すなわち、転送されたメッセージは、あたかも、分岐ルータ5においては、単に通過されているのである。
従って、本変形例においては、インターネット50に接続された各ルータが全て折り返し機能を発揮するのではなく、パケットの折り返し機能を発揮するルータ(分岐ルータ4)と、パケットの通過機能を発揮する機能を発揮するルータ(分岐ルータ5)とが協働することにより、効率のよいパケット転送が実現できるのである。
また、このように、モバイル通信システム200においては、モバイルノードMNがハンドオーバのためのリソースを予め確保していない状態において、ハンドオーバが発生したときのみ、その時点において、動的にキャッシュを生成する。
続いて、図25は本発明の第1実施形態に係るアクセスルータ8にハンドオーバ後のパケット転送動作を示す図である。
(1)送信元ノードCN(例えば、アドレスは200::20)は、モバイルノードMN宛てのパケットを送信する。このパケットの宛先アドレスはモバイルノードMNのホームアドレス(例えば、100::10)である。
(2)ホームエージェントHAは、モバイルノードMNの代わりにモバイルノードMN宛てのパケットをインターセプトする。そして、バインディングキャッシュに記録された情報に基づいて、インターセプトしたパケットに対して宛先アドレスをCoA2とするヘッダを付与してカプセル化する。
(3)ホームエージェントHAは、前記(2)でカプセル化した後のパケットを転送する。
(4)分岐ルータ4は、前記(3)で転送されたパケットの宛先「CoA2」についてのキャッシュが存在するので、キャッシュに記録された情報を元にパケットに対して宛先アドレスをCoA3とするヘッダを付与してカプセル化する。
(5)分岐ルータ4は、前記(4)でカプセル化した後のパケットを転送する。このパケットは、ルータ3、分岐ルータ5、アクセスルータ8をそれぞれ経由してモバイルノードMNにて受信され、モバイルノードMNは、分岐ルータ4およびホームエージェントHAが付与したカプセル化ヘッダをそれぞれ取り除き、前記(1)にて送信元ノードCNが送信したパケットを受信する。
そして、これ以降、モバイルノードMNがアクセスルータ8からアクセスルータ9へハンドオーバした場合には、図15を用いて説明した動作と同様のハンドオーバが実施される(図示省略)。
図26は本発明の第1実施形態に係るアクセスルータ7からアクセスルータ8配下へのハンドオーバおよびアクセスルータ8配下でのパケット転送の他のシーケンス例を示す図である。この図26に示す符号であって、上述したものと同一のものは同一のもの又は同様の機能を有する。
まず、モバイルノードMNがアクセスルータ8配下へ移動すると(ステップE1)、モバイルノードMNはアクセスルータ8に対して「ルータ要請」を送信する(ステップE2)。アクセスルータ8は、この「ルータ要請」を受信すると、モバイルノードMNに対してルータ広告メッセージ(ルータ広告)を送信し(ステップE3)、モバイルノードMNはこのメッセージを受信すると、移動検出を行なってCoA3を生成する(ステップE4)。そして、モバイルノードMNは、分岐ルータ5に対して登録要求メッセージをCoA2に対して送信する(ステップE5)。
この後の処理が図15に示す処理と異なる。すなわち、分岐ルータ5は、登録要求メッセージを受信すると、登録要求メッセージを分岐ルータ4に対して転送する(ステップE6)。このメッセージを受信した分岐ルータ4は、登録要求メッセージを終端処理して、キャッシュを生成し(ステップE7)、登録応答をモバイルノードMNに対して送信し(ステップE8)、そして、モバイルノードMNがこのメッセージを受信すると、分岐ルータ4のアドレスを記憶する(ステップE9)。
これにより、モバイルノードMNがアクセスルータ7からアクセスルータ8にハンドオーバした後においても、モバイルノードMNの位置を追跡する必要があるのは、分岐ルータ4のみでよく、他のルータは、通常通りの転送を行なえばよい。
また、この状態において、ネットワーク12の送信元ノードCNがモバイルノードMNに対してパケットを送信すると(ステップE10)、ネットワーク11にてホームエージェントHAがそのパケットを受信して、ステップE11において、そのパケットをカプセル化してCoA2に対して送信する。そして、このトンネリングされたデータは、分岐ルータ4において、キャッシュを検索される(ステップE12)。さらに、分岐ルータ4はCoA3宛てにカプセル化してモバイルノードMNに送信する(ステップE13)。
このように、モバイルノードMNがハンドオーバをした後において、送信元ノードCNが送信したパケットはホームエージェントHAを経由し、分岐ルータ4において折り返されて分岐ルータ5に転送される。そして、そのパケットは、分岐ルータ5を通過して、アクセスルータ8に転送され、これにより、モバイルノードMNに送信される。従って、ハンドオーバとパケット転送とが両方、確実に行なえる。
また、このように、モバイルIPを用いることにより、モバイル通信システム200は、送信元ノードCNに、送信先のIPアドレスが変更していないように見せることができる。すなわち、送信元ノードCNは、常時、ホームエージェントHAに対してアクセスするだけであり、通信中は、モバイルノードMNのアドレスが変更されたことを全く意識しないで、モバイルノードMNに対してパケットを送信できる。換言すれば、通信中に相手端末のアドレスが変わっても、その通信セッションは切断されてしまうことはない。
(B)本発明の第2実施形態の説明
第2実施形態においては、使用態様は2種類ある。まず、モバイルノードMNが第1実施形態にて説明した機能をそなえるとともに、ネットワーク11に設けられたDNSを用いてパケットの代理転送を可能とする(第1の態様)。この第1の態様においては、モバイルノードMNが、DNSを分岐ルータ4と併用し、分岐ルータ4を用いた移動サポート方法を用いる場合には、モバイルノードMNは、DNSにおけるモバイルノードMNのホスト名とアドレスとの対応関係を更新しない。
また、モバイルノードMNが、第1実施形態にて使用されていたモバイルIPを用いずに、DNSを用いた代理転送を行なう態様(第2の態様)も可能であり、この第2の態様についても説明する。
第1実施形態においては、ネットワーク12の送信元ノードCNが送信したパケットは、ネットワーク11のホームエージェントHAを経由してモバイルノードMNに転送されていた。
第2実施形態においては、送信元ノードCNからのパケットがモバイルノードMNに転送された後に、モバイルノードMNは、自分のCoAを送信元ノードCNに対して通知する。そして、送信元ノードCNがその通知を受信すると、送信元ノードCNが再度パケットをモバイルノードMNに対して送信するときにホームエージェントHAを介さずに直接に、モバイルノードMNが属するルータに対して送信するので、パケット転送の効率が向上する。
従って、モバイルノードMNが移動した先のルータに関する情報(CoA)を送信元ノードCNが得ることにより、転送効率が向上するのである。
図27は本発明の第2実施形態に係るモバイル通信システム200の構成例を示す図である。この図27に示すモバイル通信システム200構成例は、図1に示したモバイル通信システム200の構成例と基本的に同一であり、上述したものと同一符号を有するものは同一のもの又は同様の機能を有するものなので、更なる説明を省略する。
