JP2004103726A - 電子部品用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材の少なくとも片面に、フッ化ビニリデンホモポリマー層又はフッ化ビニリデンを含むコポリマー層が積層されてなる電子部品、すなわちアルミニウム電解コンデンサ又は電気二重層キャパシタに使用されるセパレータであって、前記基材が、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリイミド不織布のいずれかであり、前記フッ化ビニリデンを含むコポリマー層が、フッ化ビニリデンと4フッ化エチレン又は6フッ化プロピレンのいずれか1種類以上であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品、すなわちアルミニウム電解コンデンサ又は電気二重層キャパシタに使用されるセパレータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業機器、民生機器に関わらず電気・電子機器の需要の増加及びハイブリッド自動車の開発により、電子部品であるアルミニウム電解コンデンサ及び電気二重層キャパシタの需要が著しく増加している。これらの電気・電子機器は小型化、高機能化が日進月歩で進行しており、アルミニウム電解コンデンサ及び電気二重層キャパシタにおいても小型化、高機能化が要求されている。
【0003】
アルミニウム電解コンデンサは、エッチングした後化成処理を施すことにより誘電体皮膜が形成されたアルミニウム製正極箔と、エッチングされたアルミニウム製負極箔をセパレータを介して捲回もしくは積層された電極体に、駆動用電解液を含浸しアルミニウムケースと封口体により封止され、短絡しないように正極リードと負極リードを封止体を貫通させ外部に引き出した構造のものである。また、電気二重層キャパシタは、活性炭と導電剤及びバインダーを混練したものをアルミニウム製正極、負極各集電極の両面に貼り付け、セパレータを介して捲回もしくは積層された電極体に駆動用電解液を含浸しアルミニウムケースと封止体により梱包され、短絡しないように正極リードと負極リードを封止体を貫通させ外部に引き出した構造のものである。従来、上記アルミニウム電解コンデンサ及び電気二重層キャパシタのセパレータとしては、電気絶縁紙が使用されていた。
【0004】
上記アルミニウム電解コンデンサ及び電気二重層キャパシタには、その小型化を図るために、電極箔のエッチング面積を広げることによる容量アップか、電極箔及びセパレータの厚さの薄手化を図ることが提案されている。
【0005】
この場合において、電極箔のエッチング面積を広げる方法は、エッチング工程の改良に伴い莫大な費用が必要となっていた。また、電極箔の薄手化の方法は、容量ダウンを生じ、高機能化に反する問題を有していた。一方、セパレータの薄手化については、現状使用されている電気絶縁紙は厚さ40μmのものがあるが、それ以下の薄手化になると機械的強度が弱く工程での作業性の低下につながるだけでなく、短絡という現象も起こりやすいという問題を有していた。
【0006】
以上のように、現状でもアルミニウム電解コンデンサ及び電気二重層キャパシタにおいて小型化、高機能化を図る手段はあるが、作業性、生産性を損ない、製品の信頼性の低下、又高コストの問題を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、このような従来の実状に鑑みて提案されたものであり、作業性、生産性を損なうことなく、アルミニウム電解コンデンサ及び電気二重層キャパシタの小型化を可能にし、機械的強度も高く、又電極とセパレータの密着性をも向上することを可能とするセパレータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するための本発明に係るセパレータは、基材の少なくとも片面に、フッ化ビニリデンホモポリマー層又はフッ化ビニリデンを含むコポリマー層が積層されてなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のセパレータを構成する基材としては、セルロースパルプからなる紙のほか、綿、大麻、黄麻等の靱皮繊維、マニラ麻等の葉脈繊維等のセルロース繊維からなる紙、あるいはレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維や再生タンパク繊維等の再生繊維、酢酸セルロース繊維やプロミックス等の半合成繊維、ナイロンアラミド繊維,ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維等からなる不織布を挙げることができる。この中でも特にポリエチレン繊維からなるポリエチレン不織布、ポリプロピレン繊維からなるポリプロピレン不織布、ポリイミド繊維からなるポリイミド不織布のいずれかであることが、耐熱性と下記で述べるフッ化ビニリデン層との密着性が良好なため好ましい。
