JP2004104502A - 移動通信端末 - Google Patents

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Abstract

【課題】音声通話状態においても良好なアンテナ性能を保持し、広帯域化にも対応し、アンテナの不平衡電流の低減を実現する。
【解決手段】移動通信端末が第1および第2のアンテナ素子(1、4)を備えて、第1のアンテナ素子1は、内蔵している回路基板5の面のうち、通話時に話者の耳から最も離れている面の上方に配置され、かつ端末筐体6の内部に配置される。第2のアンテナ素子4は、最も離れている面の上方に配置され、かつ端末筐体6の内部に収納したり端末筐体6から回路基板5に平行な方向に伸長したりするように配置され、かつ端末筐体6から伸長される場合に第1のアンテナ素子1の一端と電磁結合する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2個のアンテナを備えている携帯電話または携帯情報端末等の移動通信端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、携帯電話機や携帯情報端末などの小型の移動通信端末は、端末の小型化と受信感度を良好に保つため2個のアンテナを備えている。
【0003】
たとえば、第1のアンテナはヘリカルアンテナであり、端末筐体の上部に固定される。一方、第2のアンテナはロッドアンテナであり、端末筐体内に伸縮可能な状態に収容される。
【0004】
そして、たとえば待ち受け時には第2のアンテナを端末筐体内に収納し代わりに第1のアンテナを使用して着信信号を受信する。一方、通信時には第2のアンテナを端末筐体から上方に伸長してこの第2のアンテナを使用して通信を行う。
【0005】
このような構成により、待ち受け時には第1のアンテナのみが端末筐体から突出することになるので携帯性を良好に保つことができる。
【0006】
ところで、近年の当該移動通信端末においては、音声通話機能以外にメール通信機能やカメラを使った画像通信機能などを備えている場合も多い。この場合の使用状態は、移動通信端末を耳にあてて通話する音声通話状態のみならず、移動通信端末の画面を見ながら通信するデータ通信状態で使用する。
【0007】
したがって、音声通話状態においては、アンテナは人体頭部からの影響を避けつつアンテナ利得を向上することが求められ、一方、データ通信状態においては、無指向性で安定したアンテナ利得を確保することが要求される。
【0008】
上述した近年の移動通信端末のアンテナ特性への要求に鑑みると、このような構成のアンテナは、データ通信状態ではその要求を満足するが、音声通話状態では人体頭部からの影響を受け、アンテナ性能が低下する問題がある。
特に、ロッドアンテナを収納した時に作動するヘリカルアンテナは、その放射素子が人体頭部の陰に隠れる割合が大きい。したがって、人体頭部からの影響を大きく受け、所望のアンテナ利得を確保することができないという問題がある。
【0009】
また、移動通信端末を手で保持したり、耳に近づけたり、または携帯時にポケットや鞄の中などに入れると、アンテナ給電点から見たアンテナの入力インピーダンスが変化し所望の周波数特性が得られなくなることは良く知られており、アンテナ設計時にはこれらの影響を考慮した設計が必要である。
特に、IMT2000に代表される次世代の移動体通信システムでは、その無線周波数の帯域が従来に比べて数倍広くなっているため、アンテナ設計をさらに困難にしている。具体的には、送信周波数と受信周波数が比帯域で10%程度離れると、従来のロッドアンテナとヘリカルアンテナの構成では、上述のインピーダンス変動を考慮した設計が非常に困難である。設計が適切でないと、待ち受け時の受信感度を低下し、さらには音声通話時、データ通信時の通話品質を著しく劣化することになる。
【0010】
一般的に携帯電話のような移動通信端末は、アンテナのみならずその端末筐体も放射体となって端末からの放射を司っている。そのため当該端末のアンテナ設計においては、その筐体のサイズが重要な設計パラメータとなっている。さらに近年のように無線周波数が高くなると、波長に比べて筐体のサイズが大きくなり、すなわちアンテナの不平衡電流が筐体内に複雑に誘導されるようになり、アンテナ設計を困難にしている大きな要因となっている。
これを防ぐために筐体に誘導される不平衡電流を抑制するいくつかのアイデアが提案されている。たとえば、端末筐体に切り込みを付加することで筐体下側への電流の誘導を抑制している(たとえば、特許文献1参照)。また、基板上にスタブを設けることで同様に筐体下側への電流の誘導を抑制している。
【0011】
【特許文献1】
特開平5−327527号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
これらのアイデアは非常に有効であるが、携帯電話のように小型で高密度実装が施されている端末においては、この切り込みやスタブを構成することが実装スペース上困難となる可能性がある。
【0013】
そこで、本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、音声通話状態においても良好なアンテナ性能を保持し、また、広帯域化にも対応し、さらに、筐体上のアンテナの不平衡電流の低減に実現する移動通信端末を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の移動通信端末は、
