JP2004104853A - モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ステータコアから発生する外部磁場の漏れが大きく、効率の高いモータを実現することが出来なかった。
【解決手段】ロータ14と、励磁用のステータコア22を含むモータであって、ステータコア22は、U字型に屈曲した鋼板30の積層体を含んでなり、そのU字型の積層体は、そのU字型の両突端部34をロータ14の中心軸28の方向に向けて配置され、ロータ14は、ステータコア22に含まれるU字型に屈曲した積層体の両突端部34から所定のギャップを有するように配置されたロータコア24を含み、ロータコア24は、ステータコア22に含まれるU字型の屈曲した積層体の両突端部34間を跨ぐ鋼板32の積層体を含み、その鋼板32の積層体は、ステータコア22によってギャップに発生させられる外部磁場36の磁力線に対して略平行方向に鋼板32を積層してなるモータによって上記課題を解決することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ロータ14と、励磁用のステータコア22を含むモータであって、ステータコア22は、U字型に屈曲した鋼板30の積層体を含んでなり、そのU字型の積層体は、そのU字型の両突端部34をロータ14の中心軸28の方向に向けて配置され、ロータ14は、ステータコア22に含まれるU字型に屈曲した積層体の両突端部34から所定のギャップを有するように配置されたロータコア24を含み、ロータコア24は、ステータコア22に含まれるU字型の屈曲した積層体の両突端部34間を跨ぐ鋼板32の積層体を含み、その鋼板32の積層体は、ステータコア22によってギャップに発生させられる外部磁場36の磁力線に対して略平行方向に鋼板32を積層してなるモータによって上記課題を解決することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板の積層体を含むロータを備えたスイッチド・リラクタンスモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
モータの一種であるスイッチド・リラクタンスモータ(以下、SRモータという)は、構造が簡単であり、堅固、安価な特徴を有している。
【0003】
従来のSRモータの構造は、図7のように、筒状のステータ10の内部に、ステータ10の中心軸と同軸上に回転軸を有するロータ14が配置されるものとなっている。ステータ10には、内向きに突出する複数の突極12が設けられ、その突極12にはコイル16(巻線)が巻かれている。ロータ14には、外向きに突出する複数の突極18が設けられている(例えば、特開平9−92521号公報、特開平10−112964号公報)。
【0004】
対向する一対の突極12のコイル16に電流を流し、突極12からロータ14の突極18へ向けて磁力線を有する磁場を発生させることによって、ロータ14の突極18をステータ10の突極12へ引き付けることでロータ14の回転トルクを発生させる。突極12を順次選択し、コイル16に電流を流すことによって、その突極12にロータ14の突極18が引き付けられ、ロータ14を回転させることができる。
【0005】
しかしながら、このようなSRモータにおいては、ステータ10の突極12から発生した磁場は、図7の破線矢印で示すように、ロータ14を貫き、さらにステータ10の外周部を回る閉磁場回路を形成する。ステータ10の内部磁場の方向は励磁される突極12の選択によって変化し、ステータ10内部に渦電流が発生し、その鉄損によってモータの効率が低下する問題があった。
【0006】
また、ステータ10が複雑な突極12を有し、ステータ10を一体成形することは困難であるため、図8(a)に示すように、電磁鋼板等を打ち抜いてコア材20を作成し、図8(b)に示すように、そのコア材20をロータの回転軸方向に積層してステータ10を形成する。しかしながら、コア材20を打ち抜いた部分の材料が無駄になり、製作コストが高くなる問題があった。
【0007】
さらに、励磁される突極12とロータコアとの相対的な位置関係により、ステータ10内部の磁場の方向が刻々と変化するため、ステータ10の材料として方向性磁性鋼板を用いる利点がなかった。
【0008】
