JP2004101416A - 多成分分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷凍空調機用冷媒(フロンガス)の新旧混合冷媒の成分比率を測定するフロンガス濃度測定装置に関し、各成分比率演算の演算精度を向上させる多成分分析装置を提供する。
【解決手段】種類および数が限定されている測定対象成分またはその混合物からなる測定対象試料Sに赤外光を照射し、測定対象試料Sを透過した赤外光のうち各測定対象成分の赤外吸収スペクトルに合わせた各波長域の赤外光強度を、対応する複数の検出器4a〜4gを用いて測定し、かつ、各波長域の赤外光強度を解析することで各測定対象成分の濃度x1 〜x7 を求める演算処理部6を有する多成分分析装置であって、前記演算処理部6が、各測定対象成分間における干渉影響を補正するための相互干渉補正項を有する方程式からなる連立方程式を解いて各測定対象成分の濃度x1 〜x7 の解析を行なう解析処理プログラムPを実行可能に構成した。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多成分分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平2−124448号公報
【特許文献2】特開2002−5831号公報
従来より、特に冷蔵庫やクーラなどの冷却機に用いられる冷媒には、一般的にフロンガスが用いられている。フロンガスは旧冷媒のCFC系、HCFC系に加えて、新冷媒のHFC系があるが、オゾン層破壊や地球温暖化の問題があり、フロンガスの回収およびリサイクルが義務付けられている。また、リサイクルできないフロンガスについてはこれを確実に破壊することが求められている。
【0003】
一方、新冷媒として代表的なフロンガス、R410A、R407C、R404A、R507Aは複数の単成分フロンガス(R32、R125、R134a、R143a)のうち数種を所定の割合で混合してなるものであるが、その他、混合冷媒としては旧冷媒のR502などがある。ところが、フロンガスの誤回収などによって、回収したフロンガスの混合割合が適切でない場合があり、このフロンガスをそのままリサイクルすると、冷却機の性能低下や破損を招くおそれがあった。
【0004】
したがって、フロンガスの回収業者はその回収を行った後に、前記特許文献1に示すようなフロン計を用いて回収したフロンガスがリサイクルできるものかどうかを確認して、これをリサイクルするか破壊するか決定する必要があった。つまり、フロンガスの回収時およびリサイクル時における誤回収や誤使用を防ぐために回収前または回収後のフロンガスの濃度測定を行うことが必要であった。
【0005】
ところで、本発明者らは、フロンガスの混合成分比率を測定する方法として、測定対象成分の数をnとするときに、測定対象試料を透過した光の各測定対象成分の赤外吸収スペクトルに合わせた波長域の赤外光強度をn個の測定器を有する非分散型赤外線ガス分析計によって測定することを提案している。そして、各測定器による測定値を基に、吸光度y1 〜yn を求め、求められた各吸光度y1 〜yn を用いて解析することにより、各濃度x1 〜xn を求めることが可能である。(特願2001−247636号、但し未公開)
【0006】
なお、前記吸光度y1 〜yn は例えば測定対象試料を測定したときの各検出器による測定値をゼロガスを測定したときの測定値によって除算した値の対数とすることで、各測定対象成分同士の混合によって生じる吸光度の減衰を加算で表すことができ、以後の演算処理を簡単に行なうことが可能である。このため、各測定器による測定値は対数演算した吸光度で求めることがしばしば行われているから、以下の説明において、測定器による測定値は、吸光度y1 〜yn を表わすものとする。しかしながら、本発明はこの点を限定するものではない。
【0007】
以下の式(1)は濃度x1 〜xn の解析に用いる連立方程式の一例を示す、線形連立方程式であって各測定対象成分の濃度x1 〜xn に対応する1次元の式の和を示している。つまり、この線形連立方程式を解くことにより各測定器による測定値y1 〜yn から各濃度x1 〜xn を解析することができる。
Figure 2004101416
但し、i=1〜nまでのn個の連立方程式よりなり、iは検出器の番号、jは測定対象成分の番号、y1 〜yn は異なる波長域の透過光を検出するn個の検出器による測定値、x1 〜xn はn個の成分の濃度、aijは定数である。
【0008】
また、前記式(1)に示す連立方程式では、各成分濃度x1 〜xn と従属変数(測定値y1 〜yn )が直線関係になく、線形で近似できない場合には、式(2)に示すように、2次式以上の多項式を用いた非線形連立方程式を用いることも考えられる。
Figure 2004101416
但し、aij,bij,cij…は定数、iは検出器の番号、jは測定対象成分の番号である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記各検出器による測定値y1 〜yn は測定対象試料を透過した赤外光の中から、例えば光学フィルタなどを用いて所定の波長域を選択的に透過させた後に、各検出器が各光学フィルタを透過した光の強度を検出するものであるから、光学フィルタの特性によって透過する光の波長に幾らかの幅が生じることは避けられなかった。そして、この光学フィルタの特性と各測定対象成分の赤外吸収スペクトルとの関係が、前記式(1),式(2)の関係を成り立たせるに重要な要素となっている。
