以下、本発明の第1の実施形態に係る給水装置10を、図1乃至図8を用いて説明する。
図1は、給水装置10の構成を示す正面図である。図2は、給水装置10の構成を一部断面で示す側面図である。図2は、給水装置10に用いられるポンプ32の構成を示す断面図である。図3は、給水装置10に用いられる異常検出器140及びその近傍の構成を一部断面で示す側面図である。図4は、給水装置10に用いられる軸受異常検出装置130の構成を示すブロック図である。図5は、軸受異常検出装置130に用いられる異常検出器140の構成を示す正面図である。図6は、異常検出器140及び取付金具144の構成を示す断面図である。図7は、軸受異常検出装置130に用いられる記憶部150に記憶される閾値を示す説明図である。図8は、記憶部150に記憶される、異常検出器140の検出値をフーリエ変換することで得られる所定周波数帯域の振幅スペクトルの最大ピーク値を示す説明図である。
図1及び図2に示すように、給水装置10は、ベース20と、ベース20上に配置された複数のポンプ装置30と、複数のポンプ装置30の二次側にそれぞれ接続される複数の吐出管40と、各吐出管40に設けられる複数の逆止弁50と、各吐出管40に設けられる複数の開閉弁60と、複数の吐出管40を連結する連結管70と、連結管70に設けられる接続管80と、接続管80に設けられる蓄圧装置90と、各ポンプ装置30の二次側の流量をそれぞれ検出する複数の流量検出器100と、連結管70内の圧力を検出する圧力検出器110と、各ポンプ装置30の動作を制御する制御装置120と、を備える。
また、給水装置10は、給水装置10に用いられる回転機械の軸受の異常を検出する軸受異常検出装置130を備える。回転機械は、回転軸と、回転軸を支持する軸受と、を備える機械である。給水装置10に用いられる回転機械は、例えば、ポンプ装置30に用いられるモータ31及びポンプ32である。給水装置10は、ポンプ装置30により水源の水を圧送し、吐出管40及び連結管70を介して給水先に給水する。
ポンプ装置30は、モータ31と、ポンプ32と、モータ31及びポンプ32を接続する主軸33と、軸封装置34と、を備える。ポンプ装置30は、一次側が、受水槽等の水源に接続される。ポンプ装置30は、例えば、主軸33が重力方向に沿って延設され、モータ31がポンプ32の上部に配置された、所謂立型多段タービンポンプである。ポンプ装置30は、例えば3台設けられる。
モータ31は、制御装置120に収納されたインバータに電気的に接続される。モータ31は、例えば、モータフレーム35と、固定子と、回転子と、回転軸36と、ポンプ直結側の軸受37と、反直結側の軸受5と、を備える。ポンプ直結側の軸受37は、ポンプ32側に配置される軸受である。反直結側の軸受5は、軸受37を挟んでポンプ32とは反対側に配置される軸受である。
モータフレーム35は、例えば、内部に固定子及び回転子を収納するフレーム本体38と、フレーム本体38のポンプ32側に固定され、ポンプ直結側の軸受37が固定され、ポンプ32の上部に固定されるモータブラケット39と、を備える。
フレーム本体38は、ポンプ32側が開口を有する筒状に構成される。
図3に示すように、モータブラケット39は、筒状に構成されるブラケット本体39aと、ブラケット本体39aの一端に設けられる底壁部39bと、を有する。
ブラケット本体39aは、例えば、円筒状に構成される。ブラケット本体39aの内周面は、嵌め合いにより軸受37を固定可能に形成される。ブラケット本体39aは、例えばフランジ39cを有する。フランジ39cは、図1及び図2に示すように、例えばボルト等の固定部材39dにより、フレーム本体38に固定される。底壁部39bは、回転軸36の一部を配置する孔が形成される。
固定子及び回転子は、フレーム本体38内に収容される。
回転軸36は、回転子に固定される。回転軸36は、主軸33に連結される。
図3に示すように、ポンプ直結側の軸受37は、例えば転がり軸受である。軸受37は、外輪37aと、内輪37bと、玉等の複数の転動体37cと、を備える。
外輪37aは、嵌め合いによりモータブラケット39の内周面に固定される。また、外輪37aは、例えば、押え板37dにより、モータブラケット39に固定される。具体的には、外輪37aは、押え板37dが回転軸36の軸方向に当接することで、回転軸36の軸方向に固定される。押え板37dは、ボルト等の固定部材37eにより、モータブラケット39に固定される。
内輪37bは、内側に回転軸36を挿通し、回転軸36に固定される。複数の転動体37cは、外輪37a及び内輪37bのそれぞれの軌道面間に配置され、外輪37a及び内輪37bに保持される。
図1及び図2に示すように、ポンプ32は、例えば、下端側に吸込口32a及び吐出口32bを有する。ポンプ32は、吸込口32aが受水槽等の水源に流体的に接続され、吐出口32bが吐出管40に接続される。
ポンプ32は、例えば、吸込口32a及び吐出口32bを構成するケーシング32cと、ケーシング32c上に複数配置される中間ケーシングと、中間ケーシング上に配置されるケーシングカバー32dと、複数の中間ケーシング内に配置され、主軸33に固定される複数のインペラと、ケーシングカバー32dに設けられ、複数の中間ケーシングを覆う管ケーシング32eと、を備える。
ケーシングカバー32dは、ポンプ32の上面を覆うとともに、例えば、ボルト等の固定部材32fを介してモータ31のモータブラケット39が固定される。具体的には、ケーシングカバー32dは、その上部に、モータブラケット39が載置される。固定部材32fは、例えば、ケーシングカバー32dの上部とモータ31の下部を固定する。
管ケーシング32eは、ケーシング32c及びケーシングカバー32d間に設けられ、内周面と複数のポンプケーシングの外周面との間に、ケーシングカバー32dからケーシング32cの吐出口32bへの流路を構成する。
主軸33は、例えば、軸継手33a等を介してモータ31の回転軸36に連結される。
軸封装置34は、ケーシングカバー32d及び主軸33の間を軸封する。軸封装置34は、例えば、メカニカルシールである。
図2に示すように、吐出管40は、一端が各ポンプ32の吐出口32bに、他端が連結管70に、それぞれ接続される。吐出管40は、例えば、少なくとも一部が重力方向に沿って延設される。
逆止弁50は、ポンプ32の二次側であって、且つ、連結管70の一次側に、例えば、各吐出管40にそれぞれ設けられる。逆止弁50は、吐出管40内でポンプ32へ向かう水の逆流を防止する。
