JP2004108935A - コネクタ検査装置 - Google Patents

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大▲高▼ 一人
Yoshihiro Iwabori
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Abstract

【課題】コネクタハウジングに組付けられた端子の位置が容易に確認でき、コネクタの小型・軽量化を図ることのできるコネクタ検査装置を提供する。
【解決手段】コネクタハウジング70に挿着される端子80を係止するランス73の状態を確認するためのコネクタ検査装置1に、コネクタ60がセットされる装着部30と、ランス73に向けて信号Sを発信すると共に信号Sを受信する信号部10とが備えられた。信号部10は、コネクタハウジング70の信号入射口72側に備えられ、信号部10から発信される信号Sは、コネクタハウジング70の信号入射口72からコネクタハウジング70の端子収容室71内に入射されて端子収容室71内に設けられたランス73に照射されると共に、ランス73に対して反射された信号Sが再度信号部10に戻されて、コネクタハウジング70の端子収容室71内におけるランス73の位置が検出される。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタハウジングに組付けられた端子の位置が容易に確認できるコネクタ検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来のコネクタ試験器を示す断面図である(例えば、特許文献1参照。)。
図示されたコネクタ101は、弾性係止腕104を備えるものとして構成されている。この弾性係止腕104は、端子収納室100Aの側部に設けられ、端子103が収納室100Aへ挿入される際に撓み空間部100S内に撓まされ、且つ、端子103がハウジング102内に完全に収納される時に復元されて端子103を収納室100A内に係止させる役割を果たす。
【0003】
このようなコネクタ101において、端子103が完全に収納室100A内へ挿入されているものかどうかといった端子収納状態の試験が行われるために、図4に示されるコネクタ試験器105が用いられる。
【0004】
このコネクタ試験器105は、試験をうけるコネクタ101の端子収納室100Aに収容されている端子103に対し、弾力的に接触されると共に電気接触を行う導通子108と、試験をうけるコネクタ101の端子103に対して接続される相手側端子(図示せず)の挿入方向にのばされコネクタ101の撓み空間部100Sに臨むスペーサ109とを備えるものとして構成されている。
【0005】
図5は、従来のコネクタ及びその検査装置を示す断面図である(例えば、特許文献2参照。)。
コネクタハウジング211のランス214において、正規位置に挿入された端子金具213に接触する部分からコネクタハウジング211の前面開口部に臨む先端面部分にかけて端子金具213の装着不良検出用の導電部216が形成されている。
【0006】
検査装置220には、コネクタホルダ222が設けられている。この検査装置220において、このコネクタホルダ222に保持されたコネクタ210のランス214に向かって延びるランス接触ピン228が、ランス方向に移動可能に設けられている。このランス接触ピン228は、ワイヤハーネスの導通検査回路に接続されている。
【0007】
図5の如く、コネクタハウジング211に対し端子金具213が正規位置にあれば、端子金具213と、ランス接触ピン228とは、ランス214の導電部216を介して導通される。また、コネクタハウジング211に対し端子金具213が正規位置になければ、ランス214の導電部216が端子金具213に接触されないため、導通は行われない。
【0008】
図6は、従来の端子半挿入検知構造及びコネクタ端子検出具を示す断面図である(例えば、特許文献3参照。)。
端子金具379の端子収容室381への挿入方向に対し交差する方向に沿って、端子収容室381内と、外部とを連通する検知ホール383が、コネクタ335に設けられている。
【0009】
端子収容室381内へ端子金具379が正規収容位置まで挿入される時に、コネクタ受部329側に向けた検出器本体331の移動が許容されると共に、端子収容室381内へ端子金具379が半挿入された時に、コネクタ受部329側に向けた検出器本体331の移動を阻止して端子金具379の半挿入を検知するといった端子半挿入検知機構325が、コネクタ端子検出具323に設けられている。
【0010】
図7は、従来のコネクタ端子検査装置の検査要領を示す説明図である(例えば、特許文献4参照。)。
コネクタハウジング401の外側を覆う外光遮断部材に、照射用光ファイバ408と、受光用光ファイバ409とが配設されている。
【0011】
発光素子407から発せられた検査光は、照射用光ファイバ408を通じて、コネクタハウジング401の係止孔405に係合された金属端子体402のスタビライザー部404すなわち端子係止部に照射される。金属端子体402のスタビライザー部404から反射光が受光用光ファイバ409を通じて受光素子412に伝送される。スタビライザー部404からの反射光の強弱により、金属端子体402がコネクタハウジング401の端子収容部403内に適正に位置しているかどうかといったことが検査される。
【0012】
金属端子体402のスタビライザー部404が、コネクタハウジング401の係止孔405内に正確に挿着されている時に得られる反射光の強さは、予め測定され標準値として比較電圧の形で設定される。
【0013】
検査対象の金属端子体402のスタビライザー部404からの反射光によって得られる出力が、前記比較電圧と較べられ、比較器413からの出力が一定範囲内にあれば、コネクタハウジング401に対する金属端子体402は、正常な位置まで挿着され、スタビライザー部404の係合角度も正常であるといったことが確認される。
【0014】
コネクタハウジング401の端子収容部403内への金属端子体402の挿入深さが正常でない場合や、金属端子体402のスタビライザー部404の角度が適正でない場合は、受光用光ファイバ409に導かれる反射光は標準値と較べて少なくなる。その結果、比較器413の出力は正常な場合と異なった値となる。
【0015】
【特許文献1】
実開昭57−89964号公報マイクロフィルム(第1頁、第2頁、第4頁、第7頁、第8頁、第4図)
【特許文献2】
実開平7−27082号公報(第1頁、第1図)
【特許文献3】
特開平8−96923号公報(第1頁、第1図)
【特許文献4】
実用新案登録第3038846号公報(第1頁、第2図)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図4に示される上記従来のコネクタ試験器105にあっては、弾性係止腕104すなわちランスの撓み空間部100Sに、スペーサ109すなわち検出ピンが差込まれてコネクタ101の弾性係止腕104の位置が検出されるものであるから、ハウジング102に対し端子103が中途の状態で挿入されて弾性係止腕104が跳ね上げられている時に、スペーサ109により、弾性係止腕104が破損されることが懸念されていた。
【0017】
これの対策として、図5に示される如く、スプリング230が用いられてランス接触ピン228すなわち検出ピンが移動可能に支持されるといった構造のコネクタ検査装置220が考案された。しかしながら、図5に示される上記従来のコネクタ検査装置220にあっては、コネクタ検査装置220が複雑な構造となり、また、図示されたコネクタ検査装置220は精度も要求されることから、コネクタ検査装置220のコストが上昇されるといったことが懸念されていた。
【0018】
また、図6に示される如く、端子金具379すなわち端子の位置が直接検出される構造をした端子半挿入検知構造325及びコネクタ端子検出具323というものも挙げられるが、このようなものは構造が複雑なものとされ、また、不用意にイレギュラな検出作業が行われると、端子が破損されるといったことが心配されていた。
【0019】
また、図7の如く、光学的に金属端子体402すなわち端子の位置が検出される構造をしたコネクタ端子検査装置も挙げられるが、このようなものであると、金属端子体402がコネクタハウジング401へ組付けられる前に、スタビライザー部404すなわち端子係止部が変形されるということや、コネクタハウジング401の係止孔405すなわち端子係止孔部における極間ショートの発生が危惧されていた。
【0020】
本発明は、上記した点に鑑み、コネクタハウジングに組付けられた端子の位置が容易に確認でき、端子位置を検出するための別部材の削減によるコストの削減化や、コネクタの小型・軽量化を図ることのできるコネクタ検査装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るコネクタ検査装置は、コネクタハウジングに挿着される端子を係止するランスの状態を確認するためのコネクタ検査装置において、コネクタがセットされる装着部と、前記ランスに向けて信号を発信すると共に該信号を受信する信号部とを備えることを特徴とする。上記構成により、簡単な構造とされながらランスの検出精度が向上されたコネクタ検査装置を提供することができる。また、コネクタハウジングに挿着された端子と、ランスとの係止状態が確認される際に、非接触の状態でランスの検出が行われることから、コネクタハウジングに挿着された端子またはコネクタハウジング内のランスが、検出ピンなどの他のものによって不用意に破損させられるといった不具合の発生は、未然に防止されることとなる。
