JP2004093878A - ディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスプレイパネル製造のための貼り合わせ工程において、セルギャップを容易かつ高精度に設定する。
【解決手段】対向する第1及び第2の基板10及び12間に挟まれた空間にシール材14を介在させて、第1の定盤40側に保持された第1の基板10と第2の定盤側48に保持された第2の基板12との位置合わせを行うディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、(1)第1の基板を第1の定盤に具えられた基板保持機構42のスペーサ部42bにより保持する工程、(2)第1の基板の表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部40aとが接触するように撓ませて第1の基板を第1の定盤側に保持する工程、(3)第1及び第2の基板及び間に押圧力を付加してセルギャップを決定する工程、及び(4)シール材を硬化する工程とを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】対向する第1及び第2の基板10及び12間に挟まれた空間にシール材14を介在させて、第1の定盤40側に保持された第1の基板10と第2の定盤側48に保持された第2の基板12との位置合わせを行うディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、(1)第1の基板を第1の定盤に具えられた基板保持機構42のスペーサ部42bにより保持する工程、(2)第1の基板の表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部40aとが接触するように撓ませて第1の基板を第1の定盤側に保持する工程、(3)第1及び第2の基板及び間に押圧力を付加してセルギャップを決定する工程、及び(4)シール材を硬化する工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法及びその実施のための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイパネル及び有機ELディスプレイパネルは、一般に2枚の基板を貼り合わせて製造される。以下に図6を参照しつつ、従来から行われている基板の貼り合わせ工程を説明する。
【0003】
図6は従来の基板貼り合わせ工程及び貼り合わせ装置を説明するための要部の概略的模式図である。図6に示したように、第1の基板110を、X軸駆動機構132を具えた第1の定盤142で保持する。同様にシール材114を設けた第2の基板112を、Y軸駆動機構134を具えた第2の定盤144で保持する。第1の基板110及び第2の基板112に付された合わせマークを観測しつつ、X軸、Y軸及び第2の定盤144のさらに下部に位置するθテーブル162でθ軸を調節する。すなわち、第2の基板112を回転駆動機構136で水平面内で回転させて第1の基板との位置合わせを行う。然る後、第1の定盤142又は第2の定盤144を、矢印A方向に作動することができる、定盤の上下昇降手段138及び加圧シリンダ160により結果として基板を押圧することで貼り合わせを行っている。このとき2枚の基板の間隔(以下、セルギャップと称する。)が、例えばセルの辺縁部とセルの中心部とで一定でない場合には、完成したディスプレイパネルに表示むらが生じてしまう。従って、ディスプレイパネル表示品質を高品質に、かつ一定に維持するためには、製造工程においてセルギャップを適切に維持する必要がある。この技術をセルギャップ制御(CELL GAP CONTROL)という。なお、上述したX軸駆動機構132、Y軸駆動機構134、回転駆動機構136、上下昇降手段138及び加圧シリンダ160による基板押圧機構は、従来より種々の機構があって周知である。このため、当業者ならばこれらの機構を容易に構成できるので、その詳細な説明は省略する。
【0004】
例えばガラス基板等を用いた液晶表示ディスプレイパネル製造における貼り合わせ工程では、シール材自体にグラスファイバ等からなるスペーサ繊維を混入して使用すると同時に、基板間の表示セル内部全面に樹脂、シリカ等からなるスペーサ粒子等のセルギャップ保持手段を散布せしめて行われている。また、表示セル領域内にレジスト等の構造によりセルギャップ保持手段を設ける場合もある。しかしながら、スペーサによるコントラストの低下等のマイナス効果が生じる。従って、表示品質を向上させるために、セル内部にスペーサ粒子を配置せずに精密なセルギャップ制御を行う、いわゆるスペーサレスな液晶ディスプレイが待望されている。
【0005】
また近年需要の増大している有機ELパネル等においては、表示セル内部全面にスペーサ粒子を配することはできないので、精密なセルギャップ制御は実現されていないのが現状である。
【0006】
さらにガラス等の基板を用いた液晶表示素子の場合には、表示セル内部を完全に封止するためには、後に液晶媒体を注入するための開口部を具えるようにシ−ル材を設ける工程と、液晶媒体を注入する工程と、開口部を封止する工程とが必要であることから、単一工程で表示セル内部を完全に封止することができなかった。すなわち、液晶媒体を注入した後に、この開口部を封止するという工程が必要であった。従って、封止部の接着強度の確保が困難なことに起因して、封止後に液晶媒体が漏出する等の問題がある。
【0007】
このような問題を解決するため、最近では基板上にシール材により表示セルの全周を囲む隔壁を形成し、この隔壁の内部(表示セル領域)に液晶媒体を滴下することで充填した後、2枚の基板を貼り合わせて封止する「滴下液晶注入」と呼ばれる方法が検討されている。
【0008】
この方法によれば、工程が非常に簡易になることに加え、液晶媒体の利用効率が上がる等の様々な効果が予想される。しかし、この方法では、貼り合わせの工程を真空条件下で行う必要があるが、真空条件下において、上下2枚の定盤のうち、特に上側に位置する定盤に、基板を安定して保持することが大変困難である。
【0009】
近年、特に貼り合わせの対象となる基板のサイズは大型化する傾向が顕著であり、例えば1200mm×1200mmの基板が使用される場合もある。
【0010】
このような大型の基板を、特に定盤の下面側で保持する場合には、保持されている基板が下側に撓んでしまう。この撓みの発生により、基板が撓んだ状態で貼り合わせが行われてしまい、セルギャップの均一性が得られなくなってしまう。また、この撓みの発生により、基板が定盤から脱落してしまったり、基板自体が破壊されてしまう場合もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基板の貼り合わせ工程に際して、基板の撓みを防止しつつ、セルギャップを容易かつ高精度に設定することが可能である、ディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法及びその実施のための装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、対向する第1及び第2の基板間に挟まれた空間に表示セル領域空間及び捨て領域空間を形成するようにいずれかの基板にシール材を介在させて、第1の定盤側に保持された第1の基板と第2の定盤側に保持された第2の基板との位置合わせを行うディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、以下の工程を含むことを特徴とする。すなわち、
(1)第1の基板を、第1の定盤に具えられた基板保持機構のスペーサ部により、保持する工程、
(2)第1の基板の表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部とが接触するように撓ませて第1の基板を第1の定盤側に保持する工程、
(3)第1及び第2の基板間に押圧力を付加して前記セルギャップを決定する工程、及び
(4)シール材を硬化する工程、
を含む。
【0013】
ここで、第1の基板の表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部とが接触する、とは第1の基板の表面の1部又は全部が凹部と接触していることを意味する。
【0014】
また、この発明の貼り合わせ方法によれば、対向する第1及び第2の基板間に挟まれた空間に表示セル領域空間及び捨て領域空間を形成するようにいずれかの基板にシール材を介在させて、第1の定盤側に保持された第1の基板と第2の定盤側に保持された第2の基板との位置合わせを行うディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法に関する発明であって、特に上記課題を解決するため、下記の工程を含む。
(1)第1の基板を、第1の定盤に具えられた基板保持機構のスペーサ部により保持する工程、
(2)第1の基板の、前記表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部との間隙を真空にして凹部に第1の基板面が密着するように撓ませて第1の基板を第1の定盤側に吸引保持する工程、
(3)第1及び第2の基板間に押圧力を付加してセルギャップを決定する工程、及び
(4)シール材を硬化する工程。
【0015】
この方法によれば、上下2つの定盤のうち、特に上側に位置する湾曲面で構成されている凹部を有する第1の定盤において、この第1の定盤と第1の基板との間隙を真空にすることで、第1の基板を、この凹部の曲面に沿って、若干撓ませて第1の定盤に接触又は密着させ、これにより第1の基板を安定に保持することができる。従って、貼り合わせの対象となる基板が大型化しても、セルギャップを容易にかつ高精度に、設定することができる。
【0016】
この発明の貼り合わせ方法は、いわゆる滴下液晶注入工程を採用する液晶表示パネルの他、例えば有機EL表示パネル等の2枚の基板を貼り合わせることにより製造されるディスプレイパネルに適用して特に好適である。
【0017】
また、この発明の貼り合わせ方法によれば、好ましくは、第2の基板と第2の定盤についても同様に、表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第2の定盤との間隙を真空にして、第2の基板を第2の定盤側に吸引保持するのがよい。
【0018】
この発明の貼り合わせ方法の工程のうち、特に工程(3)を実施するに際しては、好ましくは、第1の基板と第2の基板とを接近させ、かつ表示セル領域空間がシール材により密閉されていない状態で、第1の基板と第2の基板との間隙、具体的には少なくとも表示セル領域空間を真空とするのがよい。
【0019】
このようにすれば、真空とすべき空間を小さくすることができるので、この貼り合わせ工程の時間を短縮することが可能であり、スループットが大いに向上する。
【0020】
この発明の貼り合わせ方法の実施に当たり、好ましくは、貼り合わせ工程を内部を真空にすることが可能な気密の処理室内で行うのがよい。上述した少なくとも工程(2)と工程(3)を、処理室を常圧と真空との間で変化させて実施するのが好適である。
【0021】
このように、真空にされた処理室内で基板の貼り合わせ工程を行うことで、特にその製造に使用される材料が湿気及び酸素に弱い有機EL表示パネルの製造工程において、表示パネル品質に大きな影響を与えるこれらの要因を排除しつつ、簡単な工程で精密なセルギャップ制御を行うことが可能になる。
【0022】
この発明の貼り合わせ方法の工程(3)において、第1及び第2の基板の間隙の気圧を、その外部の気圧と比較して、好ましくはシール材が破裂しない程度に低く維持した状態で第1及び第2の基板同士を合わせた後に、押圧するのがよい。
【0023】
さらに、この発明の貼り合わせ方法において、貼り合わせ工程を真空にした処理室内で行うに際しては、好ましくは、処理室全体を真空にするための空気の吸引力を、第1及び第2の基板を第1及び第2の定盤に密着させるための空気の吸引力よりも小さくするのがよい。
【0024】
このようにすれば、第1及び第2の基板の落下や、これら基板の定盤に対するずれの発生を抑制することができる、従って、これら2枚の基板をより安定して保持することができるので、高精度にセルギャップを制御することが可能になる。
【0025】
また、この発明の貼り合わせ方法によれば、工程(3)は、好ましくは、例えばセルギャップを設定する厚さよりも大きな厚さを有し、かつ第1の基板と第2の基板との間に設けられたシール材の厚さよりも小さな厚さを有するスペーサ部により行ってもよい。この場合には、セルギャップは表示セル内部に設けられるスペーサ粒子等のスペーサ材により決定されるので、スペーサ部を抜き出した後に基板を押圧する、いわゆるギャップ出し工程を行ってもよい。
【0026】
さらにまた、この発明の貼り合わせ方法によれば、工程(3)において、好ましくは、セルギャップが、シール材の硬化後のセルギャップを設定する厚さと形状を有するスペーサ部により決定されるようにするのがよい。このとき、工程(4)は、スペーサ部を捨て領域から引き抜く前に行ってもよい。
【0027】
このようにすれば、スペーサ部により、貼り合わせと同時にセルギャップを容易かつ正確に決定し、さらにシール材の硬化まで一連の工程により行うことができる。従って、特にスペーサレスの「滴下液晶注入工程」による液晶表示パネル及び有機EL表示パネル等の貼り合わせに適用して好適である。
【0028】
さらにこの発明の貼り合わせ方法によれば、工程(3)は、好ましくは、第1の基板と第1の定盤との間隙の気体圧を高める工程として行うのがよい。
【0029】
このように、気体圧によれば、第1の基板を均一な圧力で押圧することができ、さらに基板の表示領域に何ら接触することなくセルギャップを決定できるので、汚染等の懸念もなくパネル全体にわたって均一なセルギャップを実現することができる。従って、表示パネルの品質向上に大いに貢献する。
【0030】
好ましくは、シール材の硬化を紫外線照射により行うのがよい。或いはまた、このシール材の硬化を加熱又は冷却することにより行ってもよい。
【0031】
また、この発明のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置によれば、主として下記の構成要素を具えるのがよい。すなわち、第1及び第2の基板をそれぞれ保持する第1の定盤及び第2の定盤を具え、該第1及び第2の基板をシール材を介在させて貼り合わせるためのディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置は、第1の定盤が、第1の基板が接する側の面に、湾曲面で構成されている凹部を有していて、第1の基板を支持するスペーサ部と、このスペーサ部を支持するアーム部と、このアーム部を伸縮するための水平方向伸縮機構と、垂直方向伸縮機構とを含む基板保持手段を具えている。
【0032】
このような装置構成とすれば、セルギャップ決定のために上側に配置される第1の基板を第2の基板側へ押圧する際に、第1の基板を第1の定盤に設けてある凹部の傾斜に沿って密着させることで、第1の基板を保持しつつ、第1及び第2の2枚の基板間に挿入されるスペ−サ部の厚さにより、セルギャップを決定できる。
【0033】
この発明の貼り合わせ装置の他の好適実施例によれば、基板と定盤とを密着させて基板を保持する基板保持手段をさらに含むのがよい。例えばこの基板保持手段は、第1の基板の第2の基板と対向する内側面とは反対側の外側面と、この外側面に対面する第1の定盤との間隙を、真空にすることで密着させて第1の基板を保持するための気密保持部材を含む気密保持手段を具えるのがよい。好ましくは第2の基板と第2の定盤との間隙を真空にして密着させて第2の基板を第2の定盤にそれぞれ密着させて第2の基板を保持するための気密保持部材を含む基板保持手段をさらに具える構成とするのがよい。
【0034】
また、上述の気密保持部材は、好ましくは、基板の定盤への吸着の程度に応じて、定盤内に格納及び突出自在に設けるのがよい。
【0035】
このような装置構成とすれば、基板の定盤への吸着をより精密に、かつ効果的に制御することができる。
【0036】
また、この発明の貼り合わせ装置の他の好適例では、シール材により封止される前の、第1及び第2の基板との間隙、すなわち表示セル領域空間及び捨て領域空間とを真空にするために、第1及び第2の定盤に定盤間気密保持部材、定盤間給排気口及び定盤間用真空ポンプを含む気密保持手段をさらに具える構成とするのがよい。
【0037】
このような構成とすれば、貼り合わせ工程において、真空にされる空間の容積を最小限にすることができる。すなわち、表示セル領域空間及び捨て領域空間のみを真空にすることができるので、より効率的に短時間で貼り合わせ工程を行うことができる。従って、一定時間におけるスループットが大いに向上する。また、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0038】
この発明の貼り合わせ装置の構成例によれば、貼り合わせ用の処理室と、処理室を常圧と真空との間で変化させるための圧力調整手段とを含むのが好適である。
【0039】
このような構成とすれば、特にその製造に使用される材料が湿気及び酸素に弱い有機EL表示パネルの製造工程において、表示パネル品質に大きな影響を与えるこれらの要因を排除しつつ、簡単な工程で精密なセルギャップ制御を行うことが可能になる。
【0040】
また、スペーサ部が、好ましくは、シール材の硬化後のセルギャップを設定する厚さと形状を有する構成とするのがよい。
【0041】
このような構成とすれば、貼り合わせと同時にセルギャップを容易かつ正確に決定し、さらにシール材の硬化まで一連の工程により行うことができる。
【0042】
スペーサ部は、セルギャップが表示セル内部に設けられたスペーサ粒子等のスペーサ材により決定される場合には、セルギャップを設定する厚さよりも大きな厚さを有し、かつ第1の基板との間に設けられたシール材の厚さよりも小さな厚さを有する構成とするのが好ましい。
【0043】
また、第1の定盤及び第2の定盤の双方又はいずれか一方を石英定盤とすれば、シール材の硬化手段を紫外線照射装置としてシール材の硬化を行うのに好適である。この場合には、定盤の外部からシ−ル材に紫外線を照射することで、シ−ル材を硬化させることができる。