開閉弁60は、例えば、吐出管40と連結管70との接続部に隣接する位置に設けられる。開閉弁60は、吐出管40から連結管70に連続する流路を開放または閉止する。
図1及び図2に示すように、連結管70は、複数の吐出管40の他端を連結する。また、連結管70は、給水先に連通する配管が接続される。連結管70は、各吐出管40を通過した水を合流させ、接続された配管に連通する二次側への流路を形成する。
図1に示すように、蓄圧装置90は、接続管80に例えば複数設けられる。蓄圧装置90は、接続管80を介して連結管70に流体的に連続する。
流量検出器100は、各ポンプ32の二次側の流量を検出可能に、例えば各吐出管40にそれぞれ設けられる。流量検出器100は、信号線等を介して制御基板122に電気的に接続される。流量検出器100は、検出した流量を信号に変換し、信号を制御基板122に送信する。
圧力検出器110は、連結管70に設けられる。圧力検出器110は、連結管70内の圧力を検出可能に構成される。圧力検出器110は、信号線等を介して制御基板122に電気的に接続される。圧力検出器110は、検出した圧力を信号に変換し、信号を制御基板122に送信する。
制御装置120は、ボックス121と、ボックス121内に収容される制御基板122と、を備える。制御基板122は、流量検出器100と、圧力検出器110とが、電気的に接続される。制御基板122は、流量検出器100及び圧力検出器110の検出結果に基づいて、ポンプ装置30を制御する。
図4に示すように、軸受異常検出装置130は、給水装置10に用いられる回転機械の軸受の振動により生じる空気の振動を可能に構成される異常検出器140と、軸受の異常の判断に用いる閾値を記憶する記憶部150と、異常検出器140の検出結果と記憶部150に記憶された閾値との比較に基づいて軸受の異常の判断を行う制御部160と、を備える。軸受異常検出装置130は、例えば、ポンプ装置30が備える回転機械の一例であるモータ31の軸受37の異常を検出する。
軸受37は、異常が生じると、正常な状態に比較して大きく振動する。軸受37の異常は、例えば、外輪37a及び内輪37bの転動体37cが転がる軌道面や転動体37cに傷が生じることや、複数の転動体37cの間に塵埃等の異物が浸入することにより発生する。
軸受37は、軌道面や転動体37cの傷が生じることにより、回転軸36の軸方向に直交する方向に、正常な状態に比較して大きく振動する。軸受37は、複数の転動体37cの間に塵埃等の異物が浸入することにより、回転軸36の軸方向に直交する方向に、正常な状態に比較して大きく振動する。軸受37の振動は、軸受37が固定されるモータブラケット39に伝わり、モータブラケット39を振動させる。
異常検出器140は、本実施形態では、軸受37の振動を、直接的または間接的に検出する、音響センサである。なお、ここで言う間接的に検出するとは、軸受37の振動が伝播して振動する部材の振動により生じる空気の振動を検出することである。
本実施形態では、異常検出器140は、一例として、軸受37の振動が伝播する部材の一例であるモータブラケット39の振動による空気の振動を検出することで、軸受37の振動を間接的に検出する。
異常検出器140は、例えば、給水装置10が備える複数のポンプ装置30のそれぞれに、1つずつ設けられる。図5及び図6に示すように、異常検出器140は、マイクロフォン141と、基板143と、マイクロフォン141及び基板143を収容するケース142と、ケース142に設けられる密閉カバー148と、を備える。
マイクロフォン141は、空気の振動を電気信号に変換可能に構成される。本実施形態では、マイクロフォン141は、一例としてチップとして構成されており、基板143に実装される。マイクロフォン141は、具体的には、マイクロフォンケース141aと、マイクロフォンケース141aに収容される変換器141bと、を含む。
マイクロフォンケース141aは、孔141cが形成される。孔141cは、変換器141bの後述する振動部141dに空気の振動を伝播する為の孔である。
変換器141bは、空気の振動を受けて振動する振動板等の振動部141dを備え、振動部141dの振動により、空気の振動を電気信号に変換する。振動部141dは、孔141cと対向配置される。すなわち、孔141c外の空気の振動は、孔141c及び振動部141dの間の空気を介して、振動部141dに伝播される。
このように構成されるマイクロフォン141の変換器141bは、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical System)マイクロフォン、コンデンサ型のマイクロフォン、圧電マイクである。コンデンサ型のマイクロフォンは、例えばエレクトレットコンデンサマイクである。なお、マイクロフォン141の構成は、限定されない。マイクロフォン141は、空気の振動を電気信号に変換可能であればよい。
このように構成されるマイクロフォン141は、この孔141cが基板143側に向く姿勢で、基板143に実装される。マイクロフォン141は、振動部141dの振動により、空気の振動を検出する。マイクロフォンは、検出結果に応じた信号を出力する。
基板143は、例えば、電源ノイズ対策の為のコンデンサや、マイクロフォン141の検出結果を増幅する増幅回路が設けられる。基板143は、図6に示すように、信号線143bが接続される。また、基板143は、マイクロフォン141の検出結果に応じた信号を、信号線143bを介して出力する。
また、基板143のマイクロフォン141の孔141cと対向する部位には、孔143aが形成される。孔143aは、孔141cに連通する。孔143aは、基板143を貫通する。孔143aは、マイクロフォン141の孔141cを介して振動部141dと対向する。マイクロフォン141のマイクロフォンケース141aの孔141cは、例えば孔143aと同軸に配置される。また、振動部141dは、例えば、孔143aの軸線上に配置される。孔143aは、例えば、基板143のマイクロフォン141が実装される主面とは反対側の面からマイクロフォン141が実施される面に向かって縮径する孔に形成される。孔143aのマイクロフォン141側の一端の内径は、マイクロフォン141のマイクロフォンケース141aの、振動部141dに対向する孔141cと同径または略同径に形成される。
ケース142は、例えば取付金具144により、モータブラケット39の外周面に接触する位置に固定される。
