JP2004099252A - 乗客コンベアの異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力伝達ベルトの張力の低下を検出することができる乗客コンベアの異常検出装置を得ることを目的とする。
【解決手段】駆動回転軸3に固定された駆動プーリ4と減速機1の入力軸5に固定された従動プーリ7とに動力伝達ベルト8が巻き掛けられている。駆動回転軸3には、駆動回転軸3の回転速度を検出する駆動軸速度検出部18が設けられている。動力伝達ベルト8には、動力伝達ベルト8の従動速度(周回速度)を検出するベルト速度検出部19が設けられている。演算装置25は、駆動回転軸3の回転速度から動力伝達ベルト8の従動速度(基準速度)を求め、ベルト速度検出部19からの動力伝達ベルト8の従動速度(第2速度)と基準速度とを比較し、動力伝達ベルト8のスリップ率の有無を判定するようになっている。
【選択図】 図1
【解決手段】駆動回転軸3に固定された駆動プーリ4と減速機1の入力軸5に固定された従動プーリ7とに動力伝達ベルト8が巻き掛けられている。駆動回転軸3には、駆動回転軸3の回転速度を検出する駆動軸速度検出部18が設けられている。動力伝達ベルト8には、動力伝達ベルト8の従動速度(周回速度)を検出するベルト速度検出部19が設けられている。演算装置25は、駆動回転軸3の回転速度から動力伝達ベルト8の従動速度(基準速度)を求め、ベルト速度検出部19からの動力伝達ベルト8の従動速度(第2速度)と基準速度とを比較し、動力伝達ベルト8のスリップ率の有無を判定するようになっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばエスカレータや動く歩道等の乗客コンベアにおける異常を検出する乗客コンベアの異常検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば実開昭55−105575号公報(従来例1)には、乗客コンベアの伝動装置において、作動体の端部を動力伝達ベルトに接触させた構成が示されている。動力伝達ベルトは、2つのプーリ間を巻き掛けられている。作動体は、動力伝達ベルトが破断したときに変位するようになっている。この作動体の変位により、動力伝達ベルトの破断が検出される。
また、特開平10−176741号公報(従来例2)には、棒状の揺動アームの端部を動力伝達ベルトの外周面に隙間を介して対向させた構成が示されている。動力伝達ベルトは2つのプーリ間に巻き掛けられており、揺動アームは、プーリの近傍に揺動自在に設けられている。従来例2では、動力伝達ベルトの剥離部分が揺動アームの端部に当たることにより、揺動アームが揺動され動力伝達ベルトの剥離が検出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来例1では、動力伝達ベルトの破断の異常は検出できるが、作動体を変位させない例えば剥離あるいは亀裂等の異常は検出できないという問題点があった。また、作動体の接触により動力伝達ベルトの表面に傷が付く虞があるという問題点もあった。
【0004】
また、上記の従来例2では、動力伝達ベルトの剥離部分が外部に飛び出す異常は検出できるが、動力伝達ベルトに剥離が生じない例えば摩耗あるいは伸び等の異常は検出できないという問題点があった。
【0005】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、動力伝達ベルトの張力の低下を検出することができる乗客コンベアの異常検出装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る乗客コンベアの異常検出装置は、駆動回転軸を有する電動機と、この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられ、駆動プーリの回転を従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び従動プーリの回転を踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、従動プーリ、動力伝達ベルト及び噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、第1速度検出手段により検出された前記第1速度から、駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第2速度に相当する基準速度を求め、第2速度検出手段により検出された第2速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部とを備えている。
【0007】
また、駆動回転軸を有する電動機と、この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられ、駆動プーリの回転を従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び従動プーリの回転を踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、従動プーリ、動力伝達ベルト及び噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、第2速度検出手段により検出された第2速度から、駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第1速度に相当する基準速度を遡って求め、第1速度検出手段により検出された第1速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部とを備えている。
【0008】
また、駆動プーリと従動プーリとの間には、複数の動力伝達ベルトが互いに平行に巻き掛けられており、第2速度検出手段は、動力伝達ベルトの周回速度を個別に検出する複数のセンサを有する。
【0009】
また、噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、第2速度検出手段は、スプロケットの回転速度を第2速度として検出するようになっている。
【0010】
また、噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、第2速度検出手段は、チェーンの周回速度を第2速度として検出するようになっている。
【0011】
また、比較判定部により異常が検出されたとき、異常が検出されたことを表示する表示装置をさらに備えている。
【0012】
また、電動機の駆動を制御する制御装置をさらに備え、制御装置は、比較判定部により異常が検出されたとき、電動機の駆動を停止させるようになっている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアを示す構成図である。図1において、減速機1の上面には、電動機2が設けられている。電動機2は、回転可能な駆動回転軸3を有している。駆動回転軸3には、駆動回転軸3と一体となって回転する駆動プーリ4が固定されている。
【0014】
減速機1は、駆動回転軸3と平行に延びる入力軸5と、出力軸6とを有している。減速機1の内部には、噛合伝達要素である複数の歯車が互いに噛合されて配置されており、入力軸5の回転は減速されて出力軸6に伝達される。入力軸5には、入力軸5と一体となって回転する従動プーリ7が固定されている。
【0015】
駆動プーリ4と従動プーリ7との間には、複数本の環状の動力伝達ベルト8が巻き掛けられている。駆動プーリ4の回転は、動力伝達ベルト8により従動プーリ7に伝達される。動力伝達ベルト8の張力は、駆動プーリ4と従動プーリ7との間の距離を変化させることにより調整されている。
【0016】
出力軸6には、出力軸6と一体となって回転する噛合伝達要素である駆動スプロケット9が固定されている。
【0017】
駆動スプロケット9の近傍には、噛合伝達要素である従動スプロケット10が配置されている。従動スプロケット10は、回転軸である上部回転軸12に固定されている。上部回転軸12には、従動スプロケット10に隣接して配置された噛合伝達要素である上部ステップスプロケット11が固定されている。上部ステップスプロケット11は、従動スプロケット10よりも外径の小さいスプロケットである。従動スプロケット10及び上部ステップスプロケット11は、上部回転軸12と一体となって上部回転軸12の軸線を中心に回転される。
【0018】
駆動スプロケット9と従動スプロケット10との間には、環状の噛合伝達要素であるドライブチェーン13が巻き掛けられている。駆動スプロケット9の回転は、ドライブチェーン13により従動スプロケット10に伝達される。