【0010】
本発明のセパレータを構成するフッ化ビニリデンホモポリマー層又はフッ化ビニリデンを含むコポリマー層は多孔性を有している。該層の構造が、孔構造でない場合では、アルミニウム電解コンデンサ又は電気二重層キャパシタにおいて電解液中のイオン伝導性がセパレータによって阻害され内部抵抗が著しく大きくなり好ましくない。孔構造を測る尺度として透気度があり、フッ化ビニリデンホモポリマー層又はフッ化ビニリデンを含むコポリマー層の透気度は、アルミニウム電解コンデンサ又は電気二重層キャパシタのインピーダンスを考慮に入れると、100秒/100cc以下が好ましく、更に1秒/100cc〜100秒/100ccが好ましい。100秒/100ccを超えた場合では内部抵抗が増大し好ましくない。フッ化ビニリデンホモポリマー層又はフッ化ビニリデンを含むコポリマー層の厚さは、5μmから30μmが好ましい。
【0011】
本発明におけるフッ化ビニリデンホモポリマーは、フッ化ビニリデンのモノマーの付加重合反応により得られ、その重合方法としては、公知の技術を用いることができる。すなわちラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、光・放射線重合、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法などにより得ることができる。また、フッ化ビニリデンを含むコポリマーは、フッ化ビニリデンと他のモノマーを共重合させた樹脂であり、他のモノマーとして、例えばエチレン、プロピレン等の炭化水素系単量体、フッ化ビニル、3フッ化エチレン、3フッ化塩化エチレン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素単量体、マレイン酸モノメチル、シトラコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有単量体、またはアリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエステル等のエポキシ基含有ビニル単量体、などが挙げられる。この中でも特に、フッ化ビニリデンと4フッ化エチレン又は6フッ化プロピレンのいずれか1種類以上とからなるコポリマーが、耐熱性と密着性が良好なため好ましい。フッ化ビニリデンを含むコポリマーも上記フッ化ビニリデンホモポリマーと同様な重合方法で得ることができる。本発明で用いられるフッ化ビニリデンホモポリマー及びフッ化ビニリデンを含むコポリマーの好適な分子量は、重量平均分子量において10万から50万が好ましい。
【0012】
以下に本発明のセパレータの製造方法について、フッ化ビニリデンホモポリマーを使用した一例を挙げるが、本発明のセパレータの製造方法はこれのみに限定されるものではなく、他の製造方法でも本発明のセパレータを製造することは可能である。
最初にポリフッ化ビニリデン樹脂を溶媒に分散させる。溶媒としてはポリフッ化ビニリデン樹脂が溶解するものを選択しなければならない。例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を使用することが好ましい。分散、溶解方法としては市販の攪拌機を使用してよい。ポリフッ化ビニリデンはN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドに室温で容易に溶解するので、特に加熱する必要はない。ポリフッ化ビニリデン樹脂の濃度としては、得るべきセパレータの特性を考慮に入れ適宜変更する必要がある。得られた溶液を、例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等の樹脂フィルム又は各種ガラス等の基体上に塗布またはキャスティング法等によりシート状の被覆物を得る。これらの基体は、離型処理、易接着処理などの表面処理を施したものでもよく、塗布方法により適宜選択すれば良い。次に塗布により得られたシート状の被覆物を構成する溶媒を乾燥により蒸発もしくは置換させることによって、多孔性のフッ化ビニリデンホモポリマー膜を得た後、基体上から該膜を剥離し、これを基材の少なくとも片面に、貼り合せることによってフッ化ビニリデンホモポリマー層が積層された本発明のセパレータを得ることができる。
また、基材の少なくとも片面に、ポリフッ化ビニリデン樹脂を溶媒に分散させた溶液をディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等により塗布し、得られたシート状の被覆物を構成する溶媒を乾燥により蒸発もしくは置換させることによってもフッ化ビニリデンホモポリマー層を形成することが可能で、これにより多孔性の本発明のセパレータを得ることができる。