【0022】
請求項2に係るコネクタ検査装置は、請求項1に係るコネクタ検査装置において、前記信号部は、前記コネクタハウジングの信号入射口側に備えられ、該信号部から発信される前記信号は、該コネクタハウジングの該信号入射口から該コネクタハウジングの端子収容室内に入射されて該端子収容室内に設けられた前記ランスに照射されると共に、該ランスに対して反射された該信号が、再度、該信号部に戻されることで、該コネクタハウジングの該端子収容室内に設けられた該ランスの位置が検出されることを特徴とする。
上記構成により、複雑な構造をしたコネクタ検査装置とされることなく、検出精度の高いコネクタ検査装置が提供されることとなる。また、コネクタハウジングの信号入射口から検出ピンが挿入されてランスに突き当てられるための空間は、コネクタハウジングに必要とされなくなる。従って、コネクタハウジングの信号入射口の全周にわたって、相手側端子が挿入され易くされるためのガイドテーパ面が形成可能となる。
【0023】
請求項3に係るコネクタ検査装置は、請求項2に係るコネクタ検査装置において、前記信号として光信号が適用され、前記信号部は、該光信号を発光すると共に前記ランスに対して反射された該光信号を受光する光信号発光・受光部とされたことを特徴とする。
上記構成により、簡素な構造でありながらランスの検出精度の高いコネクタ検査装置が提供されることとなる。また、光信号によって、コネクタハウジングに挿着された端子と、ランスとの係止状態が確認されるものであるから、非接触の状態でランスの位置の検出が行われることとなる。従って、ランスの係止状態が確認される際に、検出ピンなどによって、コネクタハウジングに挿着された端子またはコネクタハウジング内のランスが、不用意に破損させられるといった不具合の発生は、確実に防止されることとなる。
また、請求項2又は3記載の発明によれば、コネクタの仕様により、端子が確実にコネクタハウジングに係り止めされるための端子二重係止部材をコネクタから省略させることも可能となる。そのようにすることで、コネクタの重量が軽減化されると共に、コネクタの製造コストが削減化されることとなる。また、端子二重係止部材がコネクタハウジングに収容されるためのスペースも、コネクタハウジングに不要とされるから、コネクタハウジングおよびコネクタの小型化が図られることとなる。
【0024】
請求項4に係るコネクタ検査装置は、請求項1に係るコネクタ検査装置において、前記信号部は、前記コネクタハウジングの一側壁側に位置すると共に前記信号を発信する信号発信部と、該コネクタハウジングの他側壁側に位置すると共に該信号を受信する信号受信部とを備え、該信号発信部から発せられる該信号は、該コネクタハウジングの該一側壁側から該他側壁にかけて設けられたランス検出孔を通り抜け、その際の該信号の透過量が該信号受信部によって検知されることにより、該コネクタハウジングの端子収容室内に設けられた前記ランスの位置が検出されることを特徴とする。
上記構成により、複雑な構造をしたコネクタ検査装置とされることなく、高精度に設定可能なコネクタ検査装置が提供されることとなる。
【0025】
請求項5に係るコネクタ検査装置は、請求項4に係るコネクタ検査装置において、前記信号として光信号が適用され、前記信号発信部は該光信号を発光する光信号発光部とされ、前記信号受信部は該光信号を受光する光信号受光部とされたことを特徴とする。
上記構成により、非接触の状態でランスの位置の検出が行われることとなる。従って、ランスの係止状態の確認が行われる際に、検出ピンなどによって、コネクタハウジングに挿着された端子またはコネクタハウジング内のランスが、不用意に破損させられるといった不具合の発生は、確実に防止されることとなる。
また、請求項4又は5記載の発明によれば、コネクタの仕様により、端子が確実にコネクタハウジングに係り止めされるための端子二重係止部材をコネクタから省略させることも可能となる。そのようにすることで、コネクタの重量が軽減化されると共に、コネクタの製造コストが削減化されることとなる。
また、請求項1〜5の何れか1項に記載の発明によれば、コネクタハウジングに挿着された端子と、ランスとの係止状態が確認されるために、コネクタハウジングの外側に端子の一部を露出させる必要もなくなるから、極間ショート発生の危険性が低減化されたコネクタが取扱われることとなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るコネクタ検査装置の一実施の形態を示す縦断面図であり、(a)はコネクタハウジングに端子が正常に挿着された状態を示す縦断面図、(b)はコネクタハウジングに対する一部の端子の半挿入状態を示す縦断面図である。また、図2は、コネクタ検査装置における他の実施の形態を示す斜視図であり、図3は、図2に示されるコネクタおよびコネクタ検査装置の変形例を示す説明図である。
【0027】
次に図1〜図3に基づき、コネクタおよびこれがセットされるコネクタ検査装置に関連した各方向について説明する。コネクタ60(図1),65(図2),65(図3) において、雄端子(図示せず)が入り込まれるための相手側端子挿入口72(図1),77(図2),77(図3) が設けられた側を前側とし、コネクタ60(図1),65(図2)からケーブル90(図1),95(図2)が延長形成される側を後側とする。
【0028】
また、コネクタハウジング70(図1),75(図2),75(図3) の基壁70a(図1),75a(図2)側を下側とし、前記基壁70a(図1),75a(図2)に沿って略平行に設けられた他壁70e(図1),75e(図2),75e(図3) が位置する側を上側とする。
【0029】
また、コネクタハウジング70(図1),75(図2),75(図3) の一方の側壁70c(図1),75c(図2),75c(図3) から他方の側壁75d(図2)にかけた方向を左右幅方向とする。なお、この明細書における「前後」、「上下」、「左右」の定義は便宜上のものであり、必ずしもコネクタ検査装置が用いられてコネクタの検査が行われる際のコネクタ検査装置における実使用時の方向と一致するものではない。
【0030】
図1に示されるコネクタ60は、合成樹脂製のコネクタハウジング70と、このコネクタハウジング70の端子収容室71内に挿着される金属製の端子80とを備えるものとして構成されている。コネクタハウジング70の後側に設けられた端子挿入口71bからコネクタハウジング70の端子収容室71内に向けて端子80が差込まれることで、コネクタハウジング70に端子80が組付けられる。
【0031】
合成樹脂製のコネクタハウジング70は、基壁70aと、この基壁70aに対し略直角に延設された両側壁70cと、前記側壁70cに対し略直角に延設されると共に前記基壁70aに沿って略平行に設けられた他壁70eと、上側の端子収容室71と、下側の端子収容室71とを区切る隔壁70bとを備え、前記隔壁70bから先端部73aに至る係止ランス73が延設されている。端子収容室は、キャビティとも呼ばれている。キャビティとは、空隙もしくは空所または抜き穴を意味するものとされる。また、「ランス」とは「槍」を意味するものとされているが、係止ランスとして槍状のものに限らず、アーム状のものなど種々の形状のものが使用可能とされる。
【0032】
前記係止ランス73は、コネクタハウジング70と一体に成形されている。また、コネクタ60を構成する一つのコネクタハウジング70内に、複数の端子収容室71が設けられると共に、各端子収容室71に一つずつ係止ランス73が設けられている。このような形状をしたコネクタハウジング70は、射出成形法に基づいて形成されたものである。
【0033】
コネクタハウジング70が小型化されてコネクタ60の小型化・コンパクト化が図られるために、コネクタハウジング70内の上側に位置するランス73と、コネクタハウジング70内の下側に位置するランス73との間隔は、コネクタハウジング70に端子80が挿着される際に、上側に位置するランス73または下側に位置するランス73の何れか一方のランス73だけが十分に撓まされることのできる間隔に設定されている。
【0034】
上下両方のランス73が同時に十分に撓まされることは不可能なものとされているから、コネクタハウジング70に上下両方の端子80が同時に挿着されることは不可能なものとされているが、これにより、小型化・コンパクト化が図られたコネクタ60とされている。
【0035】
コネクタハウジング70に端子80が挿着される際には、例えば図1(a)の如く、先ず、コネクタハウジング70の上側の収容室71に端子80が確実に挿着され、次に、コネクタハウジング70の下側の収容室71に端子(80)が挿着される。
【0036】
コネクタハウジング70に端子80が挿着される順番は、前述の順番に限られず、例えば図1(b)の如く、先ず、コネクタハウジング70の下側の収容室71に端子80が確実に挿着され、次に、コネクタハウジング70の上側の収容室71に端子80が挿着されるといった順番で端子取付作業が行われてもよい。
【0037】
金属製の端子80は、相手側端子(図示せず)と通電可能に接続される電気接触部83と、ケーブルと通電可能に接続される電線接続部84とを備えるものとして形成されている。ケーブル90の端部の露出された導体91に対し、端子80に設けられた電線接続部84の一対の導体圧着片841 が加締められることで、端子80と、ケーブル90とが通電可能に接続される。また、ケーブル90の端部の絶縁被覆体92に対し、端子80に設けられた電線接続部84の一対の被覆圧着片842 が加締められることで、端子80と、ケーブル90とが確実に接続される。
