JP2004111996A - 接続構造体及び表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 TCP(テープキャリアパッケージ)における駆動ICから生じる熱の放熱効率を向上させる。
【解決手段】 可撓性材料からなるフィルム層11と、フィルム層11上に搭載された半導体装置2と、フィルム層11上に形成された半導体装置2に接続し半導体装置2に対して信号を入力及び/又は出力するための第一の導体パターン7と、フィルム層11における第一の導体パターン7が形成されていない領域に設けられた、半導体装置2に対する信号の入出力に実質的に関与しない第二の導体パターン8と、を有するTCP(テープキャリアパッケージ)構造体。
【選択図】   図3

Description

 本発明は、接続構造体及び表示装置に関し、特にテープキャリアパッケージ(TCP)及びTCPに搭載された集積回路の発熱処理に関する。
 集積回路の基板実装方式の一つであるテープキャリアパッケージ(TCP)よるテープ自動ボンディング(TAB)方式は、高密度実装・スリムパッケージ化が可能、低実装コストなどの利点を有することから、薄型電卓用IC、液晶デイスプレイ(LCDという)の駆動用ドライバIC(以下ドライバICという)の実装を中心に普及している。また最近では中央演算プロセッサ(CPU)の実装にも利用されている。
 なお、このドライバICを基板に実装する集積回路の実装構造としては、集積回路を備えたTCPに電源等を供給する基板とを接続することにより、ドライバICを基板に実装するように構成されたものがある。
 ところで、LCDにおいては、近年の大判化・高解像度化に伴い、LCDの表示パネル側の配線数(走査線数、情報線数)の増加、長尺化が、またLCDに用いる集積回路の一例であるドライバICおいては高駆動能力・多ピン出力化が、さらにTCPにおいては入出力リードパターンの狭ピツチ化が進んでいる。このようにドライバICの高駆動能力・多ピン出力化が進むと、ドライバICの駆動負荷の増大によりドライバICの動作時における発熱量が増大するようになる。
 そして、このようにLCDにおいてドライバICの発熱量が増大すると、このドライバICの熱がTCPを介して液晶パネル側に伝導して液晶表示面内に温度分布が発生し、この温度分布により表示面内の画像表示能力の差が生じる等の不具合が発生する。
 このため、今日のLCD設計においては、表示面内の温度を均一化するため、バックライト、コントローラ・電源ユニット等の配置を最適化することによって均熱化を図るようにしているが、表示面近傍のTCPにおけるドライバICでの発熱が生じた場合、このような配置の調整による対策では充分に対処できず、また放熱板を取り付けることも困難である。
 一方、TCPを用いた基板実装技術は、LCDドライバICのみならず汎用の集積回路においても普及しつつある。そして、CPUを実装したTCPに関しても、近年の動作クロックの高速化、集積回路配線の細線化に伴い、集積回路の発熱が問題となってきている。従来のQFP(Quad Flat Package)などのパッケージの場合では、放熱板を取り付けることが可能であったが、TCPではその構造上困難である。
 そこで、本発明はこのような問題点を解決するために為されたものであり、特に集積回路及びTCPに発生する熱を効率的に放熱することのできる接続構造体及び表示装置を提供することを目的とするものである。
 本発明の第一は、可撓性材料からなるフィルム層と、前記フィルム層上に搭載された半導体装置と、前記フィルム層上に搭載された半導体装置に接続し、前記半導体装置に対して信号を入力又は出力するための第一の導体パターンと、前記フィルム層における前記第一の導体パターンが形成されていない領域に設けられ、前記半導体装置の電極に接続していない第二の導体パターンと、前記第一の導体パターンと接続させて設けた端子及び前記第二の導体パターンと接続させて設けたランドを備えたバス基板と、前記端子をコントローラ又は電源に接続し、前記ランドをグランド又は電源に接続したことを特徴とするものである。
