JP2004100813A - 車両レンジ制御装置 - Google Patents

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岩城 康彦
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Abstract

【課題】車両の始動時等における運転操作を、従来より容易にできる車両レンジ制御装置及びプログラム並びに記録媒体を提供すること。
【解決手段】ステップ100では、IG SW23がONか否かを判定する。ステップ110では、車速が0か否かを判定する。ステップ120では、フットブレーキSW21がONか否かを判定する。ステップ130では、サイドブレーキSW19がONか否か否かを判定する。ステップ140では、上述したステップ100〜130の判定により、運転終了に伴う車両の停止状態であると判断されるので、その後の始動時に対応するために、始動レンジ(例えばPレンジ)を選択する。ステップ150では、起動装置9に対して、メインリレー31をOFFするタイミングである時間情報(遅延時間)を送信する。ステップ160では、ECT ECU25に対して、Pレンジに設定するための制御信号を出力する。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転状態に応じて、車両のトランスミッションにおけるシフト位置に対応したレンジを自動的に切り替える車両レンジ制御装置及びプログラム並びに記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の機械的メカニズムにより、Dレンジ等のシフトやサイドブレーキ等が構成されているので、車両の始動時等の運転操作においては、その操作手順がほぼ決められていた。
【0003】
例えばオートマチックトランスミッション(AT)車においては、「走行状態→停止→(エンジンを切り、再始動)→再走行」までは、一般的に、次の操作が必要となる。
つまり、シフト・ブレーキ関連においては、「フットブレーキを踏みながら→Pレンジにする→サイドブレーキを引く→(エンジンを切り、再始動)→フットブレーキを踏みながら→Dレンジにする→サイドブレーキを戻す→フットブレーキを解除する」という操作が、通常行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来では、機械的なシステムのために、シフトレバー、フットブレーキ、サイドブレーキが別々に構成されているので、始動時等には、上述した複雑な操作が必要になり、シフト操作やブレーキ操作が大変であるという問題があった。
【0005】
尚、上述したシフト操作は、通常行われる一般的な操作であり、公知・公用の技術に該当するので、特に先行技術文献は開示しない。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両の始動時等における運転操作を、従来より容易にできる車両レンジ制御装置及びプログラム並びに記録媒体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、車両のトランスミッションにおけるシフト位置に対応するレンジを、レンジ切替機構を駆動して切り替える車両レンジ制御装置に関するものであり、本発明では、前記車両の状態を示す車両信号を取り込んで、運転終了か否かを判定する運転終了判定手段と、前記運転終了判定手段により運転終了と判定された場合には、前記レンジ切替機構を駆動して、前記レンジを前記運転終了に対応した終了レンジに設定するレンジ制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明では、車両信号から運転終了か否かを判定し、運転終了と判断された場合には、運転終了に対応した終了レンジに自動的に設定(例えば変更:以下同様)するので、運転者の運転操作を簡易化することができる。
つまり、従来は、運転の終了及びその後の運転の再開時には、上述した様な複雑なマニュアル操作が必要であるが、本発明では、運転の終了を自動的に判定し、運転終了と判断されると、例えばマニュアル操作におけるシフト位置がDレンジ等のドライブレンジの状態であっても、自動的に終了レンジ(例えばP、Nレンジ)に設定する。
【0008】
その結果、本発明では、運転終了時や運転再開時に、運転者のPレンジ等のシフト操作やそれに伴うブレーキ操作などが不要であり、運転操作を簡易化できるという顕著な効果を奏する。
尚、前記レンジ切替機構とは、トランスミッションにおいて、例えばソレノイド、ギア、ブレーキ、クラッチ等を備えた油圧回路などによりレンジを切り替える周知の駆動力切替装置である(以下同様)。
【0009】
(2)請求項2の発明では、前記終了レンジとは、エンジンの始動可能な始動レンジであることを特徴とする。
本発明は、終了レンジを例示したものであり、この終了レンジとしては、エンジンの再始動の可能な始動レンジ(例えばP、Nレンジ)が挙げられる。
【0010】
(3)請求項3の発明では、前記車両信号とは、少なくとも、イグニッションスイッチの状態を示す信号、車速を示す信号、及びサイドブレーキの状態を示す信号であることを特徴とする。
本発明は、運転終了の判定に用いる車両信号を例示したものである。
【0011】
例えば、イグニッションスイッチがオフ、車速が所定値以下(例えばゼロ)、サイドブレーキスイッチがオンの場合には、運転終了であると判断することができる。
