JP2004108697A - 電子レンジ - Google Patents
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Abstract
【課題】電子レンジにおいて被加熱物に合った調理を行なう。
【解決手段】加熱調理開始の指示がなされると、まず、2つの赤外線センサで温度検知が行なわれ、加熱室内の3次元的な温度分布が検出され(SA1)、3次元的な温度分布の結果から加熱室内の被加熱物が推定される(SA2)。次にSA3で、推定結果を含む種々の情報に基づいて、2つの赤外線センサを用いた温度検知が精度良くかつ効率良くできる条件が割出される。そして、SA4で、割出された条件に従った温度検知が行なわれる。SA4での温度検知では、たとえば、被加熱物が水平方向の寸法が小さく垂直方向の寸法が大きいものであれば、垂直方向に視野を移動できる赤外線センサの視野の移動範囲は、主に加熱室下部の温度検知を行なう赤外線センサの視野の移動範囲よりも大きいものとされ、前者の赤外線センサは、後者の赤外線センサよりも早くその視野を移動される。
【選択図】 図6
【解決手段】加熱調理開始の指示がなされると、まず、2つの赤外線センサで温度検知が行なわれ、加熱室内の3次元的な温度分布が検出され(SA1)、3次元的な温度分布の結果から加熱室内の被加熱物が推定される(SA2)。次にSA3で、推定結果を含む種々の情報に基づいて、2つの赤外線センサを用いた温度検知が精度良くかつ効率良くできる条件が割出される。そして、SA4で、割出された条件に従った温度検知が行なわれる。SA4での温度検知では、たとえば、被加熱物が水平方向の寸法が小さく垂直方向の寸法が大きいものであれば、垂直方向に視野を移動できる赤外線センサの視野の移動範囲は、主に加熱室下部の温度検知を行なう赤外線センサの視野の移動範囲よりも大きいものとされ、前者の赤外線センサは、後者の赤外線センサよりも早くその視野を移動される。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱調理装置に関し、特に、加熱室内の食品に合う加熱調理を実行できる電子レンジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、マグネトロンを備え、当該マグネトロンの発振するマイクロ波によって加熱室に収容した食品を加熱する電子レンジがあった。このような電子レンジについては、電子レンジにおける加熱調理を加熱室内の食品に合うように実行するために、種々の技術が開示または実施されてきた。具体的には、複数の赤外線センサを用いて加熱室の3次元表面温度分布を作成して食品の形状から食品の認識を行なう技術(特許文献1参照)、放射アンテナを用いて加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給しようとする技術、および、マイクロ波の加熱室への入射成分および加熱室からの反射成分を検知して被加熱物が冷凍食品であるか否かを判別し当該判別結果に基づいてマグネトロンの駆動態様を制御する技術(特許文献2参照)がある。
【0003】
【特許文献1】
特許第2999661号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平5−326134号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来から、電子レンジにおける加熱調理について、加熱室内の食品をさらに確実に認識したいという要求、加熱室内へマイクロ波を供給する態様を従来以上に当該加熱室内の食品合うものにしたいという要求、加熱室内の食品に合うようにマグネトロンを制御したいという要求があった。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、加熱室内の食品に合うように加熱調理を実行できる電子レンジを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のある局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室内の赤外線量を検知する複数の赤外線センサと、前記複数の赤外線センサのそれぞれの視野を移動させる視野移動部と、前記複数の赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物に適した加熱パターンを決定する制御部とを含み、前記複数の赤外線センサは、互いに前記加熱室内の異なる位置に視野を有し、前記視野移動部は、前記複数の赤外線センサの視野を、互いに異なる方向および/または速度で移動させることを特徴とする。
【0008】
本発明のある局面に従った電子レンジによると、3次元的に加熱室内の温度分布が検知できる上に、当該温度検知が必要な場所について視野移動部の移動速度を落とす等して精度を上げて行なわれることが可能となる。さらに、複数の赤外線センサが異なる方向に視野を移動されて温度検知が行なわれるため、加熱室内の温度検知についての死角がより少なくなる。したがって、加熱室内の食品の分布が、精度良く、かつ、効率良く、行なわれる。
【0009】
これにより、電子レンジにおける加熱調理を、加熱室内の食品に合い、かつ、効率の良いものとすることができる。
【0010】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記制御部は、前記被加熱物に適した加熱パターンを決定した後、前記複数の赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の加熱が完了したか否かを判断することが好ましい。
【0011】
これにより、加熱室内の食品の状態を、正確に追跡することができる。
本発明の他の局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室内の赤外線量を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の温度、温度変化速度、および、温度変化加速度の値を算出し、かつ、それらの値に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の特性を特定する制御部とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の局面に従うと、加熱室内の被加熱物の温度、温度変化速度、および、温度変化加速度温度という温度に関する特性が充分に利用され、被加熱物の特定に用いられる。
【0013】
これにより、より正確に被加熱物の特定が行なわれる。したがって、電子レンジにおける加熱調理を、加熱室内の食品に合ったものとすることができる。
【0014】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記制御部は、前記赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の位置を決定し、被加熱物が前記加熱室内の複数の箇所に存在すると判断した場合、各箇所に存在する被加熱物の前記特性に基づいて、当該各箇所に存在する被加熱物に対して加熱についての優先順位を決定することが好ましい。
【0015】
これにより、温度等の状態の異なる複数の食品が加熱室内の収容された場合でも、当該複数の食品のそれぞれを適切に加熱できる。
【0016】
本発明のさらに他の局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンとを含む電子レンジであって、前記加熱室は、第1の面と、前記第1の面とは異なる第2の面を含み、前記第1の面に平行に第1の距離だけ離れた板体を備え、前記マグネトロンの発振するマイクロ波を拡散させる第1の放射アンテナと、前記第2の面に平行に前記第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れた板体を備え、前記マグネトロンの発振するマイクロ波を拡散させる第2の放射アンテナとをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明のさらに他の局面に従うと、マグネトロンの発信するマイクロ波は、それぞれ異なる方向の面を有する複数の放射アンテナによって拡散されて、加熱室内に供給される。
【0018】
これにより、電子レンジにおいて、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0019】
また、本発明に従った電子レンジは、前記加熱室内に、前記加熱室の壁面に対して電気的に絶縁されて設置された補助アンテナと、前記第1の放射アンテナを、移動させることにより、前記加熱室の壁面との間で電界を形成させる第1の状態、および、前記補助アンテナとの間で電界を形成させる第2の状態にさせる、第1の移動制御部とをさらに含むことが好ましい。
【0020】
これにより、第1の放射アンテナ上に伝播されたマイクロ波を、加熱室の壁面を介して加熱室内の供給することもできれば、補助アンテナを介して加熱室内に供給することもできる。したがって、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0021】
また、本発明に従った電子レンジは、前記加熱室内に、前記加熱室の壁面に対して電気的に接続されて設置された導波路と、前記第1の放射アンテナを、移動させることにより、前記加熱室の壁面との間で電界を形成させる第1の状態、および、前記導波路との間で電界を形成させる第2の状態にさせる、第2の移動制御部とをさらに含むことが好ましい。
【0022】
これにより、第1の放射アンテナ上に伝播されたマイクロ波を、加熱室の壁面を介して加熱室内の供給することもできれば、導波路を介して加熱室内に供給することもできる。したがって、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0023】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記導波路は、スリットを形成されていることが好ましい。
【0024】
また、本発明に従った電子レンジは、通電されることにより発熱し、かつ、前記第1の放射アンテナと電波的に結合するヒータをさらに含むことが好ましい。
【0025】
これにより、電子レンジにおいて、ヒータをもマイクロ波を供給する際のアンテナとして利用することができるため、マイクロ波供給のための部材を改めて搭載することなく、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0026】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記ヒータは、線状であり、その一端が前記第1の放射アンテナと電波的に結合したときに電界が0となる位置にあり、かつ、一端から他端までの長さが前記マグネトロンの供給するマイクロ波の波長の半分の整数倍であることが好ましい。
【0027】
これにより、マグネトロンから供給されるマイクロ波は、ヒータ上で定常波を形成できる。
【0028】
また、本発明に従った電子レンジは、調理メニューを入力するための入力部と、前記第1の放射アンテナを回転させ、かつ、前記マグネトロンがマイクロ波を供給している際に前記入力部に入力された調理メニューに応じた位置で前記第1の放射アンテナの回転を停止させる、アンテナ回転制御部とをさらに含むことが好ましい。
【0029】
これにより、加熱室内の食品の配置および食品の素材等に応じたパターンで、加熱室内にマイクロ波を供給できる。
【0030】
本発明の別の局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、マイクロ波を発振するマグネトロンと、前記マグネトロンと前記加熱室とを接続する導波管と、前記導波管内に取付けられ当該導波管内を伝送されるマイクロ波の反射成分を検知する方向性結合器と、前記マグネトロンの出力および前記検知された反射成分から、前記加熱室内の被加熱物のインピーダンスを推測し、当該被加熱物のインピーダンスに応じて、前記マグネトロンによる加熱調理の調理メニューを選択する加熱制御部とを含むことを特徴とする。
【0031】
本発明の別の局面に従うと、方向性結合器によってはマイクロ波の反射成分のみを検知することにより、当該検知結果とマグネトロン自体の出力とから加熱室内の食品のインピーダンスを推測することができる。
【0032】
これにより、簡便にかつ正確に、加熱室内の食品のインピーダンスを推測できる。
【0033】
また、本発明に従った電子レンジは、金属からなり、通電されることにより発熱するヒータと、前記ヒータの、マイクロ波の受信量を検知する受信量検知部とをさらに含み、前記加熱制御部は、さらに、前記受信量検知部の検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物のインピーダンスを推測することが好ましい。
【0034】
これにより、より正確に、加熱室内の食品のインピーダンスを推測できる。
本発明のさらに別の局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内のマイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室を開閉するドアとを含み、前記ドアは、前記加熱室から見て凹んだ部分である凹部を形成され、前記加熱室内に、被加熱物を載置するための金属製の調理皿を設置可能であり、前記凹部は、前記調理皿が加熱室内に設置された際に、当該調理皿よりも下方から当該調理皿よりも上方に渡る範囲に形成されていることを特徴とする。
【0035】
本発明のさらに別の局面に従うと、加熱室内に比較的大きな食品が載置された場合でも、マイクロ波をドアの凹部を通すことにより、加熱室内にマイクロ波を循環させることができる。
【0036】
