JP2004105013A - 肝細胞癌検出法 - Google Patents

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木下 盛敏
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Abstract

【課題】慢性肝炎患者における、肝細胞癌の検出法を提供すること。
【解決手段】被検組織における肝細胞癌低発現遺伝子の発現レベルを検出することを特徴とする、肝細胞癌の検出法および検出ツール。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、慢性肝炎患者等の被検組織における遺伝子の発現レベルの測定による肝細胞癌の検出法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在ウイルス性肝炎の患者は世界中で5億人とも言われている。特に、南アジアにおいては、人口の24.8%がB型もしくはC型肝炎に感染しており、その5%が慢性化している。さらに、この慢性型肝炎は約20年の長期間を経て肝細胞癌に移行することが知られている。
【0003】
肝細胞癌の検出及び診断は、現在、腹部超音波検査、腹部MRI検査、腹部CT、血管造影、血清中腫瘍マーカーの生化学的検査、肝生検などが広く行われているが、遺伝子レベルでの有効な方法はまだ知られていない。
【0004】
一方、癌化は、正常細胞が外界からの種々の要因によって影響を受け、遺伝子レベルでの変化あるいは変異を生じ、これがタンパクレベルに反映し、最終的に正常細胞の営みが破綻した結果の一つであって、ヒト肝細胞癌においても遺伝子レベルでの変化又は変異について、多くの報告が見受けられる。たとえば、c−mycについて、33.3%から36.4%の遺伝子発現量の増加が報告されている(たとえば非特許文献1および2参照。)。K−rasでは0%から16.7%の頻度で点突然変異が生じていることが報告されている(たとえば非特許文献3および4参照。)。P53でも23.1%から50%の頻度で点突然変異の生じることが報告されている(たとえば非特許文献5,6,7,8および9参照。)。さらに、Rbおよびp53では、ヘテロ接合(heterozygosity)の消失が、それぞれ42.9−43.1%及び50−52.9%で生じることが観察されている(たとえば非特許文献7,8,10および11参照。)。しかし、これらの遺伝子の変化の数値は、前癌性の肝炎が肝細胞癌に移行するメカニズムを解明するには十分なものではない。
【0005】
また、発現量の低下する遺伝子として、アルドラーゼB(たとえば非特許文献12参照。)、アルブミン(たとえば非特許文献13参照。)に関する報告がある。また、ラット肝発ガンモデルにおいて、カルバミルフォスフェート合成酵素1の発現量が癌の悪性度に比例して低下するという報告もある(たとえば非特許文献14参照。)。
【0006】
しかし、肝細胞癌を検出するための有効な方法は、未だ確立されていなかった。
【0007】
【非特許文献1】
オンコロジー(Oncology), 1999年, 57巻, p.157−163
【0008】
【非特許文献2】
ジャーナル オブ フォルモス メヂカル アソーシエイション (Journalof FormosMedic al Association), 1993年, 92巻, p.866−870
【0009】
【非特許文献3】
アンテイキャンサー リサーチ(Anticancer Research), 1995年, 15巻, p.859−861
【0010】
【非特許文献4】
オンコジーン (Oncogene), 1991年, 6巻, p.857−862
【0011】
【非特許文献5】
キャンサー (Cancer), 1994年, 74巻, p.30−37
【0012】
【非特許文献6】
ギャトロエンテロジー(Gatroenterlogy), 1999年, 117巻, p.154−160
【0013】
【非特許文献7】
ジャーナル オブ ヘパトロジー (Journal of Hepatology), 1993年,  19巻, p.312−315
【0014】
【非特許文献8】
ブリテイッシュ ジャーナル オブ キャンサー (British Journal of  Cancer), 1999年, 80巻, p.59−66
【0015】
【非特許文献9】
ジャーナル オブ ギャストロエンテロロジカル ヘパトロジー(Journal of Gastroenterological Hepatology), 1995, 年10巻, p.179−185
【0016】
【非特許文献10】
キャンサー リサーチ (Cancer Research), 1994年, 54巻, p.4177−4182
【0017】
【非特許文献11】
ヨーロピアン ジャーナル オブ キャンサー (European Jouranal of  Cancer), 1999年, 35巻, p.1730−1734
【0018】
【非特許文献12】
ジャーナル オブ クリニカル ラボラトリ アナリシス (Journal of Clinical laboratory analysis), 1994年, 8巻, p.144−148