これに対して、図9のように、鋼板をU字型に積層したステータコア22及びロータコア24を有するSRモータが開発されている。ステータコア22及びロータコア24をU字型の鋼板の積層体とすることによって、そのU字型の突端部を互いに突き合わした一対のステータコア22及びロータコア24で閉磁場回路が形成される。従って、励磁されるステータコア22の選択によるステータコア22及びロータコア24の内部磁場の向きの変化も小さく、渦電流の発生を抑制することができる。
【0009】
さらに、内部磁場の向きがほぼ一定であるため、ステータコア22及びロータコア24の材料として方向性磁性鋼板を用いる利点がある。すなわち、その内部磁場の方向に容易磁化方向を向けることによって、ステータコア22によって発生した磁場を有効に利用することができ、モータの効率を向上することができる。
【0010】
また、図10のように、鋼板間に絶縁体を挟み込みながら巻き積層した積層体を作製し、その巻積層体を2分割することで、U字型のステータコア22又はロータコア24を製造できる利点がある。さらに、鋼板の打ち抜き等も必要としないため、材料の歩留まりも向上する。
【0011】
【特許文献1】特開平9−92521号公報
【特許文献2】特開平10−112964号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、U字型のステータコア22及びロータコア24を用いた従来のSRモータにおいては、ステータコア22の突端部と、それに対向するロータコア24の突端部の面積が等しいため、図11のように、ロータコア24により外部磁場36を効率良く受けることができず、漏れ磁束が大きくなる。そのため、ロータ14に生ずる回転トルク及びモータの効率が低減する。
【0013】
また、鋼板の巻積層体を2分割してステータコア22及びロータコア24を製造する場合、それらのU字型の突端部を所定の曲率に整形するために、突端部を研削する必要があった。ステータコア22及びロータコア24ともに、その研削工程を必要とするために生産コストが上昇する問題があった。
【0014】
本発明は、上記従来技術の問題を解決するために、ステータコアによってステータコアとロータコアのギャップに発生する外部磁場の漏れを低減し、高い回転トルク及び効率を有するSRモータを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、ロータコアを含み、回転軸を中心に回転するロータと、外部磁場を発生させるために、前記ロータの周囲を取り囲むように配置されたステータコアであって、U字型に屈曲した鋼板を積層し、そのU字型の両突端部を前記ロータの回転軸の方向に向けて配置されたステータコアと、を含むモータであって、前記ロータコアは、前記ロータの外周と回転軸とを結ぶ方向に対して略平行に向けられた鋼板を積層した鋼板積層体を含み、その鋼板積層体は、前記ステータコアのU字型の両突端部間を跨ぐように配置されることを特徴とする。
【0016】
さらに、上記モータにおいて、前記ロータコアに含まれる鋼板積層体は、方向性磁性鋼板を含み、前記ステータコアのU字型の両突端部間を跨ぐ方向に容易磁化方向を向けて配置されることが好適である。
【0017】
さらに、上記モータにおいて、前記ロータコアに含まれる鋼板積層体は、前記ステータコアのU字型の両突端部間の略中央に対向する位置に固定用の溝を有し、その固定用の溝を用いて前記ロータに固定されることが好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態におけるスイッチド・リラクタンスモータは、図1のように、ステータ10、ロータ14、コイル16、ステータコア22、ロータコア24及びベアリング26から基本的に構成される。
【0019】
ロータ14は、平板状に薄型化されて形成されており、その中心軸28をベアリング26を介してモータケースに回転可能に設置されている。ロータ14は、ロータコア24を含んでいる。ロータコア24の構造及び配置については後述する。
【0020】
ロータ14に含まれるロータコア24の数は、ステータコア22の数と互いに倍数の関係にならないように決められる。例えば、図1のように、ロータコア24が4つである場合には、ステータコア22を3つとする。この他、ステータコア22極数/ロータコア24極数を、12/8、8/6又は6/4等の組み合わせとすることが好適である。
【0021】
ステータ10は、ロータ14の周囲を取り囲むように設置される。ステータ10には、ステータコア22が設けられる。
