JP2004105232A - 電気洗濯機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】衣類投入口を開閉する外蓋9の略中央部に位置させて開閉可能な吸気窓910を設け、外槽3の上端に設ける外槽カバー303には洗濯兼脱水槽6および撹拌翼8の回転によって外槽内に送り出された空気を外枠内に導く通気窓303aを設け、制御装置は、洗濯兼脱水槽および撹拌翼を一体的に高速回転させる通風運転と、洗濯兼脱水槽の回転を停止させた状態で撹拌翼を回転させる布入替え運転を繰り返し実行するように駆動装置を制御するように構成する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平11−347282号公報
【0003】
特許文献1には、遠心脱水した洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽内に温風を循環させることによって洗濯物の水分を蒸発させ、洗濯物から蒸発した水分を含んで湿潤した温風を水冷除湿するように構成して洗濯物を乾燥させる洗濯乾燥式の電気洗濯機が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような洗濯乾燥式の電気洗濯機は、構成が複雑になって高価になり、温風を発生させることから消費電力が大幅に増加し、また、冷却水を使用することから消費水量も増加し、熱収縮する衣類(洗濯物)を乾燥することができないなどの問題がある。
【0005】
湿潤した温風(空気)を機外に放出するように構成することにより、構成が簡素化し、冷却水も不要とすることができるが、このような乾燥方式の電気洗濯機は、放出する湿潤温風が室内の空気の温度と湿度を増加させて不快指数を悪化させ、湿度が増加した空気が壁やガラス窓や家具に触れると温度が低下してこれらの表面に結露するなどして生活環境を悪化させる問題がある。
【0006】
本発明の1つの目的は、室内の空気の湿度の増加による生活環境の悪化を軽減すると共に確実な乾燥を実現することができる洗濯乾燥式の電気洗濯機を提案することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、更に、このような洗濯乾燥式の電気洗濯機において高い乾燥度を実現することにある。例えば、100%を越える乾燥度が得られる冷風乾燥を実現することにある。
本発明の他の目的は、更に、冷風乾燥における騒音を低減することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内側に洗濯兼脱水槽を回転可能に設置した外槽と、前記洗濯兼脱水槽内の底部に回転可能に設けた撹拌翼と、前記洗濯兼脱水槽および/または撹拌翼を回転駆動する駆動装置と、給水装置と、排水装置と、制御装置と、これらを包囲および内蔵するように設け、前記外槽および洗濯兼脱水槽の開口に対向するように形成した衣類投入口を有する外枠と、前記衣類投入口を開閉する外蓋とを備え、前記制御装置は、前記外槽内に洗濯水を溜めるように前記給水装置と排水装置を制御し、前記撹拌翼を回転させて洗濯兼脱水槽内の洗濯物を洗濯するように前記駆動装置を制御し、前記外槽内の洗濯水を排水すると共に前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼を高速回転させて洗濯物を遠心脱水するように前記駆動装置を脱水制御し、この遠心脱水における高速回転起動時に外槽が大きく振動したときには前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼の回転を停止すると共に洗濯兼脱水槽を停止させた状態で撹拌翼を往復回転させて洗濯物を解して不均一な分布を修正するように前記駆動装置を不均一修正制御する電気洗濯機において、
前記外蓋は、外気を洗濯兼脱水槽内に導く開閉可能な吸気窓を備え、
