JP2004095287A - 自動車用放電電球 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程が安価であることを目的とする。
【解決手段】ピンチシール部70が1個であるから、複数個のピンチシール部を有する従来の自動車用放電電球と比較して、放電空間71中の添加物のリークを抑制することができる。この結果、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がなく、また、封止工程が1回で済む。このように、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とを必要とする従来の自動車用放電電球と比較して、製造コストが安価となる。
【選択図】 図1
【解決手段】ピンチシール部70が1個であるから、複数個のピンチシール部を有する従来の自動車用放電電球と比較して、放電空間71中の添加物のリークを抑制することができる。この結果、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がなく、また、封止工程が1回で済む。このように、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とを必要とする従来の自動車用放電電球と比較して、製造コストが安価となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ヘッドランプやフォグランプなどの光源として使用される自動車用放電電球にかかるものである。特に、この発明は、放電空間中の添加物のリークを抑制することができ、また、封止工程が1回で済み、これにより、製造コストが安価となる自動車用放電電球に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の自動車用放電電球としては、たとえば、実開平3−40756号公報に記載のもの、特開2001−210272号公報に記載のもの、特開2001−210273号公報に記載のものなどがある。以下、従来の自動車用放電電球について説明する。
【0003】
この種の自動車用放電電球は、複数の電極と、ガラス管とを備える。前記ガラス管は、複数個のピンチシール部と、放電空間を形成する発光部とを有する。前記複数の電極は、前記放電空間中に配置され、かつ、前記複数個のピンチシール部にそれぞれ気密保持されている。なお、前記放電空間中には、ハロゲン化金属、希ガス、水銀などの添加物(充填物)が封入されている。
【0004】
そして、複数の電極に電圧をかけると、この複数の電極の間において放電アークが発生して発光部が発光する。この発光部からの光がリフレクタの反射面で反射されて所定の配光パターンで路面に照射される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の自動車用放電電球は、既存の規格のバルブ、たとえば、ハロゲン電球のリフレクタをそのまま利用し、もしくは、ハロゲン電球のリフレクタの光学設計の手法をそのまま利用するために、ハロゲン電球の形状に近似した形状をなす。すなわち、前記従来の自動車用放電電球は、ハロゲン電球のフィラメントの位置や管球形状に近似させるために、複数個のピンチシール部を有する。
【0006】
ところが、前記従来の自動車用放電電球は、複数個のピンチシール部を有するので、放電空間中の添加物のリーク発生率が高い。このために、前記従来の自動車用放電電球は、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がある。また、前記従来の自動車用放電電球は、複数個のピンチシール部を有するので、ピンチシール部を形成する封止工程が複数回必要である。
【0007】
このように、前記従来の自動車用放電電球は、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とにより、製造コストが高価であるなどの課題がある。
【0008】
この発明は、放電空間中の添加物のリークを抑制することができ、また、封止工程が1回で済み、これにより、製造コストが安価となる自動車用放電電球を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、ピンチシール部を1個とし、この1個のピンチシール部に複数の電極をそれぞれ気密保持したことを特徴とする。
【0010】
この結果、請求項1にかかる発明は、ピンチシール部が1個であるから、複数個のピンチシール部を有する従来の自動車用放電電球と比較して、放電空間中の添加物のリークを抑制することができる。このために、請求項1にかかる発明は、従来の自動車用放電電球のように、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がない。また、請求項1にかかる発明は、ピンチシール部が1個であるから、封止工程が1回で済む。このように、請求項1にかかる発明は、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とを必要とする従来の自動車用放電電球と比較して、製造コストが安価となる。
【0011】
また、請求項2にかかる発明は、1個のピンチシール部の放電空間側の部分に、複数の電極に対して盛り上がった凸部を設けたことを特徴とする。
【0012】
この結果、請求項2にかかる発明は、1個のピンチシール部の凸部により、この凸部と電極との間の距離が短くなり、その分、凸部に付着した(堆積した)添加物が放電電球の始動時において電極間に発生する放電アークの熱により短時間でガス化することができる。これにより、請求項2にかかる発明は、放電電球の点灯が速い。
【0013】
また、請求項3にかかる発明は、複数の電極をブリッジ部材により保持したことを特徴とする。
【0014】
この結果、請求項3にかかる発明は、複数の電極をブリッジ部材により保持するので、複数の電極の相対位置精度(相対配置精度)が向上する。また、請求項3にかかる発明は、複数の電極を一つにまとめることができるので、封止工程などにおいて、複数の電極を一まとめで扱うことができ、その分、製造が容易となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる自動車用放電電球の実施の形態の2例を添付図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1の構成の説明)
図1〜図4は、この発明にかかる自動車用放電電球の実施の形態1を示す。
【0017】
図において、B1は、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球である。この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、ガラス管1と、3つの電極、たとえば、コモン電極2、サブ電極3、メイン電極4と、3枚の金属箔52、53、54と、3本のリード線62、63、64とを備える。
【0018】
前記ガラス管1は、たとえば、硬質ガラスからなり、ほぼ回転楕円形状の発光部7と、この発光部7の一端部(下部)に一体に設けられている1個のピンチシール部70とを有する。前記発光部7中には、1個の放電空間71が形成されている。
【0019】
前記3枚の金属箔52、53、54は、たとえば、モリブデン箔からなる。この3枚の金属箔52、53、54は、前記1個のピンチシール部70中に埋設されている。
【0020】
前記3つの電極2、3、4は、たとえば、タングステン製の丸棒(線)からなる。この3つの電極2、3、4の一端部20、30、40は、前記放電空間71中にそれぞれ突出し、かつ、隙間をあけてそれぞれ対向する。
【0021】
すなわち、コモン電極2の一端部20は、サブ電極3の一端部30とメイン電極4の一端部40との間に配置されている。前記コモン電極2の一端部20は、サブ電極3の一端部30に対向する第1端部201と、メイン電極4の一端部40に対向する第2端部202とに、鉤形状(クランク形状)に分割構成されている。
【0022】
前記第2端部202は、前記コモン電極2および前記第1端部201に対して溶接またはカシメなどにより加工固定されている。なお、逆に、前記第1端部201が、前記コモン電極2および前記第2端部202に対して溶接またはカシメなどにより加工固定されているものであっても良い。
【0023】
前記コモン電極2の第1端部201および前記サブ電極3の一端部30の直径の大きさを、前記コモン電極2の第2端部202および前記メイン電極4の一端部40の直径の大きさよりも大きくする。
