JP2004092692A - ローラレベラ用バックアップベアリング - Google Patents
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Abstract
【課題】高荷重条件下でも長期間安定して使用することができるローラレベラ用バックアップベアリングを提供することである。
【解決手段】固定軸1を高周波焼入用鋼で形成して、軸1の表層からコア部までに想定される荷重条件でのせん断応力値から求まる必要硬度よりも高い硬度の硬化層を形成し、高荷重条件下でも十分な寿命が得られるようにした。さらに、シールケース7に取り付けた抜止めリング9で止め輪11を抜け止めするとともに、シールケース7を軸端側ころ3aと点接触させ、止め輪11とともにスムーズに回転するようにして、止め輪外れを確実に防止できるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】固定軸1を高周波焼入用鋼で形成して、軸1の表層からコア部までに想定される荷重条件でのせん断応力値から求まる必要硬度よりも高い硬度の硬化層を形成し、高荷重条件下でも十分な寿命が得られるようにした。さらに、シールケース7に取り付けた抜止めリング9で止め輪11を抜け止めするとともに、シールケース7を軸端側ころ3aと点接触させ、止め輪11とともにスムーズに回転するようにして、止め輪外れを確実に防止できるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、厚鋼板等の板材のひずみ矯正に使用されるローラレベラに組み込まれているバックアップベアリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
厚鋼板等の板材のひずみ矯正に使用されるローラレベラは、図4および図5に一例を示すように、板材Mを上下2列に配した多数のレベリングロールRの間に通して繰り返し曲げることにより、板材Mの前工程までの加工で残ったひずみを除去するもので、各レベリングロールRは、軸方向に4個ずつ配されたバックアップベアリングBで支持されて、通板中のたわみを抑えられている。
【0003】
上述したバックアップベアリングの一例として、図6に示すものがある。このバックアップベアリングは、左右一対の軸受台61に架設された固定軸62と図示省略したレベリングロールを支持するロール63との間に、ころがり軸受64を介設したものである。このようなバックアップベアリングでは、コスト面からレベリングロール軸方向に並べる個数を少なくするように固定軸62がある程度長く設計されているため、軸62がたわみやすい。この固定軸62のたわみを許容するために、軸受64には自動調心ころ軸受が使用されることが多い。
【0004】
なお、自動調心ころ軸受には、対称ころを用いるものと非対称ころを用いるものがあるが、いずれも外輪回転によりころの挙動が不安定になりやすく、それが固定軸のたわみの大きさにより軸受の損傷につながりやすいので、ころの挙動が比較的安定で、使用中の軸受温度の上昇が少ない対称ころタイプのものを使用するのがよい。
【0005】
しかしながら、この種のバックアップベアリングでは、寸法の制約から軸受のころをあまり大きくすることができず、負荷容量の点で問題がある。
【0006】
これに対して、軸受の内輪をなくすとともに、レベリングロールを支持するロールに軸受外輪を兼ねさせることによりころを大きくしたものがある。このバックアップベアリングは、図7にその一例を示すように、固定軸51の外径面と外輪52の内径面とを軌道面とするころ53を、固定軸51の軸方向に沿って4列備えたもので、外輪52の外径面がローラレベラのレベリングロール54と転がり接触して外輪回転で使用される。
【0007】
前記固定軸51は、一般に、安価な高炭素クロム軸受鋼を調質せずに使用されており、軌道面となる外径面が耐摩耗性を確保できる所定の硬さ(HRC60程度)となるように高周波焼入れされている。
【0008】
また、前記各ころ53は、各ころ53間に外輪52内径面と接するように配された3つの鍔輪55と、固定軸51両端のネック部に嵌め込まれた鍔輪56と、外輪52両端の薄肉部の内径面に嵌め込まれたリング状のシールケース57とで保持されている。
【0009】
前記シールケース57は、軸端の鍔輪56と摺接するように配されたオイルシール58とともに固定軸51と外輪52との間の隙間の両側端を塞いで、ベアリング内部のグリースの流出を防止している。グリースは固定軸51中央の給脂孔51aから供給されて軸端の鍔輪56の排脂孔56aから排出されるため、シールケース57の外側端部にはグリース圧力によるオイルシール58の抜け出しを防止する抜止め部57aが形成されている。そして、シールケース57自体は、外輪52端部の内径面の環状溝52aに嵌め込まれた止め輪59により抜け止めされている。
【0010】
この止め輪59は、円周方向の一箇所が分断されたC字状に形成されていて、比較的簡単に着脱することができ、ベアリング内部の点検や外輪52外径面の研磨等を行う際にベアリングの分解がしやすいようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、板製品の平坦度等の品質に対する要求の厳格化に伴い、ローラレベラにも板材の強圧下が可能なひずみ矯正能力の高いものが求められている。しかしながら、上述した従来のバックアップベアリングでは、板材の強圧下により高荷重が負荷される条件で長期間使用すると、以下に述べるような種々の不具合が生じやすくなる。
