JP2004093399A - 漏洩検知装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の漏洩検知装置は、周囲より高い圧力を有する内部流体が漏洩するときに発生する漏洩音を測定するセンサ(1)と、センサ(1)と漏洩音が発生する箇所とを物理的に遮断するように設置され、かつ、音を伝達する分離膜(20)と、センサ(1)で測定した音をモニタして、漏洩を検知する検知部(15)と、を具備する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、漏洩検知装置に関し、特にボイラの管から水またはスチームが漏洩した時に発生する音を測定して漏洩を検知する漏洩検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
加熱管内の水などの流体を、燃料の燃焼または管外の高温流体により加熱し、スチームを発生させるボイラが使用されている。
ボイラの加熱管から圧力を有する水またはスチームなどの内部流体が漏洩した場合、漏洩により発生する音を測定して、漏洩を検知する漏洩検知機が使用されている。漏洩が発生した場合、内部流体は火炉側に漏れる場合が多いので、漏洩音を検知するために、通常、火炉内の音が測定される。漏洩検知機は、通常運転における火炉内の通常音の周波数と、管から漏洩が発生した場合に発生する漏洩音の周波数が異なることにより、漏洩音の周波数をもつ音を測定して、漏洩の有無を判定している。
【0003】
漏洩検知機はマイクロフォンを具備し、マイクロフォンで火炉内の音を測定する。マイクロフォンは、火炉内と連通する聴音管に取りつけられる。聴音管は中が空洞の管で、ボイラの炉壁の炉外側に取りつけられる。聴音管が取り付けられる部分は、ボイラの側壁に配列されている側壁管のスペーサ等が取り除かれ、聴音管の空洞と火炉は、音が伝達しやすいように連通している。
【0004】
上記のように取りつけられるマイクロフォンは、火炉内の排気や煤塵に直接接触する。火炉内は、硫化物、窒化物、その他の腐食性物質を含む煤塵を含み、また、聴音管内では火炉内の気体が冷やされるので水分が結露する恐れがある。このため、結露した水分に硫化物などが溶けてpHの低い腐食性物質が生成され、マイクロフォンが腐食する場合がある。
また、石炭などの燃料を使用する場合、煤塵が鉄分を含む場合がある。ダイナミックマイクロフォンなどの磁石を具備するマイクロフォンを使用する場合、マイクロフォンに鉄を含む煤塵が付着し、聴音能力の低下など故障を起こす場合がある。
【0005】
マイクロフォンの腐食や煤塵の付着による故障を防ぐことができる漏洩検知装置が望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、マイクロフォンの腐食や煤塵の付着による故障を防ぐ手段を有する漏洩検知装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用する番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明の漏洩検知装置は、周囲より高い圧力を有する内部流体が漏洩するときに発生する漏洩音を測定するセンサ(1)と、センサ(1)と漏洩音が発生する箇所とを物理的に遮断するように設置され、かつ、音を伝達する分離膜(20)と、センサ(1)で測定した音をモニタして、漏洩を検知する検知部(15)と、を具備する。
【0009】
さらに、本発明の漏洩検知装置は、漏洩音が発生する箇所と連通する聴音管(3)と、センサ(1)が取り付けられるセンサハウジング(8)と、を具備する。
聴音管(3)とセンサハウジング(8)は、フランジ(2)で取り付けられ、分離膜(20)は、フランジ(2)の間に挿入される。
【0010】
本発明の一形態の漏洩検知装置は、センサ(1)と分離膜(20)が、間隔を空けて設置される。
【0011】