【0044】
また、第1の定盤及び第2の定盤が金属で構成される加熱又は冷却定盤とするのも好適である。この場合には、定盤の加熱又は冷却によりシ−ル材を硬化させることができる。
【0045】
この発明のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、スペーサ部を捨て領域から引き抜く工程は、シール材の硬化前又は硬化後のいずれの段階で行ってもよい。シール材の硬化後にスペーサ部を引き抜く場合でも、実際には基板の押圧を解除すると、多少の戻りがある。すなわち、第1及び第2の基板の間隔が、わずかに拡がるのでスペーサ部を無理なく引き抜くことができる。
【0046】
また、この発明の貼り合わせ装置の好適実施例によれば、スペーサ部を、1つの塊状のスペーサ部で構成するとき、このスペーサ部が、複数のセルギャップ厚さに1つのスペーサ部で対応可能とするために、スペーサ部の基板の支持部分の厚さを変えられる形状とするのがよい。
【0047】
このようなスペ−サ部を、好ましくは、このスペーサ部の基板間に挿入される側の一端が、先端に向かうほど厚さが減少していく楔状のブロック体、すなわちテ−パ付きブロック体とすることができる。このテーパは、最大の厚さが基板の外側となるように挿入されたスペ−サ部を引き出す量(距離または長さ)に応じて、基板を支持するスペーサ部の厚さを決定できるので、その厚さに応じてセルギャップを決定できる。従って、セルギャップをより高精度に微調整することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態につき説明する。なお、図面には、この発明が理解できる程度に各構成成分の形状、大きさ及び配置関係が概略的に示されているに過ぎず、これによりこの発明が特に限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図において同様の構成成分については、同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合もあることを理解されたい。
【0049】
また、この発明を実施するに当たり、図6を参照して既に説明したX軸駆動機構、Y軸駆動機構、回転駆動機構、及び上下昇降手段を適宜使用するが、これら自体の構成や機能は、従来周知であり、この発明の要旨ではないので、その詳細な説明は省略する。
【0050】
また、以下の実施形態の説明において、この発明を、液晶表示パネル及び有機EL表示パネルの双方に適用する例につき説明する。有機EL表示パネルの場合には、貼り合わせる一方の基板に、予め、有機EL層が形成されているものとする。また、液晶表示パネルの場合には、主として液晶媒体を表示パネルの貼り合わせ前にセル領域に注入する「滴下液晶注入」工程を例にとって説明する。
【0051】
なお、周知の通り、第1及び第2の基板には、多数の表示セルがマトリクス状に配列されて形成される。しかしながら、以下に説明する実施の形態では、図示の複雑化を回避するために、1つの表示セルを代表して取り上げて示し、かつ説明している。また、図中、表示に必要な電極その他のトランジスタ等の他の構成成分等は、この発明の説明に直接必要ではないので、図示を省略してある。
【0052】
<第1の実施形態>
図1(A)及び(B)を参照して、この発明の第1の実施の形態の貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法につき説明する。
【0053】
図1は、この発明の第1の実施形態を説明するための図である。図1(A)はディスプレイパネル基板貼り合わせ装置(以下、貼り合わせ装置と略称する。)の主要部を上方から俯瞰した態様を示す概略的平面図である。図1(B)は、図1(A)のB−B破線による断面の切り口を示す図である。
【0054】
第1の実施の形態の貼り合わせ装置は、主として、第1の定盤40と、これに対向する第2の定盤48及びシール材硬化手段60とを含んでいる。この第1の定盤40には、第1の基板保持用気密保持部材41a、支持アーム(以下、基板保持機構とも称する。)42、第1の基板保持用給排気口44a及びこれに接続される第1の基板保持用真空ポンプ46aとが設けられている。
【0055】
第2の定盤48には、第2の基板保持用気密保持部材41b、第2の基板保持用給排気口44b及びこれに接続される第2の基板保持用真空ポンプ46bとが設けられている。
【0056】
支持アーム(基板保持機構)42には、スペーサ部42bと、スペーサ部42bを支持する第1アーム部材42aa及び第2アーム部材42abを含むアーム部42aと、アーム部42aを伸縮するための水平方向伸縮機構42ca及び垂直方向伸縮機構42cbとが含まれている。
【0057】
スペーサ部42bは、断面がL字状の形状とされている。スペーサ部42bには、保持される第1の基板10の端部が載置され、かつ第1の基板10の厚さである側面部を押さえるための、段差42baが設けられている。そしてこの段差42b部分の厚さ42bbが、実質的にシール材の硬化後のセルギャップに相当する厚さ、すなわち間隙d1と等しくなるように設定される。従って、スペーサ部42bは、段差42baの厚さ42bbによりパネルのセルギャップが決定できるような構成としてある。
【0058】
第1の基板10は、その下面側の表示セルとなるべき領域、すなわち表示セル領域32(以下、単に基板間隙とも称する。)の外側に位置する捨て領域30に接するように、第1の定盤40に具えられた支持アーム42のスペーサ部42bの上面に位置合わせしつつ載置される。
【0059】
この発明の第1の基板10及び第2の基板12には、例えばガラス基板、プラスチック基板、エポキシ樹脂基板等が適用できるが、なんらこれらに限定されるものではない。
【0060】
第1の基板保持用気密保持部材41aは、第1の基板10の上面側の周縁に沿ってこれを隙間なく取り囲む壁を形成して、第1の基板10と第1の定盤40との間に生じる間隙を気密とするために、第1の定盤40の下面側に設けられている。この第1の基板保持用気密保持部材41aと第1の基板10と第1の定盤40とにより形成される間隙を第1の定盤40に設けられた第1の基板保持用給排気口44a及びこれに接続されている第1の基板保持用真空ポンプ46aにより排気することで真空にする。
【0061】
ここで使用される第1の基板保持用真空ポンプ46aは、排気により第1の基板10と第1の定盤40との間に生じる間隙を真空に引くばかりでなく、この間隙に空気、不活性ガス等の気体を供給して、基板、すなわち貼り合わせたパネルに圧力を加えることができる構成としてある。
【0062】
このような第1の定盤40の構成により、第1の基板10を、第1の定盤40に密着させて保持することができる。すなわち、第1の基板10は、第1の定盤40の湾曲面で構成されている凹部40aに沿って、撓ませた状態で、第1の定盤40に接触又は密着させて安定に保持される(具体的な保持動作については後述する。)。この撓みの程度、すなわち凹部40aの曲面は、例えば1200mm×1200mmの基板を適用した場合には、凹部40aの中心部(最深部)の深さが15mm〜20mm程度となるように設定すればよい。
【0063】
例えば凹部40aの曲面は上方に向かって湾曲している球面の一部分とするのがよい。好ましくはこの凹部40aの曲面を滑らかな曲面として構成するのがよい。
【0064】
第2の基板12は、第1の基板10を第1の定盤40に保持しつつ、第1の基板と離間させた状態で、第1の基板10と対向するように、第2の定盤48に載置される。
【0065】
このとき、第1の基板10と同様に第2の基板保持用気密保持部材41b、第2の基板保持用給排気口44b及びこれに接続されている第2の基板保持用真空ポンプ46bにより、第2の基板12を第2の定盤48に密着させて保持する構成とするのがよい。
【0066】
第1の基板10と第2の基板12との間の端縁部内側領域空間には、捨て領域30及び表示セル領域32を形成するように、捨て領域30と表示セル領域32とを隔てるための硬化前の柔軟なシール材14を予め設けてある。シール材14は、表示セル領域32が途切れることのない連続した壁により形成されるように配置されている。
【0067】
ここでいう捨て領域30とは、実際の表示に利用されないシ−ル材14の外側周辺の空間領域、すなわち表示セル周縁のマージン領域である。表示セル領域32とは実際に表示を行うこととなる領域(空間)である。
【0068】
また、この例では、シール材14を、第2の基板12に施してあるが、これに限られず、特に液晶媒体の注入工程が必要のない有機EL表示パネルの場合には、第1の基板10に設けてもよい。
【0069】
このシール材14には、従来から使用されている例えばグラスファイバー繊維をスペーサ材として含んだ紫外線硬化型及び/又は熱硬化型シール材を使用するのがよいが、この発明の目的を損なわない範囲で、これらに限定されるものではない。
【0070】
そして、図示されていない従来周知のX軸作動機構、Y軸作動機構、回転作動機構及び/又はCCDカメラ等を使用して、2枚の基板の精密な位置合わせを行う。
【0071】
液晶表示パネルの場合には、必要ならば、シール材14により画成される表示セル領域32にスペーサ粒子等のスペーサ材が散布される。
【0072】
然る後、第1及び第2の基板を対向配置させて位置決めする。次いで、第1及び第2の基板10及び12を貼り合わせる前に、図示されていない液晶注入装置で、液晶媒体を第2の基板12のシール材14により囲まれた表示セル領域32となる基板内面に注入する。
【0073】
次いで、第1の定盤40及び/又は第2の定盤48を図示されていない上述した各作動機構を用いて、第1及び第2の基板10及び12の間隙を狭めていき、シール材14を介して、これらを対向させる。
【0074】
次いで第1の基板10を保持するための真空を解除して常圧に戻すと同時に、基板支持アーム42の第1のアーム部材42aaを水平方向伸縮機構42caにより、図中の矢印A方向に、第1の基板10を保持した状態を維持しつつ、若干伸長させて基板の撓みを解消して、第1及び第2の基板10及び12を互いに平行になるようにして重ね合わせる。さらに第2のアーム部材42abを垂直方向伸縮機構42cbにより若干伸長させて、潰れていた第1の基板10と第1の定盤40との間隙を回復させる。
【0075】
次いで、この間隙に空気又は不活性ガス等の気体を送り込んで第1の基板10を、第1の基板保持用給排気口44aを通じて供給される気体の気体圧により上部から押圧する。これはいわゆる「ギャップ出し」工程に相当する。
【0076】
この発明の貼り合わせ方法及び装置によれば、セルギャップを決定する手段として、基板を押圧する手段を用いている。上述した構成例では、気体圧力により基板を押圧する方法をあげたが、代わりに例えばサーボモータ、加圧シリンダ等で機械的に行うか、又はその他の任意好適な手段を用いることもできる。
【0077】
然る後、シール材硬化手段60による紫外線照射、加熱又は冷却によりシール材14の硬化を行う。シール材14の硬化は、常法に従い、紫外線硬化型シール材の場合には紫外線照射を、熱又は冷却硬化型シール材の場合には加熱又は冷却を行い、2又は3以上の種類のシール材を組み合わせる必要がある場合には、それぞれ必要な手段及び工程を組み合わせて行えばよい。
【0078】
以上の工程により表示パネルの貼り合わせが完了する。
【0079】
図1(A)及び(B)の構成例では、表示セル領域32は、矩形状空間領域であり、シ−ル材14はこの表示セル領域32を囲む矩形状の柵又は壁として形成されているが、これに限定されない。
【0080】
また、この構成例では、スペ−サ部42bは、塊状の直方体ブロックであって、厚さは一定としてある。この構成例では、矩形の基板を使用しているので、スペ−サ部42bの厚さより広い間隔の基板間に第1の基板10の下側を東西南北の4つの方向から支持している。
【0081】
しかしながら、ディスプレイパネルの品質を損なわないことを条件として、例えば対向する2方向のみからスペーサ部を挿入して第1の基板10を支持する等してもよい。或いは、例えば基板の複数の角隅部、例えば4箇所又は対向する2箇所の捨て領域30にスペーサ部を挿入して第1の基板10を保持してもよい。
【0082】
この発明の貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法は、今後液晶表示セル作製工程において主流となるであろうと予想される、いわゆる「滴下液晶注入」工程を含む液晶表示パネルの製造方法及び有機EL表示パネルの製造方法に適用して特に好適である。また、液晶媒体を第1及び第2の基板の貼り合わせ後に注入する従来の基板の貼り合わせ方法にも使用して好適である。
【0083】
次に、上述したこの発明の貼り合わせ方法の、主として第1の基板10を保持するための基板保持機構及びこれによる基板の保持方法について、図2を参照して詳細に説明する。
【0084】
図2(A)及び(B)は、上側に位置する第1の基板10の保持動作を説明するための図である。
【0085】
上述したように、基板保持機構42には、適当な厚さを有するスペーサ部42bと、このスペーサ部42bを支持するアーム部42aと、このアーム部42aを伸縮するための水平方向伸縮機構42ca及び垂直方向伸縮機構42cbとが含まれている。
【0086】
アーム部42aは、機構42caにより伸縮駆動される第1アーム部材42aaと、これに連結され、かつ機構42cbで伸縮駆動される第2アーム部材42abとを具えている。さらに、この第2アーム部材42abには、第1アーム部材42aaとは反対側の端部に固定されて、あるいは着脱自在に、スペーサ部42bが取り付けられている。このスペーサ部42bは、第1及び第2アーム部材42aa及び42abの移動に応じて水平及び垂直方向に移動される。
【0087】
第1の基板10は、その捨て領域30(図1参照)に接するように基板保持機構42のスペーサ部42bの上面側に載置される。具体的には上述した支持アーム42のスペーサ部42bの段差42ba上に第1の基板10の端部を載置する。
【0088】
このとき、第1の基板10は、基板保持機構42の水平方向伸縮機構42caにより、矢印A方向、すなわち捨て領域30とスペーサ部42bとの位置関係について適切に調整される。また、矢印B方向、すなわち第1の基板10と第1の基板保持用気密保持部材41aとの配置関係についても、基板保持機構42の垂直方向伸縮機構42cbにより適切に調整される。一例として、この水平方向伸縮機構42caは、好ましくは第1の定盤40の、第1の基板10とは反対側の面(上面)に設けられている。また一例として、垂直方向伸縮機構42cbは、第1の定盤40の周辺に設けられている。これらの機構42ca及び42cbを設ける位置は、設計に応じて任意好適な位置に設ければよい。
【0089】
第1の定盤40に設けられている第1の基板保持用気密保持部材41aは、例えばO−リング又は適度な弾性を有する素材、例えばゴム、樹脂等により形成された中空のチューブ等により構成するのがよい。この第1の基板保持用気密保持部材41aは、この第1の基板保持用気密保持部材41aを介して仕切られた第1の基板10と第1の定盤40との間隙d3を真空に引く際に、この間隙d3が潰れて第1の基板10と第1の定盤40とが密着するような構成とするのがよい。
【0090】
具体的には、例えば第1の定盤40に溝部を設け、第1の基板保持用気密保持部材41aと第1の基板10との気密性を保持しつつ、第1の基板保持用気密保持部材41aが矢印B方向に基板保持機構42により第1の基板10に加えられる圧力に応じて、定盤の溝部に格納或いは溝部から突出自在に作動して、第1の基板10を第1の定盤40に密着させる構成とするのがよい。例えばチューブの場合にはこの溝部に半ば埋設されるようにして第1の基板10を第1の定盤40に密着させる構成とするのがよい。
【0091】
なお、基板保持用給排気口44aは、第1の定盤40において、第1の基板10を定盤に密着保持するための真空給排気口である。給排気口の大きさ、設置数等は、パネルの所望の仕様等により任意に変更することができる。
【0092】
第1の基板10を第1の定盤40に保持するのは、主として、スペーサ部42bである。従って、この間隙d3の真空度は、第1の基板10を第1の定盤40の凹部40aに沿って密着させるのに十分な程度であればよい。その好適な真空度は経験により適宜設定することができる。
【0093】
然る後、これら2枚の基板10及び12はシール材14により隙間無く気密に重ね合わせられる。このとき、設けられているシール材14の高さは、後の工程で押圧されてセルギャップd1が決定されることを考慮して、所定のセルギャップd1よりもその厚さを多少大きくして配置することが好ましい。しかしながら、シール材が硬化工程で膨張する等の性質を有することが予めわかっている場合にはこの限りではない。
【0094】
スペーサ部42bは、断面がL字状の形状を有している。このL字の段差部分の高さ42bcは、第1の基板10の厚さよりも高く設定してある。L字の段差部分の長さ42baは、第1の基板10を保持するのに十分な長さとすればよい。L字の段差部分より下側の厚さ42bbは、スペーサとして機能するので、所望のセルギャップと実質的に等しい厚みとしてある。
【0095】
スペーサ部42bの厚さは、例えば表示セル領域32に何らかのセルギャップ保持手段、すなわち例えばスペーサ粒子等のスペーサ材を配してこれによりセルギャップを決定する場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後にギャップ出しを行うことができるので、第1の基板10を安定に保持できる範囲内で、好ましくはセルギャップd1よりも大きな厚さを有し、かつシール材14の高さよりも小さい厚さとすればよい。
【0096】
また、例えばスペーサレス液晶表示パネル及び有機EL表示パネルの場合には、表示セル領域にスペーサ材が存在しないので、好ましくはスペーサ部42bの厚さをセルギャップd1と実質的に等しくなるように設定するのがよい。すなわち、スペーサ部42bの厚さ42bbを、シール材の硬化後のセルギャップd1を設定する厚さと等しくなるように設定するのがよい。
【0097】
