JP2004105239A - 加熱調理容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は加熱調理容器に関し、特に航空機、船舶、病院、学校、レストラン等の大量給食に適し、容器本体が耐熱性を有する合成樹脂により形成され、電気回路発熱基板部による加熱と、電磁調理器による加熱との双方の加熱に対応して調理済食品、冷凍食品、または真空包装食品等のあらゆる食品の加熱、保温等が行える。
【解決手段】耐熱性を有する合成樹脂により成型され、底壁1a及び周壁1bを有する容器本体1の少なくとも底部1c内に厚み方向Xに交叉する方向Yに電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と、該ヒータの下部には強磁性体4とを内蔵した。
【選択図】 図1
【解決手段】耐熱性を有する合成樹脂により成型され、底壁1a及び周壁1bを有する容器本体1の少なくとも底部1c内に厚み方向Xに交叉する方向Yに電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と、該ヒータの下部には強磁性体4とを内蔵した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱調理容器に関し、特に航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の大量給食に使用するのに適し、容器本体が耐熱性を有する合成樹脂により形成され、電気回路発熱基板部による加熱と、電磁調理器による加熱との双方の加熱に対応して調理済食品、冷凍食品、または真空包装食品等のあらゆる食品の加熱、保温等が行え、食器として最適に使用するようにするものである。
【0002】
【従来の技術】
航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等において、料理を食器に盛り付けて大量給食を行う場合、盛り付けられた料理を多数の利用者にほぼ同時刻に提供しなければならないという時間的な要請がある。ところが、食器に盛り付けられる料理は例えばスープのような熱い料理、またはご飯のような暖かい料理と、例えば野菜サラダのように常温または常温よりやや冷たい温度で食される料理に応じて配食時の調理温度が異なり、様々である。
【0003】
また、航空機、船舶など厨房は狭く、この限られたスペースでの厨房では、配食時の調理温度が高低異なる多種の料理のうち、所望の料理のみを加熱するのには、例えば図3に示す加熱ケースcを用いて加熱が行われていた。
すなわち、予め多種の料理の食品が盛り付けられた食器bを、ヒータaを備えた加熱ケースcに収容し、食器bの所定部分のみをヒータaで加熱することにより、盛り付けられた多種の料理のうち所定の食品を加熱あるいは保温し、乗客に提供していた。
【0004】
ところで、スープのような熱い料理、またはご飯のように暖かい料理を加熱するのに用いられる食器は、加熱調理器による加熱方法と密接な関係があり、例えば耐熱性の合成樹脂により形成されるものがある。
例えば、電磁調理器により加熱される容器は、強磁性体に限られるという制約があり、単なる合成樹脂により形成される食器では加熱により変形したり、劣化する等加熱に耐えられないが、食器を耐熱性の合成樹脂により形成し、しかも食器の底部の収納凹部内に強磁性体を内蔵することにより電磁調理器により加熱調理を行えるようにした食器がある(特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−14760号公報(第1−4頁、図1、図2)
【0006】
また、耐熱性の合成樹脂により形成される食器として、従来、例えばメラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂を用いて形成されたものが代表的に販売され、使用される等普及している。
【0007】
また、加熱調理に使用される食器としては、上記のように耐熱性の合成樹脂により形成するほか、例えば耐熱ガラス、陶器、さらには金属等さまざまな素材により形成されるものもあった。そして、耐熱ガラス、陶器により形成される食器は、電子レンジにより加熱が行われるほか、オーブンによる加熱も可能であった。
【0008】
【発明が解決しょうとする課題】
ところで、耐熱ガラスまたは陶器により形成される上記従来の食器は、加熱または保温を行うために、電子レンジまたはオーブンの両方による加熱が行えるが、衝撃を受けるとカケ、ひび割れを生じ易く、損壊されることもあった。また、反復使用する上で強度的に脆弱であり、しかも重量が大きく、取り扱いにくいものであった。
これら耐熱ガラスまたは陶器が具有する上記欠点に優るものとしてメラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂の如く耐熱性の合成樹脂により形成される従来の食器は、耐熱ガラスや陶器にて形成される食器よりも衝撃にも強く、カケ、ひび割れが生じにくく、損壊も少なく、反復使用に耐えられるが、臭気、変色、環境ホルモンなどの性能が劣っており、耐熱性もせいぜい100℃以下であった。しかも、強磁性体ではないため、電磁調理器による加熱が行えなかった。
【0009】
また、金属により形成される上記従来の食器は、前述の耐熱ガラス、陶器、メラミン樹脂の如き耐熱性の合成樹脂により形成される上記従来の食器に対して構造的に強度は高いが、錆を生じ易く、また食品の味を変えたりする等の悪影響を与える等の問題があった。しかも、食器自体の熱伝導率が良いために電気回路よりなるヒータを備えた加熱調理器にて加熱した場合には、食器はもとより内部に収容される食品が高温になるので、火傷を生じ易かった。また、時間が経過すると反対に冷め易かった。従って、加熱済みの食品を食すタイミングが損なわれ、さらには食器同志が衝突すると、金属音を発生させたり、しかも、食器の外観上も金属色を呈し、冷たい感じに形成されるものであった。
【0010】
本発明は上記従来の不都合を解決し、電気回路発熱基板部を有するヒータによる加熱と、電磁調理器による加熱との双方の加熱が選択的に行え、容器本体自体の過度の加熱がなく内部に収容する所定の食品を実際に食すのに適した温度に加熱したり、または保温が容易かつ確実に行え、以って航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の狭く限られたスペースでの厨房における大量給食にあたり多種食品のうち所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適であり、また金属にて容器本体を形成するのと異なり錆を発生させたり、食品の味を変化させることなく、また耐熱性が良好で耐衝撃性が高く、カケ、ひび割れ等が生じにくく、損壊も少なく充分な強度を発揮して反復使用するのに適し、しかも、使用済み後の汚れの洗浄や殺菌等の衛生管理が容易かつ確実になり、さらには外容積が大型化せずに薄形かつコンパクトな設計が可能であり、量産可能でコストが安価な加熱調理容器を提供しようとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みなされ、請求項1に記載の発明は、耐熱性を有する合成樹脂により成型され、底壁及び周壁を有する容器本体の少なくとも底部内に厚み方向に交叉する方向に電気回路発熱基板部を有するヒータと、該電気回路発熱基板部の下部には強磁性体とを内蔵したことを特徴とするという手段を採用した。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、耐熱性を有する前記容器本体は、フェノール樹脂コンパウンドを主成分とする厚い厚さの容器基層部と、該容器基層部の表面にBMCよりなる薄い厚さの容器表層部とにより一体に成型される2層構造を含んで成型されることを特徴とするという手段を採用した。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2の何れかにおいて、前記容器基層部は、4〜5mmの厚さに形成され、前記容器表層部は1〜2mmの厚みに形成されることを特徴とするという手段を採用した。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2、または請求項3の何れかにおいて、前記強磁性体は、鉄またはステンレス鋼であり、厚さが0.01〜2mmに形成され、容器本体の少なくとも底部内に略全域または一部に内蔵されることを特徴とするという手段を採用した。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4の何れかにおいて、前記ヒータは、耐熱性を有する電気絶縁基板に端子へ接続される所望の電気回路の導通部が形成されたことを特徴とするという手段を採用した。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、または請求項5の何れかにおいて、前記容器本体は、外形が皿状、椀状、カップ状、徳利状、弁当箱、またはヒータと、該ヒータの下部には強磁性体とを底部の所定位置に内蔵した配膳トレイ或いは重箱等に形成されることを特徴とするという手段を採用した。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下図面に従い本発明の実施の形態の具体例の詳細を説明する。
