JP2004099354A - 熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法、熱可塑性樹脂多層シート、合わせガラス用中間膜および合わせガラス - Google Patents

熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法、熱可塑性樹脂多層シート、合わせガラス用中間膜および合わせガラス Download PDF

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Abstract

【課題】複数の優れた性能を兼備させることができる熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法、この性能制御方法により得られる熱可塑性樹脂多層シート、この熱可塑性樹脂多層シートからなる、優れた透明性、耐候性、強度、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、ガラス板に対する接着性、遮音性、遮熱性および耐湿性等の諸性能を兼備する合わせガラスを得るに適する合わせガラス用中間膜、および、この合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供する。
【解決手段】可塑化熱可塑性樹脂が製膜されてなる2層以上の層を有する熱可塑性樹脂多層シートにおいて、押出し成形時の各層に含有される可塑剤を各層の極性差を制御することにより経時的に移行させ、所望の平衡可塑剤含有量分布を有する熱可塑性樹脂多層シートとする熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法、上記性能制御方法により得られる熱可塑性樹脂多層シート、上記熱可塑性樹脂多層シートからなる合わせガラス用中間膜、および、少なくとも一対のガラス板の間に上記合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなる合わせガラス。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法、その性能制御方法により得られる熱可塑性樹脂多層シート、その熱可塑性樹脂多層シートからなる合わせガラス用中間膜およびその合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車のような車両や建築物等の窓ガラス等として広く使用されている。このような合わせガラスとしては、例えば、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルアセタール系樹脂のような熱可塑性樹脂が製膜されてなる合わせガラス用中間膜(以下、単に「中間膜」と略記することもある)を少なくとも一対のガラス板の間に介在させ、一体化させてなるものが挙げられる。
【0003】
熱可塑性樹脂、とりわけ可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルアセタール系樹脂からなる中間膜は、優れた透明性、優れた耐候性、強靱な引張り強度およびガラス板に対する優れた接着性等を兼備しており、このような中間膜を用いて作製される合わせガラスは、特に車両用窓ガラスや建築物用窓ガラスとして好適である。
【0004】
車両用窓ガラスや建築物用窓ガラスに用いられる合わせガラスには、強度が特に要求されるため、これらの合わせガラスに用いられる中間膜には、透明性、耐候性、引張り強度、ガラス板に対する接着性、遮音性、遮熱性および耐湿性等の諸性能に優れていることに加えて、耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性に優れていることが要求される。
【0005】
しかしながら、従来の合わせガラスでは、例えば、耐貫通性を向上させるために相対的に硬い中間膜を用いると遮音性が不十分となったり、逆に遮音性を向上させるために相対的に柔らかい中間膜を用いると耐貫通性が不十分となるという問題点がある。このように、合わせガラスに必要とされる複数の優れた性能を兼備させた合わせガラスを得ることは困難であるというのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点や現状に鑑み、複数の優れた性能を兼備させることができる熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法、この性能制御方法により得られる熱可塑性樹脂多層シート、この熱可塑性樹脂多層シートからなる、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、遮音性、遮熱性および耐湿性等の諸性能を兼備する合わせガラスを得るに適する合わせガラス用中間膜、および、この合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することにある。
【0007】
【課題を達成するための手段】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究した結果、熱可塑性樹脂シートを2層以上の層からなる多層シートとし、各層の極性差を制御することによって、各層に含有される可塑剤を経時的に移行させ、各層の平衡可塑剤含有量を所望の分布とすることにより、上記課題を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明(本発明)による熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法は、可塑剤の添加により可塑化された熱可塑性樹脂が製膜されてなる2層以上の層を有する熱可塑性樹脂多層シートにおいて、押出し成形時の各層に含有される可塑剤を各層の極性差を制御することにより経時的に移行させ、所望の平衡可塑剤含有量分布を有する熱可塑性樹脂多層シートとすることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法は、上記請求項1に記載の熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法において、熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール系樹脂であることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3に記載の熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法は、上記請求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法において、各層の極性差がポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