本発明の一形態の漏洩検知装置の分離膜(20)は、フランジ(2)間をシールするパッキン(21、23)と、センサ(1)と漏洩音が発生する箇所とを物理的に遮断し且つ音を伝達する薄膜(22)と、を具備する。
【0012】
本発明の一形態の漏洩検知装置のパッキン(21A、23A)は、フランジ(2)のシール面と概ね同じ大きさの外径と内径を有する輪型であり、薄膜(22)は、パッキン(21、23)の内径の穴を塞ぐように、パッキン(21A、23A)の面と概ね平行の面を形成する様に張られる。
【0013】
本発明の一形態の漏洩検知装置のパッキン(21B、23B)は、フランジ(2)のシール面の内径より内側に複数の穴を有する円盤型であり、薄膜(22)は、パッキン(21、23)の穴を塞ぐように、パッキン(21B、23B)の面と概ね平行の面を形成する様に張られる。
【0014】
本発明の一形態の漏洩検知装置の分離膜(20)は、さらに、金網または樹脂のメッシュ(26)を具備する。金網または樹脂のメッシュ(26)は、薄膜(22)の両面または片面に設置される。
【0015】
本発明の一形態の漏洩検知装置の分離膜(20)が具備するパッキン(21、23)は2枚で構成され、薄膜(22)はパッキン(21、23)に挟まれて固定される。
【0016】
本発明の一形態の漏洩検知装置の薄膜(22)は、ポリテトラフルオロエチレンで製作される。
【0017】
本発明の一形態の漏洩検知装置の分離膜(30)は、センサ(1)を覆う様に設置される。
【0018】
本発明の一形態の漏洩検知装置の検知部(15)は、内部流体が漏洩したときの漏洩音が薄膜(22)を介してセンサ(1)に伝達するときのスペクトルの変化を考慮して、漏洩音を検知することで漏洩を検知する。
【0019】
本発明の一形態の漏洩検知装置は、周囲より高い圧力を有する内部流体が漏洩するときに発生する漏洩音を測定するセンサ(1)と、閉の状態でセンサ(1)と漏洩音が発生する箇所とを物理的に遮断し、かつ、開の状態でセンサ(1)と漏洩音が発生する箇所とを連通する様に設置される弁(40)と、センサ(1)で測定した音をモニタして、漏洩を検知する検知部(15)と、弁(40)の開閉を制御する制御部(15)と、を具備する。
制御部(15)は、検知部(15)でセンサ(1)の測定音がモニタされている時に、弁(40)を開にするように制御し、検知部(15)でセンサ(1)の測定音がモニタされていない時に、弁(40)を閉にするように制御する。以下に記載される発明の実施の形態では、検知部(15)と制御部(15)が一体となった制御器(信号処理機)(15)で説明されているが、別々に設置されても良い。
【0020】
上記の漏洩音が発生する箇所は、ボイラの火炉内の加熱管漏洩部である、
【0021】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照して、本発明による漏洩検知装置の実施の形態を以下に説明する。
図1に、漏洩検知装置が取りつけられるボイラ100の概要が示される。図1には、燃焼により加熱管内の水を加熱してスチームを発生させるボイラーの一例が示される。ただし、本発明の漏洩検知装置が設置されるのは、火炉を有するボイラーに限定されず、管内の水を加熱してスチームを発生するボイラーであれば、高温の流体により管を加熱する廃熱ボイラなども含む。
図1に示される様に、漏洩検知装置のセンサ1a〜1wは、ボイラ全体の各部の漏洩を検知できるように、ボイラの大きさ、および、センサの能力に応じて複数個配置される場合がある。
【0022】
(実施の形態1)
図2に本発明の漏洩検知装置の概要が示される。漏洩検知装置は、センサ1、聴音管3、エアパージ用電磁弁5、センサハウジング8、増幅器10、ゲート回路11、ゲート信号器12、フィルタ13、検波整流器14、制御器(信号処理器)15、表示器16、薄膜22とパッキン21、23を具備する分離膜20を含む。
【0023】
ボイラ100の炉壁7に、取り出し部4が取りつけられる。取り出し部4は、配管等の管で製作され、炉壁7に開けられた孔に溶接等で取りつけられる。炉壁7の内側(火炉側)には、側壁管(図示なし)が配列されているが、取り出し部4が取りつけられる部分は、側壁管の間に間隔が空けられ、若しくはスペーサーなどが取り除かれ、取り出し部4内は火炉に直接つながっている。