【0022】
ステータコア22は、各々がU字型に屈曲した鋼板30の積層体を含んでなる。鋼板30間に電気的な導通が無いように、各鋼板30間にはワニス等の絶縁体が挟み込まれる。鋼板30の積層体は、硬化樹脂等によって一体に形成することができる。U字型の鋼板30の積層体は、その両突端部34をロータ14の中心軸28に向けて配置される。U字型の鋼板30の積層体の凹部には、励磁用のコイル16が設けられる。
【0023】
ここで、図2(a)のように、ステータコア22を複数積層して、複数のステータコア22に共通のコイル16を設けても良い。複数のステータコア22に共通のコイル16を設けることによって、図2(b)のように、1つのステータコア22に1つのコイル16を設けたときに生ずるコイル16の突出部を無くすことができる。また、突端部34の総断面積を等しくするために必要な鋼板30の積層枚数は、ステータコア22が単一の場合よりも複数積層した場合の方が少なくすることができる。そのため、同一の磁場を発生できるステータコア22のサイズを小さくすることができるため、モータのサイズに対する出力の比を大きくすることが可能となる。
【0024】
ロータコア24は、図1(b)に示すように、U字型のステータコア22における両突端部34の間を跨ぐように配置された鋼板32を積層した積層体を含んでなる。この積層体は、図3のように、ステータコア22から発生する外部磁場36の磁力線方向にほぼ平行な方向に向けられた鋼板32を積層してなる。鋼板32は、鋼板32間において電気的な導通が生じないように、各鋼板32間にワニス等の絶縁体を挟み込んで積層され、樹脂等によって一体に形成することができる。
【0025】
ロータコア24は、ステータコア22のU字型の突端部から所定の間隙(ギャップ)を有して配置される。ステータコア22の突端部から発生する外部磁場の磁束漏れを抑制するためにも、この間隙は出来る限り小さくすることが好ましい。
【0026】
また、鋼板32の積層体には、図3のように、相対するステータコア22のU字型の両突端部34間の中央付近に固定用の溝38を設けることが好ましい。このとき、鋼板32内を通る磁束を遮断しないために、溝38はできるだけ浅く設けることが好適である。図4のように、この固定用の溝38にガラスファイバ等の固定帯40を巻くことによって、ロータコア24をロータ14に固定することができる。
【0027】
また、鋼板32は強磁性体材料を含むことが好ましい。例えば、軟性磁性体であるフェライト等の鉄系酸化物を用いることが好適である。
【0028】
さらに、鋼板32は方向性磁性鋼板であることが好ましい。鋼板32として方向性磁性鋼板を用いる場合には、図5の矢印方向に向けて、U字型のステータコア22の両突端部34を跨ぐ方向に容易磁化方向を向けて配置することが好ましい。
【0029】
また、図3及び図4のように、鋼板32をロータ14の外周の曲率に合わせてずらしながら積層することによって、ロータコア24を製造する際の研削工程が不要となり、生産コストを低減することができる。
【0030】
本実施の形態におけるスイッチド・リラクタンスモータの動作を以下に説明する。
【0031】
ステータコア22に巻かれたコイル16に電流を流すと、ステータコア22の突端部の一方からロータ14の中心軸28に対して略直角方向に外部磁場36が発生する。外部磁場36の磁力線は、近傍にあるロータコア24に含まれる鋼板32の積層体で受けられ、鋼板32の積層体を介してステータコア22のもう一方の突端部と閉磁場回路が形成される。その結果、ステータコア22とロータコア24とが互いに引き寄せられる。
【0032】
ステータコア22をモータの回転方向に順次選択し、そのステータコア22に設けられたコイル16に電流を流すことによって、そのステータコア22の近傍にあるロータコア24が引き付けられ、ロータ14が回転する。
【0033】
ここで、ステータコア22のU字型の突端部34を跨ぐようにロータコア24が設けられているため、図6のように、外部磁場36を受けるロータコア24の面積が大きくなり、外部磁場36の漏れを少なくすることができる。さらに、ロータコア24の固定用の溝38をロータコア24の中心付近に設けることによって、ステータコア22の突端部34に対向するロータコア24の面積を大きくすることができるため、より漏れ磁束を抑制することができる。
【0034】
