JP2004103787A - コンデンサー用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐熱性と電気特性(耐電圧)を有する、生産性の点でも優れたコンデンサー用ポリエステルフィルムを提供することを目的とするものである。
【解決手段】ガラス転移温度が100℃以上150℃未満であり、長手方向の150℃での熱収縮応力が1500kPa以上3500kPa未満であることを特徴とするコンデンサー用ポリエステルフィルムであり、さらに平均表面粗さ(Ra)が5nm以上150nm以下、最大粗さ(Rt)が50nm以上1.2μm以下であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサー用ポリエステルフィルムに関するものである。具体的に本発明は、長期耐熱性と電気特性に優れ、かつ生産性にも適したコンデンサー用ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステルフィルムを誘電層とし、その表面に金属蒸着層を電極として形成させたコンデンサーは、これまでにも広く用いられている。また、近年、コンデンサーとしての使用温度を高温化する目的で主成分とするポリエステルに異種のポリエステルまたはポリカーボネートをブレンドし、使用温度範囲を高温側まで高めるという技術的開示もなされている。例えば、多種のポリエステルのブレンド物からなるフィルムを使用した、耐熱性に優れたコンデンサー用フィルムが開示されている(特許文献1参照。)。また、別に、フィルムコンデンサーの耐熱性を向上させる目的で、ポリエステルにポリイミドを含有させた二軸配向ポリエステルフィルムが開示されている(特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−21070号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2001−319825号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年電気・電子回路などに使用されるコンデンサではさらなる耐熱性が求められる傾向であり、従来のポリエステルフィルムでは、高温時の耐電圧が低く絶縁破壊を起こしたり、高温時では蒸着金属膜の酸化消失の進行が早くなり、経時での容量減少が大きくなってしまう問題があった。また、前記した従来技術で示したポリエステル同志のブレンド物によるフィルムは、耐熱性の向上は認められるが、エステル交換反応により結晶性が低下して寸法安定性が低下したり、また製膜安定性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる従来のコンデンサー用のポリエステルフィルムの欠点を改良するものであり、優れた耐熱性と電気特性(耐電圧)を有し、そして生産性の点でも優れたコンデンサー用ポリエステルフィルムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意検討し見出されたものであり、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムは、ガラス転移温度が100℃以上150℃未満であり、長手方向の150℃での熱収縮応力が1500kPa以上3500kPa未満であることを特徴とするコンデンサー用ポリエステルフィルムを骨子とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムについて詳細に説明する。
【0009】
本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分から構成される。
【0010】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0011】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0012】
また、ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,  4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。
【0013】
さらに酸成分とジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸または2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを、本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
【0014】
本発明に用いられるポリエステルは、機械強度、生産性および取り扱い性等の点から、エチレンテレフタレートおよび/またはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる構成成分とするポリエステルおよびそれらの変性体よりなる群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
【0015】
本発明で用いられるポリエステルは、従来公知の製造方法により製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートの場合、テレフタル酸とエチレングリコールを直接反応させて水を除去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル法、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールを反応させてメチルアルコールを除去しエステル交換した後、減圧下で重縮合を行うエステル交換法などが挙げられる。
【0016】
エステル交換法におけるエステル交換触媒として、マンガン、亜鉛、コバルト、マグネシウムあるいはカルシウムなどの金属元素と酢酸などのカルボン酸とのカルボン酸金属塩化合物が用いられ、また、重縮合反応の触媒として、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物あるいはチタン化合物などが用いられる。また、エステル交換反応の活性を低下させるために、エステル反応終了後、リン酸やトリメチルフォスフェイトなどのリン化合物を添加することもできる。直接エステル化法による場合は、重縮合触媒として、ゲルマニウム化合物やアンチモン化合物、チタン化合物などが用いられる。