【0024】
また、前記コモン電極2の第1端部201、第2端部202、前記サブ電極3の一端部30および前記メイン電極4の一端部40の先端203、204、32、42を、尖端構造とする。
【0025】
そして、前記コモン電極2の第1端部201の尖端203と前記サブ電極3の一端部30の尖端32とを結ぶ軸(以下、単にサブ電極軸と称する)O3−O3と、前記コモン電極2の第2端部202の尖端204と前記メイン電極4の一端部40の尖端42とを結ぶ軸(以下、単にメイン電極軸と称する)O4−O4とは、光軸(図示せず)に対してオフセットされている。このサブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とのオフセット量は、約0.5〜1.5mm、たとえば、約0.8mmとする。
【0026】
前記コモン電極2の他端部21、前記サブ電極3の他端部31、および、前記メイン電極4の他端部41は、前記1個のピンチシール部70中にそれぞれ埋設され、かつ、前記3枚の金属箔52、53、54にそれぞれ個別に接続されている。
【0027】
さらに、前記3本のリード線62、63、64は、たとえば、タングステン製またはモリブデン製の丸棒(線)からなる。この3本のリード線62、63、64の一端部は、前記1個のピンチシール部70中に埋設され、かつ、前記3枚の金属箔52、53、54にそれぞれ個別に接続されている。一方、この3本のリード線62、63、64の他端部は、前記ガラス管1の1個のピンチシール部70の外側に突出する。
【0028】
また、前記1個のピンチシール部70のうち前記放電空間71側の部分には、図3に示すように、前記3つの電極2、3、4に対してほぼ山形に盛り上がった凸部72が設けられている。
【0029】
さらに、前記3つの電極2、3、4のほぼ中間部は、前記放電空間71中において、ブリッジ部材8により保持されている。このブリッジ部材8は、たとえば、石英ガラスからなり、ほぼ円柱形状をなす。なお、前記ブリッジ部材8の材質や形状は、特に限定しない。
【0030】
前記ガラス管1を絶縁性の口金9に固定し、3本のリード線62、63、64を口金9のコネクタ(図示せず)に接続する。または、前記ガラス管1を内管とし、このガラス管1の外側に外ガラス管(図示せず)を設け、この外ガラス管により内管のガラス管1を保護する2重ガラス管構造となし、この2重ガラス管構造を絶縁性の口金9に固定し、3本のリード線62、63、64を口金9のターミナル(図示せず)に接続する。
【0031】
図において、90は、リフレクタである。このリフレクタ90は、曲線部の反射部91と、水平直線部の取付部92とから構成されている。前記反射部91の内面側には、前記自動車用放電電球B1の発光部7からの光を反射させる反射面93が形成されている。一方、前記取付部92には、取付孔94が設けられている。この取付孔94の縁には、ホルダ95が固定されている。このホルダ95に前記口金9が着脱可能に取り付けられることにより、前記自動車用放電電球B1は、所定の位置に配置される。
【0032】
前記自動車用放電電球B1および前記リフレクタ90をランプハウジング(図示せず)およびランプレンズもしくはアウターカバー(図示せず)により区画される灯室(図示せず)内に配置することにより、車両用灯具が構成される。この車両用灯具の口金9のターミナルにコネクタ(図示せず)を接続して、自動車用放電電球B1と電源(図示せず)とをバラスト(図示せず)を介して接続する。
【0033】
(自動車用放電電球B1の製造工程の説明)
以下、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1の製造工程について図4を参照して説明する。
【0034】
まず、3つの電極2、3、4の他端部21、31、41と3本のリード線62、63、64の一端部とを3枚の金属箔52、53、54にそれぞれ接続する(図4(A)参照)。
【0035】
つぎに、3つの電極2、3、4のほぼ中間部をブリッジ部材8により保持する(図4(B)参照)。これにより、3つの電極2、3、4と、3枚の金属箔52、53、54と、3本のリード線62、63、64とは、ブリッジ部材8を介して一体に構成される。このとき、コモン電極2の第1端部201と第2端部202とは、サブ電極3の一端部30とメイン電極4の一端部40とにそれぞれ対向し、かつ、サブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とは、所定量オフセットされている。
【0036】
つづいて、一体に構成された3つの電極2、3、4、3枚の金属箔52、53、54、3本のリード線62、63、64などにガラス管10を被せる(図4(C)参照)。このガラス管10は、一端部(上端部)がドーム状に閉塞し、かつ、他端部(下端部)が開口した管形状をなす。
【0037】
そして、ガラス管10の他端部を加熱加圧して1個のピンチシール部70と、1個の発光部7と、1個の放電空間71と、凸部72とをそれぞれ形成する(図4(D)参照)。この封止工程のとき、放電空間71中には、充填物(図示せず)封入されている。この結果、3つの電極2、3、4の他端部21、31、41と、3枚の金属箔52、53、54と、3本のリード線62、63、64の一端部とが1個のピンチシール部70中に気密保持される。また、3つの電極2、3、4の一端部20(201、202)、31、41と、ブリッジ部材8とは、放電空間71中に所定の状態で配置されている。さらに、3本のリード線62、63、64の他端部は、1個のピンチシール部70の外側に突出する。以上のようにして、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1が製造されることとなる。
【0038】
ここで、ガラス管1の材質(たとえば、硬質ガラス)とブリッジ部材8の材質(たとえば、石英ガラス)とが異なるので、ガラス管1の熱膨張(熱収縮)とブリッジ部材8の熱膨張とが異なる。このために、ガラス管1の凸部72とブリッジ部材8との間には、若干の隙間が設けられている。なお、ガラス管1とブリッジ部材8とを同一の材質のものを使用すれば、ガラス管1の凸部72とブリッジ部材8とをつけても良い。
【0039】
(実施の形態1の作用効果の説明)
この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用効果について説明する。
【0040】
まず、リード線62、63を介して、コモン電極2とサブ電極3とに電圧をかける。すると、コモン電極2の一端部20の第1端部201とサブ電極3の一端部30との間においてサブ放電アークが発生して発光部7が発光する。この発光部7からの光がリフレクタ90の反射面93で反射されてロービーム(すれ違いビーム)が得られて路面に照射される。このロービームにより、すれ違い用の配光パターンが得られる。
【0041】
つぎに、リード線62、64を介して、コモン電極2とメイン電極4とに電圧をかける。すると、コモン電極2の一端部20の第2端部202とメイン電極4の一端部40との間においてメイン放電アークが発生して発光部7が発光する。この発光部7からの光がリフレクタ90の反射面93で反射されてハイビーム(走行ビーム)が得られて路面に照射される。このハイビームにより、走行用の配光パターンが得られる。
【0042】
この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、図1に示すように、口金9が下部の取付部92に取り付けられており、一方、発光部7が上部から側部にかけての反射部91に対向するので、発光部7からの光が反射部91の反射面93に効率よく入射して反射することとなる。すなわち、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は発光部7からの光を効率よく有効利用することができる。
【0043】
そして、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、ピンチシール部70が1個であるから、複数個のピンチシール部を有する従来の自動車用放電電球と比較して、放電空間71中の添加物のリークを抑制することができる。このために、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、従来の自動車用放電電球のように、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がない。