内蔵している回路基板の面のうち、通話時に話者の耳から最も離れている面の上方に配置され、かつ端末筐体の内部に配置される第1のアンテナ素子と、
前記最も離れている面の上方に配置され、かつ端末筐体の内部に収納したり端末筐体から前記回路基板に平行な方向に伸長したりするように配置され、かつ端末筐体から伸長される場合に前記第1のアンテナ素子の一端と電磁結合する第2のアンテナ素子と、
を備えている。
【0015】
以上の構成によれば、第2のアンテナ素子を収納している場合は、第1のアンテナ素子が動作する。上記のように構成された第1のアンテナ素子は、通話状態において人体頭部と反対側への指向性を有するので、通話時のアンテナ利得を向上させることが実現可能になる。
【0016】
また、第2のアンテナ素子を伸長している場合においても、人体頭部から離れた第2のアンテナ素子が主放射素子となるので、通話時のアンテナ利得を高く維持することが可能である。この場合、第1のアンテナは同様に人体頭部とは反対方向の指向性を有するので通話時アンテナ利得は向上する。
【0017】
さらに、第2のアンテナ素子を伸長している場合は、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子が電磁結合するので、アンテナ特性の広帯域化を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る移動通信端末を説明する。
(第1の実施形態)
図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子4が収納されている場合の斜視図である。また、図1(B)は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子4が伸長されている場合の斜視図である。図1(A)および図1(B)は、ともに移動通信端末の背面から見た場合の図である。すなわち、図面に示した座標によれば、図1(A)および図1(B)のマイナスX方向から見ると表示部および操作部が見える。
端末筐体6内には回路基板5が実装され、一般的に無線回路2や信号処理回路(図示せず)などがこの回路基板5上に実装される。回路基板5には、その素子長が約λ/4の導体からなる第1のアンテナ素子1が実装されている。ここでλは、無線通信端末が送受信する電波の典型的な波長を示す。第1の実施形態では第1のアンテナ素子1は、曲折した、いわゆるメアンダ(meander)状の形状に成形されている。
【0019】
この第1のアンテナ素子1の一端は回路基板5上に配線されているマイクロストリップ線路などを介して無線回路2に接続される。
一方、本端末にはその素子長が約λ/2の導体からなる第2のアンテナ素子4が、端末筐体5の外へ伸長かつ端末筐体5の中へ収納可能なように実装されている。第2のアンテナ素子4は、ロッドアンテナであり、その長方向に沿って端末筐体6から伸長したり、端末筐体6の中に収納されたりする。
【0020】
図1(A)に示されるように、第2のアンテナ素子4が収納されている場合、第1のアンテナ素子1のみが動作するように、それぞれのアンテナ素子1および4は配置されている。換言すれば、第2のアンテナ素子4は第1のアンテナ素子1から互いに電磁気的に無関係になる程度の間隔だけ隔てて収納される。
【0021】
また、第2のアンテナ素子4が収納されている場合は、アンテナ素子が端末筐体6の外に現れることはない。すなわち、従来の携帯電話等の一般的な移動通信端末のようにヘリカルアンテナなどの突出部は、第1の実施形態の移動通信端末ではなくなる。
【0022】
この結果、第1の実施形態の移動通信端末を持ち運ぶ際には第2のアンテナ素子4を端末筐体6内へ収納して小型化を図ることができ、胸ポケットや鞄などへの収納性、携帯性が従来と比較して格段に改善される。
【0023】
一方、図1(B)に示されるように、第2のアンテナ素子4が伸長されている場合、第2のアンテナ素子4の一端が第1のアンテナ素子1の一端に電磁結合により電磁気的に接続されるように、それぞれのアンテナ素子1および4は配置されている。すなわち、第2のアンテナ素子4が伸長されると、第1のアンテナ素子1と第2のアンテナ素子4とが複合し、1つのアンテナとして動作する。このように通話時には前記第2のアンテナ素子4を端末筐体6の外へ伸張することにより、広帯域特性を有するアンテナを提供することができる。
【0024】
図2は、図1(A)および図1(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図である。
第1のアンテナ素子1は、回路基板5の上方の回路基板5と端末筐体6の背面との間に配置される。
【0025】
第2のアンテナ素子4は、第1のアンテナ素子1と僅かに離れて配置されている。この離れている距離によって第1のアンテナ素子1と第2のアンテナ素子4との電磁結合の大きさが決定され、第1および第1のアンテナ素子4からなるアンテナの選択度Qが決定される。第1の実施形態では、アンテナの選択度Qの値を低下させることができ、これにより広帯域特性を有するアンテナを提供することができる。
【0026】
