JP2004102015A - 導波路型光合分波器 - Google Patents

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Hideki Namise
南畝 秀樹
Satoru Takasugi
高杉 哲
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Abstract

【課題】外部環境温度の変化の影響を受けない導波路型光合分波器を提供する。
【解決手段】導波路型光合分波素子2を筐体5内で浮いた状態になるように断熱材6a、6bで覆ったことにより、導波路型光合分波素子2を筐体5に固定する台座4が不要となる。このため、台座4を通して熱が筐体5の内外を伝導することが無くなり、導波路型光合分波素子2が熱的に筐体5外部と完全に遮断され、外部環境温度の変化の影響を受けることがなくなる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導波路型光合分波器に関する。
【0002】
【従来の技術】
光導波路からなる導波路型光合分波器には、筐体外部の温度変化に起因する光導波路内の温度ずれや応力変化等により、光学特性が所定の特性を損ねてしまうものがある。
【0003】
図3は従来の導波路型光合分波器の構造図である。
【0004】
導波路型光合分波素子2には光ファイバ1が接続され、導波路型光合分波素子2は接着剤により温度補償用のヒータ3の中央に固定されている。ヒータ3は複数(図では2本だけ示されているが限定されない。)の台座4の一端(図では上端)に接着固定され、台座4の他端(図では下端)は筐体5の底板に接着固定されている。筐体5内には断熱材6が埋め込まれている。ヒータ3の一方の端部(図では左端)には温度補償用の温度センサ7が接着固定されている。
【0005】
この導波路型光合分波器8は図示しない制御手段により外部からヒータ3に電圧が供給され、温度センサ7で筐体5内の温度が検知され、筐体5内の温度が筐体5外部の温度変化の影響を受けないように制御されるようになっている。
【0006】
導波路型光合分波器8は、ITU−T(International Telecommunication Union /Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合)で規定された波長に帯域の中心(中心波長)が位置するように設計されている。このため、導波路型光合分波器8は中心波長の外部環境温度依存性が小さければ小さいほどITU−Tで規定された波長からのずれが小さいことになり、これは信号を伝送する上で極めて望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図4は図3に示した導波路型光合分波器の外部温度依存性を示す図であり、横軸は環境温度を示し、縦軸は中心波長変動を示す。
【0008】
図4より、中心波長の外部環境温度依存性は、外部環境温度範囲(−5℃〜65℃)において0.015nmであることが分かる。これは、導波路型光合分波素子2自体の光学特性が、外部環境温度に依存した熱及び応力の二つの要因に依存して変化することによる。
【0009】
ここで、外部環境温度からの断熱が不十分な場合、温度センサ7で検出される温度が所定の温度からずれると、筐体5内の温度分布が変化し、ヒータ3及び導波路型光合分波素子2の温度も設定値からずれてしまう。この温度ずれが光学特性を変化させ、中心波長の外部環境温度依存性を引き起こす。
【0010】
また、外部環境温度依存性は、導波路型光合分波素子2に作用する応力が外部環境温度の変化に従い変化することにも起因する。
【0011】
導波路型光合分波素子2を保持しているヒータ3、ヒータ3を固定する台座4及び台座4を保持する筐体5には、それぞれ固有の熱膨張(線膨張係数)に従い、外部環境温度の変化を受けた熱歪みが発生する。
【0012】
導波路型光合分波素子2の内部ではこれらの熱歪みに対する応力が働き、導波路内部の応力状態が変化する。この応力変化が導波路型光合分波器8の光学特性を変化させ、中心波長の外部環境温度依存性の増大を引き起こすという問題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、外部環境温度の変化の影響を受けない導波路型光合分波器を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、基板材料に石英ガラスまたはシリコンが用いられた導波路型光合分波素子を筐体内に配置した導波路型光合分波器において、導波路型光合分波素子を筐体内で浮いた状態になるように熱伝導率が0.03W/mK以下の発泡プラスチックからなる断熱材で覆ったものである。
【0015】
請求項1の発明によれば、導波路型光合分波素子を筐体内で浮いた状態になるように断熱材で覆ったことにより、導波路型光合分波素子を筐体に固定する台座が不要となる。このため、台座を通して熱が筐体の内外を伝導することが無くなり、導波路型光合分波素子が熱的に筐体外部と完全に遮断され、外部環境温度の変化の影響を受けることがなくなる。
【0016】
請求項2の発明は、基板材料に石英ガラスまたはシリコンが用いられ、温度補償用のヒータ及び温度補償用の温度センサが設けられた導波路型光合分波素子を筐体内に配置した導波路型光合分波器において、導波路型光合分波素子を筐体内で浮いた状態になるように熱伝導率が0.03W/mK以下の発泡プラスチックからなる断熱材で覆ったものである。
【0017】
請求項2の発明によれば、導波路型光合分波素子を筐体内で浮いた状態になるように断熱材で覆ったことにより、温度補償用のヒータを筐体に固定する台座が不要となる。このため、台座を通して熱が筐体の内外を伝導することが無くなり、導波路型光合分波素子が熱的に筐体外部と完全に遮断され、外部環境温度の変化の影響を受けることがなくなる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成に加え、ヒータとして線膨張係数が5×10−6/K以下の材料を用いるのが好ましい。
【0019】