【0017】
本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムは、長期耐熱性の向上の観点から、フィルムのガラス転移温度が100℃以上150℃未満の範囲内である。より好ましくはガラス転移温度は103℃以上145℃未満、さらに好ましくは105℃以上140℃未満である。ガラス転移開始温度が100℃未満であると、100℃以上での誘電損失が大きく高温度で絶縁破壊を生じる問題がある。一方ガラス転移温度が150℃を超えるとフィルムを製膜する上で破れが多発し安定した生産ができない。
【0018】
該ポリエステルのガラス転移温度は使用するポリエステル、製膜条件およびガラス転移温度の異なる少なくとも2種以上のポリエステルの混合比により制御することができる。
【0019】
本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムは、高温時の耐電圧を向上させる観点から、ポリエステルフィルムの長手方向における150℃での熱収縮応力が1500kPa以上3500kPa未満の範囲内である。より好ましくは上記熱収縮応力は1700kPa以上3300kPa未満、さらに好ましくは1900kPa以上3000kPa未満である。上記の熱収縮応力が1500kPaより小さいと、コンデンサー子作製工程での熱プレス時に収縮する力が不足して、素子層間の隙間が広くなり誘電損失が大きくなり高温度で絶縁破壊を生じる問題がある。また、長手方向の熱収縮応力が3500kPaより大きくなると、金属蒸着時に熱負けシワが発生しやすくなり生産性が悪化する。
【0020】
長手方向の熱収縮応力は、長手方向のフィルムの延伸倍率、延伸温度および熱固定温度で制御することができる。
【0021】
本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムとしては、高温時の耐電圧を高くし、またコンデンサー素子層間の隙間を狭くする観点から、積層ポリエステルフィルムが好ましく用いられる。好適な積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルからなる基層部(A層)の少なくとも一方の最外層にポリエステルからなる積層部(B層)を設けて構成されており、該積層部(B層)に含有される不活性粒子の平均粒径dと該積層部(B層)の厚みtの関係が0.05≦(t/d)≦10であることが好ましく、より好ましくは0.08≦(t/d)≦8、さらに好ましくは0.1≦(t/d)≦6である。上記の関係t/dが0.05より小さい場合は、フィルムを製膜する上でフィルムの延伸性悪化になり破れやすくなるため注意すべきである。また、上記の関係t/dが10より大きい場合は、高温時の耐電圧が低くなり、またコンデンサー素子層間の隙間が広くなる可能性がある。
【0022】
また、本発明に好適な積層ポリエステルフィルムのポリエステルからなる基層部(A層)と積層部(B層)の積層厚み比は、0.5〜5/10/0.5〜5にすることが好ましい。積層厚み比がこの範囲であれば、不活性粒子によるフィルム表面に高さの均一な粒子突起を形成し、巻き取り性、蒸着膜の安定性およびコンデンサー素子としたときの耐電圧などの特性が向上する。積層厚み比のより好ましい範囲は0.8〜4/10/0.8〜4であり、最も好ましい範囲は1〜3/10/1〜3である。
【0023】
尚、積層部(B層)には、平均粒径が0.1〜2.5μmの不活性粒子を含有していることが好ましい。不活性粒子がこの範囲であれば、巻取り性、蒸着膜の安定性、コンデンサー素子としたときの耐電圧などの特性が向上する。不活性粒子のより好ましい平均粒径は、0.3〜2.2μm、最も好ましい範囲は0.5〜2.0μmである。
【0024】
不活性粒子としては、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、アルミナ、タルクまたはカオリンなどの無機系粒子が一般的に使用される。また、これら不活性粒子が凝集した不活性凝集粒子を用いてもよく、スチレン、シリコーン、ポリメチルメタクリレートまたはポリアミドイミドなどの高耐熱性高分子の有機系粒子を使用することもできる。
【0025】
本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムの平均表面粗さ(Ra)は、好ましくは5nm以上150nm以下であり、また、最大粗さ(Rt)が50nm以上1.2μm以下あることが好ましい。平均表面粗さ(Ra)および最大粗さ(Rt)が上記の範囲内である場合には、フィルム表面に高さの均一な粒子突起を形成し、巻き取り性、蒸着膜の安定性、コンデンサー素子としたときの耐電圧などの特性が向上する。平均表面粗さ(Ra)のより好ましい範囲は15nm以上130nm以下であり、さらに好ましい範囲は25nm以上100nm以下である。また、最大粗さ(Rt)のより好ましい範囲は150nm以上1.0μm以下であり、さらに好ましい範囲は250nm以上800nm以下である。
【0026】
本発明では、高温時での耐電圧、長期耐熱性を向上させる観点から、ポリエステルフィルムがポリエーテルイミドを含有することが好ましい。本発明で用いられるポリイミドは、環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶融成形性を有するポリマーであることが好ましく、好適なポリマーは、例えば、米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報、特許第2606912号公報、特許第2606914号公報、特許第2596565号公報、特許第2596566号公報、特許第2598478号公報などのポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特許第2599171号公報、特開平9−48852号公報、特許第2565556号公報、特許第2564636号公報、特許第2564637号公報、特許第2563548号公報、特許第2563547号公報、特許第2558341号公報、特許第2558339号公報および特許第2834580号公報等に記載されている。
【0027】
