JP2004100069A - 繊維加工用架橋型樹脂水性分散液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主単量体成分としてエチルアクリレートを含む特定の単量体群の乳化共重合体により構成されるアクリル系共重合体微粒子であって、その少なくとも一部が粒子内架橋されている共重合体微粒子を含有してなる繊維加工用架橋型樹脂水性分散液。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然繊維、再生繊維、合成繊維等からなる織布、編布、不織布、フエルトなど繊維製品の樹脂加工、特に、主として飲食店などで業務用として使用される、拭き取り材(ワイパー)やテーブルクロスなどに用いられる不織布原反(ウェブ)の樹脂加工に用いられる架橋型樹脂水性分散液に関し、より詳しくは、主単量体成分としてエチルアクリレートを含む特定の単量体群の乳化共重合体により構成されるアクリル系共重合体微粒子であって、その少なくとも一部が粒子内架橋されている共重合体微粒子を含有してなる繊維加工用架橋型樹脂水性分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種の樹脂加工された繊維製品を得るために、被加工繊維原反に水性樹脂エマルジョンを含浸又はコーティングすることは公知であり、例えば、業務用の使い捨て拭き取り材(ワイパー)用として、不織布原反(ウェブ)に水性樹脂エマルジョンを含浸するなどして樹脂加工したものが用いられることも知られている。
【0003】
一般に、このような業務用ワイパーは、
▲1▼ 親水性が高く、容易に水を吸収し、且つ保水性が優れていること。
▲2▼ 水吸収時の強度が高いこと。
▲3▼ ある程度の吸油性を有すること。
▲4▼ 風合いが柔軟で、且つ粘着感がないこと。
▲5▼ 黄ばみがないなど外観が優れていること。
▲6▼ 有害物質を実質的に含有していないこと。
などの性能を必要としているが、従来知られた水性樹脂エマルジョンは、必ずしもこれら全ての性能を兼備しているとはいい難い。
【0004】
例えば被加工繊維原反の樹脂加工に、各種分野に使用されているスチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴムラテックスを用いると、乾燥時に繊維製品が黄変することが多く、その上、得られる繊維製品は水の吸収性、保水性が悪いなどの問題が生じがちである。
【0005】
また、アクリル系共重合体エマルジョンは、共重合体組成の選択の自由度が高いという長所を有しており、所望の風合いの製品を提供することが可能であるが、柔軟な風合いと粘着感のなさ、親水性と水吸収時の湿潤強度などを兼備させることは容易でない。
【0006】
これらの問題点を改善するために、自己架橋性官能基や反応性官能基を付加した自己架橋型又は反応型のアクリル系共重合体エマルジョンも使用可能であるが、自己架橋性官能基や併用する架橋剤によって基布が変色を起こすことがあり、また、架橋反応時に多量のホルムアルデヒド等の有害物質が発生し、それが加工繊維製品に残留するなどの問題もある。
【0007】
本発明者等は、前記の如く従来の樹脂水性エマルジョンを用いた樹脂加工ではまだ不十分であった、繊維製品の柔軟性と粘着感のなさや、親水性と湿潤時の強度など両立し難い物性を兼備し、黄変がないなど優れた外観を有すると共に、近年、生物の内分泌機能(エンドクリン)破壊物質(所謂、環境ホルモン)の1つとして取り沙汰されているアルキルフェニル系界面活性剤を実質的に含有していない、エチルアクリレートを主要成分とする特定の単量体の乳化共重合体の微粒子を含む水性分散液を、必要に応じて、オキサゾリン系架橋剤等の適宜の架橋剤で架橋することによって、前記の課題を解決した繊維加工用架橋型樹脂水性分散液について特許出願を行った(特開2002−173871号)。
【0008】
然るに、特に最近における経済活動の減速、地球環境の保全、資源の無駄遣いの排除などの観点から、前記の業務用ワイパーなどの不織布製品は一度の使用で使い捨てにするのではなく、使用後のそれら不織布製品を洗濯や熱水洗浄などすることによって何回か再使用されるようになってきている。
【0009】
しかしながら、本発明者等の前記提案の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液を用いて加工した不織布製品も、残念なことには、上記の洗濯や熱水洗浄などによって、水の吸収性が低下して保水性が不十分となる傾向にあることがわかった。その理由は必ずしも定かではないが、洗濯や熱水洗浄によって、加工繊維製品に含有されている、アクリル系共重合体水性分散液に由来する界面活性剤が抽出されてしまって、該加工繊維製品の親水性が損なわれることに起因するのではないかと推測される。
【0010】
【発明が解決すべき課題】
本発明者等は、業務用ワイパーなどの不織布製品の使用後、洗濯や熱水洗浄(以下これらの処理を総称して「洗濯」ということがある)を行った後にも、前記の必要物性を実質的に維持する優れた不織布製品を製造することが可能な卓越した繊維加工用樹脂水性分散液を得るために引き続き研究を継続してきた。その結果、主単量体成分としてエチルアクリレートを含む特定の単量体群の乳化共重合体により構成されるアクリル系共重合体微粒子の少なくとも一部を粒子内架橋させること、特に該共重合体微粒子を少なくとも2層からなる複層構造とし、その最外層をなす殻部(シェル部)の少なくとも一部を分子内架橋された共重合体により形成することにより、上記の問題点をことごとく解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アクリル系共重合体微粒子を含有してなる繊維加工用架橋型樹脂水性分散液であって、該アクリル系共重合体微粒子が全体として、下記単量体(a)〜(d)、
(a) エチルアクリレート 25〜99重量%、
(b) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 0.5〜10重量%、
(c) 分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(b)以外の単量体 0.5〜10重量%、及び、
(d) 上記単量体(a)〜(c)と共重合可能な、該単量体(a)〜(c)以外の共単量体 0〜74重量%、
〔但し、単量体(a)〜(d)の使用量の合計を100重量%とする〕
の乳化共重合体により構成されており、且つ該微粒子を構成する共重合体の少なくとも一部が粒子内架橋されていることを特徴とする繊維加工用架橋型樹脂水性分散液の提供を目的とするものである。
以下本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液に用いられるアクリル系共重合体微粒子は、全体として、エチルアクリレート(a)〔以下、必須単量体(a)ということがある〕、炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸(b)〔以下、不飽和カルボン酸(b)、必須単量体(b)又は単に単量体(b)ということがある〕、及び分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(b)以外の単量体(c)〔以下、官能性単量体(c)又は単に単量体(c)ということがある〕を必須成分とする単量体の乳化共重合体により構成されるものである。
【0013】
上記必須単量体(a)であるエチルアクリレートの使用量は、所期のアクリル系共重合体を構成する単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して25〜99重量%で有ることが必要であり、好ましくは30〜95重量%、さらに好ましくは35〜90重量%であるのがよい。エチルアクリレートの使用量が該下限値未満と少なすぎては、得られる繊維製品の親水性が不足して吸水性が不十分となる傾向があるので好ましくなく、該上限値を超えて多すぎては、相対的に不飽和カルボン酸(b)及び/又は官能性単量体(c)が少なくなって、得られる繊維製品の湿潤時及び洗濯後の強度が不十分となりがちとなり好ましくない。
【0014】
前記必須単量体(b)である不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸などを挙げることができる。これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸の利用がより好ましい。
【0015】
単量体(b)の使用量は、前記単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して0.5〜10重量%の範囲内であることが必要であり、好ましくは1〜8重量%、さらに好ましくは1.2〜6重量%であるのがよい。該単量体(b)の使用量が該上限量を超えて多すぎると、共重合成分である官能性単量体(c)の種類によっては、共重合に際して重合安定性が損なわれたり、貯蔵時に水性分散液がゲル化を起こしたりすることがあり、また架橋剤成分を併用する場合、その架橋剤成分の種類によってはポットライフに悪影響を及ぼすことがありえ、さらに得られる繊維製品の湿潤時及び洗濯後の強度が不十分となることがあるので好ましくない。一方、該使用量が該下限値未満と少なすぎては、共重合に際しての重合安定性及び、得られる水性分散液の機械的安定性が不十分となることがあり、また架橋反応の進行が不十分となりがちで湿潤時及び洗濯後の強度が不足する傾向にあり好ましくない。
【0016】
また前記必須の単量体(c)である官能性単量体は、得られる共重合体が加熱等によって、その共重合体中の単量体(c)に由来する側鎖が、単独で自ら架橋反応し、又は2種以上の単量体(c)に由来する側鎖同士もしくは単量体(c)に由来する側鎖と前記単量体(b)に由来するカルボキシル基が架橋反応し、或いは他の架橋剤と架橋反応して、水や溶媒などに不溶性又は難溶性となる性質を有付与するものである。
【0017】
このような官能性単量体(c)の官能基としては、例えば、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、ヒドロキシル基、低級アルコキシル基、エポキシ基、メルカプト基又は珪素含有基等を有する単量体を挙げることができ、また、分子内にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する単量体も使用できる。
【0018】
これら官能性単量体(c)の具体例としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−i−ブトキシメチルアクリルアミド等のメチロール基又はその誘導体を有する単量体;例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のメチロール基又はその誘導体を含まないアミド基含有単量体;
【0019】
例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)等のヒドロキシル基含有単量体;
【0020】
