JP2004105543A - リクライニング装置 - Google Patents

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【課題】スパイラルスプリング外端部のフックの形状を、シンプルかつコンパクトにする。
【解決手段】シートバックを、常時は前方へ回動させるように付勢するスパイラルスプリングを備えているリクライニング装置において、例えばシートクッション側に係止部材(係止ブラケット14の係止縁14b)が、かつシートバック側に解除部材(解除ブラケット20の突出片20a)が設けられている。前記スパイラルスプリング22は、前記シートバックに対する付勢力の有効領域では、その外端部に形成されたフック22bが前記係止部材によって受け止められ、前記シートバックに対する付勢力の解除領域では、前記スプリング22の外端アーム部分22cが前記解除部材によって受け止められ、かつ前記フック22bが前記係止部材から離脱するように構成されている。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として車両用シートのリクライニング装置に関し、特に前方へ回動させるようにスプリングの付勢力を受けているシートバックが所定の回動領域にあるときは、スプリングの付勢力を解除する構成のリクライニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のリクライニング装置としては、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。この技術では、シートバックが所定の起立位置よりも前方の回動領域にあるときには、このシートバックを前方へ回動させるように付勢しているスプリングの力が働かない構成になっている。具体的には、シートバックを付勢するためにスパイラルスプリングが使用されている。そして、シートバックが後方から所定の起立位置まで回動したときに、スパイラルスプリングの外端に形成されたフックが移行する。つまり、フックは、シートバック側に固定されたサポートの爪で受け止められる状態から、シートクッション側に固定されたストッパの爪で受け止められる状態まで移行する。この結果、それ以上はスプリングの力がサポートに作用せず、シートバックに対する付勢が解除される。
【0003】
【特許文献1】
実開平3−60545号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示された技術では、シートバックが所定の起立位置に回動したとき、つまりスプリングのフックが上記のように移行したときは、このフックに対してサポートとストッパとの個々の爪が同時に入り込み、スプリング力を受け止める爪を切り換えなければならない。このため、フックの形状が複雑で、かつ大きくなる。
本発明は従来の課題を解決しようとするもので、その目的は、スパイラルスプリング外端部のフックの形状を、シンプルかつコンパクトにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するためのもので、請求項1に記載の発明は、シートクッションに対して前後方向へ回動できるシートバックを、常時は前方へ回動させるように付勢するスパイラルスプリングを備えている。そして前記シートバックが、その起立位置よりも前方の回動領域にあるときには、前記スプリングの付勢力を解除するように構成されている。
このような構成のリクライニング装置において、前記シートクッション側あるいは前記シートバック側の一方に係止部材が、かつ他方に解除部材が設けられている。前記スパイラルスプリングは、前記シートバックに対する付勢力の有効領域では、その外端部に形成されたフックが前記係止部材によって受け止められ、前記シートバックに対する付勢力の解除領域では、前記スプリングの外端アーム部分が前記解除部材によって受け止められ、かつ前記フックが前記係止部材から離脱するように構成されている。
【0006】
これにより、スパイラルスプリングによるシートバックへの付勢力が、有効領域と解除領域との間で切り替わるときでも、このスプリングのフックに係止部材と解除部材とが同時に入り込むことを回避できる。したがってフックの形状は、係止部材のみで受け止めることができればよく、このフックをシンプルかつコンパクトにすることが可能である。
なおシートバックの「起立位置」とは、厳密に規定されたシートバックの位置があるわけではなく、例えばシートバックを前に倒した状態から引き起こしたときのリクライニング装置による初段ロック位置付近である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載されたリクライニング装置であって、解除部材は、スパイラルスプリングの外端アーム部分を面接触で受け止める受承面を備えている。