【0012】
すなわち、従来のバックアップベアリングは、前述のように軸が比較的たわみやすく、ころと軸との接触面圧が軸中央側のころよりも軸端側のころで大きくなっている。そして、この接触面圧は軸端近傍に配されたころの軸端側エッジ部で最も大きく、この部分から転動疲労による剥離が発生し始めるので、負荷される荷重が大きくなると、軸のたわみ量の増加によって接触面圧の最大値が平均値の上昇分以上に大きくなり、転動疲労寿命が大幅に短縮されてしまう。
【0013】
そのうえ、前記固定軸は、高炭素クロム軸受鋼を使用しているため、この鋼種の特性として、高周波焼入れにより炭化物が析出して転動疲労寿命が短くなる傾向がある。このため、従来レベルの荷重条件でもベアリングの必要寿命に対する余裕が少なく、より高い荷重条件で使用すると、前述のように負荷の増加による寿命の短縮が加わって、求められる寿命を達成できなくなるおそれがある。
【0014】
さらに、このバックアップベアリングでは、外輪とともに回転するシールケースが、外輪の回転速度よりも遅い公転速度で公転運動するころにブレーキをかけられながら、固定軸のたわみによって生じる誘起スラスト荷重をころから受けて、不安定な挙動を繰り返す。そして、このシールケースの不安定な挙動とスラスト荷重は止め輪にも伝わるので、これによって止め輪が外輪の環状溝から外れてしまうことがある。ころにかかる負荷が増えれば、ころとシールケースとの間の摩擦抵抗およびスラスト荷重も大きくなり、止め輪がより外れやすくなる。止め輪がベアリングから脱落すると、レベリングロールや通板中の製品に傷をつけたり、グリース漏れにより製品が汚損する等のトラブルが発生する。
【0015】
この対策として外れにくい構造の特殊な止め輪を用いた場合には、定期点検や外輪の研磨等を行う際にベアリングの分解がしにくくなり、メンテナンス性が低下する。
【0016】
そこで、この発明の課題は、高荷重条件下でも長期間安定して使用することができるローラレベラ用バックアップベアリングを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、固定軸の外径面と外輪の内径面とを軌道面とするころを、固定軸の軸方向に沿って2列以上備え、外輪の外径面をローラレベラのレベリングロールの外径面に接触させてレベリングロールを支持するローラレベラ用バックアップベアリングにおいて、前記固定軸を高周波焼入用鋼で形成し、この固定軸を高周波焼入れして、その外径面のロックウェル硬さをHRC58〜65とし、軸の表層からコア部までのビッカース硬さを、各部位で前記ころと軸との接触面圧が4000MPaのときに発生するせん断応力値(単位:kgf/mm2 )の6倍以上とした構成を採用したのである(請求項1)。
【0018】
すなわち、固定軸の材料として高炭素クロム軸受鋼よりも含有炭素量の少ない高周波焼入用鋼を使用することにより、高周波焼入れするときの炭化物の析出を抑えるとともに、軸の表層からコア部までのビッカース硬さを、ころと軸との接触面圧が4000MPaのときに発生するせん断応力値の6倍以上とすることにより、転動疲労剥離の起点部分となる軸の表層からコア部までにも十分に高い硬度を有する硬化層を形成して、転動疲労寿命を延長できるようにしたのである。なお、この固定軸の硬度分布の数値範囲は、実機において種々の実験を行った結果から得られたものである。
【0019】
なお、固定軸を内部のビッカース硬さがHV250以上の材料で形成すれば、求められる高荷重条件の下でも軸が永久変形するおそれが少ない。
【0020】
また、固定軸の外径面の硬度をHRC58〜65とすることにより、耐摩耗性も確保することができる。
【0021】
前記高周波焼入用鋼としては、炭素を0.50〜0.70wt%含有し、けい素とアルミニウムとを総量で0.5〜1.0wt%含有するものを使用することができる(請求項2)。この材料は、比較的安価なうえ、鍛造しやすく、また鍛造によって内部ビッカース硬さをHV300程度まで高めることができるため調質を必要としない。
【0022】
請求項1または2の構成において、前記固定軸と外輪との間の隙間の両側端をオイルシールとシールケースとで塞いで、このシールケースを外輪の内径面に設けられた環状溝に嵌め込んだ止め輪で抜け止めし、前記オイルシールを抜け止めする抜止めリングを、その外径面が前記止め輪の環状溝への嵌め込み深さよりも小さい間隔をおいて止め輪の内径面と対向するように前記シールケースに取り付けることにより(請求項3)、止め輪を環状溝から抜け出しにくくすることができる。
【0023】
また、請求項3の構成において、前記固定軸の軸端近傍に配された各ころの外側端面を凸球面状とし、前記シールケースの内側端面を前記凸球面状のころ端面と摺接する部位で傾斜させて、前記シールケースを前記軸端近傍の各ころと点接触させることにより(請求項4)、ころとシールケースとの間の摩擦抵抗を軽減し、シールケースおよび止め輪が外輪とともにスムーズに回転するようにして、止め輪外れをより確実に防止することができる。
【0024】