【0038】
雌端子80の電気接触部83は、相手側端子として雄端子(図示せず)が入り込む相手側端子挿入口82と、不図示の雄端子が挿入される略矩形箱状をした収容室81と、コネクタハウジング70のランス73が雌端子80と確実に係り止めされるための係合孔83aとを備え、雌端子80の収容室81内に、接点部を有する弾性接触片(図示せず)や、他の接点部(図示せず)などが設けられている。
【0039】
コネクタハウジング70に組付けられる金属製の端子80は、板状をした鋼板に打抜き加工などのプレス加工が行われて、所定の形状をした平板状の端子金具素材が形成された後に、平板状の端子金具素材に折曲げ加工などのプレス加工が行われて形成されたものである。
【0040】
また、前記端子80が通電可能に取付けられるケーブル90は、複数本の軟銅線が撚り合わされて構成された導体91と、導体91を保護するための外皮とされるポリ塩化ビニル製の絶縁被覆体92とを備えるものとして構成され、一般に電線として取扱われている。
【0041】
図1に示されるコネクタ検査装置1は、コネクタハウジング70内に挿着される雌端子80を係止するランス73の状態を確認するために用いられるものである。このコネクタ検査装置1は、コネクタ60がセットされるための装着部30を有する装置本体2と、コネクタハウジング70内のランス73に向けて信号Sを発信すると共に信号Sを受信する一つの信号部10とを備えるものとされている。
【0042】
信号部10は略円筒状に形成されたセンサとされ、このセンサに光ファイバ10Lなどのケーブル10Lが接続されている。このケーブル10Lは、光測定器などの測定装置(図示せず)に接続されて、光信号Sなどの信号Sが検出されると共に、前記信号Sが予め設定された所定の値と適合されるものであるか、又は不適合とされるものであるかといった判定が行われる。
【0043】
コネクタ検査装置1を構成する装置本体2は、コネクタ60が載置される基壁2aと、信号部10が取付けられる前部側壁2bと、前部側壁2bの両側に位置し基壁2aと天壁2dとを繋ぎ且つコネクタ60をガイドする側壁2cと、同じくコネクタ60をガイドする天壁2dとを備えるものとして構成されている。
【0044】
略筒状に形成された信号部10とされるセンサに対応して、装置本体2の前部側壁2bに、貫通孔形状をした取付部3が設けられている。信号部10から発信される信号Sの測定物に対する焦点調整が容易に行われるために、装置本体2の前部側壁2bに貫設された取付部3内において、略筒状に形成された信号部10は、前後方向に移動可能な状態で前部側壁2bの取付部3に挿着されている。
【0045】
また、装置本体2を構成する基壁2aと、前部側壁2bと、両側壁2cと、天壁2dとで囲まれて形成された略矩形箱状の空間2eは、装置本体2にコネクタ60がセットされた際に暗室とされて、信号部10から発せられる光信号Sなどの信号Sが、太陽光などの他のものによって影響され難いように為されている。
【0046】
検査されるコネクタ60が容易で迅速にコネクタ検査装置1にセットされるために、装置本体2の基壁2aに、押しボタン式の可動位置決め部4が設けられている。また、検査されるコネクタ60が容易で確実にコネクタ検査装置1にセットされるために、略矩形箱状をしたコネクタハウジング70に対応して、装置本体2を構成する基壁2aと、両側壁2cと、天壁2dとに、位置合せ用の段差部2f,2g,2hが設けられている。さらに、コネクタ60がコネクタ検査装置1にセットされ易くされるために、装置本体2を構成する天壁2dの後側端部2d1 に、ガイド傾斜面2iが設けられている。
【0047】
図4〜図6に示される従来のものに比べ、図1に示されるコネクタ検査装置1は簡単な構造のものとされ、しかも簡単な構造のものでありながら、コネクタハウジング70内のランス73の検出精度が向上されたコネクタ検査装置1とされている。
【0048】
また、コネクタハウジング70内に挿着された雌端子80と、コネクタハウジング70内に設けられたランス73との係止状態が確認される際に、一つの信号部10とされるセンサが用いられることにより、非接触の状態でランス73の検出が行われることとなる。
【0049】
従って、コネクタハウジング70に挿着された雌端子80またはコネクタハウジング70内のランス73が、従来の技術で用いられた検出ピンなどの他のものによって不用意に破損させられるといった不具合の発生は、未然に防止されることとなる。
【0050】
また、例えばコネクタハウジング70内の複数の端子収容室71すなわちキャビティに設けられたそれぞれのランス73に対応して、コネクタ検査装置1に複数の信号部10が設けられたものとされていれば、図1(b)の如く、コネクタ60を構成するコネクタハウジング70内に設けられた複数のランス73のうち、どのランス73が撓まされた状態のままにされているのかといったことは、容易に判明されることとなる。従って、コネクタ60を構成するコネクタハウジング70に挿入された複数の端子80のうち、どの端子が未挿着の状態とされているのかといったことは、判別され易いものとなる。
【0051】
図1の如く、コネクタハウジング70内に設けられた上下一組とされるランス73,73に対応して、コネクタ検査装置1に一つの信号部10が設けられ、コネクタ60を構成するコネクタハウジング70に設けられた複数組のランス73,73の総数と、コネクタ検査装置1に設けられた複数の信号部10の総数とは、同数に設定されている。即ち、コネクタハウジング70に設けられたランス73の総数に対し、コネクタ検査装置1に備えられた信号部10の総数は、半分の数とされている。
【0052】
コネクタハウジング70内に設けられた上側のランス73と、コネクタハウジング70内に設けられた下側のランス73との二つのランス73,73に対し、一つの信号部10がコネクタ検査装置1に設けられているが、上下二つのランス73,73の検査は、一つの信号部10によって十分に行われることができる。
【0053】
上述した如く、コネクタハウジング70が小型化されてコネクタ60の小型化・コンパクト化が図られるために、コネクタハウジング70内の上側に位置するランス73と、コネクタハウジング70内の下側に位置するランス73との間隔は、コネクタハウジング70に端子80が挿着される際に、上側に位置するランス73または下側に位置するランス73の何れか一方のランス73だけが十分に撓まされることのできる間隔に設定されている。
【0054】
このようなコネクタハウジング70において、上下両方のランス73が同時に撓まされるといった状況が発生された場合について説明すると、コネクタハウジング70に挿入される上下両方の端子80に設けられた相手側端子挿入口82の近傍が、両方とも中途半端に撓まされた上下両方のランス73と当接されてつっかえることとなり、このことから、上下両方の端子80に設けられた相手側端子挿入口82の近傍部は、両方とも上下両方のランス73を乗り越えることができない状態となる。
【0055】
その場合、上下の端子80,80の後側に設けられた電線接続部84,84が、両方ともコネクタハウジング70の後側の端子挿入部71bから甚だしくはみ出されることとなる。従って、そのような場合において、コネクタハウジング70に対する上下両方の端子80,80の半挿入状態は、一目で判別できることとなる。
【0056】
上記構造をしたコネクタ60とされているから、図1に示されるコネクタ60のコネクタハウジング70において、コネクタハウジング70に上下両方の端子80が同時に挿着され、その際に、上下両方の端子80と摺接される上下両方のランス73が、同時にしかも十分に撓まされるということは、まず起こり得ないものとされている。
【0057】
従って、上下両方のランス73に同時に端子半挿入状態が発生されるということは回避され、コネクタハウジング70内に設けられた上下両方のランス73のうち、一方のランス73のみに端子半挿入状態が発生される。このようなことから、コネクタハウジング70内に設けられた上下二つのランス73,73の検査は、一つの信号部10によって十分に成し遂げられるものとされる。
【0058】
例えば図1(a)から想定可能なように、先ず、コネクタハウジング(70)の上側の収容室(71)に端子(80)が挿入された際に、端子(80)が中途半端な半挿入の状態とされて、コネクタハウジング(70)内の上側のランス(73)が下側に向けて大きく撓まされた状態のままに維持された場合、次に、コネクタハウジング(70)の下側の収容室(71)に端子(80)を挿入させようとしても、上側のランス(73)が下側に向けて大きく撓まされて、図1(b)から想定される如く、上側のランス(73)の先端部(73a)と、下側のランス(73)の先端部(73a)とは当接された状態に維持されることとなる。
【0059】
そのような状態とされた場合、下側のランス(73)が上側に向けて撓まされることは出来なくなるから、下側の収容室(71)に挿入されかけた端子(80)の相手側端子挿入口(82)の近傍は、下側のランス(73)と当接されてつっかえることとなる。即ち、下側の収容室(71)に挿入される途中の端子(80)に設けられた相手側端子挿入口(82)の近傍部は、下側のランス73を乗り越えることができないこととなる。これにより、コネクタハウジング(70)上側の収容室(71)に挿入された端子(80)が、半挿入状態とされていたものと判明される。
【0060】
