JP2004093945A - 光強度変調装置 - Google Patents

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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【課題】簡易な構成で、変調曲線Lのドリフト値を精度高く求め、精度の高い最適バイアス電圧値に制御すること。
【解決手段】入力された電気信号S2によって光信号S1を強度変調し、強度変調された光変調信号S3を外部出力するとともに、該光変調信号S3をモニタするモニタPD3aを有したLN変調器3と、電気信号S3のバイアス電圧Vbを出力するDAコンバータ15と、基本周波数fpのパイロット信号Vaを生成するシンセサイザ17と、バイアス電圧Vbとパイロット信号Vaとを重畳する加算器20と、バンドパスフィルタ12と、基本周波数成分fpに対する2倍高調波成分2fpの比を演算し、この演算結果をもとにLN変調器3の変調曲線のドリフトを求め、該ドリフトを相殺するバイアス電圧Vbを生成させるコントローラCとを備える。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、WDMシステムなどの光通信システムに用いられる光送信装置内の光強度変調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信装置に用いられる外部変調器として光強度変調器がある。この光強度変調器には、たとえばLiNbOを用いたマッハツエンダ型のLN変調器がある。図13は、LN変調器を用いた光送信装置の概要構成を示すブロック図である。図13において、LN変調器3は、光ファイバ2を介してレーザダイオード(LD)1に接続され、接続点P1を介して入力された光信号を、接続点P2を介して入力される、たとえば10Gbpsの電気信号S2によって強度変調する。強度変調された光信号は、接続点P3に接続された光ファイバ4を介して出力される。ここで、LN変調器3には、モニタフォトダイオード(PD)3aが設けられ、このモニタPD3aによってモニタされた信号S105をもとにバイアス電圧を制御するLN制御回路CCが設けられる。
【0003】
図14に示すように、LN変調器3は、光出力の電圧依存性として、cosの関数である変調曲線を描く。電気信号S2は、変調曲線Lの最大値と最小値との間を駆動電圧Vπとして印加する。この場合に電気信号S2には、変調曲線Lの最大値と最小値との間の中点を駆動点Popとすべくバイアス電圧Vbが印加される。なお、このバイアス電圧Vbは小さい方が好ましい。
【0004】
ところが、LN変調器3の特性として、このバイアス電圧Vbは、温度による熱ドリフトと経時によるDCドリフトが生じ、その結果、動作点Popが変調曲線Lの中点から光出力方向(上下方向)にシフトしてしまい、効率的な変調動作ができなくなる。このため、動作点Popが変調曲線Lの最大値と最小値との中点に位置するように、上述したLN制御回路CCを用いてバイアス電圧Vbのフィードバック制御を行う。たとえば、LN制御回路CCは、変調曲線Lが電圧の高い方に移動した場合に、ドリフトした分、バイアス電圧Vbを高くし、ドリフトした変調曲線LDの最適な動作点Pop´に位置させるバイアス電圧Vb´に補正する制御を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のLN制御回路CCでは、モニタPD3aが検出したDC電圧値をもとに現在のバイアス電圧Vbを直接求めるようにしているため、光レベル変動があると、バイアス電圧制御を誤ってしまうという問題点があった。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、簡易な構成で、変調曲線Lのドリフト値を精度高く求め、精度の高い最適バイアス電圧値に制御することができる光強度変調装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1にかかる光強度変調装置は、入力された電気信号によって入力された光信号を強度変調し、強度変調された光変調信号を外部出力するとともに、該光変調信号をモニタするモニタ光検出器を有した光強度変調器と、前記電気信号のバイアス電圧を出力するバイアス電圧印加手段と、所定基本周波数のパイロット信号を生成するパイロット信号出力手段と、前記バイアス電圧と前記パイロット信号とを重畳し前記光強度変調器に印加する重畳手段と、前記モニタ光検出器が検出した光変調信号の前記所定基本周波数成分および前記所定基本周波数の2倍高調波成分を取り出すフィルタと、前記フィルタから出力された所定基本周波数成分に対する前記2倍高調波成分の比を演算し、この演算結果をもとに前記光強度変調器の変調曲線のドリフトを求め、該ドリフトを