本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミドの主鎖に環状イミド以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよいことは無論である。
【0028】
本発明で好適に用いられるポリイミドは、下記一般式で表されるようなポリイミドである。
【0029】
【化1】
Figure 2004103787
(上記式中、Arは、炭素6〜42個の炭素原子を有する芳香族基であり、Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族基、2〜30個の炭素原子を有する脂肪族基および4〜30個の炭素原子を有する脂環族基からなる群から選択された2価の有機基である。)
上記一般式中のArとしては、例えば、次に示される芳香族基を挙げることができる。
【0030】
【化2】
Figure 2004103787
【0031】
【化3】
Figure 2004103787
また、上記一般式中のRとしては、例えば、次に示される芳香族基、脂肪族基または脂環族基を挙げることができる。
【0032】
【化4】
Figure 2004103787
【0033】
【化5】
Figure 2004103787
これらの芳香族基等は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、1種あるいは2種以上一緒にポリマー鎖中に存在してもよい。
【0034】
本発明で用いられるポリイミドとしては、ポリエステルとの溶融成形性や取り扱い性などの点から、好ましい例として、例えば、下記一般式で示されるように、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有する構造単位のポリエーテルイミドを挙げることができる。
【0035】
【化6】
Figure 2004103787
(ただし上記式中、R1とR2は、2〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族基、脂環族基からなる群から選択された2価の有機基である。)
上記一般式のR1およびR2としては、例えば、下記式群に示される芳香族基等を挙げることができる。
【0036】
【化7】
Figure 2004103787
本発明において、ポリエーテルイミドとしては、ポリエステルとの相溶性と溶融成形性等の観点から、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が特に好ましい。
【0037】
【化8】
Figure 2004103787
本発明では、ガラス転移温度が好ましくは350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドを用いると、本発明の効果が得やすい。
【0038】
上記ポリイミドは、次のような方法によって製造することができる。例えば、上記一般式中のArを誘導することができる原料であるテトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、上記一般式中のRを誘導することができる原料である脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物を脱水縮合することにより得られ、具体的には、ポリアミド酸を得て、次いで、加熱閉環する方法を例示することができる。または、酸無水物とピリジン、カルボジイミドなどの化学閉環剤を用いて化学閉環する方法、上記テトラカルボン酸無水物と上記Rを誘導することのできるジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行って重合する方法などを例示することができる。
【0039】
上記方法で用いられるテトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸、1,  2,  3,  4―ベンゼンテトラカルボン酸、3,  3’, 4,  4’―ビフェニルテトラカルボン酸、2,  2’, 3,  3’―ビフェニルテトラカルボン酸、3,  3’, 4,  4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,  2’, 3,  3’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(2,  3―ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,  4―ジカルボキシフェニル)メタン、1,  1’  ―ビス(2,  3―ジカルボキシフェニル)エタン、2,  2’―ビス(3,  4―ジカルボキシフェニル)プロパン、2,  2’―ビス(2,  3―ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,  4―ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,  3―ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,  4―ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(2,  3―ジカルボキシフェニル)スルホン、2,  3,  6,  7―ナフタレンテトラカルボン酸、1,  4,  5,  8―ナフタレンテトラカルボン酸、1,  2,  5,  6―ナフタレンテトラカルボン酸、2,  2’―ビス[(2,  3―ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等および/またはその酸無水物等が用いられる。
【0040】
またジアミンとしては、例えば、ベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、o,  m,  p―フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等およびこれらの例示した芳香族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一級ジアミン等や、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等およびこれらの例示した脂肪族および脂環族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する脂肪族および脂環族一級ジアミン等を例示することができる。