ケース142は、内部に、マイクロフォン141及び基板143を収容する収容スペースSを有する。ケース142は、例えば、ケース本体146と、ケースカバー147と、を備える。
ケース本体146は、ケースカバー147との間に収容スペースSを構成する。ケース本体146は、例えば一面が開口する矩形の箱状に形成される。ケース本体146の内面には、例えば、リブ146aが形成される。リブ146aは、ケースカバー147との間に基板143を狭持することで、基板143をケース142に固定する。
ケースカバー147は、ケース本体146の開口端面に設けられる。ケースカバー147は、ケース本体146との間を密閉する。ケースカバー147は、例えば、ねじ等の固定部材147aにより、ケースカバー147に固定される。ケースカバー147には、密閉カバー148の一部を配置する孔147bが形成される。孔147bは、ケースカバー147を貫通しており、収容スペースSに連通する。また、孔147bは、その軸方向で、基板143の孔143aと並ぶ。孔147bは、例えば、孔143aと同軸に配置される。
密閉カバー148は、ケースカバー147に設けられる。密閉カバー148は、モータブラケット39の外周面等の接触対象に密着可能な弾性体から形成される。密閉カバー148は、例えばゴムから形成される。
密閉カバー148は、例えば、一部がケースカバー147の孔147bに配置される筒状の本体148aと、本体148aの孔147bからケース142外に出る部分に設けられるフランジ部148bと、を有する。
本体148aは、孔147bの内面との間を密閉する。本体148aの基板143側の端面は、基板143の、マイクロフォン141が実装される一方の主面に対して他方の主面に当接する。本体148aは、例えば、円筒状に構成される。本体148aの内径は、基板143側に向かって漸次縮径する。
本体148aは、基板143の孔143aと同軸に配置される。本体148aの基板143側の一端の内径は、孔143aの密閉カバー148側の内径と同径または略同径に形成される。このように、本体148aの孔148d、及び基板143の孔143aは、互いに連続する。
フランジ部148bは、例えば環状に構成される。フランジ部148bは、ケースカバー147との間を密閉する。
本体148a及びフランジ部148bのモータブラケット39側の端面148cは、軸受37または軸受37の振動を受けて振動する部材に密着される面に構成される。本実施形態では、端面148cは、一例として、モータブラケット39の外周面に密着する面に構成される。端面148cは、例えば、モータブラケット39の外周面に押し付けられることでモータブラケット39の外周面に倣って変形してモータブラケット39の外周面に密着する。端面148cは、例えば、モータブラケット39の外周面など、接触対象にならう曲面に形成されてもよい。
このように、密閉カバー148が、ゴム等の弾性体で構成されることで、端面148cが接触対象に応じて変形可能であり、結果、端面148cが接触対象に密着される。
このように、本実施形態では、孔148d及び孔143aにより、密閉カバー148のモータブラケット39の外周面に密着する端面148cから、ケース142内まで延びる孔が構成される。
このように構成される異常検出器140は、密閉カバー148の端面148cがモータブラケット39の外周面に密着する位置に設置された状態で、モータブラケット39の外周面からマイクロフォン141の振動部141dまでの距離が、マイクロフォン141の最高応答周波数の半波長以下となる長さとなるよう、構成される。
本実施形態では、マイクロフォン141の最高応答周波数が例えば10k(Hz)であり、モータブラケット39の外周面に密着する位置に設置されたときに、モータブラケット39の外周面からマイクロフォン141の振動部141dまでの距離が、半波長となる17mm以下例えば15mmとなるように、ケース142の構成、マイクロフォン141の位置が設定される。このように、最高応答周波数が10k(Hz)である廉価な組み込み制御用のマイクロフォンをマイクロフォン141として採用しても、その最高応答周波数は、ポンプ装置30の軸受37の異常を検出可能な周波数帯域を有している。そして、モータブラケット39に密着して設置されることにより、軸受37の異常に起因する振動を、間接的に検出可能となる。
なお、モータブラケット39の外周面からマイクロフォン141の振動部141dまでの距離を、マイクロフォン141の最高応答周波数10k(Hz)の半波長17mm以下となる長さとすることにより、音波の山が、孔148d及び孔143aの壁面に当たって減衰することがなく、高周波帯域まで確実に音圧を検出することが可能となる。
このように構成される異常検出器140は、図2に示すように、例えば、モータブラケット39に、取付金具144により固定される。モータブラケット39は、異常検出器140が固定されるポンプ32側の軸受37側の一例である。
取付金具144は、図3に示すように、軸受37側に固定されることで、異常検出器140を、孔148d,143aの軸方向が回転軸36に直交する方向に平行となる姿勢で、密閉カバー148の端面148cをモータブラケット39の外周面に密着させる。
図3及び図6に示すように、取付金具144は、例えば、ポンプ32のケーシングカバー32dをモータ31に固定する固定部材32fにより、ケーシングカバー32dに固定される。ケーシングカバー32dは、軸受37側の一例である。軸受37側は、軸受37、または軸受37を有する回転機械であるモータ31に限定されず、これらの周囲の構成も含む。
取付金具144は、図6に示すように、例えば、側面視でL字形状に構成される。具体的には、取付金具144は、第1部分144aと、第2部分144bと、を有する。
第1部分144aは、固定部材32fが挿通される孔144cが形成される。第2部分は、異常検出器140が固定される。異常検出器140は、例えば、ねじ等の固定部材144dにより固定される。
記憶部150は、例えば、ボックス121内に収容される。記憶部150は、例えば、制御基板122の基板上に設けられる。なお、記憶部150は、制御基板122の基板上に設けられることに限定されない。
記憶部150は、モータ31の軸受37の異常を判断する為、回転速度範囲と、所定周波数帯域と、閾値と、初期データと、運転データと、を記憶する。初期データは、給水装置10が設置現場に設置されたのち、モータ31の軸受が正常である運転初期に、異常検出器140の複数回の検出結果から得られ、運転データは初期データが記憶されたのち、異常検出器140の検出結果から、モータ31の駆動毎に得られる。
