JP2004098894A - 膝保護用エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステアリングコラム12の下方に配設される車両後方側を開口させた板金製のケース25と、ケース25の開口25aを覆ってエアバッグ67の展開膨張時に開き可能とされる扉部56を有する構成のエアバッグカバー48と、ケース開口25aの周縁においてエアバッグカバー48の車両前方側に配設されるニーパネル37と、を備える膝保護用エアバッグ装置。エアバッグ67が、インフレーター59からの膨張用ガスを流入させて、扉部56を押し開き、車両後方側に突出しつつ、上方に向かって展開膨張する。ニーパネル37が、車両のボディ側に取付固定されるとともに、ケース25の上部側を覆って、ケース25の上方側への移動を規制する遮蔽部41を、備えている。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグが、着座した乗員の膝を保護可能な膝保護用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、乗員の膝を保護する装置としては、特開平9−123857号公報に記載されるように、ステアリングコラムの下方に配設されて、展開膨張するエアバッグにより運転者の膝を保護する装置があった。この装置は、ステアリングコラムの下方に配設されて車両後方側を開口させたケースに、折り畳まれたエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を収納させて構成され、膨張用ガスの流入時に、エアバッグが、ケース開口を覆うエアバッグカバーの扉部を押し開きつつ、車両後方側に展開膨張する構成であった。また、ケース開口の周縁において、エアバッグカバーの車両前方側となる位置には、ニーパネルが、配設されていた。この従来のエアバッグ装置では、ケースは、ニーパネルを介して、インパネリインフォースメントから延びる取付ブラケットに取付固定することにより、車両のボディ側に取付固定される構成であった。
【0003】
しかし、上記構成のエアバッグ装置では、ケースの上部側を覆うものがなく、仮に、エアバッグの展開膨張時に、ケースがステアリングコラム側に向かって大きく移動する場合、略同時に、ステアリングコラムが衝撃吸収動作して移動していれば、ケースが、ステアリングコラム側に配設される部材と干渉し、そのステアリングコラムの移動を妨げてしまう虞れがあった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグの展開膨張時に、ケースのステアリングコラム側への干渉を抑えることが可能な膝保護用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグとエアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとを収納させるとともに、車両後方側を開口させて構成されて、ステアリングコラムの下方に配設される板金製のケースと、
ケースの開口を覆ってエアバッグの展開膨張時に開き可能とされる扉部を有する構成のエアバッグカバーと、
ケース開口の周縁において、エアバッグカバーの車両前方側となる位置に配設されるニーパネルと、
を備えるとともに、
エアバッグが、インフレーターからの膨張用ガスを流入させて、扉部を押し開き、車両後方側に突出しつつ、上方に向かって展開膨張する構成の膝保護用エアバッグ装置において、
ニーパネルが、車両のボディ側に取付固定されるとともに、ケースの上部側を覆って、ケースの上方側への移動を規制する遮蔽部を、備えて構成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の膝保護用エアバッグ装置では、車両のボディ側に取付固定されるニーパネルが、ケースの上部側を覆う遮蔽部を備えていることから、エアバッグの展開膨張時に、仮に、ケースがステアリングコラム側へ侵入するように移動することとなっても、遮蔽部により、ケースのステアリングコラム側への侵入が抑えられることとなる。
【0007】
従って、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、エアバッグの展開膨張時に、ケースのステアリングコラム側への干渉を抑えることが可能となって、ステアリングコラムが衝撃吸収動作した場合にも、ステアリングコラム側の部材を、ケースに干渉することなく、円滑に、移動させることができる。
【0008】
