JP2004104232A - 画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】傷画素から傷による影響を精度よく除去できる。
【解決手段】傷による影響を受けている画素を中心画素としたフィルタ演算により得られる濃度を傷周辺濃度として、上記傷周辺濃度から上記中心画素の濃度を減算して得られる値を補正量とする(S7e)。そして、上記中心画素の各色成分の画素値に、上記補正量を加算する傷補正を行う(S7f)。ここで、上記フィルタ演算で参照される各画素に関し、中心画素の表色値と参照される画素の表色値との差の絶対値を求め、上記絶対値と負の相関関係となる重みを与えている(S7c,S7d)。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フィルムに記録された画像を、スキャナ等の画像読取装置によって読み取られたデジタル画像データに対し、画像処理を行う方法に関するものである。具体的には、本発明は、上記デジタル画像データを用いて、上記写真フィルムのベース面に付された傷の影響を除去する処理を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ネガフィルム、ポジフィルム等の写真フィルムに記録された画像を印画紙へ出力するプリンタには、写真フィルムの画像を透過した光を用いて印画紙を露光するアナログ方式のプリンタと、写真フィルムの画像を透過した光がCCD(Charge Coupled Device)などで光電変換され、さらにデジタル化されて画像データを作成し、この画像データに基づいて変調した光を用いて印画紙を露光するデジタル方式のプリンタとがある。
【0003】
両方式とも、写真フィルムのベース面に傷やごみ(以下、「傷」と総称する。)が付いていると、印画紙に焼き付けられた画像に濃度変動や欠落などの不具合が生じる場合がある。このため、従来は、写真フィルムを透過させる光として拡散光が両方式ともに利用されている。
【0004】
デジタル方式のプリンタの場合は、さらに、デジタル化された画像データに画像処理を施すことにより、傷の影響を効果的に除去することが可能である。このような傷除去処理は、例えば、特開平6−28468号公報(公開日:平成6年2月4日(1994.2.4))、特開2000−341473号公報(公開日:平成12年12月8日(2000.12.8))、特開2001−157003号公報(公開日:平成13年6月8日(2001.6.8))などに開示されている。
【0005】
これらの公報に開示された傷除去処理では、写真フィルムに赤外光を透過させている。写真フィルムを透過する赤外光は、写真フィルムに付いた傷により散乱されるが、写真フィルムの画像を形成する色素によって基本的に影響を受けない。したがって、写真フィルムを透過した赤外光により形成される赤外画像データにおいては、傷の情報のみが含まれることになり、傷の影響を受けている画素(以下、「傷画素」とする)のみ、その画素値が低下する傾向にある。また、同一の写真フィルムに可視光線を透過させて形成されるデジタル画像データ(赤画像データ、緑画像データ、青画像データ)においても、基本的には赤外画像データと同程度に傷の影響を受けている画素の画素値の低下が生じる。よって、赤外画像データの各画素における画素値低下量を、デジタル画像データにおける対応する画素に係る色成分ごとの画素値に加算することにより、傷による影響を除去する傷除去処理を行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、厳密には、デジタル画像データと赤外画像データとで、同一の傷から受ける影響の大きさは完全に一致しておらず、写真フィルムに付いた傷の程度の軽重によって、赤外画像データとデジタル画像データとで傷による影響の大きさが変わってくる。これは、写真フィルムに付された傷によって散乱される光の量が、光の波長によって異なり、可視光から形成されるデジタル画像データと赤外光から形成される赤外画像データとでは、傷による影響の度合いが微妙に異なるからである。したがって、上述した従来の傷除去処理では、写真フィルムに付いた傷の程度の軽重に応じて、傷の補正に過不足が生じる場合があり、傷による影響を完全に除去することができないという問題が生じる。
【0007】
さらに、このような処理によって得られたデジタル画像データから構成される画像では、傷部分において、上記補正をしていないデジタル画像データから構成される画像よりも不自然にみえる場合も多々あり、高品質のプリントが得られない原因の一つとなっている。特に、傷画素が過剰に補正されたデジタル画像データでは、このような傾向が生じやすい。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、写真フィルムに付された傷の程度に関わりなく、傷の補正に過不足を生じさせずに、傷画素から傷による影響を精度よく除去できる画像処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理方法は、上記課題を解決するために、写真フィルムに可視光を照射することにより取得されるデジタル画像データについて、写真フィルムのベース面に付された傷による影響を除去する画像処理方法であって、上記傷による影響を受けている画素を中心画素としたフィルタ演算により得られる濃度を傷周辺濃度とする第1ステップと、上記傷周辺濃度から上記中心画素の濃度を減算して得られる値を補正量とする第2ステップと、上記中心画素の各色成分の画素値に、上記補正量を加算する傷補正を行う第3ステップとを備え、上記フィルタ演算で参照される各画素に関し、中心画素の表色値と参照される画素の表色値との差の絶対値を求め、上記絶対値と負の相関関係となる重みを与えることにより、上記フィルタ演算が実行されることを特徴とする。
【0010】
通常、ある画素の周辺領域が同一被写体からなる場合、その領域における各画素の表色値はほぼ均一である。したがって、デジタル画像データにおいて、写真フィルムのベース面に付された傷による影響を受けている画素(以下、「傷画素」とする)を中心画素として、中心画素を参照せずに、その周辺画素の濃度を均等に参照したフィルタ演算を実行すると、フィルタ演算により得られる傷周辺濃度は傷が無い状態での濃度と考えられる。また、中心画素をも参照して周辺画素の濃度を均一に参照したフィルタ演算を実行しても、フィルタ演算により得られる傷周辺濃度は、中心画素により若干濃度が低下するものの、傷がない状態での濃度と考えることができる。これにより、傷画素の濃度を周辺画素の濃度で塗り潰すことができ、傷画素を補正できると考えることもできる。
【0011】
このように考えることにより、上記傷周辺濃度から上記中心画素の濃度を減算して得られる値としての補正量は、傷により低下した画素値と考えることができる。したがって、上記中心画素の各色成分の画素値に、上記補正量を加算する傷補正を行うことで、傷画素における傷による影響を除去できると考えられる。
【0012】
しかし、上記周辺領域に被写体と被写体の輪郭部が存在する場合、傷画素を中心画素として、フィルタ領域内の画素の濃度を均等に参照したフィルタ演算を実行しても、両被写体の中間の表色値で傷画素が塗り潰され、適正な傷補正を行うことができない。
【0013】
そこで、上記画像処理方法によれば、フィルタ演算で参照される各画素に関し、中心画素の表色値と参照される画素の表色値との差の絶対値を求め、上記絶対値と負の相関関係となる重みを与えている。そして、傷画素を中心画素としたフィルタ演算により得られる濃度を傷周辺濃度としている。このようにすることにより、表色値が傷画素と差の少ない画素を重くして、表色値が傷画素と差の大きい画素を軽くしたフィルタ演算を実行できる。これにより、傷画素と同一被写体に係る画素に重きをおいたフィルタ演算が実行でき、あらゆる位置に置かれる傷画素に対して、上記傷周辺濃度を傷がない状態の濃度と考えることができる。
【0014】
さらに、上記重みを与えていることから、比較的広いサイズのフィルタ(例えば、5×5画素,7×7画素)により上記フィルタ演算を実行しても、表色値が中心画素と差のある参照画素の重みを軽くできるので、参照画素数を増やすことができ、高精度の傷補正が可能となる。
【0015】
したがって、上記画像処理方法における傷補正によれば、赤外画像に基づいた傷除去処理と原理を異とするので、写真フィルムに付いた傷の程度の軽重に応じて、傷補正に過不足が生じるということなく、傷画素の修復が可能となる。