(4)請求項4の発明は、車両のトランスミッションにおけるシフト位置に対応するレンジを、レンジ切替機構を駆動して切り替える車両レンジ制御装置に関するものであり、本発明では、前記車両の状態を示す車両信号を取り込んで、エンジンストールか否かを判定するエンスト判定手段と、前記エンスト判定手段によりエンジンストールと判定された場合には、前記レンジ切替機構を駆動して、前記レンジをエンジンの始動可能な始動レンジに設定するレンジ制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明では、車両信号からエンストか否かを判定し、エンストと判断された場合には、エンジンの始動可能な始動レンジに自動的に設定するので、運転者の運転操作を簡易化することができる。
つまり、交差点等でいきなりエンストした場合、シフト位置は走行状態のドライブレンジ(P、Nレンジ以外)のままであるが、本発明では、エンストを自動的に判定し、エンストと判断されると、たとえドライブレンジの状態であっても、自動的に始動レンジ(例えばP、Nレンジ)に設定する。
【0013】
その結果、本発明では、交差点等で不意にエンストになっても、あせることなく速やかに再始動が可能になるという顕著な効果を奏する。
(5)請求項5の発明は、前記車両信号とは、少なくとも、エンジン回転数を示す信号及びフットブレーキの状態を示す信号であることを特徴とする。
【0014】
本発明は、エンストの判定に用いる車両信号を例示したものである。
例えば、エンジン回転数が所定値以下(例えばゼロ)、フットブレーキスイッチがオンの場合には、エンストであると判断することができる。
(6)請求項6の発明は、車両のトランスミッションにおけるシフト位置に対応するレンジを、レンジ切替機構を駆動して切り替える車両レンジ制御装置に関するものであり、本発明では、前記車両の状態を示す車両信号を取り込んで、車両停止か否かを判定する車両停止判定手段と、前記車両停止判定手段により車両停止と判定された場合には、前記レンジ切替機構を駆動して、前記レンジを前記車両停止に対応した停止レンジに設定するレンジ制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明では、車両信号から車両停止か否かを判定し、車両停止と判断された場合には、車両停止に対応した停止レンジに自動的に設定するので、運転者の運転操作を簡易化することができる。
つまり、従来は、車両停止の際には、「フットブレーキを踏む→Pレンジにする→サイドブレーキにする」というマニュアル操作が必要であるが、本発明では、車両の停止を自動的に判定し、車両停止と判断されると、たとえドライブレンジの状態であっても、自動的に停止レンジ(例えばP、Nレンジ)に設定する。
【0016】
その結果、本発明では、車両停止時や運転再開時に、運転者のPレンジ等のシフト操作などが不要であり、運転操作を簡易化できるという顕著な効果を奏する。
尚、車両停止とは、イグニッションスイッチがオフの運転終了の状態とは異なり、イグニッションスイッチがオンのままで、車両が一時的に停止した状態を意味する。
【0017】
(7)請求項7の発明では、前記停止レンジとは、エンジンの始動可能な始動レンジであることを特徴とする。
本発明は、停止レンジを例示したものであり、この停止レンジとしては、エンジンの再始動の可能な始動レンジ(例えばP、Nレンジ)が挙げられる。
【0018】
(8)請求項8の発明は、前記車両信号とは、少なくとも、車速を示す信号、サイドブレーキの状態を示す信号、及びフットブレーキの状態を示す信号であることを特徴とする。
本発明は、車両停止の判定に用いる車両信号を例示したものである。
【0019】
例えば、車速が所定値以下(例えばゼロ)、サイドブレーキスイッチがオン、フットブレーキスイッチがオンの場合には、車両停止であると判断することができる。
(9)請求項9の発明は、前記車両のトランスミッションは、オートマチックトランスミッションであることを特徴とする。
【0020】
本発明は、上述した各請求項の発明が適用されるトランスミッションを例示したものである。
(10)請求項10の発明は、前記レンジ切替機構を駆動して、各レンジに設定した場合には、その設定したレンジを、表示手段により表示することを特徴とする。
【0021】
本発明では、自動的にレンジを設定した場合には、その設定したレンジを表示するので、運転者は現在のレンジが分かる。従って、その表示されたレンジに基づいて次の必要な操作を行うことができるので、非常に便利である。
(11)請求項11の発明は、前記レンジ切替機構を駆動して、各レンジに設定した場合には、その設定したレンジを、音又は音声を発生する報知手段により報知することを特徴とする。
【0022】
本発明では、自動的にレンジを設定した場合には、その設定したレンジを音又は音声により報知するので、運転者は現在のレンジが分かる。従って、その報知されたレンジに基づいて次の必要な操作を行うことができるので、非常に便利である。
【0023】
(12)請求項12の発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の車両レンジ制御装置の機能を実現するための手段を有するプログラムを示している。
つまり、上述した車両レンジ制御装置の機能を実現するための各手段は、コンピュータのプログラムにより実行される処理により実現することができる。