また、上記構成の膝保護用エアバッグ装置において、遮蔽部が、ステアリングコラムの衝撃吸収時の移動方向に略沿うように、車両前方側に向かって下降するように傾斜して、形成されている構成とすることが好ましい。
【0009】
膝保護用エアバッグ装置を上記構成とすれば、仮に、遮蔽部とステアリングコラム側の部材とが干渉しても、遮蔽部が、ステアリングコラムの衝撃吸収時の移動方向に略沿うように傾斜していることから、遮蔽部とステアリングコラム側の部材とは、相互の動きを妨げるような、大きな干渉を抑えられることとなる。そのため、ステアリングコラム側におけるステアリングシャフト等に衝撃吸収機構が設けられている場合において、エアバッグの展開膨張と同時に、衝撃吸収機構が作動した際に、遮蔽部とステアリングコラム側の部材とが干渉することとなっても、ステアリングコラム側の衝撃吸収機構の作動を阻害することなく、衝撃吸収機構を、一層、的確に作動させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sは、図1・6に示すように、運転者MDの膝K(KL・KR)を保護できるように、運転者MDの車両前方側であるステアリングコラム12の下方に、配設されている。
【0012】
なお、本明細書における上下、左右、及び前後は、膝保護用エアバッグ装置Sを車両に搭載させた際の車両の上下・左右・前後に対応するものである。
【0013】
ステアリングコラム12は、図1に示すように、ステアリングホイール10に連結されるコラム本体13と、ステアリングホイール10の下方のコラム本体13を覆うように配設されるコラムカバー19と、を備えて構成されている。コラム本体13は、メインシャフト14と、メインシャフト14の周囲を覆うコラムチューブ15と、を備えて構成されている。
【0014】
また、実施形態のステアリングコラム12は、ステアリングホイール10に対して車両前方側へ衝撃力が作用した際、変形して、ステアリングホイール10をメインシャフト14の軸方向に沿って車両前方側に移動させる衝撃吸収機構16を、配設させている。この衝撃吸収機構16は、運転者MDが前方移動してステアリングホイール10と干渉した際、ステアリングホイール10をシャフト14の軸方向に沿って車両前方側へ移動させるように、変形して、運転者MDへの衝撃を緩和するものである。また、コラムチューブ15の周囲には、付属部品17として、ステアリングホイール10に搭載される種々の電子機器のハーネスを包んだコルゲートチューブ17aを保持するブラケット17b等が、配設されている。
【0015】
コラムカバー19は、略四角筒形状の合成樹脂製として、コラム本体13を覆うように、コラム本体13の軸方向に沿って配設されている。コラムカバー19におけるインストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)20から突出する部位の後面(下面)19aは、略長方形形状とし、車両前後方向で、後上がりの曲面状に形成されている。
【0016】
膝保護用エアバッグ装置Sは、折り畳まれたエアバッグ67、エアバッグ67に膨張用ガスを供給するインフレーター59、折り畳まれたエアバッグ67とインフレーター59とを収納するとともに車両後方側を開口させたケース25、ケース25における開口25aの車両後方側を覆うエアバッグカバー48、及び、ケース開口25aの周縁においてエアバッグカバー48の車両前方側となる位置に配設されるニーパネル37を、備えて構成されている。
【0017】
ケース25は、図1〜5に示すように、板金製として、ステアリングコラム12の下方に配設されている。ケース25は、車両後方側を開口させた略四角筒状の周壁部26と、周壁部26の車両前方側を塞ぐ底壁部27と、を備えて構成されている。周壁部26には、上下方向で対向する上壁部26aと下壁部26bとに、それぞれ、エアバッグカバー48の後述する上側壁部52と下側壁部53とを組み付けるための係止爪部29と係止突起30とが、配設されている。また、周壁部26には、インフレーター59の後述する本体60の端部を挿通可能な挿通孔26cが、形成されている(図4参照)。そして、底壁部27には、インフレーター59の後述するボルト61cを挿通させるための挿通孔27aが、形成されている(図3参照)。
【0018】
上壁部26aに配設される係止爪部29は、上壁部26aから上方に突出して、先端29a側をケース25の開口25aから離れるように底壁部27側に屈曲させた断面略J字形状に形成され、また、左右方向に沿って、複数個(実施形態では6個)配設されている(図5参照)。各係止爪部29は、先端29aを、エアバッグカバー48の上側壁部52に形成される係止穴部52a周縁に、係止させている。