 本発明の第二は、画素電極を備えると共に前記画素電極の端子が周縁部に形成された基板を少なくとも一つ有する表示パネルと、可撓性材料からなるフィルム層と、前記フィルム層上に搭載され、前記画素電極に駆動波形を供給するための出力電極及び信号を入力するための入力電極を備えた半導体装置と、前記フィルム層上に搭載された半導体装置に接続し、前記半導体装置に対して信号を入力するための導体パターン及び前記画素電極に接続させ、前記半導体装置からの駆動波形を出力するための導体パターンとを有する第一の導体パターンと、前記フィルム層における前記第一の導体パターンが形成されていない領域に設けられ、前記半導体装置の出力電極及び入力電極に接続していない第二の導体パターンと、前記第一の導体パターンと接続させる端子及び前記第二の導体パターンと接続させるランドを備えたバス基板と、前記端子をコントローラ又は電源に接続し、前記ランドをグランド又は電源に接続したことを特徴とするものである。
 本発明の第一によれば、半導体装置の電源及び信号リードパターンとなる第一の導体パターンとは別に半導体装置の信号の入出力に関与しない第二の導体パターンを形成する共に、この第二の導体パターンを、好ましくはTCPが実装される基板に接続することにより、かかる基板を一種の放熱板として利用して熱を効率的に放熱することができ、TCP及び半導体装置の温度上昇を抑制することができる。
 また、第二の導体パターンと別層で放熱用導体層を形成し、放熱用導体層あるいは上記導体パターンを、好ましくはTCPが実装される基板に接続させることにより、TCP及び集積回路の温度上昇を抑制することができる。
 また、本発明の第二によれば、テープキャリアパッケージの表面を無光沢な黒色とし表面放射率を高めることにより、TCP自身の空間への熱放射効率が向上し、集積回路の温度上昇を抑制することができる。
 加えて、テープキャリアパッケージに搭載する半導体装置(集積回路)が空間に露出している場合、露出部分を無光沢な黒色とし表面放射率を高めることによって、集積回路から空間への放熱効率の向上を図ることができる。
 さらにTCPを実装する基板自身(特に表示装置における回路基板)を無光沢な黒色化し、表面放射率を高めることにより、TCPから基板へ伝導した熱の空間への放射効率が向上するため、TCPから空間への熱放射効率を一層向上させることができる。
 また、通常のTCP実装を行った後、後処理としてTCP表面、集積回路表面、実装基板表面を黒色化し、かつ無光沢化することによっても同様の効果を得ることができる。
 本発明の接続構造体では、可撓性材料からなるフィルム層上に搭載された半導体装置に接続し、半導体装置に対して信号を入力又は出力するための第一の導体パターンと、バス基板に設けられた端子とを接続すると共に、この端子をコントローラ又は電源に接続する。また、フィルム層における第一の導体パターンが形成されていない領域に設けられ、半導体装置の電極に接続していない第二の導体パターンと、バス基板に設けられたランドとを接続すると共に、このランドをグランド又は電源に接続する。
 また、本発明の表示装置では、可撓性材料からなるフィルム層上に搭載され、半導体装置に対して信号を入力するための導体パターン及び半導体装置からの駆動波形を表示パネルに出力するための導体パターンを有する第一の導体パターンと、バス基板に設けられた端子とを接続すると共に、この端子をコントローラ又は電源に接続する。また、フィルム層における第一の導体パターンが形成されていない領域に設けられ、半導体装置の出力電極及び入力電極に接続していない第二の導体パターンと、バス基板に設けられたランドとを接続すると共に、このランドをグランド又は電源に接続する。
 以下、本発明に関連する具体的な態様を図面を参照して説明する。
 図1は、一般的な集積回路のTCP実装構造体によりドライバICを基板に実装した構成の駆動回路を備えた表示装置の平面図である。同図において、1は表示パネル、2は集積回路(半導体装置)であるドライバIC、3はフィルム層11にドライバIC2を搭載するTCP、4はドライバIC2に対して電源及び信号を供給するバス基板、5はドライバIC2から表示パネル1に電圧駆動波形を印加するための導体からなる出力リード部、6はバス基板4からドライバIC2に電源及び制御用信号を供給する導体からなる入力リード部を表している。