【0041】
ポリエステルとポリイミドを相溶させる場合、ポリイミドをポリエステルに添加する時期は、特に限定されないが、ポリエステルの重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に溶融押出前に添加してもよい。
【0042】
本発明では、長期耐熱性と高温時の耐電圧を向上する観点から、ポリエステルフィルム中におけるポリイミドの含有量は5〜50重量%であることが好ましい。ポリイミドの含有量が5重量%より少なくなるとコンデンサー用ポリエステルフィルムの長期耐熱性、高温時の耐電圧が低下する可能性がある。一方、ポリイミドの含有量が50重量%を超えると製膜性が低下傾向となり、フィルム破れの頻度が増加することがある。上記の観点から、ポリイミドの含有量は、より好ましくは8〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。
【0043】
本発明の効果を得る上で、ポリエステルとポリイミドのみからなるフィルムは、好適なフィルムである。また、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のポリマーや添加剤を含むことができる。
【0044】
また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の少なくとも一方向の温度150℃、30分における熱収縮率は、特に限定されないが、コンデンサーに用いた場合の成形性、使用環境での変形などによる劣化の観点から、0.1〜3%であることが好ましい。150℃熱収縮率のより好ましい範囲は0.3〜2%、最も好ましい範囲は0.5〜1.5%である。
【0045】
本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムの厚さは、特に限定されないが、1〜15μmの範囲が好ましい。フィルム厚さがこの範囲内であると、コンデンサーの小型化、フィルムの製膜性の観点から、好ましく用いられる。フィルムのより好ましい範囲は、1.2〜10μm、最も好ましくは1.5〜6μmである。
【0046】
本発明のコンデンサーは、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いて公知の方法で製造することができる。導電体は、金属を箔状にした金属箔またはコンデンサー用ポリエステルに金属を真空蒸着、スパッタリング法等の方法で形成した金属薄膜のいずれかで合っても良い。また、コンデンサーを作製する場合には、本発明のフィルムのみでなく、多種フィルム(例えば、ポリオレフィンフィルム、フッ素フィルムなど)と重ねて使用することも可能である。導電体を構成する金属としては、アルミニウム、亜鉛、錫、チタン、ニッケル、或いはそれらの合金などが挙げられるが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0047】
本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムは、溶融押出製膜、溶液キャスト製膜などの公知の製膜法によりフィルムに成形され、実用に供される。無配向であっても、一軸や二軸に配向したフィルムであっても良いが、二軸配向フィルムとすることがより好ましい。
【0048】
次いで、ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた場合を例示して、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムの好ましい製造法について説明するが、本発明は、かかる製造法に限定されるものではない。
【0049】
まず、テレフタル酸を主成分とするカルボン酸またはそのアルキルエステルとエチレングリコールを主成分とするグリコールを、カルシウム、マグネシウム、リチウムあるいはマンガン元素などの金属触媒化合物の存在下、130〜260℃でエステル化あるいはエステル交換反応を行なう。その後、アンチモン、ゲルマニウムあるいはチタン元素からなる触媒化合物およびリン化合物を添加して、高真空下、温度220〜300℃で重縮合反応させる。上記リン化合物の種類としては、亜リン酸、リン酸、リン酸トリエステル、ホスホン酸あるいはホスホネート等が挙げられるが、特に限定されず、またこれらのリン化合物を二種以上併用しても良い。
【0050】
上記触媒化合物の添加量は、特に限定しないが、カルシウム、マグネシウム、リチウムあるいはマンガン等の触媒金属化合物とリン化合物の比が、下記の式を満足するように含むことが、本発明の目的を達成する上で好ましい。
0.3≦(M/P)≦1.8
(ここで、Mは、フィルム中のカルシウム、マグネシウム、リチウムあるいはマンガン等の触媒金属元素の全モル数であり、Pはフィルム中のリン元素のモル数である。)
また、エステル化あるいはエステル交換から重縮合の任意の段階で必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤、表面突起形成用無機および有機粒子を添加する。
【0051】
その後、180℃で3時間以上真空乾燥する。その後、これらを押出機に投入し、270〜320℃にて溶融押出し、フィルター内を通過させた後、Tダイよりシート状に吐出し、このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸ポリエステルフィルムを得る。
【0052】
また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを積層フィルムとして得る場合、未延伸ポリエステルフィルムまでの製造方法は、次のような工程で製造されるが、一例でありこれに制約されることはない。まず、少なくとも2台以上の押出機を用いた溶融押出により口金から吐出し、溶融ポリマーを冷却固化させてシート状に成形する積層ポリエステルの製造方法において、1台はポリエステルとポリイミドを押出機に供給し、270〜320℃にて溶融させ、少なくとも1台は同様にポリエステルとポリイミドを押出機に供給し、270〜320℃にて溶融させ、その溶融体をパイプ内あるいは口金内で合流させて口金から吐出し、このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸ポリエステルフィルムを得る。