図27に示すモバイル通信システム200が第1実施形態の各構成例と異なる点は、モバイルノードMNがモバイルIPv6を使用していない点である。このため、図27においては、ネットワーク11にホームエージェントHAが存在しない。その代わりに、ネットワーク11にはDNSが設置されている。
DNSは、モバイルノードMNのホスト名(例えば、MN.home.net)とそのIPv6アドレスとの対応関係をレコードとして保持し、そのホスト名に対応するIPv6アドレスの問い合わせに応答する。また、モバイルノードMNは、モバイルIPv6を使用する場合のようにホームエージェントHAに位置登録を行なわない。その代わりに、モバイルノードMNは、使用するIPv6アドレスを変更した場合にはDNSにそれを通知し、DNSが保持するモバイルノードMNについてのレコードを更新する。
なお、DNSは、IPv6アドレスのほかにIPv4アドレスをレコードするようにもできる。
本発明のモバイル通信方法は、パケットを用いた通信が、インターネットプロトコルネットワークにおける物理的接続位置を変更した状態において通信可能なモバイルプロトコルを用いる場合、モバイルノードMNは、モバイルノードMN自身のホスト名とホームアドレス(IPv6アドレス)とを対応付けて保持するDNSの保持内容を変更しないように構成されている。
また、本発明のモバイル通信方法は、アクセスルータ6〜9のうちのアクセスルータ6と通信しているモバイルノードMNが、ネットワークプレフィクスの変化を検出し、モバイルノードMNのホスト名とモバイルノードMNの移動前のCoA1とを対応づけて保持するDNSに対して、ネットワークプレフィクスの変化に基づいて、モバイルノードMNの移動先を示すCoA1の変更登録要求メッセージを送信する。
そして、DNSは、そのDNSの保持内容を更新する。次に、送信元ノードCNが、DNSに対して前記ホスト名に対応するCoA1を問い合わせ、CoA1宛にパケットを送信するようになっている。
また、第2実施形態における通信は、モバイル通信システム200における物理的接続位置を変更した状態において通信可能なモバイルプロトコルを用いる場合、モバイルノードMNは、ホームエージェントHAヘの位置更新によらずに通信できるようにもなっている。
図28は本発明の第2実施形態に係るアクセスルータ6配下におけるDNS更新を説明するための図であり、モバイル通信システム200において、モバイルノードMNがアクセスルータ6配下に移動してきたときのDNS更新動作およびアクセスルータ6配下でのパケット転送シーケンス例が表示されている。この図28に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。
モバイルノードMNは、図14に示す動作(1)〜(3)と同様の動作によりアクセスルータ6配下でのアドレスとしてCoA1を生成する。すなわち、モバイルノードMNがアクセスルータ6配下に移動すると(ステップF1)、モバイルノードMNはアクセスルータ6に対してルータ要請メッセージを送信する(ステップF2)。アクセスルータ6は、このメッセージを受信すると、モバイルノードMNに対してルータ広告メッセージを送信する(ステップF3)。モバイルノードMNは、このルータ広告メッセージを受信すると、モバイルノードMNが他のエリアに移動したことを検出し、CoA1を生成する(ステップF4)。
次に、モバイルノードMNは、DNSに対して更新要求メッセージを送信して登録を要請する(ステップF5)。その登録内容は、モバイルノードMN自身のホスト名(例えば、MN.home.net)とIPv6アドレス(例えば、CoA1)との対応関係である。DNSは、ステップF6において、更新要求についてのレコードがない場合には、レコードを新規に登録する。既にレコードがあった場合にはそのレコードを更新する。そして、DNSは、モバイルノードMNに対してDNS更新応答メッセージを送信する(ステップF7)。これにより、位置登録が行なわれる。
この状態において、送信元ノードCNがモバイルノードMNにパケットを転送するときには、まず、送信元ノードCNは、DNSに対してモバイルノードMNのホスト名(MN.home.net)に対するIPv6アドレスを問い合わせ(ステップF8)、その応答としてDNSからモバイルノードMNのIPv6アドレス(例えば、CoA1)を取得する(ステップF9)。そして、送信元ノードCNは、IPv6アドレスを宛先としてパケットを送信する(ステップF10)。このパケットは、途中でカプセル化されずに、モバイルノードMNに転送される。これにより、パケット転送が行なわれる。
このように、階層化処理が実際に移動したモバイルノードについてのみ行なわれ、ネットワークへの負荷が軽減する。
図29は本発明の第2実施形態に係るハンドオーバおよびパケット転送を説明するための図であり、図28のDNS更新動作以降のアクセスルータ7配下へのハンドオーバおよびアクセスルータ7配下でのパケット転送シーケンス例が表示されている。この図29に示す符号で上述したものと同一のものは同一のものを表す。
図14に示す動作(1)〜(7)と同様の動作により、モバイルノードMNは、アクセスルータ7配下でのアドレスとしてCoA2を生成する(ステップG1,G2,G3およびステップG4)。そして、モバイルノードMNは、ネットワーク13の分岐ルータ4に対してキャッシュ生成のための登録要求メッセージを送信し(ステップG5)、分岐ルータ4はCoA1宛てのパケットをCoA2宛てに転送するためのキャッシュを生成する(ステップG6)。ここで、DNSに登録したレコードを更新する必要はない。その後、分岐ルータ4は、モバイルノードMNに対して登録応答メッセージを送信し(ステップG7)、モバイルノードMNは、分岐ルータ4のアドレスを記憶する(ステップG8)。
この状態において、送信元ノードCNは図27にてDNSに対する問い合わせの応答からモバイルノードMNのホスト名(例えば、MN.home.net)とIPv6アドレス(例えば、CoA1)とを記憶しており、モバイルノードMN宛てのパケットをCoA1宛てとして送信する(ステップG9)。このパケットは、分岐ルータ4において、図16に示す動作(4),(5)と同様の動作により、キャッシュ検索し(ステップG10)、CoA2宛てにカプセル化され、アクセスルータ7配下に存在するモバイルノードMNに対して転送される(ステップG11)。
従って、送信元ノードCNが送信したパケットは、分岐ルータ4を通過するときに、分岐ルータ4によってカプセル化されて、転送される。
このように、モバイルノードMNが移動後において、気付アドレスを有していれば、送信元ノードCNは、DNSにアクセスすることにより、モバイルノードMNの位置を知ることができ、ホームエージェントHAを用いずに、パケット転送が可能となる。
さらに、本発明はモバイルIPの代わりにDNSと組み合わせても同一の効果を得ることができ、また、モバイル通信システム200におけるモビリティ性能が改善され、下位レイヤおよび上位レイヤにかかわらず実施できる。
また、第1実施形態におけるモバイル通信システム200と同様の効果が得られる。すなわち、モバイルノードMNが実際に移動が発生したときにのみ、階層化アドレスを用いた場合における品質と同等な効果を出せる。また、モバイルノードMNが移動しないときには、何もメッセージが発生しないようにできる。
従って、このように、メッセージが何も発生しないので、伝送路に無駄なトラフィックが発生せず、効率的にモバイル通信システム200を運営又は維持が可能となる。