取り出し部4は、端部に、聴音管3を取り付けるフランジを具備する。
【0024】
聴音管3が、取り出し部4にフランジ等で取り付けられる。聴音管3は管などで製作され、円筒形である。聴音管3の取り出し部4に取り付けられている端の反対の端には、エアパージ用の電磁弁5が取り付けられる。
さらに、聴音管3には管の胴部分に分岐管が設けられ、分岐管の端に、センサハウジング8を取り付けるためのフランジ2aが取り付けられる。
【0025】
センサハウジング8は、聴音管3の分岐管のフランジ2aに対応するフランジ2bを具備し、分岐管にフランジ2で取り付けられる。フランジ2の間には薄膜22とパッキン21、23を具備する分離膜20が挿入される。センサハウジング8には、センサ1が挿入されて固定され、センサ1が取り付けられたセンサハウジング8の端部は密閉される。
【0026】
センサハウジング8と聴音管3のフランジ2の間に挿入される分離膜20は、薄膜22とパッキン21、23を具備する。薄膜22は、聴音管3内の空間とセンサハウジング8内の空間を分離している。薄膜22は薄く、音により振動するので、聴音管3内の音をセンサハウジング8内へ伝達することができる。
分離膜20の構造については後述する。
【0027】
センサ1は、センサハウジング8に挿入されて固定される。センサ1は、センサハウジング8内に伝達した火炉内の音を測定する。センサ1として、ダイナミックマイクロフォンやコンデンサマイクロフォン等が使用される。本実施例では、ダイナミックマイクロフォンが使用される例が示される。
センサ1で測定された音は、電気的な信号に変換されて増幅器10に送信される。
【0028】
火炉内で発生した漏洩音は、連通している取り出し部4内部、聴音管3内部に伝播し、分離膜20を介して、センサハウジング8内部に伝播し、センサ1で測定される。
【0029】
増幅器10は、センサ1から信号を受信して増幅する。増幅された信号は、増幅器10からゲート回路11へ送られる。
ゲート回路11は、ゲート信号機12で発生したタイミングで信号を選択し、フィルタ13に送信する。
ゲート信号機12は、ゲート回路11がスーツブローを実施している間は測定された音の信号をゲート回路11からフィルタ13に送信しない様にタイミングを決定し、タイミング信号をゲート回路11に送信する。スーツブローとは、火炉内の清掃のため火炉内にエアブロー等を行うことである。ブローを行うときに、漏洩音と同じ領域の周波数の音が発生するため、音の測定が停止されることが好ましい。
【0030】
フィルタ13は、ゲート回路11から信号を受信し、通常音と漏洩音を分離する。フィルタ13は、分離した漏洩音を検波整流器14へ送信する。
図8及び図9に、センサ1が測定する音の周波数スペクトルの例が示される。
図8は、漏洩が発生していない場合の通常時の音の周波数スペクトルの例を示す。漏洩が発生していない場合は、主に4KHz以下の音が測定されている。
図9は、漏洩が発生している場合の音の周波数スペクトルの例を示す。漏洩が発生している場合は、発生していない場合に加え4KHz以上の音が計測されている。したがって、4KHz以上の音をモニタすることで漏洩が検知される。フィルタ13は、モニタするレンジの音を分離して、検波整流器14へ送信する。本実施例では、フィルタ13は、4〜10KHzのレンジの音を分離している。
検波整流器14は受信した信号を、検波平準化して、制御器(信号処理器)15へ送信する。
【0031】
制御器(信号処理器)15は、検波整流器14から信号を受信し、受信したレンジの音のレベルをモニタする。制御器(信号処理器)15は、受信した信号のレベルが、所定値以上になれば警報信号A1を警報機等へ出力する。
制御器(信号処理器)15は、ボイラの運転信号S1を受信し、運転状況に合わせて、警報信号を出力するか決定することが出来る。