【0016】
なお、表色値とは、画素値から求めることのできる濃度、輝度、色バランス値等をいう。
【0017】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記フィルタ演算は、中心画素を参照しないことを特徴としてもよい。
【0018】
中心画素は、それ自体が傷画素であり、該傷画素は傷により画素値が低下している。したがって、該傷画素を参照せずに上記フィルタ演算を行えば、より適正な傷周辺濃度を求めることができる。
【0019】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記重みは、上記表色値を濃度とすることにより得られる濃度重み係数に基づいて与えられていることを特徴としてもよい。
【0020】
異なる被写体同士では、その濃度が異なるものである。したがって、上記フィルタ演算で参照される各画素に対し、濃度に関して、中心画素との差の絶対値に基づいた濃度重み係数を与えることで、中心画素と同一の被写体に属する参照画素を重く、中心画素と異なる被写体に属する参照画素の重みを軽くしたフィルタ演算が容易となる。
【0021】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記重みは、上記表色値を、色成分のうち少なくともいずれか1色の色バランス値とすることにより得られる色重み係数に基づいて与えられていることを特徴としてもよい。
【0022】
異なる被写体同士では、その色が異なるものである。したがって、上記フィルタ演算で参照される各画素に対し、色成分のうち、少なくともいずれか1色の色バランス値に関して、中心画素との差の絶対値に基づいた色重み係数を与えることで、中心画素と同一の被写体に属する参照画素を重く、中心画素と異なる被写体に属する参照画素の重みを軽くしたフィルタ演算が容易となる。
【0023】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記重みは、上記表色値を赤色バランス値,緑色バランス値,青色バランス値とすることにより得られる赤色重み係数,緑色重み係数,青色重み係数に基づいて与えられることを特徴としてもよい。
【0024】
上記手順によれば、赤色重み係数,緑色重み係数,青色重み係数に基づいて上記重みが与えられているので、いずれか1色の色バランスが中心画素と差がある参照画素を軽くしたフィルタ演算を実行できる。これにより、乳剤傷による影響を受けている参照画素の重みを軽くしたフィルタ演算を実行できるので、適正な補正量を求めることが可能となる。
【0025】
ここで、乳剤傷による影響を受けている参照画素を軽くできる理由を説明する。乳剤傷とは、フィルムの乳剤面の色素が破壊されている傷をいい、上記ベース面に付された上記「傷」とは区別されるものである。上記乳剤面には、青色色素、緑色色素、赤色色素が付されている。よって、参照画素が乳剤傷による影響を受けている場合、青色色素、緑色色素、赤色色素のうち、少なくともいずれか1の色素が欠落している。これにより、その参照画素の青色バランス値、緑色バランス値、赤色バランス値のうち、少なくともいずれか1の色バランス値が大幅に増加している。この場合、その参照画素と中心画素との間で、色バランス値に差が生じるので、乳剤傷による影響を受けている参照画素の重みを軽くしたフィルタ演算を実行できる。
【0026】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記重みは、上記表色値を濃度とすることにより得られる濃度重み係数と、上記表色値を赤色バランス値,緑色バランス値,青色バランス値とすることにより得られる赤色重み係数,緑色重み係数,青色重み係数とに基づいて与えられることを特徴としてもよい。
【0027】
上記手順によれば、濃度重み係数、赤色重み係数,緑色重み係数,青色重み係数の4つの重み係数に基づいて、各参照画素に上記重みを与えている。すなわち、濃度、赤色バランス値、緑色バランス値、青色バランス値のいずれか1つでも中心画素と差のある参照画素については、上記フィルタ演算において軽く扱うことが可能となる。すなわち、濃度,色の両方が中心画素と均一である参照画素に重きをおいたフィルタ演算が可能となり、より最適な傷周辺濃度を求めることができる。
【0028】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記フィルタ演算で参照される各画素に対し、傷データの各画素値とCF値との差の絶対値に基づいた赤外重み係数も考慮して、上記重みを与えることを特徴としてもよい。
【0029】
ここで、傷データとは、上記写真フィルムに赤外光を照射することにより取得される赤外画像データから赤色リーケージを除去して得られる、各画素の赤外画像における画素値をいう。赤色リーケージとは、赤外光の波長領域とフィルムが吸収する赤色成分光の波長領域とに重なりが生じ、赤外画像の画素値に赤色成分の画像の画素値が含まれてしまう現象をいう。つまり、写真フィルムから取得された赤外画像データから赤色リーケージを除いたデータは、傷情報のみからなる傷データとなる。また、CF値とは、傷データにおいて、傷による影響を受けていない画素(以下、「正常画素」とする)の画素値をいう。
【0030】
上記手順によれば、上記フィルタ演算で参照される各画素に対し、傷データの各画素値とCF値との差の絶対値に基づいた赤外重み係数を考慮している。ここで、傷データの各画素値とCF値との差の絶対値は、各参照画素が受けている傷による影響の程度と考えることができる。
【0031】
したがって、各参照画素に、上記赤外重み係数を考慮して上記重み係数を与えることで、傷による影響を受けている参照画素の重みを軽くしたフィルタ演算を実行できるので、適正な補正量を求めることが可能となる。
【0032】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記デジタル画像データと、上記写真フィルムに赤外光を照射することにより取得される赤外画像データとにおける互いに対応する画素に関して、上記デジタル画像データの赤色画素値から上記赤外画像データの画素値を減算して上記赤外画像データの平均画素値を加算した第1の変数と、上記デジタル画像データの赤色画素値である第2の変数とを用いた第1の回帰計算に基づき、仮CF値を算出するステップと、上記赤外画像データの画素値が仮CF値以上である画素のみを対象として、デジタル画像データの赤色画素値である第3の変数と、上記赤外画像データの画素値である第4の変数とを用いた第2の回帰計算に基づき、赤色リーケージの割合を取得するステップと、上記赤外画像データの画素値から、上記デジタル画像データの赤色画素値に上記赤色リーケージの割合を乗じた値を減算するステップとを実行することにより上記傷データを得ることを特徴としてもよい。
【0033】
デジタル画像データの赤色画素値とは、デジタル画像データの赤色成分の画像データである赤画像データの画素値をいう。
【0034】
上記手順では、上記デジタル画像データと上記赤外画像データとにおける互いに対応する画素に関して、赤色画素値から上記赤外画像データの画素値を減算して上記赤外画像データの平均画素値を加算した第1の変数と、上記赤色画素値である第2の変数とを用いて第1の回帰計算を行っている。これにより、正常画素の赤外画像データの画素値と、上記赤外画像データの平均画素値との差分を算出することができる。したがって、上記赤外画像の平均画素値に上記差分を加算することにより、正常画素の赤外画像データの画素値に近い値である仮CF値を求めることができる。
【0035】
また、上記赤外画像において、デジタル画像データからの赤色リーケージが含まれている場合、上記赤外画像の画素値と、デジタル画像データの赤色画素値との間で相関関係が生じている。したがって、上記デジタル画像データと上記赤外画像データとにおける互いに対応する画素に関して、上記デジタル画像データの赤色画素値である第3の変数と、上記赤外画像データの画素値である第4の変数とを用いて第2の回帰計算を行うことにより、各画素の赤色画素値に含まれる赤色リーケージの割合を求めることができる。さらに、第2の回帰計算では、仮CF値以上の赤外画素値である画素のみを第2の回帰計算の対象にしているので、傷による影響を受けずに、赤色リーケージの割合を精度よく算出することができる。そして、上記赤外画像データの画素値から、上記デジタル画像データの赤色画素値に赤色リーケージ割合を乗じた値を減算する。ここで、赤色画素値に赤色リーケージ割合を乗じた値は、赤外画像データへの赤色リーケージ分に相当する。したがって、上記減算により、上記赤外画像データに含まれる赤色リーケージを除去することができ、傷データを得ることができる。