例えば、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−n−ブトキシエチルアクリレート、2−メトキシエトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、2−n−ブトキシエトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−n−ブトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシエチルメタクリレート、2−n−ブトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(好ましくは2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート)等の低級アルコキシル基含有単量体;
【0021】
例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル(好ましくはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート)等のエポキシ基含有単量体;アリルメルカプタン等のメルカプト基含有単量体;
【0022】
例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリブロモシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−i−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(2−ヒドロキシメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジエトキシシラノール、ビニルエトキシシラジオール、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、2−アクリルアミドエチルトリエトキシシラン等の珪素含有基を有する単量体;
【0023】
例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体(以下、多不飽和単量体ということがある);等の単量体群を挙げることができる。
【0024】
これら官能性単量体(c)のうち、自己架橋性を付与する単量体としては、メチロール基又はその誘導体を有する単量体が好ましく、N−メチロールアクリルアミドが特に好ましい。
【0025】
また、上記自己架橋性を付与する単量体に対して、又は必要に応じて併用される架橋剤に対して反応性を付与するための単量体としては、ヒドロキシル基含有単量体、アミド基含有単量体又はグリシジル基含有単量体が好ましい。
【0026】
これら官能性単量体(c)の使用量は、一般に単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して0.5〜10重量%であることが必要である。該単量体の使用量が該下限値未満と少なすぎては、得られる繊維製品の湿潤時及び洗濯後の強度が不十分となりがちで好ましくない。一方、該使用量が該上限量を超えて多すぎれば、得られる繊維製品の吸水性や風合いが損なわれることがあるので好ましくない。
【0027】
また特に官能性単量体(c)として、自己架橋性を付与する単量体であるN−メチロールアクリルアミド等のメチロール基又はその誘導体を有する単量体(以下MAm系単量体ということがある)を使用するときは、単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して0.5〜4重量%、さらには0.8〜3.5重量%用いることが好ましい。該MAm系単量体の使用量が該下限値以上であれば、得られる繊維製品の湿潤時及び洗濯後の強度が不十分となるなどの不都合が生じにくいので好ましい。一方、該使用量が該上限量以下であれば、得られる繊維製品の吸水性や風合いが損なわれるなどの不都合が生じにくく、繊維製品の樹脂加工時に加熱により発生する、有害なホルムアルデヒドを少なくすることができ、得られる繊維製品の簡単な後処理によってホルムアルデヒドの繊維製品への残留を無視できる程度に抑制できるので好ましい。
【0028】
また官能性単量体(c)として、上記のMAm系以外の単量体を使用するときには、単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して1〜8重量%、さらには1.5〜6重量%用いることが好ましい。該単量体の使用量が該下限値以上であれば、必要に応じて併用される架橋剤との反応性が優れており、得られる繊維製品の湿潤時及び洗濯後の強度も十分なものとなるので好ましい。一方、該使用量が該上限量以下であれば、得られる繊維製品の吸水性が損なわれたり、風合いが硬くなりすぎるなどの不都合が生じにくいので好ましい。
【0029】
なお官能性単量体(c)として、MAm系単量体とMAm系以外の単量体とを併用するときには、その合計量が前記範囲、すなわち単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して0.5〜10重量%の範囲とすべきことはいうまでもない。
【0030】
本発明に用いられるアクリル系共重合体微粒子は、前記必須単量体(a)〜(c)と共に、さらに必要に応じて、該単量体(a)〜(c)と共重合可能な、該単量体(a)〜(c)以外の共単量体(以下、単に共単量体ということがある)(d)を共重合することができる。
【0031】
このような共単量体(d)としては、例えば、前記(a)以外のアクリル酸エステルを挙げることができる。このようなアクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ノニルアクリレート、i−ノニルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、オレイルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート等を挙げることができる。
【0032】
また共単量体(d)としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、i−デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、オレイルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)等の飽和脂肪酸ビニルエステル;及び、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等(好ましくはアクリロニトリル)のシアン化ビニル単量体;よりえらばれた共単量体も同様に利用できる。
【0033】
このような共単量体(d)の使用量は、前記単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して74重量%以下であることが必要であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは20〜40重量%であるのがよい。該共単量体(d)の使用量は、その種類により変わるので一義的には決められないが、得られる本発明の水性分散液の優れた性能を損なわないように上記範囲内の量で適宜に選択することができる。該共単量体(d)の使用量が上記範囲の上限値を超えて多すぎては、結果として前記単量体(a)であるエチルアクリレート、不飽和カルボン酸(b)及び/又は官能性単量体(c)の使用量が不足することになり、得られる繊維製品の親水性が不十分となったり、良好な風合いが得られなかったりすることがあるので好ましくない。また、該使用量を10重量%以上とすることにより、得られる繊維製品の親水性を満足しつつ、湿潤時及び洗濯後の強度、適度な吸油性、粘着感の抑制などが期待できる。
【0034】
なお本明細書におけるアクリル系共重合体微粒子とは、前記のエチルアクリレート(a)並びに、官能性単量体(c)及び共単量体(d)のうち(メタ)アクリル酸エステルを、主成分量、好ましくは50重量%以上含む単量体を共重合してなる共重合体微粒子ものであることを意味するものである。
【0035】
本発明においては、用いられるアクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体の少なくとも一部が粒子内架橋されている特徴とするものである。本発明者等は、繊維加工用架橋型樹脂水性組成物の主構成成分として、このような粒子内架橋されたアクリル系共重合体微粒子を用いることによって、この樹脂組成物を用いて得られる繊維製品の吸水性、特に洗濯後の吸水性が格段に向上させることができることを見出した。
【0036】
ここでいう粒子内架橋とは、アクリル系共重合体微粒子を前記単量体(a)〜(d)の乳化共重合により形成するに際して、該微粒子内のアクリル系共重合体が架橋されて、水や溶媒などに不溶性又は難溶性となっている状態をいい、このような粒子内架橋は、重合時に前記単量体(c)同士又は単量体(b)と単量体(c)が架橋反応を生じている場合を含むが、通常は、前記単量体(c)のうち、前記の多不飽和単量体を共重合させることにより容易に形成されることができる。該多不飽和単量体の使用量は、単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して、好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%程度の量であるのがよい。
【0037】
上記の粒子内架橋の程度は、必ずしも限定されるものではないが、得られるアクリル系共重合体のゲル含量が70重量%以上、好ましくは80〜95重量%の範囲であることが好ましい。該ゲル含量が該下限値以上であれば、得られる繊維製品の吸水性、特に洗濯後の吸水性が優れたものとなるので好ましい。
【0038】
なお本発明において、アクリル系共重合体のゲル含量とは、該アクリル系共重合体中の酢酸エチル不溶解分の量を、以下の方法により測定して得た値である。
【0039】
ゲル含量:
(1) 試料フィルム作成
得られるアクリル系共重合体フィルムの厚さが約100μmになるように、離型材上にアクリル系共重合体の水性分散液を塗布し、室温にて約1時間乾燥後、更に60℃にて10分間乾燥してフィルムを作成する。次いでこのフィルムを約2cm×約2cmに切断してその約3gをガラスビーカー中の約1000mlの水に入れ、スターラーにて16時間低速攪拌した後に濾紙を用いて濾過し、更に水で充分に洗浄して水溶解成分を洗い落としてから離型材上で室温にて約1時間乾燥し、更に60℃にて10分間乾燥して試料フィルムとする。
【0040】
(2) 酢酸エチル抽出
容量約500gのビーカーに試料フィルムを約2g精秤 (重量W1) して入れ、酢酸エチル300mlを加えてスターラーにて3時間低速攪拌し、これを予め重量を計測した濾紙(重量W2)を用いて濾過し、更に酢酸エチルで充分に洗浄して試料フィルムの酢酸エチル溶解成分を洗い落とす。次に濾過残渣の付着した濾紙を室温にて1時間、更に60℃で30分乾燥してから、その濾紙を秤量する(重量W3)。
【0041】
(3) ゲル含量の計算
ゲル含量は、次の数式(1)に従って計算される。
【0042】
【数1】
【0043】
また本発明におけるアクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体は、その平均ガラス転移点(Tga)が−35〜10℃の範囲であることが好ましく、−25〜0℃の範囲であることがより好ましい。Tgが該上限温度以下であれば、得られる繊維製品の風合いが硬くなりすぎることがないので好ましく、該下限温度以上であれば、得られる繊維製品に粘着感が生じるなどの不都合がなく、また十分な強度が得られ、吸水性にも優れているので好ましい。
