JP2004108420A - 高負荷伝動ベルトおよび高負荷伝動ベルト用センターベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】水素化ニトリルゴムを用い、更にアラミド短繊維およびカーボンブラックを所定量配合することによって、十分な硬度を有しかつ繰り返し屈曲により亀裂が発生しにくいものとし、センターベルトとブロックとの間のがたつきがなく耐屈曲性、耐熱性に優れた高負荷伝動ベルトを提供する。
【解決手段】センターベルト3a、3bの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロック2を嵌合固定した高負荷伝動ベルト1において、センターベルト3a、3bを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したものとする。
【選択図】 図1
【解決手段】センターベルト3a、3bの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロック2を嵌合固定した高負荷伝動ベルト1において、センターベルト3a、3bを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したものとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチでブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトに関し、詳しくは硬度、耐屈曲性、耐熱性に優れたセンターベルト、またそれを用いた高負荷伝動ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動の用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
【0003】
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた引張伝動式の高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心線をゴムなどのエラストマー中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着固定したものがある。
【0004】
このような高負荷伝動ベルトのセンターベルトはゴムなどのエラストマーからなっておりブロックを嵌合固定している。ベルトを走行させることによってセンターベルトはブロックから繰り返し圧縮力や剪断力を受けて、センターベルトを形成するエラストマーに永久歪を発生してブロックとセンターベルトとの嵌合固定力が弱まり、ブロックのぐらつきやがたつきにつながり、ベルト走行時の騒音が大きくなったり、センターベルトに亀裂が生じて切断したりといったことにもなる。
【0005】
今までに、センターベルトの強度を上げてゴムのへたりや摩耗、クラックといった問題を防止するために、例えば特許文献1には不飽和カルボン酸金属塩と有機化酸化物を添加した水素化ニトリルゴムに短繊維を配合したゴム組成物をセンターベルトとして用いることが開示されている。
【0006】
更に、特許文献2にはセンターベルトの保形ゴムにナイロン短繊維とアラミド短繊維を混入することによって、センターベルトに高弾性を持たせて耐久性を確保すると共に摩擦係数を低減して異音の発生を防止するといったことが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−272595号公報
【特許文献2】
特開平6−2742号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが特許文献1に開示されるようなセンターベルトでは硬度が高くてブロックとセンターベルトとの間の不具合の発生を防止することができるものの、繰り返し屈曲に対しては弱いものとなり、センターベルトを構成するゴム材料の屈曲による亀裂の発生といった問題につながることがある。
【0009】
また、特許文献2に開示されるようなセンターベルトでは異音の発生を低減することはできるものの、配合する短繊維量のうちナイロン短繊維を配合した分だけセンターベルトの補強効果は薄れることになり、十分な補強効果を得るために短繊維の配合量を増やしすぎると短繊維が異物となって働き、亀裂発生の原因となるので耐屈曲性を損なってしまうことになる。
【0010】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、ブロックベルトを構成するセンターベルトに用いるゴム組成物として所定のゴムに短繊維とカーボンブラックを所定量配合することによって、適度な硬度を有しておりブロックとセンターベルト間のぐらつきなどの不具合を防止すると共に、耐屈曲性も十分なものとしてセンターベルトに亀裂などが発生し切断に至るといった問題を解消した高負荷伝動ベルト及び高負荷伝動ベルト用センターベルトの提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の高負荷伝動ベルトは、センターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする。
【0012】
このように水素化ニトリルゴムを用いることによって、強度を有すると共に亀裂などの問題が起こりにくいベルトとすることができ、アラミド短繊維およびカーボンブラックを所定量配合することによって、ゴムの硬度を所要のものに強化することができるので、十分な硬度を有しているとともに繰り返し屈曲に対しても十分な耐屈曲性を有しているので耐久性に優れたベルトとすることができる。
【0013】
また、請求項2ではセンターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトに用いるセンターベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする。
【0014】
請求項1と同様に水素化ニトリルゴムを用いることによって、強度を有すると共に亀裂などの問題が起こりにくいベルトとすることができ、アラミド短繊維およびカーボンブラックを所定量配合することによって、ゴムの硬度を所要のものに強化することができるので、十分な硬度を有しているとともに繰り返し屈曲に対しても十分な耐屈曲性を有しているので耐久性に優れたベルトとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図である。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4内に心線5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3a、3bと、このセンターベルト3a、3bに係止固定されている複数のブロック2とから構成されている。このブロック2の両側面2a、2bは、プーリのV溝と係合する傾斜のついた面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンター3a、3bを引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝動している。