前記制御装置は、洗濯兼脱水槽および撹拌翼を一体的に高速回転させる通風運転と、洗濯兼脱水槽の回転を停止させた状態で撹拌翼を回転させる布入替え運転を繰り返し実行するように駆動装置を制御する乾燥制御を行うと共にこの乾燥制御における前記高速回転起動時に外槽の大きな振動が発生したときには前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼の回転を停止すると共に洗濯兼脱水槽を停止させた状態で前記撹拌翼を往復回転させて洗濯物を解して不均一な分布を修正するように前記駆動装置を不均一修正制御することを特徴とする。
【0009】
前記乾燥制御の不均一修正制御における撹拌翼の回転時間は布入替えにおける撹拌翼の回転時間よりも短くしたことを特徴とする。
【0010】
また、前記乾燥制御における不均一修正制御は、高速回転可能状態に修正するまでの試行制限回数を洗濯制御の遠心脱水における不均一修正試行制限回数よりも多くしたことを特徴とする。
【0011】
また、前記乾燥制御における不均一修正制御は、洗濯制御の遠心脱水において不均一修正制御を行う振動値よりも小さい振動値で実行するようにしたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す電気洗濯機の外観斜視図、図2は、その縦断側面図、図3は、その外槽の平面図(a)と底部の縦断側面図、図4は、その外槽に設けた上カバーの平面図、図は、その洗濯兼脱水槽の横断平面図、図6は、その撹拌翼の平面図(a)と縦断側面図、図7は、その上蓋の平面図、図8は、吸気窓蓋を閉じた状態を示す上蓋の縦断側面図(a)と吸気窓蓋を開いた状態を示す縦断側面図(b)、図9は、上蓋の吸気窓のフィルタの平面図(a)と縦断側面図(b)、図10は、上蓋の吸気窓蓋の平面図(a)と縦断側面図(b)、図11は、その制御装置のブロック図、図12は、制御装置が実行する冷風乾燥コースにおける制御処理を具体的に例示するフローチャート、図13〜図15は、この電気洗濯機において冷風乾燥コースを実行することによる洗濯物の乾燥特性図である。
【0013】
図1および図2に示すように、外枠1は、側面を取り囲む鋼板製の略4角筒状の側板101と、その上部開放端を覆うように側板101の上端に設置した上カバー102と、側板101の下端に設置したベース103を備える。側板101は、前面と両側面を形成する略コ字状の鋼板と後面を形成する略平坦な鋼板を組み合わせて構成する。
【0014】
上カバー102は、合成樹脂を成型した部材であり、その略中央部に衣類投入口102aを備え、この衣類投入口102aの前側部分にフロントパネルボックス102bを備え、衣類投入口102aの後側部分にバックパネルボックス102cを備える。フロントパネルボックス102bには、操作パネル105や制御回路基板や洗濯水位センサーや槽振動検出センサーなどを内蔵し、バックパネルボックス102cには、給水電磁弁などを内蔵する。
【0015】
ベース103は、底面の中央部分を開放した形状に合成樹脂を成型した部材であり、その側面に排水ホース引き出し穴103aを備え、その4隅部に脚2を取り付ける。
【0016】
外槽3は、洗濯水を溜める水槽であり、底部に形成した排水口301および駆動装置嵌着穴302と上部の開口端縁の内側に庇を形成するように開口端に結合した外槽カバー303を備え、上部開口端が前記衣類投入口102aの直下に位置するように前記側板101の上端四隅部から防振支持装置(図示省略)によって懸垂支持して取り付ける。この外槽3の底部は、排水状態において残水が発生しないように、図3に示すように、排水口301に向けて連続的に傾斜した内面形状とする。
【0017】
排水口301には、排水電磁弁4を介して排水ホース5を接続する。この排水ホース5は、ベース103に設けた排水ホース引き出し穴103aから機外に導出する。
【0018】
また、外槽カバー303の庇の部分は、図4に示すように、外槽3内に送り出されて上昇する空気を外枠1内に導く多数の通気窓穴303aを備える。
【0019】
洗濯兼脱水槽6は、磁性のステンレス鋼板製の略円筒状の胴部601と合成樹脂を成型して形成した底部602と金属製の結合フランジ603と流体バランスリング604と糸屑捕集用の洗濯水循環ダクト605と糸屑捕集フィルタ606を備える。
【0020】