【0010】
ところが、図12に示すように、各測定対象成分の赤外吸収スペクトルは各光学フィルタの狭い範囲においてさえ波長依存性があり、かつ互いに重なっているものであるから、混ざり合った他の測定対象成分の赤外吸収によって前記光学フィルタの特性が歪むような影響を受けることで、対数に変換した吸光度が各測定対象成分による吸光度を加算したものに完全には等しくならず、各検出器による測定値y1 〜yn に干渉影響による誤差が生じることがあった。なお、図12においてAa〜Agは各測定対象成分の赤外吸収スペクトルであり、Ba〜Bgは光学フィルタの透過率の特性である。
【0011】
図13は測定対象成分の一例としてR125とR134aの混合比を0〜100%に変化したときに、各測定対象成分の濃度を前記式(2)に示す多次元(3次元)の連立方程式に代入した吸光度の演算値と、この吸光度の測定値との差を示す図である。
【0012】
図13において、C125 ,C134aはR125とR134aの混合比に応じた濃度を連立方程式に代入して、各測定対象成分に対応する各検出器毎に求めた吸光度の演算値を示している。一方、D125 ,D134aはR125とR134aの混合ガスを実際に測定したときの各検出器による測定値を示している。図13によれば、両値C125 ,D125 、C134a,D134aの差は、R125とR134aが50重量%の割合で混合しているときに最も大きく現れることが分かる。また、前記吸光度の値C125 ,D125 の差は、最大で0.008程度あり、吸光度の大きさ(0.30)に対して2.7%程度である。
【0013】
つまり、前記式(2)に示すように、2次式以上の多項式を用いた場合においても各成分の測定波長において相互に干渉影響がある場合には、干渉を及ぼす成分濃度によって出力の変化があり、式(2)に示されるような連立方程式を解いたとしても数%の誤差を生じることがあった。
【0014】
ところが、近年ではフロンガスの濃度比を求める多成分分析装置には1%以下の精度が求められるようになっており、従来の多成分分析装置では使用に適するものではなかった。
【0015】
さらに、特に多成分分析装置において、単一成分の標準試料や複数の測定対象成分を所定の濃度で混合してなる標準試料を測定するときには、より高い精度が求められることがあるが、複数の測定対象成分を所定の濃度で混合したことにより、互いの測定対象成分が干渉しあうことで、誤差が大きくなることは避けられなかった。
【0016】
本発明は、上述の事柄を考慮に入れて成されたものであって、その目的とするところは、例えば冷凍空調機用冷媒(フロンガス)の新旧混合冷媒の成分比率を測定するフロンガス濃度測定装置に関し、各成分比率演算の演算精度を向上させる多成分分析装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の多成分分析装置は、種類および数が限定されている測定対象成分またはその混合物からなる測定対象試料に赤外光を照射し、測定対象試料を透過した赤外光のうち各測定対象成分の赤外吸収スペクトルに合わせた各波長域の赤外光強度を、対応する複数の検出器を用いて測定し、かつ、各波長域の赤外光強度を解析することで各測定対象成分の濃度を求める演算処理部を有する多成分分析装置であって、前記演算処理部が、各測定対象成分間における干渉影響を補正するための相互干渉補正項を有する方程式からなる連立方程式を解いて各測定対象成分の濃度の解析を行なう解析処理プログラムを実行可能に構成したことを特徴としている。(請求項1)
【0018】
前記解析処理プログラムは、各測定対象成分間における干渉影響を補正するための相互干渉補正項を有する方程式からなる連立方程式を解いて前記解析を行なうことにより、各測定対象成分ガスの測定波長域において、相互に干渉影響を及ぼし合うような場合であっても、高精度な演算が可能である。前記相互干渉補正項を解析演算に用いることにより、約0.2〜0.3重量%程度に誤差を少なくすることができ、それだけ精度が向上する。
【0019】
加えて、前記各測定対象成分の赤外吸収スペクトルに重なりなどの干渉影響がある場合にも、演算処理部が相互干渉補正項を有する解析を行うことにより、その影響を確実にキャンセルすることができる。これによって、各検出器に取り付けられるバンドパスフィルタは、各成分の赤外吸収スペクトルの部分的な重なりを避けるために半値幅をいたずらに狭くする必要がなくなる。つまり、バンドパスフィルタの性能に依存しない安価な多成分分析装置を提供することができる。
【0020】
また、測定対象成分の赤外吸収スペクトルがその測定波数の全域において完全に重なり合わないかぎり、測定対象成分の種類(ガス種)を限定する必要がなく、事実上、取り扱うガス種(種類)および数が予め限定されている複数の測定対象成分を混合してなるどのような測定対象試料についても、各測定対象成分の濃度比率を求めることができる。
【0021】