また、本発明のセパレータは、空隙率が30%から90%の多孔性であることが電解液を保持しやすいために好ましい。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明のセパレータの実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
重量平均分子量10万のフッ化ビニリデンホモポリマーを3重量%となるように1−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと記す)に溶解した後、この溶液を用いてポリプロピレンフィルム(以下PPフィルムと記す)上にキャスティング法によりシート状の被覆物を形成した。次に該シート状の被覆物を置換法により厚さ1μmのフッ化ビニリデンホモポリマー多孔質膜とした。その後、該ポリマー多孔質膜を乾燥させ、PPフィルムから剥離した後、厚さ16μmのポリプロピレン複芯型不織布(以下PP複芯型不織布と記す)からなる基材の両面に貼り合せた。このようにして基材の両面にフッ化ビニリデンホモポリマー層が積層された3層構造の本発明のセパレータを得た。このセパレータの空隙率は71%であった。
【0014】
実施例2
重量平均分子量10万のフッ化ビニリデンホモポリマーを5重量%となるようにNMPに溶解した後、この溶液を用いてPPフィルム上にキャスティング法によりシート状の被覆物を形成した。次に該シート状の被覆物を置換法により厚さ2μmのフッ化ビニリデンホモポリマー多孔質膜とした。その後、該ポリマー多孔質膜を乾燥させ、PPフィルムから剥離した後、厚さ16μmのPP複芯型不織布からなる基材の両面に貼り合せた。このようにして基材の両面にフッ化ビニリデンホモポリマー層が積層された3層構造の本発明のセパレータを得た。このセパレータの空隙率は75%であった。
【0015】
実施例3
重量平均分子量10万のフッ化ビニリデンホモポリマーを8重量%となるようにNMPに溶解した後、この溶液を用いてPPフィルム上にキャスティング法によりシート状の被覆物を形成した。次に該シート状の被覆物を置換法により厚さ4μmのフッ化ビニリデンホモポリマー多孔質膜とした。その後、該ポリマー多孔質膜を乾燥させ、PPフィルムから剥離した後、厚さ16μmのPP複芯型不織布からなる基材の両面に貼り合せた。このようにして基材の両面にフッ化ビニリデンホモポリマー層が積層された3層構造の本発明のセパレータを得た。このセパレータの空隙率は81%であった。
【0016】
実施例4
重量平均分子量10万のフッ化ビニリデン−4フッ化エチレン共重合体を10重量%となるようにNMPに溶解した後、この溶液を用いてPPフィルム上にキャスティング法等によりシート状の被覆物を形成した。次に該シート状の被覆物を置換法により厚さ2μmのフッ化ビニリデン−4フッ化エチレン共重合体多孔質膜とした。その後、該多孔質膜を乾燥させ、PPフィルムから剥離した後、厚さ16μmのPP複芯型不織布からなる基材の両面に貼り合せた。このようにして基材の両面にフッ化ビニリデンを含むコポリマー層が積層された3層構造の本発明のセパレータを得た。このセパレータの空隙率は88%であった。
【0017】
比較例1
厚さ16μmのPP複芯型不織布のみをセパレータとして使用した。
【0018】
比較例2
厚さ40μmの電気絶縁紙のみをセパレータとして使用した。
【0019】
上記実施例及び比較例で得られたセパレータを電気二重層キャパシタに使用した場合の特性を下記のように評価した。
〔セパレータの液保持性〕
前記の実施例1から4、比較例1及び2の6種のセパレータに電気二重層キャパシタ駆動用電解液を含浸し、セパレータの液保持性を評価した。電解液には溶媒成分にプロピレンカーボネートを使用し、溶質成分には4エチルアンモニウム4フッ化ホウ素を使用した。試験サンプルは上記6種のセパレータを縦5cm、横5cmに切り落とし、電解液に浸し減圧雰囲気下で15分間含浸し、その後セパレータ表面に付着している電解液をふき取りセパレータ内部の多孔質層にのみ電解液が含まれている状態にした。この状態のセパレータの重量を計測し、25℃50%湿度雰囲気下で時間経過と液保持率の関係を確認した。結果については表1に記す。表中の%で表示してある数値は、初期電解液量と比較して何%保持しているかを表したものである。
【0020】
【表1】
【0021】
表1より明らかなように本発明の実施例1から4のセパレータは、液保持率が比較例に比べて格段に優れていることがわかる。この結果より、実施例に使用したセパレータはキャパシタ内部においても電解液を均一に保持することが可能であり、機械的強度も問題なく安定した特性の電気二重層キャパシタを作製することができる。なお、比較例1のセパレータはセパレータ内部に電解液を含浸することができないため、評価試験を行なわなかった。