ここで、選択度Qは、周波数に対するエネルギー特性を示す指標である。選択度Qの値が大きいと、周波数に対して急峻なエネルギー特性を有することになる。すなわち、値が大きい選択度Qは、狭帯域特性を示す。一方、選択度Qの値が小さいと、周波数に対してなだらかなエネルギー特性を有することになる。すなわち、値が小さい選択度Qは、広帯域特性を示す。
【0027】
また、電磁結合による第2のアンテナ素子4への給電は、送信周波数と受信周波数が比帯域で10%程度またはそれ以上必要な移動通信端末に対して有効である。
【0028】
図3は、図1に示される移動通信端末内の回路基板5と第1のアンテナ素子1の接続を示す模式図である。
回路基板5は、多層構造であり、一般的には6から8層である。表層に信号線が配線されていて、その信号線に無線回路2等が接続されている。その下層には導体からなる接地層(GND導体層3)が設けられている。第1のアンテナ素子1の大部分は、回路基板5の上方に接地層と平行になるように設けられている。
【0029】
次にアンテナの動作とその特性について説明する。図4(A)は、図1(A)に示された状態でのアンテナの垂直面指向性を示すグラフである。また、図4(B)は、図1(B)に示された状態でのアンテナの垂直面指向性を示すグラフである。
第2のアンテナ素子4が端末筐体6に収納されている場合、図1(A)を参照して上記に説明したように、第1のアンテナ素子1のみが動作している。
【0030】
図1(A)から図3を参照して上記に説明したように第1のアンテナ素子1は、回路基板5のGND導体層3の上方に構成されている。また、第1のアンテナ素子1はλ/4の長さを有し、GND導体層3は有限の大きさである。このように構成されたアンテナは、GND導体層3が電磁波を反射するので、図4(A)に示されるように移動通信端末の前面方向に比較して背面方向に大きなアンテナ利得を有するアンテナ指向性となる。
【0031】
この結果、第2のアンテナ素子4を収納した状態において通話状態になる場合でも、人体頭部からの影響を、ヘリカルアンテナを具備した従来の移動通信端末に比較して軽減することが可能になる。したがって、従来の移動通信端末に比較して、第1の実施形態の移動通信端末は通話時のアンテナ利得を向上することができる。
【0032】
一方、第2のアンテナ素子4が端末筐体6から伸長されている場合、図1(B)を参照して上記に説明したように、第1のアンテナ素子1と第2のアンテナ素子4が電磁結合して、その双方のアンテナ素子1および4が動作している。
【0033】
第1のアンテナ素子1は上述したようにGND導体層3の上方に構成されたλ/4長のアンテナとして動作し、第2のアンテナ素子4はその一端から電圧給電されたλ/2アンテナと見なすことができる。この場合、第2のアンテナ素子4の指向性はダイポールアンテナと同等となる。
したがって、第2のアンテナ素子4が端末筐体6から伸長されている場合の双方のアンテナ素子による全体の指向性は、GND導体層3の上方に構成されたλ/4長のアンテナの指向性とダイポールアンテナの指向性が合成されたものとなる。
【0034】
その結果、第2のアンテナ素子4が端末筐体6に収納されている場合と同様に、図4(B)に示されるように移動通信端末の前面方向に比較して背面方向に大きなアンテナ利得を有するアンテナ指向性になる。
これにより従来のロッドアンテナに比較して第1の実施形態の移動通信端末は通話時のアンテナ利得を向上することができる。
【0035】
以上、説明した第1の実施形態の移動通信端末によれば、アンテナ収納時、アンテナ伸長時のいずれの状態においても従来のロッドアンテナおよびヘリカルアンテナの構成に比較して通話時のアンテナ利得を向上できる。また、アンテナ指向性も含め周波数特性の広帯域化を実現することができる。さらに、携帯性が従来と比較して格段に改善される。
【0036】
(第2の実施形態)
図5(A)は、本発明の第2の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が収納されている場合の斜視図である。また、図5(B)は、本発明の第2の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が伸長されている場合の斜視図である。また、図6は、図5(A)および図5(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図である。
本実施形態に係る移動通信端末は、第1の実施形態の移動通信端末と第1のアンテナ素子の形状およびその配置のみが異なる。すなわち、第1の実施形態では第1のアンテナ素子1は、曲折した、いわゆるメアンダ(meander)状の形状に成形されていたが、本実施形態では図面に示されるように、Y軸に沿って線状素子である、いわゆるL型アンテナ素子7である。
【0037】
また、L型アンテナ素子7は、移動通信端末の上部にY軸に平行に配置されるため、L型アンテナ素子7に接続するために無線回路2の配置が第1の実施形態とは異なる位置に設置される場合がある。そのほかの構成は、第1の実施形態と同様である。たとえば、L型アンテナ素子7の長さはλ/4である。
【0038】
このL型アンテナ素子7は、第1の実施形態の第1のアンテナ素子1の特性と比較して、その主放射素子が移動通信端末の水平方向に主偏波を放射する。したがって、本実施形態の移動通信端末は、第1の実施形態の移動通信端末よりも、移動通信端末の水平方向に大きなアンテナ利得を有するアンテナ指向性になる。