この洗濯兼脱水槽6における胴部601は、図5に示すように、多数の脱水穴601aと縦方向に伸びるように内側に突出した多数の凸条601bを備える。また、底部602と結合フランジ603は、インサート成型することによって一体的に形成して前記胴部601の下端に結合する。結合フランジ603には、予め多数の水抜き穴603aを形成しておき、底部602には、成型時に多数の水抜き穴602aを形成する。
【0021】
また、流体バランスリング604は、内部に水を封入した環状部材であり、胴部601の上端に結合する。この流体バランスリング604は、図示説明は省略するが、吸気羽根を一体的に成型して設置することにより冷風乾燥における吸気を支援するようにすると良い。
【0022】
洗濯水循環ダクト605は、胴部601の内面に沿わせて取り付け、下端は撹拌翼の裏羽根(後述する)によって加圧された洗濯水を受け入れるように開口させ、上端は胴部601の中間部に開口させて前記糸屑捕集フィルタ606を結合する。
【0023】
駆動装置7は、駆動電動機と減速機構とクラッチ機構を内蔵し、外側回転軸と701と内側回転軸702を同心状に突出する。図示説明は省略するが、駆動電動機は、可逆回転型の誘導電動機またはインバータ駆動電動機を使用して構成し、減速装置は、駆動電動機の回転を減速して内側回転軸702に伝達するように構成し、クラッチ機構は、駆動電動機の回転を直に外側回転軸701と内側回転軸702に伝達する回転伝達系と駆動電動機の回転を減速機構を介して内側回転軸702に伝達する回転伝達系を選択的に形成するように構成する。この駆動装置7は、外側回転軸701と内側回転軸702を前記外槽3の底部の内側に突出させるように駆動装置嵌着穴302に嵌入して該外槽3の外側に固着する。
【0024】
前記洗濯兼脱水槽6は、結合フランジ603を駆動装置7の外側回転軸701に結合し、流体バランスリング604が外槽カバー303の下側に位置するように前記外槽3内に回転可能に設置する。
【0025】
洗濯兼脱水槽6は、脱水した洗濯物を入れた状態で長時間にわたって高速回転させて冷風乾燥を行うときに洗濯兼脱水槽6内の洗濯物の分布の不均一に起因して軸振れ力が長時間にわたって発生する。この軸振れ力は、洗濯兼脱水槽6,駆動装置7の外側回転軸と701と内側回転軸702,外槽1に作用する。従って、これらを構成する部材、特に結合フランジ603,外側回転軸701と内側回転軸702とその軸受(図示省略),外槽1の底部は、強度を高めた形態にすることが望ましい。
【0026】
撹拌翼8は、図6に示すように、洗濯兼脱水槽6の胴部601の内径よりも僅かに小さい程度の大径の皿状部材であり、その表面は、中心部分を凸状に滑らかにわん曲させ、中程を凹状に滑らかにわん曲させ、外周部を滑らかに立ちあげるようにわん曲させ、更に凸条を放射状に形成した撹拌羽根801を形成し、中程から外周部にかけて多数の通気穴802を表裏方向に貫通するように形成し、その裏面には、放射状の洗濯水循環裏羽根803を形成した構成である。この撹拌翼8は、駆動装置7の内側回転軸702に嵌着して洗濯兼脱水槽6の底部の内側に回転可能に位置するように設置する。
【0027】
上カバー102に形成した衣類投入口102aは、外蓋9によって開閉可能に覆う。この外蓋9は、図7および図8に示すように、前後方向の略中央部位を折り目にして山折に折り曲げ可能に前側部材901と後側部材902をヒンジ903によって結合して構成し、後端部分に設けたヒンジ904を軸にして転角して衣類投入口102aを開閉するように上カバー102に取り付けて設ける。
【0028】
前側部材901は、その後縁部に、この上カバー102を山折にして開放操作するときに指をかける取っ手901aを備える。
【0029】
後側部材902は、前記折り目側に沿って弦を位置させた略半円形状の吸気窓910を備える。この吸気窓910は、折り目側に沿って弦を位置させて後側部材902に形成した略半円形状の吸気窓穴902aと、この吸気窓穴902a内に位置するように後側部材902に一体成型して設けた格子911と、この格子911の上側に位置するように後側部材902に着脱可能に設置したフィルタ912(図9参照)と、折り目側(弦側)に設けたヒンジ913を軸にして転角してフィルタ912を開閉可能に覆うように後側部材902に取り付けた透明または半透明の略半円形状の吸気窓蓋914(図10参照)を備える。吸気窓蓋914は、最後端縁に、開放操作するときに指をかける取っ手914aを設ける。ヒンジ913は、図示説明は省略するが、吸気窓蓋914を約45度および90度の角度に起立するように転角(開放)した状態で節度と発音を伴って静止させる静止機構を備える。