【0044】
なお本発明における平均ガラス転移点(Tga)とは、例えば後記するように、繊維加工用架橋型樹脂水性分散液に含まれるアクリル系共重合体微粒子が少なくとも2層からなる複層構造を有するときにも、それら微粒子全体を構成する単量体組成に基づいて、下記の計算式に従って、計算により求められるものとする。また後記する芯部(コア部)及び殻部(シェル部)のガラス転移点(Tgc及びTgs)も同様にして計算により求められたものである。
【0045】
ガラス転移点( Tg )の計算:
共重合体のガラス転移点は次の数式(2)によって計算されたものである。
【0046】
【数2】
ここでTg1、Tg2・・・・・・及びTgn は成分1、成分2・・・・・・および成分nそれぞれの単独重合体のガラス転移点であり、絶対温度に換算し計算する。m1、m2・・・・・・及びmn はそれぞれの成分のモル分率である。
【0047】
さらに本発明におけるアクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体は、その平均溶解性パラメータ(SPa)が9.0〜10.5、特には9.2〜10.0の範囲であることがこのましい。SPaが該上限値以下であれば、得られる繊維製品の吸水性が十分で且つ適度の吸油性が得られ、また湿潤時及び洗濯後の強度にも優れているので好ましく、該下限値以上であれば、得られる繊維製品の親水性が優れており、吸水性が十分なものとなるので好ましい。
【0048】
なお本発明における平均溶解性パラメータ(SPa)とは、例えば、前記のようにアクリル系共重合体微粒子が少なくとも2層からなる複層構造を有するときにも、それら微粒子全体を構成する単量体組成に基づいて、「ポリマーハンドブック 第2版(Polymer Handbook Second Edition)」〔H.Burrell著:(1975年)〕のIV−337〜IV−359頁に記載の方法に従い測定又は算出される値である。また後記するコア部及びシェル部の溶解性パラメータ(SPc及びSPs)も同様にして計算により求められたものである。以下にその方法を概説する。
【0049】
単独重合体のSP値は、該重合体を形成している構成単位の分子引力定数Gに基づいて、下記のSP値計算用数式(3)による算出する。
【0050】
SP=dΣG/M (3)
ここで、dは単独重合体の密度(g/l)であり、ΣGは構成単位の分子中の分子引力定数の総和であり、Mは構成単位の分子量(g/mol)である。
【0051】
共重合体のSP値は、上記数式(3)により、その共重合体を構成する各構成単位のそれぞれの単独重合体のSP値を算出し、それらのSP値のそれぞれに各構成単位のモル分率を乗じたものを合算して算出されるものである。
【0052】
本発明におけるアクリル系共重合体微粒子は、必ずしも限定されるものではなく、実質的に均一な単一構造であってもよく、またこれら単一構造の共重合体微粒子の混合物であってもよいが、最外層をなす殻部(シェル部)及び、該殻部(シェル部)より内側にある少なくとも1層からなる芯部(コア部)の少なくとも2層からなる複層構造を有していることが好ましく、その場合、そのシェル部の少なくとも一部が分子内架橋された共重合体により形成されていることが好ましい。そしてこのシェル部は、この芯部をほぼ均一に被覆していてもよく、また場合によっては、部分的に、例えば、網目状、島状に被覆してもよい。さらにこのような複層粒子は、必ずしも2層構造である必要はなく、必要に応じて、3層もしくはそれ以上の構造とすることもできる。
【0053】
上記のように本発明に用いられるアクリル系共重合体微粒子をシェル部及びコア部からなる複層構造とすることによって、得られる繊維製品の柔軟性及び適度の耐水性を損なうことなく、親水性、吸水性を付与することができ、また、洗濯後の親水性、吸水性の低下を抑制することができるなどの優れた特性を付与することができ、さらにそのシェル部の少なくとも一部を分子内架橋した共重合体で構成することによって、得られる繊維製品の吸水性を更に高め、また吸水性を維持しつつ更に耐水性をも向上させるなどの特性を付与することができる。
【0054】
このような、本発明に好適に用いられる複層構造を有するアクリル系共重合体微粒子は、そのシェル部(Ps)/コア部(Pc)の重量比が5/95〜30/70、特には7/93〜20/80の範囲の範囲であることが好ましい。該重量比が該下限値以上であれば、得られる繊維製品の耐水性が優れたものとなると共に、親水性、吸水性も十分であり、且つ洗濯後におけるそれら性能の低下が少ないので好ましく、また該上限値以下であれば、得られる繊維製品の風合、耐水性が優れ且つ十分な親水性、吸水性を付与できるので好ましい。
【0055】
また上記シェル部(Ps)は、溶解性パラメータ(SPs)10.0以上、特には10.1以上、ガラス転移点(Tgs)範囲−10〜50℃、さらには−5〜45℃、特には0〜40℃を有する共重合体により形成され、且つコア部(Pc)は、溶解性パラメータ(SPc)10.0未満、特には9.8以下、ガラス転移点(Tgc)範囲−40〜0℃、さらには−35〜−5℃、特には−30〜−10℃を有する共重合体により形成されていることが好ましい。シェル部(Ps)の溶解性パラメータ(SPs)が該下限値以上であり、且つコア部(Pc)の溶解性パラメータ(SPc)が該上限値より小さければ、得られる繊維製品の耐水性が十分で且つ親水性、吸水性も付与できるので好ましい。さらにシェル部(Ps)のガラス転移点(Tgs)が該下限値以上であれば、得られる繊維製品の親水性、吸水性が十分で、洗濯後の親水性、吸水性の低下も少ないので好ましく、該上限値以下であれば、得られる繊維製品の柔軟性及び基材への密着性を損うことがないので好ましい。さらにまたコア部(Pc)のガラス転移点(Tgc)が該下限値以上であれば、粘着感の少ない繊維製品得られ、また湿潤時及び洗濯後の強度低下が少なく、且つ親水性、吸水性も十分なので好ましく、該上限値以下であれば、得られる繊維製品の風合が損なわれることがなく、耐水性を維持しつつ親水性、吸水性を付与することができるので好ましい。
【0056】
またこのようなアクリル系共重合体微粒子のシェル部(Ps)及びコア部(Pc)のガラス転移点(Tgs)及び(Tgc)は、前記のとおり数式(2)に従って計算される数値であり、それらの溶解性パラメータ(SPs)及び(SPc)は、前記共重合体のSP値の算出方法に従って計算される数値である。
【0057】
本発明に好適に用いられる、複層構造を有するアクリル系共重合体微粒子においてコア部を構成する共重合体は、必ずしも限定されるものではないが、該共重合体微粒子に、主として、得られる繊維製品の風合、湿潤時及び洗濯後の強度低下の抑制、親水性などの機能を付与するように、上記のガラス転移点(Tgc)及び溶解性パラメータ(SPc)を有するように、前記単量体(a)〜(d)の中からそれぞれ適宜選択される単量体を共重合することによって得ることができる。
【0058】
コア部を構成する共重合体は、特に、下記単量体(ac)〜(dc)、
(ac) エチルアクリレート 40〜98重量%、特には50〜90重量%、
(bc) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸(不飽和カルボン酸) 1〜10重量%、特には3〜5重量%、
(cc) 分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(b)以外の単量体(官能性単量体) 1〜10重量%、特には4〜7重量%、及び、
(dc) 上記単量体(ac)〜(cc)と共重合可能な、該単量体(ac)〜(cc)以外の共単量体(共単量体) 0〜58重量%、特には0〜43重量%、
〔但し、単量体(ac)〜(dc)の使用量の合計を100重量%とする〕
の共重合体により構成されるのがよい。
【0059】
コア部の形成に際して、上記エチルアクリレート(ac)の共重合量が上記下限値以上であれば、得られる繊維製品の柔軟性が損なわれることがなく、また親水性や吸水性が十分なものとなるので好ましく、上記上限値以下であれば、結果として不飽和カルボン酸(bc)及び/又は官能性単量体(cc)の量が不足することがないので、親水性、吸水性及び洗濯後の親水性、吸水性の低下がないので好ましい。
【0060】
また不飽和カルボン酸(bc)及び官能性単量体(cc)は、いずれも親水性が高い側鎖を有しており、また後記するシェル部はコア部に比べて相対的に少量であり、従って微粒子表面に形成されるシェル層は極めて薄い(仮にシェル部/コア部の重量比が10/90で、コア部及びシェル部を形成する共重合体の比重を等しいとすれば、シェル層の厚さは平均粒子径の1/60程度である)ため、これら単量体(bc)及び(cc)の親水性の側鎖は、実質的に微粒子の表面に露出しているものと推定できる。従ってコア部に不飽和カルボン酸(bc)及び/又は官能性単量体(cc)を共重合成分として組み込んでも、得られる繊維加工用架橋型樹脂水性分散液の使用時の反応性には実質的に影響しないものと考えられる。このため、後記するように乳化剤と共に添加重合されるコア部の単量体中に、これら単量体(bc)及び(cc)のうち、エチルアクリレートやその他の親油性単量体に溶解しにくい単量体、例えばイタコン酸、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドなどを組み込むことが好ましい。
【0061】
不飽和カルボン酸(bc)及び官能性単量体(cc)の共重合量範囲は、いずれも前記のとおりであるのがよく、不飽和カルボン酸(bc)の共重合量が前記下限値以上であれば、共重合に際しての重合安定性及び得られる水性分散液の機械的安定性が優れているので好ましく、前記上限値以下であれば、共重合に際して重合安定性がよく、得られる水性分散液の貯蔵安定性が損なわれることがないので好ましい。また官能性単量体(cc)の共重合量が前記下限値以上であれば、得られる繊維製品の耐水性を損なわずに親水性、吸水性を付与することができ、且つ基材への密着性も良好なので好ましく、前記上限値以下であれば、得られる繊維製品の耐水性を損なわずに親水性、吸水性を付与することができ、共重合に際しての重合安定性及び得られる水性分散液の貯蔵安定性を損なこともないので好ましい。
【0062】
さらに共単量体(dc)の共重合量範囲も前記のとおりであるのがよく、該共重合量が前記下限値以上であれば、得られる繊維製品の粘着感を抑制することができ、且つ親水性、湿潤強度及び洗濯後の強度などの向上が期待できるので好ましく、前記上限値以下であれば、得られる繊維製品の親水性、吸水性が優れており、且つ風合も良好なので好ましい。
【0063】
前記シェル部を構成する共重合体もまた、必ずしも限定されるものではないが、該共重合体微粒子に、主として得られる繊維製品に優れた親水性、吸水性を与え、且つ洗濯性後の親水性や吸水性の低下を抑制できるように、前記単量体(a)〜(d)の中からそれぞれ適宜選択される単量体を共重合することによって得ることができる。
【0064】
シェル部を構成する共重合体は、特に、下記単量体(as)〜(ds)、
(as) エチルアクリレート 20〜85重量%、特には30〜78重量%、
(bs) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸(不飽和カルボン酸) 5〜40重量%、特には7〜35重量%、