【0019】
【非特許文献13】
ジャーナル オブ ヒストケミストリ アンド サイトケミストリ (Journal of Histochemistry and Cytochemistry), 1997年, 45巻, p.79−87
【0020】
【非特許文献14】
サイエンチア シニカ シリーズ ビ (Scientia Sinica Series B), 1988年, 31巻, p.197−203
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、肝細胞癌の有効な検出方法、より具体的には、遺伝子の発現レベルを測定することによる肝細胞癌の検出方法又は診断方法を提供することにある。さらに、肝細胞癌を検出するための有効な手段及び材料を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、慢性肝炎患者の肝臓における癌部位と非癌部位における遺伝子の発現レベルを網羅的に比較検討した。その結果、癌化により発現量の著しく低下する遺伝子が存在することを見出し、更に検討を重ねて、本発明を完成するに到った。
【0023】
即ち、本発明は、以下の事項に係る。
【0024】
項1:アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定することにより、肝細胞癌を検出することを特徴とする癌細胞の検出方法。
【0025】
項2:プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定することにより、肝細胞癌を検出することを特徴とする癌細胞の検出方法。
【0026】
項3:遺伝子の発現レベルの測定を、遺伝子転写物の測定により行う項1又は2のいずれかに記載の検出方法。
【0027】
項4:転写物から調製されたcDNAをもとに、該遺伝子DNAの全域または一部を増幅し定量化する工程を有する項3に記載の検出方法。
【0028】
項5:遺伝子の発現レベルの測定を、インベーダー法により行う項1又は2のいずれかに記載の検出方法。
【0029】
項6:転写物から調製された標識化cDNAに対して、固層化された当該遺伝子DNAの全域または一部とハイブリダイゼーションさせることにより発現レベルの測定がなされる項1又は2のいずれかに記載の検出方法。
【0030】
項7:被検組織が、慢性肝炎患者の肝組織である項1〜6のいずれかに記載の検出方法。
【0031】
項8:次の工程を含む肝細胞癌の判定方法。
【0032】
a)アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定する工程、
b)a)で測定した発現レベルとコントロールにおける前記遺伝子の発現レベルとを比較する工程。
【0033】
項9:次の工程を含む肝細胞癌の判定方法。
【0034】
a)プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定する工程、
b)a)で測定した発現レベルとコントロールにおける前記遺伝子の発現レベルとを比較する工程。
【0035】
項10:アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを定期的に測定することを特徴とする肝細胞癌の早期検出方法。
【0036】
項11:プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを定期的に測定することを特徴とする肝細胞癌の早期検出方法。
【0037】
項12:アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群を構成する遺伝子DNAの全域又はその一部を固層化してなる、遺伝子の発現レベルを測定するためのDNAチップ。
【0038】
項13:プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群を構成する遺伝子DNAの全域又はその一部を固層化してなる、遺伝子の発現レベルを測定するためのDNAチップ。
【0039】
項14:肝細胞癌を検出するための、項12又は13に記載のDNAチップ。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0041】
なお、本明細書におけるアミノ酸、蛋白質、塩基配列、核酸等の略号による表示は、IUPAC、IUBの規定、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書の作成のためのガイドライン」(特許庁編)及び当該分野における慣用記号に従うものとする。
【0042】
癌化により発現レベルが低下している遺伝子
本発明者が慢性肝炎患者の肝臓における癌部位と非癌部位における遺伝子の発現レベルを網羅的に比較検討した。
【0043】