【0044】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、ピンチシール部70が1個であるから、封止工程が1回で済む。このように、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とを必要とする従来の自動車用放電電球と比較して、製造コストが安価となる。
【0045】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、1個のピンチシール部70の放電空間71側の部分に、3つの電極2、3、4に対して盛り上がった凸部72を設けたので、この凸部72と3つの電極2、3、4との間の距離が短くなり、その分、凸部72に付着した(堆積した)添加物が放電電球B1の始動時において電極間に発生する放電アークの熱により短時間でガス化することができる。これにより、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、放電電球の点灯が速い。さらに、この実施の形態1のように、電極2、3、4にブリッジ部材8が設けられている場合、このブリッジ部材8がガラス管1の凸部72よりも放電アークに近いので、このブリッジ部材8に付着した添加物のガス化がさらに速くなる。
【0046】
特に、この実施の形態1に示すように、1個のピンチシール部70を下側にして使用する自動車用放電電球B1の場合においては、ガラス管1の下側の温度上昇速度が上側と比較して遅い傾向にあるので、前記凸部72による作用効果は、大である。すなわち、前記凸部72の作用により、下側の温度上昇速度が上側とほぼ同じ程度に速くなるので、放電空間71中の充填物のガス化が均一でかつ短時間で行われ、放電電球の点灯が速くなる。
【0047】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、3つの電極2、3、4、3枚の金属箔52、53、54、3本のリード線62、63、64などをブリッジ部材8により一まとめに保持したものである。この結果、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、3つの電極2、3、4極の一端部20(201、202)、30、40、また、3枚の金属箔52、53、54、さらに、3本のリード線62、63、64などの相対位置精度(相対配置精度)が向上する。なお、3つの電極2、3、4極の一端部20(201、202)、30、40の相対位置精度(相対配置精度)が向上することにより、放電アークの誤放電の確率を下げることができ、誤放電を確実に防止することができる。
【0048】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、3つの電極2、3、4、3枚の金属箔52、53、54、3本のリード線62、63、64などを一つにまとめることができるので、封止工程などにおいて、3つの電極2、3、4、3枚の金属箔52、53、54、3本のリード線62、63、64などを一まとめで扱うことができ、その分、製造が容易となり、電極、金属箔、リード線の配置位置が確実となる。
【0049】
特に、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201の尖端203とサブ電極3の一端部30の尖端32との間において発生するサブ放電アークの軸は、サブ電極軸O3−O3上にほぼ位置する。一方、コモン電極2の第2端部202の尖端204とメイン電極4の一端部40の尖端42との間において発生するメイン放電アークの軸は、メイン電極軸O4−O4上にほぼ位置する。そして、サブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とは、光軸に対してオフセットされているので、サブ放電アークの軸とメイン放電アークの軸とは、同じく、光軸に対してオフセットされている。
【0050】
この結果、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、サブ放電アークの軸位置とメイン放電アークの軸位置とを既存のバルブのサブフィラメントの軸位置とメインフィラメントの軸位置とに合わせれば、既存のリフレクタにそのまま使用することができる。
【0051】
しかも、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、サブ放電アークの軸とメイン放電アークの軸とがオフセットされているので、サブフィラメントの軸とメインフィラメントの軸とがオフセットされている既存のバルブを使用する既存のリフレクタの光学設計の手法をそのまま利用することができる。これにより、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、既存のリフレクタにそのまま使用することができず、リフレクタの設計変更が必要である場合であっても、既存のリフレクタの光学設計の手法をそのまま利用できるので、リフレクタの光学設計が容易となる。
【0052】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、コモン電極2の一端部20を、サブ電極3の一端部30に対向する第1端部201と、メイン電極4の一端部40に対向する第2端部202とに、分割構成したものである。この結果、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、サブ放電アークとメイン放電アークとを完全に分離させることができるので、サブ放電アークの軸とメイン放電アークの軸とをさらに確実にオフセットすることができる。
【0053】
さらに、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201、第2端部202、サブ電極3の一端部30およびメイン電極4の一端部40の大きさを、使用頻度すなわち溶融劣化の大きさに合わせて、コモン電極2の第1端部201とサブ電極3の一端部30側、コモン電極2の第2端部202とメイン電極4の一端部40側の順に大きくするものである。この結果、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201、第2端部202、サブ電極3の一端部30およびメイン電極4の一端部40の溶融劣化をほぼ均一にすることができるので、耐久性を向上され、長寿命化が図られる。
【0054】
さらにまた、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201およびサブ電極3の一端部30の直径がコモン電極2の第2端部202およびメイン電極4の一端部40の直径よりも大きいものである。このために、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201およびサブ電極3の一端部30の表面積がコモン電極2の第2端部202およびメイン電極4の一端部40の表面積よりも大きく、その分、コモン電極2の第1端部201およびサブ電極3の一端部30において、ヒートシンクの作用効果が得られる。
【0055】
すなわち、ヒートシンクの作用効果は、放電作用でコモン電極2およびサブ電極3が加熱されても、その熱がコモン電極2およびサブ電極3から効率よく放散されるので、コモン電極2およびサブ電極3の溶融劣化が防止され、コモン電極2およびサブ電極3の耐久性が向上される。
【0056】
さらにまた、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201、第2端部202、サブ電極3の一端部30およびメイン電極4の一端部40の先端203、204、32、42が尖端構造をなす。このために、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201、第2端部202、サブ電極3の一端部30およびメイン電極4の一端部40の尖端203、204、32、42から電子が飛び易く、放電効率が良くなるので、起動電圧を低くすることができ、その分、起動回路を始めとする電気回路への負荷を小さくすることができ、電気回路の耐久性が向上される。
【0057】
(実施の形態2の説明)
図5は、この発明にかかる自動車用放電電球の実施の形態2を示す。図5中、図1〜図4と同符号は、同一のものを示す。
【0058】