 図2は、図1に示すTCP構造体を導体パターン及びドライバIC2の面方向での(裏面側からみた)構成部材の平面配置を示す図である。TCP3ではフィルム層11の裏面側にリードパターン7、出力リード部5及び入力リード部6が形成され、フィルム層11の中央部においてドライバIC2が搭載されており、その入力電極及び出力電極(図示せず)は夫々リードパターン7の入力側及び出力側に接続されている。
 フィルム層11は、出力リード部5及び入力リード部6に対応する部分及びドライバIC2の直下の領域において除去されたような形状となっている。また、TCP3の裏面側は、少なくとも出力リード部5及び入力リード部6を除いて絶縁層(図示せず)により被覆されており、当該TCP3を裏面側から見た際には少なくとも出力リード部5及び入力リード部6が露出して、図1に示すようなバス基板4や表示パネル側の端子と接続するようになっている。
 図1に示す構造は、例えば、表示パネル1の基板の周縁部にはパネル内の画素に対応する端子が設けられ、ドライバIC2の出力リード部5との接続には例えば異方性導電接着材(ACF)による接着が、またバス基板4とドライバIC2の入力リード6との接続には、例えばはんだ溶接が用いられている。そして、このようにTCP3としてドライバIC2をバス基板4に接続することにより、ドライバIC用の制御用信号及び電源は、図示していないコントローラからバス基板4を通じ、入力リード部6よりドライバIC2に入力されるようになる。
 また、このドライバIC2は入力された信号情報から、表示パネル1を動作させるための駆動電圧波形を決定し、出力リード部5から表示パネル1へ出力する。そして、表示パネル1では、このドライバIC2より入力された駆動電圧波形により画像の表示がなされる。例えば、液晶表示パネルでは、入力された駆動電圧波形により画像の表示がなされる。例えば、液晶表示パネルでは、入力された駆動電圧波形により、液晶層での透過率が変化するようになり、これにより表示パネル1の画素のON/OFFが生じ画像表示がなされる。
 図3は本発明の第一における、一実施形態に係るTCP構造体について、導体パターン及びドライバICの面方向での(裏面側からみた)構成部材の平面配置を示す図である。図4は、図3のA−A線に添った部分での断面構造を示す図である。また、図5は図3に示すTCP構造体3の制御信号伝送用導体パターンが接続する回路基板(バス基板)の平面図である。尚、図3、4において、図1、2と実質的に同一の部材には同一の符号が付してある。
 図3、4において、8は可撓性材料からなるフィルム層11の裏面で、ドライバIC2に対して制御用の信号を入出力する第一の導体パターンとしてのリードパターン7、出力リード部5及び入力リード部6、が形成されていない余白部に設けられる放熱用の第二の導体パターンである。第二の導体パターン8は、好ましくはリードパターン7等の各ラインに比べて広い平面積を持つ島形状で設けられる。また、第二の導体パターン8は図3に示す配置のようにドライバIC2における対向する一組の辺の両側にドライバIC2を中心にして対称な図形で設けられることが好ましいがこれに限定されない。
 フィルム層11は、好ましくは少なくとも出力リード部5、入力リード部6に対応する部分、ドライバIC2の直下の領域が除去されたような形状となっている。
 TCP3の裏面側は、少なくとも出力リード部5、入力リード部6、更に第二の導体パターン8に相応する領域を除いて絶縁層(図4に示す15)により被覆されている。よって、当該TCP3を裏面側から見た際には少なくとも出力リード部5及び入力リード部6が露出し、図1に示すようにバス基板4や表示パネル側の端子と接続するようになっている。
 更にTCP3の裏面側では図4に示すように導体パターン8が、好ましくは領域3aにおいて露出している。そして、導体パターン8は、図5に示すようにバス基板4の上面に形成された放熱ランド10に、上記領域3aで対応して接続されることが好ましい。
 TCP3をバス基板4に接続する際、この本実施の形態のように第二の導体パターン8とバス基板4の放熱用の導体材料からなるランド10とを少なくとも熱的に接続すると共に、入力リード6を図5に示す端子6aと接続するようにすることにより、液晶表示装置動作時に発生するTCP3の熱のみならずドライバIC2の熱が、入力リード6及び導体パターン8を通じてバス基板4本体に伝導し易くするようになっている。