前記相互干渉補正項が、少なくとも2つ以上の測定対象成分の濃度の積と1つ以上の相互干渉補正係数との積を含む場合(請求項2)には、各測定対象成分間における干渉影響を補正するために少なくとも2成分の濃度の積に定数の積を乗じてなる相互干渉補正項を有する連立方程式を解くことで、相互干渉を正確に補正することができる。
【0022】
前記解析演算に用いる連立方程式としては、例えば、以下の式(3)に示すように、基本となる3次元程度の多次元の式に加算させる項として、測定対象試料の濃度と定数の積を複数乗算することが考えられる。この場合、相互干渉補正係数は複数の定数の積である。なお、本発明の基本となる式は3次元に限られるものでも、補正項を加算することに限定するものでもない。
Figure 2004101416
但し、iは検出器の番号、jは測定対象成分の番号、kはj番目の測定対象成分と干渉する測定対象成分の番号、nは測定対象成分の数、dijk は相互干渉補正係数であり、j=kのときdijk =0
【0023】
なお、前記請求項2の記載では相互干渉補正項が、少なくとも2つ以上の測定対象成分の濃度の積を有するものであることを示しているが、本発明はこれに限られるものではない。つまり、前記相互干渉補正項が、二つの測定対象成分の濃度の積に相互干渉補正係数を乗算してなる場合には、必要最小限の連立方程式を用いた解析演算によって精度の高い解析を行うことができ、十分な精度を得ながら演算速度の向上を図ることができる。
【0024】
また、相互干渉補正項を2つの測定対象成分の濃度の積に限定することにより、前記式(3)は、例えば以下の式(4)に示すように簡略化することができる。
Figure 2004101416
【0025】
前記相互干渉補正係数が、二つの測定対象成分を所定の割合で混合した校正用試料を測定したときの測定値と、前記方程式のうち相互干渉補正項を除いた方程式に前記二つの測定対象成分の濃度を代入して得られた値との差を、前記二つの測定対象成分の濃度の積によって除算した値である場合(請求項3)には、相互干渉補正係数を容易に算出できる。
【0026】
前記方程式は多次元の方程式である一方、前記解析処理プログラムが、その多次元の方程式とは別の一次元の方程式からなる連立方程式を用いて解析を行うことにより、各測定対象成分の濃度の概算値を求め、この概算値を用いて前記多次元の連立方程式を収束させる解析演算を行なう段階的演算処理を実行する場合(請求項4)には、精度の高い解析を行なう場合にも、演算速度を早めることができる。
【0027】
つまり、上記多段階的演算処理は、本発明における多次元の方程式が一次元の方程式では表わしきれない部分を高次の項によって補うものであり、一次の項の係数が最も影響力の大きな値になることを利用したものである。これによって、方程式の数値解法として知られるニュートン法を用いて非線形連立法的式を解く場合においても、ある程度の近似値を一次元の方程式から求めることで、飛躍的に高速に解を収束させることができる。
【0028】
前記演算処理部が、単一の測定対象成分からなる標準試料または複数の測定対象成分を所定の濃度で混合してなる標準試料を用い、各標準試料を測定したときの各検出器による測定値と、この標準試料の濃度を前記連立方程式に代入して求められる演算値の比または差であり、前記連立方程式をさらに補正するために各標準試料毎にこれに関係付けて記憶された標準試料補正係数を有し、かつ、前記解析処理プログラムが、前記解析によって求めた各測定対象成分の濃度と前記標準試料の濃度とを比較して、該当する標準試料があったときは、この標準試料に関係付けられた標準試料補正係数を用いて解析を行なう場合(請求項6)には、標準試料の濃度比率の近傍において、1点校正を行った場合に、0.1重量%以下の精度を期待することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の多成分分析装置の一例としてのフロンガス濃度計測装置1の構成を示す全体図である。図1において、2は測定対象試料の一例としての回収されたフロンガスSを導入する測定セル、3はこの測定セル2に赤外光を照射する赤外光源、4は測定セル2を透過した赤外光の透過光を検出する検出器、5は検出器からの出力を増幅するアンプ、6はアンプ5によって増幅された透過光の強度を演算処理し各測定対象成分の濃度(重量%)を求める演算処理プログラムPを実行して解析を行なう演算処理部、7は測定結果を表示する表示部、8は作業者による操作を入力するためのキーボードである。
【0030】
キーボード8には例えば電源オンボタン8a、オフボタン8b、測定ボタン8cに加えて、手動モード選択ボタン8d,8eを設けている。
【0031】
本例の測定セル2は例えばフロンガスSの流入口2aと流出口2bを有している。そして、本例では図外のボンベなどに回収されたフロンガスSを採取して流入口2aから測定セル2内に導入し、測定セル2内にフロンガスSを充填させた状態でその濃度測定を行う。
【0032】
なお、本発明の多成分分析装置1は時々刻々とその濃度成分が変動する測定対象試料Sを測定セル2内に流しながら、この測定対象試料Sの濃度成分をリアルタイムに測定することも可能である。この場合、多成分分析装置1は流体流路中のモニタとして設けることも可能である。
【0033】