【0024】
(13)請求項13の発明は、請求項12に記載のプログラムの機能を実現するための手段を記憶している記録媒体を示している。
つまり、上述した様なプログラムをコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAM等をコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAM等をコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の車両レンジ制御装置及びプログラム並びに記録媒体の実施の形態の例(実施例)について、図面に基づいて説明する。
(実施例)
a)まず、本実施例の車両レンジ制御装置を含むシステム構成について説明する。
【0026】
図1に示す様に、本実施例の車両レンジ制御装置1は、運転者の操作に応じて又は運転状態に応じて、オートマチックトランスミッション(AT)3におけるシフト位置に対応した各レンジを切り替える装置である。
この車両レンジ制御装置1は、運転者の指示をマニュアルにて入力するためのレンジ指示装置5と、自動的にレンジを切り替える制御を行う電子制御装置(以下シフト・バイ・ワイヤECU(SBW ECU)と記す)7と、SBW ECU7のオン(ON)・オフ(OFF)を制御する起動装置9とを備えている。
【0027】
前記レンジ指示装置5には、従来のAT車におけるシフトレバーによるシフト操作を行う装置(シフト装置)と同様に、「P、R、N、D、2、L」の周知の6つのレンジに応じたシフト位置が設定されている。
そのため、このレンジ指示装置5には、各スイッチを押すことによって各レンジの設定が指示される様に、各レンジに対応して6つのスイッチ(例えば機械的なスイッチ又はパネルスイッチ)11が設けられている。また、各スイッチ11には、各スイッチ11が操作されたことを表示するために、それぞれランプ13が設けられている。
【0028】
前記SBW ECU7には、その入力側に、車速センサ15と、回転数センサ17と、サイドブレーキスイッチ(以下スイッチをSWと記す)19と、フットブレーキSW21と、イグニッションSW(IG SW)23とが接続され、それぞれ、車速を示す信号、エンジン回転数を示す信号、サイドブレーキ(図示せず)の操作状態を示す信号、フットブレーキ(図示せず)の操作状態を示す信号、IG キー(図示せず)の操作状態を示す信号が入力される。
【0029】
また、SBW ECU7には、前記レンジ指示装置5が接続されており、レンジ指示装置5からのレンジの設定するための信号(シフトレンジ要求信号)が入力される。
一方、SBW ECU7には、その出力側に、前記レンジ指示装置5と、AT3の変速動作を制御する電子制御装置(ECT ECU)25と、音声装置27と、起動装置9とが接続されている。
【0030】
尚、ECT ECU25とは、AT3において、SBW ECU7からのレンジの設定の信号に応じて、周知のレンジ切替機構(即ち、ギヤ、ブレーキ、クラッチ等を備え、油圧を利用してエンジン2の駆動力を切り替える機構:図示せず)を駆動して、レンジの切替を行う制御装置である。
【0031】
そして、SBW ECU7からは、レンジ指示装置5に対して、レンジに対応したランプ13の点灯を指示する信号が出力され、ECT ECU25に対して、レンジを切り替えるための指示等の各種の制御信号が出力され、音声装置27に対して、設定したレンジを運転者に音声等により報知するための信号が出力される。
【0032】
前記起動装置9は、タイマ29を備えており、IG SW23からの信号やSBW ECU7からの時刻情報の信号により、メインリレー31を駆動して、電源(バッテリ)33からSBW ECU7への電力の供給のON・OFFを行う装置である。尚、起動装置9のタイマ29においては、SBW ECU7内にて、メインリレー31を起動することも可能である。つまり、起動装置9を、SBW ECU7内に設けてもよい。
【0033】
b)次に、車両レンジ制御装置1における基本的な動作について説明する。
▲1▼まず、運転者がマニュアルにてシフト操作を行う場合には、運転者はシフト指示装置5の各スイッチ11を押す。
これにより、シフト指示装置5からSBW ECU7に対して、シフトレンジ要求信号が出力されるので、SBW ECU7からECT ECU25に対して、スイッチ11にて指示されたシフトに切り替えるための制御信号が出力される。従って、ECT ECU25は、AT3のレンジ切替機構を駆動して、指示されたレンジに切り替える。
【0034】
それとともに、押されたスイッチ11に対応したランプ13が点灯する。尚、IG SW23のONによる始動時には、現在のシフト位置(レンジ)を示すランプ13が点灯する。
▲2▼一方、SWB ECU7にて、レンジを自動的に設定する(切り替える)場合には、各センサやSW等から得られた運転状態に応じて、適切なレンジを求め、このレンジに設定する様に、ECT ECU25に対して制御信号を出力する。
【0035】
これにより、レンジ切替装置が駆動して適切なレンジに設定されるとともに、SWB ECU7からの指示により、設定したレンジに対応したランプ13が点灯する。
また、SWB ECU7から音声装置27への指示により、音声装置27から音声によって自動的に設定したレンジを運転者に報知する。
【0036】
