JP2004108551A - ロックアップクラッチの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力側部材と出力側部材とが直接連結状態となる際のショックを抑えること。
【解決手段】ロックアップクラッチ26と、ポンプ羽根車21の回転量とタービン羽根車22の回転量との差からスリップ量を検出するCPU51と、CPU51による検出量が所定量内である状態が所定時間以上経過した場合に、ロックアップクラッチ26に負荷される油圧を、ポンプ羽根車21とタービン羽根車22とが直接連結状態となる所定圧に制御する油圧制御回路40とを備える構成としたこと。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のエンジンと一体回転可能に連結された入力側部材と車両の車輪側部材に一体回転可能に連結された出力側部材とロックアップクラッチの係合を制御するロックアップクラッチの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ロックアップクラッチは、車両の車輪と一体的に回転するように連結されたタービン羽根車側に設けられている場合、油圧によって、車両のエンジンと一体的に回転するように連結されたポンプ羽根車側に押付けられる。そして、完全係合されることにより、ポンプ羽根車側とタービン羽根車側を直接連結状態とする。この直接連結状態とする際の出力トルクの変動によるショックを取り除くことが、従来からの課題となっている。
【0003】
上記課題を解決するために、例えば、後述の特許文献1に記載の装置が公知の技術となっている。この装置は、ポンプ羽根車側とタービン羽根車側の相対回転数が0になる直前に、ロックアップクラッチの係合圧の昇圧を中断し、減圧する制御を行っている。
【0004】
しかしながら、この装置では、直接連結状態とする瞬間に、スロットルが急変化したり、変速等が起こった場合には、出力トルク変動によるショックを完全に取り除くことができないという不具合がある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−26461号公報(第2−6頁、第7図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、入力側部材と出力側部材とが直接連結状態となる際のショックを抑えることを技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明にて講じた技術的手段は、車両のエンジンの出力軸と一体的に回転するように連結された入力側部材と前記車両の車輪側部材と一体的に回転するように連結された出力側部材の間の動力伝達を行う流体式伝達機構と並列に設けられ、供給される油圧により前記入力側部材又は前記出力側部材に向けて押圧されて該入力側部材又は該出力側部材に係合したときに該入力側部材と該出力側部材とを直接連結状態とするロックアップクラッチと、前記入力側部材の回転量と前記出力側部材の回転量との差からスリップ量を検出するスリップ量検出手段と、該スリップ量検出手段による検出量が所定量内である直接連結可否確認状態が所定時間以上経過した場合に、前記供給される油圧を、前記入力側部材と前記出力側部材とが直接連結状態とする所定圧に制御する油圧制御手段とを備える構成としたことである。
【0008】
この構成では、スリップ量検出手段による検出量が所定量以内である直接連結可否確認状態が所定時間以上経過した場合に、油圧制御手段が、所定圧になる様に制御する。つまり、直接連結可否確認状態が所定時間経過すること条件とすることで、出力トルク変化が少ない蓋然性が高い状況下にて、油圧を所定圧に制御することができる。従って、入力側部材と出力側部材とが直接連結状態となる際のショックを抑えることができる。
【0009】
好ましくは、前記直接連結可否確認状態が所定時間以上経過した場合に、前記油圧制御手段が、前記供給される油圧を前記所定圧まで急勾配で昇圧すると良い。
【0010】
この構成では、油圧制御手段が急勾配で所定圧まで昇圧するため、昇圧を開始してから所定圧に到達するまで、即ち、ロックアップクラッチが、入力側部材又は出力側部材と係合し始めてから完全に係合するまで(入力側部材と出力側部材とが直接連結状態となるまで)の時間が短くてすむ。