【0030】
フィルタ912は、多数の通風穴912aを備える。このフィルタ912は、吸気窓910における通気抵抗を大きく左右する。この通気抵抗を小さくするためには、吸気窓910およびフィルタ912の通風窓912aを大きくすれば良いが、外蓋9の大きさとの関係から制約を受ける。この実施の形態では、フィルタ912の通風穴912aの面積の総和は、流体バランスリング604の内側の開口面積の6%以上となるように形成している。より好ましくは、8%〜10%以上または7000mm2以上である。
【0031】
このように構成した給気窓910は、給気窓蓋914を閉じておくことによって洗濯および遠心脱水工程において内部で発生する騒音の放出を抑制することができ、また、フィルタ912の汚れ具合を目視することができる。
【0032】
冷風乾燥工程においては、給気窓蓋914を約45度の角度に起立させることにより、吸気窓蓋914は、吸気窓穴902aの前側に位置して弦側を下にして安定した姿勢で起立して吸気窓穴902aを開放して該吸気窓穴902aを通した吸気を小さな通気抵抗で容易に実現すると共に吸気窓穴902aから放出される騒音を後方に向けて反射(前方に広がるのを抑制)して使用者に伝わる騒音を軽減することができる。また、フィルタ912は、吸気窓穴902aからの塵埃の侵入を抑制する。そして、給気窓蓋914を約90度の角度に起立するように開放することにより、フィルタ912を清掃するための着脱を容易にする。吸気窓穴902aに設けた格子911は、吸気窓穴902aからの手指の進入を制限して安全性を高めるように機能する。
【0033】
この電気洗濯機の制御装置は、図11に示すように、操作パネル105は、電源スイッチ1051と、入力スイッチ群1052と、表示素子群1053を備える。入力スイッチ群1052は、各種の洗濯コースを設定するボタンスイッチ群と槽洗浄コースを設定するボタンスイッチと各種の冷風乾燥コースを設定するボタンスイッチ群を備え、表示素子群1053は、設定された洗濯コースや槽洗浄コースや冷風乾燥コースの表示とその進行状態を表示する表示灯群を備える。
【0034】
主制御回路106は、マイクロコンピュータ1061と負荷駆動装置1062を備え、前記電源スイッチ1051が投入されるとマイクロコンピュータ1061が起動して制御処理プログラムを実行し、前記操作パネル105における入力スイッチ群1052からの入力に従って洗濯コース,槽洗浄コースおよび冷風乾燥コースを設定し、洗濯水位センサー1071から出力される水位検出信号や槽振動検出センサー1073から出力される槽振動検出信号を参照して、給水電磁弁1072,排水電磁弁4および駆動装置7における駆動電動機703とクラッチ機構704を駆動するように負荷駆動装置1062を制御して洗濯,槽洗浄および冷風乾燥の制御を実行し、その進行状態を表示するように表示素子群1053を点灯/消灯制御する。
【0035】
洗濯コースが設定されているときには、マイクロコンピュータ1061は、布量・布質検出,洗濯水量・洗濯水流設定,洗い給水,洗い撹拌,排水,濯ぎ給水,濯ぎ撹拌,排水,遠心脱水の洗濯制御処理を実行するが、これは、従来の洗濯制御処理と同様であるので具体的な図示説明を省略する。
【0036】
槽洗浄コースが設定されているときには、マイクロコンピュータ1061は、給水して槽洗浄剤を溶解することにより生成した槽洗浄水を撹拌し、浸け置き、2回の濯ぎを行った後に排水状態で洗濯兼脱水槽6および撹拌翼8を脱水回転させる槽洗浄制御処理を実行するが、これは、従来の槽洗浄制御処理と同様であるので具体的な図示説明を省略する。
【0037】