また、本発明の多成分分析装置1は流量計と組み合わせることにより、測定対象試料Sとして回収されたフロンガスの濃度の変化を記録してその流量と積分することにより、回収されたフロンガスの総量を測定することも可能である。また、回収されたフロンガスを構成する各単成分フロンガスの沸点が異なる場合に、フロンガスを気化した状態で取出したとしても、ボンベに蓄えられたフロンガスの正確な濃度比を演算によって求めることが可能である。
【0034】
さらに、本例は測定対象試料Sがフロンガスである例を示すものであるから、以下の説明では多成分分析装置をフロンガス濃度計測装置1として、測定対象試料をフロンガスSとしても説明するが、本発明は測定対象試料をフロンガスSのみに限定するものではないことはいうまでもない。
【0035】
前記赤外光源3は例えば薄膜光源であり、3aはこの薄膜光源3の光源制御部である。そして、光源制御部3aは薄膜光源3に断続的に電力を供給し、薄膜光源3は光源制御部3aからの電力供給に伴って断続的に赤外光を照射することにより、例えば焦電型検出器のように入射した赤外線の変化に比例した信号を発生するような検出器を用いることができる。また、薄膜光源3は一般的な赤外光源に比べて小型で電力消費量が少ないだけでなく、前記光源制御部3aとの組み合わせによって、断続する赤外光を発光できるので、機械的な駆動部分を有するチョッパなどを設ける必要がない。
【0036】
つまり、非分散型赤外線ガス分析装置において、上述の構成により装置の小型化と製造コストの削減を達成すると共に、暖気運転を無くして、取扱いを容易とすることができ、テスタ感覚でフロンガスSの含有量を測定することができる。また、機械的な動作を行なう部材を省略することにより、動作の安定性を得ると共に、故障の発生を抑制することができる。
【0037】
検出器4は例えば9種類のバンドパスフィルタ9a〜9iと、各バンドパスフィルタ9a〜9iのそれぞれに対応する焦電型検出器4a〜4iとを有している。本例では検出器4に焦電型検出器4a〜4iを採用しているので、その受光面積を0.1〜1mm2 程度の極めて小さなものとすることができ、多数の焦電型検出器4a〜4iおよびバンドパスフィルタ9a〜9iを並べて設けることができる。このうち7つのバンドパスフィルタ9a〜9gは、フロンガスSに含まれる7種類の単成分のフロンガスの赤外吸収スペクトルに合わせて、透過する赤外光の波長を所定の範囲に限定するものである。
【0038】
なお、本発明は回収したフロンガスSに含まれる各単成分のフロンガスが7種類であることを限定するものではないことはいうまでもない。フロンガスSに含まれるフロンガスの各成分が幾つであっても、バンドパスフィルタ9a〜9iおよび焦電型検出器4の数は取り扱うフロンガスの成分数に従って設定され、少なくとも取り扱うフロンガスの成分数のバンドパスフィルタおよび焦電型検出器を必要としている。
【0039】
また、本例の場合は各成分の赤外吸収がない波長域を用いて、光源の光量変化などの補正を行うためのリファレンス用と、冷媒に混入した潤滑油などの濃度を測定し、リサイクル可能かどうかを判断するためのHC測定用のバンドパスフィルタおよび焦電型検出器があるためフロンガスの成分数よりも2つ多くしている。
【0040】
つまり、本発明の多成分分析装置1は検出器4として、少なくとも測定対象となるガス種、リファレンスを合わせた数以上のバンドパスフィルタと検出器を用いるものである。なお、本例では測定対象成分数が7種類であるので、その測定値は7つの変数YZ1 〜YZ7 、YS1 ,YS7 で表すことができる。
【0041】
そして、前記演算処理部6は前記各検出器4a〜4iの特性およびバンドパスフィルタ9a〜9iの特性、さらには後述する各係数(定数)aij,bij,cij,dijk ,rli,a’ij等を記憶する記憶部6mを有している。また、前記演算処理プログラムPを実行することにより各検出器4a〜4gから入力した測定値YZ1 〜YZ7 、YS1 ,YS7 および記憶部6mに記憶させた各係数を用いて演算処理を行い、フロンガスSの各成分毎の濃度(重量%)を算出する。
【0042】
以下の式(5)は前記測定値YZ1 〜YZ7 、YS1 ,YS7 を吸光度y1 〜y7 に変換する式を示している。すなわち、吸光度y1 〜y7 は測定対象試料Sを測定したときの各検出器4a〜4gによる測定値YS1 ,YS7 をゼロガスを測定したときの測定値YZ1 〜YZ7 によって除算した値の対数とする。
i =log10(YSi /YZi )                         …式(5)
但し、iは検出器の番号であり、i=1〜7とする。
【0043】
次に、以下の式(6)を用いて、前記解析処理プログラムPによる解析処理に用いられる連立方程式を説明する。この連立方程式は各測定対象成分の検量線分として0点を通る3次元の多項式に相互干渉補正係数dijk を乗算した2成分間の相互干渉補正項を加えたものである。
Figure 2004101416
【0044】
なお、式(6)の内容は前記式(4)のΣの中を展開したものであり、係数aij,bij,cijを乗算する項が多次元の多項式で前記式(2)に示した従来の非線形連立方程式を構成する部分であり、各相互干渉補正係数dijk を乗算する項が相互干渉補正項である。
【0045】