【0017】
ブロック2は、図1に示すように、上ビーム部11および下ビーム部12と、上下ビーム部11、12の中央部同士を連結したセンターピラー13からなっており、ブロック2の両側面2a、2bには張力帯3a、3bを嵌めこむ溝14、15が形成されている。また、溝15内の溝上面16および溝下面17には張力帯3の上面に設けた凹条部18と下面に設けた凹条部19に係合する凸条部20、21に係合するようになっている。
【0018】
図2は、別のベルトの例であり、ビーム部31の両端から上方に向かって一対のサイドピラー32、33が延びており、このサイドピラー32、33の上端からそれぞれブロック2の中心に向かって延びるロック部34、35が対向するように設けられている。そして、これらビーム部31、サイドピラー32、33及びロック部34、35によってセンターベルト3a、3bが嵌合する嵌合溝30が形成されている。この嵌合溝30に、センターベルト3a、3bが、ロック部34、35間の開口部より挿入され装着される。また、ロック部34、35の嵌合溝30側には、凸部37がそれぞれ設けられており、この凸部37が、センターベルト3a、3bに所定ピッチで設けられている凹部36に嵌合する。これによって、センターベルト3a、3bは、装着後はブロック2から抜けにくい状態となる。
【0019】
本発明においてセンターベルト3a、3bのエラストマー4として使用されるものは水素化ニトリルゴムであり、その水素化ニトリルゴム100質量部に対してカーボンブラックが60〜80質量部、そしてアラミド短繊維を10〜25質量部の範囲で配合したゴム組成物を用いている。
【0020】
このようなセンターベルトにおいてはブロックとの嵌合固定力が長期に渡って維持できるような素材が求められるが、水素化ニトリルゴムにカーボンブラックとアラミド短繊維を上記のような範囲で配合することによって必要な硬度を得ることができるのでセンターベルトとブロックとの嵌合による固定力を維持することができ、かつ水素化ニトリルゴムを用いることによって硬度を上げすぎることがなくベルト走行時における繰り返し屈曲を受けても亀裂を発生しにくくベルトの寿命を延ばすことができるものである。
【0021】
水素化ニトリルゴム100質量部に対するカーボンブラックの配合量が60質量部未満であると十分な硬度を得ることができずセンターベルトとブロックとのがたつきの発生を早めることになり、カーボンブラックの配合量が80質量部を超えると耐屈曲性が急激に失われベルトの早期切断につながるので好ましくない。
【0022】
また、水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維の配合量が10質量部未満であると、やはり硬度が低くなってセンターベルトとブロックとの間のがたつきの発生につながり、配合量が25質量部を越えると耐屈曲性が急激に低下し亀裂の発生が早まるのでベルトの早期切断につながるので好ましくない。
【0023】
そして、心線5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。また、心線5はロープをスパイラル状に埋設したもの以外にも、上記の繊維の織布、編み布や金属薄板等を使用することもできる。
【0024】
このブロック2は合成樹脂素材からなっているものであるが、例えばアルミニウム合金などの金属などからなる略ブロックの形状を呈したインサート材を内部に埋設したものでもよいし、インサート材を埋設していないものでも構わない。インサート材以外に例えば合成樹脂素材中に配合する形で加える短繊維やウィスカなどの補強材を添加したものであってもよい。
【0025】
ブロックの樹脂として用いることができるのは、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹脂が用いられる。
【0026】
本発明では前述のようにブロックを形成する合成樹脂中に長繊維を配合しているが、その他にもウィスカ状の補強材を配合することは可能であり、具体的には酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。これらの中では、酸化亜鉛ウィスカを用いることが好ましい。酸化亜鉛ウィスカは、テトラポット状に四方に手が延びた立体的形状をしている。この酸化亜鉛ウィスカは、これ単独でも耐熱性、耐摩耗性に優れたものであるが、前述のようにテトラポット状の立体的形状をしているため、炭素繊維とともに配合すると、炭素繊維の配向が抑制され、成形時のそりや成形収縮の異方性が改良される。さらに、このように炭素繊維の配向を低減できるため、ブロック2の靭性、曲げ剛性等の強度についての異方性も低減することができ、かつ、摩擦係数が安定するため、耐摩耗性が向上する。
【0027】
また、酸化亜鉛ウィスカは、高比重、高剛性であるため、プーリとの接触時の振動を低減でき、ノイズの発生を小さくすることができる。なお、この酸化亜鉛ウィスカの配合量が少ない場合は、添加した効果が発現せず、多すぎると、混練できず、成形することが困難となる。
【0028】
このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性等の強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ、更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よく張力帯3a、3bに引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
【0029】
なお、これらの他に、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂から選ばれてなる少なくとも一つを混入することによってもブロック2の潤滑性を向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アルコキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
次に本発明の高負荷伝動ベルトおよび高負荷伝動ベルト用センターベルトに用いられるゴム組成物とゴムの種類、カーボンブラックの配合量、短繊維の配合量が本発明の範囲から外れるゴム組成物で作製した試験片を用いて比較試験を行った。
【0031】
(実施例1)