それとともに、SWB ECU7から起動装置9に対して、メインリレー31をOFFするタイミングを示す時間情報を送信する。これにより、起動装置9では、SWB ECU7により終了処理(OFFする際の処理)が完了したタイミングに、SWB ECU7をOFFする。
【0037】
c)次に、車両レンジ制御装置1のSBW ECU7にて行われる処理のうち、主要な処理について説明する。
▲1▼運転終了時の処理
本処理は、始動レンジ(P、Nレンジ)以外で運転を終了した場合に、所定の条件が満たされたときには、終了レンジとして、始動可能な始動レンジ(Pレンジ)に設定するための処理である。
【0038】
図2のフローチャートに示す様に、ステップ(S)100では、IG SW23が、OFFか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ110に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
ステップ110では、車速が0か否か、即ち車両の停止状態であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ120に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
【0039】
ステップ120では、フットブレーキSW21がONか否か、即ちブレーキペダルが踏み込まれているか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ130に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
ステップ130では、サイドブレーキSW19がONか否か、即ちサイドブレーキが引かれているか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ140に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
【0040】
ステップ140では、上述したステップ100〜130の判定により、運転終了に伴う車両の停止状態であると判断されるので、その後の始動時に対応するために、始動レンジ(例えばPレンジ)を選択する。例えばPレンジの設定を示すフラグを記憶する。尚、上述したステップ100〜130の運転終了条件が満たされない場合には、速やかにメインリレー31を駆動して、SBW ECU7への電源の供給を遮断する(SBW ECU7のOFF)。
【0041】
続くステップ150では、起動装置9に対して、メインリレー31をOFFするタイミングである時間情報(遅延時間:図3参照)を送信する。これにより、IG SW23のOFFから遅延時間だけ遅れて、SBW ECU7がOFFする。
【0042】
続くステップ160では、ECT ECU25に対して、Pレンジに設定するための制御信号を出力し、一旦本処理を終了する。
また、図示しないが、上述の様に、自動的にPレンジに設定した場合には、Pレンジのスイッチ11に対応したランプ13を点灯する処理や、Pレンジに設定したことを、音声装置27により報知する処理を行う。
【0043】
尚、SBW ECU7への電力の供給中は、車両の他の制御装置(例えばECT ECU25)への電力の供給も継続される。
▲2▼緊急停止時の処理
本処理は、走行中に、交差点や坂道等でエンジンストール(エンスト)した場合に、所定の条件が満たされたときには、始動可能な始動レンジ(Pレンジ)に、設定するための処理である。
【0044】
図4のフローチャートに示す様に、ステップ200では、IG SW23が、ONか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ210に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
ステップ210では、エンジン回転数が例えば500secにわたり0か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ220に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。尚、IG SW23がONでエンジン回転数が0の場合が、エンストと考えられる。
【0045】
ステップ220では、車速が0か否か、即ち車両の停止状態であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ230に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
ステップ230では、フットブレーキSW21がONか否か、即ちブレーキペダルが踏み込まれているか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ130に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
【0046】
ステップ240では、上述したステップ200〜230の判定により、緊急時のエンストによる車両の停止状態であると判断されるので、その後の始動時に対応するために、始動レンジ(例えばPレンジ)を選択する。
続くステップ250では、ECT ECU25に対して、Pレンジに設定するための制御信号を出力し、一旦本処理を終了する。
【0047】
また、上述の様に、自動的にPレンジに設定した場合には、Pレンジのスイッチ11に対応したランプ13を点灯する処理や、Pレンジに設定したことを、音声装置27により報知する処理を行う。