具体的には、上記両組織から調製したmRNAをもとに、蛍光標識化したcDNAライブラリーを合成し、これを電気泳動にて分離した。次いで、両組織における蛍光強度の差異を調べ、癌部位における顕著な発現の低下が認められるものを、候補遺伝子としてピックアップした(図1)。次いで、該候補遺伝子をクローニングし、それらの塩基配列を決定した。更に、該候補遺伝子について、再度癌部位および非癌部位から調製したmRNA溶液を用いて、リアルタイムRT−PCRの手法で定量化を行い、実際に、肝細胞癌において低発現であることを確認した。
【0044】
この結果、8つの遺伝子が、肝細胞癌において発現レベルが低下している遺伝子であることが明らかになった。
【0045】
この8つの遺伝子について、GenBank遺伝子データベースを用いて解析した結果、配列表の配列番号1〜8に示す遺伝子であることがわかった。
【0046】
このうち、配列番号1で表される塩基配列を有する遺伝子は、アルドラーゼBをコードする遺伝子である。
【0047】
配列番号2で表される塩基配列を有する遺伝子は、カルバミルフォスフェート合成酵素Iをコードする遺伝子である。
【0048】
配列番号3で表される塩基配列を有する遺伝子は、プラスミノーゲンをコードする遺伝子である。
【0049】
配列番号4で表される塩基配列を有する遺伝子は、EST51549(GenBank Acc.No.AA345522)であって、その機能は未だ明らかにされていない。
【0050】
配列番号5で表される塩基配列を有する遺伝子は、アルブミンをコードする遺伝子である。
【0051】
配列番号6で表される塩基配列を有する遺伝子は、チトクロームP450サブファミリー2E1をコードする遺伝子である。
【0052】
配列番号7で表される塩基配列を有する遺伝子は、レチノール結合タンパク4をコードする遺伝子である。
【0053】
配列番号8で表される塩基配列を有する遺伝子は、オーガニックアニオントランスポーターCをコードする遺伝子である。
【0054】
該8つの遺伝子は、表1に示されるように、肝細胞癌における発現レベルが著しく低下していた。
【0055】
検出方法
本発明の検出方法は、慢性肝炎患者等の被検組織において上記8つの遺伝子の発現レベルを測定することを特徴とする。
【0056】
上述したように、該8つの遺伝子は、肝細胞癌における発現レベルが顕著に低下しており、これら遺伝子の発現レベルの変化を測定することによって、肝細胞癌等の癌細胞を検出することが可能となる。
【0057】
具体的には、アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定することにより、肝細胞癌を検出することができる。
【0058】
本発明の検出法は、8つの遺伝子のうちいずれか一つを含む遺伝子群の発現レベルの測定によって行ってもよく、或いは、8つの遺伝子のうちの数個の組合せを含む遺伝子群、又は8個全ての遺伝子を含む遺伝子群の発現レベルの測定によって、行ってもよい。
【0059】
8つのうち数個の組合せを含む遺伝子群を用いた検出法としては、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定することによる肝細胞癌の検出方法等が挙げられる。
【0060】
遺伝子の発現レベルを測定する方法は、従来公知の方法を適宜用いることができ、特に制限されることはない。
【0061】
具体的には、被検組織に存在する目的遺伝子の転写物を定量する方法、目的遺伝子の翻訳物を定量する方法などを挙げることができる。
【0062】
遺伝子の転写物を定量する方法とは、被検組織中からmRNAを抽出し、該遺伝子由来RNA量を測定する方法である。
【0063】
被検組織からのRNA抽出および精製は、常法に従って、行うことができるが、具体的には、以下のように、行うことができる。被検組織にフェノールとチオシアン酸グアニジンを含む溶液を添加し、溶解またはホモジナイズした後、クロロホルムを加え、遠心分離操作により上層の水溶液層と下層の有機層に分離する。RNAは、水層に回収されるため、上層を分取することによりRNAを回収する。次いで、回収液にたとえばイソプロパノールを添加し、RNAを沈殿せしめ洗浄することにより高純度のRNAを得る。抽出されたRNAは、トータルRNA(totalRNA)として用いてもよく、もしくは精製mRNAとして用いてもよい。
【0064】
該RNA量を測定する方法としては、RT−PCR、リアルタイムRT−PCR、インベーダー法、DNAアレイ、ノーザンブロット解析又はその他の各種方法等を挙げることができる。
【0065】
RT−PCRおよびリアルタイムRT−PCRは、mRNAから相補的DNA(cDNA)を合成し、適当なプライマーおよびDNAポリメラーゼ(一般的には耐熱性DNAポリメラーゼ)を用いて目的領域のDNAを合成するものである。通常、DNAの変性、アニール、伸長反応の工程を繰り返すことによって、DNAを増幅させることにより、RNA量を測定する。
【0066】
RT−PCRおよびリアルタイムRT−PCRにおいて使用されるプライマーは、目的遺伝子を特異的に増幅できる領域であれば、塩基配列中のどの領域を使用してもよく、また塩基配列の長さにも特に制限はない。通常は、20−30ヌクレオチドのものを使用する。
【0067】