実施例1はH−NBR100質量部に対してアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)を10質量部とカーボンブラック(N220 東海カーボン社製)を60質量部、その他老化防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、硫黄、加硫促進剤を表1に示す配合量で配合し、混練した後に1mm厚のサイズに成形して熱プレスにて153℃の温度で30分加硫し、試験サンプルとした。
【0032】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0033】
(実施例2)
実施例2はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0034】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0035】
(実施例3)
実施例3はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を70質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0036】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0037】
(実施例4)
実施例4はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を80質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0038】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0039】
(比較例1)
比較例1はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を本発明の範囲から外れる50質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0040】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0041】
(比較例2)
比較例2はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を本発明の範囲から外れる30質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を80質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0042】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0043】
(比較例3)
比較例3はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を本発明の範囲から外れる90質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0044】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0045】
(比較例4)
比較例4はゴムの種類をH−NBRからクロロプレンゴム(CR)に変えてアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を30質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0046】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2において、実施例1〜4と比べて比較例1はアラミド短繊維を配合していない例であるが硬度が低いという結果となっており、これではセンターベルトとブロックとの間のがたつきが発生してしまう。また、比較例2はアラミド短繊維が所定量配合されていてカーボンブラックの配合量が本発明の範囲から外れる例であるが、やはり硬度が十分ではない。
【0050】
比較例3は、実施例4と比べてアラミド短繊維の配合量が多く本発明の範囲を外れている例であるが、硬度は十分に得られているものの屈曲試験において低い結果となっており、短繊維を配合しすぎることによって耐屈曲性が低下することがわかる。
【0051】
比較例4は、実施例2〜4と比べてカーボンブラックの配合量が多く本発明の範囲を外れている例であるが、これも高い硬度が得られてはいるものの屈曲試験において極めて低い結果となっており、カーボンブラックは所定量を超えて配合すると急激に耐屈曲性が低下することがわかる。
【0052】
比較例5はゴムの種類はクロロプレンゴムに変えたものであるが、硬度が低く耐熱試験においても低いという結果になっており、十分な硬度と耐熱性を確保する面で水素化ニトリルゴムが必要であるということがわかる。
【0053】
比較例6は使用したゴムの中で半分を日本ゼオン社製のZSC2295N(メタクリル酸亜鉛を配合した水素化ニトリルゴム)としているが、これでは非常に高い硬度が得られているものの屈曲試験の結果はふるわないものとなっている。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1の高負荷伝動ベルトは、センターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする。
【0055】
このように水素化ニトリルゴムを用いることによって、強度を有すると共に亀裂などの問題が起こりにくいベルトとすることができ、アラミド短繊維およびカーボンブラックを所定量配合することによって、ゴムの硬度を所要のものに強化することができるので、十分な硬度を有しているとともに繰り返し屈曲に対しても十分な耐屈曲性を有しているので耐久性に優れたベルトとすることができる。
【0056】
また、請求項2ではセンターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトに用いるセンターベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする。
【0057】
請求項1と同様に水素化ニトリルゴムを用いることによって、強度を有すると共に亀裂などの問題が起こりにくいベルトとすることができ、アラミド短繊維およびカーボンブラックを所定量配合することによって、ゴムの硬度を所要のものに強化することができるので、十分な硬度を有しているとともに繰り返し屈曲に対しても十分な耐屈曲性を有しているので耐久性に優れたベルトとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高負荷伝動ベルトの一例を示す斜視概略図である。
【図2】本発明に係る高負荷伝動ベルトの他の例を示す斜視概略図である。
【符号の説明】