【0022】
〔セパレータの密着性〕
前記6種のセパレータと電極との密着性を次のように評価した。まずアルミニウム製集電体に電極剤を塗布し、その上にセパレータを負荷圧力が1kg/1cm2の圧力で押し当て密着させた後、セパレータと電極を剥離することによって密着性を確認した。結果については表2に記す。セパレータを剥離した際にセパレータ表面の80%以上に電極剤が付着しているものには◎、50%以上80%未満のものには○、20%以上50%未満のものには△、20%未満のものには×とした。
【0023】
【表2】
【0024】
表2より明らかなように本発明の実施例1から4のセパレータは密着性が格段に優れていることが明らかである。これにより、キャパシタ内部で集電体若しくは電極剤からガス発生が起こったとしても、セパレータと電極が剥離する可能性は非常に少なく、特性の安定した電気二重層キャパシタを作製することができる。
【0025】
〔セパレータの厚さ〕
前記6種のセパレータを使用して素子を作製した際の素子サイズを確認した。素子作製に使用した電極は正極及び負極共に100μmの厚さである。結果については表3に記す。なお、本実験に使用した素子は積層型であり、正極負極各々5枚ずつ用いた。
【0026】
【表3】
【0027】
表3より比較例1がもっとも薄い素子厚となっているが、前記液保持性及び密着性の評価から比較例1のものは電気二重層キャパシタとして実用上問題を有していることが明らかであるため比較対象から除外した場合、実施例1から4は比較例2より著しく薄手化が図られており、アルミニウム電解コンデンサ又は電気二重層キャパシタとして使用された場合、液保持性及び密着性を向上させながら更に小型化、大容量化が可能となる。
【0028】
【発明の効果】
上記の如く本発明にかかるセパレータは、アルミニウム電解コンデンサ又は電気二重層キャパシタの小型化及を可能にし、機械的強度も高く、又電極とセパレータの密着性をも向上することを可能とする優れたセパレータである。
Claims (5)
- 基材の少なくとも片面に、フッ化ビニリデンホモポリマー層又はフッ化ビニリデンを含むコポリマー層が積層されてなることを特徴とする電子部品用セパレータ。
- 前記基材が、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリイミド不織布のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用セパレータ。
- 前記フッ化ビニリデンを含むコポリマー層が、フッ化ビニリデンと4フッ化エチレン又は6フッ化プロピレンのいずれか1種類以上とからなるコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用セパレータ。
- セパレータが多孔性であって、空隙率が30%から90%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子部品用セパレータ。
- 電子部品が、アルミニウム電解コンデンサ又は電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子部品用セパレータ。
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JP2002261737A JP2004103726A (ja) | 2002-09-06 | 2002-09-06 | 電子部品用セパレータ |
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Cited By (2)
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JP2007129126A (ja) * | 2005-11-07 | 2007-05-24 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 電解コンデンサ及びその製造方法 |
US20200098520A1 (en) * | 2017-03-29 | 2020-03-26 | Ojai Energetics Pbc | Systems and methods for storing electrical energy |
-
2002
- 2002-09-06 JP JP2002261737A patent/JP2004103726A/ja active Pending
Cited By (2)
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