スペーサ部42bを製造するにあたっては、貼り合わせ工程で使用される大気圧、湿度及び温度等の環境条件、並びに紫外線照射条件等の貼り合わせ工程条件下で、所定のセルギャップd1と等しくなるように留意してスペーサ部42b自体を設計製造する必要がある。言い換えれば、スペ−サ部42bの厚さ42bbは、シ−ル材14を硬化させた後のセルギャップd1が、設計通りの値となるような厚さとすればよい。スペーサ部42bの第1の基板10が載置される領域の長さ42baは、捨て領域30内に挿入及び抜き出しが可能であって、かつ第1の基板10を安定に保持できる長さとするのがよい。
【0098】
スペーサ部42bの材質については、この発明の目的を損なわない範囲で、適宜選択することができるが、好ましくはその材質を例えば純ニッケルとするのがよい。このスペーサ部42bの製造方法は、好ましくは例えば電鋳によるのがよい。
【0099】
この発明の貼り合わせ装置の構成により、安定して第1の基板10及び第2の基板12を保持することができる。さらに第1の定盤40に保持されている第1の基板10が落下したり、第2の定盤48によって保持されている第2の基板がずれたりするのを防止することができるので、正確にセルギャップを制御することが可能になる。
【0100】
スペーサ部42bの作動機構、すなわち支持アーム42の水平方向伸縮機構42caと垂直方向伸縮機構42cbとは、図中、ブロックでそれぞれ示してある。これら作動機構は、支持アーム42により第1の基板10を保持しつつ、スペーサ部42bを挿入する方向、すなわち第1の基板10を若干押し込んで第1の定盤40の凹部40aに沿うように撓ませる方向又は引き抜く方向(矢印A方向)及び第1の基板10を支持しつつ第1の定盤40に引きつける方向及び離す方向(矢印B方向)にスペーサ部42bを作動させる構成となっていれば、設計に応じた任意好適な構成の機構でよい。支持アーム42の水平方向伸縮機構42caと垂直方向伸縮機構42cbとは、所定の方向に所定の指定した距離だけ前進又は後退できるように、微調整可能に構成されていればよく、その構成自体は従来既知の任意好適な構成を用いればよい。すなわち、この発明の目的を損なわない範囲で適宜選択すればよく、好ましくは例えば、マイクロモータ、サーボモータ、油圧シリンダ等により構成するのがよい。
【0101】
次に基板の貼り合わせ工程における基板保持機構42の動作につき、図2を参照して説明する。
【0102】
第1の基板10は、支持アーム42の第1アーム部材42aa及び第2アーム部材42abとを、これらの部材を伸縮させるための機構である水平方向伸縮機構42ca及び垂直方向伸縮機構42cbにより、捨て領域30のみに接触するように、調整してスペーサ部42bの上面側に載置される。このとき、第1の基板10と第1の定盤40との間に生じる空間をd3とする(図2(A))。
【0103】
スペーサ部23の段差42baで第1の基板10を四方から押さえる。垂直方向伸縮機構42cbにより第1の定盤40に対して、第1の基板10を引きつける方向に第2アーム部材42abを短縮することで、第1の基板10の端縁部が第1の定盤40の下面側に密着される。
【0104】
同時に、第1の基板10は、水平方向駆動機構42caにより、第1の基板10の端縁から中心部へ向かう矢印A方向の圧力を加えられる。例えば1200mm×1200mmの基板を適用する場合には、第1の基板10のそれぞれの端縁が、載置状態から3mm程度、第1の基板10の中心部に向かって移動するように押し込む。この第1アーム部材42aaの短縮は、第2アーム部材42abの短縮と同時に行ってもよい。
【0105】
これにより、第1の基板は、第1の定盤40の下面側の凹部40bの湾曲面に沿って接触又は密着する程度に、上方に向かって撓むように若干押し込まれる。そして、第1の基板10の上面側に第1の基板保持用気密保持部材41aが接触する。こうして、間隙d3は、第1の基板保持用気密保持部材41aを介して、気密にされる。
【0106】
このようにして、第1の基板10の外側面が第1の基板保持用気密保持部材41aに密着してその間隙d3が気密とされるように、第1の基板10は支持アーム42により保持される。
【0107】
次いで、第1の基板保持用給排気口44aを通じて、第1の基板保持用真空ポンプ46aにより間隙d3内の空気を排気する。排気が進行するにつれて、間隙d3の容積は、潰れて徐々に減少していく。このとき、支持アーム42、すなわち第2アーム部材42abは、垂直方向伸縮機構42cbにより、間隙d3の容積減少に追随して、矢印B方向に短縮される。このとき、第1の基板保持用気密保持部材41aは、第1の基板10に対して適切な圧力を維持し続けるように、その形状を変えるか、又は図に示したように第1の定盤40内に圧力に応じて格納されることで、間隙d3内を気密に保って排気しつつ、第1の基板10を密着保持する(図2(B))。このとき第1の基板10の撓みによりその下側に生じる空間がd2となる。
【0108】
そして、図1を用いて既に説明した工程により、引き続き2枚の基板の貼り合わせが行われる。上述と同様であるので図1を参照した簡単な説明にとどめる。
【0109】
具体的には、第1の基板10及び第2の基板12を第1の定盤40及び第2の定盤48により保持する。
【0110】
次いで、例えば図6により説明した各作動機構を用いて、第1の定盤40と第2の定盤48の間隔、すなわち第1の基板10と第2の基板12との間隙を狭めていって、シール材14を介して、第1の基板10と第2の基板12とを重ね合わせる。
【0111】
然る後、第1の基板保持用真空ポンプ46aによる圧力を解除して、真空にされている間隙d3の気圧を常圧に戻しつつ、基板保持機構42の第2アーム部材42abを垂直方向伸縮機構42cbにより少し伸長させて、潰れていた間隙d3を回復させる。このとき、第1の基板10に生じていた撓み、すなわちd2は消滅する。
【0112】
次いで、間隙d3内に、空気又は不活性ガス等の気体を供給して、気圧を上昇させる。このようにして、第1の基板10を、第1の基板保持用給排気口44aを介して供給される気体の気体圧力により上面側から押圧する。
【0113】
具体的には、基板保持機構42の垂直方向作動機構42cbにより第2アーム部材42abを伸長させる。これにより気密保持部材41aを第1の基板10に密着させた状態を維持する。すなわちアーム部42aの伸長につれて、第1の定盤40に半ば格納されるように、第1の基板に密着していた気密保持部材41aが追随して突出し、その密着を維持した状態で間隙d3を回復させる。
【0114】
さらに第1の基板10と第1の定盤40との気密保持部材41aによる密着を維持したまま、間隙d3内に気体を供給して第1の基板10を押圧する。
【0115】
このとき、表示セル領域32にセルギャップ保持手段を配してある場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後に第1の基板10を押圧することでセルギャップd1が決定される。
【0116】
また、スペーサレス液晶表示パネル又は有機EL表示パネルの場合には、表示セル領域32にはスペーサ材が存在しないので、押圧してセルギャップd1を設定する厚さ42bbを有するスペーサ部42bによりセルギャップd1を決定した後、シール材を硬化する。
【0117】
このように、例えば1200mm×1200mmの大型基板を使用した表示パネルの製造工程においても、簡単な工程で正確にセルギャップを制御することができる。また液晶媒体を滴下液晶注入した場合には、従来必要だった注入口の封止工程が必要なくなる。そのうえ、セルの気密性があがることから、液晶媒体の漏出等を予防することができ、結果として表示セルの歩留まりの向上が期待される。
【0118】
この実施形態のパネル製造方法及び装置は、有機ELパネル基板の貼り合わせ工程はもとより、セル内部においてスペーサレス化された液晶パネル基板の貼り合わせ工程に適用して好適である。また、図には1組の基板から1枚のディスプレイパネルを製造する例を示したが、これに限られず、例えば4枚取り、8枚取り、・・・、80枚取り等の多面取りにも適用できる(以下の図においても同様)。
【0119】
<第2の実施の形態>
図3(A)及び(B)を参照して、この発明の第2の実施の形態につき説明する。
【0120】
図3(A)及び(B)は、この発明の貼り合わせ方法に使用して好適な貼り合わせ装置の全体構成例を示す図である。
【0121】
第2の実施の形態の貼り合わせ装置は、第1の基板10と第2の基板12との間隙、すなわち捨て領域30と表示セル領域32とを、真空にするための構成を含んでいる。すなわち、上述した第1の実施の形態の第1の定盤40及び第2の定盤48を含む構成に加えて、少なくともこの第1の定盤40と第2の定盤48に保持された第1の基板10と第2の基板12との間隙を真空にするための構成が付加してある。ここでは第1の実施の形態と共通の構成についてはその詳細な説明を省略し、構成要素の配置関係の差異及び付加された構成について説明する。
【0122】
第2の実施の形態の貼り合わせ装置において、上述した第1の実施の形態の貼り合わせ装置と異なる点は、基板保持機構42の配置位置である。この実施の形態では、基板保持機構42は第1の定盤40の下面側に設けてある。また、たとえば第1の定盤40の厚さ方向に設けられた溝に格納されるように設けてある。この基板保持機構42が、第1アーム部材42aa及び第2アーム部材42ab、これらの部材を伸縮させるための機構である水平方向伸縮機構42ca及び垂直方向伸縮機構42cb並びにスペーサ部42bを含むのは第1の実施の形態と同様である。
【0123】
ここでは、基板保持機構42全体を第1の定盤40と第2の定盤48との間隙内にすべて格納してある。しかしながら、基板保持機構42の一部を第1の定盤40の外部に、例えば第1の定盤40を貫通するように設ける構成としてもよい。具体的には第1の実施の形態で説明した第1及び第2の定盤40及び48に定盤間気密保持部材43を設け、基板保持機構42の第1アーム部材42aaを、第1の定盤40に設けた貫通孔を介して2つの定盤間の間隙を気密にしつつ、作動可能とするような構成としてもよい。
【0124】
さらにこの実施の形態では、第1の定盤40は、第1の実施の形態において説明した構成に加え、定盤間気密保持部材43、すなわち第1の定盤間気密保持部材43aと、第1の定盤間給排気口45a及びこれに接続されている第1の定盤間用真空ポンプ47aとを含む気密保持手段を具えている。
【0125】
第1の定盤間気密保持部材43aは、第1の定盤40の下面側であって、基板保持機構42及びこれにより保持される第1の基板10を取り囲むように設けられている。
【0126】
第1の定盤間給排気口45aは、第1の定盤40の第1の定盤間気密保持部材43aの内側から、保持される第1の基板10の端縁より外側までの範囲、すなわち第1の基板10と第2の基板12の間隙d1の気体圧を加圧又は減圧自在に調整することができる位置に設けられている。
【0127】
同様に第2の定盤48は、第1の実施の形態において説明した構成に加え、定盤間気密保持部材43、すなわち第2の定盤間気密保持部材43bと、第2の定盤間給排気口45b及びこれに接続されている第2の定盤間用真空ポンプ47bとを具えている。
【0128】
第2の定盤間気密保持部材43bは、第2の定盤48の上面側に載置されている第2の基板12を取り囲むように設けられている。
【0129】
第2の定盤間給排気口45bは、第2の定盤48の第2の定盤間気密保持部材43bの内側から、保持される第2の基板12の端縁より外側までの範囲、すなわち少なくとも第1の基板10と第2の基板12との間隙の気体圧を加圧又は減圧自在に調整することができる位置に設けられている。
【0130】
この第1及び第2の定盤間気密保持部材43a及び43bは、貼り合わせ工程において、第1の定盤40と第2の定盤48との間隙の気体圧力を加圧又は減圧自在に調整することができる範囲で、適宜の構成とすればよい。例えば好ましくはO−リング、中空のチューブ等を適用するのがよい。
【0131】
第1及び第2の定盤間気密保持部材43a及び43bは、貼り合わせ工程において、第1及び第2の基板10及び12を近接させてその間隙(距離)を小さくしたときに、互いに接触して、これによりこれら定盤間気密保持部材により囲まれた内部の領域を真空にできる程度に気密とする構成としてある。
【0132】
従って、第1及び第2の定盤間気密保持部材43a及び43bの大きさ、形状は、設定される第1及び第2の基板を近接させて処理する際の間隔にあわせて、適宜設定するのがよい。
【0133】
また、第2の実施の形態では、第1及び第2の定盤40及び48にそれぞれ対向するように同形状の2つの定盤間気密保持部材を設ける例を説明したが、この発明の目的を損なわない範囲で、例えば第1又は第2の定盤に1つだけ定盤間気密保持部材を設ける構成としてもよいし、対向する2つの定盤間気密保持部材の形状及びサイズを異なる構成としてもよい。
【0134】
第1及び第2の定盤間給排気口45a及び45bと、これにそれぞれ接続される第1及び第2の定盤間用真空ポンプ47a及び47bの構成及び接続関係については、第1の実施の形態で説明した基板保持用給排気口及び真空ポンプと同様の構成とすればよいので、その詳細な説明は省略する。
【0135】
次に、この第2の実施の形態の貼り合わせ工程につき図3(A)及び(B)を参照して説明する。
【0136】
第2の実施の形態は、貼り合わせ工程において、第1及び第2の基板10及び12の間隙、すなわちシール材14により封止される前の捨て領域30と表示セル領域32とを真空にして工程を実施する例である。
【0137】
まず、第1の実施の形態で説明した工程により、第1及び第2の基板10及び12を保持する。
【0138】
このとき、第1の基板10及び第2の基板12のいずれかの基板上には、端縁部内側領域間に捨て領域30及び表示セル領域32を形成するようシール材14が予め、設けてある。
【0139】
次いで、液晶表示パネルの場合には、第2の基板12の表示セル領域32に、所望によりスペーサ材、及びディスペンサ等を用いて、液晶媒体を注入する。有機ELパネルの場合には、第1及び第2の基板10及び12のいずれかに予め有機EL層が設けてある。
【0140】
次に、図6を用いて既に説明した各機構を用いて、第1の基板10及び第2の基板12の間隙(以下、単に基板間隙とも称する。)がシール材14により封止されていない状態を維持するように機構42により適宜調整しつつ、基板間隙を、真空にするのがより容易となるように、なるべく小さくして位置合わせを行う。
【0141】
このとき第1及び第2の定盤間気密保持部材43a及び43bが互いに密着して、基板間隙を気密空間とする。
【0142】
次に、基板間隙を常圧から真空にする。この真空排気処理を、第1及び第2の定盤間給排気口45a及び45bと、例えば図示されていない圧力調整弁を具えた配管を介して接続されている第1及び第2の定盤間用真空ポンプ47a及び47bを含む圧力調整機構を使用して行う。このとき、好ましくはシール材14により画成される表示セル領域32が破裂により破壊されるのを防ぐため、この基板間隙の気圧をシール材14が破裂しない程度に低くして、2枚の基板を貼り合わせるのがよい。
【0143】
一般に、基板間隙外の気圧は常圧(1気圧、約101kPa(760mmHg))であるものとすれば、基板間隙内は、例えば約73.2kPa(550mmHg)程度にして貼り合わせるのがよい。
【0144】
また、好ましくは第1の基板10の落下を防ぐために、第1の基板10を第1の定盤40により保持するための気体の吸引力(真空度)よりも基板間隙内の気体の真空度(気圧)が小さくなるように設定するのがよい。
【0145】
この段階で、表示セル領域32にスペーサ材を設けてある場合には、スペーサ部42bを引き抜いて後の工程を実施してもよい。
【0146】
然る後、第1の基板10を第1の定盤40側に密着させるための真空状態を解除する。
【0147】
このとき、基板保持機構42の垂直方向作動機構42cbによりアーム部42aを若干伸長させることで、第1の気密保持部材41aを第1の基板10に密着させた状態を維持しつつ、回復させる。
【0148】
そして、第1の定盤40に半ば格納されるように第1の基板に密着していた第1の気密保持部材41aが、アーム部42aの伸長に追従して突出し、第1の気密保持部材41aと第1の基板10とを密着させた状態で間隙d2を回復させる。
【0149】
さらに第1の基板10と第1の定盤40との密着を維持したまま、上述したように間隙d2の気圧を上昇させて第1の基板10を押圧することでセルギャップd1をスペーサ部42bの厚さ42bbにより決定する。ここで表示セル領域32になんらかのスペーサ材を配してある場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後で、このスペーサ材によりセルギャップd1が決定される。
【0150】
次いで、シール材14を硬化した後にスペーサ部42bを引き抜く。シール材14がシール硬化により、寸法に変化を生じないか、又は変化を生じたとしても支障をきたさない範囲内の変化であって実質的に変化を生じないならば、あるいは表示セル領域32にスペーサ粒子等を配して、これによりセルギャップを決定する場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後にシール材14を硬化する。
【0151】
このような装置構成として貼り合わせ工程を実施すれば、真空にされるべき空間の容積を最小限にすることができる。すなわち、表示セル領域空間32及び捨て領域空間30のみを真空とするので、より効率的に短時間で貼り合わせ工程を行うことができる。従って、一定時間におけるスループットが大いに向上する。また、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0152】
<第3の実施の形態>
図4を参照して、この発明の第3の実施の形態につき説明する。
【0153】
図4は、この発明の貼り合わせ方法に使用して好適な貼り合わせ装置の全体構成例を示す概略的な断面図である。
【0154】
第3の実施の形態の貼り合わせ方法は、気密にして真空にすることができる処理室50内に第1及び第2の定盤40及び48を格納して、第1の基板10と第2の基板12との間隙、すなわち捨て領域30の空間と表示セル領域32の空間とを、真空にして、貼り合わせ工程を実施するディスプレイパネル基板を貼り合わせる方法である。
【0155】