また、ロータコア24に含まれる鋼板32を方向性磁性鋼板とした場合には、ロータコア24とステータコア22によって形成される閉磁場回路の磁力線方向と容易磁化方向とを一致させることができるため、ロータコア24内における磁束が強くなり、モータの鉄損が低減される。また、外部磁場36の磁束方向と平行に鋼板32が積層されているため、鋼板32間の絶縁物によって渦電流の流れが遮断され、渦電流の発生を抑制することもできる。
【0035】
以上のように、本発明によれば、製造が容易であり、材料の歩留まりが高いU字型のステータコアを用いたモータにおいて、ステータコアから発生した外部磁場の漏れを低減することができ、モータの回転効率を向上することが可能となる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、漏れ磁束を低減することによって、モータの効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるモータの構造を示す(a)平面図及び(b)側断面図である。
【図2】積層されたステータコアを説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるロータコア及びステータコアの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるロータコアのロータへの固定方法を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における方向性磁性鋼板を用いたロータコアの構成を示す図である。
【図6】本実施の形態における磁束の流れを示す図である。
【図7】従来のSRモータの構造を示す平面図である。
【図8】従来のSRモータのコア材の構造及び組み立てを示す図である。
【図9】従来のSRモータの構造を示す(a)平面図及び(b)側断面図である。
【図10】従来のSRモータのステータコア及びロータコアの製造方法を説明する図である。
【図11】U字型のステータコア及びロータコアを有するモータにおける磁束の流れを示す図である。
【符号の説明】
10 ステータ、12 突極、14 ロータ、16 コイル、18 突極、20 コア材、22 ステータコア、24 ロータコア、26 ベアリング、28中心軸、30 ステータコアに含まれる鋼板、32 ロータコアに含まれる鋼板、34 突端部、36 外部磁場、38 固定用の溝、40 固定帯。
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板の積層体を含むロータを備えたスイッチド・リラクタンスモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
モータの一種であるスイッチド・リラクタンスモータ(以下、SRモータという)は、構造が簡単であり、堅固、安価な特徴を有している。
【0003】
従来のSRモータの構造は、図7のように、筒状のステータ10の内部に、ステータ10の中心軸と同軸上に回転軸を有するロータ14が配置されるものとなっている。ステータ10には、内向きに突出する複数の突極12が設けられ、その突極12にはコイル16(巻線)が巻かれている。ロータ14には、外向きに突出する複数の突極18が設けられている(例えば、特開平9−92521号公報、特開平10−112964号公報)。
【0004】
対向する一対の突極12のコイル16に電流を流し、突極12からロータ14の突極18へ向けて磁力線を有する磁場を発生させることによって、ロータ14の突極18をステータ10の突極12へ引き付けることでロータ14の回転トルクを発生させる。突極12を順次選択し、コイル16に電流を流すことによって、その突極12にロータ14の突極18が引き付けられ、ロータ14を回転させることができる。
【0005】
しかしながら、このようなSRモータにおいては、ステータ10の突極12から発生した磁場は、図7の破線矢印で示すように、ロータ14を貫き、さらにステータ10の外周部を回る閉磁場回路を形成する。ステータ10の内部磁場の方向は励磁される突極12の選択によって変化し、ステータ10内部に渦電流が発生し、その鉄損によってモータの効率が低下する問題があった。
【0006】
また、ステータ10が複雑な突極12を有し、ステータ10を一体成形することは困難であるため、図8(a)に示すように、電磁鋼板等を打ち抜いてコア材20を作成し、図8(b)に示すように、そのコア材20をロータの回転軸方向に積層してステータ10を形成する。しかしながら、コア材20を打ち抜いた部分の材料が無駄になり、製作コストが高くなる問題があった。