(cs) 分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(b)以外の単量体(官能性単量体) 10〜40重量%、特には15〜30重量%、及び、
(ds) 上記単量体(as)〜(cs)と共重合可能な、該単量体(as)〜(cs)以外の共単量体(共単量体) 0〜65重量%、特には0〜48重量%、
〔但し、単量体(as)〜(ds)の使用量の合計を100重量%とする〕
の共重合体により構成されるのがよい。
【0065】
上記エチルアクリレート(as)の共重合量が上記下限値以上であれば、得られる繊維製品の耐水性が優れ且つ親水性、吸水性が十分なものとなるので好ましく、上記上限値以下であれば、得られる繊維製品の親水性、吸水性が優れており、且つ湿潤時及び洗濯後の強度低下が少ないので好ましい。また不飽和カルボン酸(bs) の共重合量が上記下限値以上であれば、得られる繊維製品の親水性が優れており、且つ基材への密着性が優れているので好ましく、上記上限値以下であれば、共重合の際の重合安定性に優れ、得られる水性分散液の貯蔵安定性にも優れており、且つ得られる繊維製品の親水性、吸水性が十分なものとなるので好ましい。
【0066】
前記のように本発明において好適に用いられる複層構造のアクリル系共重合体微粒子は、そのシェル部が分子内架橋された共重合体により形成されていることが好ましい。このような分子内架橋は、通常、官能性単量体(cs)に前記多不飽和単量体、例えばトリアリルシアヌレート(TAC)などを組み込んで共重合させることにより容易に形成されることができる。官能性単量体(cs)の共重合量が前記下限値以上であれば、得られる繊維製品の吸水性、特に洗濯後の吸水性が優れており、且つ洗濯後の吸水性低下を抑制できるので好ましく、上記前限値以下であれば、共重合に際しての重合安定性が十分で、基材への密着性を阻害することがなく、且つ得られる繊維製品の吸水性が優れているので好ましい。またこのうち多不飽和単量体の使用量は、単量体(as)〜(ds)の合計100重量%に対して、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは0.8〜5重量%程度の量であるのがよい。
【0067】
シェル部の形成には、前記のとおり共単量体(ds)を必ずしも必要としないが、該共重合量が前記上限値以下であれば、基材への密着性が優れており、得られる繊維製品の親水性、吸水性も優れたものとなるので好ましい。
【0068】
本発明に好適に用いられる複層構造を有するアクリル系共重合体微粒子は、通常の乳化重合を用いて容易に製造することができる。製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、まず界面活性剤又はこれに必要に応じて保護コロイドを加えたものの存在下に、第1の単量体組成を水性媒体中で乳化重合してアクリル系共重合体エマルジョンを調製し(第1段階乳化重合)、次いで必要に応じて、該エマルジョンの存在下に第2、第3の単量体組成を添加して共重合させ(中間段階乳化重合)1層以上からなる芯部(コア部;Pc)を形成した後、最終となるの単量体組成を添加して共重合させ(最終段階乳化重合)共重合体微粒子の最外層となる殻部(シェル部;Ps)を形成する方法が好適に採用できる。この際、生成する共重合体微粒子を多層構造とするためには、中間段階及び最終段階乳化重合においては乳化剤を添加しないか、あるいは添加したとしても新しい粒子を発生させない程度の量にとどめ、第1段階乳化重合で形成された重合体微粒子中において実質的に重合が進行するように配慮するのが有利である。
【0069】
本発明における好適なアクリル系共重合体微粒子の構造は、第1段階重合及び必要に応じて行われる、その後の中間段階乳化重合により形成される少なくとも1層のコア部と、最終段階重合により形成されるシェル部分とを含む2層構造以上の複層粒子である。
【0070】
本発明において使用することのできる界面活性剤は、特に限定されるものではなく、通常、乳化重合に用いられる各種界面活性剤を使用することができる。
【0071】
これら界面活性剤のうちノニオン系界面活性剤類としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキル(もしくはアルケニル)エーテル類;例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;
【0072】
例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー;等を例示することができる。
【0073】
またアニオン系界面活性剤類としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム等のアルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル塩類;例えば、ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリエキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;
【0074】
例えば、モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類;等を例示することができる。
【0075】
さらに本発明の水性アクリル系重合体の乳化重合に際しては、アニオン系界面活性剤類として下記化学式(1)で示される、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル型アニオン系界面活性剤も使用することができる。
【0076】
【化1】
(1)
(式中、R1は1つ以上の芳香環を含む炭化水素基、M+はNa+、K+又NH4 +等の対イオンを表す)
【0077】
上記化学式(1)におけるR1は、下記3種の構造式で示されるジスチリルの何れか又はそれらの混合物から誘導されたものであることが好ましい。
【0078】
【化2】
【0079】
上記のアニオン系界面活性剤におけるポリオキシエチレン鎖の長さ(nの値)としては、一般に4〜50の範囲であり、好ましく5〜45の範囲であるのがよい。これらアニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ハイテノールNF−13、ハイテノールNF−17〔商品名;以上第一工業製薬(株)製〕、ニューコール707SF、ニューコール710SF、ニューコール714SF、ニューコール723SF、ニューコール740SF〔商品名;以上日本乳化剤(株)製〕等を挙げることができる。
【0080】
さらに本発明に用いられるアクリル系共重合体の乳化共重合に際しては、必要に応じて、分子内にラジカル重合可能な不飽和基を有する、所謂「反応性乳化剤」を使用することができる。
【0081】
このような反応性乳化剤としては、例えば、「エレミノールJS−2」、「エレミノールRS−30」〔以上、三洋化成工業(株)製〕、「アクアロンHS−10N」、「アクアロンHS−20N」〔以上、第一工業製薬(株)製〕、「アデカリアソープSE−10N」〔旭電化工業(株)製〕、「ラテムルS−120」、「ラテムルS−120A」、「ラテムルS −180」、「ラテムルS−180A」〔以上、花王(株)製〕等のアニオン系反応性乳化剤;例えば、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−30」、「アクアロンRN−50」〔以上、第一工業製薬(株)製〕、「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−30」〔旭電化工業(株)製〕、「RMA−564」、「RMA−568」、「RMA−1114」〔以上、日本乳化剤(株)製〕等のノニオン系反応性乳化剤;などを挙げることができる。
【0082】
さらにまた最近、アクリル系共重合体の水性分散液中に汎用されているアルキルフェニル基を含む界面活性剤が、排水中に含まれて河川等に排出されたとき、それら界面活性剤の加水分解によって生じるアルキルフェノールが、それら河川及びそれが流入する海の中に生息する生物、特に魚貝類に取り込まれて、それら生物の内分泌機能(エンドクリン)破壊物質(所謂、環境ホルモン)として作用することが知られるようになった。このようなアルキルフェノールは、これら魚介類の摂取を通して、又は直接それら河川等の水を使用する上水道の水を通して、人の体内に入る危険性が高いことが指摘されている。
【0083】
本発明においては、前記のノニオン系及びアニオン系界面活性剤の中から、上記のようなアルキルフェニル基を含まないものを選んで用いることにより上記の問題点を解消したアクリル系共重合体の水性分散液を得ることもできる。
【0084】
このような界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤類として、ポリオキシエチレンアルキル(もしくはアルケニル)エーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどを使用することができ、またアニオン系界面活性剤類としては、高級脂肪酸塩類、アルキルアリールスルホン酸塩類、アルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類、前記化学式(1)のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル型界面活性剤などを使用することができる。
【0085】
これらの界面活性剤は適宜組み合わせて使用するのがよく、その使用量としては一般に前記アクリル系共重合体微粒子の総量〔該共重合体微粒子を構成する全単量体(a)〜(d)〕の合計100重量部に対して、界面活性剤有効成分で1.0〜10重量部の範囲であることが好ましく、1.5〜8重量部の範囲であることがより好ましく、2.5〜7重量部の範囲であることが特に好ましい。該使用割合が該上限値以下であれば、乳化重合安定性が優れており、得られる水性分散液の機械的安定性、化学的安定性が優れていると共に、水性分散液の基材への密着性を阻害せずに吸水性、保水性のよい繊維加工製品が得られるので好ましい。また該下限値以上用いることにより、乳化重合の際の凝集物の発生や乳化状態の破壊、得られる水性分散液の貯蔵安定性や機械的安定性を向上させることができるので好ましい。
【0086】
またノニオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤を併用する場合は、ノニオン系界面活性剤をアニオン系界面活性剤より多めに使用することが好ましく、アニオン系界面活性剤の使用の割合は、使用される全界面活性剤量に対して、有効成分比率で40重量%以下であることが好ましく、5〜30重量%の範囲内であることがより好ましい。該使用割合が該上限値以下であれば、得られる水性分散液の化学的安定性が優れており、さらにこの水性分散液を用いて得られる繊維製品が卓越した吸水性、保水性を有するので好ましい。また該下限値以上用いることにより、乳化重合の際の凝集物の発生や乳化状態の破壊、得られる水性分散液の貯蔵安定性や機械的安定性を向上させることができるので好ましい。
【0087】
本発明におけるアクリル系共重合体の乳化重合に際しては、前記のノニオン系及びアニオン系界面活性剤と共に、必要に応じ、且つ本発明の優れた効果を損なわない範囲において、保護コロイドを併用することができる。