すなわち、第3の実施の形態の貼り合わせ装置は、第1の基板10と第2の基板12との間隙、すなわち捨て領域30と表示セル領域32とを真空条件にして貼り合わせを行うための処理室50を具えている。この処理室50は容器又は箱状体52により気密に構成される。そして、この箱状体52は、処理室50を常圧から真空へ又は真空から常圧へ任意自在に変化させるための圧力調整手段を含んでいる。
【0156】
この構成例では、圧力調整手段とは、真空排気系であり、箱状体52に設けられた処理室用給排気口54と、例えば圧力調整弁を具えた配管(図示せず。)を介して給排気口54と接続された真空ポンプ56等を含んでいる。この圧力調整手段としての真空排気系は、上述した基板保持手段と構成の一部分を共用するのがよい。
【0157】
加えて、真空ポンプ近傍には、例えば防塵、水分除去、有機溶媒等の除去のための例えばフィルターのような手段が設置されることが好ましい。
【0158】
この処理室50は、容器あるいは箱状体52により気密の閉空間が画成されることにより形成されている。
【0159】
この箱状体52は、第1の基板10及び第2の基板12を搬送して配置する工程のために、従来と同様に、図示しない何らかの手段により開閉自在とされる。また、この箱状体52には、処理室用給排気口54とこれに接続される処理室用真空ポンプ56を含む真空排気系が接続されていて、処理室50内を少なくとも常圧から真空へ、又は真空から常圧へ自在に調整できる構成となっている。
【0160】
また、処理室50は、既に説明した種々の基板駆動、特に第1の基板10を保持する支持アーム(基板保持機構)42、及び図示されていない図6を用いて説明した上下昇降手段、X軸駆動機構、Y軸駆動機構及び回転駆動機構等の駆動を行えるように構成してある。
【0161】
次に貼り合わせ工程につき説明するが、上述の他の実施の形態と同様の構成及び工程についての詳細な説明は、省略する。
【0162】
第1の定盤40は、処理室50で、上述の実施の形態と同様に、第1の基板10を保持する。
【0163】
第1の基板10及び第2の基板12のいずれかの基板上には、捨て領域30及び表示セル領域32を形成するように、予めシール材14が設けてある。
【0164】
然る後、処理室50の排気を行って、真空にする。この真空排気処理を、処理室用給排気口54と、図示されていない圧力調整弁を具えた配管を介して、接続された処理室用真空ポンプ56を含む圧力調整機構を使用して行う。
【0165】
このとき、第2の実施の形態において既に説明したとおり、処理室50の気圧を、その外部の気圧と比較して、前記シール材が破裂して、セル領域空間32が破壊されない程度に低く維持した状態で貼り合わせた後に、押圧するのがよい。処理室50外の気圧は常圧(1気圧、約101kPa(760mmHg))であるものとすれば、処理室50は、例えば約73.2kPa(550mmHg)程度にして貼り合わせるのがよい。
【0166】
また、好ましくは第1の基板10の落下を防ぐために、第1の基板10を第1の定盤40により支持するための気体の吸引力(真空度)よりも処理室50内の気体の吸引力(真空度)が弱くなるように設定するのがよい。すなわち、気密保持部材41aと第1の基板10と第1の定盤40とで囲まれた空間の真空度を、処理室50の真空度よりも高くして、第1の基板10を気密保持部材41aと密着させるのが好ましい。
【0167】
そして、上述したように、第1の基板10を第1の定盤40の支持アーム42のスペーサ部42bにより支持しつつ第2の定盤48により支持された第2の基板12と位置合わせを行う。上述した各作動機構を用いて、第1の定盤40と第2の定盤48との間隔を狭めていって、シール材14を介して第1の基板10と第2の基板12とを密着させて、重ね合わせる。この段階で、表示セル領域32にスペーサ材を設けてある場合には、スペーサ部42bが引き抜かれた後の工程を実施してもよい。特にスペーサレス液晶表示パネル又は有機EL表示パネルの場合には、第1の基板10を支持していたシール材14の硬化後のセルギャップd1を設定する厚さのスペーサ部42が、セルギャップd1に実質的に等しい厚さで、第1の基板10及び第2の基板12の間の捨て領域30内で挟持される。
【0168】
然る後、第1の基板10を第1の定盤40側に密着させていた真空を解除する。そして基板保持機構42の垂直方向作動機構42cbによりアーム部42aを伸長させることで、気密保持部材41aを第1の基板10に密着させた状態を維持しつつ、すなわちアーム部42aの伸長に、第1の定盤40に半ば格納されるように第1の基板に密着していた気密保持部材41aが追随して突出し密着を維持した状態で間隙d2を回復させる。さらに第1の基板10と第1の定盤40との密着を維持したまま、間隙d2の気圧を上昇させて第1の基板10を押圧することでセルギャップd1をスペーサ部42bの厚さにより決定する。表示セル領域32に別の独立したスペーサ材を配してある場合には、このスペーサ材によりセルギャップd1が決定される。
【0169】
次いで、シール材14を硬化した後にスペーサ部42bを引き抜く。シール材14がシール硬化により、寸法に変化が生じないか、又は変化が生じたとしても支障をきたさない範囲内の変化であって実質的に変化が生じないならば、あるいは表示セル領域32にスペーサ粒子等を配して、これによりセルギャップを決定する場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後にシール材14を硬化する。
【0170】
本明細書中、用語「常圧」とは、この発明の装置をとりまく大気圧を表し、用語「真空」とは、空気を吸引排気することにより大気圧よりも圧力の低くなった状態をいう。この真空の程度は、空気を排気するときの吸引力により比較される。この真空の程度は、上述したように目的及び構成に応じて適宜設定することができる。
【0171】
第3の実施の形態の装置及び貼り合わせ方法によれば、特にその製造に使用される材料が湿気及び酸素に弱い有機ELパネルの製造工程において、パネル品質に大きな影響を与えるこれらの要因を排除しつつ、簡単な工程で正確なセルギャップ制御を行うことが可能になる。
【0172】
次にこの第3の実施の形態の貼り合わせ方法の変形例につき説明する。上述した実施形態の場合と同様に、第1の基板10を第1の定盤40により保持する。第1の基板10及び第2の基板12の端縁部内側領域間に捨て領域30を形成するようシール材14が配設されている第2の基板12を位置合わせして保持する。然る後、第1の定盤40と第2の定盤48を含む処理室50を、図示されていない圧力調整弁を具えた配管を介して処理室用給排気口54に接続された処理室用真空ポンプ56を使用して処理室50内の空気を吸引することにより処理室50を真空にする。
【0173】
この変形例では、特に、真空にされた処理室50、すなわち表示セル領域32とその外の空間を、これら2つの空間の間での気圧差が実質的に零になるように維持しつつ常圧に戻す。
【0174】
そして、上述の場合と同様に、気体圧力により第1の基板10を押圧してセルギャップd1を決定し、シール材14を硬化した後、スペーサ部42bを引き抜くか、又はスペーサ部42bを引き抜いた後、シール材14を硬化して、表示パネルを完成させる。
【0175】
この変形例において、表示セル領域とその外部の処理室空間との大気圧を実質的に等しくなるように維持しつつ常圧に戻す工程を加えた理由は、次の通りである。処理室50に急激に気体が流入することにより、セル表示領域32とその外部の処理室50の空間の大気圧に差が生じる。この気圧差が残存している状態で、第1及び第2の基板10及び12の間隙が封止されると、基板が撓み、そのため、セルギャップd1が、例えばセル中央部と周縁部とでは、一様ではなくなってしまう可能性がある。従って、この気圧差を生じないように常圧に戻すのは、封止後の基板の撓みの発生を防止するためである。
【0176】
上述した真空から常圧に戻す工程は、第1の基板10と第2の基板12とが接近した状態で行われることが好ましい。
間隙d2及び処理室50内に供給される空気又は不活性ガス等の気体は、例えばフィルタ等を介して浄化されることが好ましい。
【0177】
このような装置の構成により、例えばフレキシブルな基板を使用するディスプレイパネルの製造工程においても、簡単な工程で正確なセルギャップ制御を行うことが可能となる。
【0178】
さらにこの発明の実施形態は、シール材が紫外線硬化型シール材であり、シール材を硬化する工程が紫外線照射により行われることが好ましい。
【0179】
さらにまたこの発明の実施形態は、シール材が熱硬化型シール材であり、シール材を硬化する工程が加熱又は冷却により行われることが好ましい。
【0180】
また、この発明の貼り合わせ装置では、基板が帯電破壊されるのを防ぐために、基板が接する部分のすべてが絶縁性の素材で形成されることが好ましい。
【0181】
さらに、この発明の貼り合わせ装置にイオンシャワーのような静電除去手段を装備することが好ましい。あるいは、処理室内壁に、例えばアルコールなどの溶剤を適度に塗布しておくことにより、基板の帯電を効果的に防止することができる。
【0182】
スペーサ部自体の製造における注意点は、上述と同様である。すなわち、実際に使用される条件下で所定の厚さを有するように設計製造すればよい。
【0183】
さらにこの発明の貼り合わせ装置によれば、第1の定盤40定盤及び/又は第2の定盤48が石英で構成された定盤であって、さらに硬化手段として紫外線照射装置を具えることが好ましい。
【0184】
さらにまたこの発明の貼り合わせ装置によれば、第1の定盤40及び第2の定盤48とが金属で構成される加熱又は冷却定盤であってもよい。
【0185】
既に説明した通り、上述した各実施の形態では、1組の貼り合わせ基板から1枚のディスプレイパネルを製造する例を説明したが、この発明は、1組の貼り合わせ基板から複数枚のディスプレイパネルを分離して取ることが可能な、多面取り基板にも適用できる。
【0186】
図5は、多面取り基板に適用した場合のセルの配置例の説明に供する図である。
【0187】
ここで説明する多面取り基板は、一般的な400mm×400mmの正方形のガラス基板である。なお、この例は説明を容易にするための例示に過ぎず、この発明を限定するものではない。
【0188】
これら基板の貼り合わせ基板から、例えば、80個の個別セル70(または表示領域(窓))を画成してある。各個別セル70は、格子状に設けられた個別シール材72で囲まれている。この例では、セル形状は長方形とし、長辺を34.54mmとし、かつ短辺を25.91mmとなっている。これらセルを、例えば、8行10列のマトリクス状に配列させてある。また、隣り合うセルの、行及び列方向のそれぞれの中心間距離は40mmとされている。
【0189】
【発明の効果】
この発明のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法及びその実施のための装置によれば、真空条件下でも、より大型の基板を安定して保持することができるので、液晶媒体を基板の貼り合わせ前に注入する工程を含む液晶表示パネルの貼り合わせ工程及び有機ELパネルの貼り合わせ工程に適用するのに特に好適である。簡易な工程で容易かつ高精度に種々の表示パネルのセルギャップを制御することができる。一連の簡易な工程で貼り合わせからシール材の硬化まで行うことができる。従って、製造コスト削減及びパネル品質向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)及び(B)は、この発明の第1の実施形態の説明図であって、(A)は、この発明のディスプレイ基板の貼り合わせ装置の要部の概略的な平面図、(B)は、(A)図のB−B線に沿って切断した切断面を示した断面図である。
【図2】図2(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態の貼り合わせ装置の、特に第1の基板の支持動作の説明図であって、第1の実施の形態の貼り合わせ装置の要部の概略的な断面図である。
【図3】図3(A)及び(B)は、この発明の第2の実施の形態の貼り合わせ装置の、特に第1の基板の支持動作の説明図であって、第2の実施の形態の貼り合わせ装置の要部の概略的な断面図である。
【図4】図4は、この発明の第3の実施の形態のディスプレイ基板の貼り合わせ装置の要部の概略的な断面図である。
【図5】従来の基板の多面取りのためのセルの配置例の説明に供する図である。
【図6】従来の基板貼り合わせ工程及び貼り合わせ装置を説明するための要部の概略的な模式図である。
【符号の説明】
10、110:第1の基板
12、112:第2の基板
14、114:シール材
30:捨て領域
32:表示セル領域
40、142:第1の定盤
40a:凹部
41a:第1の基板保持用気密保持部材
41b:第2の基板保持用気密保持部材
42:支持アーム(基板保持機構)
42a:アーム部
42aa:第1アーム部材
42ab:第2アーム部材
42b:スペーサ部
42ba:段差
42bb:(段差の)厚さ
42ca:水平方向伸縮機構
42cb:垂直方向伸縮機構
43:定盤間気密保持部材
43a:第1の定盤間気密保持部材
43b:第2の定盤間気密保持部材
44a:第1の基板保持用給排気口
44b:第2の基板保持用給排気口
45a:第1の定盤間給排気口
45b:第2の定盤間給排気口
46a:第1の基板保持用真空ポンプ
46b:第2の基板保持用真空ポンプ
47a:第1の定盤間用真空ポンプ
47b:第2の定盤間用真空ポンプ
48、144:第2の定盤
50:処理室
52:箱状体
54:処理室用給排気口
56:処理室用真空ポンプ
60:シール材硬化手段
70:個別セル
72:個別シール材
132:X軸駆動機構、134:Y軸駆動機構
136:回転駆動機構、138:上下昇降手段
160:加圧シリンダ
162:θテーブル
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法及びその実施のための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイパネル及び有機ELディスプレイパネルは、一般に2枚の基板を貼り合わせて製造される。以下に図6を参照しつつ、従来から行われている基板の貼り合わせ工程を説明する。
【0003】
図6は従来の基板貼り合わせ工程及び貼り合わせ装置を説明するための要部の概略的模式図である。図6に示したように、第1の基板110を、X軸駆動機構132を具えた第1の定盤142で保持する。同様にシール材114を設けた第2の基板112を、Y軸駆動機構134を具えた第2の定盤144で保持する。第1の基板110及び第2の基板112に付された合わせマークを観測しつつ、X軸、Y軸及び第2の定盤144のさらに下部に位置するθテーブル162でθ軸を調節する。すなわち、第2の基板112を回転駆動機構136で水平面内で回転させて第1の基板との位置合わせを行う。然る後、第1の定盤142又は第2の定盤144を、矢印A方向に作動することができる、定盤の上下昇降手段138及び加圧シリンダ160により結果として基板を押圧することで貼り合わせを行っている。このとき2枚の基板の間隔(以下、セルギャップと称する。)が、例えばセルの辺縁部とセルの中心部とで一定でない場合には、完成したディスプレイパネルに表示むらが生じてしまう。従って、ディスプレイパネル表示品質を高品質に、かつ一定に維持するためには、製造工程においてセルギャップを適切に維持する必要がある。この技術をセルギャップ制御(CELL GAP CONTROL)という。なお、上述したX軸駆動機構132、Y軸駆動機構134、回転駆動機構136、上下昇降手段138及び加圧シリンダ160による基板押圧機構は、従来より種々の機構があって周知である。このため、当業者ならばこれらの機構を容易に構成できるので、その詳細な説明は省略する。
【0004】
例えばガラス基板等を用いた液晶表示ディスプレイパネル製造における貼り合わせ工程では、シール材自体にグラスファイバ等からなるスペーサ繊維を混入して使用すると同時に、基板間の表示セル内部全面に樹脂、シリカ等からなるスペーサ粒子等のセルギャップ保持手段を散布せしめて行われている。また、表示セル領域内にレジスト等の構造によりセルギャップ保持手段を設ける場合もある。しかしながら、スペーサによるコントラストの低下等のマイナス効果が生じる。従って、表示品質を向上させるために、セル内部にスペーサ粒子を配置せずに精密なセルギャップ制御を行う、いわゆるスペーサレスな液晶ディスプレイが待望されている。
【0005】
また近年需要の増大している有機ELパネル等においては、表示セル内部全面にスペーサ粒子を配することはできないので、精密なセルギャップ制御は実現されていないのが現状である。
【0006】
さらにガラス等の基板を用いた液晶表示素子の場合には、表示セル内部を完全に封止するためには、後に液晶媒体を注入するための開口部を具えるようにシ−ル材を設ける工程と、液晶媒体を注入する工程と、開口部を封止する工程とが必要であることから、単一工程で表示セル内部を完全に封止することができなかった。すなわち、液晶媒体を注入した後に、この開口部を封止するという工程が必要であった。従って、封止部の接着強度の確保が困難なことに起因して、封止後に液晶媒体が漏出する等の問題がある。
【0007】
このような問題を解決するため、最近では基板上にシール材により表示セルの全周を囲む隔壁を形成し、この隔壁の内部(表示セル領域)に液晶媒体を滴下することで充填した後、2枚の基板を貼り合わせて封止する「滴下液晶注入」と呼ばれる方法が検討されている。
【0008】
この方法によれば、工程が非常に簡易になることに加え、液晶媒体の利用効率が上がる等の様々な効果が予想される。しかし、この方法では、貼り合わせの工程を真空条件下で行う必要があるが、真空条件下において、上下2枚の定盤のうち、特に上側に位置する定盤に、基板を安定して保持することが大変困難である。
【0009】
近年、特に貼り合わせの対象となる基板のサイズは大型化する傾向が顕著であり、例えば1200mm×1200mmの基板が使用される場合もある。
【0010】