また、これにより、MAPを用いて処理すべきメッセージとして、全てのモバイルノードMNをサポートする必要がなくなる。従来技術を用いた場合は、サポートするエリアのモバイルノードMNが停止した状態で通話しているときにも、その停止しているモバイルノードMNについてまで周期的にその記録データをリフレッシュ(更新)していたので、モバイル通信システム200への負荷が大きかった。その負担が大幅に軽減される。
さらに、従来、MAPは、エリアに属する全てのモバイルノードMNについて、その状態を保持していたので、例えばメモリ容量などの物理的リソースを効率的に利用することができなかったが、この点についてもリソースを効率的に利用できるようになった。
モバイルノードMNが、さらに、モバイルIPv4又はモバイルIPv6を併用し、移動においてモバイル通信のサポート方法を用いる場合にはホームエージェントへの位置更新を行なわない。
(C)効果
以上詳述したように、上述した実施形態によれば、以下に述べるような効果ないしは利点がある。
(1)上述したモバイル通信方法によれば、ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおけるモバイル通信方法であって、モバイルノードが、複数のアクセスルータのうちの第1のアクセスルータと通信し、モバイルノードが、ネットワーク識別情報の変化に基づいて、モバイルノード自身の移動前の第1の仮アドレスを、第2のアクセスルータの移動後の第2の仮アドレスにするように複数のルータ側に対して変更登録要求を送信し、多段に接続された複数のルータのうちの分岐ルータが、第1の仮アドレスと第2の仮アドレスとを対応付けて保持するキャッシュを生成し、分岐ルータが、キャッシュに基づいて、第1の仮アドレス宛のパケットを第2の仮アドレス宛に転送するように構成されているので、モバイルノードが高速に移動したときに追従するとともに、既存のネットワーク構成の変更を伴わずに、ネットワークリソースの使用効率を向上させ、かつパケットロスの少ないデータ送受信効率を改善できる。
(2)モバイルノードが、ネットワーク識別情報の変化に基づいて、第1の仮アドレスを第2の仮アドレスにするように複数のアクセスルータのうちのいずれかのアクセスルータに対して変更登録要求を送信し、分岐ルータが、予め登録した第1の仮アドレスと変更登録要求に含まれる第2の仮アドレスとをバインディングして保持するキャッシュを生成し、分岐ルータが、送信元ノードから送信された第1の仮アドレス宛のパケットを代理受信しそのパケットを第2の仮アドレス宛に転送するように構成されてもよい。
(3)モバイルノードが、第1のアクセスルータおよび第2のアクセスルータの双方と異なる第3のアクセスルータの属するネットワーク識別情報に基づいて、第3のアクセスルータの第3の仮アドレスを生成し、モバイルノードが、分岐ルータに対して、第1の仮アドレスおよび第3の仮アドレスを含む登録更新依頼を送信し、分岐ルータが、登録更新依頼に含まれる第1の仮アドレスについてキャッシュを検索し、分岐ルータが、第1の仮アドレスについてのキャッシュを生成している場合は登録更新依頼に含まれる第3の仮アドレスを抽出し、分岐ルータが、抽出した第3の仮アドレスと第1の仮アドレスとを対応付けてキャッシュを更新し、分岐ルータが、送信元ノードから送信された第1の仮アドレス宛のパケットを代理受信しそのパケットをキャッシュの第3の仮アドレス宛に転送するように構成されてもよい。
(4)モバイルノードが、モバイルノード自身の移動が生じ、かつその時点においてモバイルノードが他のモバイルノード又はサーバとの通信が発生しているときに、変更登録要求を送信するように構成されてもよい。
従って、このようにすれば、ネットワークにおいてモバイル通信のためのネットワークリソースの常時確保が不要となる。
(5)モバイルノードがモバイル端末として構成されるとともに、仮アドレスが気付アドレスとして構成され、ネットワークに移動したモバイル端末が、ハンドオーバするときに、第2のアクセスルータに対して、モバイル端末の第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信し、分岐ルータが、第1のアクセスルータおよび第2のアクセスルータの接続位置に基づいて決定され、分岐ルータが、第1の気付アドレスと変更登録要求に含まれる第2の気付アドレスとの対応関係を保持するキャッシュを生成し、分岐ルータが、送信元ノードから送信された第1の気付アドレスの宛パケットを、キャッシュに基づいて、第2の気付アドレス宛に転送するように構成されてもよく、このようにすれば、ネットワークリソースの使用効率を向上させ、かつパケットロスの少ないモバイル通信のサポートが実現できる。
(6)モバイルノードがモバイル端末として構成されるとともに、仮アドレスが気付アドレスとして構成され、ネットワークにおける複数のアクセスルータのうちの少なくとも1台のアクセスルータが、アクセスルータ自身の属するネットワーク識別情報を含む広告メッセージを報知し、モバイル端末が、広告メッセージに含まれるネットワーク識別情報に基づいて第3の気付アドレスを生成し、モバイル端末が、ホームエージェントに対して第3の気付アドレスを含む位置登録要求を送信し、ホームエージェントが、ホームアドレスと第3の気付アドレスとの対応関係を保持するキャッシュを生成し、ホームエージェントが、送信元ノードから送信されたパケットであってモバイル端末の第3の気付アドレスを有するパケットを、キャッシュに基づいてモバイル端末に対して転送するように構成されてもよく、このようにすれば、ネットワークリソースの浪費を防止し、かつ、ハンドオーバ先のエリアにおいてモバイルノードMNがサービスを利用できない状況の発生を回避できる。
(7)パケットを用いた通信が、インターネットプロトコルネットワークにおける物理的接続位置を変更した状態において通信可能なモバイルプロトコルを用いる場合、モバイル端末は、ホームエージェントヘの位置更新によらずに通信できるように構成されてもよく、このようにすれば、多くのモバイルノードMNをサポートできる。
(8)パケットを用いた通信が、インターネットプロトコルネットワークにおける物理的接続位置を変更した状態において通信可能なモバイルプロトコルを用いる場合、モバイル端末は、モバイル端末自身のホスト名とモバイルノードの移動前の第1の仮アドレスとを対応付けて保持するドメイン・ネーム・システムの保持内容を変更しないように構成されてもよく、このようにすれば、処理性能が高いMAPをネットワークに数多く設置する必要がなくなる。
(9)さらに、上述したモバイル通信方法によれば、複数のアクセスルータのうちの第1のアクセスルータと通信しているモバイルノードが、ネットワーク識別情報の変化を検出し、モバイルノードが、モバイルノードのホスト名とモバイルノードの移動前の第1の仮アドレスとを対応づけて保持するドメイン・ネーム・システムに対して、ネットワーク識別情報の変化に基づいて、モバイルノードの移動先を示す第1の仮アドレスの変更登録要求を送信し、ドメイン・ネーム・システムが、ドメイン・ネーム・システムの保持内容を更新し、送信元ノードが、ドメイン・ネーム・システムに対してホスト名に対応する第1の仮アドレスを問い合わせ、送信元ノードが、第1の仮アドレス宛にパケットを送信するように構成されているので、モバイルノードが移動後において、気付アドレスを有していれば、送信元ノードは、ドメイン・ネーム・システムにアクセスすることにより、モバイルノードの位置を知ることができ、ホームエージェントを用いずに、パケット転送が可能となる。
