JP2004095340A - 自発光型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自発光型表示素子を挟むように、第一の偏光層と第二の偏光層を設け、第一の偏光層と第二の偏光層の透過軸が互いに直交するように設定した。
【選択図】 図10
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧を印加することにより発光するEL(エレクトロルミネッセント)素子等の自発光型の発光素子を用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
EL素子は比較的低電圧で発光し、また製造が簡単なことから、将来性が期待されている発光素子である。実用上問題があるとされてきた素子寿命に関しても実用レベルに達し、車載用オーディオ用や携帯電話用に採用されはじめている。
【0003】
従来のEL素子の構成を図6に示す。図示するように、このEL素子は、ガラス等の基板1上に、順次、インジウム錫オキサイド(ITO)等からなる透明電極31、正孔輸送層32、発光層33、アルミニウム等からなる電極34が積層されている。ここで、透明電極31、正孔輸送層32、発光層33、電極34によりEL素子部11を構成している。このようなEL素子においては、透明電極31を陽極、電極34を陰極として用い、陽極と陰極からそれぞれ注入した正孔と電子とが発光層33内で再結合し、EL光211を放射する。そのEL光211が基板1を透過してEL素子外に放射するようになっている。
【0004】
図6で示したEL素子の構成以外にも、例えば、(1)陽極/発光層/陰極、(2)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(3)陽極/発光層/電子輸送層/陰極、(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、等の各種構造のものがある。
【0005】
また、他のEL素子の従来構成を図7に示す。図示するように、EL素子は、基板1上にITO等からなる透明電極31、正孔輸送層32、発光層33、アルミニウム等からなる電極35が積層されている。ここで、透明電極31、正孔輸送層32、発光層33、電極35によりEL素子部12を構成している。このようなEL素子においては、透明電極31を陽極、電極35を陰極として用い、陽極と陰極からそれぞれ注入した正孔と電子とが発光層33内で再結合し、EL光213を放射する。この際、電極35の膜厚を充分薄くすることにより(例えば20nm以下)、EL光212が電極35を透過してEL素子外部に放射するようになっている。
【0006】
また、従来のEL素子の他の構成例を図8に示す。このEL素子は、基板1上にITO等からなる透明電極31、正孔輸送層32、発光層33、電子輸送層36、ITO等からなる電極37が積層されている。このような構成のEL素子は山形大学の城戸らによって提案されている。ここでは、透明電極31を陽極、電極37を陰極として用い、陽極と陰極からそれぞれ注入した正孔と電子とが発光層33内で再結合し、図示したEL光214とEL光215を放射する。そのEL光215が基板1を透過して有機EL素子外に放射され、EL光214が電極37を透過してEL素子外に放射されるようになっている。
【0007】
図7及び図8のようなEL素子は電圧無印加状態では透明であり、電圧印加時には、EL光を発光する。このような透明な背景に発光を浮き出させるディスプレイはシースルーディスプレイと称され車載用途などが提案されている。
【0008】
図4は、図6で示したEL素子を背面ディスプレイ付き折りたたみ式携帯電話のディスプレイに応用した両面表示ディスプレイの一例であり、基板1上にEL素子部2を形成し、外気と遮断する封止構造3を有する二個のEL素子を封止構造3の面を合わせて積層した構造となっている。電圧印加により、それぞれEL光211を放射する。このような構造はEL素子二個分の厚みを有するため、薄型を要求される携帯電話用途のディスプレイとしては限界があった。
【0009】