相殺する前記バイアス電圧を前記バイアス電圧印加手段に生成させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、重畳手段が、バイアス電圧印加手段が出力した電気信号のバイアス電圧とパイロット信号出力手段が出力した所定基本周波数のパイロット信号とを光強度変調器に出力し、フィルタがモニタ光検出器によって検出された光変調信号から該光変調信号の前記所定基本周波数成分および前記所定基本周波数の2倍高調波成分を取り出し、制御手段が、前記フィルタから出力された所定基本周波数成分に対する前記2倍高調波成分の比を演算し、この演算結果をもとに前記光強度変調器の変調曲線のドリフトを求め、該ドリフトを相殺する前記バイアス電圧を前記バイアス電圧印加手段に生成させるようにしている。
【0009】
また、請求項2にかかる光強度変調装置は、上記の発明において、前記パイロット信号に同期させて前記フィルタから出力された信号をサンプリングするサンプリング手段を備え、前記制御手段は、前記サンプリング手段が出力したサンプリング値をもとに前記バイアス電圧の制御を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3にかかる光強度変調装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記2倍高調波成分の振幅値の符号の正負をもとに前記ドリフトの方向を判定し、該ドリフトが零になるように前記バイアス電圧を制御することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4にかかる光強度変調装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記フィルタの位相特性によって生じる前記所定基本周波数成分の位相と前記2倍高調波成分の位相との位相ずれを補正して前記バイアス電圧を制御することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5にかかる光強度変調装置は、上記の発明において、前記フィルタの位相特性によって生じる前記所定基本周波数成分の位相と前記2倍高調波成分の位相との位相ずれを補正する移相器を前記フィルタの後段に設けたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6にかかる光強度変調装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記モニタ光検出器から当該制御手段に入力されるまでの間の前記所定基本周波数成分の位相と前記2倍高調波成分の位相との位相ずれに対応した演算処理を行う複数の位相領域を設け、前記位相ずれの位置に対応した位相領域の演算処理によって前記ドリフトの方向を判定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7にかかる光強度変調装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記モニタ光検出器から当該制御手段に入力されるまでの間の前記所定基本周波数成分の位相と前記2倍高調波成分の位相との位相ずれに対応した演算処理を行う複数の位相領域を重複して設け、前記位相ずれの位置に対応した位相領域毎の演算処理を行い、各演算処理結果をもとに前記ドリフトの方向を判定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8にかかる光強度変調装置は、上記の発明において、前記制御手段は、重複する位相領域間の各演算処理結果に重み付けをして前記ドリフトの方向を判定することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9にかかる光強度変調装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記モニタ光検出器の配置位置によって生じる前記モニタ光検出器が検出する光変調信号と前記光強度変調器から外部に出力される光変調信号との相対ドリフトを前記ドリフトに加えて制御することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光強度変調装置について説明する。図1は、この発明の実施の形態である光強度変調装置を含む光送信装置の概要構成を示すブロック図である。図1において、この光送信装置は、LN変調器3とLN制御回路5とからなる光強度変調装置を有し、LN変調器3は、接続点P1を介して接続された光ファイバ2に接続されるとともに、接続点P3を介して光ファイバ4に接続される。
【0018】
