JP2004097943A - 固体塩基触媒、その製造法及びそれを用いるエポキシ化合物の製造法 - Google Patents

固体塩基触媒、その製造法及びそれを用いるエポキシ化合物の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】塩基触媒反応に高活性で、反応後の触媒分離が容易で繰り返し使用でき、調製法も経済的な固体塩基触媒を提供する。
【解決手段】水中にて金属酸化物M2+Oと金属酸化物M3+  O をAy−アニオンの存在下で温度5〜200℃で反応させ、下記一般式[1]で示され、X線回折パターンにおいて実質的にハイドロタルサイトに相当するピークを有し、かつBET法で測定された表面積が70〜500m/gである触媒を製造する固体塩基触媒の製造法。[M2+ 3+(2x+3)+[Ay−(2x+3)−・mHO ・・・・・・[1](式中、M2+は1種又は2種以上の2価の金属、M3+は1種又は2種以上の3価の金属、[Ay−]は1種又は2種以上の1〜3価のアニオン、xは1.5〜6、mは0〜30をそれぞれ表す)
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基触媒反応に好適な固体塩基触媒及びその製造法、並びに該触媒を用いる塩基触媒反応、特に該固体塩基触媒の存在下にオレフィン化合物を過酸化水素によりエポキシ化するエポキシ化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、原料化合物や反応副生成物などができるだけ環境負荷をかけないような触媒反応系、あるいは触媒分離工程において過大なエネルギーや付加薬品などを要しない反応系などが望まれているが、固体塩基触媒においては充分な性能レベルのものが得られているとは言い難い。
【0003】
ハイドロタルサイトはMgAl(OH)16CO・4H
なる組成を有する層状粘度鉱物であり、固体塩基触媒として期待されているものの一つである。
【0004】
ハイドロタルサイトを基本構造とし、金属種及び/又はアニオン種やそれらの組成比などを種々変更して合成された広義のハイドロタルサイトの構造、調製法、物理的性質、触媒としての応用例などについて、総説がある(非特許文献1参照)。
【0005】
上記総説にも記載されている如く、ハイドロタルサイトは下記一般式で表される。
【0006】
[M2+ 1−x3+ (OH)x+(Ay−x/y・mHO  A:アニオン
【0007】
純粋なハイドロタルサイトの層状構造を得るためには金属原子比基準で下記組成範囲が必要とされる。
【0008】
0.2≦M2+/[M2++M3+]≦0.4 ・・・・・・[2]
【0009】
このことは、
0.67≧[M3+/M2+]≧0.25
であることを示し、組成はM2+がM3+に比べ大きい範囲に限定されている。一例として、[MgAl(OH)16]CO・4HOが挙げられる。
【0010】
ハイドロタルサイトの調製法は、金属硝酸塩などの所定金属塩の水溶液に水酸化ナトリウムなどのアリカリ金属を加えてpHを適当な値に調整して目的物を沈殿させる方法(以下「金属塩法」という)と、所定の金属酸化物を水中で500℃付近に加熱させるいわゆる「水熱合成反応」を用いる方法(以下「水熱法」という)との2つに大別される。
【0011】
ハイドロタルサイトのMg金属やAl金属の一部又は全部を遷移金属など酸化還元反応に関わる金属に置き換えたハイドロタルサイト系触媒については、例えばバイヤービリガー酸化反応(特許文献1参照)や、アルコールからケトンへの酸化反応(特許文献2参照)、あるいはC1ケミストリーに関わるメタン、メタノールへの還元反応(上記総説)など、酸化還元反応への適用例が知られている。
【0012】
一方、MgとAl以外の金属種を基本組成として含まないハイドロタルサイト系触媒は、一般に固体塩基触媒の範疇に属し、主としてその塩基性特性を活かした反応系への適用が検討されている。上記総説に示されている如きエポキシドの重合反応やアルドール縮合反応がその例である。
【0013】
最近、本発明者により、「金属塩法」による特定の調製法で得られるハイドロタルサイト系触媒Mg10Al(OH)24COがオレフィン化合物の過酸化水素によるエポキシ化反応に高活性を示すことが述べられた(非特許文献2及び3参照)。
【0014】
また本発明者により、Mg金属、Al金属からなる該ハイドロタルサイト系触媒又は該触媒を特定条件下で焼成した触媒が、エポキシ化合物への二酸化炭素の挿入反応による環状炭酸エステルの製造反応に有効であることが示された(特許文献3参照)。
【0015】
また、ハイドロタルサイトMg10Al(OH)24・COを特定の表面処理剤で処理した触媒が、過酸化水素水によるオレフィンのエポキシ化反応に有効であることが示された(特許文献4参照)。
【0016】
他方、水熱法に関しては、金属酸化物を水中で100℃付近の低温で熱処理(以下「低温酸化物法」と略記する)して目的物を得る方法が開示されてはいるものの、これは層状結晶構造のハイドロタルサイト系に至る中間体モデルとしての研究に関するものであり、この物質の触媒としての性能はこれまで具体的には全く検討されて来なかった(非特許文献4及び非特許文献5参照)。
【0017】
また上記エポキシ反応においては、一般的には金属錯体あるいはヘテロポリ酸などで代表される均一系触媒が使用されているが、これらは反応後、触媒の分離がしにくい欠点を有する。そのため、反応後に簡単な濾過工程で触媒分離が達成できる不均一系触媒が検討されているが、満足な触媒性能レベルに達していない。これら不均一系触媒の中でも特に代表的なものとしていわゆるTS−1系と称されるチタノシリケート触媒が開発されているが、該触媒は酸点が共存しているのが欠点であり、それに由来する副反応を抑制するため種々の触媒修飾が試みられているが未だ充分解決できているとは言いがたい。
【0018】
一方、予め製造された過酸化水素水溶液を原料とするのではなく、反応系内又は隣接装置を用いて酸素と水素から特定の金属で接触的に過酸化水素を発生させ(いわゆる「in situ」あるいは「on site」法)、この過酸化水素を用いてエポキシ化反応を行う方法がより合理的な方法として検討されている(特許文献5参照)。
【0019】
水性媒体中にて酸素と水素から特定の金属で接触的に過酸化水素を効率的に発生させる技術は開示されているが(特許文献6参照)、エポキシ化反応では充分な反応性を得るよう、30重量%程度の過酸化水素水溶液を多量の有機溶媒で5%程度にまで希釈することが望まれ、そのため希釈前の過酸化水溶液濃度は更に高濃度のレベルを確保しておく必要があり、結果として高圧装置に伴う安全性が求められ高価な設備費を要すると言った問題があった。
【0020】
上記特許文献5では特定の有機溶媒系と触媒を採用することにより、低濃度過酸化水素でも充分なエポキシ化反応活性が得られることが開示されているが、この場合多量の有機溶剤の使用が必須であった。そこで、実質的に水溶媒系で、可能な限り低濃度の過酸化水素水溶液でも充分なエポキシ化反応活性を有する反応系が望まれた。該系において上記のような高濃度過酸化水素の使用に伴う問題を解消できる過酸化水素水溶液濃度の上限は、通常15%程度と言われている。
【0021】
水溶媒系における低濃度過酸化水素によるオレフィンのエポキシ化反応としては、特定のポリオキソメタレートをシリカに固定化した触媒系を用い、過酸化水素/オレフィンのモル比2の条件下、15%過酸化水素水溶液の使用で97%以上の収率が得られることが述べられている(非特許文献6参照)。