【0011】
好ましくは、前記直接連結可否確認状態になった場合に、前記油圧制御手段が、前記供給される圧を保持すると良い。
【0012】
この構成では、直接連結可否確認状態となった場合に供給される圧が保持されるため、ロックアップクラッチの不必要な動きを省くことができると同時に、スリップ量の不必要な変化を抑えることができる。
【0013】
好ましくは、前記直接連結可否確認状態の継続が前記所定時間未満の時間にて途切れた場合に、前記直接連結可否確認状態の経時をクリアすると良い。
【0014】
この構成では、直接連結可否確認状態の経時をクリアし、再度、直接連結可否確認状態となった場合に、0から経時を行うことにより、出力トルク変化が少ない蓋然性がより高い状態にて、油圧を所定圧に制御することができる。
【0015】
好ましくは、前記車両の運転状態から目標スリップ量を設定する目標スリップ量設定手段を備え、前記直接連結可否確認状態が前記所定時間未満の時間にて途切れた場合に、前記油圧制御手段が、前記スリップ量検出手段による検出量が前記目標スリップ量に近づく様に制御すると良い。
【0016】
この構成では、一旦、スリップ量検出手段による検出量が所定量以外の値となっても、油圧制御手段によって、再び所定量内になるように制御される(直接連結可否確認状態を形成するように制御される)こととなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態におけるロックアップクラッチの制御装置を含む自動変速機の制御装置を車両に搭載したときの概略図である。この車両は、エンジン10(エンジン)と、ロックアップクラッチ付トルクコンバータ20(流体式伝達機構)と、複数組の遊星歯車ユニットなどから構成された自動変速機30と、自動変速機30に供給する油圧を制御する油圧制御回路40(油圧制御手段)と、油圧制御回路40に制御指示信号を与える電気制御装置50とを備え、アクセルペダル11の踏込みによって増減されるエンジン10の動力をトルクコンバータ20、自動変速機30、及び図示しないディファレンシャルを介して駆動輪へ伝達するように構成されている。
【0018】
トルクコンバータ20は、流体式伝達機構と、流体式伝達機構と並列に連結されたロックアップクラッチ機構とから成る。流体式伝達機構は、エンジン10のクランク軸12(出力軸)に対しトルクコンバータ20のフロントカバー等を含む連結部材13を介して連結されたポンプ羽根車21(入力側部材)と、自動変速機30の入力軸31に固定されるとともにポンプ羽根車21からの油を受けて回転するタービン羽根車22(出力側部材)と、一方向クラッチ23を介してハウジング24に固定されるステータ羽根車25とから構成されている。トルクコンバータ20側からみると、連結部材13はエンジン10の出力軸(即ちエンジンのクランク軸12)と一体的に回転するように連結されたポンプ羽根車21を、自動変速機30の入力軸31は車両の駆動輪と一体的に回転するように連結されたタービン羽根車22をそれぞれ構成している。
【0019】
ロックアップクラッチ機構は、図2に概略側面図を示したように、軸方向に移動可能に保持され両面に摩擦材が設けられたリング状プレートより成るロックアップクラッチ26(ロックアップクラッチ)と、ロックアップクラッチ26の径方向内側に固定されたリング状のドライブプレート27と、ロックアップクラッチ26に対向するように連結部材13と一体的に構成されたクラッチ対向部13aと、自動変速機30の入力軸31と一体的に回転するように入力軸31に固定された第1ドリブンプレート28aと、リベットRにより第1ドリブンプレート28aに固定されたリング状の第2ドリブンプレート28bと、軸方向に移動可能であってロックアップクラッチ26をクラッチ対向部13aに押圧するためのロックアップピストン29と、複数のコイルスプリングSとから構成される。
【0020】
コイルスプリングSは、振動を吸収するダンパ機構を構成するものであって、第1、第2ドリブンプレート28a、28bの適宜箇所に円周方向に沿って形成された長孔内に保持され、ドライブプレート27と第1ドリブンプレート28a(ロックアップクラッチ26と第2ドリブンプレート28b)との間に捩じれ角が発生したとき、ドライブプレート27と第1ドリブンプレート28aの間に弾発力が付与される。