このようにスパイラルスプリングの外端アーム部分を解除部材の受承面で受け止めることにより、シートバックに対する付勢力の解除領域では、スパイラルスプリングのフックを利用しなくても、このスプリング端部を確実に保持することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載されたリクライニング装置であって、係止部材はシートクッション側に固定され、解除部材はシートバック側に固定されているとともに、スパイラルスプリングは、その内端部が前記シートバック側に結合され、外端部に形成されたフックが前記係止部材によって受け止め可能で、また外端アーム部分が前記解除部材によって受け止め可能になっている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は車両用シートのリクライニング装置を表した断面図、図2は図1の右側面図である。これらの図面で示すようにリクライニング装置10は、ロアアーム12とアッパアーム16とが、ロックユニット11(図1)を介在して回動可能に支持された構造になっている。なお、リクライニング装置10は、シールド24で被われている。
【0010】
ロアアーム12はシートのシートクッション側に固定される部材であり、アッパアーム16はシートバック側に固定される部材である。ロックユニット11はラウンドタイプであって、その操作軸11aの軸線回りに両アーム12,16を相対的に回動させることができる。また、ロックユニット11は、所定の回動位置において両アーム12,16の回動をロックすることができ、このロックを操作軸11aの回転操作によって解除することができる。
【0011】
図6は車両用シートの概要を表した模式図である。シートはシートクッションS1とシートバックS2とによって構成され、リクライニング装置10によってシートバックS2がシートクッションS1に対して前後方向へ回動できる。そして、リクライニング装置10のロックユニット11により、シートバックS2が所定の回動位置でロックされる。例えば、シートバックS2が図6の仮想線で示すようにシートクッションS1に重なった前倒し位置(A位置)にあるとき、あるいは図6の実線で示すように通常の起立位置(E位置)にあるときは、操作軸11aを操作しない限り、シートバックS2の回動はロック状態に保持される。
【0012】
ロアアーム12に対するアッパアーム16の回転軸線(操作軸11aの軸線)上には、スパイラルスプリング22が設けられている。このスプリング22は、シートバックS2を前方へ回動させるように付勢するためのもので、アッパアーム16の外面に装着されている。スパイラルスプリング22の中心部位には、アッパアーム16に固定されたスプリングリテーナ18の凸部18aが位置している。そして、スパイラルスプリング22は、その内端部22aが凸部18aに結合され、外端側がフック22bになっている(図2)。なお、スプリングリテーナ18の凸部18aには孔18bがあり、この孔18bに操作軸11aの端部が回転できるように挿入されている。
【0013】
ロアアーム12には、スパイラルスプリング22のフック22bを受け止め可能な位置において係止ブラケット14が固定されている。この係止ブラケット14は、ロアアーム12の外面から立ち上がった突出片14aを有し、この突出片14aの係止縁14bによってフック22bを受け止めることができる。アッパアーム16が図2で示す回動位置にあるときは、フック22bが係止縁14bで受け止められている。この状態においては、スパイラルスプリング22の弾性力が、ロアアーム12とアッパアーム16との間に働いている。したがって、スパイラルスプリング22によってアッパアーム16が図2の反時計回り方向に付勢され、図6に示すシートバックS2が前方へ付勢される。
このように係止ブラケット14における突出片14aの係止縁14bは、本発明の「係止部材」に相当する。
【0014】
アッパアーム16の下端部には、スパイラルスプリング22のフック22bに近い外端アーム部分22cを受け止め可能な位置において解除ブラケット20が固定されている。この解除ブラケット20は、アッパアーム16から立ち上がった突出片20aを有し、この突出片20a内側の受承面20bによって外端アーム部分22cの外側面を受け止めることが可能である。この受承面20bは、外端アーム部分22cの外側面を受け止めたときに、外端アーム部分22cの幅方向、および一定の長さ方向に関して互いに面接触となるように設定されている。
また突出片20aは、受承面20bで受け止めた外端アーム部分22cを外れないように規制する保持爪20cを備えている。
【0015】
アッパアーム16が図3で示す回動位置にあるときは、外端アーム部分22cの外側面が受承面20bで受け止められ、かつフック22bが突出片14aの係止縁14bから離脱している。この状態においては、スパイラルスプリング22の弾性力は両アーム12,16の間で働かず、シートバックS2を前方へ回動させる付勢力が解除されている。なお、外端アーム部分22cの外側面と受承面20bとは面接触であるため、フック22b以外の箇所でもスプリング22をしっかりと保持することができる。
このように解除ブラケット20の突出片20aは、本発明の「解除部材」に相当する。
【0016】
シートバックS2に対するスパイラルスプリング22の付勢力は、このシートバックS2が図6に示すA−Dの回動領域にあるときに、解除されるようになっている。これは、シートバックS2を図6の仮想線で示す前倒し位置Aから引き起こすときの荷重を軽減するためである。そこで、シートバックS2を図6の前倒し位置Aから実線で示す起立位置Eまで引き起こす場合について説明する。
【0017】