請求項3の発明によれば、ヒータの線膨張係数と基板材料の線膨張係数との差が小さくなるので、ヒータの導波路型光合分波素子への熱応力の影響が減少する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0021】
図1は本発明の導波路型光合分波器の一実施の形態を示す構造図である。なお、図3に示した導波路型光合分波器と同様の部材には共通の符号を用いた。
【0022】
導波路型光合分波素子2には光ファイバ1が接続され、導波路型光合分波素子2は接着剤により温度補償用のヒータ3の中央に固定されている。ヒータ3の端部(図では左端)には温度補償用の温度センサ7が接着固定されている。
【0023】
筐体5内の下側には熱伝導率が0.03W/mK以下の発泡プラスチックからなる下側断熱材6bが配置されている。下側断熱材6bの上には導波路型光合分波素子2がヒータ3及び温度センサ7ごと載置されている。筐体5内の上側には導波路型光合分波素子2、ヒータ3及び温度センサ7を覆うように、熱伝導率が0.03W/mK以下の発泡プラスチックからなる上側断熱材6aが配置されている。
【0024】
すなわち、導波路型光合分波素子2は、筐体5内で浮いた状態になるように(従来例のように台座4による機械的な固定がされない状態で)両断熱材6a、6bで覆われている。両断熱材6a、6bは、断熱する機能を有すると共に、導波路型光合分波素子2を筐体5内に保持する機能を有する。
【0025】
断熱材6a、6bの材質としては例えば熱伝導率が0.02〜0.03W/mKの発泡フェノールを用いるのが好ましい。
【0026】
ヒータ3の材料としては、例えば線膨張係数が5×10−6/Kの窒化アルミニウムを用いるのが好ましい。
【0027】
導波路型光合分波素子2の線膨張係数は、基板材料が石英ガラスの場合は0.4×10−6/Kであり、基板材料がシリコンの場合は4×10−6/Kである。基板材料として石英ガラスやシリコンを用いることにより導波路型光合分波素子2とヒータ3との線膨張係数が略等しくなるので、熱応力による影響を抑えることができる。
【0028】
筐体5の材質は、断熱性の観点から熱拡散がより小さい材料であるのが望ましく、金属よりもプラスチックを用いるのが好ましいことは言うまでもない。
【0029】
この導波路型光合分波器10は図示しない制御手段(例えばマイクロコンピュータ)により外部からヒータ3に電圧が供給され、温度センサ7で筐体5内の温度が検知され、筐体5内の温度が筐体5外部の温度変化の影響を受けないように制御されるようになっている。
【0030】
図2は図1に示した導波路型光合分波器の中心波長の外部環境温度依存性を示す図であり、横軸が環境温度を示し、縦軸が中心波長変動を示す。
【0031】
図2より、中心波長の外部環境温度依存性は、外部環境温度範囲(−5℃〜65℃)の範囲内において0.001nm以下であることが分かる。この結果は、図4に示した従来例と比べて15分の1になっており、本発明の課題が解決されていることを明示している。
【0032】
ここで、本実施の形態では導波路型光合分波器に温度補償用のヒータ等を設けた場合で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、導波路型光合分波素子内に応力を発生させない構造であるとの観点から、温度補償用のヒータ3や温度センサ7等を用いない型のもの(温度無依存型光合分波器)に適用してもよい。
【0033】
以上において、本発明によれば、
(1)外部環境温度が変化しても光学特性が変化しない導波路型光合分波器を実現することができる。
(2)従来技術と比較して、使用する部品(台座)の数を大幅に削減することができ、実使用におけるコストメリットが見い出せる。
(3)筐体材料の選定及び筐体内部の熱設計を最適化することで断熱層を薄くすることが可能であり、導波路型光部品の小型化が可能となる。
【0034】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、外部環境温度の変化の影響を受けない導波路型光合分波器の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導波路型光合分波器の一実施の形態を示す構造図である。
【図2】図1に示した導波路型光合分波器の中心波長の外部環境温度依存性を示す図である。
【図3】従来の導波路型光合分波器の構造図である。
【図4】図3に示した導波路型光合分波器の外部温度依存性を示す図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ
2 導波路型光合分波素子
3 ヒータ
4 台座
5 筐体
6a、6b 断熱材
7 温度センサ
10 導波路型光合分波器

Claims (3)

  1. 基板材料に石英ガラスまたはシリコンが用いられた導波路型光合分波素子を筐体内に配置した導波路型光合分波器において、上記導波路型光合分波素子を上記筐体内で浮いた状態になるように熱伝導率が0.03W/mK以下の発泡プラスチックからなる断熱材で覆ったことを特徴とする導波路型光合分波器。
  2. 基板材料に石英ガラスまたはシリコンが用いられ、温度補償用のヒータ及び温度補償用の温度センサが設けられた導波路型光合分波素子を筐体内に配置した導波路型光合分波器において、上記導波路型光合分波素子を上記筐体内で浮いた状態になるように熱伝導率が0.03W/mK以下の発泡プラスチックからなる断熱材で覆ったことを特徴とする導波路型光合分波器。
  3. 上記ヒータとして線膨張係数が5×10−6/K以下の材料を用いた請求項2に記載の導波路型光合分波器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006003619A (ja) * 2004-06-17 2006-01-05 Aisin Seiki Co Ltd マッハツェンダ型光変調器
JP4538721B2 (ja) * 2004-06-17 2010-09-08 アイシン精機株式会社 マッハツェンダ型光変調器

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