この実施の形態2にかかる自動車用放電電球B2は、コモン電極2の一端部22がほぼ球形形状に加工されている。また、サブ電極3の一端部30の直径の大きさをメイン電極4の一端部40の直径の大きさよりも大きくする。さらに、前記サブ電極3の一端部30および前記メイン電極4の一端部40の先端32、42を尖端構造とする。
【0059】
そして、前記コモン電極2の一端部22と前記サブ電極3の一端部30の尖端32とを結ぶサブ電極軸O3−O3と、前記コモン電極2の一端部22と前記メイン電極4の一端部40の尖端42とを結ぶメイン電極軸O4−O4とは、光軸に対してオフセットされている。このサブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とのオフセット量は、約0.5〜1.5mm、たとえば、約0.8mmとする。
【0060】
前記コモン電極2は、リード線と一体のものであって、一部23が1個のピンチシール部70中の円柱形状の絶縁体73中に埋設されており、かつ、他端部24が1個のピンチシール部70の外側に突出している。一方、サブ電極3の金属箔530と、メイン電極4の金属箔540とは、ほぼ円弧形状をなし、1個のピンチシール部70と絶縁体73との間に埋設されている。なお、前記サブ電極3およびメイン電極4は、前記コモン電極2のように、リード線と一体のものとしても良い。
【0061】
この実施の形態2にかかる自動車用放電電球B2は、以上のごとき構成からなるので、前記実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0062】
特に、この実施の形態2にかかる自動車用放電電球B2は、コモン電極2の一端部22がほぼ球形形状に加工されているので、このコモン電極2の一端部22の加工が容易となる。また、コモン電極2の一端部22がほぼ球形形状をなすので、表面積が比較的大きく、その分、ヒートシンク構造の作用効果が十分に得られる。なお、コモン電極2の一端部22の形状は、前記のほぼ球形形状の他に、回転楕円形状、円筒形などであっても良い。
【0063】
(実施の形態以外の例の説明)
なお、前記の実施の形態1、2においては、サブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とがオフセットされている。ところが、この発明は、サブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とが同一軸上に位置する場合でも良い。
【0064】
また、前記の実施の形態1、2においては、3つの電極2、3、4の一端部20(201、202)、30、40の大きさは、使用頻度すなわち溶融劣化の大きさにあわせて大きくしたものである。ところが、この発明は、複数の電極の大きさをほぼ同一としても良い。
【0065】
さらに、前記の実施の形態1、2においては、3つの電極2、3、4の一端部20(201、202)、30、40の先端を尖端構造としたものである。ところが、この発明は、複数の電極の先端を平面としても良い。
【0066】
さらにまた、前記の実施の形態1、2においては、1個の放電空間71を有するものである。ところが、この発明は、2個以上の放電空間を有するものでも良い。
【0067】
さらにまた、前記の実施の形態1、2において、ガラス管1またはおよび2重ガラス管構造の外ガラス管に、たとえば、青色や黄色などの着色塗装を施しても良い。この着色塗装により、放電アークによる発光部5からの光(可視光)の色温度を任意に変化(上昇、降下)させることができる。たとえば、発光部5からの光を、人間の目に最も感度が良い光の1つである白色光(太陽光)に、または、感度が若干低下するがデザイン上の差別化が図られる青色光に、または、フォグランプに適した黄色光などに、変化させることができる。
【0068】
さらにまた、前記の実施の形態1、2において、ガラス管1に車両用灯具のレンズ機能とリフレクタ機能とを持たせて、自動車用放電電球をシールドタイプの車両用灯具として構成しても良い。なお、リフレクタ機能は、ガラス管1の外側にアルミ蒸着や銀塗装などの反射膜や反射層を施すことにより、機能する。
【0069】
さらにまた、前記実施の形態1、2において、コモン電極2の一端部20(201、202)、サブ電極3の一端部33、メイン電極4の一端部43(以下、単に電極の一端部と称する)を、表面積が大きいヒートシンク構造とすることができる。
【0070】
たとえば、電極の一端部を、ほぼ球形状に膨張した形状、すなわち、表面積が大きいヒートシンク構造とする。また、電極の一端部を、表面積が大きい板構造のヒートシンク構造とする。さらに、電極の一端部に複数本の溝を軸方向に設けて、放射状の板構造のヒートシンク構造とする。さらにまた、電極の一端部に複数本の溝を周方向に設けて、フィン状の板構造のヒートシンク構造とする。さらにまた、電極の一端部に螺旋状の溝を設けて、螺旋状の板構造のヒートシンク構造とする。なお、このヒートシンク構造の先端を尖端構造としても良い。
【0071】
【発明の効果】
以上から明らかなように、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項1)によれば、ピンチシール部が1個であるから、複数個のピンチシール部を有する従来の自動車用放電電球と比較して、放電空間中の添加物のリークを抑制することができる。このために、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項1)は、従来の自動車用放電電球のように、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がない。
【0072】
また、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項1)によれば、ピンチシール部が1個であるから、封止工程が1回で済む。このように、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項1)は、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とを必要とする従来の自動車用放電電球と比較して、製造コストが安価となる。
【0073】
また、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項2)よれば、1個のピンチシール部の凸部により、この凸部と電極との間の距離が短くなり、その分、凸部に付着した(堆積した)添加物が放電電球の始動時において電極間に発生する放電アークの熱により短時間でガス化することができる。これにより、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項2)は、放電電球の点灯が速い。
【0074】
また、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項3)によれば、複数の電極をブリッジ部材により保持するので、複数の電極の相対位置精度(相対配置精度)が向上する。
【0075】
また、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項3)によれば、複数の電極を一つにまとめることができるので、封止工程などにおいて、複数の電極を一まとめで扱うことができ、その分、製造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の自動車用放電電球の実施の形態1を示す使用状態の断面図である。
【図2】実施の形態1にかかる自動車用放電電球を示す断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】(A)、(B)、(C)、(D)は、実施の形態1にかかる自動車用放電電球の製造工程を示す説明図である。
【図5】(A)は、この発明の自動車用放電電球の実施の形態2を示す断面図、(B)は、(A)におけるB−B線断面図である。
【符号の説明】
B1、B2 自動車用放電電球
1 ガラス管
2 コモン電極
3 サブ電極
4 メイン電極
20、30、40 一端部
201 第1端部
202 第2端部
21、31、41 他端部
203、204、32、42 尖端(先端)
22 一端部(球形)
23 一部(埋設部)
24 他端部(リード線)
52、53、54、530、540 金属箔
62、63、64 リード線
7 発光部
70 1個のピンチシール部
71 放電空間
72 凸部
73 絶縁体
8 ブリッジ部材
9 口金
90 リフレクタ
91 反射部
92 取付部
93 反射面
94 取付孔
