以下、この発明の放射線画像読取装置の実施の形態について説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明の用語はこれに限定されない。 以下、図面を参照してこの発明の実施の形態例を詳細に説明する。図1(A)、(B)は、この発明の放射線画像読取装置で使用するカセッテ1を示す図である。
カセッテ1は、分離可能なフロント板10とバック板20より構成される。図1(A)及び(B)はカセッテ1のフロント板10とバック板20を分離させた時の斜視図、図2はカセッテ1のフロント板10とバック板20を合体させた時の断面図、図3(A)〜(H)はロック機構の状態を示すカセッテ1の断面図、図4(A)及び(B)はカセッテ1のロック機構を説明する図、図5(A)及び(B)はバック板20を裏側(フロント板10と反対側)から見た図である。
フロント板10は、フレーム11と前面板13より構成される。前面板13の内面には不織布17が貼り付けられている。フレーム11は、フレーム側面110と、フレーム底面111と、所定の角度の傾斜を持つ傾斜面112と、内向面113と、フレーム内面114と、遮光突起115と、挿入穴14と、切り込み15a、15bと、ロック用凹部16a、16b、16c、16d、により構成される。傾斜面112と、フレーム内面114と、遮光突起115は、フレーム11内部に凹部12を形成する。
このように、フレーム11に傾斜面112を設けることによって、バック板20がフロント板10と合体する時の位置合わせ精度をラフに設計することができる。すなわち、フレーム11に傾斜面112を設けることによって、バック板20がフロント板10と合体する時の位置が多少ずれても、傾斜面112がバック板20を合体位置まで自動的に導くため、装置側の部品精度や組立精度に対する要求を甘くすることができる。また、装置の輸送時に装置の骨格や機構に微妙な変形が生じても、フロント板10とバック板20の合体作業で不具合を起こす確率を極めて小さくすることができる。
フレーム11は、例えばアルミニウムや硬質プラスチックなど、全荷重撮影時の大きな荷重に耐えうる材質でできていることが好ましく、前面板13は、例えばアルミニウムや炭素繊維強化プラスチックなど、強度があって放射線吸収の比較的小さい部材で形成されることが好ましい。
カセッテ1の側面側を開閉したり、カセッテ1の側面板を引き出したりするタイプのカセッテでは、カセッテ側面の外周を切れ目無い構造で構成できないので、フロント側からの荷重に対して弱い構造となっている。一方、この実施の形態では、フロント板10のフレーム11が前面板13の外周を切れ目無く覆う構造となっているので、撮影中にカセッテ1のフロント板10側からかかる荷重をフレーム11全体で均等に受け止めることできる。このため、フロント板10側からかかる荷重に対して極めて強い構造となっている。
バック板20は、バック板本体21と、X線吸収シート25と、支持板27と、輝尽性蛍光体シート28より形成される。
輝尽性蛍光体シート28は、X線吸収シート25を介して支持板27に接着されており、支持板27は、両面テープや接着剤などによって張り替え可能な強さで接着部214の表面に接着されている。X線吸収シート25は、例えば鉛シートであり、輝尽性蛍光体シート28を透過したX線を吸収する。これにより、支持体27やバック板本体21などの輝尽性蛍光体シート28の後方に位置するカセッテ1の構造物からの後方散乱線や、カセッテ1のさらなる後方に存在するかも知れないその他の構造物からの後方散乱線が、輝尽性蛍光体シート28に到達するのを防ぐ役割をはたす。接着部214とリブ215は空気相23を形成し、カセッテの軽量化に貢献する。このように、支持板27を有する輝尽性蛍光体シート28は、バック板本体21と引き剥がし可能な形態で一体構造を形成している。
輝尽性蛍光体シート28を交換したい場合は、支持板27ごと接着部214から剥がし取り、その後、新しい輝尽性蛍光体シート28が添付された支持板27を、両面テープや接着剤などによって接着部214に接着すれば良い。支持板27と接着部214の接着に両面テープを使用する場合は、支持体27側の接着部214との接着箇所に予め両面テープを接着しておくのが好ましい。予め支持体27側に両面テープを接着しておけば、バック板本体21から支持板27を引き剥がす際に、両面テープがバック板本体21の接着部214側に残らず、輝尽性蛍光体シート28の支持板27と一緒に剥がれるので、次の輝尽性蛍光体シート28が添付された支持板27の貼り付け時に、接着部214の接着面の清掃処理(前の両面テープの残骸を清掃する処理)が容易になる。
また、輝尽性蛍光体シート28が添付された支持板27の交換を容易にするために、支持板27を両面テープや接着剤などによって接着部214に接着するのではなく、磁力によって吸着するように構成しても良い。例えば、支持板27の裏面(輝尽性蛍光体シート28が貼り付けられていない方の面)の一部(接着部214との接着面)にマグネットを接着し、一方、接着部214、若しくは接着部214の表面を磁性体の物質で構成する。このような構成を取れば、輝尽性蛍光体シート28が接着された支持板27を簡単にバック板20から取り外すことができる。また、支持板27の裏面の一部(接着部214との接着面)に磁性体を配し、接着部214若しくは接着部214の表面部分をマグネットで構成するようにしても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
支持板27には、軽量で温湿度変化による変形が少なく、かつ平面性の良い0.5mm〜3mm程度の厚みを持った樹脂板、例えば、ガラスエポキシ樹脂板や紙フェノール樹脂板などの樹脂板や、軽量で強度のある炭素繊維強化プラスチックなどを使用することができる。また、支持板27としてアルミニウムやマグネシウム合金のように軽量な金属板を使用しても良い。
支持板27に金属を使用する場合は、より軽量化するために、小さな穴を金属面全面にあけるようにすると良い。
バック板本体21は、バック板裏面210と、バック板側面211と、リム212と、接着部214と、リブ215と、鉄箔などの磁性体シート29によって構成されている。リム212の内側には、遮光突起115を受け入れるための凹部22が形成されている。
バック板20とフロント板10を図2のように合体したとき、バック板20の凹部22ヘフロント板10の遮光突起115が入り込むように作用し、フロント板10の凹部12ヘバック板20のリム212が入り込むように作用する。このような方法で、外光が輝尽性蛍光体シート28へ到達しないように遮光を行う。フロント板10の凹部12へ例えばビロードやスポンジなどを貼り付けるとさらに遮光性を向上することができる。
また、図2に示すように、フロント板10とバック板20が合体した状態で、フロント板10の傾斜面112の先端及びフレーム11の内向面113と、バック板側面211の間にある程度の隙間が生ずるように設計されている。この隙間は、フロント板10とバック板20の合体をスムーズに行うために必要な隙間である。隙間の間隔は0.2〜2mm程度あれば、フロント板10とバック板20の合体を十分スムーズに行うことができる。また、この隙間は、フロント板10とバック板20の製造誤差やバック板の熱膨張を吸収する意味でも重要であり、フロント板10とバック板20の合体動作の信頼性と安定性を向上させている。 この実施の形態では、上述したような凹部と凸部の組合せによる遮光方法を採用しているため、この隙間から入り込んだ外光が、輝尽性蛍光体シート28まで到達して輝尽性蛍光体をかぶらせる心配は無い。
また、図2に示すように、フロント板10とバック板20が合体した状態のとき、特にフロント板10の前面板13からバック板20側に向けて圧力をかけなければ、前面板13に添付されている不織布17と輝尽性蛍光体シート28の表面の間の空間120が、ちょうどゼロになるか、もしくは若干の空間が存在するように設計されており、通常に放置された状態では、輝尽性蛍光体シート28の表面にフロント板側から圧力がかからないようになっている。
バック板本体21は、図6の磁石58へ磁力で吸着可能なように、図2に示すように、バック板本体21を通常のプラスチックで形成し、バック板裏面210に鉄箔などの磁性体シート29を張り付ける構成とした。磁性体シート29の表面には図示しないラミネートプラスチックが覆っているか、もしくは塗料を塗布した状態となっており、磁性体シート29が露出しないように構成されている。例えば磁性体シート29を貼るのでは無くバック板本体21そのものを磁性体プラスチックなどで形成しても良い。また、バック板裏面210に、磁性体物質を塗布する方法などを用いても良い。
また、バック板裏面210は、磁石58に吸着された時に、磁石58によって形成される平面にバック板裏面210が従うように設計されている。すなわち、バック板20は、ある程度の剛性を有すると共に、磁石58によって形成される平面に従うことができるだけの柔軟性を有している。このように、バック板20にある程度の柔軟性を持たせることで、例えばバック板20が経年変化や使用状況によって変形したり反ったりしても、磁石58側の平面に従うことでバック板20の変形や反りが矯正される。従って、画像情報読み取り時に輝尽性蛍光体シート28の表面を常に平面に保つことができる。
フロント板10側から荷重のかかる撮影(ベッド撮影や全荷重撮影など)が行われると、フロント板10の前面板13はバック板20側に向けて相当量のそりを発生する。この時、バック板20の剛性が高すぎるとバック板20が平面性を維持してしまうため、輝尽性蛍光体シート28が、フロント板10とバック板20の双方から相当量押圧されることになり、輝尽性蛍光体を痛めてしまう。上述したように、バック板20が、ある程度の剛性と、ある程度の柔軟性の双方を有していれば、バック板20がフロント板10からの押圧から逃げる方向に、ある程度しなることができるので、輝尽性蛍光体を痛めることが無くなる。
無論、バック板20に必要以上の柔軟性を持たせるべきではない。バック板20に必要以上の柔軟性を持たせると、カセッテ1の耐久性が低下してしまう。また、バック板20に必要以上の柔軟性を持たせると、バック板20の自重によるバック板20の弛み量が大きくなって遮光性で問題が生じたり、撮影時に、輝尽性蛍光体面の平面性に問題が生じたりする。
また、バック板本体21を軽量に仕上げかつ曲げ強度を増す目的と、輝尽性蛍光体シート28がフロント板10側から押圧された時の変形量に歯止めをかける目的でバック板本体21にはリブ215が形成されている。さらに、フロント板10側から押圧された時に前面板13が輝尽性蛍光体シート28面に接触して輝尽性蛍光体シート28面を傷つけないように、前面板13の輝尽性蛍光体シート28側の面に不織布17を配してある。不織布17は、前面板13よりも小さく輝尽性蛍光体シート28の蛍光体塗布面よりも大きい(蛍光体塗布面全体をカバーできる)サイズであることが好ましい。不織布17が蛍光体塗布面よりも小さい場合、不織布17でのX線吸収差が画像情報として輝尽性蛍光体シート28に記録されてしまうため好ましくない。また不織布17に織り目があると、織り目によるX線吸収差が画像情報として輝尽性蛍光体シート28に記録されてしまうため、出来るだけ織り目の無い不織布を使用することが好ましい。また不織布17が毛羽立ち、不織布17の繊維が装置内部に浮遊してレーザー光学系などに付着すると読み取り時のレーザー強度が一様でなくなり画像上に縦スジなどの画像欠陥を発生させる原因となるので、不織布17はできるだけ毛羽立ちの少ないものを使用するのが好ましい。さらには、不織布17に樹脂などをしみこませたり表面加工処理を施すことで、毛羽立ち防止処理を施した不織布を使用するのが好ましい。