このような大型の基板を、特に定盤の下面側で保持する場合には、保持されている基板が下側に撓んでしまう。この撓みの発生により、基板が撓んだ状態で貼り合わせが行われてしまい、セルギャップの均一性が得られなくなってしまう。また、この撓みの発生により、基板が定盤から脱落してしまったり、基板自体が破壊されてしまう場合もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基板の貼り合わせ工程に際して、基板の撓みを防止しつつ、セルギャップを容易かつ高精度に設定することが可能である、ディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法及びその実施のための装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、対向する第1及び第2の基板間に挟まれた空間に表示セル領域空間及び捨て領域空間を形成するようにいずれかの基板にシール材を介在させて、第1の定盤側に保持された第1の基板と第2の定盤側に保持された第2の基板との位置合わせを行うディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、以下の工程を含むことを特徴とする。すなわち、
(1)第1の基板を、第1の定盤に具えられた基板保持機構のスペーサ部により、保持する工程、
(2)第1の基板の表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部とが接触するように撓ませて第1の基板を第1の定盤側に保持する工程、
(3)第1及び第2の基板間に押圧力を付加して前記セルギャップを決定する工程、及び
(4)シール材を硬化する工程、
を含む。
【0013】
ここで、第1の基板の表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部とが接触する、とは第1の基板の表面の1部又は全部が凹部と接触していることを意味する。
【0014】
また、この発明の貼り合わせ方法によれば、対向する第1及び第2の基板間に挟まれた空間に表示セル領域空間及び捨て領域空間を形成するようにいずれかの基板にシール材を介在させて、第1の定盤側に保持された第1の基板と第2の定盤側に保持された第2の基板との位置合わせを行うディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法に関する発明であって、特に上記課題を解決するため、下記の工程を含む。
(1)第1の基板を、第1の定盤に具えられた基板保持機構のスペーサ部により保持する工程、
(2)第1の基板の、前記表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部との間隙を真空にして凹部に第1の基板面が密着するように撓ませて第1の基板を第1の定盤側に吸引保持する工程、
(3)第1及び第2の基板間に押圧力を付加してセルギャップを決定する工程、及び
(4)シール材を硬化する工程。
【0015】
この方法によれば、上下2つの定盤のうち、特に上側に位置する湾曲面で構成されている凹部を有する第1の定盤において、この第1の定盤と第1の基板との間隙を真空にすることで、第1の基板を、この凹部の曲面に沿って、若干撓ませて第1の定盤に接触又は密着させ、これにより第1の基板を安定に保持することができる。従って、貼り合わせの対象となる基板が大型化しても、セルギャップを容易にかつ高精度に、設定することができる。
【0016】
この発明の貼り合わせ方法は、いわゆる滴下液晶注入工程を採用する液晶表示パネルの他、例えば有機EL表示パネル等の2枚の基板を貼り合わせることにより製造されるディスプレイパネルに適用して特に好適である。
【0017】
また、この発明の貼り合わせ方法によれば、好ましくは、第2の基板と第2の定盤についても同様に、表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第2の定盤との間隙を真空にして、第2の基板を第2の定盤側に吸引保持するのがよい。
【0018】
この発明の貼り合わせ方法の工程のうち、特に工程(3)を実施するに際しては、好ましくは、第1の基板と第2の基板とを接近させ、かつ表示セル領域空間がシール材により密閉されていない状態で、第1の基板と第2の基板との間隙、具体的には少なくとも表示セル領域空間を真空とするのがよい。
【0019】
このようにすれば、真空とすべき空間を小さくすることができるので、この貼り合わせ工程の時間を短縮することが可能であり、スループットが大いに向上する。
【0020】
この発明の貼り合わせ方法の実施に当たり、好ましくは、貼り合わせ工程を内部を真空にすることが可能な気密の処理室内で行うのがよい。上述した少なくとも工程(2)と工程(3)を、処理室を常圧と真空との間で変化させて実施するのが好適である。
【0021】
このように、真空にされた処理室内で基板の貼り合わせ工程を行うことで、特にその製造に使用される材料が湿気及び酸素に弱い有機EL表示パネルの製造工程において、表示パネル品質に大きな影響を与えるこれらの要因を排除しつつ、簡単な工程で精密なセルギャップ制御を行うことが可能になる。
【0022】
この発明の貼り合わせ方法の工程(3)において、第1及び第2の基板の間隙の気圧を、その外部の気圧と比較して、好ましくはシール材が破裂しない程度に低く維持した状態で第1及び第2の基板同士を合わせた後に、押圧するのがよい。
【0023】
さらに、この発明の貼り合わせ方法において、貼り合わせ工程を真空にした処理室内で行うに際しては、好ましくは、処理室全体を真空にするための空気の吸引力を、第1及び第2の基板を第1及び第2の定盤に密着させるための空気の吸引力よりも小さくするのがよい。
【0024】
このようにすれば、第1及び第2の基板の落下や、これら基板の定盤に対するずれの発生を抑制することができる、従って、これら2枚の基板をより安定して保持することができるので、高精度にセルギャップを制御することが可能になる。
【0025】
また、この発明の貼り合わせ方法によれば、工程(3)は、好ましくは、例えばセルギャップを設定する厚さよりも大きな厚さを有し、かつ第1の基板と第2の基板との間に設けられたシール材の厚さよりも小さな厚さを有するスペーサ部により行ってもよい。この場合には、セルギャップは表示セル内部に設けられるスペーサ粒子等のスペーサ材により決定されるので、スペーサ部を抜き出した後に基板を押圧する、いわゆるギャップ出し工程を行ってもよい。
【0026】
さらにまた、この発明の貼り合わせ方法によれば、工程(3)において、好ましくは、セルギャップが、シール材の硬化後のセルギャップを設定する厚さと形状を有するスペーサ部により決定されるようにするのがよい。このとき、工程(4)は、スペーサ部を捨て領域から引き抜く前に行ってもよい。
【0027】
このようにすれば、スペーサ部により、貼り合わせと同時にセルギャップを容易かつ正確に決定し、さらにシール材の硬化まで一連の工程により行うことができる。従って、特にスペーサレスの「滴下液晶注入工程」による液晶表示パネル及び有機EL表示パネル等の貼り合わせに適用して好適である。
【0028】
さらにこの発明の貼り合わせ方法によれば、工程(3)は、好ましくは、第1の基板と第1の定盤との間隙の気体圧を高める工程として行うのがよい。
【0029】
このように、気体圧によれば、第1の基板を均一な圧力で押圧することができ、さらに基板の表示領域に何ら接触することなくセルギャップを決定できるので、汚染等の懸念もなくパネル全体にわたって均一なセルギャップを実現することができる。従って、表示パネルの品質向上に大いに貢献する。
【0030】
好ましくは、シール材の硬化を紫外線照射により行うのがよい。或いはまた、このシール材の硬化を加熱又は冷却することにより行ってもよい。
【0031】
また、この発明のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置によれば、主として下記の構成要素を具えるのがよい。すなわち、第1及び第2の基板をそれぞれ保持する第1の定盤及び第2の定盤を具え、該第1及び第2の基板をシール材を介在させて貼り合わせるためのディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置は、第1の定盤が、第1の基板が接する側の面に、湾曲面で構成されている凹部を有していて、第1の基板を支持するスペーサ部と、このスペーサ部を支持するアーム部と、このアーム部を伸縮するための水平方向伸縮機構と、垂直方向伸縮機構とを含む基板保持手段を具えている。
【0032】
このような装置構成とすれば、セルギャップ決定のために上側に配置される第1の基板を第2の基板側へ押圧する際に、第1の基板を第1の定盤に設けてある凹部の傾斜に沿って密着させることで、第1の基板を保持しつつ、第1及び第2の2枚の基板間に挿入されるスペ−サ部の厚さにより、セルギャップを決定できる。
【0033】
この発明の貼り合わせ装置の他の好適実施例によれば、基板と定盤とを密着させて基板を保持する基板保持手段をさらに含むのがよい。例えばこの基板保持手段は、第1の基板の第2の基板と対向する内側面とは反対側の外側面と、この外側面に対面する第1の定盤との間隙を、真空にすることで密着させて第1の基板を保持するための気密保持部材を含む気密保持手段を具えるのがよい。好ましくは第2の基板と第2の定盤との間隙を真空にして密着させて第2の基板を第2の定盤にそれぞれ密着させて第2の基板を保持するための気密保持部材を含む基板保持手段をさらに具える構成とするのがよい。
【0034】
また、上述の気密保持部材は、好ましくは、基板の定盤への吸着の程度に応じて、定盤内に格納及び突出自在に設けるのがよい。
【0035】
このような装置構成とすれば、基板の定盤への吸着をより精密に、かつ効果的に制御することができる。
【0036】
また、この発明の貼り合わせ装置の他の好適例では、シール材により封止される前の、第1及び第2の基板との間隙、すなわち表示セル領域空間及び捨て領域空間とを真空にするために、第1及び第2の定盤に定盤間気密保持部材、定盤間給排気口及び定盤間用真空ポンプを含む気密保持手段をさらに具える構成とするのがよい。
【0037】
このような構成とすれば、貼り合わせ工程において、真空にされる空間の容積を最小限にすることができる。すなわち、表示セル領域空間及び捨て領域空間のみを真空にすることができるので、より効率的に短時間で貼り合わせ工程を行うことができる。従って、一定時間におけるスループットが大いに向上する。また、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0038】
この発明の貼り合わせ装置の構成例によれば、貼り合わせ用の処理室と、処理室を常圧と真空との間で変化させるための圧力調整手段とを含むのが好適である。
【0039】
このような構成とすれば、特にその製造に使用される材料が湿気及び酸素に弱い有機EL表示パネルの製造工程において、表示パネル品質に大きな影響を与えるこれらの要因を排除しつつ、簡単な工程で精密なセルギャップ制御を行うことが可能になる。
【0040】
また、スペーサ部が、好ましくは、シール材の硬化後のセルギャップを設定する厚さと形状を有する構成とするのがよい。
【0041】
このような構成とすれば、貼り合わせと同時にセルギャップを容易かつ正確に決定し、さらにシール材の硬化まで一連の工程により行うことができる。
【0042】
スペーサ部は、セルギャップが表示セル内部に設けられたスペーサ粒子等のスペーサ材により決定される場合には、セルギャップを設定する厚さよりも大きな厚さを有し、かつ第1の基板との間に設けられたシール材の厚さよりも小さな厚さを有する構成とするのが好ましい。
【0043】
また、第1の定盤及び第2の定盤の双方又はいずれか一方を石英定盤とすれば、シール材の硬化手段を紫外線照射装置としてシール材の硬化を行うのに好適である。この場合には、定盤の外部からシ−ル材に紫外線を照射することで、シ−ル材を硬化させることができる。
【0044】
また、第1の定盤及び第2の定盤が金属で構成される加熱又は冷却定盤とするのも好適である。この場合には、定盤の加熱又は冷却によりシ−ル材を硬化させることができる。
【0045】
この発明のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、スペーサ部を捨て領域から引き抜く工程は、シール材の硬化前又は硬化後のいずれの段階で行ってもよい。シール材の硬化後にスペーサ部を引き抜く場合でも、実際には基板の押圧を解除すると、多少の戻りがある。すなわち、第1及び第2の基板の間隔が、わずかに拡がるのでスペーサ部を無理なく引き抜くことができる。
【0046】
また、この発明の貼り合わせ装置の好適実施例によれば、スペーサ部を、1つの塊状のスペーサ部で構成するとき、このスペーサ部が、複数のセルギャップ厚さに1つのスペーサ部で対応可能とするために、スペーサ部の基板の支持部分の厚さを変えられる形状とするのがよい。
【0047】
このようなスペ−サ部を、好ましくは、このスペーサ部の基板間に挿入される側の一端が、先端に向かうほど厚さが減少していく楔状のブロック体、すなわちテ−パ付きブロック体とすることができる。このテーパは、最大の厚さが基板の外側となるように挿入されたスペ−サ部を引き出す量(距離または長さ)に応じて、基板を支持するスペーサ部の厚さを決定できるので、その厚さに応じてセルギャップを決定できる。従って、セルギャップをより高精度に微調整することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態につき説明する。なお、図面には、この発明が理解できる程度に各構成成分の形状、大きさ及び配置関係が概略的に示されているに過ぎず、これによりこの発明が特に限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図において同様の構成成分については、同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合もあることを理解されたい。
【0049】
また、この発明を実施するに当たり、図6を参照して既に説明したX軸駆動機構、Y軸駆動機構、回転駆動機構、及び上下昇降手段を適宜使用するが、これら自体の構成や機能は、従来周知であり、この発明の要旨ではないので、その詳細な説明は省略する。
【0050】
また、以下の実施形態の説明において、この発明を、液晶表示パネル及び有機EL表示パネルの双方に適用する例につき説明する。有機EL表示パネルの場合には、貼り合わせる一方の基板に、予め、有機EL層が形成されているものとする。また、液晶表示パネルの場合には、主として液晶媒体を表示パネルの貼り合わせ前にセル領域に注入する「滴下液晶注入」工程を例にとって説明する。
【0051】
なお、周知の通り、第1及び第2の基板には、多数の表示セルがマトリクス状に配列されて形成される。しかしながら、以下に説明する実施の形態では、図示の複雑化を回避するために、1つの表示セルを代表して取り上げて示し、かつ説明している。また、図中、表示に必要な電極その他のトランジスタ等の他の構成成分等は、この発明の説明に直接必要ではないので、図示を省略してある。
【0052】
<第1の実施形態>
図1(A)及び(B)を参照して、この発明の第1の実施の形態の貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法につき説明する。
【0053】
図1は、この発明の第1の実施形態を説明するための図である。図1(A)はディスプレイパネル基板貼り合わせ装置(以下、貼り合わせ装置と略称する。)の主要部を上方から俯瞰した態様を示す概略的平面図である。図1(B)は、図1(A)のB−B破線による断面の切り口を示す図である。
【0054】
第1の実施の形態の貼り合わせ装置は、主として、第1の定盤40と、これに対向する第2の定盤48及びシール材硬化手段60とを含んでいる。この第1の定盤40には、第1の基板保持用気密保持部材41a、支持アーム(以下、基板保持機構とも称する。)42、第1の基板保持用給排気口44a及びこれに接続される第1の基板保持用真空ポンプ46aとが設けられている。
【0055】
第2の定盤48には、第2の基板保持用気密保持部材41b、第2の基板保持用給排気口44b及びこれに接続される第2の基板保持用真空ポンプ46bとが設けられている。
【0056】
支持アーム(基板保持機構)42には、スペーサ部42bと、スペーサ部42bを支持する第1アーム部材42aa及び第2アーム部材42abを含むアーム部42aと、アーム部42aを伸縮するための水平方向伸縮機構42ca及び垂直方向伸縮機構42cbとが含まれている。
【0057】
スペーサ部42bは、断面がL字状の形状とされている。スペーサ部42bには、保持される第1の基板10の端部が載置され、かつ第1の基板10の厚さである側面部を押さえるための、段差42baが設けられている。そしてこの段差42b部分の厚さ42bbが、実質的にシール材の硬化後のセルギャップに相当する厚さ、すなわち間隙d1と等しくなるように設定される。従って、スペーサ部42bは、段差42baの厚さ42bbによりパネルのセルギャップが決定できるような構成としてある。
【0058】
第1の基板10は、その下面側の表示セルとなるべき領域、すなわち表示セル領域32(以下、単に基板間隙とも称する。)の外側に位置する捨て領域30に接するように、第1の定盤40に具えられた支持アーム42のスペーサ部42bの上面に位置合わせしつつ載置される。
【0059】
この発明の第1の基板10及び第2の基板12には、例えばガラス基板、プラスチック基板、エポキシ樹脂基板等が適用できるが、なんらこれらに限定されるものではない。
【0060】
第1の基板保持用気密保持部材41aは、第1の基板10の上面側の周縁に沿ってこれを隙間なく取り囲む壁を形成して、第1の基板10と第1の定盤40との間に生じる間隙を気密とするために、第1の定盤40の下面側に設けられている。この第1の基板保持用気密保持部材41aと第1の基板10と第1の定盤40とにより形成される間隙を第1の定盤40に設けられた第1の基板保持用給排気口44a及びこれに接続されている第1の基板保持用真空ポンプ46aにより排気することで真空にする。
【0061】
ここで使用される第1の基板保持用真空ポンプ46aは、排気により第1の基板10と第1の定盤40との間に生じる間隙を真空に引くばかりでなく、この間隙に空気、不活性ガス等の気体を供給して、基板、すなわち貼り合わせたパネルに圧力を加えることができる構成としてある。