また、リアルタイムRT−PCRにおいて使用されるDNA鎖と親和性を有する蛍光分子としては、CYBRグリーン(CYBR Green)、ピコグリーン(PicoGreen)、エチジウムブロマイドなどを例示することができ、好適にはCYBRグリーンが用いられる。
【0068】
RT−PCRおよびリアルタイムRT−PCRは、DNAを数10万倍に増幅でき、高感度であること、被検試料が微量ですむこと等の点から、好適に用いられる。
【0069】
また、インベーダー法とは、RNAまたはDNA上において、これと相補的なプローブ(インベーダープローブ)および非相補的な部分を5′側に持つ相補的プローブ(シグナルプローブ)を結合させることにより、この立体構造を認識する酵素クレアべーゼ(Cleavase)にてシグナルプローブを切断せしめる工程、および切断されたシグナルプローブのいずれかの断片を検出することにより遺伝子発現レベルを測定する工程からなる方法である。
【0070】
インベーダープローブとしては、目的転写物に対して相同的なものを用いればよく、特に塩基配列の長さに制限はない。また、シグナルプローブについても、インベーダープローブと転写物上で3重鎖構造を形成する塩基配列、具体的には5′側に非相補部位および3′側に相補部位を持ちクレアベーゼが立体構造を認識し切断できるよう設計されたプローブであれば、塩基配列の長さ等は特に制限されない。さらに、切断されたシグナルプローブ断片の測定法としては、例えばシグナルプローブ断片が転写物の非相補部位であれば、該断片と蛍光物質標識プローブによりクレアベーゼで切断せしめることにより得られた断片の蛍光シグナルを測定することにより転写物が定量化できる。この場合の蛍光物質標識プローブとしては、シグナルプローブ断片と相補的塩基配列を一部にもち、該断片がハイブリダイゼーションした時、上述と同様クレアベーゼ認識立体構造を形成するよう設計されたDNAプローブであって、切断遊離部分に発光物質が、また非切断部分に消光物質が標識化されており、未切断状態において発光シグナルを発しない状態のものであればよい。発光物質は、通常蛍光物質又はりん光物質等が好適に使用され、消光物質はCy3等が好適に使用される。シグナルプローブ断片が転写物の相補部位である場合は、例えば該断片に対して相補部分を含む固層化オリゴヌクレオチドに該遊離断片を捕獲させフルオレセインを取込ませ蛍光抗体法を用いて検出する方法等を例示することができ、市販の測定キットなどを用いて行うことができる。
【0071】
インベーダー法は、プローブ自体を標識化する必要がないという点、および増幅操作を要しないという点から、特に好適に用いられる。
【0072】
一方、遺伝子の翻訳物を定量する方法とは、目的遺伝子がコードするタンパク質を定量するものであって、該タンパクを特異的に認識する抗体を用いた免疫学的測定法、例えばウエスタンブロット解析、ラジオイムノアッセイ、ELISA法およびその他各種方法を用いてタンパク質量を定量することにより、実施することができる。
【0073】
上述のような転写物および翻訳物の測定値は、目的遺伝子の発現レベルを反映するものである。従って、該測定法を用いて、遺伝子発現レベルの低下した部位を調べることにより、肝細胞癌の検出を行うことができる。
【0074】
判定方法
上述した8つの遺伝子の発現レベルを測定することによって、肝細胞癌であるかの判定を行うこともできる。
【0075】
具体的には、次のように行うことができる。
【0076】
まず、アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームp450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定する。
【0077】
次に被検組織における該遺伝子の発現レベルと、コントロールにおける前記遺伝子の発現レベルとを比較し、コントロールに比べて発現レベルが低下している場合に、被検組織中に肝細胞癌等の癌細胞の存在する可能性が高いと判定することができる。
【0078】
本発明の判定方法は、8つの遺伝子のうちいずれか一つを含む遺伝子群の発現レベルの測定によって行ってもよく、或いは、8つの遺伝子のうちの数個の組合せを含む遺伝子群、又は8個全ての遺伝子を含む遺伝子群の発現レベルの測定によって、行ってもよい。
【0079】
8つのうち数個の組合せを含む遺伝子群を用いた判定方法としては、例えば、a)プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定する工程、b)a)で測定した発現レベルとコントロールにおける前記遺伝子の発現レベルとを比較する工程を有する肝細胞癌の判定方法等が挙げられる。
【0080】
コントロールは、判定の目的や手段に応じて適宜設定することができるが、例えば、健常者組織或いは慢性肝炎患者における肝組織の非癌部位又は末梢血単核球等を用いることができる。
【0081】
該判定方法は、肝炎患者の診断、治療などに有用に適用することができる。
【0082】
早期検出法
上述の8つの遺伝子の発現レベルの変化を調べることによって、肝細胞癌又は肝細胞癌に移行する可能性の高い部位の早期検出も行うことができる。
【0083】
具体的には、以下のように行うことができる。
【0084】
アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームp450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを定期的に測定し、該定期的な測定の結果、遺伝子の発現低下が見られる場合に、該被検部位を、肝細胞癌或いは肝細胞癌に移行する可能性の高い部位として検出することができる。
【0085】
本発明の早期検出法は、8つの遺伝子のうちいずれか一つを含む遺伝子群の発現レベルの測定によって行ってもよく、或いは、8つの遺伝子のうちの数個の組合せを含む遺伝子群、又は8個全ての遺伝子を含む遺伝子群の発現レベルの測定によって、行ってもよい。
【0086】
8つのうち数個の組合せを含む遺伝子群を用いた早期検出法としては、例えば、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを定期的に測定する方法等が挙げられる。
【0087】
定期的に行う間隔は、特に制限されるものではないが、例えば、半年もしくは1年の間隔で行うことができ、患者や被検者の状態によって適宜設定することができる。
【0088】
上記検出方法は、肝細胞癌の予防や治療、肝炎患者の予後の解析等に利用することができる。
【0089】
DNA チップ
上記検出方法並びに判定方法は、8つの遺伝子を含む遺伝子群を固層化したDNAチップを用いることによって、より効率よく行うことができる。
【0090】
遺伝子群を基板に固層化したものには、一般的にDNAアレイという名称もあり、これはさらにDNAマイクロアレイおよびDNAマクロアレイに分類されるが、本発明におけるDNAチップには、該DNAアレイも包含される。
【0091】
本発明のDNAチップは、目的遺伝子DNAの全域又はその一部を合成し、該DNAを支持体に固層化することによって、製造することができる。
【0092】
DNAチップにおける支持体(または基盤)としては、DNAを固層化できるものであれば特に制限はなく、シリコンチップ、スライドガラスおよびナイロン膜などを例示することができる。また、固層化においては、一般に用いられる方法であれば特に制限はなく、好適には、スポッターまたはアレイヤーなどを用いてDNAをスポットする方法、または支持体上で順次ヌクレオチド合成を行う方法を例示することができる。
【0093】
固層化する遺伝子のDNAとしては、上記8つの遺伝子転写物より調製された標識化cDNAと特異的にハイブリダイゼーションするものであれば、領域および塩基配列の長さは特に制限されない。PCR産物、合成オリゴヌクレオチド或いはその部分断片なども好適に用いることができる。具体的には、アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群を構成する遺伝子DNAの全域又はその一部を上述したような方法によって固層化することによって、製造することができる。
【0094】
本発明のDNAチップにおいては、8つの遺伝子のうちのいずれか1つを含む遺伝子群を固層化して用いてよく、また、8つの遺伝子のうち数個の組合せを含む遺伝子群、或いは8個全てを含む遺伝子群を固層化して用いてもよい。
【0095】
8つのうち数個の組合せを含む遺伝子群を固層化したDNAチップとしては、例えば、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群を構成する遺伝子DNAの全域又はその一部を固層化してなる、遺伝子の発現レベルを測定するためのDNAチップ等が挙げられる。
【0096】
8つの遺伝子は、肝細胞癌における発現レベルの低下が見られるものであることから、本発明のDNAチップは、特に肝細胞癌検出用または肝細胞癌判定用として、特に好適に用いることができる。
【0097】
本発明における検出法、判定方法およびDNAチップ製造において用いられる種々の操作、例えばDNAにおける化学合成、切断、削除、結合あるいは付加、および転写物にあっては、cDNA合成に用いる酵素、あるいは単離、精製、または増幅、複製などは、本願出願前公知の情報に従って行うことができる。また、得られる塩基配列決定あるいは配列確認は、例えばジデオキシ法やマキサムギルバート法に従って行うことができる。
【0098】
【実施例】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
【0099】
1.肝細胞癌低発現遺伝子の決定
試料として、ウイルス性慢性肝炎患者の肝臓組織における肝細胞癌病変部の細胞(B型2、C型2)および、同一肝臓組織における非癌部位の細胞を用いた。まず、肝炎患者から採取した癌組織および非癌化組織からトータルRNAを抽出した。次いで、トータルRNAの1ugに、3’側部分ROX蛍光標識化オリゴ−dT(oligo−dT;GT15MG, GT15MA, GT15MT, GT15MC:MはG, A, C の混合/グライナーラボルテクニック ジャパン /日本、ジエチルピロカルボネート処理水11ul中に50pmol含む。)を加え、70℃で10分間処理を行い、さらに以下の組成からなる溶液Aを加え、最終容量20ulとした。
(溶液Aの組成)