 このように、TCP3及びドライバIC2の熱をドライバIC2の入力側としてのバス基板4に伝えた場合、一種の放熱板として利用されるバス基板4自身の温度上昇が予想されるが、基板4の熱容量が大きいためドライバIC2での極瑞な温度上昇を有効に防止することができる。これにより、ドライバIC2の出力側となる側(例えば表示装置におけるパネル側)の極端な発熱を緩和することができ、表示面内温度分布の悪化を防ぐ事ができる。
 なお、TCP3における第1の導体パターンとしてのリードパターン7、出力リード部5、入力リード部6及び第2導体パターン8としては、例えばスズ、半田、Ni、金等でメッキされた銅箔が用いられる。また、フィルム層11としてはポリイミドやPET(ポリエチレンテレフタレート)が用いられる。
 図6は本発明の第一における、他の実施形態に係るTCP構造体について、導体パターン及びドライバICの平面での(裏面側から見た)構成部材の配置を示す図である。図7は、図6のA′−A′線に沿った部分での断面構造を示す図である。
 これらの図に示す態様では、フィルム層11の裏面側における第一の導体パターンとしてのリードパターン7、出力リード部5及び入力リード部6が形成されていない余白部に設けられた放熱用の第二の導体パターン8が、ドライバIC2の裏面側における少なくとも端部であって、制御用信号の入出力電極が存在しない部分で少なくとも熱的に接続している点が図3、4に示す態様と異なっている。
 そして、このように導体パターン8をドライバIC2に接続させることにより、ドライバIC2の熱は導体パターン8を介して直接バス基板4に伝わるようになる。特に、後者の場合、バス基板4との熱的結合が強化され、一層の熱拡散効果を得ることができる。
 なお、このドライバIC2の電源回路、特に電源電位(電源ライン)及び基準電位としてのグランド電位(グランドライン)は他の信号ラインに比べて幅が広く形成されることがよくある。この場合には、第二の導体パターン8を電源ラインやグランドラインに接続することにより、放熱をより効率的に行うことができる。また、第二の導体パターン8と接するバス基板側の放熱ランド10についてもグランド電位としたり、あるいは第二導体パターン8が電源ラインであればそれに応じた回路としてバス基板内で接続していることが好ましい。
 図3、6に示すTCPの態様では、導体パターン8は一層であったが、これまで述べた第二の導体パターン8に別の放熱用の導体層としての第三の導体パターンを形成し、これら2層の導体層によりドライバIC2及びTCP3の放熱を行うようにしてもよい。
 図8は本発明の第一における、更に他の実施形態に係るTCP構造体について、導体パターン及びドライバICの平面での(裏面側から見た)構成部材の配置を示す図である。図9は、図8のB−B線に沿った部分での断面構造を示す図である。
 図8、9において、フィルム層11の裏面側には、図3に示す態様と同様にドライバIC2に対して制御用の信号を入出力する第一の導体パターンとしてのリードパターン7、出力リード部5及び入力リード部6が形成され、更にこれらが形成されていない余白部に放熱用の第二の導体パターン8が設けられている。そして、フィルム層11の導体パターン8が形成されている領域及びリードパターン7が形成されている領域を含む部分の表面側には第二の導体パターン8と同様の機能を奏する放熱用の第三の導体パターン12(放熱導体層)が形成されている。第三の導体パターン12は、好ましくはドライバIC2を囲むように島形状で設けられる。そして、第三の導体パターン12の表面側(図9の上方側)は絶縁層11’により被覆されている。
 フィルム層11は、図3に示す態様と同様に好ましくは少なくとも出力リード部5、入力リード部6に対応する部分、ドライバIC2の直下の領域が除去されたような形状となっている。
 TCP3の裏面側は、少なくとも出力リード部5、入力リード部6、更に第二の導体パターン8に相応する領域を除いて絶縁層(図9に示す15)により被覆されている。よって、当該TCP3を裏面側から見た際には少なくとも出力リード部5及び入力リード部6が露出し、図1に示すようにバス基板4や表示パネル側の端子と接続するようになっている。更にTCP3の裏面側では図9に示すように導体パターン8が、好ましくは領域3b,3cにおいて露出している。そして、導体パターン8は、TCP3が例えば図1に示すようなバス基板4に接続される際に、バス基板4の上面に形成された任意の形状の放熱ランド10に、上記領域3b及び/又は3cで対応して接続されることが好ましい。
