JP2004099610A - 肝性脳症改善剤 - Google Patents

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土井 秀之
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Abstract

【課題】 入院若しくは連日の通院を要することなく、少量で肝性脳症を治療または改善するための医薬組成物を提供すること。また、患者の生活の質(QOL)を改善すること。
【解決手段】 有効成分としてL−バリンを含有する医薬組成物や食品を経口的に少量摂取することにより、肝性脳症の治療および改善効果が期待できる。したがって、患者に過度の負担を強いることなく、QOLも改善される。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、有効成分としてL−バリンを含有する、肝性脳症を治療又は改善するための経口用医薬組成物に関する。また、本発明は、有効成分としてL−バリンを含有する、肝性脳症の改善用食品に関する。
 アルコール性肝障害あるいはウイルス性肝障害から、肝硬変あるいは慢性肝不全へと進行した患者は肝性昏睡などの脳症を起こすことが知られている。このような症状を呈した場合の治療法としては、混合アミノ酸輸液500〜1000mLを3〜24時間かけて静脈内に投与する方法、もしくは、混合アミノ酸製剤50〜80gを常温の水又は温湯に溶かし、1日2〜3回食事とともに経口摂取する方法が行われている。しかしながら、静脈内投与の場合には、入院もしくは連日の通院が必要であり、また、混合アミノ酸製剤の経口摂取では、量が多く食事が摂り難いなどの問題があった。
 肝性脳症へのアミノ酸の適用については、特許文献1に、バリンを含む分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)を塩(好ましくは塩酸塩)の形で投与することが開示されている。しかし、該公報にはL−バリンを単独で投与することは記載されていない。また、塩が腸管内で遊離されて腸領域を酸性化することにより吸収を高めることを目的としているため、フリー体の形で経口投与することについても記載されていない。さらに、該公報には投与量に関する記載がないため、その効果を実現させることは困難である。
 また、特許文献2には、L−バリンを唯一の有効物質として含有する肝性脳症治療用注入液が開示されている。しかし、L−バリンを経口投与することについては記載されておらず、経口投与で同様の治療効果が得られるかどうかは明らかではない。実際、L−バリンを単独で持続的に静脈内へ投与した場合、血中バリン濃度は徐々に上昇し、その後定常状態に達するが、L−バリンを経口投与した場合には、投与後速やかに最高濃度に達し、その後速やかに消失するため、静脈内へ投与した場合のような一定の血中濃度を得ることはできない。例えば、1日3回の経口投与では血中バリン濃度は上昇と下降を繰り返す鋸歯状を呈する。したがって、血中動態の違いから、L−バリンを他の投与方法に適用することが可能か否かは明らかにされていなかった。
独国特許出願公開第4441763号明細書 特公昭57−29446号公報
 入院若しくは通院を要することなく、少量で肝性脳症を治療または改善するための医薬組成物の開発が望まれていた。
 本発明者らは、有効成分としてL−バリンを含有する医薬組成物を経口的に少量摂取することにより、肝性脳症による意識障害が改善されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、有効成分としてL−バリンを含有する、肝性脳症を治療又は改善するための経口用医薬組成物を提供するものである。
 また、本発明は、有効成分としてL−バリンを含有する、肝性脳症の改善用食品を提供する。
 本発明において、「肝性脳症」とは、重篤な肝障害が原因で生ずる、意識障害をはじめとする多彩な精神神経症状をきたす症候群をいう。「肝性昏睡」はその同義語として臨床的に用いられており、見当識の低下あるいは異常行動などの軽度のものから、刺激を加えてもまったく反応しない深昏睡まで広く包括される。これらも本発明における肝性脳症に包含される。