(10)上述したルータによれば、モバイルノードの第1の仮アドレスを保持するキャッシュテーブルと、複数のアクセスルータを有するネットワークにおいて移動したモバイルノードからの第1パケットと送信元ノードからの第2パケットとを受信する第1受信部と、第1受信部にて受信された第1パケットが、モバイルノードの第1の仮アドレスから第2の仮アドレスへの変更登録要求を含む場合はキャッシュテーブルに保持された第1の仮アドレスを第2の仮アドレスに変更する変更処理部と、第1受信部にて受信された第2パケットを転送すべき次ホップノードのアドレスと、第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報とを対応付けたルーティング情報に基づいて、変更処理部にて変更された第2の仮アドレス宛に第2パケットを送信する第1送信部とをそなえて構成されているので、事業者は、ネットワークの運営,サポートおよび維持するために設備コストを低減できる。
(11)上述したルータによれば、モバイルノードがモバイル端末として構成されるとともに、仮アドレスが気付アドレスとして構成され、モバイル端末の第1の気付アドレスを保持するキャッシュテーブルと、複数のアクセスルータを有するネットワークにおいて移動したモバイル端末からの第1パケットと送信元ノードからの第2パケットとを受信する第1受信部と、第1受信部にて受信された第2パケットが、モバイル端末の第1の気付アドレスから第2の気付アドレスへの変更登録要求を含む場合はキャッシュテーブルに保持された第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更する変更処理部と、第1受信部にて受信された第1パケットを転送すべき次ホップルータのアドレスと、第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報と、次ホップルータの位置が上流側又は下流側かを示すリンク情報とを対応付けたルーティング情報に基づいて、変更処理部にて変更された第2の気付アドレス宛に第2パケットを送信する第1送信部とをそなえて構成されているので、リソースを確実に確保でき、かつ、リソースを効率的に利用できる。
(12)上述したルータによれば、モバイルノードがモバイル端末として構成されるとともに、仮アドレスが気付アドレスとして構成され、モバイル端末の第1の気付アドレスを保持するキャッシュテーブルと、移動したモバイル端末からの第1パケットと送信元ノードからの第2パケットとを受信する第1受信部と、第1受信部にて受信された第2パケットが、モバイル端末の第1の気付アドレスから第2の気付アドレスへの変更登録要求を含む場合はキャッシュテーブルに保持された第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更する変更処理部と、第1受信部にて受信された第1パケットを転送すべき次ホップルータのアドレスと、第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報と、次ホップルータの位置が上流側又は下流側かを示すリンク情報とを対応付けたルーティング情報を保持するルーティングテーブルと、ルーティング情報に基づいて変更処理部にて変更された第2の気付アドレス宛に第2パケットを送信する第1送信部とをそなえて構成されているので、アドレスの階層化処理を不要にできる。
(13)前記ルーティングテーブルが、次ホップルータのアドレスおよび宛先ネットワーク識別情報を対応付けた情報と、宛先ネットワーク識別情報およびリンク情報を対応付けた情報とを関連付けて保持するように構成されてもよく、このようにすれば、動的なネットワークリソースを確保できる。
(14)前記変更処理部が、論理として、変更登録要求について所定の論理によってアドレスの変更を決定するように構成されてもよく、その論理として次の(14)〜(18)を用いることができる。
(15)前記変更処理部が、論理として、変更登録要求メッセージに含まれる変更登録要求メッセージの宛先を示す第1の気付アドレスに対応する出力ポートとルーティングテーブルに保持された1又は複数の出力ポートとの一致/不一致に基づいて、アドレスの変更を決定する。
(16)前記変更処理部が、論理として、新規アドレスの登録に要するリソース容量に基づいてアドレスの変更を決定する。
(17)前記変更処理部が、論理として、アドレスの変更後所定時間が経過したときに変更を解除する。
(18)前記変更処理部が、論理として、変更されたアドレスに関する削除要求を受信した場合に、変更されたアドレスを削除する。
(19)前記変更処理部が、論理として、変更されたアドレスに関する削除要求を受信した場合は変更されたアドレスを削除するとともに、変更されたアドレスに関する削除要求を受信しない場合はアドレスの変更後所定時間が経過後したときに変更を解除する。
また、上記(15)〜(19)のようにすれば、自動的にアドレス設定が解除されるので、やはり、リソースの無駄な使用を回避できる。
(20)前記第1送信部が、登録応答のヘッダを、IPv6宛先オプションヘッダを用いて送信するように構成されてもよく、このようにすれば、既存のパケットフォーマットの変更を要せずに、リソース確保のための処理が可能となる。
(21)本発明のモバイルノードによれば、モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子を保持するルータ識別子保持部と、パケットを受信する第2受信部と、第2受信部にて受信されたパケットに含まれるネットワーク識別情報とルータ識別子保持部に保持されたアクセスルータの識別子とに基づいて、通信相手側が第1のアクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出する検出部と、検出部が変更を検出すると第2のアクセスルータに対して、モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信する第2送信部とをそなえて構成されているので、モバイルノードが実際に移動が発生したときにのみ、第1の仮アドレスを用いた場合における品質と同等な効果を出せる。
(22)本発明のモバイルノードによれば、モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子を保持するルータ識別子保持部と、パケットを受信する第2受信部と、第2受信部にて受信されたパケットに含まれるネットワーク識別情報と、ルータ識別子保持部に保持されたアクセスルータの識別子と、受信した信号品質とに基づいて、通信相手側が第1アクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出する検出部と、検出部が変更を検出すると第2のアクセスルータに対して、モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の仮アドレスに変更するよう変更登録要求を送信する第2送信部とをそなえて構成されているので、モバイルノードが移動しないときには何もメッセージが発生しないので、伝送路に無駄なトラフィックが発生せず、効率的にネットワークを運営又は維持が可能となる。