このアンテナ指向性の効果は、第2のアンテナ素子4を端末筐体6内に収納した場合でも、端末筐体6から伸長した場合でも同様な効果を有する。
【0039】
一般的に通話状態では、スピーカとマイクロフォンの配置上、移動通信端末を天頂に対して60度程度傾けて使用することが多い。したがって、地表に対して垂直である垂直偏波成分を主放射とする基地局アンテナと安定した接続を保持するためには、この60度傾けた状態で垂直偏波成分も放射できることが望ましい。
【0040】
本実施形態のアンテナ構成は、第1の実施形態に比較して移動通信端末の水平方向に大きなアンテナ利得を有するので、本実施形態の移動通信端末は、第1の実施形態のそれよりも基地局と安定した接続を保持することが可能である。したがって、本実施形態の移動通信端末は、第1の実施形態のそれよりも通話時にアンテナ利得を向上することが可能になる。
そのほかの本実施形態に係る移動通信端末の効果は、第1の実施形態に係る移動通信端末と同様である。
【0041】
以上、説明した本実施形態の移動通信端末によれば、第1の実施形態のそれよりも通話時にアンテナ利得を向上することが可能になる。
【0042】
(第3の実施形態)
図7(A)は、本発明の第3の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が収納されている場合の斜視図である。図7(B)は、本発明の第3の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が伸長されている場合の斜視図である。
図8は、図7(A)および図7(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図である。
本実施形態に係る移動通信端末は、第2の実施形態に係る移動通信端末のL型アンテナ7に対向する回路基板5上に磁性材料から成る平板(磁性材料板8)を具備したものである。そのほかの構成は、第2の実施形態に係る移動通信端末と同様である。
【0043】
第1のアンテナ素子1および7は、対向する回路基板のGND導体層3に不平衡電流を誘導する。この不平衡電流によって回路基板の導体層、端末筐体6(特に筐体背面)に電流が誘導される。
【0044】
本実施形態のように第1のアンテナ素子7に対向する回路基板5のGND導体層3の受けに磁性材料板8を実装することにより、不平衡電流によって発生するGND導体層表面の磁界の強さを低減される。
【0045】
その結果、GND導体層から発生する磁界により誘導される回路基板内および端末筐体6上の電流の発生が抑制されることが可能になる。また、GND導体層に流れる不平衡電流も抑制される。不平衡電流は、磁性材料が有する効果である高周波磁界を熱に変換して減衰する性質によって熱エネルギーに変換される。アンテナそのものの電流分布の変動が極めて少なくなる。
【0046】
したがって、不平衡電流、回路基板5内の電流、端末筐体6上の電流を抑制することが可能になり、アンテナ特性を乱すことが抑制される。この結果、たとえば、移動通信端末の水平方向のヌルの発生を防ぐ、アンテナ指向性が安定化する、水平面のアンテナ利得が向上する等の効果が現れる。
【0047】
ここで、磁性材料板8は、たとえばゴム等の誘電体にフェライトを混ぜてシート状にしたものである。磁性材料板8の性質は、磁性材料板8の複素透磁率の実数部分および虚数部分を必要に応じて調整することによって設定される。
【0048】
また、本実施形態では、予め確保されたアンテナ実装体積内に磁性材料を装荷するのみなので、従来の方法で問題であった実装スペースの増加を排除できる。
【0049】
そのほかの本実施形態に係る移動通信端末の効果は、第2の実施形態に係る移動通信端末と同様である。
【0050】
以上、本実施形態の移動通信端末によれば、無線周波数が高周波になってアンテナ設計が困難になっても、実装体積や面積を増加することなく効果的に不要電流を抑制でき、アンテナ設計が容易にできることに加えて、筐体電流の低減により手で保持した場合や人体頭部に近接して使用した場合のこれらからの影響を軽減し、良好なアンテナ特性を保持することができる。
【0051】
(第4の実施形態)
図9(A)は、本発明の第4の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が収納されている場合の斜視図である。図9(B)は、本発明の第4の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が伸長されている場合の斜視図である。
図10は、図9(A)および図9(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図である。
本実施形態に係る移動通信端末は、第3の実施形態に係る移動通信端末のL型アンテナ7の代わりに、いわゆる逆F型アンテナ9を具備したものである。そのほかの構成は、第3の実施形態に係る移動通信端末と同様である。
【0052】
逆F型アンテナ9は、アンテナの給電点の近くにGND導体層3とアンテナを接続する導体を設けたものである。逆F型アンテナ9は、L型アンテナ7に比較して通常使用される50Ω給電線路との整合が取りやすくなる利点がある。逆F型アンテナ9の放射パターンはL型アンテナ7と変わらないので、上述した通話状態のアンテナ利得は同様に向上できる。