【0053】
次に、この未延伸ポリエステルフィルムを二軸延伸して配向せしめる。延伸の方法としては、逐次二軸延伸または同時二軸延伸法を用いることができる。二軸延伸の条件は特に限定されないが、フィルムの長手方向および幅方向に一段階もしくは二段階以上の多段階で4.0〜6.0の倍率で延伸することが好ましい。延伸温度は、90〜180℃の範囲であれば良く、未延伸ポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)〜(Tg+40)℃の範囲で長手方向及び幅方向に二軸延伸を行なうことがより好ましい。さらに必要に応じて再延伸を行なっても良い。また、延伸後の熱処理は、温度175℃〜220℃の範囲であれば良く、好ましくは190〜215℃で1〜30秒間熱処理し、その後80〜120℃で急冷却処理を施すことが好ましい。さらに、熱処理時あるいは/または熱処理後フィルムを急冷却する段階で幅方向に1〜9%の弛緩処理を加えることが、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを得る上で有効である。
【0054】
次に、上記のようにして得られた本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いて、本発明にかかる耐熱性に優れたフィルムコンデンサーの製造方法について説明する。
【0055】
上記の如くして得られたコンデンサー用フィルムを誘電体とし、金属箔または金属薄膜を導電体として、耐熱性コンデンサー用金属化フィルムを作製し、これを平板または円筒状に巻き回してコンデンサー素子を作るが、金属薄膜を導電体とした金属化フィルムを用いた方が、本発明の効果が得られ易い。この場合、金属薄膜形成法としては、周知の蒸着法やスパッタリング法等を用いることができ、特に誘電体フィルム厚みが1.3〜8μm、蒸着膜厚が50〜200オングストローム、あるいは金属膜の表面抵抗値が0.5〜5Ω/cmの蒸着金属化フィルムを用いてコンデンサーにすることが、本発明の効果を得る上で好ましい。
【0056】
次いで、このようにして得られたコンデンサー素子を、常法に従って、プレス、端面封止およびリード線取り付け、必要に応じて電圧処理、熱処理等を行なってコンデンサーとする。ここで、素子作製時のプレスは、部分損傷による荷電寿命低下を抑制する観点から、温度を120〜180℃、プレス圧を20〜100kg/cmの条件下で、1〜30分処理することが好ましい。より好ましいプレス条件は、120〜160℃、プレス圧20〜60kg/cm、処理時間1〜8分である。
【0057】
本発明では、上記耐熱性コンデンサー用フィルムに公知のコロナ放電処理を施しても良く、また、接着性、ヒートシール性、耐湿性、滑性および表面平滑性等を付与する目的で多種ポリマーを積層した構成や、有機または/および無機組成物で被覆した構成で使用しても良い。また、本発明のコンデンサーに絶縁油等を含浸させて、いわゆる油浸コンデンサーとして用いても良い。
【0058】
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
本発明における特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次のとおりである。
【0059】
(1)ポリエステル及びポリイミドの含有量
ポリエステル及びポリイミドの両者を溶解する適切な溶媒(例えば、HFIP/重クロロホルム)に溶解し、1H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステルとポリイミドに特有の吸収(例えば、PETであればテレフタル酸の芳香族プロトン、PEIであればビスフェノールAの芳香族のプロトン)のピーク面積強度を求め、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらにポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。測定条件は、例えば、以下のような条件であるが、ポリエステルとポリイミドの種類によって異なるため、この限りではない。
【0060】
装置       :BRUKER DRX−500(ブルカー社)
溶媒       :HFIP/重クロロホルム
観測周波数    :499.8MHz
基準       :TMS(0ppm)
測定温度     :30℃
観測幅      :10KHz
データ点     :64K
acquisiton time  :4.952秒
pulse delay time :3.048秒
積算回数     :256回
また、必要に応じて、顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組成分析を行ってもよい。その場合、ポリエステルのカルボニル基に起因するピークと、ポリエステル以外の物質に起因するピークの比から求めた。なお、ピーク高さ比を重量比に換算するために、あらかじめ重量比既知のサンプルで検量線を作成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対するポリエステル比率を求めた。これと、粒子含有量より熱可塑性樹脂比率を求めた。また、必要に応じてX線マイクロアナライザーを併用した。
【0061】
(2)ガラス転移温度(Tg)
下記装置及び条件でフィルム試料について比熱測定を行い、JIS K7121に従って決定した。
【0062】
Figure 2004103787
【0063】
(3)フィルムの熱収縮応力
フィルムサンプルを幅4mm、測定長20mm、荷重1.5g重/4mm幅とし、セイコーインスツルメンツ(株)製熱分析装置TMA/SS6000を用い、一定測定長条件で30℃より10℃/分の昇温速度で260℃まで測定した。得られた曲線から150℃での熱収縮応力を求めた。
【0064】
(4)積層厚み比
フィルムサンプルを任意に10箇所を選び断面方向に切り出し、電子顕微鏡で倍率2000倍で写真撮影を行い、フィルムの厚さ、フィルム基層部の厚さ、フィルム積層部の厚さを測定し、その比を算出した。これを10枚の写真について行い、その平均値で表した。