【0022】
また、上記特許文献4には、上記非特許文献6とは異なる表面処理を施した特定のハイドロタルサイト触媒系を用い、「低濃度」過酸化水素水溶液の使用による水媒体系でのオレフィンのエポキシ化反応が記載されているが、その明細書にもあるように「低濃度」とは35%以下の濃度のことであり、実施例でも30%という高濃度の過酸化水素水溶液が使用されている。
【0023】
特定のチタノシリカライト触媒の使用によりオレフィンのエポキシ化反応において、約2〜約60%の過酸化水素水溶液の使用が開示されており、低濃度過酸化水素の使用が可能との記載がなされているが(特許文献7参照)、水系のみの媒体でも可能との具体的記載はなく、実施例でも30%過酸化水素を多量のメタノールで5%に希釈した媒体系が使用されている。
【0024】
更に特定のオレフィン類であるα,β−不飽和カルボニル化合物のエポキシ化反応においては、上記非特許文献3の引用文献に各種α,β−不飽和カルボニルケトン類のエポキシ化反応に関する従来技術が紹介されているが、これらは他のオレフィン類に対するのと同様に主として有機溶媒中で有機過酸化物を使用するものであり、水主体の媒体系で過酸化水素、酸素を酸化剤として使用する場合にはニトリル化合物やアミド化合物など過酸化物中間体を生成させる化合物の共存下での均一反応に関するものであった。また、特定のオレフィンであるβ−スチリルフェニルケトンの次亜塩素酸塩によるエポキシ化反応において、第4級アンモニウム塩を使用した水媒体系が有効であることが開示されているが(例えば特許文献8参照)、これも均一反応によるものである。
【0025】
またα,β−不飽和エステル化合物のエポキシ化反応についても上記と同様にアクリル酸エステル類の次亜ハロゲン酸イオンによる均一系でのエポキシ化反応が開示されている(特許文献9参照)。また、特定のα,β−不飽和エステル化合物についてハイドロタルサイト系触媒によるエポキシ化反応に関する開示がなされているが(非特許文献7参照)、反応系は実質的にメタノールを溶媒とするだけでなく、該触媒はハイドロタルサイトを450℃で焼成したものであり、通常この温度領域での処理ではハイドロタルサイト構造が消失する。
【0026】
このように、アルドール縮合反応、(過酸化水素/アルカリ)によるオレフィン類のエポキシ化反応などの塩基触媒反応においては、反応後の触媒分離が容易な固体触媒としてハイドロタルサイト系触媒を用いる技術が開示されてはいるが、これらは反応速度や転換率あるいは収率の点で不満足なものであり、触媒調製においては環境調和型への転換などの点で問題を含むものである。特にオレフィン類のエポキシ化反応においては、固体触媒を用いた過酸化水素による有効なエポキシ化反応例は未だごく限定された例しかなく、活性、選択性の点でより高性能な固体触媒の開発が望まれる。
【0027】
しかも酸化剤としては地球環境的観点からクリーンな過酸化水素水溶液を用い、好ましくは水系媒体、より好ましくは低濃度の過酸化水素水溶液の選択も可能な高性能なエポキシ化反応系が望まれる。
【0028】
更に触媒調製法においても、表面修飾に伴う触媒性能の品質安定面や製造上での経済性の点での問題を解決できる技術が望まれる。
【0029】
ハイドロタルサイトが固体塩基としての性能を示すのは、成分のM2+Oに起因し、これが特定の結合様式や結晶構造に影響されて固有の固体塩基性能を発揮することが知られている。このM2+Oに着目して、「金属塩法」によりMg/Al比を2〜6に変量した触媒を調製し、α、β−不飽和カルボニル化合物のエポキシ化反応が検討されているが(非特許文献8参照)、ここで用いられた触媒は前記式[2]にほぼ合致し、正常なハイドロタルサイト調製条件ないしは若干Mgが多い条件下で得られたものである。
【0030】
また、γ−AlにMgOを担持した触媒と500℃で熱処理された焼成ハイドロタルサイトの表面特性の比較研究がなされている(非特許文献9参照)。
【0031】
一方、ハイドロタルサイトを例えば触媒として使用する場合、通常層状構造を有する結晶単位の表面のみが反応サイトに供せられるため、結果として単位量当たりの活性はハイドロタルサイト粒子の表面積に依存するところが大きく、その表面での優れた反応特性を有効に発揮させる技術が望まれている。さらに触媒調製においてもエネルギー負荷が低減され、廃棄物負荷の低減されたより環境調和型への転換だけでなく、表面改質等の二段階工程を必要とせず、触媒性能の品質安定面や製造上での経済性の改善が望まれている。
【0032】
【非特許文献1】
Catalysis Today, 11巻, 173−301頁, (1991年), 201頁
【0033】
【特許文献1】
特開平8−301813号公報
【0034】
【特許文献2】
特開2000−70723号公報
【0035】
【非特許文献2】
Chem. Commun., 295頁 (1998年)
【0036】
【非特許文献3】
J. Org. Chem., 65巻, 6897頁, (2000年)
【0037】
【特許文献3】
特開平11−226413号公報
【0038】
【特許文献4】
特開2001−64270号公報
【0039】
【非特許文献4】
J. Mater. Chem., 10巻, 2754頁, (2000年)
【0040】
【非特許文献5】
J. Mater. Chem., 12巻, 153頁, (2002年)
【0041】
【特許文献5】
特開平10−72455号公報
【0042】
【特許文献6】
特開昭63−156005号公報
【0043】
【非特許文献6】
Tetrahedron Lett., 41巻, 10009頁, (2000年)
【0044】
【特許文献7】
特開2000−26440号公報
【0045】
【特許文献8】
特開平11−92466号公報
【0046】
【特許文献9】
特開平5−39277号公報
【0047】
【非特許文献7】
Applied Catalysis A:General, 207巻, 239頁, (2001年)
【0048】
【非特許文献8】
Studies in Surface Science and Catalysis, 130巻, B, 1673頁, (2000年)
【非特許文献9】
Applied Catalysis A:General, 219巻, 69頁, (2001年)
【0049】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術の上記諸問題を解決することを企図したものである。
【0050】
本発明の第一の課題は、従来品に比べ高表面積かつ親水性を示し、アルドール縮合反応、(過酸化水素/アルカリ)によるオレフィン類のエポキシ化反応、あるいはエステル交換反応などの塩基触媒反応において、経済性の点でも地球環境対応性の点でもより高性能な固体塩基触媒を提供することにある。
【0051】
特にオレフィン類のエポキシ化反応系においては、本発明の課題は、過酸化水素水溶液を酸化剤とし、不均一系触媒の利点である反応後の触媒の分離容易性を生かし、かつ従来の固体塩基触媒に比べ高転換率かつ高選択性で、好ましくはオレフィン原料に対して必要な過酸化水素の使用量が可及的少量でも有効率が高く、また好ましくは水系媒体系も選択でき、より好ましくは低濃度過酸化水素水溶液の使用も選択できるエポキシ製造法を提供することにある。