各データは、異常検出器140の検出結果をフーリエ変換して得られる所定周波数帯域内の振幅スペクトルの最大ピーク値であり、初期データと運転データの最大ピーク値同士が比較される。そして、運転データの最大ピーク値が、初期データの最大ピーク値より、閾値以上大きいと、異常と判断される。
なお、ここでいう回転速度範囲は、モータ31の最低回転速度から最高回転速度までの回転速度を複数に分けたものである。
初期データ及び運転データについてより具体的に説明すると、初期データとは、給水装置10が設置現場に設置された後、モータ31の初期に駆動されたときの、検出器140の検出値をフーリエ変換することで得られる所定周波数帯域の振幅スペクトルの最大ピーク値である。ここで言う初期の駆動とは、例えば、給水装置10が設置現場に設置された後の初回の駆動、または、給水装置10が設置された後の初回を含む所定の複数回の駆動である。ここで言う、所定の複数回は、例えば2回や3回であり、任意に決定できる。初期の駆動回数は、初回の1回または所定の複数回を任意に設定できる。
例えば、初期の駆動が1回に設定される場合は、初回の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値が初期データとして記憶部150に記憶される。
初期の駆動が複数回例えば3回である場合は、初回の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値、2回目の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値、及び3回目の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値のうち最大値が、初期データとして記憶される。または、初回の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値、2回目の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値、及び3回目の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値の平均値が、初期データFとして記憶される。
運転データとは、モータ31の初期の駆動以降の駆動、すなわち初期と設定された回数以降のモータ31の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値であり、記憶部150に更新される。例えば、初期として3回が設定されている場合は、モータ31の4回目の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値が運転データとして記憶され、その後モータ31の5回目の駆動時の検出器140の検出値に基づく振幅スペクトルの最大ピーク値が演算されると、運転データが記憶部150に更新される。
ここでいう所定周波数帯域は、軸受37に異常が生じたときに、振幅、すなわち振動の強さが大きくなる周波数を含む帯域である。本実施形態では、軸受37は異常が生じると、フーリエ変換して得られる振幅スペクトルにおいて、周波数2650(Hz)の値が、正常時に比較して大きくなる。この為、本実施形態では、所定周波数帯域は、例えば、2500〜3500(Hz)である。
閾値は、例えば、軸受37の異常の程度を複数の段階で判断できるよう、複数設定される。本実施形態では、閾値は、例えば、軸受37の軽故障と、軽故障より程度が重い重故障と、を判断する為に、第1の閾値と、第2の閾値と、を有する。軽故障は、例えば、軸受37の異常の程度が軸受37の交換を要する程度ではないが、じきに交換を要する異常の程度となる可能性がある状態である。重故障は、例えば、軸受37の効果を要する状態である。異常検出器140の検出結果をフーリエ変換して得られる2500〜3500(Hz)の振幅スペクトルの最大ピーク値の初期データと運転データの差が第1の閾値以上であって、第2の閾値未満であると、軽故障と判断される。異常検出器140の検出結果をフーリエ変換して得られる2500〜3500(Hz)の振幅スペクトルの最大ピーク値の初期データと運転データの差が第2の閾値以上であると、重故障と判断される。
第1の閾値及び第2の閾値は、モータ31の最低回転速度から最高回転速度までの回転速度範囲を複数に分けたもののそれぞれに設定される。本実施形態では、モータ31の最低回転速度53(Hz)から最高回転速度75(Hz)までの回転速度を、12に分けた範囲に設定される。
具体的には、図7に示すように、53〜54(Hz)の回転速度範囲に設定される第1の閾値は、10dBであり、第2の閾値は、16dBである。54〜56(Hz)の回転速度範囲に設定される第1の閾値は、6dBであり、第2の閾値は、12dBである。56〜58(Hz)の回転速度範囲に設定される第1の閾値は、6dBであり、第2の閾値は、12dBである。すなわち、軸受異常の評価試験により54〜56(Hz)の回転速度範囲では、軸受の異常に伴う振幅スペクトルの増加が小さいと判断したため、閾値を小さくして検出感度を高めている。なお、dB単位で表現しているため、L(dB)=20log10(X)であり、電圧振幅の比率X=N^Lとなり、第1,第2の閾値は、単純な比率となっている。
具体的には、10dBは、比率3.2であり、16dBは、比率6.3であり、6dBは、比率2であり、12dBは、比率4である。
なお、図7に示すように、他の回転速度範囲である、58〜75(Hz)の回転速度範囲を複数分けたもののそれぞれにも、第1の閾値及び第2の閾値も示されている。なお、第1の閾値を10dBとし、第2の閾値を16dBとして、軸受異常の評価試験を行わないこととすれば、未知のポンプを含め、様々な種類のポンプに対応できる。
また、記憶部150は、異常検出器140の検出結果をフーリエ変換して得られる所定周波数帯域の振幅スペクトルの最大ピーク値を、モータ31の回転速度に応じて記憶する領域であるデータテーブルを有する。
図8は、モータ31の軸受37が正常である運転初期に記憶部150に記憶された初期データの回転速度別の、異常検出器140の検出結果をフーリエ変換して得られる所定周波数帯域の振幅スペクトルの最大ピーク値の一例を説明する説明図である。