【0019】
上部ステップスプロケット11から所定距離だけ離れた箇所には、回転軸である下部回転軸14に固定された噛合伝達要素である下部ステップスプロケット15が配置されている。下部ステップスプロケット15は、下部回転軸14と一体となって下部回転軸14の軸線を中心に回転される。
【0020】
上部ステップスプロケット11と下部ステップスプロケット15との間には、噛合伝達要素であるステップチェーン17が巻き掛けられている。ステップチェーン17には、複数の踏段16が取り付けられている。ステップチェーン17は、上部ステップスプロケット11の回転により従動される。即ち、各踏段16は、ステップチェーン17の従動により循環移動される。
【0021】
なお、ベルト動力伝達部は、駆動プーリ4、従動プーリ7及び動力伝達ベルト8を有している。また、噛み合い動力伝達部は、減速機1内の歯車、駆動スプロケット9、従動スプロケット10、上部ステップスプロケット11、ドライブチェーン13、下部ステップスプロケット15及びステップチェーン17を有している。噛み合い動力伝達部は、全ての噛合伝達要素が互いに噛み合わされてスリップしないようになっている。さらに、動力伝達機構は、ベルト動力伝達部及び噛み合い動力伝達部を有している。
【0022】
駆動回転軸3には、駆動回転軸3の回転速度、即ち第1速度を検出する第1速度検出手段である駆動軸速度検出部18が設けられている。動力伝達ベルト8には、動力伝達ベルト8の従動速度、即ち第2速度を検出するベルト速度検出部19が設けられている。
【0023】
駆動軸速度検出部18及びベルト速度検出部19は、乗客コンベアの制御装置24に搭載された比較判定部である演算装置25にそれぞれ電気的に接続されている。
【0024】
演算装置25は、駆動軸速度検出部18から駆動回転軸3の回転速度(第1速度)を得て、動力伝達が正常になされていると仮定したときの動力伝達ベルト8の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求めるようになっている。また、演算装置25は、ベルト速度検出部19から動力伝達ベルト8の従動速度(第2速度)を得て、第2速度と基準速度とを比較するようになっている。基準速度には、伝達損失及び測定誤差等を考慮に入れて、許容差が設けられている。また、第2速度と基準速度との差は、動力伝達ベルト8のスリップ率が大きくなるほど大きくなることから、演算装置25は、基準速度の許容範囲から第2速度の値が外れたときに、異常検出信号を出力するようになっている。即ち、演算装置25は、動力伝達ベルト8のスリップ率が正常範囲から外れると異常検出信号を出力するようになっている。
【0025】
演算装置25には、乗客コンベアの機械室に設けられた表示装置26が電気的に接続されている。表示装置26は、LED等の光源を点灯させて表示する装置である。また、表示装置26は、比較部27からの異常検出信号の入力により光源を点灯させて異常を検出した旨の表示をするようになっている。
【0026】
図2は、図1の駆動軸速度検出部18の構成を示す側面図である。図2において、駆動軸速度検出部18は、駆動回転軸3に固定されて駆動回転軸3と一体となって回転する円板状の検出板29と、検出板29の周縁部に隣接して配置され、検出板29の両面にそれぞれ対向する一対の脚部30aを有する断面コ字状の近接センサ30とを有している。
【0027】
検出板29は、駆動プーリ4と電動機2本体との間に配置されている。検出板29の周縁部には、複数のスリット31が形成され周方向に沿って配列されている。各スリット31は、駆動回転軸3の回転により一対の脚部30aの間を移動される。近接センサ30は、各スリット31の単位時間当たりの通過回数を検出するようになっている。従って、駆動軸速度検出部18により駆動回転軸3の回転速度である第1速度が検出される。なお、近接センサ30は、演算装置25に電気的に接続されている。
【0028】
図3は、図1のベルト速度検出部19の構成を示す斜視図である。図3において、ベルト速度検出部19は、動力伝達ベルト8の外周面に対向して配置されたセンサ32と、動力伝達ベルト8の外周面に設けられ、センサ32が検知可能なマーキング33とを有している。センサ32は、複数本の動力伝達ベルト8のそれぞれに対向するように複数配置されている。マーキング33は、各動力伝達ベルト8の外周面に付されている。センサ32は、マーキング33の単位時間当たりの通過回数を検出するようになっている。従って、ベルト速度検出部19により動力伝達ベルト8の従動速度(周回速度)である第2速度が検出される。なお、センサ32は、演算装置25に電気的に接続されている。
【0029】
乗客コンベアの異常検出装置は、駆動軸速度検出部18、ベルト速度検出部19、演算装置25及び表示装置26により構成されている。
【0030】
次に、動作について説明する。
電動機2の駆動により駆動プーリ4が回転されると、駆動プーリ4の回転は、動力伝達ベルト8を介して従動プーリ7に伝達される。従動プーリ7は、回転力の伝達により入力軸5とともに回転される。入力軸5の回転は、減速機1内部の複数の歯車を介して出力軸6に伝達される。これにより、出力軸6は、駆動スプロケット9とともに回転される。
【0031】
駆動スプロケット9に伝達された回転は、ドライブチェーン13を介して従動スプロケット10に伝達される。これにより、従動スプロケット10は、上部回転軸12及び上部ステップスプロケット11とともに回転される。上部ステップスプロケット11が回転されると、ステップチェーン17が従動され、ステップチェーン17に取り付けられた複数の踏段16が移動される。このとき、下部ステップスプロケット15も下部回転軸14とともに回転される。
【0032】
駆動軸速度検出部18では、駆動回転軸3の回転により第1速度が検出される。また、ベルト速度検出部19では、第2速度が検出される。第1速度及び第2速度は、演算装置25に出力される。
【0033】
演算装置25では、第1速度から基準速度が求められ、基準速度と第2速度とが比較される。比較された結果、第2速度の値に多少の変化があっても基準速度の許容範囲内に第2速度の値が存在していれば、乗客コンベアの正常運転が維持される。第2速度の値が基準速度の許容範囲から外れると、演算装置25から異常検出信号が表示装置26に出力される。
【0034】
例えば、動力伝達ベルト8の破断、摩耗、伸び、亀裂等の異常により張力が低下して、駆動プーリ4と動力伝達ベルト8との間、あるいは従動プーリ7と動力伝達ベルト8との間にスリップが生じた場合、動力伝達ベルト8は、駆動プーリ4の回転力を従動プーリ7に効率的に伝達させることができなくなる。このような場合、動力伝達ベルト8の第2速度は、動力伝達ベルト8の基準速度よりも小さくなり、この基準速度との間に差が発生し、動力伝達ベルト8の基準速度の許容範囲から第2速度の値が外れる。
即ち、演算装置25では、動力伝達ベルト8のスリップ率の異常の有無が判定され、スリップ率の異常の判定により異常検出信号が表示装置26に出力される。
【0035】
表示装置26では、演算装置25からの異常検出信号の入力により、乗客コンベアの異常の旨が表示される。
【0036】
従って、このような乗客コンベアの異常検出装置では、駆動回転軸3の回転速度である第1速度から理論的に求められた動力伝達ベルト8の従動速度(基準速度)と実際に測定されて得られた動力伝達ベルト8の従動速度(第2速度)とを比較するようになっているので、動力伝達ベルト8の異常を容易に発見できる。従って、動力伝達ベルト8のスリップによって例えば上昇運転時に踏段16が重力により逆送されたり、下降運転時に踏段16が重力により加速されたりすることを未然に防ぐことができる。
【0037】
また、例えば多数の乗客の重量によって過負荷となり、動力伝達ベルト8に異常はないが動力伝達ベルト8にスリップが発生した場合にも、基準速度と第2速度との間に差ができるので、このような過負荷による異常も容易に発見することができる。
【0038】
また、ベルト速度検出部19は、複数の動力伝達ベルト8の従動速度をそれぞれ検出する複数のセンサ32及び複数のマーキング33を有しているので、複数の動力伝達ベルト8のうち、いずれの動力伝達ベルト8が異常であるかを特定することができる。
【0039】
なお、ベルト速度検出部19において、マーキング33を動力伝達ベルト8の内周面に設け、センサ32を動力伝達ベルト8の内周面に間隔を置いて対向させてマーキング33を検知するように配置しても構わない。
【0040】
実施の形態2.