5Xファーストストランドバッファー(first strand buffer)(0.25M tris−HCl,pH7.5; 0.375 mol/L KCl; 0.05 mol/Lジチオトレイトール(dithiothreitol)および0.015 mol/L)4 ul、0.1 mol/Lジチオトレイトール 2 ul、2.5 mmol/L デオキシヌクレオチドトリフォスフェート(deoxynucleotide triphosphates(dNTPs))1ul、リボヌクレアーゼ インヒビター(40ユニット;和光純薬工業株式会社(Wako Pure Chemical Industries, Japan))1ulおよびスーパースクリプトIIリバーストランスクリプターゼ(superscript II reverse transcriptase)(200ユニット;BRL, USA) 1ul。
【0100】
上記RNA溶液を、42℃で一時間反応させ、cDNAを合成した後、ジエチルピロカルボネート処理水80ulを添加し、5倍に希釈した。cDNAはPCRにより増幅した。添加試薬および反応条件を以下に示す。
【0101】
添加試薬:反応液2ul、10xPCRバッファー(100mmol/L Tris−HCl、15 mmol/L MgCl2、500 mmol/L および1mg/ml geratin,pH8.5) 2ul、2.5 mmol/L dNTPs 1.6 ul、Taq DNAポリメラーゼ(polymerase)(5 ユニット/ul; Roche MolecularSystems, NJ)0.2ul、5 pmol 3’側ROX蛍光標識化オリゴ−dTプライマーおよび10 pmol
5’側ROX蛍光標識化オリゴ−dTプライマー。
【0102】
反応条件:1サイクル 95℃/3分間、40℃/5分間、72℃/5分間、2−40サイクル 95℃/30秒間、40℃/2分間、72℃/5分間。
【0103】
合成終了後、反応液は、7.5M 尿素を含む6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、泳動ゲルを行い、FM BIO IIイメージング アナライザー(宝酒造株式会社))上にて、解析したところ、非癌組織と比較して癌組織における蛍光強度に差異があり、癌組織において発現レベルが低下していると考えられる遺伝子(矢印)が種々確認された(図1)。該蛍光強度に差異のみられるバンド部分を切断し、次いで、この切断フラグメントをTE バッファー100ul中で一時間浸透することにより、DNAの抽出を行った。その後、該抽出液をテンプレートとして、PCRにより再増幅を行った。反応条件は上記PCRと同様とした。
【0104】
2回目のPCR産物に関しては、3%アガロースゲル電気泳動後、バンド部分を切断し、GFX PCR DNAおよびGel Band Purification Kit(Amersham Pharmacia Biotech, NJ)を用いて回収した。再増幅DNAsは、TAクローニングベクターpCRII(Invitrogen Japan, Japan)を用いて、クローニングを行った。そして、両DNA鎖はABI377(Applied Biosystems, USA)を用いて塩基配列を決定した。
【0105】
以上の工程より、肝細胞癌組織において顕著に発現量の低下している8つの遺伝子を見出した。該遺伝子の塩基配列をGenBankで解析した結果、該遺伝子が、配列番号1〜8で表される塩基配列を有する遺伝子、具体的には、アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームp450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子であることがわかった。
【0106】
2.肝細胞癌低発現遺伝子の癌細胞における発現量の測定
慢性肝炎患者由来肝細胞癌組織(20検体)から抽出し、調製されたトータルRNAをもとに、リアルタイムRT−PCRを行った。
【0107】
即ち、トータルRNA溶液に対して、10X反応バッファー(Taq polymerase,dNTP., MgCl2および CYBRグリーンフルオレッセント(Green fluorescent(Roche Diagnostics))を2 ul、テンプレートcDNAを2ulおよびオリゴヌクレオチドプライマーを含む溶液20ulを用いて増幅反応を行った。
【0108】
反応条件は、95℃/10秒間、65℃/10秒間、72℃/30秒間を40サイクルとした。PCR増幅装置は、ライトサイクラー(Light Cycler;Roche Diagnostics, Germany)を使用した。
【0109】
測定された遺伝子の発現レベルを、同一慢性肝炎患者の非癌組織部分の細胞における同じ遺伝子の発現レベルと比較し、その結果を表1に示した。
【0110】
【表1】
Figure 2004105013
【0111】
表1において、HBVはB型肝炎ウイルスを、HCVはC型肝炎ウイルスを示す。
【0112】
また、(+)は、感染していることを、(−)は非感染であることを示す。
【0113】