1 高負荷伝動ベルト
2 ブロック
3a 張力帯
3b 張力帯
4 エラストマー
5 心線
11 上ビーム部
12 下ビーム部ー
13 センターピラー
14 嵌合溝
15 嵌合溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチでブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトに関し、詳しくは硬度、耐屈曲性、耐熱性に優れたセンターベルト、またそれを用いた高負荷伝動ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動の用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
【0003】
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた引張伝動式の高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心線をゴムなどのエラストマー中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着固定したものがある。
【0004】
このような高負荷伝動ベルトのセンターベルトはゴムなどのエラストマーからなっておりブロックを嵌合固定している。ベルトを走行させることによってセンターベルトはブロックから繰り返し圧縮力や剪断力を受けて、センターベルトを形成するエラストマーに永久歪を発生してブロックとセンターベルトとの嵌合固定力が弱まり、ブロックのぐらつきやがたつきにつながり、ベルト走行時の騒音が大きくなったり、センターベルトに亀裂が生じて切断したりといったことにもなる。
【0005】
今までに、センターベルトの強度を上げてゴムのへたりや摩耗、クラックといった問題を防止するために、例えば特許文献1には不飽和カルボン酸金属塩と有機化酸化物を添加した水素化ニトリルゴムに短繊維を配合したゴム組成物をセンターベルトとして用いることが開示されている。
【0006】
更に、特許文献2にはセンターベルトの保形ゴムにナイロン短繊維とアラミド短繊維を混入することによって、センターベルトに高弾性を持たせて耐久性を確保すると共に摩擦係数を低減して異音の発生を防止するといったことが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−272595号公報
【特許文献2】
特開平6−2742号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが特許文献1に開示されるようなセンターベルトでは硬度が高くてブロックとセンターベルトとの間の不具合の発生を防止することができるものの、繰り返し屈曲に対しては弱いものとなり、センターベルトを構成するゴム材料の屈曲による亀裂の発生といった問題につながることがある。
【0009】
また、特許文献2に開示されるようなセンターベルトでは異音の発生を低減することはできるものの、配合する短繊維量のうちナイロン短繊維を配合した分だけセンターベルトの補強効果は薄れることになり、十分な補強効果を得るために短繊維の配合量を増やしすぎると短繊維が異物となって働き、亀裂発生の原因となるので耐屈曲性を損なってしまうことになる。
【0010】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、ブロックベルトを構成するセンターベルトに用いるゴム組成物として所定のゴムに短繊維とカーボンブラックを所定量配合することによって、適度な硬度を有しておりブロックとセンターベルト間のぐらつきなどの不具合を防止すると共に、耐屈曲性も十分なものとしてセンターベルトに亀裂などが発生し切断に至るといった問題を解消した高負荷伝動ベルト及び高負荷伝動ベルト用センターベルトの提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の高負荷伝動ベルトは、センターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする。
【0012】
このように水素化ニトリルゴムを用いることによって、強度を有すると共に亀裂などの問題が起こりにくいベルトとすることができ、アラミド短繊維およびカーボンブラックを所定量配合することによって、ゴムの硬度を所要のものに強化することができるので、十分な硬度を有しているとともに繰り返し屈曲に対しても十分な耐屈曲性を有しているので耐久性に優れたベルトとすることができる。
【0013】
また、請求項2ではセンターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトに用いるセンターベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする。
【0014】
請求項1と同様に水素化ニトリルゴムを用いることによって、強度を有すると共に亀裂などの問題が起こりにくいベルトとすることができ、アラミド短繊維およびカーボンブラックを所定量配合することによって、ゴムの硬度を所要のものに強化することができるので、十分な硬度を有しているとともに繰り返し屈曲に対しても十分な耐屈曲性を有しているので耐久性に優れたベルトとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図である。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4内に心線5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3a、3bと、このセンターベルト3a、3bに係止固定されている複数のブロック2とから構成されている。このブロック2の両側面2a、2bは、プーリのV溝と係合する傾斜のついた面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンター3a、3bを引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝動している。
【0017】
ブロック2は、図1に示すように、上ビーム部11および下ビーム部12と、上下ビーム部11、12の中央部同士を連結したセンターピラー13からなっており、ブロック2の両側面2a、2bには張力帯3a、3bを嵌めこむ溝14、15が形成されている。また、溝15内の溝上面16および溝下面17には張力帯3の上面に設けた凹条部18と下面に設けた凹条部19に係合する凸条部20、21に係合するようになっている。
【0018】