また、第2速度検出手段は、入力軸5の回転速度、即ち従動プーリ7の従動速度を検出する入力軸速度検出部20であってもよい。入力軸速度検出部20は、入力軸5に設けられている。
【0041】
図4は、この発明の実施の形態2における入力軸速度検出部20の構成を示す側面図である。図4に示すように、入力軸速度検出部20は、駆動軸速度検出部18と同タイプの速度検出部である。即ち、入力軸速度検出部20は、スリット36を有する検出板34と、一対の脚部35aを有する近接センサ35とを有し、駆動軸速度検出部18と同様にして検出板34の回転速度を検出するようになっている。
【0042】
検出板34は、従動プーリ7と減速機1本体との間に配置されるとともに、入力軸5に固定されている。検出板34が従動プーリ7及び入力軸5と一体となって回転されることにより、従動プーリ7の従動速度(第2速度)が入力軸速度検出部20により検出される。
【0043】
演算装置25は、動力伝達が正常になされていると仮定したときの従動プーリ7の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求め、この基準速度と入力軸速度検出部20から得られた第2速度とを比較するようになっている。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0044】
このような構成であっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0045】
実施の形態3.
また、第2速度検出手段は、出力軸6の回転速度、即ち駆動スプロケット9の従動速度を検出する出力軸速度検出部21であってもよい。出力軸速度検出部21は、出力軸6に設けられている。
【0046】
図5は、この発明の実施の形態3における出力軸速度検出部21の構成を示す側面図である。図5に示すように、出力軸速度検出部21は、駆動軸速度検出部18と同タイプの速度検出部である。即ち、出力軸速度検出部21は、スリット39を有する検出板37と、一対の脚部38aを有する近接センサ38とを有し、駆動軸速度検出部18と同様にして検出板37の回転速度を検出するようになっている。
【0047】
検出板37は、駆動スプロケット9と減速機1本体との間に配置されるとともに、出力軸6に固定されている。検出板37が駆動スプロケット9及び出力軸6と一体となって回転されることによって、駆動スプロケット9の従動速度(第2速度)が出力軸速度検出部21により検出される。
【0048】
演算装置25は、動力伝達が正常になされていると仮定したときの駆動スプロケット9の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求め、この基準速度と出力軸速度検出部21から得られた第2速度とを比較するようになっている。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0049】
このような構成においては、従動プーリ7の回転が減速機1内の複数の歯車の噛合によって駆動スプロケット9に伝達されるので、従動プーリ7から駆動スプロケット9までにスリップによる伝達損失は発生しない。従って、駆動スプロケット9の従動速度である第2速度を検出することによっても、基準速度と第2速度との比較により動力伝達ベルト8のスリップ率を求めることができ、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0050】
実施の形態4.
また、第2速度検出手段は、上部回転軸12の回転速度、即ち上部ステップスプロケット11の従動速度を検出する上部軸速度検出部22であってもよい。上部軸速度検出部22は、上部回転軸12に設けられている。
【0051】
図6は、この発明の実施の形態4における上部軸速度検出部22の構成を示す側面図である。図6に示すように、上部軸速度検出部22は、駆動軸速度検出部18と同タイプの速度検出部である。即ち、上部軸速度検出部22は、スリット42を有する検出板40と、一対の脚部41aを有する近接センサ41とを有し、駆動軸速度検出部18と同様にして検出板40の回転速度を検出するようになっている。
【0052】
検出板40は、従動スプロケット10から見て上部ステップスプロケット11と反対側に配置されるとともに、上部回転軸12に固定されている。検出板40が従動スプロケット10及び上部回転軸12と一体となって回転されることによって、上部ステップスプロケット11の従動速度(第2速度)が上部軸速度検出部22により検出される。
【0053】
演算装置25は、動力伝達が正常になされていると仮定したときの上部ステップスプロケット11の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求め、この基準速度と上部軸速度検出部22から得られた第2速度とを比較するようになっている。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0054】
このような構成においても、従動プーリ7から従動スプロケット12までにスリップによる伝達損失が発生しないので、上部ステップスプロケット11の従動速度である第2速度を検出することによっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0055】
実施の形態5.
また、第2速度検出手段は、下部回転軸14の回転速度、即ち下部ステップスプロケット15の従動速度を検出する下部軸速度検出部23であってもよい。下部軸速度検出部23は、下部回転軸14に設けられている。
【0056】
図7は、この発明の実施の形態5における下部軸速度検出部23の構成を示す側面図である。図7に示すように、下部軸速度検出部23は、駆動軸速度検出部18と同タイプの速度検出部である。即ち、下部軸速度検出部23は、スリット45を有する検出板43と、一対の脚部44aを有する近接センサ44とを有し、駆動軸速度検出部18と同様にして検出板43の回転速度を検出するようになっている。
【0057】
検出板43は、下部回転軸14の下部ステップスプロケット15に近い端部と下部ステップスプロケット15との間に配置されるとともに、下部回転軸14に固定されている。検出板43が下部ステップスプロケット15及び下部回転軸14と一体となって回転されることによって、下部ステップスプロケット15の従動速度(第2速度)が下部軸速度検出部23により検出される。
【0058】
演算装置25は、動力伝達が正常になされていると仮定したときの下部ステップスプロケット15の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求め、この基準速度と下部軸速度検出部23から得られた第2速度とを比較するようになっている。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0059】
このような構成においても、従動プーリ7から下部ステップスプロケット15までにスリップによる伝達損失が発生しないので、各ステップスプロケット15の従動速度である第2速度を検出することによっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0060】
なお、各上記実施の形態では、第2速度検出手段は、1箇所のみに設けられているが、複数箇所に設けられていてもよい。このようにすると、各箇所で第2速度を検出できるので、基準速度の許容範囲から外れた第2速度が検出された箇所を特定でき、異常箇所を特定することができる。例えばドライブチェーン13が切断された場合、動力伝達ベルト8、入力軸5及び出力軸6の第2速度の値は、基準速度の許容範囲内に存在するが、上部回転軸12及び下部回転軸14の第2速度の値は、ドライブチェーン13により動力が伝達されないので、基準速度の許容範囲から外れる。このような検出結果により、ドライブチェーン13の異常が発見できる。
【0061】
また、駆動軸速度検出部18、入力軸速度検出部20、出力軸速度検出部21、上部軸速度検出部22及び下部軸速度検出部23は、駆動回転軸3、入力軸5、出力軸6、上部回転軸12及び下部回転軸14にそれぞれ設けられたエンコーダにより第2速度をそれぞれ検出するようになっていてもよい。
【0062】
また、出力軸速度検出部21、上部軸速度検出部22及び下部軸速度検出部23は、駆動スプロケット9、従動スプロケット10及び下部ステップスプロケット15のそれぞれの歯の単位時間当たりの通過回数を測定することにより出力軸6、上部回転軸12及び下部回転軸14の第2速度を検出するようになっていてもよい。この場合、駆動スプロケット9、従動スプロケット10及び下部ステップスプロケット15の各周縁部に近接センサが対向配置される。