式(6)において、相互干渉補正係数dijk は3つの添字i,j,kを有するものであり、iは検出器4a〜4gの番号、jは各検出器4a〜4gによって主に測定する測定対象成分の番号、kはj番目の測定対象成分と相互に干渉を及ぼし合う冷媒の番号を示している。また、fi (x1 ,x,…,x)は各成分の濃度x,x,…,xから吸光度y〜yを求めるために各検出器4a〜4g毎に設けた関数である。何れの値i,j,kも本例ではそれぞれ1〜7までの値をとる。
【0046】
以下の式(7)は前記式(6)を用いた演算において、純度の高い標準試料としての濃度100重量%のフロンガス、R143a,R125,R134a,R22,R32,R115,R12、および、複数のフロンガスを規定の濃度で混合してなる標準試料としてR404A,R407C,R407E,R410A,R507Aをそれぞれ測定したときに、さらに正確な値を求めるために各標準試料毎に求められた標準試料補正係数rl1〜rl7を有する式である。
i =rli×fi (x1 ,x,…,x)                        …式(7)
但し、i=1〜7である。また、lは標準試料の番号を示しており、例えば、前記単一冷媒7種類、混合冷媒5種類の合計12種類(l=1〜12)である。
【0047】
さらに、以下の式(8)は前記式(6)に示した非線形連立方程式を解くときに、各濃度x1 〜x7 の初期値を求める目的で、別途求めた線形連立方程式である。
i =a’i1+a’i2+ … +a’i7            …式(8)
但し、i=1〜7
【0048】
上述した各式(6)〜式(8)の各係数aij,bij,cij,dijk ,rli,a’ijなどは、例えば各多成分分析装置1の各部の特性に合わせた値となるように、多成分分析装置1毎に行われる校正によって定められる。これは例えば、各多成分分析装置1の生産時において行われる3つの校正ステップを実施することで行われ、それぞれ前記演算処理部6内の記憶部6mに記録される。
【0049】
図2は前記多成分分析装置1を校正する方法を説明する図である。図2において、10は多成分分析装置1の検査装置であり、例えば純度100重量%の単成分のフロンガスを充填してなるボンベ11a〜11gおよびゼロガスとして窒素ガスを充填してなるボンベ11zと、各ボンベ11a〜11g,11zから供給されるガスを選択または適宜の割合で混合する分割器12とを有している。
【0050】
そして、検査装置10は分割器2を制御して適宜のガスを多成分分析装置1に供給すると共に、多成分分析装置1に供給したガスに赤外線を透過して測定したときの各検出器からの測定値(吸光度)y1 〜y7 を出力させる。すなわち、測定値y1 〜y7 を前記式(6)〜式(8)に代入演算することにより、この多成分分析装置1に固有の前記係数aij,bij,cij,dijk ,rli,a’ijなどを求めることができる。
【0051】
なお、本例では説明を簡単にするために検査装置10に1つの多成分分析装置1を接続してこれを校正する例を示しているが、実際には複数の多成分分析装置1を接続可能とし、同時に複数の多成分分析装置1を校正可能とすることが望ましい。
【0052】
本例の多次元多項式は、3つの係数aij,bij,cijを有する3次元多項式である。したがって、7種類のフロンガス毎に3次元の基本検量線を求める必要がある。そこで、まず、校正の第1ステップとして、本例の検査装置10は、例えば窒素ガスをベースとして、それぞれ20,40,60,80,100重量%の濃度に混合した単成分のフロンガスSを多成分分析装置1に供給し、それぞれの測定時における吸光度y1 〜y7 を求める。
【0053】
ここで、前記式(6)における係数aij,bij,cijを、例えば濃度0%を含めた6点の測定値から最小自乗法などを用いて求めることができる。つまり、7種類の冷媒を5点測定することにより、この多成分分析装置1に固有の係数aij,bij,cijを特定(校正)することができる。
【0054】
図3〜図6は一例としてバンドパスフィルタ9b,9cを介して検出器4b,4cが測定した吸光度y2 ,y3 とR125、R134aの濃度x2 ,x3 との関係を示す図である。
【0055】
なお、本例では基本となる検量線を3次式で表現しているので、3つの係数aij,bij,cijを求める必要があり、原点を含めて6点の最小自乗法によって各係数を求めているが、本発明は基本となる検量線の次数を3次式に限定するものではない。すなわち、より精度の高い測定を行なうためには検量線の次数を多くし、濃度をより小刻みに変化させて各係数aij,bij,…を求めることができる。逆に2次元の検量線で近似できる場合には濃度をもっと大きく変化させて係数aij,bijを求めることで、校正にかかる時間を短くすることも可能である。
【0056】
また、前記式(8)における係数a’ijも同時に求めることができる。図3〜6に示すように、本例における吸光度と濃度との関係は幾らか湾曲しているもののほゞ直線的な変化をするものであるから、係数a’ijは係数aijの値とほゞ同じ程度になる。以下これらの係数a’ij,aij,bij,…を基本検量線の係数と表現する。そして、これらの係数a’ij,aij,bij,…を多成分分析装置1の記憶部6mに記憶させる。
【0057】