【0062】
このような第1の定盤40の構成により、第1の基板10を、第1の定盤40に密着させて保持することができる。すなわち、第1の基板10は、第1の定盤40の湾曲面で構成されている凹部40aに沿って、撓ませた状態で、第1の定盤40に接触又は密着させて安定に保持される(具体的な保持動作については後述する。)。この撓みの程度、すなわち凹部40aの曲面は、例えば1200mm×1200mmの基板を適用した場合には、凹部40aの中心部(最深部)の深さが15mm〜20mm程度となるように設定すればよい。
【0063】
例えば凹部40aの曲面は上方に向かって湾曲している球面の一部分とするのがよい。好ましくはこの凹部40aの曲面を滑らかな曲面として構成するのがよい。
【0064】
第2の基板12は、第1の基板10を第1の定盤40に保持しつつ、第1の基板と離間させた状態で、第1の基板10と対向するように、第2の定盤48に載置される。
【0065】
このとき、第1の基板10と同様に第2の基板保持用気密保持部材41b、第2の基板保持用給排気口44b及びこれに接続されている第2の基板保持用真空ポンプ46bにより、第2の基板12を第2の定盤48に密着させて保持する構成とするのがよい。
【0066】
第1の基板10と第2の基板12との間の端縁部内側領域空間には、捨て領域30及び表示セル領域32を形成するように、捨て領域30と表示セル領域32とを隔てるための硬化前の柔軟なシール材14を予め設けてある。シール材14は、表示セル領域32が途切れることのない連続した壁により形成されるように配置されている。
【0067】
ここでいう捨て領域30とは、実際の表示に利用されないシ−ル材14の外側周辺の空間領域、すなわち表示セル周縁のマージン領域である。表示セル領域32とは実際に表示を行うこととなる領域(空間)である。
【0068】
また、この例では、シール材14を、第2の基板12に施してあるが、これに限られず、特に液晶媒体の注入工程が必要のない有機EL表示パネルの場合には、第1の基板10に設けてもよい。
【0069】
このシール材14には、従来から使用されている例えばグラスファイバー繊維をスペーサ材として含んだ紫外線硬化型及び/又は熱硬化型シール材を使用するのがよいが、この発明の目的を損なわない範囲で、これらに限定されるものではない。
【0070】
そして、図示されていない従来周知のX軸作動機構、Y軸作動機構、回転作動機構及び/又はCCDカメラ等を使用して、2枚の基板の精密な位置合わせを行う。
【0071】
液晶表示パネルの場合には、必要ならば、シール材14により画成される表示セル領域32にスペーサ粒子等のスペーサ材が散布される。
【0072】
然る後、第1及び第2の基板を対向配置させて位置決めする。次いで、第1及び第2の基板10及び12を貼り合わせる前に、図示されていない液晶注入装置で、液晶媒体を第2の基板12のシール材14により囲まれた表示セル領域32となる基板内面に注入する。
【0073】
次いで、第1の定盤40及び/又は第2の定盤48を図示されていない上述した各作動機構を用いて、第1及び第2の基板10及び12の間隙を狭めていき、シール材14を介して、これらを対向させる。
【0074】
次いで第1の基板10を保持するための真空を解除して常圧に戻すと同時に、基板支持アーム42の第1のアーム部材42aaを水平方向伸縮機構42caにより、図中の矢印A方向に、第1の基板10を保持した状態を維持しつつ、若干伸長させて基板の撓みを解消して、第1及び第2の基板10及び12を互いに平行になるようにして重ね合わせる。さらに第2のアーム部材42abを垂直方向伸縮機構42cbにより若干伸長させて、潰れていた第1の基板10と第1の定盤40との間隙を回復させる。
【0075】
次いで、この間隙に空気又は不活性ガス等の気体を送り込んで第1の基板10を、第1の基板保持用給排気口44aを通じて供給される気体の気体圧により上部から押圧する。これはいわゆる「ギャップ出し」工程に相当する。
【0076】
この発明の貼り合わせ方法及び装置によれば、セルギャップを決定する手段として、基板を押圧する手段を用いている。上述した構成例では、気体圧力により基板を押圧する方法をあげたが、代わりに例えばサーボモータ、加圧シリンダ等で機械的に行うか、又はその他の任意好適な手段を用いることもできる。
【0077】
然る後、シール材硬化手段60による紫外線照射、加熱又は冷却によりシール材14の硬化を行う。シール材14の硬化は、常法に従い、紫外線硬化型シール材の場合には紫外線照射を、熱又は冷却硬化型シール材の場合には加熱又は冷却を行い、2又は3以上の種類のシール材を組み合わせる必要がある場合には、それぞれ必要な手段及び工程を組み合わせて行えばよい。
【0078】
以上の工程により表示パネルの貼り合わせが完了する。
【0079】
図1(A)及び(B)の構成例では、表示セル領域32は、矩形状空間領域であり、シ−ル材14はこの表示セル領域32を囲む矩形状の柵又は壁として形成されているが、これに限定されない。
【0080】
また、この構成例では、スペ−サ部42bは、塊状の直方体ブロックであって、厚さは一定としてある。この構成例では、矩形の基板を使用しているので、スペ−サ部42bの厚さより広い間隔の基板間に第1の基板10の下側を東西南北の4つの方向から支持している。
【0081】
しかしながら、ディスプレイパネルの品質を損なわないことを条件として、例えば対向する2方向のみからスペーサ部を挿入して第1の基板10を支持する等してもよい。或いは、例えば基板の複数の角隅部、例えば4箇所又は対向する2箇所の捨て領域30にスペーサ部を挿入して第1の基板10を保持してもよい。
【0082】
この発明の貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法は、今後液晶表示セル作製工程において主流となるであろうと予想される、いわゆる「滴下液晶注入」工程を含む液晶表示パネルの製造方法及び有機EL表示パネルの製造方法に適用して特に好適である。また、液晶媒体を第1及び第2の基板の貼り合わせ後に注入する従来の基板の貼り合わせ方法にも使用して好適である。
【0083】
次に、上述したこの発明の貼り合わせ方法の、主として第1の基板10を保持するための基板保持機構及びこれによる基板の保持方法について、図2を参照して詳細に説明する。
【0084】
図2(A)及び(B)は、上側に位置する第1の基板10の保持動作を説明するための図である。
【0085】
上述したように、基板保持機構42には、適当な厚さを有するスペーサ部42bと、このスペーサ部42bを支持するアーム部42aと、このアーム部42aを伸縮するための水平方向伸縮機構42ca及び垂直方向伸縮機構42cbとが含まれている。
【0086】
アーム部42aは、機構42caにより伸縮駆動される第1アーム部材42aaと、これに連結され、かつ機構42cbで伸縮駆動される第2アーム部材42abとを具えている。さらに、この第2アーム部材42abには、第1アーム部材42aaとは反対側の端部に固定されて、あるいは着脱自在に、スペーサ部42bが取り付けられている。このスペーサ部42bは、第1及び第2アーム部材42aa及び42abの移動に応じて水平及び垂直方向に移動される。
【0087】
第1の基板10は、その捨て領域30(図1参照)に接するように基板保持機構42のスペーサ部42bの上面側に載置される。具体的には上述した支持アーム42のスペーサ部42bの段差42ba上に第1の基板10の端部を載置する。
【0088】
このとき、第1の基板10は、基板保持機構42の水平方向伸縮機構42caにより、矢印A方向、すなわち捨て領域30とスペーサ部42bとの位置関係について適切に調整される。また、矢印B方向、すなわち第1の基板10と第1の基板保持用気密保持部材41aとの配置関係についても、基板保持機構42の垂直方向伸縮機構42cbにより適切に調整される。一例として、この水平方向伸縮機構42caは、好ましくは第1の定盤40の、第1の基板10とは反対側の面(上面)に設けられている。また一例として、垂直方向伸縮機構42cbは、第1の定盤40の周辺に設けられている。これらの機構42ca及び42cbを設ける位置は、設計に応じて任意好適な位置に設ければよい。
【0089】
第1の定盤40に設けられている第1の基板保持用気密保持部材41aは、例えばO−リング又は適度な弾性を有する素材、例えばゴム、樹脂等により形成された中空のチューブ等により構成するのがよい。この第1の基板保持用気密保持部材41aは、この第1の基板保持用気密保持部材41aを介して仕切られた第1の基板10と第1の定盤40との間隙d3を真空に引く際に、この間隙d3が潰れて第1の基板10と第1の定盤40とが密着するような構成とするのがよい。
【0090】
具体的には、例えば第1の定盤40に溝部を設け、第1の基板保持用気密保持部材41aと第1の基板10との気密性を保持しつつ、第1の基板保持用気密保持部材41aが矢印B方向に基板保持機構42により第1の基板10に加えられる圧力に応じて、定盤の溝部に格納或いは溝部から突出自在に作動して、第1の基板10を第1の定盤40に密着させる構成とするのがよい。例えばチューブの場合にはこの溝部に半ば埋設されるようにして第1の基板10を第1の定盤40に密着させる構成とするのがよい。
【0091】
なお、基板保持用給排気口44aは、第1の定盤40において、第1の基板10を定盤に密着保持するための真空給排気口である。給排気口の大きさ、設置数等は、パネルの所望の仕様等により任意に変更することができる。
【0092】
第1の基板10を第1の定盤40に保持するのは、主として、スペーサ部42bである。従って、この間隙d3の真空度は、第1の基板10を第1の定盤40の凹部40aに沿って密着させるのに十分な程度であればよい。その好適な真空度は経験により適宜設定することができる。
【0093】
然る後、これら2枚の基板10及び12はシール材14により隙間無く気密に重ね合わせられる。このとき、設けられているシール材14の高さは、後の工程で押圧されてセルギャップd1が決定されることを考慮して、所定のセルギャップd1よりもその厚さを多少大きくして配置することが好ましい。しかしながら、シール材が硬化工程で膨張する等の性質を有することが予めわかっている場合にはこの限りではない。
【0094】
スペーサ部42bは、断面がL字状の形状を有している。このL字の段差部分の高さ42bcは、第1の基板10の厚さよりも高く設定してある。L字の段差部分の長さ42baは、第1の基板10を保持するのに十分な長さとすればよい。L字の段差部分より下側の厚さ42bbは、スペーサとして機能するので、所望のセルギャップと実質的に等しい厚みとしてある。
【0095】
スペーサ部42bの厚さは、例えば表示セル領域32に何らかのセルギャップ保持手段、すなわち例えばスペーサ粒子等のスペーサ材を配してこれによりセルギャップを決定する場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後にギャップ出しを行うことができるので、第1の基板10を安定に保持できる範囲内で、好ましくはセルギャップd1よりも大きな厚さを有し、かつシール材14の高さよりも小さい厚さとすればよい。
【0096】
また、例えばスペーサレス液晶表示パネル及び有機EL表示パネルの場合には、表示セル領域にスペーサ材が存在しないので、好ましくはスペーサ部42bの厚さをセルギャップd1と実質的に等しくなるように設定するのがよい。すなわち、スペーサ部42bの厚さ42bbを、シール材の硬化後のセルギャップd1を設定する厚さと等しくなるように設定するのがよい。
【0097】
スペーサ部42bを製造するにあたっては、貼り合わせ工程で使用される大気圧、湿度及び温度等の環境条件、並びに紫外線照射条件等の貼り合わせ工程条件下で、所定のセルギャップd1と等しくなるように留意してスペーサ部42b自体を設計製造する必要がある。言い換えれば、スペ−サ部42bの厚さ42bbは、シ−ル材14を硬化させた後のセルギャップd1が、設計通りの値となるような厚さとすればよい。スペーサ部42bの第1の基板10が載置される領域の長さ42baは、捨て領域30内に挿入及び抜き出しが可能であって、かつ第1の基板10を安定に保持できる長さとするのがよい。
【0098】
スペーサ部42bの材質については、この発明の目的を損なわない範囲で、適宜選択することができるが、好ましくはその材質を例えば純ニッケルとするのがよい。このスペーサ部42bの製造方法は、好ましくは例えば電鋳によるのがよい。
【0099】
この発明の貼り合わせ装置の構成により、安定して第1の基板10及び第2の基板12を保持することができる。さらに第1の定盤40に保持されている第1の基板10が落下したり、第2の定盤48によって保持されている第2の基板がずれたりするのを防止することができるので、正確にセルギャップを制御することが可能になる。
【0100】
スペーサ部42bの作動機構、すなわち支持アーム42の水平方向伸縮機構42caと垂直方向伸縮機構42cbとは、図中、ブロックでそれぞれ示してある。これら作動機構は、支持アーム42により第1の基板10を保持しつつ、スペーサ部42bを挿入する方向、すなわち第1の基板10を若干押し込んで第1の定盤40の凹部40aに沿うように撓ませる方向又は引き抜く方向(矢印A方向)及び第1の基板10を支持しつつ第1の定盤40に引きつける方向及び離す方向(矢印B方向)にスペーサ部42bを作動させる構成となっていれば、設計に応じた任意好適な構成の機構でよい。支持アーム42の水平方向伸縮機構42caと垂直方向伸縮機構42cbとは、所定の方向に所定の指定した距離だけ前進又は後退できるように、微調整可能に構成されていればよく、その構成自体は従来既知の任意好適な構成を用いればよい。すなわち、この発明の目的を損なわない範囲で適宜選択すればよく、好ましくは例えば、マイクロモータ、サーボモータ、油圧シリンダ等により構成するのがよい。
【0101】
次に基板の貼り合わせ工程における基板保持機構42の動作につき、図2を参照して説明する。
【0102】
第1の基板10は、支持アーム42の第1アーム部材42aa及び第2アーム部材42abとを、これらの部材を伸縮させるための機構である水平方向伸縮機構42ca及び垂直方向伸縮機構42cbにより、捨て領域30のみに接触するように、調整してスペーサ部42bの上面側に載置される。このとき、第1の基板10と第1の定盤40との間に生じる空間をd3とする(図2(A))。
【0103】
スペーサ部23の段差42baで第1の基板10を四方から押さえる。垂直方向伸縮機構42cbにより第1の定盤40に対して、第1の基板10を引きつける方向に第2アーム部材42abを短縮することで、第1の基板10の端縁部が第1の定盤40の下面側に密着される。
【0104】
同時に、第1の基板10は、水平方向駆動機構42caにより、第1の基板10の端縁から中心部へ向かう矢印A方向の圧力を加えられる。例えば1200mm×1200mmの基板を適用する場合には、第1の基板10のそれぞれの端縁が、載置状態から3mm程度、第1の基板10の中心部に向かって移動するように押し込む。この第1アーム部材42aaの短縮は、第2アーム部材42abの短縮と同時に行ってもよい。
【0105】
これにより、第1の基板は、第1の定盤40の下面側の凹部40bの湾曲面に沿って接触又は密着する程度に、上方に向かって撓むように若干押し込まれる。そして、第1の基板10の上面側に第1の基板保持用気密保持部材41aが接触する。こうして、間隙d3は、第1の基板保持用気密保持部材41aを介して、気密にされる。
【0106】
このようにして、第1の基板10の外側面が第1の基板保持用気密保持部材41aに密着してその間隙d3が気密とされるように、第1の基板10は支持アーム42により保持される。
【0107】
次いで、第1の基板保持用給排気口44aを通じて、第1の基板保持用真空ポンプ46aにより間隙d3内の空気を排気する。排気が進行するにつれて、間隙d3の容積は、潰れて徐々に減少していく。このとき、支持アーム42、すなわち第2アーム部材42abは、垂直方向伸縮機構42cbにより、間隙d3の容積減少に追随して、矢印B方向に短縮される。このとき、第1の基板保持用気密保持部材41aは、第1の基板10に対して適切な圧力を維持し続けるように、その形状を変えるか、又は図に示したように第1の定盤40内に圧力に応じて格納されることで、間隙d3内を気密に保って排気しつつ、第1の基板10を密着保持する(図2(B))。このとき第1の基板10の撓みによりその下側に生じる空間がd2となる。
【0108】
そして、図1を用いて既に説明した工程により、引き続き2枚の基板の貼り合わせが行われる。上述と同様であるので図1を参照した簡単な説明にとどめる。
【0109】
具体的には、第1の基板10及び第2の基板12を第1の定盤40及び第2の定盤48により保持する。
【0110】
次いで、例えば図6により説明した各作動機構を用いて、第1の定盤40と第2の定盤48の間隔、すなわち第1の基板10と第2の基板12との間隙を狭めていって、シール材14を介して、第1の基板10と第2の基板12とを重ね合わせる。
【0111】
然る後、第1の基板保持用真空ポンプ46aによる圧力を解除して、真空にされている間隙d3の気圧を常圧に戻しつつ、基板保持機構42の第2アーム部材42abを垂直方向伸縮機構42cbにより少し伸長させて、潰れていた間隙d3を回復させる。このとき、第1の基板10に生じていた撓み、すなわちd2は消滅する。
【0112】
次いで、間隙d3内に、空気又は不活性ガス等の気体を供給して、気圧を上昇させる。このようにして、第1の基板10を、第1の基板保持用給排気口44aを介して供給される気体の気体圧力により上面側から押圧する。
【0113】
具体的には、基板保持機構42の垂直方向作動機構42cbにより第2アーム部材42abを伸長させる。これにより気密保持部材41aを第1の基板10に密着させた状態を維持する。すなわちアーム部42aの伸長につれて、第1の定盤40に半ば格納されるように、第1の基板に密着していた気密保持部材41aが追随して突出し、その密着を維持した状態で間隙d3を回復させる。
【0114】
さらに第1の基板10と第1の定盤40との気密保持部材41aによる密着を維持したまま、間隙d3内に気体を供給して第1の基板10を押圧する。