図1は本発明を調理皿に適用した場合の第1実施形態を示す断面図、図2は本実施形態を構成する電気回路発熱基板部を有するヒータを示す平面図である。
1は耐熱性を有する合成樹脂により成型され、底壁1a及び周壁1bを有する容器本体であり、この容器本体1の少なくとも底部1c内には図1に示すように厚み方向Xに交叉する方向Yに電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と、該電気回路発熱基板部3の下部には強磁性体4とを内蔵している。
【0018】
耐熱性を有する前記容器本体1は、本実施形態では充填材からのアミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分として形成される厚い厚さt1の容器基層部5と、該容器基層部5の表面にBMC(バルキーモールディングコンパウンド)よりなる薄い厚さt2の容器表層部6とにより一体に成型される2層構造を含んで成型される(図では2層構造に形成されている)。
【0019】
前記BMCは、ポリエステル樹脂を主成分としてガラス成分、少量の増粘剤、充填材、顔料等が混入されている。
容器本体1のこれらの容器基層部5を形成するために用いる耐熱性を発揮する合成樹脂は、好適例を示すものであり、上記説明に限らず、そのほかに例えばポリイミド樹脂、キシレン樹脂等があげられる。
【0020】
前記容器基層部5と前記容器表層部6とにより一体をなす容器本体1を成型するには、例えば図には示さないが、成型時の硬化温度に高低差を付けた上型と下型とによる分離型を用いて一体成型が行われる。
すなわち、容器本体1を成型するには、先ずBMCよりなる成型原料を高温側とした上型のキャビティ内に充填し、高温側の温度領域で硬化させて、低温側とした下型の低温側の温度領域で未硬化部分を有する容器表層部6を一次成型する。
次いで上型と下型とを型開きした後にアミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分とした成型原料を低温側とした下型のキャビテイー内に充填し、両型を閉じて低温側の下型の温度領域で硬化させて容器基層部5を硬化し、前記未硬化部分に付着させて一体化をはかるものである。
【0021】
このように、アミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分として容器基層部5を成型し、この容器基層部5の表面にBMCよりなる容器表層部6とを図1に示すように2層構造に成型したのは、前述の電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と該電気回路発熱基板部3の下部に設けた強磁性体4との2つの加熱手段のうちの何れかを選択的に使用して容器本体1内に収容される食品を加熱したり、保温する場合に、遊離基の存在による電磁波の影響を少なくして容器基層部5がひび割れ、歪み、そり、捻れ、変質等を防ぎ、連続する耐熱性を充分に発揮して製品としての品質の信頼性を保証するのと、容器本体1自体が従来の金属製の食器のように過度に加熱されることにより使用者が火傷するのを防止して容器本体1内に収容した食品を使用者が食すのに適切な温度に加熱したり、または保温するためと、容器本体1の表側に一体に成型される容器表層部6が、前記容器基層部5に対して電気回路発熱基板部3を有するヒータ2、または該電気回路発熱基板部3の下部に配置される強磁性体4の何れかの加熱による線膨張係数の差に起因して剥離するのを防止し、しかも容器表層部6による高硬度と高耐衝撃性とを発揮することにより容器本体1の表面を保護して割れ、カケ、ピンホールの発生を防止して容器本体1を使用済み後に水洗いした時に汚れを完璧に落とすとともに雑菌などが、仮に割れやカケ、ピンホール等が生じた場合にそれらピンホール等の内部に侵入するのを予防し、かびが繁殖するのを阻止して衛生管理を充実するためと、難燃性を保証し、臭気、変色がなく、色素、顔料等を入れて彩色を施す容器表層部6の設置が必要最小限になり、体積率が少なくなり、安価に製作が行えるとともに彩色を容易にするためである。
【0022】
また、本実施形態では、図1に示すように容器本体1は底壁1a、周壁1b、底部1cを有する調理皿に形成され、その大きさは外径φが略180mm、高さHが約40mmに形成される。また、容器本体1の前記容器基層部5は、厚さt1が4〜5mm、図では2.5mmに形成され、また前記容器表層部6は、その厚さt2が1〜2mm、図では1.5mmに形成される。これらの容器本体1の外径φ、高さH、容器基層部5の厚さt1、容器表層部6の厚さt2は図示するものは例示であり、その数値の増減変更は自由に行え、しかも外形の変更も制限がなく自由である。
【0023】
前記ヒータ2は、耐熱性を有する電気絶縁基板7に外部給電装置としてのプラグ(図には示さず)が着脱可能になる端子8A,8Bに接続される所望の電気回路の導通部9が形成される。そして、外部給電装置から導通部9へ商用電流として例えば電圧100Vの電流が通電されることにより導通部9は発熱されるようになる。前記電気絶縁基板7は、本実施形態では、耐熱性を有する合成樹脂フィルムが使用され、この合成樹脂フィルムをエッチング処理し、電気的な導電材料を例えば電着させるほか、蒸着、スパッタリング等の適宜手段により導通部9を形成する。そして、容器本体1の底部1c内への電気回路発熱基板部3への組込時には導通部9は図において上側に配置されることにより下部に配置される強磁性体4に対して接触しないようにして電気的な絶縁をはかるようになっている。また、必要な場合には、前述のように電気絶縁基板による電気的な絶縁処理のほか、図には示さない絶縁フィルムをヒータ2と強磁性体4との間に介在してもよい。
【0024】
また、電気絶縁基板7に合成樹脂フィルムを用いたのは、電気回路発熱基板部3を容器本体1の少なくとも底部1cに強磁性体4とともに内蔵する場合に、容器本体1の薄形化とコンパクト化をはかり、軽量化を達成するためであるが、電気絶縁基板7はフィルム状に限ることなく、板状であってもよい。また、本実施形態では、導通部9を得るのに、合成樹脂フィルムをエッチング処理し、電気的な導電材料を例えば電着させるほか、蒸着、スパッタリング等の適宜手段により形成しているが、導通部9は金属板または金属箔を打抜き成型することにより容易かつ多量に、廉価に入手することもできる。また、電気回路発生基板部3の導通部9への給電は所定温度範囲の加熱が行え、加熱を防止するために、図には示さないがサーモスタットが導入する等の加熱温度保証がなされている。
また、電気絶縁基板7を形成するための耐熱性を有する合成樹脂としては、耐熱性を充分に発揮させるために、例えばフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂等があげられるが、これに限られない。
また、容器本体1の底部1cの収容空間部内にヒータ2を内蔵する場合に、収容空間部内に溜まる空気が加熱時に膨張するのを阻止するために、収容空間部の内周壁をテーパ状に形成することにより収容空間部にヒータ2と一緒に収納するための強磁性体4に空気抜きの小孔を複数設けることにより収容空間部内に溜まる空気を外部に追い出すようにすれば一層好適に収容空間部への収納が行える。
【0025】
本実施形態で使用される前記強磁性体4は、鉄またはステンレス鋼よりなる板ないしは箔が用いられ、厚さは0.01〜2mmに形成されたものが用いられる。