 ここで、この第三の導体パターン12は、図9に示すようにドライバIC2に接触するようになっており、このように第三の導体パターン12をドライバIC2に接触させることによりTCP3自体の熱伝導性を向上させている。即ち、ドライバIC2の熱を第三の導体パターン12により放出することができ、ドライバIC2で発生した熱の放出を促進することができる。
 さらに第二の導体パターン8、第三の導体パターン12をインピーダンスの低いドライバICのグランドラインあるいは電源ラインに接続することにより、それらの電位が固定されるのでノイズ、その他の悪影響を防止できる。
 また、図10は本発明の図8、9に示す実施形態の変形例によるTCP構造体の断面を示しており、フィルム層11の裏面側に形成された第二の導体パターン8及びフィルム層11の表面側に形成された第三の導体パターン12がいずれもドライバIC2に接続されており、そしてこれらがフィルム層11のパターン形状に応じて(フィルム層11が一部で除去されており)一部で接続している。こうして、ドライバIC2で発生した熱を導体パターン8及び12により効率よく放出することができ、熱の放出を促進することができる。
 さらに第二の導体パターン8、第三の導体パターン12をインピーダンスの低いドライバIC2のグランドラインあるいは電源ラインに接続することにより、それらの電位が固定されるのでノイズ、その他の悪影響を防止できる。
 このような場合、図10に示す態様では、第二の導体パターン8及び第三の導体パターン12が接続していることにより、上層となる第三の導体パターン12についてもフローティングの状態ではなく成り、電位が安定し好ましい。
 次に、以上説明した各実施の形態によるTCP実装構造体が用いられる表示装置について説明する。
 図11は、その表示装置の制御系のブロック図である。200は表示パネルであり、偏光板が組み合わされたものである。また、必要に応じて背面光源を有する。201はデコーダ及びスイッチを含む走査線駆動回路、202はラッチ回路、シフトレジスタ、スイッチ等を含む情報線駆動回路、203は両駆動回路201,202に供給する多数の基準電圧を発生する基準電圧発生回路、204はCPUや画像情報保持のためのRAMを含む制御回路、210は画像入力用のイメージセンサやアプリケーションプログラムが実行されているコンピュータ等の画像信号源である。
 そして、既述した実装構造体は、走査線駆動回路201、情報線駆動回路202を表示パネル200に接続する構造に適用される。
 本発明の第二は、TCP構造体における表面の少なくとも一方の一部、又は全部を黒色化、そして無光沢化処理し、TCP表面の表面放射率を高め、TCP表面からの熱の放散性を向上させたものである。ここで、表面放射率εとは、単位時間、単位面積当たりに放出されるエネルギーEと、その表面温度との関係を示す下記式により、得られる値である。
   E=ε・σ・T
 ここで、σはステファンボルツマン定数を表わしている。本発明では、黒色化処理によって少なくともε>0.95(T:室温)となるようにする。
 黒色、無光沢の処理として、例えば上記表面放射率を与える黒色でつや消し性能のある塗料をTCP構造体の表面に塗布する方法や、上記表面放射率を与える黒色材料のフィルム層をTCP構造体の表面に貼付する方法が用いられる。上記塗布の方法で用いる黒色塗料の母材料として、好ましくはシリコン樹脂等が用いられる。
 上記TCP構造体における黒色化、そして無光沢化の領域は、好ましくは可撓性フィルム層の少なくとも一方の面側の全域に亘って設けられる。更には半導体装置の露出部分をもフィルム層と同様の黒色で無光沢な領域とすることが好ましい。
 上記TCP構造体では、半導体装置に対して電源及び信号を入力し、あるいは半導体装置から信号が出力される基板に第一の導体パターンによって実装されて回路接続構造が形成され、当該半導体装置が動作する際に半導体装置及び/又は第一の導体パターンにより発生する熱が、上記黒色化され無光沢化した領域からより効率的に当該領域に接する空間に放散される。