【0007】
さらに、励磁される突極12とロータコアとの相対的な位置関係により、ステータ10内部の磁場の方向が刻々と変化するため、ステータ10の材料として方向性磁性鋼板を用いる利点がなかった。
【0008】
これに対して、図9のように、鋼板をU字型に積層したステータコア22及びロータコア24を有するSRモータが開発されている。ステータコア22及びロータコア24をU字型の鋼板の積層体とすることによって、そのU字型の突端部を互いに突き合わした一対のステータコア22及びロータコア24で閉磁場回路が形成される。従って、励磁されるステータコア22の選択によるステータコア22及びロータコア24の内部磁場の向きの変化も小さく、渦電流の発生を抑制することができる。
【0009】
さらに、内部磁場の向きがほぼ一定であるため、ステータコア22及びロータコア24の材料として方向性磁性鋼板を用いる利点がある。すなわち、その内部磁場の方向に容易磁化方向を向けることによって、ステータコア22によって発生した磁場を有効に利用することができ、モータの効率を向上することができる。
【0010】
また、図10のように、鋼板間に絶縁体を挟み込みながら巻き積層した積層体を作製し、その巻積層体を2分割することで、U字型のステータコア22又はロータコア24を製造できる利点がある。さらに、鋼板の打ち抜き等も必要としないため、材料の歩留まりも向上する。
【0011】
【特許文献1】特開平9−92521号公報
【特許文献2】特開平10−112964号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、U字型のステータコア22及びロータコア24を用いた従来のSRモータにおいては、ステータコア22の突端部と、それに対向するロータコア24の突端部の面積が等しいため、図11のように、ロータコア24により外部磁場36を効率良く受けることができず、漏れ磁束が大きくなる。そのため、ロータ14に生ずる回転トルク及びモータの効率が低減する。
【0013】
また、鋼板の巻積層体を2分割してステータコア22及びロータコア24を製造する場合、それらのU字型の突端部を所定の曲率に整形するために、突端部を研削する必要があった。ステータコア22及びロータコア24ともに、その研削工程を必要とするために生産コストが上昇する問題があった。
【0014】
本発明は、上記従来技術の問題を解決するために、ステータコアによってステータコアとロータコアのギャップに発生する外部磁場の漏れを低減し、高い回転トルク及び効率を有するSRモータを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、ロータコアを含み、回転軸を中心に回転するロータと、外部磁場を発生させるために、前記ロータの周囲を取り囲むように配置されたステータコアであって、U字型に屈曲した鋼板を積層し、そのU字型の両突端部を前記ロータの回転軸の方向に向けて配置されたステータコアと、を含むモータであって、前記ロータコアは、前記ロータの外周と回転軸とを結ぶ方向に対して略平行に向けられた鋼板を積層した鋼板積層体を含み、その鋼板積層体は、前記ステータコアのU字型の両突端部間を跨ぐように配置されることを特徴とする。
【0016】
さらに、上記モータにおいて、前記ロータコアに含まれる鋼板積層体は、方向性磁性鋼板を含み、前記ステータコアのU字型の両突端部間を跨ぐ方向に容易磁化方向を向けて配置されることが好適である。
【0017】
さらに、上記モータにおいて、前記ロータコアに含まれる鋼板積層体は、前記ステータコアのU字型の両突端部間の略中央に対向する位置に固定用の溝を有し、その固定用の溝を用いて前記ロータに固定されることが好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態におけるスイッチド・リラクタンスモータは、図1のように、ステータ10、ロータ14、コイル16、ステータコア22、ロータコア24及びベアリング26から基本的に構成される。
【0019】
ロータ14は、平板状に薄型化されて形成されており、その中心軸28をベアリング26を介してモータケースに回転可能に設置されている。ロータ14は、ロータコア24を含んでいる。ロータコア24の構造及び配置については後述する。