請求項1乃至4のいずれかの構成において、前記レベリングロールは、厚鋼板用コールドレベラに組み込まれるものとすることができる(請求項5)。
【0025】
すなわち、この発明のバックアップベアリングは、高荷重条件で使用されることの多い厚鋼板用コールドレベラのレベリングロールを支持するのに好適である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図3に基づき、この発明の実施形態を説明する。このローラレベラ用バックアップベアリングは、厚鋼板用コールドレベラに組み込まれるもので、図1に示すように、固定軸1の外径面と外輪2の内径面とを軌道面とするころ3を、固定軸1の軸方向に沿って4列備えており、外輪2の外径面をコールドレベラのレベリングロール4と転がり接触させて外輪回転で使用される。
【0027】
前記各ころ3は、各ころ3間に外輪2内径面と接するように配された3つの鍔輪5と、固定軸1両端のネック部に嵌め込まれた鍔輪6と、外輪2両端の薄肉部の内径面に嵌め込まれたリング状のシールケース7とで保持されており、軸端側のころ3aが軸中央側のころ3bより若干長く形成されている。
【0028】
前記シールケース7は、軸端の鍔輪6と摺接するように配されたオイルシール8とともに固定軸1と外輪2との間の隙間の両側端を塞いで、ベアリング内部のグリースの流出を防止している。グリースは固定軸1中央の給脂孔1aから供給されて軸端の鍔輪6の排脂孔6aから排出されるようになっており、グリース圧力によるオイルシール8の抜け出しを防止するための抜止めリング9が、ボルト10によりシールケース7の外側面に取り付けられている。そして、シールケース7自体は、外輪2端部の内径面の環状溝2aに嵌め込まれた止め輪11により抜け止めされている。また、シールケース7の外径面に設けられた環状溝7aには、外輪2とシールケース7との間をシールするOリング12が嵌め込まれている。
【0029】
前記固定軸1は、表1に示す組成の高周波焼入用鋼を鍛造して形成したもので、鍛造により内部ビッカース硬さがHV300程度まで高められるので、高荷重条件下でも永久変形を生じるおそれが少なく、調質の必要がない。また、素材の高周波焼入用鋼が中炭素鋼であるため、高周波焼入れする際に炭化物の析出により転動疲労寿命が短縮される心配がない。
【0030】
【表1】
【0031】
固定軸1の表層からコア部までは、高周波焼入れされて、図2に示すような硬度分布が与えられている。すなわち、ころ3と軸1との接触面圧が4000MPaのときに発生するせん断応力を計算によって求め、焼入れ条件を適切に選定することにより、軸1の表層からコア部までのビッカース硬さを、各部位において、計算されたせん断応力値(単位:kgf/mm2 )の6倍以上としている。これにより、転動疲労剥離の起点部分となる軸1の表層からコア部までに、十分に高い硬度を有する硬化層が形成されることになり、転動疲労寿命が延長される。
【0032】
また、軌道面となる外径面のロックウェル硬さは、従来のベアリングと同様にHRC60程度となっており、十分な耐摩耗性も有している。
【0033】
前記外輪2は、固定軸1と同じ材料で形成されており、接触相手のレベリングロール4の摩耗を抑え、傷つきにくくするために、表面硬度がレベリングロール4よりも若干低くなるように熱処理されている。
【0034】
なお、外輪の外径面にショットピーニング加工等を施して、微小な凹凸を形成することにより、レベリングロール外径面との間に油膜が形成されやすいようにして、外輪の耐摩耗性を向上させることもできる。このとき、外輪のごく表層の硬度をレベリングロールと同程度に硬化させておけば、外輪の耐摩耗性がさらに向上するとともに、両者の間に異物が噛み込んだような場合にも、外輪の表層が剥離して硬度の低い面が現れるため、レベリングロールに操業上問題となるような傷をつけることがない。
【0035】
また、外輪外径面に微小な凹凸を形成する代わりに、他の金属を溶射するようにしてもよい。この場合、外輪外周部を研磨するごとに溶射を行うことにより、内径面に転動疲労による剥離が発生するまで外輪を再使用できるので、従来のように外径が研磨によって使用限界に達することがなく、寿命を延長することができる。溶射金属は、目的に応じて適切なものを選定すればよく、耐摩耗性に優れた金属を用いてもよいし、ホットレベラのように外輪に水がかかる場合には耐食性に優れた金属を溶射してもよい。従って、溶射前の外輪を予備として保管しておけば、短時間で種々の装置に組み込めるようになるため、予備品の数量を減らすことができる。
【0036】
次に、このバックアップベアリングのシール構造の抜け止め機構とメンテナンス性について説明する。前記オイルシール8の抜け出しを防止する抜止めリング9は、その外径面が止め輪11の環状溝2aへの嵌め込み深さよりも小さい間隔をおいて止め輪11の内径面と対向するようにシールケース7に取り付けられている。このため、止め輪11が外輪2の環状溝2aから外れるおそれは少なく、止め輪外れに起因するトラブルの発生を防止できる。
【0037】
止め輪11は円周方向の一箇所が分断されたC字状に形成されていて、全体をたわませることにより比較的簡単に着脱することができ、また、抜止めリング9もボルト10で着脱可能に取り付けられているので、定期点検や外輪2の研磨等を行う際のベアリングの分解が容易である。オイルシール8の交換のみを行う場合も、抜止めリング9だけを取り外せばよく、止め輪11およびシールケース7を取り外す必要がないため、作業が簡単である。