【0036】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記デジタル画像データと上記傷データとにおける互いに対応する画素に関して、上記デジタル画像データの赤色画素値から上記傷データの画素値を減算して上記傷データの平均画素値を加算した第5の変数と、上記デジタル画像データの赤色画素値である第6の変数とを用いた第3の回帰計算に基づき、上記CF値を算出し、上記CF値以下の赤外画像の画素値を示す画素を、上記中心画素とすることを特徴としてもよい。
【0037】
上記傷データは、赤色リーケージが除去されている赤外画像であり、傷情報のみを精度よく含んでいる。したがって、上記デジタル画像データの赤色画素値から上記傷データの画素値を減算して上記傷データの平均画素値を加算した第5の変数と、上記デジタル画像データの赤色画素値である第6の変数とを用いた第3の回帰計算により得られる値は、正常画素の傷データの画素値と、上記傷データの平均画素値との差分になる。したがって、上記傷データの平均画素値に上記差分を加算することにより、CF値を求めることとしている。ここで、傷データから求められたCF値は、仮CF値よりも、正常画素における赤外画像の画素値に近い値となる。したがって、ここで得られる値をCF値として決定すれば、傷画素と正常画素とを精度よく区別できる。よって、上記CF値以下の赤外画像の画素値を示す画素を上記中心画素とすれば、上記画像処理方法に係る傷補正において傷画素の検出が容易となる。
【0038】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記第1ステップないし第3ステップを実行する前に、傷データの画素値が上記CF値以下の画素に関して、上記CF値から傷データの画素値を減算し、デジタル画像データの各色の画素値を加算することにより、上記デジタル画像データに対して傷除去処理を行うことを特徴としてもよい。
【0039】
上記手順によれば、傷データの画素値がCF値以下の画素に関して、CF値から傷データを減算している。つまり、傷画素において、CF値から傷データの画素値を減算しているので、該傷画素の傷による画素値低下量を求めることになる。さらに、減算して得られた値に、該傷画素におけるデジタル画像データの各色の画素値を加算しているので、傷による画素値低下量を修復できる。但し、傷データは赤外画像データから得られたデータであって、上述したように、赤外画像データに基づく傷除去処理では、写真フィルムに付いた傷の程度の軽重に応じて、傷の修正に過不足が生じる場合がある。
【0040】
ところが、上記手順では、このような傷除去処理がなされたデジタル画像データに対して、上記第1ステップないし第3ステップを実行して、フィルタ演算に基づく傷補正を行っている。したがって、赤外画像データから得られた傷データに基づく傷除去処理では適正に修復できなかった傷画素を高精度に補正することが可能となる。
【0041】
また、本発明は、上記画像処理方法による処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴としても構わない。また、本発明は、上記画像処理プログラムをコンピュータにて読み取り可能に記録してなることを特徴とする画像処理プログラムとしても構わない。
【0042】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、写真フィルムから取り込んだデジタル画像データについて、フィルムのベース面に付された傷(傷)による影響を除去するために、前述した傷除去処理を行った後に、傷除去処理では除去できなかった傷による影響を、傷補正処理または傷消し処理によって除去する画像処理方法に関するものである。
【0043】
したがって、以下では、主として、傷除去処理、傷補正処理および傷消し処理が実行されるシステム、傷除去処理、傷補正処理、傷消し処理の前処理の手順、傷除去処理の手順、傷補正処理の手順、および傷消し処理の手順を説明する。
【0044】
本発明の実施の一形態について図に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図2は、本実施形態の画像出力システムの概略構成を示すブロック図である。該画像出力システムは、フィルムスキャナ1と、画像処理装置2と、写真焼付装置3とを備えた構成となっている。
【0045】
フィルムスキャナ1は、例えば、光源からの光を、写真フィルムであるネガフィルムに照射し、その透過光をCCDなどで受光することにより、ネガフィルムに記録された画像を読み取るものである。フィルムスキャナ1は、読み取ったデジタル画像データを赤色成分、緑色成分、および青色成分ごとに画像処理装置2に出力する。なお、以下では、可視光から読み取った赤色成分、緑色成分、および青色成分のデジタル画像データをまとめて指す場合をデジタル画像データとして、色成分ごとの画像データを「赤画像データ」、「緑画像データ」、および「青画像データ」と称する。
【0046】
さらに、フィルムスキャナ1は、上記ネガフィルムに赤外光を照射し、赤外領域の透過光をCCDなどで受光することにより、上記ネガフィルムの赤外画像データを読み取る。
【0047】
画像処理装置2は、フィルムスキャナ1から送られてきたデジタル画像データおよび赤外画像データを用いて、本実施の形態の画像処理を実行して、フィルムのベース面に付された傷による影響をデジタル画像データから除去するためのものである。なお、画像処理装置2は、例えばPC(Personal Computer)ベースの装置によって構成され、図示はしないが、PC本体、モニターなどの表示手段、キーボード、マウスなどの入力手段などによって構成されている。この画像処理装置2については、後に詳細に説明する。
【0048】
写真焼付装置3は、画像処理装置2によって処理がなされたデジタル画像データに基づいて感光材料である印画紙を露光することにより、印画紙上に画像を焼き付けるものである。デジタル画像データに応じた光を印画紙に照射するヘッドとしては、デジタル画像データに応じて画素ごとに印画紙への照射光を変調できる光変調素子が用いられる。このような光変調素子としては、例えばPLZT露光ヘッド、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)、LCD(液晶表示装置)、LED(Light Emitting Diode)パネル、レーザー、FOCRT(Fiber Optic Cathode Ray Tube)、CRT(Cathode Ray Tube)等が挙げられる。
【0049】
なお、写真焼付装置3は、ネガフィルムのスキャニングと印画紙の露光とを両方行うことができるオートプリンタとして構成してもよい。この場合、画像出力システムを、画像の読み取りから焼付けまでを行うオートプリンタと、PC(Personal Computer)などによって構成される画像処理装置2とを接続した構成とすることにより、システムの簡素化を図ることができる。
【0050】
つぎに、画像処理装置2について詳細に説明する。画像処理装置2は、前処理部2aと、傷除去処理部2bと、傷補正部2cと、傷消し部2dと、乳剤傷除去部2eとから構成されている。
【0051】
前処理部2aは、傷除去処理、傷補正処理、および傷消し補正の前段階となる処理を実行するブロックである。具体的に、前処理部2aは、上記デジタル画像データの各画素の傷による影響度を示したデータとしての傷データを作成すると共に、傷による影響を受けている画素(以下、「傷画素」とする)とそうでない画素(以下、「正常画素」とする)とを判別するための閾値であるCF(クリアフィルム)値を算出するブロックである。
【0052】
具体的に、傷データとは、上記写真フィルムに赤外光を照射することにより取得される赤外画像データから赤色リーケージを除去して得られるデータをいい、CF値とは、傷データにおける正常画素の画素値を表したものである。
【0053】