【0052】
本発明のもう一つの課題は、触媒調製法においても表面改質等の二段階工程を必要とせず、また「金属塩法」における塩アニオンに由来する副生成物の生成が避けられ、しかも安価である方法を提供することにある。
【0053】
本発明の更にもう一つの課題は、使用時間の経過に伴い性能が低下した場合にも容易に活性を回復することができ、経済性と環境調和性の両面において優れた固体塩基触媒を提供することにある。
【0054】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、ハイドロタルサイト系触媒の従来の調製法である「金属塩法」あるいは「水熱法」とは異なり、水中にて金属酸化物M2+Oと金属酸化物M3+ をAy−アニオンの存在下で温度5〜200℃で反応させる方法(この方法を本明細書において「低温酸化物法」という。)でハイドロタルサイト系触媒を得、これの触媒特性を調べたところ、同触媒は従来品に比べ大幅に優れた固体塩基触媒特性を示すという予期せぬ好結果を得、更に本触媒は使用時間の経過に伴い性能が低下した場合にも容易に活性を回復することも確認し、本発明を完成した。
【0055】
本発明による第1のものは、水中にて金属酸化物M2+Oと金属酸化物M3+  O をAy−アニオンの存在下で温度5〜200℃で反応させ、下記一般式[1]で示され、X線回折パターンにおいて実質的にハイドロタルサイトに相当するピークを有し、かつBET法で測定された表面積が70〜500m/gである触媒を製造する固体塩基触媒の製造法に関する。
【0056】
[M2+ 3+(2x+3)+[Ay−(2x+3)−・mHO ・・・・・・[1]
【0057】
上記式中、M2+は1種又は2種以上の2価の金属、M3+は1種又は2種以上の3価の金属、[Ay−]は1種又は2種以上の1〜3価のアニオン、xは1.5〜6、mは0〜30をそれぞれ表す。
【0058】
本発明による第2のものは、水中にて金属酸化物M2+Oと金属酸化物M3+  O をAy−アニオンの存在下で温度5〜200℃で反応させ、下記一般式[1]で示され、X線回折パターンにおいて実質的にハイドロタルサイトに相当するピークを有する触媒を製造する固体塩基触媒の製造法に関する。
【0059】
[M2+ 3+(2x+3)+[Ay−(2x+3)−・mHO ・・・・・・[1]
【0060】
上記式中、M2+は1種又は2種以上の2価の金属、M3+は1種又は2種以上の3価の金属、[Ay−]は1種又は2種以上の1〜3価のアニオン、xは0.006〜0.2、mは0〜30をそれぞれ表す。
【0061】
第1及び第2発明において、上記固体塩基触媒としては、一般式[1]中、M2+がMgで、M3+がAlで、[Ay−]がOHとCO 2−からなるものが好ましい。
【0062】
第1発明による固体塩基触媒の赤外線吸収スペクトルは、3465〜3350cm−1に水酸基の吸収ピークを示す。
【0063】
第2発明では、好ましくは、ハイドロタルサイトが金属酸化物M3+  O中に含まれた形態で触媒を製造する。
【0064】
第2発明では、X線回折ピークにおける(003)及び(006)線の回折線幅から測定されるハイドロタルサイト結晶子径の平均径は、いずれも60nm以下であることが好ましい。
【0065】
本発明は、また、上記固体塩基触媒自体に関し、更に、同触媒の存在下に、反応媒体中でオレフィン化合物を過酸化水素によりエポキシ化するエポキシ化合物の製造法に関する。
【0066】
本発明によるエポキシ化合物の製造法に適用されるオレフィン化合物は好ましくはα,β−不飽和カルボニル基を有するケトン又はα,β−不飽和カルボニル基を有するエステルである。本発明によるエポキシ化合物の製造法の反応媒体は好ましくは水である。過酸化水素は好ましくは2〜15重量%の水溶液で反応に供される。オレフィン化合物のエポキシ化反応を上記触媒に加えニトリル化合物の存在下で行うことも好ましい。
【0067】
本発明方法で得られる触媒の化学構造は上記一般式[1]で表されるが、従来品とは平均粒子径や表面積などモルフォロジーの点で異なっており、その違いが従来品に比べ卓越した固体塩基触媒特性を発揮する要因の一つとも推察される。
【0068】
従来、「低温酸化物法」で得られるハイドロタルサイトについては、その生成過程の研究モデルとしての事例はあるものの、触媒としては研究対象にされたことがなかった。
【0069】
【発明の実施の形態】
上記一般式[1]で示される複合酸化物において、M2+で示される2価金属の具体例としては、Mg2+、Zn2+、Ni2+、Cu2+、Sn2+、Cd2+、Pd2+などが例示されるが、特に好ましいのはMg2+である。またM3+で示される3価金属の具体例としては、Al3+、Fe3+、Cr3+、Rh3+、Ru3+などが例示されるが、特に好ましいのはAl3+である。更にAy−で示されるアニオンの具体例としてはOH、Cl、NO 、HCO 、CO 2−、SO 2−、PO 3−、サリチル酸残基[HO(C)COO]、修酸残基[(COO) 2−]、クエン酸残基のような1価もしくは多価の有機酸残基などが例示されるが、特に好ましいのはOH、Cl、CO 2−及びSO 2−であり、中でも好ましいのはOH及びCO 2−である。
【0070】
第1発明において、xは1.5〜6、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜5である。第2発明においては、xは0.006〜0.2、好ましくは0.007〜0.1、より好ましくは0.008〜0.05、最も好ましくは0.008〜0.03、さらには0.009〜0.025である。第1及び第2発明において、xが小さ過ぎると本来の塩基性の機能が十分発揮されず、オレフィン化合物のエポキシ化反応の触媒活性が小さい。xが大き過ぎるとハイドロタルサイトの微結晶子が十分微小化せず、所期の触媒特性が得られない。
【0071】
上記一般式[1]において、mは0〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5であり、最も好ましくは0である。mが30を超えると触媒の塩基性が充分発揮できず、所期の触媒特性が得られない。
【0072】
本発明による触媒は上記一般式[1]で示される組成を有するとともに、X線回折パターンにおいて実質的にハイドロタルサイトに相当するピークを有する。更に本発明による触媒では、BET法で測定された表面積は70〜500m/g、好ましくは80〜450m/g、より好ましくは90〜400m/gである。表面積が80m/g未満でも500m/gを超えても、所期の触媒特性が得られない。
【0073】
第1発明による触媒は、赤外線吸収スペクルにおいて、水酸基の酸素原子と水素原子の伸縮振動に由来する領域において、従来の吸収ピークに比べて低波数側へシフトした吸収ピーク3465〜3350cm−1、好ましくは3455〜3400cm−1、更に好ましくは3445〜3400cm−1に吸収ピークを有する。
【0074】
本発明の触媒は、所定の金属酸化物M2+OとM3+ をAy−イオンが溶解している水媒体中にて反応させることで得られる。金属酸化物の総重量に対する水媒体の重量は、金属酸化物全体が金属水酸化物に転換されるに必要な化学量論量以上であればよい。反応初期の混合液は通常スラリー状である。水の量は、スラリーの攪拌が支障なくできるように、経済的にあるいは操作スケール的に許容できる範囲で決められる。