そして、厨房等に備えられる電磁調理器のコイルに電流を流し、磁力線を発生させて容器本体1に内蔵した強磁性体4に作用させると、渦電流が発生するので、電気抵抗により発熱される。そして、図1では容器本体1の底部1cに略全域にわたり強磁性体4が内蔵されているが、これに限らず図には示さないが、一部に内蔵されてもよく、或いは複数個が内蔵されてもよい。
【0026】
10は容器本体1の底部1c内に電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と強磁性体4とを重ねあわせて挿入した上で底部1cにあけられた開放部を閉塞するためのプレート部であり、このプレート部10は、前述のような成型型を用いる成型法により一体化されたり、または接着剤を用いて接着したり、高周波溶着する等して容器本体1に取付られる。
【0027】
本発明の加熱調理器の一実施形態は以上の構成からなり、例えば航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の厨房において、調理済食品、冷凍食品、真空包装食品等の食品を加熱したり、また保温して食すには、これらの食品を容器本体1内に収容する。そして、厨房等に備え付けられている商用電流の給電プラグ(図には示さない)を用いるか、または電磁調理器を用いるかに応じて容器本体1の底部1cに内蔵した電気回路発熱基板部3を有するヒータ2を発熱して加熱を行うか、或いは該電気回路発熱基板部3の下部に内蔵している鉄またはステンレス鋼よりなる強磁性体4を介して電磁調理器により加熱を行うかの何れかによる。
【0028】
すなわち、容器本体1の底部1cに内蔵した電気回路発熱基板部3を有するヒータ2を発熱して加熱を行う場合には、厨房等に備え付けられている給電プラグ(図には示さない)を容器本体1のプラグ受内に嵌入することにより端子8A,8Bに接続し、電源スイッチをオンして100Vの電圧の商用電流をヒータ2に給電すると、電源回路発熱基板部3に設けた導通部9が抵抗により発熱し、容器本体1を介して食品を加熱する。
【0029】
(実験例1)
直径φが130mmの容器本体1内に、初期温度が23℃、180mlの量の水Wを収容する。そして、室温が24℃の下に容器本体1の底部1cに内蔵した電気回路発熱基板部3を有するヒータ2を発熱させて加熱を行った場合に、水Wの略中心において温度を測定した結果、4分の加熱時間で53.5℃、6分27秒の加熱時間で70℃になった。
この結果から、実際に食品を食す時に、ご飯が暖かく、また、スープ、みそ汁、カレー、コーヒー等が暖かい状態に加熱されたり、保温されるのを満足する53.5℃〜70℃の範囲の温度は、ヒータ2による加熱により4分ないしは6分27秒の加熱時間で得られることがわかった。
【0030】
この際、容器本体1は、本実施形態ではアミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分として形成される厚い厚さt1の容器基層部5と、該容器基層部5の表面にBMCよりなる薄い厚さt2の容器表層部6とにより一体に成型された2層構造を含んで成型される(図1では2層構造に形成されている)ので、容器本体1の底部1cに内蔵した電気回路発熱基板部3を有するヒータ2を発熱して加熱を行う場合に、容器本体1は220℃もの耐熱性を発揮することができる。
【0031】
このように、容器本体1は、アミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分とした容器基層部5を成型し、この容器基層部5の表面にポリエステルを主成分とするBMCよりなる容器表層部6を図1に示すように2層構造に成型しているので、電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と後述のように該電気回路発熱基板部3の下部に設けた強磁性体4との何れかを選択的に使用して容器本体1内に収容される食品を加熱したり、または、保温する場合に、遊離基の存在による電磁波の影響を少なくして容器基層部5がひび割れ、歪み、そり、捻れ、変質等を防いで220℃もの連続する耐熱性を発揮して製品としての品質の信頼性を保証することができる。
また、容器本体1は、前述のようにフェノール樹脂コンパウンドを主成分とする容器基層部5とMBCよりなる容器表層部6との2層構造により成型されるので、金属や陶器により形成される従来の食器等と異なり、容器本体1自体は、食品等に接する内面側の底部1cに近い個所おいて80℃以下の加熱温度に止まり、容器本体1が加熱により過度に加熱されることにより使用者が火傷するのを防止できるとともに容器本体1内に収容した食品を使用者が食すのに適切な温度に加熱または保温することができる。
【0032】
また、容器本体1は、容器基層部5と容器表層部6とが一体に型成型されるので、容器表層部6が、前記容器基層部5に対して電気回路発熱基板部3を有するヒータ2の加熱によるか、または後述のように該電気回路発熱基板部3の下部に配置される強磁性体4の何れかにより加熱される場合に、加熱による線膨張係数の差に起因して剥離するのを防止することができる。
因みに上島製作所株式会社製の加重たわみ温度試験機を用いて容器本体1の半径方向に800kgの加重をかけて剥離試験を行った結果、容器本体1の直径φ×1.5(m/m)程度の加重をかけた場合にも容器基層部5に対して容器表層部6は剥離することなく、一体化をはかり、構造的に充分な強度を維持することがわかった。
しかも容器表層部6は、高硬度と高耐衝撃性とを発揮することにより容器本体1の表面を保護するので、割れ、カケ、ピンホールの発生を防止することができる。従って、容器本体1を使用済み後に水洗いした時に、汚れを完璧に落とすことができるとともに、仮に割れやカケ、ピンホール等が生じた場合にそれらの内部に雑菌などが侵入するのを予防し、かびが繁殖するのを阻止することができので、低温滅菌を採用するのに適し、衛生管理を充実することができる。その上、容器表層部6は、割れ、カケ、ピンホールの発生を防止することができるので、彩色を容易にすることができる。
【0033】
また、厨房等に備えられる電磁調理器により加熱を行う場合には、電磁調理器の電源スイッチをオンしてコイルに電流を流し、磁力線を発生させると、容器本体1に内蔵した強磁性体4に磁力線が作用して渦電流が発生するので、電気抵抗により発熱され、食品を加熱する。
【0034】
(実験例2)
容器本体1内に初期温度が23℃、180mlの量の水Wを収容し、容器本体1の底部1cに内蔵した強磁性体4を、直径が130mm、厚さ0.4mmの鉄板を用い、電磁調理器の出力を200Wに設定して加熱時間が、それぞれ3分、5分、8分、11分、13分30秒、加熱した場合に、水Wの温度を略中心において温度測定した結果、下記[表1]を得た。
【0035】
【表1】
【0036】
上記[表1]から、3分間、電磁調理器で加熱すると、水Wは32℃になり、5分間加熱すると、40℃になり、8分間加熱すると、50℃になり、11分間加熱すると、63℃になり、13分30秒加熱すると、70℃になった。
この実験の結果から、実際に食す時に食品としてご飯が暖かく、スープ、みそ汁、カレー、コーヒー等が暖かい状態に加熱され、保温されるのを満足する温度が、電磁調理器で11分間ないしは13分30秒間、加熱した場合に、得られることがわかった。
【0037】
また、前述の如く容器本体1の底部1cには、商用電流を給電することにより発熱が行われる電気回路発熱基板部3を有する前記ヒータ2は、耐熱性を有する合成樹脂フィルムにより形成される電気絶縁基板7にエッチング処理し、電気的な導電材料を例えば電着するとか、または蒸着するとか、スパッタリングを行う等の適宜手段により導通部9を形成して外部給電装置としてのプラグ(図には示さず)が着脱可能になる端子8A,8Bに接続させているので薄形化がはかれ、また、電気回路発熱基板部3の下部には0.01〜2mmの厚さの板状ないしは箔状の鉄またはステンレス鋼よりなる薄い強磁性体4を内蔵して電磁調理器に対応して別個の発熱部を内蔵しているので、発熱部自体の薄形化とコンパクト化がはかれるとともに容器本体1自体の薄形化がはか、軽量化を達成することができる。
【0038】