ここで、同一写真フィルムから得られた傷データとデジタル画像データとでは互いに画素が対応関係にあるので、傷データにおける各画素の傷情報は、デジタル画像データにおける各画素の傷情報と考えることができる。一方、フィルムを透過する赤外光は、フィルムの傷により影響を受けるものの、フィルムの色素により影響を受けることがない。したがって、上記赤外光から形成される傷データには傷の情報が含まれるものの、フィルムに形成されている画像情報が含まれることはなく、傷の影響を受けている画素のみ、その画素値が低下する傾向にある。したがって、傷データの画素値がCF値以下に係る画素は、傷画素であると判定することができる。なお、赤色リーケージとは、赤外光の波長領域とフィルムが吸収する赤色成分光の波長領域とに重なりが生じ、赤外画像の画素値に赤色成分の画像の画素値が含まれてしまう現象をいう。つまり、写真フィルムから取得された赤外画像データから赤色リーケージを除いた傷データは、傷情報のみからなる高精度のデータとなる。
【0054】
また、傷がない写真フィルムから得られる赤外画像においては、図3(a)に示すように、赤外画像データの画素値の平均値(以下、「IRAve」とする)とCF値とは一致するが、写真フィルムに傷があれば、図3(b)に示すように、IRAveはCF値から低下することになるといえる。さらに、画像の傷が多ければ多いほど、IRAveの低下量は大きくなる。
【0055】
傷除去処理部2bは、上述した傷除去処理を実行するブロックである。具体的に、傷除去処理部2bは、各傷画素に関して、上記CF値から赤外画像の画素値を引くことにより、各画素における傷による画素値低下量を算出すると共に、赤画像データ,緑画像データ,青画像データの各画素値に、上記画素値低下量を加算する処理を実行するブロックである。
【0056】
傷補正部2cおよび傷消し部2dは、上記傷除去処理によっては完全に修復できなかった傷画素に対して、N×N画素の可変小領域フィルタ(以下、「フィルタ」とする)を用いて、傷の修復を行うためのブロックである。なお、傷補正部2cによる処理を傷補正処理として、傷消し部2dによる処理を傷消し処理とする。
【0057】
ここで、上記傷補正処理とは、表色値としての濃度,色に基づく重みを参照画素に持たせた5×5画素のフィルタを利用して、傷補正を行う処理である。一方、上記傷消し処理とは、図8に示すような3×3画素のフィルタを利用して、傷消しを行う処理である。傷による影響を除去する能力は、傷補正部2cの方が優れているが、演算速度は傷消し部2dの方が優れている。
【0058】
また、本実施形態では、上記傷除去処理のなされたデジタル画像データに対して、傷補正処理または傷消し処理のいずれか1つの処理が選択的に実行されることとする。また、いずれの処理を実行するかは、オペレータの選択により決定される。
【0059】
ここで、上記傷補正処理および傷消し処理における処理手順の概略を説明する。通常、デジタル画像データから構成される画像において、ある傷画素の周辺領域が同一の被写体からなる場合、その領域における各画素の濃度、色はほぼ均一であると考えることができる。したがって、このような場合、傷画素を中心画素として、中心画素を参照せずに周囲画素を均等に参照するフィルタ演算を実行すると、傷画素の濃度を傷周辺画素の濃度で塗り潰すことができ、結果として、傷による影響を除去することができる。本実施の形態において、この処理を傷消し処理とする。
【0060】
一方、傷画素の周辺領域において、互いに異なる複数の被写体の輪郭が存在する場合、上記フィルタ演算を実行しても、上記複数の被写体の中間濃度、中間色で傷画素が塗り潰され、適正な傷画素の修復を行うことができない。すなわち、参照画素に重みを持たせることで、中心画素と濃度,色がほぼ均一である画素のみを参照できるフィルタ演算を実行しなければ、傷画素の位置によっては適正な傷画素の修復を行うことができないといえる。そこで、互いに異なる複数の被写体の輪郭が存在する場合であっても、中心画素と濃度,色がほぼ均一である画素のみを参照できるフィルタ演算を実行できることを可能にしたのが本実施の形態における傷補正処理である。
【0061】
乳剤傷除去部2eは、乳剤傷による影響を受けている画素を検出すると共に、この画素に対して乳剤傷による影響を除去する処理(以下、「乳剤傷消し」とする)を行うブロックである。ここで、乳剤傷とは、フィルムの乳剤面の色素が破壊されている現象をいい、上記「傷」とは異にするものである。
【0062】
また、上記傷除去処理,傷補正処理,傷消し処理は、フィルムのベース面に付された傷による影響を除去する処理であり、上記乳剤傷による影響を除去することができない。したがって、乳剤傷による影響の除去には、上記傷除去処理,傷補正処理,傷消し処理とは異なる処理が要求され、上記乳剤傷消しを行う必要がある。
【0063】
つぎに、画像処理装置2における処理の流れについて、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップ1(以下、「S1」のように称する)において、前処理部2aは、フィルムスキャナ1から送られてきたデジタル画像データおよび赤外画像データを取得する。その後、前処理部2aは、CF値を算出するに先立って、仮CF値の算出および、傷データの作成を行う。したがって、以下では、仮CF値の算出の手順、傷データの作成手順、CF値の算出手順をこの順に沿って説明する。
【0064】
<仮CF値の算出手順(S2)>
前処理部2aは、デジタル画像データおよび赤外画像データ取得後、仮CF値を算出する(S2)。仮CF値とは、傷画素と正常画素とを判別するための閾値である点で上記CF値と同様であるが、後述する赤色リーケージを除去する第2の回帰計算に必要な閾値である点で相違する。ここで、仮CF値の算出手順の詳細を、図5に基づいて説明する。
【0065】
まず、前処理部2aは、上記赤外画像データについてIRAveを算出する(S2a)。ここで、傷の多い画像ほどIRAveは低下することになる。
【0066】
つぎに、前処理部2aは、赤画像および赤外画像の互いに対応する各画素について、第1の変数X=(赤画像データの画素値)−(赤外画像データの画素値)+(IRAve)と、第2の変数Y=(赤画像データの画素値)とを求め、最小二乗法を用いて、回帰式Y=aX+bの係数a,bを求める第1の回帰計算を行う(S2b)。
【0067】
ここで、赤外画像データは、写真フィルムの画像を形成する色素によって基本的に影響を受けない。したがって、写真フィルムを透過した赤外光により形成される赤外画像データにおいては、傷の情報のみが含まれることになり、傷の影響を受けている画素のみ、その画素値が低下する傾向にある。
【0068】
よって、各画素において、−(赤外画像データの画素値)+(IRAve)を傷による画素値低下量と仮定すると、上述した第1の回帰計算から算出される切片bは、傷による画素値低下量と考えることができる。
【0069】
なお、第1の変数Xが第2の変数Y以下である画素のみを第1の回帰計算の対象とする。これは、第2の変数が第1の変数よりも小さい場合、対応する画素は傷のある画素である可能性が著しく高く、このような画素を回帰計算から除外することで、算出される仮CF値の精度を向上させるためである。
【0070】
ここで、第1の回帰計算において、係数b(Y切片)は、赤外画像の正常画素値とIRAveとの差分に該当すると考えられる。したがって、仮CF値=IRAve+bの演算式により、仮CF値を算出する(S2c)。なお、ここでは、赤外画像の平均画素値と係数bとの加算値をそのまま仮CF値としているが、仮CF値として、上記加算値の96〜100%範囲が最適値である。これは、CCDから生じるノイズ等により、赤外画像の正常画素値には若干の変動があり、明らかに傷画素と判断できる値が上記加算値の96%〜100%の範囲で変動するからである。
【0071】
<傷データの作成手順(S3)>
さらに、前処理部2aは、赤外画像データから赤色リーケージを除去することにより、傷データを作成する処理を行う(S3)。ここで、赤色リーケージとは、赤外光の波長領域とフィルムが吸収する赤色成分光の波長領域とに重なりが生じ、赤外画像データの各画素値に赤画像データの画素値が含まれてしまう現象をいう。この赤色リーケージが混在したままの赤外画像データを用いてCF値を求めても、高精度のCF値を得ることはできない。したがって、CF値を算出するに先立って、S3の処理を行うこととしたものである。以下では、赤色リーケージを除去して、傷データを作成する手順の詳細を、図6に基づいて説明する。