図3はシートバックS2が前倒し位置AからBまで引き起こされた状態に対応している。この状態では既に説明したように、スパイラルスプリング22の外端アーム部分22cが解除ブラケット20の受承面20bで受け止められ、スプリング22のフック22bは係止ブラケット14の係止縁14bから完全に離脱している。シートバックS2が図6で示すCの位置まで引き起こされると、図4で示すようにスプリング22のフック22bが、係止ブラケット14の係止縁14bによって受け止められる直前の状態になる。しかし、スプリング22の外端アーム部分22cは、解除ブラケット20の受承面20bで受け止められたままである。
【0018】
シートバックS2が図6のD位置まで引き起こされると、図5の実線で示すようにスプリング22の外端アーム部分22cが受承面20bで受け止められたまま、同時にフック22bが係止ブラケット14の係止縁14bによって受け止められる。つまり、この状態がシートバックS2に対するスパイラルスプリング22の付勢力が解除領域から有効領域へ切り替わる瞬間である。そして、この瞬間においても、フック22bに対しては係止ブラケット14の係止縁14bが入り込んでいるだけであり、このフック22bの形状はコンパクトでよい。
【0019】
図6で示すシートバックS2のD位置は、リクライニング装置10のロックユニット11による初段ロック位置でもある。そして、シートバックS2を、さらに図6の実線で示すE位置まで回動させた状態と、図5の仮想線とが対応しており、図5の仮想線は図2で示す状態である。この状態では、先に説明したようにスプリング22のフック22bが係止縁14bで受け止められ、外端アーム部分22cが受承面20bから離脱しているので、シートバックS2に対するスプリング22の付勢力が有効に働いている。したがって、シートバックS2が図6のE位置、あるいはそれよりも後方へ倒された回動位置にあるとき、ロックユニット11のロック解除操作により、シートバックS2はスプリング22の付勢力を受けて図6のD位置まで自動復帰する。
【0020】
図面で示す実施の形態では、シートクッション側のロアアーム12に係止ブラケット14(係止部材)が設けられ、シートバック側のアッパアーム16に解除ブラケット20(解除部材)が設けられている。しかし、これらの係止ブラケット14および解除ブラケット20を両アーム12,16に対して逆に設けることも可能である。例えば、スプリング22を、その表裏が図面とは逆に配置し、かつ内端部22aをロアアーム12側に結合した場合、フック22bの受け止め可能な係止部材をアッパアーム16に設け、外端アーム部分22cの受け止め可能な解除部材をロアアーム12に設けることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用シートのリクライニング装置を表した断面図
【図2】リクライニング装置を図1の右側からみた側面図
【図3】シートバックを前倒し状態から引き起こした場合のリクライニング装置の変化を図2と対応させて表した側面図
【図4】シートバックを前倒し状態から引き起こした場合のリクライニング装置の変化を図2と対応させて表した側面図
【図5】シートバックを前倒し状態から引き起こした場合のリクライニング装置の変化を図2と対応させて表した側面図
【図6】車両用シートの概要を表した模式図
【符号の説明】
10  リクライニング装置
14  係止ブラケット
14a      突出片
14b      係止縁
20  解除ブラケット
20a      突出片
20b      受承面
22  スパイラルスプリング
22a      内端部
22b      フック
22c      外端アーム部分
S1  シートクッション
S2  シートバック

Claims (3)

  1. シートクッションに対して前後方向へ回動できるシートバックを、常時は前方へ回動させるように付勢するスパイラルスプリングを備え、前記シートバックがその起立位置よりも前方の回動領域にあるときには前記スプリングの付勢力を解除するように構成されたリクライニング装置であって、
    前記シートクッション側あるいは前記シートバック側の一方に係止部材が、かつ他方に解除部材が設けられ、前記スパイラルスプリングは、前記シートバックに対する付勢力の有効領域では、その外端部に形成されたフックが前記係止部材によって受け止められ、前記シートバックに対する付勢力の解除領域では、前記スプリングの外端アーム部分が前記解除部材によって受け止められ、かつ前記フックが前記係止部材から離脱するように構成されているリクライニング装置。
  2. 請求項1に記載されたリクライニング装置であって、
    解除部材は、スパイラルスプリングの外端アーム部分を面接触で受け止める受承面を備えているリクライニング装置。
  3. 請求項1又は2に記載されたリクライニング装置であって、係止部材はシートクッション側に固定され、解除部材はシートバック側に固定されているとともに、スパイラルスプリングは、その内端部が前記シートバック側に結合され、外端部に形成されたフックが前記係止部材によって受け止め可能で、また外端アーム部分が前記解除部材によって受け止め可能になっているシート用リクライニング装置。
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