【0075】
アニオンAy−を水中に存在させる方法としては、これをカウンターカチオンとの塩の化合物として水に溶解させる方法が通常であり、カウンターカチオンの例として、Li、Na、Kなどのアルカリ金属イオン、Mg、Caなどのアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンが挙げられ、それら塩は単独で用いても2種以上の混合物で用いてもよい。特に好適な塩はNaCO、NaHCO、NaCl、NaPOなどのNa塩、KCO、KHCO、KSOなどのK塩、(NHCO、NH(HCO)、NHClなどのアンモニウム塩などであり、とりわけNaCOが好適である。アニオンAy−が有機酸残基である場合には、有機酸と上記金属イオンとの塩の他に、有機酸自体を水に溶解させてもよい。アニオンAy−としてのOHイオンは通常水由来で供給される。
【0076】
更に反応系(水相又は気相)中に二酸化炭素を共存させ、結果的に水中に炭酸イオンを共存させる方法も、好ましい方法の一つとして挙げられる。
【0077】
反応温度は5〜200℃、好ましくは10〜150℃、より好ましくは20〜130℃、特に好ましくは30〜120℃である。反応温度が10℃未満であると反応速度が遅すぎて調製に長時間を要し、200℃を超えると固体モルフォロジーが大きく変化し、所期の触媒特性が得られない。
【0078】
反応時間は反応温度に依存し、原料の金属酸化物M2+Oが消費され実質的に消失するまでの時間を基準に、適宜選択されるが、通常0.5時間〜15日、好ましくは3時間〜10日、更に好ましくは10時間〜8日の範囲である。
【0079】
反応は解放系、冷却管を使用する還流系、あるいはオートクレーブによる閉鎖系などで設定温度に応じて適宜行われる。
【0080】
本発明による触媒は水や有機溶剤に不溶の固形触媒であり、反応液からの触媒の分離が極めて容易である。しかもこの触媒は、使用時間の経過に伴い性能が低下した場合にも本触媒調製時に相当する温和な条件を適用するだけで容易に活性を回復し繰り返し使用することができる。
【0081】
本発明による複合酸化物[1] は、MgOとγ−Alを例にとると、得られた複合酸化物のX−線回折分析では主なピークとしてγ−Al、Al(OH) の他にハイドロタルサイト構造に相当する位置にピークが観測される。ハイドロタルサイトのピークの他にγ−Al及び/又はAl(OH)のピークが観測される場合には、γ−Al及び/又はAl(OH) のピークとハイドロタルサイトのピークの面積比からハイドロタルサイトの含量が求められる。
【0082】
またハイドロタルサイトのピークの線幅から既知の方法によってハイドロタルサイトの結晶子の平均径が算出できる。本発明による複合酸化物[1] 中のハイドロタルサイト結晶子の大きさは、2つの回折線(003)と(006)から求めることができる。この結晶子径の平均値を「平均結晶子径」とする。平均結晶子径は好ましくは60nm以下、より好ましくは50nm以下である。
【0083】
つぎに、本発明による塩基触媒反応について説明をする。
【0084】
本発明の触媒は、基本的には固体塩基触媒の範疇に属し、種々の塩基触媒反応に基づく反応に対して好適に適用できる。塩基触媒反応の例としては、過酸化水素をエポキシ化剤とするオレフィン化合物からのエポキシ化合物の製造、エステルとアルコールとのエステル交換反応、エポキシ化合物と二酸化炭素からの炭酸エステルを製造する反応、アルドール縮合、ラクトンあるいはラクチドなどの環状エステルの重合反応、エポキシドの重合反応などが挙げられ、とりわけ過酸化水素をエポキシ化剤とするオレフィン化合物からのエポキシ化合物の製造にこの触媒は好適である。
【0085】
本発明による固体塩基触媒を用いた過酸化水素をエポキシ化剤とするオレフィン化合物からのエポキシ化合物の製造において使用されるオレフィン類は、非環式、単環式、二環式又は多環式化合物であってよく、かつ、モノオレフィン、ジオレフィン又はポリオレフィンであってよい。オレフィン結合が2以上ある場合には、これらは共役結合又は非共役結合であってよい。炭素原子数2〜60個のオレフィン化合物が一般に好ましい。置換基を有していてもよいが、置換基は比較的安定な基であることが好ましい。このような炭化水素の例としてはエチレン、プロピレン、ブテン−1、イソブチレン、ヘキセン−1、ヘキセン−3、オクテン−2、デセン−1、スチレン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン、ジヒドロジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
【0086】
適当なジオレフィン炭化水素の例はブタジエン、イソプレン、ビニルシクロヘキセン、ノルボナジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼンなどである。
【0087】
オレフィン類は置換基を有していてもよく、置換基はハロゲン原子であってよい。更にまた、オレフィン類は酸素、硫黄、窒素原子、カルボニル基を、水素及び/又は炭素原子と共に含有してなる種々の置換基を有していてもよい。このようなオレフィン類の中で好ましい例としては、塩化アリル、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、3−ヒドロキシシクロヘキセン、ジアリルエーテル、ビス[4−(メタ)アリルオキシフェニル]メタン、2,2−ビス[4−(メタ)アリルオキシフェニル]プロパンなどの酸素原子を含有するオレフィン類、4−メチル−3−ペンテン−2−オン、4−ヘキセン−3−オン、4−オクテン−3−オン、3−フェニル−3−ブテン−2−オン、2−シクロペンテン−1−オン、3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オン、3−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、2−メチル−5−イソプロペニル−2−シクロヘキセン−1−オン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3−メチル−5、5’−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、メチルビニルケトン、ジビニルケトン、1、4−ナフトキノンなどのα、β−不飽和ケトン類を始めとするケトン類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチル、(メタ)アクリル酸アリルなどのα、β−不飽和エステル類を始めとするエステル類が挙げられる。
【0088】
本発明におけるオレフィン類のエポキシ化反応によって、二重結合部分がエポキシ化された対応するエポキシ化合物が製造される。
【0089】
ジオレフィン類のエポキシ化反応では、通常モノエポキシドとジエポキシドの混合物が製造されるが、ジオレフィンに対する過酸化水素のモル比、反応温度の調整、反応操作法の選択等によって実質的に目的のエポキシドに富んだ反応生成物を得ることもできる。
【0090】
本発明で反応剤として用いる過酸化水素は水溶液形態であってよく、その濃度は通常1〜70重量%、好ましくは2〜40重量%、更に好ましくは2〜35重量%である。濃度が70重量%を超えると安全性管理面での問題のみならず、反応の選択性の低下をきたす。濃度が1重量%以下では充分な転換率が得がたい。一般には過酸化水素水溶液の濃度が上記限度内で高いほど反応速度が向上する。