次いで、校正の第2ステップとして、7種類の単一フロンガスの中から2つのフロンガスを、例えば40:60の重量比になるように混合し、これを多成分分析装置1に供給した状態で測定値y1 〜y7 を得る。そして、以下の式(9)に示すように、各測定値y1 〜y7 と、前記基本検量線から求めた理論値〔すなわち、式(6)に示した方程式のうち相互干渉補正項を除いた方程式に前記二つの測定対象成分の濃度を代入して得られた値〕の差を求め、これを各フロンガスの濃度の積で除算することにより、前記相互干渉補正係数dijk を求める。
ijk = (yijk − (aij*sj +bij*sj  2 +cij*sj  )− (aik*sk +bik*sk  2 +cik*sk  ))/(sj *sk )         …式(9)
但し、yijk は単成分のフロンガスj,kを sj :sk の比率で混合したときのi番目の検出器の出力(吸光度換算後)であり、 sj ,sk はフロンガスj,kの濃度である。
【0058】
この相互干渉係数dijk は例えば、7種類のフロンガスの組み合わせの数だけ行うことができ、例えば21回行なうことにより全ての相互干渉補正係数dijk を求めることができる。そして、この相互干渉補正係数dijk を前記記憶部6mに記憶させる。
【0059】
次に、校正の第3ステップとして、100重量%の単一フロンガス7種類と混合成分のフロンガス(R404A,R407C,R407E,R410A、R507Aの5種類など)からなる標準フロンガスを用いて、前記式(7)の係数rli(標準試料補正係数)を求める。表1は標準試料の一例としての前記混合成分のフロンガスと各測定対象成分(単一フロンガス)の重量%の関係を示している。
【0060】
【表1】
Figure 2004101416
【0061】
前記各フロンガスを多成分分析装置1に供給した状態で測定値y1 〜y7 を得る。そして、以下の式(10)に示すように、各測定値y1 〜y7 を前記式(6)に示す多次元の方程式fi (x,x, … ,x) に各フロンガスの規定の濃度を代入して得られた値を求め、この比を標準試料補正係数rliとして求められる。
li=yi /fi (x,x, … ,x)             …式(10)
但し、l=1〜12,i=1〜7
【0062】
次いで、求められた標準試料補正係数rliを前記記憶部6mに記憶させる。ここで求められる標準試料補正係数rliはほとんど1に近いものであるが、前記相互干渉補正項によって補正しきれなかったごく小さな誤差を最終的に補正するものであり、とりわけ混合比が定まっている規定のフロンガスを精度良く測定するのに有効な補正係数である。
【0063】
なお、本例では式(10)において測定値y1 〜y7 と多次元の方程式fi (x,x, … ,x) の比を標準試料補正係数rliとする例を示しているが、本発明はこの点を限定するものではない。すなわち、以下の式(11)に示すように、測定値y1 〜y7 と多次元の方程式fi (x,x, … ,x) の差を標準試料補正係数mliとしてもよい。この場合、標準試料補正係数mliはほとんど0に近い値となる。
li=yi −fi (x,x, … ,x)             …式(11)
但し、l=1〜12,i=1〜7
【0064】
また、標準試料補正係数mliを用いた補正は以下の式(12)によって行うことができる。
i =fi (x1 ,x,…,x)+mli                     …式(12)
但し、l=1〜12,i=1〜7
【0065】
さらに、本例では前記式(4)を基本として、これを展開した式(6)を中心に演算しているので、各係数aij,bij,cij,dijk ,rli(またはmli),a’ijを求める方法を上述したものとして説明しているが、本発明はこの点を限定するものではない。すなわち、前記式(3)を基本として展開した式を用いる場合には、係数の内容が上述したものとは異なるが、その校正方法に大きな差はない。
【0066】
上述の校正を行うことにより、多成分分析装置1には正確な測定に必要になる全ての係数を得ることができる。すなわち、検査装置10と切り離して、未知の測定対象試料Sを測定することができる。
【0067】
図7は、前記演算処理部6によって実行される解析処理プログラムPの動作の一例を示す図である。図7において、S1は各検出器の出力YZ1 〜YZ7 、YS1 ,YS7 を入力するステップである。なお、YZ1 〜YZ7 はゼロガスを測定したときの各検出器4a〜4gの出力を示しており、YS1 ,YS7 は測定対象試料Sを測定したときの各検出器4a〜4gの出力を示している。
【0068】
ステップS2は各出力YZ1 〜YZ7 、YS1 ,YS7 から吸光度を求めるステップである。ここで、前記式(5)に示した対数演算が行われて、各吸光度y1 〜y7 を求めることができる。
【0069】
ステップS3は前記式(8)と式(6)を用いた演算によって、各測定対象成分の濃度x〜xを求めるステップである。つまり、ステップS3では、まず1次式からなる式(8)を用いて濃度x〜xの概算値を求めた後に、この濃度x〜xの概算値を用いて式(8)の非線形連立方程式をニュートン法によって解析する。そして、求められた濃度x〜xの合計が1になるように濃度x〜xの値を比例計算で補正する。但し、濃度x〜xが負のものは主として検出限界以下のノイズ等によるものであるため、0として計算する。