しかも、容器本体1の底部1c内への電気回路発熱基板部3への組込時には導通部9は図において上側に配置されることにより下部に配置される強磁性体4に対して接触しないようにしているので、電気的な絶縁が確実にはかれる。そのうえ、容器本体1は、アミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分とした容器基層部5の底部1c内に電気回路発熱基板部3の導通部9、端子8A,8Bを設けたり、その下方には鉄等により形成される強磁性体4を設けているので、電磁波の影響で前述の遊離基が作用して金属錯塩が作用することがないため、導通部9、端子8A,8B;強磁性体4等に錆が発生するのを防止し、電気的な短絡がなく、確実にヒータ2と 強磁性体4とによる加熱を行うことができる。
【0039】
図示する上記実施形態では、容器本体1は、外形が皿状に形成される場合を代表的に説明したが、容器本体1は図示するものに限らず、例えば椀状、カップ状、徳利状、弁当箱等に形成されるほか、または前記ヒータ2と、該ヒータ2の下部には強磁性体4とを底部1cの所定位置に内蔵した配膳トレイ或いは重箱等に形成される場合にも本発明の適用範囲である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の発明は以上のように、耐熱性を有する合成樹脂により成型され、底壁及び周壁を有する容器本体の少なくとも底部内に厚み方向に交叉する方向に電気回路発熱基板部を有するヒータと、該ヒータの下部には強磁性体とを内蔵したことを特徴とするという手段を採用したので、電気回路発熱基板部を有するヒータによる加熱と、電磁調理器による加熱との双方の加熱が選択的に行え、容器本体自体の過度の加熱がなく内部に収容する所定の食品を実際に食すのに適した温度に加熱または保温が容易かつ確実に行え、以って航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の狭く限られたスペースでの厨房における大量給食にあたり多種食品のうち所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適である。
また、容器本体は、錆を発生させたり、食品の味を変化させることなく、しかも、耐熱性が良好で耐衝撃性が高く、カケ、ひび割れが生じにくく、損壊も少なく充分な強度を発揮して反復使用するのに適する。そのうえ、容器本体は、使用済み後の洗浄や殺菌等の衛生管理が容易かつ確実になり、さらには外容積が大型化せずに薄形かつコンパクトな設計が可能であり、量産可能でコストが安価になる。
【0041】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、耐熱性を有する前記容器本体は、フェノール樹脂コンパウンドを主成分とする厚い厚さの容器基層部と、該容器基層部の表面にBMCよりなる薄い厚さの容器表層部とを一体に成型される2層構造を含んで成型されることを特徴とし、また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2の何れかにおいて、前記容器基層部は、4〜5mmの厚さに形成され、前記容器表層部は1〜2mmの厚みに形成されることを特徴とするので、耐熱性に優れ、容器本体自体の過度の加熱がなく、内部に収容する所定の食品を実際に食すのに適した温度に加熱または保温が容易かつ確実に行え、以って航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の狭く限られたスペースでの厨房における大量給食にあたり多種食品のうち所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適である。また、容器本体は、錆を発生させたり、食品の味を変化させることなく、また耐熱性が良好で耐衝撃性が高くカケ、ひび割れが生じにくく、損壊も少なく充分な強度を発揮して反復使用するのに適し、しかも、使用済み後の洗浄や殺菌等の衛生管理に優れ、さらには内蔵する発熱源としての電気回路発熱基板部を有するヒータの導通部、端子、強磁性体の電気絶縁性が良く、また容器本体は、遊離基の含有量が少なく連続した耐熱性を発揮するから金属錯塩が生じにくく防錆に優れて短絡事故を無くし、またヒータと、その下部に設けられる強磁性体との外容積が大型化せずに薄形かつコンパクトな設計が可能であり、量産可能でコストが安価になる。
【0042】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2、または請求項3の何れかにおいて前記強磁性体は、鉄またはステンレス鋼であり、厚さが0.01〜2mmに形成され、容器本体の少なくとも底部内に略全域または一部に内蔵されることを特徴とするので、容器本体が合成樹脂により形成される場合にも電磁調理器による加熱が行え、所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適であり、また従来の金属製の食器と異なり錆の発生がないので、食品の味を変化させることなく、また耐熱性が良好であり、耐衝撃性が高くカケ、ひび割れが生じにくく、損壊も少なく充分な強度を発揮して反復使用するのに適する。しかも、使用済み後の汚れの洗浄や殺菌等の衛生管理が容易かつ確実になり、さらには外容積が大型化せずに薄形かつコンパクトな設計が可能である。
【0043】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1、請求項2、または請求項3、請求項4の何れかにおいて、前記ヒータは、耐熱性を有する電気絶縁基板に端子に接続される所望の電気回路の導通部が形成されたことを特徴とするという手段を採用したので、耐熱性を有する合成樹脂により成型される容器本体にヒータ、強磁性体をともに容器本体に内蔵するのに薄形化がはかれ、コンパクトになり、製作および組付けが容易かつ確実になり、製作コストは安価になる。
【0044】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、または請求項5の何れかにおいて、前記容器本体は、外形が皿状、椀状、カップ状、徳利状、弁当箱、または前記ヒータと、該ヒータの下部には強磁性体とを底部の所定位置に内蔵した配膳トレイ或いは重箱等に形成されることを特徴とするので、容器本体自体の過度の加熱がなく内部に収容する所定の食品等を実際に飲食するのに適した温度に加熱または保温が容易かつ確実に行え、以って航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の狭く限られたスペースでの厨房において多種食品のうち所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適であり、大量給食に適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を調理皿に適用した場合の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は本実施形態を構成する電気回路発熱基板部を有するヒータを示す平面図である。
【図3】図3は従来の大量配食時に使用される加熱ケースを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 容器本体
1a 底壁
1b 周壁
1c 底部
2 ヒータ
3 電気回路発熱基板部
4 強磁性体
5 容器基層部
6 容器表層部
7 電気絶縁基板
8A 端子
8B 端子
9 導通部
10 プレート部
X 厚み方向
Y 交叉する方向
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱調理容器に関し、特に航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の大量給食に使用するのに適し、容器本体が耐熱性を有する合成樹脂により形成され、電気回路発熱基板部による加熱と、電磁調理器による加熱との双方の加熱に対応して調理済食品、冷凍食品、または真空包装食品等のあらゆる食品の加熱、保温等が行え、食器として最適に使用するようにするものである。
【0002】
【従来の技術】
航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等において、料理を食器に盛り付けて大量給食を行う場合、盛り付けられた料理を多数の利用者にほぼ同時刻に提供しなければならないという時間的な要請がある。ところが、食器に盛り付けられる料理は例えばスープのような熱い料理、またはご飯のような暖かい料理と、例えば野菜サラダのように常温または常温よりやや冷たい温度で食される料理に応じて配食時の調理温度が異なり、様々である。