【0065】
(5)表面粗さ(Ra)と最大粗さ(Rt)
(株)小坂研究所製高精度薄膜段差計ET−10を用いて測定し、JIS B0601に従って中心線平均表面粗さ(Ra、Rt)を求めた。触針先端半径0.5μm、針圧5mg、測定長1mm、カットオフ0.08mmとした。
【0066】
(6)製膜性
逐次二軸延伸製膜機を用いた製膜に伴う製膜性を観察して次の基準で判定した。
◎:フィルム破れが皆無である場合
○:フィルム破れが極まれに生じる場合
△:フィルム破れが時々生じる場合
×:フィルム破れが頻発する場合
(7)フィルムコンデンサー特性
[コンデンサーの作製]
フィルムの片面に表面抵抗値が2Ω/cmとなるようにアルミニウムを真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライブ状に蒸着する(蒸着部の幅58mm、マージン部の幅2mmの繰り返し)。次に、各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左もしくは右に1mmのマージンを有する全幅30mmのテープ状巻取リールとした。得られたリールの左マージンおよび右マージンのものを各1枚づつ重ね合わせて巻回し、静電容量2.2μFのコンデンサー素子とし、外装として別の12μmのPETフィルムを外周に3周巻き付けた。このコンデンサー素子を130℃、30kg/cmの温度、圧力で5分間プレスした。この両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接した。このコンデンサーに直流150V/μm(フィルム厚み換算)の電圧で30秒間の荷電処理を1回行い、さらに2本のリード線に印加する電極の正負を逆転させてもう1回行なう。作製したコンデンサーの静電容量が±10%以内であること、絶縁抵抗が10000MΩ以上であることを確認し、この規格外を選別した。さらに、このコンデンサー素子を樹脂ケースに入れ、周囲をサンユレック社製エポキシ樹脂(EX−265)を注入した後100℃×2時間の条件でエポキシ樹脂を硬化させることによりコンデンサー素子を得た。
【0067】
[長期耐熱性試験]
5個のコンデンサーについて、予めコンデンサー容量の測定を行い、この値をCとする。次に、温度150℃、電圧50V/μm(DC)の条件下でオーブン中に置き、500時間経過後のコンデンサー容量をCとして、下記式で求められる値をコンデンサーの容量変化によって評価する。
ΔC/C=(C−C)/C
[150℃絶縁破壊電圧]
コンデンサーを150℃のオーブン中で60分間放置した後、電圧を100V/秒の昇圧速度でDC電圧を印加し、コンデンサーが絶縁破壊し、10mA以上の電流が流れた時点の電圧を絶縁破壊電圧とした。本発明では、30個のコンデンサーの絶縁破壊電圧値の平均値を示す。なおコンデンサーの容量が大きく、充電電流のみで10mA以上の電流が流れる場合は、該電流値を充電電流と絶縁破壊電流を分離できる適切な値に設定する。
【0068】
[高温絶縁抵抗]
125℃に調節されたオーブン中でDC100Vの電圧を印可し、1分間経過時の値を絶縁抵抗計によって測定した。
【0069】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0070】
(実施例1)
ジメチルテレフタレート100重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、エステル交換反応触媒として酢酸カルシウムを添加し、加熱昇温してメタノールを留出させてエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、重合触媒として三酸化アンチモン、熱安定剤としてリン酸を加え重縮合反応槽に移行した。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧し、290℃減圧下で内部を攪拌しメタノールを留出させながら重合し、固有粘度0.62相当まで重合度が上がった時点で吐出し、M/P=1.16のポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。得られた固有粘度0.62のPET(平均径2.5μmの凝集シリカ0.1重量%含有)のペレットを180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、押出機から溶融押出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印可させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、100℃の温度でフィルムの縦方向に4.5倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度105℃、延伸倍率3.5倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて200℃の温度で3秒間熱処理を行った後、100℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行って室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ6μmのコンデンサー用ポリエステルフィルムを得た。得られたコンデンサー用ポリエステルフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。
【0071】
【表1】
Figure 2004103787
また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いて、上述のとおりコンデンサー素子を作製し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に示す。得られたコンデンサーは、長期耐熱性試験後の容量変化に優れ、かつ、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗にも優れたコンデンサーであった。
【0072】
【表2】
Figure 2004103787
(実施例2)