【0115】
このとき、表示セル領域32にセルギャップ保持手段を配してある場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後に第1の基板10を押圧することでセルギャップd1が決定される。
【0116】
また、スペーサレス液晶表示パネル又は有機EL表示パネルの場合には、表示セル領域32にはスペーサ材が存在しないので、押圧してセルギャップd1を設定する厚さ42bbを有するスペーサ部42bによりセルギャップd1を決定した後、シール材を硬化する。
【0117】
このように、例えば1200mm×1200mmの大型基板を使用した表示パネルの製造工程においても、簡単な工程で正確にセルギャップを制御することができる。また液晶媒体を滴下液晶注入した場合には、従来必要だった注入口の封止工程が必要なくなる。そのうえ、セルの気密性があがることから、液晶媒体の漏出等を予防することができ、結果として表示セルの歩留まりの向上が期待される。
【0118】
この実施形態のパネル製造方法及び装置は、有機ELパネル基板の貼り合わせ工程はもとより、セル内部においてスペーサレス化された液晶パネル基板の貼り合わせ工程に適用して好適である。また、図には1組の基板から1枚のディスプレイパネルを製造する例を示したが、これに限られず、例えば4枚取り、8枚取り、・・・、80枚取り等の多面取りにも適用できる(以下の図においても同様)。
【0119】
<第2の実施の形態>
図3(A)及び(B)を参照して、この発明の第2の実施の形態につき説明する。
【0120】
図3(A)及び(B)は、この発明の貼り合わせ方法に使用して好適な貼り合わせ装置の全体構成例を示す図である。
【0121】
第2の実施の形態の貼り合わせ装置は、第1の基板10と第2の基板12との間隙、すなわち捨て領域30と表示セル領域32とを、真空にするための構成を含んでいる。すなわち、上述した第1の実施の形態の第1の定盤40及び第2の定盤48を含む構成に加えて、少なくともこの第1の定盤40と第2の定盤48に保持された第1の基板10と第2の基板12との間隙を真空にするための構成が付加してある。ここでは第1の実施の形態と共通の構成についてはその詳細な説明を省略し、構成要素の配置関係の差異及び付加された構成について説明する。
【0122】
第2の実施の形態の貼り合わせ装置において、上述した第1の実施の形態の貼り合わせ装置と異なる点は、基板保持機構42の配置位置である。この実施の形態では、基板保持機構42は第1の定盤40の下面側に設けてある。また、たとえば第1の定盤40の厚さ方向に設けられた溝に格納されるように設けてある。この基板保持機構42が、第1アーム部材42aa及び第2アーム部材42ab、これらの部材を伸縮させるための機構である水平方向伸縮機構42ca及び垂直方向伸縮機構42cb並びにスペーサ部42bを含むのは第1の実施の形態と同様である。
【0123】
ここでは、基板保持機構42全体を第1の定盤40と第2の定盤48との間隙内にすべて格納してある。しかしながら、基板保持機構42の一部を第1の定盤40の外部に、例えば第1の定盤40を貫通するように設ける構成としてもよい。具体的には第1の実施の形態で説明した第1及び第2の定盤40及び48に定盤間気密保持部材43を設け、基板保持機構42の第1アーム部材42aaを、第1の定盤40に設けた貫通孔を介して2つの定盤間の間隙を気密にしつつ、作動可能とするような構成としてもよい。
【0124】
さらにこの実施の形態では、第1の定盤40は、第1の実施の形態において説明した構成に加え、定盤間気密保持部材43、すなわち第1の定盤間気密保持部材43aと、第1の定盤間給排気口45a及びこれに接続されている第1の定盤間用真空ポンプ47aとを含む気密保持手段を具えている。
【0125】
第1の定盤間気密保持部材43aは、第1の定盤40の下面側であって、基板保持機構42及びこれにより保持される第1の基板10を取り囲むように設けられている。
【0126】
第1の定盤間給排気口45aは、第1の定盤40の第1の定盤間気密保持部材43aの内側から、保持される第1の基板10の端縁より外側までの範囲、すなわち第1の基板10と第2の基板12の間隙d1の気体圧を加圧又は減圧自在に調整することができる位置に設けられている。
【0127】
同様に第2の定盤48は、第1の実施の形態において説明した構成に加え、定盤間気密保持部材43、すなわち第2の定盤間気密保持部材43bと、第2の定盤間給排気口45b及びこれに接続されている第2の定盤間用真空ポンプ47bとを具えている。
【0128】
第2の定盤間気密保持部材43bは、第2の定盤48の上面側に載置されている第2の基板12を取り囲むように設けられている。
【0129】
第2の定盤間給排気口45bは、第2の定盤48の第2の定盤間気密保持部材43bの内側から、保持される第2の基板12の端縁より外側までの範囲、すなわち少なくとも第1の基板10と第2の基板12との間隙の気体圧を加圧又は減圧自在に調整することができる位置に設けられている。
【0130】
この第1及び第2の定盤間気密保持部材43a及び43bは、貼り合わせ工程において、第1の定盤40と第2の定盤48との間隙の気体圧力を加圧又は減圧自在に調整することができる範囲で、適宜の構成とすればよい。例えば好ましくはO−リング、中空のチューブ等を適用するのがよい。
【0131】
第1及び第2の定盤間気密保持部材43a及び43bは、貼り合わせ工程において、第1及び第2の基板10及び12を近接させてその間隙(距離)を小さくしたときに、互いに接触して、これによりこれら定盤間気密保持部材により囲まれた内部の領域を真空にできる程度に気密とする構成としてある。
【0132】
従って、第1及び第2の定盤間気密保持部材43a及び43bの大きさ、形状は、設定される第1及び第2の基板を近接させて処理する際の間隔にあわせて、適宜設定するのがよい。
【0133】
また、第2の実施の形態では、第1及び第2の定盤40及び48にそれぞれ対向するように同形状の2つの定盤間気密保持部材を設ける例を説明したが、この発明の目的を損なわない範囲で、例えば第1又は第2の定盤に1つだけ定盤間気密保持部材を設ける構成としてもよいし、対向する2つの定盤間気密保持部材の形状及びサイズを異なる構成としてもよい。
【0134】
第1及び第2の定盤間給排気口45a及び45bと、これにそれぞれ接続される第1及び第2の定盤間用真空ポンプ47a及び47bの構成及び接続関係については、第1の実施の形態で説明した基板保持用給排気口及び真空ポンプと同様の構成とすればよいので、その詳細な説明は省略する。
【0135】
次に、この第2の実施の形態の貼り合わせ工程につき図3(A)及び(B)を参照して説明する。
【0136】
第2の実施の形態は、貼り合わせ工程において、第1及び第2の基板10及び12の間隙、すなわちシール材14により封止される前の捨て領域30と表示セル領域32とを真空にして工程を実施する例である。
【0137】
まず、第1の実施の形態で説明した工程により、第1及び第2の基板10及び12を保持する。
【0138】
このとき、第1の基板10及び第2の基板12のいずれかの基板上には、端縁部内側領域間に捨て領域30及び表示セル領域32を形成するようシール材14が予め、設けてある。
【0139】
次いで、液晶表示パネルの場合には、第2の基板12の表示セル領域32に、所望によりスペーサ材、及びディスペンサ等を用いて、液晶媒体を注入する。有機ELパネルの場合には、第1及び第2の基板10及び12のいずれかに予め有機EL層が設けてある。
【0140】
次に、図6を用いて既に説明した各機構を用いて、第1の基板10及び第2の基板12の間隙(以下、単に基板間隙とも称する。)がシール材14により封止されていない状態を維持するように機構42により適宜調整しつつ、基板間隙を、真空にするのがより容易となるように、なるべく小さくして位置合わせを行う。
【0141】
このとき第1及び第2の定盤間気密保持部材43a及び43bが互いに密着して、基板間隙を気密空間とする。
【0142】
次に、基板間隙を常圧から真空にする。この真空排気処理を、第1及び第2の定盤間給排気口45a及び45bと、例えば図示されていない圧力調整弁を具えた配管を介して接続されている第1及び第2の定盤間用真空ポンプ47a及び47bを含む圧力調整機構を使用して行う。このとき、好ましくはシール材14により画成される表示セル領域32が破裂により破壊されるのを防ぐため、この基板間隙の気圧をシール材14が破裂しない程度に低くして、2枚の基板を貼り合わせるのがよい。
【0143】
一般に、基板間隙外の気圧は常圧(1気圧、約101kPa(760mmHg))であるものとすれば、基板間隙内は、例えば約73.2kPa(550mmHg)程度にして貼り合わせるのがよい。
【0144】
また、好ましくは第1の基板10の落下を防ぐために、第1の基板10を第1の定盤40により保持するための気体の吸引力(真空度)よりも基板間隙内の気体の真空度(気圧)が小さくなるように設定するのがよい。
【0145】
この段階で、表示セル領域32にスペーサ材を設けてある場合には、スペーサ部42bを引き抜いて後の工程を実施してもよい。
【0146】
然る後、第1の基板10を第1の定盤40側に密着させるための真空状態を解除する。
【0147】
このとき、基板保持機構42の垂直方向作動機構42cbによりアーム部42aを若干伸長させることで、第1の気密保持部材41aを第1の基板10に密着させた状態を維持しつつ、回復させる。
【0148】
そして、第1の定盤40に半ば格納されるように第1の基板に密着していた第1の気密保持部材41aが、アーム部42aの伸長に追従して突出し、第1の気密保持部材41aと第1の基板10とを密着させた状態で間隙d2を回復させる。
【0149】
さらに第1の基板10と第1の定盤40との密着を維持したまま、上述したように間隙d2の気圧を上昇させて第1の基板10を押圧することでセルギャップd1をスペーサ部42bの厚さ42bbにより決定する。ここで表示セル領域32になんらかのスペーサ材を配してある場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後で、このスペーサ材によりセルギャップd1が決定される。
【0150】
次いで、シール材14を硬化した後にスペーサ部42bを引き抜く。シール材14がシール硬化により、寸法に変化を生じないか、又は変化を生じたとしても支障をきたさない範囲内の変化であって実質的に変化を生じないならば、あるいは表示セル領域32にスペーサ粒子等を配して、これによりセルギャップを決定する場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後にシール材14を硬化する。
【0151】
このような装置構成として貼り合わせ工程を実施すれば、真空にされるべき空間の容積を最小限にすることができる。すなわち、表示セル領域空間32及び捨て領域空間30のみを真空とするので、より効率的に短時間で貼り合わせ工程を行うことができる。従って、一定時間におけるスループットが大いに向上する。また、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0152】
<第3の実施の形態>
図4を参照して、この発明の第3の実施の形態につき説明する。
【0153】
図4は、この発明の貼り合わせ方法に使用して好適な貼り合わせ装置の全体構成例を示す概略的な断面図である。
【0154】
第3の実施の形態の貼り合わせ方法は、気密にして真空にすることができる処理室50内に第1及び第2の定盤40及び48を格納して、第1の基板10と第2の基板12との間隙、すなわち捨て領域30の空間と表示セル領域32の空間とを、真空にして、貼り合わせ工程を実施するディスプレイパネル基板を貼り合わせる方法である。
【0155】
すなわち、第3の実施の形態の貼り合わせ装置は、第1の基板10と第2の基板12との間隙、すなわち捨て領域30と表示セル領域32とを真空条件にして貼り合わせを行うための処理室50を具えている。この処理室50は容器又は箱状体52により気密に構成される。そして、この箱状体52は、処理室50を常圧から真空へ又は真空から常圧へ任意自在に変化させるための圧力調整手段を含んでいる。
【0156】
この構成例では、圧力調整手段とは、真空排気系であり、箱状体52に設けられた処理室用給排気口54と、例えば圧力調整弁を具えた配管(図示せず。)を介して給排気口54と接続された真空ポンプ56等を含んでいる。この圧力調整手段としての真空排気系は、上述した基板保持手段と構成の一部分を共用するのがよい。
【0157】
加えて、真空ポンプ近傍には、例えば防塵、水分除去、有機溶媒等の除去のための例えばフィルターのような手段が設置されることが好ましい。
【0158】
この処理室50は、容器あるいは箱状体52により気密の閉空間が画成されることにより形成されている。
【0159】
この箱状体52は、第1の基板10及び第2の基板12を搬送して配置する工程のために、従来と同様に、図示しない何らかの手段により開閉自在とされる。また、この箱状体52には、処理室用給排気口54とこれに接続される処理室用真空ポンプ56を含む真空排気系が接続されていて、処理室50内を少なくとも常圧から真空へ、又は真空から常圧へ自在に調整できる構成となっている。
【0160】
また、処理室50は、既に説明した種々の基板駆動、特に第1の基板10を保持する支持アーム(基板保持機構)42、及び図示されていない図6を用いて説明した上下昇降手段、X軸駆動機構、Y軸駆動機構及び回転駆動機構等の駆動を行えるように構成してある。
【0161】
次に貼り合わせ工程につき説明するが、上述の他の実施の形態と同様の構成及び工程についての詳細な説明は、省略する。
【0162】
第1の定盤40は、処理室50で、上述の実施の形態と同様に、第1の基板10を保持する。
【0163】
第1の基板10及び第2の基板12のいずれかの基板上には、捨て領域30及び表示セル領域32を形成するように、予めシール材14が設けてある。
【0164】
然る後、処理室50の排気を行って、真空にする。この真空排気処理を、処理室用給排気口54と、図示されていない圧力調整弁を具えた配管を介して、接続された処理室用真空ポンプ56を含む圧力調整機構を使用して行う。
【0165】
このとき、第2の実施の形態において既に説明したとおり、処理室50の気圧を、その外部の気圧と比較して、前記シール材が破裂して、セル領域空間32が破壊されない程度に低く維持した状態で貼り合わせた後に、押圧するのがよい。処理室50外の気圧は常圧(1気圧、約101kPa(760mmHg))であるものとすれば、処理室50は、例えば約73.2kPa(550mmHg)程度にして貼り合わせるのがよい。
【0166】
また、好ましくは第1の基板10の落下を防ぐために、第1の基板10を第1の定盤40により支持するための気体の吸引力(真空度)よりも処理室50内の気体の吸引力(真空度)が弱くなるように設定するのがよい。すなわち、気密保持部材41aと第1の基板10と第1の定盤40とで囲まれた空間の真空度を、処理室50の真空度よりも高くして、第1の基板10を気密保持部材41aと密着させるのが好ましい。
【0167】
そして、上述したように、第1の基板10を第1の定盤40の支持アーム42のスペーサ部42bにより支持しつつ第2の定盤48により支持された第2の基板12と位置合わせを行う。上述した各作動機構を用いて、第1の定盤40と第2の定盤48との間隔を狭めていって、シール材14を介して第1の基板10と第2の基板12とを密着させて、重ね合わせる。この段階で、表示セル領域32にスペーサ材を設けてある場合には、スペーサ部42bが引き抜かれた後の工程を実施してもよい。特にスペーサレス液晶表示パネル又は有機EL表示パネルの場合には、第1の基板10を支持していたシール材14の硬化後のセルギャップd1を設定する厚さのスペーサ部42が、セルギャップd1に実質的に等しい厚さで、第1の基板10及び第2の基板12の間の捨て領域30内で挟持される。
【0168】
然る後、第1の基板10を第1の定盤40側に密着させていた真空を解除する。そして基板保持機構42の垂直方向作動機構42cbによりアーム部42aを伸長させることで、気密保持部材41aを第1の基板10に密着させた状態を維持しつつ、すなわちアーム部42aの伸長に、第1の定盤40に半ば格納されるように第1の基板に密着していた気密保持部材41aが追随して突出し密着を維持した状態で間隙d2を回復させる。さらに第1の基板10と第1の定盤40との密着を維持したまま、間隙d2の気圧を上昇させて第1の基板10を押圧することでセルギャップd1をスペーサ部42bの厚さにより決定する。表示セル領域32に別の独立したスペーサ材を配してある場合には、このスペーサ材によりセルギャップd1が決定される。
【0169】
次いで、シール材14を硬化した後にスペーサ部42bを引き抜く。シール材14がシール硬化により、寸法に変化が生じないか、又は変化が生じたとしても支障をきたさない範囲内の変化であって実質的に変化が生じないならば、あるいは表示セル領域32にスペーサ粒子等を配して、これによりセルギャップを決定する場合には、スペーサ部42bを引き抜いた後にシール材14を硬化する。
【0170】
本明細書中、用語「常圧」とは、この発明の装置をとりまく大気圧を表し、用語「真空」とは、空気を吸引排気することにより大気圧よりも圧力の低くなった状態をいう。この真空の程度は、空気を排気するときの吸引力により比較される。この真空の程度は、上述したように目的及び構成に応じて適宜設定することができる。
【0171】
第3の実施の形態の装置及び貼り合わせ方法によれば、特にその製造に使用される材料が湿気及び酸素に弱い有機ELパネルの製造工程において、パネル品質に大きな影響を与えるこれらの要因を排除しつつ、簡単な工程で正確なセルギャップ制御を行うことが可能になる。
【0172】
次にこの第3の実施の形態の貼り合わせ方法の変形例につき説明する。上述した実施形態の場合と同様に、第1の基板10を第1の定盤40により保持する。第1の基板10及び第2の基板12の端縁部内側領域間に捨て領域30を形成するようシール材14が配設されている第2の基板12を位置合わせして保持する。然る後、第1の定盤40と第2の定盤48を含む処理室50を、図示されていない圧力調整弁を具えた配管を介して処理室用給排気口54に接続された処理室用真空ポンプ56を使用して処理室50内の空気を吸引することにより処理室50を真空にする。