【0088】
このような保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;及びグアーガムなどの天然多糖類;などが挙げられる。これら保護コロイドの使用量は、例えば、アクリル系共重合体100重量部に対して0〜3重量部程度の量を例示できる。
【0089】
本発明におけるアクリル系共重合体の乳化重合に際しては、重合開始剤として、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)、過硫酸ナトリウム(SPS)などの過硫酸塩類;t−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、p−メンタンハイドロペルオキシドなどの有機過酸化物類;過酸化水素;などを、一種もしくは複数種併用して使用することができる。重合開始剤の使用量は適当に選択できるが、例えば、アクリル系共重合体100重量部に対して約0.05〜1重量部、より好ましくは約0.1〜0.7重量部、特に好ましくは約0.1〜0.5重量部の如き使用量を例示することができる。
【0090】
また乳化重合に際して、所望により、還元剤を併用することができる。該還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)等の還元性無機化合物を例示できる。還元剤の使用量は適宜選択できるが、例えば、アクリル系共重合体100重量部に対して約0.05〜1重量部の如き使用量を例示することができる。
【0091】
さらにまた、乳化重合に際して、所望により連鎖移動剤を用いることもできる。このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8アルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8アルキルエステル類;例えば、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;例えば、p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエン等の芳香族ニトロ化合物類;例えば、ベンゾキノン、 2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノン等のベンゾキノン誘導体類;トリブチルボラン等のボラン誘導体;例えば、四臭化炭素、四塩化炭素、 1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペン等のハロゲン化炭化水素類;例えば、クロラール、フラルデヒド等のアルデヒド類;炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;例えば、チオフェノール、トルエンメルカプタン等の芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸;メルカプト酢酸の炭素数1〜10アルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキルアルキルメルカプタン類;例えば、ビネン、テルピノレン等のテルペン類;等を挙げることができる。これら連鎖移動剤を用いる場合には、アクリル系共重合体100重量部に対して約0.005〜3重量部であるのが好ましい。
【0092】
乳化共重合に際しての反応温度は、約40〜100℃、好ましくは約50〜90℃程度であるのがよい。
【0093】
かくして得られたアクリル系共重合体微粒子を含むの水性分散液は、必要に応じて、アンモニア水等によってpH調節してもよい。このような分散液は、通常、固形分濃度30〜55重量%、粘度10〜3000mPa・s(BH型回転粘度計、25℃、20rpm;粘度測定条件以下同様)、pH2〜9程度であり、水性媒体中のアクリル系共重合体粒子の平均粒子径は200〜500nm、特には220〜400nmの範囲であることが好ましい。
【0094】
本発明の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液は、得られる繊維製品の強度、特に洗濯後の強度を向上させるため、得られたアクリル系共重合体の水性分散液に、さらに必要に応じて、架橋剤成分を含有することができる。
【0095】
上記の架橋剤成分は、前記の不飽和カルボン酸(b)及び/又は官能性単量体(c)と反応性を有するものであることが必要であり、従ってそれら不飽和カルボン酸(b)及び官能性単量体(c)の種類によって、また得られる繊維製品が黄変するなどの不都合のないものの中から適宜選択されることができる。このような架橋剤成分としては、オキサゾリン系架橋剤、ブロック化イソシアネート系架橋剤(非黄変型)又はエポキシ系架橋剤を用いるのが好ましい。
【0096】
上記のオキサゾリン系架橋剤は、前記アクリル系共重合体が、オキサゾリン基を開環付加反応させることのできる活性水素を有する官能基、例えば、カルボキシル基、無水カルボキシル基、メルカプト基、アミド基等を含有しているときに好適に用いることができる。
【0097】
このようなオキサゾリン系架橋剤としては、下記化学式(2)で示されるオキサゾリン基含有単量体と、必要に応じてこれと共重合可能な他の単量体の少なくとも1種とを(共)重合してなる高分子化合物であり、前記アクリル系共重合体水性分散液と配合しやすい、水溶性又は水分散性の高分子化合物であることが好ましい。
【0098】
【化3】
(2)
【0099】
(式中、R2〜R5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基であり;Xは単結合、−A1−OCO−、−A2−NHCO−又は−A3−O−を表わし、A1〜A3はそれぞれ独立して、単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基を表わし;Yは
【0100】
【化4】
であり、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜2のアルキル基である)
【0101】
上記のオキサゾリン基含有単量体におけるYとしては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、i−プロペニル基、α−ブテニル基、β−ブテニル基、γ−ブテニル基、i−ブテニル基等の炭素数2〜4のアルケニル基;例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基等の(メタ)アクリロイル基含有基;例えば、ビニロキシ基、アリロキシ基等の炭素数2〜4のアルケニルオキシ基を挙げることができ、このようなオキサゾリン基含有単量体の具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−i−プロペニル−2−オキサゾリン、2−i−プロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−i−プロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンを例示することができ、入手の容易さ等の理由から2−ビニル−2−オキサゾリンの使用が好ましい。
【0102】
前記の、必要に応じて、オキサゾリン基含有単量体と共に用いる単量体としては、前記アクリル系共重合体において単量体(a)及び(d)として例示された単量体;例えば、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート等の単量体(a)及び(d)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体;官能性単量体(c)として例示された単量体のうち、メチロール基又はその誘導体を含まないアミド基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体;などが挙げられる。
【0103】
本発明においてオキサゾリン系架橋剤として用いることのできる、このようなオキサゾリン基含有高分子化合物に関する詳細については、例えば、特開平5−295275号公報に開示されており、該公報に開示された方法に従って製造して使用することができる。
【0104】
本発明で用いることのできるオキサゾリン系架橋剤中のオキサゾリン基の量は、該架橋剤100g当り0.1〜1当量であるのが好ましく、0.2〜0.6当量であるのがさらに好ましい。オキサゾリン基の量が該下限値以上であれば、本発明に用いられる前記アクリル系共重合体との反応性が良好で、形成される皮膜に十分な架橋構造を形成させることができ、得られる繊維加工製品に適度の耐水性及び耐油性を付与できるので好ましく、一方、該上限値以下であれば得られる繊維加工製品の吸水性や柔軟性が損なわれることがないので好ましい。
【0105】
またオキサゾリン系架橋剤であるオキサゾリン基含有高分子化合物の重量平均分子量は、一般に500〜10,000であるのが好ましく、1,000〜7,000であるのがさらに好ましい。さらにオキサゾリン系架橋剤の水性液は、固形分濃度が一般に10〜50重量%程度であり、粘度10,000mPa・s以下、pH7〜9であるのが好ましい。
【0106】
このようなオキサゾリン系架橋剤の水性液としては、例えば「エポクロス WS−500」〔(株)日本触媒製〕として市販されているものが好適に使用できる。
【0107】
オキサゾリン系架橋剤は、前記アクリル系共重合体中のオキサゾリン基と反応性を有する官能基1当量に対して、該架橋剤中のオキサゾリン基が、一般に0.1〜3当量、好ましくは0.2〜2当量、さらに好ましくは0.3〜1.5当量となるように使用するのがよい。使用する架橋剤中のオキサゾリン基の量が該下限値以上であれば、形成される皮膜の架橋構造の形成が十分で、得られる繊維加工製品に適度の耐水性及び耐油性を付与できるので好ましい。一方、該上限値以下であれば、得られる繊維加工製品の吸水性や柔軟性が損なわれることがないので好ましい。
【0108】
本発明においては、架橋剤成分としてブロック化イソシアネート系架橋剤を用いることもできる。ブロック化イソシアネート系架橋剤は、前記アクリル系共重合体が、加熱により再生されるイソシアネート基と付加反応することのできる活性水素を有する官能基、例えば、カルボキシル基、無水カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基等を含有しているときに好適に用いることができる。
【0109】
このようなブロック化イソシアネート系架橋剤としては、得られる繊維加工製品の変色防止の観点から、非黄変型ブロック化イソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
【0110】
上記ブロック化イソシアネート化合物とは、一般に、ポリイソシアネート化合物に、加熱によって離脱し揮散する揮発性低分子活性水素化合物(ブロック剤)を付加させたものである。
【0111】
本発明において好適に用いることのできるポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ジイソシアネート化合物;これらイソシアネートの2量体又は3量体;これらイソシアネートと、例えば、エチレングリコール、トリメチロールプロパン等の2価又は3価のポリオールとの付加体などを例示できる。これらのポリイソシアネート化合物のうち、反応性のよさ及び入手の容易さなどの観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートなど脂肪族ジイソシアネートの2量体又は3量体が特に好ましい。