【0003】
また、航空機、船舶など厨房は狭く、この限られたスペースでの厨房では、配食時の調理温度が高低異なる多種の料理のうち、所望の料理のみを加熱するのには、例えば図3に示す加熱ケースcを用いて加熱が行われていた。
すなわち、予め多種の料理の食品が盛り付けられた食器bを、ヒータaを備えた加熱ケースcに収容し、食器bの所定部分のみをヒータaで加熱することにより、盛り付けられた多種の料理のうち所定の食品を加熱あるいは保温し、乗客に提供していた。
【0004】
ところで、スープのような熱い料理、またはご飯のように暖かい料理を加熱するのに用いられる食器は、加熱調理器による加熱方法と密接な関係があり、例えば耐熱性の合成樹脂により形成されるものがある。
例えば、電磁調理器により加熱される容器は、強磁性体に限られるという制約があり、単なる合成樹脂により形成される食器では加熱により変形したり、劣化する等加熱に耐えられないが、食器を耐熱性の合成樹脂により形成し、しかも食器の底部の収納凹部内に強磁性体を内蔵することにより電磁調理器により加熱調理を行えるようにした食器がある(特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−14760号公報(第1−4頁、図1、図2)
【0006】
また、耐熱性の合成樹脂により形成される食器として、従来、例えばメラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂を用いて形成されたものが代表的に販売され、使用される等普及している。
【0007】
また、加熱調理に使用される食器としては、上記のように耐熱性の合成樹脂により形成するほか、例えば耐熱ガラス、陶器、さらには金属等さまざまな素材により形成されるものもあった。そして、耐熱ガラス、陶器により形成される食器は、電子レンジにより加熱が行われるほか、オーブンによる加熱も可能であった。
【0008】
【発明が解決しょうとする課題】
ところで、耐熱ガラスまたは陶器により形成される上記従来の食器は、加熱または保温を行うために、電子レンジまたはオーブンの両方による加熱が行えるが、衝撃を受けるとカケ、ひび割れを生じ易く、損壊されることもあった。また、反復使用する上で強度的に脆弱であり、しかも重量が大きく、取り扱いにくいものであった。
これら耐熱ガラスまたは陶器が具有する上記欠点に優るものとしてメラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂の如く耐熱性の合成樹脂により形成される従来の食器は、耐熱ガラスや陶器にて形成される食器よりも衝撃にも強く、カケ、ひび割れが生じにくく、損壊も少なく、反復使用に耐えられるが、臭気、変色、環境ホルモンなどの性能が劣っており、耐熱性もせいぜい100℃以下であった。しかも、強磁性体ではないため、電磁調理器による加熱が行えなかった。
【0009】
また、金属により形成される上記従来の食器は、前述の耐熱ガラス、陶器、メラミン樹脂の如き耐熱性の合成樹脂により形成される上記従来の食器に対して構造的に強度は高いが、錆を生じ易く、また食品の味を変えたりする等の悪影響を与える等の問題があった。しかも、食器自体の熱伝導率が良いために電気回路よりなるヒータを備えた加熱調理器にて加熱した場合には、食器はもとより内部に収容される食品が高温になるので、火傷を生じ易かった。また、時間が経過すると反対に冷め易かった。従って、加熱済みの食品を食すタイミングが損なわれ、さらには食器同志が衝突すると、金属音を発生させたり、しかも、食器の外観上も金属色を呈し、冷たい感じに形成されるものであった。
【0010】
本発明は上記従来の不都合を解決し、電気回路発熱基板部を有するヒータによる加熱と、電磁調理器による加熱との双方の加熱が選択的に行え、容器本体自体の過度の加熱がなく内部に収容する所定の食品を実際に食すのに適した温度に加熱したり、または保温が容易かつ確実に行え、以って航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の狭く限られたスペースでの厨房における大量給食にあたり多種食品のうち所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適であり、また金属にて容器本体を形成するのと異なり錆を発生させたり、食品の味を変化させることなく、また耐熱性が良好で耐衝撃性が高く、カケ、ひび割れ等が生じにくく、損壊も少なく充分な強度を発揮して反復使用するのに適し、しかも、使用済み後の汚れの洗浄や殺菌等の衛生管理が容易かつ確実になり、さらには外容積が大型化せずに薄形かつコンパクトな設計が可能であり、量産可能でコストが安価な加熱調理容器を提供しようとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みなされ、請求項1に記載の発明は、耐熱性を有する合成樹脂により成型され、底壁及び周壁を有する容器本体の少なくとも底部内に厚み方向に交叉する方向に電気回路発熱基板部を有するヒータと、該電気回路発熱基板部の下部には強磁性体とを内蔵したことを特徴とするという手段を採用した。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、耐熱性を有する前記容器本体は、フェノール樹脂コンパウンドを主成分とする厚い厚さの容器基層部と、該容器基層部の表面にBMCよりなる薄い厚さの容器表層部とにより一体に成型される2層構造を含んで成型されることを特徴とするという手段を採用した。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2の何れかにおいて、前記容器基層部は、4〜5mmの厚さに形成され、前記容器表層部は1〜2mmの厚みに形成されることを特徴とするという手段を採用した。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2、または請求項3の何れかにおいて、前記強磁性体は、鉄またはステンレス鋼であり、厚さが0.01〜2mmに形成され、容器本体の少なくとも底部内に略全域または一部に内蔵されることを特徴とするという手段を採用した。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4の何れかにおいて、前記ヒータは、耐熱性を有する電気絶縁基板に端子へ接続される所望の電気回路の導通部が形成されたことを特徴とするという手段を採用した。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、または請求項5の何れかにおいて、前記容器本体は、外形が皿状、椀状、カップ状、徳利状、弁当箱、またはヒータと、該ヒータの下部には強磁性体とを底部の所定位置に内蔵した配膳トレイ或いは重箱等に形成されることを特徴とするという手段を採用した。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下図面に従い本発明の実施の形態の具体例の詳細を説明する。
図1は本発明を調理皿に適用した場合の第1実施形態を示す断面図、図2は本実施形態を構成する電気回路発熱基板部を有するヒータを示す平面図である。
1は耐熱性を有する合成樹脂により成型され、底壁1a及び周壁1bを有する容器本体であり、この容器本体1の少なくとも底部1c内には図1に示すように厚み方向Xに交叉する方向Yに電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と、該電気回路発熱基板部3の下部には強磁性体4とを内蔵している。
【0018】
耐熱性を有する前記容器本体1は、本実施形態では充填材からのアミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分として形成される厚い厚さt1の容器基層部5と、該容器基層部5の表面にBMC(バルキーモールディングコンパウンド)よりなる薄い厚さt2の容器表層部6とにより一体に成型される2層構造を含んで成型される(図では2層構造に形成されている)。
【0019】
前記BMCは、ポリエステル樹脂を主成分としてガラス成分、少量の増粘剤、充填材、顔料等が混入されている。
容器本体1のこれらの容器基層部5を形成するために用いる耐熱性を発揮する合成樹脂は、好適例を示すものであり、上記説明に限らず、そのほかに例えばポリイミド樹脂、キシレン樹脂等があげられる。
【0020】