フロント板10とバック板20は、分離可能であるが、通常は図2に示すように合体した状態で放射線撮影などが行われる。
次に、図3(A)〜(H)、図4(A)及び(B)を用いて、カセッテ1のロック機構について説明する。
フロント板10とバック板20を合体した状態に保つために、カセッテ1にはロック機構が用意されている。バック板20の30a、30b、30c、30dは、ロック爪であり、それぞれのロック爪の先端は、ロックON/OFF動作に伴って開口部31a、31b、31c、31dから矢印Q1、若しくは、矢印Q2の方向に移動するように構成されている。
バック板20の32a、32bは、30a、30b、30c、30dとは別のロック爪である。ロック爪32a、32bは、ロックON/OFF動作に伴って開口部33a、33bの中を矢印Q1、若しくは、矢印Q2の方向にスライドするように構成されている。
ロックON状態とは、ロック爪30a、30b、30c、30dの先端がバック板側面211より外側に突出た状態を言う。この時、ロック爪30a、30b、30c、30dのそれぞれの先端はフロント板10のロック用凹部16a、16b、16c、16dに突入した状態にある。
ロックON状態の時の図4(A)の点線U1、U2におけるカセッテ1の断面図を図3(A)及び(B)に示す。
ロックON状態では、ロック爪32a、32bの先端は矢印Q1の方向へ移動した状態にある。この時、フロント板10の切り込み15a、15b(フレーム内向面113と傾斜面112に設けられた開口)と、ロック爪32a、32bの位相が合わない状態、すなわち、バック板20がフロント板10から分離できない状態となっている。この時の図4(A)及び(B)の点線U3、U4におけるカセッテ1の断面図を図3(E)及び(F)に示す。
ロックOFF状態とは、ロック爪30a、30b、30c、30dの先端がバック板側面211の内側に入り込んだ状態を言う。この時の図4(A)の点線U1、U2におけるカセッテ1の断面図を図3(C)及び(D)に示す。
ロックOFF状態では、ロック爪32a、32bは切り込み15a、15bと位相が合う状態となるため、バック板20がフロント板10から分離できるようになる。この時の図4(A)及び(B)の点線U3、U4におけるカセッテ1の断面図を図3(G)及び(H)に示す。
ロック爪30a、30b、32a、32bは、連結部材35と連動するように構成されている。一方、ロック爪30c、30dは、連結部材36と連動するように構成されている。バネ38aは、その一端が連結部材35に連結されており、他端がバック板本体21に連結されている。このバネ38aにより、連結部材35は常に矢印Q1方向に移動しようとする力を受けている。フロント板10の挿入穴14は、合体時にバック板20の挿入穴34に対応する位置関係に有る。 ロックON状態の時に、挿入穴14(挿入穴34)から棒状部材を矢印Pの方向へ1回だけ挿入しプッシュすると、連結部材35が矢印Q2の方向へ所定の距離だけ移動した状態で停止し、図3(C)及び(D)に示すロックOFF状態となる。
連結部材35が矢印Q2の方向へ移動すると、連結部材35、連結部材36の先端のラック形状とピニオン37とによってラックとピニオンの動作が起こり、連結部材36も矢印R2の方向へ同じ距離だけ移動して停止する。この時、連結部材35と連動してロック爪32a、32bも矢印Q2の方向へ同じ距離だけ移動して停止し、図3(G)及び(H)に示すロックOFF状態となる。
すなわち、ロックON状態の時に、挿入穴14(挿入穴34)から棒状部材を矢印Pの方向へ1回だけ挿入しプッシュすると、ロックOFF状態へと移行し、フロント板10とバック板20が分離可能な状態となる。次に、挿入穴14(挿入穴34)から棒状部材を作用させない限り、このロックOFF状態は継続維持される。
ロックOFF状態の時に、挿入穴14(挿入穴34)から棒状部材を矢印Pの方向へ1回だけ挿入しプッシュすると、連結部材35が矢印Q1の方向へ所定の距離だけ移動した状態で停止し、図3(A)及び(B)に示すロックON状態へと移行する。
連結部材35が矢印Q1の方向へ移動すると、前述のラックとピニオンの動作が起こり、連結部材36も矢印R1の方向へ同じ距離だけ移動して停止する。この時、ロック爪32a、32bも矢印Q1の方向へ同じ距離だけ移動して、図3(E)及び(F)に示すロックON状態となる。
すなわち、ロックOFF状態の時に、挿入穴14(挿入穴34)から棒状部材を矢印Pの方向へ1回だけ挿入しプッシュすると、ロックON状態へと移行し、フロント板10とバック板20が分離不可能な状態となる。次に、挿入穴14(挿入穴34)から棒状部材を作用させない限り、このロックON状態は継続維持される。
このように、この実施の形態のカセッテ1では、挿入穴14(挿入穴34)から棒状部材を挿入しプッシュする度に、ロックON状態/ロックOFF状態が切り替わる方式(プッシュ・ラッチ方式)を採用している。プッシュ・ラッチ方式は、ボールペンの芯をボールペン外装から出し入れする時に用いられる機構として良く知られている。プッシュ・ラッチ機構は図4(A)のプッシュ・ラッチ部39内に内包されている。バネ38bはその一端がプッシュ・ラッチ部39に連結されており、他端がバック板本体21に連結されている。このバネ38bによりプッシュ・ラッチ部39は常に矢印Q1方向に移動しようとする力を受けている。
フロント板10の切り込み15a、15bとロック爪32a、32bは、カセッテ1の側面側の中心位置C(矢印Cで表される位置)から所定の距離離れた場所に配置してある。切り込み15a、15bとロック爪32a、32bをカセッテ1の側面側の中心位置Cからずらして配置することで(ただし、ロック爪32aと切り込み15aのペアか、ロック爪32bと切り込み15bのペアのいずれか一方のペアが、カセッテ1の側面側の中心位置Cからずらして配置されていれば、他方のペアはカセッテ1の側面側の中心位置C上に配置されていても差し支えない)、バック板20とフロント板10の方向が正しい方向でないと合体しないようになっている。これにより、例えば、使用者がカセッテ内部の清掃や輝尽性蛍光体シート28の張り替えなどの理由でカセッテ1を分離し、作業終了後に再び合体しようとした時、バック板20とフロント板10の方向を誤って合体させる危険性を回避できる。
このように、バック板20とフロント板10の方向を誤って合体させる危険性を回避するための機構を、逆入れ防止機構と呼ぶ。
また、フロント板10のフレーム11(例えば、フレーム側面110の内面や傾斜面112など)かバック板の外周部(例えば、バック板側面211の外面)のいずれか一方に少なくとも1つの凸部を設け、他方に少なくとも1つの凹部を設け、この凸部と凹部を、フロント板10とバック板20が正しい方向で相対した時のみ合致するように配置することで、簡単に逆入れ防止機構を構築することができる。
例えば、バック板側面211の外面にロック爪32a、32bと同様な形状の凸部を設け、フロント板10のフレーム11に切り込み15a、15bと同様な形状の凹部を設け、この凸部と凹部を、ロックOFF状態でのロック爪32a、32b、切り込み15a、15bと同じ位置関係に配置することによって、逆入れ防止機構を構築することができる。
また、ロック爪30a、30b、30c、30dだけで(ロック爪32a、32bが無い状態で)ロック機構を構成すると、カセッテ1をフロント板10が垂直方向上側を向くように保持した時、バック板20のロック爪が存在しない辺が、バック板20の自重により、垂直下側に向かって弛んでしまう。このように、ロック爪32a、32bによるロック機構は、バック板20が自重で弛まないための機構(弛み防止機構)を兼ねることができる。
ただし、バック板20が自重での弛みが発生しにくい比較的小サイズのカセッテ1については、このような弛み防止機構は必ずしも必要ではない。
また、この実施の形態では挿入穴14や挿入穴34を矩形形状で表現しているが、これは、挿入穴14や挿入穴34を矩形形状に限定するものではない。例えば、円形形状等にしても良い。
図5(A)及び(B)はカセッテ1のバック板20を裏側(フロント板10と反対側)から見た図である。図5(A)はロックON状態、図5(B)はロックOFF状態を示している。
バック板裏面210上の挿入穴34と同じ側には、コード記憶素子200が貼り付けられている。クリップ201は、コード記憶素子200の反対側のバック板裏面210上に配置されている。
この実施の形態では、コード記憶素子200は、光学的に読み取り可能なパターンが印刷されたバーコードラベルであり、コード記憶素子200(バーコードラベル)はカセッテのサイズによらずカセッテ1のコーナーから所定距離Xの位置に接着されている。
また、コード記憶素子200として、電磁波やマイクロ波などの無線技術を用いて、コード記憶素子200に書き込まれたコード情報を読み取ることが可能な素子を使用しても良い。電磁波やマイクロ波などの無線技術を用いてコード情報を読み取り可能な素子を使用すると、コード記憶素子200とコード記憶素子200の読取装置の位置関係が多少ずれていてもコード記憶素子200に記録されているコード情報を精度良く読み取ることができるので便利である。このような素子として、例えば、非接触IDラベル(例えばSラベル)と呼ばれる素子などが使用できる。
コード記憶素子200に書き込まれているコード情報を、電磁波やマイクロ波などの無線技術を用いて読み取る場合は、コード記憶素子200をバック板裏面210ではなく、バック板20の内部に配置するようにしても良い。読み書きが無線技術によって行われるため、コード記憶素子200がバック板裏面210上に存在する必要はない。この場合、バック板裏面210上に、輝尽性蛍光体シート28の識別番号(ID番号)等を印刷したラベルを貼り付けておくと、視覚的にも認識することができるのでより分かりやすい。
バーコード読取方式と無線技術で読み取る方式を併用すれば、さらに便利である。この場合、バーコードラベルの内容と無線技術で読み取る素子に記録した内容が対応づけられていることが重要である。
コード記憶素子200には、輝尽性蛍光体シート28の識別番号(ID番号)や製造年月日、ロット番号、輝尽性蛍光体のバージョン番号、カセッテ1のサイズ情報、輝尽性蛍光体シート28の感度補正情報(もしくは感度情報)などを表す番号がコード情報として記録されている。輝尽性蛍光体シート28の感度補正情報(もしくは感度情報)が記録されていれば、この情報を読み取って輝尽性蛍光体の感度を補正することが可能である。例えば、フォトマルチプライヤーなどの電変換素子に与える電圧を変化させて光電変換素子の読取感度を変更することで、輝尽性蛍光体シート28の感度バラツキを補正し、常に一定の感度として画像情報を読み取ることができる。このような感度補正は、例えば対数アンプの出力をAD変換したデジタルデータを感度情報に従ってシフト処理することでも達成できる。この場合は、フォトマルチプライヤーなどの電変換素子に与える電圧を変化させる必要が無い。