LN変調器3は、図12に示したLN変調器3と同じであり、LiNbO3を用いたマッハツェンダ型の光強度変調器である。LN変調器3には、接続点P2を介してたとえば10Gbpsの電気信号S2が入力され、LN変調器3は、光ファイバ2に接続されたLD1から送信される光信号S1を電気信号S2によって強度変調し、この変調された光信号S3を光ファイバ4に出力する。
【0019】
LN変調器3は、強度変調時における漏れ光信号をモニタするモニタPD3aを有するとともに、LN制御回路5に接続され、モニタPD3aが検出した信号S5は、接続点P5,P7を介してLN制御回路5側に出力される。一方、制御されたバイアス電圧Vbと変調曲線Lのドリフトを検出するためのパイロット信号Vaとが重畳された信号S4は、接続点P6,P4を介してLN変調器3側に出力される。
【0020】
LN制御回路5では、電流電圧変換部11が、接続点P7を介して入力された信号S5の電流値を電圧値に変換し、バンドパスフィルタ12が、この変換された電圧信号のうちのパイロット信号Va成分とこのパイロット信号Vaの2倍高調波成分とを通過させるフィルタリングをし、アンプ13に出力する。アンプ13は入力された信号を増幅し、ADコンバータ14に出力し、ADコンバータ14は入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換してコントローラCに出力する。
【0021】
コントローラCは、ADコンバータ14によってサンプリングされたデジタル信号の値をもとに、変調曲線Lのドリフトを検出し、このドリフトに対応したドリフト値を加味したバイアス電圧制御値をDAコンバータ15に出力する。DAコンバータ15から出力されたバイアス電圧制御値のアナログ値はアンプ16を介してバイアス電圧Vbとして加算器20に出力される。一方、発振器としてのシンセサイザ17からは1kHzの正弦波であるパイロット信号Vaが出力され、アンプ18を介して所定値に増幅された後に加算器20に出力される。なお、シンセサイザ17から出力された、たとえば1kHzのパイロット信号はコンパレータ19を介してパイロット信号の同期信号が生成され、コントローラCに出力される。コントローラCは、コンパレータ19から入力された同期信号をもとに、上述したADコンバータ14のサンプリング制御を行うとともに、DAコンバータ15の制御を行う。加算器20は、上述したバイアス電圧Vbとパイロット信号Vaとを加算重畳し、信号S4として接続点P6,P4を介してLN変調器3側に出力される。
【0022】
ここで、コントローラCによるパイロット信号Vaを用いたバイアス電圧制御動作について説明する。なお、変調曲線Lのドリフト値を「V0」とし(図14参照)、パイロット信号Vaの周波数を「fp」とする。したがって、パイロット信号Vaは、Vp・sin(2π・fp・t)となる。また、制御電圧「Vπ」の値を「1」とする。この場合、バンドパスフィルタ12から出力される信号Sは、Cfを定数として、
S=Cf・sin(2π・fp・t)+0.25・Cf・π・(Vb+V0)・Vp・cos(4π・fp・t)・・・(1)
として表せる。式(1)右辺の第1項は、周波数fp成分(基本波成分)の正弦波であり、第2項は、基本波fp成分の2倍高調波(2fp)成分の余弦波である。
【0023】
ここで、基本波fp成分に対する2倍高調波2fp成分の比αは、
α=0.25・π・(Vb+V0)・Vp                    ・・・(2)
となる。なお、式(2)において制御電圧Vπが「1」でない場合には、比αは式(2)に示した比αを制御電圧Vπの値で除算した値となる。この比αの(Vb+V0)依存性は、図2に示すように、(Vb+V0)が0近傍で急激に小さくなる特性を呈し、コントローラCは、比αを求めることによって、(Vb+V0)の値を求めることができる。
【0024】
たとえば、図3に示すように、2倍高調波2fpに対応させて、基本波fpの1周期に対してADコンバータ14が8つのサンプリング点SP0〜SP7でサンプリングし、各サンプリング点SP0〜SP7に対応したサンプリング値をそれぞれサンプリング値x(0)〜x(7)とすると、基本波fp成分β1は、
β1=0.5√((x(0)−x(4))+(x(2)−x(6)))・・・(3)
として求めることができ、2倍高調波2fp成分β2は、
β2=0.25√(((x(0)−x(2)+x(4)−x(6))+(x(1)−x(3)+x(5)−x(7)))  ・・・(4)
として求めることができる。ここで、パイロット信号Vaの振幅Vpは既知であるので、式(2)〜(4)を用いて比αを求めることができ、(Vp+V0)の値を最終的に求めることができる。
【0025】