95 ホルダ
O3−O3 サブ電極軸
O4−O4 メイン電極軸
【発明の属する技術分野】
この発明は、ヘッドランプやフォグランプなどの光源として使用される自動車用放電電球にかかるものである。特に、この発明は、放電空間中の添加物のリークを抑制することができ、また、封止工程が1回で済み、これにより、製造コストが安価となる自動車用放電電球に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の自動車用放電電球としては、たとえば、実開平3−40756号公報に記載のもの、特開2001−210272号公報に記載のもの、特開2001−210273号公報に記載のものなどがある。以下、従来の自動車用放電電球について説明する。
【0003】
この種の自動車用放電電球は、複数の電極と、ガラス管とを備える。前記ガラス管は、複数個のピンチシール部と、放電空間を形成する発光部とを有する。前記複数の電極は、前記放電空間中に配置され、かつ、前記複数個のピンチシール部にそれぞれ気密保持されている。なお、前記放電空間中には、ハロゲン化金属、希ガス、水銀などの添加物(充填物)が封入されている。
【0004】
そして、複数の電極に電圧をかけると、この複数の電極の間において放電アークが発生して発光部が発光する。この発光部からの光がリフレクタの反射面で反射されて所定の配光パターンで路面に照射される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の自動車用放電電球は、既存の規格のバルブ、たとえば、ハロゲン電球のリフレクタをそのまま利用し、もしくは、ハロゲン電球のリフレクタの光学設計の手法をそのまま利用するために、ハロゲン電球の形状に近似した形状をなす。すなわち、前記従来の自動車用放電電球は、ハロゲン電球のフィラメントの位置や管球形状に近似させるために、複数個のピンチシール部を有する。
【0006】
ところが、前記従来の自動車用放電電球は、複数個のピンチシール部を有するので、放電空間中の添加物のリーク発生率が高い。このために、前記従来の自動車用放電電球は、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がある。また、前記従来の自動車用放電電球は、複数個のピンチシール部を有するので、ピンチシール部を形成する封止工程が複数回必要である。
【0007】
このように、前記従来の自動車用放電電球は、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とにより、製造コストが高価であるなどの課題がある。
【0008】
この発明は、放電空間中の添加物のリークを抑制することができ、また、封止工程が1回で済み、これにより、製造コストが安価となる自動車用放電電球を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、ピンチシール部を1個とし、この1個のピンチシール部に複数の電極をそれぞれ気密保持したことを特徴とする。
【0010】
この結果、請求項1にかかる発明は、ピンチシール部が1個であるから、複数個のピンチシール部を有する従来の自動車用放電電球と比較して、放電空間中の添加物のリークを抑制することができる。このために、請求項1にかかる発明は、従来の自動車用放電電球のように、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がない。また、請求項1にかかる発明は、ピンチシール部が1個であるから、封止工程が1回で済む。このように、請求項1にかかる発明は、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とを必要とする従来の自動車用放電電球と比較して、製造コストが安価となる。
【0011】
また、請求項2にかかる発明は、1個のピンチシール部の放電空間側の部分に、複数の電極に対して盛り上がった凸部を設けたことを特徴とする。
【0012】
この結果、請求項2にかかる発明は、1個のピンチシール部の凸部により、この凸部と電極との間の距離が短くなり、その分、凸部に付着した(堆積した)添加物が放電電球の始動時において電極間に発生する放電アークの熱により短時間でガス化することができる。これにより、請求項2にかかる発明は、放電電球の点灯が速い。
【0013】
また、請求項3にかかる発明は、複数の電極をブリッジ部材により保持したことを特徴とする。
【0014】
この結果、請求項3にかかる発明は、複数の電極をブリッジ部材により保持するので、複数の電極の相対位置精度(相対配置精度)が向上する。また、請求項3にかかる発明は、複数の電極を一つにまとめることができるので、封止工程などにおいて、複数の電極を一まとめで扱うことができ、その分、製造が容易となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる自動車用放電電球の実施の形態の2例を添付図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1の構成の説明)
図1〜図4は、この発明にかかる自動車用放電電球の実施の形態1を示す。
【0017】
図において、B1は、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球である。この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、ガラス管1と、3つの電極、たとえば、コモン電極2、サブ電極3、メイン電極4と、3枚の金属箔52、53、54と、3本のリード線62、63、64とを備える。
【0018】
前記ガラス管1は、たとえば、硬質ガラスからなり、ほぼ回転楕円形状の発光部7と、この発光部7の一端部(下部)に一体に設けられている1個のピンチシール部70とを有する。前記発光部7中には、1個の放電空間71が形成されている。
【0019】
前記3枚の金属箔52、53、54は、たとえば、モリブデン箔からなる。この3枚の金属箔52、53、54は、前記1個のピンチシール部70中に埋設されている。
【0020】
前記3つの電極2、3、4は、たとえば、タングステン製の丸棒(線)からなる。この3つの電極2、3、4の一端部20、30、40は、前記放電空間71中にそれぞれ突出し、かつ、隙間をあけてそれぞれ対向する。
【0021】
すなわち、コモン電極2の一端部20は、サブ電極3の一端部30とメイン電極4の一端部40との間に配置されている。前記コモン電極2の一端部20は、サブ電極3の一端部30に対向する第1端部201と、メイン電極4の一端部40に対向する第2端部202とに、鉤形状(クランク形状)に分割構成されている。
【0022】
前記第2端部202は、前記コモン電極2および前記第1端部201に対して溶接またはカシメなどにより加工固定されている。なお、逆に、前記第1端部201が、前記コモン電極2および前記第2端部202に対して溶接またはカシメなどにより加工固定されているものであっても良い。
【0023】
前記コモン電極2の第1端部201および前記サブ電極3の一端部30の直径の大きさを、前記コモン電極2の第2端部202および前記メイン電極4の一端部40の直径の大きさよりも大きくする。
【0024】
また、前記コモン電極2の第1端部201、第2端部202、前記サブ電極3の一端部30および前記メイン電極4の一端部40の先端203、204、32、42を、尖端構造とする。
【0025】
そして、前記コモン電極2の第1端部201の尖端203と前記サブ電極3の一端部30の尖端32とを結ぶ軸(以下、単にサブ電極軸と称する)O3−O3と、前記コモン電極2の第2端部202の尖端204と前記メイン電極4の一端部40の尖端42とを結ぶ軸(以下、単にメイン電極軸と称する)O4−O4とは、光軸(図示せず)に対してオフセットされている。このサブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とのオフセット量は、約0.5〜1.5mm、たとえば、約0.8mmとする。
【0026】
前記コモン電極2の他端部21、前記サブ電極3の他端部31、および、前記メイン電極4の他端部41は、前記1個のピンチシール部70中にそれぞれ埋設され、かつ、前記3枚の金属箔52、53、54にそれぞれ個別に接続されている。
【0027】