このように、図1に示されるコネクタ60が組立てられる工程において、コネクタハウジング70に設けられた上側の収容室71または下側の収容室71の何れか一方側の収容室71内に、先ず端子80が挿入され、その際に、先ず端子80が挿入された側の収容室71内において端子半挿入状態が発生された場合、次に、コネクタハウジング70に設けられた下側の収容室71または上側の収容室71の何れか端子未挿入側の収容室71に、残りの端子80が挿入されるときに、先に挿入された端子80の半挿入状態が判明されることとなる。
【0061】
図1(b)において、前記先に挿入された端子80は、コネクタハウジング70の下側の収容室71に挿入された端子80に相当する。また、後からコネクタハウジング70に挿入される前記残りの端子80は、コネクタハウジング70の上側の収容室71に挿入されている端子80に相当する。
【0062】
前記先に挿入された端子80が、半挿入の状態でコネクタハウジング70に取付けられることなく、確実にコネクタハウジング70の下側の収容室71に挿着されていれば、残りの端子80は、コネクタハウジング70の端子未挿入側とされた上側の収容室71に難なく挿入される。
【0063】
その際に、残りの端子80が挿入された側の収容室71すなわち上側の収容室71のランス73において、端子半挿入状態が発生されているものかどうかといったことが容易で迅速に判明されるために、図1に示されるコネクタ検査装置1が用いられて、コネクタ60を構成するコネクタハウジング70の係止ランス73の検査が行われる。
【0064】
コネクタハウジング70内の上下一組のランス73,73に対応して、コネクタ検査装置1に一つの信号部10が設けられていれば、前記上下一組のランス73,73のうち何れか一方のランス73だけが撓まされたままの状態に維持されて、コネクタハウジング70内に挿入された上下両方の端子80のうち何れか一方の端子80が、完全にコネクタハウジング70に挿着されずに半挿入の状態とされているということは、上下一組のランス73,73に対応したコネクタ検査装置1の一つの信号部10によって確実に判明される。従って、必要以上に信号部10がコネクタ検査装置1に備えられるということは回避され、コネクタ検査装置1の構造の簡素化と、価格の低減化とが図られることとなる。
【0065】
図1に示される上記コネクタ検査装置1に限られず、検査対象のコネクタの構造により、例えば、一つの端子収容室(71)すなわち一つのキャビティに対応して、コネクタ検査装置(1)に一つの信号部(10)が設けられ、コネクタ(60)を構成するコネクタハウジング(70)に設けられた複数のキャビティの総数と、コネクタ検査装置(1)に設けられた複数の信号部(10)の総数とが同数とされるコネクタ検査装置(1)も使用可能とされる。そのようなコネクタ検査装置(1)が構成されていれば、コネクタハウジング(70)に挿入された複数の端子(80)のうち、中途挿入とされた端子は、容易で確実に識別されることとなる。
【0066】
図1の如く、コネクタ検査装置1の信号部10は、装置本体2の前部側壁2bに装着されて、コネクタハウジング70の信号入射口72側すなわちここではコネクタハウジング70の相手側端子挿入口72側に位置すると共に、端子収容室71内に設けられたランス73の先端面73aに照準が合せられるようにコネクタ検査装置1に備えられている。
【0067】
コネクタ検査装置1の信号部10から発信される信号Sは、コネクタハウジング70の相手側端子挿入口72からコネクタハウジング70の端子収容室71内に入射されて端子収容室71内に設けられたランス73の先端面73aに照射される。
【0068】
これと共に、図1(a)の如く、コネクタハウジング70内のランス73の先端面73aに対して反射された信号Sが、再度、コネクタ検査装置1の信号部10に戻されることで、コネクタハウジング70の端子収容室71内に設けられたランス73の位置が検出される。これにより、コネクタハウジング70に端子80が正常な状態で挿着されていることが確認される。
【0069】
また、図1(b)の如く、コネクタハウジング70内のランス73の先端面73aに対して反射された信号Sが、コネクタ検査装置1の信号部10に戻されることなく他の方向へ反射された場合、信号部10に反射される光信号Sなどの信号Sに変化が生じることとなる。このようにして、コネクタハウジング70に対し端子80が半挿入の状態とされていることが判明され、コネクタ60の検査が確実に行われることとなる。
【0070】
このような反射方式のコネクタ検査装置1が構成されてあれば、例えば図5または図6に示される如く、複雑な構造をしたコネクタ検査装置とされることなく、しかも検出精度の高いコネクタ検査装置1(図1)が提供されることとなる。
【0071】
また、コネクタハウジング70内のランス73の確認作業が行われる際に、前記コネクタ検査装置1が用いられることにより、コネクタハウジング70の相手側端子挿入口72から検出ピンが挿入されて、コネクタハウジング70内のランス73に突き当てられるための空間(図示せず)は、コネクタハウジング70に必要とされなくなる。従って、図1の如く、コネクタハウジング70の相手側端子挿入口72の全周にわたって、相手側端子(図示せず)が挿入され易くされるためのガイドテーパ面72aいわゆる雄端子先端拾いテーパ面が形成可能となる。
【0072】
コネクタハウジング70内のランス73に向けて発信される信号Sとして、光信号Sが適用された。図1に示されるコネクタ検査装置1の信号部10は、光信号Sを発光すると共に、コネクタハウジング70内のランス73の先端面73aに対して反射された光信号Sを受光する一つの光信号発光・受光部10とされている。即ち、一つの光信号発光・受光部10は、光信号発光部と、光信号受光部とを兼ね備えた光センサとして構成され、具体的には一つの回帰反射型センサとされている。
【0073】
コネクタ検査装置1に、単体の反射式の光信号発光・受光部10が用いられることにより、簡素な構造でありながらランス73の検出精度の高いコネクタ検査装置1が提供されることとなる。また、光信号Sによって、コネクタハウジング70内に挿着された雌端子80と、コネクタハウジング70内に設けられたランス73との係止状態が確認されるものであるから、非接触の状態でランス73の位置の検出が行われることとなる。
【0074】
従って、ランス73の係止状態が確認される際に、従来の技術で用いられた検出ピンなどにより、コネクタハウジング70に挿着された雌端子80またはコネクタハウジング70内に設けられたランス73が、不用意に破損させられるといった不具合の発生は、確実に防止されることとなる。
【0075】
さらに、コネクタ60の仕様により、雌端子80が確実にコネクタハウジング70内に係り止めされるための端子二重係止部材(図示せず)をコネクタ60から省略させることも可能となる。そのようにすることで、コネクタ60の重量が軽減化されると共にコネクタ60の構造が簡素化され、これに伴って、コネクタ60の製造コストが削減化されることとなる。また、不図示の端子二重係止部材がコネクタハウジング70内に収容されるためのスペースも、コネクタハウジング70に不要とされるから、コネクタハウジング70およびコネクタ60の小型化が図られることとなる。
【0076】
図1に示されるコネクタ検査装置1が用いられて、コネクタ60の検査方法が行われる手順について説明すると、先ず、コネクタハウジング70に複数の端子80が組付けられてコネクタ60が構成され、このコネクタ60が、光信号発光・受光部10いわゆる回帰反射型センサを備えるコネクタ検査装置1の装着部30にセットされる。
【0077】
次に、コネクタ検査装置1の光信号発光・受光部10から、コネクタハウジング70内に設けられた係止ランス73の先端面73aに光信号Sが照射される。これと共に、係止ランス73の先端面73aに反射されて光信号発光・受光部10に戻されてきた光信号Sの状態から、係止ランス73が正規の位置にあるものか否かの判断が行われ、コネクタハウジング70に対する端子80の組付け状態が確認される。
【0078】
光センサの光源に用いられるものとして、例えば発光ダイオード(図示せず)などが挙げられる。発光ダイオードは、電流の変化が光の強弱の変化に変換されるものであり、二極間の接合部(図示せず)に電流が流されると発光される特殊な半導体が利用された素子を備えるものとされている。発光ダイオードとして、赤、橙、黄、緑、青などの色を発光するものがある。発光ダイオードは「light emitting diode」を意味し「LED」と略称される。
【0079】
また、光センサに代えて、例えばCCDカメラ(図示せず)が用いられて、コネクタハウジング内の係止ランスに関する画像処理が行われることにより、コネクタハウジングの内部に挿着される端子を係止するランスの状態が確認されるコネクタ検査装置も使用可能とされる。
【0080】
CCDとは、光が電気信号に変換される半導体製の受光素子とされ、固体撮像素子、電荷結合素子などとも呼ばれるものとされている。また「CCD」とは、「charge coupled device」 を意味する。一般に画素数が数十万から数百万のCCDが使用されている。
【0081】
不図示のCCDカメラが用いられたコネクタ検査装置による検査工程について説明すると、まずCCDカメラによって、コネクタハウジングの内部に突設された係止ランスが映像として捉えられる。光がコネクタハウジング内の係止ランスに当てられると係止ランスから反射光が生じ、この反射光はCCDカメラのレンズで集光されて、二次元のCCD撮像素子に像が結ばれる。前記CCD撮像素子から、明暗に対応した信号がコントローラ(図示せず)に伝送される。前記コントローラにおいて信号が処理され、そのデータに基づいて係止ランスの形状や位置などが測定される。