図5は、図7で示したEL素子を背面ディスプレイ付き折りたたみ式携帯電話の両面表示ディスプレイに応用を試みた他の例であり、基板1上にEL素子部12を形成し、外気と遮断する封止構造3を有する。駆動回路のプログラムの切り換えによりEL光212とEL光213の両面で表示を視認できる。しかしながら、このような構成の両面表示ディスプレイには以下のような課題があった。図11を用いてこれを説明する。図11で示したELセル10は図7や図8のような両面発光するEL素子構成になっていて、電圧印加により発光部101よりEL光121、EL光123を放射し、観測者200はEL光121の表示を視認する。また、外光130と外光132はELセル10を透過して透過光131と透過光133となる。更に、外光130の一部はELセル10の基板表面と内部で数%反射し、反射光134となる。したがって、観測者200はEL光121を視認すると共に透過光133と反射光134も視認することになるため、コントラストが低下するという課題があった。また、EL光123は観測者200と反対側に放射されるため、例えばELセル10を折りたたみ式携帯電話に応用した場合には他人にEL光132を見られる危険があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、両面から観察できる表示装置を自発光型の表示素子で構成する場合に、コントラストが低下するという課題がある。本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは薄型、高コントラストかつプライバシーを保てるEL両面ディスプレイを生産する技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の自発光型表示装置は以下のような構成とした。すなわち、本発明の自発光型表示装置は、自発光素子と、自発光素子を挟むように設けられた第一の偏光層及び第二の偏光層と、を備えるとともに、第一の偏光層と第二の偏光層の透過軸が互いに直交することとした。
【0012】
また、本発明の自発光型表示装置は、自発光素子と、自発光素子を挟むように設けられた第一の偏光層及び第二の偏光層と、自発光素子と第一の偏光層との間に設けられた第一の光学位相差層(リタデーション:Δn1d1)と、自発光素子と第二の偏光層との間に設けられた第二の光学位相差層(リタデーション:Δn2d2)と、を備えるとともに、第一の偏光層と第二の偏光層の透過軸は平行で、第一の光学位相差層(Δn1d1)と第二の光学位相差層(Δn2d2)の光学異方性の遅相軸は平行で、かつ、遅相軸と第一の偏光層の透過軸とのなす角度が外光を遮光するように設定され、400nm〜700nmの波長λの光に対してΔn1d1及びΔn2d2の値が、
Δn1d1/λ=0.25+m/2±0.05(m=0、1、2、・・・)
Δn2d2/λ=0.25+m/2±0.05(m=0、1、2、・・・)
を満たすこととした。
【0013】
このような構成により、薄型、高コントラストの両面ディスプレイを実現できる。
【0014】
さらに、自発光素子の発光領域の少なくとも一部を隠蔽する表示部開閉機構を設けた。さらに、自発光型表示装置を折りたたみ可能な構造の機器とし、表示部開閉機構が、機器の折りたたみの開閉に合わせて自動的に開閉し、機器が折りたたまれた状態の時に表示部開閉機構を開き、機器が開いた状態の時に表示部開閉機構を閉じることとする。このような構成により、機密を保護できる折りたたみ式の自発光型表示装置が実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自発光型表示装置を説明する。
【0016】
EL装置等の自発光型表示素子を挟むように、自発光型表示素子の両側に、互いの透過軸が直交するように偏光層が設けられている。
【0017】
このような構成の自発光型表示装置の表示原理を以下に説明する。自発光型表示素子の両側に第一の偏光層と第二の偏光層が配置されている。第一の偏光層5の透過軸L6と第二の偏光層の透過軸L7とは直交している。ここで、自発光型表示素子は両側方向(第一の偏光層側方向と第二の偏光層側方向)に光を発光する。すなわち、自発光型表示素子で発光した光は透過軸L6を有する第二の偏光層を透過し、偏光された光として観測者が視認する。一方、透過軸L7を有する第一の偏光層を透過した偏光光は外部に放射される。また、第一の偏光層から入射した外光は第一の偏光層を通過することで直線偏光となり、さらに自発光型表示素子を透過して第二の偏光層で吸収される。一方、第二の偏光層から入射した外光は第二の偏光層を通過することで直線偏光となり、さらに自発光型表示素子を透過して第一の偏光層で吸収される。したがって、第二の偏光層側の観測者は黒背景に偏光光(第二の偏光層を透過して偏光された光)を観測するため、コントラストが高い表示を視認できる。また、観測者が第一の偏光層側から第一の偏光層を透過して偏光された光を観測する場合も同様の効果が得られる。
【0018】