さらに、前記3本のリード線62、63、64は、たとえば、タングステン製またはモリブデン製の丸棒(線)からなる。この3本のリード線62、63、64の一端部は、前記1個のピンチシール部70中に埋設され、かつ、前記3枚の金属箔52、53、54にそれぞれ個別に接続されている。一方、この3本のリード線62、63、64の他端部は、前記ガラス管1の1個のピンチシール部70の外側に突出する。
【0028】
また、前記1個のピンチシール部70のうち前記放電空間71側の部分には、図3に示すように、前記3つの電極2、3、4に対してほぼ山形に盛り上がった凸部72が設けられている。
【0029】
さらに、前記3つの電極2、3、4のほぼ中間部は、前記放電空間71中において、ブリッジ部材8により保持されている。このブリッジ部材8は、たとえば、石英ガラスからなり、ほぼ円柱形状をなす。なお、前記ブリッジ部材8の材質や形状は、特に限定しない。
【0030】
前記ガラス管1を絶縁性の口金9に固定し、3本のリード線62、63、64を口金9のコネクタ(図示せず)に接続する。または、前記ガラス管1を内管とし、このガラス管1の外側に外ガラス管(図示せず)を設け、この外ガラス管により内管のガラス管1を保護する2重ガラス管構造となし、この2重ガラス管構造を絶縁性の口金9に固定し、3本のリード線62、63、64を口金9のターミナル(図示せず)に接続する。
【0031】
図において、90は、リフレクタである。このリフレクタ90は、曲線部の反射部91と、水平直線部の取付部92とから構成されている。前記反射部91の内面側には、前記自動車用放電電球B1の発光部7からの光を反射させる反射面93が形成されている。一方、前記取付部92には、取付孔94が設けられている。この取付孔94の縁には、ホルダ95が固定されている。このホルダ95に前記口金9が着脱可能に取り付けられることにより、前記自動車用放電電球B1は、所定の位置に配置される。
【0032】
前記自動車用放電電球B1および前記リフレクタ90をランプハウジング(図示せず)およびランプレンズもしくはアウターカバー(図示せず)により区画される灯室(図示せず)内に配置することにより、車両用灯具が構成される。この車両用灯具の口金9のターミナルにコネクタ(図示せず)を接続して、自動車用放電電球B1と電源(図示せず)とをバラスト(図示せず)を介して接続する。
【0033】
(自動車用放電電球B1の製造工程の説明)
以下、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1の製造工程について図4を参照して説明する。
【0034】
まず、3つの電極2、3、4の他端部21、31、41と3本のリード線62、63、64の一端部とを3枚の金属箔52、53、54にそれぞれ接続する(図4(A)参照)。
【0035】
つぎに、3つの電極2、3、4のほぼ中間部をブリッジ部材8により保持する(図4(B)参照)。これにより、3つの電極2、3、4と、3枚の金属箔52、53、54と、3本のリード線62、63、64とは、ブリッジ部材8を介して一体に構成される。このとき、コモン電極2の第1端部201と第2端部202とは、サブ電極3の一端部30とメイン電極4の一端部40とにそれぞれ対向し、かつ、サブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とは、所定量オフセットされている。
【0036】
つづいて、一体に構成された3つの電極2、3、4、3枚の金属箔52、53、54、3本のリード線62、63、64などにガラス管10を被せる(図4(C)参照)。このガラス管10は、一端部(上端部)がドーム状に閉塞し、かつ、他端部(下端部)が開口した管形状をなす。
【0037】
そして、ガラス管10の他端部を加熱加圧して1個のピンチシール部70と、1個の発光部7と、1個の放電空間71と、凸部72とをそれぞれ形成する(図4(D)参照)。この封止工程のとき、放電空間71中には、充填物(図示せず)封入されている。この結果、3つの電極2、3、4の他端部21、31、41と、3枚の金属箔52、53、54と、3本のリード線62、63、64の一端部とが1個のピンチシール部70中に気密保持される。また、3つの電極2、3、4の一端部20(201、202)、31、41と、ブリッジ部材8とは、放電空間71中に所定の状態で配置されている。さらに、3本のリード線62、63、64の他端部は、1個のピンチシール部70の外側に突出する。以上のようにして、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1が製造されることとなる。
【0038】
ここで、ガラス管1の材質(たとえば、硬質ガラス)とブリッジ部材8の材質(たとえば、石英ガラス)とが異なるので、ガラス管1の熱膨張(熱収縮)とブリッジ部材8の熱膨張とが異なる。このために、ガラス管1の凸部72とブリッジ部材8との間には、若干の隙間が設けられている。なお、ガラス管1とブリッジ部材8とを同一の材質のものを使用すれば、ガラス管1の凸部72とブリッジ部材8とをつけても良い。
【0039】
(実施の形態1の作用効果の説明)
この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用効果について説明する。
【0040】
まず、リード線62、63を介して、コモン電極2とサブ電極3とに電圧をかける。すると、コモン電極2の一端部20の第1端部201とサブ電極3の一端部30との間においてサブ放電アークが発生して発光部7が発光する。この発光部7からの光がリフレクタ90の反射面93で反射されてロービーム(すれ違いビーム)が得られて路面に照射される。このロービームにより、すれ違い用の配光パターンが得られる。
【0041】
つぎに、リード線62、64を介して、コモン電極2とメイン電極4とに電圧をかける。すると、コモン電極2の一端部20の第2端部202とメイン電極4の一端部40との間においてメイン放電アークが発生して発光部7が発光する。この発光部7からの光がリフレクタ90の反射面93で反射されてハイビーム(走行ビーム)が得られて路面に照射される。このハイビームにより、走行用の配光パターンが得られる。
【0042】
この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、図1に示すように、口金9が下部の取付部92に取り付けられており、一方、発光部7が上部から側部にかけての反射部91に対向するので、発光部7からの光が反射部91の反射面93に効率よく入射して反射することとなる。すなわち、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は発光部7からの光を効率よく有効利用することができる。
【0043】
そして、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、ピンチシール部70が1個であるから、複数個のピンチシール部を有する従来の自動車用放電電球と比較して、放電空間71中の添加物のリークを抑制することができる。このために、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、従来の自動車用放電電球のように、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がない。
【0044】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、ピンチシール部70が1個であるから、封止工程が1回で済む。このように、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とを必要とする従来の自動車用放電電球と比較して、製造コストが安価となる。
【0045】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、1個のピンチシール部70の放電空間71側の部分に、3つの電極2、3、4に対して盛り上がった凸部72を設けたので、この凸部72と3つの電極2、3、4との間の距離が短くなり、その分、凸部72に付着した(堆積した)添加物が放電電球B1の始動時において電極間に発生する放電アークの熱により短時間でガス化することができる。これにより、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、放電電球の点灯が速い。さらに、この実施の形態1のように、電極2、3、4にブリッジ部材8が設けられている場合、このブリッジ部材8がガラス管1の凸部72よりも放電アークに近いので、このブリッジ部材8に付着した添加物のガス化がさらに速くなる。
【0046】