 肝性脳症は臨床経過や脳症の発生形式などにより分類されている。急性型は劇症肝炎に伴い発生するものに代表され、慢性型は肝硬変に伴い発生するものに代表される。これらに対し、意識障害を伴う精神神経症状が明らかでなく、臨床的には肝性脳症を発症しているとは認められない肝硬変において、定量的神経学的検査を行うことで異常が指摘されることがある。これは潜在的肝性脳症と呼ばれ、これも本発明における肝性脳症に含まれる。
 本発明の医薬組成物は、有効成分としてL−バリンを含有し、少量を経口投与することにより、肝性脳症を治療または改善することができる。経口投与可能であるため、患者は混合アミノ酸輸液の連日投与から開放され、また経口アミノ酸製剤を大量摂取する必要もない。したがって、本発明の医薬組成物は、患者の生活の質(QOL)を改善するという点で有益である。本発明で用いられるバリンは、市販品、合成品、その他製法に関係なく使用され得る。
 本発明の医薬組成物は、投与量の点から、有効成分としてバリンのみを含有することが好ましい。バリン以外のアミノ酸を全く含有しないか、または実質的にバリン以外のアミノ酸を含有しない組成物であってもよい。具体的には、バリンの含有量が、アミノ酸総量に対して、80〜100%、好ましくは90〜100%、最も好ましくは95〜100%である。アミノ酸を混合して用いる場合、バリン以外のアミノ酸も多く含むために高アンモニア血症を増悪させることが多いが、本発明においてはアミノ酸総量を軽減させることができるため、その危険性が低い。
 本発明の医薬組成物を生体に投与する場合は、経口的に投与する。
 本発明の組成物は適当な剤型に製剤化して用いてもよい。例えば錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、チュワブル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤等の製剤として用いることができる。これらの剤型に製剤化するには薬学上許容しうる適当な担体、賦形剤、添加剤等を用いて行うことができる。
 錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、トローチ剤、チュワブル剤等の固形製剤を調製するには、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、デンプン、ショ糖、マンニトール、カルボキシメチルセルロース等の担体、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、グリセリン等の添加剤を加えて常法により行うことができる。またセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアルコールフタレート、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等の腸溶性物質の有機溶媒中溶液あるいは水中溶液を吹き付けて、腸溶性被膜を施して、腸溶性製剤として製剤化することもできる。薬学上許容しうる担体には、その他通常、必要により用いられる補助剤、芳香剤、安定剤、防腐剤等を含む。
 本発明の組成物を医薬として使用する場合、その投与量は、患者の性別、体重、体質、年齢、症状あるいは投与剤型等により異なるが、一般に成人が対象の場合には、L−バリンを有効成分として1回当り1〜5g、好ましくは2〜3gの範囲で適宜選択することができる。投与回数は、患者の症状あるいは投与剤型等により異なるが、1日2〜3回が適当である。
 本発明の肝性脳症の改善用食品は、有効成分としてバリンのみを含有することが好ましい。バリン以外のアミノ酸を全く含有しないか、または実質的にバリン以外のアミノ酸を含有しない食品であってもよい。具体的には、バリンの含有量が、アミノ酸総量に対して、80〜100%、好ましくは90〜100%、最も好ましくは95〜100%である。バリンを既存の食品や飲料等に直接添加したものであってもよい。例えば、バリンをガム、キャンディー、ゼリー、グミ、クッキー、ビスケット、チョコレート等の菓子類、ジュース等の清涼飲料、チーズ、バター、ヨーグルト等の乳製品、アイスクリーム、ハム等の農産加工品、ちくわ、はんぺん等の水産加工品、そば、うどん等の麺類、パン、ケーキ等の小麦粉加工品、缶詰または塩、こしょう、さとう、人工甘味料等の調味食品等に直接添加することができる。また、バリンをこれらの食品の加工段階で混合してもよい。バリンを食品に加工する際は、通常の食品加工方法に基づき行うことができる。また、バリンを食品に添加・混合する際は、バリンを粉末、顆粒、細粒等の固形状で用いてもよく、あるいは液状で用いてもよい。本発明の肝性脳症の改善用食品は、肝性脳症の改善用の特定保健用食品、機能性食品、健康食品としても応用可能である。なお、「機能性食品」とは、生体調節機能をもつ物質を含む食品を意味し、厚生労働省より特定保健用食品として食品毎に個別の許可を得ることにより、機能性を表示することができる。