また、制御器(信号処理器)15は、聴音管3を清掃する為のパージのタイミングに合わせて、電磁弁5の開閉をする。聴音管3のパージは定期的に行われ、タイミングは事前に設定されている。さらに、聴音管3のパージ中は、制御器(信号処理器)15における当該聴音管3に対応するセンサの漏洩音のモニタが中止される。
【0032】
表示部16は、CRTに代表されるモニタで制御器(信号処理器)15に接続される。表示部16は、制御器(信号処理器)15が受信した信号の表示や、警報を表示することができる。
【0033】
エア配管6は、電磁弁5を介して聴音管3に接続されている。電磁弁5を開にすることで、エア配管6からエアが供給され、聴音管3内がパージされる。パージされることにより聴音管3内が清掃される。聴音管3のパージは、所定の時間、定期的に行われる。
聴音管3のパージは、複数のセンサ1の各聴音管3に対して、順次行われる場合がある。
聴音管3のパージ時は、エアの噴出し音が発生するので、制御器(信号処理器)15での当該聴音管3に対応するセンサ1の漏洩音のモニタが停止される。
【0034】
図10に、聴音管パージ、スーツブロー、リーク検出処理の実施のタイミングフローの例が示される。聴音管パージおよびスーツブローは、独立したタイミングで定期的に行われる。スーツブローが実施されている間は、ゲート回路11で信号が止められるので、制御器(信号処理器)15での、モニタは行われない。また、聴音管パージの間は、制御器(信号処理器)15で対応するセンサ1でのモニタが停止される。上記の様に、スーツブロー時の信号は、ゲート回路11およびゲート信号機12で止められる場合の他に、スーツブロー時に、制御器(信号処理器)15がリーク検出処理を行わない様にすることもできる。
【0035】
複数のセンサ1に対して、増幅器10、ゲート回路11、ゲート信号器12、フィルタ13、検波整流器14、制御器(信号処理器)15、表示器16が共通に設置され、一定期間毎に複数のセンサ1を順次モニタリングする場合がある。
【0036】
図3に、聴音管3にセンサハウジング8が取りつけられ、フランジ2の間に、薄膜22とパッキン21、23を具備する分離膜20が挿入されている状態が示される。
図3(a)は、分離膜20Aがフランジ2に挿入され、聴音管3にセンサハウジング8が取り付けられた図を示す。分離膜20Aが、フランジ2で挟んで取り付けられる。
図3(b)は、別の形態の分離膜20Bがフランジ2に挿入され、聴音管3にセンサハウジング8が取り付けられた図を示す。
図3(a)(b)ともに、左半分が外観図、右半分が断面図である。
【0037】
分離膜20は、センサ1との間に所定の距離、間隔が開けられている。
【0038】
図3(a)において使用されている分離膜20Aは、ドーナツ型のパッキン21A、23Aに薄膜22が挟まれている。図4(a)に分離膜20Aの上面図が示される。パッキン21A、23Aは、概ねフランジ2のシール面の大きさで、センサハウジング8の内径と概ね同じ大きさの穴25Aがあいている。パッキン21A、23Aはアスベストパッキンもしくはアスベストパッキンの代用品に例示される。
【0039】
薄膜22は、パッキン21A、23Aと概ね同じ外径を有する円形の膜で、穴があいていない。薄膜22により、聴音管3内とセンサハウジング8内が隔離される。薄膜22は、ポリテトラフルオロエチレンなどの耐薬品性、耐熱性を有し、強度の高いものが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレンの薄膜22を使用する場合、25μm〜50μmのものが好適に使用される。
薄膜22を介して聴音管3からセンサハウジング8に音が伝達する為、薄膜22は、強度があれば薄い方が好ましい。また、薄膜22は、音を伝達する為、緩みがなく張られていることが好ましい。
【0040】
薄膜22は、パッキン21A、23Aと接触面で接着剤または両面テープなどにより固定されることが好ましい。