図2は、別のベルトの例であり、ビーム部31の両端から上方に向かって一対のサイドピラー32、33が延びており、このサイドピラー32、33の上端からそれぞれブロック2の中心に向かって延びるロック部34、35が対向するように設けられている。そして、これらビーム部31、サイドピラー32、33及びロック部34、35によってセンターベルト3a、3bが嵌合する嵌合溝30が形成されている。この嵌合溝30に、センターベルト3a、3bが、ロック部34、35間の開口部より挿入され装着される。また、ロック部34、35の嵌合溝30側には、凸部37がそれぞれ設けられており、この凸部37が、センターベルト3a、3bに所定ピッチで設けられている凹部36に嵌合する。これによって、センターベルト3a、3bは、装着後はブロック2から抜けにくい状態となる。
【0019】
本発明においてセンターベルト3a、3bのエラストマー4として使用されるものは水素化ニトリルゴムであり、その水素化ニトリルゴム100質量部に対してカーボンブラックが60〜80質量部、そしてアラミド短繊維を10〜25質量部の範囲で配合したゴム組成物を用いている。
【0020】
このようなセンターベルトにおいてはブロックとの嵌合固定力が長期に渡って維持できるような素材が求められるが、水素化ニトリルゴムにカーボンブラックとアラミド短繊維を上記のような範囲で配合することによって必要な硬度を得ることができるのでセンターベルトとブロックとの嵌合による固定力を維持することができ、かつ水素化ニトリルゴムを用いることによって硬度を上げすぎることがなくベルト走行時における繰り返し屈曲を受けても亀裂を発生しにくくベルトの寿命を延ばすことができるものである。
【0021】
水素化ニトリルゴム100質量部に対するカーボンブラックの配合量が60質量部未満であると十分な硬度を得ることができずセンターベルトとブロックとのがたつきの発生を早めることになり、カーボンブラックの配合量が80質量部を超えると耐屈曲性が急激に失われベルトの早期切断につながるので好ましくない。
【0022】
また、水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維の配合量が10質量部未満であると、やはり硬度が低くなってセンターベルトとブロックとの間のがたつきの発生につながり、配合量が25質量部を越えると耐屈曲性が急激に低下し亀裂の発生が早まるのでベルトの早期切断につながるので好ましくない。
【0023】
そして、心線5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。また、心線5はロープをスパイラル状に埋設したもの以外にも、上記の繊維の織布、編み布や金属薄板等を使用することもできる。
【0024】
このブロック2は合成樹脂素材からなっているものであるが、例えばアルミニウム合金などの金属などからなる略ブロックの形状を呈したインサート材を内部に埋設したものでもよいし、インサート材を埋設していないものでも構わない。インサート材以外に例えば合成樹脂素材中に配合する形で加える短繊維やウィスカなどの補強材を添加したものであってもよい。
【0025】
ブロックの樹脂として用いることができるのは、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹脂が用いられる。
【0026】
本発明では前述のようにブロックを形成する合成樹脂中に長繊維を配合しているが、その他にもウィスカ状の補強材を配合することは可能であり、具体的には酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。これらの中では、酸化亜鉛ウィスカを用いることが好ましい。酸化亜鉛ウィスカは、テトラポット状に四方に手が延びた立体的形状をしている。この酸化亜鉛ウィスカは、これ単独でも耐熱性、耐摩耗性に優れたものであるが、前述のようにテトラポット状の立体的形状をしているため、炭素繊維とともに配合すると、炭素繊維の配向が抑制され、成形時のそりや成形収縮の異方性が改良される。さらに、このように炭素繊維の配向を低減できるため、ブロック2の靭性、曲げ剛性等の強度についての異方性も低減することができ、かつ、摩擦係数が安定するため、耐摩耗性が向上する。
【0027】
また、酸化亜鉛ウィスカは、高比重、高剛性であるため、プーリとの接触時の振動を低減でき、ノイズの発生を小さくすることができる。なお、この酸化亜鉛ウィスカの配合量が少ない場合は、添加した効果が発現せず、多すぎると、混練できず、成形することが困難となる。
【0028】
このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性等の強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ、更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よく張力帯3a、3bに引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
【0029】
なお、これらの他に、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂から選ばれてなる少なくとも一つを混入することによってもブロック2の潤滑性を向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アルコキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
次に本発明の高負荷伝動ベルトおよび高負荷伝動ベルト用センターベルトに用いられるゴム組成物とゴムの種類、カーボンブラックの配合量、短繊維の配合量が本発明の範囲から外れるゴム組成物で作製した試験片を用いて比較試験を行った。
【0031】
(実施例1)
実施例1はH−NBR100質量部に対してアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)を10質量部とカーボンブラック(N220 東海カーボン社製)を60質量部、その他老化防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、硫黄、加硫促進剤を表1に示す配合量で配合し、混練した後に1mm厚のサイズに成形して熱プレスにて153℃の温度で30分加硫し、試験サンプルとした。
【0032】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0033】
(実施例2)
実施例2はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0034】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0035】
(実施例3)