【0038】
なお、ベアリング使用中のボルト10緩みによる抜止めリング9の脱落を防止するために、シールケース7のねじ穴にロックインサートを設けたり、ボルト10に代えて樹脂付きねじを使用したりしてもよい。
【0039】
また、前述した従来のバックアップベアリングでは、シールケースが止め輪よりも内側にオイルシールを抜け止めする抜止め部を有しているのに対して(図7参照)、この実施形態では、抜止め部に代わる抜止めリング9が止め輪11と対向する位置に配されており、シールケース7が抜止め部の厚み分だけ短くなっている。従って、その分ころ3を長くすることにより、ころ3と固定軸1との接触面圧を抑えて転動疲労寿命を延長することができる。なお、図1に示した例では、固定軸1のたわみの影響を考慮して、軸端側のころ3aのみを従来よりも長く形成しているが、各ころを均等に長くしてもよい。
【0040】
しかも、抜止めリング9をシールケース7と別体としたことで、それぞれの形状が簡単になって加工が容易になり、製造コストも低減されている。
【0041】
さらに、この実施形態では、止め輪外れを確実に防止するために、上述した抜止めリング9による対策に加えて、以下に述べるようにシールケース7の挙動を改善する対策も実施している。
【0042】
すなわち、従来の止め輪外れの原因は、ころにブレーキをかけられながら回転するシールケースの不安定な挙動が止め輪に伝わることにある。そこで、これを改善するために、図3に示すように、軸端側のころ3aの外側端面を凸球面状に形成するとともに、シールケース7の内側端面をころ3a端面と摺接する部位で傾斜させることにより、ころ3aとシールケース7とを点接触させて、両者の間の摩擦抵抗を軽減するようにしている。
【0043】
従って、ベアリングを高荷重条件で使用してころ3aにかかるスラスト荷重が大きくなっても、シールケース7はころ3aにほとんどブレーキをかけられることなく外輪2とともにスムーズに回転し、止め輪外れが確実に防止される。
【0044】
なお、図3の例では、シールケース7と外輪2との間に介在するOリング12も、シールケース7を外輪2と一体に回転させるのに寄与しているが、このOリングは必ずしも設けなくてもよい。
【0045】
また、シールケースを確実に外輪と一体に回転させるには、上述した方法のほかにも、外輪とシールケースとの間に回り止めを設けたり、回り止め付きのシールケースを用いたりすることもできる。
【0046】
この発明は、上述した実施形態で説明した厚鋼板用コールドレベラに組み込まれるバックアップベアリングに限らず、他のローラレベラに組み込まれるものにも適用できることはもちろんである。また、ころの軸方向の配列数は、実施形態のように4列であってもよいし、3列以下または5列以上であってもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、この発明のバックアップベアリングは、固定軸を高周波焼入用鋼で形成して、高周波焼入れするときの炭化物の析出を抑え、軸の表層からコア部までに想定される荷重条件でのせん断応力値から求まる必要硬度よりも高い硬度の硬化層を形成することによって、転動疲労寿命を延長することができる。
【0048】
そして、上述のように転動疲労寿命の延長が図れ、高荷重条件下でも必要とされる寿命を十分に満足することができるので、従来では対応が困難であった高品質材用の強圧下ローラレベラへ組み込んでも安定して使用することができる。
【0049】
さらに、この発明のバックアップベアリングは、シールケースに取り付けた抜止めリングでオイルシールと止め輪を同時に抜け止めしたり、軸端近傍の各ころをシールケースと点接触させて、シールケースおよび止め輪を外輪とともにスムーズに回転するようにしたものであるから、高荷重条件下でも止め輪外れを確実に防止することができ、止め輪外れに起因する種々のトラブルをなくしてローラレベラの操業を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のバックアップベアリングの縦断正面図
【図2】図1のバックアップベアリングの固定軸の硬度分布を示すグラフ
【図3】図1の要部拡大縦断正面図
【図4】ローラレベラの一例の側面図
【図5】図4のローラレベラの正面図
【図6】従来のバックアップベアリングの一例の縦断正面図
【図7】従来のバックアップベアリングの他の例の縦断正面図
【符号の説明】
1 固定軸
1a 給脂孔
2 外輪
2a 環状溝
3、3a、3b ころ
4 レベリングロール
5、6 鍔輪
6a 排脂孔
7 シールケース
7a 環状溝
8 オイルシール
9 抜止めリング
10 ボルト
11 止め輪
12 Oリング
【発明の属する技術分野】
この発明は、厚鋼板等の板材のひずみ矯正に使用されるローラレベラに組み込まれているバックアップベアリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