これにより、調理皿が加熱室を上下に分離するように配置された場合でも、ドアの凹部を通すことにより、マイクロ波を上下方向に循環させることができる。つまり、調理皿が設置されることによって加熱室での上下方向のマイクロ波の伝播しにくくなった場合でも、マイクロ波は、凹部を通って、加熱室内の上下方向に伝播できる。したがって、確実に、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0037】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記凹部は、前記調理皿に対して、上下非対称の形状を有することが好ましい。
【0038】
これにより、ドアの凹部を通ったマイクロ波が循環するパターンを多様化することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従った電子レンジの実施の形態について説明する。
【0040】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態の電子レンジの斜視図である。電子レンジ1は、主に、本体2とドア3とからなる。本体2には、本体枠5が備えられている。本体枠5の内側には、加熱室10が設けられている。ドア3は、加熱室10を開閉可能である。また、加熱室10の底面には、食品Fを載置する載置板10Cが備えられている。本体2の前面の右方には、操作パネル6が備えられている。操作パネル6は、ユーザが種々の情報を入力するためのキーや、種々の情報を表示するための表示パネル60を備えている。
【0041】
図2は、電子レンジ1の、ドア3および操作パネル6を省略した状態での正面図である。加熱室10の壁面には、検知孔10A,10Bが形成されている。検知孔10Aは、加熱室10の、左面の高さ方向の中央より上方であって、奥行き方向の中央部分に形成されている。検知孔10Bは、加熱室10の右面の高さ方向の中央より下方であって、奥行き方向の中央よりドア3側に形成されている。加熱室10の外であって、検知孔10A,10Bに対応する部分には、後述するように赤外線センサ(赤外線センサ7A,7B)がそれぞれ設置されている。図2には、それらの赤外線センサの赤外線の検出範囲である視野700A,700Bとして模式的に示されている。
【0042】
図3は、電子レンジ1の本体枠5およびその周辺の部材の縦断面を模式的に示す図である。
【0043】
電子レンジ1では、本体2の内部であって、加熱室10の右側方に、加熱室10内にマイクロ波を供給するためのマグネトロン12が設置されている。マグネトロン12と加熱室10とは、導波管19で接続されている。
【0044】
導波管19と加熱室10との接続部分には、金属製の回転軸21および回転アンテナ20が設置されている。回転アンテナ20は、回転軸21に接続されることにより、導波管19と電波的に結合している。マグネトロン12の発振したマイクロ波は、回転アンテナ20を介して、加熱室10内に供給される。回転アンテナ20は、載置板10C等と同様に、水平面上に主面を有する板体である。回転アンテナ20は、アンテナ駆動モータ22によって、矢印Rで示すように、水平面内で回転される。
【0045】
本体枠5の検知孔10A,10Bには、加熱室10の外に向けて、それぞれ検知路71A,71Bが接続されている。検知路71A,71Bのそれぞれ端部には、赤外線センサ7A,7Bが取付けられている。赤外線センサ7A,7Bの近傍には、それぞれ、赤外線センサ7A,7Bの視野を移動させるためのセンサ駆動モータ70A,70Bが取付けられている。
【0046】
図4は、赤外線センサ7A,7Bの視野の移動態様を説明するための図である。図4では、赤外線センサ7A,7Bの視野を、載置板10C上に仮想的に投影させている。なお、図4には、載置板10Cに対するドア3の位置が示されている。
【0047】
図3および図4を参照して、赤外線センサ7Aは、センサ駆動モータ70Aにより、図3中の矢印RA方向に回動することができる。赤外線センサ7Aが図3中の矢印RA方向に(垂直方向に)回動することにより、赤外線センサ7Aの視野700Aは、図4中に示す状態から矢印WA方向に移動することができる。これにより、視野700Aは、領域701Aとして示す領域全部を通ることができる。つまり、赤外線センサ7Aは、載置板10C上の領域701A内の物体の温度を検知できる。
【0048】
また、赤外線センサ7Bは、センサ駆動モータ70Bにより、図3中の矢印RB方向に(水平方向に)回動することができる。赤外線センサ7Bが図3中の矢印RB方向に回動することにより、赤外線センサ7Bの視野700Bは、図4中に示す状態から矢印WB方向に移動することができる。これにより、視野700Bは、領域701Bとして示す領域全部を通ることができる。つまり、赤外線センサ7Bは、載置板10C上の領域701B内の物体の温度を検知できる。
【0049】
なお、図4に示した視野700A,700Bの移動態様は、載置板10C上面だけを対象としている。図2に示すように、赤外線センサ7Aの視野700Aは比較的加熱室10上方から広がり、赤外線センサ7Bの視野700Bは比較的加熱室10下方を中心に広がる。これにより、赤外線センサ7A,7Bの高さ方向の温度検知の特性が異なる。たとえば、赤外線センサ7Aは、矢印RA方向に回動されることにより、その視野が垂直方向にも移動するからである。
【0050】
図5に、電子レンジ1の制御ブロック図を示す。
図5を参照して、電子レンジ1は、当該電子レンジ1の動作を全体的に制御する制御回路25を備えている。制御回路25は、メモリおよびマイクロコンピュータを含む。
【0051】
制御回路25は、操作パネル6の各種ボタン等に対して入力された情報、赤外線センサ7A,7B、および、ドア3の開閉を検知できるドアスイッチ3Xの検知出力を入力される。
【0052】
制御回路25は、後述するように加熱調理に関する種々の情報を蓄積するデータベース26、通電されることにより加熱室10内に熱を放出するオーブン用ヒータ13、マグネトロン12にマイクロ波を発振させるための回路であるマイクロ波発振回路20、アンテナ駆動モータ22、および、センサ駆動モータ70A,70Bの動作を制御する。
【0053】
次に、図1の電子レンジ1が加熱調理を実行する際の制御回路25の動作(調理制御処理)を説明する。図6は、制御回路25の調理制御処理のフローチャートである。
【0054】
調理制御処理では、電子レンジ1において加熱調理が開始される指示がなされると、制御回路25は、まず、SA1で、赤外線センサ7A,7Bをそれぞれ第1の速度で移動させることによりそれぞれの視野を移動させて、加熱室10内全域での温度検知を行ない、加熱室10内の3次元的な温度分布を検出する。第1の速度とは、赤外線センサ7A,7Bについての移動速度において比較的速い方の速度を意味する。
【0055】
次に、制御回路25は、SA2で、SA1における3次元的な温度分布の結果を、データベース26における蓄積内容に照会して、加熱室10内の食品(被加熱物)を推定する。具体的には、3次元的な温度分布から、食品の大きさ、形状(平べったい、底面積が小さく高さがある、等)、および、周囲と温度差がある領域の数)が推定され、これに基づいて、食品の種類や数量を推定する。
【0056】
次に、制御回路25は、SA3で、SA2における食品の推定を含む種々の情報に基づいて、赤外線センサ7A,7Bを用いた温度検知が精度良くかつ効率良くできる条件を割出す。種々の情報とは、たとえば、操作パネル6においてユーザがキー入力により選択した調理メニューが含まれる。そして、温度検知のための条件とは、被加熱物がコップに入った食品であると推定されると赤外線センサ7Aのように上方から温度検知できるセンサを主に使用して温度検知を行なう、被加熱物が平べったい形状であれば赤外線センサ7Bのように下方を中心に温度検知できるセンサを主に使用して温度検知を行なう、被加熱物が高さ方向に長い寸法を有する食品である場合には当該被加熱物の上部を赤外線センサ7Aで下部を赤外線センサ7Bで温度検知を行なう、選択された調理メニューがピザの解凍等平べったい形状の食品を扱うものやコップに入った牛乳等を温めるものであればそれに応じたセンサを主に使用して温度検知を行なう、等が挙げられる。
【0057】
また、赤外線センサ7A,7Bでは、それぞれ複数の赤外線検出素子が一方向に異なる視野領域を持つように並べられ、当該複数の素子それぞれに温度検知を行なわせている。そして、上記の温度検知のための条件としては、加熱室10内に局所的に食品が載置された場合に、赤外線センサ7Aおよび/または赤外線センサ7Bの中で食品の配置に合わせて検知に使用する赤外線検出素子を選択することも挙げられる。
【0058】
そして、制御回路25は、SA4で、SA3で割出した条件に従って、赤外線センサ7Aおよび/または赤外線センサ7Bを用いた温度検知を行なう。
【0059】
なお、この場合の赤外線センサ7Aおよび/または赤外線センサ7Bの視野の移動速度は、SA1における第1の速度よりも遅い第2の速度で行なわれる。SA4における温度検知は、多くの場合、SA1における温度検知よりも視野の移動範囲が絞られる(狭められる)ため、視野の移動速度が落とされても、単位時間内の視野の走査回数は同等とできるからである。視野の移動速度が落とされることにより、温度検知の精度の向上が期待される。
【0060】
また、SA4における温度検知の際には、赤外線センサ7Aと赤外線センサ7Bの視野の移動速度は異なる場合もある。被加熱物が、水平方向の寸法が小さく垂直方向の寸法が大きい場合には、赤外線センサ7Aの視野の移動範囲は、赤外線センサ7Bの視野の移動範囲よりも大きいものとされる。これにより、赤外線センサ7Aの視野の移動速度は、赤外線センサ7Bの視野の移動速度よりも速いものとされる。
【0061】
そして、SA5で、制御回路25は、SA4における温度検知の結果を、データベース26の内容と参照することにより、食品の加熱の進行度合いを予測し、予測結果に基づいて、回転アンテナ20の回転の態様およびマグネトロン12の出力を制御する。
【0062】
そして、SA6で、制御回路25は、SA5の予測結果が、調理を終了すべきものであるか否かを判断し、終了すべきものであれば加熱調理をそのまま終了させる。一方、まだ調理を終了すべきではないと判断すると、SA4に処理を戻し、温度検知を行なう。
【0063】
以上説明した本実施の形態では、複数の赤外線センサを用いて加熱室内の温度検知が行なわれる。なお、加熱調理では、まず、高速で赤外線センサの視野を移動させて温度検知を行なうことにより、加熱室内の食品の推定がなされる。そして、加熱室内の食品の推定がなされた後は、推定の内容に従って、複数の赤外線センサの視野のそれぞれの移動態様(範囲および速度)が決定される。
【0064】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態の電子レンジは、第1の実施の形態と同様の構成要素を有し、制御回路25による調理制御処理に特徴を有する。ここで、本実施の形態の電子レンジの制御回路が実行する調理制御処理を、図7〜図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0065】
電子レンジ1において加熱調理を開始する指示がなされると、制御回路25は、SB1で、食品の出し入れを認識するための処理を行なう。なお、食品の出し入れを認識するために、制御回路25は、たとえば、赤外線センサ7A,7Bに加熱室10内の温度を検知させ、その検知温度に急激な変化があったか、ある一定の温度を越える温度が検知されたか、不規則な温度変化があったか、加熱室10のドア3に近い場所でドア3に遠い場所よりも大きな温度変化があったか、周囲よりも所定の値以上温度が高いまたは低い地点が移動するようなことがあるか、および、温度分布にむらがあるかを判断する。SB1における認識の判断は、データベース26に蓄積されたデータに基づいて、行なわれる。また、制御回路25は、ドアスイッチ3Xの検知出力に基づいて、ドア3の開閉があったか否かについても、食品の出し入れの認識に用いることができる。
【0066】
そして、制御回路25は、SB2で、SB1の認識の結果に基づいて加熱室10内に食品(負荷)が収容されているか否かを判断する。そして、食品が収容されていないと判断されると処理はSB1に戻され、収容されていると判断されると、処理はSB3に進められる。
【0067】
なお、SB1では、温度検知によって食品が載置されているであろうとされる範囲(対象範囲)の決定も行なわれる。対象範囲の決定は、予測される温度変化から外れた態様で温度変化した領域を対象範囲と決定することにより行なわれる。たとえば、図9を参照して、時間T1で、加熱室10内に、周辺より温度の高い食品が収容された場合、破線の温度変化が予想され、また、加熱室10内の多くの地点で、破線のような温度変化が検知されたとする。そして、そのような場合に、時間T1以降に、図9の実線Lで示したような破線から大きく離れた挙動を示した地点の集合が、対象範囲と決定される。
【0068】
SB3では、制御回路25は、マグネトロン12に加熱動作を開始させる。
次に、制御回路25は、SB4で、加熱室10内の食品の識別を行なう。具体的には、食品の種類(食品の容器および食品自体の素材)の識別が行なわれた後、食品の量の識別が行なわれる。
【0069】
さらに具体的には、食品の種類の識別は、上記の対象範囲において、赤外線センサ7A,7Bによって検知された、温度、ならびに、検出された温度から算出された温度変化の速度および加速度の値を、データベース26に蓄積されたデータに参照させて、行なわれる。食品の比誘電率は、食品の素材の種類によって異なり、また、同じ素材であっても温度によって異なる。例として、図10に、水、ホウケイ酸ガラス、赤みの牛肉(一時的な調理済みのもの)の各温度における比誘電率を示す。
【0070】
比誘電率が食品の素材および温度によって異なることから、マイクロ波を吸収した際の温度の上昇の態様も、食品の素材および温度によって異なることになる。これにより、食品がどの温度で、どのような速度および加速度で温度変化をしたかを検知することにより、食品の素材を識別することができる。
【0071】
また、食品の量の識別は、加熱室10内の温度分布に基づき、温度のむらが生じている箇所の数および面積を検知することにより行なわれる。
【0072】