 上記TCP構造体は、特に表示装置における駆動ICの実装に好適に用いることができる。特に、上記TCP構造体における半導体装置を駆動ICとして、その出力側電極を第一の導体パターンを介して表示装置の表示パネル側の基板の電極端子に接続し、入力側電極を他の第一の導体パターンを介して上記表示パネルに対して電源及び信号を供給する回路基板と接続する。こうして、特に駆動IC及び実際の信号や電源の伝達がなされる第一の導体パターンで生じる熱の表示パネル側への伝導を極力低減し、構造体の表面、特にフィルム層の表面等から放散させる。ひいては、表示装置、特に表示特性の温度依存性がある液晶表示装置において高速駆動時等でも良好な画像が得られる。
 特に好ましくは、前述した第一のTCP構造体、即ち半導体装置が搭載される可撓性フィルム層上に、半導体装置に接続し該半導体装置に対して信号を入力及び/又は出力するための第一の導体パターンとは別に、半導体装置に対する信号の入出力に実質的に関与しない、例えば少なくとも半導体装置における信号入出力の電極には実質的に接続していない第二の導体パターンを設けた構造体において、その少なくとも一方の表面側の一部又は全部を黒色化、無光沢領域とすることで、特に表示装置の駆動IC実装部における熱放散が最も好適になされる。
 以下、上記本発明の第二のTCP構造体に関連する具体的な態様を図面を参照して説明する。
 かかる第二のTCP構造体及びこれを用いた回路接続構造(特に表示装置における実装構造)は、構造的には前述した図1及び図2と同様であり、少なくとも図1に示すTCP3のフィルム層11の表面側が、例えば黒色つや消し塗料を塗布することにより黒色化且つ無光沢化されている。
 図12に図1に示す構造のC−C線に沿った断面図を示す。同図に示すように、TCP3における入力リード部6はバス基板4との間で、例えば半田16を介して接続されている。また、出力リード部5は液晶表示パネル1側と、例えば異方性導電性接着剤13を介して接続されている。そして、少なくともフィルム層11の表面側(図3では上面側)が上述したように無光沢化されている。より好ましくは、フィルム層11の表面と共にドライバIC2の表面(ドライバIC2の露出している面)、更にはドライバIC2とリードパターンとを接続した箇所を封止した領域14の表面をも上述したように黒色化且つ無光沢化する。
 ドライバIC2を搭載したTCP構造体に対して黒色、無光沢化処理したサンプル及び無処理のサンプルに、以下のように熱抵抗を測定し、放熱性を比較した。
 TCP構造体としては、図2に示すように平面配置を有する構造体であって、錫メッキされた銅からなる入力及び出力用のリードパターンが形成されたポリイミドからなるフィルムキャリヤ(外形縦170mm×横260mm、表面放射率0.85以下)に、ドライバIC(サイズ縦8mm×横5mm、表面放射率0.6以下)を搭載したものを用い、TCP構造体のフィルムキャリヤ及びドライバICの全面に亘って黒色のシリコン樹脂系塗料(アサヒペン社製黒色つや消し塗料/40〜100℃でε:0.98程度)を全面が完全に黒色塗料にて被覆されるようにスプレー塗布したサンプル、及び無処理のサンプルを用意した。
 まず、これらサンプル単体を恒温槽に入れ、温度を変化させながら、IC内のダイオード部の電流−電圧(I−V特性)特性を測定し、かかる特性の温度依存性を調べ、特に定電流1mAの際の順方向電圧Vfを調べた。続いて、各サンプルのドライバICについて、実駆動時と同様の発熱状態を再現するため、ドライバICの入力側より電源信号を入力し、出力トランジスタをON状態にして、トランジスタのON抵抗で発熱させた。
 その時のIC温度を、駆動中のIC内のダイオードのI−V特性を定電流ImAを流してモニターし、特にこれを上記IC単独で測定したI−V特性に基づいて求めた。このような方法に沿って、室温(25℃)、無風状態の空間にて、所定の電力をドライバICに消費させ、チップ内温度が一定になった時点での消費電力及びIC内温度を測定し、
 熱抵抗Rth=ΔT/P(ΔT:チップ温度、P:消費電力(W))を求めた。
 各サンプルにおける消費電力と熱抵抗Rth(℃/W)の関係を図13に示す。同図においては、◆は無処理のサンプル、■は処理サンプルのプロットである。