厚鋼板等の板材のひずみ矯正に使用されるローラレベラは、図4および図5に一例を示すように、板材Mを上下2列に配した多数のレベリングロールRの間に通して繰り返し曲げることにより、板材Mの前工程までの加工で残ったひずみを除去するもので、各レベリングロールRは、軸方向に4個ずつ配されたバックアップベアリングBで支持されて、通板中のたわみを抑えられている。
【0003】
上述したバックアップベアリングの一例として、図6に示すものがある。このバックアップベアリングは、左右一対の軸受台61に架設された固定軸62と図示省略したレベリングロールを支持するロール63との間に、ころがり軸受64を介設したものである。このようなバックアップベアリングでは、コスト面からレベリングロール軸方向に並べる個数を少なくするように固定軸62がある程度長く設計されているため、軸62がたわみやすい。この固定軸62のたわみを許容するために、軸受64には自動調心ころ軸受が使用されることが多い。
【0004】
なお、自動調心ころ軸受には、対称ころを用いるものと非対称ころを用いるものがあるが、いずれも外輪回転によりころの挙動が不安定になりやすく、それが固定軸のたわみの大きさにより軸受の損傷につながりやすいので、ころの挙動が比較的安定で、使用中の軸受温度の上昇が少ない対称ころタイプのものを使用するのがよい。
【0005】
しかしながら、この種のバックアップベアリングでは、寸法の制約から軸受のころをあまり大きくすることができず、負荷容量の点で問題がある。
【0006】
これに対して、軸受の内輪をなくすとともに、レベリングロールを支持するロールに軸受外輪を兼ねさせることによりころを大きくしたものがある。このバックアップベアリングは、図7にその一例を示すように、固定軸51の外径面と外輪52の内径面とを軌道面とするころ53を、固定軸51の軸方向に沿って4列備えたもので、外輪52の外径面がローラレベラのレベリングロール54と転がり接触して外輪回転で使用される。
【0007】
前記固定軸51は、一般に、安価な高炭素クロム軸受鋼を調質せずに使用されており、軌道面となる外径面が耐摩耗性を確保できる所定の硬さ(HRC60程度)となるように高周波焼入れされている。
【0008】
また、前記各ころ53は、各ころ53間に外輪52内径面と接するように配された3つの鍔輪55と、固定軸51両端のネック部に嵌め込まれた鍔輪56と、外輪52両端の薄肉部の内径面に嵌め込まれたリング状のシールケース57とで保持されている。
【0009】
前記シールケース57は、軸端の鍔輪56と摺接するように配されたオイルシール58とともに固定軸51と外輪52との間の隙間の両側端を塞いで、ベアリング内部のグリースの流出を防止している。グリースは固定軸51中央の給脂孔51aから供給されて軸端の鍔輪56の排脂孔56aから排出されるため、シールケース57の外側端部にはグリース圧力によるオイルシール58の抜け出しを防止する抜止め部57aが形成されている。そして、シールケース57自体は、外輪52端部の内径面の環状溝52aに嵌め込まれた止め輪59により抜け止めされている。
【0010】
この止め輪59は、円周方向の一箇所が分断されたC字状に形成されていて、比較的簡単に着脱することができ、ベアリング内部の点検や外輪52外径面の研磨等を行う際にベアリングの分解がしやすいようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、板製品の平坦度等の品質に対する要求の厳格化に伴い、ローラレベラにも板材の強圧下が可能なひずみ矯正能力の高いものが求められている。しかしながら、上述した従来のバックアップベアリングでは、板材の強圧下により高荷重が負荷される条件で長期間使用すると、以下に述べるような種々の不具合が生じやすくなる。
【0012】
すなわち、従来のバックアップベアリングは、前述のように軸が比較的たわみやすく、ころと軸との接触面圧が軸中央側のころよりも軸端側のころで大きくなっている。そして、この接触面圧は軸端近傍に配されたころの軸端側エッジ部で最も大きく、この部分から転動疲労による剥離が発生し始めるので、負荷される荷重が大きくなると、軸のたわみ量の増加によって接触面圧の最大値が平均値の上昇分以上に大きくなり、転動疲労寿命が大幅に短縮されてしまう。
【0013】
そのうえ、前記固定軸は、高炭素クロム軸受鋼を使用しているため、この鋼種の特性として、高周波焼入れにより炭化物が析出して転動疲労寿命が短くなる傾向がある。このため、従来レベルの荷重条件でもベアリングの必要寿命に対する余裕が少なく、より高い荷重条件で使用すると、前述のように負荷の増加による寿命の短縮が加わって、求められる寿命を達成できなくなるおそれがある。
【0014】
さらに、このバックアップベアリングでは、外輪とともに回転するシールケースが、外輪の回転速度よりも遅い公転速度で公転運動するころにブレーキをかけられながら、固定軸のたわみによって生じる誘起スラスト荷重をころから受けて、不安定な挙動を繰り返す。そして、このシールケースの不安定な挙動とスラスト荷重は止め輪にも伝わるので、これによって止め輪が外輪の環状溝から外れてしまうことがある。ころにかかる負荷が増えれば、ころとシールケースとの間の摩擦抵抗およびスラスト荷重も大きくなり、止め輪がより外れやすくなる。止め輪がベアリングから脱落すると、レベリングロールや通板中の製品に傷をつけたり、グリース漏れにより製品が汚損する等のトラブルが発生する。