【0020】
ロータ14に含まれるロータコア24の数は、ステータコア22の数と互いに倍数の関係にならないように決められる。例えば、図1のように、ロータコア24が4つである場合には、ステータコア22を3つとする。この他、ステータコア22極数/ロータコア24極数を、12/8、8/6又は6/4等の組み合わせとすることが好適である。
【0021】
ステータ10は、ロータ14の周囲を取り囲むように設置される。ステータ10には、ステータコア22が設けられる。
【0022】
ステータコア22は、各々がU字型に屈曲した鋼板30の積層体を含んでなる。鋼板30間に電気的な導通が無いように、各鋼板30間にはワニス等の絶縁体が挟み込まれる。鋼板30の積層体は、硬化樹脂等によって一体に形成することができる。U字型の鋼板30の積層体は、その両突端部34をロータ14の中心軸28に向けて配置される。U字型の鋼板30の積層体の凹部には、励磁用のコイル16が設けられる。
【0023】
ここで、図2(a)のように、ステータコア22を複数積層して、複数のステータコア22に共通のコイル16を設けても良い。複数のステータコア22に共通のコイル16を設けることによって、図2(b)のように、1つのステータコア22に1つのコイル16を設けたときに生ずるコイル16の突出部を無くすことができる。また、突端部34の総断面積を等しくするために必要な鋼板30の積層枚数は、ステータコア22が単一の場合よりも複数積層した場合の方が少なくすることができる。そのため、同一の磁場を発生できるステータコア22のサイズを小さくすることができるため、モータのサイズに対する出力の比を大きくすることが可能となる。
【0024】
ロータコア24は、図1(b)に示すように、U字型のステータコア22における両突端部34の間を跨ぐように配置された鋼板32を積層した積層体を含んでなる。この積層体は、図3のように、ステータコア22から発生する外部磁場36の磁力線方向にほぼ平行な方向に向けられた鋼板32を積層してなる。鋼板32は、鋼板32間において電気的な導通が生じないように、各鋼板32間にワニス等の絶縁体を挟み込んで積層され、樹脂等によって一体に形成することができる。
【0025】
ロータコア24は、ステータコア22のU字型の突端部から所定の間隙(ギャップ)を有して配置される。ステータコア22の突端部から発生する外部磁場の磁束漏れを抑制するためにも、この間隙は出来る限り小さくすることが好ましい。
【0026】
また、鋼板32の積層体には、図3のように、相対するステータコア22のU字型の両突端部34間の中央付近に固定用の溝38を設けることが好ましい。このとき、鋼板32内を通る磁束を遮断しないために、溝38はできるだけ浅く設けることが好適である。図4のように、この固定用の溝38にガラスファイバ等の固定帯40を巻くことによって、ロータコア24をロータ14に固定することができる。
【0027】
また、鋼板32は強磁性体材料を含むことが好ましい。例えば、軟性磁性体であるフェライト等の鉄系酸化物を用いることが好適である。
【0028】
さらに、鋼板32は方向性磁性鋼板であることが好ましい。鋼板32として方向性磁性鋼板を用いる場合には、図5の矢印方向に向けて、U字型のステータコア22の両突端部34を跨ぐ方向に容易磁化方向を向けて配置することが好ましい。
【0029】
また、図3及び図4のように、鋼板32をロータ14の外周の曲率に合わせてずらしながら積層することによって、ロータコア24を製造する際の研削工程が不要となり、生産コストを低減することができる。
【0030】
本実施の形態におけるスイッチド・リラクタンスモータの動作を以下に説明する。
【0031】
ステータコア22に巻かれたコイル16に電流を流すと、ステータコア22の突端部の一方からロータ14の中心軸28に対して略直角方向に外部磁場36が発生する。外部磁場36の磁力線は、近傍にあるロータコア24に含まれる鋼板32の積層体で受けられ、鋼板32の積層体を介してステータコア22のもう一方の突端部と閉磁場回路が形成される。その結果、ステータコア22とロータコア24とが互いに引き寄せられる。
【0032】
ステータコア22をモータの回転方向に順次選択し、そのステータコア22に設けられたコイル16に電流を流すことによって、そのステータコア22の近傍にあるロータコア24が引き付けられ、ロータ14が回転する。
【0033】