 同図の結果より、塗料の塗布により黒色無光沢化処理を行ない表面放射率を向上させたTCP構造体では、消費電力あたりの温度上昇が低減されており、実装された際においても、駆動ICの消費電力の増大に伴い発生する熱が効率よく放散させることが認められる。
 このようにTCP構造体の正面を黒色化、そして無光沢化することで、表面放射率を高め、TCP表面から放熱性を高めることができる。
 更に、TCP構造体を実装するバス基板自身の表面をTCP構造体と同様に黒色化し無光沢化することでTCP構造体からバス基板へ伝導した熱の空間への放射効率を向上させることができ、TCP構造体から空間への熱放射効率が向上する。
 また、TCPをバス基板に実装後、TCP表面、露出しているドライバIC2の表面及びバス基板の一部、又は全部を黒色化・無光沢化することによっても同様の効果を得ることができる。
 なお、前述したような図3、6、8に示したようなTCPにおいて放熱用の第二の導体パターン8、更には第三のパターン12を形成したものにおいても、少なくとも一方の全部又は一部を黒色化し、無光沢化処理して表面放射率を高めることが放熱効率を最大限に高める点で最も好ましい。
TCP構造体を実装した表示装置の一例を模式的に示す平面図。 TCP構造体の一例における構成部材の配置を説明する図。 本発明の一実施態様にかかるTCP構造体における構成部材の配置を説明する図。 図3に示す構造のA−A線に沿った断面図。 本発明の一実施態様にかかるTCP構造体が接続される基板の構造を示す平面図。 本発明の他の実施態様にかかるTCP構造体における構成部材の配置を説明する図。 図6に示す構造のA′−A′線に沿った断面図。 本発明の更に他の実施態様にかかるTCP構造体における構成部材の配置を説明する図。 図8に示す構造のB−B線に沿った断面図。 図9に示す構造の変形例を示す断面図。 表示装置の制御系を示すブロック図。 図1に示す構造のC−C線に沿った断面図。 本発明の実施態様のTCP構造体における消費電力と熱抵抗との関係を測定した結果を示す図。
符号の説明
1    表示パネル
2    ドライバーIC
3    TCP
4    バス基板
5    出力リード部
7    リードパターン
8    第二の導体パターン
11   フィルム層
12   第三の導体パターン
15   絶縁層

Claims (2)

  1.  可撓性材料からなるフィルム層と、
     前記フィルム層上に搭載された半導体装置と、
     前記フィルム層上に搭載された半導体装置に接続し、前記半導体装置に対して信号を入力又は出力するための第一の導体パターンと、
     前記フィルム層における前記第一の導体パターンが形成されていない領域に設けられ、前記半導体装置の電極に接続していない第二の導体パターンと、
     前記第一の導体パターンと接続させて設けた端子及び前記第二の導体パターンと接続させて設けたランドを備えたバス基板と、
     前記端子をコントローラ又は電源に接続し、前記ランドをグランド又は電源に接続したことを特徴とする接続構造体。
  2.  画素電極を備えると共に前記画素電極の端子が周縁部に形成された基板を少なくとも一つ有する表示パネルと、
     可撓性材料からなるフィルム層と、
     前記フィルム層上に搭載され、前記画素電極に駆動波形を供給するための出力電極及び信号を入力するための入力電極を備えた半導体装置と、
     前記フィルム層上に搭載された半導体装置に接続し、前記半導体装置に対して信号を入力するための導体パターン及び前記画素電極に接続させ、前記半導体装置からの駆動波形を出力するための導体パターンとを有する第一の導体パターンと、
     前記フィルム層における前記第一の導体パターンが形成されていない領域に設けられ、前記半導体装置の出力電極及び入力電極に接続していない第二の導体パターンと、
     前記第一の導体パターンと接続させる端子及び前記第二の導体パターンと接続させるランドを備えたバス基板と、
     前記端子をコントローラ又は電源に接続し、前記ランドをグランド又は電源に接続したことを特徴とする表示装置。
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