図6は、この発明の放射線画像読取装置の実施の形態を示す図である。
装置本体2にはカセッテの挿入口3と、カセッテの排出口4と開閉扉5とキャスター6が用意されている。また、装置本体2は、搬送手段40と副走査手段50と読取手段60とカセッテ挿入排出部70と表示・操作手段80と本体骨格部90とから構成され、カセッテ挿入排出部70は、装置本体2から簡単に取り外し可能な構造になっている。
また、副走査手段50と搬送手段40は、本体骨格部90の同一の基板92上に構築されている。この基板92と底板91の間に防振ゴム93を配置することで、カセッテ挿入排出部70の振動を副走査手段50に伝搬させない防振構造を実現している。
また、副走査手段50の上端と図示しない装置フレームの間は、防振ゴム94が配してあり、副走査手段50に対する防振構造を強化している。
このような防振構造により、読取手段60で輝尽性蛍光体シート28から画像情報を読み取っている最中に、挿入口3ヘカセッテを挿入したり、排出口4からカセッテ1を取り出したり、装置本体2を振動させたりしても、読み取った画像情報中に振動によるノイズが生じるのを防止することができる。
また、副走査手段50と搬送手段40が同じ基板92上に構築されているので、後述するように、搬送手段40から副走査手段50ヘバック板20を受け渡す際に、受け渡し位置がぶれることが無い。これにより、フロント板10とバック板20の分離、合体作業が安定的に精度良く実施できる。
また、搬送手段40が傾斜したときに搬送手段40上の機構と基板92が干渉しないように、基板92には搬送手段40上の機構を基板92の下面側へ逃がすだけの開口部が設けてある。また、底板91も同様の理由で開口部を有している。このように、基板92や底板91に搬送手段40上の機構を逃がすための開口部を設けることで、装置本体2の高さを低く構築することが可能となった。
しかしながら、底板91に開口部を設けると、外光が装置本体2の中に入り込み問題となる。そこで、底板91の開口部を覆うためのV型の窪みを持つ取り外し可能な遮光板95を用意し、図6の95aのように底板91に下に凸となる状態で取り付ける。こうすることで、搬送手段40上の機構を底板91の下面側へ逃がしつつ、外光が装置本体2の中に入り込むことを阻止することができる。
しかしながら、遮光板95を図6の95aのように下に凸となる状態で取り付けると、装置本体2を搬送する際に、遮光板95の突起部が邪魔になる。そこで、装置本体2を搬送する際には、遮光板95を図6の95bのように上に凸となる状態で取り付ける。こうすることで、装置本体2を搬送する際に、遮光板95の突起部が邪魔になることがなくなる。
このように、底板91に開口部を設け、この開口部を遮光するV型の遮光板95を上に凸な状態と下に凸な状態の双方で取付られるように構成し、装置本体2の搬送時には上に凸、装置本体2を動作させる時には下に凸となるように底板91に取り付けるようにしたため、搬送手段40の回転移動を許可しつつ、装置本体2の高さを低くすることができる。
次に、この発明の放射線画像読取装置の動作について図6〜図12を用いて説明する。
図7はこの発明の放射線画像読取装置の搬送手段40と副走査手段50の関係を示す図である。図8はこの発明の放射線画像読取装置のカセッテ挿入排出部70を上から見た図である。図9はこの発明の放射線画像読取装置の表示・操作部80を正面から見た図である。図10(A)及び(B)はこの発明の放射線画像読取装置のバック板受け渡し時の搬送手段40と副走査手段50の関係を示す図である。図11はこの発明の放射線画像読取装置の上側基準及びセンター基準でのカセッテ1の位置関係を示す図である。図12はこの発明の放射線画像読取装置の表示手段81の表示内容の変化を示す遷移図である。
まず、はじめに、装置を起動するために図示しないサーキットブレーカをONにする。次に図9に示すオペレーションスイッチ82を押す(操作1)と、装置本体2の図示しない制御部に電源が供給され、オペレーションランプ84が点灯すると同時に、表示手段81(この実施の形態ではLCDパネルである)にイニシャライズ中を示す表示が図9、若しくは図12の811に示すように表示される。同時に、装置本体2と図示しない制御部のイニシャライズが開始する。イニシャライズ終了までの時間経過が使用者に良く分かるように、図9若しくは図12の811に示すような■と□によるバー表示を行い、全て■の状態から全て□の状態まで時間経過と共に■の数を1つづつ□に置き換えるダウンカウント表示を行う。もしくは、イニシャライズ終了までの時間経過を秒数表示するようにしても良い。イニシャライズが終了すると、表示手段81の表示が図12の812に示すように「READY」表示となり、装置本体2へカセッテ1を挿入可能となる。
この発明の放射線画像読取装置は動作モードとして少なくとも2つのモードを有している。1つが、輝尽性蛍光体シート28から画像情報を読み取るための読取モードであり、1つが、輝尽性蛍光体シート28から画像情報を消去するための消去モードである。装置が起動した時には読取モードが自動的に選択される。消去モードにはMODE1(高速消去)とMODE2(低速消去)の2通りが用意されている。MODE1(高速消去)は放射線撮影前、もしくは前回画像情報を読み取ってから一定時間経過後に実施する消去モードであり、例えば、毎朝全ての輝尽性蛍光体シートを消去してから使用する際に用いられる消去モードである。一方MODE2(低速消去)は例えば、放射線撮影を誤ってしまった場合で画像情報が不要な場合に使用する消去モードである。
次に、消去モード及び表示手段81に表示される内容の遷移について図12を用いて説明する。
消去モードへ移行するには、図9の消去スイッチ83を3〜5秒間長押しする(操作2)。この操作2により消去ランプ85が点灯すると同時に、表示手段81の表示が「READY」表示から図12の813に示すように「ERASE MODE 1 / ■■■■■■■■■■QUICK」表示となり、消去モードにMODE1(高速消去)に移行すると共に10秒間のダウンカウントがイニシャライズ時と同様の表示(全て■の状態から全て□の状態まで時間経過と共に■の数を1つずつ□に置き換えるダウンカウント表示)で開始する。この状態で10秒間放置すると、自動的に読取モードに復帰する。「ERASE MODE 1 / ■■■■■■■■■■」表示から10秒経過前に、消去スイッチ83を押すと(操作3)、表示手段81の表示814が「ERASE MODE 2/ ■■■■■■■■■■SLOW」表示となり、消去モードにMODE2(低速消去)に移行すると共に10秒間のダウンカウントが開始する。この状態で10秒間放置すると、自動的に読取モードに復帰する。
消去モードにMODE1(高速消去)、消去モードにMODE2(低速消去)共に、ダウンカウント中(モード遷移後10秒以内)にカセッテ1を挿入口3に挿入すると(操作5又は操作6)、カセッテ1が装置本体2の内部に取り込まれ、消去が行われる。消去が完了し、次の消去が可能になった時点で、表示手段81に再びダウンカウントが表示され、以後同様にダウンカウントが終了するまでの間に次のカセッテ1を挿入口3に挿入することで、消去作業を連続して行うことができる。
このように、消去モードに入ると10秒間のダウンカウントを行い、ダウンカウントが終了するまでにカセッテ1を挿入口3に挿入すれば継続的に消去を行うようにしたので、複数枚を連続して消去したい場合などに、いちいち消去モードへ入り直す手間が省ける。また、10秒間のダウンカウントが終了するまでにカセッテ1が挿入口3に挿入されなければ、自動的に読取モードへ復帰するようにしたので、消去作業が終了後、読み取りを行いたい輝尽性蛍光体シートを誤って消去してしまう危険性を無くした。
この放射線画像読取装置での作業を終了したい(パワーOFFした)場合は、オペレーションスイッチ82を5秒間長押する(操作7)。この操作により表示手段81の表示が図12の816に示すように「パワーOFFマデ5ビョウ」と表示され、秒数表示部分が5、4、3、2、1と切り替わり、5秒経過後に図12の817に示すように「パワーOFFジュンビチュウ」と表示される。この表示と共に、ダウンカウントが開始される。パワーOFFの準備が整うと、表示手段81は消灯状態となり、装置本体2の制御部へ供給されていた電源が遮断される。
なお、上述したダウンカウント表示を、アップカウント表示としても、本発明の意図するところは同一であることは言うまでもない。
また、消去モードから読取モードへ復帰するまでの時間(本例では10秒)や、図12の816表示から817表示へ移行するまでの時間(本例では5秒)や、オペレーションスイッチ82や消去スイッチ83を長押しする時間なども、本例の時間に限定するものではない。
何れの状態、何れのモードにあっても、一旦エラーが発生すると、放射線画像読取装置の動作が停止し、図12の815に示されるエラーメッセージが表示手段81に表示される。ここで「XXXXX」はエラーコードが表示される部分であることを示しており、「YYYYYYYYYY」は使用者が行うべき操作もしくは作業内容が表示される部分である。このようにエラーコードと共に、装置本体の表示手段81に使用者が行うべき操作もしくは作業内容が表示されるので、即座にエラーからの復帰を行うことができる。
次に、図6を用いながら、この放射線画像読取装置の読取モードにおける読取動作について説明する。なお、カセッテ1の挿入、排出操作及び装置内部でのカセッテ1の動きについては、消去モードにおける消去動作も以下に説明される内容と同様である。
図6に示すように、放射線画像撮影が行われたカセッテ1を矢印A1の方向で挿入口3へ挿入する。この時、挿入穴14が下側になり、かつ、フロント板10の前面板13が斜め下側を向くように挿入する。すなわち、輝尽性蛍光体シート28の読み取り面が斜め下側を向くように挿入する。また、カセッテ1はこの実施の形態の場合、挿入口3の左側の壁に沿わせて左寄せで挿入する。
カセッテ挿入排出部70の挿入ガイド部71a,71bには、701a、701bが1対として作用するカセッテ検出センサ701が配置してある。701aが赤外光を発光する発光部であり、702bが発光部701aから発光された赤外光を受光する受光部である。カセッテ1が挿入口3に挿入されると、カセッテ検出センサ701の発光部701aから発光された赤外光がカセッテ1によって遮られ、カセッテ検出センサ701の受光部701bに到達しなくなる。この赤外光の遮蔽をカセッテ検出信号として、装置本体2がカセッテ1の挿入を検出する。