ポリエチレンテレフタレート(PET)の替わりに、公知の方法によって得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。また、得られたポリエステルフィルムを用いてコンデンサー素子を作成し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に示す。得られたコンデンサーは、長期耐熱性試験後の容量変化に優れ、かつ、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗にも優れたコンデンサーであった。
【0073】
(実施例3)
実施例1と同様にして得た、固有粘度0.62のPET(50重量%)と、150℃で5時間熱風乾燥を行ったポリエーテルイミド(絶対重量平均分子量30,000、日本ジーイープラスチックス(株)製、“ウルテム”(登録商標)1010)(50重量%)をドライブレンドし、同方向回転型二軸混練押出機(東芝機械(株)製TEM−35B)を用いて溶融混練し、ポリエーテルイミドを50重量%含有したブレンドチップを作製した。溶融混練は、310℃、平均滞留時間3.5分、ベント真空度0.5mmHgの条件で実施した。押出機を用い、285℃に加熱された押出機に固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)のペレット(平均径2.5μmの凝集シリカ0.1重量%含有)(80重量%)と上記ブレンドチップ(20重量%)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、押出機から溶融押出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印可させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、110℃の温度でフィルムの縦方向に4.5倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度115℃、延伸倍率3.5倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて200℃の温度で3秒間熱処理を行った後、100℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行って室温まで冷却した後、フィrムエッジを除去し、厚さ6μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いてコンデンサー素子を作製し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に併せて示す。得られたコンデンサーは、長期耐熱性試験後の容量変化に優れ、かつ、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗にも優れたコンデンサーであった。
【0074】
(実施例4)
ポリエーテルイミドの含有量を変更し、実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いてコンデンサー素子を作製し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に併せて示す。得られたコンデンサーは、長期耐熱性試験後の容量変化に優れ、かつ、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗にも優れたコンデンサーであった。
【0075】
(実施例5)
実施例1と同様にして得た、固有粘度0.62のPET(50重量%)と、150℃で5時間熱風乾燥を行ったポリエーテルイミド(絶対重量平均分子量30,000、日本ジーイープラスチックス(株)製、“ウルテム”(登録商標)1010)(50重量%)をドライブレンドし、同方向回転型二軸混練押出機(東芝機械(株)製TEM−35B)を用いて溶融混練し、ポリエーテルイミドを50重量%含有したブレンドチップを作製した。溶融混練は、310℃、平均滞留時間3.5分、ベント真空度0.5mmHgの条件で実施した。押出機2台を用い、285℃に加熱された押出機Aには固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)のペレット(80重量%)と上記ブレンドチップ(b)(20重量%)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、同じく285℃に加熱された押出機Bには固有粘度0.62のPET(平均径2.5μmの凝集シリカ0.1重量%含有)のペレット(80重量%)と上記ブレンドチップ(b)(20重量%)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、押出機Aからのポリマーが主層、押出機Bからのポリマーが最外層になるように3層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比B/A/B=3/10/3)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印可させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。このようにして得られた未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、110℃の温度でフィルムの縦方向に4.5倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度115℃、延伸倍率3.5倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて200℃の温度で3秒間熱処理を行った後、100℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行って室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ6μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いてコンデンサー素子を作製し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に併せて示す。得られたコンデンサーは、長期耐熱性試験後の容量変化に優れ、かつ、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗にも優れたコンデンサーであった。