【0091】
一方、上記「in situ」あるいは「on site」法で発生させた過酸化水素によるエポキシ化反応では、使用可能な過酸化水素濃度の合理的な上限は約15%程度と言われており、その観点からはより低濃度の過酸化水素濃度でも充分な転換率が達成できるエポキシ化反応系が望まれている。
【0092】
上記観点から本発明における過酸化水素の低濃度領域における使用可能な濃度範囲は、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%、特に好ましくは3〜8重量%である。
【0093】
原料オレフィン及び過酸化水素水の供給法は、それぞれの量を一括で供給する方法でもよいし、反応の経過に応じて逐次供給する方法でもよい。
【0094】
オレフィン類と過酸化水素の使用比率は当モルでよいが、いずれか一方の原料をモル換算で過大にすることもでき、例えば、オレフィン1モル当たりの過酸化水素の使用比率は0.1〜10モル、好ましくは0.3〜7モル、更に好ましくは0.5〜5モルである。
【0095】
本発明による塩基触媒反応における触媒の使用量は、バッチ型反応方式においてはオレフィン1モル当たり0.1〜100g、好ましくは0.5〜70g、更に好ましくは1〜50g、特に好ましくは5〜30gの範囲が適当である。
【0096】
連続型反応方式においては上記触媒量比範囲における反応速度と転換率より所用の滞留時間が確保できるよう、オレフィンの供給速度に対する触媒の適切な重量比が設定される。
【0097】
本発明による塩基触媒反応に使用する溶媒は水又は有機溶媒、あるいは両者の混合溶媒である。オレフィンの反応性の点からは有機溶媒系が有利であるが、環境保護の点からは水の方が好ましく、本発明は溶媒として水又は有機溶媒のいずれも選択できる点も特徴の一つである。水又は有機溶媒の使用量は任意であるが、通常オレフィン1モルに対して、50〜10000cm 、好ましくは500〜5000cm程度である。
【0098】
上記有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、第3級ブタノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノールなどの炭素原子数1〜8の第1、2、3級の一価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの多価アルコールオリゴマー類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−第3級ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエチレングリコール、ジエトキシエチレングリコール、ジメトキシジエチレングリコールなどの直鎖、分岐、あるいは環状のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトンなどの直鎖、分岐、あるいは環状のエステル類;ジメチルホルムアミド、ニトロメタンなどの窒素化合物類;リン酸トリエチル、リン酸ジエチルヘキシルなどのリン酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、二塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類;ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ヘプタン、イソオクタンシクロペンタン、シクロヘキサンなどの直鎖、分岐、あるいは環状の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0099】
これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2以上の組み合わせで使用してもよい。
【0100】
反応温度は0〜120℃、好ましくは10〜110℃である。反応温度が110℃より高くなると過酸化水素の自己分解が著しく、エポキシドの選択性も低下の傾向にあり、0℃未満では反応が著しく遅くなる傾向にある。
【0101】
バッチ型反応における反応時間は触媒、溶媒、オレフィン、過酸化水素の濃度、反応温度などの因子に依存するが、通常、数分〜50時間、好ましくは数分〜24時間である。反応後は濾過による触媒分離後、抽出、洗浄、溶剤の減圧留去などの後処理を反応系に応じて選択して実施し、目的物を得る。
【0102】
連続型反応においても上記温度範囲が適当であり、上記反応時間に依存し目的に応じた滞留時間が設定される。
【0103】
反応後の触媒は、そのまま、あるいは洗浄及び乾燥を施した後、場合によっては触媒調製時と同様な条件下で処理を施した後、繰り返し使用することができる。
【0104】
本発明による塩基触媒反応において、いわゆる相間移動触媒あるいは界面活性剤を反応系に加えることも本発明の範囲を超えるものではない。相間移動触媒あるいは界面活性剤は、一般には反応後にその除去工程を余分に伴うことや抽出分離工程の際の分離性向上の要求を考慮して、反応速度を更に上げたい場合などに必要に応じて使用される。
【0105】
相間移動触媒としてはクラウンエーテル、ブロック重合型オリゴマー、あるいは第4級アンモニウム塩などが例示でき、経済性や安全性の観点から第4級アンモニウム塩の使用が好ましい。第4級アンモニウム塩としては、例えばヨウ化トリメチルノニルアンモニウム、ヨウ化トリメチルトリデシルアンモニウム、臭化トリメチルオクチルアンモニウム、臭化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ヨウ化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、臭化トリプロピルヘキサデシルアンモニウム、臭化テトラドデシルアンモニウム、臭化トリメチルドデシルアンモニウム、臭化ジメチルジドデシルアンモニウム等が用いられるが、好ましくは、臭化テトラドデシルアンモニウム、臭化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、臭化トリメチルドデシルアンモニウム、臭化ジメチルジドデシルアンモニウム等が用いられる。相間移動触媒の使用量はオレフィン1モル当たり0.001〜0.5モル、好ましくは0.005〜0.1モルの範囲である。
【0106】
界面活性剤は、アニオン型、カチオン型、ノニオン型、アニオン・ノニオン型及び両性型に大別されるが、カチオン型の例としては第1級アミン塩酸塩、第2級アミン塩酸塩、第3級アミン塩酸塩、又はそれらアミンの硫酸塩あるいは燐酸塩、第4級アンモニウム塩酸塩、硫酸塩あるいは燐酸塩などが挙げられる。アニオン型の例としては、高級脂肪酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、脂肪油の硫酸エステル、脂肪族アミン又はアミドの硫酸塩、脂肪続アルコールの燐酸エステル、二塩基酸エステルのスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩などが挙げられる。ノニオン型の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステルなどが挙げられる。アニオン・ノニオン型の例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンオキシプロピレンフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。両性型の例としては、アミノ酸型、ベタイン型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型などが挙げられる。界面活性剤の使用量は、オレフィン100重量部当たり通常0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部、更に好ましくは0.5〜2重量部である。