薄膜22は、センサハウジング8の内径以上の大きさで、聴音管3とセンサハウジング8の間を分離し、パッキン21A、23Aに固定されれば、外径はパッキン21A、23Aの外径と同じ大きさに限定されない。
【0041】
図3(b)において使用されている分離膜20Bは、穴25Bが複数開けられているパッキン21B、23Bに薄膜22が挟まれている。図4(b)に分離膜20Bの上面図が示される。パッキン21B、23Bは、概ねフランジ2のシール面の外径を有し、センサハウジング8の内径内に対応する位置に、複数の穴25Bが開けられている。
【0042】
パッキン21B、23Bに複数の穴25Bを設けることで、火炉内の圧力変動により薄膜22が脈動するのを防止する。さらに、パッキン21B、23Bにより薄膜が補強される。
パッキン21B、23Bはアスベストパッキンもしくはアスベストパッキンの代用品に例示される。
【0043】
薄膜22は、パッキン21B、23Bと概ね同じ外径を有し、穴があいていない。薄膜22とパッキン21B、23Bにより、聴音管3内とセンサハウジング8内が隔離されている。
薄膜22は、ポリテトラフルオロエチレンなどの耐薬品性、耐熱性を有し、強度の高いものが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンの薄膜22を使用する場合、25μm〜50μmのものが好適に使用される。薄膜22を介して聴音管3からセンサハウジング8に音が伝達する為、薄膜22は、強度があれば薄いほうが好ましい。
薄膜22は、パッキン21B、23Bと接触面で接着剤または両面テープなどにより固定されることが好ましい。
薄膜22は、パッキン21B、23Bに固定されれば、外径はパッキン21B、23Bと同じ大きさに限定されない。
【0044】
上記の分離膜20A、分離膜20Bの他に、図4(c)に示される分離膜20Cの形態が使用される場合がある。分離膜20Cでは、分離膜20Aと同じ形態のパッキン21C、23Cと薄膜22を具備し、薄膜22の両面に、金網または樹脂のメッシュ26が取り付けられる。金網または樹脂のメッシュ26は、パッキン21C、23Cと薄膜22の間に挟まれて固定されることが好ましい。
金網または樹脂のメッシュ26が取り付けられることにより、火炉内の圧力変動により薄膜22が、脈動するのを防止する。また、金網または樹脂のメッシュ26により薄膜が補強される。
なお、金網または樹脂のメッシュ26は、薄膜22の両側に設置される場合、聴音管3側に設置される場合、センサハウジング8側に設置される場合がある。
【0045】
図5に、分離膜20の構成が分離膜20Bを代表して示される。パッキン21B、23Bの間に薄膜22が挟まれ、接着剤などで貼り付けられる。パッキン21B、23Bには、聴音管3およびセンサハウジング8の内径内に対応する位置に、複数の穴25Bが開けられている。
取り付けられるフランジ2のシール面がボルト穴の位置より大きい外径を持つタイプの場合は、パッキン21B、23Bおよび薄膜22にボルト穴24が開けられる。フランジ2のシール面がボルト穴より内側の場合は、パッキン21B、23Bおよび薄膜22にボルト穴24が開けられない場合がある。
【0046】
上記の実施例の様に、センサ1と聴音管3の内部を分離し、かつ、音を伝達する分離膜20を設置することで、センサ1に煤塵や腐食性物質が付着することを防止することができる。また、センサ1と分離膜20の間を一定の距離、離す事により磁性体の煤塵がセンサ1に付着することを防止することが出来る。
【0047】
なお、分離膜20の設置および分離膜20の種類によりセンサ1に伝達する音が変化する場合があるので、使用される分離膜20の種類により、増幅器10、フィルタ13、検波整流器14、制御器(信号処理器)15、の設定が変更される場合がある。
【0048】
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1の分離膜20の代わり、センサ1の外側にセンサーカバー膜30が設置される。