また、本発明の自発光型表示装置は、自発光素子を挟むように設けられた第一の偏光層及び第二の偏光層と、自発光素子と第一の偏光層との間に設けられた第一の光学位相差層(リタデーション:Δn1d1)と、自発光素子と第二の偏光層との間に設けられた第二の光学位相差層(リタデーション:Δn2d2)と、を備えている。ここで、Δnは光学位相差層の光学異方性、dは光学位相差層の厚みである。そして、第一の偏光層と第二の偏光層の透過軸は平行であり、第一の光学位相差層(Δn1d1)と第二の光学位相差層(Δn2d2)の光学異方性の遅相軸は平行で、かつ、この遅相軸と第一の偏光層の透過軸と第一の光学位相差層のなす角度が外光を遮光するように設定され、さらに、400nm〜700nmの波長λの光に対してΔn1d1及びΔn2d2の値が、以下の式を満たしている。
【0019】
Δn1d1/λ=0.25+m/2±0.05(m=0、1、2、・・・)
Δn2d2/λ=0.25+m/2±0.05(m=0、1、2、・・・)
このような構成の自発光型表示装置の表示原理を以下に説明する。
【0020】
表裏両面側に発光する自発光素子の両面には第一の偏光層側と第二の偏光層が設けられている。すなわち、自発光素子で発光した光のうち、第二の光学位相差層を透過した光は、第二の偏光層を透過して偏光光として観測者が視認できる。一方、第一の光学位相差層を透過した光は、第一の偏光層を透過して偏光光として表示装置の外部に放射される。また、第二の偏光層側から入射する外光は透過軸L1を有する第二の偏光層を透過して直線偏光となり、遅相軸L2を有する第二の光学位相差層を透過する。このとき、例えば右回りの円偏光に変換され、自発光素子を透過する右回りの円偏光と自発光素子の表面や内部電極で反射される左回りの円偏光に分離される。自発光素子を透過した右回りの円偏光は遅相軸L3を有する第一の光学位相差層を通過して直線偏光になり、透過軸L4を有する第一の偏光層により吸収される。また、反射された左回りの円偏光は第二の光学位相差層を透過して直線偏光となり、透過軸L1を有する第二の偏光層に吸収される。ここでは、時計回りの円偏光を右回り、反時計回りの円偏光を左回りと定義する。
【0021】
また、第一の偏光層側から入射する外光は透過軸L4を有する第一の偏光層を透過して直線偏光となり、遅相軸L3を有する第一の光学位相差層を透過する。このとき、例えば左回りの円偏光に変換され、自発光素子を透過する左回りの円偏光と自発光素子の表面や内部電極で反射される右回りの円偏光に分離される。自発光素子を透過した左回りの円偏光は遅相軸L2を有する第二の光学位相差層を通過して直線偏光になり、透過軸L1を有する第二の偏光層で吸収される。一方、自発光素子で反射された右回りの円偏光は第一の光学位相差層を通過する。このとき、直線偏光に変換され、透過軸L4を有する第二の偏光層によって吸収される。
【0022】
上述のように観測者は黒背景に偏光光のみを視認することになり、極めて高コントラストの自発光型表示装置が得られる。また、観測者が反対側から表示を観測する場合も同様の効果が得られる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明の有機EL装置を更に具体的に説明する。
【0024】
(実施例1)
図1は、本実施例の有機EL装置を示す概略断面図である。図示するように、基板1の表面には有機EL素子部12が形成され、封止構造3で有機EL素子部12を封止し、有機ELセル10が構成されている。次いで、有機ELセルの両端に第一の偏光層4と第二の偏光層5が互いの透過軸が直交するように配置されている。
【0025】
このような構成の有機EL装置の表示原理を図10に基づいて説明する。有機ELセル10の両側に第一の偏光層4と第二の偏光層5が配置されている。第一の偏光層4の透過軸L7と第二の偏光層5の透過軸L6とは直交している。有機ELセル10の発光部101で発光したEL光121は透過軸L6を有する第二の偏光層5を透過し、偏光EL光216として観測者200が視認する。一方、有機ELセル10の発光部101で発光したEL光123は透過軸L7を有する第一の偏光層5を透過し、偏光EL光217は外部に放射される。また、第一の偏光層4を透過する外光110は直線偏光111に変換され、有機ELセル10を透過し直線偏光112となり、第二の偏光層5で吸収される。一方、第二の偏光層5を透過する外光90は直線偏光91に変換され、有機ELセル10を透過し直線偏光92となり、第一の偏光層4で吸収される。したがって、観測者200は黒背景に偏光EL光216を観測するため、コントラストが高い表示を視認できる。また、観測者が反対側から偏光EL光217を観測する場合も同様の効果が得られる。
【0026】
ここで、基板1は、耐熱性、耐薬品性、透明性等から、ガラス製平板が好ましい。本実施例では厚さ0.7mmの無アルカリ研磨ガラスを用いた。また、偏光層4と偏光層5には偏光板を用い、封止構造3にはガラス製平板を用い、ArガスとBaOからなる吸湿材を封入してUV硬化性の樹脂で外周をシールし有機ELセル10を構成した。有機EL素子部12は水分により寿命が低下することが既に知られており、上述した構成の他にCVD等の真空成膜によりSiNxOy等の無機保護層を形成する封止方法、印刷等により有機保護層を形成する封止方法等を用いて、封止基板を用いずに封止構造3を実現することも可能である。