次に、制御回路25は、SB5で、SB4で識別した食品の種類および量に基づいて、回転アンテナ20の回転の態様およびマグネトロンの出力を制御する。
【0073】
次に、制御回路25は、SB6で、対象範囲のみの温度検知を行ない、当該範囲の温度を追跡することにより、当該対象範囲に食品(負荷)が存在しているかを確認する。この確認は、SB4において食材の識別と同様に、温度、温度変化速度、および、温度変化加速度を算出し、対象範囲の温度変化等がなんらかの食材に一致したか否かにより、対象範囲に食品が存在しているか否かを確認する。なお、SB6では、SB1で対象範囲が複数決定されている場合に、当該複数の対象範囲の中で実際に食品の存在が確認できたものを限定する処理もなされる。
【0074】
そして、制御回路25は、SB7で、SB6における確認および限定ができたか否かを判断し、できていれば、処理をSB8に進め、できていなければ、できるまで、SB5に処理を戻す。
【0075】
制御回路25は、SB8では、SB6で確認した対象範囲内の温度検知し、そして、当該検知結果に基づいて、SB4において食材の識別と同様に、温度、温度変化速度、および、温度変化加速度を算出する。
【0076】
そして、制御回路25は、SB9で、直前のSB8における算出した結果が加熱の仕上がりを示すものであるか否かを判断する。SB9における判断は、SB8において算出された結果を、データベース26に予め蓄積されたデータに参照させて、行なわれる。SB9において加熱が仕上がったと判断するまで、制御回路25は、処理をSB8に戻す。そして、加熱が仕上がったと判断すると、処理を終了させる。
【0077】
以上説明した本実施の形態では、電子レンジ1は、データベース26に、食品の絶対温度、温度の変化速度、および、温度の変化加速度に基づいて食品を識別するためのデータを蓄積している。なお、食品を識別するためデータは、図10に示したような温度と比誘電率の関係に基づいて、作成されている。そして、本実施の形態では、電子レンジ1は、継続的に加熱室10内の食品が載置されていると考えられる位置の温度を検知し、検知結果と、上記した食品を識別するためデータとに基づいて、加熱室10内の食品を識別し、さらに、識別結果に基づいて、加熱制御を行なっている。
【0078】
また、加熱終了後にも、SB1で実行された、食品の出し入れを認識する処理を実行し、加熱終了後、所定時間経過しても食品の出し入れがなければ、音声等でその旨を報知してもよい。
【0079】
[第3の実施の形態]
図11は、本発明の第3の実施の形態の電子レンジの斜視図である。電子レンジ1は、主に、本体2とドア3とからなる。本体2には、本体枠5が備えられている。本体枠5の内側には、加熱室10が設けられ、加熱室10の壁面には、第1の実施の形態の電子レンジ1と同様に、検知孔10Aが形成されている。ている。ドア3は、加熱室10を開閉可能である。また、加熱室10の底面には、食品Fを載置する載置板10Cが備えられている。本体2の前面の右方には、操作パネル6が備えられている。操作パネル6は、ユーザが種々の情報を入力するためのキーや、種々の情報を表示するための表示パネル60を備えている。
【0080】
本実施の形態の電子レンジ1では、加熱室10の内部であってその後面に、回転アンテナ20が設置されている。また、加熱室10の内部には、補助アンテナ50が設置されている。補助アンテナ50は、加熱室10の後面に平行な面50Aと、面50Aに対して角度を有する面50Bとを備えている。
【0081】
図12は、図11の電子レンジ1のXII−XII線に沿う矢視断面図であり、図13は、図11の電子レンジ1のXIII−XIII線に沿う矢視断面図である。なお、図12では、載置板10Cが省略されている。また、図13では、マイクロ波の伝播の態様が、種々の矢印で示されている。
【0082】
電子レンジ1では、本体2の内部であって、ドア3側から見た場合の加熱室10の左側方に、マグネトロン12が設置されている。マグネトロン12と加熱室10とは、導波管19で接続されている。導波管19と加熱室10との接続部分には、回転軸21および回転アンテナ20が設置されている。回転アンテナ20は、回転軸21に接続されることにより導波管19と電波的に結合している。マグネトロン12の発振したマイクロ波は、回転アンテナ20を介して、加熱室10内に供給される。回転アンテナ20は、加熱室10の後面と平行な主面を有する板体である。回転アンテナ20は、アンテナ駆動モータ22によって回転される。
【0083】
加熱室10の天面には、回転アンテナ40が設置されている。回転アンテナ40は、回転アンテナ20と同様に、マグネトロン12の発振したマイクロ波を加熱室10内に供給するために設置されており、回転軸41を軸として図示せぬモータにより回転可能に構成されている。また、加熱室10の内部であって、回転アンテナ20と回転アンテナ40の間には、補助アンテナ51が設置されている。補助アンテナ51は、加熱室10の後面に平行な面51Aと、面50に対して角度を有する面51Bとを備えている。
【0084】
加熱室10の下部には、載置板10Cの下方に、オーブン用ヒータ13が設置されている。オーブン用ヒータ13は、主に図12に示すようなパターンを有する1本の線状形状を有し、加熱室10の底面全体に広がるように設置されている。オーブン用ヒータ13の両端は、本体枠5に接続されている。
【0085】
本実施の形態の回転アンテナ20は、回転軸21との接続部から折れ曲がって伸びる第1の部分と、加熱室10の後面に水平な板体である第2の部分20Bとを備えている。
【0086】
図13に示した状態では、回転アンテナ20の第1の部分20Aに伝播されたマイクロ波は、第1の部分20Aの端部から補助アンテナ51の面51Bへと伝播し、補助アンテナ51と加熱室10との間で電界を形成しつつ、放射アンテナ40へと伝播される。また、回転アンテナ20の第2の部分20Bに伝播されたマイクロ波は、加熱室10との間で電界を形成しつつ補助アンテナ50に伝播され、面50Bと加熱室10との間で電界を形成しつつ、オーブン用ヒータ13へと伝播される。これにより、本実施の形態では、回転アンテナ20に伝播されたマイクロ波は、回転アンテナ20、補助アンテナ50,51、回転アンテナ40、および、オーブン用ヒータ13から、加熱室10内へと供給される。
【0087】
図13の状態から回転アンテナ20が180°回転されて変位した状態を、図14に示す。図14に示した状態では、回転アンテナ20の第1の部分20Aに伝播されたマイクロ波は、第1の部分20Aの端部から補助アンテナ50の面50Aとの間で電界を形成し、さらに、面50Bと加熱室10との間で電界を形成しつつ、オーブン用ヒータ13へと伝播される。また、回転アンテナ20の第2の部分20Bに伝播されたマイクロ波は、補助アンテナ51に伝播され、補助アンテナ51と加熱室10との間で電界を形成しつつ、放射アンテナ40へと伝播される。これにより、本実施の形態では、回転アンテナ20に伝播されたマイクロ波は、回転アンテナ20、補助アンテナ50,51、回転アンテナ40、および、オーブン用ヒータ13から、加熱室10内へと供給される。
【0088】
つまり、図13および図14に示したように、本実施の形態の回転アンテナ20は、回転位置により、加熱室10または補助アンテナ50との間で電界を形成することができる。これにより、加熱室10へマイクロ波を供給するパターンの多様化を図ることができる。また、マグネトロン12がマイクロ波を供給している間、回転アンテナ20の回転位置を、図13に示した状態で停止させるか、図14に示した状態で停止させるかによって、加熱室10へマイクロ波を供給するパターンを選択することができる。これにより、回転アンテナ20の停止位置を制御することにより、加熱室10内での食品の配置等に合ったパターンで加熱室10内にマイクロ波が供給されるような制御が可能となる。
【0089】
図15に、補助アンテナ50の斜視図を示す。補助アンテナ50は、金属製であり、上記したような面50Aと面50Bとを備えている。なお、補助アンテナ50は、絶縁体である樹脂500で、加熱室10の壁面上に固定されている。これにより、補助アンテナ50は、加熱室10に対して電気的に絶縁されている。また、補助アンテナ51も、補助アンテナ50と同様の構成を有し、絶縁体によって、加熱室10の壁面上に固定されている。
【0090】
補助アンテナ50は、加熱室10に電気的に接続された導波路によって置換されてもよい。そのような導波路を図16に示す。導波路60は、下端部60C,60Dが加熱室10の壁面に接続されることにより、当該壁面と、面60A,60E,60Fとで管を構成する。この管内には、回転アンテナ20に導かれたマイクロ波により電界が形成され、さらに、管内に導かれたマイクロ波は、面60Bを介して、加熱室10内の他の部分へと拡散する。なお、面60Bは、面60Aに対して角度を有している。
【0091】
図17は、図16の導波路60の平面図である。面60A,60Bには、スリット60Sが形成されている。図17中で矢印P1方向は、回転アンテナ20から伝播するマイクロ波の進行方向を示している。そして、面60Bは、矢印P1方向に進むほど、矢印P1に垂直な方向(矢印PXで示す方向)の寸法が大きくなっている。なお、導波路60は、矢印P1方向に進むほど、回転アンテナ20との距離が長くなるように、加熱室10内に設置される。
【0092】
図18に、図16の導波路60の変形例である導波路61の斜視図を示す。導波路61は、面61A,61E,61Fを備え、これらの面と加熱室10の壁面とによって、管を形成する。なお、導波路61は、面61Aと加熱室10の壁面との間に面61Bを備えている。導波路61に導かれたマイクロ波は、面61Bと加熱室10の壁面との間で、電界を形成する。
【0093】
図19に、図16の導波路60のさらなる変形例である導波路62の斜視図を示す。導波路62は、面62A,62C,62Dを備え、これらの面と加熱室10の壁面とによって、管を形成する。なお、導波路62は、さらに、マイクロ波の進行方向P2に垂直な面62Bを備えている。面62Bは、面62A,62C,62Dと同様に金属製である。これにより、導波路62では、面62B自身がアンテナとして、マイクロ波を放射できる。
【0094】
図20に、図16の導波路60のさらに別の変形例である導波路63の斜視図を示す。導波路63は、図19に示した導波路62の面62A〜62Dと同様の、面63A〜63Dを備えている。そして、導波路63は、回転軸64に接続されている。導波路63は、図示せぬ機構により、回転可能とされている。導波路63にマイクロ波が導かれた際に導波路63が回転することにより、加熱室10にマイクロ波を供給するパターンをより多様化させることができる。
【0095】
図21は、図12の破線の円Xとして示したような、オーブン用ヒータ13と本体枠5との接続部分の拡大図である。また、図22に、オーブン用ヒータ13の断面構造を説明するための図を示す。
【0096】
オーブン用ヒータ13は、外側から、金属131、絶縁体132、ヒータ管133の順に、層構造を有している。そして、オーブン用ヒータ13は、金具13Aとビス13Bとを用いて、加熱室10の壁面を構成する本体枠5に取りつけられている。これにより、加熱室10の壁面と金属131とは電気的に接続された状態となる。
【0097】
なお、上記したように、オーブン用ヒータ13は、一端と他端を本体枠5に接続されている。なお、オーブン用ヒータ13の両端は、マグネトロン12の発振したマイクロ波によって形成される電界の値が0となるような位置で本体枠5と接続されている。そして、ヒータの一端から他端の長さは、マイクロ波の波長の半分の整数倍とされている。これにより、オーブン用ヒータ13上で、定常波が形成できるため、オーブン用ヒータ13上で形成される電界が安定したものとなる。
【0098】
[第4の実施の形態]
図23は、本発明の第4の実施の形態の電子レンジ1の縦断面図であり、第1の実施の形態の電子レンジ1における図3に相当する図である。
【0099】
電子レンジ1では、本体枠5の内側に加熱室10が形成されており、加熱室10には、食品を載置させる載置板10Cが設置されている。加熱室10の内部であって、載置板10Cの下方には、回転アンテナ20が設置されている。回転アンテナ20は、アンテナ駆動モータ22が駆動することにより、回転軸21を軸として回転する。
【0100】
加熱室10の右側方には、マグネトロン12が設置されている。マグネトロン12と加熱室10の下端とは、導波管19で接続されている。導波管19には方向性結合器80が取付けられている。
【0101】
図24に、第4の実施の形態の電子レンジ1の変形例の縦断面図を示す。図24に示した電子レンジ1では、食品Fを載置する載置板10Cの下方にオーブン用ヒータ13が備えられている。そして、導波管19は、加熱室10の右側面で、加熱室10とマグネトロン12とを接続させている。
【0102】
図25に、本実施の形態の電子レンジ1のブロック図を示す。本実施の形態では、制御回路25に、方向性結合器80の検知出力が入力される構成となっている。また、本実施の形態の電子レンジ1は、オーブン用ヒータ13における電界強度を検知することにより加熱室10内のインピーダンスを解析するインピーダンス解析部82を備えている。
【0103】
本実施の形態の電子レンジ1において制御回路25が実行する調理制御処理を、図26のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0104】
電子レンジ1に対してマグネトロン12による加熱調理の実行を指示する操作がなされると、まず、制御回路25は、SC1で、マグネトロン12にマイクロ波を発振させる前の加熱室10内のインピーダンスを測定する。なお、加熱室10内のインピーダンスの測定は、インピーダンス解析部82に、オーブン用ヒータ13に電気信号を送らせ、かつ、その透過および反射信号を解析させることにより行なわれる。
【0105】
次に、制御回路25は、SC2で、SC1で測定した加熱室10内のインピーダンスとユーザが加熱開始を指示する際に押圧したキーの種類とに基づいて被加熱物の種類を推測する。なお、被加熱物の種類は、上記の情報を、データベース26に蓄積された情報に参照させることにより、行なわれる。