▲3▼車両停止時の処理
本処理は、始動レンジ(P、Nレンジ)以外で車両が停止した場合に、所定の条件が満たされたときには、停止レンジとして、始動可能な始動レンジ(Pレンジ)に設定するための処理である。
【0048】
尚、本処理では、上述した運転終了時の処理とは異なり、IG SW23がONである場合に実施される。
図5のフローチャートに示す様に、ステップ300では、フットブレーキSW21がONか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ310に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
【0049】
ステップ310では、サイドブレーキSW19がONか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ320に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
ステップ320では、車速が0か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ330に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
【0050】
ステップ330では、上述したステップ300〜320の判定により、車両の停止状態であると判断されるので、その後の始動時に対応するために、始動レンジ(例えばPレンジ)を選択する。
続くステップ340では、ECT ECU25に対して、Pレンジに設定するための制御信号を出力し、一旦本処理を終了する。
【0051】
また、上述の様に、自動的にPレンジに設定した場合には、Pレンジのスイッチ11に対応したランプ13を点灯する処理や、Pレンジに設定したことを、音声装置27により報知する処理を行う。
d)次に本実施例の効果について説明する。
【0052】
上述した様に、本実施例では、運転終了に伴う車両の停止状態又は緊急時のエンストに伴う車両の停止状態であると判断された場合には、そのときのレンジが、D、2、Lレンジ等の運転レンジ(ドライブレンジ)であったときでも、自動的にPレンジに設定できるので、従来の様な再始動時におけるシフト操作(即ちシフトをPレンジにするためのマニュアル操作等)が不要である。そのため、運転操作を簡易化することができるという顕著な効果を奏する。
【0053】
また、緊急時のエンストに伴う車両の停止状態であると判断された場合には、自動的にPレンジに設定できるので、従来の様なシフト操作(即ちシフトをPレンジにするためのマニュアル操作)が不要である。その結果、交差点等で不意にエンストになっても、あせることなく速やかに再始動が可能になる。
【0054】
更に、通常の車両停止の状態(但しエンジンは作動中)であると判断された場合には、そのときのレンジがドライブレンジであったときでも、自動的にPレンジに設定できるので、従来の様なシフト操作が不要であり、運転操作が簡易化される。
【0055】
その上、運転終了時に自動的にレンジを設定する場合には、図3に示す様に、IG SW23がOFFされた場合でも、すぐに、SBW ECU7への電力の供給を遮断するのではなく、自動的にPレンジに設定するための処理が可能な時間(遅延時間:例えば1秒程度)は、SBW ECU7への電力の供給を継続するので、Pレンジに設定するのに必要な時間を確保することができる。
【0056】
また、上述の様に、自動的にPレンジに設定した場合には、その設定したレンジをランプ13や音声装置27を用いて運転者に知らせるので、運転者は現在のレンジを把握でき、次の運転操作に非常に便利である。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0057】
(1)例えば前記実施例では、始動レンジとして、Pレンジに設定したが、Nレンジに設定してもよい。
(2)また、前記実施例では、運転者がシフト操作を行う装置として、スイッチによりシフト位置を指示するシフト指示装置を用いる例を挙げたが、本発明は、それ以外に、従来のシフトバー等を備えた周知のシフト装置を用いた場合にも適用できる。
【0058】
この場合には、シフトバー等により指示されるシフト位置と自動的にレンジを変更した場合のシフト位置がずれることが考えられるが、この対策としては、自動的にレンジが変更されたことを運転者に報知する手段や、自動的に変更されたレンジに対応して、自動的にシフトバーの位置を変更する手段等が考えられる。
【0059】
(3)更に、前記実施例では、SBW ECUとECT ECUとを別体に記載したが、同じ電子制御装置により実現してもよい。
(4)また、前記実施例では、車両レンジ制御装置について述べたが、本発明は、それらに限らず、上述したアルゴリズムに基づく処理を実行させるプログラムやそのプログラムを記憶している記録媒体にも適用できる。
【0060】
この記録媒体としては、マイクロコンピュータとして構成される電子制御装置、マイクロチップ、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク等の各種の記録媒体が挙げられる。つまり、上述した車両レンジ制御装置の処理を実行させることができるプログラムを記憶したものであれば、特に限定はない。
【0061】