【0015】
この対策として外れにくい構造の特殊な止め輪を用いた場合には、定期点検や外輪の研磨等を行う際にベアリングの分解がしにくくなり、メンテナンス性が低下する。
【0016】
そこで、この発明の課題は、高荷重条件下でも長期間安定して使用することができるローラレベラ用バックアップベアリングを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、固定軸の外径面と外輪の内径面とを軌道面とするころを、固定軸の軸方向に沿って2列以上備え、外輪の外径面をローラレベラのレベリングロールの外径面に接触させてレベリングロールを支持するローラレベラ用バックアップベアリングにおいて、前記固定軸を高周波焼入用鋼で形成し、この固定軸を高周波焼入れして、その外径面のロックウェル硬さをHRC58〜65とし、軸の表層からコア部までのビッカース硬さを、各部位で前記ころと軸との接触面圧が4000MPaのときに発生するせん断応力値(単位:kgf/mm2 )の6倍以上とした構成を採用したのである(請求項1)。
【0018】
すなわち、固定軸の材料として高炭素クロム軸受鋼よりも含有炭素量の少ない高周波焼入用鋼を使用することにより、高周波焼入れするときの炭化物の析出を抑えるとともに、軸の表層からコア部までのビッカース硬さを、ころと軸との接触面圧が4000MPaのときに発生するせん断応力値の6倍以上とすることにより、転動疲労剥離の起点部分となる軸の表層からコア部までにも十分に高い硬度を有する硬化層を形成して、転動疲労寿命を延長できるようにしたのである。なお、この固定軸の硬度分布の数値範囲は、実機において種々の実験を行った結果から得られたものである。
【0019】
なお、固定軸を内部のビッカース硬さがHV250以上の材料で形成すれば、求められる高荷重条件の下でも軸が永久変形するおそれが少ない。
【0020】
また、固定軸の外径面の硬度をHRC58〜65とすることにより、耐摩耗性も確保することができる。
【0021】
前記高周波焼入用鋼としては、炭素を0.50〜0.70wt%含有し、けい素とアルミニウムとを総量で0.5〜1.0wt%含有するものを使用することができる(請求項2)。この材料は、比較的安価なうえ、鍛造しやすく、また鍛造によって内部ビッカース硬さをHV300程度まで高めることができるため調質を必要としない。
【0022】
請求項1または2の構成において、前記固定軸と外輪との間の隙間の両側端をオイルシールとシールケースとで塞いで、このシールケースを外輪の内径面に設けられた環状溝に嵌め込んだ止め輪で抜け止めし、前記オイルシールを抜け止めする抜止めリングを、その外径面が前記止め輪の環状溝への嵌め込み深さよりも小さい間隔をおいて止め輪の内径面と対向するように前記シールケースに取り付けることにより(請求項3)、止め輪を環状溝から抜け出しにくくすることができる。
【0023】
また、請求項3の構成において、前記固定軸の軸端近傍に配された各ころの外側端面を凸球面状とし、前記シールケースの内側端面を前記凸球面状のころ端面と摺接する部位で傾斜させて、前記シールケースを前記軸端近傍の各ころと点接触させることにより(請求項4)、ころとシールケースとの間の摩擦抵抗を軽減し、シールケースおよび止め輪が外輪とともにスムーズに回転するようにして、止め輪外れをより確実に防止することができる。
【0024】
請求項1乃至4のいずれかの構成において、前記レベリングロールは、厚鋼板用コールドレベラに組み込まれるものとすることができる(請求項5)。
【0025】
すなわち、この発明のバックアップベアリングは、高荷重条件で使用されることの多い厚鋼板用コールドレベラのレベリングロールを支持するのに好適である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図3に基づき、この発明の実施形態を説明する。このローラレベラ用バックアップベアリングは、厚鋼板用コールドレベラに組み込まれるもので、図1に示すように、固定軸1の外径面と外輪2の内径面とを軌道面とするころ3を、固定軸1の軸方向に沿って4列備えており、外輪2の外径面をコールドレベラのレベリングロール4と転がり接触させて外輪回転で使用される。
【0027】
前記各ころ3は、各ころ3間に外輪2内径面と接するように配された3つの鍔輪5と、固定軸1両端のネック部に嵌め込まれた鍔輪6と、外輪2両端の薄肉部の内径面に嵌め込まれたリング状のシールケース7とで保持されており、軸端側のころ3aが軸中央側のころ3bより若干長く形成されている。
【0028】
前記シールケース7は、軸端の鍔輪6と摺接するように配されたオイルシール8とともに固定軸1と外輪2との間の隙間の両側端を塞いで、ベアリング内部のグリースの流出を防止している。グリースは固定軸1中央の給脂孔1aから供給されて軸端の鍔輪6の排脂孔6aから排出されるようになっており、グリース圧力によるオイルシール8の抜け出しを防止するための抜止めリング9が、ボルト10によりシールケース7の外側面に取り付けられている。そして、シールケース7自体は、外輪2端部の内径面の環状溝2aに嵌め込まれた止め輪11により抜け止めされている。また、シールケース7の外径面に設けられた環状溝7aには、外輪2とシールケース7との間をシールするOリング12が嵌め込まれている。