(23)前記第2送信部が、変更登録要求を、複数のルータのうちの分岐ルータが決定していない場合はモバイルノードの第1の気付アドレス宛てに送信するとともに、分岐ルータが決定している場合は分岐ルータ宛てに送信するように構成されてもよく、このようにすれば、ネットワークは、モバイルノードの移動場所にかかわらず、通信サービスを提供できる。
(24)前記第2送信部が、登録要求のヘッダを、IPv6ホップバイホップオプションヘッダ又はIPv6宛先オプションヘッダのうちの少なくとも一方を用いて送信するように構成されてもよく、このようにすれば、パケットロスを少なくでき、確実な通信が可能となる。
(25)本発明のモバイル通信システムによれば、少なくとも一台のルータが、キャッシュテーブルと、第1受信部,変更処理部,第1送信部をそなえ、モバイルノードが、ルータ識別子保持部,第2受信部,検出部,第2送信部をそなえて構成されているので、階層化処理が実際に移動したモバイルノードについてのみ行なわれ、ネットワークへの負荷が軽減する。
(26)少なくとも一台のルータが、モバイルノードの第1の気付アドレスとモバイルノードの第2の気付アドレスとの間における転送ルートのノードに設けられるように構成されているので、ネットワークの設備コストが低減される。
(27)本発明のモバイル通信システムによれば、複数のルータのうちのパケットを転送する少なくとも一台のルータが、キャッシュテーブルと、第1受信部と、変更処理部と、第1送信部とをそなえ、さらに、モバイルノードが、ルータ識別子保持部と、第2受信部と、検出部と、第2送信部とをそなえて構成されているので、ルータがサポートできるモバイルノードの数が向上する。
(28)前記ルータの変更処理部が、モバイルノードが送信した登録要求に対する確認応答をモバイルノードに対して送信するように構成されてもよく、このようにすれば、多くのモバイルノードがハンドオーバ先のエリアにおいてサービスを利用でき通信サービスの質が向上する。
(D)その他
本発明は、上述した実施形態又は変形例に限定されずに種々変形することができる。
アクセスルータ6〜9は、いずれも、モバイルノードMNと無線リンクにて接続されているが、このリンクは有線を用いることもできる。例えばモバイルノードMNとして可搬性(Portability)を有するパソコン(以下、可搬型パソコンと称する。図示省略)などを利用することもできる。
ここで、可搬型パソコン及びアクセスルータ6〜9のいずれもが、LANケーブルのコネクタを設け、そして、これらの間が有線ケーブルを用いて接続するのである。
このような構成により、可搬型パソコンが、ホームエージェントHAに対して自分自身の場所を予め登録する。次に、可搬型パソコンがユーザによって別の場所において、再度、ユーザがその可搬型パソコンを用いてネットワークに接続する。
この場合、可搬型パソコンは、電源を立ち上げ直すなどの操作をすることによって、自分自身が最初に接続していたネットワークとは異なる他のネットワークに接続していることを知る。
この状態において、可搬型パソコンが、例えば図16に示すような処理と同様な処理を行なうことによって、分岐ルータに相当するルータにおいて、キャッシュテーブルが生成される。
そして、他のネットワークにおける送信元ノードCNが、その可搬型パソコンに対してデータを送信すると、そのデータは、可搬型パソコンが以前いた場所とは異なる他の場所に転送されるのである。
このように、利用するユーザの幅が拡大する。
(E)付記
(付記1) ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおけるモバイル通信方法であって、
該モバイルノードが、該複数のアクセスルータのうちの第1のアクセスルータと通信し、
該モバイルノードが、該ネットワーク識別情報の変化に基づいて、該モバイルノード自身の移動前の第1の仮アドレスを、第2のアクセスルータの移動後の第2の仮アドレスにするように該複数のルータ側に対して変更登録要求を送信し、
該多段に接続された複数のルータのうちの分岐ルータが、該第1の仮アドレスと該第2の仮アドレスとを対応付けて保持するキャッシュを生成し、
該分岐ルータが、該キャッシュに基づいて、該第1の仮アドレス宛のパケットを該第2の仮アドレス宛に転送するように構成されたことを特徴とする、モバイル通信方法。
(付記2) 該モバイルノードが、該ネットワーク識別情報の変化に基づいて、該第1の仮アドレスを該第2の仮アドレスにするように該複数のアクセスルータのうちのいずれかのアクセスルータに対して該変更登録要求を送信し、
該分岐ルータが、予め登録した該第1の仮アドレスと該変更登録要求に含まれる該第2の仮アドレスとをバインディングして保持するキャッシュを生成し、
該分岐ルータが、送信元ノードから送信された該第1の仮アドレス宛のパケットを代理受信しそのパケットを該第2の仮アドレス宛に転送するように構成されたことを特徴とする、付記1記載のモバイル通信方法。
(付記3) 該モバイルノードが、該第1のアクセスルータおよび該第2のアクセスルータの双方と異なる第3のアクセスルータの属するネットワーク識別情報に基づいて、該第3のアクセスルータの第3の仮アドレスを生成し、
該モバイルノードが、該分岐ルータに対して、該第1の仮アドレスおよび該第3の仮アドレスを含む登録更新依頼を送信し、
該分岐ルータが、該登録更新依頼に含まれる該第1の仮アドレスについて該キャッシュを検索し、
該分岐ルータが、該第1の仮アドレスについての該キャッシュを生成している場合は該登録更新依頼に含まれる第3の仮アドレスを抽出し、
該分岐ルータが、抽出した該第3の仮アドレスと該第1の仮アドレスとを対応付けて該キャッシュを更新し、
該分岐ルータが、送信元ノードから送信された該第1の仮アドレス宛のパケットを代理受信しそのパケットを該キャッシュの該第3の仮アドレス宛に転送するように構成されたことを特徴とする、付記1記載のモバイル通信方法。
(付記4) 該モバイルノードが、
該モバイルノード自身の移動が生じ、かつその時点において該モバイルノードが他のモバイルノード又はサーバとの通信が発生しているときに、該変更登録要求を送信するように構成されたことを特徴とする、付記1記載のモバイル通信方法。
(付記5) 該モバイルノードがモバイル端末として構成されるとともに、該仮アドレスが気付アドレスとして構成され、
ネットワークに移動したモバイル端末が、ハンドオーバするときに、該第2のアクセスルータに対して、該モバイル端末の第1の気付アドレスを該第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信し、
該分岐ルータが、該第1のアクセスルータおよび該第2のアクセスルータの接続位置に基づいて決定され、
該分岐ルータが、該第1の気付アドレスと該変更登録要求に含まれる該第2の気付アドレスとの対応関係を保持するキャッシュを生成し、
該分岐ルータが、送信元ノードから送信された該第1の気付アドレスの宛パケットを、該キャッシュに基づいて、該第2の気付アドレス宛に転送するように構成されたことを特徴とする、付記1記載のモバイル通信方法。
(付記6) 該モバイルノードがモバイル端末として構成されるとともに、該仮アドレスが気付アドレスとして構成され、
ネットワークにおける該複数のアクセスルータのうちの少なくとも1台のアクセスルータが、該アクセスルータ自身の属するネットワーク識別情報を含む広告メッセージを報知し、
該モバイル端末が、該広告メッセージに含まれるネットワーク識別情報に基づいて該第3の気付アドレスを生成し、
該モバイル端末が、ホームエージェントに対して該第3の気付アドレスを含む位置登録要求を送信し、