度と残存アセチル基量との合計で制御されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明(本発明)による熱可塑性樹脂多層シートは、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法により得られることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明(本発明)による合わせガラス用中間膜は、上記請求項4に記載の熱可塑性樹脂多層シートからなることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の合わせガラス用中間膜は、上記請求項5に記載の合わせガラス用中間膜において、少なくとも2層の平衡可塑剤含有量が互いに異なることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明(本発明)による合わせガラスは、少なくとも一対のガラス板の間に上記請求項5または請求項6に記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする。
【0015】
本発明の熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法(以下、単に「性能制御方法」と略記する)においては、可塑剤の添加により可塑化された熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂が成形(製膜)されてなる2層以上の層を有する多層シートにおいて、押出し成形(製膜)時の各層に含有される可塑剤を各層の極性差を制御することにより経時的に移行させ、所望の平衡可塑剤含有量分布を有する多層シートとする。
【0016】
上記各層の極性差を制御する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール系樹脂である場合、ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度と残存アセチル基量との合計で制御することが好ましい。従って、ポリビニルアセタール系樹脂がポリビニルブチラール樹脂(以下、「PVB」と記す)である場合、PVBのブチラール化度と残存アセチル基量との合計で制御することが好ましい。
【0017】
上記ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度と残存アセチル基量との合計が大きいほど、多層シートの各層を構成するポリビニルアセタール系樹脂の極性が低いことになり、逆にポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度と残存アセチル基量との合計が小さいほど、多層シートの各層を構成するポリビニルアセタール系樹脂の極性が高いことになる。
【0018】
ポリビニルアセタール系樹脂がPVBである場合、そのブチラール化度および残存アセチル基量は、JIS K−6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定することができる。
【0019】
また、ポリビニルアセタール系樹脂がPVB以外のポリビニルアセタール系樹脂である場合、そのアセタール化度は、JIS K−6729「ポリビニルホルマール試験方法」に準拠して残存アセチル基量とビニルアルコール量とを測定し、100から上記両成分量を差し引くことにより算出することができる。
【0020】
本発明の性能制御方法に用いられる熱可塑性樹脂としては、一般的に可塑剤の添加により可塑化された状態で用いられる熱可塑性樹脂であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられ、なかでも、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、遮音性、遮熱性および耐湿性等の諸性能のバランスに優れる熱可塑性樹脂多層シート(以下、単に「多層シート」と略記する)やこの多層シートからなる中間膜を得られることから、ポリビニルアセタール系樹脂が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0021】
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と記す)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるPVB等が挙げられ、なかでも、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、遮音性、遮熱性および耐湿性等の諸性能のバランスにより優れる多層シートやこの多層シートからなる中間膜を得られることから、PVBが好適に用いられる。これらのポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0022】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の合成に用いられるPVAは、特に限定されるものではないが、平均重合度が200〜5000のものが好ましく、より好ましくは500〜3000のものである。PVAの平均重合度が200未満であると、得られる多層シートやこの多層シートからなる中間膜の強度が弱くなりすぎて、この中間膜を用いて合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不十分となることがあり、逆にPVAの平均重合度が5000を超えると、得られるポリビニルアセタール系樹脂を成形(製膜)する際に不具合が生じることがある。
【0023】
上記ポリビニルアセタール系樹脂は、特に限定されるものではないが、アセタール化度が40〜85モル%であるものが好ましく、より好ましくは50〜75モル%のものである。アセタール化度が40モル%未満もしくは85モル%を超えるポリビニルアセタール系樹脂は、反応機構上、合成するのが困難となることがある。
【0024】
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂は、特に限定されるものではないが、残存アセチル基量が30モル%以下であるものが好ましく、より好ましくは0.5〜24モル%のものである。残存アセチル基量が30モル%を超えるポリビニルアセタール系樹脂を製造しようとすると、PVAとアルデヒドとの反応率が著しく低下することがある。
【0025】
上記熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂を可塑化するために用いられる可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、一塩基性有機酸エステル系、多塩基性有機酸エステル系などの有機酸エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系などのリン酸系可塑剤等が挙げられる。