【0027】
また、本実施例では、有機EL素子部12は、図7に示したように、透明電極31、正孔輸送層32、発光層33、電極35で構成した。有機層(正孔輸送層32、発光層33)としては、低分子系有機EL層、高分子系有機EL層等があるが、これらの何れも使用できる。これらの中で、製造の容易さ、動作電圧の低さ等の点で、低分子系有機EL層がより好ましい。有機EL素子部12の構成としては、例えば(1)陽極/発光層/陰極、(2)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(3)陽極/発光層/電子輸送層/陰極、(4)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極、等の各種構造のものがある。本発明においては、従来のこれら各種構成をそのまま採用できる。
【0028】
陽極(電極31)は、インジウム錫オキサイド(ITO)等の導電性透明材料で構成できる。電極31の厚みは50〜600nmが好ましい。本実施例では、150nmのインジウム錫オキサイド(ITO)を用いた。正孔輸送層は、α−NPD(α−ナフチルフェニルジアミン)等で構成することができる。正孔輸送層の厚みは5〜45nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。本実施例では、50nmのα−NPDを用いた。発光層は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)等で構成することができる。発光層の厚みは5〜45nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。本実施例では、50nm形成した。
【0029】
陰極(電極35)としては、第一陰極層と第二陰極層との二層構造で構成することができる。第一陰極層はフッ化リチウム(LiF)で構成でき、厚みは0.1〜2nmが好ましい。第二陰極層はアルミニウムが好ましい。その厚みは5〜20nmが好ましい。本実施例では、第一陰極層として0.5nm厚のフッ化リチウム(LiF)を、第二陰極層として15nm厚のアルミニウムを用いた。
【0030】
上述した各層自体は当業者に公知のもので、スパッタ、真空蒸着法等の当業者に周知の方法により形成できる。
【0031】
上述した詳細構成によれば、有機EL素子部12の透明電極31と電極35間に電圧を印加することにより、有機EL素子部12は発光し、第一の偏光層4を介して緑色の偏光EL光217、及び、第二の偏光層5を介して緑色の偏光EL光216をそれぞれ取出すことができる。また、本実施例では発光層33にAlq3を用いたが、カラー表示を行う場合には、例えば発光層に適当な色素をドーピングして用いられる。また、発光層を基板上にマトリクス状に形成し、単純マトリクス駆動やTFT素子と組み合わせたアクティブマトリクス駆動を行うことが可能なことは言うまでもない。
【0032】
(実施例2)
本実施例の有機EL装置の概略断面を図2に示す。尚、有機ELセル10の説明については、実施例1と重複する部分は省略した。図示するように、有機ELセル10を挟むように第一の偏光層4と第二の偏光層5が設けられ、さらに、有機ELセル10と第一の偏光層4との間に第一の光学位相差層7(リタデーション:Δn1d1、Δn:光学異方性、d:厚さ)、及び、有機ELセル10と前記第二の偏光層5との間に第二の光学位相差層6(リタデーション:Δn2d2)が設けられている。そして、第一の偏光層4と第二の偏光層5の透過軸は平行であり、第一の光学位相差層7(Δn1d1)と第二の光学位相差層6(Δn2d2)の光学異方性の遅相軸は平行で、かつこの遅相軸と第一の偏光層の透過軸との角度が外光を遮光するように設定されており、さらに、400nm〜700nmの波長λの光に対してΔn1d1及びΔn2d2の値が、以下の式を満たしている。
【0033】
Δn1d1/λ=0.25+m/2±0.05(m=0、1、2、・・・)
Δn2d2/λ=0.25+m/2±0.05(m=0、1、2、・・・)
なお、本実施例では、光学位相差層としてポリカーカーボネート製の延伸フィルムを用いた。また、光学位相差層の光学異方性の遅相軸を、第一の偏光層の透過軸と45°の角度になるように設定した。に配置した。
【0034】
このような構成の有機EL装置の表示原理を図9に基づいて説明する。
【0035】