カセッテ検出センサ701は図8に示すように、挿入口3の左側に701a−1,701b−1の1対と挿入口3のセンターに701a−2,701b−2の1対の少なくとも計2対のカセッテ検出センサ701が用意されている。少なくとも2対のカセッテ検出センサ701の全てが検出信号を発行(出力)した場合に限り、図示しない挿入モータによって挿入ローラ72aが駆動され、この挿入ローラ72aの駆動によりカセッテ1が矢印A1の方向に搬送されてカセッテ1の先端が挿入口シャッタ74に到達する。カセッテ1の先端が挿入口シャッタ74に到達後も、しばらく挿入ローラ72aを駆動することで、カセッテ1が傾いて挿入された場合でもカセッテ1を挿入口シャッタ74に水平となるように整列させることができる。挿入ローラ72bは従動ローラであり、挿入ローラ72aと挿入ローラ72bでカセッテ1が搬送に十分な力でニップされる。
少なくとも2対のカセッテ検出センサ701の内、少なくとも1対のセンサが検出信号を発行しなかった場合は、カセッテ1が左寄せで挿入されなかったと認識し、表示手段81(この実施の形態では文字や記号を表示可能な液晶パネル)にカセッテ1を左寄せで挿入するようにとのワーニングメッセージが表示される。この実施の形態のように、1対のカセッテ検出センサ701a−2, 701b−2を挿入口3に配置することで、如何なるサイズのカセッテ1が如何なる方向で挿入されても、必ずカセッテ検出センサ701a−2,701b−2から検出信号が発行されるので、カセッテ1が左寄せで挿入されなかった場合でも、必ずカセッテ1を左寄せで挿入するようにとのワーニングメッセージを表示することができる。
また、ワーニングメッセージの表示と同時に、挿入口インジケータ76が点滅し、警告音が鳴るので、使用者はカセッテ1の異常挿入があったことを見落とすことが無い。
このように、カセッテ1を挿入後、直ちに(カセッテ1の一部が装置本体2の内部へ全て取り込まれる前に)異常挿入が報知されるので、使用者は時間をロスすることなく、直ちにカセッテ1を再挿入したりカセッテ1を左寄せするなどの是正処置を実施することができる。
カセッテ1の検出に伴い開始される図示しない挿入モータの回転が停止すると、コード読取手段702がカセッテ1のコード記憶素子200から、カセッテ1のサイズ情報をはじめとする前述したさまざまな情報を読み取る。この実施の形態では、コード記憶素子200がバーコードラベルであり、コード読取手段702がバーコードリーダであるが、これに限定する物ではない。
図8はカセッテ挿入排出部70を上から見た図である。この実施の形態では、コード読取手段702を挿入口3の左側に配してあるので、カセッテ1を挿入口3に対して左寄せ挿入することで、コード記憶素子200(バーコードラベル)の位置がコード読取手段702(バーコードリーダ)に対面し、かつコード記憶素子200(バーコードラベル)がコード読取手段702(バーコードリーダ)の読み取り可能な範囲に来るように構成されている。コード記憶素子200のコードの幅(バーコードラベルの幅)をコード読取手段702(バーコードリーダ)の読み取り可能な範囲よりも小さいサイズとなるように構成したので、カセッテ1の挿入位置が多少ずれても、すなわちカセッテ1が挿入口3の左側の壁から多少離れても、カセッテ1上のコード記憶素子200(バーコードラベル)の情報がコード読取手段702(バーコードリーダ)によって正確に読み取られるように構成されている。このように構成することで、使用者がカセッテ1の挿入に神経を使わなくて済み、カセッテ1の挿入におけるストレスを軽減することができる。
この実施の形態では、カセッテ1は挿入口3に対して左寄せで挿入するが、右寄せで挿入しても良いことは言うまでもない。この場合、コード読取手段702は挿入口3の右側に配置する。
カセッテ挿入排出部70には挿入口インジケータ76が配置されている。挿入口3にカセッテが挿入可能な状態、すなわち挿入口3にカセッテ1が存在せず、かつ挿入口シャッタ74が閉まった状態では挿入口インジケータ76が点灯し、表示手段81にはカセッテが挿入可能な状態であることを示す表示、例えばREADYという表示がなされる。
挿入口3にカセッテが挿入禁止の状態、すなわち挿入口3にカセッテ1が存在する場合、若しくは、カセッテ1が装置本体2の内部に取り込まれている最中、若しくは、カセッテ1が装置本体2の内部に取り込まれた直後で挿入口シャッタ74が開いた状態の時には挿入口インジケータ76が消灯し、カセッテが挿入禁止な状態であることを示す。表示手段81にはカセッテ1が装置本体2で処理中であることを示す表示、例えばBUSYという表示がなされる。
本実施例では、カセッテが装置本体2で処理中の場合、すなわち、挿入口3にカセッテ1が検出されてから、読取処理、消去処理、カセッテ排出処理を経て、次のカセッテ1を取り込み可能な状態になるまでの間、表示手段81には「BUSY」という文字が表示される。「BUSY」表示の間、処理の経過が良く分かるように、図12の818に示すような■と□によるバー表示を行い、全て□の状態から全て■の状態まで時間経過と共に□の数を1つずつ■に置き換えるアップカウント表示、若しくはダウンカウント表示を行う。□から■への表示切替は、処理内容の進行に準じて実施することが好ましい。例えば、カセッテ1の挿入口3から装置本体2内部への取り込み処理、装置本体2内部でのカセッテ1の搬送処理、輝尽性蛍光体シート28からの画像情報の読み取り処理、輝尽性蛍光体シート28に残存する画像情報の消去処理、カセッテ1の排出口4への排出処理など、処理内容が変わるタイミングで□から■への表示切替を順次実施すると、使用者が今どの処理中であるかの概要を知ることができると共に、処理完了までの時間を概算することができ、大変便利である。また、処理終了までの時間経過を秒数表示するようにしても良い。読取処理、消去処理が終了し、カセッテ1が排出口4へ排出され、次のカセッテ1を取り込み可能な状態になると、表示手段81にはカセッテが挿入可能な状態であることを示す「READY」という文字が表示される。
また、カセッテ1の異常挿入、若しくは、カセッテ1以外の異常挿入があった場合には、挿入口インジケータ76が点滅し、表示手段81には異常挿入があったことを示すワーニングエラーメッセージが表示され、合わせて警告音を発生させて、使用者に異常挿入があったことを報知する。このように、カセッテ1の異常挿入が検出された場合は、カセッテ1は装置本体2の内部に取り込まれない。 ここで異常挿入とは以下の様な場合である。
1)少なくとも2対のカセッテ検出センサ701の内、少なくとも1対のセンサが検出信号を発行しなかった場合(カセッテの左寄せ挿入がなされなかった場合など)。この場合、表示手段81には、カセッテ1を左寄せするようにとのワーニングエラーメッセージが表示される。
2)コード読取手段702がコードを読み取れない場合、若しくは識別できないコードを読み取った場合。この場合、表示手段81には、コード記憶素子200(この実施の形態ではバーコード)の読み取りエラーが発生したことを示すワーニングエラーメッセージが表示される。
コード読取手段702がコードを読み取れない場合、若しくは識別できないコードを読み取った場合は、以下のようなケースが考えられる。
1)カセッテ1が逆さまに挿入された、
2)カセッテ1が裏返しに挿入された、
3)異なるカセッテ若しくは異質物が挿入された、
4)コード記憶素子200(バーコードラベル)に記録されているコードが汚れた、若しくは破壊された、
5)コード記憶素子200(バーコードラベル)が貼られていない、若しくは正しい位置にない、
コード読取手段702がコードを正確に読みとると、挿入口シャッタ74が開き、図示しない挿入モータによって挿入ローラ72aが駆動されて、カセッテ1が点線aに沿って矢印A2の方向で装置本体2の中へ取り込まれる。
カセッテ1が装置本体2の内部に取り込まれると、挿入シャッタ74が閉まり、図8の投入インジケータ76が点灯して(投入インジケータ76はカセッテ1は挿入可能な状態では点灯し、挿入禁止状態では消灯する)次のカセッテ1を挿入可能な状態となる。この時点で次のカセッテ1を挿入すると(この時点で、投入インジケータ76は消灯する)、カセッテ1に異常投入が無ければ、挿入ローラ72a、72bが動作してカセッテ1はコード読取手段702によるコード記憶素子200の読取位置まで進み、挿入ローラ72a、72bにニップされた状態で停止する。この時点で、コード読取手段702によってコード記憶素子200が読み取られ、正常な読み取りが確認できると、装置本体2がこのカセッテ1を受け取り可能な状態になるまで(先に装置本体2の内部に取り込まれたカセッテ1の読み取りが完了し、排出口4から排出されたのち、回転移動体41が図6の点線aの位置に戻って待機状態となるまで)後から挿入したカセッテ1は挿入口3で待機を続ける。装置本体2がこのカセッテ1を受け取り可能な状態になると、装置本体2の内部に取り込まれる。このように、殆ど続けて2枚のカセッテ1を受け付けることができるので、作業効率が向上する。また、カセッテ1が挿入ローラ72a、72bにニップされて停止している状態で排出スイッチ78を押すと、挿入ローラ72a、72bが逆転して、挿入口3にカセッテ1が排出される。従って、排出スイッチ78によるカセッテ1の排出機能は、カセッテ1を誤って挿入したことが分かった場合になどに役立つ。
搬送手段40の回転移動体41は、挿入ローラ72aが始動した時点には、既に点線aの位置に待機しており、挿入口3から挿入ローラ72a、72bによって搬入されるカセッテ1を回転移動体41に沿って上下動作する昇降台43で受け取る。昇降台43上には昇降台センサ430が配置されており、昇降台センサ430がカセッテ1の先端を検知すると、カセッテ1の取り込み速度とほぼ等速で動作し、カセッテ1と共に回転移動体41上を下降する。昇降台43は、コード記憶素子200から読み取られたカセッテサイズ情報に従って、カセッテ1の上端が図10(A)及び図11のZで示される位置で停止するように制御される。回転移動体41の点線a上の位置、点線b上の位置は位置検知センサ410,411によって検出される。
カセッテ1の上端が図10(A)、図11のZで示される位置で停止すると、コード記憶素子200から読み取られたカセッテサイズ情報に従って幅寄せ手段42a、42bが動作する。すなわち、図10(A)及び10(B)の待避位置S1にいた幅寄せ手段42a、42bが矢印M1の方向に移動し、カセッテ1をホールドする位置S2で停止する。この時、幅寄せセンサー420a、420bがOFFからONに変化する。幅寄せセンサー420a、420bがONにならない場合は、表示手段81にそのエラー情報を表示して動作を停止する。
幅寄せ手段42a、42bがカセッテ1をホールドする位置S2にあるとき、幅寄せ手段42a、42bは図10(B)で示されるT1面側の突起部421a、421bでフロント板10のフレーム11のみを抱え込む形でホールドしている。このとき、幅寄せ手段42a、42bはバック板20をホールドしていないため、カセッテ1のロックがOFFされれば、バック板20は幅寄せ手段42a、42bの突起部421a,421bと干渉することなく取り外すことができる。このように、幅寄せ手段42a、42bがフロント板10のみをホールドし、バック板20はホールドしないように構成したので、カセッテ1の幅寄せ機構とホールド機構を共通化でき、装置の部品点数を削減すると共に装置制御を簡略化することができる。