【0112】
前記揮発性低分子活性水素化合物としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、フェノール等の脂肪族、脂環族又は芳香族アルコール;例えば、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどのヒドロキシ第3アミン;例えば、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム等のケトオキシム類;例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等の活性メチレン化合物;ε−カプロラクタム等のラクタム類;などを例示できる。
【0113】
本発明に用いることのできるブロック化イソシアネート系架橋剤としては、水分散性であることが好ましい。また本発明における主要成分であるアクリル系共重合体水性分散液が、通常、弱アニオン性を有しているので、これとの混和性の観点から、ブロック化イソシアネートはノニオン性又はアニオン性の分散液であり、アルキルフェニル系界面活性剤を含有していないものであることが特に好ましい。
【0114】
このようなブロック化イソシアネート系架橋剤の水性液としては、例えば、エラストロンBN−5、エラストロンBN−8、エラストロンBN−11〔以上第一工業製薬(株)製〕、プロミネートXC−915、プロミネートB830W、プロミネートXC−939〔以上武田薬品工業(株)製〕、コロネート2507、コロネート2513、コロネート2515〔以上日本ポリウレタン工業(株)製〕として市販されているものが好適に使用できる。
【0115】
ブロック化イソシアネート系架橋剤は、前記アクリル系共重合体中の、イソシアネート基と反応性を有する官能基1当量に対して、該架橋剤中のブロック化されたイソシアネート基が、一般に0.2〜2当量、好ましくは0.3〜1.2当量、さらに好ましくは0.5〜1当量となるように使用するのがよい。使用する架橋剤中のブロック化イソシアネート基の量が該下限値以上であれば、形成される皮膜の架橋構造の形成が十分で、得られる繊維加工製品に適度の耐水性及び耐油性を付与できるので好ましい。一方、該上限値以下であれば、得られる繊維加工製品の吸水性や柔軟性が損なわれることがないので好ましい。
【0116】
本発明においては、架橋剤成分としてエポキシ系架橋剤を用いることもできる。エポキシ系架橋剤は、前記アクリル系共重合体がエポキシ基と付加反応することのできる活性水素を有する官能基、例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基等を含有しているときに好適に用いることができる。またエポキシ系架橋剤がその分子中に水酸基を有しているときには、アクリル系共重合体がカルボキシル基、無水カルボキシル基等を含有しているときにも使用できる。
【0117】
本発明において好適に使用することができるエポキシ系架橋剤は水溶性又は水分散性であり、アルキルフェニル系界面活性剤を含有していないものであることが好ましい。
【0118】
このようなエポキシ系架橋剤としては、例えば、ポリオールポリグリシジルエーテル化合物、多酸ポリグリシジルエステル化合物等が好適に使用できる。
【0119】
上記のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、ソルビタンなどの脂肪族又は脂環族ポリオールを挙げることができ、上記多酸としては、例えばアジピン酸などを挙げることができる。
【0120】
本発明において用いることのできるエポキシ系架橋剤のうち、ポリオールポリグリシジルエーテル化合物の具体例としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(n≒4、9、13、22など)ジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(n≒3、11など)ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ポリグリセロール(n≒4、6など)ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル等を挙げることができ、多酸ポリグリシジルエステル化合物の具体例としては、例えば、アジピン酸ジグリシジルエステル等を挙げることができる。これらのエポキシ系架橋剤のうち特に好適なものは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテルである。
【0121】
このようなエポキシ系架橋剤の水性液としては、例えば「デナコール」の商品名でナガセ化成工業(株)より販売されている各種のエポキシ系架橋剤が好適に使用でき、例えば、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−611、デナコールEX−614、デナコールEX−810として市販されているものが特に好適に使用できる。
【0122】
エポキシ系架橋剤は、前記アクリル系共重合体中の、エポキシ基(及びヒドロキシル基)と反応性を有する官能基1当量に対して、該架橋剤中のエポキシ基が、一般に0.3〜2当量、好ましくは0.3〜1.5当量、さらに好ましくは0.5〜1.2当量となるように使用するのがよい。使用する架橋剤中のエポキシ基の量が該下限値以上であれば、形成される皮膜の架橋構造の形成が十分で、得られる繊維加工製品に適度の耐水性及び耐油性を付与できるので好ましい。一方、該上限値以下であれば、得られる繊維加工製品の吸水性や柔軟性が損なわれることがないので好ましい。
【0123】
本発明の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液は、以上述べた、必要に応じて用いることのできる架橋剤成分の他に、さらに必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。
【0124】
これらの添加剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂、アルキルフェニル系を除く界面活性剤系等の増粘剤及び粘性改良剤;例えば、無機質分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等)、有機質分散剤〔ノプコスパース 44C(商品名)、ポリカルボン酸系;サンノプコ(株)製〕などの分散剤;例えば、シリコーン系などの消泡剤;例えば、ターペンエチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等の有機溶剤;老化防止剤;防腐剤・防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;等を挙げることができる。
【0125】
以上述べた本発明の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液は、天然繊維、再生繊維、合成繊維等からなる織布、編布、不織布、フエルトなど繊維製品の樹脂加工に好適に使用することができ、特に、主として飲食店などでの業務用として用いられる使い捨ての拭き取り材(ワイパー)用不織布の樹脂加工に有用である。
【0126】
【実施例】
以下、製造例、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。なお本実施例及び比較例における試験方法及び評価方法は以下のとおりである。
【0127】
(1) 試験シートの作成
樹脂水性分散液を固形分が約10重量%となるように水で希釈し、その中に2号濾紙〔東洋濾紙(株)製〕を浸漬した後、目付量が約10g/m2となるようにマングルを用いて絞り、直ちに150℃で4分間熱処理を行った後、23℃、65%RHの恒温恒湿条件下に3時間以上放置して試験用シートとした。
【0128】
(2) 流水洗浄シートの作成
洗濯後の諸物性を比較的簡単な方法で得るために、本発明では流水洗浄試験を採用した。
27×39cm、容量約5800mLのステンレス製バットに水を満たし、さらに流量約800mL/分で水を流し放しにした状態で、その中に前(1)項で作成した試験シートを16時間浸漬した。次いでシートを取り出してマングルで水を絞り、40℃熱風循環式乾燥機で60分乾燥後、23℃、65%RHの恒温恒湿条件下に3時間以上放置して流水洗浄シートとした。
【0129】
(3) 樹脂含浸濾紙の強度
前(1)項で作成した試験シート及び前(2)項で作成した流水洗浄シートを、23℃、65%RHの恒温恒湿条件下に3時間以上放置した後、同条件下で常態破断強度及び洗浄破断強度を測定した。測定にはテンシロンUYM−4100〔東洋ボールドウィン(株)製〕を用い、測定試験片は幅25mm、つかみ間隔100mmとし、引張速度は300mm/分とした。
【0130】
上記の常態破断強度は6500g/25mm以上、さらには7000g/25mm以上、特には7500g/25mm以上であることが好ましく、また洗浄破断強度は2000g/25mm以上、さらには2200g/25mm以上、特には2500g/25 mm以上であることが好ましい。
【0131】
また、下記計算式により常態/洗浄強度比を求めた。
【数3】
【0132】
常態/洗浄強度比としては25%以上、さらには30%以上、特には35%以上であることが好ましい。
【0133】
(4) 吸水性試験
前(1)項で作成した試験シート及び前(2)項で作成した流水洗浄シート上に、同条件下で容量10mLポリエチレン製駒込ピペットを用いて水をスポットし、水滴が試験シート内に浸透するまでの時間を測定した。
【0134】
吸水性としては、常態で300秒以内、さらには250秒以内、特には180秒以内であることが好ましく、また流水洗浄後においては350秒以内、さらには300秒以内、特には240秒以内であることが好ましい。
【0135】
(5) 風合
前(1)項で作成した試験シートについて手触りにより風合いを評価した。評価の基準は次のとおり。
【0136】
○ ・・・・・・ 非常に柔軟
△ ・・・・・・ やや硬い
× ・・・・・・ 硬い
【0137】
(6) 粘着感
前(1)項で作成した試験シートを2枚押し合わせ、200g/cm2の荷重の下に25℃で16時間放置し、さらに温度23℃、湿度65%RHの恒温恒湿条件下に30分間放置した後剥離して、剥離抵抗より粘着感を評価した。評価の基準は次のとおり。
【0138】
○ ・・・・・・ 剥離時ほとんど抵抗なし(粘着感なし)
△ ・・・・・・ 剥離時やや抵抗あり(やや粘着感あり)
× ・・・・・・ 剥離時抵抗あり(粘着感かなり大)
【0139】
(7) 基材密着性
厚さ50μmの無処理のPETフィルムに10ミルのドクターブレードを用い樹脂水性分散液を塗布し、直ちに綿ブロードを貼り合わせた。室温(約23℃)で60分乾燥後140℃で5分間熱処理を行い、次いで23℃、65%RHの恒温恒湿条件下に60分以上放置した後、同条件下で剥離抵抗を測定し、PETフィルムに対する密着性を評価した。測定には前(3)項と同様、テンシロンUYM−4100〔東洋ボールドウィン(株)製〕を用い、測定試験片の幅は25mm、引張速度は300mm/分、剥離方向180゜とした。