【0029】
前記固定軸1は、表1に示す組成の高周波焼入用鋼を鍛造して形成したもので、鍛造により内部ビッカース硬さがHV300程度まで高められるので、高荷重条件下でも永久変形を生じるおそれが少なく、調質の必要がない。また、素材の高周波焼入用鋼が中炭素鋼であるため、高周波焼入れする際に炭化物の析出により転動疲労寿命が短縮される心配がない。
【0030】
【表1】
【0031】
固定軸1の表層からコア部までは、高周波焼入れされて、図2に示すような硬度分布が与えられている。すなわち、ころ3と軸1との接触面圧が4000MPaのときに発生するせん断応力を計算によって求め、焼入れ条件を適切に選定することにより、軸1の表層からコア部までのビッカース硬さを、各部位において、計算されたせん断応力値(単位:kgf/mm2 )の6倍以上としている。これにより、転動疲労剥離の起点部分となる軸1の表層からコア部までに、十分に高い硬度を有する硬化層が形成されることになり、転動疲労寿命が延長される。
【0032】
また、軌道面となる外径面のロックウェル硬さは、従来のベアリングと同様にHRC60程度となっており、十分な耐摩耗性も有している。
【0033】
前記外輪2は、固定軸1と同じ材料で形成されており、接触相手のレベリングロール4の摩耗を抑え、傷つきにくくするために、表面硬度がレベリングロール4よりも若干低くなるように熱処理されている。
【0034】
なお、外輪の外径面にショットピーニング加工等を施して、微小な凹凸を形成することにより、レベリングロール外径面との間に油膜が形成されやすいようにして、外輪の耐摩耗性を向上させることもできる。このとき、外輪のごく表層の硬度をレベリングロールと同程度に硬化させておけば、外輪の耐摩耗性がさらに向上するとともに、両者の間に異物が噛み込んだような場合にも、外輪の表層が剥離して硬度の低い面が現れるため、レベリングロールに操業上問題となるような傷をつけることがない。
【0035】
また、外輪外径面に微小な凹凸を形成する代わりに、他の金属を溶射するようにしてもよい。この場合、外輪外周部を研磨するごとに溶射を行うことにより、内径面に転動疲労による剥離が発生するまで外輪を再使用できるので、従来のように外径が研磨によって使用限界に達することがなく、寿命を延長することができる。溶射金属は、目的に応じて適切なものを選定すればよく、耐摩耗性に優れた金属を用いてもよいし、ホットレベラのように外輪に水がかかる場合には耐食性に優れた金属を溶射してもよい。従って、溶射前の外輪を予備として保管しておけば、短時間で種々の装置に組み込めるようになるため、予備品の数量を減らすことができる。
【0036】
次に、このバックアップベアリングのシール構造の抜け止め機構とメンテナンス性について説明する。前記オイルシール8の抜け出しを防止する抜止めリング9は、その外径面が止め輪11の環状溝2aへの嵌め込み深さよりも小さい間隔をおいて止め輪11の内径面と対向するようにシールケース7に取り付けられている。このため、止め輪11が外輪2の環状溝2aから外れるおそれは少なく、止め輪外れに起因するトラブルの発生を防止できる。
【0037】
止め輪11は円周方向の一箇所が分断されたC字状に形成されていて、全体をたわませることにより比較的簡単に着脱することができ、また、抜止めリング9もボルト10で着脱可能に取り付けられているので、定期点検や外輪2の研磨等を行う際のベアリングの分解が容易である。オイルシール8の交換のみを行う場合も、抜止めリング9だけを取り外せばよく、止め輪11およびシールケース7を取り外す必要がないため、作業が簡単である。
【0038】
なお、ベアリング使用中のボルト10緩みによる抜止めリング9の脱落を防止するために、シールケース7のねじ穴にロックインサートを設けたり、ボルト10に代えて樹脂付きねじを使用したりしてもよい。
【0039】
また、前述した従来のバックアップベアリングでは、シールケースが止め輪よりも内側にオイルシールを抜け止めする抜止め部を有しているのに対して(図7参照)、この実施形態では、抜止め部に代わる抜止めリング9が止め輪11と対向する位置に配されており、シールケース7が抜止め部の厚み分だけ短くなっている。従って、その分ころ3を長くすることにより、ころ3と固定軸1との接触面圧を抑えて転動疲労寿命を延長することができる。なお、図1に示した例では、固定軸1のたわみの影響を考慮して、軸端側のころ3aのみを従来よりも長く形成しているが、各ころを均等に長くしてもよい。
【0040】
しかも、抜止めリング9をシールケース7と別体としたことで、それぞれの形状が簡単になって加工が容易になり、製造コストも低減されている。
【0041】
さらに、この実施形態では、止め輪外れを確実に防止するために、上述した抜止めリング9による対策に加えて、以下に述べるようにシールケース7の挙動を改善する対策も実施している。
【0042】
すなわち、従来の止め輪外れの原因は、ころにブレーキをかけられながら回転するシールケースの不安定な挙動が止め輪に伝わることにある。そこで、これを改善するために、図3に示すように、軸端側のころ3aの外側端面を凸球面状に形成するとともに、シールケース7の内側端面をころ3a端面と摺接する部位で傾斜させることにより、ころ3aとシールケース7とを点接触させて、両者の間の摩擦抵抗を軽減するようにしている。