【0082】
図1に示される上記コネクタ60と同じく、図2に示されるコネクタ65も、合成樹脂製のコネクタハウジング75と、このコネクタハウジング75の端子収容室76内に挿着される金属製の端子85(図3参照)とを備えるものとして構成されている。図2の如く、コネクタハウジング75の後側に設けられた端子挿入口76bからコネクタハウジング75の端子収容室76内に向けて前記端子85が差込まれることで、コネクタハウジング75に端子85が組付けられる。
【0083】
合成樹脂製のコネクタハウジング75は、基壁75aと、この基壁75aに対し略直角に延設された一側壁75cおよび他側壁75dと、前記両側壁75c,75dに対し略直角に延設されると共に前記基壁75aに沿って略平行に設けられた他壁75eと、各端子収容室76を区切る複数の隔壁75bとを備えるものとして形成されている。
【0084】
図2の如く、コネクタ65を構成する一つのコネクタハウジング75内に、複数の端子収容室76が設けられると共に、各端子収容室76に、図3に示される形状をした係止ランス78が一つずつ設けられている。また、図2に示されるコネクタ65と同じく、図3に示されるコネクタ65I は、一つのコネクタハウジング75I 内に複数の端子収容室76I が設けられたものとされ、各端子収容室76I に一つずつ係止ランス78が設けられたものとされている。
【0085】
前記係止ランス78は、コネクタハウジング75(図2),75(図3) と一体に成形されている。図3の如く、係止ランス78は、コネクタハウジング内の根元部78bから先端部78aまで延設され、前記根元部78bを中心とした可撓性のハウジングランスとされている。
【0086】
また、端子85の係合孔88aの係合面88a1 に対応して、係止ランス78の先端部78aに係止面78cが設けられている。端子85の係合孔88aの係合面88a1 と、係止ランス78の先端部78aの係止面78cとが、合せられることで、端子85は確実にコネクタハウジング75I に係止される。
【0087】
また、コネクタハウジング75I に端子85が確実に挿着された状態において、信号発信部11から発せられる信号Sが通り抜けられることのできる略矩形箱状をしたランス検出孔79(図2),79(図3) が、コネクタハウジング75(図2),75(図3) に貫設されている。
【0088】
また、コネクタハウジング75I に端子85が半挿入の状態で挿着されて、図3の仮想線(二点鎖線)で示される如く、コネクタハウジング75I 内の係止ランス78が撓まされた状態において、前記ランス検出孔79(図2),79(図3) は、コネクタハウジング75(図2),75(図3) の各係止ランス78の先端部78aにより、信号発信部11から発せられる信号Sが遮られる位置に、コネクタハウジング75(図2),75(図3) に貫設されたものである。コネクタハウジング75(図2),75(図3) のランス検出孔79(図2),79(図3) は、複数の係止ランス78(図3)の並び方向いわゆるコネクタ65(図2),65(図3) の左右幅方向に沿って貫設されたものである。
【0089】
図3の実線で示される係止ランス78の如く、コネクタハウジング75I 内において、係止ランス78が正規の位置にある場合は、係止ランス78と、ランス検出孔79I とは、殆ど干渉されることがないコネクタ65I の構造とされている。
【0090】
これは、合成樹脂材料が用いられてコネクタハウジング75I が射出成形される際に、コネクタハウジング75I のランス検出孔79I は、コネクタハウジング75I の側面より、ランス検出孔79I に対応した形状の引抜き棒(図示せず)が用いられて、コネクタハウジング75I にランス検出孔79I が設けられるといった射出成形用金型(図示せず)の構造による。
【0091】
図2に示されるコネクタハウジング75のランス検出孔79も、不図示の射出成形用金型と、合成樹脂材料とが用いられてコネクタハウジング75が射出成形される際に、ランス検出孔79に対応した引抜き棒(図示せず)が用いられて形成されたものである。
【0092】
また、図3に示されるコネクタ65I のコネクタハウジング75I の前側に、雌端子85を確実に保持する合成樹脂製のフロントホルダ67が装着されている。上記コネクタハウジング75(図2),75(図3) と、前記フロントホルダ67(図3)とは、射出成形法に基づいて形成されたものである。
【0093】
図3に示される金属製の端子85は、相手側端子(図示せず)と通電可能に接続される電気接触部88と、ケーブル95(図2)と通電可能に接続される電線接続部89とを備えるものとして形成されている。
【0094】
図3の如く、タブ形状をした雄端子(図示せず)が雌端子85の電気接触部88内に確実に挿入されるために、雌端子85の電気接触部88は、基壁88bと、基壁88bから略直角に折曲げられて延設された両側壁88cと、一方の側壁88cから略直角に折曲げられて前記基壁88bと略平行に延設された他壁88dと、他方の側壁から略直角に折曲げられて前記他壁88dと重なり合って延設されたその他の壁88eとを備える略矩形箱状のものとされて、収容室86が設けられたものとされている。
【0095】
また、雌端子85の電気接触部88は、相手側端子とされる不図示の雄端子が入り込むための相手側端子挿入口87と、不図示の雄端子が挿入される略矩形箱状をした収容室86と、コネクタハウジング75I のランス78が雌端子85と確実に係り止めされるために基壁88bに設けられた係合孔88aと、不図示の雄端子と確実に通電可能に接触されるために湾曲面状に形成された一接点部88hと、このような接点部88hが設けられた弾性接触片88gと、同じく不図示の雄端子と通電可能に接触される他の接点部88kとを備えるものとして形成されている。
【0096】
電気接触部88の弾性接触片88gは、基壁88bの端部が延長されると共に、延設された基壁88bの一部が折曲げ部88jにおいて収容室86内に向けて折返されることで形成されたものである。
【0097】
前記弾性接触片88gに設けられた前記一接点部88hと、前記他の接点部88kとの間に、不図示のタブ形状をした雄端子が挿入されることで、弾性接触片88gが基壁88bに向けて撓まされると共に、他の接点部88kに向けた復元弾性力が弾性接触片88gに発生される。この復元弾性力によって、前記一接点部88hと、前記他の接点部88kとの間に、不図示の雄端子が確実に挟み込まれ、このようにして、雌端子85と、雄端子(図示せず)とは、確実に通電可能に接触されることとなる。
【0098】
コネクタハウジング75(図2),75(図3) に組付けられる金属製の端子85は、板状をした鋼板に打抜き加工などのプレス加工が行われて、所定の形状をした平板状の端子金具素材が形成された後に、平板状の端子金具素材に折曲げ加工などのプレス加工が行われて形成されたものである。
【0099】
また、金属製の端子85に接続されるケーブル95(図2)は、図1に示されるケーブル90と同じく、前記導体と、前記絶縁被覆体とを備えるものとして構成されている。また、図2の如く、複数のケーブル95の端部にコネクタ65が取付けられ、粘着剤付の集束テープ(図示せず)や、腹裂き状のコルゲートチューブ(図示せず)などが用いられて各ケーブル95が束ねられ、一つのものとして構成されることにより、自動車(図示せず)などの相手側取付体に組付けられ易くされたワイヤハーネス99が構成される。
【0100】
図1に示される上記コネクタ検査装置1と同じく、図2に示されるコネクタ検査装置5も、コネクタハウジング75(図2),75(図3) 内に挿着される雌端子85を係止するランス78の状態を確認するために用いられるものである。このコネクタ検査装置5は、コネクタ65,65I がセットされるための装着部35(図2)と、コネクタハウジング75,75(図3) 内のランス78に向けて信号Sを発信すると共に信号Sを受信する一組の信号部11,12(図2)とを備えるものとされている。
【0101】
一組の信号部11,12は略円筒状に形成された一組のセンサとされ、それぞれのセンサに光ファイバ11L,12Lなどのケーブル11L,12Lが接続されている。このケーブル11L,12Lは、光測定器などの測定装置(図示せず)に接続されて、光信号Sなどの信号Sが検出されると共に、前記信号Sが予め設定された所定の値と適合されるものであるか、又は不適合とされるものであるかといった判定が行われる。
【0102】
図2に示されるコネクタ検査装置5の構造について詳しく説明すると、このコネクタ検査装置5は、前記コネクタ65がセットされる前記装着部35と、コネクタ65内のランス78を検査するための前記一組の信号部11,12と、ケーブル95からコネクタハウジング75内の端子85までの通電状態を検査する通電検査部45と、前記コネクタ65と、前記通電検査部45とを容易に接続または分離させる操作部50と、前記装着部35と、前記通電検査部45と、前記操作部50とが組付けられるベース部25とを備えるものとして構成されている。
【0103】
コネクタ検査装置5に備えられた金属製ベース部25の基板部26に、組立てられた前記装着部35と、前記通電検査部45とが載置される。また、前記ベース部25の基板部26が折曲げられると共に延長されて形成された一対の側板部27に、前記装着部35が案内固定されると共に、前記操作部50の基部54が取付けられる。さらに、前記ベース部25に対して略矩形箱状をした通電検査部45が前後方向に沿ってスライド移動される際に、前記ベース部25の前記一対の側板部27によって、前記略矩形箱状をした通電検査部45はガイドされることとなる。