前記容器基層部5と前記容器表層部6とにより一体をなす容器本体1を成型するには、例えば図には示さないが、成型時の硬化温度に高低差を付けた上型と下型とによる分離型を用いて一体成型が行われる。
すなわち、容器本体1を成型するには、先ずBMCよりなる成型原料を高温側とした上型のキャビティ内に充填し、高温側の温度領域で硬化させて、低温側とした下型の低温側の温度領域で未硬化部分を有する容器表層部6を一次成型する。
次いで上型と下型とを型開きした後にアミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分とした成型原料を低温側とした下型のキャビテイー内に充填し、両型を閉じて低温側の下型の温度領域で硬化させて容器基層部5を硬化し、前記未硬化部分に付着させて一体化をはかるものである。
【0021】
このように、アミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分として容器基層部5を成型し、この容器基層部5の表面にBMCよりなる容器表層部6とを図1に示すように2層構造に成型したのは、前述の電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と該電気回路発熱基板部3の下部に設けた強磁性体4との2つの加熱手段のうちの何れかを選択的に使用して容器本体1内に収容される食品を加熱したり、保温する場合に、遊離基の存在による電磁波の影響を少なくして容器基層部5がひび割れ、歪み、そり、捻れ、変質等を防ぎ、連続する耐熱性を充分に発揮して製品としての品質の信頼性を保証するのと、容器本体1自体が従来の金属製の食器のように過度に加熱されることにより使用者が火傷するのを防止して容器本体1内に収容した食品を使用者が食すのに適切な温度に加熱したり、または保温するためと、容器本体1の表側に一体に成型される容器表層部6が、前記容器基層部5に対して電気回路発熱基板部3を有するヒータ2、または該電気回路発熱基板部3の下部に配置される強磁性体4の何れかの加熱による線膨張係数の差に起因して剥離するのを防止し、しかも容器表層部6による高硬度と高耐衝撃性とを発揮することにより容器本体1の表面を保護して割れ、カケ、ピンホールの発生を防止して容器本体1を使用済み後に水洗いした時に汚れを完璧に落とすとともに雑菌などが、仮に割れやカケ、ピンホール等が生じた場合にそれらピンホール等の内部に侵入するのを予防し、かびが繁殖するのを阻止して衛生管理を充実するためと、難燃性を保証し、臭気、変色がなく、色素、顔料等を入れて彩色を施す容器表層部6の設置が必要最小限になり、体積率が少なくなり、安価に製作が行えるとともに彩色を容易にするためである。
【0022】
また、本実施形態では、図1に示すように容器本体1は底壁1a、周壁1b、底部1cを有する調理皿に形成され、その大きさは外径φが略180mm、高さHが約40mmに形成される。また、容器本体1の前記容器基層部5は、厚さt1が4〜5mm、図では2.5mmに形成され、また前記容器表層部6は、その厚さt2が1〜2mm、図では1.5mmに形成される。これらの容器本体1の外径φ、高さH、容器基層部5の厚さt1、容器表層部6の厚さt2は図示するものは例示であり、その数値の増減変更は自由に行え、しかも外形の変更も制限がなく自由である。
【0023】
前記ヒータ2は、耐熱性を有する電気絶縁基板7に外部給電装置としてのプラグ(図には示さず)が着脱可能になる端子8A,8Bに接続される所望の電気回路の導通部9が形成される。そして、外部給電装置から導通部9へ商用電流として例えば電圧100Vの電流が通電されることにより導通部9は発熱されるようになる。前記電気絶縁基板7は、本実施形態では、耐熱性を有する合成樹脂フィルムが使用され、この合成樹脂フィルムをエッチング処理し、電気的な導電材料を例えば電着させるほか、蒸着、スパッタリング等の適宜手段により導通部9を形成する。そして、容器本体1の底部1c内への電気回路発熱基板部3への組込時には導通部9は図において上側に配置されることにより下部に配置される強磁性体4に対して接触しないようにして電気的な絶縁をはかるようになっている。また、必要な場合には、前述のように電気絶縁基板による電気的な絶縁処理のほか、図には示さない絶縁フィルムをヒータ2と強磁性体4との間に介在してもよい。
【0024】
また、電気絶縁基板7に合成樹脂フィルムを用いたのは、電気回路発熱基板部3を容器本体1の少なくとも底部1cに強磁性体4とともに内蔵する場合に、容器本体1の薄形化とコンパクト化をはかり、軽量化を達成するためであるが、電気絶縁基板7はフィルム状に限ることなく、板状であってもよい。また、本実施形態では、導通部9を得るのに、合成樹脂フィルムをエッチング処理し、電気的な導電材料を例えば電着させるほか、蒸着、スパッタリング等の適宜手段により形成しているが、導通部9は金属板または金属箔を打抜き成型することにより容易かつ多量に、廉価に入手することもできる。また、電気回路発生基板部3の導通部9への給電は所定温度範囲の加熱が行え、加熱を防止するために、図には示さないがサーモスタットが導入する等の加熱温度保証がなされている。
また、電気絶縁基板7を形成するための耐熱性を有する合成樹脂としては、耐熱性を充分に発揮させるために、例えばフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂等があげられるが、これに限られない。
また、容器本体1の底部1cの収容空間部内にヒータ2を内蔵する場合に、収容空間部内に溜まる空気が加熱時に膨張するのを阻止するために、収容空間部の内周壁をテーパ状に形成することにより収容空間部にヒータ2と一緒に収納するための強磁性体4に空気抜きの小孔を複数設けることにより収容空間部内に溜まる空気を外部に追い出すようにすれば一層好適に収容空間部への収納が行える。
【0025】
本実施形態で使用される前記強磁性体4は、鉄またはステンレス鋼よりなる板ないしは箔が用いられ、厚さは0.01〜2mmに形成されたものが用いられる。
そして、厨房等に備えられる電磁調理器のコイルに電流を流し、磁力線を発生させて容器本体1に内蔵した強磁性体4に作用させると、渦電流が発生するので、電気抵抗により発熱される。そして、図1では容器本体1の底部1cに略全域にわたり強磁性体4が内蔵されているが、これに限らず図には示さないが、一部に内蔵されてもよく、或いは複数個が内蔵されてもよい。
【0026】
10は容器本体1の底部1c内に電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と強磁性体4とを重ねあわせて挿入した上で底部1cにあけられた開放部を閉塞するためのプレート部であり、このプレート部10は、前述のような成型型を用いる成型法により一体化されたり、または接着剤を用いて接着したり、高周波溶着する等して容器本体1に取付られる。
【0027】
本発明の加熱調理器の一実施形態は以上の構成からなり、例えば航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の厨房において、調理済食品、冷凍食品、真空包装食品等の食品を加熱したり、また保温して食すには、これらの食品を容器本体1内に収容する。そして、厨房等に備え付けられている商用電流の給電プラグ(図には示さない)を用いるか、または電磁調理器を用いるかに応じて容器本体1の底部1cに内蔵した電気回路発熱基板部3を有するヒータ2を発熱して加熱を行うか、或いは該電気回路発熱基板部3の下部に内蔵している鉄またはステンレス鋼よりなる強磁性体4を介して電磁調理器により加熱を行うかの何れかによる。
【0028】
すなわち、容器本体1の底部1cに内蔵した電気回路発熱基板部3を有するヒータ2を発熱して加熱を行う場合には、厨房等に備え付けられている給電プラグ(図には示さない)を容器本体1のプラグ受内に嵌入することにより端子8A,8Bに接続し、電源スイッチをオンして100Vの電圧の商用電流をヒータ2に給電すると、電源回路発熱基板部3に設けた導通部9が抵抗により発熱し、容器本体1を介して食品を加熱する。
【0029】
(実験例1)
直径φが130mmの容器本体1内に、初期温度が23℃、180mlの量の水Wを収容する。そして、室温が24℃の下に容器本体1の底部1cに内蔵した電気回路発熱基板部3を有するヒータ2を発熱させて加熱を行った場合に、水Wの略中心において温度を測定した結果、4分の加熱時間で53.5℃、6分27秒の加熱時間で70℃になった。