図11は、異なるカセッテサイズが、回転移動体41上でどのような位置関係にあるかを示した図である。1Aは半切(14インチ×17インチ)サイズのカセッテ、1Bは大角(14インチ×14インチ)サイズのカセッテ、1Cは大四つ(11インチ×14インチ)サイズのカセッテ、1Dは四切り(10インチ×12インチ)サイズのカセッテ、1Eは六切(8インチ×10インチ)サイズのカセッテ、1Faは24×30cmサイズのカセッテ、1Fbは24×30cmサイズのマンモ撮影用カセッテ、1Gaは18×24cmサイズのカセッテ、1Gbは18×24cmサイズのマンモ撮影用カセッテ、1Hは15×30cmサイズの歯科用カセッテである。全てのカセッテが、そのサイズによらず、カセッテ上端が矢印Zの位置に来るように昇降台43が位置制御される。このように、カセッテ1の上端が回転移動体41の常に同じ場所で止まるように制御する方法を上側基準制御と呼ぶことにする。
上側基準制御の利点は、以下の2点である。
1)副走査手段50がバック板20を読取位置Bまで搬送する時間を、カセッテサイズによらず最小にすることができるので、装置の処理能力(スループット)を向上させることができる。
2)カセッテサイズによらず、バック板20の上端を副走査移動板57より同じ距離uだけ突出させることができるので(図7、図10(A)、図11参照)、幅寄せ手段42a、42bの先端T1面(図7、図10(B)参照)を副走査移動板57、磁石58と干渉させることなく副走査移動板57、磁石58よりも装置奥側へ逃がすことができる。また、副走査移動板57、磁石58と干渉することなく幅寄せ手段42a、42bがカセッテ1のフロント板10のフレーム11を突起部421a,421bで抱え込む形でカセッテ1をホールドすることができる。
無論、下側基準の制御、すなわちカセッテ1の下端が回転移動体41の常に同じ場所で止まるように昇降台43の位置を制御する方法を採用しても良い。この場合、カセッテ1のサイズによらず昇降台43を装置下端まで下降させることができるため、機構の制御は簡略化できる。ただし上述した2つの利点を得ることができなくなる。
図10(A)、図11の点線Vは、副走査移動板57の中心線である。全てのカセッテの中心が、この副走査移動板57の中心線に合わさるように、幅寄せ手段42a、42bが制御される。すなわち、カセッテ1の装置本体2内部への取り込みが終了すると、図10(A)、図10(B)に示すように、幅寄せ手段42a、42bが待避位置S1から矢印M1で示される方向に移動し、カセッテ1をホールドする位置S2で停止する(図10(A)のカセッテ1は六切(8インチ×10インチ)サイズのカセッテを想定している)。この間、昇降台43上で左側に位置していたカセッテ1が、昇降台43上のセンター位置へ移動する。
以後、搬送手段40でのカセッテ1の搬送、副走査手段50でのバック板20の副走査、カセッテ1の排出に至るまでの一連の処理が全てこのセンター位置にて実施される。これをセンター基準の制御と呼ぶ。前述のように、カセッテ1を挿入口3に挿入する際は、左寄せで挿入するが(これを片側基準の制御と呼ぶ)、カセッテ1が装置本体2の内部に取り込まれた時点でセンター基準の制御に変更される。
通常、フィルムを搬送したり、輝尽性蛍光体シートを搬送する場合、フィルムや輝尽性蛍光体シートを片側に寄せて搬送する片側基準の制御が行われる。この実施の形態の場合、搬送手段40(回転移動体41)や副走査手段50は様々なサイズのカセッテ1やバック板20を扱わなければならないため、片側基準の制御では、カセッテ1やバック板20の水平方向の重心位置と副走査移動板57の中心が合致せず、精密搬送が要求される副走査のバランスが崩れて、読み取り時の速度ムラを招く恐れがある。さらに、輝尽性蛍光体シート28が添付されたバック板20はフィルムや輝尽性蛍光体シート単体に比べて相当に重量があるため、片側基準の制御のバランスの悪さは信頼性、安定性の点で好ましくない。従って、この実施の形態ではセンター基準の制御が好ましい。
しかしながら、カセッテ1の挿入については、前述したように、片側基準の制御を行うことが好ましい。すなわち、片側基準の制御(カセッテ1を挿入口3に対して左寄せもしくは右寄せで挿入すること)によって、コード記憶素子200(バーコードラベル)の位置がコード読取手段702(バーコードリーダ)に対面し、かつコード記憶素子200がコード読取手段702の読み取り可能な範囲に来るように構成することができる。カセッテ1の挿入をセンター基準の制御で行った場合は、カセッテ1が挿入口3に挿入された段階では、コード記憶素子200とコード読取手段702の位置にずれが生じてコード記憶素子200のコードが読み取れない場合が多くなるため、コード記憶素子200を読み取る前に、何らかのカセッテ位置調整機構が必要になり、装置が複雑化して信頼性が低下する。
しかしながら、使用者のカセッテ1の挿入のし易さとうい観点では、カセッテ1の挿入時に基準を設けず、挿入口3に対して自由な位置でカセッテ1を挿入できることが好ましい。これを実現するための1つの手段として、コード記憶素子200に、非接触IDラベル(例えばSラベル)を使用することが考えられる。この場合、コード読取手段702は電磁波やマイクロ波などの無線技術を使用してコード記憶素子200記録された情報を読み取るため、コード読取手段702とコード読取手段702の位置関係が多少ずれていても問題がない。
コード記憶素子200にバーコードなどの光学的読み取りが必要な素子を選択した場合は、挿入口3、もしくは装置本体2の内部でカセッテ1をセンター基準、もしくは片側基準に整列させた後にコード記憶素子200の情報を読み取るようにすれば良い。
また、搬送手段40(回転移動体41)と副走査手段50の間でバック板20を受け渡す際に、昇降台43のT2面と、副走査移動板57(または磁石58)が干渉するために、これを回避する策として副走査移動板57に干渉回避開口570を設けてある(図10(A)参照)。片側基準の制御では、干渉回避開口の位置が特定できず、より複雑な機構が必要となるので、この意味でも、この実施の形態ではセンター基準の制御が好ましい。
この実施の形態ではセンター基準の制御を採用しているが、上記の問題を回避した片側基準の制御を行ってもこの発明の本質を損なうものではない。
搬送手段40の回転移動体41は、回転軸45を有し、この回転軸45を回転中心として、少なくとも点線aから点線cの範囲(角度θの範囲)を搬送モータユニット46を駆動することで自由に回転移動することができる。回転移動は、搬送モータユニット46の搬送モータ460がピニオンギア47を駆動し、ピニオンギア47が回転支持板48の円弧上に形成された凹凸形状のラック歯480の上を回転移動することで実施される。
カセッテ1が搬送手段40によって装置本体2の内部に取り込まれると、搬送モータユニット46が駆動されてピニオンギア47が回転し、回転移動体41は回転軸45を回転中心として図6の点線aの位置から矢印A3の方向に点線cの位置まで回転移動する。回転移動体41が点線cの位置まで回転移動すると、磁性体を有するカセッテ1のバック板裏面210が、磁石58に磁力で吸着される。
この時、カセッテ1の磁石58への押しつけ量を制御するために、カセッテ1のフロント板10を磁石58側へバネ圧で押しつける機構(図示せず)によって、カセッテ1は磁石58側へ押しつけられている。
昇降台43には、カセッテ1のロック機構をON/OFFするためのロック開閉機構44とロックピン440が配置してあり、ロックピン440が上下運動することによって、カセッテ1のロック機構をON/OFFすることができる。
副走査手段50は、支柱51、副走査レール52a、52b、副走査可動部53a,53b、プーリー55、スチールベルト54、副走査移動板固定部材56、副走査移動板57、磁石58、釣り合い重り59、副走査モータと減速機により構成される駆動部(図示せず)より構成される。副走査移動板57は副走査移動板固定部材56を介して副走査可動部53aに固定されており、スチールベルト54の両端は副走査移動板固定部材56と釣り合い重り59に固定されている。プーリー55は図示しない駆動部に接続されており、図示しない駆動部の動力をスチールベルト54へと伝える。副走査移動板57と釣り合い重り59は、図示しない駆動部の動力を受けて、副走査レール52a、52b上をそれぞれ上下に移動する。副走査レール52a、52bとしては搬送性能が高いリニアガイドやリニアベアリングガイドなどが使用できる。図示しない減速機には遊星ローラ減速機やプーリー減速機などが使用できる。
この実施の形態では、磁石58は、所定の面積を有するラバーマグネット(永久磁石)である。ラバーマグネットは、図10(A)のように干渉回避開口570を有する1枚のシートを副走査移動板57の全面に貼り付けても良いし、ラバーマグネットを所定の枚数に分割して副走査移動板57に貼り付けても良い。また、ラバーマグネットは、任意の形状を取ることができる。また、ラバーマグネットの以外の永久磁石や電磁石を用いてもさしつかえない。
磁石58のバック板裏面210を吸着する表面部分は高い平面性を有し、磁石58がバック板裏面210を吸着した時に、バック板裏面210の磁性体面が磁石58の平面に従うことで、輝尽性蛍光体シート28の読み取り面ができるだけ完全な平面となるように考慮されている。従って、バック板20が変形したり反っていた場合でも、バック板裏面210が、磁石58に吸着された時点で、その変形や反りが矯正され、輝尽性蛍光体シート28の読み取り面は平面性を確保することができる。
バック板20が磁石58に吸着されると、昇降台43に付属するロック開閉機構44内に収納されていたロックピン440が上昇し、フロント板10の挿入穴14にロックピン440の先端が挿入される。この動作により、ロックON状態にあったカセッテ1のロックが解除され、ロックOFF状態に移行する。すなわち、バック板20とフロント板10が分離可能な状態となる。カセッテ1がロックOFF状態に移行すると、ロックピン440が下降し、再びロック開閉機構44内に収納される。
カセッテ1のロックが解除され、ロックOFF状態に移行すると、回転移動体41が矢印A6の方向へ回転移動して待避位置(例えば点線bの位置)で停止する。この操作により、バック板20とフロント板10を完全に分離することが可能となる。
図7は、バック板20とフロント板10を完全に分離し、回転移動体41が待避位置で停止した状態の図である。フロント板10をバック板から十分な角度で待避させることで、バック板20が副走査動作した時に、バック板20とフロント板10が干渉することを防止することができる。このように、バック板20とフロント板10を分離する一連の作業を行う手段を総称して分離手段と呼ぶ。
図6、図7の502はバック板吸着センサであり、バック板20が磁石58に吸着されているときにONとなり、バック板20が磁石58から離れるとOFFとなる。本来バック板吸着センサがONであるべき時間帯にこのセンサがOFFを出力すると、磁石58からバック板20が剥がされたか落下したと見なし、エラーと判定される。