【0019】
下壁部26bに配設される係止突起30は、下壁部26bから下方に突出するように構成され、また、左右方向に沿って、複数個配設されている。これらの係止突起30は、図示されないが、係止爪部29と同様に、6個配設されている。そして、各係止突起30は、エアバッグカバー48における下側壁部53に形成される係止穴部53aに挿通されて、下側壁部53から下方に突出する突出部30aを備えている。突出部30aには、ケース25と別体とされる押え部材34の後端を挿入可能な挿入孔30bが、形成されている。
【0020】
押え部材34は、図2・3に示すように、L字形状に屈曲された板状として、ケース25の底壁部27から下壁部26bにかけて配設されており、後端を、挿入孔30bに挿入させて、各係止突起30の突出部30aの裏面と下側壁部53との間に閂状に配設固定させることにより、各係止突起30を係止穴部53aかの抜け不能に係止している。そして、実施形態の場合、押え部材34は、図2〜4に示すように、インフレーター59をケース25に固定させるためのボルト61c及びナット62を使用して、インフレーター59とともにケース25に固定されている。
【0021】
また、ケース25には、ケース25をニーパネル37に取付固定するための取付ブラケット31・32が、ケース25と別体とされて、配設されている。取付ブラケット31は、実施形態の場合、上壁部26aの上面側に、左右方向に沿って2個配設されるもので、図1〜3・5に示すように、それぞれ、上壁部26aから車両後方側に向かって上方に突出するように、配設されている。各取付ブラケット31の上端側には、ニーパネル37の後述する取付部43に形成されるボルト43aを挿通可能な取付孔31aが、形成されている。
【0022】
取付ブラケット32は、取付ブラケット31と同様に、左右方向に沿って2個配設されている。各取付ブラケット32は、断面略コ字形状とされて、底壁部27から車両前方側に突出するように配設されている。また、各取付ブラケット32には、車両前方側に突出するボルト32aが、配設されている。このボルト32aは、ニーパネル37の後述する前側壁部44に形成される取付孔44aに挿通可能とされている。
【0023】
ニーパネル37は、エアバッグ67の展開膨張時において、展開膨張したエアバッグ67の車両前方側を支持可能とするもので、エアバッグ67の車両前方側を支持する一般部38と、ケース25を取付固定するケース取付部40と、を備えて構成されている。
【0024】
一般部38は、図4・5に示すように、ケース25の開口25a面に沿って、ケース開口25aの上方側と左右両側とに延びるように、配設されており、縁部付近に、ニーパネル37を車両のボディ1側に取付固定するための取付部39を、複数個配設させている。実施形態の場合、取付部39は、ケース取付部40の左右両側となる上縁側の部位と、一般部38の上部側における右縁側の部位と、一般部の下部側における左右両縁側の部位と、の5箇所に、配設されている。各取付部39には、ボディ1側にボルト止めするための取付孔39aが形成されており、各取付部39を取り付けるボディ1側には、ブラケット6・7・8・9が、配設されている。ケース取付部40の左右両側となる上縁側の部位に配設される取付部39A・39Aを取り付けるブラケット6・6は、インパネリインフォースメント2に連結されている。そして、一般部38の上右隅に配設される取付部39B、一般部38の下右隅に配設される取付部39C、及び、一般部38の下左隅に配設される取付部39D、を取り付けるブラケット7・8・9は、ボディ1側の図示しないセンターブレースやフロントボディピラー等に、それぞれ、連結されている。
【0025】
また、各ブラケット6・7・8・9は、エネルギー吸収可能な構成とされている。インパネリインフォースメント2に連結されるブラケット6を例に採り説明すると、実施形態の場合、ブラケット6は、図7の二点鎖線に示すごとく、所定量以上の荷重を受けた際に、屈曲変形可能な構成とされている。他のブラケット7・8・9も、図示しないが、ブラケット6と同様に、所定量以上の荷重を受けた際に、屈曲変形可能な構成とされている。そのため、エアバッグ67が底着き等して、運転者MDの膝Kの運動エネルギーがエアバッグ67で受け止めきれなかった場合や、エアバッグ67の非展開時において、運転者MDの膝Kがニーパネル37と干渉した場合に、ニーパネル37の移動に伴って、ブラケット6・7・8・9が塑性変形し、膝Kの前方側への運動エネルギーを吸収することとなる。そのため、運転者MDの膝Kを、膝Kへの衝撃を抑えて、的確に保護することができる。