【0053】
そのほかの本実施形態に係る移動通信端末の効果は、第3の実施形態に係る移動通信端末と同様である。
以上、本実施形態の移動通信端末によれば、給電線路との整合が取りやすくなるので、よりアンテナ特性を良好に保つことができる。
【0054】
(第5の実施形態)
図11(A)は、本発明の第5の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が収納されている場合の斜視図である。
【0055】
図11(B)は、本発明の第5の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が伸長されている場合の斜視図である。
【0056】
図12は、図11(A)および図11(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図である。
【0057】
本実施形態に係る移動通信端末は、第4の実施形態に係る移動通信端末の逆F型アンテナ9の代わりに、いわゆる板状逆F型アンテナ10を具備したものである。そのほかの構成は、第3の実施形態に係る移動通信端末と同様である。
【0058】
板状逆F型アンテナ10は、逆F型アンテナ9の回路基板5に対向している線状の導体部分を板状にしたものである。線状の導体部分を板状にしたことで、第2のアンテナ4が伸長した場合に第2のアンテナ4と板状逆F型アンテナ10が容易に電磁結合を実現することが可能になる。この平板の面積の大きさを調節することにより、最も適切な電磁結合を実現することも可能になる。
【0059】
そのほかの本実施形態に係る移動通信端末の効果は、第4の実施形態に係る移動通信端末と同様である。
以上、本実施形態の移動通信端末によれば、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子の電磁結合を容易に実現することができる。
【0060】
図13は、本発明の第5の実施形態が変形された移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図である。
図13に示されている実施形態と第5の実施形態に係る移動通信端末とは、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子の相対的な位置関係が異なる。第5の実施形態では、第2のアンテナ素子4が伸長している状態で第2のアンテナ素子4は板状逆F型アンテナ10と端末筐体6の背面との間に配置する。一方、図13に示されている実施形態では、第2のアンテナ素子4が伸長している状態で第2のアンテナ素子4は板状逆F型アンテナ10と磁性材料板8との間に配置する。
【0061】
図14(A)は、図12に対応する回路図である。図14(B)は、図13に対応する回路図である。
図14(A)および図14(B)に示されるような回路図によれば、板状逆F型アンテナ10とそれに対向している磁性材料板8とはコンデンサーのように作用する。したがって、板状逆F型アンテナ10と磁性材料板8に挟まれている領域は、そのほかの領域に比較して電磁界の強さが強くなる。
【0062】
したがって、板状逆F型アンテナ10と第2のアンテナ素子4との電磁結合は、図14(A)の場合よりも図14(B)の場合の方が強くなる。この性質を利用して、電磁結合の強さを設定することが可能になり、その結果、アンテナの帯域特性を調整することが容易になる。
【0063】
上述した実施形態では最も代表的な第1のアンテナ素子の例として、L型アンテナ、逆F型アンテナ、板状逆F型アンテナについての例を述べた。しかしながらこれらに限定する必要はなく、第1のアンテナ素子として、ヘリカルアンテナ、誘電体被覆アンテナ、トップロード型(頂部負荷垂直型)のアンテナなどでも実現可能である。また、近年、高誘電率材料を用いた小型アンテナが実用化されているが、このような小型アンテナを第1のアンテナ素子として使用しても良い。
【0064】
そのほか、第1および第2のアンテナ素子の形状、大きさ、または配置、回路基板の構成、磁性材料板の組成などについても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0065】
【発明の効果】
アンテナ収納時、アンテナ伸長時のいずれの状態においても従来のロッドアンテナおよびヘリカルアンテナの構成に比較して通話時のアンテナ利得を向上できる。また、アンテナ指向性も含め周波数特性の広帯域化を実現することができる。さらに、携帯性が従来と比較して格段に改善される。
【0066】
無線周波数が高周波になってアンテナ設計が困難になっても、実装体積や面積を増加することなく効果的に不要電流を抑制でき、アンテナ設計が容易にできることに加えて、筐体電流の低減により手で保持した場合や人体頭部に近接して使用した場合のこれらからの影響を軽減し、良好なアンテナ特性を保持することができる。
【0067】
第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子の電磁結合を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A) 本発明の第1の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が収納されている場合の斜視図。