ここで、ステータコア22のU字型の突端部34を跨ぐようにロータコア24が設けられているため、図6のように、外部磁場36を受けるロータコア24の面積が大きくなり、外部磁場36の漏れを少なくすることができる。さらに、ロータコア24の固定用の溝38をロータコア24の中心付近に設けることによって、ステータコア22の突端部34に対向するロータコア24の面積を大きくすることができるため、より漏れ磁束を抑制することができる。
【0034】
また、ロータコア24に含まれる鋼板32を方向性磁性鋼板とした場合には、ロータコア24とステータコア22によって形成される閉磁場回路の磁力線方向と容易磁化方向とを一致させることができるため、ロータコア24内における磁束が強くなり、モータの鉄損が低減される。また、外部磁場36の磁束方向と平行に鋼板32が積層されているため、鋼板32間の絶縁物によって渦電流の流れが遮断され、渦電流の発生を抑制することもできる。
【0035】
以上のように、本発明によれば、製造が容易であり、材料の歩留まりが高いU字型のステータコアを用いたモータにおいて、ステータコアから発生した外部磁場の漏れを低減することができ、モータの回転効率を向上することが可能となる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、漏れ磁束を低減することによって、モータの効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるモータの構造を示す(a)平面図及び(b)側断面図である。
【図2】積層されたステータコアを説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるロータコア及びステータコアの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるロータコアのロータへの固定方法を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における方向性磁性鋼板を用いたロータコアの構成を示す図である。
【図6】本実施の形態における磁束の流れを示す図である。
【図7】従来のSRモータの構造を示す平面図である。
【図8】従来のSRモータのコア材の構造及び組み立てを示す図である。
【図9】従来のSRモータの構造を示す(a)平面図及び(b)側断面図である。
【図10】従来のSRモータのステータコア及びロータコアの製造方法を説明する図である。
【図11】U字型のステータコア及びロータコアを有するモータにおける磁束の流れを示す図である。
【符号の説明】
10 ステータ、12 突極、14 ロータ、16 コイル、18 突極、20 コア材、22 ステータコア、24 ロータコア、26 ベアリング、28中心軸、30 ステータコアに含まれる鋼板、32 ロータコアに含まれる鋼板、34 突端部、36 外部磁場、38 固定用の溝、40 固定帯。
Claims (3)
- ロータコアを含み、回転軸を中心に回転するロータと、
外部磁場を発生させるために、前記ロータの周囲を取り囲むように配置されたステータコアであって、U字型に屈曲した鋼板を積層し、そのU字型の両突端部を前記ロータの回転軸の方向に向けて配置されたステータコアと、
を含むモータであって、
前記ロータコアは、前記ロータの外周から回転軸へ向かう方向に対して略平行に向けられた鋼板を積層した鋼板積層体を含み、
その鋼板積層体は、前記ステータコアのU字型の両突端部間を跨ぐように配置されることを特徴とするモータ。 - 請求項1に記載のモータにおいて、
前記ロータコアに含まれる鋼板積層体は、方向性磁性鋼板を含み、
前記ステータコアのU字型の両突端部間を跨ぐ方向に容易磁化方向を向けて配置されることを特徴とするモータ。 - 請求項1又は2に記載のモータにおいて、
前記ロータコアに含まれる鋼板積層体は、前記ステータコアのU字型の両突端部間の略中央に対向する位置に固定用の溝を有し、
その固定用の溝を用いて前記ロータに固定されることを特徴とするモータ。
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- 2002-09-05 JP JP2002259574A patent/JP2004104853A/ja active Pending
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