表1における数値は、分子が、50%以上発現レベル低下した患者数を、分母が全被検患者数を示す。また、()内の数値は、50%以上発現レベルの低下した患者の全被検患者に対する割合を示す。
【0114】
表1の結果に示されるように、慢性肝炎の種類に関係なく、肝細胞癌では8遺伝子の発現レベルが50%以上という高率において低下していることが明らかになった。
【0115】
【発明の効果】
本発明に示されるように、肝細胞癌においては、アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子の発現レベルが低下しており、該遺伝子の発現レベルを測定することにより、肝細胞癌の検出を適切に行うことが可能となる。また、該遺伝子のDNAまたはその一部を固層化することにより、同検出法の有用なツールが提供される。
【0116】
また、該遺伝子の発現レベルを測定することによって、肝細胞癌の判定や早期検出を適切に行うことができ、肝細胞癌の予防、診断又は治療、並びに慢性肝炎の予後の解析などに応用することができる。
【0117】
【配列表】
Figure 2004105013
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、肝細胞癌および非癌組織部分における遺伝子発現レベルを比較した電気泳動の図である。
GTVCはアンカープライマーを、APはアービタリープライマーを示す。
A−Dは被験患者を示す。また、A,BはB型ウイルス感染患者を、C,DはC型ウイルス感染患者を示す。
レーンNは、非癌組織を、レーンTは癌組織から調製した試料の電気泳動パターンである。また、Mは分子量マーカーを示す。
矢印は、電気泳動上肝細胞癌において発現量が低下しているバンドを示す。

Claims (14)

  1. アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定することにより、肝細胞癌を検出することを特徴とする癌細胞の検出方法。
  2. プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定することにより、肝細胞癌を検出することを特徴とする癌細胞の検出方法。
  3. 遺伝子の発現レベルの測定を、遺伝子転写物の測定により行う請求項1又は2のいずれかに記載の検出方法。
  4. 転写物から調製されたcDNAをもとに、該遺伝子DNAの全域または一部を増幅し定量化する工程を有する請求項3に記載の検出方法。
  5. 遺伝子の発現レベルの測定を、インベーダー法により行う請求項1又は2のいずれかに記載の検出方法。
  6. 転写物から調製された標識化cDNAに対して、固層化された当該遺伝子DNAの全域または一部とハイブリダイゼーションさせることにより発現レベルの測定がなされる請求項1又は2のいずれかに記載の検出方法。
  7. 被検組織が、慢性肝炎患者の肝組織である請求項1〜6のいずれかに記載の検出方法。
  8. 次の工程を含む肝細胞癌の判定方法。
    a)アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定する工程、
    b)a)で測定した発現レベルとコントロールにおける前記遺伝子の発現レベルとを比較する工程。
  9. 次の工程を含む肝細胞癌の判定方法。
    a)プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを測定する工程、
    b)a)で測定した発現レベルとコントロールにおける前記遺伝子の発現レベルとを比較する工程。
  10. アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを定期的に測定することを特徴とする肝細胞癌の早期検出方法。
  11. プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群の被検組織における発現レベルを定期的に測定することを特徴とする肝細胞癌の早期検出方法。
  12. アルドラーゼB遺伝子、カルバミルフォスフェート合成酵素I遺伝子、プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、アルブミン遺伝子、チトクロームP450サブファミリー2E1遺伝子、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群を構成する遺伝子DNAの全域又はその一部を固層化してなる、遺伝子の発現レベルを測定するためのDNAチップ。
  13. プラスミノーゲン遺伝子、EST51549、レチノール結合タンパク4遺伝子又はオーガニックアニオントランスポーターC遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子を含む遺伝子群を構成する遺伝子DNAの全域又はその一部を固層化してなる、遺伝子の発現レベルを測定するためのDNAチップ。
  14. 肝細胞癌を検出するための、請求項12又は13に記載のDNAチップ。
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