冷風乾燥コースの設定は、遠心脱水した洗濯物を洗濯兼脱水槽6に入れ(または解した状態で残し)、吸気窓蓋914を開放した状態で設定する。そして、この冷風乾燥コースが設定されていると、マイクロコンピュータ1061は、排水電磁弁4を開放した状態で洗濯兼脱水槽6および撹拌翼8を脱水回転速度(870〜950rpmの高速度)で回転させる冷風乾燥運転制御を実行する。
【0038】
この冷風乾燥制御が実行されて洗濯兼脱水槽6と撹拌翼8が高速回転すると、洗濯物もこれらと一体的に回転して洗濯兼脱水槽6内の空気に触れた状態で該空気と高速度で相対移動することから該空気に水分を効率良く蒸発させる。
【0039】
ここで、洗濯兼脱水槽6と撹拌翼8と洗濯物が高速回転すると、洗濯兼脱水槽6内の空気はこれらとの摩擦力によって旋回し、更に、洗濯兼脱水槽6の凸条601bと撹拌翼8の撹拌羽根801と洗濯水循環裏羽根803が高速回転して遠心送風羽根車として機能することから、洗濯兼脱水槽6内の空気が旋回しながら該洗濯兼脱水槽6内の内周縁部に移動して上縁から溢れて外槽3内に流れ出し、脱水穴601aから外槽3内に吹き出し、撹拌翼8の洗濯水循環裏羽根803に引かれて該撹拌翼8の通気窓802から該撹拌翼8の裏側に移動した後に該撹拌翼8の外周縁と洗濯兼脱水槽6の内周面の隙間から該洗濯兼脱水槽6内の内周縁部に吹き出すと共に洗濯水循環ダクト605を通して該洗濯兼脱水槽6内の内周縁部に吹き出し、更には、洗濯兼脱水槽6の底部の水抜き穴602a,603aから外槽3内に吹き出す。
【0040】
外槽1内に吹き出した空気は、その一部は、底部に開口している排水口301から排水電磁弁4および排水ホース5を介して機外に流出し、他の一部は、外槽3の内壁に沿って上昇して外槽カバー303の通気窓穴303aを通して外枠1内に流れ出る。
【0041】
このようにして外枠1内に流れ出た空気は、外槽3との間の隙間を下降してベース103の下側から機外に流れ出す。
【0042】
このようにして洗濯兼脱水槽6内の空気が洗濯物から水分を蒸発させて機外に流れ出る空気の流れを良くするためには、機外から洗濯兼脱水槽6内に新しい空気を効率良く給気することが必要である。洗濯兼脱水槽6内の空気が流れ出すと該洗濯兼脱水槽6の中心部分が負圧状態になることから、この洗濯兼脱水槽6の中心部の上方に位置して開放している吸気窓910の吸気窓穴902aから機外の新しい空気が流れ込んで洗濯兼脱水槽6の中心部に効率良く流入(給気)することができる。
【0043】
このような冷風乾燥によれば、2〜3立方メートル/分の吸気流量を発生して乾燥度約102%の冷風乾燥を実現することができる。しかも、この冷風乾燥は、温風乾燥のように湿潤した温風を吹き出して生活環境を悪化させることがなく、また、洗濯物を熱収縮させることがない。
【0044】
冷風乾燥コースは、操作パネル105における入力スイッチ群1052を操作することによって、3時間コースと2時間コースと90分コースと60分コースと30分コースと洗濯兼脱水槽乾燥コースを設定することができるように構成する。
【0045】
そして、マイクロコンピュータ1061は、図12に示すように、ステップS1において3時間コースが設定されていることを確認すると、洗濯兼脱水槽6と撹拌翼8を20分間脱水回転(870rpmの高速度で一方向に連続回転)させた後に停止させ、撹拌翼8を1.0秒間回転,1.5秒間停止で2往復の正逆回転(布解し)を行った後に0.4秒間回転,0.4秒間停止で3往復の正逆回転(布均し)を行う布入替えを実行する制御ステップS2と、洗濯兼脱水槽6と撹拌翼8を10分間脱水回転(870rpmの高速度で一方向に連続回転)させた後に停止させ、撹拌翼8を1.0秒間回転,1.5秒間停止で2往復の正逆回転(布解し)を行った後に0.4秒間回転,0.4秒間停止で3往復の正逆回転(布均し)を行う布入替えを実行する制御ステップS3〜SS15を繰り返し、更に、洗濯兼脱水槽6と撹拌翼8を10分間脱水回転(870rpmの高速度で一方向に連続回転)させた後に停止させ、撹拌翼8を1.0秒間回転,2.0秒間停止で2往復の正逆回転(布解し)を行った後に0.4秒間回転,0.4秒間停止で3往復の正逆回転(布均し)を行う布入替えを実行する制御ステップS16〜S18を繰り返す制御処理を実行する。
【0046】
ステップS19において2時間コースが設定されていることを確認すると、前記制御ステップS7からの制御処理を実行する。