【0026】
一塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールと酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸などの一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられる。
【0027】
多塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数4〜8の直鎖状もしくは分岐状アルコールとアジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸などの多塩基性有機酸との反応によって得られるエステル等が挙げられる。
【0028】
リン酸系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0029】
上記各種可塑剤のなかでも、例えば、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジn−ヘプタノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジn−オクタノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジn−ヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジベンジルフタレート等が好適に用いられ、なかでも、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジn−ヘプタノエート等が特に好適に用いられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0030】
熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂に対する可塑剤の添加量は、熱可塑性樹脂の平均重合度や、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂の平均重合度やアセタール化度によっても異なり、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対し、可塑剤10〜80重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対する可塑剤の添加量が10重量部未満であると、熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂の可塑化が不十分となって、成形(製膜)が困難となることがあり、逆に熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対する可塑剤の添加量が80重量部を超えると、得られる多層シートやこの多層シートからなる中間膜の強度が不十分となることがある。
【0031】
次に、本発明の多層シートは、上述した本発明の性能制御方法により得られる。
【0032】
上記多層シートの成形(製膜)方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各層を形成するための熱可塑性樹脂組成物、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂組成物を予め調製し、これらの樹脂組成物を用いて、多層共押出法やプレラミ法などによる押出法、カレンダー法、プレス法等により成形(製膜)する方法が挙げられ、いずれの成形(製膜)方法が採られても良いが、なかでも、生産性に優れることから、多層共押出法を採ることが好ましい。
【0033】
次に、本発明の合わせガラス用中間膜は、上記本発明の多層シートからなる。以下、多層シートが中間膜である場合について説明する。
【0034】
本発明の中間膜の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、(1)成形(製膜)直後の各層の硬さは同等であるが、極性が相対的に低い熱可塑性樹脂と可塑剤とからなる一方の層と極性が相対的に高い熱可塑性樹脂と可塑剤とからなる他方の層とが積層された2層構成の中間膜、(2)成形(製膜)直後の各層の硬さは同等であるが、極性が相対的に低い熱可塑性樹脂と可塑剤とからなるコア層(中芯層)の両面に極性が相対的に高い熱可塑性樹脂と可塑剤とからなるスキン層(表面層)が積層された3層構成の中間膜、(3)成形(製膜)直後の各層の硬さは同等であるが、極性が相対的に高い熱可塑性樹脂と可塑剤とからなるコア層の両面に極性が相対的に低い熱可塑性樹脂と可塑剤とからなるスキン層が積層された3層構成の中間膜等が挙げられる。中間膜が上記(2)または(3)の3層構成である場合、一方のスキン層および他方のスキン層は、同一の熱可塑性樹脂組成物から形成されても良いし、異なる熱可塑性樹脂組成物から形成されても良い。なお、本発明の中間膜は、上記2層構成や3層構成に限定されるものではなく、4層以上の多層構成であっても良い。
【0035】
上記(1)〜(3)で例示されるような中間膜において、各層に極性差を設ける方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂としてポリビニルアセタール系樹脂を用いる場合、そのポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度と残存アセチル基量との合計を制御する方法が好ましい。
【0036】
即ち、アセタール化度と残存アセチル基量との合計が相対的に大きいポリビニルアセタール系樹脂を用いることにより、極性が相対的に低い層を形成することができ、逆にアセタール化度と残存アセチル基量との合計が相対的に小さいポリビニルアセタール系樹脂を用いることにより、極性が相対的に高い層を形成することができる。
【0037】極性が低い可塑剤を用いた場合、このように中間膜を構成する各層に予め極性差を設けておくことにより、成形(製膜)直後の各層の硬さは同等であって成形(製膜)しやすいが、経時的(常温で2週間程度)に、極性が相対的に高い層に含有される可塑剤が極性が相対的に低い層に移行し、各層の平衡可塑剤含有量が互いに異なるものとなる。つまり、極性が相対的に高い層の平衡可塑剤含有量は、極性が相対的に低い層の平衡可塑剤含有量より少ないものとなる。
【0038】
その結果、成形(製膜)直後の各層の硬さは同等であったにもかかわらず、経時後においては、つまり例えば出荷時点や使用時点においては、極性が相対的に高い層は相対的に硬い層となり、逆に極性が相対的に低い層は相対的に柔らかい層となる。
【0039】