【0106】
ここで、加熱室10内のインピーダンスと被加熱物の種類との関係について、図27を参照して説明する。オーブン用ヒータ13の電気的特性は、隣接するオーブン用ヒータ13または本体枠5によって構成される加熱室10の性質にも影響を受け、また、それらとの間に食品Fが存在する場合には、その食品Fによっても影響を受ける。なお、図10を用いて説明したように、食品Fは、素材や温度によって、その比誘電率が変化する。これにより、加熱室10内のインピーダンスは、食品Fの素材や温度によっても変化すると考えられる。SC2では、このことを利用して、測定したインピーダンスに基づいて、加熱室10内の被加熱物を推測している。また、より確実に被加熱物の推測を行なうために、ユーザが操作パネル6上で行なったキー操作も、推測の材料としている。
【0107】
また、制御回路25は、SC2において、推測した結果に基づいて、マグネトロン12の出力や、回転アンテナ20の制御態様等、種々の加熱条件を決定する。
【0108】
そして、制御回路25は、SC3で、マグネトロン12による加熱動作を開始させ、SC4で、加熱開始から一定時間経過した後、SC2と同様の手順で加熱室10内のインピーダンスを測定する。
【0109】
そして、SC5で、SC4における測定結果をデータベース26内のデータに照会することにより、被加熱物の加熱が仕上がっているか否かを判断する。そして、仕上がっていると判断すると、そのまま加熱調理を終了させる。一方、まだ仕上がっていないと判断すると、SC4に処理を戻し、再度、一定時間後に、加熱室10内のインピーダンスを測定する。
【0110】
以上説明した本実施の形態では、マグネトロン12によるマイクロ波加熱のみの加熱動作について説明したが、本実施の形態の電子レンジ1は、オーブン用ヒータ13によるオーブン加熱も可能である。そして、本実施の形態の電子レンジ1は、オーブン加熱に用いるオーブン用ヒータ13を、加熱室10内のインピーダンスの測定に用いているのである。
【0111】
また、本実施の形態の電子レンジ1では、データベース26に、加熱室10内のインピーダンスに基づいて、被加熱物の素材を推測するためのデータ、および、被加熱物の加熱の仕上がりを判定するためのデータが蓄積されている。なお、被加熱物の比誘電率は、温度によって異なる。したがって、データベース26には、温度ごとに、加熱室10内のインピーダンスが対応する素材に関連付けられて記憶されている。そして、被加熱物の素材の推測は、当該推測が行なわれる際の温度において、その時点でのインピーダンスに対応する素材が、被加熱物の素材とされる。また、被加熱物の加熱の仕上がりの判定は、その時点でのインピーダンスが、推定された素材の対応する温度を決定し、当該温度が加熱が仕上がったときの温度であるか否かを判断することにより行なわれる。
【0112】
図28に、図26の調理制御処理の変形例のフローチャートを示す。この変形例では、加熱を開始する旨の操作がなされると、制御回路25は、SD1で、マグネトロン12によるマイクロ波の発振を開始し、かつ、加熱室10内に供給されマイクロ波が被加熱物を透過する際のインピーダンス(透過インピーダンス)を推測する。なお、透過インピーダンスの推測は、マグネトロン12が発振したマイクロ波のうち加熱室10内に向かうマイクロ波のエネルギを測定し、かつ、オーブン用ヒータ13の受信するマイクロ波のエネルギを測定することにより、行なわれる。なお、加熱室10内に向かうマイクロ波のエネルギは、マグネトロン12の出力と、方向性結合器80で測定されるマイクロ波の反射成分とから、算出される。
【0113】
そして、SD2で、制御回路25は、SD1で推定された透過インピーダンスの値を、データベース26内の情報に照合させて、加熱室10内の被加熱物の素材等の推定を行なう。
【0114】
そして、SD3で、加熱開始から一定時間経過後に、SD1と同様に透過インピーダンスを測定し、SD4で、その値から、被加熱物の加熱が仕上がったか否かを判断する。加熱が仕上がったと判断すれば、そのまま調理を終了させ、まだ仕上がっていないと判断すれば、SD3に処理を戻し、それ以降、一定時間ごとに、透過インピーダンスの測定を行ない、加熱の仕上がりを判断する。
【0115】
[第5の実施の形態]
図29に、本発明の第5の実施の形態の電子レンジ1の斜視図を示す。
【0116】
電子レンジ1は、主に、本体2とドア3とからなる。本体2には、本体枠5が備えられ、本体枠5の内側には、加熱室10が設けられている。ドア3は、加熱室10を開閉可能である。また、加熱室10の底面には、食品Fを載置する載置板10Cが備えられている。本体2の前面の右方には、操作パネル6が備えられている。操作パネル6には、表示パネル60が備えられている。なお、本実施の形態のドア3には、加熱室10に対向する面に、凹部3Aが形成されている。
【0117】
図30は、図29のXXX−XXX線に沿う矢視断面図である。なお、図30には、図29では省略した調理皿100が記載されている。
【0118】
本実施の形態では、加熱室10の高さ方向の中央部に、マイクロ波を透過しない(たとえば金属製の)調理皿100を設置することが可能である。また、加熱室10の天面には、オーブン用ヒータ13が設置されている。
【0119】
また、加熱室10の側方には、図示せぬマグネトロンが設置され、当該マグネトロンと加熱室10の下部とは、導波管19で接続されている。また、加熱室10の導波管19との接続部分には、回転アンテナ20が設置されている。回転アンテナ20は、回転軸21を軸として、モータ22が駆動することにより、回転可能に構成されている。
【0120】
マグネトロンの発振したマイクロ波は、導波管19、回転アンテナ20を介して、加熱室10に供給される。回転アンテナ20が回転することにより、加熱室10にはまんべんなくマイクロ波が供給される。なお、調理皿100の下部に供給されたマイクロ波は、ドア3の凹部3Aを通って、調理皿100の上部に伝播する。
【0121】
なお、加熱室10の底部であって回転アンテナ20の近傍には、導波路29が設置されている。図31に、回転アンテナ20、導波路29および凹部3Aの位置関係を説明するための図を示す。
【0122】
導波路29は、金属からなり、加熱室10の底面に電気的にも接続されるように取付けられている。導波路29は、図31に示すように、回転アンテナ20が当該導波路29に向けて多くのマイクロ波を伝播させる位置にある場合、回転アンテナ20から伝播してきたマイクロ波を、凹部3Aに導くことができる。つまり、電子レンジ1は、回転アンテナ20が図31に示す状態にある場合には、加熱室10には、調理皿100の上方に優先的にマイクロ波を供給できる状態となる。
【0123】
図32に、ドア3の、加熱室10に対向する面の平面図を示す。図32では、凹部3Aの下方から上方に伝播するマイクロ波が矢印で模式的に示されている。図31および図32から理解されるように、凹部3Aの形状は、調理皿100に対して、上下非対称となっている。これにより、凹部3Aを形成されたドア3は、調理皿100の上部に、よりまんべんなく、マイクロ波を導くことができる。
【0124】
また、ドア3に形成される凹部の形状は、図29〜図32に示したようにV字方に限定されるものではない。図33に、本実施の形態のドア3の変形例を示す。図33(A)は、ドア3の変形例の加熱室10側の平面図であり、図33(B)は、ドア3の側面図である。図33に記載されるように、凹部3Bは、長方形である。なお、マイクロ波を効率良く伝播させるためには、その高さ方向の寸法は180mm以上が好ましく、幅方向の寸法は90mm以上が好ましく、凹部3Bの深さDPは1mm以上が好ましい。
【0125】
図34に、ドア3のさらなる変形例を示す。なお、図34(A)は、当該ドア3の加熱室10側の平面図であり、図34(B)は、図34(A)のB−B線に沿う矢視断面図である。図34(A)および図34(B)に示したドア3は、長方形の凹部3Cを形成され、さらに、凹部3Cの中の2箇所に、凸部3Dを形成されている。これにより、凹部3Cに導かれたマイクロ波を、より複雑なパターンで加熱室10の上部に伝播させることができるため、電子レンジ1は、加熱室10内に、よりまんべんなくマイクロ波を供給できるようになる。
【0126】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。なお、各実施の形態は、単独でも、また、可能な限り組合せても、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電子レンジの斜視図である。
【図2】図1の電子レンジの、ドアおよび操作パネルを省略した状態での正面図である。
【図3】図1の電子レンジの本体枠およびその周辺の部材の縦断面を模式的に示す図である。
【図4】図2の2つの赤外線センサの視野の移動態様を説明するための図である。
【図5】図1の電子レンジの制御ブロック図である。
【図6】図1の電子レンジの制御回路が実行する調理制御処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態の電子レンジの制御回路が実施する調理制御処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態の電子レンジの制御回路が実施する調理制御処理のフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態の電子レンジにおいて対象範囲の決定を説明するための図である。
【図10】3種類の素材についての比誘電率の温度変化を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態の電子レンジの斜視図である。
【図12】図11の電子レンジのXII−XII線に沿う矢視断面図である。
【図13】図11の電子レンジのXIII−XIII線に沿う矢視断面図である。
【図14】図13の状態から回転アンテナ20が180°回転されて変位した状態を示す図である。
【図15】図11の補助アンテナの斜視図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態の電子レンジに設置される導波路の斜視図である。
【図17】図16の導波路の平面図である。
【図18】図16の導波路の変形例の斜視図である。
【図19】図16の導波路のさらなる変形例の斜視図である。
【図20】図16の導波路のさらに別の変形例の斜視図である。
【図21】図12の破線の円X内の、オーブン用ヒータと本体枠との接続部分の拡大図である。
【図22】本発明の第3の実施の形態の電子レンジのヒータの断面構造を説明するための図である。
【図23】本発明の第4の実施の形態の電子レンジの縦断面図である。
【図24】本発明の第4の実施の形態の電子レンジの変形例の縦断面図である。
【図25】本発明の第4の実施の形態の電子レンジのブロック図である。
【図26】本発明の第4の実施の形態の制御回路の実行する調理制御処理のフローチャートである。
【図27】本発明の第4の実施の形態の電子レンジの加熱室内の被加熱物の種類とインピーダンスとの関係を説明するための図である。
【図28】図26の調理制御処理の変形例のフローチャートである。
【図29】本発明の第5の実施の形態の電子レンジの斜視図である。
【図30】図29の電子レンジのXXX−XXX線に沿う矢視断面図である。
【図31】図29の電子レンジの回転アンテナ、固定導波管および凹部の位置関係を説明するための図である。
【図32】図29の電子レンジのドアの、加熱室に対向する面の平面図である。
【図33】図29の電子レンジのドアの変形例を示す図である。
【図34】図29の電子レンジのドアのさらなる変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子レンジ、2 本体、3 ドア、3A〜3C 凹部、3X ドアスイッチ、5 本体枠、6 操作パネル、7A,7B 赤外線センサ、10 加熱室、10A,10B 検知孔、10C 載置板、13 オーブン用ヒータ、19 導波管、20,40 回転アンテナ、21,41 回転軸、22 アンテナ駆動モータ、25 制御回路、26 データベース、29,60,61,62,63 導波路、50 補助アンテナ、70A,70B センサ駆動モータ、80 方向性結合器、82 インピーダンス解析部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱調理装置に関し、特に、加熱室内の食品に合う加熱調理を実行できる電子レンジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、マグネトロンを備え、当該マグネトロンの発振するマイクロ波によって加熱室に収容した食品を加熱する電子レンジがあった。このような電子レンジについては、電子レンジにおける加熱調理を加熱室内の食品に合うように実行するために、種々の技術が開示または実施されてきた。具体的には、複数の赤外線センサを用いて加熱室の3次元表面温度分布を作成して食品の形状から食品の認識を行なう技術(特許文献1参照)、放射アンテナを用いて加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給しようとする技術、および、マイクロ波の加熱室への入射成分および加熱室からの反射成分を検知して被加熱物が冷凍食品であるか否かを判別し当該判別結果に基づいてマグネトロンの駆動態様を制御する技術(特許文献2参照)がある。
【0003】
【特許文献1】