特に、この実施の形態1に示すように、1個のピンチシール部70を下側にして使用する自動車用放電電球B1の場合においては、ガラス管1の下側の温度上昇速度が上側と比較して遅い傾向にあるので、前記凸部72による作用効果は、大である。すなわち、前記凸部72の作用により、下側の温度上昇速度が上側とほぼ同じ程度に速くなるので、放電空間71中の充填物のガス化が均一でかつ短時間で行われ、放電電球の点灯が速くなる。
【0047】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、3つの電極2、3、4、3枚の金属箔52、53、54、3本のリード線62、63、64などをブリッジ部材8により一まとめに保持したものである。この結果、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、3つの電極2、3、4極の一端部20(201、202)、30、40、また、3枚の金属箔52、53、54、さらに、3本のリード線62、63、64などの相対位置精度(相対配置精度)が向上する。なお、3つの電極2、3、4極の一端部20(201、202)、30、40の相対位置精度(相対配置精度)が向上することにより、放電アークの誤放電の確率を下げることができ、誤放電を確実に防止することができる。
【0048】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、3つの電極2、3、4、3枚の金属箔52、53、54、3本のリード線62、63、64などを一つにまとめることができるので、封止工程などにおいて、3つの電極2、3、4、3枚の金属箔52、53、54、3本のリード線62、63、64などを一まとめで扱うことができ、その分、製造が容易となり、電極、金属箔、リード線の配置位置が確実となる。
【0049】
特に、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201の尖端203とサブ電極3の一端部30の尖端32との間において発生するサブ放電アークの軸は、サブ電極軸O3−O3上にほぼ位置する。一方、コモン電極2の第2端部202の尖端204とメイン電極4の一端部40の尖端42との間において発生するメイン放電アークの軸は、メイン電極軸O4−O4上にほぼ位置する。そして、サブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とは、光軸に対してオフセットされているので、サブ放電アークの軸とメイン放電アークの軸とは、同じく、光軸に対してオフセットされている。
【0050】
この結果、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、サブ放電アークの軸位置とメイン放電アークの軸位置とを既存のバルブのサブフィラメントの軸位置とメインフィラメントの軸位置とに合わせれば、既存のリフレクタにそのまま使用することができる。
【0051】
しかも、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、サブ放電アークの軸とメイン放電アークの軸とがオフセットされているので、サブフィラメントの軸とメインフィラメントの軸とがオフセットされている既存のバルブを使用する既存のリフレクタの光学設計の手法をそのまま利用することができる。これにより、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、既存のリフレクタにそのまま使用することができず、リフレクタの設計変更が必要である場合であっても、既存のリフレクタの光学設計の手法をそのまま利用できるので、リフレクタの光学設計が容易となる。
【0052】
また、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、コモン電極2の一端部20を、サブ電極3の一端部30に対向する第1端部201と、メイン電極4の一端部40に対向する第2端部202とに、分割構成したものである。この結果、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、サブ放電アークとメイン放電アークとを完全に分離させることができるので、サブ放電アークの軸とメイン放電アークの軸とをさらに確実にオフセットすることができる。
【0053】
さらに、この実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201、第2端部202、サブ電極3の一端部30およびメイン電極4の一端部40の大きさを、使用頻度すなわち溶融劣化の大きさに合わせて、コモン電極2の第1端部201とサブ電極3の一端部30側、コモン電極2の第2端部202とメイン電極4の一端部40側の順に大きくするものである。この結果、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201、第2端部202、サブ電極3の一端部30およびメイン電極4の一端部40の溶融劣化をほぼ均一にすることができるので、耐久性を向上され、長寿命化が図られる。
【0054】
さらにまた、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201およびサブ電極3の一端部30の直径がコモン電極2の第2端部202およびメイン電極4の一端部40の直径よりも大きいものである。このために、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201およびサブ電極3の一端部30の表面積がコモン電極2の第2端部202およびメイン電極4の一端部40の表面積よりも大きく、その分、コモン電極2の第1端部201およびサブ電極3の一端部30において、ヒートシンクの作用効果が得られる。
【0055】
すなわち、ヒートシンクの作用効果は、放電作用でコモン電極2およびサブ電極3が加熱されても、その熱がコモン電極2およびサブ電極3から効率よく放散されるので、コモン電極2およびサブ電極3の溶融劣化が防止され、コモン電極2およびサブ電極3の耐久性が向上される。
【0056】
さらにまた、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201、第2端部202、サブ電極3の一端部30およびメイン電極4の一端部40の先端203、204、32、42が尖端構造をなす。このために、この実施の形態1における自動車用放電電球B1は、コモン電極2の第1端部201、第2端部202、サブ電極3の一端部30およびメイン電極4の一端部40の尖端203、204、32、42から電子が飛び易く、放電効率が良くなるので、起動電圧を低くすることができ、その分、起動回路を始めとする電気回路への負荷を小さくすることができ、電気回路の耐久性が向上される。
【0057】
(実施の形態2の説明)
図5は、この発明にかかる自動車用放電電球の実施の形態2を示す。図5中、図1〜図4と同符号は、同一のものを示す。
【0058】
この実施の形態2にかかる自動車用放電電球B2は、コモン電極2の一端部22がほぼ球形形状に加工されている。また、サブ電極3の一端部30の直径の大きさをメイン電極4の一端部40の直径の大きさよりも大きくする。さらに、前記サブ電極3の一端部30および前記メイン電極4の一端部40の先端32、42を尖端構造とする。
【0059】
そして、前記コモン電極2の一端部22と前記サブ電極3の一端部30の尖端32とを結ぶサブ電極軸O3−O3と、前記コモン電極2の一端部22と前記メイン電極4の一端部40の尖端42とを結ぶメイン電極軸O4−O4とは、光軸に対してオフセットされている。このサブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とのオフセット量は、約0.5〜1.5mm、たとえば、約0.8mmとする。
【0060】
前記コモン電極2は、リード線と一体のものであって、一部23が1個のピンチシール部70中の円柱形状の絶縁体73中に埋設されており、かつ、他端部24が1個のピンチシール部70の外側に突出している。一方、サブ電極3の金属箔530と、メイン電極4の金属箔540とは、ほぼ円弧形状をなし、1個のピンチシール部70と絶縁体73との間に埋設されている。なお、前記サブ電極3およびメイン電極4は、前記コモン電極2のように、リード線と一体のものとしても良い。
【0061】
この実施の形態2にかかる自動車用放電電球B2は、以上のごとき構成からなるので、前記実施の形態1にかかる自動車用放電電球B1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0062】