【0107】
本発明によるオレフィン類のエポキシ化反応は、ニトリル化合物やアミド化合物などの共存下でも行うことができる。ニトリル化合物やアミド化合物は、過酸化水素で酸化されてより好ましいエポキシ化反応性を有する有機ヒドロペルオキシド中間体に転換されうる。このようなニトリル化合物の例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、4−ヒドロキシブチロニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリル、フタロニトリルなどが挙げられる。アミド化合物の例としては、アセトアミド、プロピオアミド、イソブチルアミド、フェニルアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルイソプロピオアミドなどが挙げられる。
【0108】
本発明による塩基触媒反応は、酸素含有ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下のいずれの条件下も実施でき、目的に応じて適宜選択できる。
【0109】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を幾つか挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0110】
実施例1
冷却管を備えたガラス製反応器にマグネティックスターラーバーと酸化マグネシウム(0.43g)とγ−アルミナ(0.14g)を入れ、ここへ0.5MのNaCO水溶液(50ml)を加え、混合物を110℃で24時間還流攪拌した後、反応液を濾過し、得られた固形分を洗浄し、110℃で乾燥した。得られた固体生成物を触媒(A)とする。
【0111】
触媒(A)の元素分析結果は、Mg(20.7%)、Al(6.4%)、C(1.1%)、残り72%はOとHであり、この結果より触媒(A)は下記組成を有することが分かる。
【0112】
Mg10A12.8(OH)26.4CO・mH
これをAlを基準に一般式[1]の様式で表示すると下記のようになる。
【0113】
[Mg3.6Al10+[(OH) 9.4(CO2− 0.3610−
・mH
すなわち、x=3.6、2x+3=10、[Ay]=[(OH) 9.4(CO2− 0.36]。
【0114】
図1に触媒(A)のX線回折パターンを示す。同図から、触媒(A)が実質的に狭義のハイドロタルサイト構造を有することが確認された。
【0115】
BET法による触媒(A)の表面積は106m/gであった。触媒(A)の赤外線吸収スペクトルにおける水酸基の吸収ピークは3430cm−1であった。
【0116】
実施例2
酸化マグネシウムを(0.32g)、γ−アルミナを(0.14g)、0.5MのNaCO水溶液を(50ml)用いた以外は実施例1と同様にして、触媒(B)を得た。
【0117】
触媒(B)の元素分析結果はMg(22.4%)、Al(8.1%)であり、この結果より触媒(B)のMg/Alの原子比は(3.1)であることが分かる。
【0118】
図2に触媒(B)のX線回折パターンを示す。同図から、触媒(B)が実質的に狭義のハイドロタルサイト構造を有することが確認された。
【0119】
比較例1
MgCl(1.56g)とAlCl(0.37g)の水溶液(50ml)を、激しく攪拌したNaOH(1.9g)とNaCO(1.4g)の水溶液(14ml)中に室温にて滴下し、65℃で18時間攪拌した。反応液を濾過し、得られた固形分を洗浄し、110℃で乾燥した。得られた固体生成物を触媒(C)とする。
【0120】
BET法による触媒(C)の表面積は49m/gであった。図3に触媒(C)のX線回折パターンを示す。触媒(C)の赤外線吸収スペクトルにおける水酸基の吸収ピークは3590cm−1であった。触媒(C)はMg10Al(OH)24COの組成を有することが分かる。
【0121】
比較例2
MgClを(1.56g)、AlClを(1.23g)用いた以外は比較例1と同様にして、触媒(D)を得た。図4に触媒(D)のX線回折パターンを示す。
【0122】
触媒(D)はMgAl(OH)16COの組成を有することが分かる。
【0123】
実施例3〜4
触媒(A)及び(B)を用いて2−シクロペンテン−1−オンを基質として過酸化水素によるエポキシ化反応を行った。ガラス製反応器に、触媒(0.15g)、メタノール(5ml)、2−シクロペンテン−1−オン(2mmol)及び30%過酸化水素水(2mmol)を入れ、冷却管を取り付け、冷却水を流し、反応を開始した。反応温度は40℃、反応時間は1時間とした。反応終了後、二酸化マンガンを加えて未反応の過酸化水素を処理し、内部標準を加え、ガスクロマトグラフィー(GC)及びガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GC−MS)で分析を行い、オレフィン基質の転換率(%)とエポキシド生成物の収率(%)を求めた。得られた結果を表1に示す。
【0124】
【表1】
Figure 2004097943
【0125】
比較例3〜10
触媒(A)の代わりに、触媒(C)、触媒(D)、Mg化合物、Al化合物をそれぞれ触媒(A)と同量用いた以外は、実施例3と同様にしてエポキシ化反応と分析を行った。なお、NaOHは0.3mmolを使用した。得られた結果を表2に示す。
【0126】
【表2】
Figure 2004097943
【0127】
表1と表2の比較より、本発明による触媒(A)及び(B)は、従来法によるハイドロタルサイト触媒(C)及び(D)に比べて転換率及び収率において優れた触媒活性を示すことが分かる。
【0128】
また、触媒調製の原料酸化物(比較例5、6)及び、触媒調製の反応中間体と考えられる物質(比較例7、8)はいずれも低い転換率及び収率しか示さず、本発明の触媒が単にこれら不純物による見かけの高活性化に由来するものではないことが分かる。
【0129】
NaOHは高添加率を示すが(比較例9)、収率が大幅に低下しており、副反応を誘発しやすい触媒である。
【0130】
実施例5〜14
ガラス製反応器にマグネティックスターラーバーと触媒(A)(0.15g)を入れ、ここへメタノール(5ml)、表3に示すオレフィン基質(2mmol)、30%過酸化水素水溶液(0.34ml、3mmol)を加え、玉入り冷却管を取付け、冷却水を流し、反応を開始した。反応温度は40℃とした。所定時間反応後、実施例3と同様にして分析を行い、オレフィン基質の転換率(%)とエポキシド生成物の収率(%)を求めた。
【0131】