 本発明の食品においては、一般に食品100gあたり0.5gから50g程度の範囲でバリンを配合することが好ましい。摂取量は、摂取対象の性別、体重、体質、年齢、他の摂取食品等により異なるが、一般にヒト成人が対象の場合には、バリン摂取量が1回あたり1g〜5gとなる範囲で摂取させることが好ましい。摂取回数は、1日2〜3回が適当である。
 以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
 アルコール性肝硬変を罹患した患者(66歳男性)に対しL−バリンを経口投与し、肝性脳症の改善効果について検討した。
 患者は、腹水貯留および肝性脳症で入退院を繰り返していた。2.5カ月間入院により加療を行ったが、退院後、意識障害が頻発したことから、通院により混合アミノ酸輸液アミノレバン(大塚製薬(株)製、L−バリン含量:アミノ酸総量に対して10.5%)500mLの点滴を連日受けていた。点滴治療により意識障害の改善は認められたものの、点滴治療を中止すると再発を繰り返した。
 この患者に、アミノ酸輸液の点滴に代えて、2gのL−バリンを1日3回、1カ月間経口投与した。その結果、投与期間中、意識障害は発生せず、また、混合アミノ酸輸液の投与も不要であった。即ち、L−バリンの経口投与を継続することによって良好な状態を維持することができた。
 ウイルス性肝硬変患者(66歳女性)に対しL−バリンを経口投与し、肝性脳症の改善効果について検討した。
 患者は肝性脳症で入退院を繰り返していた。退院後に肝性脳症による意識障害が頻発し、通院により連日混合アミノ酸輸液アミノレバン(大塚製薬(株)製、L−バリン含量:アミノ酸総量に対して10.5%)500mLの点滴を受けていた。点滴治療により意識障害の改善は認められたものの、点滴治療を中止すると再発を繰り返した。
 この患者に、アミノ酸輸液の点滴に代えて、2〜3gのL−バリンを1日2〜3回、連日経口投与した。その結果、投与期間中、意識障害は発生せず、また、混合アミノ酸輸液の投与も不要であった。即ち、L−バリンの経口投与を継続することによって良好な状態を維持することができた。
 ウイルス性肝硬変患者(73歳女性)に対しL−バリンを経口投与し、肝性脳症の改善効果について検討した。
 患者は肝性脳症で入退院を繰り返していた。退院後に肝性脳症による意識障害が頻発し、入院により連日混合アミノ酸輸液アミノレバン(大塚製薬(株)製、L−バリン含量:アミノ酸総量に対して10.5%)500mLの点滴を受けていた。点滴治療により意識障害の改善は認められたものの、点滴治療を中止すると再発を繰り返した。
 この患者に、アミノ酸輸液の点滴に代えて、2〜3gのL−バリンを1日2〜3回、連日経口投与した。その結果、投与期間中、意識障害は発生せず、また、混合アミノ酸輸液の投与も不要であった。即ち、L−バリンの経口投与を継続することによって良好な状態を維持することができた。
 少量のL−バリンを経口投与することにより、肝性脳症を改善する。特に、入院若しくは連日の通院などによる混合アミノ酸輸液の連日投与、あるいは経口アミノ酸製剤の大量投与から開放されることにより、患者の生活の質(QOL)を改善する。

Claims (6)

  1.  有効成分としてL−バリンを含有する、肝性脳症を治療又は改善するための経口用医薬組成物。
  2.  有効成分としてL−バリンのみを含有し、他のアミノ酸を含有しないか又は実質的に含有しない請求項1に記載の経口用医薬組成物。
  3.  L−バリンの投与量が1回に1〜5g、投与回数が1日に2〜3回である請求項1または2に記載の経口用医薬組成物。
  4.  有効成分としてL−バリンを含有する、肝性脳症の改善用食品。
  5.  有効成分としてL−バリンのみを含有し、他のアミノ酸を含有しないか又は実質的に含有しない請求項4に記載の食品。
  6.  L−バリンの摂取量が1回に1〜5g、摂取回数が1日に2〜3回である請求項4または5に記載の食品。
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