【0070】
すなわち、濃度x〜xの計算を初めから式(8)による多次元の連立方程式を用いて行なうのではなく、先ず一次元の方程式からなる式(6)の連立方程式を用いて解析を行うことにより、各測定対象成分の濃度の概算値を求め、この概算値を用いて前記多次元の連立方程式を収束させる解析演算を行なう段階的演算処理を実行することにより、ニュートン法等を用いた解析処理を高速に行うことができる。
【0071】
ステップS4は前記式(8)の解析によって求められた各測定対象成分の濃度x〜xの各成分比率が0.1のずれの範囲内で合致する単一成分または混合成分の標準試料が存在するかどうかを判断するステップである。ここで、該当する標準試料が存在しないと判断したときには、ステップS5にジャンプする。
【0072】
すなわち、ステップS5では、標準試料に該当するものがない混合フロンの各成分濃度x〜xをそのまま表示部7に表示するステップである。なお、図8は該当する標準試料がない場合の表示例を示す図である。図8において、13は演算モード表示部、14は該当冷媒の表示部、15は各冷媒の濃度を示す表示部、16は多成分分析装置1からのメッセージ表示部である。
【0073】
図8に示す例の場合、モード表示部13にはBモードによる測定結果であることを表示する。また、該当する冷媒がないので表示部14には”−−−”が表示されており、該当するフロンガス名は何も表示されない。また、表示部15には所定量以上含まれている各フロンガスの重量%が表示されている。なお、**は検出限界以下の成分であることを示している。加えて、メッセージ表示部16の表示内容”CONTAMINATED”は測定対象試料Sが他の成分による汚染を受けていることを示している。
【0074】
ステップS6は前記ステップS4において成分比率が0.1のずれの範囲内で合致する標準試料が存在すると判断したときに実行されるステップである。ここで、選択された標準試料の番号lから前記標準試料補正係数rliを選択することができ、前記式(7)を用いた演算によって、再び各成分の濃度x〜xを算出する。そして、求められた濃度x〜xの合計が1になるように濃度x〜xの値を比例計算で補正する。また、濃度x〜xが負のものは0として計算する。
【0075】
ステップS7は求められた濃度x〜xの各成分比率が0.02のずれの範囲内で合致する単一成分または混合成分の標準試料が存在するかどうかを判断するステップである。ここで、該当する標準試料が存在しないと判断したときには、ステップS8にジャンプする。
【0076】
すなわち、ステップS8は混合フロンの各成分濃度x〜xをそのまま表示部7に表示するステップである。なお、図9はステップS8によって表示される画面の例を示す図である。図9において、演算モード表示部13にはBモードによる測定結果であることを表示し、該当冷媒の表示部14には前記ステップ4によって選択した最も近い標準試料名(本例では”R407C”)を表する。
【0077】
一方、ステップS9は前記ステップS7において成分比率が標準試料と同じであると判断した場合に表示部7に各成分濃度x〜xを表示するステップである。図10はステップS9によって表示される画面の例を示す図である。図10において、17は極く微量含まれている他の成分の重量%を示す表示部であり、本例ではその量が検出限界程度であることを表示している。また、演算モード表示部13にはAモードによる測定結果であることを表示し、本多成分分析装置1の最高精度による分析が行えたことを示している。
【0078】
図10に示したように、高精度のAモードによる測定結果が出た段階で、図1に示すマニュアル切換ボタン8e,8dなどを用いて、表示をBモードやAモードに随時切り換えて、各成分の濃度を確認することも可能である。
【0079】
図11は上述した例において、式(6)を用いた解析演算の正確さを検証するために、2成分のフロンガス(R125,R134a)の濃度を変えながら実際に測定した測定値(吸光度)y2 ,y3 と、式(6)に濃度x2 ,x3 を代入して求めた演算値f(0,x,x,0,0,0,0), f(0,x,x,0,0,0,0)の例を示す図である。
【0080】
図11において、×印は吸光度y2 の実測値、*印は吸光度y3 の実測値、×印にほゞ重なった◆印は演算式(相互干渉補正あり)f(0,x,x,0,0,0,0)の値、×印にほゞ重なった■印は演算式(相互干渉補正あり)f(0,x,x,0,0,0,0)の値を示している。また、図9における曲線C125 ,C134aは前記演算値f(0,x,x,0,0,0,0), f(0,x,x,0,0,0,0)の各点を結んだ曲線であり、D125 ,D134aは測定値y2 ,y3 の各点を結んだ曲線である。
【0081】
図11に示すように、測定値y2 ,y3 の実測値と、演算式f(0,x,x,0,0,0,0), f(0,x,x,0,0,0,0)の値はほゞ重なっており、その間に誤差はほとんどないことを示している。図13と比較すると分かるように、従来比10倍以上の精度向上が見られることが分かる。すなわち、解析演算の複雑化を最小限に留めながら十分の精度を得ることができる。
【0082】