【0063】
また、第2速度検出手段は、ドライブチェーン13及びステップチェーン17の従動速度を検出するようになっていてもよい。この場合、ベルト速度検出部19と同様の速度検出部によりドライブチェーン13及びステップチェーン17の従動速度が検出される。
【0064】
また、演算装置25は、制御装置24にも異常検出信号を出力して、制御装置24が異常検出信号の入力により乗客コンベアの運転を停止するようになっていてもよい。
【0065】
また、上記の例では、演算装置25は、駆動回転軸3の回転速度から基準速度を求め、第2速度検出手段からの第2速度と基準速度とを比較するようになっているが、逆に、第2速度検出手段の各箇所の回転速度から駆動回転軸3の回転速度を基準速度として求め、駆動軸速度検出部18から駆動回転軸3の回転速度を第2速度として得て、この第2速度と第2速度検出手段から求められた基準速度と比較するようになっていても構わない。
即ち、演算装置25は、第2速度検出手段により検出された第2速度から、駆動回転軸3の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第1速度に相当する基準速度を遡って求め、第1速度検出手段により検出された第1速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルト8のスリップ率の異常の有無を判定するようになっていてもよい。
【0066】
また、このような乗客コンベアの異常検出装置は、図1に示す乗客コンベアと異なる型の乗客コンベアに適用してもよい。例えば、モジュラー型の乗客コンベアであってもよい。図8は、モジュラー型の乗客コンベアを示す側面図である。図8に示すように、この型の乗客コンベアは、複数の駆動ユニット50を有している。各駆動ユニット50は、複数の踏段16が取り付けられた環状のステップリンク51の内側に配置されている。図9は、駆動ユニット50の構成を示す上面図である。図8及び図9に示すように、モジュラー型の乗客コンベアも図1に示す乗客コンベアと同様に、電動機62の駆動回転軸63に固定された駆動プーリ64と減速機61の入力軸65に固定された従動プーリ67とに動力伝達ベルト68が巻き掛けられている。出力軸66は、図1の乗客コンベアと異なり、減速機61の両側に設けられている。この2本の出力軸66には、それぞれ駆動スプロケット52が固定されている。各駆動スプロケット52に隣接して回転可能な回転軸53に従動スプロケット54が固定されている。駆動スプロケット52及び従動スプロケットの間には、ドライブチェーン55が巻き掛けられ、ドライブチェーン55にステップリンク51が噛み合わされている。
【0067】
この場合、駆動軸速度検出部18、ベルト速度検出部19及び入力軸速度検出部20、出力軸速度検出部21、上部軸速度検出部22及び下部軸速度検出部23は、駆動回転軸63、動力伝達ベルト68、入力軸65、出力軸66及び回転軸53にそれぞれ設けられる。
【0068】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明に係る乗客コンベアの異常検出装置は、駆動回転軸を有する電動機と、この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられ、駆動プーリの回転を従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び従動プーリの回転を踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、従動プーリ、動力伝達ベルト及び噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、第1速度検出手段により検出された前記第1速度から、駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第2速度に相当する基準速度を求め、第2速度検出手段により検出された第2速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部とを備えているので、動力伝達ベルトの張力低下の異常を発見できる。
【0069】
また、駆動回転軸を有する電動機と、この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられ、駆動プーリの回転を従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び従動プーリの回転を踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、従動プーリ、動力伝達ベルト及び噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、第2速度検出手段により検出された第2速度から、駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第1速度に相当する基準速度を遡って求め、第1速度検出手段により検出された第1速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部とを備えているので、動力伝達ベルトの張力低下の異常を発見できる。
【0070】
また、駆動プーリと従動プーリとの間には、複数の動力伝達ベルトが互いに平行に巻き掛けられており、第2速度検出手段は、動力伝達ベルトの周回速度を個別に検出する複数のセンサを有するので、複数の動力伝達ベルトのうち異常の動力伝達ベルトを特定できる。
【0071】
また、噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、第2速度検出手段は、スプロケットの回転速度を第2速度として検出するようになっているので、第2速度を容易に検出できる。
【0072】
また、噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、第2速度検出手段は、チェーンの周回速度を第2速度として検出するようになっているので、第2速度を容易に検出できる。
【0073】
また、比較判定部により異常が検出されたとき、異常が検出されたことを表示する表示装置をさらに備えているので、乗客コンベアの異常が早期に、かつ、容易に発見できる。
【0074】
また、電動機の駆動を制御する制御装置をさらに備え、制御装置は、比較判定部により異常が検出されたとき、電動機の駆動を停止させるようになっているので、スリップ率の異常による不具合、例えば他の正常な動力伝達ベルトへの損傷の拡大を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアの異常検出装置が設けられている乗客コンベアの構成を示す側面図である。
【図2】駆動軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図3】ベルト速度検出部の構成を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態2における入力軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図5】この発明の実施の形態3における出力軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図6】この発明の実施の形態4における上部軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図7】この発明の実施の形態5における下部軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図8】モジュラー型の乗客コンベアを示す側面図である。
【図9】駆動ユニットの構成を示す上面図である。
【符号の説明】