【0104】
また、ベース部25の基板部26が段差形状に折曲げられると共に延長されて取付片28が形成され、この取付片28の取付孔29に、ボルト、ねじ等の止具(図示せず)が挿通される。
【0105】
各ねじT〜Tなどの止具T〜Tが用いられて、前記装着部35と、前記通電検査部45と、前記操作部50とが、それぞれ所定の通りに組立てられると共に、それぞれのものが前記ベース部25に取付けられることで、前記コネクタ検査装置5が組立てられる。
【0106】
また、複数のコネクタ検査装置5が作業台(図示せず)に載置されると共に、各コネクタ検査装置5のベース部25に設けられた取付片28の取付孔29に、ボルト、ねじ等の止具(図示せず)が通されて、不図示のボルト、ねじ等の止具が不図示の作業台に固定されることで、複数のコネクタ検査装置5が不図示の作業台に備付けられる。
【0107】
コネクタ65がセットされる装着部35は、一方の信号部11が取付けられると共にコネクタ65を案内する一側壁36と、コネクタ65が確実に装着部35に位置決めされつつ保持されるための可動押付壁36Hと、他方の信号部12が取付けられると共にコネクタ65の位置決めが行われるための他側壁37と、コネクタ65が載置される基壁38と、コネクタ65の後側の位置決めが行われるための別の側壁39とを備えるものとして構成されている。
【0108】
コネクタ検査装置5を真上から眺めた場合、前記一側壁36は略L字状に形成され、前記他側壁37は略コ字状に形成されている。また、前記可動押付壁36Hは略立方体に形成され、前記一側壁36と、前記可動押付壁36Hとの間に復元弾性力が発生されるばね片(図示せず)が装着されている。また、コネクタ65の後側から導出される複数のケーブル95に対応して、前記別の側壁39に、略矩形状に切欠き形成された電線導出部39aが設けられている。コネクタ検査装置5を後側から眺めた場合、前記別の側壁39は略凹状に形成されている。
【0109】
前記一側壁36および前記可動押付壁36Hと、前記他側壁37と、前記別の側壁39と、前記基壁38とに囲まれた空間部35aに、検査されるための前記コネクタ65がセットされる。
【0110】
略筒状に形成された信号部11,12とされるセンサに対応して、装着部35を構成する両側壁36,37に貫通孔形状をした取付部が設けられ、貫通孔形状をしたそれぞれの取付部に、それぞれの信号部11,12が挿着されている。また、他方の信号部12に対する一方の信号部11の位置決めや、位置合せの微調整が行われ易くされるための固定具36Fおよび「ねじ」T2 が用いられて、側壁36に信号部11が取付けられている。また、一方の信号部11から発信される信号Sが確実に他方の信号部12に受信されるために、一方の信号部11の信号発信面と、他方の信号部12の信号受信面とは対向して位置するものとされている。
【0111】
このように、図2に示されるコネクタ検査装置5は、コネクタハウジング75(図2),75(図3) の内部に挿着された端子85を係止するランス78の状態を検査するための部分において、簡単な構造のものとされ、しかも簡単な構造のものとされながら、コネクタハウジング75,75(図3) 内のランス78の検出精度が向上されたコネクタ検査装置5(図2)とされている。
【0112】
また、コネクタハウジング75,75I 内に挿着された雌端子85と、コネクタハウジング75,75I 内に設けられたランス78との係止状態が確認される際に、上記一組の信号部11,12とされるセンサが用いられることにより、非接触の状態でランス78の検出が行われることとなる。従って、コネクタハウジング75,75I に挿着された雌端子85またはコネクタハウジング75,75I 内のランス78が、従来の技術で用いられた検出ピンなどの他のものによって不用意に破損させられるといった不具合の発生は、未然に防止されることとなる。
【0113】
図2の如く、コネクタ検査装置5の信号部11,12は、コネクタハウジング75の一側壁75c側に位置すると共に信号Sを発信する信号発信部11と、コネクタハウジング75の他側壁75d側に位置すると共に信号Sを受信する信号受信部12とを備えるものとして構成されている。
【0114】
コネクタ検査装置5の装着部35に、検査されるコネクタ65がセットされた状態において、コネクタ検査装置5の信号発信部11から発せられる信号Sは、コネクタハウジング75の一側壁75c側から他側壁75dにかけて貫設されたランス検出孔79を通り抜け、その際の信号Sの透過量がコネクタ検査装置5の信号受信部12によって検知されることにより、コネクタハウジング75の端子収容室76内に設けられたランス78の位置が検出される。
【0115】
これについて、図3に基づいて詳しく説明すると、コネクタハウジング75I に貫設されたランス検出孔79I を通過する信号Sは、予め、所定の値に設定されている。また、信号発信部11から発せられる信号Sは、信号発信部11に対向して位置する信号受信部により検知される。
【0116】
その際に、図3に示される仮想線の如く、コネクタハウジング75I のランス78が雌端子85によって跳ね上げられた状態とされた場合、仮想線で示されたランス78により前記信号Sは遮られることとなる。従って、信号発信部11から信号受信部に向けた信号Sの透過量が変化することになる。前記信号Sの透過量の変化により、コネクタハウジング75I に対する雌端子85の半挿入状態が検知される。
【0117】
このように透過方式のコネクタ検査装置5(図2)が用いられることにより、多段タイプのコネクタや、コネクタの極数に関らず、一組のセンサにより容易で迅速にコネクタの係止ランスの検査が行われることとなる。また、例えば図5または図6に示される如く、複雑な構造のコネクタ検査装置とされることなく、高精度に設定可能な透過方式のコネクタ検査装置5(図2)が提供されることとなる。
【0118】
図2または図3に示されるコネクタハウジング75,75I 内のランス78に向けて発信される信号Sとして、光信号Sが適用された。図2に示されるコネクタ検査装置5の信号発信部11は、光信号Sを発光する光信号発光部11とされている。また、コネクタ検査装置5の信号受信部12は、光信号Sを受光する光信号受光部12とされている。このように、一組の信号部11,12は、透過方式のセンサとされている。
【0119】
光信号発光部11と、光信号受光部12とを備える一組の透過式信号部11,12が、コネクタ検査装置5に装着されているから、非接触の状態でコネクタハウジング75,75I 内におけるランス78の位置の検出が行われることとなる。従って、ランス78の係止状態の確認が行われる際に、従来の技術で用いられた検出ピンなどによって、コネクタハウジング75,75I に挿着された雌端子85またはコネクタハウジング75,75I 内に設けられたランス78が、不用意に破損させられるといった不具合の発生は、確実に防止されることとなる。
【0120】
図2に示されるコネクタ検査装置5が用いられて、図2に示されるコネクタ65もしくは図3に示されるコネクタ65I の検査方法が行われる手順について説明する。図2の如く、コネクタハウジング75の側壁75c,75dに、貫通孔形状のランス検出孔79が空けられ、このコネクタハウジング75に、複数の端子85が組付けられて、コネクタ65が構成される。
【0121】
光信号発光部11の発光面と、光信号受光部12の受光面とが向かえ合わせに設けられたコネクタ検査装置5の装着部35に、前記コネクタ65がセットされる。一組のセンサを備えるコネクタ検査装置5の光信号発光部11から、コネクタハウジング75の側壁75cに設けられたランス検出孔79内に光信号Sが照射されると共に、反対側に設けられた光信号受光部12において前記光信号Sが受光される。
【0122】
図3の如く、コネクタハウジング75I 内の端子85が半挿入の状態とされることなく、図3の実線で示される係止ランス78のように係止ランス78が正規の位置にある場合は、係止ランス78が、ランス検出孔79I の中に位置するということはない。コネクタ検査装置5の光信号発光部11から発せられた光信号Sは、透過量が変化することなく光信号受光部へ達する。
【0123】
コネクタハウジング75I 内に端子85が中途半端に挿入されている場合は、図3の仮想線で示される係止ランス78の如く、端子85の電気接触部88などにより係止ランス78が跳ね上げられた状態とされ、係止ランス78の先端部78aは、ランス検出孔79I の中に位置することとなる。これにより、光信号Sの透過量が変化されることとなり、この光信号Sの透過量の変化により、係止ランス78の状態が検出され、端子85の組付け状態が確認される。
【0124】
光センサは、発光素子と、受光素子とを備えるものとされている。発光素子として、赤外線LEDなどの上記LEDが挙げられる。また、受光素子として、不図示のフォトトランジスタ、フォトダイオードなどが用いられる。このような受光素子は、光が当てられると電流が流れる素子とされている。
【0125】
図3の如く、光信号発光部11側に備えられる発光素子から発せられた光が、仮想線で描かれた係止ランス78によって遮られた場合、光信号受光部側に備えられる受光素子まで達せられる光は減少されるから、受光素子に流される電流に変化が生じることとなる。このようにして、コネクタハウジング75I に対し、複数の端子85の何れかのものが半挿入の状態とされていることが判明され、コネクタ65I の検査が確実に行われることとなる。