【0047】
ステップS20において90分コースが設定されていることを確認すると、前記制御ステップS10からの制御処理を実行する。
【0048】
ステップS21において60分コースが設定されていることを確認すると、前記制御ステップS13からの制御処理を実行する。
【0049】
ステップS22において30分コースが設定されていることを確認すると、前記制御ステップS16からの制御処理を実行する。
【0050】
この冷風乾燥コースにおいて、洗濯兼脱水槽6と撹拌翼8を脱水回転(870rpmの高速度で一方向に連続回転)させるときに、洗濯兼脱水槽6内の洗濯物が不均一に分布している状態で脱水回転起動すると、洗濯兼脱水槽6に作用する遠心力が偏心して外槽3に大きな振動が発生する。この外槽3の大きな振動を槽振動検出センサー1073が検出すると、マイクロコンピュータ1061は、最初の脱水回転(3時間コースにおける制御ステップS2,2時間コースにおける制御ステップS7,90分コースにおける制御ステップS10,60分コースにおける制御ステップS13,30分コースにおける制御ステップS16)における検出時には前記洗濯兼脱水槽6および撹拌翼8の回転を停止するように駆動装置7を制御すると共にエラー表示するように表示素子群1053を制御する。
【0051】
そして、最初の脱水回転以外の脱水回転起動時における大きな振動検出では、洗濯兼脱水槽6と撹拌翼8を停止させ、撹拌翼8を0.5秒間回転,1.5秒間停止で2往復の正逆回転(布解し)を行った後に回転力を小さくして0.4秒間回転,0.4秒間停止で3往復の正逆回転(布均し)を行う乾燥物(洗濯物)不均一修正制御を実行し、脱水回転を再起動する。この再起動時にも大きな振動が検出されたときには同様な乾燥物不均一修正制御を再実行した後に再起動する。この乾燥物不均一修正制御は、洗濯コースにおける洗濯物不均一修正制御の試行制限回数よりも多い20回まで繰り返して試行することにより、洗濯物の不均一分布により冷風乾燥コースが乾燥未了状態で停止してしまう不都合を防止するようにする。
【0052】
因に、この電気洗濯機の洗濯コースの遠心脱水における起動時に洗濯兼脱水槽6内の洗濯物(重量)の不均一な分布によって発生する外槽3の大きな振動を検出したときに実行する洗濯物不均一修正制御は、給水して撹拌翼8の往復回転を繰り返して洗濯物を均した後に排水して洗濯兼脱水槽6と撹拌翼8の遠心脱水回転を再起動し、この再起動時にも大きな振動が検出されたときには同様な洗濯物不均一修正制御を再実行した後に再起動する制御を3回(試行制限回数)まで繰り返して試行し、それでも高速回転可能状態に修正することができない(大きな振動が検出される)ときには、不均一修正不可能として遠心脱水を停止する。
【0053】
また、この冷風乾燥コースにおける脱水回転は、洗濯コースにおける遠心脱水回転よりも長時間に及び、洗濯物の不均一な分布によって発生する偏心した遠心力が長時間にわたって洗濯兼脱水槽6および外槽3に作用し、結合フランジ603,外側回転軸701と内側回転軸702とその軸受(図示省略),外槽1の底部などを曲げ疲労させる。従って、この曲げ疲労を軽減させるためには、冷風乾燥コースでは、槽振動検出センサー1073の検出感度を高める(またはマイクロコンピュータ1061の応答性を高める)ことにより、洗濯コースの脱水回転における大きな振動値よりも小さな振動値において乾燥物不均一修正制御を実行するように構成すると良い。また、このようにして洗濯物の分布の不均一性を小さくすることにより、騒音の発生を低減することもできる。
【0054】
そして、ステップS23において槽乾燥コースが設定されていることを確認すると、排水電磁弁4を開放した状態で洗濯兼脱水槽6と撹拌翼8を20分間脱水回転(950rpmの高速度で一方向に連続回転)させて洗濯兼脱水槽6や撹拌翼8に付着している水分を振り切ると共に外槽3内を通風乾燥する制御処理を実行してかびの発生を防止する。この槽乾燥コースは、洗濯兼脱水槽6内に洗濯物を入れない状態で設定して実行させる。
【0055】
この槽乾燥コースは、前述した槽洗浄コースにおける脱水回転として該槽洗浄コースにも組み入れて実行させると、かび発生防止効果を一層高めることができる。