【0072】
まず、前処理部2aは、赤外画像データの画素値が仮CF値以上である画素のみを対象にして、第3の変数x=(赤画像データの画素値)と、第4の変数y=(赤外画像の画素値)とを画素ごとに求める(S3a)。
【0073】
そして、前処理部2aは、最小二乗法を用いて、回帰式y=cxの係数cを求める第2の回帰計算を行う(S3b)。ここで、赤画像データの画素値の一部が赤外画像データの画素値に混入していると、赤画像データの画素値と赤外画像データの画素値とで相関関係が生じているので、算出されたc値は、赤画像データの画素値に含まれている赤色リーケージの割合とすることができる。また、第2の回帰計算において、赤外画像データの画素値が仮CF値以上の画素のみを対象としているのは、明らかに傷画素と考えられる画素を第2の回帰計算から排除して、精度よく赤色リーケージを算出するためである。
【0074】
つぎに、前処理部2aは、各画素について、赤外画像データの画素値から赤色リーケージ値の除去を行う(S3c)。
IR´=(IR−c×R)/(1−c)
なお、IR´は処理後の赤外画像データの画素値、IRは処理前の赤外画像データの画素値、Rは、赤画像データの画素値を示す。ここで、上記演算について説明する。(IR−c×R)は、赤外画像データの画素値から、赤色リーケージを示すc×Rを引くことにより、赤外画素データの画素値から赤色リーケージを除去したものである。さらに、(IR−c×R)を(1−c)で割っているのは、赤色リーケージを除去した後の赤外画像データの画素値について正規化を行うためであるが、上記正規化を行わずに、(IR−c×R)の演算のみで赤色リーケージを除去することも可能である。そして、赤色リーケージが除去された後の赤外画像データを傷データとする。このようにして、S3の処理が終了する。
【0075】
<CF値の算出(S4)>
つぎに、前処理部2aは、CF値を算出する(S4)。このCF値の算出手順は、以下のとおりである。
【0076】
まず、前処理部2aは、S3によって得られた傷データと、赤画像データとを対象として、S1と同様の手順の演算を実行する。すなわち、傷データおよび、赤画像データの互いに対応する各画素について、第5の変数P=(赤画像データの画素値)−(傷データの画素値)+(傷データの平均画素値)と、第6の変数Q=(赤画像データの画素値)とを求めた後、回帰式Q=dP+eの係数d,eを求める第3の回帰計算を行い、CF値=(傷データの平均画素値)+eの演算によりCF値を算出する。なお、ここでは、傷データの平均画素値と係数eとの加算値をそのままCF値としているが、CF値として、上記加算値の96〜100%範囲が最適値である。これは、CCDから生じるノイズ等により、赤外画像の正常画素値には若干の変動があり、明らかに傷画素と判断できる値が上記加算値の96%〜100%の範囲で変動するからである。
【0077】
つまり、S2〜S4の処理において、前処理部2aは、CF値を求めるに先立って、まず、仮CF値を算出して、これを閾値として正常画素と考えうる画素のみを検出する。そして、該正常画素のみを赤色リーケージ算出の第2の回帰計算に使用することで、高精度の赤色リーケージを算出できるようにしたものである。これにより、赤外画像データから赤色リーケージを精度よく除去することが可能になり、赤色リーケージが除去された赤外画像を傷データとして、該傷データからCF値を算出している。よって、CF値は、仮CF値よりも、正常画素の赤外画像データの画素値に近いと考えられる。
【0078】
以上の処理が実行されることにより、CF値が算出される。その後、前処理部2aは、傷データおよびデジタル画像データを傷除去処理部2bへ出力する。
【0079】
<傷除去処理(S5)>
つぎに、傷除去処理部2bが、CF値に基づいて傷除去処理を実行する(S5)。以下、この傷除去の手順を、図7に基づいて詳細に説明する。
【0080】
まず、傷除去処理部2bは、傷データおよびデジタル画像データを前処理部2aから取得する(S5a)。つぎに、傷除去処理部2bは、傷データにおいて、画素値がCF値以下の画素を傷画素と判断する(S5b)。そして、傷除去処理部2bは、各傷画素に関して、(画素値低下量)=(CF値)−(傷データの画素値)を演算して、傷画素ごとの画素値低下量を算出する(S5c)。さらに傷除去処理部2bは、各傷画素に関して、赤画像データ,緑画像データ,青画像データの各画素値に、S6cで算出された画素値低下量を加算する(S5d)。これにより、傷除去処理部2bによる傷除去処理が完了する。
【0081】
その後、傷除去処理部2bにより傷除去処理が行われたデジタル画像データに対して、ユーザの選択により、傷補正処理または傷消し処理のいずれかが実行される(S6)。以下では、まず、傷補正処理について説明し、その後に傷消し処理について説明することとする。
【0082】
<傷補正処理(S7)>
ここで、傷補正処理の手順を図1に基づいて詳細に説明する。まず、傷補正部2cは、傷除去処理部2bから、傷データおよび傷除去処理後のデジタル画像データを取得する(S7a)。つぎに、傷補正部2cは、S5bで判断された傷画素を中心画素とすると共に、その傷画素および周辺画素を参照して(傷画素を中心とした5×5の領域内の画素)、これらの濃度と色バランスを、傷除去処理後のデジタル画像データに基づいて、以下の演算により算出する(S7b)。
【0083】
【数1】
Figure 2004104232
【0084】
つぎに、傷補正部2cは、参照画素ごとに重み係数を算出する(S7c)。なお、重み係数は、参照画素の濃度、色成分ごとの色バランス値、傷データの画素値に基づいて設定される。
【0085】
ここで、各参照画素において、濃度に基づいて設定される重み係数を濃度重み係数として、赤色バランス値に基づいて設定される重み係数を赤色重み係数として、緑色バランスに基づいて設定される重み係数を緑色重み係数として、青色バランスに基づいて設定される重み係数を青色重み係数とする。
【0086】
まず、濃度重み係数および各色重み係数は参照画素ごとに以下の演算により与えられる。
【0087】
【数2】
Figure 2004104232
【0088】
ここで、Dwgti,j,Rwgti,j,Gwgti,j,Bwgti,jが与えられる理由を説明する。後に詳述するが、上記傷補正処理とは、傷画素とその周辺画素とは濃度,色がほぼ均一であると考え、傷画素を中心画素として、その周辺画素の濃度を参照したフィルタ演算を実行することにより、傷のない状態の濃度と考え得る値を求め、この値から補正量を算出する処理である。
【0089】
ところが、傷画素の周辺領域において、互いに異なる複数の被写体の輪郭が存在する場合、傷画素を中心画素としたフィルタ演算を実行しても、上記複数の被写体の中間濃度、中間色を示す値が得られ、このような値を用いても適正な補正量を導出できない。そこで、参照画素に重みを持たせることで、中心画素と濃度,色がほぼ均一である参照画素に重みをおいたフィルタ演算を実行しなければならない。つまり、上記フィルタ演算においては、濃度または各色バランスについて傷画素との差分(差の絶対値)が大きい参照画素ほど、参照される濃度が小さくなり、上記差分が所定値以上の参照画素は参照しないようにしなければならない。
【0090】
よって、各参照画素に関して、上記差分が小さいほど1に近づけ、上記差分が大きいほど0に近づくような重み係数を設定する必要がある。そこで、本実施の形態では、上記各重み係数と上記差分との間で、切片が1で、負の値を比例定数とした正比例関係を成立させることとするため、数2のような各重み係数が導かれるのである。但し、演算の結果、上記各重み係数が0より小さくなる場合(負の値になる場合)、その重み係数は0になるようにする。これは、傷画素との上記差分が大きすぎる参照画素については、フィルタ演算で参照しないようにするためであることと、フィルタ演算において逆補正を防止すべく負の重み係数を排除するためである。また、数2の各重み係数は、上記差分との間で負の相関関係があればよく、上述した負の値を比例定数とした正比例関係に限定されるものではない。
【0091】
さらに、傷データの画素値に基づいた重み係数は赤外重み係数として、参照画素ごとに以下のように与えられる。
【0092】
【数3】
Figure 2004104232
【0093】