ここで、LN制御回路5の電源投入時においてはバイアス電圧Vb=0であるため、コントローラCが算出する(Vb+V0)=V0によって初期のドリフト値V0を知ることができる。したがって、コントローラCは、DAコンバータ15に対して、このドリフト値V0を相殺すべき初期のバイアス電圧Vb=−V0を与える。コントローラCは、その後のドリフト値V0を相殺すべく、(Vb+V0)の値が0となるバイアス電圧Vbを印加する制御を行うことになる。この場合、図2に示すように、(Vb+V0)は0において比αが急激に小さくなるため、ドリフトを補正するバイアス電圧Vbを精度高く与えることができる。
【0026】
ところで、電源投入時においてドリフト値V0の絶対値を知ることができるが、式(3)および式(4)は、平方根の計算であるため、新規のドリフト値V0の正負は未知である。しかし、図3において、基本波fpのゼロクロス時に、正の値のドリフト値をもつ2倍高調波2fpの値の符号と、負の値のドリフト値をもつ2倍高調波2fp´の値の符号とが反転しており、この関係をもとにドリフト値V0の正負を判定することができる。すなわち、サンプリング値x(0),x(2),x(4),x(6)を用いた値γによって正負を判定することができる。
γ=x(0)−x(2)+x(4)−x(6)       ・・・(5)
この値γが正のとき、ドリフト値V0は正であるので、このドリフト値V0を相殺するため、コントローラCはバイアス電圧Vbを負の値としてDAコンバータ15に出力し、値γが負のとき、ドリフト値V0は負であるので、このドリフト値V0を相殺するため、コントローラCはバイアス電圧Vbを正の値としてDAコンバータ15に出力する。
【0027】
換言すると、式(1)に対応した信号Sは、S=Asin(2πfpt)+Bcos(2π2fpt)と置き換えることができ、この実施の形態では、2倍高調波成分の振幅値Bの符号の正負によってドリフトずれの方向を判定するようにしている。
【0028】
この実施の形態では、パイロット信号Vaを生成し、変調曲線Lの非線形によって生じる2倍高調波2fpのサンプリング値をもとにドリフト値V0を大きさと正負とを判定し、このドリフト値V0を補正したバイアス電圧を生成するようにしているので、精度の高い動作点制御を行うことができる。
【0029】
ところで上述した実施の形態においてバンドパスフィルタ12を図4に示すようなアナログフィルタで実現する場合、アナログフィルタ通過時に位相回転が生じ、アナログフィルタの位相特性の周波数依存性によって、基本波fpと2倍高調波2fpとの位相ずれが生じる(図5(b)参照)。なお、図5(a)は、アナログフィルタが理想的な場合であって、位相ずれが生じない場合における基本波fpと2倍高調波2fpとの関係を示している。ここで、たとえば、基本波fpが1kHzであって、2倍高調波2fpが2kHzである場合、図5に示したサンプリング点A1では、図6に示すように、基本波fpの位相点m1(−162°)と2倍高調波2fpの位相点m2(147°)との間に位相ずれが生じる。したがって、図7に示すように、この既知の位相ずれを相殺する移相器12aをバンドパスフィルタ12の後段に設けることが好ましい。ただし、この既知の位相ずれの値が、上述したドリフト値V0の正負判定に影響を及ぼさない程度の値であれば、移相器を設ける必要はない。
【0030】
あるいは、上述した位相器12aを設けずに、コントローラCが基本波fp成分と2倍高調波2fp成分との間に位相ずれを加えて演算するようにしてもよい。たとえば、上述した信号Sは、S=Asin(2πfpt)+Bcos(2π2fpt)と表すことができるが、基本波成分の位相をφ1、2倍高調波成分の位相φ2とすると、コントローラCは、信号S=Asin(2πfpt+φ1)+Bcos(2π2fpt+φ2)として演算すればよい。
【0031】
上述したドリフト値V0の正負の判定処理の第1の方法としては、図8に示すように、位相領域を区分し、各区分(領域E1〜E4)に応じた正負の判定処理を行う。たとえば、位相ずれが−π/4〜π/4である場合(領域E1)には、値γが正のときドリフト値V0が正と判定し、値γが負のときドリフト値V0が負と判定する。また、位相ずれがπ/4〜3π/4である場合(領域E2)には、値γ2として、
γ2=−x(1)+x(3)−x(5)+x(7)     ・・・(6)
を用い、値γ2が正のときドリフト値V0を正と判定し、値γ2が負のときドリフト値V0を負と判定する。
【0032】
さらに、位相ずれが3π/4〜πおよび−πから−3π/4である場合(領域E3)には、値γが正のときドリフト値V0を負と判定し、値γが負のときドリフト値V0を正と判定する。また、位相ずれが−π/4〜−3π/4である場合(領域E4)には、値γ2が正のときドリフト値V0を負と判定し、値γ2が負のときドリフト値V0を正と判定する。これによって、全ての位相ずれの領域において、コントローラCは位相ずれを加味したドリフト値V0の正負判定を行うことができる。
【0033】