分離手段により、バック板20がフロント板10から完全に分離されると、図示しない駆動部が作動し、バック板20が矢印A4の方向(上方向)へ搬送(副走査)される。この副走査の動作中に、輝尽性蛍光体シート28がレーザー走査ユニット61から射出されるレーザー光Bによって副走査方向と垂直な方向に主走査される。
輝尽性蛍光体シート28にレーザー光が作用すると、輝尽性蛍光体シート28に蓄積された放射線エネルギーに比例した輝尽光(画像情報)が放出され、この輝尽光が集光ミラー64と光ガイド62の端面で集光され、光ガイド62を通って集光管63に集められる。集光管63は例えば特願2000−103904号明細書に記載されているような構造を有する集光管を使用することが好ましい。集光管の端面には図示しないフォトマルチプライヤー等の光電変換素子が配してあり、集光された輝尽光を電気信号に変換する。電気信号に変換された輝尽光は、画像データとして所定の信号処理を施された後に、装置本体2から図示しない通信ケーブルを介して、操作端末や画像記憶装置、画像表示装置、ドライイメージャーなどの画像出力装置(何れも図示せず)へ出力される。このようにレーザ走査ユニット61、光ガイド62、集光管63、光電変換素子等で構成される画像情報を読み取る手段を、読取手段60と呼ぶ。読取手段60は、輝尽性蛍光体シート28から画像情報を読み取る手段であれば、この実施の形態以外の構成で達成しても良いことは言うまでもない。
ここで、読取動作に関わる幾つかの制御について図6を用いて説明する。503は、読取開始センサである。副走査移動板57が上昇するとこのセンサ503がOFFからONに変化し、このタイミングを利用して、図示しない制御部が読取開始時間やレーザ点灯開始時間を算出する。
540は剥がれ検出手段である。この剥がれ検出手段540でバック板20に貼り付けられた輝尽性蛍光体シート28及び支持板27がバック板から浮き上がっていないか、剥がれかかっていないかを検出する。もしも輝尽性蛍光体シート28及び支持板27がバック板から浮き上がっていたり、剥がれかかっている場合は、輝尽性蛍光体シート28及び支持板27が集光ミラー64や光ガイド62の端面と干渉して集光ミラー64や光ガイド62を破壊したり、輝尽性蛍光体シート28の表面を傷つけたりする恐れがある。そこで、剥がれ検出手段540で輝尽性蛍光体シート28及び支持板27の浮き上がりや剥がれを検出し、もしも輝尽性蛍光体シート28及び支持板27の浮き上がりや剥がれが検出された場合には、副走査動作を停止して、副走査移動板57をフロント板10との合体位置まで下降させる。
剥がれ検出手段540は例えばローラとセンサの組合せで実現する。半切サイズの短辺方向とほぼ同等の長さを持つ剥がれ検出ローラ541を水平方向に保持し、この剥がれ検出ローラ541の軸を固定するために使用する押さえ棒542を支軸544を介して装置前面側に延ばし、この後端に剥がれ検出センサ543を配置する。輝尽性蛍光体シート28や支持板27が上昇時にこの剥がれ検出ローラ541に接触すると、支軸544を支点として押さえ棒542が傾斜し、剥がれ検出センサ543がこの傾斜を検出して図示しない制御部に剥がれ検出信号を通知する。
輝尽性蛍光体シート28から画像情報の読み取りが完了すると、図示しない駆動部が、バック板20を矢印A5の方向(下方向)へ搬送を開始する。バック板20が矢印A5の方向へ搬送されている間、消去手段65から消去光Cが発光され、輝尽性蛍光体シート28に残存する画像情報を消去する。消去手段65で使用される消去ランプには、ハロゲンランプや高輝度蛍光灯、LEDアレイなどが使用できる。
この実施の形態では、消去ランプがn本(n>1)用意されている。また、図示しないランプ切れ検知手段が、消去ランプのランプ切れが発生していないか監視している。n本ある消去ランプの内、m本(m<n)がランプ切れを起こしたことがランプ切れ検知手段によって検知されると、消去速度がランプ切れが無い場合の消去速度の略(n−m)/nとなるように制御され、ランプ切れが無い状態と同じ光量で消去が行われるように制御される。このように制御すことで、ランプ切れが生じても、装置が使えなくなることを防ぎ、ランプ切れ以降も読取作業、消去作業を継続することができる。
また、ランプが切れて消去光量が低下したまま消去を行うことが無いので、消去が不十分なまま次の撮影がなされて、前の画像の消し残りが次の画像情報のノイズとなり、診断情報を損なう危険性が無い。
また、n本全ての消去ランプがランプ切れを起こしたことがランプ切れ検知手段によって検出されると、表示手段81に全ての消去ランプがランプ切れを起こしたことを伝えるエラーを表示し、それ以降は読取動作、消去動作共に行えないように制御する。こうすることによって、消去を行えない状態での読取作業、消去作業を禁止し、消去を行っていないカセッテ1を使用して放射線撮影を行う事故を防止する。
この実施の形態では、読取モードが選択されている場合、副走査手段50の往路(上方向への搬送)で画像情報の読み取りを行い、副走査手段の復路(下方向への搬送)で残存する画像情報の消去を行うように構成したので、副走査手段の往復運動に要する時間を無駄に消費することなく有効に利用することができる。これにより、放射線画像読取装置の処理能力(スループット)を向上することができる。
また、消去モードが選択された場合は、副走査手段50の往路(上方向への搬送)で消去を行い、副走査手段50の復路(下方向への搬送)でも消去を行うようにしたので、読取モードのサイクルタイムに比べて消去モードのサイクルタイムを向上させることができる。
また、消去モードが選択された場合に、副走査手段50の往路(上方向への搬送)では消去は行わずに、副走査手段50の復路(下方向への搬送)のみで消去を行うようにしても良い。この場合は、消去モードのサイクルタイムの向上は望めないが、消去モードの制御を読取モードの制御と同等にすることが可能で、制御を簡略化することができる。
また、この実施の形態では、消去手段65を読取手段60の垂直方向下段に配置したので、読取手段60による画像情報の読み取り作業が終了すると、直ちに副走査手段50の移動方向を復路方向(下方向)へと切り替えることが可能となる。これにより、副走査手段50の往復運動中に時間のロス無く消去作業を開始できるので、放射線画像読取装置の処理能力(スループット)をさらに向上することができる。
また、消去手段65を読取手段60の垂直方向下段に配置したことで、バック板20の下端が読取手段60での読取位置Bを通過することが無くなるので、バック板下端が光ガイド62などの集光部材に干渉してバック板の下降ができなくなるという事故を未然に防ぐことができる。このため、装置の信頼性、安定性を向上させることが可能となる。
バック板20が、下降した時点で、副走査原点センサ501で副走査方向の原点位置を確認し、原点位置を基準にして磁石58に受け渡された位置まで上昇し、バック板20の移動を停止する。
バック板20が、磁石58に受け渡された位置で停止すると、待避位置に待避していた回転移動体41が、再び点線cの位置まで回転移動し、バック板20とフロント板10を合体させる。バック板20とフロント板10が合体すると、ロック開閉機構44内に収納されていたロックピン440が上昇し、フロント板10の挿入穴14にロックピン440の先端が挿入される。この動作により、ロックOFF状態にあったカセッテ1にロックがかかり、ロックON状態に移行する。すなわち、バック板20とフロント板10が分離不可能な状態となる。カセッテ1がロックON状態に移行すると、ロックピン440が下降し、再びロック開閉機構44内に収納される。このように、カセッテ1のロック状態をロックOFF状態からロックON状態に移行させる一連の作業を行う手段を総称して合体手段と呼ぶ。
合体手段によりバック板20とフロント板10の合体作業が完了すると、回転移動体41は再び矢印A6の方向に点線bの位置まで回転移動して停止する。このように磁石58からバック板20(カセッテ1)を引き剥がす動作が回転移動を伴って行われるので、平行移動で引き剥がす場合に比べて小さな力でバック板20(カセッテ1)を磁石58から引き剥がすことが可能である。回転移動体41が点線bの位置で停止すると、幅寄せ手段42a、42bが図10(A)、(B)に示されるホールド位置S2から矢印M2の方向に移動し、待避位置S1で停止する。これにより、フロント板10のホールド状態が解除され、カセッテ1が回転移動体41上を昇降可能な状態となる。
フロント板10のホールド状態が解除されると、昇降台43は回転移動体41に沿って矢印A7の方向ヘカセッテ1を搬送し、カセッテ1を排出ローラ73a、73bへ受け渡す。排出ローラ73a、73bは、カセッテ1を受け取ると、カセッテ1が排出口4へ完全に排出されるまで排出動作を行う。カセッテ1が排出口4ヘ完全に排出されると、回転移動体41は、矢印A6の方向に点線aの位置まで回転移動して停止し、次のカセッテ1を受け取り可能な状態へと移行する。
この実施の形態では、排出口4に2〜5枚程度のカセッテ1をスタッカできるスタッカ部を有している。排出口4への排出が完了した直後のカセッテ1の位置を図6の1aで表すと、1aの場所に排出されたカセッテ1は、カセッテ1の自重によってカセッテ1の上端から矢印A8の方向へ倒れ込み、最終的に1bで表される位置へ移動する。この動作が、カセッテ1の自重のみで行われるように、排出口4の底板部71cを1a側から1b側に向けて傾斜させておく。底板部71cは樹脂部品で成形されており、その表面はカセッテ1との摩擦抵抗を少なくするためにリブ形状を有している。またカセッテ1との摩擦でリブ形状が削れて滑り性が低下しないようにテフロンコートが施されている。
また、カセッテ1を1a側から1b側に確実に搬送するため、例えばカセッテ1の下部を矢印A8の方向へ搬送するような排出カセッテ搬送機構を設け、カセッテ1全体が1aの位置から1bの位置まで確実に移動するように構成するようにしても良い。排出カセッテ搬送機構は、ベルト搬送方式やローラ搬送方式などを採用することで実現することができる。また、図示しない機構により、カセッテ1を1a側から1b側へ向けて押し出すような機構を採用しても良い。基本的には、排出口4から排出されたカセッテ1が、排出ローラ73a、73bの出口をふさがないように配慮されていれば、排出ローラ73a、73bから排出されたカセッテ1が排出口4のスタッカ部内でどのような形態や位置関係を取っていても良い。
排出口4は2〜5枚程度の排出カセッテ1(以後、排出口4から排出されたカセッテ1を、適宜、排出カセッテ1と呼ぶことにする)をスタックできるように構成されているので、使用者は、排出口4が排出カセッテ1で満杯になるまで、排出カセッテ1を撤去することなく、順次挿入口3へ撮影済みのカセッテ1を挿入することができる。一般的に放射線撮影の検査は1検査でカセッテ1を1〜5枚、平均で1.8枚程度使用するので、排出口4が、排出カセッテ1を2〜5枚程度スタックできるように構成しておけば、検査中に、使用者は排出カセッテ1の撤去に煩わされることが少なくなり、作業を効率的に行うことができる。