【0056】
このような冷風乾燥コースを実行することによる洗濯物の乾燥特性を図13〜図15を参照して具体的に例示して説明する。洗濯物の乾燥特性は、洗濯物の布質と負荷量(布量)によって変化する。
【0057】
図13は、化繊(ポリエステル100%)の布製品を1時間コースと2時間コースと3時間コースで冷風乾燥させたときの負荷量と乾燥度の関係を示す特性図である。2時間コースと3時間コースを実行すれば2.0kgまでの洗濯物を約108%の乾燥度に乾燥させることができるが、1時間コースでは、乾燥度約106%から負荷量が増えるに従って次第に低下する傾向となる。
【0058】
図14は、混紡(ポリエステル85%/綿15%)の布製品を1時間コースと2時間コースと3時間コースで冷風乾燥させたときの負荷量と乾燥度の関係を示す特性図である。3時間コースを実行すれば2.0kgまでの洗濯物を約107%〜106%の乾燥度に乾燥させることができるが、2時間コースでは、乾燥度約105%〜102%の範囲で負荷量が増えるに従って次第に低下し、1時間コースでは、乾燥度約97%〜95%の範囲で負荷量が増える従って次第に低下する傾向となる。
【0059】
図15は、混紡(ポリエステル60%/綿40%)の布製品を1時間コースと2時間コースと3時間コースで冷風乾燥させたときの負荷量と乾燥度の関係を示す特性図である。3時間コースにおいては、乾燥度約106%〜102%の範囲で負荷量が増えるに従って次第に低下し、2時間コースでは、乾燥度約104%〜98%の範囲で負荷量が増えるに従って次第に低下し、1時間コースでは、乾燥度約96%〜90%の範囲で負荷量が増える従って次第に低下する傾向となる。
【0060】
このように、冷風乾燥特性は、洗濯物の布質と量によって異なるので、予め、乾燥に供されるであろう洗濯物の布質と量と乾燥時間を対応させた表を記載した取扱説明書を用意しておき、実際に乾燥するときにこの取扱説明書を参照して前述した冷風乾燥コースにおける乾燥時間を設定することができるようにすると便利である。
【0061】
【発明の効果】
本発明の電気洗濯機は、洗濯兼脱水槽を高速回転させて該洗濯兼脱水槽内に効率良く冷風を流通させて洗濯物を乾燥させる構成であるので、室内の空気の湿度の増加による生活環境の悪化を軽減することができる簡単な構成の洗濯乾燥式の電気洗濯機とすることができる。
【0062】
しかも、2立方メートル/分を越える冷風通気流量を実現して乾燥効率を高めることができる。例えば、100%を越える乾燥度が得られる乾燥を実現することができる。
【0063】
また、乾燥制御における高速回転起動時に外槽の大きな振動が発生したときには洗濯兼脱水槽および撹拌翼の回転を停止すると共に洗濯兼脱水槽を停止させた状態で撹拌翼を往復回転させて乾燥物を均して不均一な分布を修正するように駆動装置を制御する不均一修正制御を大きな振動を検出する度に実行するので、乾燥物の不均一分布によって冷風乾燥コースが乾燥未了状態で停止してしまう不都合を防止することができる。
【0064】
また、冷風乾燥コースにおける乾燥物の分布の不均一性を小さくして部材の曲げ疲労の軽減と騒音低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す電気洗濯機の外観斜視図である。
【図2】図1に示した電気洗濯機の縦断側面図である。
【図3】図1に示した電気洗濯機における上カバーを外した状態の外槽の平面図(a)と底部の縦断側面図である。
【図4】図1に示した電気洗濯機の外槽に設けた上カバーの平面図である。
【図5】図1に示した電気洗濯機における洗濯兼脱水槽の横断平面図である。
【図6】図1に示した電気洗濯機における撹拌翼の平面図(a)と縦断側面図である。
【図7】図1に示した電気洗濯機における上蓋の平面図である。
【図8】図7に示した上蓋の吸気窓蓋を閉じた状態を示す縦断側面図(a)と吸気窓蓋を開いた状態を示す縦断側面図(b)である。
【図9】図7に示した上蓋の吸気窓のフィルタの平面図(a)と縦断側面図(b)である。
【図10】図7に示した上蓋の吸気窓蓋の平面図(a)と縦断側面図(b)である。