特許第2999661号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平5−326134号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来から、電子レンジにおける加熱調理について、加熱室内の食品をさらに確実に認識したいという要求、加熱室内へマイクロ波を供給する態様を従来以上に当該加熱室内の食品合うものにしたいという要求、加熱室内の食品に合うようにマグネトロンを制御したいという要求があった。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、加熱室内の食品に合うように加熱調理を実行できる電子レンジを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のある局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室内の赤外線量を検知する複数の赤外線センサと、前記複数の赤外線センサのそれぞれの視野を移動させる視野移動部と、前記複数の赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物に適した加熱パターンを決定する制御部とを含み、前記複数の赤外線センサは、互いに前記加熱室内の異なる位置に視野を有し、前記視野移動部は、前記複数の赤外線センサの視野を、互いに異なる方向および/または速度で移動させることを特徴とする。
【0008】
本発明のある局面に従った電子レンジによると、3次元的に加熱室内の温度分布が検知できる上に、当該温度検知が必要な場所について視野移動部の移動速度を落とす等して精度を上げて行なわれることが可能となる。さらに、複数の赤外線センサが異なる方向に視野を移動されて温度検知が行なわれるため、加熱室内の温度検知についての死角がより少なくなる。したがって、加熱室内の食品の分布が、精度良く、かつ、効率良く、行なわれる。
【0009】
これにより、電子レンジにおける加熱調理を、加熱室内の食品に合い、かつ、効率の良いものとすることができる。
【0010】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記制御部は、前記被加熱物に適した加熱パターンを決定した後、前記複数の赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の加熱が完了したか否かを判断することが好ましい。
【0011】
これにより、加熱室内の食品の状態を、正確に追跡することができる。
本発明の他の局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室内の赤外線量を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の温度、温度変化速度、および、温度変化加速度の値を算出し、かつ、それらの値に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の特性を特定する制御部とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の局面に従うと、加熱室内の被加熱物の温度、温度変化速度、および、温度変化加速度温度という温度に関する特性が充分に利用され、被加熱物の特定に用いられる。
【0013】
これにより、より正確に被加熱物の特定が行なわれる。したがって、電子レンジにおける加熱調理を、加熱室内の食品に合ったものとすることができる。
【0014】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記制御部は、前記赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の位置を決定し、被加熱物が前記加熱室内の複数の箇所に存在すると判断した場合、各箇所に存在する被加熱物の前記特性に基づいて、当該各箇所に存在する被加熱物に対して加熱についての優先順位を決定することが好ましい。
【0015】
これにより、温度等の状態の異なる複数の食品が加熱室内の収容された場合でも、当該複数の食品のそれぞれを適切に加熱できる。
【0016】
本発明のさらに他の局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンとを含む電子レンジであって、前記加熱室は、第1の面と、前記第1の面とは異なる第2の面を含み、前記第1の面に平行に第1の距離だけ離れた板体を備え、前記マグネトロンの発振するマイクロ波を拡散させる第1の放射アンテナと、前記第2の面に平行に前記第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れた板体を備え、前記マグネトロンの発振するマイクロ波を拡散させる第2の放射アンテナとをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明のさらに他の局面に従うと、マグネトロンの発信するマイクロ波は、それぞれ異なる方向の面を有する複数の放射アンテナによって拡散されて、加熱室内に供給される。
【0018】
これにより、電子レンジにおいて、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0019】
また、本発明に従った電子レンジは、前記加熱室内に、前記加熱室の壁面に対して電気的に絶縁されて設置された補助アンテナと、前記第1の放射アンテナを、移動させることにより、前記加熱室の壁面との間で電界を形成させる第1の状態、および、前記補助アンテナとの間で電界を形成させる第2の状態にさせる、第1の移動制御部とをさらに含むことが好ましい。
【0020】
これにより、第1の放射アンテナ上に伝播されたマイクロ波を、加熱室の壁面を介して加熱室内の供給することもできれば、補助アンテナを介して加熱室内に供給することもできる。したがって、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0021】
また、本発明に従った電子レンジは、前記加熱室内に、前記加熱室の壁面に対して電気的に接続されて設置された導波路と、前記第1の放射アンテナを、移動させることにより、前記加熱室の壁面との間で電界を形成させる第1の状態、および、前記導波路との間で電界を形成させる第2の状態にさせる、第2の移動制御部とをさらに含むことが好ましい。
【0022】
これにより、第1の放射アンテナ上に伝播されたマイクロ波を、加熱室の壁面を介して加熱室内の供給することもできれば、導波路を介して加熱室内に供給することもできる。したがって、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0023】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記導波路は、スリットを形成されていることが好ましい。
【0024】
また、本発明に従った電子レンジは、通電されることにより発熱し、かつ、前記第1の放射アンテナと電波的に結合するヒータをさらに含むことが好ましい。
【0025】
これにより、電子レンジにおいて、ヒータをもマイクロ波を供給する際のアンテナとして利用することができるため、マイクロ波供給のための部材を改めて搭載することなく、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0026】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記ヒータは、線状であり、その一端が前記第1の放射アンテナと電波的に結合したときに電界が0となる位置にあり、かつ、一端から他端までの長さが前記マグネトロンの供給するマイクロ波の波長の半分の整数倍であることが好ましい。
【0027】
これにより、マグネトロンから供給されるマイクロ波は、ヒータ上で定常波を形成できる。
【0028】
また、本発明に従った電子レンジは、調理メニューを入力するための入力部と、前記第1の放射アンテナを回転させ、かつ、前記マグネトロンがマイクロ波を供給している際に前記入力部に入力された調理メニューに応じた位置で前記第1の放射アンテナの回転を停止させる、アンテナ回転制御部とをさらに含むことが好ましい。
【0029】
これにより、加熱室内の食品の配置および食品の素材等に応じたパターンで、加熱室内にマイクロ波を供給できる。
【0030】
本発明の別の局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、マイクロ波を発振するマグネトロンと、前記マグネトロンと前記加熱室とを接続する導波管と、前記導波管内に取付けられ当該導波管内を伝送されるマイクロ波の反射成分を検知する方向性結合器と、前記マグネトロンの出力および前記検知された反射成分から、前記加熱室内の被加熱物のインピーダンスを推測し、当該被加熱物のインピーダンスに応じて、前記マグネトロンによる加熱調理の調理メニューを選択する加熱制御部とを含むことを特徴とする。
【0031】
本発明の別の局面に従うと、方向性結合器によってはマイクロ波の反射成分のみを検知することにより、当該検知結果とマグネトロン自体の出力とから加熱室内の食品のインピーダンスを推測することができる。
【0032】
これにより、簡便にかつ正確に、加熱室内の食品のインピーダンスを推測できる。
【0033】
また、本発明に従った電子レンジは、金属からなり、通電されることにより発熱するヒータと、前記ヒータの、マイクロ波の受信量を検知する受信量検知部とをさらに含み、前記加熱制御部は、さらに、前記受信量検知部の検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物のインピーダンスを推測することが好ましい。
【0034】
これにより、より正確に、加熱室内の食品のインピーダンスを推測できる。
本発明のさらに別の局面に従った電子レンジは、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内のマイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室を開閉するドアとを含み、前記ドアは、前記加熱室から見て凹んだ部分である凹部を形成され、前記加熱室内に、被加熱物を載置するための金属製の調理皿を設置可能であり、前記凹部は、前記調理皿が加熱室内に設置された際に、当該調理皿よりも下方から当該調理皿よりも上方に渡る範囲に形成されていることを特徴とする。
【0035】
本発明のさらに別の局面に従うと、加熱室内に比較的大きな食品が載置された場合でも、マイクロ波をドアの凹部を通すことにより、加熱室内にマイクロ波を循環させることができる。
【0036】
これにより、調理皿が加熱室を上下に分離するように配置された場合でも、ドアの凹部を通すことにより、マイクロ波を上下方向に循環させることができる。つまり、調理皿が設置されることによって加熱室での上下方向のマイクロ波の伝播しにくくなった場合でも、マイクロ波は、凹部を通って、加熱室内の上下方向に伝播できる。したがって、確実に、加熱室内にまんべんなくマイクロ波を供給できる。
【0037】
また、本発明に従った電子レンジでは、前記凹部は、前記調理皿に対して、上下非対称の形状を有することが好ましい。
【0038】
これにより、ドアの凹部を通ったマイクロ波が循環するパターンを多様化することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従った電子レンジの実施の形態について説明する。
【0040】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態の電子レンジの斜視図である。電子レンジ1は、主に、本体2とドア3とからなる。本体2には、本体枠5が備えられている。本体枠5の内側には、加熱室10が設けられている。ドア3は、加熱室10を開閉可能である。また、加熱室10の底面には、食品Fを載置する載置板10Cが備えられている。本体2の前面の右方には、操作パネル6が備えられている。操作パネル6は、ユーザが種々の情報を入力するためのキーや、種々の情報を表示するための表示パネル60を備えている。
【0041】
図2は、電子レンジ1の、ドア3および操作パネル6を省略した状態での正面図である。加熱室10の壁面には、検知孔10A,10Bが形成されている。検知孔10Aは、加熱室10の、左面の高さ方向の中央より上方であって、奥行き方向の中央部分に形成されている。検知孔10Bは、加熱室10の右面の高さ方向の中央より下方であって、奥行き方向の中央よりドア3側に形成されている。加熱室10の外であって、検知孔10A,10Bに対応する部分には、後述するように赤外線センサ(赤外線センサ7A,7B)がそれぞれ設置されている。図2には、それらの赤外線センサの赤外線の検出範囲である視野700A,700Bとして模式的に示されている。
【0042】
図3は、電子レンジ1の本体枠5およびその周辺の部材の縦断面を模式的に示す図である。
【0043】
電子レンジ1では、本体2の内部であって、加熱室10の右側方に、加熱室10内にマイクロ波を供給するためのマグネトロン12が設置されている。マグネトロン12と加熱室10とは、導波管19で接続されている。
【0044】
導波管19と加熱室10との接続部分には、金属製の回転軸21および回転アンテナ20が設置されている。回転アンテナ20は、回転軸21に接続されることにより、導波管19と電波的に結合している。マグネトロン12の発振したマイクロ波は、回転アンテナ20を介して、加熱室10内に供給される。回転アンテナ20は、載置板10C等と同様に、水平面上に主面を有する板体である。回転アンテナ20は、アンテナ駆動モータ22によって、矢印Rで示すように、水平面内で回転される。
【0045】
本体枠5の検知孔10A,10Bには、加熱室10の外に向けて、それぞれ検知路71A,71Bが接続されている。検知路71A,71Bのそれぞれ端部には、赤外線センサ7A,7Bが取付けられている。赤外線センサ7A,7Bの近傍には、それぞれ、赤外線センサ7A,7Bの視野を移動させるためのセンサ駆動モータ70A,70Bが取付けられている。
【0046】
図4は、赤外線センサ7A,7Bの視野の移動態様を説明するための図である。図4では、赤外線センサ7A,7Bの視野を、載置板10C上に仮想的に投影させている。なお、図4には、載置板10Cに対するドア3の位置が示されている。
【0047】