排出口4のスタッカ部が排出カセッテ1で満杯の場合に、排出口4から次のカセッテ1を排出すると、排出口4に既にスタックされていた排出カセッテ1が新たに排出されたカセッテ1に押し出されて落下したり、無理にカセッテ1を排出しようとして故障をおこすなどの不具合が生じる。そこで、排出口4のスタッカ部が排出カセッテ1で満杯であるか否かを検出する図示しないセンサー若しくは機構を設けて、排出口4のスタッカ部が排出カセッテ1で満杯であるか否かを検出する。
この実施の形態では、排出ローラ73a、73bの上部に存在し、排出ローラ73a、73bの隙間からの漏れ光を遮光する目的で使用する排出シャッター75を用いてスタッカ部が排出カセッテ1で満杯であるか否かを検出する。すなわち、排出シャッター75がカセッテ1を排出後に閉じた場合は、スタッカ部が満杯でないと判断し、排出シャッター75がカセッテ1を排出後に閉じなかった場合は、スタッカ部が満杯であると判断する排出シャッター開閉検出手段(図示せず)も設け、この排出シャッター開閉検出手段からの検出信号によって図示しない制御部がスタッカ部の満杯を検出する。この制御を行うために、スタッカ部を満杯にするカセッテ1が排出された場合は、排出シャッター75が閉じきらないように構成する。このように、排出シャッター75の開閉だけでスタッカ部の満杯を検出できるので、簡単な構成で装置を構築することができる。
排出口4のスタッカ部が排出カセッテ1で満杯の場合には、以下のような手段により、この不具合を回避することが好ましい。
1)挿入口3ヘカセッテ1を挿入できないようにする。
2)挿入口3へはカセッテ1を挿入可能だが、装置本体2の内部ヘカセッテ1を取り込まないようにする。
3)挿入口3へ挿入されたカセッテ1を装置本体2の内部へ取り込むが、画像情報を読み取る前で停止するようにする。
4)挿入口3へ挿入されたカセッテ1を装置本体2の内部へ取り込んで画像情報を読み取り後、カセッテ1を排出口4へ排出する前で停止するようにする。
また、上記のような手段を取ると同時に、排出口4のスタッカ部が排出カセッテ1で満杯であることを以下のような手段により、使用者に伝えることが好ましい。
1)表示手段81にワーニングエラーメッセージを表示したり、排出インジケータ77を点滅させたり、また警告音を発したりすることで使用者に伝える。
2)表示手段81や装置本体2に接続された図示しない操作端末のモニターなどに、メッセージを表示することで使用者に伝える。
3)挿入口3に蓋(図示せず)を設け、蓋が閉まってカセッテ1を挿入できないようにすることで使用者に伝える。
使用者によって排出カセッテ1の一部または全部が撤去されて、排出口4のスタッカ部が満杯状態ではなくなると、装置本体2の内部や挿入口3で停止していたカセッテ1の処理が自動的に再開されることが好ましい。
また、カセッテ1を装置本体2に取り込む動作中や、カセッテ1を装置本体2に取り込んだ後の搬送動作中や、読取動作中、また、カセッテ1を装置本体2から排出する動作中などに何らかの不具合が生じて、動作が継続できなくなる場合が考えられる。例えば、カセッテ1の搬送動作中に搬送手段40に不具合が生じて、搬送動作を継続することができなくなったり、バック板20の副走査手段50への受け渡し時にバック板20やフロント板10が落下してしまったり、フロント板10とバック板20が分離できなかったり、フロント板10とバック板20が合体できなかったりなど、色々な不具合が生じうる。
このような不具合が生じた場合には、排出口4のスタッカ部が排出カセッテ1で満杯であることを使用者に伝えるのと同様な手段で、不具合が生じたことを使用者に伝えることが好ましい。
また、カセッテ1を装置本体2の内部に搬送後、カセッテ1を排出可能な状態でエラーが生じた場合には、カセッテ1を挿入口3へは排出せずに、排出口4の方へ排出することが好ましい。理由は、カセッテ1を装置本体2の内部に搬送した後は、使用者が、次のカセッテ1を挿入口3へ挿入しようとしているかもしれないからである。
また、挿入口3に次のカセッテ1が挿入されたか否かをカセッテ検出センサー701で調査し、挿入口3にカセッテ1が検出されなかった場合は、挿入口3へカセッテ1を排出するようにしても差し支えない。
また、画像情報の読み取り前にエラーが発生した場合は挿入口3に排出し、画像情報の読み取り中または読み取り後にエラーが発生した場合は、排出口4に排出するなど、処理の進行状況に応じて、カセッテ1の排出先を変更するようにしても良い。また、カセッテ1を排出せずに、装置内部に止めたまま装置の動作を停止するようにしても良い。
また、エラーが生じた場合は、エラーが生じたカセッテ1を特定するための情報、例えばコード記憶素子200に記憶されている輝尽性蛍光体シート28の識別番号(ID番号)などをエラーメッセージと共に、表示手段81や、装置本体2に接続されている図示しない操作端末のモニターなどに表示して、使用者がエラーが生じたカセッテ1を見分けられるようにすることが好ましい。
特に、エラーの生じたカセッテ1を挿入口3や排出口4に排出する場合は、エラーが生じたカセッテ1を特定するための情報やエラーの内容を示すエラーメッセージを使用者に伝えることが好ましい。
また、エラー発生時、カセッテ1を排出せずに、装置内部に止めたまま装置の動作を停止する場合は、表示手段81や図示しない操作端末などに、装置内部のどの位置でカセッテ1(若しくはバック板20、若しくはフロント板10など)が停止しているかをマンガ絵で図解表示したり、どのような操作手順で装置内部に停止しているカセッテ1(若しくはバック板20、若しくはフロント板10など)を取り出せば良いかの指示メッセージを表示したりすれば、短い時間で装置内部に停止したカセッテ1(若しくはバック板20、若しくはフロント板10など)を取り出すことができる。
また、カセッテ1を外部に排出できない状態でエラーが生じた場合、または、カセッテを装置内部に止める様に制御する場合には、装置の動作を停止し、カセッテ1を装置内部に残した状態で、エラーが発生したことを使用者に通知する。この際、カセッテが装置の内部に止まっていること、そのカセッテを撤去すべきことをエラーメッセージと共に通知することが好ましい。このように、エラー情報と共に、使用者がそのエラーに際して取るべきアクションをメッセージとして表示することが好ましい。
カセッテ1や装置機構に関わるエラー以外に生じうるエラーとしては、電気的なエラー、ソフトウエア上のエラー、通信エラー、光学的なエラーなどが考えられる。これらのエラーが生じた場合もエラーの内容をエラーメッセージとして使用者に通知することが望ましい。
医療現場で用いられる装置の場合、装置が不具合で停止した時は、不具合が生じたことを使用者に伝えるだけではなく、即座に不具合を解消し、装置が再び使用できるように復帰させることが望ましい。
しかしながら、これまでの輝尽性蛍光体を用いた放射線画像読取装置では、このような不具合からの復帰作業は、サービスマンの作業に限定されていた。このため、不具合が生じた場合に使用者はサービスマンを呼び出し、サービスマンが到着するまでの間、放射線撮影業務をストップせざるを得なかった。
複写機やプリンターなどでは、出力紙がジャムを起こした場合に、使用者がジャムを解除できるユーザーメンテナンス機構を搭載することが常識となっている。輝尽性蛍光体を用いた放射線画像読取装置ではこのようなユーザーメンテナンス機構が実現されていない理由として、以下のものが考えられる。
1)複写機やプリンターの場合、出力紙が大変安価なため、ジャムを起こした出力紙がだめになっても良いと言う前提が成り立つが(再出力を行えば良い)、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像読取装置では輝尽性蛍光体シートが大変高価なため、輝尽性蛍光体シートをだめにしても良いという前提が成り立たない。このような制約のため、ユーザーメンテナンスのための機構を構築することが難しい。
2)複写機やプリンターの場合、ジャムを起こした出力紙がだめになっても、再び複写やプリントアウトを行える。一方、放射線画像読取装置で使用する輝尽性蛍光体シートには患者の画像情報が蓄積されている。輝尽性蛍光体シートがだめになった場合、患者の再撮影を行う必要があるが、これは患者に余分な放射線を被爆させることになり、非常に好ましくない。
そこで、この実施の形態では、以下のようにして放射線画像読取装置のユーザーメンテナンス機構、主にカセッテジャム解除機構を実現した。
図6に示すように、装置本体2には、開閉扉5があり、開閉扉5を開くことで、使用者は装置本体2の内部にアクセスすることができる。さらに、回転移動体41を、点線dの位置まで手動で回転移動させることができ、これにより、使用者は、回転移動体41よりも内側(副走査手段50側)にアクセスすることができる。この機構について、図6、図7を用いながら説明する。使用者は扉ロック510を手動ではずして開閉扉5を開状態にする。開閉扉5が閉状態の時には、装置本体側に固定してあるインターロックスイッチ96に、開閉扉5に固定してあるインターロックキラー530が作用しており、装置本体2が動作できる状況にあるが、開閉扉5が開状態になると、インターロックキラー530がインターロックスイッチ96から抜けてインターロックが作動し、主にモータ、センサなどのメカ駆動系、レーザ駆動系、フォトマルチプライヤーへの高圧電源系への電源供給が遮断される。
開閉扉5の内側には、回転ノブ49が収納箱521に収納してある。使用者はこの回転ノブ49を収納箱521から取り出して、搬送モータユニット46のモータ軸461に取付けられている円筒部材462の突起463に回転ノブ49の円盤492の嵌合穴493を嵌合させる。
次に回転ノブ49の回転つまみ490をつまんで連結部材491を介して時計回りに回転ノブ49を回転させると、ピニオンギア47が回転支持板48の円弧上に形成された凹凸形状のラック歯480の上を回転し、回転移動体41が点線dの方向へ回転移動する。回転移動体41が点線dの位置まで回転移動すると、装置本体2の内部にアクセスできる空間が生まれるので、使用者は両手を使って、装置本体2の内部に停滞しているカセッテ1を取り出すことができる。
なお、回転ノブ49は収納箱521に正しく収納しないと、収納確認部材520が開閉扉5と装置本体の間に入りこみ、開閉扉5が閉まらない機構となっている。この機構により、回転ノブ49が円筒部材462の突起463に嵌合された状態で装置が動作することがなく、従って、モータ軸461の回転にトルク変動をきたしたり、回転ノブ49が動作中に装置の中で外れて、装置を壊したりする心配が無い。
装置本体2の内部に停滞しているカセッテ1は主に、昇降台43の上にフロント板10、バック板20が合体した形態で停滞しているケースが多く、この場合は、直ちにカセッテ1を回転移動体41に沿って引き出すことが可能である。この場合、輝尽性蛍光体シート28はカセッテ1の内部に保護されているので、輝尽性蛍光体シート28を傷つけることなくカセッテジャムを解除することが可能である。