有機ELセル10の発光部101で発光したEL光70は、第二の光学位相差層6を透過してEL光71となり、第二の偏光層5を透過することにより偏光EL光218として観測者200が視認できる。一方、有機ELセル10の発光部101で発光したEL光80は第一の光学位相差層7を透過してEL光81となり、第一の偏光層4を透過することにより偏光EL光219として外部に放射される。また、第二の偏光層5側から入射する外光50は、透過軸L1を有する第二の偏光層5を透過して直線偏光51となる。次いで、遅相軸L2を有する第二の光学位相差層6を透過することにより、例えば右回りの円偏光52となり、有機ELパネル10を透過する右回りの円偏光53と有機ELパネル10の表面や内部電極で反射される左回りの円偏光55に分離される。次いで、右回りの円偏光53は遅相軸L3を有する第一の光学位相差層7を通過することにより直線偏光54になり、透過軸L4を有する第一の偏光層4により吸収される。また、左回りの円偏光55は第一の光学位相差層6を通過して直線偏光56となり、透過軸L1を有する第二の偏光層5に吸収される。ここでは、時計回りの円偏光を右回り、反時計回りの円偏光を左回りと定義する。一方、円偏光52が左回りの場合は、有機ELパネル10を透過する左回りの円偏光と有機ELパネルの表面や内部電極で反射される右回りの円偏光に分離される。次いで左回りの円偏光は遅相軸L3を有する第一の光学位相差層7を通過して直線偏光54になり、透過軸L4を有する第一の偏光層4により吸収される。また、右回りの円偏光は第二の光学位相差層6を通過して直線偏光56となり、透過軸L1を有する第二の偏光層5に吸収される。
【0036】
また、第一の偏光層4側から入射する外光60は透過軸L4を有する第一の偏光層4を透過して直線偏光61となる。次いで、遅相軸L3を有する第一の光学位相差層7を透過して例えば左回りの円偏光62となり、有機ELパネル10を透過する左回りの円偏光63と有機ELパネル10の表面や内部電極で反射される右回りの円偏光65に分離される。次いで左回りの円偏光63は遅相軸L2を有する第二の光学位相差層6を通過して直線偏光64になり、透過軸L1を有する第二の偏光層5により吸収される。また、右回りの円偏光65は第一の光学位相差層7を通過して直線偏光66に戻され、透過軸L4を有する第一の偏光層4に吸収される。一方、円偏光62が右回りの場合は、有機ELパネル10を透過する右回りの円偏光と有機ELパネル10の表面や内部電極で反射される左回りの円偏光に分離される。次いで、右回りの円偏光は遅相軸L2を有する第二の光学位相差層6を通過して直線偏光64になり、透過軸L1を有する第二の偏光層5により吸収される。また、左回りの円偏光は第一の光学位相差層7を通過して直線偏光66となり、透過軸L4を有する第一の偏光層4に吸収される。
【0037】
上述のように、観測者200は黒背景に偏光EL光218のみを視認することになり、極めて高コントラストの有機EL表示装置が得られる。また、観測者が反対側から偏光EL光219を観測する場合も同様の効果が得られる。
【0038】
ここで、本実施例では、光学位相差層には日東電工製高分子一軸延伸フィルムを用いたが、新日本石油化学製高分子液晶フィルムを用いても同様の効果が得られる。
【0039】
また、図1で示した実施例の有機EL装置と図2で示した実施例の有機EL装置は、品質とコストを考慮し必要に応じて選択できる。
【0040】
(実施例3)
本実施例の有機EL装置の概略断面を図3に示す。尚、上述の各実施例と重複する部分は適宜省略する。図示するように、有機ELセル10の両側には第一の偏光層4と第二の偏光層が、互いの透過軸が直交するように配置されている。本実施例では、偏光層には偏光板を用いた。さらに、有機ELセル10の発光領域に対応するように、シャッター203を第一の偏光層4の外側に配置した。図3で説明した有機EL装置を図12と図13で示すような折りたたみ式情報機器に応用する場合を例に説明する。情報機器が折りたたまれた状態ではシャッター203を開いておき、観測者200は偏光EL光220を視認できる。また、図13は図12で示した携帯情報機器を開いた状態であり、観測者200は偏光EL光221を視認できるが、偏光EL光220はシャッター203に遮断されるため観測者201には表示が視認できない。これにより、観測者200の表示データの機密を保つことができる。
【0041】