図3および図4を参照して、赤外線センサ7Aは、センサ駆動モータ70Aにより、図3中の矢印RA方向に回動することができる。赤外線センサ7Aが図3中の矢印RA方向に(垂直方向に)回動することにより、赤外線センサ7Aの視野700Aは、図4中に示す状態から矢印WA方向に移動することができる。これにより、視野700Aは、領域701Aとして示す領域全部を通ることができる。つまり、赤外線センサ7Aは、載置板10C上の領域701A内の物体の温度を検知できる。
【0048】
また、赤外線センサ7Bは、センサ駆動モータ70Bにより、図3中の矢印RB方向に(水平方向に)回動することができる。赤外線センサ7Bが図3中の矢印RB方向に回動することにより、赤外線センサ7Bの視野700Bは、図4中に示す状態から矢印WB方向に移動することができる。これにより、視野700Bは、領域701Bとして示す領域全部を通ることができる。つまり、赤外線センサ7Bは、載置板10C上の領域701B内の物体の温度を検知できる。
【0049】
なお、図4に示した視野700A,700Bの移動態様は、載置板10C上面だけを対象としている。図2に示すように、赤外線センサ7Aの視野700Aは比較的加熱室10上方から広がり、赤外線センサ7Bの視野700Bは比較的加熱室10下方を中心に広がる。これにより、赤外線センサ7A,7Bの高さ方向の温度検知の特性が異なる。たとえば、赤外線センサ7Aは、矢印RA方向に回動されることにより、その視野が垂直方向にも移動するからである。
【0050】
図5に、電子レンジ1の制御ブロック図を示す。
図5を参照して、電子レンジ1は、当該電子レンジ1の動作を全体的に制御する制御回路25を備えている。制御回路25は、メモリおよびマイクロコンピュータを含む。
【0051】
制御回路25は、操作パネル6の各種ボタン等に対して入力された情報、赤外線センサ7A,7B、および、ドア3の開閉を検知できるドアスイッチ3Xの検知出力を入力される。
【0052】
制御回路25は、後述するように加熱調理に関する種々の情報を蓄積するデータベース26、通電されることにより加熱室10内に熱を放出するオーブン用ヒータ13、マグネトロン12にマイクロ波を発振させるための回路であるマイクロ波発振回路20、アンテナ駆動モータ22、および、センサ駆動モータ70A,70Bの動作を制御する。
【0053】
次に、図1の電子レンジ1が加熱調理を実行する際の制御回路25の動作(調理制御処理)を説明する。図6は、制御回路25の調理制御処理のフローチャートである。
【0054】
調理制御処理では、電子レンジ1において加熱調理が開始される指示がなされると、制御回路25は、まず、SA1で、赤外線センサ7A,7Bをそれぞれ第1の速度で移動させることによりそれぞれの視野を移動させて、加熱室10内全域での温度検知を行ない、加熱室10内の3次元的な温度分布を検出する。第1の速度とは、赤外線センサ7A,7Bについての移動速度において比較的速い方の速度を意味する。
【0055】
次に、制御回路25は、SA2で、SA1における3次元的な温度分布の結果を、データベース26における蓄積内容に照会して、加熱室10内の食品(被加熱物)を推定する。具体的には、3次元的な温度分布から、食品の大きさ、形状(平べったい、底面積が小さく高さがある、等)、および、周囲と温度差がある領域の数)が推定され、これに基づいて、食品の種類や数量を推定する。
【0056】
次に、制御回路25は、SA3で、SA2における食品の推定を含む種々の情報に基づいて、赤外線センサ7A,7Bを用いた温度検知が精度良くかつ効率良くできる条件を割出す。種々の情報とは、たとえば、操作パネル6においてユーザがキー入力により選択した調理メニューが含まれる。そして、温度検知のための条件とは、被加熱物がコップに入った食品であると推定されると赤外線センサ7Aのように上方から温度検知できるセンサを主に使用して温度検知を行なう、被加熱物が平べったい形状であれば赤外線センサ7Bのように下方を中心に温度検知できるセンサを主に使用して温度検知を行なう、被加熱物が高さ方向に長い寸法を有する食品である場合には当該被加熱物の上部を赤外線センサ7Aで下部を赤外線センサ7Bで温度検知を行なう、選択された調理メニューがピザの解凍等平べったい形状の食品を扱うものやコップに入った牛乳等を温めるものであればそれに応じたセンサを主に使用して温度検知を行なう、等が挙げられる。
【0057】
また、赤外線センサ7A,7Bでは、それぞれ複数の赤外線検出素子が一方向に異なる視野領域を持つように並べられ、当該複数の素子それぞれに温度検知を行なわせている。そして、上記の温度検知のための条件としては、加熱室10内に局所的に食品が載置された場合に、赤外線センサ7Aおよび/または赤外線センサ7Bの中で食品の配置に合わせて検知に使用する赤外線検出素子を選択することも挙げられる。
【0058】
そして、制御回路25は、SA4で、SA3で割出した条件に従って、赤外線センサ7Aおよび/または赤外線センサ7Bを用いた温度検知を行なう。
【0059】
なお、この場合の赤外線センサ7Aおよび/または赤外線センサ7Bの視野の移動速度は、SA1における第1の速度よりも遅い第2の速度で行なわれる。SA4における温度検知は、多くの場合、SA1における温度検知よりも視野の移動範囲が絞られる(狭められる)ため、視野の移動速度が落とされても、単位時間内の視野の走査回数は同等とできるからである。視野の移動速度が落とされることにより、温度検知の精度の向上が期待される。
【0060】
また、SA4における温度検知の際には、赤外線センサ7Aと赤外線センサ7Bの視野の移動速度は異なる場合もある。被加熱物が、水平方向の寸法が小さく垂直方向の寸法が大きい場合には、赤外線センサ7Aの視野の移動範囲は、赤外線センサ7Bの視野の移動範囲よりも大きいものとされる。これにより、赤外線センサ7Aの視野の移動速度は、赤外線センサ7Bの視野の移動速度よりも速いものとされる。
【0061】
そして、SA5で、制御回路25は、SA4における温度検知の結果を、データベース26の内容と参照することにより、食品の加熱の進行度合いを予測し、予測結果に基づいて、回転アンテナ20の回転の態様およびマグネトロン12の出力を制御する。
【0062】
そして、SA6で、制御回路25は、SA5の予測結果が、調理を終了すべきものであるか否かを判断し、終了すべきものであれば加熱調理をそのまま終了させる。一方、まだ調理を終了すべきではないと判断すると、SA4に処理を戻し、温度検知を行なう。
【0063】
以上説明した本実施の形態では、複数の赤外線センサを用いて加熱室内の温度検知が行なわれる。なお、加熱調理では、まず、高速で赤外線センサの視野を移動させて温度検知を行なうことにより、加熱室内の食品の推定がなされる。そして、加熱室内の食品の推定がなされた後は、推定の内容に従って、複数の赤外線センサの視野のそれぞれの移動態様(範囲および速度)が決定される。
【0064】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態の電子レンジは、第1の実施の形態と同様の構成要素を有し、制御回路25による調理制御処理に特徴を有する。ここで、本実施の形態の電子レンジの制御回路が実行する調理制御処理を、図7〜図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0065】
電子レンジ1において加熱調理を開始する指示がなされると、制御回路25は、SB1で、食品の出し入れを認識するための処理を行なう。なお、食品の出し入れを認識するために、制御回路25は、たとえば、赤外線センサ7A,7Bに加熱室10内の温度を検知させ、その検知温度に急激な変化があったか、ある一定の温度を越える温度が検知されたか、不規則な温度変化があったか、加熱室10のドア3に近い場所でドア3に遠い場所よりも大きな温度変化があったか、周囲よりも所定の値以上温度が高いまたは低い地点が移動するようなことがあるか、および、温度分布にむらがあるかを判断する。SB1における認識の判断は、データベース26に蓄積されたデータに基づいて、行なわれる。また、制御回路25は、ドアスイッチ3Xの検知出力に基づいて、ドア3の開閉があったか否かについても、食品の出し入れの認識に用いることができる。
【0066】
そして、制御回路25は、SB2で、SB1の認識の結果に基づいて加熱室10内に食品(負荷)が収容されているか否かを判断する。そして、食品が収容されていないと判断されると処理はSB1に戻され、収容されていると判断されると、処理はSB3に進められる。
【0067】
なお、SB1では、温度検知によって食品が載置されているであろうとされる範囲(対象範囲)の決定も行なわれる。対象範囲の決定は、予測される温度変化から外れた態様で温度変化した領域を対象範囲と決定することにより行なわれる。たとえば、図9を参照して、時間T1で、加熱室10内に、周辺より温度の高い食品が収容された場合、破線の温度変化が予想され、また、加熱室10内の多くの地点で、破線のような温度変化が検知されたとする。そして、そのような場合に、時間T1以降に、図9の実線Lで示したような破線から大きく離れた挙動を示した地点の集合が、対象範囲と決定される。
【0068】
SB3では、制御回路25は、マグネトロン12に加熱動作を開始させる。
次に、制御回路25は、SB4で、加熱室10内の食品の識別を行なう。具体的には、食品の種類(食品の容器および食品自体の素材)の識別が行なわれた後、食品の量の識別が行なわれる。
【0069】
さらに具体的には、食品の種類の識別は、上記の対象範囲において、赤外線センサ7A,7Bによって検知された、温度、ならびに、検出された温度から算出された温度変化の速度および加速度の値を、データベース26に蓄積されたデータに参照させて、行なわれる。食品の比誘電率は、食品の素材の種類によって異なり、また、同じ素材であっても温度によって異なる。例として、図10に、水、ホウケイ酸ガラス、赤みの牛肉(一時的な調理済みのもの)の各温度における比誘電率を示す。
【0070】
比誘電率が食品の素材および温度によって異なることから、マイクロ波を吸収した際の温度の上昇の態様も、食品の素材および温度によって異なることになる。これにより、食品がどの温度で、どのような速度および加速度で温度変化をしたかを検知することにより、食品の素材を識別することができる。
【0071】
また、食品の量の識別は、加熱室10内の温度分布に基づき、温度のむらが生じている箇所の数および面積を検知することにより行なわれる。
【0072】
次に、制御回路25は、SB5で、SB4で識別した食品の種類および量に基づいて、回転アンテナ20の回転の態様およびマグネトロンの出力を制御する。
【0073】
次に、制御回路25は、SB6で、対象範囲のみの温度検知を行ない、当該範囲の温度を追跡することにより、当該対象範囲に食品(負荷)が存在しているかを確認する。この確認は、SB4において食材の識別と同様に、温度、温度変化速度、および、温度変化加速度を算出し、対象範囲の温度変化等がなんらかの食材に一致したか否かにより、対象範囲に食品が存在しているか否かを確認する。なお、SB6では、SB1で対象範囲が複数決定されている場合に、当該複数の対象範囲の中で実際に食品の存在が確認できたものを限定する処理もなされる。
【0074】
そして、制御回路25は、SB7で、SB6における確認および限定ができたか否かを判断し、できていれば、処理をSB8に進め、できていなければ、できるまで、SB5に処理を戻す。
【0075】
制御回路25は、SB8では、SB6で確認した対象範囲内の温度検知し、そして、当該検知結果に基づいて、SB4において食材の識別と同様に、温度、温度変化速度、および、温度変化加速度を算出する。
【0076】
そして、制御回路25は、SB9で、直前のSB8における算出した結果が加熱の仕上がりを示すものであるか否かを判断する。SB9における判断は、SB8において算出された結果を、データベース26に予め蓄積されたデータに参照させて、行なわれる。SB9において加熱が仕上がったと判断するまで、制御回路25は、処理をSB8に戻す。そして、加熱が仕上がったと判断すると、処理を終了させる。
【0077】
以上説明した本実施の形態では、電子レンジ1は、データベース26に、食品の絶対温度、温度の変化速度、および、温度の変化加速度に基づいて食品を識別するためのデータを蓄積している。なお、食品を識別するためデータは、図10に示したような温度と比誘電率の関係に基づいて、作成されている。そして、本実施の形態では、電子レンジ1は、継続的に加熱室10内の食品が載置されていると考えられる位置の温度を検知し、検知結果と、上記した食品を識別するためデータとに基づいて、加熱室10内の食品を識別し、さらに、識別結果に基づいて、加熱制御を行なっている。
【0078】
また、加熱終了後にも、SB1で実行された、食品の出し入れを認識する処理を実行し、加熱終了後、所定時間経過しても食品の出し入れがなければ、音声等でその旨を報知してもよい。
【0079】
[第3の実施の形態]
図11は、本発明の第3の実施の形態の電子レンジの斜視図である。電子レンジ1は、主に、本体2とドア3とからなる。本体2には、本体枠5が備えられている。本体枠5の内側には、加熱室10が設けられ、加熱室10の壁面には、第1の実施の形態の電子レンジ1と同様に、検知孔10Aが形成されている。ている。ドア3は、加熱室10を開閉可能である。また、加熱室10の底面には、食品Fを載置する載置板10Cが備えられている。本体2の前面の右方には、操作パネル6が備えられている。操作パネル6は、ユーザが種々の情報を入力するためのキーや、種々の情報を表示するための表示パネル60を備えている。
【0080】
本実施の形態の電子レンジ1では、加熱室10の内部であってその後面に、回転アンテナ20が設置されている。また、加熱室10の内部には、補助アンテナ50が設置されている。補助アンテナ50は、加熱室10の後面に平行な面50Aと、面50Aに対して角度を有する面50Bとを備えている。
【0081】
図12は、図11の電子レンジ1のXII−XII線に沿う矢視断面図であり、図13は、図11の電子レンジ1のXIII−XIII線に沿う矢視断面図である。なお、図12では、載置板10Cが省略されている。また、図13では、マイクロ波の伝播の態様が、種々の矢印で示されている。
【0082】