3 駆動回転軸、4 駆動プーリ、5 入力軸(従動回転軸)、7 従動プーリ、8 動力伝達ベルト、9 駆動スプロケット(噛合伝達要素)、10 従動スプロケット(噛合伝達要素)、11 上部ステップスプロケット(噛合伝達要素)、12 上部回転軸(回転軸)、13 ドライブチェーン(噛合伝達要素)、14 下部回転軸(回転軸)、15 下部ステップスプロケット(噛合伝達要素)、16 踏段、17 ステップチェーン(噛合伝達要素)、18 駆動軸速度検出部(第1速度検出手段)、19 ベルト速度検出部(第2速度検出手段)、20 入力軸速度検出部(第2速度検出手段)、21 出力軸速度検出部(第2速度検出手段)、22 上部軸速度検出部(第2速度検出手段)、23 下部軸速度検出部(第2速度検出手段)、25 演算装置(比較判定部)、26 表示装置、32 センサ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばエスカレータや動く歩道等の乗客コンベアにおける異常を検出する乗客コンベアの異常検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば実開昭55−105575号公報(従来例1)には、乗客コンベアの伝動装置において、作動体の端部を動力伝達ベルトに接触させた構成が示されている。動力伝達ベルトは、2つのプーリ間を巻き掛けられている。作動体は、動力伝達ベルトが破断したときに変位するようになっている。この作動体の変位により、動力伝達ベルトの破断が検出される。
また、特開平10−176741号公報(従来例2)には、棒状の揺動アームの端部を動力伝達ベルトの外周面に隙間を介して対向させた構成が示されている。動力伝達ベルトは2つのプーリ間に巻き掛けられており、揺動アームは、プーリの近傍に揺動自在に設けられている。従来例2では、動力伝達ベルトの剥離部分が揺動アームの端部に当たることにより、揺動アームが揺動され動力伝達ベルトの剥離が検出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来例1では、動力伝達ベルトの破断の異常は検出できるが、作動体を変位させない例えば剥離あるいは亀裂等の異常は検出できないという問題点があった。また、作動体の接触により動力伝達ベルトの表面に傷が付く虞があるという問題点もあった。
【0004】
また、上記の従来例2では、動力伝達ベルトの剥離部分が外部に飛び出す異常は検出できるが、動力伝達ベルトに剥離が生じない例えば摩耗あるいは伸び等の異常は検出できないという問題点があった。
【0005】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、動力伝達ベルトの張力の低下を検出することができる乗客コンベアの異常検出装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る乗客コンベアの異常検出装置は、駆動回転軸を有する電動機と、この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられ、駆動プーリの回転を従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び従動プーリの回転を踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、従動プーリ、動力伝達ベルト及び噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、第1速度検出手段により検出された前記第1速度から、駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第2速度に相当する基準速度を求め、第2速度検出手段により検出された第2速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部とを備えている。
【0007】
また、駆動回転軸を有する電動機と、この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられ、駆動プーリの回転を従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び従動プーリの回転を踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、従動プーリ、動力伝達ベルト及び噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、第2速度検出手段により検出された第2速度から、駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第1速度に相当する基準速度を遡って求め、第1速度検出手段により検出された第1速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部とを備えている。
【0008】
また、駆動プーリと従動プーリとの間には、複数の動力伝達ベルトが互いに平行に巻き掛けられており、第2速度検出手段は、動力伝達ベルトの周回速度を個別に検出する複数のセンサを有する。
【0009】
また、噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、第2速度検出手段は、スプロケットの回転速度を第2速度として検出するようになっている。
【0010】
また、噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、第2速度検出手段は、チェーンの周回速度を第2速度として検出するようになっている。
【0011】
また、比較判定部により異常が検出されたとき、異常が検出されたことを表示する表示装置をさらに備えている。
【0012】
また、電動機の駆動を制御する制御装置をさらに備え、制御装置は、比較判定部により異常が検出されたとき、電動機の駆動を停止させるようになっている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアを示す構成図である。図1において、減速機1の上面には、電動機2が設けられている。電動機2は、回転可能な駆動回転軸3を有している。駆動回転軸3には、駆動回転軸3と一体となって回転する駆動プーリ4が固定されている。
【0014】
減速機1は、駆動回転軸3と平行に延びる入力軸5と、出力軸6とを有している。減速機1の内部には、噛合伝達要素である複数の歯車が互いに噛合されて配置されており、入力軸5の回転は減速されて出力軸6に伝達される。入力軸5には、入力軸5と一体となって回転する従動プーリ7が固定されている。
【0015】
駆動プーリ4と従動プーリ7との間には、複数本の環状の動力伝達ベルト8が巻き掛けられている。駆動プーリ4の回転は、動力伝達ベルト8により従動プーリ7に伝達される。動力伝達ベルト8の張力は、駆動プーリ4と従動プーリ7との間の距離を変化させることにより調整されている。
【0016】
出力軸6には、出力軸6と一体となって回転する噛合伝達要素である駆動スプロケット9が固定されている。
【0017】
駆動スプロケット9の近傍には、噛合伝達要素である従動スプロケット10が配置されている。従動スプロケット10は、回転軸である上部回転軸12に固定されている。上部回転軸12には、従動スプロケット10に隣接して配置された噛合伝達要素である上部ステップスプロケット11が固定されている。上部ステップスプロケット11は、従動スプロケット10よりも外径の小さいスプロケットである。従動スプロケット10及び上部ステップスプロケット11は、上部回転軸12と一体となって上部回転軸12の軸線を中心に回転される。
【0018】
駆動スプロケット9と従動スプロケット10との間には、環状の噛合伝達要素であるドライブチェーン13が巻き掛けられている。駆動スプロケット9の回転は、ドライブチェーン13により従動スプロケット10に伝達される。
【0019】
上部ステップスプロケット11から所定距離だけ離れた箇所には、回転軸である下部回転軸14に固定された噛合伝達要素である下部ステップスプロケット15が配置されている。下部ステップスプロケット15は、下部回転軸14と一体となって下部回転軸14の軸線を中心に回転される。
【0020】
上部ステップスプロケット11と下部ステップスプロケット15との間には、噛合伝達要素であるステップチェーン17が巻き掛けられている。ステップチェーン17には、複数の踏段16が取り付けられている。ステップチェーン17は、上部ステップスプロケット11の回転により従動される。即ち、各踏段16は、ステップチェーン17の従動により循環移動される。
【0021】
なお、ベルト動力伝達部は、駆動プーリ4、従動プーリ7及び動力伝達ベルト8を有している。また、噛み合い動力伝達部は、減速機1内の歯車、駆動スプロケット9、従動スプロケット10、上部ステップスプロケット11、ドライブチェーン13、下部ステップスプロケット15及びステップチェーン17を有している。噛み合い動力伝達部は、全ての噛合伝達要素が互いに噛み合わされてスリップしないようになっている。さらに、動力伝達機構は、ベルト動力伝達部及び噛み合い動力伝達部を有している。
【0022】