【0126】
図3に示されるコネクタ65I は、端子二重係止部材69Xを備えるものとして構成されている。この端子二重係止部材69Xは、コネクタハウジング75I に対し端子85が半挿入の状態で組付けられるといったことを回避させ、確実に端子85がコネクタハウジング75I 内に係り止めされるために、コネクタハウジング75I に組付けられて用いられるものとされている。
【0127】
コネクタハウジング75I の挿入空間79Xに前記端子二重係止部材69Xが挿着されることで、コネクタハウジング75I の後側から端子85が不用意に後抜けされるということなく、端子85は確実にコネクタハウジング75I に組付けられることとなる。
【0128】
これに対し、図1または図2に示されるコネクタ60,65は、端子二重係止部材といった特別な部材が備えられることなく、端子二重係止部材は、コネクタ60,65から省略されたものとされている。
【0129】
このように、端子二重係止部材が備えられることの無いコネクタ60,65とされてあっても、図1または図2に示される上記コネクタ検査装置1,5が用いられてコネクタ60,65の検査が行われることにより、コネクタハウジング70,75に対する端子80,85の半挿入状態は、容易に見つけられることとなる。
【0130】
また、そのような状態のコネクタが見つけられた時に、コネクタハウジング70,75に端子80,85を確実に挿着させることで、端子半挿入状態のコネクタが市場に出荷されるということは、未然に回避されることとなる。このようにして、製品として性能が保証されたコネクタが市場に出荷されることとなる。
【0131】
このようなことにより、例えば図3に示されるコネクタ65I から端子二重係止部材69Xを省略させることも可能となる。そのようにすることで、コネクタ65I の重量が軽減化されると共にコネクタ65I の構造が簡素化され、これに伴って、コネクタ65I の製造コストが削減化されることとなる。
【0132】
また、図7に示される従来のコネクタ端子検査装置は、コネクタハウジング401の係止孔405から金属端子体402のスタビライザー部404いわゆるターミナルランスが露出される構造をしたコネクタにおいて、コネクタハウジング401に対する金属端子体402の位置が検査されるものであった。そのため、露出された金属端子体402のスタビライザー部404により、極間ショートといった電気的不具合が発生されるという虞があった。
【0133】
これに対し、図1〜図3の如く、コネクタハウジング70,75,75I 内に挿着された端子80,85と、コネクタハウジング70,75,75I 内に設けられたランス73,78との係止状態が確認される際に、図1または図2に示されるコネクタ検査装置1,5が用いられることにより、極間ショートが発生されるといった虞のあるコネクタが用いられる必要性が無くなる。
【0134】
詳しく説明すると、光信号Sが用いられて、合成樹脂製コネクタハウジング70,75,75I の内部に挿着された金属製雌端子80,85と、コネクタハウジング70,75,75I の内部に突設された合成樹脂製ランス73,78との係止状態が確認されるために、敢えて合成樹脂製コネクタハウジング70,75,75I から金属製雌端子80,85の一部分を露出させる必要性が無くなる。
【0135】
即ち、端子金具素材にプレス加工が行われて金属製端子に金属製係止ランスが突出形成されると共に、金属製端子から突設された金属製係止ランスを合成樹脂製コネクタハウジングから露出させる必要性が無くなる。従って、極間ショート発生の危険性が低減化されたコネクタ60,65,65I が取扱われることとなる。
【0136】
コネクタ検査装置5の通電検査部45を前後方向に沿って可動させる操作部50は、回動レバー51と、回動レバー51の根元に設けられた軸ピン52と、前記回動レバー51を回動自在に支持し且つ前記軸ピン52に対応する軸孔が設けられた軸支部53と、前記軸支部53を支持する基部54と、前記回動レバー51と、連結ピン55とを繋ぐ連結棒56と、前記連結ピン55から通電検査部45のハウジング46まで延設されたリンク棒57と、前記リンク棒57と、前記通電検査部45の前記ハウジング46とを繋ぐ可動ピン58とを備えるものとして構成されている。
【0137】
このように、コネクタ検査装置5の操作部50は、リンク機構を備えるものとして構成されている。また、回動レバー51の操作が行われ易くされるために、回動レバー51に取手部51aが設けられている。
【0138】
コネクタ検査装置5に備えられる通電検査部45は、ハウジング46と、ハウジング46内に取付けられた複数の通電検査用端子48いわゆるプローブピンとを備えるものとして構成されている。
【0139】
また、各通電検査用端子48に接続される電線(図示せず)を保護すると共に、前記操作部50の前記基部54と当接されて前後にスライド可能な通電検査部45のストッパーとしての役割を果す電線カバー49が、ねじT4 によってハウジング46に装着されている。また、前記リンク棒57の落込みやガタつきによる回動レバー51の操作不良を未然に回避させるために、前記リンク棒57が載置されると共に前記リンク棒57が支えられる支持片49aが、前記電線カバー49から延設されている。
【0140】
コネクタ検査装置5の通電検査部45として備えられたハウジング46は、合成樹脂製の周壁47により形成されている。また、合成樹脂製のハウジング46に備えられた通電検査用端子48は、コネクタ65(図2),65(図3) に設けられた金属製の雌端子85に対応して、タブ形状をした金属製の雄端子48として形成されている。各通電検査用端子48は、電線(図示せず)と接続され、不図示の電線は、さらに通電検査装置(図示せず)と接続されている。
【0141】
コネクタ検査装置5に備えられた前記回動レバー51が操作されることで、コネクタ検査装置5の装着部35にセットされたコネクタ65に向けて、コネクタ検査装置5の略矩形箱状をした通電検査部45がスライド移動される。このようにして、コネクタ検査装置5の通電検査部45に備えられた通電検査用端子48と、複数のケーブル95の一端側に取付けられたコネクタ65の端子85(図3参照)とが接続される。
【0142】
また、これと共に、図2に示される複数のケーブル95の他端側に取付けられた不図示の他のコネクタを介して、ワイヤハーネス99と、不図示の通電検査装置とが接続される。その後、不図示の通電検査装置から所定電圧および所定電流値の電流がワイヤハーネス99に流されることで、コネクタ65を備えるワイヤハーネス99の通電検査が行われる。
【0143】
このように、図2に示されるコネクタ検査装置5は、コネクタハウジング75(図2),75(図3) 内に挿着される端子85を係止するランス78の状態を確認するための検査と、コネクタ65を含むワイヤハーネス99の通電検査との二項目の検査を同時に行えるコネクタ検査装置とされている。従って、ワイヤハーネス99の組立工程において、図2に示されるコネクタ検査装置5が用いられることで、コネクタ65に関する前記各検査は、容易で迅速にしかも確実に行われることとなる。
【0144】
本発明に係るコネクタ検査装置について、図1に例示された上記コネクタ検査装置1と、図2および図3に例示された上記コネクタ検査装置5とに基づいて説明したが、本発明に係るコネクタ検査装置は、上記各コネクタ検査装置1,5に限られるものではない。
【0145】
また、検査対象とされるコネクタについても、図1に示される形態をしたコネクタ60や、図2に示される形態をしたコネクタ65や、図3に示される形態をしたコネクタ65I に限られるものではない。
【0146】
例えば、図1に示されるコネクタ検査装置1の光信号発光・受光部10に代えて、図2に示されるコネクタ検査装置5の光信号発光部11が、図1に示される装置本体(2)の前部側壁(2b)に装着されると共に、図2に示されるコネクタ検査装置5の光信号受光部12が、図1に示されるコネクタ(60)を構成するコネクタハウジング(70)の端子挿入口(71b)側に設けられて、コネクタ(60)の検査が行われるものも使用可能とされる。
【0147】
また、そのようなコネクタ検査装置(1)において、前記光信号発光部と、前記光信号受光部との位置関係が逆とされるものも使用可能とされる。具体的に説明すると、図2に示されるコネクタ検査装置5の光信号発光部11が、図1に示されるコネクタ(60)を構成するコネクタハウジング(70)の端子挿入口(71b)側に設けられると共に、図2に示されるコネクタ検査装置5の光信号受光部12が、図1に示される装置本体(2)の前部側壁(2b)に装着されて、コネクタ(60)の検査が行われるものも使用可能とされる。
【0148】
上記各コネクタ検査装置(1)が用いられる場合、図1(a)から想定可能なように、正常に端子(80)がコネクタハウジング(70)に挿着された状態のコネクタ(60)において、コネクタ検査装置(1)に備えられる前記光信号発光部から前記光信号受光部まで直進する光信号(S)が遮られることのない構造をしたコネクタ(60)が検査の対象とされる。
【0149】
図1(b)から想定可能なように、コネクタハウジング(70)に対して上側の端子(80)が中途半端な半挿入の状態とされたときに、前記光信号発光部から前記光信号受光部まで直進されていた光信号(S)は、撓まされた状態のままに維持された上側の係止ランス(73)に当てられて、前記光信号発光部から発せられた光信号は、上側の係止ランス(73)により進路が遮られることとなる。
【0150】