【0076】
(実施例6)
基層部(A層)と積層部(B層)の積層厚み比を表1に示す値にしたこと以外は、実施例5と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いてコンデンサー素子を作製し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に併せて示す。得られたコンデンサーは、長期耐熱性試験後の容量変化に優れ、かつ、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗にも優れたコンデンサーであった。
【0077】
(比較例1)
フィルムの縦方向の延伸倍率を3.0倍にしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いてコンデンサー素子を作製し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に併せて示す。得られたコンデンサーは、ガラス転移温度が本発明の規定の範囲外であった為、長期耐熱性試験後の容量変化、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗も劣るコンデンサーしか得られなかった。
【0078】
(比較例2)
フィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて170℃の温度で3秒間熱処理を行った以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。
【0079】
また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いてコンデンサー素子を作製し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に併せて示す。得られたコンデンサーは、150℃での熱収縮応力が本発明の規定の範囲外であった為、長期耐熱性試験後の容量変化、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗も劣るコンデンサーしか得られなかった。
【0080】
(比較例3)
フィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて245℃の温度で3秒間熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いてコンデンサー素子を作製し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に併せて示す。得られたコンデンサーは、150℃での熱収縮応力が本発明の規定の範囲外であった為、長期耐熱性試験後の容量変化、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗も劣るコンデンサーしか得られなかった。
【0081】
(比較例4)
ポリエーテルイミドの含有量を変更し、実施例3と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムのTg、熱収縮応力、t/d、表面粗さ、最大粗さおよび製膜性を表1に示す。Tgが本発明の規定の範囲外であった為、製膜時に破れが頻繁に発生した。また、本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いてコンデンサー素子を作製し、その後エポキシ樹脂で外装した後、コンデンサーの特性評価を行った。結果を表2に併せて示す。得られたコンデンサーは、150℃での熱収縮応力が本発明の規定の範囲外であった為、長期耐熱性試験後の容量変化、高温絶縁破壊電圧や高温絶縁抵抗も劣るコンデンサーしか得られなかった。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐熱性と電気特性(耐電圧)を有し、生産性の点でも優れたコンデンサー用ポリエステルフィルムが得られる。本発明のコンデンサー用ポリエステルフィルムは、フィルムコンデンサーとして使用した場合に、長期耐熱性、高温下での耐電圧に優れたフィルムコンデンサーが得られる。

Claims (7)

  1. ガラス転移温度が100℃以上150℃未満であり、長手方向の150℃での熱収縮応力が1500kPa以上3500kPa未満であることを特徴とするコンデンサー用ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステルフィルムがポリエステルからなる基層部(A層)の少なくとも一方の最外層にポリエステルからなる積層部(B層)を設けてなる積層ポリエステルフィルムであり、該積層部(B層)に含有される不活性粒子の平均粒径dと該積層部(B層)の厚みtの関係が、0.05≦(t/d)≦10であることを特徴とする請求項1記載のコンデンサー用ポリエステルフィルム。
  3. 平均表面粗さ(Ra)が5nm以上150nm以下であり、最大粗さ(Rt)が50nm以上1.2μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のコンデンサー用ポリエステルフィルム。
  4. ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、それらの共重合体または変成体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサー用ポリエステルフィルム。
  5. ポリエステルフィルムが、ポリイミドを5〜50wt%含有するポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサー用ポリエステルフィルム。
  6. ポリイミドがポリエーテルイミドであることを特徴とする請求項5記載のコンデンサー用ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のコンデンサー用ポリエステルフィルムを用いてなるコンデンサー。
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