駆動回転軸3には、駆動回転軸3の回転速度、即ち第1速度を検出する第1速度検出手段である駆動軸速度検出部18が設けられている。動力伝達ベルト8には、動力伝達ベルト8の従動速度、即ち第2速度を検出するベルト速度検出部19が設けられている。
【0023】
駆動軸速度検出部18及びベルト速度検出部19は、乗客コンベアの制御装置24に搭載された比較判定部である演算装置25にそれぞれ電気的に接続されている。
【0024】
演算装置25は、駆動軸速度検出部18から駆動回転軸3の回転速度(第1速度)を得て、動力伝達が正常になされていると仮定したときの動力伝達ベルト8の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求めるようになっている。また、演算装置25は、ベルト速度検出部19から動力伝達ベルト8の従動速度(第2速度)を得て、第2速度と基準速度とを比較するようになっている。基準速度には、伝達損失及び測定誤差等を考慮に入れて、許容差が設けられている。また、第2速度と基準速度との差は、動力伝達ベルト8のスリップ率が大きくなるほど大きくなることから、演算装置25は、基準速度の許容範囲から第2速度の値が外れたときに、異常検出信号を出力するようになっている。即ち、演算装置25は、動力伝達ベルト8のスリップ率が正常範囲から外れると異常検出信号を出力するようになっている。
【0025】
演算装置25には、乗客コンベアの機械室に設けられた表示装置26が電気的に接続されている。表示装置26は、LED等の光源を点灯させて表示する装置である。また、表示装置26は、比較部27からの異常検出信号の入力により光源を点灯させて異常を検出した旨の表示をするようになっている。
【0026】
図2は、図1の駆動軸速度検出部18の構成を示す側面図である。図2において、駆動軸速度検出部18は、駆動回転軸3に固定されて駆動回転軸3と一体となって回転する円板状の検出板29と、検出板29の周縁部に隣接して配置され、検出板29の両面にそれぞれ対向する一対の脚部30aを有する断面コ字状の近接センサ30とを有している。
【0027】
検出板29は、駆動プーリ4と電動機2本体との間に配置されている。検出板29の周縁部には、複数のスリット31が形成され周方向に沿って配列されている。各スリット31は、駆動回転軸3の回転により一対の脚部30aの間を移動される。近接センサ30は、各スリット31の単位時間当たりの通過回数を検出するようになっている。従って、駆動軸速度検出部18により駆動回転軸3の回転速度である第1速度が検出される。なお、近接センサ30は、演算装置25に電気的に接続されている。
【0028】
図3は、図1のベルト速度検出部19の構成を示す斜視図である。図3において、ベルト速度検出部19は、動力伝達ベルト8の外周面に対向して配置されたセンサ32と、動力伝達ベルト8の外周面に設けられ、センサ32が検知可能なマーキング33とを有している。センサ32は、複数本の動力伝達ベルト8のそれぞれに対向するように複数配置されている。マーキング33は、各動力伝達ベルト8の外周面に付されている。センサ32は、マーキング33の単位時間当たりの通過回数を検出するようになっている。従って、ベルト速度検出部19により動力伝達ベルト8の従動速度(周回速度)である第2速度が検出される。なお、センサ32は、演算装置25に電気的に接続されている。
【0029】
乗客コンベアの異常検出装置は、駆動軸速度検出部18、ベルト速度検出部19、演算装置25及び表示装置26により構成されている。
【0030】
次に、動作について説明する。
電動機2の駆動により駆動プーリ4が回転されると、駆動プーリ4の回転は、動力伝達ベルト8を介して従動プーリ7に伝達される。従動プーリ7は、回転力の伝達により入力軸5とともに回転される。入力軸5の回転は、減速機1内部の複数の歯車を介して出力軸6に伝達される。これにより、出力軸6は、駆動スプロケット9とともに回転される。
【0031】
駆動スプロケット9に伝達された回転は、ドライブチェーン13を介して従動スプロケット10に伝達される。これにより、従動スプロケット10は、上部回転軸12及び上部ステップスプロケット11とともに回転される。上部ステップスプロケット11が回転されると、ステップチェーン17が従動され、ステップチェーン17に取り付けられた複数の踏段16が移動される。このとき、下部ステップスプロケット15も下部回転軸14とともに回転される。
【0032】
駆動軸速度検出部18では、駆動回転軸3の回転により第1速度が検出される。また、ベルト速度検出部19では、第2速度が検出される。第1速度及び第2速度は、演算装置25に出力される。
【0033】
演算装置25では、第1速度から基準速度が求められ、基準速度と第2速度とが比較される。比較された結果、第2速度の値に多少の変化があっても基準速度の許容範囲内に第2速度の値が存在していれば、乗客コンベアの正常運転が維持される。第2速度の値が基準速度の許容範囲から外れると、演算装置25から異常検出信号が表示装置26に出力される。
【0034】
例えば、動力伝達ベルト8の破断、摩耗、伸び、亀裂等の異常により張力が低下して、駆動プーリ4と動力伝達ベルト8との間、あるいは従動プーリ7と動力伝達ベルト8との間にスリップが生じた場合、動力伝達ベルト8は、駆動プーリ4の回転力を従動プーリ7に効率的に伝達させることができなくなる。このような場合、動力伝達ベルト8の第2速度は、動力伝達ベルト8の基準速度よりも小さくなり、この基準速度との間に差が発生し、動力伝達ベルト8の基準速度の許容範囲から第2速度の値が外れる。
即ち、演算装置25では、動力伝達ベルト8のスリップ率の異常の有無が判定され、スリップ率の異常の判定により異常検出信号が表示装置26に出力される。
【0035】
表示装置26では、演算装置25からの異常検出信号の入力により、乗客コンベアの異常の旨が表示される。
【0036】
従って、このような乗客コンベアの異常検出装置では、駆動回転軸3の回転速度である第1速度から理論的に求められた動力伝達ベルト8の従動速度(基準速度)と実際に測定されて得られた動力伝達ベルト8の従動速度(第2速度)とを比較するようになっているので、動力伝達ベルト8の異常を容易に発見できる。従って、動力伝達ベルト8のスリップによって例えば上昇運転時に踏段16が重力により逆送されたり、下降運転時に踏段16が重力により加速されたりすることを未然に防ぐことができる。
【0037】
また、例えば多数の乗客の重量によって過負荷となり、動力伝達ベルト8に異常はないが動力伝達ベルト8にスリップが発生した場合にも、基準速度と第2速度との間に差ができるので、このような過負荷による異常も容易に発見することができる。
【0038】
また、ベルト速度検出部19は、複数の動力伝達ベルト8の従動速度をそれぞれ検出する複数のセンサ32及び複数のマーキング33を有しているので、複数の動力伝達ベルト8のうち、いずれの動力伝達ベルト8が異常であるかを特定することができる。
【0039】
なお、ベルト速度検出部19において、マーキング33を動力伝達ベルト8の内周面に設け、センサ32を動力伝達ベルト8の内周面に間隔を置いて対向させてマーキング33を検知するように配置しても構わない。
【0040】
実施の形態2.
また、第2速度検出手段は、入力軸5の回転速度、即ち従動プーリ7の従動速度を検出する入力軸速度検出部20であってもよい。入力軸速度検出部20は、入力軸5に設けられている。
【0041】
図4は、この発明の実施の形態2における入力軸速度検出部20の構成を示す側面図である。図4に示すように、入力軸速度検出部20は、駆動軸速度検出部18と同タイプの速度検出部である。即ち、入力軸速度検出部20は、スリット36を有する検出板34と、一対の脚部35aを有する近接センサ35とを有し、駆動軸速度検出部18と同様にして検出板34の回転速度を検出するようになっている。
【0042】
検出板34は、従動プーリ7と減速機1本体との間に配置されるとともに、入力軸5に固定されている。検出板34が従動プーリ7及び入力軸5と一体となって回転されることにより、従動プーリ7の従動速度(第2速度)が入力軸速度検出部20により検出される。
【0043】
演算装置25は、動力伝達が正常になされていると仮定したときの従動プーリ7の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求め、この基準速度と入力軸速度検出部20から得られた第2速度とを比較するようになっている。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0044】
このような構成であっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0045】
実施の形態3.