【0173】
この変形例では、特に、真空にされた処理室50、すなわち表示セル領域32とその外の空間を、これら2つの空間の間での気圧差が実質的に零になるように維持しつつ常圧に戻す。
【0174】
そして、上述の場合と同様に、気体圧力により第1の基板10を押圧してセルギャップd1を決定し、シール材14を硬化した後、スペーサ部42bを引き抜くか、又はスペーサ部42bを引き抜いた後、シール材14を硬化して、表示パネルを完成させる。
【0175】
この変形例において、表示セル領域とその外部の処理室空間との大気圧を実質的に等しくなるように維持しつつ常圧に戻す工程を加えた理由は、次の通りである。処理室50に急激に気体が流入することにより、セル表示領域32とその外部の処理室50の空間の大気圧に差が生じる。この気圧差が残存している状態で、第1及び第2の基板10及び12の間隙が封止されると、基板が撓み、そのため、セルギャップd1が、例えばセル中央部と周縁部とでは、一様ではなくなってしまう可能性がある。従って、この気圧差を生じないように常圧に戻すのは、封止後の基板の撓みの発生を防止するためである。
【0176】
上述した真空から常圧に戻す工程は、第1の基板10と第2の基板12とが接近した状態で行われることが好ましい。
間隙d2及び処理室50内に供給される空気又は不活性ガス等の気体は、例えばフィルタ等を介して浄化されることが好ましい。
【0177】
このような装置の構成により、例えばフレキシブルな基板を使用するディスプレイパネルの製造工程においても、簡単な工程で正確なセルギャップ制御を行うことが可能となる。
【0178】
さらにこの発明の実施形態は、シール材が紫外線硬化型シール材であり、シール材を硬化する工程が紫外線照射により行われることが好ましい。
【0179】
さらにまたこの発明の実施形態は、シール材が熱硬化型シール材であり、シール材を硬化する工程が加熱又は冷却により行われることが好ましい。
【0180】
また、この発明の貼り合わせ装置では、基板が帯電破壊されるのを防ぐために、基板が接する部分のすべてが絶縁性の素材で形成されることが好ましい。
【0181】
さらに、この発明の貼り合わせ装置にイオンシャワーのような静電除去手段を装備することが好ましい。あるいは、処理室内壁に、例えばアルコールなどの溶剤を適度に塗布しておくことにより、基板の帯電を効果的に防止することができる。
【0182】
スペーサ部自体の製造における注意点は、上述と同様である。すなわち、実際に使用される条件下で所定の厚さを有するように設計製造すればよい。
【0183】
さらにこの発明の貼り合わせ装置によれば、第1の定盤40定盤及び/又は第2の定盤48が石英で構成された定盤であって、さらに硬化手段として紫外線照射装置を具えることが好ましい。
【0184】
さらにまたこの発明の貼り合わせ装置によれば、第1の定盤40及び第2の定盤48とが金属で構成される加熱又は冷却定盤であってもよい。
【0185】
既に説明した通り、上述した各実施の形態では、1組の貼り合わせ基板から1枚のディスプレイパネルを製造する例を説明したが、この発明は、1組の貼り合わせ基板から複数枚のディスプレイパネルを分離して取ることが可能な、多面取り基板にも適用できる。
【0186】
図5は、多面取り基板に適用した場合のセルの配置例の説明に供する図である。
【0187】
ここで説明する多面取り基板は、一般的な400mm×400mmの正方形のガラス基板である。なお、この例は説明を容易にするための例示に過ぎず、この発明を限定するものではない。
【0188】
これら基板の貼り合わせ基板から、例えば、80個の個別セル70(または表示領域(窓))を画成してある。各個別セル70は、格子状に設けられた個別シール材72で囲まれている。この例では、セル形状は長方形とし、長辺を34.54mmとし、かつ短辺を25.91mmとなっている。これらセルを、例えば、8行10列のマトリクス状に配列させてある。また、隣り合うセルの、行及び列方向のそれぞれの中心間距離は40mmとされている。
【0189】
【発明の効果】
この発明のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法及びその実施のための装置によれば、真空条件下でも、より大型の基板を安定して保持することができるので、液晶媒体を基板の貼り合わせ前に注入する工程を含む液晶表示パネルの貼り合わせ工程及び有機ELパネルの貼り合わせ工程に適用するのに特に好適である。簡易な工程で容易かつ高精度に種々の表示パネルのセルギャップを制御することができる。一連の簡易な工程で貼り合わせからシール材の硬化まで行うことができる。従って、製造コスト削減及びパネル品質向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)及び(B)は、この発明の第1の実施形態の説明図であって、(A)は、この発明のディスプレイ基板の貼り合わせ装置の要部の概略的な平面図、(B)は、(A)図のB−B線に沿って切断した切断面を示した断面図である。
【図2】図2(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態の貼り合わせ装置の、特に第1の基板の支持動作の説明図であって、第1の実施の形態の貼り合わせ装置の要部の概略的な断面図である。
【図3】図3(A)及び(B)は、この発明の第2の実施の形態の貼り合わせ装置の、特に第1の基板の支持動作の説明図であって、第2の実施の形態の貼り合わせ装置の要部の概略的な断面図である。
【図4】図4は、この発明の第3の実施の形態のディスプレイ基板の貼り合わせ装置の要部の概略的な断面図である。
【図5】従来の基板の多面取りのためのセルの配置例の説明に供する図である。
【図6】従来の基板貼り合わせ工程及び貼り合わせ装置を説明するための要部の概略的な模式図である。
【符号の説明】
10、110:第1の基板
12、112:第2の基板
14、114:シール材
30:捨て領域
32:表示セル領域
40、142:第1の定盤
40a:凹部
41a:第1の基板保持用気密保持部材
41b:第2の基板保持用気密保持部材
42:支持アーム(基板保持機構)
42a:アーム部
42aa:第1アーム部材
42ab:第2アーム部材
42b:スペーサ部
42ba:段差
42bb:(段差の)厚さ
42ca:水平方向伸縮機構
42cb:垂直方向伸縮機構
43:定盤間気密保持部材
43a:第1の定盤間気密保持部材
43b:第2の定盤間気密保持部材
44a:第1の基板保持用給排気口
44b:第2の基板保持用給排気口
45a:第1の定盤間給排気口
45b:第2の定盤間給排気口
46a:第1の基板保持用真空ポンプ
46b:第2の基板保持用真空ポンプ
47a:第1の定盤間用真空ポンプ
47b:第2の定盤間用真空ポンプ
48、144:第2の定盤
50:処理室
52:箱状体
54:処理室用給排気口
56:処理室用真空ポンプ
60:シール材硬化手段
70:個別セル
72:個別シール材
132:X軸駆動機構、134:Y軸駆動機構
136:回転駆動機構、138:上下昇降手段
160:加圧シリンダ
162:θテーブル
Claims (25)
- 対向する第1及び第2の基板間に挟まれた空間に表示セル領域空間及び捨て領域空間を形成するようにいずれかの基板にシール材を介在させて、第1の定盤側に保持された第1の基板と第2の定盤側に保持された第2の基板との位置合わせを行うディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
(1)前記第1の基板を、前記第1の定盤に具えられた基板保持機構のスペーサ部により、保持する工程、
(2)前記第1の基板の前記表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部とが接触するように撓ませて前記第1の基板を前記第1の定盤側に保持する工程、
(3)前記第1及び第2の基板間に押圧力を付加して前記セルギャップを決定する工程、及び
(4)前記シール材を硬化する工程、
を含むことを特徴とする貼り合わせ方法。 - 対向する第1及び第2の基板間に挟まれた空間に表示セル領域空間及び捨て領域空間を形成するようにいずれかの基板にシール材を介在させて、第1の定盤側に保持された第1の基板と第2の定盤側に保持された第2の基板との位置合わせを行うディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
(1)前記第1の基板を、前記第1の定盤に具えられた基板保持機構のスペーサ部により、保持する工程、
(2)前記第1の基板の、前記表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第1の定盤の湾曲面で構成される凹部との間隙を真空にして該凹部に第1の基板面が密着するように撓ませて前記第1の基板を前記第1の定盤側に吸引保持する工程、
(3)前記第1及び第2の基板間に押圧力を付加して前記セルギャップを決定する工程、及び
(4)前記シール材を硬化する工程、
を含むことを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項1又は2に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記工程(2)が、前記第2の基板の、前記表示セル領域空間を形成する面とは反対側の面と、第2の定盤との間隙を真空にして前記第2の基板を前記第2の定盤側に吸引保持する工程をさらに含むことを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記工程(3)が、前記第1の基板と第2の基板とを接近させ、かつ前記表示セル領域空間が前記シール材により密閉されていない状態で、前記表示セル領域空間を真空として、前記第1の基板と第2の基板とを重ね合わせた後に、行われることを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記工程(1)から(4)を、内部を真空にすることが可能な処理室内で行い、該処理室を常圧と真空との間で変化させる工程をさらに含むことを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項4又は5に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記工程(3)は、第1及び第2の基板の間隙の気圧を、その外部の気圧と比較して、前記シール材が破裂しない程度に低く維持した状態で貼り合わせた後に、押圧力を付加する工程をさらに含むことを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項4〜6のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記表示セル領域空間又は前記処理室全体を真空にするための空気の吸引力を、前記第1及び第2の基板を前記第1及び第2の定盤にそれぞれ密着させるための空気の吸引力よりも小さくすることを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記工程(3)は、前記第1の基板と前記第2の基板の間に設けられたセルギャップ保持手段によりセルギャップが決定される場合には、前記セルギャップを設定する厚さよりも大きな厚さを有し、かつ前記第1の基板と第2の基板との間に設けられたシール材の厚さよりも小さな厚さを有する前記スペーサ部により行われることを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記工程(3)で決定されるセルギャップが、前記シール材の硬化後の前記セルギャップを設定する厚さと形状を有する前記スペーサ部により決定されるものであることを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記工程(4)の後に、前記スペーサ部を前記捨て領域から引き抜く工程をさらに含むことを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記工程(4)の前に、前記スペーサ部を前記捨て領域から引き抜く工程をさらに含むことを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項1〜11のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、
前記工程(3)は、前記第1の基板と前記第1の定盤との間隙の気体圧を高める工程であることを特徴とする貼り合わせ方法。 - 請求項1〜12のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、前記シール材の硬化を紫外線照射により行うことを特徴とする貼り合わせ方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法において、前記シール材の硬化を加熱又は冷却により行うことを特徴とする貼り合わせ方法。
- 第1及び第2の基板をそれぞれ保持する第1の定盤及び第2の定盤を具え、該第1及び第2の基板をシール材を介在させて貼り合わせるためのディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記第1の定盤は、該第1の基板が接する側の面に、湾曲面で構成されている凹部を有していて、前記第1の基板を支持するスペーサ部と、該スペーサ部を支持するアーム部と、該アーム部を伸縮するための水平方向伸縮機構と、垂直方向伸縮機構とを含む基板保持手段を具えていることを特徴とする貼り合わせ装置。 - 請求項15に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記第1の定盤と前記第1の基板との間に設けられた気密保持部材であって、前記第1の基板の互いに対向する内側面とはそれぞれ反対側の外側面とこれら外側面にそれぞれ対面する第1の定盤との間隙を真空にして密着させて保持するための気密保持部材を含む基板保持手段を具えていることを特徴とする貼り合わせ装置。 - 請求項16に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記第2の定盤と前記第2の基板との間に設けられた別の気密保持部材であって、前記第2の基板の互いに対向する内側面とはそれぞれ反対側の外側面とこれら外側面にそれぞれ対面する第2の定盤との間隙を真空として密着させて保持するための気密保持部材をさらに含む気密保持手段を具えていることを特徴とする貼り合わせ装置。 - 請求項16又は17に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記第1及び第2の定盤に設けられた気密保持部材は、基板の定盤への密着の程度に応じて、定盤内部に格納及び突出自在に設けられていることを特徴とする貼り合わせ装置。 - 請求項15〜18のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記第1及び第2の定盤は、前記シール材により封止される前の前記第1及び第2の基板の間隙を真空にするための定盤間気密保持部材を含む気密保持手段をさらに具えたことを特徴とする、貼り合わせ装置。 - 請求項15〜18のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
貼り合わせ用の処理室と、
該処理室を常圧と真空との間で変化させるための圧力調整手段とを含むことを特徴とする貼り合わせ装置。 - 請求項15〜20のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記スペーサ部は、前記シール材の硬化後のセルギャップを設定する厚さと形状を有していることを特徴とする貼り合わせ装置。 - 請求項15〜20のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記スペーサ部は、前記セルギャップを設定する厚さよりも大きな厚さを有し、かつ前記第1の基板と第2の基板との間に設けられたシール材の厚さよりも小さな厚さを有していることを特徴とする貼り合わせ装置。 - 請求項21又は22に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記スペーサ部の前記第1及び第2の基板間に挿入される側の一端は、先端に向かうほど厚さが減少していく楔状であることを特徴とする貼り合わせ装置。 - 請求項15〜23のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記第1の定盤及び第2の定盤の双方またはいずれか一方が石英定盤であり、かつ、前記シール材硬化手段として紫外線照射装置を含むことを特徴とする貼り合わせ装置。 - 請求項15〜23のいずれか一項に記載のディスプレイパネル基板の貼り合わせ装置において、
前記第1の定盤及び第2の定盤が金属で構成される加熱又は冷却定盤であることを特徴とする貼り合わせ装置。
Priority Applications (1)
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JP2002254588A JP2004093878A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | ディスプレイパネル基板の貼り合わせ方法及び装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114187842A (zh) * | 2021-12-20 | 2022-03-15 | 武汉天马微电子有限公司 | 一种显示屏贴合装置及显示屏的贴合方法 |
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2002
- 2002-08-30 JP JP2002254588A patent/JP2004093878A/ja not_active Withdrawn
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