【0026】
ケース取付部40は、図2〜5に示すように、一般部38から車両前方側に突出するように配設されるとともに、ケース25の下部側を除いた周囲を覆うように、配設されている。すなわち、ケース取付部40は、ケース25の上部側を覆う上側壁部41と、ケース25の左右側方側を覆う左側・右側壁部42・43と、ケース25の前方側を覆う前側壁部44と、を備えて構成されている。そして、ケース取付部40において、ケース25の上部側を覆う上側壁部41が、ケース25の上方側への移動を規制する遮蔽部41とされている。この遮蔽部41は、図2・3に示すように、ステアリングコラム12の衝撃吸収時の移動方向に略沿うように、車両前方側に向かって下降するように傾斜して、形成されている。すなわち、実施形態の場合、遮蔽部41は、コラム本体13の軸方向に略沿うように、傾斜して、配設されている。
【0027】
遮蔽部41の車両後方側における左右両端付近には、上方に突出する取付部45・45が、形成されている。この取付部45・45は、ケース25に配設される取付ブラケット31・31を取付固定するためのものであり、それぞれ、車両後方側に突出して配設されて、各取付ブラケット31の取付孔31aに挿通可能なボルト45aを、備えて構成されている。
【0028】
また、ケース取付部40の前側壁部44には、ケース25に配設される取付ブラケット32に形成されるボルト32aを挿通可能な2つの取付孔44aが、配設されている。
【0029】
すなわち、実施形態では、ケース25は、各取付ブラケット31の取付孔31aから突出させた取付部45のボルト45aにナット46を螺合させ、前側壁部44の取付孔44aから突出させた取付ブラケット32のボルト32aにナット33を螺合させることにより、ニーパネル37に取付固定されている。
【0030】
エアバッグカバー48は、ポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマーから形成されて、ケース25の車両後方側を覆い可能なように、構成されており、ケース25に連結保持されている。
【0031】
また、エアバッグカバー48は、アッパパネル21及びロアパネル22からなるインパネ20におけるコラムカバー19の周縁のロアパネル22側に配置されて、インパネ20から突出するコラムカバー19の下側周縁を覆うこととなる。そのため、エアバッグカバー48は、車両後方側から見て、上縁中央付近を、コラムカバー19を後方へ突出させるように、下方へ凹ませて、構成されている。エアバッグカバー48は、車両後方側の面を、ロアパネル22と略面一とするように、配設されるもので、ロアパネル22には、ケース25を収納可能なように、車両前方側に向かって凹ませた凹部22aが、形成されている(図2〜4参照)。そして、凹部22aにおける車両前方側となる面には、ケース25の取付ブラケット32を挿通可能な開口22bが、形成されており、ケース25の取付ブラケット32は、開口22bから車両前方側に突出した状態で、ロアパネル22の車両前方側に配設されるニーパネル37の前側壁部44に取付固定されている。すなわち、実施形態の場合、ロアパネル22の凹部22aは、ケース25と、ニーパネル37のケース取付部40と、の間に、配設されることとなる。
【0032】
また、エアバッグカバー48は、上縁側に配設される凹部の中央付近となる位置に、上方へ突出するひれ部49を備えて構成されている。このひれ部49は、コラムカバー19とエアバッグカバー48との間の隙間を塞いで、ケース25に配設される取付ブラケット31やニーパネル36の遮蔽部41が車内側から見えないように、配設されている。また、このひれ部49は、図2の二点鎖線に示すように、ステアリングコラム12が衝撃吸収機構16を作動させて、コラムカバー19が車両前方側に移動する際に、コラムカバー19の移動に伴って前方側に撓み、コラムカバー19の移動を妨げない構成とされている。
【0033】
エアバッグカバー48は、ケース25の開口25aを覆う扉部56を、備えている。扉部56は、開口25aより僅かに大きく形成されて、開口25aを覆う略長方形の板状に形成されている。実施形態の場合、扉部56は、上方に開く上扉部56Aと、下方に開く下扉部56Bと、の2枚の扉部から構成されている。すなわち、扉部56は、上端及び下端に、上・下扉部56A・56Bが開く際の回転中心となるヒンジ部55・55を配設させるとともに、上・下扉部56A・56Bの周囲となる車両後方側から見て略H字形状となる部位に、薄肉の破断予定部54を配設させて、構成されている。