【0021】
ロックアップピストン29は、同ロックアップピストン29と連結部材13とにより画定される係合側油室R1内の油圧がロックアップクラッチ26とクラッチ対向部13aと第1ドリブンプレート28a等とにより画定される解放側油室R2内の油圧よりも高められたとき、ロックアップクラッチ26をクラッチ対向部13aに向けて押圧し、ロックアップクラッチ26をクラッチ対向部13aに係合させるようになっている。これに対し、ロックアップピストン29は、係合側油室R1よりも解放側油室R2内の油圧が高められたとき、ロックアップクラッチ26をクラッチ対向部13aから離間させ、ロックアップクラッチ26とクラッチ対向部13aとを非係合とするようになっている。
【0022】
自動変速機30は、入力軸31と、車両の駆動輪とディファレンシャル等を介して駆動輪に連結された出力軸32とを備え、複数の油圧式摩擦係合装置の係合・非係合の組合せに応じて複数の前進ギア段及び後進ギア段の1つを選択的に成立させ、選択されたギア段を介して入力軸31と出力軸32とを回転させる周知の有段式遊星歯車装置として構成されている。
【0023】
油圧制御回路40は、電気制御装置50からの信号によりON−OFF駆動される第1電磁弁41及び第2電磁弁42を備えており、これら電磁弁のON−OFF作動の組合せにより遊星歯車装置の油圧式摩擦係合装置を選択的に作動させるように構成されている
また、油圧制御回路40は、ロックアップクラッチ26の係合及び解放(非係合)を制御するために前述の係合側油室R1及び解放側油室R2に供給される油圧Pon、Poffを調整するための第3電磁弁43を備えている。第3電磁弁43は、電気制御回路50からの信号により作動するリニアソレノイド駆動型の電磁弁であり、切替弁(図示省略)に信号圧を与えることにより調圧弁(図示省略)によって調圧されたライン圧を制御し、この制御された油圧を係合側油室R1に供給するようになっている。更に、油圧制御回路40は、第3電磁弁43が電流制御されているとき解放側油室R2に一定油圧を供給し、第3電磁弁43が電流制御されていないときには解放側油室R2にドレン圧を供給するようになっている。なお、係合側油室R1内の油圧と解放側油室R2内の油圧との差圧がロックアップクラッチ26の係合圧となる。前述した様に、係合圧が高められると、ロックアップクラッチ26は、クラッチ対向部13aに押付けられ、完全係合して、ポンプ羽根車21の回転速度とタービン羽根車22の回転速度の差であるスリップ速度(スリップ量)が0となる状態(本発明では、この状態を直接連結状態と称する)が成立しうる。このときの係合圧を、本実施の形態では締結圧と称する。
【0024】
電子制御装置50は、CPU51(スリップ量検出手段、目標スリップ量設定手段)、ROM52、RAM53及びインターフェース54、55等から成るマイクロコンピュータであって、アクセルペダル11の開度を検出するアクセル開度センサ61、エンジン10の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ62、自動変速機30の入力軸31の回転速度を検出する入力軸回転速度センサ63、及び自動変速機30の出力軸32の回転速度を検出する出力軸回転速度センサ64と接続されていて、これらのセンサからアクセル開度Apを表す信号、エンジン回転速度Ne(ポンプ羽根車21の回転速度に相当)(入力側部材の回転量)を表す信号、入力軸回転速度Ni(タービン羽根車22の回転速度に相当)(出力側部材の回転量)を表す信号、及び出力軸回転速度Noを表す信号がそれぞれ供給されるようになっている。
【0025】
電子制御装置50のCPU51は、RAM53の記憶機能を利用しつつROM52に記憶されたプログラムに従って各種入力信号を処理し、自動変速機30の変速制御及びロックアップクラッチ26の係合制御を実行するものであり、インターフェース55を介して各電磁弁41〜43を駆動制御する。
【0026】
ここで、上記の様に構成された自動変速機の制御装置の作動について説明する。まず、自動変速機30の変速制御においては、CPU51は予めROM52に記憶された複数の変速線図から実際の変速ギヤ段に対応した変速線図を選択し、選択した変速線図からアクセル開度Apと出力軸回転速度Noから演算された車速SPDとに基づいて変速ギヤ段を決定し、この変速ギヤ段が得られるように第1及び第2電磁弁41、42を駆動する。これにより、自動変速機30のクラッチおよびブレーキの作動が制御されて変速制御が行なわれる。