実施例3はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を70質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0036】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0037】
(実施例4)
実施例4はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を80質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0038】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0039】
(比較例1)
比較例1はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を本発明の範囲から外れる50質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0040】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0041】
(比較例2)
比較例2はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を本発明の範囲から外れる30質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を80質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0042】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0043】
(比較例3)
比較例3はアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を本発明の範囲から外れる90質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0044】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0045】
(比較例4)
比較例4はゴムの種類をH−NBRからクロロプレンゴム(CR)に変えてアラミド短繊維(コーネックス 帝人社製)の配合量を20質量部にすると共にカーボンブラックの配合量を30質量部とした以外は実施例1と同様に配合し、混練、加硫して試験サンプルを作製した。
【0046】
試験サンプルを用いて硬度の測定と、デマッチャ屈曲試験にて亀裂が10mmになるまでの屈曲回数を測定し、更に120℃熱老化10日後切断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2において、実施例1〜4と比べて比較例1はアラミド短繊維を配合していない例であるが硬度が低いという結果となっており、これではセンターベルトとブロックとの間のがたつきが発生してしまう。また、比較例2はアラミド短繊維が所定量配合されていてカーボンブラックの配合量が本発明の範囲から外れる例であるが、やはり硬度が十分ではない。
【0050】
比較例3は、実施例4と比べてアラミド短繊維の配合量が多く本発明の範囲を外れている例であるが、硬度は十分に得られているものの屈曲試験において低い結果となっており、短繊維を配合しすぎることによって耐屈曲性が低下することがわかる。
【0051】
比較例4は、実施例2〜4と比べてカーボンブラックの配合量が多く本発明の範囲を外れている例であるが、これも高い硬度が得られてはいるものの屈曲試験において極めて低い結果となっており、カーボンブラックは所定量を超えて配合すると急激に耐屈曲性が低下することがわかる。
【0052】
比較例5はゴムの種類はクロロプレンゴムに変えたものであるが、硬度が低く耐熱試験においても低いという結果になっており、十分な硬度と耐熱性を確保する面で水素化ニトリルゴムが必要であるということがわかる。
【0053】
比較例6は使用したゴムの中で半分を日本ゼオン社製のZSC2295N(メタクリル酸亜鉛を配合した水素化ニトリルゴム)としているが、これでは非常に高い硬度が得られているものの屈曲試験の結果はふるわないものとなっている。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1の高負荷伝動ベルトは、センターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする。
【0055】
このように水素化ニトリルゴムを用いることによって、強度を有すると共に亀裂などの問題が起こりにくいベルトとすることができ、アラミド短繊維およびカーボンブラックを所定量配合することによって、ゴムの硬度を所要のものに強化することができるので、十分な硬度を有しているとともに繰り返し屈曲に対しても十分な耐屈曲性を有しているので耐久性に優れたベルトとすることができる。
【0056】
また、請求項2ではセンターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトに用いるセンターベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする。
【0057】
請求項1と同様に水素化ニトリルゴムを用いることによって、強度を有すると共に亀裂などの問題が起こりにくいベルトとすることができ、アラミド短繊維およびカーボンブラックを所定量配合することによって、ゴムの硬度を所要のものに強化することができるので、十分な硬度を有しているとともに繰り返し屈曲に対しても十分な耐屈曲性を有しているので耐久性に優れたベルトとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高負荷伝動ベルトの一例を示す斜視概略図である。
【図2】本発明に係る高負荷伝動ベルトの他の例を示す斜視概略図である。
【符号の説明】
1 高負荷伝動ベルト
2 ブロック
3a 張力帯
3b 張力帯
4 エラストマー
5 心線
11 上ビーム部
12 下ビーム部ー
13 センターピラー
14 嵌合溝
15 嵌合溝
Claims (2)
- センターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする高負荷伝動ベルト。
- センターベルトと、該センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで複数のブロックを嵌合固定した高負荷伝動ベルトに用いるセンターベルトにおいて、センターベルトを構成するゴム組成物は水素化ニトリルゴム100質量部に対してアラミド短繊維を10〜25質量部、カーボンブラックを60〜80質量部配合したことを特徴とする高負荷伝動ベルト用センターベルト。
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