【0034】
また、エアバッグカバー48における扉部56の周縁近傍となる部位には、ケース25における周壁部26の外周側に隣接して、車両前方側に突出する略四角筒状の周壁部51が、配設されている。エアバッグカバー48は、周壁部51において、ケース周壁部26の上部側に配設される上側壁部52と、ケース周壁部26の下部側に配設される下側壁部53と、を利用して、ケース25に組み付けられている。上側壁部52には、ケース25の周壁部26に形成される係止爪部29を係止可能な係止穴部52aが、形成されている。下側壁部53には、ケース25の周壁部26に形成される係止突起30の突出部30aを挿通可能な係止穴部53aが、形成されている。
【0035】
なお、エアバッグカバー48における左右両縁側の部位や下縁側の部位における車両前方側の面には、ロアパネル22における凹部22aの周縁に設けられた図示しない係止孔に挿入させて、凹部22a周縁に係止させる図示しない複数の係止脚が、配設されている。
【0036】
インフレーター59は、図1〜4に示すように、軸方向を車両の左右方向に沿って配設されるシリンダタイプとして構成され、略円柱状の本体60とディフューザー61とを備えて構成されている。本体60の一端側には、複数のガス吐出口60aが、配設されている。そして、本体60における他端側に、作動信号入力用のリード線64を結線させたコネクタ63が、接続されることとなる。ディフューザー61は、本体60を覆い可能な略円筒状の板金製の保持筒部61aと、保持筒部61aから突出する複数(実施形態では2本)のボルト61cと、を備えて構成されている。保持筒部61aは、本体60のガス吐出口60aから吐出される膨張用ガスを流出可能な複数のガス流出口61bを、車両搭載状態の保持筒部61aにおける車両後方側の面に、開口させて構成されている。
【0037】
なお、このインフレーター59には、車両に搭載されたエアバッグ作動回路が、車両の前面衝突を検知した際、ステアリングホイール10に搭載された図示しないエアバッグ装置とともに、リード線64を介して、作動信号が入力されることとなる。
【0038】
エアバッグ67は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド糸等からなる1枚の織布から形成されて、展開膨張完了時の形状を、図1・6の二点鎖線に示すように、略長方形板状とするとともに、運転者MDの両膝KL・KRを保護可能な左右方向の幅寸法を備える形状とされている。また、展開膨張完了時のエアバッグ67の下端側の部位には、図4に示すように、2つの挿通孔67a・67aと、1つの挿通孔67bと、が形成されている。挿通孔67a・67aは、インフレーター59の各ボルト61cを挿通させるものであり、挿通孔67bは、インフレーター59の本体60を挿通させるものである。そして、エアバッグ67は、挿通孔67bからインフレーター59の本体60を突出させて、各挿通孔67aとケース底壁部27の挿通孔27aとに挿通させたボルト61cをナット62止めすることにより、各挿通孔67aの周縁が、保持筒部61aとケース25の底壁部27とに挟持されて、ケース25に取り付けられている。
【0039】
次に、このエアバッグ装置Sの組み立てについて説明をする。まず、挿通孔67aからボルト61cを突出させ、挿通孔67bから本体60の端部を突出させるように、エアバッグ67内に、インフレーター59を収納させて、エアバッグ67を折り畳み、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピングフィルムにより、エアバッグ67をくるんでおく。このとき、挿通孔67a・67bから突出したインフレーター59のボルト61cや本体60の端部は、ラッピングフィルムから突出させておく。
【0040】
次いで、インフレーター59の各ボルト61cを挿通孔27aから突出させるとともに、インフレーター本体60の端部を挿通孔26cから突出させるようにして、インフレーター59を、折り畳まれたエアバッグ67とともに、ケース25内に収納させる。
【0041】