【0027】
次に、自動変速機30の制御装置によるロックアップクラッチ26の制御装置としての作動を図3乃至図5を基にして説明する。
【0028】
CPU51は、図3に示すルーチンを所定時間毎に繰り返して実行する。まず、ステップ101では、その時点でのアクセル開度Apと車速SPDから車両の運転状態が図4に示すロックアップ領域Aにあるか否かを判断する。
【0029】
ここで、ロックアップ領域Aとは、流体式伝達機構による動力伝達の損失をなくすために、前述の直接連結状態を成立しうる領域である。また、図4に示すスリップ領域Bは、流体式伝達機構による動力伝達の損失をなくしながらエンジン10の低回転時における振動を吸収するために、完全係合より多少係合圧が小さい状態でロックアップクラッチ26をクラッチ対向部13aと係合して、スリップ速度が、例えば50rpmをもって回転する状態を成立しうる領域である。
【0030】
ステップ101にて、車両の運転状態がロックアップ領域Aにある場合には、ステップ102に進み、スリップ速度が0rpmとなる様に制御する。詳説すると、CPU51は、エンジン回転速度Neと入力軸回転速度Niの入力信号に基づいて現在のスリップ速度を検出しているが、車両の運転状態がロックアップ領域Aにある場合には、目標スリップ速度を0rpmと設定し、現在のスリップ速度が0rpmとなる様に、フィードバック制御にて、第3電磁弁43に信号を送る。そして、第3電磁弁43が制御されることにより、ロックアップクラッチの係合圧が制御される。ステップ102の次は、ステップ103に進む。
【0031】
尚、図3では説明を省略したが、車両の運転状態がスリップ領域Bにある場合には、CPU51は、目標スリップ領域を50rpmに設定して、フィードバック制御を行う。
【0032】
ステップ103では、スリップ速度が、例えば20rpm未満である状態がどれだけ継続したかの経過時間データがクリアされる。そのステップの意義は後述する。ステップ103の次はステップ104に進む。
【0033】
ステップ104では、スリップ速度が、例えば20rpm(所定値)より小さいか否かが判断される。スリップ速度が20rpmより小さい場合には、ステップ105に進み、スリップ速度が20rpm以上である場合には、ステップ102に進む。ここで、スリップ速度が20rpmより小さくなっている状態を本発明における直接連結可否確認状態という。即ち、直接連結可否確認状態とは、ロックアップクラッチ26がクラッチ対向部13aと非係合な状態から完全係合する状態へ移行しても(ポンプ羽根車21とタービン羽根車22とが直接連結していない状態から直接連結状態へ移行しても)、その移行時のショック(締結ショック)が起きない様に移行可能であるか否かを確認するための状態である。後述するが、本実施の形態では、この直接連結可否確認状態が所定時間継続することを条件として、CPU51は、油圧制御回路40が係合圧を締結圧に制御するように信号を送る構成となっている。ステップ104の次はステップ105に進む。
【0034】
ステップ105では、ロックアップクラッチ26の係合圧をその時点での油圧に保持する様に制御する。この保持制御とは、係合圧が完全に一定であっても良いし、緩やかに増減させても良い。この保持制御をすることにより、ロックアップクラッチ26が不必要に作動することが抑えられ、また、スリップ速度が不必要に変動することが抑えられる。ステップ105の次はステップ106に進む。
【0035】
ステップ106では、スリップ速度が20rpm未満である状態の経過時間が増加される(カウントアップされる)。ステップ106の次はステップ107に進む。
【0036】
ステップ107では、スリップ速度が20rpm未満である状態での経過時間が、例えば200ms(所定時間)以上となったか否かが判断される。即ち、スリップ速度が20rpm未満である状態が200ms間以上継続したか否かが判断される。経過時間が200ms以上である場合には、ステップ108に進み、200ms未満である場合には、ステップ104に進む。
【0037】