このような中間膜を用いて合わせガラスを作製すると、中間膜を構成する相対的に硬い層は例えば耐貫通性の向上に寄与し、中間膜を構成する相対的に柔らかい層は例えば遮音性の向上に寄与するため、得られる合わせガラスは、例えば優れた耐貫通性と優れた遮音性とを兼備するものとなる。
【0040】
本発明の中間膜を構成する各層には、必須成分である熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂および可塑剤以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光剤、着色剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
【0041】
本発明の中間膜の総厚みは、特に限定されるものではないが、通常の中間膜同様、0.3〜1.6mmであることが好ましい。中間膜の総厚みが0.3mm未満であると、中間膜自体の強度が不十分となることがあり、逆に中間膜の総厚みが1.6mmを超えると、合わせガラス作製時のオートクレーブによる本接着工程において、ガラス板のずれが生じる現象、いわゆる板ずれ現象が発生することがある。なお、本発明の中間膜を構成する各層の厚みは、特に限定されるものではなく、すべて同一の厚みであっても良いし、それぞれ異なる厚みであっても良い。
【0042】
次に、本発明の合わせガラスは、少なくとも一対(2枚)のガラス板の間に上述した本発明の中間膜を介在させ、一体化させることにより作製される。
【0043】
上記ガラス板には、通常の無機透明ガラス板のみならず、例えばポリカーボネート板やポリメチルメタクリレート板などのような有機透明ガラス板も包含される。
【0044】
上記ガラス板の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、平板ガラス、曲板ガラス、並板ガラス、型板ガラス、金網入り型板ガラス、着色されたガラス板などの各種無機ガラス板や有機ガラス板等が挙げられ、これらの1種類もしくは2種類以上が好適に用いられる。また、上記ガラス板の厚みは、合わせガラスの用途や目的等によって適宜選択されれば良く、特に限定されるものではない。
【0045】
本発明の合わせガラスの製造方法は、特別なものではなく、通常の合わせガラスの場合と同様の製造方法が採用される。例えば、2枚の透明なガラス板の間に本発明の中間膜を挟み、この合わせガラス構成体をゴムバッグに入れて減圧下で吸引脱気しながら温度70〜110℃程度で予備接着した後、オートクレーブもしくはプレスを用いて、温度120〜150℃程度、圧力0.98〜1.47MPa(10〜15kg/cm2 )程度の条件で加熱加圧して本接着を行うことにより所望の合わせガラスを得ることができる。
【0046】
【作用】
本発明の性能制御方法は、可塑化熱可塑性樹脂が製膜されてなる多層シートにおいて、押出し成形時の各層に含有される可塑剤を各層の極性差を制御することにより経時的に移行させ、所望の平衡可塑剤含有量分布を有する多層シートとするので、多層シートに複数の優れた性能を容易かつ簡便に兼備させることができる。
【0047】
本発明の多層シートは、上記本発明の性能制御方法により得られるので、成形(製膜)性が良好であるとともに、複数の優れた性能を兼備する。
【0048】
本発明の中間膜は、上記本発明の多層シートからなるので、成形(製膜)性が良好であるとともに、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、遮音性、遮熱性および耐湿性等の諸性能を兼備する合わせガラスを得るに適する。
【0049】
本発明の合わせガラスは、上記本発明の中間膜を用いて作製されるので、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、遮音性、遮熱性および耐湿性等の諸性能を兼備した状態で発現する。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の性能制御方法によれば、複数の優れた性能を兼備する多層シートを、成形(製膜)性良く、容易かつ簡便に得ることができる。
【0051】
本発明の多層シートは、上記本発明の性能制御方法により得られるので、成形(製膜)性が良好であるとともに、複数の優れた性能を兼備するものであり、中間膜を始め、各種用途むけの多層シートとして好適に用いられる。
【0052】本発明の中間膜は、上記本発明の多層シートからなるので、成形(製膜)性が良好であるとともに、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、遮音性、遮熱性および耐湿性等の諸性能を兼備する合わせガラスを得るに適するものであり、合わせガラス用として好適に用いられる。
【0053】
本発明の合わせガラスは、上記本発明の中間膜を用いて作製されるので、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、遮音性、遮熱性および耐湿性等の諸性能を兼備した状態で発現するものであり、自動車のような車両や建築物等の窓ガラス用として好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 可塑剤の添加により可塑化された熱可塑性樹脂が製膜されてなる2層以上の層を有する熱可塑性樹脂多層シートにおいて、押出し成形時の各層に含有される可塑剤を各層の極性差を制御することにより経時的に移行させ、所望の平衡可塑剤含有量分布を有する熱可塑性樹脂多層シートとすることを特徴とする熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法。
  2. 熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法。
  3. 各層の極性差がポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度と残存アセチル基量との合計で制御されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂多層シートの性能制御方法により得られることを特徴とする熱可塑性樹脂多層シート。
  5. 請求項4に記載の熱可塑性樹脂多層シートからなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  6. 少なくとも2層の平衡可塑剤含有量が互いに異なることを特徴とする請求項5に記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 少なくとも一対のガラス板の間に請求項5または請求項6に記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする合わせガラス。
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