図8に示すように、一例として、モータ31が回転速度53〜54(Hz)の回転速度範囲で駆動しているときの所定時間、例えば3秒間での異常検出器140の検出結果をフーリエ変換して得られる所定周波数帯域、例えば2500〜3500(Hz)の振幅スペクトルの最大ピーク値が76.3dBであり、この値が記憶部150に記憶される。
また、モータ31の回転速度54〜56(Hz)の回転速度範囲で駆動しているときの所定時間、例えば3秒間での異常検出器140の検出結果をフーリエ変換して得られる所定周波数帯域、例えば2500〜3500(Hz)の振幅スペクトルの最大ピーク値が82.6dBであり、この値が記憶部150に記憶される。
また、モータ31の回転速度56〜58(Hz)の回転速度範囲で駆動しているときの所定時間、例えば3秒間での異常検出器140の検出結果をフーリエ変換して得られる所定周波数帯域、例えば2500〜3500(Hz)の振幅スペクトルの最大ピーク値が77.7dBであり、この値が記憶部150に記憶される。なお、図8には、モータ31の他の回転速度範囲での、異常検出器140の検出結果をフーリエ変換して得られる所定周波数帯域の振幅スペクトルの最大ピーク値が示されている。すなわち、図8は、全ての回転速度範囲で、初期データを取得した例を示している。
制御部160は、例えばボックス121内に収容される。制御部160は、信号線143bを介して、マイクロフォン141の検出信号が送信される。制御部160は、制御基板122から、駆動しているポンプ装置30の情報を受信する。駆動しているポンプ装置30の情報は、駆動しているポンプ装置30を号機ナンバー、及び駆動しているポンプ装置30のモータ31の回転速度である。
制御部160は、制御基板122から、駆動しているポンプ装置30の情報を受信すると、所定の時間間隔、例えば1分間隔で、異常検出器140により所定時間、例えば3秒間の検出結果をフーリエ変換して得られる所定周波数帯域、例えば2500〜3500(Hz)の振幅スペクトルの最大ピーク値を、モータ31の回転速度に応じて記憶部150に更新する。
また、制御部160は、振幅スペクトルの最大ピーク値を更新すると、この更新した運転データより初期データを減算して、第1の閾値及び第2の閾値と比較して、異常を判断する。
具体的には、制御部160は、運転データより初期データを減算した値が、第1の閾値以上であり、第2の閾値未満であると軽故障と判断して、軸受37に軽故障があることを示す信号を制御基板122に送信する。制御部160は、運転データより初期データを減算した値が第2の閾値以上であると、重故障があると判断し、軸受37に重故障があることを示す異常信号を制御基板122に送信する。
次に、異常検出器140の動作を説明する。
モータ31の駆動により軸受37が振動すると、軸受37の振動は、モータブラケット39に伝わる。モータブラケット39の振動は、異常検出器140のケース142の孔148d、及び基板143の孔143a内の空気を振動させる。孔148d,143a内の空気の振動は、マイクロフォン141のマイクロフォンケース141aの孔141cを介して振動部141dに伝わる。マイクロフォン141は、振動部141dの振動することで、空気の振動を電気信号に変換する。異常検出器140は、この電気信号を検出信号として、制御部160に送信する。
制御部160は、ポンプ装置30が駆動されると、制御基板122から、駆動しているポンプ32の情報を受信する。また、制御部160は、異常検出器140のから検出信号を受信する。
制御部160は、駆動しているポンプ装置30が1台のみであるときに、所定の時間間隔、例えば1分間隔で、異常検出器140の所定時間の検出結果をフーリエ変換して得られる所定周波数である2500〜3500(Hz)帯域の振幅スペクトルの最大ピーク値を、制御基板122から受信したモータ31の回転速度の情報に基づいて、記憶部150に記憶する。
次に、制御部160は、振幅スペクトルの最大ピーク値を記憶部150に記憶すると、運転データより初期データを減算した値と、第1の閾値及び第2の閾値を比較する。制御部160は、運転データより初期データを減算した値が、第1の閾値以上であり、かつ第2の閾値未満であると、軸受37に軽故障が生じていると判断し、軽故障信号を制御基板122に送信する。制御部160は、運転データより初期データを減算した値が第2の閾値以上であると軸受37に重故障が生じていると判断して制御基板122に重故障信号を送信する。
制御基板122は、制御部160から、軸受37の軽故障または重故障を知らせる信号を受信すると、スピーカや表示部等の報知手段により、周囲に報知し、故障信号を給水装置10の管理を行う管理室の表示盤などの外部装置に送信する。
このように構成される異常検出器140によれば、異常検出器140は、モータブラケット39の外周面に密着することで当該外周面との間を密閉して孔148dを密封する密閉カバー148を備える。そして、密閉カバー148が、弾性体で形成される。
この為、異常の検出対象となる軸受37以外の外部騒音により、密閉カバー148の外側の周囲の空気が振動しても、この空気振動は、密閉カバー148により遮蔽されることで、密閉カバー148内に伝わらない。結果、軸受37以外の外部騒音に起因して孔148d,143a内の空気が振動することを防止できるので、異常検出器140の異常の検出精度を向上できる。
さらに、異常検出器140は、軸受37の振動により生じる空気の振動を検出できる位置に、ケース142の孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に直交する姿勢で、配置される。
この為、軸受37の外輪37a及び内輪37bの軌道面や転動体37cの傷が生じることや、複数の転動体37cの間に塵埃等の異物が浸入するといった異常による、軸受37の回転軸36の軸方向に直交する方向の振動を効率よく検出することが可能となる。この為、軸受37の異常の検出精度を向上できる。
さらに、異常検出器140は、取付金具144により、異常検出器140による異常の検出対象となる軸受37側の一例であるモータブラケット39に固定される。このように、異常検出器140が取付金具144を介してモータブラケット39に固定されることで、モータブラケット39の振動が異常検出器140に伝わることを抑制できる。すなわち、異常検出器140及びモータブラケット39の間に取付金具144が設けられることで、取付金具144により、モータブラケット39の振動の一部が吸収される。結果、異常検出器140自体が振動することを抑制できるので、軸受37の異常の検出精度を向上できる。