また、第2速度検出手段は、出力軸6の回転速度、即ち駆動スプロケット9の従動速度を検出する出力軸速度検出部21であってもよい。出力軸速度検出部21は、出力軸6に設けられている。
【0046】
図5は、この発明の実施の形態3における出力軸速度検出部21の構成を示す側面図である。図5に示すように、出力軸速度検出部21は、駆動軸速度検出部18と同タイプの速度検出部である。即ち、出力軸速度検出部21は、スリット39を有する検出板37と、一対の脚部38aを有する近接センサ38とを有し、駆動軸速度検出部18と同様にして検出板37の回転速度を検出するようになっている。
【0047】
検出板37は、駆動スプロケット9と減速機1本体との間に配置されるとともに、出力軸6に固定されている。検出板37が駆動スプロケット9及び出力軸6と一体となって回転されることによって、駆動スプロケット9の従動速度(第2速度)が出力軸速度検出部21により検出される。
【0048】
演算装置25は、動力伝達が正常になされていると仮定したときの駆動スプロケット9の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求め、この基準速度と出力軸速度検出部21から得られた第2速度とを比較するようになっている。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0049】
このような構成においては、従動プーリ7の回転が減速機1内の複数の歯車の噛合によって駆動スプロケット9に伝達されるので、従動プーリ7から駆動スプロケット9までにスリップによる伝達損失は発生しない。従って、駆動スプロケット9の従動速度である第2速度を検出することによっても、基準速度と第2速度との比較により動力伝達ベルト8のスリップ率を求めることができ、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0050】
実施の形態4.
また、第2速度検出手段は、上部回転軸12の回転速度、即ち上部ステップスプロケット11の従動速度を検出する上部軸速度検出部22であってもよい。上部軸速度検出部22は、上部回転軸12に設けられている。
【0051】
図6は、この発明の実施の形態4における上部軸速度検出部22の構成を示す側面図である。図6に示すように、上部軸速度検出部22は、駆動軸速度検出部18と同タイプの速度検出部である。即ち、上部軸速度検出部22は、スリット42を有する検出板40と、一対の脚部41aを有する近接センサ41とを有し、駆動軸速度検出部18と同様にして検出板40の回転速度を検出するようになっている。
【0052】
検出板40は、従動スプロケット10から見て上部ステップスプロケット11と反対側に配置されるとともに、上部回転軸12に固定されている。検出板40が従動スプロケット10及び上部回転軸12と一体となって回転されることによって、上部ステップスプロケット11の従動速度(第2速度)が上部軸速度検出部22により検出される。
【0053】
演算装置25は、動力伝達が正常になされていると仮定したときの上部ステップスプロケット11の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求め、この基準速度と上部軸速度検出部22から得られた第2速度とを比較するようになっている。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0054】
このような構成においても、従動プーリ7から従動スプロケット12までにスリップによる伝達損失が発生しないので、上部ステップスプロケット11の従動速度である第2速度を検出することによっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0055】
実施の形態5.
また、第2速度検出手段は、下部回転軸14の回転速度、即ち下部ステップスプロケット15の従動速度を検出する下部軸速度検出部23であってもよい。下部軸速度検出部23は、下部回転軸14に設けられている。
【0056】
図7は、この発明の実施の形態5における下部軸速度検出部23の構成を示す側面図である。図7に示すように、下部軸速度検出部23は、駆動軸速度検出部18と同タイプの速度検出部である。即ち、下部軸速度検出部23は、スリット45を有する検出板43と、一対の脚部44aを有する近接センサ44とを有し、駆動軸速度検出部18と同様にして検出板43の回転速度を検出するようになっている。
【0057】
検出板43は、下部回転軸14の下部ステップスプロケット15に近い端部と下部ステップスプロケット15との間に配置されるとともに、下部回転軸14に固定されている。検出板43が下部ステップスプロケット15及び下部回転軸14と一体となって回転されることによって、下部ステップスプロケット15の従動速度(第2速度)が下部軸速度検出部23により検出される。
【0058】
演算装置25は、動力伝達が正常になされていると仮定したときの下部ステップスプロケット15の理論的な従動速度(基準速度)を第1速度から求め、この基準速度と下部軸速度検出部23から得られた第2速度とを比較するようになっている。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0059】
このような構成においても、従動プーリ7から下部ステップスプロケット15までにスリップによる伝達損失が発生しないので、各ステップスプロケット15の従動速度である第2速度を検出することによっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0060】
なお、各上記実施の形態では、第2速度検出手段は、1箇所のみに設けられているが、複数箇所に設けられていてもよい。このようにすると、各箇所で第2速度を検出できるので、基準速度の許容範囲から外れた第2速度が検出された箇所を特定でき、異常箇所を特定することができる。例えばドライブチェーン13が切断された場合、動力伝達ベルト8、入力軸5及び出力軸6の第2速度の値は、基準速度の許容範囲内に存在するが、上部回転軸12及び下部回転軸14の第2速度の値は、ドライブチェーン13により動力が伝達されないので、基準速度の許容範囲から外れる。このような検出結果により、ドライブチェーン13の異常が発見できる。
【0061】
また、駆動軸速度検出部18、入力軸速度検出部20、出力軸速度検出部21、上部軸速度検出部22及び下部軸速度検出部23は、駆動回転軸3、入力軸5、出力軸6、上部回転軸12及び下部回転軸14にそれぞれ設けられたエンコーダにより第2速度をそれぞれ検出するようになっていてもよい。
【0062】
また、出力軸速度検出部21、上部軸速度検出部22及び下部軸速度検出部23は、駆動スプロケット9、従動スプロケット10及び下部ステップスプロケット15のそれぞれの歯の単位時間当たりの通過回数を測定することにより出力軸6、上部回転軸12及び下部回転軸14の第2速度を検出するようになっていてもよい。この場合、駆動スプロケット9、従動スプロケット10及び下部ステップスプロケット15の各周縁部に近接センサが対向配置される。
【0063】
また、第2速度検出手段は、ドライブチェーン13及びステップチェーン17の従動速度を検出するようになっていてもよい。この場合、ベルト速度検出部19と同様の速度検出部によりドライブチェーン13及びステップチェーン17の従動速度が検出される。
【0064】
また、演算装置25は、制御装置24にも異常検出信号を出力して、制御装置24が異常検出信号の入力により乗客コンベアの運転を停止するようになっていてもよい。
【0065】
また、上記の例では、演算装置25は、駆動回転軸3の回転速度から基準速度を求め、第2速度検出手段からの第2速度と基準速度とを比較するようになっているが、逆に、第2速度検出手段の各箇所の回転速度から駆動回転軸3の回転速度を基準速度として求め、駆動軸速度検出部18から駆動回転軸3の回転速度を第2速度として得て、この第2速度と第2速度検出手段から求められた基準速度と比較するようになっていても構わない。
即ち、演算装置25は、第2速度検出手段により検出された第2速度から、駆動回転軸3の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第1速度に相当する基準速度を遡って求め、第1速度検出手段により検出された第1速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルト8のスリップ率の異常の有無を判定するようになっていてもよい。
【0066】
また、このような乗客コンベアの異常検出装置は、図1に示す乗客コンベアと異なる型の乗客コンベアに適用してもよい。例えば、モジュラー型の乗客コンベアであってもよい。図8は、モジュラー型の乗客コンベアを示す側面図である。図8に示すように、この型の乗客コンベアは、複数の駆動ユニット50を有している。各駆動ユニット50は、複数の踏段16が取り付けられた環状のステップリンク51の内側に配置されている。図9は、駆動ユニット50の構成を示す上面図である。図8及び図9に示すように、モジュラー型の乗客コンベアも図1に示す乗客コンベアと同様に、電動機62の駆動回転軸63に固定された駆動プーリ64と減速機61の入力軸65に固定された従動プーリ67とに動力伝達ベルト68が巻き掛けられている。出力軸66は、図1の乗客コンベアと異なり、減速機61の両側に設けられている。この2本の出力軸66には、それぞれ駆動スプロケット52が固定されている。各駆動スプロケット52に隣接して回転可能な回転軸53に従動スプロケット54が固定されている。駆動スプロケット52及び従動スプロケットの間には、ドライブチェーン55が巻き掛けられ、ドライブチェーン55にステップリンク51が噛み合わされている。
【0067】
この場合、駆動軸速度検出部18、ベルト速度検出部19及び入力軸速度検出部20、出力軸速度検出部21、上部軸速度検出部22及び下部軸速度検出部23は、駆動回転軸63、動力伝達ベルト68、入力軸65、出力軸66及び回転軸53にそれぞれ設けられる。