電子レンジ1では、本体2の内部であって、ドア3側から見た場合の加熱室10の左側方に、マグネトロン12が設置されている。マグネトロン12と加熱室10とは、導波管19で接続されている。導波管19と加熱室10との接続部分には、回転軸21および回転アンテナ20が設置されている。回転アンテナ20は、回転軸21に接続されることにより導波管19と電波的に結合している。マグネトロン12の発振したマイクロ波は、回転アンテナ20を介して、加熱室10内に供給される。回転アンテナ20は、加熱室10の後面と平行な主面を有する板体である。回転アンテナ20は、アンテナ駆動モータ22によって回転される。
【0083】
加熱室10の天面には、回転アンテナ40が設置されている。回転アンテナ40は、回転アンテナ20と同様に、マグネトロン12の発振したマイクロ波を加熱室10内に供給するために設置されており、回転軸41を軸として図示せぬモータにより回転可能に構成されている。また、加熱室10の内部であって、回転アンテナ20と回転アンテナ40の間には、補助アンテナ51が設置されている。補助アンテナ51は、加熱室10の後面に平行な面51Aと、面50に対して角度を有する面51Bとを備えている。
【0084】
加熱室10の下部には、載置板10Cの下方に、オーブン用ヒータ13が設置されている。オーブン用ヒータ13は、主に図12に示すようなパターンを有する1本の線状形状を有し、加熱室10の底面全体に広がるように設置されている。オーブン用ヒータ13の両端は、本体枠5に接続されている。
【0085】
本実施の形態の回転アンテナ20は、回転軸21との接続部から折れ曲がって伸びる第1の部分と、加熱室10の後面に水平な板体である第2の部分20Bとを備えている。
【0086】
図13に示した状態では、回転アンテナ20の第1の部分20Aに伝播されたマイクロ波は、第1の部分20Aの端部から補助アンテナ51の面51Bへと伝播し、補助アンテナ51と加熱室10との間で電界を形成しつつ、放射アンテナ40へと伝播される。また、回転アンテナ20の第2の部分20Bに伝播されたマイクロ波は、加熱室10との間で電界を形成しつつ補助アンテナ50に伝播され、面50Bと加熱室10との間で電界を形成しつつ、オーブン用ヒータ13へと伝播される。これにより、本実施の形態では、回転アンテナ20に伝播されたマイクロ波は、回転アンテナ20、補助アンテナ50,51、回転アンテナ40、および、オーブン用ヒータ13から、加熱室10内へと供給される。
【0087】
図13の状態から回転アンテナ20が180°回転されて変位した状態を、図14に示す。図14に示した状態では、回転アンテナ20の第1の部分20Aに伝播されたマイクロ波は、第1の部分20Aの端部から補助アンテナ50の面50Aとの間で電界を形成し、さらに、面50Bと加熱室10との間で電界を形成しつつ、オーブン用ヒータ13へと伝播される。また、回転アンテナ20の第2の部分20Bに伝播されたマイクロ波は、補助アンテナ51に伝播され、補助アンテナ51と加熱室10との間で電界を形成しつつ、放射アンテナ40へと伝播される。これにより、本実施の形態では、回転アンテナ20に伝播されたマイクロ波は、回転アンテナ20、補助アンテナ50,51、回転アンテナ40、および、オーブン用ヒータ13から、加熱室10内へと供給される。
【0088】
つまり、図13および図14に示したように、本実施の形態の回転アンテナ20は、回転位置により、加熱室10または補助アンテナ50との間で電界を形成することができる。これにより、加熱室10へマイクロ波を供給するパターンの多様化を図ることができる。また、マグネトロン12がマイクロ波を供給している間、回転アンテナ20の回転位置を、図13に示した状態で停止させるか、図14に示した状態で停止させるかによって、加熱室10へマイクロ波を供給するパターンを選択することができる。これにより、回転アンテナ20の停止位置を制御することにより、加熱室10内での食品の配置等に合ったパターンで加熱室10内にマイクロ波が供給されるような制御が可能となる。
【0089】
図15に、補助アンテナ50の斜視図を示す。補助アンテナ50は、金属製であり、上記したような面50Aと面50Bとを備えている。なお、補助アンテナ50は、絶縁体である樹脂500で、加熱室10の壁面上に固定されている。これにより、補助アンテナ50は、加熱室10に対して電気的に絶縁されている。また、補助アンテナ51も、補助アンテナ50と同様の構成を有し、絶縁体によって、加熱室10の壁面上に固定されている。
【0090】
補助アンテナ50は、加熱室10に電気的に接続された導波路によって置換されてもよい。そのような導波路を図16に示す。導波路60は、下端部60C,60Dが加熱室10の壁面に接続されることにより、当該壁面と、面60A,60E,60Fとで管を構成する。この管内には、回転アンテナ20に導かれたマイクロ波により電界が形成され、さらに、管内に導かれたマイクロ波は、面60Bを介して、加熱室10内の他の部分へと拡散する。なお、面60Bは、面60Aに対して角度を有している。
【0091】
図17は、図16の導波路60の平面図である。面60A,60Bには、スリット60Sが形成されている。図17中で矢印P1方向は、回転アンテナ20から伝播するマイクロ波の進行方向を示している。そして、面60Bは、矢印P1方向に進むほど、矢印P1に垂直な方向(矢印PXで示す方向)の寸法が大きくなっている。なお、導波路60は、矢印P1方向に進むほど、回転アンテナ20との距離が長くなるように、加熱室10内に設置される。
【0092】
図18に、図16の導波路60の変形例である導波路61の斜視図を示す。導波路61は、面61A,61E,61Fを備え、これらの面と加熱室10の壁面とによって、管を形成する。なお、導波路61は、面61Aと加熱室10の壁面との間に面61Bを備えている。導波路61に導かれたマイクロ波は、面61Bと加熱室10の壁面との間で、電界を形成する。
【0093】
図19に、図16の導波路60のさらなる変形例である導波路62の斜視図を示す。導波路62は、面62A,62C,62Dを備え、これらの面と加熱室10の壁面とによって、管を形成する。なお、導波路62は、さらに、マイクロ波の進行方向P2に垂直な面62Bを備えている。面62Bは、面62A,62C,62Dと同様に金属製である。これにより、導波路62では、面62B自身がアンテナとして、マイクロ波を放射できる。
【0094】
図20に、図16の導波路60のさらに別の変形例である導波路63の斜視図を示す。導波路63は、図19に示した導波路62の面62A〜62Dと同様の、面63A〜63Dを備えている。そして、導波路63は、回転軸64に接続されている。導波路63は、図示せぬ機構により、回転可能とされている。導波路63にマイクロ波が導かれた際に導波路63が回転することにより、加熱室10にマイクロ波を供給するパターンをより多様化させることができる。
【0095】
図21は、図12の破線の円Xとして示したような、オーブン用ヒータ13と本体枠5との接続部分の拡大図である。また、図22に、オーブン用ヒータ13の断面構造を説明するための図を示す。
【0096】
オーブン用ヒータ13は、外側から、金属131、絶縁体132、ヒータ管133の順に、層構造を有している。そして、オーブン用ヒータ13は、金具13Aとビス13Bとを用いて、加熱室10の壁面を構成する本体枠5に取りつけられている。これにより、加熱室10の壁面と金属131とは電気的に接続された状態となる。
【0097】
なお、上記したように、オーブン用ヒータ13は、一端と他端を本体枠5に接続されている。なお、オーブン用ヒータ13の両端は、マグネトロン12の発振したマイクロ波によって形成される電界の値が0となるような位置で本体枠5と接続されている。そして、ヒータの一端から他端の長さは、マイクロ波の波長の半分の整数倍とされている。これにより、オーブン用ヒータ13上で、定常波が形成できるため、オーブン用ヒータ13上で形成される電界が安定したものとなる。
【0098】
[第4の実施の形態]
図23は、本発明の第4の実施の形態の電子レンジ1の縦断面図であり、第1の実施の形態の電子レンジ1における図3に相当する図である。
【0099】
電子レンジ1では、本体枠5の内側に加熱室10が形成されており、加熱室10には、食品を載置させる載置板10Cが設置されている。加熱室10の内部であって、載置板10Cの下方には、回転アンテナ20が設置されている。回転アンテナ20は、アンテナ駆動モータ22が駆動することにより、回転軸21を軸として回転する。
【0100】
加熱室10の右側方には、マグネトロン12が設置されている。マグネトロン12と加熱室10の下端とは、導波管19で接続されている。導波管19には方向性結合器80が取付けられている。
【0101】
図24に、第4の実施の形態の電子レンジ1の変形例の縦断面図を示す。図24に示した電子レンジ1では、食品Fを載置する載置板10Cの下方にオーブン用ヒータ13が備えられている。そして、導波管19は、加熱室10の右側面で、加熱室10とマグネトロン12とを接続させている。
【0102】
図25に、本実施の形態の電子レンジ1のブロック図を示す。本実施の形態では、制御回路25に、方向性結合器80の検知出力が入力される構成となっている。また、本実施の形態の電子レンジ1は、オーブン用ヒータ13における電界強度を検知することにより加熱室10内のインピーダンスを解析するインピーダンス解析部82を備えている。
【0103】
本実施の形態の電子レンジ1において制御回路25が実行する調理制御処理を、図26のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0104】
電子レンジ1に対してマグネトロン12による加熱調理の実行を指示する操作がなされると、まず、制御回路25は、SC1で、マグネトロン12にマイクロ波を発振させる前の加熱室10内のインピーダンスを測定する。なお、加熱室10内のインピーダンスの測定は、インピーダンス解析部82に、オーブン用ヒータ13に電気信号を送らせ、かつ、その透過および反射信号を解析させることにより行なわれる。
【0105】
次に、制御回路25は、SC2で、SC1で測定した加熱室10内のインピーダンスとユーザが加熱開始を指示する際に押圧したキーの種類とに基づいて被加熱物の種類を推測する。なお、被加熱物の種類は、上記の情報を、データベース26に蓄積された情報に参照させることにより、行なわれる。
【0106】
ここで、加熱室10内のインピーダンスと被加熱物の種類との関係について、図27を参照して説明する。オーブン用ヒータ13の電気的特性は、隣接するオーブン用ヒータ13または本体枠5によって構成される加熱室10の性質にも影響を受け、また、それらとの間に食品Fが存在する場合には、その食品Fによっても影響を受ける。なお、図10を用いて説明したように、食品Fは、素材や温度によって、その比誘電率が変化する。これにより、加熱室10内のインピーダンスは、食品Fの素材や温度によっても変化すると考えられる。SC2では、このことを利用して、測定したインピーダンスに基づいて、加熱室10内の被加熱物を推測している。また、より確実に被加熱物の推測を行なうために、ユーザが操作パネル6上で行なったキー操作も、推測の材料としている。
【0107】
また、制御回路25は、SC2において、推測した結果に基づいて、マグネトロン12の出力や、回転アンテナ20の制御態様等、種々の加熱条件を決定する。
【0108】
そして、制御回路25は、SC3で、マグネトロン12による加熱動作を開始させ、SC4で、加熱開始から一定時間経過した後、SC2と同様の手順で加熱室10内のインピーダンスを測定する。
【0109】
そして、SC5で、SC4における測定結果をデータベース26内のデータに照会することにより、被加熱物の加熱が仕上がっているか否かを判断する。そして、仕上がっていると判断すると、そのまま加熱調理を終了させる。一方、まだ仕上がっていないと判断すると、SC4に処理を戻し、再度、一定時間後に、加熱室10内のインピーダンスを測定する。
【0110】
以上説明した本実施の形態では、マグネトロン12によるマイクロ波加熱のみの加熱動作について説明したが、本実施の形態の電子レンジ1は、オーブン用ヒータ13によるオーブン加熱も可能である。そして、本実施の形態の電子レンジ1は、オーブン加熱に用いるオーブン用ヒータ13を、加熱室10内のインピーダンスの測定に用いているのである。
【0111】
また、本実施の形態の電子レンジ1では、データベース26に、加熱室10内のインピーダンスに基づいて、被加熱物の素材を推測するためのデータ、および、被加熱物の加熱の仕上がりを判定するためのデータが蓄積されている。なお、被加熱物の比誘電率は、温度によって異なる。したがって、データベース26には、温度ごとに、加熱室10内のインピーダンスが対応する素材に関連付けられて記憶されている。そして、被加熱物の素材の推測は、当該推測が行なわれる際の温度において、その時点でのインピーダンスに対応する素材が、被加熱物の素材とされる。また、被加熱物の加熱の仕上がりの判定は、その時点でのインピーダンスが、推定された素材の対応する温度を決定し、当該温度が加熱が仕上がったときの温度であるか否かを判断することにより行なわれる。
【0112】
図28に、図26の調理制御処理の変形例のフローチャートを示す。この変形例では、加熱を開始する旨の操作がなされると、制御回路25は、SD1で、マグネトロン12によるマイクロ波の発振を開始し、かつ、加熱室10内に供給されマイクロ波が被加熱物を透過する際のインピーダンス(透過インピーダンス)を推測する。なお、透過インピーダンスの推測は、マグネトロン12が発振したマイクロ波のうち加熱室10内に向かうマイクロ波のエネルギを測定し、かつ、オーブン用ヒータ13の受信するマイクロ波のエネルギを測定することにより、行なわれる。なお、加熱室10内に向かうマイクロ波のエネルギは、マグネトロン12の出力と、方向性結合器80で測定されるマイクロ波の反射成分とから、算出される。
【0113】
そして、SD2で、制御回路25は、SD1で推定された透過インピーダンスの値を、データベース26内の情報に照合させて、加熱室10内の被加熱物の素材等の推定を行なう。
【0114】