図14を用いてシャッターの機構を簡単に説明する。有機EL装置303の両面からEL光301、302が発光し、EL光301とEL光302のデータは観測者が視認できるようにプログラム上で切り替わる。シャッターは不透明部307と透過部306により構成されている。また、シャッターを駆動するためのギヤ308が設けられ、小型モーターによりシャッターの開閉を行う。したがって、情報機器の開閉に応じてシャッターの開閉制御を自動的に行うことが可能になる。すなわち、情報機器が開状態になったときにシャッターを閉じ、情報機器が閉状態になったときにシャッターを開くような自動開閉機構を設けることで、機密を保護できる折りたたみ式情報機器が実現できる。また、シャッターに突起部308を形成することにより、この突起部308を用いてシャッターを手動にて開閉することも可能である。これにより、シャッターの自動開閉機構が故障した場合でも、表示を視認することが可能になる。携帯情報機器の外装ケース304には、表示が確認できるように両側に開口部が設けられている。
【0042】
【発明の効果】
本発明の自発光型表示装置は、自発光素子を挟むように光学層を配置することにより、薄型、高コントラストの両面ディスプレイを実現できる。さらに、片側にシャッターを設けることにより、機密を保護できる折りたたみ式表示装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である有機EL装置の断面構成を示す概略図である。
【図2】本発明の他の実施例である有機EL装置の断面構成を示す概略図である。
【図3】本発明の他の実施例である有機EL装置の断面構成を示す概略図である。
【図4】従来の有機EL素子を用いて表裏から観察可能な構成の有機EL装置を示す概略断面図である。
【図5】従来の有機EL素子を用いて表裏から観察可能な構成の有機EL装置を示す概略断面図である。
【図6】従来の有機EL素子の構成の一例を示す説明図である。
【図7】従来の有機EL素子の構成の一例を示す説明図である。
【図8】従来の有機EL素子の構成の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例の表示原理を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例の表示原理を示す説明図である。
【図11】従来の有機EL素子の観察原理を示す説明図である。
【図12】本発明の有機EL素子を用いた折りたたみ式携帯情報機器を閉じた状態を示す説明図である。
【図13】本発明の有機EL素子を用いた折りたたみ式携帯情報機器を開いた状態を示す説明図である。
【図14】本発明の有機EL素子を用いた折りたたみ式携帯情報機器のシャッターの機構を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板
4 第一の偏光層
5 第二の偏光層
6 第二の光学位相差層
7 第一の光学位相差層
10 有機ELセル
L1、L4、L6、L7 透過軸
L2、L3 遅相軸または進相軸
101 発光部
Claims (6)
- 自発光素子と、前記自発光素子を挟むように設けられた第一の偏光層及び第二の偏光層と、を備えるとともに、前記第一の偏光層と前記第二の偏光層の透過軸が互いに直交することを特徴とする自発光型表示装置。
- 自発光素子と、
前記自発光素子を挟むように設けられた第一の偏光層及び第二の偏光層と、
前記自発光素子と前記第一の偏光層との間に設けられた第一の光学位相差層(リタデーション:Δn1d1 、Δn:光学異方性、d:厚さ)と、
前記自発光素子と前記第二の偏光層との間に設けられた第二の光学位相差層(リタデーション:Δn2d2)と、を備えるとともに、
前記第一の偏光層と前記第二の偏光層の透過軸は平行で、
前記第一の光学位相差層(Δn1d1)と第二の光学位相差層(Δn2d2)の光学異方性の遅相軸は平行で、かつ、前記遅相軸と第一の偏光層の透過軸とのなす角度が外光を遮光するように設定され、
400nm〜700nmの波長λの光に対してΔn1d1及びΔn2d2の値が、
Δn1d1/λ=0.25+m/2±0.05(m=0、1、2、・・・)
Δn2d2/λ=0.25+m/2±0.05(m=0、1、2、・・・)
を満たすことを特徴とする自発光型表示装置。 - 前記光学位相補償層に高分子延伸フィルムまたは高分子液晶層を用いることを特徴とする請求項2に記載の自発光型表示装置。
- 前記自発光素子の発光領域の少なくとも一部を隠蔽する表示部開閉機構を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自発光型表示装置。
- 自発光型表示装置が折りたたみ可能な構造を有する機器であり、前記表示部開閉機構が、前記機器の折りたたみの開閉に合わせて自動的に開閉する機構を有し、前記機器が折りたたまれた状態の時に前記表示部開閉機構を開き、前記機器が開いた状態の時に前記表示部開閉機構を閉じることを特徴とする請求項4に記載の自発光型表示装置。
- 前記表示部開閉機構が、手動にて開閉する機構も備えることを特徴とする請求項5に記載の自発光型表示装置。
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