なお、実施例12〜14では、メタノールの代わりにノルマルヘプタン(5ml)、水(5ml)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(DTMAB)(0.3mmol)の混合物を用いた以外は、実施例5と同様にエポキシ化反応を行った。得られた結果を表3に示す。
【0132】
【表3】
Figure 2004097943
【0133】
a)実施例5の反応終了後、内部標準を加えて遠心分離により触媒を沈殿させ、触媒を水で数回洗った後更に炭酸ナトリウム水溶液で洗い、110℃で乾燥して1回目の再使用触媒として用いた。
【0134】
b)実施例6の反応終了後、a)と同様に触媒を処理し、2回目再使用触媒として用いた。
【0135】
比較例11〜12
触媒(A)の代わりに触媒(C)を用い、オレフィン基質として表4に示すものを用いた以外は、それぞれ実施例5及び8と同様にしてエポキシ化反応と分析を行った。得られた結果を表4に示す。
【0136】
【表4】
Figure 2004097943
【0137】
表3より、実施例5〜14において用いたα,β−不飽和ケトン類について、いずれも良好な転換率と収率が得らることが分かる。また実施例6及び7の結果より、本発明による触媒は繰り返し使用可能であることが分かる。
【0138】
表3と表4から、実施例5及び8をそれぞれ比較例11及び12と比較すると、本発明の触媒が、従来法のハイドロタルサイト系触媒より大幅に高性能であることが分かる。
【0139】
実施例15〜18
ガラス製反応器にマグネティックスターラーバーと触媒(A)(0.15g)を入れ、ここにメタノール(5ml)、表5に示すオレフィン基質(10mmol)、5%過酸化水素水溶液(9ml、15mmol)を加え、玉入り冷却管を取付け、冷却水を流し、反応を開始した。反応温度は40℃にした。所定時間反応後、二酸化マンガンを加えて未反応の過酸化水素を処理し、濾過で固形分を取り除き、実施例3と同様にして分析を行い、オレフィン基質の転換率(%)とエポキシド生成物の収率(%)を求めた。得られた結果を表5に示す。
【0140】
【表5】
Figure 2004097943
【0141】
表5より、5%の希過酸化水素水溶液を用いても、本発明の触媒は優れた触媒性能を発揮し、しかも(過酸化水素/オレフィン)=1.5という過酸化水素の高い有効率で達成できることが分かる。
【0142】
実施例19〜23
ガラス製反応器にマグネティックスターラーバーと触媒(A)(0.05g)を入れ、ここへメタノール(10ml)、表6に示すオレフィン基質(4mmol)、ベンゾニトリル(0.5ml)、30%過酸化水素水溶液(2ml、18mmol)を加え、玉入り冷却管を取付け、冷却水を流し、反応を開始した。反応温度は60℃にした。所定時間反応後、二酸化マンガンを加え未反応の過酸化水素を処理し、実施例3と同様にして分析を行い、エポキシド生成物の収率(%)を求めた。得られた結果を表6に示す。
【0143】
【表6】
Figure 2004097943
【0144】
表6から、同表のオレフィン類に対しても本発明の触媒は優れた活性を示すことが分かる。
【0145】
比較例13〜17
触媒(A)の代わりに触媒(C)を用いた以外は、それぞれ実施例19から23と同様にしてエポキシ化反応と分析を行った。得られた結果を表7に示す。
【0146】
【表7】
Figure 2004097943
【0147】
表6と表7の比較から、エポキシ化反応において、本発明による触媒は従来のハイドロタルサイトより優れた触媒活性を有することが分かる。
【0148】
実施例24
ガラス製反応器にマグネティックスターラーバーと触媒(A)(0.15g)を入れ、ここにシクロペンテン−1−オン(1.7g、20mmol)、30%過酸化水素水溶液(30mmol)を加え、玉入り冷却管を取付け、冷却水を流し、反応を開始した。反応温度は40℃にした。所定時間反応後、濾過で固形分を取り除き、濾液をNaSO水溶液で処理し残存過酸化水素を分解させた。酢酸エチルを用いて水相から生成物を抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで一晩脱水した後、酢酸エチルを蒸発除去し、純粋な2,3−エポキシシクロペンタノンを得た。実施例3と同様にして分析を行い、エポキシド生成物の収率(%)を求めた(1.8g、収率88%)。この結果を表8に示す。
【0149】
実施例25〜27
オレフィン基質として表8に示すものを用いた以外は、実施例24と同様にしてエポキシ化反応と分析を行った(収率92〜97%)。この結果を表8に示す。
【0150】
【表8】
Figure 2004097943
【0151】
実施例28
触媒(A)を用いて3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(イソホロン)を基質として過酸化水素によるエポキシ化反応を行った。ガラス製反応器にマグネティックスターラーバーと触媒(A) (0.15g)を入れ、ここにn−ヘプタン(5ml)、水(4ml)、イソホロン(2mmol)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(DTMAB)(0.3mmol)及び30%過酸化水素水(0.9ml、8mmol)を加え、冷却管を取り付け、冷却水を流した後、反応を開始した。反応温度は40℃、反応時間は12時間で反応を行った。反応終了後、実施例3と同様に分析を行い、オレフィン基質の転換率(%)とエポキシド生成物の収率(%)を求めた。
【0152】
オレフィン基質(イソホロン)の転換率は100%、エポキシド生成物(エポキシイソホロン)の収率は95%であった。
【0153】
比較例18〜27
表9に示す触媒を用い、反応時間を24時間に延長した以外は実施例28と同様にして3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(イソホロン)のエポキシ化反応と分析を行った。
【0154】
表中、MgOは予め400℃で焼成したものであり、(MgO+Al O)はMgO(0.052g)とAl O (0.018g)の物理的混合物を400℃で焼成したものである[Mg/Al=4(モル/モル)]。NaOHは触媒量として0.2mmolを用いた。
【0155】
【表9】
Figure 2004097943
実施例29
冷却管を備えたガラス製反応器にマグネティックスターラーバーと酸化マグネシウム(0.02g)とγ−アルミナ(2.1g)を入れ、ここへ0.4MのNaCO水溶液(30ml)を加え、混合物を110℃で24時間還流攪拌した後、反応液を濾過し、得られた固形分を洗浄し、110℃で乾燥した。得られた固体生成物を触媒(E)とする。
【0156】
触媒(E)についてX−線回折測定を行い、ハイドロタルサイトの(003)及び(006)の回折ピークを確認した。また、(003)と(006)のピークについて各線幅より、既存の方法(Catalysis Today,11巻,173−301頁,1991年)に従いそれぞれハイドロタルサイトの結晶子の平均径を求め、両者の平均値を平均結晶子径とした。結果を表10に示す。
【0157】
実施例30〜35
酸化マグネシウムとγ−アルミナを実施例30ではそれぞれ0.02gと2.1g、実施例31ではそれぞれ0.04gと2.1g、実施例32〜34ではそれぞれ0.08gと2.1g、実施例35ではそれぞれ0.16gと2.1g用い、表10に示す調製温度と時間を用いた以外は、実施例29と同様にして触媒(F)〜(K)を得た。