(B) 本発明の第1の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が伸長されている場合の斜視図。
【図2】図1(A)および図1(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図。
【図3】図1に示される移動通信端末内の回路基板と第1のアンテナ素子の接続を示す模式図。
【図4】(A) 図1(A)に示された状態でのアンテナの垂直面指向性を示すグラフ。
(B) 図1(B)に示された状態でのアンテナの垂直面指向性を示すグラフ。
【図5】(A) 本発明の第2の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が収納されている場合の斜視図。
(B) 本発明の第2の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が伸長されている場合の斜視図。
【図6】図5(A)および図5(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図。
【図7】(A) 本発明の第3の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が収納されている場合の斜視図。
(B) 本発明の第3の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が伸長されている場合の斜視図。
【図8】図7(A)および図7(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図。
【図9】(A) 本発明の第4の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が収納されている場合の斜視図。
(B) 本発明の第4の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が伸長されている場合の斜視図。
【図10】図9(A)および図9(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図。
【図11】(A) 本発明の第5の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が収納されている場合の斜視図。
(B) 本発明の第5の実施形態に係る移動通信端末において、第2のアンテナ素子が伸長されている場合の斜視図。
【図12】図11(A)および図11(B)に示される移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図。
【図13】本発明の第5の実施形態が変形された移動通信端末をマイナスZ方向から見た場合の透視図。
【図14】(A) 図12に対応する回路図。
(B) 図13に対応する回路図。
【符号の説明】

Claims (7)

  1. 内蔵している回路基板の面のうち、通話時に話者の耳から最も離れている面の上方に配置され、かつ端末筐体の内部に配置される第1のアンテナ素子と、
    前記最も離れている面の上方に配置され、かつ端末筐体の内部に収納したり端末筐体から前記回路基板に平行な方向に伸長したりするように配置され、かつ端末筐体から伸長される場合に前記第1のアンテナ素子の一端と電磁結合する第2のアンテナ素子と、
    を具備することを特徴とする移動通信端末。
  2. 前記第1のアンテナ素子は、前記第2のアンテナ素子が伸長する方向に直交する方向に主偏波を有する形状であり、
    前記第2のアンテナ素子は、伸長する方向に主偏波を有する形状であることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末。
  3. 前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子の長さは異なっていて、それぞれ送受信する電波の波長にもとづいて設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移動通信端末。
  4. 前記第1のアンテナ素子に対向する前記回路基板に磁性材料を具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の移動通信端末。
  5. 前記磁性材料は平板状に形成され、前記第1のアンテナ素子も平板状に形成され、当該平板状の第1のアンテナ素子は当該平板状の磁性材料に対向して配置されていることを特徴とする請求項4に記載の移動通信端末。
  6. 前記第2のアンテナ素子が伸長している場合は、前記磁性材料に面している前記第1のアンテナ素子の面側上方に前記第2のアンテナ素子の一端が配置することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の移動通信端末。
  7. 前記第2のアンテナ素子が伸長している場合は、前記磁性材料に面している前記第1のアンテナ素子の面の裏面側上方に前記第2のアンテナ素子の一端が配置することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の移動通信端末。
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