光信号発光部側に備えられる発光素子から発せられた光が、撓まされた状態に維持された係止ランス(73)によって遮られた場合、光信号受光部側に備えられる受光素子まで達せられる光は大幅に減少されるから、受光素子に流される電流に変化が生じることとなる。即ち、上記光信号発光部から上記信号受信部に向けた光信号(S)の透過量が変化することになる。前記光信号(S)の透過量の変化により、コネクタハウジング(70)に対する雌端子(80)の半挿入状態が検知されることとなる。
【0151】
また、図2に示されるコネクタ検査装置5の光信号発光部11および光信号受光部12に代えて、例えば、図1に示されるコネクタ検査装置1の光信号発光・受光部10が、図2に示されるコネクタ検査装置(5)に用いられて、コネクタ(65)の検査が行われるものも使用可能とされる。
【0152】
本発明に係るコネクタ検査装置は、コネクタがセットされる装着部と、コネクタを構成するコネクタハウジングの内部に設けられた係止ランスに向けて信号を発信すると共に信号を受信する信号部とを備えるものとされていれば、あらゆるタイプのコネクタ検査装置が適用可能とされるものである。
【0153】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、コネクタハウジングに挿着される端子を係止するランスの状態を確認するためのコネクタ検査装置において、コネクタがセットされる装着部と、ランスに向けて信号を発信すると共に信号を受信する信号部とを備えるものとされているから、簡単な構造とされながらランスの検出精度が向上されたコネクタ検査装置を提供することができる。また、コネクタハウジングに挿着された端子と、ランスとの係止状態が確認される際に、非接触の状態でランスの検出が行われることから、コネクタハウジングに挿着された端子またはコネクタハウジング内のランスが、検出ピンなどの他のものによって不用意に破損させられるといった不具合の発生は、未然に防止されることとなる。
【0154】
請求項2記載の発明によれば、コネクタ検査装置の信号部は、コネクタハウジングの信号入射口側に備えられ、コネクタ検査装置の信号部から発信される信号は、コネクタハウジングの信号入射口からコネクタハウジングの端子収容室内に入射されて端子収容室内に設けられたランスに照射されると共に、ランスに対して反射された信号が、再度、コネクタ検査装置の信号部に戻されることで、コネクタハウジングの端子収容室内に設けられたランスの位置が検出されるものとされているから、複雑な構造をしたコネクタ検査装置とされることなく、検出精度の高いコネクタ検査装置が提供されることとなる。また、コネクタハウジングの信号入射口から検出ピンが挿入されてランスに突き当てられるための空間は、コネクタハウジングに必要とされなくなる。従って、コネクタハウジングの信号入射口の全周にわたって、相手側端子が挿入され易くされるためのガイドテーパ面が形成可能となる。
【0155】
請求項3記載の発明によれば、ランスに向けて発信される信号として光信号が適用され、コネクタ検査装置の信号部は、光信号を発光すると共にランスに対して反射された光信号を受光する光信号発光・受光部とされているから、簡素な構造でありながらランスの検出精度の高いコネクタ検査装置が提供されることとなる。また、光信号によって、コネクタハウジングに挿着された端子と、ランスとの係止状態が確認されるものであるから、非接触の状態でランスの位置の検出が行われることとなる。従って、ランスの係止状態が確認される際に、検出ピンなどによって、コネクタハウジングに挿着された端子またはコネクタハウジング内のランスが、不用意に破損させられるといった不具合の発生は、確実に防止されることとなる。
また、請求項2又は3記載の発明によれば、コネクタの仕様により、端子が確実にコネクタハウジングに係り止めされるための端子二重係止部材をコネクタから省略させることも可能となる。そのようにすることで、コネクタの重量が軽減化されると共に、コネクタの製造コストが削減化されることとなる。また、端子二重係止部材がコネクタハウジングに収容されるためのスペースも、コネクタハウジングに不要とされるから、コネクタハウジングおよびコネクタの小型化が図られることとなる。
【0156】
請求項4記載の発明によれば、コネクタ検査装置の信号部は、コネクタハウジングの一側壁側に位置すると共に信号を発信する信号発信部と、コネクタハウジングの他側壁側に位置すると共に信号を受信する信号受信部とを備え、コネクタ検査装置の信号発信部から発せられる信号は、コネクタハウジングの一側壁側から他側壁にかけて設けられたランス検出孔を通り抜け、その際の信号の透過量がコネクタ検査装置の信号受信部によって検知されることにより、コネクタハウジングの端子収容室内に設けられたランスの位置が検出されるものとされているから、複雑な構造をしたコネクタ検査装置とされることなく、高精度に設定可能なコネクタ検査装置が提供されることとなる。
【0157】
請求項5記載の発明によれば、ランスに向けて発信される信号として光信号が適用され、コネクタ検査装置の信号発信部は光信号を発光する光信号発光部とされ、コネクタ検査装置の信号受信部は光信号を受光する光信号受光部とされているから、非接触の状態でランスの位置の検出が行われることとなる。従って、ランスの係止状態の確認が行われる際に、検出ピンなどによって、コネクタハウジングに挿着された端子またはコネクタハウジング内のランスが、不用意に破損させられるといった不具合の発生は、確実に防止されることとなる。
また、請求項4又は5記載の発明によれば、コネクタの仕様により、端子が確実にコネクタハウジングに係り止めされるための端子二重係止部材をコネクタから省略させることも可能となる。そのようにすることで、コネクタの重量が軽減化されると共に、コネクタの製造コストが削減化されることとなる。
また、請求項1〜5の何れか1項に記載の発明によれば、コネクタハウジングに挿着された端子と、ランスとの係止状態が確認されるために、コネクタハウジングの外側に端子の一部を露出させる必要もなくなるから、極間ショート発生の危険性が低減化されたコネクタが取扱われることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコネクタ検査装置の一実施の形態を示す縦断面図であり、(a)はコネクタハウジングに端子が正常に挿着された状態を示す縦断面図、(b)はコネクタハウジングに対する一部の端子の半挿入状態を示す縦断面図である。
【図2】コネクタ検査装置における他の実施の形態を示す斜視図である。
【図3】図2に示されるコネクタおよびコネクタ検査装置の変形例を示す説明図である。
【図4】従来のコネクタ試験器を示す断面図である。
【図5】従来のコネクタ及びその検査装置を示す断面図である。
【図6】従来の端子半挿入検知構造及びコネクタ端子検出具を示す断面図である。
【図7】従来のコネクタ端子検査装置の検査要領を示す説明図である。
【符号の説明】
1,5 コネクタ検査装置
10  光信号発光・受光部(信号部)
11  光信号発光部(信号発信部、信号部)
12  光信号受光部(信号受信部、信号部)
30,35  装着部
60,65,65I  コネクタ
70,75,75I  コネクタハウジング
71,76,76I  端子収容室(収容室)
72     相手側端子挿入口(信号入射口)
77,77I  相手側端子挿入口
73,78  係止ランス(ランス)
79,79I  ランス検出孔
80,85  雌端子(端子)
S      光信号(信号)

Claims (5)

  1. コネクタハウジングに挿着される端子を係止するランスの状態を確認するためのコネクタ検査装置において、コネクタがセットされる装着部と、前記ランスに向けて信号を発信すると共に該信号を受信する信号部とを備えることを特徴とするコネクタ検査装置。
  2. 前記信号部は、前記コネクタハウジングの信号入射口側に備えられ、該信号部から発信される前記信号は、該コネクタハウジングの該信号入射口から該コネクタハウジングの端子収容室内に入射されて該端子収容室内に設けられた前記ランスに照射されると共に、該ランスに対して反射された該信号が、再度、該信号部に戻されることで、該コネクタハウジングの該端子収容室内に設けられた該ランスの位置が検出されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ検査装置。
  3. 前記信号として光信号が適用され、前記信号部は、該光信号を発光すると共に前記ランスに対して反射された該光信号を受光する光信号発光・受光部とされたことを特徴とする請求項2記載のコネクタ検査装置。
  4. 前記信号部は、前記コネクタハウジングの一側壁側に位置すると共に前記信号を発信する信号発信部と、該コネクタハウジングの他側壁側に位置すると共に該信号を受信する信号受信部とを備え、該信号発信部から発せられる該信号は、該コネクタハウジングの該一側壁側から該他側壁にかけて設けられたランス検出孔を通り抜け、その際の該信号の透過量が該信号受信部によって検知されることにより、該コネクタハウジングの端子収容室内に設けられた前記ランスの位置が検出されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ検査装置。
  5. 前記信号として光信号が適用され、前記信号発信部は該光信号を発光する光信号発光部とされ、前記信号受信部は該光信号を受光する光信号受光部とされたことを特徴とする請求項4記載のコネクタ検査装置。
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