【0158】
これらの触媒について、実施例29と同様にX−線回折測定を行い、平均結晶子径を求めた。
【0159】
触媒(E)(G)(I)(K)のX線回折パターンを図5に示す。
【0160】
触媒(E)(G)(I)(K)については、(003)ピークと(γ−アルミナ/水酸化アルミニウム)のピークの面積比からハイドロタルサイト含量を求めた。
【0161】
結果を表10に示す。
【0162】
【表10】
Figure 2004097943
【0163】
比較例18〜19
酸化マグネシウムとγ−アルミナを比較例18ではそれぞれ0.32gと0.21g、比較例19ではそれぞれ0.32gと0.14g用い、表11に示す調製温度と時間を用いた以外は、実施例29と同様にして触媒(L)〜(M)を得た。
【0164】
これらの触媒について、実施例29と同様にX−線回折測定を行い、平均結晶子径を求めた。また、これら触媒については、(003)ピークと(γ−アルミナ/水酸化アルミニウム)のピークの面積比からハイドロタルサイト含量を求めた。結果を表11に示す。
【0165】
【表11】
Figure 2004097943
【0166】
実施例36〜37
実施例36では触媒(E)を、実施例37では触媒(G)を用いて、シクロオクテンを基質として過酸化水素によるエポキシ化反応を行った。
【0167】
ガラス製反応器に、マグネティックスターラーバー、触媒(0.1g)、メタノール(10ml)、シクロオクテン(4mmol)、ベンゾニトリル(6ml)及び30%過酸化水素水(16mmol)を入れ、玉入れ冷却管を取り付け、冷却水を流し、反応を開始した。反応温度は40℃とした。反応開始時より4時間後に反応液を採取し、二酸化マンガンを加えて未反応の過酸化水素を処理し、内部標準を加え、ガスクロマトグラフィー(GC)及びガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GC−MS)で分析を行い、エポキシド生成物の収率(%)を求め、この値から下記式により「エポキシ化速度」を算出した。
【0168】
エポキシ化速度(mmol/h・g−HT)
=(4mmol)×[エポキシド収率(%)/100]×(1/X)
×{1g/[W(g)×wt%−HT/100]}
式中、g−HT、wt%−HT及びWはそれぞれハイドロタルサイトの重量(g)、含率(%)及び使用触媒量を表し、Xはサンプリング時間(hr)を表す。
【0169】
結果を表12に示す。
【0170】
【表12】
Figure 2004097943
【0171】
比較例20
触媒(E)を 触媒(M)に変え、触媒使用量を0.05gに変えた以外は実施例36と同様にして反応を行った。
【0172】
エポキシ化速度は、20mmol/h・g−HTであった。
【0173】
【発明の効果】
本発明によるハイドロタルサイト系固体塩基触媒の製造法では、2価の金属酸化物と3価の金属酸化物を水中で低温で反応させるので、金属塩の中和法や水熱法に比べ製造に要するエネルギーの低減、廃棄物量の低減が達成でき、経済性の面から利点が大きい。
【0174】
本発明による固体塩基触媒は、ハイドロタルサイトの微細な結晶子から構成され、従来品に比べ高表面積かつ親水性を示す。したがって、これは塩基触媒反応、特にオレフィンの過酸化水素によるエポキシ化反応において高反応速度を与える。
【0175】
本発明による固体塩基触媒は該エポキシ化反応においてオレフィンに対する低い過酸化水素モル量でも有効であり、また有機系溶媒以外に水溶媒も適用でき、低い過酸化水素濃度でも高触媒性能を示す。この触媒は不均一系触媒であるので、反応後の触媒分離が容易である。
【0176】
これら観点から本発明による触媒は環境保護及び経済性の両面から高性能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は触媒(A)のX線回折パターンを示す。
【図2】図2は触媒(B)のX線回折パターンを示す。
【図3】図3は触媒(C)のX線回折パターンを示す。
【図4】図4は触媒(D)のX線回折パターンを示す。
【図5】図5は触媒(E)(G)(I)(K)のX線回折パターンを示す。

Claims (12)

  1. 水中にて金属酸化物M2+Oと金属酸化物M3+  O をAy−アニオンの存在下で温度5〜200℃で反応させ、下記一般式[1]で示され、X線回折パターンにおいて実質的にハイドロタルサイトに相当するピークを有し、かつBET法で測定された表面積が70〜500m/gである触媒を製造する固体塩基触媒の製造法。
    [M2+ 3+(2x+3)+[Ay−(2x+3)−・mHO ・・・・・・[1]
    (式中、M2+は1種又は2種以上の2価の金属、M3+は1種又は2種以上の3価の金属、[Ay−]は1種又は2種以上の1〜3価のアニオン、xは1.5〜6、mは0〜30をそれぞれ表す。)
  2. 水中にて金属酸化物M2+Oと金属酸化物M3+  O をAy−アニオンの存在下で温度5〜200℃で反応させ、下記一般式[1]で示され、X線回折パターンにおいて実質的にハイドロタルサイトに相当するピークを有する触媒を製造する固体塩基触媒の製造法。
    [M2+ 3+(2x+3)+[Ay−(2x+3)−・mHO ・・・・・・[1]
    (式中、M2+は1種又は2種以上の2価の金属、M3+は1種又は2種以上の3価の金属、[Ay−]は1種又は2種以上の1〜3価のアニオン、xは0.006〜0.2、mは0〜30をそれぞれ表す。)
  3. 一般式[1]中、M2+がMgであり、M3+がAlであり、[Ay−]がOHとCO 2−からなる請求項1又は2に記載の固体塩基触媒の製造法。
  4. 赤外線吸収スペクトル測定において、水酸基の吸収ピークが3465〜3350cm−1にある請求項1に記載の固体塩基触媒の製造法。
  5. ハイドロタルサイトが金属酸化物M3+  O 中に含まれた形態で触媒を製造する請求項2に記載の固体塩基触媒の製造法。
  6. X線回折ピークにおける(003)及び(006)線の回折線幅から測定されるハイドロタルサイト結晶子径の平均径が、いずれも60nm以下である請求項2に記載の固体塩基触媒の製造法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法により製造された固体塩基触媒。
  8. 請求項7記載の固体塩基触媒の存在下に、反応媒体中でオレフィン化合物を過酸化水素によりエポキシ化するエポキシ化合物の製造法。
  9. オレフィン化合物がα,β−不飽和カルボニル基を有するケトン又はα,β−不飽和カルボニル基を有するエステルである請求項8に記載のエポキシ化合物の製造法。
  10. 反応媒体が水である請求項8又は9に記載のエポキシ化合物の製造法。
  11. 過酸化水素を2〜15重量%の水溶液で反応に供する請求項8〜10のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造法。
  12. ニトリル化合物の存在下で行われる請求項8〜11のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造法。
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