このように、各参照画素に対して、IRwgti,jが設定される理由を説明する。上記傷補正処理において、傷による影響が残存している画素を参照すると、適正なフィルタ演算を行うことが困難になると予想される。したがって、傷による影響が残存している参照画素をできるだけ参照しないようなフィルタ演算を行わなければならない。一方、各参照画素において、傷データの画素値とCF値との差分は、その参照画素の傷の深さを表していると考えられる。つまり、傷データの画素値とCF値との差分が小さいほど1に近づけ、その差分が大きいほど0に近づくような重み係数を設定する必要がある。よって、本実施の形態では、IRwgti,jと上記差分との間で、切片が1で、負の値を比例定数とした正比例関係を成立させることとするため、数3のような重み係数が導かれるのである。但し、演算の結果、IRwgti,jが0より小さくなる場合(負の値になる場合)、そのIRwgti,jは0になるようにする。これは、傷画素との上記差分が大きすぎる参照画素については、フィルタ演算で参照しないようにするためであることと、フィルタ演算において逆補正を防止すべく負の重み係数を排除するためである。また、数3のIRwgti,jは、上記差分との間で負の相関関係があればよく、上述した負の値を比例定数とした正比例関係に限定されるものではない
そして、傷補正部2cは、各参照画素に与えられる累乗重み係数wgti,j(重み)を算出する(S7d)。
【0094】
【数4】
Figure 2004104232
【0095】
ここで、累乗重み係数とは、上記5つの重み係数を掛け合わせたものである。このように、5つの重み係数を掛け合わせて1つの累乗重み係数としたのは、1種類でも重み係数が小さい参照画素については、後述するフィルタ演算における参照度を低くするためである。すなわち、上記累乗重み係数を各参照画素に与えて、後述するフィルタ演算を行えば、Dwgti,j,Rwgti,j,Gwgti,j,Bwgti,j,IRwgti,jのうち少なくとも1つの重み係数が小さい参照画素については重みを軽くできる。
【0096】
つぎに、傷補正部2cは、フィルタ演算によって傷周辺濃度を算出すると共に、各中心画素に与えられる補正量corm,nを算出する(S7e)。
【0097】
【数5】
Figure 2004104232
【0098】
ここで、数5の処理について説明する。(a)式は、S7aで取得したデジタル画像データについて、傷画素を中心画素とした5×5画素の範囲で、各参照画素の濃度Ddati,jに累乗重み係数wgti,jを乗算した値でフィルタ演算を行っている。ここで、傷画素としての中心画素〔m,n〕に対して、上記フィルタ演算によって得られる値をDdat´(傷周辺濃度)とする。そして、(b)式では、Ddatm,n´と、中心画素の濃度Ddat0,0との差を補正量corm,nとしている。つまり、ここでの処理は、上記フィルタ演算により求められた濃度は、傷画素の本来の濃度と均一であると仮定して、Ddatm,n´とDdat0,0との差分を、傷により失われた濃度と考えたものである。なお、上記フィルタ演算では、中心画素を参照していない。これは、中心画素自体は傷画素であるため、これを参照しないことによって、より適正なDdat´を求めることとしたものであるがこれに限定されるものではない。
【0099】
なお、(a)式において、分母が1より小さい中心画素に対しては、上記傷補正処理を行わない。これは、上記分母が1より小さい場合は、フィルタ演算の信頼性が低いと考えられるからである。
【0100】
さらに、傷補正部2cは、傷画素における各色成分の画素値に補正量corm,nを加算する処理を行う(S7f)。ここで、Rdatm,n,Gdatm,n,Bdatm,nを傷補正処理前のデジタル画像データにおける各色成分の画素値とし、R´datm,n,G´datm,n,B´datm,nを傷補正処理後のデジタル画像データにおける各色成分の画素値とする。
【0101】
【数6】
Figure 2004104232
【0102】
これにより、上記デジタル画像データに対しての傷補正処理が終了する。
【0103】
つぎに、傷除去処理によって得られたデジタル画像データに対してなされる傷消し処理(S8)について説明する。傷消し部2dは、傷除去処理部2aから、傷除去処理後のデジタル画像データを取得し、S5bで判断された傷画素を中心画素として、図8に示す3画素×3画素のフィルタを用いて、周囲画素を均等に参照するフィルタ演算を実行する。このフィルタ演算により得られた濃度を、傷消し処理後における上記傷画素の濃度となる。
【0104】
つまり、上記傷消し処理とは、傷画素とその周囲の画素との間で濃度,色がほぼ均一であると仮定して、傷画素に対してフィルタ演算を実行して、傷画素の濃度を周囲画素の濃度でぼかすことにより、傷画素の修正を図ることとしたものである。また、上記傷消し処理は、用いられるフィルタのサイズが3×3画素であることから、5×5画素のフィルタが用いられる傷補正処理よりも高速処理を実現することができる。
【0105】
すなわち、本発明は、写真フィルムに可視光を照射することにより取得されるデジタル画像データについて、写真フィルムのベース面に付された傷による影響を除去する画像処理方法であって、上記傷による影響を受けている画素を中心画素として、中心画素を参照せず、その周囲画素の濃度を均等に参照したフィルタ演算により得られる濃度を中心画素の濃度とすることにより傷消し処理を実行することを特徴とする画像処理方法であっても構わない。
【0106】
但し、上記傷消し処理では、各周囲画素に与えられる重みが均等である。したがって、上記傷消し処理では、フィルタ領域内で異なる被写体や、被写体の輪郭が存在すれば、傷画素とその周囲の画素との間で濃度,色が不均一になるので、適正な傷画素の修正を行うことができない。つまり、上記傷消し処理では、できるだけ傷画素と濃度,色が均一な周囲画素のみを参照するために、参照画素数を最小限にすべく、フィルタサイズを3×3画素としている。
【0107】
この点、上記傷補正処理では、フィルタ演算において、傷画素と各周囲画素との間の濃度差,色バランス差に基づいた重みを各周囲画素に与えている。したがって、フィルタ領域内で異なる被写体や、被写体の輪郭が存在して、広領域を参照したフィルタ演算を行っても、傷画素と濃度,色が均一な周囲画素のみを参照できるので、適正な傷補正を行うことができる。
【0108】
そして、傷補正処理または傷消し処理がなされて、傷による影響が除去されたデジタル画像データに対しては、乳剤傷除去部2eによって、乳剤傷除去処理が行われる(S9)。
【0109】
S9終了後、画像処理装置は、一連の処理が施されたデジタル画像データを、図示しないモニターまたは写真焼き付け装置へ出力する(S10)。以上の手順により、画像処理装置における処理が終了する。
【0110】
なお、上記傷補正処理(S7)においては、累乗重み係数wgti,jは、Dwgti,j,Rwgti,j,Gwgti,j,Bwgti,j,IRwgti,jに基づいて定められているが、これに限定されるものではない。例えば、Dwgti,j、Rwgti,j,Gwgti,j,Bwgti,jのいずれか1つによりwgti,jを定めて良い。Dwgti,j、Rwgti,j,Gwgti,j,Bwgti,jのうちいずれかが明確であれば、複数の被写体に係る輪郭部を検出することができ、中心画素と同一の被写体上に位置する周囲画素を検出できるからである。
【0111】
したがって、上記実施の形態では、IRwgti,jも考慮して累乗重み係数を定めているが、特に考慮しなくても構わない。また、IRwgti,jを求めるために、S2ないしS4の手順によりCF値を求めると共に、傷データを作成しているが、S2ないしS4の手順に限定されるものではない。
【0112】
また、上記傷補正処理(S7)では、各参照画素において、Rwgti,j,Gwgti,j,Bwgti,jを算出しているが、これによって、その周囲画素が乳剤傷による影響を受けているか否かを判定することができる。したがって、Rwgti,j,Gwgti,j,Bwgti,jに基づいて、乳剤傷による影響を受けている周囲画素の重みを軽くすることも可能となる。
【0113】
さらに、上記傷補正処理(S7)では、5×5画素のサイズのフィルタを用いているがこれに限定されるものではない。
【0114】