【0043】
従って、ベアリングを高荷重条件で使用してころ3aにかかるスラスト荷重が大きくなっても、シールケース7はころ3aにほとんどブレーキをかけられることなく外輪2とともにスムーズに回転し、止め輪外れが確実に防止される。
【0044】
なお、図3の例では、シールケース7と外輪2との間に介在するOリング12も、シールケース7を外輪2と一体に回転させるのに寄与しているが、このOリングは必ずしも設けなくてもよい。
【0045】
また、シールケースを確実に外輪と一体に回転させるには、上述した方法のほかにも、外輪とシールケースとの間に回り止めを設けたり、回り止め付きのシールケースを用いたりすることもできる。
【0046】
この発明は、上述した実施形態で説明した厚鋼板用コールドレベラに組み込まれるバックアップベアリングに限らず、他のローラレベラに組み込まれるものにも適用できることはもちろんである。また、ころの軸方向の配列数は、実施形態のように4列であってもよいし、3列以下または5列以上であってもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、この発明のバックアップベアリングは、固定軸を高周波焼入用鋼で形成して、高周波焼入れするときの炭化物の析出を抑え、軸の表層からコア部までに想定される荷重条件でのせん断応力値から求まる必要硬度よりも高い硬度の硬化層を形成することによって、転動疲労寿命を延長することができる。
【0048】
そして、上述のように転動疲労寿命の延長が図れ、高荷重条件下でも必要とされる寿命を十分に満足することができるので、従来では対応が困難であった高品質材用の強圧下ローラレベラへ組み込んでも安定して使用することができる。
【0049】
さらに、この発明のバックアップベアリングは、シールケースに取り付けた抜止めリングでオイルシールと止め輪を同時に抜け止めしたり、軸端近傍の各ころをシールケースと点接触させて、シールケースおよび止め輪を外輪とともにスムーズに回転するようにしたものであるから、高荷重条件下でも止め輪外れを確実に防止することができ、止め輪外れに起因する種々のトラブルをなくしてローラレベラの操業を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のバックアップベアリングの縦断正面図
【図2】図1のバックアップベアリングの固定軸の硬度分布を示すグラフ
【図3】図1の要部拡大縦断正面図
【図4】ローラレベラの一例の側面図
【図5】図4のローラレベラの正面図
【図6】従来のバックアップベアリングの一例の縦断正面図
【図7】従来のバックアップベアリングの他の例の縦断正面図
【符号の説明】
1 固定軸
1a 給脂孔
2 外輪
2a 環状溝
3、3a、3b ころ
4 レベリングロール
5、6 鍔輪
6a 排脂孔
7 シールケース
7a 環状溝
8 オイルシール
9 抜止めリング
10 ボルト
11 止め輪
12 Oリング
Claims (5)
- 固定軸の外径面と外輪の内径面とを軌道面とするころを、固定軸の軸方向に沿って2列以上備え、外輪の外径面をローラレベラのレベリングロールの外径面に接触させてレベリングロールを支持するローラレベラ用バックアップベアリングにおいて、前記固定軸を高周波焼入用鋼で形成し、この固定軸を高周波焼入れして、その外径面のロックウェル硬さをHRC58〜65とし、軸の表層からコア部までのビッカース硬さを、各部位で前記ころと軸との接触面圧が4000MPaのときに発生するせん断応力値(単位:kgf/mm2 )の6倍以上としたことを特徴とするローラレベラ用バックアップベアリング。
- 前記固定軸を形成する高周波焼入用鋼が、炭素を0.50〜0.70wt%含有し、けい素とアルミニウムとを総量で0.5〜1.0wt%含有するものである請求項1に記載のローラレベラ用バックアップベアリング。
- 前記固定軸と外輪との間の隙間の両側端をオイルシールとシールケースとで塞いで、このシールケースを外輪の内径面に設けられた環状溝に嵌め込んだ止め輪で抜け止めし、前記オイルシールを抜け止めする抜止めリングを、その外径面が前記止め輪の環状溝への嵌め込み深さよりも小さい間隔をおいて止め輪の内径面と対向するように前記シールケースに取り付けた請求項1または2に記載のローラレベラ用バックアップベアリング。
- 前記固定軸の軸端近傍に配された各ころの外側端面を凸球面状とし、前記シールケースの内側端面を前記凸球面状のころ端面と摺接する部位で傾斜させて、前記シールケースを前記軸端近傍の各ころと点接触させた請求項3に記載のローラレベラ用バックアップベアリング。
- 前記レベリングロールが厚鋼板用コールドレベラに組み込まれるものである請求項1乃至4のいずれかに記載のローラレベラ用バックアップベアリング。
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-
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- 2002-08-29 JP JP2002251528A patent/JP2004092692A/ja not_active Withdrawn
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