ステップ108では、CPU51は、油圧制御回路40が係合圧を締結圧に制御するように信号を送る。そして、図3に示す処理を終了する。
【0038】
以上説明した処理を、図5に示すタイムチャートを基にして更に説明を加える。図5では、横軸に時間を、縦軸にはポンプ羽根車21の回転速度に相当するエンジン回転速度Ne、タービン羽根車22の回転速度に相当する入力軸回転速度Ni、およびロックアップクラッチ26に負荷される係合圧を併記している。なお、図5では、t1までのフェーズは、スリップ速度が20rpm以上である状態、t1からt2までのフェーズは、スリップ速度が20rpm未満である状態を示している。また、t1からt2までが200msとなっている。
【0039】
t1までのフェーズでは、図3の処理はステップ101からステップ104まで進み、更にステップ102からステップ104の処理が繰り返される。この場合、ステップ102にて、スリップ速度が0rpmになる様に係合圧が制御されることにより、スリップ速度は徐々に小さくなる。
【0040】
t1からt2までのフェーズでは、スリップ速度が20rpm未満の状態であるため、ステップ104からステップ105に進む。そして、ステップ104からステップ107までの処理が繰り返される。この場合、ステップ105にて係合圧がその時点での油圧にて一定に保持される。
【0041】
t2の時点では、スリップ速度が20rpm未満の状態が200ms継続することとなるため、ステップ107からステップ108に進む。その結果、ロックアップクラッチ26に負荷される係合圧が締結圧となる様に制御される。以上の様に、t1のスリップ速度が20rpmより小さくなった時点で即座に係合圧を締結圧となる様に制御せず、200msの直接連結可否確認時間を設定することで、自動変速機30の出力軸32の出力トルク変化が少ない状況下にて、ロックアップクラッチ26とクラッチ対向部13aとを完全係合させることができる。従って、完全係合する際のショックを抑えることができる。また、この締結圧への移行は、図3に示す様に、デジタル的に急勾配で行われるため、ロックアップクラッチ26とクラッチ対向部13aとの完全係合は、非常に短い時間で達成することができる。従って、ロックアップクラッチ26の摩擦材の耐久性を向上させることができる。
【0042】
t1からt2のフェーズにおいて、アクセルペダル11が踏み込まれる等によってエンジン回転速度Neが変化しスリップ速度が20rpmを超えた場合には、ステップ104からステップ102に進む。この場合は、前述の様に、ステップ102にてスリップ速度をフィードバック制御すると共に、ステップ103にてそれまでの経過時間データをクリアする。従って、フィードバック制御によって、再度、速やかにスリップ速度が20rpm未満の値へ制御されることとなる。また、経過時間データをクリアし、再度スリップ速度が20rpm未満の状態での経過時間を0からカウントすることにより、より出力軸32の出力トルク変化が少ない状況下にて、ロックアップクラッチ26を完全係合させることができる。つまり、本装置の信頼性は高いものとなっている。
【0043】
尚、上記に示した実施の形態は、これに限られるものではない。例えば、本実施の形態では、ロックアップクラッチ26は、タービン羽根車22と一体回転する構成で、ポンプ羽根車21側の連結部材13と係合することによりクラッチ機構を成立させていたが、ロックアップクラッチ26がポンプ羽根車21と一体回転する構成とし、かつ、タービン羽根車22側に連結部材13を配した上で、ロックアップクラッチ26と連結部材13を係合させるようにしても良い。
【0044】
【発明の効果】
本発明では、スリップ量検出手段による検出量が所定量以内である直接連結可否確認状態が所定時間以上経過した場合に、油圧制御手段が、所定圧になる様に制御する。つまり、直接連結可否確認状態が所定時間経過すること条件とすることで、出力トルク変化が少ない蓋然性が高い状況下にて、油圧を所定圧に制御することができる。従って、入力側部材と出力側部材とが直接連結状態となる際のショックを抑えることができる。
【0045】