該ホームエージェントが、該ホームアドレスと該第3の気付アドレスとの対応関係を保持するキャッシュを生成し、
該ホームエージェントが、該送信元ノードから送信されたパケットであって該モバイル端末の第3の気付アドレスを有するパケットを、該キャッシュに基づいて該モバイル端末に対して転送するように構成されたことを特徴とする、付記3記載のモバイル通信方法。
(付記7) 該パケットを用いた通信が、インターネットプロトコルネットワークにおける物理的接続位置を変更した状態において通信可能なモバイルプロトコルを用いる場合、該モバイル端末は、該ホームエージェントヘの位置更新によらずに通信できるように構成されたことを特徴とする、付記6記載のモバイル通信方法。
(付記8) 該パケットを用いた通信が、インターネットプロトコルネットワークにおける物理的接続位置を変更した状態において通信可能なモバイルプロトコルを用いる場合、該モバイル端末は、該モバイル端末自身のホスト名と該モバイルノードの移動前の第1の仮アドレスとを対応付けて保持するドメイン・ネーム・システムの保持内容を変更しないように構成されたことを特徴とする、付記6記載のモバイル通信方法。
(付記9) ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおけるモバイル通信方法であって、
該複数のアクセスルータのうちの第1のアクセスルータと通信している該モバイルノードが、該ネットワーク識別情報の変化を検出し、
該モバイルノードが、該モバイルノードのホスト名と該モバイルノードの移動前の第1の仮アドレスとを対応づけて保持するドメイン・ネーム・システムに対して、該ネットワーク識別情報の変化に基づいて、該モバイルノードの移動先を示す第1の仮アドレスの変更登録要求を送信し、
該ドメイン・ネーム・システムが、該ドメイン・ネーム・システムの保持内容を更新し、
送信元ノードが、該ドメイン・ネーム・システムに対して該ホスト名に対応する第1の仮アドレスを問い合わせ、
該送信元ノードが、該第1の仮アドレス宛にパケットを送信するように構成されたことを特徴とする、モバイル通信方法。
(付記10) ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおけるルータであって、
該モバイルノードの第1の仮アドレスを保持するキャッシュテーブルと、
該複数のアクセスルータを有するネットワークにおいて移動した該モバイルノードからの第1パケットと送信元ノードからの第2パケットとを受信する第1受信部と、
該第1受信部にて受信された第1パケットが、該モバイルノードの第1の仮アドレスから第2の仮アドレスへの変更登録要求を含む場合は該キャッシュテーブルに保持された該第1の仮アドレスを該第2の仮アドレスに変更する変更処理部と、
該第1受信部にて受信された第2パケットを転送すべき次ホップノードのアドレスと、該第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報とを対応付けたルーティング情報に基づいて、該変更処理部にて変更された該第2の仮アドレス宛に該第2パケットを送信する第1送信部とをそなえて構成されたことを特徴とする、ルータ。
(付記11) 該モバイルノードがモバイル端末として構成されるとともに、該仮アドレスが気付アドレスとして構成され、
該モバイル端末の第1の気付アドレスを保持するキャッシュテーブルと、
該複数のアクセスルータを有するネットワークにおいて移動した該モバイル端末からの第1パケットと該送信元ノードからの第2パケットとを受信する第1受信部と、
該第1受信部にて受信された第2パケットが、該モバイル端末の第1の気付アドレスから第2の気付アドレスへの変更登録要求を含む場合は該キャッシュテーブルに保持された該第1の気付アドレスを該第2の気付アドレスに変更する変更処理部と、
該第1受信部にて受信された第1パケットを転送すべき次ホップルータのアドレスと、該第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報と、該次ホップルータの位置が上流側又は下流側かを示すリンク情報とを対応付けたルーティング情報に基づいて、該変更処理部にて変更された該第2の気付アドレス宛に該第2パケットを送信する第1送信部とをそなえて構成されたことを特徴とする、付記9記載のルータ。
(付記12) 該モバイルノードがモバイル端末として構成されるとともに、該仮アドレスが気付アドレスとして構成され、
該モバイル端末の第1の気付アドレスを保持するキャッシュテーブルと、
該移動したモバイル端末からの第1パケットと該送信元ノードからの第2パケットとを受信する第1受信部と、
該第1受信部にて受信された第2パケットが、該モバイル端末の第1の気付アドレスから第2の気付アドレスへの変更登録要求を含む場合は該キャッシュテーブルに保持された該第1の気付アドレスを該第2の気付アドレスに変更する変更処理部と、
該第1受信部にて受信された第1パケットを転送すべき次ホップルータのアドレスと、該第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報と、該次ホップルータの位置が上流側又は下流側かを示すリンク情報とを対応付けたルーティング情報を保持するルーティングテーブルと、
該ルーティング情報に基づいて該変更処理部にて変更された該第2の気付アドレス宛に該第2パケットを送信する第1送信部とをそなえて構成されたことを特徴とする、付記10記載のルータ。
(付記13) 該ルーティングテーブルが、
該次ホップルータのアドレスおよび該宛先ネットワーク識別情報を対応付けた情報と、該宛先ネットワーク識別情報および該リンク情報を対応付けた情報とを関連付けて保持するように構成されたことを特徴とする、付記12記載のルータ。
(付記14) 該変更処理部が、
該変更登録要求について所定の論理に基づいてアドレスの変更を決定するように構成されたことを特徴とする、付記10〜付記13のいずれか一に記載のルータ。
(付記15) 該変更処理部が、
該論理として、該変更登録要求の宛先を示す第1の気付アドレスに対応する出力ポートと該ルーティングテーブルに保持された1又は複数の出力ポートとの一致/不一致に基づいて、該アドレスの変更を決定するように構成されたことを特徴とする、付記14記載のルータ。
(付記16) 該変更処理部が、
該論理として、新規アドレスの登録に要するリソース容量に基づいて該アドレスの変更を決定するように構成されたことを特徴とする、付記14記載のルータ。
(付記17) 該変更処理部が、
該論理として、該アドレスの変更後所定時間が経過したときに該変更を解除するように構成されたことを特徴とする、付記14記載のルータ。
(付記18) 該変更処理部が、
該論理として、変更されたアドレスに関する削除要求を受信した場合に、該変更されたアドレスを削除するように構成されたことを特徴とする、付記14記載のルータ。
(付記19) 該変更処理部が、
該論理として、変更されたアドレスに関する削除要求を受信した場合は該変更されたアドレスを削除するとともに、該変更されたアドレスに関する削除要求を受信しない場合は該アドレスの変更後所定時間が経過後したときに該変更を解除するように構成されたことを特徴とする、付記14記載のルータ。
(付記20) 該第1送信部が、
該登録応答のヘッダを、インターネットプロトコルバージョン6(以下、IPv6と表記する。)宛先オプションヘッダを用いて送信するように構成されたことを特徴とする、付記10〜付記13のいずれか一に記載のルータ。