特に、この実施の形態2にかかる自動車用放電電球B2は、コモン電極2の一端部22がほぼ球形形状に加工されているので、このコモン電極2の一端部22の加工が容易となる。また、コモン電極2の一端部22がほぼ球形形状をなすので、表面積が比較的大きく、その分、ヒートシンク構造の作用効果が十分に得られる。なお、コモン電極2の一端部22の形状は、前記のほぼ球形形状の他に、回転楕円形状、円筒形などであっても良い。
【0063】
(実施の形態以外の例の説明)
なお、前記の実施の形態1、2においては、サブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とがオフセットされている。ところが、この発明は、サブ電極軸O3−O3とメイン電極軸O4−O4とが同一軸上に位置する場合でも良い。
【0064】
また、前記の実施の形態1、2においては、3つの電極2、3、4の一端部20(201、202)、30、40の大きさは、使用頻度すなわち溶融劣化の大きさにあわせて大きくしたものである。ところが、この発明は、複数の電極の大きさをほぼ同一としても良い。
【0065】
さらに、前記の実施の形態1、2においては、3つの電極2、3、4の一端部20(201、202)、30、40の先端を尖端構造としたものである。ところが、この発明は、複数の電極の先端を平面としても良い。
【0066】
さらにまた、前記の実施の形態1、2においては、1個の放電空間71を有するものである。ところが、この発明は、2個以上の放電空間を有するものでも良い。
【0067】
さらにまた、前記の実施の形態1、2において、ガラス管1またはおよび2重ガラス管構造の外ガラス管に、たとえば、青色や黄色などの着色塗装を施しても良い。この着色塗装により、放電アークによる発光部5からの光(可視光)の色温度を任意に変化(上昇、降下)させることができる。たとえば、発光部5からの光を、人間の目に最も感度が良い光の1つである白色光(太陽光)に、または、感度が若干低下するがデザイン上の差別化が図られる青色光に、または、フォグランプに適した黄色光などに、変化させることができる。
【0068】
さらにまた、前記の実施の形態1、2において、ガラス管1に車両用灯具のレンズ機能とリフレクタ機能とを持たせて、自動車用放電電球をシールドタイプの車両用灯具として構成しても良い。なお、リフレクタ機能は、ガラス管1の外側にアルミ蒸着や銀塗装などの反射膜や反射層を施すことにより、機能する。
【0069】
さらにまた、前記実施の形態1、2において、コモン電極2の一端部20(201、202)、サブ電極3の一端部33、メイン電極4の一端部43(以下、単に電極の一端部と称する)を、表面積が大きいヒートシンク構造とすることができる。
【0070】
たとえば、電極の一端部を、ほぼ球形状に膨張した形状、すなわち、表面積が大きいヒートシンク構造とする。また、電極の一端部を、表面積が大きい板構造のヒートシンク構造とする。さらに、電極の一端部に複数本の溝を軸方向に設けて、放射状の板構造のヒートシンク構造とする。さらにまた、電極の一端部に複数本の溝を周方向に設けて、フィン状の板構造のヒートシンク構造とする。さらにまた、電極の一端部に螺旋状の溝を設けて、螺旋状の板構造のヒートシンク構造とする。なお、このヒートシンク構造の先端を尖端構造としても良い。
【0071】
【発明の効果】
以上から明らかなように、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項1)によれば、ピンチシール部が1個であるから、複数個のピンチシール部を有する従来の自動車用放電電球と比較して、放電空間中の添加物のリークを抑制することができる。このために、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項1)は、従来の自動車用放電電球のように、リーク発生率を低下させるために、ピンチシール部を確実に封止したり、あるいは、別個にリーク発生抑制手段を設けたりする必要がない。
【0072】
また、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項1)によれば、ピンチシール部が1個であるから、封止工程が1回で済む。このように、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項1)は、リーク発生率低下手段と複数回の封止工程とを必要とする従来の自動車用放電電球と比較して、製造コストが安価となる。
【0073】
また、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項2)よれば、1個のピンチシール部の凸部により、この凸部と電極との間の距離が短くなり、その分、凸部に付着した(堆積した)添加物が放電電球の始動時において電極間に発生する放電アークの熱により短時間でガス化することができる。これにより、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項2)は、放電電球の点灯が速い。
【0074】
また、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項3)によれば、複数の電極をブリッジ部材により保持するので、複数の電極の相対位置精度(相対配置精度)が向上する。
【0075】
また、この発明にかかる自動車用放電電球(請求項3)によれば、複数の電極を一つにまとめることができるので、封止工程などにおいて、複数の電極を一まとめで扱うことができ、その分、製造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の自動車用放電電球の実施の形態1を示す使用状態の断面図である。
【図2】実施の形態1にかかる自動車用放電電球を示す断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】(A)、(B)、(C)、(D)は、実施の形態1にかかる自動車用放電電球の製造工程を示す説明図である。
【図5】(A)は、この発明の自動車用放電電球の実施の形態2を示す断面図、(B)は、(A)におけるB−B線断面図である。
【符号の説明】
B1、B2 自動車用放電電球
1 ガラス管
2 コモン電極
3 サブ電極
4 メイン電極
20、30、40 一端部
201 第1端部
202 第2端部
21、31、41 他端部
203、204、32、42 尖端(先端)
22 一端部(球形)
23 一部(埋設部)
24 他端部(リード線)
52、53、54、530、540 金属箔
62、63、64 リード線
7 発光部
70 1個のピンチシール部
71 放電空間
72 凸部
73 絶縁体
8 ブリッジ部材
9 口金
90 リフレクタ
91 反射部
92 取付部
93 反射面
94 取付孔
95 ホルダ
O3−O3 サブ電極軸
O4−O4 メイン電極軸
Claims (3)
- 複数の電極とガラス管とを備える自動車用放電電球において、
前記ガラス管は、1個のピンチシール部と放電空間とを有し、前記複数の電極は、前記放電空間中に配置され、かつ、前記1個のピンチシール部にそれぞれ気密保持されている、ことを特徴とする自動車用放電電球。 - 前記1個のピンチシール部のうち前記放電空間側の部分には、前記複数の電極に対して盛り上がった凸部が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の自動車用放電電球。
- 前記複数の電極は、前記放電空間中において、ブリッジ部材により保持されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用放電電球。
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JP2009526350A (ja) * | 2006-02-06 | 2009-07-16 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 光源モジュール |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002253475A patent/JP2004095287A/ja not_active Abandoned
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