センサ1、聴音管3、エアパージ用電磁弁5、センサハウジング8、増幅器10、ゲート回路11、ゲート信号器12、フィルタ13、検波整流器14、制御器(信号処理器)15、表示器16は、実施の形態1と同様なので説明は省略される。
【0049】
図6に、センサーカバー膜30が設置される概要が示される。
センサーカバー膜30は、センサ1の外側に直接取り付けられ、センサ1と一体でセンサハウジング8に挿入される。センサーカバー膜30は、ポリテトラフルオロエチレンなどの薄膜で作成される。
センサーカバー膜30は、センサ1とセンサ留め部9の間に挟まれて固定される場合がある。また、センサーカバー膜30は、センサ1の一部に接着剤またはバンドなどで固定される場合がある。
【0050】
本実施の形態のように、センサ1の表面をセンサーカバー膜30で覆い、火炉内の環境と分離することで、センサ1に煤塵や腐食性物質が付着することを防止することが出来る。
本実施の形態では、センサハウジング8と聴音管3の間にフランジ2がなくても設置が可能である。
【0051】
なお、センサーカバー膜30の設置およびセンサーカバー膜30の種類によりセンサ1に伝達する音が変化する場合があるので、増幅器10、フィルタ13、検波整流器14、制御器(信号処理器)15、の設定が変更される場合がある。
【0052】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態1の分離膜20の代わりに、電動弁40が設置される。センサ1、聴音管3、エアパージ用電磁弁5、センサハウジング8、増幅器10、ゲート回路11、ゲート信号器12、フィルタ13、検波整流器14、表示器16は、実施の形態1と同様なので説明は省略される。
【0053】
図7に電動弁40が設置された漏洩検知装置の構成が示される。
本実施の形態では、電動弁40、制御器(信号処理器)15’、以外の構成は、実施の形態1と同様である。さらに、分離膜20は設置されない。
電動弁40は、聴音管3とセンサハウジング8の間に設置され、閉止することで聴音管3とセンサハウジング8の間を分離し、開にすることで聴音管3とセンサハウジング8の間を接続する。
電動弁40は、制御器(信号処理器)15’からの開閉信号により開閉する。
【0054】
制御器(信号処理器)15’は、実施の形態1で説明された機能に加え、電動弁40へ開閉信号を送信する。
制御器(信号処理器)15’が、各センサ1の測定音をモニタしているのは、スーツブローおよび聴音管パージ時以外である。さらに、制御器(信号処理器)15’が、複数のセンサ1を順番にモニタしている場合は、各センサ1の測定音は、短時間、定期的にモニタされていることになる。したがって、制御器(信号処理器)15’は、対応しているセンサ1をモニタしている間に、そのセンサ1に対応する電動弁40が開く様に、電動弁40を制御する。
電動弁40を開とすることにより、センサ1が火炉と連通し、閉とすることにより、センサ1と火炉の間が遮断される。センサ1の測定音をモニタしていない間、センサ1と火炉の間が遮断されることにより、センサ1が火炉内の環境と接触する時間が短くなり、腐食や汚れが軽減される。このため、センサ1の寿命が長くなる。
【0055】
本実施例では、センサ1と火炉内との間に遮蔽するものがないので、聴音の感度に与える影響が少ない。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、マイクロフォンの腐食や煤塵の付着による故障を防ぐ手段を有する漏洩検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、漏洩検知装置が取りつけられるボイラの概要を示す。
【図2】図2は、本発明の漏洩検知装置の概要を示す。
【図3】図3は、分離膜がフランジに挿入され、聴音管にセンサハウジングが取り付けられた図を示す。
【図4】図4は、分離膜の上面図を示す。
【図5】図5は、分離膜の構成を示す。
【図6】図6は、センサーカバー膜が設置される概要を示す。
【図7】図7は、電動弁が設置された漏洩検知装置の構成を示す。
【図8】図8は、通常時のセンサが測定する音の周波数スペクトルの例を示す。