そして、SD3で、加熱開始から一定時間経過後に、SD1と同様に透過インピーダンスを測定し、SD4で、その値から、被加熱物の加熱が仕上がったか否かを判断する。加熱が仕上がったと判断すれば、そのまま調理を終了させ、まだ仕上がっていないと判断すれば、SD3に処理を戻し、それ以降、一定時間ごとに、透過インピーダンスの測定を行ない、加熱の仕上がりを判断する。
【0115】
[第5の実施の形態]
図29に、本発明の第5の実施の形態の電子レンジ1の斜視図を示す。
【0116】
電子レンジ1は、主に、本体2とドア3とからなる。本体2には、本体枠5が備えられ、本体枠5の内側には、加熱室10が設けられている。ドア3は、加熱室10を開閉可能である。また、加熱室10の底面には、食品Fを載置する載置板10Cが備えられている。本体2の前面の右方には、操作パネル6が備えられている。操作パネル6には、表示パネル60が備えられている。なお、本実施の形態のドア3には、加熱室10に対向する面に、凹部3Aが形成されている。
【0117】
図30は、図29のXXX−XXX線に沿う矢視断面図である。なお、図30には、図29では省略した調理皿100が記載されている。
【0118】
本実施の形態では、加熱室10の高さ方向の中央部に、マイクロ波を透過しない(たとえば金属製の)調理皿100を設置することが可能である。また、加熱室10の天面には、オーブン用ヒータ13が設置されている。
【0119】
また、加熱室10の側方には、図示せぬマグネトロンが設置され、当該マグネトロンと加熱室10の下部とは、導波管19で接続されている。また、加熱室10の導波管19との接続部分には、回転アンテナ20が設置されている。回転アンテナ20は、回転軸21を軸として、モータ22が駆動することにより、回転可能に構成されている。
【0120】
マグネトロンの発振したマイクロ波は、導波管19、回転アンテナ20を介して、加熱室10に供給される。回転アンテナ20が回転することにより、加熱室10にはまんべんなくマイクロ波が供給される。なお、調理皿100の下部に供給されたマイクロ波は、ドア3の凹部3Aを通って、調理皿100の上部に伝播する。
【0121】
なお、加熱室10の底部であって回転アンテナ20の近傍には、導波路29が設置されている。図31に、回転アンテナ20、導波路29および凹部3Aの位置関係を説明するための図を示す。
【0122】
導波路29は、金属からなり、加熱室10の底面に電気的にも接続されるように取付けられている。導波路29は、図31に示すように、回転アンテナ20が当該導波路29に向けて多くのマイクロ波を伝播させる位置にある場合、回転アンテナ20から伝播してきたマイクロ波を、凹部3Aに導くことができる。つまり、電子レンジ1は、回転アンテナ20が図31に示す状態にある場合には、加熱室10には、調理皿100の上方に優先的にマイクロ波を供給できる状態となる。
【0123】
図32に、ドア3の、加熱室10に対向する面の平面図を示す。図32では、凹部3Aの下方から上方に伝播するマイクロ波が矢印で模式的に示されている。図31および図32から理解されるように、凹部3Aの形状は、調理皿100に対して、上下非対称となっている。これにより、凹部3Aを形成されたドア3は、調理皿100の上部に、よりまんべんなく、マイクロ波を導くことができる。
【0124】
また、ドア3に形成される凹部の形状は、図29〜図32に示したようにV字方に限定されるものではない。図33に、本実施の形態のドア3の変形例を示す。図33(A)は、ドア3の変形例の加熱室10側の平面図であり、図33(B)は、ドア3の側面図である。図33に記載されるように、凹部3Bは、長方形である。なお、マイクロ波を効率良く伝播させるためには、その高さ方向の寸法は180mm以上が好ましく、幅方向の寸法は90mm以上が好ましく、凹部3Bの深さDPは1mm以上が好ましい。
【0125】
図34に、ドア3のさらなる変形例を示す。なお、図34(A)は、当該ドア3の加熱室10側の平面図であり、図34(B)は、図34(A)のB−B線に沿う矢視断面図である。図34(A)および図34(B)に示したドア3は、長方形の凹部3Cを形成され、さらに、凹部3Cの中の2箇所に、凸部3Dを形成されている。これにより、凹部3Cに導かれたマイクロ波を、より複雑なパターンで加熱室10の上部に伝播させることができるため、電子レンジ1は、加熱室10内に、よりまんべんなくマイクロ波を供給できるようになる。
【0126】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。なお、各実施の形態は、単独でも、また、可能な限り組合せても、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電子レンジの斜視図である。
【図2】図1の電子レンジの、ドアおよび操作パネルを省略した状態での正面図である。
【図3】図1の電子レンジの本体枠およびその周辺の部材の縦断面を模式的に示す図である。
【図4】図2の2つの赤外線センサの視野の移動態様を説明するための図である。
【図5】図1の電子レンジの制御ブロック図である。
【図6】図1の電子レンジの制御回路が実行する調理制御処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態の電子レンジの制御回路が実施する調理制御処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態の電子レンジの制御回路が実施する調理制御処理のフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態の電子レンジにおいて対象範囲の決定を説明するための図である。
【図10】3種類の素材についての比誘電率の温度変化を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態の電子レンジの斜視図である。
【図12】図11の電子レンジのXII−XII線に沿う矢視断面図である。
【図13】図11の電子レンジのXIII−XIII線に沿う矢視断面図である。
【図14】図13の状態から回転アンテナ20が180°回転されて変位した状態を示す図である。
【図15】図11の補助アンテナの斜視図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態の電子レンジに設置される導波路の斜視図である。
【図17】図16の導波路の平面図である。
【図18】図16の導波路の変形例の斜視図である。
【図19】図16の導波路のさらなる変形例の斜視図である。
【図20】図16の導波路のさらに別の変形例の斜視図である。
【図21】図12の破線の円X内の、オーブン用ヒータと本体枠との接続部分の拡大図である。
【図22】本発明の第3の実施の形態の電子レンジのヒータの断面構造を説明するための図である。
【図23】本発明の第4の実施の形態の電子レンジの縦断面図である。
【図24】本発明の第4の実施の形態の電子レンジの変形例の縦断面図である。
【図25】本発明の第4の実施の形態の電子レンジのブロック図である。
【図26】本発明の第4の実施の形態の制御回路の実行する調理制御処理のフローチャートである。
【図27】本発明の第4の実施の形態の電子レンジの加熱室内の被加熱物の種類とインピーダンスとの関係を説明するための図である。
【図28】図26の調理制御処理の変形例のフローチャートである。
【図29】本発明の第5の実施の形態の電子レンジの斜視図である。
【図30】図29の電子レンジのXXX−XXX線に沿う矢視断面図である。
【図31】図29の電子レンジの回転アンテナ、固定導波管および凹部の位置関係を説明するための図である。
【図32】図29の電子レンジのドアの、加熱室に対向する面の平面図である。
【図33】図29の電子レンジのドアの変形例を示す図である。
【図34】図29の電子レンジのドアのさらなる変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子レンジ、2 本体、3 ドア、3A〜3C 凹部、3X ドアスイッチ、5 本体枠、6 操作パネル、7A,7B 赤外線センサ、10 加熱室、10A,10B 検知孔、10C 載置板、13 オーブン用ヒータ、19 導波管、20,40 回転アンテナ、21,41 回転軸、22 アンテナ駆動モータ、25 制御回路、26 データベース、29,60,61,62,63 導波路、50 補助アンテナ、70A,70B センサ駆動モータ、80 方向性結合器、82 インピーダンス解析部。
Claims (15)
- 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンと、
前記加熱室内の赤外線量を検知する複数の赤外線センサと、
前記複数の赤外線センサのそれぞれの視野を移動させる視野移動部と、
前記複数の赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物に適した加熱パターンを決定する制御部とを含み、
前記複数の赤外線センサは、互いに前記加熱室内の異なる位置に視野を有し、前記視野移動部は、前記複数の赤外線センサの視野を、互いに異なる方向および/または速度で移動させる、電子レンジ。 - 前記制御部は、前記被加熱物に適した加熱パターンを決定した後、前記複数の赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の加熱が完了したか否かを判断する、請求項1に記載の電子レンジ。
- 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンと、
前記加熱室内の赤外線量を検知する赤外線センサと、
前記赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の温度、温度変化速度、および、温度変化加速度の値を算出し、かつ、それらの値に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の特性を特定する制御部とを含む、電子レンジ。 - 前記制御部は、前記赤外線センサの検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物の位置を決定し、被加熱物が前記加熱室内の複数の箇所に存在すると判断した場合、各箇所に存在する被加熱物の前記特性に基づいて、当該各箇所に存在する被加熱物に対して加熱についての優先順位を決定する、請求項3に記載の電子レンジ。
- 被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンとを含む電子レンジであって、
前記加熱室は、第1の面と、前記第1の面とは異なる第2の面を含み、
前記第1の面に平行に第1の距離だけ離れた板体を備え、前記マグネトロンの発振するマイクロ波を拡散させる第1の放射アンテナと、
前記第2の面に平行に前記第1の距離とは異なる第2の距離だけ離れた板体を備え、前記マグネトロンの発振するマイクロ波を拡散させる第2の放射アンテナとをさらに含む、電子レンジ。 - 前記加熱室内に、前記加熱室の壁面に対して電気的に絶縁されて設置された補助アンテナと、
前記第1の放射アンテナを、移動させることにより、前記加熱室の壁面との間で電界を形成させる第1の状態、および、前記補助アンテナとの間で電界を形成させる第2の状態にさせる、第1の移動制御部とをさらに含む、請求項5に記載の電子レンジ。 - 前記加熱室内に、前記加熱室の壁面に対して電気的に接続されて設置された導波路と、
前記第1の放射アンテナを、移動させることにより、前記加熱室の壁面との間で電界を形成させる第1の状態、および、前記導波路との間で電界を形成させる第2の状態にさせる、第2の移動制御部とをさらに含む、請求項5または請求項6に記載の電子レンジ。 - 前記導波路は、スリットを形成されている、請求項7に記載の電子レンジ。
- 通電されることにより発熱し、かつ、前記第1の放射アンテナと電波的に結合するヒータをさらに含む、請求項5〜請求項8のいずれかに記載の電子レンジ。
- 前記ヒータは、線状であり、その一端が前記第1の放射アンテナと電波的に結合したときに電界が0となる位置にあり、かつ、一端から他端までの長さが前記マグネトロンの供給するマイクロ波の波長の半分の整数倍である、請求項9に記載の電子レンジ。
- 調理メニューを入力するための入力部と、
前記第1の放射アンテナを回転させ、かつ、前記マグネトロンがマイクロ波を供給している際に前記入力部に入力された調理メニューに応じた位置で前記第1の放射アンテナの回転を停止させる、アンテナ回転制御部とをさらに含む、請求項5〜請求項10のいずれかに記載の電子レンジ。 - 被加熱物を収容する加熱室と、
マイクロ波を発振するマグネトロンと、
前記マグネトロンと前記加熱室とを接続する導波管と、
前記導波管内に取付けられ当該導波管内を伝送されるマイクロ波の反射成分を検知する方向性結合器と、
前記マグネトロンの出力および前記検知された反射成分から、前記加熱室内の被加熱物のインピーダンスを推測し、当該被加熱物のインピーダンスに応じて、前記マグネトロンによる加熱調理の調理メニューを選択する加熱制御部とを含む、電子レンジ。 - 金属からなり、通電されることにより発熱するヒータと、前記ヒータの、マイクロ波の受信量を検知する受信量検知部とをさらに含み、前記加熱制御部は、さらに、前記受信量検知部の検知出力に基づいて、前記加熱室内の被加熱物のインピーダンスを推測する、請求項12に記載の電子レンジ。
- 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室内にマイクロ波を供給するマグネトロンと、
前記加熱室を開閉するドアとを含み、
前記ドアは、前記加熱室から見て凹んだ部分である凹部を形成され、
前記加熱室内に、被加熱物を載置するための金属製の調理皿を設置可能であり、
前記凹部は、前記調理皿が加熱室内に設置された際に、当該調理皿よりも下方から当該調理皿よりも上方に渡る範囲に形成されている、電子レンジ。 - 前記凹部は、前記調理皿に対して、上下非対称の形状を有する、請求項14に記載の電子レンジ。
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