また、上記実施の形態では、上記傷除去処理(S5)を実行した後で上記傷補正処理(S7)を実行している。これは、赤外画像データから得られた傷データに基づく傷消去処理では適正に修復できなかった傷画素を、フィルタ演算に基づく上記傷補正処理により、高精度に補正を行うことを可能としたものである。しかし、これに限定されるものではなく、上記傷除去処理がなされていないデジタル画像データに対して、上記傷補正処理を行っても、傷画素を精度よく補正することができる。
【0115】
ところで、以上の実施の形態で説明した処理は、プログラムで実現することが可能である。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。本発明では、この記録媒体として、画像処理部2で処理が行われるために必要な図示していないメモリー(例えばROMそのもの)であってもよいし、また図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても構わない。
【0116】
上記いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサ(図示せず)のアクセスにより実行される構成であってもよいし、格納されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムを図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードすることにより、そのプログラムが実行される構成であってもよい。この場合、ダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0117】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリーカードを含む)/光カードのカード系、あるいはマスクROM、EPROM、フラッシュROM等による半導体メモリーを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0118】
最後に、上述した実施の形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0119】
【発明の効果】
本発明の画像処理方法は、以上のように、写真フィルムに可視光を照射することにより取得されるデジタル画像データについて、写真フィルムのベース面に付された傷による影響を除去する画像処理方法であって、上記傷による影響を受けている画素を中心画素としたフィルタ演算により得られる濃度を傷周辺濃度とする第1ステップと、上記傷周辺濃度から上記中心画素の濃度を減算して得られる値を補正量とする第2ステップと、上記中心画素の各色成分の画素値に、上記補正量を加算する傷補正を行う第3ステップとを備え、上記フィルタ演算で参照される各画素に関し、中心画素の表色値と参照される画素の表色値との差の絶対値を求め、上記絶対値と負の相関関係となる重みを与えることにより、上記フィルタ演算が実行されることを特徴とする。
【0120】
それゆえ、上記画像処理方法における傷補正によれば、赤外画像に基づいた傷除去処理と原理を異とするので、写真フィルムに付いた傷の程度の軽重に応じて、傷補正に過不足が生じるということなく、傷画素の修復が可能となるという効果を奏する。
【0121】
本発明の画像処理方法は、上記手順に加えて、上記フィルタ演算は、中心画素を参照しないことを特徴としてもよい。
【0122】
中心画素は、それ自体が傷画素であり、該傷画素は傷により画素値が低下している。それゆえ、該傷画素を参照せずに上記フィルタ演算を行えば、より適正な傷周辺濃度を求めることができるという効果を奏する。
【0123】
本発明の画像処理方法は、以上のように、上記手順に加えて、上記重みは、上記表色値を濃度とすることにより得られる濃度重み係数に基づいて与えられていることを特徴としてもよい。
【0124】
それゆえ、中心画素と同一の被写体に属する周囲画素を重く、中心画素と異なる被写体に属する参照画素の重みを軽くしたフィルタ演算が容易となるという効果を奏する。
【0125】
本発明の画像処理方法は、以上のように、上記手順に加えて、上記重みは、上記表色値を、色成分のうち少なくともいずれか1色の色バランス値とすることにより得られる色重み係数に基づいて与えられていることを特徴としてもよい。
【0126】
それゆえ、中心画素と同一の被写体に属する周囲画素を重く、中心画素と異なる被写体に属する参照画素の重みを軽くしたフィルタ演算が容易となるという効果を奏する。
【0127】
本発明の画像処理方法は、以上のように、上記手順に加えて、上記重みは、上記表色値を赤色バランス値,緑色バランス値,青色バランス値とすることにより得られる赤色重み係数,緑色重み係数,青色重み係数に基づいて与えられることを特徴としてもよい。
【0128】
それゆえ、各色成分のうちいずれかの色バランスが中心画素と差がある参照画素を軽くしたフィルタ演算を実行できる。これにより、乳剤傷による影響を受けている参照画素の重みを軽くしたフィルタ演算を実行できるので、適正な補正量を求めることが可能となるという効果を奏する。
【0129】
本発明の画像処理方法は、以上のように、上記手順に加えて、上記重みは、上記表色値を濃度とすることにより得られる濃度重み係数と、上記表色値を赤色バランス値,緑色バランス値,青色バランス値とすることにより得られる赤色重み係数,緑色重み係数,青色重み係数とに基づいて与えられることを特徴としてもよい。
【0130】
それゆえ、濃度,色の両方が中心画素と均一である参照画素に重きをおいたフィルタ演算が可能となり、より最適な傷周辺濃度を求めることができるという効果を奏する。
【0131】
本発明の画像処理方法は、以上のように、上記手順に加えて、上記フィルタ演算で参照される各画素に対し、傷データの各画素値とCF値との差の絶対値に基づいた赤外重み係数も考慮して、上記重みを与えることを特徴としてもよい。
【0132】
それゆえ、各参照画素に、上記赤外重み係数を考慮して上記重み係数を与えることで、傷による影響を受けている参照画素を軽くしたフィルタ演算を実行できるので、適正な補正量を求めることが可能となるという効果を奏する。
【0133】
本発明の画像処理方法は、以上のように、上記手順に加えて、上記デジタル画像データと、上記写真フィルムに赤外光を照射することにより取得される赤外画像データとにおける互いに対応する画素に関して、上記デジタル画像データの赤色画素値から上記赤外画像データの画素値を減算して上記赤外画像データの平均画素値を加算した第1の変数と、上記デジタル画像データの赤色画素値である第2の変数とを用いた第1の回帰計算に基づき、仮CF値を算出するステップと、上記赤外画像データの画素値が仮CF値以上である画素のみを対象として、デジタル画像データの赤色画素値である第3の変数と、上記赤外画像データの画素値である第4の変数とを用いた第2の回帰計算に基づき、赤色リーケージの割合を取得するステップと、上記赤外画像データの画素値から、上記デジタル画像データの赤色画素値に上記赤色リーケージの割合を乗じた値を減算するステップとを実行することにより上記傷データを得ることを特徴としてもよい。
【0134】
それゆえ、正常画素の赤外画像データの画素値と、上記赤外画像データの平均画素値との差分を算出することができる。したがって、上記赤外画像の平均画素値に上記差分を加算することにより、正常画素の赤外画像データの画素値に近い値である仮CF値を求めることができる。
【0135】
また、上記赤外画像において、デジタル画像データからの赤色リーケージが含まれている場合、上記赤外画像の画素値と、デジタル画像データの赤色画素値との間で相関関係が生じているので、第2の回帰計算を行うことにより、各画素の赤色画素値に含まれる赤色リーケージの割合を求めることができる。さらに、第2の回帰計算では、仮CF値以上の赤外画素値である画素のみを第2の回帰計算の対象にしているので、傷による影響を受けずに、赤色リーケージの割合を精度よく算出することができる。
【0136】
そして、上記赤外画像データの画素値から、上記デジタル画像データの赤色画素値に赤色リーケージ割合を乗じた値を減算する。ここで、赤色画素値に赤色リーケージ割合を乗じた値は、赤外画像データへの赤色リーケージ分に相当する。したがって、上記減算により、上記赤外画像データに含まれる赤色リーケージを除去することができ、傷データを得ることができるという効果を奏する。
【0137】