【図9】図9は、漏洩時のセンサが測定する音の周波数スペクトルの例を示す。
【図10】図10は、聴音管パージ、スーツブロー、リーク検出処理の実施のタイミングフローの例を示す。
【符号の説明】
1 センサ
2、2a、2b フランジ
3 聴音管
4 取り出し部
5 電磁弁
6 エア配管
7 炉壁
8 センサハウジング
9 センサ留め部
10 増幅器
11 ゲート回路
12 ゲート信号器
13 フィルタ
14 検波整流器
15 制御器(信号処理器)
16 表示器
21 パッキン
22 薄膜
23 パッキン
24 ボルト穴
25 穴
26 金網または樹脂のメッシュ
30 センサカバー膜
40 電動弁
100 ボイラ
Claims (13)
- 周囲より高い圧力を有する内部流体が漏洩するときに発生する漏洩音を測定するセンサと、
前記センサと前記漏洩音が発生する箇所とを物理的に遮断するように設置され、かつ、音を伝達する分離膜と、
前記センサで測定した音をモニタして、漏洩を検知する検知部と、
を具備する、
漏洩検知装置。 - さらに、前記漏洩音が発生する箇所と連通する聴音管と、
前記センサが取り付けられるセンサハウジングと、を具備し、
前記聴音管と前記センサハウジングは、フランジで取り付けられ、
前記分離膜は、前記フランジの間に挿入される、
請求項1に記載された漏洩検知装置。 - 前記センサと前記分離膜が、間隔を空けて設置される、
請求項1または2のいずれかに記載された漏洩検知装置。 - 前記分離膜は、前記フランジ間をシールするパッキンと、前記センサと前記漏洩音が発生する箇所とを物理的に遮断し且つ音を伝達する薄膜と、を具備する、
請求項1〜3のいずれかに記載された漏洩検知装置。 - 前記パッキンは、前記フランジのシール面と概ね同じ大きさの外径と内径を有する輪型であり、
前記薄膜は、前記パッキンの内径の穴を塞ぐように、パッキンの面と概ね平行に張られる、
請求項4に記載された漏洩検知装置。 - 前記パッキンは、フランジのシール面の内径より内側に複数の穴を有する円盤型であり、
前記薄膜は、前記パッキンの穴を塞ぐように、パッキンの面と概ね平行の面を形成する様に設置される、
請求項4に記載された漏洩検知装置。 - 前記分離膜は、さらに、金網または樹脂のメッシュを具備し、
前記金網または樹脂のメッシュは、前記薄膜の両面または片面に設置される、
請求項4〜6のいずれかに記載された漏洩検知装置。 - 前記分離膜の前記パッキンは2枚で構成され、
前記薄膜は前記パッキンに挟まれて固定される、
請求項4〜7のいずれかに記載された漏洩検知装置。 - 前記薄膜は、ポリテトラフルオロエチレンである、
請求項4〜8のいずれかに記載された漏洩検知装置。 - 前記分離膜は、前記センサを覆う様に設置される、
請求項1に記載された漏洩検知装置。 - 前記検知部は、内部流体が漏洩したときの漏洩音が前記薄膜を介して前記センサに伝達するときのスペクトルの変化を考慮して、前記漏洩音を検知することで漏洩を検知する、
請求項1〜10のいずれかに記載された漏洩検知装置。 - 周囲より高い圧力を有する内部流体が漏洩するときに発生する漏洩音を測定するセンサと、
閉の状態で前記センサと前記漏洩音が発生する箇所とを物理的に遮断し、かつ、開の状態で前記センサと前記漏洩音が発生する箇所とを連通する様に設置される弁と、
前記センサで測定した音をモニタして、漏洩を検知する検知部と、
前記弁の開閉を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記検知部で前記センサの測定音がモニタされている時に、前記弁を開にするように制御し、前記検知部で前記センサの測定音がモニタされていない時に、前記弁を閉にするように制御する、
漏洩検知装置。 - 前記漏洩音が発生する箇所は、ボイラの火炉内の加熱管漏洩部である、
請求項1〜12のいずれかに記載された漏洩検知装置。
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