さらに、孔148d,143aは、軸線上にマイクロフォン141の振動部141dが配置され、マイクロフォン141の振動部141dに向かって漸次縮径する孔に形成される。この為、孔148d,143a内の空気の振動が効率よくマイクロフォン141の振動部141dに伝わるので、軸受37の異常の検出精度が向上する。
さらに、マイクロフォン141が基板143に実装され、マイクロフォン141が基板143の孔148d側の主面に対して反対側の主面に実装される構成であっても、基板143に、孔148dに連続する孔143aが形成されることで、異常検出器140は軸受37の振動を効率よく検出できる。
さらに、制御部160は、制御基板122より、駆動しているポンプ装置30が1台のときに、軸受37の異常の判断を行う。この為、検出対象となる軸受37を備えるポンプ装置以外のポンプ装置30の振動による影響を受けないので、軸受37の異常の検出精度を向上できる。
上述したように、本発明の一実施形態に係る給水装置10によれば、マイクロフォン141を備える異常検出器140を、モータブラケット39に密着して設置することにより、回転機械が備える軸受の異常の検出精度を向上できる。
なお、本発明は上述した例に限定されない。上述した例では、異常検出器140は、ケーシングカバー32dをモータブラケット39に固定する固定部材32f及び取付金具144を用いて、モータブラケット39に固定される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。異常検出器140は、取付金具144を用いず、直接、モータブラケット39に固定されてもよい。この構成の例としては、図9に示す変形例のように、異常検出器140は、ねじ等の固定部材170により、ケーシングカバー32dに固定されてもよい。
具体的には、異常検出器140のケース本体146の、基板143を避けた部位の一部に、固定部材170を挿通する孔171が形成される。そして、ケーシングカバー32dの例えば上部の外周面に、取付座32d1が形成される。
取付座32d1は、例えば、ケーシングカバー32dの外周面の取付座32d1以外の部位に比較して外方に突出する形状に構成される。取付座32d1の、モータブラケット39の外周面の周方向に沿う端面32d2は、異常検出器140が取り付けられる取付面に構成される。
端面32d2は、例えば、モータブラケット39の外周面よりも外方に位置する。端面32d2は、異常検出器140が安定して取り付けられる面に形成される。端面32d2は、異常検出器140の接触する部分に沿った面に形成される。
本実施形態では、端面32d2にケース本体146の一部が接触する。この為、端面32d2は、ケース本体146の接触する面に沿った面、例えば平面に形成される。取付座32d1には、固定部材170が固定される固定部172である例えばねじ孔が形成される。
図9に示す変形例では、異常検出器140は、ケース本体146を取付座32d1の端面32d2に当接させて、固定部材170をケース本体146の孔171に挿通させてケーシングカバー32dの固定部172に固定することで、ケーシングカバー32dの取付座32d1に、密閉カバー148の端面148cがモータブラケット39の外周面に密着した状態で固定される。
このように、取付金具144を用いない構成では、異常検出器140が固定される取付座32d1を形成することで、異常検出器140を安定して固定できる。
または、異常検出器140は、図10に示す変形例のように、モータブラケット39をフレーム本体38に連結する固定部材39d及び取付金具144Aを用いて、モータブラケット39に固定されてもよい。
例えば、取付金具144Aは、側面視でL字形状に形成される。取付金具144Aは、モータブラケット39のフランジ39c及び固定部材39dの間に狭持される第3部分144eと、異常検出器140が固定される第4の部分144fと、を有する。
また、上述した例では、異常検出器140は、軸受37の、回転軸36の軸方向に直交する方向の振動による空気の振動を検出可能に、例えばモータブラケット39の外周面に、孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に直交する方向に沿う姿勢で、密閉カバー148の端面148cが密着される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。
他の例では、異常検出器140は、軸受37の、回転軸36の軸方向の振動により生じる空気の振動を検出可能に、モータブラケット39に密着して固定されてもよい。すなわち、異常検出器140は、軸受37または軸受37の振動が伝播する部材に、孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に平行な姿勢で、端面148cが密着されてもよい。
この例として、図11に示す変形例のように、異常検出器140は、取付金具144Bと、固定部材32fと、により固定されてもよい。具体的には、取付金具144Bは、例えば平板状に構成され、異常検出器140を、密閉カバー148の端面148cがモータブラケット39の下面に密着し、孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に平行となる姿勢で、ケーシングカバー32dに固定する。また、異常検出器140の孔148d,143aは、孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に、軸受37と並ぶ位置に配置されてもよい。
または、図12に示す変形例のように、異常検出器140は、押え板37dをモータブラケット39に固定する固定部材37eを用いて、密閉カバー148の端面148cがモータブラケット39の下端面に密着し、孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に平行となる姿勢で、モータブラケット39に固定されてもよい。
また、上述の例では、異常検出器140は、軸受37の振動が伝播する部材の一例であるモータブラケット39に、密閉カバー148の端面148cが密着される構成が、一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、異常検出器140は、軸受37の振動が伝播する部材の他の例であるケーシングカバー32dに、密閉カバー148の端面148cが密着する構成であってもよい。