本発明では、油圧制御手段が急勾配で所定圧まで昇圧するため、昇圧を開始してから所定圧に到達するまで、即ち、ロックアップクラッチが、入力側部材又は出力側部材と係合し始めてから完全に係合するまで(入力側部材と出力側部材とが直接連結状態となるまで)の時間が短くてすむ。その結果、ロックアップクラッチに配される摩擦材の耐久性を向上させることができる。
【0046】
本発明では、直接連結可否確認状態となった場合に供給される圧が保持されるため、ロックアップクラッチの不必要な動きを省くことができると同時に、スリップ量の不必要な変化を抑えることができる。
【0047】
本発明では、この構成では、直接連結可否確認状態の経時をクリアし、再度、直接連結可否確認状態となった場合に、0から経時を行うことにより、出力トルク変化が少ない蓋然性がより高い状態にて、油圧を所定圧に制御することができる。
【0048】
本発明では、一旦、スリップ量検出手段による検出量が所定量以外の値となっても、油圧制御手段によって、再び所定量内になるように制御される(直接連結可否確認状態を形成するように制御される)こととなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるロックアップクラッチの制御装置を含む自動変速機の制御装置の概略を示す全体図である。
【図2】図1に示したロックアップクラッチの側面図である。
【図3】ロックアップクラッチの制御を示すフローチャートである。
【図4】車両の運転状態と、ロックアップクラッチの各領域を示す図である。
【図5】図3に示す制御のタイムチャートである。
【符号の説明】
10 エンジン
12 クランク軸(エンジンの出力軸)
20 トルクコンバータ(流体式伝達機構)
21 ポンプ羽根車(入力側部材)
22 タービン羽根車(出力側部材)
26 ロックアップクラッチ
40 油圧制御回路(油圧制御手段)
51 CPU(スリップ量検出手段、目標スリップ量設定手段)
Ne エンジン回転速度(入力側部材の回転量)
Ni 入力軸回転速度(出力側部材の回転量)

Claims (5)

  1. 車両のエンジンの出力軸と一体的に回転するように連結された入力側部材と前記車両の車輪側部材と一体的に回転するように連結された出力側部材の間の動力伝達を行う流体式伝達機構と並列に設けられ、供給される油圧により前記入力側部材又は前記出力側部材に向けて押圧されて該入力側部材又は該出力側部材に係合したときに該入力側部材と該出力側部材とを直接連結状態とするロックアップクラッチと、
    前記入力側部材の回転量と前記出力側部材の回転量との差からスリップ量を検出するスリップ量検出手段と、
    該スリップ量検出手段による検出量が所定量内である直接連結可否確認状態が所定時間以上経過した場合に、前記供給される油圧を、前記入力側部材と前記出力側部材とが直接連結状態とする所定圧に制御する油圧制御手段と
    を備えることを特徴とするロックアップクラッチの制御装置。
  2. 前記直接連結可否確認状態が所定時間以上経過した場合に、前記油圧制御手段が、前記供給される油圧を前記所定圧まで急勾配で昇圧することを特徴とする請求項1に記載のロックアップクラッチの制御装置。
  3. 前記直接連結可否確認状態になった場合に、前記油圧制御手段が、前記供給される圧を保持することを特徴とする請求項1若しくは2何れかに記載のロックアップクラッチの制御装置。
  4. 前記直接連結可否確認状態の継続が前記所定時間未満の時間にて途切れた場合に、前記直接連結可否確認状態の経時をクリアすることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載のロックアップクラッチの制御装置。
  5. 前記車両の運転状態から目標スリップ量を設定する目標スリップ量設定手段を備え、
    前記直接連結可否確認状態が前記所定時間未満の時間にて途切れた場合に、前記油圧制御手段が、前記スリップ量検出手段による検出量が前記目標スリップ量に近づく様に制御することを特徴とする請求項4に記載のロックアップクラッチの制御装置。
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JP2017172627A (ja) * 2016-03-22 2017-09-28 トヨタ自動車株式会社 ロックアップクラッチの制御装置

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