そして、エアバッグカバー48を、ケース25に組み付ける。このとき、まず、エアバッグカバー48における上側壁部52の各係止穴部52aに、それぞれ、ケース周壁部26に形成された各係止爪部29を挿入させて、先端29aを、係止穴部52a周縁に係止させる。その後、下側壁部53の各係止穴部53aに、それぞれ、ケース周壁部26に形成された各係止突起30を挿入させる。さらに、押え部材34を、下側壁部53から突出している突出部30aの挿入孔30bに、挿入させるようにして配置させるとともに、ケース底壁部27側において、インフレーター59のボルト61cを押え部材34から突出させる。その後、インフレーター59のボルト61cにナット62を螺合させれば、エアバッグカバー48をケース25に組み付けることができて、エアバッグ組付体SAを形成することができる。
【0042】
次いで、ニーパネル37を、ブラケット6・7・8・9を利用して、ボディ1側に取付固定し、インパネ20(アッパパネル21・ロアパネル22)をボディ1側に取付固定する。その後、エアバッグ組付体SAを、ケース23に配設される取付ブラケット31・32を利用して、ニーパネル37に取付固定する。このとき、取付ブラケット32は、ロアパネル22の開口22bから突出させた状態で、ニーパネル36の前側壁部44に形成される取付孔44aに、ボルト32aを挿通させて、ナット33止めされることとなり、取付ブラケット31は、取付孔31aを、ニーパネル37の取付部45から突出するボルト45aを挿通させて、ナット46止めされることとなる。この固定作業は、ロアパネル22の下部側の隙間と、ステアリングコラム12におけるコラムカバー19を配設させる隙間と、を利用して行なわれる。
【0043】
同時に、リード線64を結線させたコネクタ63を、ニーパネル37におけるケース取付部40の右側壁部43に形成される挿通孔43a(図4参照)や、ロアパネル22の凹部22aに形成される挿通孔(図符号省略)を経て、インフレーター59の本体60に接続させ、コラムカバー19を取り付ければ、エアバッグ装置Sを車両に搭載することができる。
【0044】
エアバッグ装置Sの車両への搭載後、リード線64を経て、インフレーター59の本体60に作動信号が入力されれば、インフレーター59のガス吐出口60aから膨張用ガスが吐出され、膨張用ガスが、ディフューザー61のガス流出口61bを経て、エアバッグ67内に流入することとなる。そして、エアバッグ67は、膨張して、図示しないラッピングフィルムを破断するとともに、エアバッグカバー48の扉部56を押圧し、破断予定部54を破断することとなる。その後、扉部56A・56Bが、ヒンジ部55を回転中心として上下に開くこととなり、エアバッグ67が、図1・6の二点鎖線で示すごとく、コラムカバー19の後面(下面)19aに沿うように、上方へ向かって大きく突出しつつ、展開膨張することとなる。
【0045】
そして、実施形態のエアバッグ装置Sでは、車両のボディ1側に取付固定されるニーパネル37が、ケース25の上部側を覆う遮蔽部41を備えていることから、エアバッグ67の展開膨張時に、仮に、ケース25がステアリングコラム12側へ侵入するように移動することとなっても、遮蔽部41により、ケース25のステアリングコラム12側への侵入が抑えられることとなる。
【0046】
従って、実施形態のエアバッグ装置Sでは、エアバッグ67の展開膨張時に、ケース25のステアリングコラム12側への干渉を抑えることが可能となる。そして、ステアリングコラム12が、衝撃吸収機構16を作動させて、衝撃吸収動作した場合にも、ステアリングコラム12側に配設される種々の付属部品17を、ケース25に干渉することなく、円滑に、移動させることができる。
【0047】
また、実施形態のエアバッグ装置Sでは、ニーパネル37にケース25(エアバッグ組付体SA)を取り付ける取付ブラケット31・32において、取付ブラケット31が、ケース25の上壁部26a側に配置され、取付ブラケット32が、ケース25の車両前方側の底壁部27側に配置されている。
【0048】
そのため、エアバッグ装置Sの作動当初、すなわち、エアバッグ67が膨張用ガスを流入させてケース開口25aから車両後方側へ突出する当初、ケース25が車両前方側へ移動するような反力を受けることとなるが、取付ブラケット32を連結させることとなるニーパネル37のケース取付部40における前側壁部44が、その反力に的確に対抗し、エアバッグ67のケース開口25aからの突出方向を安定させることができる。
【0049】
また、エアバッグ67の膨張完了時には、エアバッグ67がコラムカバー19の後面(下面)19aに沿って膨張を完了させることから、ケース25が斜め上方向に引張力を受けて、ケース25の左方から見て、ケース25が反時計方向に回転するようなモーメントを生じさせる。しかし、実施形態では、ケース25の上壁部26a側が、取付ブラケット31を介して、ニーパネル37の取付部45に固定されているため、そのモーメントに対抗し、ケース25の回転移動するような変形が防止されて、エアバッグ67の膨張完了時の姿勢を、安定して支持することができる。