この例として、図13に示す変形例のように、異常検出器140は、密閉カバー148の端面148cが、孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に直交する姿勢で、ケーシングカバー32dの外周面に密着されてもよい。
具体的には、異常検出器140のケース本体146の基板143を避けた部分の一部には、ねじ等の固定部材146bが挿通可能な孔146cが形成される。ケーシングカバー32dの外周面の一部には、図9に示す変形例のように取付座32d1が形成される。なお、この変形例では、密閉カバー148の端面148cがケーシングカバー32dの外周面に密着されるので、取付座32d1は、端面32d2が、モータブラケット39の外周面よりも径方向で外方に位置するよう突出する形状でなくてよい。取付座32d1には、固定部材146bが固定されるねじ孔等の固定部146dが形成される。異常検出器140は、ケース本体146の孔146cを挿通した固定部材146bが固定部146dに固定されることで、ケーシングカバー32dに固定される。
また、上述した例では、異常検出器140は、立型のポンプ装置に用いられる回転機械に設けられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、異常検出器140は、図14に示す変形例のように、回転軸36が水平方向に沿って延設される横型のポンプ装置30の回転機械の一例であるモータ31の軸受37の振動により生じる空気の振動を検出する構成であってもよい。なお、図14に示す横型のポンプ装置30は、図1に示すポンプ装置0と同様の構成を有しており、同一の機能を有する構成には同一の符号を付している。
図14に示す変形例では、異常検出器140の密閉カバー148の端面148cは、孔148d、143aの軸方向が、回転軸36に直交する姿勢で、モータブラケット39の外周面に密着される。また、異常検出器140は、図3に示す構成と同様に、固定部材32f及び取付金具144を用いて、モータブラケット39に固定される。
また、上述した例では、異常検出器140は、モータ31のポンプ32側に配置される軸受37の振動により生じる空気の振動を検出する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、異常検出器140は、モータ31のポンプ32とは反対側に配置される軸受37Aの振動に起因する音を検出可能な位置に固定されてもよい。軸受37Aは、すなわち、反直結側の軸受の一例である。
この例として、異常検出器140は、図14に示す横型のポンプ装置30を用いて説明すると、図14に示すポンプ装置30の軸受37Aの近傍を拡大して示す図15に示すように、例えば、モータフレーム35のフレーム本体38の外周面の、軸受37Aの振動が伝播する部位に、密閉カバー148の端面148cが密着される構成であってもよい。
具体的に説明すると、フレーム本体38の外周面に、異常検出器140が固定される取付座38aが形成される。取付座38aは、密閉カバー148の端面148cが、フレーム本体38の外周面の例えば回転軸36の軸方向に直交する方向で軸受37Aと並ぶ部位に密着可能に構成される。
取付座38aは、異常検出器140が取付可能に形成される。取付座38aは、例えば、取付座38aの周囲に比較して、回転軸36の径方向で外方に突出する形状に構成される。取付座38aの端面38bは、異常検出器140のケース142のケース本体146の表面が当接される取付面に構成される。端面38bは、ケース本体146の表面に沿った面に形成される。
取付座38aには、ねじ等の固定部材200が螺合するねじ穴38cが形成される。ケース本体146には、固定部材200を挿通する孔201が形成される。
この変形例では、異常検出器140は、ケース本体146が取付座38aの端面38bに当接されることで、密閉カバー148の端面148cが、フレーム本体38の外周面に、孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に直交する姿勢で密着する。この状態で、固定部材200を取付座38aのねじ穴38cに螺合することで、異常検出器140が固定される。
この構成によれば、異常検出器140は、フレーム本体38を介して、軸受37Aの回転軸36の軸方向に直交する方向の振動により生じる空気の振動を検出する。
また、上述の例では、異常検出器140は、回転機械の一例であるモータ31の軸受37の振動を、例えばモータブラケット39を介して検出する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、異常検出器140は、軸受37の振動により生じる空気の振動を、他の構成を介さずに直接検出する構成であってもよい。具体例としては、異常検出器140は、密閉カバー148の端面148cが軸受37の外輪37aの外周面に密着して固定されてもよい。
また、上述の例では、異常検出器140は、空気の振動のみを検出する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。異常検出器140は、他の例では、空気の振動の検出に加えて、他の情報を検出可能に構成されてもよい。
この例として、図16及び図17に示すように、異常検出器140は、回転機械の軸受の異常に起因する温度を検出可能に構成されてもよい。具体的には、異常検出器140は、サーミスタ等の温度センサ180をさらに備える。温度センサ180は、例えば、密閉カバー148の端面148cが、モータブラケット39の外周面等の密着する対象に密着した状態で、当該対象に例えば当接することで対象の温度を検出可能に設けられる。なお、温度センサ180は、対象に接触せずに対象の温度を検出可能な構成である場合は、対象に接触しなくてもよい。
このように、温度センサ180を備える構成であることで、制御部160は、温度センサ180により温度を検出する対象例えばモータブラケット39の温度が、軸受37に異常が生じていると判断できる温度例えば80度以上となると、異常を知らせる信号、例えば軽故障信号や重故障信号を制御基板122に送信してもよい。そして、制御基板122は、制御部160から受信した信号に応じて、モータ31の駆動を停止してもよい。