より詳しくは、前記式(6)を用いた演算によって誤差の大きさを、従来の数重量%から0.2〜0.3重量%程度に低減させることができ、従来に比べてはるかに高精度の測定が行えることを示している。さらに、前記式(7)を用いた演算を行うことにより誤差はさらに小さくなり、0.1重量%以下にすることが可能となる。
【0083】
さらに、前記式(6)による演算に代えて式(3)を展開させた式を用いて演算を行うことにより、さらに精度を向上することも可能である。この場合、例えば3次以上の高次の項を省略するなど種々の変形が考えられる。
【0084】
何れの場合においても、本発明の多成分分析装置1は前記演算処理部6が、各測定対象成分間における干渉影響を補正するための相互干渉補正項を有する方程式からなる連立方程式〔式(3),式(4)等〕を解いて前記解析を行なう解析処理プログラムPを実行可能に構成した点において共通している。また、前記式(3),式(4)とは異なる別の連立方程式であっても相互干渉補正項を設けることにより上述した例と同様の効果を得ることが可能である。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多成分分析装置によれば、相互に干渉影響を及ぼし合う測定対象成分が混在する場合であっても、極めて高精度の解析を行うことができ、飛躍的に精度向上させた多成分分析装置を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多成分分析装置の全体構成を示す図である。
【図2】多成分分析装置を校正するための検査装置の例を示す図である。
【図3】R125の濃度と2番目の検出器における吸光度の関係を示す図である。
【図4】R134aの濃度と2番目の検出器における吸光度の関係を示す図である。
【図5】R125の濃度と3番目の検出器における吸光度の関係を示す図である。
【図6】R134aの濃度と3番目の検出器における吸光度の関係を示す図である。
【図7】解析処理プログラムの動作の例を示す図である。
【図8】解析結果の表示例を示す図である。
【図9】解析結果の表示例を示す図である。
【図10】解析結果の表示例を示す図である。
【図11】本発明の多成分分析装置において用いる連立方程式の精度を確認する図である。
【図12】各測定対象成分の光の透過率と各バンドパスフィルタの特性とを比較する図である。
【図13】従来の多成分分析装置において用いる連立方程式において生じる誤差を確認する図である。
【符号の説明】
1…多成分分析装置、4…測定器、6…演算処理部、P…解析処理プログラム、S…測定対象試料、aij,bij,cij…定数、dijk …定数(相互干渉補正係数)、rli…標準試料補正係数、y1 〜y7 …測定値、x1 〜x7 …濃度。

Claims (5)

  1. 種類および数が限定されている測定対象成分またはその混合物からなる測定対象試料に赤外光を照射し、測定対象試料を透過した赤外光のうち各測定対象成分の赤外吸収スペクトルに合わせた各波長域の赤外光強度を、対応する複数の検出器を用いて測定し、かつ、各波長域の赤外光強度を解析することで各測定対象成分の濃度を求める演算処理部を有する多成分分析装置であって、
    前記演算処理部が、
    各測定対象成分間における干渉影響を補正するための相互干渉補正項を有する方程式からなる連立方程式を解いて各測定対象成分の濃度の解析を行なう解析処理プログラムを実行可能に構成したことを特徴とする多成分分析装置。
  2. 前記相互干渉補正項が、少なくとも2つ以上の測定対象成分の濃度の積と1つ以上の相互干渉補正係数との積を含む請求項1に記載の多成分分析装置。
  3. 前記相互干渉補正係数が、二つの測定対象成分を所定の割合で混合した校正用試料を測定したときの測定値と、前記方程式のうち相互干渉補正項を除いた方程式に前記二つの測定対象成分の濃度を代入して得られた値との差を、前記二つの測定対象成分の濃度の積によって除算した値である請求項2に記載の多成分分析装置。
  4. 前記方程式は多次元の方程式である一方、
    前記解析処理プログラムが、
    その多次元の方程式とは別の一次元の方程式からなる連立方程式を用いて各測定対象成分の濃度の解析を行うことにより、各測定対象成分の濃度の概算値を求め、この概算値を用いて前記多次元の連立方程式を収束させる解析演算を行なう段階的演算処理を実行する請求項1〜3の何れかに記載の多成分分析装置。
  5. 前記演算処理部が、
    単一の測定対象成分からなる標準試料または複数の測定対象成分を所定の濃度で混合してなる標準試料を用い、各標準試料を測定したときの各検出器による測定値と、この標準試料の濃度を前記連立方程式に代入して求められる演算値の比または差であり、前記連立方程式をさらに補正するために各標準試料毎にこれに関係付けて記憶された標準試料補正係数を有し、かつ、
    前記解析処理プログラムが、
    前記解析によって求めた各測定対象成分の濃度と前記標準試料の濃度とを比較して、該当する標準試料があったときは、この標準試料に関係付けられた標準試料補正係数を用いて解析を行なう請求項1〜4の何れかに記載の多成分分析装置。
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