【0140】
○ ・・・・・・ 剥離抵抗 500g/25mm以上
△ ・・・・・・ 剥離抵抗 200g/25mm〜500g/25mm
× ・・・・・・ 剥離抵抗 200g/25mm未満
【0141】
アクリル系共重合体微粒子の作製
【0142】
製造例1
先ず、以下の方法によりアクリル系共重合体微粒子のコア部を作製した。
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水56重量部を仕込み、内温60℃に昇温させた。一方、別の容器にイオン交換水24重量部、並びに、乳化重合用の界面活性剤として「DKS NL−250」〔ポリオキシエチレン(n=25)ラウリルエーテル型ノニオン系界面活性剤(有効成分濃度100重量%);第一工業製薬(株)製〕3重量部及び「ハイテノール−18E」〔ポリオキシエチレン(n=18)ラウリルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩型アニオン系界面活性剤(有効成分濃度95重量%);第一工業製薬(株)製〕0.52重量部、さらに官能性単量体(cc)としてN−メチロールアクリルアミド(MAm)を2重量部仕込んで攪拌溶解し、次いでこれに、単量体(ac)としてエチルアクリレート(EA)55.8重量部、単量体(bc)としてアクリル酸(AA)2重量部、官能性単量体(cc)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)3重量部、並びに共単量体(dc)としてn−ブチルアクリレート(BA)7重量部及びメチルアクリレート(MA)20.2重量部よりなる単量体混合物を加えて攪拌し、コア部となる単量体乳化液を得た。
【0143】
反応器の内容物を窒素気流下に攪拌しながら加熱し、反応機内の水温が60℃に達した時点で、重合開始剤及び還元剤として過硫酸アンモニウム(APS)及びメタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)をそれぞれ0.1重量部添加した後、コア部となる単量体乳化液を約2.5時間かけて逐次添加しながら60℃で重合反応を行った。同時に2.5%重量濃度の過硫酸アンモニウム水溶液12重量部、2.5%重量濃度のメタ重亜硫酸ナトリウム12重量部を4時間で逐次添加した。かくしてコア部となるアクリル系共重合体微粒子の水性分散液が得られた。
【0144】
引き続いて次のようにしてシェル部を形成した。すなわち、コア部となる単量体乳化液の逐次添加終了の30分後、シェル部を構成する単量体(as)としてEA 4重量部、単量体(bs)としてAA 1重量部、官能性単量体(cs)としてHEMA 2重量部、トリアリルシアヌレート(TAC)0.2重量部、並びに単量体(ds)としてBA 1重量部及びMA 1.8重量部よりなる単量体混合物を30分間かけて逐次添加しながら60℃で重合反応を行った。シェル部を構成する単量体混合物の逐次添加終了後、約1時間約60℃に保持してから冷却し、コア部/シェル部の重量比90/10のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。
【0145】
得られた水性分散液は、固形分50.1重量%、pH2.3、粘度60mPa・s(25℃、BH型回転粘度計20rpm)であり、共重合体微粒子の平均ガラス転移点(Tga)は−13℃〔コア部のガラス転移点(Tgc)は−15℃、シェル部のガラス転移点(Tgs)は+6℃〕、平均溶解性パラメータ(SPa)9.5〔コア部の溶解性パラメータ(SPc)は9.4、シェル部分の溶解性パラメータ(SPs)は10.3〕、ゲル含量は88重量%であった。
【0146】
製造例2〜5
製造例1において、表1及び表2に示すように、アクリル系共重合体微粒子全体の単量体組成は変えずに、コア部及びシェル部の単量体組成をそれぞれ変え、コア部/シェル部の重量比を変え、又はコア/シェルの複層構造とせずにアクリル系共重合体微粒子全体の単量体組成を一括重合する以外は製造例1と同様にしてアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。
【0147】
得られたアクリル系共重合体微粒子の、コア部及びシェル部のそれぞれの単量体組成、ガラス転移点(Tgc,Tgs)及び溶解性パラメータ(SPc,SPs)を表1に;コア部/シェル部の重量比並びに、微粒子全体の単量体組成、平均ガラス転移点(Tga)、平均溶解性パラメータ(SPa)及びゲル含量を表2に示す。
【0148】
製造例6〜9
製造例1において、表1に示すようにコア部の単量体組成を変えずに、シェル部の組成を変えてTgsを変え、それに従って表2に示すようにアクリル系共重合体微粒子全体の単量体組成を変える以外は製造例1と同様にしてアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。
【0149】
得られたアクリル系共重合体微粒子の、コア部及びシェル部のそれぞれの単量体組成、ガラス転移点(Tgc,Tgs)及び溶解性パラメータ(SPc,SPs)を表1に;コア部/シェル部の重量比並びに、微粒子全体の単量体組成、平均ガラス転移点(Tga)、平均溶解性パラメータ(SPa)及びゲル含量を表2に示す。
【0150】
製造例10〜12
製造例1において、表1に示すようにシェル部の単量体組成を変えずに、コア部の組成を変えてTgsを変え、それに従って表2に示すようにアクリル系共重合体微粒子全体の単量体組成を変える以外は製造例1と同様にしてアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。
【0151】
得られたアクリル系共重合体微粒子の、コア部及びシェル部のそれぞれの単量体組成、ガラス転移点(Tgc,Tgs)及び溶解性パラメータ(SPc,SPs)を表1に;コア部/シェル部の重量比並びに、微粒子全体の単量体組成、平均ガラス転移点(Tga)、平均溶解性パラメータ(SPa)及びゲル含量を表2に示す。
【0152】
製造例13
製造例1において、表1に示すようにシェル部の単量体組成中にTACを用いず、その分MAの使用量を増やし、それに従って表2に示すようにアクリル系共重合体微粒子全体の単量体組成を若干変更してそのゲル含量を小さくする以外は製造例1と同様にしてアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。
【0153】
得られたアクリル系共重合体微粒子の、コア部及びシェル部のそれぞれの単量体組成、ガラス転移点(Tgc,Tgs)及び溶解性パラメータ(SPc,SPs)を表1に;コア部/シェル部の重量比並びに、微粒子全体の単量体組成、平均ガラス転移点(Tga)、平均溶解性パラメータ(SPa)及びゲル含量を表2に示す。
【0154】
製造例14
製造例1において、表2に示すように単量体(a)であるEAの使用量を減らしその代わりに単量体(d)、特にBA及びメチルメタクリレート(MMA)を増やし、表1に示すようにシェル部及びコア部の単量体組成を変えて、製造例1で得られるアクリル系共重合体微粒子とほぼ等しい平均ガラス転移点(Tga)及び平均溶解性パラメータ(SPa)を有する共重合体微粒子の水性分散液を得た。
【0155】
得られたアクリル系共重合体微粒子の、コア部及びシェル部のそれぞれの単量体組成、ガラス転移点(Tgc,Tgs)及び溶解性パラメータ(SPc,SPs)を表1に;コア部/シェル部の重量比並びに、微粒子全体の単量体組成、平均ガラス転移点(Tga)、平均溶解性パラメータ(SPa)及びゲル含量を表2に示す。
【0156】
製造例15〜17
製造例1において、表1に示すようにコア部及びシェル部の単量体としてAAを用いず、又はその代わりにメタクリル酸(MAA)を用い、その使用量を変え、それに従って表2に示すようにアクリル系共重合体微粒子全体の単量体組成を変える以外は製造例1と同様にしてアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。
【0157】
得られたアクリル系共重合体微粒子の、コア部及びシェル部のそれぞれの単量体組成、ガラス転移点(Tgc,Tgs)及び溶解性パラメータ(SPc,SPs)を表1に;コア部/シェル部の重量比並びに、微粒子全体の単量体組成、平均ガラス転移点(Tga)、平均溶解性パラメータ(SPa)及びゲル含量を表2に示す。
【0158】
なおこれらのうち、AAやMAA等の不飽和カルボン酸単量体(b)を共重合していない製造例15のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液は、凝集物が多く、また指でこするだけで簡単にエマルジョン破壊を起こすほど機械安定性が劣悪であった。またMAAをやや多く共重合した製造例17のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液は、室温放置約1週間後に分散液全体がプリン状にゲル化を起こしていた。
【0159】
製造例18〜21
製造例1において、表1に示すようにコア部及びシェル部における官能性単量体の種類及び/又は使用量を変え又はこれを用いず、それに従って表2に示すようにアクリル系共重合体微粒子全体の単量体組成を変える以外は製造例1と同様にしてアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。
【0160】
得られたアクリル系共重合体微粒子の、コア部及びシェル部のそれぞれの単量体組成、ガラス転移点(Tgc,Tgs)及び溶解性パラメータ(SPc,SPs)を表1に;コア部/シェル部の重量比並びに、微粒子全体の単量体組成、平均ガラス転移点(Tga)、平均溶解性パラメータ(SPa)及びゲル含量を表2に示す。
【0161】
なお、表1及び表2で用いた単量体の略称は以下の通りである。
EA:エチルアクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
MAm:N−メチロールアクリルアミド
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
AAm:アクリルアミド
TAC:トリアリルシアヌレート
MA:メチルアクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
【0162】
【表1】
【0163】
【表2】
【0164】
繊維加工用架橋型樹脂水性分散液の作製と物性試験
【0165】
実施例1〜16及び比較例1〜5
製造例1〜21で作製したアクリル系共重合体微粒子の水性分散液をそのまま用いて、繊維加工用架橋型樹脂水性分散液とした。これらを用いて、前記の試験方法に従い性能試験を行った。得られた結果を表3に示す。
【0166】
なお、試験シートの作成に際して、AAやMAA等の不飽和カルボン酸単量体(b)を共重合していない製造例14のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を用いた比較例2の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液は、分散液のエマルジョン破壊によるマングルロールへの凝集物の付着が多量に発生し、これが該試験シートにも付着して外観の悪いものとなった。
【0167】
実施例17