または、温度センサ180は、さらに外気の温度を検出可能に構成されてもよい。この構成の場合、制御部160は、外気とモータブラケット39の温度との差が、軸受37に異常が生じていると判断できる温度差例えば40度以上であると、異常を知らせる信号を制御基板122に送信してもよい。
また、上述の例では、異常検出器140は、ポンプ装置30が備える回転機械の一例であるモータ31の軸受37の振動により生じる空気の振動を検出する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の構成では、ポンプ装置30のモータ31の回転軸36と軸継手33aにより主軸33が締結されたポンプ32が有するポンプ軸受の振動により生じる空気の振動を検出する構成であってもよい。このポンプ軸受は、例えば主軸33の回転を支持する。具体的には、異常検出器140の密閉カバー148の端面148cを、ポンプ32が有するポンプ軸受に密着させる構成であってもよい。または、異常検出器140の密閉カバー148の端面148cを、ポンプ32が有するポンプ軸受の振動が伝播する部材に密着させる構成であってもよい。この構成によれば、異常検出器140は、ポンプ軸受の振動により生じる空気の振動を検出可能、または、ポンプ軸受の振動が伝播する部材の振動により生じる空気の振動を検出可能となる。
または、異常検出器140は、ポンプ装置30以外の装置に用いられる回転機械の軸受の振動により生じる空気の振動を検出する構成であってもよい。
また、上述の例では、制御部160は、回転機械側の制御部の一例である制御基板122からの、回転機械の駆動情報に基づいて、ポンプ装置30の駆動を判断し、異常検出器140の検出結果に基づいて異常の判断を行う構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、制御部160は、制御基板122からのポンプ装置30の駆動情報に基づいてモータ31の駆動を判断することに代えて、異常検出器140の検出結果が、予め設定された所定値以上であると回転機械の駆動が開始されたと判断してもよい。この例として、制御部160は、例えば、異常検出器140の周波数100〜10000(Hz)の検出結果が、70dB以上であると、モータ31が駆動していると判断して、軸受37の異常の判断を行う。
また、上述の例では、軸受37の異常の判断に用いられる所定周波数帯域2500〜3500(Hz)が、記憶部150に予め記憶される構成が一例として説明されているが、これに限定されない。他の例では、初期データと運転データにおける複数の所定周波数帯域、例えば、2500〜3500(Hz)に加えて、3500〜6000(Hz)、6000〜8500(Hz)の各周波数帯域内の振幅スペクトルの最大ピーク値同士を比較してもよい。
具体的には、制御部160は、モータ31の回転速度にひもづけて、所定周波数帯域毎に、第1の閾値及び第2の閾値を定めて、記憶する。そして、制御部160は、回転速度範囲に応じて、所定周波数帯域毎の初期データを記憶する。そして、制御部160は、運転データの各所定周波数帯域の振幅スペクトルの最大ピーク値より、初期データの各所定周波数帯域の振幅スペクトルの最大ピーク値を減算した値と、第1の閾値及び第2の閾値と比較して、異常を判断する。
また、上述の例では、1つの軸受37に対して1つの異常検出器140が設けられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、1つの軸受37に対して複数の異常検出器140が設けられてもよい。この例として、1つのポンプ装置30が2つの異常検出器140を備え、一方の異常検出器140が、図3に示すように、孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に直交する姿勢で密閉カバー148の端面148cをモータブラケット39の外周面に密着させ、他方の異常検出器140が、図12に示すように、孔148d,143aの軸方向が回転軸36の軸方向に平行となる姿勢で密閉カバー148の端面148cをモータブラケット39の下面に密着させてもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]
マイクロフォンと、
前記マイクロフォンを収容するケースと、
前記ケースに設けられて、回転軸及び前記回転軸を支持する軸受を具備する回転機械の前記軸受または前記軸受の振動が伝播して振動する部材に密着可能に形成される密着部と、
前記密着部の前記軸受または前記部材に密着する面から前記密着部を貫通して前記ケース内まで延びる、一軸を中心とする孔部と、
を具備する軸受異常検出装置。
[2]
前記面は、前記一軸が前記回転軸の軸方向に直交する姿勢で前記軸受または前記部材に密着され、または、前記一軸が前記回転軸の軸方向に平行な姿勢で前記軸受または前記部材に密着される、
[1]に記載の軸受異常検出装置。
[3]
前記ケースは、取付金具により前記軸受側に固定される、
[1]に記載の軸受異常検出装置。
[4]
前記マイクロフォンは、空気の振動を受けて変位する振動部を具備し、
前記振動部は、前記一軸上に配置され、
前記孔部は、前記振動部側に向かって縮径する形状に形成される、
[1]に記載の軸受異常検出装置。
[5]
前記ケースに収容されて、一方の主面が前記一軸方向で前記孔部に対向する基板を備え、
前記マイクロフォンは、チップに構成され、前記基板の他方の主面の前記振動部が前記一軸上に配置される位置に、前記振動部を前記一方の主面側に向けた姿勢で実装され、
前記基板は、前記一軸を中心とする貫通孔が形成される、
[4]に記載の軸受異常検出装置。
[6]
前記貫通孔は、前記振動部に向かって漸次縮径する、[5]に記載の軸受異常検出装置。
[7]
異常の判断に用いる初期データ、運転データ、及び閾値を記憶する記憶部と、
前記軸受が正常である運転初期に、前記マイクロフォンの検出結果から得られた前記初期データと、前記初期データが記憶されたのち、前記回転機械の駆動毎に前記マイクロフォンの検出結果から得られる前記運転データとを比較し、前記運転データが前記初期データより前記閾値以上大きいと、前記軸受に異常があると判断する制御部と、
を備える[1]に記載の軸受異常検出装置。
[8]
前記回転機械は、ポンプ及びモータを備えるポンプ装置を複数備える給水装置の前記ポンプまたは前記モータであり、
前記制御部は、前記複数のポンプ装置のいずれか1台のみが駆動する単独運転時に、異常の判断を行う、[7]に記載の軸受異常検出装置。