この結果から、実際に食品を食す時に、ご飯が暖かく、また、スープ、みそ汁、カレー、コーヒー等が暖かい状態に加熱されたり、保温されるのを満足する53.5℃〜70℃の範囲の温度は、ヒータ2による加熱により4分ないしは6分27秒の加熱時間で得られることがわかった。
【0030】
この際、容器本体1は、本実施形態ではアミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分として形成される厚い厚さt1の容器基層部5と、該容器基層部5の表面にBMCよりなる薄い厚さt2の容器表層部6とにより一体に成型された2層構造を含んで成型される(図1では2層構造に形成されている)ので、容器本体1の底部1cに内蔵した電気回路発熱基板部3を有するヒータ2を発熱して加熱を行う場合に、容器本体1は220℃もの耐熱性を発揮することができる。
【0031】
このように、容器本体1は、アミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分とした容器基層部5を成型し、この容器基層部5の表面にポリエステルを主成分とするBMCよりなる容器表層部6を図1に示すように2層構造に成型しているので、電気回路発熱基板部3を有するヒータ2と後述のように該電気回路発熱基板部3の下部に設けた強磁性体4との何れかを選択的に使用して容器本体1内に収容される食品を加熱したり、または、保温する場合に、遊離基の存在による電磁波の影響を少なくして容器基層部5がひび割れ、歪み、そり、捻れ、変質等を防いで220℃もの連続する耐熱性を発揮して製品としての品質の信頼性を保証することができる。
また、容器本体1は、前述のようにフェノール樹脂コンパウンドを主成分とする容器基層部5とMBCよりなる容器表層部6との2層構造により成型されるので、金属や陶器により形成される従来の食器等と異なり、容器本体1自体は、食品等に接する内面側の底部1cに近い個所おいて80℃以下の加熱温度に止まり、容器本体1が加熱により過度に加熱されることにより使用者が火傷するのを防止できるとともに容器本体1内に収容した食品を使用者が食すのに適切な温度に加熱または保温することができる。
【0032】
また、容器本体1は、容器基層部5と容器表層部6とが一体に型成型されるので、容器表層部6が、前記容器基層部5に対して電気回路発熱基板部3を有するヒータ2の加熱によるか、または後述のように該電気回路発熱基板部3の下部に配置される強磁性体4の何れかにより加熱される場合に、加熱による線膨張係数の差に起因して剥離するのを防止することができる。
因みに上島製作所株式会社製の加重たわみ温度試験機を用いて容器本体1の半径方向に800kgの加重をかけて剥離試験を行った結果、容器本体1の直径φ×1.5(m/m)程度の加重をかけた場合にも容器基層部5に対して容器表層部6は剥離することなく、一体化をはかり、構造的に充分な強度を維持することがわかった。
しかも容器表層部6は、高硬度と高耐衝撃性とを発揮することにより容器本体1の表面を保護するので、割れ、カケ、ピンホールの発生を防止することができる。従って、容器本体1を使用済み後に水洗いした時に、汚れを完璧に落とすことができるとともに、仮に割れやカケ、ピンホール等が生じた場合にそれらの内部に雑菌などが侵入するのを予防し、かびが繁殖するのを阻止することができので、低温滅菌を採用するのに適し、衛生管理を充実することができる。その上、容器表層部6は、割れ、カケ、ピンホールの発生を防止することができるので、彩色を容易にすることができる。
【0033】
また、厨房等に備えられる電磁調理器により加熱を行う場合には、電磁調理器の電源スイッチをオンしてコイルに電流を流し、磁力線を発生させると、容器本体1に内蔵した強磁性体4に磁力線が作用して渦電流が発生するので、電気抵抗により発熱され、食品を加熱する。
【0034】
(実験例2)
容器本体1内に初期温度が23℃、180mlの量の水Wを収容し、容器本体1の底部1cに内蔵した強磁性体4を、直径が130mm、厚さ0.4mmの鉄板を用い、電磁調理器の出力を200Wに設定して加熱時間が、それぞれ3分、5分、8分、11分、13分30秒、加熱した場合に、水Wの温度を略中心において温度測定した結果、下記[表1]を得た。
【0035】
【表1】
【0036】
上記[表1]から、3分間、電磁調理器で加熱すると、水Wは32℃になり、5分間加熱すると、40℃になり、8分間加熱すると、50℃になり、11分間加熱すると、63℃になり、13分30秒加熱すると、70℃になった。
この実験の結果から、実際に食す時に食品としてご飯が暖かく、スープ、みそ汁、カレー、コーヒー等が暖かい状態に加熱され、保温されるのを満足する温度が、電磁調理器で11分間ないしは13分30秒間、加熱した場合に、得られることがわかった。
【0037】
また、前述の如く容器本体1の底部1cには、商用電流を給電することにより発熱が行われる電気回路発熱基板部3を有する前記ヒータ2は、耐熱性を有する合成樹脂フィルムにより形成される電気絶縁基板7にエッチング処理し、電気的な導電材料を例えば電着するとか、または蒸着するとか、スパッタリングを行う等の適宜手段により導通部9を形成して外部給電装置としてのプラグ(図には示さず)が着脱可能になる端子8A,8Bに接続させているので薄形化がはかれ、また、電気回路発熱基板部3の下部には0.01〜2mmの厚さの板状ないしは箔状の鉄またはステンレス鋼よりなる薄い強磁性体4を内蔵して電磁調理器に対応して別個の発熱部を内蔵しているので、発熱部自体の薄形化とコンパクト化がはかれるとともに容器本体1自体の薄形化がはか、軽量化を達成することができる。
【0038】
しかも、容器本体1の底部1c内への電気回路発熱基板部3への組込時には導通部9は図において上側に配置されることにより下部に配置される強磁性体4に対して接触しないようにしているので、電気的な絶縁が確実にはかれる。そのうえ、容器本体1は、アミノ基、シリカ基等の遊離基の含有量が少ないフェノール樹脂コンパウンドを主成分とした容器基層部5の底部1c内に電気回路発熱基板部3の導通部9、端子8A,8Bを設けたり、その下方には鉄等により形成される強磁性体4を設けているので、電磁波の影響で前述の遊離基が作用して金属錯塩が作用することがないため、導通部9、端子8A,8B;強磁性体4等に錆が発生するのを防止し、電気的な短絡がなく、確実にヒータ2と 強磁性体4とによる加熱を行うことができる。
【0039】
図示する上記実施形態では、容器本体1は、外形が皿状に形成される場合を代表的に説明したが、容器本体1は図示するものに限らず、例えば椀状、カップ状、徳利状、弁当箱等に形成されるほか、または前記ヒータ2と、該ヒータ2の下部には強磁性体4とを底部1cの所定位置に内蔵した配膳トレイ或いは重箱等に形成される場合にも本発明の適用範囲である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の発明は以上のように、耐熱性を有する合成樹脂により成型され、底壁及び周壁を有する容器本体の少なくとも底部内に厚み方向に交叉する方向に電気回路発熱基板部を有するヒータと、該ヒータの下部には強磁性体とを内蔵したことを特徴とするという手段を採用したので、電気回路発熱基板部を有するヒータによる加熱と、電磁調理器による加熱との双方の加熱が選択的に行え、容器本体自体の過度の加熱がなく内部に収容する所定の食品を実際に食すのに適した温度に加熱または保温が容易かつ確実に行え、以って航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の狭く限られたスペースでの厨房における大量給食にあたり多種食品のうち所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適である。
また、容器本体は、錆を発生させたり、食品の味を変化させることなく、しかも、耐熱性が良好で耐衝撃性が高く、カケ、ひび割れが生じにくく、損壊も少なく充分な強度を発揮して反復使用するのに適する。そのうえ、容器本体は、使用済み後の洗浄や殺菌等の衛生管理が容易かつ確実になり、さらには外容積が大型化せずに薄形かつコンパクトな設計が可能であり、量産可能でコストが安価になる。