尚、前記プログラムは、単に記録媒体に記憶されたものに限定されることなく、例えばインターネットなどの通信ラインにて送受信されるプログラムにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の車両レンジ制御装置のシステム構成を示す説明図である。
【図2】実施例の運転終了時におけるレンジ設定の処理を示すフローチャートである。
【図3】実施例におけるIG SW及びメインリレーのON・OFFのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】実施例のエンスト時におけるレンジ設定の処理を示すフローチャートである。
【図5】実施例の車両停止時におけるレンジ設定の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…車両レンジ制御装置
3…オートマチックトランスミッション(AT)
5…シフト指示装置
7…シフト・バイ・ワイヤ電子制御装置(SBW ECU)
9…起動装置
25…電子制御トランスミッション用の電子制御装置(ECT ECU)
27…音声装置
31…メインリレー
33…電源(バッテリ)

Claims (13)

  1. 車両のトランスミッションにおけるシフト位置に対応するレンジを、レンジ切替機構を駆動して切り替える車両レンジ制御装置であって、
    前記車両の状態を示す車両信号を取り込んで、運転終了か否かを判定する運転終了判定手段と、
    前記運転終了判定手段により運転終了と判定された場合には、前記レンジ切替機構を駆動して、前記レンジを前記運転終了に対応した終了レンジに設定するレンジ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車両レンジ制御装置。
  2. 前記終了レンジとは、エンジンの始動可能な始動レンジであることを特徴とする前記請求項1に記載の車両レンジ制御装置。
  3. 前記車両信号とは、少なくとも、イグニッションスイッチの状態を示す信号、車速を示す信号、及びサイドブレーキの状態を示す信号であることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の車両レンジ制御装置。
  4. 車両のトランスミッションにおけるシフト位置に対応するレンジを、レンジ切替機構を駆動して切り替える車両レンジ制御装置であって、
    前記車両の状態を示す車両信号を取り込んで、エンジンストールか否かを判定するエンスト判定手段と、
    前記エンスト判定手段によりエンジンストールと判定された場合には、前記レンジ切替機構を駆動して、前記レンジをエンジンの始動可能な始動レンジに設定するレンジ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車両レンジ制御装置。
  5. 前記車両信号とは、少なくとも、エンジン回転数を示す信号及びフットブレーキの状態を示す信号であることを特徴とする前記請求項4に記載の車両レンジ制御装置。
  6. 車両のトランスミッションにおけるシフト位置に対応するレンジを、レンジ切替機構を駆動して切り替える車両レンジ制御装置であって、
    前記車両の状態を示す車両信号を取り込んで、車両停止か否かを判定する車両停止判定手段と、
    前記車両停止判定手段により車両停止と判定された場合には、前記レンジ切替機構を駆動して、前記レンジを前記車両停止に対応した停止レンジに設定するレンジ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車両レンジ制御装置。
  7. 前記停止レンジとは、エンジンの始動可能な始動レンジであることを特徴とする前記請求項6に記載の車両レンジ制御装置。
  8. 前記車両信号とは、少なくとも、車速を示す信号、サイドブレーキの状態を示す信号、及びフットブレーキの状態を示す信号であることを特徴とする前記請求項6又は7に記載の車両レンジ制御装置。
  9. 前記車両のトランスミッションは、オートマチックトランスミッションであることを特徴とする前記請求項1〜8のいずれかに記載の車両レンジ制御装置。
  10. 前記レンジ切替機構を駆動して、各レンジに設定した場合には、その設定したレンジを、表示手段により表示することを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに記載の車両レンジ制御装置。
  11. 前記レンジ切替機構を駆動して、各レンジに設定した場合には、その設定したレンジを、音又は音声を発生する報知手段により報知することを特徴とする前記請求項1〜10のいずれかに記載の車両レンジ制御装置。
  12. 前記請求項1〜11のいずれかに記載の車両レンジ制御装置の機能を実現するための手段を有することを特徴とするプログラム。
  13. 前記請求項12に記載のプログラムの機能を実現するための手段を記憶していることを特徴とする記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115143281A (zh) * 2021-03-31 2022-10-04 广州汽车集团股份有限公司 一种挡位指示灯的控制方法及装置
JP7553418B2 (ja) 2021-09-30 2024-09-18 本田技研工業株式会社 車両

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