製造例1で得られたアクリル系共重合体微粒子の水性分散液100重量部に、25%アンモニア水0.4重量部、オキサゾリン系架橋剤〔エポクロスWS−500 (株)日本触媒製〕3.0重量部を攪拌しながら添加し、pH7.8、粘度350mPa・s、固形分49.6重量%の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液を得た。これを用いて、前記の試験方法に従い性能試験を行った。得られた結果を表3に示す。
【0168】
【表3】
【0169】
【発明の効果】
本発明の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液は、主単量体成分としてエチルアクリレートを含む特定の単量体群の乳化共重合体により構成され、その少なくとも一部が分子内架橋されているアクリル系共重合体微粒子、好ましくは複層構造を有し、そのシェル部の少なくとも一部が分子内架橋された共重合体により形成されているアクリル系共重合体微粒子を含有してなるものである。本発明の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液はまた、必要に応じて、オキサゾリン系架橋剤、ブロック化イソシアネート系架橋剤(非黄変型)、エポキシ系架橋剤等の架橋剤を含有させることができる。
【0170】
このことによって本発明の繊維加工用架橋型樹脂水性分散液は、天然繊維、再生繊維、合成繊維等からなる織布、編布、不織布、フエルトなど繊維製品の樹脂加工、特に、主として飲食店などでの業務用として用いられる使い捨ての拭き取り材(ワイパー)用不織布の樹脂加工に好適に使用されることができ、従来の樹脂水性エマルジョンを用いた樹脂加工ではまだ不十分であった、繊維製品が柔軟で且つ粘着感がないこと、優れた吸水性と共に使用に耐えうる十分な強度を有すること、黄変がないなど外観が優れていること、そしてその使用済み後の洗濯や熱水洗浄の後にも実質的にこれらの諸性質を維持するなど卓越した繊維製品を提供する。
【0171】
なお、本発明の要旨とその好適な実施態様は次のとおりである。
【0172】
1.アクリル系共重合体微粒子を含有してなる繊維加工用架橋型樹脂水性分散液であって、該アクリル系共重合体微粒子が全体として、下記単量体(a)〜(d)、
(a) エチルアクリレート 25〜99重量%、
(b) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 0.5〜10重量%、
(c) 分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(b)以外の単量体 0.5〜10重量%、及び、
(d) 上記単量体(a)〜(c)と共重合可能な、該単量体(a)〜(c)以外の共単量体 0〜74重量%、
〔但し、単量体(a)〜(d)の使用量の合計を100重量%とする〕
の乳化共重合体により構成されており、且つ該微粒子を構成する共重合体の少なくとも一部が粒子内架橋されていることを特徴とする繊維加工用架橋型樹脂水性分散液。
【0173】
2.単量体(c)が、メチロール基もしくはその誘導体を有する単量体、ヒドロキシル基含有単量体、アミド基含有単量体及びグリシジル基含有単量体よりなる群から選ばれる上記第1項に記載の水性分散液。
【0174】
3.単量体(c)がN−メチロールアクリルアミドである上記第1項又は第2項に記載の水性分散液。
【0175】
4.アクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体のゲル含量が70重量%以上である上記第1項に記載の水性分散液。
【0176】
5.アクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体のゲル含量が80〜95重量%以上である上記第1項に記載の水性分散液。
【0177】
6.アクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体の平均ガラス転移点(Tga)が−35〜10℃の範囲である上記第1項に記載の水性分散液。
【0178】
7.アクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体の平均ガラス転移点(Tga)が−25〜0℃の範囲である上記第1項に記載の水性分散液。
【0179】
8.アクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体の平均溶解性パラメータ(SPa)が9.0〜10.5の範囲である上記第1項に記載の水性分散液。
【0180】
9.アクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体の平均溶解性パラメータ(SPa)が9.2〜10.0の範囲である上記第1項に記載の水性分散液。
【0181】
10.アクリル系共重合体微粒子の平均粒子径が200〜500nmの範囲である上記第1項に記載の水性分散液。
【0182】
11.アクリル系共重合体微粒子の平均粒子径が220〜400nmの範囲である上記第1項に記載の水性分散液。
【0183】
12.アクリル系共重合体微粒子が少なくとも2層からなる複層構造を有し、その最外層をなす殻部(シェル部)の少なくとも一部が分子内架橋された共重合体により形成されている上記第1項に記載の水性分散液。
【0184】
13.アクリル系共重合体微粒子が、その最外層をなす殻部(シェル部)(Ps)及び、該殻部(Ps)の内側にある少なくとも1層からなる芯部(コア部)(Pc)により形成され、その殻部(シェル部)(Ps)/芯部(コア部)(Pc)の重量比が5/95〜30/70の範囲の範囲である上記第12項に記載の水性分散液。
【0185】
14.アクリル系共重合体微粒子が、その最外層をなす殻部(シェル部)(Ps)及び、該殻部(Ps)の内側にある少なくとも1層からなる芯部(コア部)(Pc)により形成され、その殻部(シェル部)(Ps)/芯部(コア部)(Pc)の重量比が7/93〜20/80の範囲の範囲である上記第7項に記載の水性分散液。
【0186】
15.殻部(シェル部)(Ps)が、溶解性パラメータ(SPs)10.0以上、ガラス転移点(Tgs)範囲−10〜50℃を有する分子内架橋された共重合体により形成され、且つ芯部(コア部)(Pc)が、溶解性パラメータ(SPc)10.0未満、ガラス転移点(Tgc)範囲−40〜0℃を有する(共)重合体により形成されている上記第13項に記載の水性分散液。
【0187】
16.芯部(コア部)(Pc)が、下記単量体(ac)〜(dc)、
(ac) エチルアクリレート 40〜98重量%、
(bc) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 1〜10重量%、
(cc) 分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(b)以外の単量体 1〜10重量%、及び、(dc) 上記単量体(ac)〜(cc)と共重合可能な、該単量体(ac)〜(cc)以外の共単量体 0〜58重量%、
〔但し、単量体(ac)〜(dc)の使用量の合計を100重量%とする〕
の共重合体により構成される上記第13〜15項の何れかに記載の水性分散液。
【0188】
17.殻部(シェル部)(Ps)が、下記単量体(as)〜(ds)、
(as) エチルアクリレート 20〜85重量%、
(bs) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 5〜40重量%、
(cs) 分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(b)以外の単量体 10〜40重量%、及び、(ds) 上記単量体(as)〜(cs)と共重合可能な、該単量体(as)〜(cs)以外の共単量体 0〜65重量%、
〔但し、単量体(as)〜(ds)の使用量の合計を100重量%とする〕
の共重合体により構成される上記第13〜15項の何れかに記載の水性分散液。
【0189】
18.乳化共重合がアルキルフェニル系界面活性剤を実質的に含まない界面活性剤の存在下に行われる上記第1項に記載の水性分散液。
【0190】
19.全界面活性剤の使用量が、有効成分としてアクリル系共重合体微粒子の総量100重量部に対して1〜10重量部の範囲である上記第18項に記載の水性分散液。
【0191】
20.アニオン系界面活性剤の使用量が、有効成分として、全界面活性剤の使用量の40重量%以下である上記第19項に記載の水性分散液。
【0192】
21.さらに架橋剤成分を含有する上記第1項に記載の水性分散液。
【0193】
22.架橋剤成分が、オキサゾリン系架橋剤、ブロック化イソシアネート系架橋剤(非黄変型)、エポキシ系架橋剤より選ばれるものである上記第21項に記載の水性分散液。
Claims (9)
- アクリル系共重合体微粒子を含有してなる繊維加工用架橋型樹脂水性分散液であって、該アクリル系共重合体微粒子が全体として、下記単量体(a)〜(d)、
(a) エチルアクリレート 25〜99重量%、
(b) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 0.5〜10重量%、
(c) 分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(b)以外の単量体 0.5〜10重量%、及び、
(d) 上記単量体(a)〜(c)と共重合可能な、該単量体(a)〜(c)以外の共単量体 0〜74重量%、
〔但し、単量体(a)〜(d)の使用量の合計を100重量%とする〕
の乳化共重合体により構成されており、且つ該微粒子を構成する共重合体の少なくとも一部が粒子内架橋されていることを特徴とする繊維加工用架橋型樹脂水性分散液。 - アクリル系共重合体微粒子を構成する共重合体のゲル含量が70重量%以上である請求項1に記載の水性分散液。
- アクリル系共重合体微粒子の平均粒子径が200〜500nmの範囲である請求項1に記載の水性分散液。
- アクリル系共重合体微粒子が少なくとも2層からなる複層構造を有し、その最外層をなす殻部(シェル部)の少なくとも一部が分子内架橋された共重合体により形成されている請求項1に記載の水性分散液。
- アクリル系共重合体微粒子が、その最外層をなす殻部(シェル部)(Ps)及び、該殻部(Ps)の内側にある少なくとも1層からなる芯部(コア部)(Pc)により形成され、その殻部(シェル部)(Ps)/芯部(コア部)(Pc)の重量比が5/95〜30/70の範囲の範囲である請求項4に記載の水性分散液。
- 殻部(シェル部)(Ps)が、溶解性パラメータ(SPs)10.0以上、ガラス転移点(Tgs)範囲−10〜50℃を有する分子内架橋された共重合体により形成され、且つ芯部(コア部)(Pc)が、溶解性パラメータ(SPc)10.0未満、ガラス転移点(Tgc)範囲−40〜0℃を有する(共)重合体により形成されている請求項5に記載の水性分散液。
- 乳化共重合がアルキルフェニル系界面活性剤を実質的に含まない界面活性剤の存在下に行われる請求項1に記載の水性分散液。
- さらに架橋剤成分を含有する請求項1に記載の水性分散液。
- 架橋剤成分が、オキサゾリン系架橋剤、ブロック化イソシアネート系架橋剤(非黄変型)、エポキシ系架橋剤より選ばれるものである請求項8に記載の水性分散液。
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