また、ドリフト値V0の正負の判定処理の第2の方法としては、図9に示すように、重複を許して位相領域を区分し、位相ずれの値に対応した2つの位相領域(領域E11〜E14)の各判定結果によって正負判定を行う。なお、領域E11〜E14の正負判定は、領域E1〜E4の各正負判定と同じである。たとえば、位相ずれが0〜π/2である場合、領域E11,E12の判定結果を用いて正負判定する。また、位相ずれがπ/2〜πである場合、領域E12,E13の判定結果を用いて正負判定する。さらに、位相ずれが0〜−π/2である場合、領域E11,E14の判定結果を用いて正負判定する。また、位相ずれが−π/2〜−πである場合、領域E13,E14の判定結果を用いて正負判定する。ここで、判定結果をもとに正負判定するとは、たとえば2つの判定結果が一致した場合のみ正しい正負判定結果であるとコントローラCが認識することである。
【0034】
また、ドリフト値V0の正負の判定処理の第3の方法としては、第2の方法において2つの位相領域の各判定結果に重み付けを行うようにしている。たとえば、位相ずれが−π/4(点P10)である場合、すなわち図10(a)に示した位相ずれのない状態から図10(b)に示した−π/4の位相ずれが生じた場合、領域E11と領域E14の各判定結果にcos(45°)とsin(45°)とをそれぞれ乗算して重み付けを行い、この結果をもとに正負判定を行う。
【0035】
また、この他の問題として上述した実施の形態のモニタPD3aは、LN変調器3内に設けるようにし、図11に示すように、マッハツェンダ型のY結合部PYから漏れる光41を検出しているが、モニタPD3aは、Y結合部PYの後段に設けられた光出射導波路40から漏れる光42をも検出してしまう。ここで、Y結合部PYから光が漏れる場合は、光信号S3がオフの時であり、モニタPD3aはこの光信号S3とは逆相の光を検出することになる。これに対して、光量としては少ない光出射導波路40から漏れる光42は、光信号S3がオンの時に漏れ、光信号S3と同相の光である。このため、光42が光41に干渉し、モニタPD3aが検出する信号に位相ずれが生じる。この位相ずれは、モニタPD3aの配置位置のばらつきによって変化する。
【0036】
図12は、バイアス電圧に対する光出力PoとモニタPD3aが検出するモニタ電流出力Imとの位相関係を示す図である。図12(a)は、位相ずれがない場合の光出力Poとモニタ電流出力Imとの位相関係を示している。この場合、コントローラCは、モニタ電流出力の最大値Immaxと最小値Imminとの中点位置Pcになるように(Vp+V0)=0となる制御を行う。一方、図12(b)は、位相ずれが生じた場合の光出力Poとモニタ電流出力Imとの位相関係を示している。この場合においても、中点位置PcになるようにコントローラCは(Vp+V0)=0となる制御を行うが、このときのバイアス電圧は、光出力Poの中点位置に対応せず、ΔVの位相ずれが生じており、最適な動作点となるバイアス電圧が印加されていない。この位相ずれを加味した場合、バイアス電圧は光出力Poの中点位置Pc´にシフトさせる必要がある。この場合コントローラCは、位相ずれΔVを既知のドリフト値として、(Vp+V0)=Cnt(一定値)となる制御を行えばよい。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、重畳手段が、バイアス電圧印加手段が出力した電気信号のバイアス電圧とパイロット信号出力手段が出力した所定基本周波数のパイロット信号とを光強度変調器に出力し、フィルタがモニタ光検出器によって検出された光変調信号から該光変調信号の前記所定基本周波数成分および前記所定基本周波数の2倍高調波成分を取り出し、制御手段が、前記フィルタから出力された所定基本周波数成分に対する前記2倍高調波成分の比を演算し、この演算結果をもとに前記光強度変調器の変調曲線のドリフトを求め、該ドリフトを相殺する前記バイアス電圧を前記バイアス電圧印加手段に生成させるようにしているので、簡易な構成でドリフトの補正を精度の高く行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態である光強度変調装置を含む光送信装置の概要構成を示すブロック図である。
【図2】パイロット信号である基本波に対する2倍高調波の比の(Vb+V0)依存性を示す図である。
【図3】基本波と2倍高調波の波形図である。
【図4】バンドパスフィルタの一例を示す回路図である。
【図5】バンドパスフィルタによる位相ずれが生じた場合を示す波形図である。
【図6】バンドパスフィルタによる位相の周波数依存性を示す図である。
【図7】バンドパスフィルタの位相ずれを相殺する移相器を含む光送信装置の概要構成を示すブロック図である。
【図8】位相ずれに対応した正負判定のための領域区分の一例を示す図である。
【図9】位相ずれに対応した正負判定のための領域区分の一例を示す図である。