【図11】図1に示した電気洗濯機における制御装置のブロック図である。
【図12】図1に示した電気洗濯機における制御装置が実行する冷風乾燥コースにおける制御処理を具体的に例示するフローチャートである。
【図13】図1に示した電気洗濯機において冷風乾燥コースを実行することによる洗濯物(ポリエステル100%)の乾燥特性図である。
【図14】図1に示した電気洗濯機において冷風乾燥コースを実行することによる洗濯物(ポリエステル85%/綿15%混紡)の乾燥特性図である。
【図15】
図1に示した電気洗濯機において冷風乾燥コースを実行することによる洗濯物(ポリエステル60%/綿40%混紡)の乾燥特性図である。
【符号の説明】
1…外枠、102…上カバー、102a…衣類投入口、105…操作パネル、1052…入力スイッチ群、1053…表示素子群、106…主制御回路、1061…マイクロコンピュータ、1072…排水電磁弁、1073…槽振動検出センサー、3…外槽、301…排水口、303…外槽カバー、303a…通気窓穴、6…洗濯兼脱水槽、601…胴部、601a…脱水穴、601b…凸条、602…底部、603…結合フランジ、602a,603a…水抜き穴、7…駆動装置、8…撹拌翼、801…撹拌羽根、802…通気穴、803…洗濯水循環裏羽根、9…外蓋、901…前側部材、902…後側部材、902a…吸気窓穴、910…吸気窓、911…格子、912…フィルタ、912a…通風穴、904…吸気窓蓋。
Claims (4)
- 内側に洗濯兼脱水槽を回転可能に設置した外槽と、前記洗濯兼脱水槽内の底部に回転可能に設けた撹拌翼と、前記洗濯兼脱水槽および/または撹拌翼を回転駆動する駆動装置と、給水装置と、排水装置と、制御装置と、これらを包囲および内蔵するように設け、前記外槽および洗濯兼脱水槽の開口に対向するように形成した衣類投入口を有する外枠と、前記衣類投入口を開閉する外蓋とを備え、前記制御装置は、前記外槽内に洗濯水を溜めるように前記給水装置と排水装置を制御し、前記撹拌翼を回転させて洗濯兼脱水槽内の洗濯物を洗濯するように前記駆動装置を制御し、前記外槽内の洗濯水を排水すると共に前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼を高速回転させて洗濯物を遠心脱水するように前記駆動装置を脱水制御し、この遠心脱水における高速回転起動時に外槽が大きく振動したときには前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼の回転を停止すると共に洗濯兼脱水槽を停止させた状態で撹拌翼を往復回転させて洗濯物を解して不均一な分布を修正するように前記駆動装置を不均一修正制御する電気洗濯機において、
前記外蓋は、外気を洗濯兼脱水槽に導く開閉可能な吸気窓を備え、
前記制御装置は、洗濯兼脱水槽および撹拌翼を一体的に高速回転させる通風運転と、洗濯兼脱水槽の回転を停止させた状態で撹拌翼を回転させる布入替え運転を繰り返し実行するように駆動装置を制御する乾燥制御を行うと共にこの乾燥制御における前記高速回転起動時に外槽の大きな振動が発生したときには前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼の回転を停止すると共に洗濯兼脱水槽を停止させた状態で前記撹拌翼を往復回転させて洗濯物を解して不均一な分布を修正するように前記駆動装置を不均一修正制御することを特徴とする電気洗濯機。 - 請求項1において、乾燥制御の不均一修正制御における撹拌翼の回転時間は布入替えにおける撹拌翼の回転時間よりも短くしたことを特徴とする電気洗濯機。
- 請求項1または2において、乾燥制御における不均一修正制御は、高速回転可能状態に修正するまでの試行制限回数を洗濯制御の遠心脱水における不均一修正試行制限回数よりも多くしたことを特徴とする電気洗濯機。
- 請求項1〜3の1項において、乾燥制御における不均一修正制御は、洗濯制御の遠心脱水において不均一修正制御を行う振動値よりも小さい振動値で実行するようにしたことを特徴とする電気洗濯機。
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