【0068】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明に係る乗客コンベアの異常検出装置は、駆動回転軸を有する電動機と、この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられ、駆動プーリの回転を従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び従動プーリの回転を踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、従動プーリ、動力伝達ベルト及び噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、第1速度検出手段により検出された前記第1速度から、駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第2速度に相当する基準速度を求め、第2速度検出手段により検出された第2速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部とを備えているので、動力伝達ベルトの張力低下の異常を発見できる。
【0069】
また、駆動回転軸を有する電動機と、この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられ、駆動プーリの回転を従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び従動プーリの回転を踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、従動プーリ、動力伝達ベルト及び噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、第2速度検出手段により検出された第2速度から、駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの第1速度に相当する基準速度を遡って求め、第1速度検出手段により検出された第1速度と基準速度とを比較することにより、動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部とを備えているので、動力伝達ベルトの張力低下の異常を発見できる。
【0070】
また、駆動プーリと従動プーリとの間には、複数の動力伝達ベルトが互いに平行に巻き掛けられており、第2速度検出手段は、動力伝達ベルトの周回速度を個別に検出する複数のセンサを有するので、複数の動力伝達ベルトのうち異常の動力伝達ベルトを特定できる。
【0071】
また、噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、第2速度検出手段は、スプロケットの回転速度を第2速度として検出するようになっているので、第2速度を容易に検出できる。
【0072】
また、噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、第2速度検出手段は、チェーンの周回速度を第2速度として検出するようになっているので、第2速度を容易に検出できる。
【0073】
また、比較判定部により異常が検出されたとき、異常が検出されたことを表示する表示装置をさらに備えているので、乗客コンベアの異常が早期に、かつ、容易に発見できる。
【0074】
また、電動機の駆動を制御する制御装置をさらに備え、制御装置は、比較判定部により異常が検出されたとき、電動機の駆動を停止させるようになっているので、スリップ率の異常による不具合、例えば他の正常な動力伝達ベルトへの損傷の拡大を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアの異常検出装置が設けられている乗客コンベアの構成を示す側面図である。
【図2】駆動軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図3】ベルト速度検出部の構成を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態2における入力軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図5】この発明の実施の形態3における出力軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図6】この発明の実施の形態4における上部軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図7】この発明の実施の形態5における下部軸速度検出部の構成を示す側面図である。
【図8】モジュラー型の乗客コンベアを示す側面図である。
【図9】駆動ユニットの構成を示す上面図である。
【符号の説明】
3 駆動回転軸、4 駆動プーリ、5 入力軸(従動回転軸)、7 従動プーリ、8 動力伝達ベルト、9 駆動スプロケット(噛合伝達要素)、10 従動スプロケット(噛合伝達要素)、11 上部ステップスプロケット(噛合伝達要素)、12 上部回転軸(回転軸)、13 ドライブチェーン(噛合伝達要素)、14 下部回転軸(回転軸)、15 下部ステップスプロケット(噛合伝達要素)、16 踏段、17 ステップチェーン(噛合伝達要素)、18 駆動軸速度検出部(第1速度検出手段)、19 ベルト速度検出部(第2速度検出手段)、20 入力軸速度検出部(第2速度検出手段)、21 出力軸速度検出部(第2速度検出手段)、22 上部軸速度検出部(第2速度検出手段)、23 下部軸速度検出部(第2速度検出手段)、25 演算装置(比較判定部)、26 表示装置、32 センサ。
Claims (7)
- 駆動回転軸を有する電動機と、
この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、
前記駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、前記駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に巻き掛けられ、前記駆動プーリの回転を前記従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び前記従動プーリの回転を前記踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構
を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、
前記駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、
前記従動プーリ、前記動力伝達ベルト及び前記噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、
前記第1速度検出手段により検出された前記第1速度から、前記駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの前記第2速度に相当する基準速度を求め、前記第2速度検出手段により検出された前記第2速度と前記基準速度とを比較することにより、前記動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部と
を備えたことを特徴とする乗客コンベアの異常検出装置。 - 駆動回転軸を有する電動機と、
この電動機の駆動力により循環移動される複数の踏段と、
前記駆動回転軸と一体に回転される駆動プーリ、前記駆動プーリの回転が伝達されて回転される従動プーリ、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に巻き掛けられ、前記駆動プーリの回転を前記従動プーリに伝達する動力伝達ベルト、及び前記従動プーリの回転を前記踏段に伝達する複数の噛合伝達要素を有する動力伝達機構
を備えた乗客コンベアに設けられている乗客コンベアの異常検出装置であって、
前記駆動回転軸の回転速度である第1速度を検出する第1速度検出手段と、
前記従動プーリ、前記動力伝達ベルト及び前記噛合伝達要素の少なくともいずれか1つの従動速度である第2速度を検出する第2速度検出手段と、
前記第2速度検出手段により検出された前記第2速度から、前記駆動回転軸の回転が正常に伝達されたと仮定したときの前記第1速度に相当する基準速度を遡って求め、前記第1速度検出手段により検出された前記第1速度と前記基準速度とを比較することにより、前記動力伝達ベルトのスリップ率の異常の有無を判定する比較判定部と
を備えたことを特徴とする乗客コンベアの異常検出装置。 - 前記駆動プーリと前記従動プーリとの間には、複数の前記動力伝達ベルトが互いに平行に巻き掛けられており、前記第2速度検出手段は、前記動力伝達ベルトの周回速度を個別に検出する複数のセンサを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベアの異常検出装置。
- 前記噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、前記スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、
前記第2速度検出手段は、前記スプロケットの回転速度を前記第2速度として検出するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベアの異常検出装置。 - 前記噛合伝達要素は、一対のスプロケットと、前記スプロケット間に巻き掛けられたチェーンとを有し、
前記第2速度検出手段は、前記チェーンの周回速度を前記第2速度として検出するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベアの異常検出装置。 - 前記比較判定部により異常が検出されたとき、前記異常が検出されたことを表示する表示装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の乗客コンベアの異常検出装置。
- 前記電動機の駆動を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記比較判定部により異常が検出されたとき、前記電動機の駆動を停止させるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の乗客コンベアの異常検出装置。
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CN106335837A (zh) * | 2015-07-09 | 2017-01-18 | 东芝电梯株式会社 | 乘客输送机用链条伸长检测装置以及乘客输送机 |
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-
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