【0050】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Sでは、ニーパネル37の遮蔽部41が、ステアリングコラム12の衝撃吸収時の移動方向に略沿うように、車両前方側に向かって下降するように傾斜して、形成されている。そのため、図2の二点鎖線で示すごとく、衝撃吸収機構16の作動時に、仮に、遮蔽部41と、ステアリングコラム12側の種々の付属部品17(コルゲートチューブ17a)と、が干渉しても、遮蔽部41が、ステアリングコラム12の衝撃吸収時の移動方向に略沿うように傾斜していることから、遮蔽部41とコルゲートチューブ17aとは、相互の動きを妨げるような、大きな干渉を抑えられることとなる。そのため、実施形態のエアバッグ装置Sのごとく、ステアリングコラム12側に衝撃吸収機構16が設けられている場合において、エアバッグ67の展開膨張と同時に、衝撃吸収機構16が作動した際に、遮蔽部41と、ステアリングコラム12側の付属部品17と、が干渉することとなっても、ステアリングコラム12側の衝撃吸収機構16の作動を阻害することなく、衝撃吸収機構16を、一層、的確に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両前後方向の概略縦断面図である。
【図2】実施形態である膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の概略拡大縦断面図である。
【図3】実施形態である膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の拡大縦断面図である。
【図4】図2のIV−IV部位の概略断面図である。
【図5】同実施形態で使用するエアバッグ組付体とニーパネルとロアパネルとの概略分解斜視図である。
【図6】同実施形態の膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両後方側から見た概略正面図である。
【図7】同実施形態の膝保護用エアバッグ装置において、ニーパネルのボディ側への固定状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…ボディ、
2…インパネリインフォースメント、
6・7・8・9…ブラケット、
10…ステアリングホイール、
12…ステアリングコラム、
16…衝撃吸収機構、
17…付属部品、
19…コラムカバー、
20…インストルメントパネル、
25…ケース、
25a…開口、
37…ニーパネル、
40…ケース取付部、
41…遮蔽部、
48…エアバッグカバー、
56(56A・56B)…扉部、
59…インフレーター、
67…エアバッグ、
MD…運転者、
K(KL・KR)…膝、
SA…エアバッグ組付体、
S…膝保護用エアバッグ装置。
Claims (2)
- 折り畳まれたエアバッグと該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとを収納させるとともに、車両後方側を開口させて構成されて、ステアリングコラムの下方に配設される板金製のケースと、
該ケースの開口を覆って前記エアバッグの展開膨張時に開き可能とされる扉部を有する構成のエアバッグカバーと、
前記ケース開口の周縁において、前記エアバッグカバーの車両前方側となる位置に配設されるニーパネルと、
を備えるとともに、
前記エアバッグが、前記インフレーターからの膨張用ガスを流入させて、前記扉部を押し開き、車両後方側に突出しつつ、上方に向かって展開膨張する構成の膝保護用エアバッグ装置において、
前記ニーパネルが、車両のボディ側に取付固定されるとともに、前記ケースの上部側を覆って、前記ケースの上方側への移動を規制する遮蔽部を、備えて構成されていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。 - 前記遮蔽部が、前記ステアリングコラムの衝撃吸収時の移動方向に略沿うように、車両前方側に向かって下降するように傾斜して、形成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
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