本発明の画像処理方法は、以上のように、上記手順に加えて、上記デジタル画像データと上記傷データとにおける互いに対応する画素に関して、上記デジタル画像データの赤色画素値から上記傷データの画素値を減算して上記傷データの平均画素値を加算した第5の変数と、上記デジタル画像データの赤色画素値である第6の変数とを用いた第3の回帰計算に基づき、上記CF値を算出し、上記CF値以下の赤外画像の画素値を示す画素を、上記中心画素とすることを特徴としてもよい。
【0138】
ここで、上記CF値は、上記傷データから求められているので、仮CF値よりも、正常画素における赤外画像の画素値に近い値となる。それゆえ、上記CF値により、傷画素と正常画素とを精度よく区別できる。よって、上記CF値以下の赤外画像の画素値を示す画素を上記中心画素とすれば、上記画像処理方法に係る傷補正において傷画素の検出が容易となるという効果を奏する。
【0139】
本発明の画像処理方法は、以上のように、上記手順に加えて、上記第1ステップないし第3ステップを実行する前に、傷データの画素値が上記CF値以下の画素に関して、上記CF値から傷データの画素値を減算し、デジタル画像データの各色の画素値を加算することにより、上記デジタル画像データに対して傷除去処理を行うことを特徴としてもよい。
【0140】
それゆえ、赤外画像データから得られた傷データに基づいて傷除去処理がなされたデジタル画像データに対して、上記第1ステップないし第3ステップを実行して、フィルタ演算に基づく傷補正を行っている。したがって、赤外画像データから得られた傷データに基づく傷除去処理では適正に修復できなかった傷画素を高精度に補正することが可能となる。
【0141】
また、本発明は、上記画像処理方法による処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴としても構わない。また、本発明は、上記画像処理プログラムをコンピュータにて読み取り可能に記録してなることを特徴とする画像処理プログラムとしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における傷補正処理の手順を示したフローチャートである。
【図2】上記実施の形態における画像処理システムの概略構成を示したブロック図である。
【図3】(a)は、フィルムに傷がない場合の赤外画像データの画素値の度数分布を示すグラフであり、(b)は、フィルムに傷がある場合の赤外画像データの画素値の度数分布を示すグラフである。
【図4】上記画像処理システムが実行する画像処理の一連の流れを示したフローチャートである。
【図5】上記画像処理の一手順である仮CF値の算出手順を詳細に示したフローチャートである。
【図6】上記画像処理の一手順である傷データの作成手順を詳細に示したフローチャートである。
【図7】上記画像処理の一手順である傷除去処理の手順を詳細に示したフローチャートである。
【図8】上記画像処理の一手順である傷消し処理で用いられる、3×3画素のフィルタを示した模式図である。
【符号の説明】
1  フィルムスキャナ
2  画像処理装置
2a 前処理部
2b 傷除去処理部
2c 傷補正部
2d 傷消し部
2e 乳剤傷除去部
3  写真焼付装置

Claims (12)

  1. 写真フィルムに可視光を照射することにより取得されるデジタル画像データについて、写真フィルムのベース面に付された傷による影響を除去する画像処理方法であって、
    上記傷による影響を受けている画素を中心画素としたフィルタ演算により得られる濃度を傷周辺濃度とする第1ステップと、
    上記傷周辺濃度から上記中心画素の濃度を減算して得られる値を補正量とする第2ステップと、
    上記中心画素の各色成分の画素値に、上記補正量を加算する傷補正を行う第3ステップとを備え、
    上記フィルタ演算で参照される各画素に関し、中心画素の表色値と参照される画素の表色値との差の絶対値を求め、上記絶対値と負の相関関係となる重みを与えることにより、上記フィルタ演算が実行されることを特徴とする画像処理方法。
  2. 上記フィルタ演算は、中心画素を参照しないことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
  3. 上記重みは、上記表色値を濃度とすることにより得られる濃度重み係数に基づいて与えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
  4. 上記重みは、上記表色値を、色成分のうち少なくともいずれか1色の色バランス値とすることにより得られる色重み係数に基づいて与えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
  5. 上記重みは、上記表色値を赤色バランス値,緑色バランス値,青色バランス値とすることにより得られる赤色重み係数,緑色重み係数,青色重み係数に基づいて与えられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像処理方法。
  6. 上記重みは、上記表色値を濃度とすることにより得られる濃度重み係数と、上記表色値を赤色バランス値,緑色バランス値,青色バランス値とすることにより得られる赤色重み係数,緑色重み係数,青色重み係数とに基づいて与えられることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
  7. 上記フィルタ演算で参照される各画素に対し、傷データの各画素値とCF値との差の絶対値に基づいた赤外重み係数も考慮して、上記重みを与えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像処理方法。
  8. 上記デジタル画像データと、上記写真フィルムに赤外光を照射することにより取得される赤外画像データとにおける互いに対応する画素に関して、
    上記デジタル画像データの赤色画素値から上記赤外画像データの画素値を減算して上記赤外画像データの平均画素値を加算した第1の変数と、上記デジタル画像データの赤色画素値である第2の変数とを用いた第1の回帰計算に基づき、仮CF値を算出するステップと、
    上記赤外画像データの画素値が仮CF値以上である画素のみを対象として、デジタル画像データの赤色画素値である第3の変数と、上記赤外画像データの画素値である第4の変数とを用いた第2の回帰計算に基づき、赤色リーケージの割合を取得するステップと、
    上記赤外画像データの画素値から、上記デジタル画像データの赤色画素値に上記赤色リーケージの割合を乗じた値を減算するステップとを実行することにより上記傷データを得ることを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
  9. 上記デジタル画像データと上記傷データとにおける互いに対応する画素に関して、
    上記デジタル画像データの赤色画素値から上記傷データの画素値を減算して上記傷データの平均画素値を加算した第5の変数と、上記デジタル画像データの赤色画素値である第6の変数とを用いた第3の回帰計算に基づき、上記CF値を算出し、
    上記CF値以下の赤外画像の画素値を示す画素を、上記中心画素とすることを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
  10. 上記第1ステップないし第3ステップを実行する前に、傷データの画素値が上記CF値以下の画素に関して、上記CF値から傷データの画素値を減算し、デジタル画像データの各色の画素値を加算することにより、上記デジタル画像データに対して傷除去処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の画像処理方法。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像処理方法による処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴とする画像処理プログラム。
  12. 請求項11に記載の画像処理プログラムをコンピュータにて読み取り可能に記録してなることを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体。
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