【0041】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、耐熱性を有する前記容器本体は、フェノール樹脂コンパウンドを主成分とする厚い厚さの容器基層部と、該容器基層部の表面にBMCよりなる薄い厚さの容器表層部とを一体に成型される2層構造を含んで成型されることを特徴とし、また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2の何れかにおいて、前記容器基層部は、4〜5mmの厚さに形成され、前記容器表層部は1〜2mmの厚みに形成されることを特徴とするので、耐熱性に優れ、容器本体自体の過度の加熱がなく、内部に収容する所定の食品を実際に食すのに適した温度に加熱または保温が容易かつ確実に行え、以って航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の狭く限られたスペースでの厨房における大量給食にあたり多種食品のうち所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適である。また、容器本体は、錆を発生させたり、食品の味を変化させることなく、また耐熱性が良好で耐衝撃性が高くカケ、ひび割れが生じにくく、損壊も少なく充分な強度を発揮して反復使用するのに適し、しかも、使用済み後の洗浄や殺菌等の衛生管理に優れ、さらには内蔵する発熱源としての電気回路発熱基板部を有するヒータの導通部、端子、強磁性体の電気絶縁性が良く、また容器本体は、遊離基の含有量が少なく連続した耐熱性を発揮するから金属錯塩が生じにくく防錆に優れて短絡事故を無くし、またヒータと、その下部に設けられる強磁性体との外容積が大型化せずに薄形かつコンパクトな設計が可能であり、量産可能でコストが安価になる。
【0042】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2、または請求項3の何れかにおいて前記強磁性体は、鉄またはステンレス鋼であり、厚さが0.01〜2mmに形成され、容器本体の少なくとも底部内に略全域または一部に内蔵されることを特徴とするので、容器本体が合成樹脂により形成される場合にも電磁調理器による加熱が行え、所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適であり、また従来の金属製の食器と異なり錆の発生がないので、食品の味を変化させることなく、また耐熱性が良好であり、耐衝撃性が高くカケ、ひび割れが生じにくく、損壊も少なく充分な強度を発揮して反復使用するのに適する。しかも、使用済み後の汚れの洗浄や殺菌等の衛生管理が容易かつ確実になり、さらには外容積が大型化せずに薄形かつコンパクトな設計が可能である。
【0043】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1、請求項2、または請求項3、請求項4の何れかにおいて、前記ヒータは、耐熱性を有する電気絶縁基板に端子に接続される所望の電気回路の導通部が形成されたことを特徴とするという手段を採用したので、耐熱性を有する合成樹脂により成型される容器本体にヒータ、強磁性体をともに容器本体に内蔵するのに薄形化がはかれ、コンパクトになり、製作および組付けが容易かつ確実になり、製作コストは安価になる。
【0044】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、または請求項5の何れかにおいて、前記容器本体は、外形が皿状、椀状、カップ状、徳利状、弁当箱、または前記ヒータと、該ヒータの下部には強磁性体とを底部の所定位置に内蔵した配膳トレイ或いは重箱等に形成されることを特徴とするので、容器本体自体の過度の加熱がなく内部に収容する所定の食品等を実際に飲食するのに適した温度に加熱または保温が容易かつ確実に行え、以って航空機、船舶、病院、学校、給食センター、レストラン等の狭く限られたスペースでの厨房において多種食品のうち所定の食品のみを加熱し、保温するのに好適であり、大量給食に適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を調理皿に適用した場合の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は本実施形態を構成する電気回路発熱基板部を有するヒータを示す平面図である。
【図3】図3は従来の大量配食時に使用される加熱ケースを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 容器本体
1a 底壁
1b 周壁
1c 底部
2 ヒータ
3 電気回路発熱基板部
4 強磁性体
5 容器基層部
6 容器表層部
7 電気絶縁基板
8A 端子
8B 端子
9 導通部
10 プレート部
X 厚み方向
Y 交叉する方向
Claims (6)
- 耐熱性を有する合成樹脂により成型され、底壁及び周壁を有する容器本体の少なくとも底部内に厚み方向に交叉する方向に電気回路発熱基板部を有するヒータと、該ヒータの下部には強磁性体とを内蔵したことを特徴とする加熱調理容器。
- 耐熱性を有する前記容器本体は、フェノール樹脂コンパウンドを主成分とする厚い厚さの容器基層部と、該容器基層部の表面にBMCよりなる薄い厚さの容器表層部とにより一体に成型される2層構造を含んで成型されることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理容器。
- 前記容器基層部は、4〜5mmの厚さに形成され、前記容器表層部は1〜2mmの厚みに形成されることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の加熱調理容器。
- 前記強磁性体は、鉄またはステンレス鋼であり、厚さが0.01〜2mmに形成され、容器本体の少なくとも底部内に略全域または一部に内蔵されることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3の何れかに記載の加熱調理容器。
- 前記ヒータは、耐熱性を有する電気絶縁基板に端子へ接続される所望の電気回路の導通部が形成されたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4の何れかに記載の加熱調理容器。
- 前記容器本体は、外形が皿状、椀状、カップ状、徳利状、弁当箱、またはヒータと該ヒータの下部には強磁性体とを底部の所定位置に内蔵した配膳トレイ或いは重箱等に形成されることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、または請求項5の何れかに記載の加熱調理容器。
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JP2002268081A JP2004105239A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 加熱調理容器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002268081A JP2004105239A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 加熱調理容器 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007082676A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-04-05 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 被加熱物の容器、容器の蓋、及び、載置具 |
-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002268081A patent/JP2004105239A/ja active Pending
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JP2007082676A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-04-05 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 被加熱物の容器、容器の蓋、及び、載置具 |
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