その他のケースとして、バック板20が磁石58上にあり、フロント板10が回転移動体41上にある場合がある。この場合は、バック板20を磁石58からはぎ取り、回転移動体41上にあるフロント板10と正規の位置で重ね合わせた後に、フロント板10、バック板20の双方を回転移動体41に沿って引き出すことが可能である。バック板20は磁力のみで磁石58に吸着しているので、余分な操作を行うことなく、簡単にバック板20を磁石58から引き剥がすことが可能である。また、副走査手段50の副走査移動板57を手動で上下できるように構成してあるので、磁石58からバック板20を剥がし易い位置まで副走査移動板57を手動で操作することができる。このケースの場合、バック板20上の輝尽性蛍光体シート28の表面に如何なる機構も接触していない状態を維持できることが特徴であり、輝尽性蛍光体シート28の表面に傷をつけることなくカセッテジャムを解除することが可能である。
その他のケースとして、フロント板10は排出口4に排出され、バック板20のみが磁石58上に残っている場合がある。この場合は、バック板20を磁石58からはぎ取り、注意深く装置外部へ取り出すようにする。この場合も、バック板20上の輝尽性蛍光体シート28の表面に如何なる機構も接触していない状態を維持できることが特徴であり、輝尽性蛍光体シート28の表面に傷をつけることなくカセッテジャムを解除することが可能である。
また、カセッテ1やフロント板10、バック板20が、装置本体2内部に落下してしまった場合でも、回転移動体41を点線dの方向に回転移動させることで、落下したカセッテ1やフロント板10、バック板20を拾い出すことができる。
昇降台43や、幅寄せ手段42a、42bは手動で位置を変更可能であるので、カセッテ1の上部が、挿入ローラ72a,72bや排出ローラ73a,73b、装置内部の機構と干渉して、回転移動体41が点線dの方向に回転移動できない場合などに、手動で昇降台43を矢印A2の方向(下方)に移動させたり、幅寄せ手段42a、42bを図10(A)、(B)に記載の矢印M2の方向へ移動させたりできるので、特殊な治具を用いることなく、使用者が不具合を起こしたカセッテ1を装置外に取り出すことができる。
また、この装置の特徴として、装置機構がカセッテ1やフロント板10、バック板20を手動で取り出せないような強い力でグリップもしくはホールドしている部分が無い点である。挿入ローラ72a,72bや排出ローラ73a,73bはカセッテ1をグリップしているが、挿入ローラ72a,72bや排出ローラ73a,73bはフリーな状態で回転するため、簡単にカセッテ1を取り出すことができる。また、装置本体2の内部で幅寄せ手段42a、42bによってカセッテ1がホールドされている状態でも、幅寄せ手段42a、42bとカセッテ1が嵌合している部分が無いので(幅寄せ手段42a、42bが左右からカセッテ1を押さえているだけの状態であるので)、カセッテ1を簡単に取り出すことが可能である。また、手動で幅寄せ手段42a、42bを図10(A)、(B)に記載の矢印M2の方向へ移動させることもできるので、昇降台43上でカセッテ1をフリーな状態にしてから取り出すことも可能である。
また、エラー発生時にカセッテ1を装置本体2の内部に停滞させて停止させる際に、回転移動体41を点線aの位置まで移動して、かつ幅寄せ手段42a、42bを待避位置S1の位置まで移動した後に装置を停止させ、表示手段81にエラー表示を行えば、使用者がカセッテ1を取り出す際の時間を最小にすることができる。
また、バック板20が磁石58上にある場合も、副走査移動板57をフロント板10との受け渡し位置まで下降させて装置を停止させることで、使用者がカセッテ1取り出す際の時間を最小にすることができる。
この実施の形態で起こりうるも重大なエラーの一つに、バック板20を装置本体2の内部に残し、フロント板10のみを排出してしまうエラー(バック板20の落下エラー)がある。これは、フロント板10とバック板20の合体作業時に、誤ってバック板を落下してしまうために生ずる不具合である。この不具合が発生しても、フロント板10とバック板20の合体作業後に合体が成功したか否かを確かめるすべが無いため、バック板20を装置本体2の内部に残したまま、フロント板10のみを排出してしまう。この後、次のカセッテ1が装置内部に取り込まれ一連の動作が開始されてしまうと、装置内部に落下しているバック板20が破壊されるだけでなく、装置機構もダメージをうけてしまう。そこで、この実施の形態では以下のようにしてこの問題を解決した。
まず、図7に示すように、排出ローラ73bのセンター部に空間ができるように排出ローラ73bをだんごローラで形成し、この空間にバック板落下検出機構を形成する。バック板落下検出機構は、バック板なぞり棒73b1とバック板落下検出センサ73b2により構成される。カセッテ1が排出ローラ73bを通過しない状態の時には、バック板落下検出センサ73b2はON信号を出力する。フロント板10がバック板20付きで排出ローラ73bを通過すると、バック板なぞり棒73b1の排出口4側の先端が上側に傾斜してバック板落下検出センサ73b2がOFF信号を出力する。カセッテ1が排出ローラ73bを通過してしまうと、バック板落下検出センサ73b2は再びON信号を出力する。すなわち、フロント板10がバック板20付で排出ローラ73bを通過する場合、バック板落下検出センサ73b2は、フロント板10が通過する間、常にOFF信号を出し続ける。
ところが、フロント板10がバック板20無しで排出ローラ73bを通過すると、バック板なぞり棒73b1の排出口4側の先端はフロント板10のフレーム11部分が通過する際に一旦上側に傾斜する。この時、バック板落下検出センサ73b2はOFF信号を出力するが、その後、バック板20が無いために、再びON信号が出力される。すなわち、バック板落下検出センサ73b2は、フロント板10が通過する間、フロント板10のフレーム11の部分が通過する短期間を除いては、常にON信号を出し続ける。このON信号を捕らえれば、図示しない制御部が、バック板20が装置本体2の内部に残っていることを認識でき、次のカセッテ1が挿入されても装置を動作させないように制御することが可能となる。
すなわち、カセッテ1の厚みを調べることで、バック板20の有り無しを検出する。カセッテ1の厚みが基準値よりも小さいと、バック板20が無い(バック板20が落下した)と見なして、次のカセッテ1が挿入されても装置を動作させないように制御することが可能となる。
さらに、カセッテ挿入排出部70の位置を手動で容易に変更できるように構成しておけば(例えば、カセッテ挿入排出部70の位置が手動で上部方向へスライド若しくは回転移動するように構成したり、水平方向に扉状に回転移動したりするように構成したり、容易に取り外しが可能なように構成する)、装置内部へのアクセス空間が広がり、メンテナンス作業がやりやすくなる。
図6で示した実施の形態中の搬送手段40は、昇降台43による直線搬送手段(カセッテ1を搬送手段40の回転移動体41に沿って上下方向に直線搬送する手段)と、回転軸45を中心としてカセッテ1の回転移動を行う回転搬送手段の、少なくとも2種類の搬送手段を有している。
図6では、直線搬送手段と回転搬送手段の2つの搬送手段を、回転移動体41上に実現した例であるが、例えば、直線搬送手段と回転搬送手段の2つの搬送手段を個別の機構で実現しても良い。例えば、直線搬送手段が回転搬送手段とは個別に回転移動するように構成しても良い。
また、回転搬送手段が、搬送手段40(回転移動体41)の一部が回転移動するように構成ても良い。
また、回転搬送手段を、複数の回転搬送手段に分割して構成しても良い。
同様に、直線搬送手段を、複数の直線搬送手段に分割して構成しても良い。
また、図6の実施の形態において、バック板20のバック板裏面210を磁石58に吸着させた後に、フロント板10とバック板20を分離するように構成したが、フロント板10とバック板20を分離した後に、バック板20のバック板裏面210を磁石58に吸着させるように構成しても良い。
また、図6の実施の形態において、カセッテ1を回転移動した後に、フロント板10とバック板20を分離するように構成したが、フロント板10とバック板20を分離した後に、バック板20のみを回転移動するように構成しても良い。 また、図6の実施の形態において、回転移動体41が回転移動することによって、バック板20を副走査手段50に受け渡すように構成したが、副走査移動板57の一部若しくは全体が回転移動することによって、バック板20を副走査手段50に受け渡すように構成しても良い。
また、図6の実施の形態において、搬送手段40と副走査機能50を同じ基板92上に構築し、基板92を防振ゴム93を介して底板91に固定したが、搬送手段40と副走査機能50を異なる基板上に構築し、それぞれの基板を防振ゴム93を介して底板91に固定しても良いし、搬送手段40を防振せずに直接底板91上に構築するようにしても良い。こうすることで、搬送手段40が動作することによって生じる振動が副走査手段50に伝搬するのを防ぐことができる。
また、図6の実施の形態において、バック板20をバキューム等の吸引手段を配した副走査移動板57に吸着するように構成しても良い。この場合、バック板裏面210の裏面は磁性体である必要は無く、副走査移動板57上の磁石58も不要である。
また、図6の実施の形態において、カセッテ挿入排出部70の挿入口3若しくは排出口4の何れか一方のみが装置本体2から取り外し可能な構造、若しくは手動で位置を変更できる構造となるようにしても良い。また、カセッテ挿入排出部70の挿入口3と排出口4が、個別に取り外し可能な構造、若しくは個別に手動で位置を変更できる構造となるようにしても良い。
このように、この発明の放射線画像読取装置では、挿入口3の幅手方向の一端側に挿入されたカセッテ1のコード情報を読み取り、その後、カセッテ1が装置内部に取り込まれてから、カセッテ1を搬送幅手方向中央に幅寄せするので、カセッテ1に操作者の手などが触れた状態でカセッテ1が幅寄せされて操作者に違和感や不快感を与えることが無い。
また、幅寄せ手段でセンター基準に合わせる前に、カセッテ1に添付されたバーコードなどのコード記憶素子からカセッテサイズ等のコード情報を読み取るように制御するので、コード記憶素子に不具合があったり、カセッテ1の挿入方向を間違えたりしてコード情報が読み取れない場合も、直ちに不具合が検知でき、カセッテ1の幅寄せ動作が完了するまで時間、待たなければならないという欠点を解消した。
また、幅寄せ手段によるカセッテ1のホールドが、幅寄せ手段に設けられた突起部で、フロント板のフレームのみを抱え込む形でホールドされるように構成し、このホールドされている状態で、分離/合体動作が実施されるようにしたので、カセッテ1のフロント板のフレーム部に凹部を設け、この凹部に幅寄せ手段のグリップ爪(凸部)を嵌合させてカセッテを幅寄せ手段がグリップする構成に比べて、位置精度を必要とせず、より確実にかつ安定的にカセッテを捕らえることができるようになった。
また、カセッテ1を回転移動により搬送する搬送手段が傾斜したときに搬送手段と底板が干渉しないように、底板に搬送手段を底板の下側へ逃がすための開口部を設け、かつこの開口部を取り外し可能な遮光板で遮光するようにしたので、装置の動作を阻害せずに、装置本体の高さを低く構築することが可能となった。