(付記21) ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおける該モバイルノードであって、
該モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子を保持するルータ識別子保持部と、
該パケットを受信する第2受信部と、
該第2受信部にて受信されたパケットに含まれるネットワーク識別情報と該ルータ識別子保持部に保持された該アクセスルータの識別子とに基づいて、通信相手側が該第1のアクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出する検出部と、
該検出部が変更を検出すると、該モバイルノード自身の第1の気付アドレスが保持されている部分に対して、該モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信する第2送信部とをそなえて構成されたことを特徴とする、モバイルノード。
(付記22) ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおける該モバイルノードであって、
該モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子を保持するルータ識別子保持部と、
該パケットを受信する第2受信部と、
該第2受信部にて受信されたパケットに含まれるネットワーク識別情報と、該ルータ識別子保持部に保持された該アクセスルータの識別子と、受信した信号品質とに基づいて、通信相手側が該第1アクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出する検出部と、
該検出部が変更を検出すると該第2のアクセスルータに対して、該モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の仮アドレスに変更するよう変更登録要求を送信する第2送信部とをそなえて構成されたことを特徴とする、モバイルノード。
(付記23) 該第2送信部が、
該変更登録要求を、該複数のルータのうちの分岐ルータが決定していない場合は該モバイルノードの第1の気付アドレス宛てに送信するとともに、該分岐ルータが決定している場合は該分岐ルータ宛てに送信するように構成されたことを特徴とする、付記22記載のモバイルノード。
(付記24) 該第2送信部が、
該変更登録要求のヘッダを、IPv6ホップバイホップオプションヘッダ又はIPv6宛先オプションヘッダのうちの少なくとも一方を用いて送信するように構成されたことを特徴とする、付記22記載のモバイルノード。
(付記25) ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムであって、
該複数のルータのうちの該パケットを転送する少なくとも一台のルータが、
該モバイルノードの第1の気付アドレスを保持するキャッシュテーブルと、
該複数のアクセスルータを有するネットワークにおいて移動した該モバイルノードからの第1パケットと該送信元ノードからの第2パケットとを受信する第1受信部と、
該第1受信部にて受信された第2パケットが、該モバイルノードの第1の仮アドレスから第2の仮アドレスへの変更登録要求を含む場合は該キャッシュテーブルに保持された該第1の気付アドレスを該第2の気付アドレスに変更する変更処理部と、
該第1受信部にて受信された第1パケットを転送すべき次ホップルータのアドレスと、該第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報とを対応付けたルーティング情報に基づいて、該変更処理部にて変更された該第2の気付アドレス宛に該第2パケットを送信する第1送信部とをそなえ、
さらに、
該モバイルノードが、
該モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子を保持するルータ識別子保持部と、
該パケットを受信する第2受信部と、
該第2受信部にて受信されたパケットに含まれるネットワーク識別情報と該ルータ識別子保持部に保持された該第1のアクセスルータの識別子とに基づいて、通信相手側が該第1のアクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出する検出部と、
該検出部が変更を検出すると該第2のアクセスルータに対して、モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信する第2送信部とをそなえて構成されたことを特徴とする、モバイル通信システム。
(付記26) 該少なくとも一台のルータが、
該モバイルノードの第1の気付アドレスと該モバイルノードの第2の気付アドレスとの間における転送ルートのノードに設けられるように構成されたことを特徴とする、付記25記載のモバイル通信システム。
(付記27) ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムであって、
該複数のルータのうちの該パケットを転送する少なくとも一台のルータが、
該モバイルノードの第1の気付アドレスを保持するキャッシュテーブルと、
該複数のアクセスルータを有するネットワークにおいて移動した該モバイルノードからの第1パケットと該送信元ノードからの第2パケットとを受信する第1受信部と、
該第1受信部にて受信された第2パケットが、該モバイルノードの第1の気付アドレスから第2の気付アドレスへの変更登録要求を含む場合は該キャッシュテーブルを該第2の気付アドレスに変更する変更処理部と、
該第1受信部にて受信された第1パケットを転送すべき次ホップルータのアドレスと、該第2パケットに含まれる宛先ネットワーク識別情報とを対応付けたルーティング情報に基づいて、該変更処理部にて変更された該第2の仮アドレス宛に該第2パケットを送信する第1送信部とをそなえ、
さらに、
該モバイルノードが、
該モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子を保持するルータ識別子保持部と、
該パケットを受信する第2受信部と、
該第2受信部にて受信されたパケットに含まれるネットワーク識別情報と該ルータ識別子保持部に保持された該アクセスルータの識別子とに基づいて、通信相手側が該第1のアクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出する検出部と、
該検出部が変更を検出すると該第2のアクセスルータに対して、該モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の仮アドレスに変更するよう変更登録要求を送信する第2送信部とをそなえて構成されたことを特徴とする、モバイル通信システム。
(付記28) 該ルータの該変更処理部が、
該モバイルノードが送信した該変更登録要求に対する確認応答を該モバイルノードに対して送信するように構成されたことを特徴とする、付記25又は付記27記載のモバイル通信システム。