【図10】位相ずれの一例を示す波形図である。
【図11】モニタPDによる光検出の状態を示す説明図である。
【図12】バイアス電圧に対する光出力とモニタPDが検出するモニタ電流出力との位相関係を示す図である。
【図13】従来の光送信装置の概要構成を示すブロック図である。
【図14】図13に示した光送信装置のバイアス制御を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 レーザダイオード(LD)
2,4 光ファイバ
3 LN変調器
3a モニタPD
5 LN制御回路
11 電流電圧変換部
12 バンドパスフィルタ
12a 移相器
13,16,18 アンプ
14 ADコンバータ
15 DAコンバータ
17 シンセサイザ
19 コンパレータ
20 加算器
40 光出射導波路
41,42 光
C コントローラ
PY Y結合部
P1〜P7 接続点

Claims (9)

  1. 入力された電気信号によって入力された光信号を強度変調し、強度変調された光変調信号を外部出力するとともに、該光変調信号をモニタするモニタ光検出器を有した光強度変調器と、
    前記電気信号のバイアス電圧を出力するバイアス電圧印加手段と、
    所定基本周波数のパイロット信号を生成するパイロット信号出力手段と、
    前記バイアス電圧と前記パイロット信号とを重畳し前記光強度変調器に印加する重畳手段と、
    前記モニタ光検出器が検出した光変調信号の前記所定基本周波数成分および前記所定基本周波数の2倍高調波成分を取り出すフィルタと、
    前記フィルタから出力された所定基本周波数成分に対する前記2倍高調波成分の比を演算し、この演算結果をもとに前記光強度変調器の変調曲線のドリフトを求め、該ドリフトを相殺する前記バイアス電圧を前記バイアス電圧印加手段に生成させる制御手段と、
    を備えたことを特徴とする光強度変調装置。
  2. 前記パイロット信号に同期させて前記フィルタから出力された信号をサンプリングするサンプリング手段を備え、
    前記制御手段は、前記サンプリング手段が出力したサンプリング値をもとに前記バイアス電圧の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の光強度変調装置。
  3. 前記制御手段は、前記2倍高調波成分の振幅値の符号の正負をもとに前記ドリフトの方向を判定し、該ドリフトが零になるように前記バイアス電圧を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の光強度変調装置。
  4. 前記制御手段は、前記フィルタの位相特性によって生じる前記所定基本周波数成分の位相と前記2倍高調波成分の位相との位相ずれを補正して前記バイアス電圧を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光強度変調装置。
  5. 前記フィルタの位相特性によって生じる前記所定基本周波数成分の位相と前記2倍高調波成分の位相との位相ずれを補正する移相器を前記フィルタの後段に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光強度変調装置。
  6. 前記制御手段は、前記モニタ光検出器から当該制御手段に入力されるまでの間の前記所定基本周波数成分の位相と前記2倍高調波成分の位相との位相ずれに対応した演算処理を行う複数の位相領域を設け、前記位相ずれの位置に対応した位相領域の演算処理によって前記ドリフトの方向を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光強度変調装置。
  7. 前記制御手段は、前記モニタ光検出器から当該制御手段に入力されるまでの間の前記所定基本周波数成分の位相と前記2倍高調波成分の位相との位相ずれに対応した演算処理を行う複数の位相領域を重複して設け、前記位相ずれの位置に対応した位相領域毎の演算処理を行い、各演算処理結果をもとに前記ドリフトの方向を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光強度変調装置。
  8. 前記制御手段は、重複する位相領域間の各演算処理結果に重み付けをして前記ドリフトの方向を判定することを特徴とする請求項7に記載の光強度変調装置。
  9. 前記制御手段は、前記モニタ光検出器の配置位置によって生じる前記モニタ光検出器が検出する光変調信号と前記光強度変調器から外部に出力される光変調信号との相対ドリフトを前記ドリフトに加えて制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の光強度変調装置。
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