本発明の第1実施形態に係るモバイル通信システムの構成図である。 本発明の第1実施形態に係るモバイルノードのブロック図である。 本発明の第1実施形態に係るルータのブロック図である。 本発明の第1実施形態に係るモバイルノードの処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る分岐ルータの処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る分岐ルータの決定方法を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係るルータ配置場所の第1の構成図である。 本発明の第1実施形態に係るルータ配置場所の第2の構成図である。 本発明の第1実施形態に係るルータ配置場所の第3の構成図である。 本発明の第1実施形態に係るルータ配置場所の第4の構成図である。 本発明の第1実施形態に係るルーティングテーブルの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るルーティングテーブルの第2の例を示す図である。 (a)は本発明の第1実施形態に係る登録要求メッセージの一例を示す図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る登録応答メッセージのフォーマット例を示す図であり、(c)は本発明の第1実施形態に係る登録更新メッセージの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る位置登録動作を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係るハンドオーバ前の位置登録およびパケット転送シーケンスを示す図である。 本発明の第1実施形態に係る位置登録動作後の状態からのハンドオーバ動作を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るハンドオーバ後のパケット転送を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係るアクセスルータ変更後のハンドオーバおよびパケット転送シーケンスを説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係るハンドオーバ後の状態からさらにアクセスルータの配下ヘハンドオーバする場合の動作を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るアクセスルータにハンドオーバ後のパケット転送動作を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る第2のハンドオーバおよびパケット転送を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係るアクセスルータ配下における位置登録動作を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係る位置登録の他のパケット転送シーケンスを説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係る位置登録動作後の状態からのハンドオーバ動作を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るルータにハンドオーバ後のパケット転送動作を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るルータからルータ配下へのハンドオーバおよびルータ配下でのパケット転送の他のシーケンス例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るIPネットワークの構成例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るアクセスルータ配下におけるDNS更新を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係るハンドオーバおよびパケット転送を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係る分岐ルータがアクセスルータとして構成される例を説明するための図である。 階層化モバイルIPv6における位置登録動作を説明するための図である。 階層化モバイルIPv6におけるパケット転送を説明するための図である。 階層化モバイルIPv6におけるハンドオーバを説明するための図である。階層化モバイルIPv6におけるハンドオーバを説明するための図であり、 階層化モバイルIPv6におけるハンドオーバを説明するための図である。 階層化モバイルIPv6における非効率性を説明するための図である。
符号の説明
1〜3 ルータ(アクセスルータ)
4,5 分岐ルータ
6〜9 アクセスルータ
11 ネットワーク(ホームネットワーク又はホームリンク)
12 ネットワーク
13,13a〜13e ネットワーク
20a,40a 受信処理部
20b,40b パケット識別部
20c 登録要求メッセージ処理部
20d キャッシュテーブル
20e カプセル化処理部
20f,20f′ ルーティングテーブル
20g,40h 送信処理部
21a リソース監視部
21b リソース確保判断部
22 決定論理判断部
23 タイマ
40c デカプセル化処理部
40d アプリケーションプログラム通信部
40e アプリケーション状態監視部
40f 位置登録処理部
40g 移動検出部
41 無線送受信部
50 インターネット
200 モバイル通信システム

Claims (2)

  1. ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおける前記モバイルノードの通信方法であって、
    該モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子をルータ識別子保持部に保持し、
    受信したパケットに含まれるネットワーク識別情報と該ルータ識別子保持部に保持している該アクセスルータの識別子とに基づいて、通信相手側が該第1のアクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出し、
    前記変更を検出すると、該モバイルノード自身の第1の気付アドレスが保持されている部分に対して、該モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信することを特徴とする、モバイルノードの通信方法。
  2. ネットワーク識別情報を保持するモバイルノードと、該モバイルノードと通信可能な複数のアクセスルータを含む多段に接続された複数のルータとをそなえたモバイル通信システムにおける前記モバイルノードであって、
    該モバイルノード自身と通信しているアクセスルータの識別子を保持するルータ識別子保持部と、
    受信したパケットに含まれるネットワーク識別情報と該ルータ識別子保持部に保持している該アクセスルータの識別子とに基づいて、通信相手側が該第1のアクセスルータから第2のアクセスルータに変更したことを検出する検出部と、
    前記検出部により前記変更を検出すると、該モバイルノード自身の第1の気付アドレスが保持されている部分に対して、該モバイルノードの第1の気付アドレスを第2の気付アドレスに変更するよう変更登録要求を送信する送信処理部と、をそなえた、
    ことを特徴とする、モバイルノード。
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